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ホクナリンテープにスピリーバへの追加効果が実証される

マルホ株式会社とアボット ジャパン株式会社は20日、ホクナリンテープ(一般名:ツロブテロール)が慢性閉塞性肺疾患の臨床診断基準を満たす安定期の慢性気管支炎や肺気腫に伴う閉塞性気道障害(以下COPD と略)を対象とした臨床研究で「スピリーバ吸入用カプセル18μg」(一般名:チオトロピウム)への追加効果を持つことが示されたと発表した。ホクナリンテープは、気管支喘息、急性気管支炎、慢性気管支炎および肺気腫にともなう気道閉塞性障害治療のための貼付型の長時間作用性β2刺激薬。アボット ジャパンと日東電工株式会社によって開発され、マルホを含めた3社で共同で販売されている。この臨床研究は、チオトロピウム単独またはホクナリンテープとチオトロピウム併用で、COPD患者に8週間にわたり投与した場合の有効性および安全性を比較したもの。試験は、合計103例の40歳以上のCOPD患者を対象に、無作為にチオトロピウム単独群(チオトロピウム18μg/日)またはチオトロピウムとホクナリンテープの併用群(チオトロピウム18μg/日+ツロブテロール2mg/日)に割り付けて行われた。患者の背景(平均年齢、喫煙比率、他の気管支拡張剤の併用率)は2群間に有意差はなかったという。BAREC(Beta-2 Agonist Research and Evaluation committee in COPD)研究会の和歌山県立医科大学内科学第三講座 教授 一ノ瀬正和氏らによる本試験の結果は、現地時間5月19日、サンディエゴで開催された米国胸部学会議(ATS)において発表された。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.maruho.co.jp/pdf/200905/0905hokunarintape_pr_jpn.pdf

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日本初のカウンター付吸入用エアゾール剤喘息治療配合剤「アドエア 50エアー120吸入用」発売

グラクソ・スミスクライン株式会社は、4月6日に喘息治療配合剤「アドエア 50エアー120吸入用」(一般名:サルメテロールキシナホ酸塩・フルチカゾンプロピオン酸エステル)を発売した。同剤は、1月21日に成人および小児の気管支喘息を適応として製造販売承認を取得したもので、3月13日に薬価収載された。アドエア 50エアー120吸入用には、喘息治療用の吸入用エアゾール剤としては日本で初めてドーズカウンターがつき、残りの使用回数の確認が可能となった。アドエアは、気管支拡張作用を持つ長時間作動型吸入β2刺激薬(サルメテロールキシナホ酸塩)と抗炎症作用を持つ吸入ステロイド薬(フルチカゾンプロピオン酸エステル)をひとつの吸入器具におさめた配合剤。海外では1998年に欧州で承認されて以来、喘息およびCOPD(慢性気管支炎・肺気腫)の治療薬として130ヵ国以上で承認されている。詳細はプレスリリースへhttp://glaxosmithkline.co.jp/press/press/2009_01/P1000543.html

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抗IL-5モノクローナル抗体・mepolizumabは喘息症状の増悪に有効か

喘息症状の増悪は、罹病率や死亡率の増大ばかりか保健医療資源の大量消費を伴うため、それを防ぐことが依然として治療の重要な目的となっている。一方で、気道の好酸球性炎症が増悪リスクであるとのエビデンスが得られている。これに対しグレンフィールド病院(英国・レスター)のPranabashis Haldar氏らが、抗IL-5モノクローナル抗体・mepolizumabの増悪抑制効果について臨床試験を実施。結果がNEJM誌2009年3月5日号に掲載された。61例を無作為化し、50週間にわたって追跡難治性の好酸球性喘息患者で、重症増悪を繰り返す61例を対象に、無作為化二重盲検プラセボ対照臨床試験を実施した。被験者は1ヵ月おきに1年間、29例がmepolizumabを、32例がプラセボの静注を受けた。主要評価項目は、50週の治療期間中における、被験者ごとの重症増悪の回数とした。副次評価項目は、喘息症状の変化を含め、喘息患者用QOLスケール「AQLQ」の1から7までのスコア(値が低いほど障害が重度で、0.5単位の変化が臨床的に重要と判断される)、気管支拡張剤使用後のFEV1、気道過敏性、血液中ならびに喀痰中の好酸球数とした。好酸球数を減少しQOLを改善50週のコースにわたって、mepolizumabはプラセボより、重症増悪の有意な減少と関連していた(増悪回数は被験者当たり平均2.0回対3.4回、相対リスク:0.57、95%信頼区間:0.32~0.92、P=0.02)。そして、AQLQスコアでの有意な改善が見られた(ベースラインからの平均増加0.55対0.19、群間差平均:0.35、95%信頼区間:0.08~0.62、P=0.02)。mepolizumabはプラセボと比較して、血液中(P

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COPDの早期治療は必要か? ―大規模臨床試験が示すもの―

2008年10月29日、COPD(慢性閉塞性肺疾患)に対する大規模臨床試験UPLIFT(Understanding Potential Long-term Impacts on Function with Tiotropium)の結果発表を受けて、COPD治療薬チオトロピウム(商品名:スピリーバ)の販売会社である日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社/ファイザー株式会社による記者会見が、久留米大学医学部内科学講座 呼吸器・神経・膠原病内科主任教授 相澤久道氏(=写真)を迎えて開催された。日本呼吸器学会理事も務めている相澤氏はUPLIFTの結果紹介に先立ち、COPDにおける現状について、『開業医の身近にある疾患にもかかわらず、多くのCOPD患者が見逃されている』、『重症ほど医療費が大きくなる』ことを紹介し、積極的な治療が必要であることを強く訴えた。UPLIFTはCOPDに関する臨床試験の中では最大規模の5,993名の患者が参加し、最長試験期間である4年間にわたって実施された。日本から約100名の患者が参加したこと、通常治療をベースとした試験デザインが採用されたことも本試験の特徴である。特に、チオトロピウム群およびコントロール群の双方で、長時間作用型β2刺激薬(LABA)や吸入ステロイド(ICS)、テオフィリンなど、吸入抗コリン薬以外のすべての薬剤使用が許可されていた点が他の臨床試験と大きく異なり、注目すべきと相澤氏が強調した。UPLIFTの主要評価項目は、FEV1(一秒量)の経年的低下量であった。副次的評価項目は、その他の呼吸機能、増悪、健康関連QOL、すべての有害事象、すべての原因による死亡患者数、呼吸器疾患による死亡患者数であった。UPLIFTの結果では、チオトロピウム群はコントロール群に比べ、FEV1の低下率に差はみられなかったものの、FEV1を試験開始30日時点で有意に改善し、その差は4年間の試験期間にわたって維持された(気管支拡張薬投与前87~103 mL、気管支拡張薬投与後47~65 mL、P

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COPD治療薬チオトロピウムの長期臨床試験報告

慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療薬チオトロピウムが、COPD患者の複数のエンドポイントを改善することは先行研究で示されているが、吸入用抗コリン薬を除くすべての呼吸器疾患の薬物治療を許されたプラセボ群を対照に、チオトロピウム治療の4年間にわたる長期的な効果を検証していた米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校医学部のDonald P. Tashkin氏らが主要な治療指標であるFEV1低下率や肺機能、QOL、増悪について報告を行った。NEJM誌2008年10月9日号(オンライン版2008年10月5日号)より。患者5,993例を4年間にわたり無作為化二重盲検プラセボ対照試験UPLIFT試験(Understanding Potential Long-Term Impacts on Function with Tiotropium)は無作為化二重盲検プラセボ対照試験で、吸入用抗コリン薬を除くすべての呼吸器疾患の薬物治療を許されたCOPD患者を対象に、チオトロピウムまたはプラセボに割り付け4年にわたって投与し比較された。対照患者は日本を含む37ヵ国から登録された、40歳以上、気管支拡張薬投与後のFEV1は70%以下、FVCに対するFEV1の比率は70%以下等の条件を満たした5,993例。主要エンドポイントは、試験開始30日時点で測定した気管支拡張薬投与前後のFEV1平均低下率。副次エンドポイントは、FVC測定値、QOL評価表のSGRQ(St. George's Respiratory Questionnaire)に対する回答の変化、COPDの増悪と死亡率を含めた。FEV1低下率、肺機能、QOLの改善効果は?対象患者5,993例(平均年齢65±8歳)は、気管支拡張薬投与後の平均FEV1が1.32±0.44 L(予測値の48%)で、このうち2,987例をチオトロピウム群、3,006例をプラセボ群に無作為に割り付けた。FEV1の絶対改善平均値は試験期間を通じて、チオトロピウム群のほうがプラセボ群より維持された(気管支拡張薬投与前87~103 mL、気管支拡張薬投与後47~65 mL、P

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暖房器具の選び方次第で小児喘息症状は緩和する

呼吸器症状を悪化させる排ガス物質の二酸化窒素について、屋外での車の排ガスなどに注目が集まるが、屋内における暖房器具(ガスヒーター)やガスコンロなどからのほうがそれらを1,000倍も吸引する可能性があり、住環境改善は小児喘息の改善に必須であると提言し、以前に住環境改善(断熱効果を高める)介入と呼吸器症状改善との関連について報告していたOtago大学(ニュージーランド)He Kainga Oranga/住宅健康リサーチプログラムのPhilippa Howden-Chapman氏らが今回、屋内にガスを排出しない無公害タイプの暖房器具と小児喘息との関連について無作為化試験の結果を報告した。BMJ誌2008年9月23日号にて掲載。小児の約25%が喘息症状を有し、それが小児の入院要因の第2位となっているニュージーランドでの検討で、同国では3分の1の家庭が暖房器具は室内に直接排気するタイプのガスヒーターだという。小児喘息6~12歳児409例を無作為割付し追跡調査無公害タイプの暖房器具(ヒートポンプ、ウッドペレットを燃やすタイプの暖炉、屋外排気タイプのガスヒーター)が小児喘息をもつ子どもの健康に有効かどうかを検討した無作為化試験は、ニュージーランドの5地域に居住する世帯を対象に行われた。参加者は医師に小児喘息と診断された6~12歳児409例。介入群に割り付けられた家庭は2005年晩秋に無公害タイプの暖房器具を設置。対照群に割り付けられた家庭は介入試験終了後の2007年にそれら交換設置が行われた。主要評価項目は、肺機能(ピークフローとFEV1)の変化。副次評価項目は、既報の呼吸器症状、予防薬および気管支拡張薬の日々の服用。基線は2005年の晩冬、追跡調査は2006年冬期に行われ、対象児の健康状態、医療サービスの利用、呼吸器症状、住環境の状況などが両親によって報告された。居間と子ども部屋で、二酸化窒素レベルは月1回4ヵ月間測定、室温は常時記録された。肺機能の有意な改善は認められなかったが…肺機能の改善は有意ではなかった(FEV1差:130.7 mL、95%信頼区間:20.3~281.7)。しかし介入群の小児は対照群の小児と比較して、学校の欠席(1.80、95%信頼区間:0.11~3.13)、喘息医受診(0.40、0.11~0.62)、薬局利用(0.25、0.09~0.32)が減っていた。また、不健康との報告の減少(補正オッズ比:0.48、95%信頼区間:0.31~0.74)、喘鳴による睡眠障害の減少(0.55、0.35~0.85)、夜間の空咳の減少(0.77、0.73~0.81)が報告された。介入は、居間の温度1.10℃(95%信頼区間:0.54℃~1.64℃)上昇、子ども部屋0.57℃(0.05℃~1.08℃)上昇と関連していた。二酸化窒素レベルは、対照群家庭[相乗平均15.7μg/m(3)]よりも介入群家庭[8.5μg/m(3)]のほうがより低かった(P

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1日1回投与の新規COPD治療薬NVA237 臨床第II相試験の新データが発表される

ノバルティス ファーマ株式会社は、スイス・バーゼル市の本社が10月7日に1日1回投与の新規COPD治療薬NVA237臨床第II相試験の新データを発表したことを報告した。新たに得られた第II相試験の結果によると、新規長時間作用型吸入ムスカリン性拮抗薬(LAMA: long-acting muscarinic antagonist)であるNVA237(一般名:臭化グリコピロニウム)は、中等症から重症のCOPDの患者さんにおいて24時間にわたり気管支拡張作用を示すことが明らかになり、また、NVA237はチオトロピウムと同等の有効性と作用時間を示し,効果発現がより早い可能性が示唆されたという。さらに、28日間投与された第II相試験では、NVA237は安全で良好な忍容性を示すとともに、臨床的に問題となる心血管系所見も認められなかったという。これらの結果は、同日、ドイツ・ベルリンで開催されている欧州呼吸器学会(ERS: European Respiratory Society)の年次総会で発表されている。詳細はプレスリリースへhttp://www.novartis.co.jp/news/2008/pr20081007_02.html

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喘息治療配合剤「アドエア」の長期投与が可能に 30日分をおさめた60ブリスター製剤を新発売

グラクソ・スミスクライン株式会社は、喘息治療配合剤「アドエア」(サルメテロールキシナホ酸塩・フルチカゾンプロピオン酸エステル ドライパウダーインヘラー)の発売から1年が経過し、7月1日から長期投与が可能になるのに伴い、2週間分の薬剤(28ブリスター)をひとつの吸入器具におさめた従来の製剤に加え、30日分の薬剤をおさめた60ブリスター製剤を7月4日に発売すると発表した。「アドエア」は、気管支拡張作用を持つ長時間作用性吸入β2刺激薬(サルメテロールキシナホ酸塩)と抗炎症作用を持つ吸入ステロイド薬(フルチカゾンプロピオン酸エステル)の配合剤。詳細はプレスリリースへhttp://glaxosmithkline.co.jp/press/press/2008_07/P1000491.html

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粘液溶解薬カルボシステインが、COPDの増悪予防に有効

粘液溶解薬であるカルボシステインが、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の増悪の予防に有効なことが、中国で実施された臨床試験で明らかとなった。COPDは気道制限を特徴とし、粘液過剰分泌、酸化ストレス、気道炎症など多くの構成因子を有する。カルボシステインは、喀痰を伴う呼吸器疾患の治療に広く用いられる粘液溶解薬のひとつであり、抗炎症作用および抗酸化作用を持つためCOPDの増悪の抑制に有効な可能性があるという。広州医科大学第一病院広州呼吸器疾患研究所のJin-Ping Zheng氏らの報告で、Lancet誌2008年6月14日号に掲載された。中国の22施設から709例が登録された二重盲検プラセボ対照無作為化試験PEACE試験は二重盲検プラセボ対照無作為化試験であり、2005年1~9月に中国の22施設から709例が登録された。気管支拡張薬吸入後の1秒量(FEV1)と努力肺活量(FVC)の比(FEV1/ FVC)<0.7、FEV1の予測値が25~79%の場合にCOPDと診断し、年齢40~80歳、最近2年間に2回以上のCOPD増悪の既往歴を有し、試験前4週間以上は臨床的に病態が安定していた症例を適格例とした。症例は、カルボシステイン(1,500mg/日、1年間投与)あるいはプラセボを投与する群に無作為に割り付けられ、主要評価項目は1年増悪率とした。1例当たりの1年増悪回数が有意に低下354例がカルボシステイン群に、355例がプラセボ群に割り付けられた。1例当たりの1年増悪回数は、プラセボ群に比しカルボシステイン群で有意に低下した[1.01(SE 0.06) vs. 1.35(SE 0.06)、リスク比:0.75(95%信頼区間:0.62~0.92、p=0.004)]。カルボシステインの予防効果は、吸入ステロイドの併用、COPDの重症度、喫煙との間に有意な相関を認めなかった。また、有害事象は胃腸障害が4例、肺炎、上気道感染、疲労感、倦怠感がそれぞれ1例ずつ見られたが、耐用性は良好であった。Zheng氏は、「カルボシステインなどの粘液溶解薬は、COPDの中国人症例における増悪の予防に用いる価値のある治療法とみなすべき」と結論している。なお、本試験ではカルボシステインによるQOLの改善効果も確認されている。また、治療3ヵ月の時点ではプラセボとの間に有効性の差は見られなかったことから、COPDの増悪予防には長期投与が有効なことが示唆されるという。(菅野守:医学ライター)

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悪性胸膜中皮腫、化学療法のベネフィットはほとんど期待できないが…

積極的症状コントロール(ASC)に化学療法を追加しても、悪性胸膜中皮腫の生存およびQOLにベネフィットはもたらされないことが、英国Leeds総合診療所のMartin F Muers氏らが実施した多施設共同無作為化試験(MS01)で明らかとなった。悪性胸膜中皮腫はほぼ致死的な疾患であり、現状では治療選択肢はほとんどない。これまでASCが推奨されてきたが、化学療法の役割についてはコンセンサスが得られていなかったという。Lancet誌2008年5月17日号掲載の報告。ASC単独とASCに2種類の化学療法レジメンを追加する3群を比較MS01試験には、2001年9月~2006年7月に英国の76施設およびオーストラリアの2施設から悪性胸膜中皮腫409例が登録され、以下の3群に無作為に割り付けられた。ASC単独群(136例):ステロイド薬、鎮痛薬、気管支拡張薬、緩和的放射線照射などを実施、ASC+MVP群(137例):ASCに加えマイトマイシンC 6mg/m2+ビンブラスチン6mg/m2+シスプラチン50mg/m2の3週ごとの投与を1コースとして4コース施行、ASC+V群(136例):ASCに加えビノレルビン30mg/m2を週1回、12週間投与。無作為割り付けはPS(WHO)、組織型、施設により層別化した。フォローアップは無作為割り付け後から3週ごとに21週行い、その後は8週ごとに実施した。症例登録の進捗が遅かったため、主要評価項目である全体の生存率については2つの化学療法併用群を統合してASC単独群と比較した。探索的な解析ではビノレルビンによる生存ベネフィットの可能性示唆解析時には393例(96%)が死亡していた[ASC単独群:132例(97%)、ASC+MVP群:132例(96%)、ASC+V群:129例(95%)]。ASC単独と比較してASC+化学療法の生存ベネフィットは大きくなく、有意差な差は認めなかった(ハザード比:0.89、95%信頼区間:0.72~1.10、p=0.29)。生存期間中央値はASC単独群が7.6ヵ月、ASC+化学療法群は8.5ヵ月であった。探索的な解析では、ASC+V群の生存期間中央値は9.5ヵ月であり、ASC単独に比べ有意差はないものの生存への寄与が示唆された(0.80、0.63~1.02、p=0.08)。ASC+MVP群の生存ベネフィットを示すエビデンスは得られなかった(0.99、0.78~1.27、p=0.95)。事前に設定されたQOLに関する4つのサブスケール[身体機能、疼痛、呼吸困難、全般的健康状態(global health status)]は、治療開始から6ヵ月間のいずれの時点の評価でも各群間に差は見られなかった。Muers氏は、「悪性胸膜中皮腫の管理では、ASCに化学療法を追加しても生存およびQOLに有意なベネフィットはもたらされない」と結論したうえで、「探索的な解析の結果により、1つの治療選択肢としてビノレルビンにシスプラチンやペメトレキセドを併用するアプローチは試みる価値があることが示唆されるが、他の多くの癌と同様に、悪性胸膜中皮腫の場合も新規抗癌剤や分子標的薬がもっとも有望かもしれない」と考察している。(菅野守:医学ライター)

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肺の生活習慣病COPD

2007年10月23日、COPD(慢性閉塞性肺疾患)治療薬スピリーバ承認取得3周年を機に、発売元である日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社/ファイザー株式会社が日本医科大学呼吸器内科教授、同大学呼吸ケアクリニック所長の木田厚瑞氏(写真)およびCOPD患者ご夫妻を迎え、記念記者会見を開いた。講演および会見の内容を「肺の生活習慣病COPD」、「多彩な併存症を持つ全身性疾患であるCOPD」、「COPD患者の生の声」の3回に分けて掲載する。わが国の喫煙率は高く、主に喫煙を原因とするCOPDは、まさしく「肺の生活習慣病」である。COPDは世界の死亡原因第4位に挙げられ(*1)、わが国でも2000年に死因の第10位に初めて登場した(*2)。木田氏によると、COPDは初めに断続的な咳、痰が生じ、やがて息切れの出現、息切れの増悪を経て、呼吸困難のため在宅酸素療法に頼り、死亡する経過を辿る。特に進行は非常に緩徐であるため、歳のせいなどと誤解され、医師も、患者も気づかないことが多い。そのため、わが国の推定COPD患者が530万人いるにもかかわらず(*3)、実際に22.3万人しか治療を受けていない(*4)。またCOPDが進行すると、患者のQOLが大きく低下し、運動能力が落ち、やがて寝たきりとなり、大きな問題となる。一方、COPDは急性増悪と呼ばれる急激な症状の悪化が繰り返し起こり、COPDの進行を助長させる恐れがある。中等症以上の患者は急性増悪が起きると、多くの場合は入院治療が必要となり、その費用は1回平均69万円で、医療費を考えても早期な診断と治療が望ましい。木田氏は、COPDの診療には、基幹病院とプライマリ・ケアの医療連携が必要と力説した。さらに、木田氏はCOPDが喘息と誤診されることがしばしばあるが、両者の発症原因はまったく異なる疾患で、異なった治療が必要と説明した。3年前、1日1回吸入する抗コリン薬であるスピリーバ(チオトロピウム)の登場で、COPD患者のQOLを大きく改善することが可能になった。その主な治療効果は、気管支拡張効果により、息切れ回数の減少、身体活動の向上、急性増悪の軽減をもたらす。また抗炎症作用によって、全身性炎症反応を阻害することも考えられる。最後に、木田氏はCOPDが治療できる病気、予防できる病気とのWHOのメッセージを紹介し、COPD治療の必要性を訴えた。(ケアネット 呉 晨)

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COPDのリスク因子、加齢・喫煙の寄与は明らか、他の因子も

慢性閉塞性肺疾患(COPD)は罹患率、死亡率とも世界規模で上昇している。COPDによる将来的な負担を予測し、主要なリスク因子を見定め、関連健康サービスの供給計画を立案するには、その発症状況を正確に把握する必要がある。 アメリカ・オレゴン健康科学大学のA. Sonia Buist氏らは、BOLD(The Burden Of Obstructive Lung Disease)試験においてCOPDの有病率とそのリスク因子を評価し、国ごとの発症状況の変動を調査した。9月1日付Lancet誌の報告から。世界12地域からの対象を解析2006 年12月31日の時点で世界12地域から登録された40歳以上の9,425人が対象となった。気管支拡張薬投与後のスパイロメトリー検査と呼吸器症状に関する質問票、一般健康状態、COPDリスク因子の曝露状況に関するデータを解析した。COPDの診断はGOLDの病期判定基準に準拠して行った。ロジスティック回帰分析を用いて10歳ごと(40~49、50~59、60~69歳、70歳以上)および10 pack-year(pack-year:1日の喫煙本数/20本×喫煙年数)ごとのCOPDの有病率の増加に関して補正オッズ比(OR)を算出し、メタ解析により、各リスク因子についてプールされた推定値を算出した。加齢、喫煙状況のほかにもリスク因子が存在stage II以上のCOPDの全体の有病率は10.1%であり、男性では11.8%、女性では8.5%であった。stage II以上のCOPDに関する全体のORのプール推定値は10歳ごとに1.94(95%信頼区間1.80-2.10)増加した。地域特異的な10 pack-yearのORは女性で有意差が見られたが、男性では認めなかった(それぞれp=0.012、p=0.743)。Buist 氏は、これらの結果を「今回の国際的な研究においてスパイロメトリーで診断したCOPDは、典型的な既報のデータに比べ病期が進行していた。加齢および喫煙状況がCOPDの発症に強く寄与していたが、地域、加齢、性別、喫煙状況による有病率の変動を十分には説明できず、他の重要な因子の存在が示唆された」と総括している。また、「世界的な人口の高齢化とともに、禁煙は目標としての緊急性が増大しているが、COPDの促進因子をよりよく理解するには、地域ごとの最善の予防対策の構築に向けて地域の公衆衛生行政を支援することが重要」と指摘している。(菅野 守:医学ライター)

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