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24)ディスクヘラー(フルタイド、セレベント)【手順編】【吸入薬使い方ガイド】

※上の画像をクリックすると別のウィンドウにて「環境再生保全機構」の動画ページが開きます。■今回の内容今回は、ディスクヘラー(フルタイド、セレベント)の吸入手順を説明します。手順としては、カバーを外し、白いトレーを引き出す→トレーを取り外し、穴に合わせてディスクを乗せる→トレーを本体に押し込む→本体を平らに持ち、フタを垂直に立て、ブリスターに穴を開ける→フタを閉じる→呼吸を整え、ゆっくり十分に息を吐く→吸入口をしっかりくわえる→下を向かず、背筋を伸ばし、勢いよく深く吸う(そのとき舌を下げて喉の奥を広げる)→吸入器をはずし、口を閉じ3~5秒間息を止め、薬剤を定着させる→鼻からゆっくり息を吐く→うがいをする(口中3回、喉の奥3回)→使い終わった薬をトレーから外し、捨てる→トレーを戻し、カバーを閉める。●主な製剤(2015年3月時点のデータ)ディスクヘラー(フルタイド、セレベント)

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プライマリケアでの喘息管理、ICS/LABAでの比較

 喘息は、世界中で3億人以上が罹患する一般的な疾患である。これまでに、英国のプライマリケアでの喘息患者を対象に実施されたAsthma Salford Lung Study(喘息SLS)で、吸入ステロイド薬+長時間作用性吸入β2刺激薬(ICS/LABA配合薬)を含む標準治療の継続に比較し、1日1回のフルチカゾンフランカルボン酸エステル/ビランテロール(商品名:レルベア、以下FF/VI)を開始する治療が喘息コントロールをより改善することが示されている1)。 今回、喘息SLSの副次的解析として、ベースラインでフルチカゾンプロピオン酸エステル/サルメテロール(商品名:アドエア、以下FP/Salm)を継続していたサブセットを対象に、FF/VI開始群とFP/Salm群の相対的有効性を検討した。その結果、プライマリケア環境下にある喘息患者において、FF/VIを開始するほうが、FP/Salmを継続するよりも、喘息のコントロールおよび健康関連QOLの改善、喘息増悪の軽減において、有意に優れていることが示唆された。なお、重篤な有害事象(SAE)に顕著な差はなかった。The Journal of Asthma誌オンライン版2018年7月4日号に掲載。 本試験では、喘息SLSの対象となった18歳以上の喘息患者4,233例のうち、試験以前からFP/Salmを継続している1,264例について、FF/VI(100[200]/25μg)開始群646例と、FP/Salm継続群618例に無作為に割り付けられた。このうち978例は、喘息コントロールテスト(ACT)スコアのベースラインが20未満であり、主要有効性解析(PEA)集団に組み込まれた。ACT、喘息QOL質問票(AQLQ)、職業生産性および活動障害に関する喘息質問票(WPAI)、重症度の増悪、サルブタモール吸入器の処方数、およびSAEを、12ヵ月間の治療期間を通して記録した。 主な結果は以下のとおり。・主要な有効性解析では、24週目のPEA集団において、ACT総スコアが20以上かつ/またはベースラインから3以上改善した患者の割合は、FP/Salm群の56%(n=253)に対し、FF/VI群では71%(n=323)と有意に高かった(オッズ比[OR]:2.03、95%信頼区間[CI]:1.53~2.68、p<0.001)。このベネフィットは、PEA集団の全測定時点にわたって一貫していた。・同様の結果が全集団において24週目に観察され、FP/Salm群の59%(n=335)に対し、FF/VI群で73%(n=431)であった(OR:1.94、95%CI:1.51~2.50、p<0.001)。このベネフィットは、全母集団の全測定時点にわたって一貫していた。・52週目の全集団において、AQLQ総スコアがベースラインから0.5ポイント以上変化した患者の割合は、FF/VI群では56%(n=325)、FP/Salm群では46%(n=258)と、FF/VI群のほうが有意に高かった(OR:1.70、95%CI:1.32~2.19、p<0.001)。・WPAIによって評価された喘息による活動性障害、年間喘息増悪率、サルブタモール吸入器の処方数においても、FP/Salm群に比べてFF/VI群で有意なベネフィットが示された。・SAEの評価では、肺炎が各治療群で6例、死亡は4例(FF/VI群:2例、FP/Salm群:2例)であった。これらの死亡と治験薬との因果関係は否定された。■参考1)Woodcock A, et al. Lancet. 2017;390:2247-2255.

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21)レスピマット(スピリーバ)/吸入方法【解説編】【吸入薬使い方ガイド】

※上の画像をクリックすると別のウィンドウにて「環境再生保全機構」の動画ページが開きます。■今回の内容今回は、レスピマット(スピリーバ)の吸入手順を解説します。手順としては、キャップをつけたまま、本体下部をカチッと音がするまで180度回転させる→キャップを開けて、空気口をふさがないように持つ→呼吸を整え、ゆっくり十分に息を吐く→吸入口を隙間なくくわえる→下を向かず、背筋を伸ばし、親指で噴射ボタンを押すのと同時に、普通の呼吸で深く吸う(そのとき舌を下げて喉の奥を広げる)→吸入器をはずし、口を閉じ3~5秒間息を止め、薬剤を定着させる→鼻からゆっくり息を吐く→2回以上の指示がある場合は、呼吸を整えてからもう一度はじめから繰り返す→吸入口を清浄し、キャップを閉める→うがいをする(口中3回、喉の奥3回)。※注意するポイント前準備で、カートリッジ挿入前に回転させないようにしましょう誤って回転させてしまった場合、一度噴射ボタンを押しましょう回転させる力がない場合、補助する器具があります180度以上、いっぺんに回さないようにしましょう前準備を除いて30回分(60噴射分)入っており、なくなり次第ロックがかかり回転できなくなります1週間以上使用しなかった場合は1回、3週間以上だと4回、下に向けて噴射して確認しましょう3か月以上経過したものは使えないので破棄し、新しいものと取り換えましょう●主な製剤(2015年3月時点のデータ)レスピマット(スピリーバ)

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20)レスピマット(スピリーバ)/吸入方法【手順編】【吸入薬使い方ガイド】

※上の画像をクリックすると別のウィンドウにて「環境再生保全機構」の動画ページが開きます。■今回の内容今回は、レスピマット(スピリーバ)の吸入手順を説明します。手順としては、キャップをつけたまま、本体下部を180度回転させる→キャップを開けて、空気口をふさがないように持つ→呼吸を整え、ゆっくり十分に息を吐く→吸入口を隙間なくくわえる→下を向かず、背筋を伸ばし、親指で噴射ボタンを押すのと同時に、普通の呼吸で深く吸う(そのとき舌を下げて喉の奥を広げる)→吸入器をはずし、口を閉じ3~5秒間息を止め、薬剤を定着させる→鼻からゆっくり息を吐く→2回以上の指示がある場合は、呼吸を整えてからもう一度はじめから繰り返す→キャップを閉める→うがいをする(口中3回、喉の奥3回)。●主な製剤(2015年3月時点のデータ)レスピマット(スピリーバ)

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小児にも使えるスギ花粉症の減感作療法薬「シダキュア舌下錠」【下平博士のDIノート】第5回

小児にも使えるスギ花粉症の減感作療法薬「シダキュア舌下錠」今回は、「スギ花粉エキス舌下錠2,000JAU/5,000JAU(商品名:シダキュアスギ花粉舌下錠)」を紹介します。本剤は、国内で初めて成人のみならず小児においても使用可能となったスギ花粉症に対するアレルゲン免疫療法(減感作療法)薬です。本剤を継続することで、スギ花粉症の諸症状軽減や抗アレルギー薬の減量によるQOL改善などが期待できます。<効能・効果>スギ花粉症(減感作療法)の適応で、2017年9月27日に承認され、2018年6月29日より販売されています。減感作療法とは、アレルギー疾患の原因となるアレルゲンを少量から投与開始し、徐々に増量することで、アレルゲンに対する過敏性を減少させる治療法です。重症の気管支喘息患者では、本剤の投与により、喘息発作を誘発する恐れがあるため、投与することができません。なお、国内臨床試験において、小児(5~17歳)と成人(18~64歳)の有効性および安全性は同等であることが確認されています。<用法・用量>通常、投与開始後1週間は、シダキュアスギ花粉舌下錠2,000JAUを1日1回1錠、投与2週目以降は、5,000JAUを1日1回1錠、舌下にて1分間保持した後、飲み込みます。その後5分間は、うがいや飲食を控えるようにします。投与期間は3年以上が推奨されています。初回投与時は医師の監督のもと、投与後少なくとも30分間は安静な状態を保ち、ショックやアナフィラキシーなどが発現した際に救急処置ができるようにします(一般にI型のアレルギー反応は30分以内に発現するため)。なお、スギ花粉飛散時期は、アレルゲンに対する患者の過敏性が高まっている可能性が高いため、新たに投与を開始することはできません。<副作用>国内第II/III相臨床試験において、783例中394例(50.3%)に、臨床検査値異常を含む副作用が認められています。主な副作用は、口腔浮腫113例(14.4%)、咽頭刺激感112例(14.3%)、耳そう痒症98例(12.5%)、口腔そう痒症67例(8.6%)、咽喉頭不快感57例(7.3%)、口腔内不快感47例(6.0%)でした。なお、ショック、アナフィラキシーなどの重篤な副作用は報告されていません。<患者さんへの指導例>1.スギ花粉症の原因であるアレルゲンを長期間投与することで、体をアレルゲンに慣らし、アレルギー症状を和らげることができます。治療は、3年以上続ける必要があります。2.舌の下に置くと唾液で溶けてなくなりますが、薬の溶けた唾液はすぐに飲み込まず1分間舌の下に保持してください。飲み込んだ後、5分間はうがいや飲食を控えてください。3.錠剤は吸湿性があるため、服用直前までシートを開けないでください。4.シートから取り出す際は、裏のシートを剥がした後、爪を立てずに指の腹で押し出してください。取り出す際に割れてしまっても、全量を服用すれば問題ありません。5.口の中の違和感や口内炎、唇の腫れ、咽頭や耳にかゆみなどがあらわれた場合は、相談してください。6.お子さんが服用する場合は、飲み終わるまで目を離さないようにしてください。7.飲み忘れた場合、同日中に気付いたときは服用して構いませんが、1日空いてしまった場合、前日の用量から再開してください。<Shimo's eyes>減感作療法は、対症療法とは異なり、治癒あるいは長期寛解が期待できる治療方法です。原因アレルゲンを投与する治療法であるため、服用中はショックやアナフィラキシーの発現にとくに注意が必要です。従来、アレルゲンを皮下注射により取り込む皮下免疫療法が主流でしたが、2014年にはスギ花粉エキス舌下液(商品名:シダトレンスギ花粉舌下液)が発売され、舌下免疫療法が開始されました。皮下免疫療法と比べ、2日目からは自宅で服薬可能で、長期に渡る定期通院が不要になること、注射による痛みなく治療できることなどから、患者さんの負担軽減につながりました。本剤は、舌下液の問題点を改良したものと言えます。錠剤になったことで扱いやすくなり、かつ舌下の保持時間が2分間から1分間に短縮され、煩雑だった増量期間も開始1週間後の1段階のみになるなど、服用方法が簡便になりました。また、保管方法も、冷所から室温になったので、出張や旅行がある患者さんにとってはとくに喜ばしいことでしょう。本剤は、維持期の投与量が舌下液の2,000JAUよりも高力価の5,000JAUになったため、高い有効性が期待できます。よって、舌下液から本剤への切り替えが想定されますが、その場合も初回投与として扱われますので、注意が必要です。なお、本剤は新有効成分含有医薬品として承認を受けているので、2019年4月末までは、1回の処方につき14日分までの処方日数制限があります。本剤は、講習会やeラーニングなどの受講を修了し、鳥居薬品株式会社の製品適正使用eラーニング受講およびeテスト合格を経て登録された医療機関・医師のみが処方可能です。薬剤師は、本剤の処方せんを受け取ったとき、必ず処方医が「受講修了医師」であることを、登録医師確認窓口で確認しなくてはなりません。また、患者に交付されている「患者携帯カード」の記載内容について、確認を行う必要があります。

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喘息管理におけるLABAの安全性は?/NEJM

 長時間作用性β2刺激薬(LABA)+吸入ステロイド薬(ICS)併用療法は、ICS単独と比較して、重篤な喘息関連イベントリスクを有意に高めることはなく、また喘息発作が有意に少ない結果であったことが、米国・ウィスコンシン大学マディソン校のWilliam W. Busse氏らによる、4試験の統合メタ解析の結果、示された。喘息管理におけるLABAの安全性の懸念は、死亡リスクの増加が認められた市販後大規模調査で初めて認識された。そこで米国医薬品局(FDA)は2010年に、販売4社(アストラゼネカ、グラクソスミスクライン、メルク、ノバルティス)に対して、思春期(12~17歳)および成人患者を対象としたLABA+ICS vs.ICS単独の安全性に関する前向き無作為化試験の実施を命じていた。NEJM誌2018年6月28日号掲載の報告。LABA+ICS vs.ICS単独の4試験の結果を統合メタ解析 試験実施に際して製造業者は、FDAと協力して、最終的に独立合同監視委員会が4試験の統合解析(とくに主要アウトカムおよび副次アウトカムの評価)が行えるように、試験方法を調整していた。なお、アストラゼネカ、グラクソスミスクライン、メルク各社による3試験は完了し結果がそれぞれ発表されたが、ノバルティスによる試験は、同社が該当の薬剤を米国市場から撤退させたため(安全性が理由ではない)中途で終了となった。 Busse氏ら研究グループは、それら4試験に登録された患者3万6,010例(アストラゼネカの試験1万1,693例、グラクソスミスクライン1万1,750例、メルク1万1,744例、ノバルティス823例)のデータを基に、LABA+ICS併用群とICS単独群を比較するintention-to-treat(ITT)解析を行った。主要アウトカムは、事前に規定した喘息に関連した挿管または死亡の複合であった。また、割り付け試験薬を1回以上服用した患者を包含した修正ITT集団のデータを基に事後の副次統合解析も行い、重篤な喘息関連イベント(入院、挿管、死亡の複合)を評価した。重篤な喘息関連イベントリスクや発作リスクの高いサブグループ患者の解析も行った。併用群の有益性が示される結果に ITT解析で4例の患者において、喘息関連の挿管が3件(2件がICS単独群、1件が併用群)、喘息関連の死亡が2例(いずれも併用群)あった。 重篤な喘息関連イベントの副次解析では、ICS単独群では108/1万8,006例(0.60%)、併用群は119/1万8,004例(0.66%)で、少なくとも1回以上の各イベントが認められた(併用群の相対リスクは1.09、95%信頼区間[CI]:0.83~1.43、p=0.55)。また、少なくとも1回以上の喘息発作を有したのは、ICS単独群2,100例(11.7%)、併用群1,768例(9.8%)であった(相対リスク:0.83、95%CI:0.78~0.89、p<0.001)。

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喘息など難治化の仕組み解明/千葉大学

 千葉大学大学院医学研究院の森本 侑樹特任助教、平原 潔准教授、中山 俊憲教授らのグループは、同大学医学研究院の耳鼻咽喉科・頭頸部腫瘍学 岡本 美孝 教授のグループと共同で、重症アレルギー疾患における組織線維化を誘導する新たな細胞集団を同定し、組織線維化の新規メカニズムを明らかにした。 喘息などのアレルギー疾患の治療には、吸入ステロイドによる対症療法が一般的だが、一度起きてしまった組織の線維化にはステロイドは無効であり、新たな治療法が求められている。 本研究グループは、タンパク質Amphiregulinを特異的に産生する病原性記憶T細胞を同定した。Amphiregulinは、上皮成長因子(EGF)受容体を介して炎症性好酸球を誘導し、炎症性好酸球は、細胞外基質Osteopontinを多量に産生し、組織の線維化を直接誘導することを見出した。線維化を引き起こしたマウスへEGF受容体阻害薬を投与したところ、組織の線維化が改善することがわかった。 近年日本で増加しており、国の難病指定を受けている好酸球性慢性副鼻腔炎(ECRS)患者の鼻ポリープ中に、Amphiregulin産生病原性記憶T細胞およびOsteopontin産生好酸球が多数確認され、同記憶型病原性T細胞がヒト好酸球性疾患の線維化を誘導する可能性があることが示された。以上のことから、Amphiregulin-Osteopontin経路は重症アレルギー疾患の組織線維化において画期的な治療薬のターゲットになると期待される。■参考千葉大学プレスリリース

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メポリズマブは難病EGPAの治療を変えるか

 2018年6月6日、グラクソスミスクライン株式会社は、同社のメポリズマブ(商品名:ヌーカラ)が、5月25日に好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(以下「EGPA」と略す)の適応追加の承認を取得したことを期し、本症に関するメディアセミナーを都内で開催した。 セミナーでは、EGPAの診療概要ならびにメポリズマブの説明が行われた。EGPAの診断、喘息患者に神経症状が現れたら要注意 セミナーでは、石井 智徳氏(東北大学 血液免疫病学分野 特任教授)が、「好酸球性多発血管炎性肉芽腫症について」をテーマにEGPAの最新の知見を講演した。 EGPAは、従来「チャーグ・ストラウス症候群」や「アレルギー性肉芽腫性血管炎」と呼ばれていたが、2012年より本症名で統一された。EGPAの病態は、気管支喘息というアレルギーの要素と種々の臓器障害という血管炎の要素を併せ持った疾患であり、自己抗体(ANCA:抗好中球細胞質抗体)が出現することで著明な好酸球増多を起こし、血管に炎症を起こすとされている。わが国のEGPAの患者像として、推定患者は約2,000例、男女比では女性が多く、その平均発症年齢は55歳、気管支喘息の既往歴のある患者が多いという。 EGPAの全身症状としては、発現頻度順にしびれ、感覚障害などの「神経症状」(93%)、発熱、関節痛などの「全身症状」(76%)、肺炎などの「呼吸器症状」(60%)、紫斑などの「皮膚症状」(51%)、糸球体腎炎などの「腎障害」(39%)、副鼻腔炎などの「耳鼻咽喉症状」(23%)、不整脈などの「心血管系症状」(16%)、腹痛、下痢などの「消化器症状」(16%)、強膜炎などの「粘膜・目の症状」(10%)が報告されている。 診断では、先行症状の喘息、副鼻腔炎などからEGPAに結びつけることは難しく、ANCAでは臨床検査を行っても陽性率が30~50%とあまり高くなく、診断では見逃されている可能性が高いという。石井氏は「EGPAの診断では、患者教育と丁寧な問診、診察が求められ、患者が『最近、喘息発作が多い』『手足がしびれた感じがする』『足首に力が入らず上げられない』など訴えた場合は、本症を疑うべき」と診療のポイントを示した。また、EGPAでは、血管炎による心血管症状が最も予後に関わることから息切れ、心電図異常、MRI・心エコー検査の結果に注目する必要があるという。メポリズマブによるEGPA治療でステロイドを減量できた EGPAの治療では、現在第1選択薬としてステロイドが使用されている。ステロイドは、効果が確実に、早く、広く作用する反面、易感染症、骨粗鬆症、糖尿病の発症、脂質異常症、肥満など副作用も多いことが知られている。そこでステロイド抵抗性例やステロイドの減量を目的に、シクロフォスファミド、アザチオプリン、タクロリムスなどの免疫抑制剤が治療で併用されている。効果はステロイドのように広くないものの、長期投与では副作用がでにくく、最初はステロイドで治療し、免疫抑制剤とともにステロイドを減量する治療も行われている。そして、今回登場した生物学的製剤メポリズマブは、好酸球を作るIL-5に結合することで、好酸球の増殖を阻止し、血管などでの炎症症状を抑える効果を持つ。副作用も注射部位反応はプラセボに比べて多いものの、重篤なものはないという。 最後に石井氏は、「本症のステロイド治療者で糖尿病を発症し、インスリン導入になった患者が、メポリズマブを使用したことでステロイドの減量が可能となり、インスリンを離脱、糖尿病のコントロールができるようになった」と具体的な症例を紹介するとともに、「メポリズマブは、好酸球浸潤のコントロールが難しかった症例への適用やステロイドが減量できなかった症例への効果が期待でき、さらに再燃を抑制し、寛解維持を目指すことができる」と希望を寄せ、講演を終えた。メポリズマブの製品概要 薬効分類名:ヒト化抗IL-5モノクロナール抗体 製品名:ヌーカラ皮下注 100mg 効能・効果:(追加として)既存治療で効果不十分な好酸球性多発血管炎性肉芽腫症 用法・容量:通常、成人にはメポリズマブ(遺伝子組換え)として1回300mgを4週間ごとに皮下に注射する

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吸入薬の使い方、効果発現の要は舌を下げること

 気管支喘息治療の根幹はステロイド薬を中心とした吸入薬であり、正しい吸入操作を行うことが必要不可欠である。今回、藤田保健衛生大学の堀口 高彦氏らは、吸入デバイスの操作だけでなく、目に見えない口腔内の状況、とくに舌に焦点を当て、吸入薬使用時の望ましい舌の位置について検討を行った。その結果、舌を下げて吸入薬の通り道をつくることで、より多くの薬剤が咽頭に到達し、気管方向に流入していく様子が確認できた。舌が吸入薬の流入経路の妨げにならないよう、舌と舌根をなるべく下げ、喉の奥を広げるよう患者に指導することが望ましい。今回の結果は、The journal of allergy and clinical immunology:In practice誌2018年5~6月号に掲載された。吸入薬は舌を下げたほうが有意に多くの粉末が咽頭領域に達する 本研究では、28~41歳の健康な非喘息のボランティア6人(男女各3人)を対象とした試験が行われた。プラセボがセットされた粉末吸入器(DPI:Dry Powder Inhaler)とエアゾール吸入器(pMDI:pressurized Metered Dose Inhaler)を用い、吸入する際に意識して舌を下げない場合と、吸入口の下に舌を入れ、舌を下げて喉の奥を広げるようにした場合の、気管への薬剤流入量の違いを内視鏡を用いて撮影した。撮影した動画から、最も多くの粉末もしくはエアロゾルが流入した静止画を抽出し、DPIでは粉末の量を、pMDIではエアロゾルの濃度を画像解析で比較した。 吸入薬使用時の望ましい舌の位置について検討した主な結果は以下のとおり。・DPI使用例において、選択された画像全体で粉末が占める割合は、舌を下げたとき60.7%だったのに対し、舌を下げていないときは17.4%だった。・DPI全使用例において、舌を下げたほうが有意に多くの粉末が咽頭領域に達した(p=0.0116)。・pMDI使用例において、選択された画像でエアロゾル濃度を示す平均ピクセル強度は、舌を下げたとき255だったのに対し、舌を下げていないときは154だった。・pMDI全使用例において、舌を下げたほうが有意に多くのエアロゾルが咽頭領域に達した(p=0.00165)。外来で患者に「ホー」吸入を説明する方法(1)「ホー」と歌うつもりで舌を下げてもらう。  舌と舌の根元を下げ、喉の奥の広がりを感じることができる。(2)息を十分に吐いた後、大きく息を吸って、気流が喉の奥(咽頭の後壁)に当たるのを感じたか患者に確認する。感じない場合は、繰り返し練習してもらう。(3)吸入練習器で音が鳴るか実践してもらう。 患者がこの技法を習得できれば、気管内への薬の送達が改善され、吸入薬の有効性を最大限に高めることができる。医療者は、外から見えない口腔内の状況まで考慮する必要があると考える。■関連記事吸入薬使い方ガイド

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ガイドライン普及で喘息死ゼロを目指す

 2018年5月28日、アストラゼネカ株式会社は、重症喘息に関するメディアセミナーを都内で開催した。本セミナーは、「重症喘息患者さんのQOL改善に貢献する重症喘息の個別化医療とは~生物学的製剤『ファセンラ(一般名:ベンラリズマブ)』発売に伴う新プログラムを発表~」をテーマに、2名の演者が講演を行った。ベンラリズマブでFEV1(1秒量)が回復し、肺年齢が若返る 初めに、堀口 高彦氏(藤田保健衛生大学医学部 教授)が、「生物学的製剤『ファセンラ』による重症喘息治療とは」をテーマに説明を行った。従来の喘息治療は、吸入薬でコントロールが不十分な場合、経口ステロイド薬を選択していた。しかし、経口ステロイド薬は全身性の副作用が多く、患者への負担が大きいというデメリットがあった。 今回、堀口氏は新規重症喘息治療薬のベンラリズマブを投与した8例の患者について紹介した。ベンラリズマブはIL-5受容体αに結合し、ADCC(抗体依存性細胞傷害)活性により、血中・気道の好酸球を除去する。投与した結果、すべての例で4週後に血中好酸球数がほぼ0まで減少し、FEV1改善例では、平均400ccほど増加した。また、ほぼすべての患者の喘息症状が改善し、日常生活において制限されていた活動(咳を気にして行けなかった映画鑑賞など)ができるようになったという。 同氏は、「喘息はポピュラーな疾患で、年齢幅も広い。しかし、重症喘息患者さんは毎日ゼイゼイ、ヒューヒューといった息苦しさと共に生活をしている。ベンラリズマブは高価だが、効果を考えると選択肢として必要。QOL・ADLの大幅な改善が期待できる」と語った。6月に「喘息予防・管理ガイドライン2018」発刊 次に、東田 有智氏(近畿大学医学部附属病院 病院長)が、「重症喘息個別化医療普及」について説明した。現在、厚生労働省が都道府県ごとにアレルギー疾患対策拠点病院の設置に向けて準備を行っている。診療の均てん化やステロイドの適正使用の推進が期待され、高額医療費の原因となる入院を防ぐ目的もある。また、東田氏は、「喘息予防・管理ガイドライン2018」を6月発刊に向け準備を行っており、「ガイドラインの普及により、喘息による死亡ゼロを目指す」と提言した。ベンラリズマブの作用機序は、今後、まだ完全には明らかになっていない喘息の病態解明にも繋がる可能性がある。 同氏は、「喘息治療において1番の問題は、地方には専門医が少ないこと。ガイドラインは非専門医のためのもので、普及することで重症喘息にも十分対応できるようになる。ベンラリズマブの位置付けは最高位のSTEP4。あくまでも吸入ステロイド薬による治療が優先される」と語った。 また、両氏は、喘息のコントロールにおいて、吸入薬を正しく使う重要性を強調した。とくに、下を向いて吸入することは、薬が肺の奥に届かない原因になるという。背筋を伸ばし顔を上げて、吸入口をくわえるときに舌を下げ、喉の奥を広げて吸入することでしっかりとした効果が得られる。 詳しくは、吸入薬使い方ガイドで紹介している。

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デュピルマブ、コントロール不良喘息にも有用/NEJM

 コントロール不良の喘息患者において、ヒト抗インターロイキン-4受容体αモノクローナル抗体のデュピルマブはプラセボと比較して、重度喘息増悪の頻度を減らし、肺機能および喘息コントロールを改善することが示された。米国・ワシントン大学のMario Castro氏らが、約1,900例の患者を対象に行ったプラセボ対照無作為化比較試験の結果で、NEJM誌オンライン版2018年5月21日号で発表した。デュピルマブ200mg・300mgを52週間隔週投与 研究グループは、12歳以上のコントロール不良の喘息患者1,902例を、無作為に2対2対1対1の割合に4群に分け、デュピルマブ200mg・300mgまたは同量の各プラセボを2週ごとに、それぞれアドオン皮下注で52週間にわたり投与した。 主要エンドポイントは、重度喘息増悪の年間発生頻度と、気管支拡張薬使用前の1秒量(FEV1)でベースラインから12週後の変化とした。副次エンドポイントは、好酸球300/mm3カウント以上の被験者の喘息増悪発生頻度とFEV1だった。重度喘息増悪の年間発生頻度、デュピルマブ200mg群はプラセボ群の47.7%減 重度喘息増悪の年間発生頻度は、デュピルマブ200mgを2週ごとに投与する群で0.46(95%信頼区間[CI]:0.39~0.53)だったのに対し、同一投与の適合プラセボ群では0.87(同:0.72~1.05)で、デュピルマブ群がプラセボ群より47.7%低かった(p<0.001)。12週時点のFEV1は、デュピルマブ200mg群がプラセボ群と比べて0.32L増大した(p<0.001)。これらの結果は、デュピルマブ300mg群でも同様に認められた。 好酸球300/mm3カウント以上の被験者の重度喘息増悪の年間発生頻度は、デュピルマブ200mg群で0.37(95%CI:0.29~0.48)だったのに対し、プラセボ群では1.08(同:0.85~1.38)で、デュピルマブ群がプラセボ群より65.8%(同:52.0~75.6)低かった。同様の結果は、デュピルマブ300mg群でも認められた。 好酸球増加が認められたのは、デュピルマブ群52例(4.1%)、プラセボ群4例(0.6%)だった。

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17)エリプタ(レルベア、アノーロ)【解説編】【吸入薬使い方ガイド】

※上の画像をクリックすると別のウィンドウにて「環境再生保全機構」の動画ページが開きます。■今回の内容今回は、エリプタ(レルベア、アノーロ)の吸入手順を解説します。手順としては、片手で本体を持ち、もう片手でカバーを開ける→小窓の数字を確認します→呼吸を整え、ゆっくり十分に息を吐く→吸入口をしっかりくわえる(口角に隙間がないように)→下を向かず、背筋を伸ばし、勢いよく深く吸う(そのとき舌を下げて喉の奥を広げる)→吸入器をはずし、口を閉じ3~5秒間息を止め、薬剤を定着させる→鼻からゆっくり息を吐く→吸入口を清浄し、カバーを閉める→うがいをする(口中3回、喉の奥3回)。※注意するポイント吸った時に少し甘みを感じても、問題はありません吸い込みの練習はトレーナーを使用し、主治医に確認してもらいましょう小窓に残りの回数が表示され、1回吸入するごとに減りますカウンターが0になってもカバーは動きますが、新しいものと取り換えるようにしましょう●主な製剤(2015年3月時点のデータ)エリプタ(レルベア、アノーロ)

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軽症喘息へのSMART療法 vs.ブデソニド維持療法/NEJM

 軽症喘息患者に対する52週間の治療において、ブデソニド・ホルモテロール配合剤(商品名:シムビコート)の頓用はブデソニド維持療法(1日2回投与)と比較し、重症喘息増悪の発生という点では非劣性が認められたが、症状の改善は劣っていた。ただし、ブデソニド・ホルモテロール頓用患者では吸入ステロイド薬(ICS)の使用量がブデソニド維持療法患者の約4分の1であった。南アフリカ・ケープタウン大学のEric D. Bateman氏らが、軽症喘息患者を対象とした多施設共同無作為化二重盲検第III相試験「Symbicort Given as Needed in Mild Asthma 2(SYGMA2)」試験の結果を報告した。軽症喘息患者は、発作時に短時間作用性β2刺激薬(SABA)の吸入を用いることが多く、ICS維持療法のアドヒアランスは不良である。即効性吸入β2刺激薬+ICSの頓用は、こうした患者の症状改善や増悪リスクに対する新たな治療法となる可能性があった。NEJM誌2018年5月17日号掲載の報告。25ヵ国354施設の軽症喘息患者約4,200例で重症増悪発生率を評価 研究グループは、2014年11月~2017年8月に、日常的なICS定期投与の適応がある12歳以上の軽症喘息患者4,215例を、ブデソニド・ホルモテロール頓用群(プラセボ1日2回投与+ブデソニド・ホルモテロール[ブデソニド200μg、ホルモテロール6μg]頓用)(2,089例)と、ブデソニド維持療法群(ブデソニド200μg1日2回投与+テルブタリン0.5mg頓用)(2,087例)に無作為に割り付け、52週間治療を行った。 主要評価項目は、重症喘息増悪の年間発生率で、ブデソニド・ホルモテロール頓用群のブデソニド維持療法群に対する非劣性マージンは1.2と規定した。副次評価項目として、喘息症状に関し、5項目の喘息管理質問票(Asthma Control Questionnaire-5:ACQ-5、0点[障害なし]~6点[最大の障害])で評価した。重症増悪発生率は非劣性、症状コントロールは劣性 重症増悪の年間発生率は、ブデソニド・ホルモテロール頓用群0.11(95%信頼区間[CI]:0.10~0.13)、ブデソニド維持療法群0.12(95%CI 0.10~0.14)であり、ブデソニド・ホルモテロール頓用群は重症増悪という点ではブデソニド維持療法に対して非劣性であることが認められた(率比:0.97、95%信頼上限1.16)。 ICSの1日使用量の中央値は、ブデソニド・ホルモテロール頓用群(66μg)が、ブデソニド維持療法群(267μg)よりも低値であった。初回増悪までの期間は、両群で類似していた(ハザード比:0.96、95%CI:0.78~1.17)。ACQ-5のベースラインからの改善は、ブデソニド維持療法のほうが優れていた(群間差:0.11、95%CI:0.07~0.15)。

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軽症喘息へのSMART療法は有益か/NEJM

 軽症喘息患者に対し、ブデソニド・ホルモテロール配合剤(商品名:シムビコート)の頓用は、テルブタリン頓用に比べ、喘息コントールおよび増悪リスクの軽減に優れることが示された。一方、ブデソニド維持療法(ブデソニド+テルブタリン頓用)に対しては、電子ダイアリーの週評価でみた喘息コントロールは劣性であることが示され、増悪リスクの軽減は同程度だった。増悪の頻度は、ブデソニドを含む2療法が、テルブタリンよりも低下した。また結果として、ブデソニド・ホルモテロール頓用群がブデソニド維持療法群よりも、グルココルチコイドの曝露が大幅に少なかった。カナダ・マックマスター大学のPaul M. O’Byrne氏らが、3,849例を対象に行った、52週の二重盲検無作為化比較試験の結果で、NEJM誌2018年5月17日号で発表した。52週間追跡し、電子ダイアリーによる喘息コントロール良好の週の割合を比較 研究グループは、軽症喘息患者において、吸入ステロイド+短時間作用性β2刺激薬の頓用が、従来治療戦略に代わりうる可能性を検討した。 被験者は、12歳以上の軽症喘息患者3,849例。同グループは被験者を無作為に、テルブタリン群(プラセボ[2回/日]+テルブタリン[0.5mg、頓用])、ブデソニド・ホルモテロール群(プラセボ[2回/日]+ブデソニド・ホルモテロール配合剤[ブデソニド200μg+ホルモテロール6μg、頓用])、ブデソニド維持療法群(ブデソニド[200μg、2回/日]+テルブタリン[0.5mg、頓用])の3群に分け、いずれかを投与した。 試験の主要目的は、喘息症状スコアなどに関する電子ダイアリーを基に、喘息コントロールが良好だった週の割合について、ブデソニド・ホルモテロール頓用のテルブタリン頓用に対する優越性を検証することだった。コントロール良好、LABA/ICS群34.4%、SABA群31.1%、ICS+SABA群44.4% 被験者のうち3,836例(テルブタリン群1,277例、ブデソニド・ホルモテロール群1,277例、ブデソニド維持療法群1,282例)について、全解析と安全性データ分析を行った。 喘息コントロールが良好だった週の割合をみると、テルブタリン群31.1%に対し、ブデソニド・ホルモテロール群は34.4%と、その優越性が示された(オッズ比[OR]:1.14、95%信頼区間[CI]:1.00~1.30、p=0.046)。一方で、ブデソニド維持療法群の同割合は44.4%と、ブデソニド・ホルモテロール群の劣性が示された(OR:0.64、同:0.57~0.73)。 また重度増悪の年間発生頻度は、テルブタリン群が0.20、ブデソニド・ホルモテロール群が0.07、ブデソニド維持療法群が0.09だった。率比は、ブデソニド・ホルモテロール群対テルブタリン群が0.36、ブデソニド・ホルモテロール群対ブデソニド維持療法群が0.83だった。 なお、ブデソニド・ホルモテロール群の1日ステロイド定量噴霧吸入量の中央値は57μgで、ブデソニド維持療法群340μgの17%にとどまった。

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16)エリプタ(レルベア、アノーロ)【手順編】【吸入薬使い方ガイド】

※上の画像をクリックすると別のウィンドウにて「環境再生保全機構」の動画ページが開きます。■今回の内容今回は、エリプタ(レルベア、アノーロ)の吸入手順を説明します。手順としては、片手で本体を持ち、もう片手でカバーを開ける→小窓の数字が減ったのを確認する→呼吸を整え、ゆっくり十分に息を吐く→吸入口をしっかりくわえる→下を向かず、背筋を伸ばし、勢いよく深く吸う(そのとき舌を下げて喉の奥を広げる)→吸入器をはずし、口を閉じ3~5秒間息を止め、薬剤を定着させる→鼻からゆっくり息を吐く→吸入口を清浄し、カバーを閉める→うがいをする(口中3回、喉の奥3回)。●主な製剤(2015年3月時点のデータ)エリプタ(レルベア、アノーロ)

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難治アトピー、10年ぶりの新薬に期待

 2018年5月8日、サノフィ株式会社は、アトピー性皮膚炎(AD)に関するメディアセミナーを都内で開催した。本セミナーでは、「アトピー性皮膚炎初の生物学的製剤『デュピクセント(一般名:デュピルマブ)』治験のご報告~深刻な“Disease Burden”(疾病負荷)からの解放をめざして~」をテーマに、AD患者の経験談、新薬が拓くAD改善の可能性、治療の展望などが語られた。重症AD患者の日常生活を取り戻す可能性 田中 暁生氏(広島大学大学院 医歯薬保健学研究科 皮膚科学 准教授)が、AD標準治療とその課題、デュピルマブの投与症例などについて説明した。 ADは、皮膚バリア破壊、免疫・アレルギー異常、かゆみの3病態が互いに連動しているが、保湿剤、ステロイド外用薬、免疫抑制薬、内服抗ヒスタミン薬を適切に使用することで、重症を含めたほとんどの患者は、寛解状態(湿疹のない状態)を得ることが可能であるという。しかし、これらの治療は、毎日広範囲に外用薬を塗布するなど負担が大きいため、間違った使い方や誤解により効果が得られない例が存在する点を田中氏は指摘した。 デュピルマブは、ADの代表的な3つの病態すべてに作用し、症状を改善する可能性がある。治験を担当した同氏は、「デュピルマブにより疾患がコントロールされ、患者さんが今まで制限されていた日常生活を取り戻す症例を経験した。新たな治療選択肢の登場が、AD治療の歴史を変える転換点になることを期待する」と語った。ガイドラインを順守し、デュピルマブの適切な使用を 次に、佐伯 秀久氏(日本医科大学大学院 皮膚粘膜病態学 教授)が、デュピルマブの治験成績を説明し、AD治療における今後の期待などを述べた。 ADの評価尺度として、臨床徴候をスコア化したEASIが国際的に用いられている。国際共同第III相試験は、中等~重症の成人AD患者を対象に行われ、ステロイド外用薬(ストロング)との併用で、治療期間52週における、デュピルマブの有効性と安全性が検討された。その結果、16週時点でEASIスコアは平均80.1%低下し、その後52週まで維持された。副作用は注射部位反応、頭痛、アレルギー性結膜炎などが発現したが、重篤な有害事象は対照群と比較して、発生件数に大きな差は認められなかった(デュビルマブ群14例、対照群16例)。 デュピルマブは、2018年4月、最適使用推進ガイドラインが厚生労働省より策定され、投与対象の条件について具体的に定められている。佐伯氏は、「ADはまず標準治療をしっかり行うことが重要。デュピルマブは、重症難治例や、副作用などにより既存の薬剤を使用できない例などの、アンメットニーズを満たす薬剤として期待できる」と語った。 最後に両医師が、ADの病態は、良好な状態が長期間続くほど、その後の経過も良い傾向にあると示した。「適切な治療により症状が大きく改善され、維持できたら、徐々に薬を減らしたり、間隔を広げたりできる可能性は十分に見込めるので、AD患者は積極的に目的意識を持つことが重要」だと締めた。疾病負荷は良質なコミュニケーションで改善の可能性 ADは、増悪・寛解を繰り返す慢性疾患である。患者数の増加が続いており、2014年の総患者数は推計45万6,000人、その2~3割が中等症以上といわれている。2017年にサノフィ株式会社が行った意識調査によると、ADによる生活の質への影響は85.7%、精神面への影響は79.3%の患者が感じており、患者の疾病負荷への理解や認識は、症状改善のための大事なファクターと考えられる。 現在、治療はガイドラインに基づいて行われているが、医師とのコミュニケーションが不足しているほど、症状の改善・寛解の割合は低いままだったという。医師はこの現状を把握し、身体症状以外の負荷についてヒアリングを行うなど、患者の気持ちに寄り添ったコミュニケーションを心掛けていくことが求められる。 ADの新薬は、ここ10年間登場していなかった。デュピルマブは、従来とはまったく異なる作用機序を持つため、既存治療で効果不十分な中等~重症患者に、待ち望まれた新薬と言える。なお、同薬は現在、コントロール不良の気管支喘息に対する適応の追加を申請中。■参考サノフィ株式会社 プレスリリース認定NPO法人 日本アレルギー友の会■関連記事アトピー性皮膚炎に初の抗体医薬品発売

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重症喘息のステロイド量は軽~中等症の20.8倍

 わが国では約800万人が喘息に罹患していると推定され、そのうち5~10%が、治療にもかかわらず重症の喘息であるといわれている。アストラゼネカ株式会社は、データベースから重症喘息患者を調査した非介入研究(KEIFU研究)の結果を、第58回日本呼吸器学会学術講演会で発表した。 本研究は、株式会社日本医療データセンターが保有する約300万人の保険データベースにおいて、2014年4月~2015年3月の1年間に、吸入ステロイド薬、または吸入ステロイド薬と長時間作用性β2刺激薬の配合剤の、継続的な保険記録を有する対象1万579例を、「継続治療中の喘息患者」として実施された。保険請求記録から重症度およびコントロール状態を判定し、その後1年間の臨床経過との関連を検討した。 主な結果は以下のとおり。・対象のうち、重症喘息と判断される患者は7.8%(823例)だった。・対象のうち、コントロール不良な重症喘息と判断される患者は2.5%(267例)だった。・研究組み入れ後1年間において、コントロール不良な重症喘息患者(A)は、軽症から中等症喘息患者(B)と比較して、入院日数は4.9倍(A:B=0.375±1.625日/月:0.076±1.035日/月)、経口ステロイド薬処方量は20.8倍(同=99.9±155.4mg/月:4.8±31.3mg/月)だった。 本研究結果は、今後論文発表される予定。■参考アストラゼネカ株式会社 プレスリリース

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15)ディスカス(アドエア、フルタイド、セレベント)【解説編】【吸入薬使い方ガイド】

※上の画像をクリックすると別のウィンドウにて「環境再生保全機構」の動画ページが開きます。■今回の内容今回は、ディスカス(アドエア、フルタイド、セレベント)の吸入手順を解説します。手順としては、片手で本体を持ち、もう片手の親指をグリップに当て、「カチッ」と音がするまでスライドさせ、カバーを開ける→レバーをグリップの方向に「カチッ」と音がするまで押し下げる→残り回数のカウンターが1つ減り、吸入準備完了→呼吸を整え、ゆっくり十分に息を吐く→吸入口をしっかりくわえる(口角に隙間がないように)→下を向かず、背筋を伸ばし、勢いよく深く吸う(そのとき舌を下げて喉の奥を広げる)→吸入器をはずし、口を閉じ3~5秒間息を止め、薬剤の定着をはかる→鼻からゆっくり息を吐く→吸入口を清浄する(2回目を吸う場合はあとでよい)→「カチッ」と音がするまでカバーを閉める(2回目の指示あれば再度カバーを開けて、同様に吸入を繰り返す)→うがいをする(口中3回、喉の奥3回)。※注意するポイント吸った時に少し甘みを感じても、問題はありません吸い込みの練習はトレーナーを使用し、主治医に確認してもらいましょう小窓に残りの回数が表示され、1回吸入するごとに減りますカウンターが0になってもレバーは動きますが、使用しないようにしましょう●主な製剤(2015年3月時点のデータ)ディスカス(アドエア、フルタイド、セレベント)

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持続型気管支喘息におけるSMART療法について(解説:小林英夫 氏)-845

 本論文のSMART(single maintenance and reliever therapy)とは、吸入ステロイド薬(ICS)+長時間作用性β2刺激薬(LABA)の合剤を、定期治療にも喘息発作時の一時的対応のいずれにも用いる治療戦略の意で、すでに知られた略語である。なお、SMARTをSymbicort maintenance and reliever therapyの略とする記載もある。これはシムビコートに含まれるホルモテロールが、LABAではあるが即効性と用量依存性気管支拡張作用を有することから提唱されたもので、本邦では1日最大12吸入が保険適応を得ている。さて、喘息発作時の対応として短時間作用性β2刺激薬(SABA)を追加吸入することが標準治療となって久しい。SMARTの長所は、喘息発作時に日常管理薬1剤で対応可能なため、SABAを追加する対応と比してより簡便という点が挙げられる。簡便ではあっても効果はどうなのかという点を本論文は検証しており、SMART療法群で喘息増悪リスクが低かったと報告している。 従来から取り上げられているが、SMARTの欠点には患者が自由に薬剤の増減ができると誤認し、過剰増量、自己減量、喘息悪化でないときにも吸入してしまうといった注意点があり、導入時には十分な説明が必須である。筆者が同療法を導入する際には、自覚症状のみではなくピークフロー値も測定し、安定時の80%以上に回復しなければ早々に外来受診するよう指導している。また、日本で販売されているICS+LABA合剤ではシムビコート以外はSMART療法に適さないことにも注意しておきたい。 JAMA同一号には同一著者らからもう1つ喘息関連論文が掲載されている。そちらは長時間作用性抗コリン薬(LAMA)吸入の役割をメタ解析し、ICS単剤よりLAMA追加で喘息増悪リスクが低下すること、またICS+LABA吸入群と比しICS+LABA+LAMA吸入群はさらなる増悪低下を示さなかったと結論している。両論文に関してJAMA同号にeditorialが掲載されており、LABAとLAMAの位置付けと研究方法の問題点が解説されている。

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アトピー性皮膚炎に初の抗体医薬品発売

 サノフィ株式会社は、2018年4月23日、「既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎」を効能・効果とした、ヒト型抗ヒトIL-4/13受容体モノクローナル抗体製剤デュピルマブ(商品名:デュピクセント皮下注300mgシリンジ)を発売した。アトピー性皮膚炎治療薬として、初めての抗体医薬品である。 デュピルマブは、IL-4受容体αサブユニット(IL-4Rα)に特異的に結合し、Th2サイトカインであるIL-4およびIL-13の両シグナル伝達を阻害する、遺伝子組換えヒト型モノクローナル抗体である。臨床試験では、ステロイド外用薬の効果が不十分な中等~重症の成人アトピー性皮膚炎患者を対象に、ステロイド外用薬との併用療法または単独療法で、有効性と安全性が確認された。 アトピー性皮膚炎は、増悪・寛解を繰り返す、そう痒のある湿疹を主病変とする慢性炎症性疾患である。中等~重症例では、広範な発疹を特徴とし、持続する激しい難治性のかゆみ、皮膚の乾燥、亀裂、紅斑、痂皮、毛細血管出血を伴うことがある。かゆみは、患者にとって最も大きな負担であり、体力消耗、睡眠障害、不安や抑うつ症状の原因ともなり、生活の質に影響を及ぼす。デュピルマブは、既存の抗炎症外用薬で効果不十分なアトピー性皮膚炎患者への、新たな選択肢として期待されている。 デュピルマブは、安全装置付きプレフィルド・シリンジで、自己注射可能な1回使いきりの製剤。初回は600mg(2キット)、2回目以降は300mgを2週間隔で皮下注射する。薬価は8万1,640円。 原則として、抗炎症・保湿外用薬と併用で使用する。他のアレルギー性疾患を併発している場合、症状が急変する恐れがあるので、注意が必要となる。 現在、コントロール不良の気管支喘息に対する適応の追加申請中。■参考サノフィ株式会社 プレスリリース(PDFがダウンロードされます)

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