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気管支喘息バイブル 成人気管支喘息を診療するすべての人へ

成人気管支喘息で苦しむ患者さんをドンピシャの治療で救いたい医師に贈る!成人気管支喘息の診断から治療・管理までのすべてがわかる「フルコース」メニュー。もちろん「メインディッシュ」は、喘息治療薬の上手な使い方です!それぞれの患者さんに合った吸入薬(デバイス)の選び方は? pMDIかDPIのどちらが適切か、吸入回数や吸いやすさなどなどを考慮し、アドヒアランスを向上させるためのきめ細やかな工夫満載でお届けします。患者さんへの配慮にあふれた「倉原流喘息診療」のすべてがわかる1冊です。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。   気管支喘息バイブル成人気管支喘息を診療するすべての人へ 定価 4,800円 + 税判型 B5判/2色刷頁数 272頁発行 2016年4月著者 倉原 優(独立行政法人国立病院機構         近畿中央胸部疾患センター内科 )Amazonでご購入の場合はこちら

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重度喘息へのICS/LABAは安全かつ適正か?/NEJM

 持続性喘息の患者に対し、吸入ステロイド薬(ICS)フルチカゾンと長時間作用性β2刺激薬(LABA)サルメテロールの併用投与は、フルチカゾン単独投与に比べ、死亡や気管内挿管などの重度喘息イベントのリスクを増大しないことが示された。米国グラクソ・スミスクライン社のDavid A. Stempel氏らが、1万1,679例を対象に無作為化試験を行った結果、明らかにされた。増悪リスクは、併用投与群が単独投与群に比べ約2割低かったという。喘息治療における安全かつ適正なLABAの使用については、広く議論されている。先行する2つの大規模臨床試験では、重篤な喘息関連イベントリスクがLABAと関連している可能性が報告されていた。NEJM誌オンライン版2016年3月6日号掲載の報告より。26週間投与し、安全性、有効性を比較 研究グループは、12歳以上の持続性喘息患者1万1,679例を対象に、多施設共同無作為化二重盲検試験を行った。被験者を無作為に2群に分け、一方の群にはフルチカゾン+サルメテロールを(サルメテロール・フルチカゾン群)、もう一方にはフルチカゾンのみを(フルチカゾン単独群)、それぞれ26週間にわたり投与し、サルメテロール・フルチカゾンのフルチカゾン単独に対する非劣性を検証した。 被験者は、試験開始前1年以内に喘息の増悪が認められたが、直前1ヵ月間には認められなかった者を適格とした。また、これまでに生死に関わるほど重篤な喘息発作や、不安定喘息が認められた人は、被験者から除外された。 主要安全性評価項目は、死亡、気管内挿管、入院を要した初回重篤喘息イベント。主要有効性評価項目は、初回喘息増悪とした。1回以上の喘息増悪、フルチカゾン単独群10%に対しサルメテロール併用群8% 重度喘息イベントが認められたのは、被験者全体で67例(74件)だった。そのうち、サルメテロール・フルチカゾン群は34例(36件)、フルチカゾン単独群は33例(38件)と両群で同等であり、サルメテロール・フルチカゾンの安全性に関する非劣性が示された(ハザード比:1.03、95%信頼区間[CI]:0.64~1.66、p=0.003)。 喘息関連死はなく、喘息による気管内挿管を行ったのは、フルチカゾン単独群の2例のみだった。重度喘息増悪の発症リスクは、サルメテロール・フルチカゾン群がフルチカゾン単独群より21%低かった(ハザード比:0.79、同:0.70~0.89)。1回以上の喘息増悪が認められたのは、フルチカゾン単独群597/5,845例(10%)だったのに対し、サルメテロール・フルチカゾン群は480/5,834例(8%)だった(p<0.001)。

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結局、喘息に対するICS/LABAは安全なのか?(解説:倉原 優 氏)-496

 現在、喘息に保険適用のあるLABA(長時間作用性β2刺激薬)の吸入薬は、サルメテロール(商品名:セレベント)1剤のみである。ほかのLABAはCOPDに対して用いられる。いずれのLABAについても、喘息に対して単独で使用することは勧められない。これは、LABAの使用によって喘息の死亡リスクが上昇したとするメタアナリシスと、FDAのアラートに基づく1)2)。そのため、「喘息にLABAはダメなんだ」と、世界中の呼吸器内科医にインプリンティングされてしまった。 しかし、喘息界でICS/LABA(吸入ステロイド・長時間作用性β2刺激薬合剤)の合剤が台頭し、吸入薬にLABAが含まれていても安全に使用できることがわかった。毒性の上乗せはほとんど観察されなかったのである。むしろ、ICS単剤と比べて、臨床アウトカムは非常によかった。 「LABA単独はNG、ICS/LABAの合剤はOK」。こうした考えが、現在の喘息治療の主流であろう。ICS/LABAが本当に安全かどうかしっかり確かめましょう、というのがこの試験の目的である。 この研究は、フルチカゾン+サルメテロールの併用治療、あるいはフルチカゾン単独治療のいずれかに割り付けたランダム化比較試験である。プライマリ安全性エンドポイントは、初回の重篤な喘息関連イベントとされた。1万例以上の患者が登録され、併用群の重篤な喘息関連イベントのハザード比は当該非劣性基準を満たした。つまり、ICS/LABAの併用は、ICS単剤と比較して懸念しなくてよいということである。また、重度の喘息発作のリスクは単独群よりも併用群で低かった。 非劣性マージンが本当に妥当なラインかどうか溜飲が下がらない気持ちもあったが、少なくともICS/LABAを使用することで明らかな悪影響はないだろう、と結論付けられた。現在の喘息治療で、治療ステップ2以上、とりわけ3以上のケースではICS/LABAは不可欠である。高用量ICSを長期に投与していると、どうしても合併症の懸念が生じる。日本では、ICS/LABAはあまり懸念されずに処方されている現状があるが、慎重な見方をしていた欧米の呼吸器内科医にとっては、ICS/LABAの処方を増やすきっかけになることだろう。

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子供の喘息・アトピーは在胎期間に関連する

 子供の喘息とアトピー性皮膚炎は、在胎期間と関係するのだろうか。フィンランドで、早産児における7歳までの喘息治療および喘息とアトピー性皮膚炎による入院の必要性を評価する目的で、全国登録研究が行われた。その結果、前期/後期早産(32~36週)児では、正期産児よりも学齢期の喘息リスクが高いこと、一方でアトピー性皮膚炎による入院リスクは低いことが明らかになった。European Journal of Pediatrics誌オンライン版2016年2月22日号掲載の報告。 本調査は、1991~2008年の間にフィンランドで生まれた子供101万8,302人を対象に行われた。在胎期間に応じて、以下の4つのカテゴリに分類し、この分類に基づき、7歳時までの各疾患の罹患との相関を評価した。・超早産(32週未満、very preterm;VP)・前期早産(32~33週、moderately preterm;MP)・後期早産(34~36週、late preterm;LP)・正期産(37週以降、term control;term) 主な結果は以下のとおり。・喘息の薬物治療は、在胎期間が短い子供ほど多く受けていた(VP>MP>LP>term、それぞれ15.4%、8.0%、5.7%、3.8%)。・喘息による入院も同様の傾向が見られた(VP>MP>LP>term、20.1%、10.6%、7.3%、4.8%)。・MPおよび・LPにおける喘息の薬物治療が生じるリスクは、子供の性別(男児がより高リスク)、妊娠中の喫煙歴、妊娠糖尿病、人口呼吸器による加療などにより予測することができた。・アトピー性皮膚炎による入院は、在胎期間が長くなるほどリスクが高まった(term>LP>MP、罹患率は5.2%、4.7%、4.2%)。

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炎症性腸疾患がCOPDの死亡リスクを増加させる

 炎症性腸疾患(IBD)は慢性閉塞性肺疾患(COPD)または喘息合併COPDを有する患者の死亡リスクを増加させることを、カナダ・マギル大学のMaria Vutcovici氏らが報告した。The European respiratory journal 誌オンライン版2016年2月号の掲載報告。 COPDを有する患者では、IBDを含む他の慢性炎症性疾患の発症率や有病率が高いことが知られている。著者らは、IBDの発症がCOPDまたは喘息合併COPDを有する患者の死亡リスクを増加させるかどうかを検討した。 1990~2007年のケベック州の健康管理データベースより、COPDまたは喘息合併COPD患者の2つの地域ベースのコホートが同定された。死亡記録は死亡診断書で確認した。 新規に発症したIBDの死亡リスクに対する影響をCox比例ハザードモデルにより検討した。 主な結果は以下のとおり。・2つのコホートにおけるCOPD、喘息合併COPD患者は、それぞれ27万3,208例、2万6,575例であり、IBDを併存していた患者はそれぞれ697例、119例であった。・IBDを併存しているCOPD患者における全死亡リスクのハザード比(HR)は1.23(95%CI:1.09~1.4)であった。・IBDを併存している喘息合併COPD患者における全死亡リスクのHRは1.65(95%CI:1.23~2.22)であった。・喘息合併COPD患者では、IBDが呼吸症状による死亡リスクを増加させていた(HR:2.18、95%CI:1.31~3.64)。・COPD患者ではIBDが消化器症状による死亡リスクを増加させていた(HR:4.45、95%CI:2.39~8.30)。

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妊娠後期のビタミンD補給で子供の喘鳴を予防できるか/JAMA

 母親が妊娠後半(妊娠7ヵ月以降)にビタミンD3を補給しても、生まれた子の持続性喘鳴のリスクは低下しないことが、デンマーク・コペンハーゲン大学のBo L. Chawes氏らが行った単一施設での二重盲検無作為化比較試験で明らかとなった。この試験は、コペンハーゲン小児喘息前向きコホート研究2010(Copenhagen Prospective Studies on Asthma in Childhood 2010 :COPSAC2010)の一環として行われたもの。これまで、観察研究において妊娠中のビタミンD摂取量増加により子の喘鳴を予防できる可能性が示唆されていたが、妊婦へのビタミンD投与による予防効果について検証はされていなかった。JAMA誌オンライン版2016年1月26日号掲載の報告。妊娠24週以降のビタミンD3補給、2,800IU/日と400IU/日を比較 研究グループは2009年3月4日~10年11月17日の間に、妊娠24週の妊婦623例を、ビタミンD3投与群(以下、ビタミンD群)(315例)と対照群(308例)に無作為に割り付けた。妊娠24週から出産後1週まで、全員にデンマークの保健機関が推奨している通常の妊婦管理としてビタミンD3 400IU/日を投与するとともに、ビタミンD群にはさらに2,400IU/日を投与、一方対照群にはプラセボを投与した(すなわち、本研究はビタミンD3の2,800IU/日投与と400IU/日投与を比較している)。 その後、出生児581例(ビタミンD群295例、対照群286例)を、少なくとも3歳まで追跡し、持続性喘鳴や呼吸器症状などについて調査した。持続性喘鳴は、既存の次のアルゴリズムに従って診断した。(1)生後6ヵ月以内に発作性の呼吸器症状(咳嗽、喘鳴、呼吸困難)が5回/日以上3日以上継続、(2)喘息特有の症状、(3)気管支拡張薬の間欠的使用、(4)ステロイド吸入の3ヵ月間の試験的導入による奏効と吸入中断による再発。持続性喘鳴の発症リスクに両用量で差はなし 3歳までに持続性喘鳴と診断されたのは、ビタミンD群47例(16%)、対照群57例(20%)の計104例(18%)であった。 ビタミンD3投与は持続性喘鳴の発症リスクと関連していなかったが(ハザード比[HR]:0.76、95%信頼区間[CI]:0.52~1.12、p=0.16)、繰り返す発作性の呼吸器症状の発現リスクについては有意な低下が認められた(平均発現件数ビタミンD群5.9 vs.対照群7.2、発現リスク比[IRR]:0.83、95%CI:0.71~0.97、p=0.02)。3歳時の喘息者数、上気道感染症または下気道感染症の発症などにビタミンD3投与の影響はみられなかった。 また、子宮内胎児死亡はビタミンD群1例(<1%) vs.対照群3例(1%)、先天性奇形はそれぞれ17例(5%) vs.23例(8%)であった。 なお、本研究は主要評価項目に関する統計的検出力が低く、著者は「ビタミンD3補給の有用性を立証するには、さらに大規模な、高用量および早期介入による臨床試験が必要」とまとめている。

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妊娠中のビタミンD補充は子供の喘息予防に有効か/JAMA

 出生後の子供の喘息リスクが高い妊婦では、ビタミンDの補充により妊娠後期のビタミンD値が有意に上昇したが、子供が3歳までに喘息または再発喘鳴を来すリスクは低下傾向を認めたものの有意ではなかったとの研究成果を、米国ブリガム・アンド・ウィメンズ病院のAugusto A Litonjua氏らが、JAMA誌2016年1月26日号で報告した。喘鳴は出生から数週で始まり、その発生に関与する出生前の決定因子の存在が示唆されている。ビタミンDは、胎児期~出生後早期の肺および免疫系の発育に影響を及ぼし、妊娠期のビタミンDの欠乏は早期の喘息や喘鳴の発症に重要な役割を果たしている可能性があるという。妊婦へのビタミンD投与による子供の喘息予防効果を評価 研究グループは、妊娠中のビタミンD3(コレカルシフェロール)の栄養補助薬の使用による、幼児の喘息関連疾患の予防効果を検討する二重盲検プラセボ対照無作為化試験(VDAART試験)を実施した(米国国立心肺血液研究所[NHLBI]などの助成による)。 対象は、年齢18~39歳の非喫煙者で、妊娠期間10~18週と推定される女性で、自身または子供の生物学的父親が喘息や湿疹、アレルギー性鼻炎の既往歴を有するものとした。 被験者は、ビタミンD 4,000IU+ビタミンDを400IU含む妊婦用マルチビタミン薬(4,400IU群)、またはプラセボ+ビタミンDを400IU含む妊婦用マルチビタミン薬(400IU群)を、それぞれ毎日投与する群に無作為に割り付けられた。 主要評価項目は、3歳までの医師の診断による喘息または再発喘鳴(質問票で3ヵ月ごとに親に確認)と、妊娠後期の母親の25-ヒドロキシビタミンD≧30ng/mLの達成の複合アウトカムとした。 2009年10月~11年7月に、米国の3施設(ボストン医療センター、ワシントン大学セントルイス校、カイザーパーマネンテ南カリフォルニア)に876人の妊婦が登録され、ビタミンD 4,400IU群に440人、400IU群には436人が割り付けられた。最後の子供のフォローアップは2015年1月に終了した。喘息/再発喘鳴リスクが6.1%低下、検出力不足の可能性も ベースラインの平均年齢は、4,400IU群が27.5歳、400IU群は27.3歳で、妊娠期間はそれぞれ14.1週、14.2週であり、25-ヒドロキシビタミンD値は23.3ng/mL、22.5ng/mLであった。 810人の子供が誕生し、3歳までのアウトカムの評価は806人(4,400IU群:405人[男児:200人]、400IU群:401人[220人])で行われた。 218人の子供が喘息または再発喘鳴を発症した。このうち4,400IU群の発症率は24.3%(98人)であり、400IU群の30.4%(120人)に比べ低い傾向が認められた(ハザード比[HR]:0.8、95%信頼区間[CI]:0.6~1.0、p=0.051)。 妊娠後期の平均25-ヒドロキシビタミンD値は、4,400IU群が39.2ng/mLであり、400IU群の26.8ng/mLよりも有意に高値であった(平均差:12.4ng/mL、95%CI:10.5~14.3、p<0.001)。≧30ng/mLの達成率は、それぞれ74.9%(289人)、34.0%(133人)であり、4,400IU群で有意に優れた(差:40.9%、95%CI:34.2~47.5、p<0.001)。 3歳までに発症した皮疹を伴う湿疹(4,400IU群:21% vs. 400IU群:23%、p=0.56)と下部気道感染症(31.9 vs. 34.2%、p=0.07)、3歳時の総IgE値(幾何平均:29.3 vs. 37.3、p=0.08)に有意な差はなかったが、特異的IgE抗体検査の陽性率(10.7 vs.12.4%、p=0.02)は4,400IU群で有意に低かった。 両群間の重篤な有害事象の発現頻度に差はなく、ビタミンDに起因する有害事象は認めなかった。母親に、ビタミンD治療による高カルシウム血症はみられなかった。 著者は、「本試験は検出力が十分でない可能性が示唆された。得られた知見の臨床的な意義を解明するために、長期のフォローアップを継続中である」としている。

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卵アレルギーと弱毒生インフルエンザワクチン(解説:小金丸 博 氏)-475

 インフルエンザワクチンの製造には、インフルエンザウイルスを鶏卵に接種し培養する工程があるため、ワクチンにはオバルブミンなど卵の成分が含まれる。そのため、卵アレルギーのある人にインフルエンザワクチンを接種すると、重大な副反応が起こる可能性があると広く認識されている。近年、オバルブミン含有量の少ない不活化インフルエンザワクチンは、卵アレルギーのある患者に安全に接種できるとの報告があるが、経鼻的に投与される弱毒生インフルエンザワクチン(LAIV)の安全性に関しては、十分なデータがなかった。 本研究は、卵アレルギーのある若年者(2~18歳)に対するLAIVの安全性を評価するために行った多施設前向きコホート研究である。卵アレルギーと診断されたことのある779例に対してLAIVを投与し、ワクチン接種後2時間以内の有害事象の発生率(プライマリアウトカム)や、1ヵ月後の喘息コントロールスコアの変化などを調査した。試験には卵アナフィラキシー歴がある児が270例(34.7%)、喘息または反復性喘鳴と診断されたことがある児が445例(57.1%)含まれていた。卵アナフィラキシーで侵襲的な呼吸器管理が必要となったことがある児や、重症喘息の児は試験から除外された。 結果、ワクチン接種後2時間以内の全身性アレルギー反応は1例も報告されなかった(95%信頼区間上限値は全集団で0.47%、卵アナフィラキシー歴があった児で1.36%)。9例で軽度のアレルギー症状(鼻炎、局所の蕁麻疹、口腔咽頭の掻痒)を認めた。ワクチン接種後2~72時間に221例の副反応が報告され、62例が下気道症状を呈した。入院が必要となった児はいなかった。また、ワクチン接種1ヵ月後の喘息コントロールテストに有意な変化はみられなかった。 本研究では、卵アレルギー歴がある児でも安全にLAIVを接種できる可能性が示された。試験にはアナフィラキシー歴や喘息を持つ児が数多く含まれており、貴重な報告と考える。アレルギー反応(とくにアナフィラキシー)はとても怖い副反応である。医療従事者にとって、卵アレルギーのある人にインフルエンザワクチンを接種することは勇気が必要なことと思われるが、本試験の結果をみる限り、アレルギー反応を怖がり過ぎているのかもしれない。アナフィラキシーが起こるのを予測することは難しいので、ワクチンを接種する医療機関では、アナフィラキシーが起こったときに対応できるように十分準備しておくことが重要である。 本研究で用いられた経鼻弱毒生インフルエンザワクチンは、2~49歳を対象に欧米で使用されている。不活化ワクチンと比較し発病防止効果が期待できること、非侵襲的であることから、本邦での導入が待たれる。

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閉塞性肺疾患に気管支鏡下治療を用いる時代は到来するか?(解説:倉原 優 氏)-467

 気管支にバルブを詰める気管支鏡下肺容量減少療法が、重症肺気腫患者の治療法として期待されている。要は、まともな換気ができていない気腫肺には空気を送らない、という治療根幹である。その他の領域の肺換気を効率化する手法だ。 肺容量減少療法は、古典的には外科手術によって行われるのが主流である。ただ、そのコストは内科療法と比較して割に合わないほど高く、外科手術後にエアリークが遷延する例も少なくないことに懸念を示す呼吸器外科医も多いようだ1)。メタアナリシスでは手術を積極的に推奨しているわけではないが、症例を選べば有効であると書かれている2)3)。 気管支鏡下肺容量減少療法がCOPDに対して有効とされた研究が、Sciurba氏らによって2010年に報告されている4)。気管支鏡下肺容量減少療法と標準的内科治療を比較して、安全性と有効性を検証したものである。この試験では、6ヵ月時の1秒量は気管支鏡下肺容量減少療法群で4.3%上昇したのに対して、標準内科治療群では2.5%低下した。気管支バルブを使うことで、呼吸機能の改善が見込めるということだ。 さて、葉間側副換気がある患者より、ない患者のほうが有益性が高いという仮説がある。バルブを詰めたけれど、側副換気があるせいで気腫肺の容量減少効果がなければ、治療の甲斐もないだろう。この研究は、側副換気がない重症COPD患者に対して、その仮説が正しいかどうか調べるために実施された。過去の研究と同じように、この研究も気管支鏡下肺容量減少療法と標準的内科治療を比較して、安全性と有効性を検証した。主要評価項目は、1秒量、努力性肺活量、6分間歩行距離である。 登録された68例を解析した結果、intention-to-treat解析では、気管支鏡下肺容量減少療法群のほうが有意に主要評価項目の改善が大きいという結果だった(p<0.01)。喀血が多いと噂されるこの治療法だが、この研究では気胸が多かった。気管支鏡下肺容量減少療法群の34例中2例は胸腔ドレナージを要した。インターベンションを行うと、やはり何かしらの合併症が多くなるのはやむを得ないことかもしれない。現時点では、合併症の懸念から積極的にこの治療が推奨されるものではない。しかるべき患者に対して、諸刃の剣であることを説明して実施すべきだろう。 近い将来、代表的な閉塞性肺疾患であるCOPDと気管支喘息に、気管支鏡によるインターベンションが普及してくる時代が来るかもしれない。

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経鼻インフルエンザワクチン、卵アレルギー児も接種可?/BMJ

 卵アレルギーのある未成年者(2~18歳)を対象に、卵成分を含む弱毒生インフルエンザワクチン(LAIV)の安全性について検討した結果、卵アレルギーのある児でLAIVによる全身性アレルギー反応が起きるリスクは低く、またコントロール良好な喘息児への同接種について忍容性が認められるとの見解が示された。英国インペリアル・カレッジ・ロンドンPaul J Turner氏らが国内30施設778例を対象とした非盲検第IV相介入試験の結果、報告した。英国では小児予防ワクチンスケジュールに経鼻LAIVが導入されたが、卵アレルギーは頻度が高く、就学前児童では2~6%に及ぶとされる。卵アレルギーや喘息を有する未成年者へのLAIV接種に関する安全性データは限定的で、ガイドラインの中には、喘息持ちの5歳未満児でのLAIV接種は避けるよう勧告するものもあった。BMJ誌オンライン版2015年12月8日号掲載の報告。卵アレルギーのある中央値5.3歳779例について検証 試験は2014年9月~2015年2月のインフルエンザシーズンに行われた。英国30施設で卵アレルギーのある2~18歳の779例(年齢中央値5.3歳、65.2%が男子)を集め、LAIVを接種した。被験者のうち270例(34.7%)は卵アナフィラキシー歴があり、157例(20.1%)は呼吸器系/心血管系の症状を経験したことがあった。また、445例(57.1%)が、医師による喘息または反復性喘鳴との診断歴があった。 被験者は、ワクチン接種後少なくとも30分間観察され、72時間後に電話でフォローアップを受けた。喘息/反復性喘鳴歴のある児はさらに4週間後にもフォローアップを受けた。 主要評価項目は、卵アレルギーのある未成年者へのワクチン接種後2時間以内の有害事象の発生率とした。また、副次アウトカムとして、LAIV接種後72時間までの後発症状の発生率(非アレルギー関連含む)、喘息/反復性喘鳴のある児の喘息コントロールスコアの接種前と接種1ヵ月後の変化などを評価した。全身性アレルギー反応は報告なし 結果、全身性アレルギー反応は報告されなかった(95%信頼区間[CI]上限値は全集団で0.47%、卵アナフィラキシーがあった児で1.36%)。9例が軽度の症状を報告したが、局所的なIgE型アレルギー反応であった。 ワクチン接種の後発症状と思われる報告は221例であった。72時間以内の下気道症状の報告は62例(8.1%、全集団の95%CI:6.3~10.3%)であった(29例は両親が喘鳴と報告)。 入院となった被験者はいなかった。また、4週時点までに、喘息コントロールテストの評価に基づく下気道症状の増大はみられなかった。 今回の試験について著者は、「被験者が2次、3次の医療センターからも参加しており、専門的評価を必要とする、より重症のアレルギーを有していた被験者もいたことを考慮すべき」と指摘したうえで、「卵アレルギーを有する未成年者において、LAIVによる全身性アレルギー反応を引き起こすリスクは低い。また喘息/反復性喘鳴のコントロール良好な未成年者において、忍容性は良好のようである」とまとめている。

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予定帝王切開児は喘息や死亡リスクがわずかに高い/JAMA

 予定帝王切開分娩児は、経腟分娩児と比べて、5歳時点における入院またはサルブタモール吸入薬(商品名:サルタノールインヘラーほか)投与を要する喘息の絶対リスク、およびフォローアップ期間中(21歳時点)の全死因死亡の絶対リスクがわずかだが高いことが、英国・アバディーン大学のMairead Black氏らによる検討の結果、明らかにされた。予定帝王切開分娩は世界的に顕著な割合を占めており、予定・予定外を合わせると50%に達する国・地域もあることが報告されている。観察研究で、帝王切開分娩児は小児期の疾病リスクが高いことが示唆されているが、それらはキーとなる交絡因子が考慮されておらず、また予定帝王切開分娩児の、新生児期以降の死亡リスクに関する報告はなかったという。JAMA誌2015年12月1日号掲載の報告。スコットランド32万1,287例、予定帝王切開 vs.予定外帝王切開、経膣分娩で比較 研究グループは、1993~2007年にスコットランドで生まれた第1子単体児32万1,287例を対象に、2015年2月までフォローアップを行い、予定帝王切開分娩と小児期の健康問題や死亡との関連を調べた。初回妊娠の予定帝王切開分娩と、予定外帝王切開分娩および経膣分娩を比較した。 主要アウトカムは、入院を要した喘息とした。副次アウトカムは、5歳時点のサルブタモール吸入薬処方、5歳時点の肥満、フォローアップ中の炎症性腸疾患(IBD)、1型糖尿病、がん、死亡などであった。予定 vs.予定外は同等、vs.経膣の喘息1.13~1.22倍、死亡1.41倍 本解析における対象の内訳は、予定帝王切開分娩児1万2,355例(3.8%)、予定外帝王切開分娩児5万6,015例(17.4%)、経膣分娩児25万2,917例(78.7%)であった。 予定外帝王切開分娩児との比較で、予定帝王切開分娩児に、入院を要した喘息、5歳時点のサルブタモール吸入薬処方、5歳時点の肥満、IBD、がん、死亡のリスクの有意差はみられなかった。しかし、1型糖尿病リスクの増大がみられた(0.66% vs.0.44%、差:0.22%、95%信頼区間[CI]:0.13~0.31%、補正後ハザード比[HR]:1.35、95%CI:1.05~1.75)。 経膣分娩児との比較では、予定帝王切開分娩児に、入院を要した喘息(3.73% vs.3.41%、差:0.32%、95%CI:0.21~0.42%、補正後HR:1.22、95%CI:1.11~1.34)、5歳時点のサルブタモール吸入薬処方(10.34% vs.9.62%、差:0.72%、95%CI:0.36~1.07%、補正後HR:1.13、95%CI:1.01~1.26)、死亡(0.40% vs.0.32%、差:0.08%、95%CI:0.02~1.00%、補正後HR:1.41、95%CI:1.05~1.90)のリスク増大がみられた。5歳時点の肥満、IBD、1型糖尿病、がんのリスクについて有意差はみられなかった。 これらの結果について著者は、「さらなる調査を行い、観察された関連の因果関係を明らかにする必要がある」と述べている。

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アレルギー性鼻炎を改善へ、世界初の舌下錠登場

 シオノギ製薬株式会社は、11月26日都内にて、世界初の舌下錠タイプのダニアレルゲン免疫療法薬「アシテア」の発売を記念し、岡本 美孝氏(千葉大学大学院医学研究院 耳鼻咽喉科・頭頸部腫瘍学 教授)を講師に迎え、「患者さんのQOL向上をサポートするアレルギー性鼻炎治療」をテーマにプレス向けの説明会を行った。国民の4割が有病者 アレルギー性鼻炎とは、「鼻粘膜のI型アレルギー疾患で、発作性反復性のくしゃみ、水性鼻漏、鼻閉を主徴とする」疾患である。疫学的実態に関して、アレルギー性鼻炎全体の日本国内での有病率は約4割と考えられている。ダニが原因の代表とされる通年性アレルギー鼻炎はとくに男性に多く、花粉症に代表される季節性アレルギー鼻炎は女性に多い。患者数は季節性アレルギーで近年増加傾向にある。 現在、アレルギー性鼻炎の治療法として、「抗原回避」「薬物療法」「免疫(減感作)療法」「手術療法」「鼻処置」「患者とのコミュニケーション」がある。なかでも広く行われている「薬物療法」と「免疫(減感作)療法」に焦点を当て、解説がされた。 ケミカルメディエーター遊離抑制薬や抗ヒスタミン薬、ステロイド薬などの薬物療法は、現在最も多く行われている治療であるが、これらは対症療法であり、アレルギー症状の治療という根本的な解決になっていない。その一方で、原因アレルゲンを皮下注射することで治療していくアレルゲン免疫療法(減感作療法)は、体質改善が図られ症状が軽快するものの、治療期間が2年以上と長期にわたり、途中離脱する患者の割合も多い。薬物療法か、免疫療法か それでは、薬物療法と免疫療法のどちらの治療法が良いだろうか? アレルギー性鼻炎患者の長期経過を、千葉大学医学部附属病院 耳鼻科アレルギー外来で追跡調査した結果が報告された。 小児通年性アレルギー鼻炎(n=55)において、薬物療法で改善以上が25%だったのに対し、減感作療法2年未満では69%、同療法2年以上は77%と減感作療法のほうが高い数値を示していた。また、成人通年性アレルギー性鼻炎(n=31)では、薬物療法で改善以上が40%だったのに対し、減感作療法2年以上は81%だったという。こうしたことからもアレルゲン免疫療法は、治療終了後も効果が長期間持続することが期待されているという。 このように、アレルゲン免疫療法(減感作療法)のデメリットを払拭する薬剤が待ち望まれる中で、患者の利便性、非侵襲性、重篤な副作用の軽減を目指し、アシテアが開発された。1日1回、2分で終了 アシテアは、世界で初めてのダニアレルゲン舌下錠であり、次のような特徴を持つ。 対象患者は、ダニアレルギー性鼻炎の成人および12歳以上の小児。禁忌は、病因アレルゲンがダニ抗原ではない患者、ダニエキスにショックの既往のある患者、重症の気管支喘息患者、悪性腫瘍などの全身性疾患のある患者である。また、過去にアレルゲンエキスでアレルギー症状を発現した患者、気管支喘息患者、高齢者、妊産婦(授乳中も含む)、非選択的β遮断薬服用中の患者は慎重投与となる。 用法・用量は1日1回、1回投与量100単位から開始し、300単位まで増量できる。服用方法は、薬剤を舌下に入れ、そのまま溶解するまで唾液を飲み込む(約2分間)だけである。ただし、服用後5分間はうがい、飲食は控えなければならない。 国内での第II/III相試験によると、投与1年後のアシテア300単位(n=315)とプラセボ(n=316)との比較で、平均調整鼻症状スコア(くしゃみ発作、鼻汁、鼻閉など)は、アシテア群の最小二乗平均が5.0に対し、プラセボ群が6.11と有意差が認められた。また、「軽度以上の改善」と評価した被験者割合は、アシテア群(244/306例)が79.7%だったのに対し、プラセボ群(200/310例)64.5%と、同じく有意差が認められた。初回投与は医師の監視下で 副作用はアシテア群で66.8%の報告があったのに対し、プラセボ群は18.6%であった。副作用の重症度は、軽度(98.1%)がほとんどを占め、アナフィラキシーショックのような高度なものは報告されなかった。主な副作用は、頻度順に口腔浮腫、咽喉刺激感、耳そう痒症、口腔そう痒症、口内炎などが挙げられた。副作用の発現時期は半数以上が投与開始後2週間以内であり、継続投与により発現頻度、程度は減弱していくという。そのため、副作用への注意として、初回投与時は約30分間、医師の監視下に置き十分な観察を行う。また、免疫療法では患者の離脱率が高いために、事前にメリット(長期の症状改善、自宅で服薬など)とデメリット(長い治療期間、副作用など)を患者によく説明することが、治療のポイントとなる。 最後に「効果持続期間の検証や新たな副作用の出現など、臨床の場でさらに研究を進めるとともに、効果測定や予測バイオマーカーの開発などが待たれる」と今後の課題を述べ、レクチャーを終えた。詳しい商品情報は、こちら(ケアネット 稲川 進)関連コンテンツケアネット・ドットコム 特集「花粉症」はこちら。

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小児のIgE感作と疾患の関連 4分の1が疾患を有さず

 小児は皮膚炎、喘息および鼻炎に罹患することが多いが、それらの有病率は年齢とともに変化する。また、IgE抗体保有と疾患との関連もよくわかっていない。スウェーデン・カロリンスカ研究所のNatalia Ballardini氏らは、感作と疾患との関連を明らかにする目的で、出生コホート研究にて16歳まで追跡された小児を調査した。その結果、特異的IgE抗体は小児期全体における皮膚炎およびアレルギー性疾患の複数罹患と関連していること、また4歳からの喘息および鼻炎と強く関連していたことを報告した。一方で、IgE感作を認める小児の23%が、小児期にいかなる疾患も呈しないことも判明したという。Allergy誌オンライン版2015年10月27日号の掲載報告。 対象は、スウェーデンの出生コホート研究BAMSEに登録された小児2,607例であった。 1~16歳の間6評価時点で、親の報告に基づき皮膚炎、喘息、鼻炎の罹患を確認した。また、4、8、16歳時の採血結果からIgE感作の有無を調査。一般的な食物または吸入アレルゲンに対するアレルゲン特異的IgE≧0.35kUA/Lの場合を感作ありと定義した。 一般化推定方程式を用い、感作による皮膚炎、喘息、鼻炎および複数罹患のオッズ比を算出した。 主な結果は以下のとおり。・16歳までに少なくとも1回の感作が報告された小児は、51%であった。・感作を受けている小児の約4分の1(23%)が、いかなる疾患も有していなかった。・潜在的な交絡因子を補正後、感作と次の有意な関連が認められた。 (1)小児期全体に及ぶ皮膚炎 (2)1~16歳時の皮膚炎・喘息・鼻炎の複数罹患(オッズ比:5.11、95%信頼区間[CI]:3.99~6.55) (3)4~16歳における喘息および鼻炎

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オマリズマブは日本の重症小児喘息でも有用か?

 オマリズマブ(商品名:ゾレア)は日本の重症な小児喘息に対しても有用であることを国立病院機構 福岡病院 小児科の小田嶋 博氏らが報告した。Allergology international 誌2015年10月号の掲載報告。 オマリズマブは中等症から重症のアレルギー性喘息を有する小児患者に対する臨床的な有用性が論証されている。しかしながら、日本の小児喘息患者を対象とした研究はこれまで行われてこなかった。 本研究は重症の小児喘息患者におけるオマリズマブの有効性(遊離IgE抗体の減少)と安全性の評価を目的としており、第1の目的はオマリズマブが血清遊離IgE抗体を25ng/mL(減少の目標値)まで低下させるかを調べることである。 対象は吸入ステロイド(200μg/日超のフルチカゾンプロピオン酸またはそれと同換算量)、または2剤以上の管理薬を使用しているにもかかわらず、コントロール不良な重症小児喘息患者(6~15歳)38人で、多施設共同のオープンラベル非対照試験において、オマリズマブの24週の追加投与を受けた。 主な結果は以下のとおり。・24週時の幾何学的な血清遊離IgE抗体の平均値は15.6ng/mLであった。・24週時の喘息症状スコア(日常生活スコア、夜間睡眠スコア)はベースライン時と比べ、有意に改善した。・ベースライン時と比べ、喘息の増悪率や喘息による入院率は、それぞれ69.2%、78.2%減少した(p<0.001)。・QOLスコアも有意に改善した(p<0.001)。・11人(28.9%)の患者は喘息管理薬の投与量が減少した。・36人(94.7%)の患者は治療期間中、少なくとも1つの副作用が認められた。・副作用はすべて軽度から中等度であり、問題となる新たな副作用は認められなかった。・試験期間中に脱落した患者はいなかった。

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喘息の最新治療~気管支サーモプラスティ

 2015年7月から、気管支喘息を外科的に治療するという国内初の医療機器「アレア気管支サーモプラスティシステム」が販売開始となった。これを受けて、2015年7月16日、都内にてメディアセミナー(主催:ボストン・サイエンティフィック ジャパン株式会社)が開催された。 これまで、喘息治療は吸入薬や内服薬などによる薬物治療が主体であった。しかし、吸入薬を使用する際の手技の差や、呼気量が低下しすぎて薬を吸うことすらできない患者の存在、薬を定期的に使用していても発作をコントロールできない場合があるなどの課題があった。さらに、発作が起きない状態が続くと薬物の使用を自己中断してしまうこともあるという患者のアドヒアランスの悪さも問題となっていた。これらの課題を解決する方法として、気管支サーモプラスティが注目されている。喘息の外科的治療・気管支サーモプラスティとは 「気管支サーモプラスティ(BT)」は、気管支鏡を用いた治療法である。気管支鏡に電極付きのカテーテルを挿入し、高周波電流にて65℃で10秒間気管支壁を温めることで、喘息の原因となる肥厚した気道平滑筋の量を健常人に近付け、気管支の収縮を抑制し、発作を起きにくくする。 治療は気管支を3つのブロックに分けて行われ、それぞれ約3週間空けて実施される。所要時間は1回あたり約1時間で、1~2泊の短期入院で行われる。BT施行後は、治療前と同じ喘息治療薬を継続するが、症状によっては減量を考慮することもできるという。 なお、本治療の適応は18歳以上の高用量吸入ステロイドおよび長時間作用型β2刺激薬で喘息症状が抑制できない患者である。BTが注目されている理由 BTは気管支をつまんだり焼いたりすることがない、非侵襲的な治療法である。 気管支平滑筋に直接作用するため、吸入薬の手技に問題がある、肺活量が落ちて吸入薬が吸えない、アドヒアランスに問題があるなど喘息患者の抱えるさまざまな問題を解決する可能性がある。 また、気管支鏡を応用した手技であるため、気管支鏡を実施している施設であれば比較的容易に施行できることも魅力の1つである。 さらに、3回という少ない回数の治療で効果が5年間継続することがわかっている。臨床試験において、喘息で救急外来を受診した患者は、BT施行前1年間と比較して、施行後は78%も減少していた(5年間の平均)。BTの注意すべき点 BTは施行直後1日以内に呼吸症状の一時的な悪化がみられることが多いという。しかし、適切な処置で通常1週間以内に症状は消失するため、施行後の慎重な観察が必須である。 なお、術中に発作の可能性がある体調不良の患者には施行できない。演者の太田 健氏(国立病院機構東京病院 院長)は、「術前の問診によるBT施行可否の判断と、あらかじめ患者の症状を安定させる薬を飲ませておくことで、術中の発作を予防しておくことが重要である。当院でBTを行った2症例は、術前3日間と術後2日間の経口副腎皮質ステロイド投与で問題なく施行できた」と語った。 さらに、演者の東田 有智氏(近畿大学医学部 呼吸器・アレルギー内科 教授)は、喘息患者は気管支が敏感になっているため、気管支鏡を入れること自体がリスクであることを指摘した。そのうえで、「BT前後に副腎皮質ステロイドなど喘息症状を抑える薬を投与することで、リスクを抑制できる」と前投薬の重要性を繰り返し強調した。BTに望まれること BTを安全かつ効果的に実施するためには、治療時の前投薬の服用や治療後に今までの喘息治療薬を継続することなど患者に対する各種指導をしっかりと行っていくことが重要となってくる。 さらに、本治療法は欧米で2000年ごろから研究・臨床試験が開始され、2011年から一般的な治療となった新しい選択肢である。日本では本年4月から保険適用となったため、治療経験はまだ少ない。そのため、専門医が治療データを収集し、BT治療後も含めた喘息管理を行っていくことが望まれる。 BTの施行で従来の喘息治療薬を用いてもコントロール不能な患者、あるいはアレルギーや副作用などの理由で薬物を使用できなかった患者の症状を緩和できる可能性がある。BTの普及は、治療に難渋していた喘息患者にとって新たな治療の選択肢となりうると大いに期待されている。

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アトピー乳児、喘息発症リスクが高いのは?

  アトピー性皮膚炎(AD)は喘息や他のアトピー性疾患に先行して発症することが知られる。“アレルギーマーチ”と呼ばれるこれらの発症順序は必ずしも決まっておらず、乳幼児が喘息を発症するリスクについて取り組んだ研究は少ない。フランス・パリ公立アルマン・トゥルソー小児病院のFlore Amat氏らは、生後12ヵ月未満のAD患者を6歳まで追跡したObservatory of Respiratory risks linked with Cutaneous Atopy(ORCA)研究データを解析し、早期発症AD乳児において複数感作あるいは喘息家族歴を認める場合は、幼児期に喘息の発症リスクが高いことを明らかにした。PLoS One誌オンライン版2015年6月24日号の掲載報告。 研究グループは、喘息に発展する恐れのある早期発症ADの表現型を特定することを目的に、ORCA研究に登録された乳児214例についてクラスター分析を行った。  ORCA研究は、皮膚科医によりADと確定診断され、喘鳴の既往がない生後12ヵ月未満の乳児を6歳まで追跡し、AD、アレルギーおよび喘息について毎年調査した研究である。 主な結果は以下のとおり。・次の3つのクラスターが同定された。・クラスター1は「低感作AD群」(94例)。食物または空気アレルゲンへの感作なし~低度(それぞれ27.7%および10.6%)、AD重症度は中等度(SCORAD 25.29±14.6)。・クラスター2は「複数感作AD群」(84例)。AD重症度が高く(SCORAD 32.66±16.6)、食物または空気アレルゲンへの感作も高く(それぞれ98.6%および26.2%)、複数の食物アレルゲンに感作されている(96.4%)。・クラスター3は「喘息家族歴があるAD群」(36例)。親が喘息の既往歴を有し、AD重症度は中等度(SCORAD 24.46±15.7)、食物アレルゲン(1つ)への感作は中等度(38.9%)、空気アレルゲンへの感作はない。・6歳時点で喘息に罹患していた小児の割合は、クラスター1(14.9%)に比べてクラスター2および3で高かった(それぞれ36.1%および33.3%、p<0.01)。

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大豆イソフラボン、喘息コントロール効果なし/JAMA

 コントロール不良の喘息患者に対し、1日100mgの大豆イソフラボンを24週間投与したが、喘息症状の改善には結び付かなかった。米国・ノースウェスタン大学のLewis J. Smith氏らが、386例の患者を対象に行った、無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果、示された。複数の慢性疾患治療において、大豆イソフラボンが用いられているが、使用を裏づけるデータは限定的であった。コンロトール不良の喘息患者については、大豆イソフラボンが有望であることを示唆するいくつかのデータが示されていたという。JAMA誌2015年5月26日号掲載の報告。24週後に、FEV1や喘息コントロールテストのスコアなどを比較 研究グループは、2010年5月~2012年8月にかけて、米国の喘息治療に関する研究ネットワーク(American Lung Association Asthma Clinical Research Centers)に属する19ヵ所の医療機関を通じて試験を行った。症状をコントロールする薬を服用しながらも、喘息症状が認められ、大豆摂取量が少ない12歳以上の患者386例を対象に試験を行った。 同グループは被験者を無作為に2群に分け、一方には総イソフラボン量100mgを含む大豆イソフラボン・サプリメントを、もう一方にはプラセボを、それぞれ毎日24週間にわたり投与した。 主要評価項目は、24週時点における1秒間努力呼気容量(FEV1)だった。副次的評価項目は、症状、喘息のコントロール不良イベント、喘息コントロールテストのスコア、全身・気道の炎症バイオマーカー測定値だった。FEV1、喘息コントロール、コントロール不良イベント数など、いずれも両群で同等 結果、24週後の気管支拡張薬使用前FEV1値は、プラセボ群が0.03L(95%信頼区間:-0.01~0.08)に対し、イソフラボン群は0.01L(同:-0.07~0.07)と、両群で有意差はなかった(p=0.36)。 喘息コントロールテストの変化平均値は、プラセボ群が1.98に対しイソフラボン群が2.20(数値が高いほど症状減少を示す)、喘息のコントロール不良イベント数はそれぞれ3.3回と3.0回、呼気中一酸化窒素の変化量はそれぞれ-3.48ppbと1.39ppbであり、いずれも両群で有意差はなかった。 なお、サプリメントを投与された被験者では、平均血漿ゲニステイン値が4.87ng/mLから37.67ng/mLに有意に上昇していた(p<0.001)。

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