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東京2020で発生しうる患者とその対応策/日本救急医学会

 東京2020オリンピック・パラリンピックの開催まで300日を切った。この開催を迎える上で医学的に重要なのは、熱中症やインバウンド感染症、そしてテロへの対策ではないだろうか。そこで、医学系学会のうち25団体(2019年10月現在)が“2020年東京オリンピック・パラリンピックに係る救急・災害医療体制を検討する学術連合体(コンソーシアム)”を結成。リスクを想定し、対策に取り組んでいる。 この構成団体の中のうち、日本救急医学会ほか5学会(日本臨床救急医学会、日本感染症学会、日本外傷学会、日本災害医学会、日本集中治療医学会)と東京都医師会の担当委員が、2019年10月2~4日に開催された第47回日本救急医学会総会・学術集会のパネルディスカッション8「2020年東京オリンピック・パラリンピックに関わる救急・災害医療体制を検討する学術連合体の活動現状と今後の展開について」にて、各学会の委員会活動の進捗を報告した。オリンピックは特別な状況 日本臨床救急医学会の溝端 康光氏(大阪市立大学大学院医学研究科 救急医学)は、日本臨床救急医学会が昨年12月に『熱中症』ガイドラインと『訪日外国人医療』ガイドラインを発刊したことを報告。現在、熱中症に関する診療には日本救急医学会が作成した『熱中症診療ガイドライン2015』の利用が推奨されているが、新たに発刊された両ガイドラインは初期対応や救急外来受診時間の傾向、外国人対応医療機関の検索、医療通訳、宗教背景、帰国時手続きなど、オリンピックが終了した後でも問題になりうる内容も踏まえ、経験豊富な学会員によって執筆されたという。 日本感染症学会の佐々木 淳一氏(慶應義塾大学医学部 救急医学)は、過去の夏季オリンピックから実際の患者数を疾患別に分析し、「胃腸炎患者が最も多かった」と報告。感染症対策として、“救急外来部門における感染対策チェックリスト”やインバウンド感染症対応のための“感染症クイック・リファレンス”作成について説明した。銃創・爆傷患者が運ばれてきたら… オリンピックではテロの危険性も高まる。テロによる銃創や爆傷は1分1秒を争う状況を要するため初動がとくに重要である。日本外傷学会/日本災害医学会代表の大友 康裕氏(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 救急災害医学)は、「地震などを想定して策定したBCP(事業継続計画)では不十分」とし、銃創におけるレントゲン活用の有用性、爆傷で生じる爆傷肺や眼の損傷への対処法を解説。国際的に使用されているタニケットによる止血法については、「病院での受入体制が遅れている」と危機感をあらわにした。また、災害やテロ被害時には「“重傷者が軽症者の後に運ばれてくる”ことを念頭に置くことが多くの救命につながる」ともコメントした。 そのほか、日本集中治療学会、日本麻酔学会や東京都医師会担当者からは、院内ICUを救急ICUと統合する拡張運用など、患者数増加を見込んだ措置を検討しているとの報告が挙がった。 なお、本コンソーシアムでは2016年の開設以降、現在35のマニュアルやガイドライン、提言などをホームページで発信し、各関連学会が作成したe-learningでの個人学習も推奨している。このサイトから関連学会のみならず官公庁にもアクセス可能なので、とっさの時の情報収集に有用かもしれない。

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医療・介護・福祉のMIRAIをテーマに開催【ご案内】

 医療機関のパートナーとして医療の質を向上させる基礎を育み医療機関の健全経営を図る、認定登録医業経営コンサルタントの研究発表と養成を兼ねた第23回日本医業経営コンサルタント学会が名古屋で開催される(主催:公益社団法人 日本医業経営コンサルタント協会)。 「医療・介護・福祉のMIRAI-少子高齢化社会への挑戦-」をテーマに、少子高齢化に必須のロボットやAIなど新規技術の専門家ならびに医療機関による講演、産業振興のための国・愛知県の取り組みの紹介など、参加者にとっても有意義となるような内容を届ける。 なお、9月13日までに申し込むと事前割引が適用される。第23回日本医業経営コンサルタント学会の概要■日時 2019年10月17日(木)13:00 ~ 18日(金)16:00■会場 名古屋東急ホテル■内容17日(木)・特別講演:「医療・介護現場におけるICT・ロボット利用の未来」 (講師)国立長寿医療研究センター副院長/同健康長寿支援ロボットセンター     センター長 近藤 和泉氏・特別講演:「ロボット産業拠点の形成を目指す愛知県の取組」 (講師)愛知県 経済産業局 産業部 産業振興課 次世代産業室長     白井 節氏・シンポジウムI:「少子高齢化とICT・AIの活用」 (演者)国際医療福祉大学 赤坂心理・医療福祉マネジメント学部      学部長・教授 高橋 泰氏 (演者)社会医療法人 石川記念会 理事長 石川 賀代氏 (演者)社会医療法人 名古屋記念財団 理事長 太田 圭洋氏18日(金)・演題発表19題・シンポジウム2:「地域包括ケアシステム実現のための多職種連携」 (演者)公益社団法人 愛知県医師会 理事 野田 正治氏 (演者)公益社団法人 愛知県看護協会 会長 鈴木 正子氏 (演者)一般社団法人 愛知県薬剤師会 会長 岩月 進氏 (演者)一般社団法人 愛知県歯科医師会 常務理事 渡邊 俊之氏・市民公開講座:「人工知能研究者が語る男女脳」 (演者)感性アナリスト、随筆家、人工知能研究者 黒川 伊保子氏■参加費 10,000円(9/13までの振り込み分は、8,000円)■認定 日本医師会 生涯教育講座 認定講演会 6.5単位(2日間)■申し込み 日本医業経営コンサルタント協会の学会ページよりお申し込みください。     https://www.jahmc.or.jp/cgi-bin/training/convention/■主催 公益社団法人 日本医業経営コンサルタント協会■後援 厚生労働省、愛知県ほか■問い合わせ先 公益社団法人 日本医業経営コンサルタント協会 事業部 事業第一課 フリーコール:0088-21-6996 TEL:03-5275-6996 メール:gakkai@jahmc.or.jp

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第6回 東京医科歯科大学「がんを考える」市民公開講座【ご案内】

 東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍センター、同医学部附属病院 消化器化学療法外科、同大学院臨床腫瘍学分野、同大学院未来がん医療プロフェッショナル養成プランは、2019年9月23日(月・祝)に、第6回東京医科歯科大学「がんを考える」市民公開講座を開催する。本講座は、同学が地域がん診療連携拠点病院の活動の一環として、がんに関するさまざまなテーマで開催する公開講座の6回目となる。今回は『広がるがん治療の選択肢』をテーマに、最近話題の治療、新たに保険適用となった治療のメリットや留意点、自分に最適な治療を決めるためのサポートなどについて、さまざまな立場から情報提供する。各種ブース展示や体験コーナーなど、楽しく学べる企画が予定されている。 開催概要は以下のとおり。【日時】2019年9月23日(月・祝)《ブース展示》12:00~17:00《セミナー》13:00~16:40【場所】東京医科歯科大学 M&Dタワー2F 鈴木章夫記念講堂〒113-8519 東京都文京区湯島1-5-45【参加費】無料(※参加申し込み不要)【テーマ】広がるがん治療の選択肢【予定内容】《セミナー》鈴木章夫記念講堂 司会:佐藤 信吾氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍センター/整形外科)13:00~13:15 開会挨拶 日本のがん治療の現状 三宅 智氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍センター/緩和ケア科)13:15~13:45 講演1 広がる低侵襲手術(腹腔鏡からロボット手術まで) 徳永 正則氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 胃外科)13:45~14:15 講演2 広がる薬物療法の選択肢(分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤など) 坂下 博之氏(横須賀共済病院 化学療法科)14:15~14:45 講演3  がんゲノム医療ってどんなもの? 加納 嘉人氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍センター/がんゲノム診療科)14:45~15:05 休憩15:05~16:35 シンポジウム 広がるがん治療の選択肢 ~自分にとって最適な治療を決めるためには~ 座長:三宅 智氏(1)がん治療医の立場から   石川 敏昭氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 消化器化学療法外科)(2)精神科/心療内科医の立場から   竹内 崇氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 精神科/心身医療科)(3)緩和ケア看護師の立場から   本松 裕子氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 緩和ケア認定看護師)(4)がん相談支援センターの立場から   渡井 有紀氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 認定がん専門相談員)(5)患者の立場から   濱島 明美氏(再発乳がん患者)16:35~16:40 閉会挨拶 川﨑 つま子氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 看護部長)《ブース展示》講堂前ホワイエ 12:00~17:00 ■がんと栄養・食事 (東京医科歯科大学医学部附属病院 臨床栄養部)■お口の楽しみ、支えます (東京医科歯科大学歯学部 口腔保健学科)■「がんのリハビリテーション」ってどんなもの? -筋力維持のリハビリテーションと生活の工夫など- (東京医科歯科大学医学部附属病院 リハビリテーション部)■教えて!がんゲノム医療 (東京医科歯科大学医学部附属病院 がんゲノム診療科)■抗がん剤治療の味方「CVポート」ってどんなもの? (株式会社メディコン)■がん患者と家族へのピアサポートの紹介 (特定非営利活動法人 がん患者団体支援機構)■ウィッグを楽しもう! (株式会社東京義髪整形)■リレー・フォー・ライフ・ジャパン(RFLJ)のご紹介 (RFLJ御茶ノ水実行委員会)■その情報、図書館で調べられます (東京都立中央図書館)■「わたしらしく生きる」をサポートします (東京医科歯科大学医学部附属病院 がん相談支援センター)■「もっと知ってほしい」シリーズ冊子 (認定NPO法人 キャンサーネットジャパン)■看護師よろずミニ相談 (東京医科歯科大学医学部附属病院 専門・認定看護師チーム)【問い合わせ先】東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍センター〒113-8519 東京都文京区湯島1-5-45TEL:03-5803-4886(平日 9:00~16:30)【共催】東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍センター東京医科歯科大学医学部附属病院 消化器化学療法外科東京医科歯科大学大学院 臨床腫瘍学分野東京医科歯科大学大学院 未来がん医療プロフェッショナル養成プラン【協力】認定NPO法人キャンサーネットジャパン【後援】東京医科歯科大学医師会/東京都/文京区/東京都医師会詳細はこちら

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手術不要な心不全患者の救急搬送を減らすには?

 救急車で運ばれた心不全患者のうち、約8割の患者は手術が不要であったことが、厚生労働省作成による診断群分類毎の集計結果(2017年)から明らかになった。これはいったい何を意味しているのだろうか-。2019年8月8日に開催されたメディアセミナー『ハート・トーク2019』において、磯部 光章氏(榊原記念病院 院長/東京医科歯科大学名誉教授)が「脳卒中・循環器病対策基本法について」、代田 浩之氏(順天堂大学大学院医学研究科循環器内科学)が「心臓病の二次予防と心臓リハビリテーション」について講演。トークセッションでは、俳優の渡辺 徹氏が心筋梗塞の発症当時のエピソードや再発予防策について語った(日本心臓財団、アステラス・アムジェン・バイオファーマ株式会社共催)。手術不要な心不全患者を救急搬送しないために 昨年12月、『脳卒中・循環器病対策基本法』が衆議院本会議で可決、成立した。この法律における基本的施策には、疾患予防、禁煙、救急搬送・受け入れ体制の整備、救急隊員の研修や患者のQOL向上、そして医療者教育などの項目が盛り込まれており、急性期治療に対する改革がなされることで、再発・再入院の予防や退院後のQOLの担保などが期待される。磯部氏はがん対策基本法を例に挙げ、「法律の公布によって専門医の養成、病院の拠点化、緩和医療の普及、健診事業が大きく進歩した」と述べ、医療の発展にいかに基本法が重要であるかを説明した。 しかしながら、特定健康診査(特定健診)の日本全体での受診率は51.4%とまだまだ低い。加えて、心不全の有無を確認できる項目は、医師が必要と判断した者にしか適用されないことから、「特定健診への心電図検査やBNP(NT-proBNP)測定の導入は、心不全を早期発見できるため全員必須にすべき」と訴えた。また、急性心筋梗塞や解離性大動脈瘤のように手術要否の割合がまったく異なる疾患が同じ“心不全”として扱われ、救急搬送されている現状に同氏は疑問を呈し、「今回の法律が成立したことを機に、治療内容や発症数が異なる急性疾患を同じ様に扱う現システムを見直し、手術が必要な患者へ効率の良い治療が行えるようになったら良い」と主張した。心不全患者の93%、外来心リハによる恩恵を受けられず 心不全の発症病態は、軽症、重症、そして突然死に分けられる。一命をとりとめた患者はその後、適切な治療や食事療法などにより回復する者もいれば、急性増悪を繰り返し、その都度入院を要する者もいる。磯部氏は「再発による再入院を予防するために日常管理が重要」とし、心臓リハビリテーション(心リハ)の活用を提唱。代田氏は急性冠症候群の二次予防(脳卒中・循環器病の早期治療と再発予防)の観点からLDL-Cの低下と心リハの有用性を説明。冠動脈プラークの変化率が運動によって変動した研究から「心リハが心筋梗塞や心不全予防への最善の鍵となる」と解説した。さらに、同氏は「回復ではなく“再発・発症予防”の概念の浸透が重要」と述べ、二次予防に対し、運動療法に薬物治療や食事療法などを複合させた『包括的心臓リハビリテーション』の導入を推奨した。心不全の治療方法も変われば患者像も変わる  既存の心リハ概念は1950年代に提唱された。当時は心筋梗塞の治療としてカテーテルや血行再建術はなく、6~8週間もベッドで安静に過ごして梗塞巣の瘢痕化を待つのが通常であった。その後、エビデンスが構築され早期離床が普及するようになると、安静臥床で起こる身体調節異常(デコンディショニング)の是正を目的として、心リハが始まった。1980年代には外来での心リハが開始、2000年代には心不全へ心リハが適用となった。代田氏は「長期臥床から積極的な再発予防対策が求められる時代」とし、「新たな心リハ概念には、フレイル予防や疾病管理が追加され有用である。しかし、心リハの社会認知度は低く、国内での普及活動が喫緊の課題」と語った。 近年、慢性心不全の患者像が変化し、それに伴い診療形態にも変化が求められている。このような現状の中でとくに問題となっているのが、心不全患者の高齢化に伴うフレイル発症である。身体・精神・社会的活動の3つを脅かすとされるフレイルについて、代田氏は「高齢心不全患者の予後規定因子」とコメント。磯部氏は、「治す医療から“治し支える”医療へ、生活習慣病予防からフレイル予防へ視野を広げる」など、循環器医に対し診療のシフトチェンジを求めた。心筋梗塞の“胸痛”以外の症状を広めてほしい 渡辺氏が心筋梗塞を発症した時、自覚症状は歩行速度の低下や階段昇降時の息切れが主で、 胸部症状は感じなかったという。しかし、渡辺氏にとって、“心臓病=胸の痛み”というイメージが強かったことから、まさか自分の心臓が危険な状態であるとは思わなかったそうだ。渡辺氏は「心臓の病気は心臓が痛くなると思っていたが、病院に行くときにその症状はなかった。息切れや疲れやすさが心臓病のサインであることを、医療者からも発信してほしい」と強調し、「治療を終えた後、主治医から『私は処置をしただけです。これから自分で治療を行うのです』という一言で、治療したからおしまいではなく、これから再発しない努力が必要なのだと感じた」と再発リスクを認識した当時を振り返った。現在は家族の協力のもとで食事や運動を意識した日々を過ごしている。 なお、日本心臓財団とアステラス・アムジェン・バイオファーマが行った「心筋梗塞患者さんとご家族の意識調査」によると、再発リスクの認知は低く、回答者の4割が認識していない、または誤解していたと回答した。

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日本におけるベンゾジアゼピン長期使用に関連する要因

 ベンゾジアゼピンやZ薬(BZD)の長期使用は、現在の臨床ガイドラインで推奨されていないものの、実臨床において引き続き行われている。東京医科歯科大学の高野 歩氏らは、日本における長期BZD使用率とそのリスク因子について調査を行った。BMJ Open誌2019年7月26日号掲載の報告。 本研究は、健康保険データベースを用いたレトロスペクティブコホート研究である。対象は、2012年10月1日~2015年4月1日の期間にBZD使用を開始した18~65歳の外来患者8万6,909例。そのうち、初回BZD使用日に手術を行った患者762例および8ヵ月間フォローアップを行っていない患者1万2,103例を除く7万4,044例を分析した。新規BZD使用患者の8ヵ月以上の長期使用率を調査した。患者の人口統計、診断、新規BZD使用の特徴、長期BZD使用の潜在的な予測因子について評価を行った。長期使用と潜在的な予測因子との関連を評価するため、多変量ロジスティック回帰を用いた。 主な結果は以下のとおり。・新規BZD使用患者のうち、8ヵ月以上連続してBZDを使用していた患者は、6,687例(9.0%)であった。・長期処方は、気分障害、神経障害、がん、精神科医による処方、複数の処方箋、初回処方時の睡眠薬および中間型BZD使用と有意な関連が認められた。 著者らは「新規BZD使用患者の9%は、8ヵ月以上BZDが使用されていた。処方医は、初回BZD処方時に長期使用のリスク因子に注意する必要がある」としている。

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StageII大腸がんの予後予測因子としての簇出(SACURA試験)/JCO

 Stage II大腸がんにおける術後補助化学療法の有効性を検討したSACURA試験(主任研究者:東京医科歯科大学 杉原 健一氏)の付随研究として、簇出(budding)の予後予測因子、補助化学療法の効果予測因子としての有用性を評価した解析結果を、防衛医科大学校の上野 秀樹氏らが報告した。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2019年6月10日号に掲載。簇出は、国際対がん連合(UICC)が腫瘍関連の予後因子として挙げている因子であり、2016年のInternational Tumor Budding Consensus Conference(ITBCC2016)において国際的評価基準が定義された。簇出の評価によって術後補助化学療法の適応となる対象を適切に選別 SACURA試験は、Stage II大腸がんを対象として、経口テガフール-ウラシル(UFT)1年間投与による術後補助化学療法群と手術単独群とを比較した大規模な無作為化試験である。今回の付随研究では、2006~10年の間に123施設からSACURA試験に登録されたStage II大腸がん1,982例のうち、991例の病理標本を収集した。簇出は、後にITBCC2016に採用された評価基準に基づいた中央判定によって3つのグレード(BD1/BD2/BD3)に診断され、前向きに記録された。5年間の患者登録完了後に主研究で収集した臨床病理学的データおよび予後データと統合し、解析を行った。 簇出の予測因子としての有用性を評価した主な解析結果は以下のとおり。・991例のうち、BD1(簇出が0~4個)が376例、BD2(同5~9個)が331例、BD3(同10個以上)が284例であった。5年無再発生存率(RFS)はそれぞれ90.9%、85.1%、74.4%(p<0.001)で、深達度T4の部分集団解析では、RFSの分かれ方が顕著であった(86.6~53.3%)。・簇出のグレードは、肝臓、肺、リンパ節、腹膜における再発と有意に相関した(p<0.01~0.001)。・多変量解析において、簇出と壁深達度は、独立した予後不良因子であった。Harrellのc統計量(c-index)に基づくと、これらの2因子はRFSの予測モデルの分別能を有意に改善した。・BD2、BD3の部分集団いずれにおいても、統計学的に有意差は無いものの、手術単独群に比べて術後補助化学療法群で5年累積再発率が約5%良好であった。 これらの結果から、研究グループは「Stage II大腸癌においては、ITBCC2016基準による簇出をルーチンに評価すべきであり、これにより術後補助化学療法の適応となる対象の適切な選別と予後向上が期待される」としている。

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成人の8割が感染、歯周病予防に効く「ロイテリ菌」とは

 5月30日、オハヨー乳業・オハヨーバイオテクノロジーズは「歯周病への新たな良化習慣」をテーマとしたプレスセミナーを開催した。国内の歯周病(歯肉炎および歯周疾患)患者数は330万人を超え、30~50代の約8割が罹患するなど、最も罹患率の高い疾患とされる。本セミナーでは、若林 健史氏(日本歯周病学会理事・専門医・指導医/日本大学 客員教授)と坂本 紗有見氏(銀座並木通りさゆみ矯正歯科デンタルクリニック81 院長)が講演し、ロイテリ菌(Lactobacillus reuteri)の「バクテリアセラピー」によって歯周病予防効果が期待できる、との研究内容を発表した。歯磨き・歯科検診に続く予防策「バクテリアセラピー」 歯周病の治療を専門とする若林氏は、口腔内に生息する細菌が全身の健康に影響する、歯周病もむし歯も子供の頃からの感染予防が重要、という前提を説明した。また、最近の研究では、歯周炎によってアルツハイマーの発症リスク増加の示唆1)や介護施設で口腔ケアを徹底することで肺炎の発症・死亡者数が低下する報告2)がされるなど、「口腔内だけに留まらない疾患との関連性も指摘されている」とした。若林氏はこうした歯周病と全身疾患の関わりを「ペリオドンタルシンドローム」と名付け、啓蒙活動を行っている。次に、歯磨き・歯科定期検診に続く第3の歯周病予防策として注目される手法として「バクテリアセラピー」を紹介。バクテリアセラピーとは、“口の中にいる善玉菌を増やし、むし歯菌・歯周病菌を減らす”もので、抗菌薬による薬物治療と比較した場合、1)効果が持続する、2)耐性フリー、3)安全である、という優位点があるという。「ロイテリ菌」の歯周病予防効果に着目 続いて坂本氏が、「バクテリアセラピーにはロイテリ菌が有用である」と提唱。ロイテリ菌は、バクテリアセラピー研究で有名なスウェーデンのカロリンスカ研究所・医科大学と特許を持つBio Gaia社が、提携して研究を進めている。ロイテリ菌は1980年代にペルー人の母乳から発見されたもので、日本人は7人に1人が保有するが、そのほかの先進国のヒトから検出されることは少なく、米国人はまったく保有していない。世界100以上の国と地域で使用実績があり、200以上の臨床研究が発表される一方、副作用の報告は1件もないという。ロイテリ菌は体内で「ロイテリン」という有害な菌を抑える物質を生成し、歯周病菌の増殖を抑制する効果が期待できる。歯周病患者を対象とした二重盲検ランダム化比較試験において、ロイテリ菌とプラセボをそれぞれ30日間摂取した群を比較したところ、ロイテリ菌摂取群は、プラーク有りの患者数、歯茎の出血有りの患者数などが減少し、プラセボ摂取群に対し有意差が認められた3)。坂本氏は「安全性が高く、データも豊富なロイテリ菌を長年注目してきた。日本は平均寿命と健康寿命の差が最も大きい国。バクテリアセラピーで歯周病を予防することが、この差を縮めることに役立つはず」とコメントした。 ロイテリ菌関連商品としては、ヨーグルト・サプリメントが市販されている。

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第40回 入らにゃ損!在宅療養支援連絡会J-HOPとは?【週刊・川添ラヂオ】

動画解説今回は川添先生による全国薬剤師・在宅療養支援連絡会 J-HOPのご紹介。J-HOPでは在宅医療に関する基本的な情報や疑問などの”あるある"を検索できる「あるシェア」をはじめ、情報共有や横の連絡を大切にしています。2017年より医師、歯科医との合同大会として全国在宅医療医歯薬連合会全国大会を開催し、他職種連携のための繋がりの場ともなっています。この時代に在宅と無関係な薬剤師など存在しない!地域のドクターと繋がりが持てる!川添先生お勧め団体第1弾。

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日本抗加齢医学会がウェブマガジン創刊

 一般社団法人 日本抗加齢医学会(理事長:堀江 重郎)は、「学術総会の発表内容」や「学会誌コンテンツ」、同学会の特徴である8つの専門領域分科会(日本抗加齢医学会の専門分科会:眼抗加齢医学研究会、抗加齢歯科医学研究会、見た目のアンチエイジング研究会、抗加齢ウィメンズヘルス研究会、抗加齢内分泌研究会、泌尿器抗加齢医学研究会、脳心血管抗加齢研究会、運動器抗加齢研究会)で話題となっているトピックスを広く発信することを目的に4月1日(月)にウェブマガジンを創刊した。 日本抗加齢医学会のウェブマガジン名は『ACTION!』(www.anti-aging.gr.jp/action)。 日本抗加齢医学会のウェブマガジンは、誰でも上記のページにアクセスすることで、閲覧することができる。主に日本抗加齢医学会の学会員のみで共有されていた情報を発信 日本抗加齢医学会は「人がハツラツと生きることで、進化し続けられる社会を作りたい。そのために、今、動き出そう」という思いを込め創刊に至ったとその動機を語る。医療従事者だけでなく、サイトに訪れたすべての方のお役に立てるよう、今後も情報を発信するとしている。 ウェブマガジンの特徴としては、次の内容などが公開されている。・日本抗加齢医学会の学術総会の発表内容や学会誌コンテンツなど、これまで主に学会員のみで共有されていた抗加齢医学に関する情報を発信・日本抗加齢医学会の学会認定医や指導士といった資格がもたらす、医療現場へのメリットを当該資格保持者の「声」として紹介・自らの人生でアンチエイジングを実践する日本抗加齢医学会の学会員のエピソードをコラム形式で紹介

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骨吸収抑制作用と骨形成促進作用を併せ持つ骨粗鬆症薬「イベニティ皮下注105mgシリンジ」【下平博士のDIノート】第22回

骨吸収抑制作用と骨形成促進作用を併せ持つ骨粗鬆症薬「イベニティ皮下注105mgシリンジ」今回は、世界に先駆けて日本で承認・発売されたヒト化抗スクレロスチンモノクローナル抗体「ロモソズマブ(商品名:イベニティ皮下注105mgシリンジ)」を紹介します。本剤は、骨吸収抑制作用と骨形成促進作用の2つの作用で骨密度を高め、骨折の危険性が高い骨粗鬆症患者の骨折リスクを低減することが期待されています。<効能・効果>本剤は、骨折の危険性の高い骨粗鬆症の適応で、2019年1月8日に承認され、2019年3月4日より発売されています。<用法・用量>通常、成人にはロモソズマブとして210mg(シリンジ2本分)を1ヵ月に1回、12ヵ月皮下投与します。なお、投与は病院、診療所などで行われます。<臨床効果>プラセボと比較した臨床試験では、閉経後骨粗鬆症患者7,180例(うち日本人492例)において、投与開始12ヵ月後に新規椎体骨折リスクを73%低減し、その効果は24ヵ月まで持続しました。<副作用>骨粗鬆症患者を対象としたプラセボ対照国際共同第III相試験で、本剤の投与を受けた3,744例中615例(16.4%)に臨床検査値異常を含む副作用が認められました。主な副作用は、関節痛(1.9%)、注射部位疼痛(1.3%)、注射部位紅斑(1.1%)、鼻咽頭炎(1.0%)でした(承認時)。なお、重大な副作用として低カルシウム血症、顎骨壊死・骨髄炎(頻度不明)が認められています。<患者さんへの指導例>1.この薬は、骨形成を促すとともに骨吸収を抑えることで、骨密度を高めて骨折を予防します。2.本剤を投与中は、ブラッシングなどで口腔内を清潔に保ち、定期的に歯科検診を受けてください。顎の痛み、歯の緩み、歯茎の腫れなどを感じた場合は、主治医に連絡してください。3.本剤を使用中に歯の診察を受ける場合は、この薬を使っていることを必ず歯科医師に伝えてください。4.この薬により、低カルシウム血症が現れることがあります。指先や唇のしびれ、痙攣などの症状が見られた場合、すぐに医師・薬剤師に相談してください。<Shimo's eyes>本剤は、国内初の抗スクレロスチン抗体製剤です。スクレロスチンは、破骨細胞による骨吸収を促進し、骨芽細胞による骨形成を抑制する糖タンパク質です。本剤はこのスクレロスチンを阻害することで骨量を増加させ、骨折リスクを低下させます。本剤は、骨折の危険性の高い骨粗鬆症に対して月1回皮下投与します。投与中は、副作用である低カルシウム血症の発現リスクを軽減するために、カルシウムおよびビタミンDの補給を行います。とくに重度の腎機能障害や透析を受けている患者さんでは、低カルシウム血症が発現しやすいので、積極的に検査値などを確認するようにしましょう。本剤による治療を終了・中止する場合、骨吸収が一過性に亢進する懸念があるため、原則として骨吸収抑制薬が使用されます。なお、海外で実施されたアレンドロン酸ナトリウムを対照とした比較試験では、本剤投与群における虚血性心疾患または脳血管障害の発現割合が高い傾向にありました。使用に関しては、脆弱性骨折の有無、骨密度値や原発性骨粗鬆症の診断基準などを目安として、投与が適切かどうか判断することが望ましいとされています。骨粗鬆症による高齢者の骨折は、要介護・要支援の原因となり、健康寿命の延伸、QOLの維持などを妨げることから、本人・家族だけでなく社会にも大きな影響を及ぼします。本剤は、著しく骨密度が低い場合やすでに骨折部位がある場合など、数年以内に骨折するリスクが高い患者さんの新たな治療選択肢となるでしょう。なお、2019年4月時点において、本剤は米国と欧州では審査中であり、海外で承認されている国および地域はありませんので、副作用に関しては継続的な情報収集が必要です。

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調剤ロボットは対人業務への流れを後押しする?【赤羽根弁護士の「薬剤師的に気になった法律問題」】第11回

先日、とある薬局が調剤業務の自動化の実証実験を行うとの報道がありました。報道によれば、各種調剤機器の導入で薬剤師の業務を効率化できる見込みであり、その分対人業務に力を入れられるようになることが期待されているようです。3年以上議論されている対人業務への流れ将来的な対人業務の充実に関しては、本年予定されている医薬品医療機器等法の改正において、「服用期間を通じた継続的な薬学的管理と患者支援」、「医師等への服薬状況等に関する情報の提供」などといった議論がされており、2015年に策定された「患者のための薬局ビジョン~『門前』から『かかりつけ』、そして『地域』へ~1)」でも、基本的な考え方の1つに「~対物業務から対人業務へ~」と記載されています。対人業務が重要視されている一方で、調剤機器の活用などを含めた業務効率化についても議論されており、「薬機法等制度改正に関するとりまとめ2)」には以下のように記載されています。第3 薬剤師・薬局のあり方 2.具体的な方向性(4)対人業務を充実させるための業務の効率化質の高い薬学的管理を患者に行えるよう、薬剤師の業務実態とその中で薬剤師が実施すべき業務等を精査しながら、調剤機器や情報技術の活用等も含めた業務効率化のために有効な取組の検討を進めるべきである。※厚生労働省 薬機法等制度改正に関するとりまとめp.8(平成30年12月25日 厚生科学審議会 医薬品医療機器制度部会)より引用薬剤師に期待されている対人業務を行うためには、対物業務における機械化について、調剤ロボットの活用なども含め、今まで以上に検討していく必要があります。今回の報道の内容は、今後求められる薬剤師の業務と関連づけてみると、より興味深いのではないでしょうか。機械にどこまで任せるのかは人と同等の議論が必要もっとも、業務の一部を機械化するとしても、薬剤師法第19条の存在を忘れてはいけません。(調剤)第19条 薬剤師でない者は、販売又は授与の目的で調剤してはならない。ただし、医師若しくは歯科医師が次に掲げる場合において自己の処方せんにより自ら調剤するとき、又は獣医師が自己の処方せんにより自ら調剤するときは、この限りでない。以下略ここでの「調剤」が何を意味するのかという論点はありますが、薬剤師でなければ「調剤」はできません。そのため、対物業務から対人業務へという流れで、今まで薬剤師が行ってきた業務の一部を非薬剤師に任せるとして、どの業務をどのような形でどこまで任せることができるかなどが議論になっています。薬剤師業務を機械やロボットなどが担う場合には、人と違って議論しづらいかもしれませんが、処方箋の受付から薬剤の交付、服薬指導まで、一連の流れに一切薬剤師が関わらないとなると問題がありそうです。対人業務の充実を図る中で、ロボットなどの導入による機械化が進むのは好ましいことかと思います。しかし、機械による業務については、運用をどうするのかなどだけでなく、人に任せる場合と同様の議論が必要であることを意識しておくべきです。機械化しても責任は薬剤師にある今回報道された薬局でも、その辺りを踏まえて導入しているはずですので、皆さんの薬局などで機械化を進める場合にも、その問題を意識して運用を検討する必要があるでしょう。任せられる業務に関しては、人と機械で差があることが想定されますが、いずれの場合であっても、薬剤師が行うのと同等またはそれ以上の安全性確保が必要でしょうし、薬剤師は、何らかの形で監督しなければならないでしょう。また、一部の業務を機械が行ったとしても、その責任は、機械の操作や調剤、監査に関わった薬剤師などが担うと考えられますので、その点も踏まえた検討をしておくことが適切と考えられます。参考資料1)厚生労働省 患者のための薬局ビジョン~『門前』から『かかりつけ』、そして『地域』へ~2)厚生労働省 薬機法等制度改正に関するとりまとめ(平成30年12月25日 厚生科学審議会 医薬品医療機器制度部会)

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ブルーリボンキャラバン~もっと知ってほしい大腸がんのこと2019 in 東京~【ご案内】

 2019年3月16日(土)に、大腸がん疾患啓発イベント「ブルーリボンキャラバン~もっと知ってほしい大腸がんのこと~」が開催される。同イベントは、大腸がんの診断・検査から外科的治療・薬物療法について広く知ってもらうことを目的に、国際的な大腸がん啓発月間である3月に毎年開催されている。会場は、東京医科歯科大学M&Dタワー 2階 鈴木章夫記念講堂で、予約申し込み不要・参加費無料。当日は、来場者全員にオリジナル冊子「もっと知ってほしい大腸がんのこと」が配布される。また、ブルーを身に着けて来場した方には粗品のプレゼントも用意されている。 開催概要は以下のとおり。【日時】2019年3月16日(土)《セミナー》 13:00~16:50《ブース展示》12:00~17:00【場所】東京医科歯科大学 M&Dタワー 2階 鈴木章夫記念講堂〒113-8519 東京都文京区湯島1-5-45【参加費】無料【予定内容】《セミナー》総合司会 中井 美穂氏(アナウンサー/認定NPO法人キャンサーネットジャパン理事)13:00~13:05 開会挨拶  植竹 宏之氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 消化器化学療法外科 科長)13:05~13:20 講演1「15分で学ぶ!大腸がんの基礎知識」 岡﨑 聡氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 消化器化学療法外科)13:20~13:45 講演2「大腸がんの手術療法~開腹手術からロボット手術まで~」 絹笠 祐介氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 大腸・肛門外科 科長)13:45~14:10 講演3「大腸がんの内視鏡診断・治療、最前線!in2019」 福田 将義氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 光学医療診療部)14:10~14:30 休憩(20分)14:30~14:50 講演4「大腸がんの化学療法~満足のいく治療選択のために~」 石川 敏昭氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 消化器化学療法外科)14:50~15:10 体験談「私のがん体験~25歳で大腸がんと診断されて~」 小池 善氏(大腸がん経験者)15:10~15:30 講演5「大腸がんと遺伝」 山口 達郎氏(がん・感染症センター都立駒込病院 外科・遺伝子診療科)15:30~15:55 講演6「免疫チェックポイント阻害剤~大腸がんへの挑戦~」 谷口 浩也氏(国立がん研究センター東病院 消化管内科)15:55~16:10 休憩(15分)16:10~16:45 Q&A「Q&Aトークセッション 質問票にお答えします!」 座長:杉原 健一氏 パネリスト:絹笠 祐介氏、福田 将義氏、石川 敏昭氏、山口 達郎氏、谷口 浩也氏、       小池 善氏16:45~16:50 閉会挨拶 三宅 智氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍センター センター長)《ブース展示》ホワイエにて、大腸がんの検査・治療に使用する機器などのブース展示を開催します。展示スペースはどなたでもご自由にご観覧いただけます。[出展協力]・東京医科歯科大学医学部附属病院 がん相談支援センター/東京都立中央図書館・東京医科歯科大学医学部附属病院 臨床栄養部/歯学部口腔保健学科・オリンパスメディカルサイエンス販売株式会社・ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社・株式会社メディコン・コヴィディエンジャパン株式会社・アミン株式会社・アルフレッサファーマ株式会社・NPO法人がんと暮らしを考える会・公益社団法人日本オストミー協会/若い女性オストメイトの会ブーケ【問い合わせ先】ブルーリボンキャンペーン事務局 認定NPO法人キャンサーネットジャパン〒113-0034 東京都文京区湯島1-10-2 御茶ノ水K&Kビル 2階TEL:03-5840-6072(平日10時~17時)FAX:03-5840-6073MAIL:info@cancernet.jp【共催】東京医科歯科大学医学部附属病院 消化器化学療法外科東京医科歯科大学医学部附属病院 大腸・肛門外科東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍センター東京医科歯科大学大学院 未来がん医療プロフェッショナル養成プラン認定NPO法人キャンサーネットジャパン【後援】東京医科歯科大学医師会/東京都/文京区/東京都医師会/日本癌治療学会/日本臨床腫瘍学会/大腸癌研究会/公益社団法人日本オストミー協会/NPO法人ブレイブサークル運営委員会/認定NPO法人西日本がん研究機構詳細はこちら

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低ホスファターゼ症〔Hypophosphatasia〕

低ホスファターゼ症のダイジェスト版はこちら1 疾患概要■ 概念・定義低ホスファターゼ症は、組織非特異的アルカリホスファターゼ(ALP)の欠損により引き起こされる疾患である。1948年、カナダのRathbun博士により、最初に報告された。骨X線検査で骨の低石灰化、くる病様変化がみられ、血液検査でビタミンD欠乏性くる病では血清ALP値が高値となるのに対して、本症では低下するのが特徴である。ALPの基質であるphosphoethanolamine、inorganic pyrophosphate(ピロリン酸)、 pyridoxal 5'-phosphateの上昇がみられる。通常、常染色体劣性遺伝性であるが、まれに常染色体優性遺伝性もある。低ホスファターゼ症の中心的な病態は、骨石灰化障害であるが、ALPの活性低下が、低石灰化を引き起こす機序については、まだ完全には理解されていない。骨はI型コラーゲン・オステオカルシンなどからなる骨基質にカルシウム、リンを中心とするミネラル(骨塩)が沈着してできている。骨芽細胞より放出された基質小胞中において、カルシウム、リンは濃縮される一方で、石灰化阻害物質であるピロリン酸は分解されることで、ハイドロキシアパタイトとして結晶化した後、コラーゲン線維上に沈着する。骨基質である類骨の量が増加する疾患が、くる病・骨軟化症であり、骨端線の閉鎖以前に石灰化障害が起きた場合をくる病、閉鎖以後に起こった場合を骨軟化症と呼ぶ。したがって、本症ではALPの活性低下に伴い蓄積するピロリン酸が石灰化を障害することや、局所のリン濃度の低下が低石灰化の原因と考えられている。■ 疫学周産期型低ホスファターゼ症は、10万人出生に1人程度の頻度でみられるまれな疾患である。わが国で最も頻度の高い変異であるc.1559delT変異は、一般人口の480分の1の頻度でみられ、ホモ接合体となって周産期重症型として発症する確率は92万分の1であると計算される。c.1559delTのホモ接合体以外で重症型となる比率を勘案すると、重症型は15万人に1人程度の発症となる。他の病型の頻度は知られていないが、周産期型より多い可能性がある。フランスでは30万人に1人程度と少ない。一方、カナダのメノー派(Mennonites)では、創始者効果でGly334Aspという変異が2,500人に1人の頻度でホモ接合体となる。■ 病因組織非特異型ALPをコードするALPL遺伝子異常により、ALPの酵素活性が低下することにより発症する。今までに350以上の変異が報告され、登録されている(The Tissue Nonspecific Alkaline Phosphatase Gene Mutations Database)。■ 症状骨のくる病様変化が特徴的であるが、症状は多彩で、病型ごとに異なるので、次項を参照してほしい。■ 分類6病型に分類され、173例にも及ぶ本症の症例が報告されている。1)周産期重症型低ホスファターゼ症最も重症なのが、周産期型で、通常致死的である。羊水過多を伴うことが多く、出生時には、四肢短縮、頭囲の相対的拡大、狭胸郭が認められる。全身X線検査像で、全身骨の低石灰化、長管骨の変形、骨幹端不整などがみられる。肺の低形成に伴う呼吸不全で生後早期に死亡することが多い。しかしながら、最近の新生児医療の進歩により、長期生存している例もある。痙攣を伴うことがあり、本症においてはALP活性低下によるPLP代謝異常が引き起こされるので、痙攣はビタミンB6依存性とされる。2)周産期軽症型低ホスファターゼ症骨変形により胎児期に診断された低ホスファターゼ症患児の中に、石灰化不良がほとんどなく、予後良好で通常の生活が営める例があり、本症の中で独立した病型として新たに確立された。日本人例ではF327L変異と本病型の相関性が高い。低身長を呈することもある。遺伝相談などにおいて、本症の致死性の判定については、この病型の存在を念頭に置くべきである。3)乳児型生後6ヵ月までに発症するタイプが乳児型である。発育は最初順調であるが、徐々に体重増加不良、筋力低下がみられ、大泉門は大きく開いている。くる病様変化は次第に明瞭となる。血清および尿中カルシウム値の上昇を伴い、腎石灰化を来す場合がある。呼吸器感染症から呼吸不全で死亡する例が多く、乳児型の予後も良好とはいえない。骨X線検査像は細い肋骨とくる病に特徴的な著しい骨幹端のカッピングがみられる。乳児型では、しばしば高カルシウム血症がみられ、そのため、多尿、腎尿路結石、体重増加不良などがみられる。頭蓋縫合の早期癒合も問題となる。4)小児型小児期に発症するタイプが小児型で、重症度はさまざまである。乳歯の早期喪失(4歳以前)を伴い、食事摂取において問題となることがある。くる病様変化のみられる骨幹端から骨幹に向かってX線透過性の舌様の突出がみられることがあり、本疾患に特徴的である。5)成人型成人になってから発症するタイプが成人型で、病的骨折、骨痛などで気付かれる。小児期にくる病や乳歯の早期喪失などの病歴を持つこともある。X線所見ではLooser zoneがみられることがある。6)歯限局型骨には症状がなく、歯に異常が限局するタイプである。乳歯の早期脱落が、多数の乳歯で起こった場合、見かけの問題に加えて機能的にも残存歯にかかる圧力がさらに他の乳歯の脱落を促進するため、小児用の義歯の装着が必要となる。■ 予後予後は病型により異なる。前項を参考にしてほしい。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)骨X線検査上はくる病様変化、病的骨折がみられ、一般の血液検査では、血清ALP活性およびALPアイソザイム活性が低下する。尿中phosphoethanolamineの上昇は、尿中アミノ酸分析で証明される。これらの所見があれば、低ホスファターゼ症と診断されるが、家族歴も参考となる。通常両親は、異常遺伝子のキャリアで、血清ALP活性は中等度に低下している。さらに診断を確実にするには、遺伝子変異を検索するとよい。筆者らは厚生労働省 難治性疾患克服研究事業において、本症の診断指針を作成したので参考にしていただきたい(表)。表 低ホスファターゼ症の診断指針主症状1.骨石灰化障害骨単純X線所見として骨の低石灰化、長管骨の変形、くる病様の骨幹端不整像2.乳歯の早期脱落(4歳未満の脱落)主検査所見1.血清アルカリホスファターゼ(ALP)値が低い(年齢別の正常値に注意)参考症状1.ビタミンB6依存性痙攣2.四肢短縮、変形参考検査所見1.尿中ホスフォエタノールアミンの上昇(尿中アミノ酸分析の項目にあり)2.血清ピロリン酸値の上昇3.乳児における高カルシウム血症遺伝子検査1.確定診断、病型診断のために組織非特異的ALP(ALPL)遺伝子検査を行うことが望ましい参考所見1.家族歴2.両親の血清ALP値の低下診断基準主症状1つ以上と血清ALP値低値があれば遺伝子検査を行う。参考症状、参考検査所見、参考所見があれば、より確実である。(厚生労働省 難治疾患克服研究事業「低フォスファターゼ症」研究班作成)骨幹端の変化(不整像)を呈する疾患としては、ビタミンD欠乏性くる病、低リン血症性くる病、骨幹端異形成症が挙げられる。本症に特異的な臨床検査と必要に応じ遺伝子検査を行うことで診断可能である。■ 遺伝子診断ヒトのALPL遺伝子は1番染色体に位置し、50kb以上からなり、12のエクソンから構成される。変異は全エクソンにわたってみられる。多くはミスセンス変異であるが、1塩基欠失によるframe shiftおよび3塩基欠失も存在する。また、変異の位置が2つのアレルによって異なるヘテロ接合体が比較的多い。このことから、ALPL変異アレルの頻度は比較的まれではないと推定される。ただ、多くの症例で両親が変異遺伝子のキャリアであることが証明され、いわゆるde novoの変異の頻度は低いものと考えられる。本症の日本人では、310番目のフェニルアラニンがロイシンに置換されるF327Lと1559番目の塩基Tの欠失(1559delT)が比較的多くみられる。1559delTは周産期重症型との相関性が高く、F327Lは周産期軽症型に多い。酵素活性の検討では、F327Lは野生型の約70%の酵素活性が残存するのに対して、1559delTはほぼ完全に酵素活性を喪失している。常染色体優性遺伝を示す症例では、変異型TNSALPは野生型TNSALPの活性を阻害するような、いわゆる優性阻害効果を示すために発症するとされる。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)本症では、確立された根本的な治療法はまだない。ビタミンD欠乏によるくる病様変化ではないので、ビタミンD投与は適応とならない。むしろ、高カルシウム尿症および血症の増悪を来すので避けるべきである。重症型における痙攣はビタミンB6依存性である可能性が高いので、まずビタミンB6の投与を試みる。乳児型ではしばしば高カルシウム血症がみられ、これに対しては低カルシウムミルクを使用する。現在は、酵素製剤アスホターゼアルファが使用可能となったので詳細を述べる。■ 酵素補充療法最近、ALP酵素補充療法が可能となった。ALP酵素製剤は、骨への移行を良くするために(骨標的)、ALPのC末端にL-Aspが10個つながっている(D10)。D10の構造を持つために、骨への親和性が腎臓に比べて100倍程度高まっている。さらにTNSALPとD10の間にIgG1 Fc portionが挿入されている。製剤は、最初Enobia社が開発し、その後アレクシオンファーマ社に引き継がれた。疾患モデルマウスを用いた非臨床試験では骨病変の改善と、長期生存が可能となることが示された。北米では本症に対し、この高骨親和性ALP組換え蛋白質(アスホターゼ アルファ、〔商品名: ストレンジック〕)を使用した酵素補充療法の治験が行われており、良好な成績が発表された。それによると11例の周産期型および乳児型の本症患者を対象としたオープンラベルの治験で、1例は最初の酵素静注時の反応で治療に入らなかった。もう1例も、肺炎により死亡したので、9例に関し、酵素補充療法の有効性、安全性が報告された。治験薬を初回のみ経静脈投与し、その後、週3回経皮投与するという方法で行われ、血清のALP値は中央値で5,000IU/Lを超え、投与法に問題はなかった(注:これは最終的に承認された投与法ではない、下記参照)。骨X線所見による石灰化の判定では、くる病様変化が著明に改善された。さらに、国際共同治験の最終報告もなされた。アスホターゼ アルファを投与された5歳時の全生存率は84%であった。一方、本症の自然歴調査では27%であり、アスホターゼ アルファは低ホスファターゼ症全生存率を改善した。骨の石灰化障害の改善も、定量的に示された。有害事象としては肺炎、呼吸障害、痙攣などを認めたが、治療との因果関係は乏しいと判定された。局所反応もわずかにみられたが、治療を中止する程ではなかった。国内外で実施された臨床試験における総投与症例71例中60例に副作用が認められ、その主なものは注射部位反応であった。わが国においても医師主導治験が行われ、国際共同治験と同様の結果であった。また、重要な注意点として、アスホターゼ アルファの投与により、カルシウムの代謝が促進されるため、低カルシウム血症が現れることがある。定期的に血清カルシウム値をモニターし、必要に応じて、カルシウムやビタミンDの補充を行う。頭蓋早期癒合症も有害事象として記載されている。アスホターゼ アルファは、ストレンジックとして、2015年8月にわが国においてアレクシオンファーマ社より世界に先駆け承認・発売され、その後、欧州、北米でも承認された。ストレンジックの効能・効果は本症で、1回1mg/kgを週6回、または1回2mg/kgを週3回、皮下投与して行う酵素補充療法である。わが国において本酵素療法の保険診療は始まっており、PMS(post-marketing survey)などを通じて、本製剤の有効性、安全性がより詳細に判明していくと思われる。4 今後の展望今後は、酵素補充療法の有効性、安全性をより長期に検討していく必要がある。また、諸外国に比べ、わが国では本症の成人例が少ないように思われる。診断に至っていないのか、実際に少ないのか、これから解明していかなければならない課題である。5 主たる診療科小児科、整形外科、歯科、産科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報The Tissue Nonspecific Alkaline Phosphatase Gene Mutations Database(遺伝子変異のデータベースサイト;医療従事者向けのまとまった情報)難病情報センター 低ホスファターゼ症(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報低フォスファターゼ症の会(患者と患者家族向けのまとまった情報)1)大薗恵一. 日本臨牀 別冊 先天代謝異常症候群(第2版)下. 日本臨牀社;2012;20: 695-699.2)Mornet E. Best Pract Res Clin Rheumatol. 2008;22:113-127.3)Ozono K, et al. J Hum Genet. 2011;56:174-176.4)Michigami T, et al. Eur J Pediatr. 2005;164:277-282.5)Whyte MP, et al. Bone. 2015;75:229-239.6)Whyte MP, et al. N Engl J Med. 2012;366:904-913.7)Whyte MP, et al. J Clin Endocrinol Metab. 2016;101:334-342.8)Kitaoka T, et al. Clin Endocrinol (Oxf). 2017;87:10-19.9)Kishnani PS, et al. Mol Genet Metab. 2017;122:4-17.公開履歴初回2014年12月11日更新2019年1月29日

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残業年960時間、特例2,000時間の中身とは~厚労省から水準案

 医師の時間外労働の上限について、厚生労働省「医師の働き方改革に関する検討会(第16回)」が1月11日開かれ、事務局案として2つの上限水準が示された。この水準は時間外労働規制として2024年4月から適用予定のもので、今後は事務局案を基に議論を進め、今年度中に結論を出す見通しとなっている。時間外労働、年960時間/1,900時間の働き方を具体的にみると… 一般労働者においては、2019年4月から適用される時間外労働の上限時間は年360時間・月45時間とされており、年6ヵ月に限定した例外措置が設定されている1)。医師における時間外労働の上限として、検討会では下記(A)~(C)3つの枠組みを設けることを検討している。(C)については水準を別途設けるべきかを含め、今後議論される予定で、今回は(A)(B)について具体的な数値案が示された。なお、(B)は地域医療提供体制確保の観点から、やむを得ず(A)の水準を超えざるを得ないとして特定の医療機関(2024年4月までに検討・決定予定)に適用される形が想定されており、2035年度末を目途に解消を目指すとされている2)。(A)原則:年960時間・月100時間(例外あり)※休日労働含む(B)地域医療確保暫定特例水準:年1,900~2,000時間・月100時間(例外あり)※休日労働含む(C)一定の期間集中的に技能向上のための診療を必要とする医師向けの水準:〇〇 同検討会で並行して議論されている「勤務間インターバル9時間、当直明けは18時間確保」を適用のうえ、(A)(B)を満たす働き方として示された具体例は下記のとおり。(A)時間外労働年960時間程度≒週20時間の働き方の例・週1回の当直(宿日直許可なし)を含む週6日勤務・当直日とその翌日を除く4日間のうち1日は半日勤務で、それ以外の3日間は1日1時間程度の時間外労働・当直明け勤務は昼まで・年間80日程度の休日(おおむね4週6休に相当)(B)時間外労働年1,900時間程度≒週40時間の働き方の例・週1回の当直(宿日直許可なし)を含む週6日勤務・当直日とその翌日を除く4日間は早出または残業を含め1日14時間程度の勤務・当直明け勤務は昼まで・年間80日程度の休日(おおむね4週6休に相当) これらの具体例の提示を受け、赤星 昂己氏(東京医科歯科大学医学部附属病院救命救急センター 医師)は「1,900~2,000時間と聞くと長いという印象を受けたが、具体例をみてみると余裕でありうる設定だと感じた。ただし、現状の人数のままでインターバル9時間の実現は難しいと思われ、集約化を進めないと難しいだろう。懸念としては、暫定特例水準が認められた病院が若手に避けられてしまわないか、という点がある。」とコメントした。現状でも6割は960時間以内、著しく超過しているのは1割 厚労省の時間外労働時間についての調査では、病院勤務医の約6割が現状でも年960時間以内、約3割が年960時間から1,900~2,000時間、そして約1割を占める2万人がそれ以上と報告されている。年1,920時間以上の該当者がいる病院の割合をみると、大学病院の88%、救急機能を有する病院の34%、救命救急機能を有する病院の82%であった。また病床数別にみると、400床以上で68%、200床以上400床未満で21%、200床未満で13%というデータも示されている。 構成員からは、「地域で1次・2次の救急を担っている病床数の少ない病院にも該当者がいるのではないか。そのデータをしっかりみて、今後の議論を進めていくべき。医師数が少ないところは看護師数も少ない。そこでどうタスクシフトするのか、その点についてももっと詳細に考えなくてはいけない(片岡 仁美氏、岡山大学医療人キャリアセンターMUSCAT センター長)」、「水準の適用後、時間の達成状況だけでなく、地域医療の質に対する影響の調査が重要になるのではないか(城守 国斗氏、日本医師会常任理事)」などの意見が上がった。■参考1)厚生労働省「36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針」2)厚生労働省「第16回医師の働き方改革に関する検討会」資料

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第5回 東京医科歯科大学「がんを考える」市民公開講座【ご案内】

 東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍センター、同院消化器化学療法外科、同大学院臨床腫瘍学分野、同大学院未来がん医療プロフェッショナル養成プランは、2019年1月13日(日)に、第5回「がんを考える」市民公開講座を開催する。本講座は、同院が地域がん診療連携拠点病院の活動の一環として、がんに関するさまざまなテーマで開催する公開講座の5回目となる。今回は『がん治療とQOL(生活の質)』をテーマに、がん治療中のQOLの維持に積極的に取り組む意味や、QOLの維持に役立つ情報を広く知ってもらうための内容となっており、各種ブース展示や体験コーナーなど、楽しく学べる企画が多数予定されている。 開催概要は以下のとおり。【日時】2019年1月13日(日)《ブース展示》12:00~17:00《セミナー》13:00~16:40【場所】東京医科歯科大学 M&Dタワー2F 鈴木章夫記念講堂〒113-8519 東京都文京区湯島1-5-45現地キャンパスマップはこちら【参加費】無料(※参加申し込み不要)【テーマ】がん治療とQOL(生活の質)【予定内容】《セミナー》13:00~16:40 鈴木章夫記念講堂 司会:石黒 めぐみ氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 消化器化学療法外科)13:00~13:05 開会挨拶 三宅 智氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍センター/緩和ケア科)13:05~13:25 講演1 知ってますか? がん治療とQOLの関係 石川 敏昭氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 消化器化学療法外科)13:25~13:55 講演2 がん患者さんのための栄養・食事の工夫 有本 正子氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 臨床栄養部)13:55~14:25 講演3  摂食嚥下(食べる・飲み込む機能)の大切さ 中川 量晴氏(東京医科歯科大学歯学部附属病院 摂食嚥下リハビリテーション外来)14:25~14:55 講演4 「がんのリハビリテーション」ってどんなもの? 何のため? 酒井 朋子氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 リハビリテーション部)14:55~15:15 休憩15:15~15:35 医科歯科大のがん治療 update(1) 「遺伝性乳がん・卵巣がん(HBOC)外来」がスタートしました 大島 乃里子氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 周産・女性診療科)15:35~15:55 医科歯科大のがん治療 update(2) もっと知ってほしい!「緩和ケア病棟」のこと 三宅 智氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍センター/緩和ケア科)15:55~16:35 パネルディスカッション がん治療とQOL 座長:植竹 宏之氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 消化器化学療法外科)16:35~16:40 閉会挨拶 川﨑 つま子氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 看護部長)《ブース展示》 12:00~17:00 講堂前ホワイエ■がんと栄養・食事 (東京医科歯科大学医学部附属病院 臨床栄養部)■お口の楽しみ、支えます (東京医科歯科大学歯学部 口腔保健学科)■「がんのリハビリテーション」ってどんなもの? (東京医科歯科大学医学部附属病院 リハビリテーション部)■「がんゲノム医療」ってなに? (東京医科歯科大学医学部附属病院 がんゲノム診療科)■ウィッグ・メイクを楽しもう! (アプラン東京義髪整形/マーシュ・フィールド)■術後の補正下着・パッドのご紹介 (株式会社ワコール リマンマ)■抗がん剤治療の味方「CVポート」ってどんなもの? (株式会社メディコン)■がん患者さんの家計・お仕事に関するご相談 (特定非営利活動法人 がんと暮らしを考える会)■がん患者と家族へのピアサポートの紹介 (特定非営利活動法人 がん患者団体支援機構)■リレー・フォー・ライフ・ジャパン(RFLJ)のご紹介 (RFLJ御茶ノ水実行委員会)■その情報、図書館で調べられます (東京都立中央図書館/東京医科歯科大学医学部附属病院 がん相談支援センター)■看護師よろずミニ相談 (東京医科歯科大学医学部附属病院 専門・認定看護師チーム)■「もっと知ってほしい」シリーズ冊子 (認定NPO法人 キャンサーネットジャパン)【お問い合わせ先】東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍センター〒113-8519 東京都文京区湯島1-5-45TEL:03-5803-4886(平日 9:00~16:30)【共催】東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍センター東京医科歯科大学医学部附属病院 消化器化学療法外科東京医科歯科大学大学院 臨床腫瘍学分野東京医科歯科大学大学院 未来がん医療プロフェッショナル養成プラン【協力】認定NPO法人キャンサーネットジャパン【後援】東京医科歯科大学医師会東京都医師会/東京都/文京区第5回 東京医科歯科大学「がんを考える」市民公開講座 詳細はこちら

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処方箋なしで医療用医薬品を販売していい場合とダメな場合【赤羽根弁護士の「薬剤師的に気になった法律問題」】第6回

先日、薬局において処方箋に基づかず処方箋医薬品を販売したことなどを理由に、埼玉県が当該薬局開設者に業務停止命令(薬局業務停止4日間)の処分を行いました。処分理由は以下のとおりです。(1)当該薬局は、平成30年1月5日から同月22日までの14日間、医師から処方箋の交付を受けていない患者176名に対し、処方箋医薬品である高血圧症治療薬等129品目を販売した。(医薬品医療機器等法第49条第1項違反)(2)当該薬局は、平成30年1月5日から同月20日までの13日間、医師から向精神薬処方箋の交付を受けていない患者29名に対し、向精神薬である睡眠導入剤等18品目を販売した。(麻薬及び向精神薬取締法第50条の16第4項違反)(3)当該薬局は、平成30年1月5日から同月22日までの14日間、患者111名に対し、医薬品医療機器等法施行規則第205条で定められた文書の交付を受けずに劇薬である高血圧症治療薬等37品目を販売した。(医薬品医療機器等法第46条第1項違反)※県政ニュース(報道発表資料)2018年9月「薬局開設者に対する行政処分(業務停止)について1)」より引用このうち(1)が、今回のテーマである処方箋医薬品を処方箋なしで販売したという処分理由になります。処方箋医薬品については、以下のとおりの規定があり、原則処方箋がなければ販売することができません。(処方箋医薬品の販売)第49条 薬局開設者又は医薬品の販売業者は、医師、歯科医師又は獣医師から処方箋の交付を受けた者以外の者に対して、正当な理由なく、厚生労働大臣の指定する医薬品を販売し、又は授与してはならない。ただし、薬剤師等に販売し、又は授与するときは、この限りでない。なお、ここで処方箋に基づかず販売できる「正当な理由」は、「薬局医薬品の取扱いについて2)」(薬食発0318第4号 平成26年3月18日厚生労働省医薬食品局長)において、大規模災害時などが示されています。処方箋医薬品以外の医療用医薬品は薬局で販売していい?さて、本件は、処方箋医薬品を処方箋なしに販売した事案ですが、薬局で扱う医療用医薬品のなかには、処方箋医薬品以外の医療用医薬品もあることはご存じのとおりです。このような処方箋医薬品以外の医療用医薬品においても、薬局では通常、処方箋に基づいて調剤していると思いますが、処方箋医薬品でないということは、処方箋がなくてもルールに従えば薬局で販売することが可能ということです。とは言っても、実際は、処方箋医薬品以外の医療用医薬品を積極的に販売している薬局は少ないのではないでしょうか。これは、「薬局医薬品の取扱いについて」において、「処方箋医薬品以外の医療用医薬品(薬局製造販売医薬品以外の薬局医薬品をいう。以下同じ。)についても、処方箋医薬品と同様に、医療用医薬品として医師、薬剤師等によって使用されることを目的として供給されるものである」と示されたうえで、原則として、処方箋医薬品と同様に「正当な事由」が認められる場合に販売すべきとされているからと思われます。このような通知があるためか、積極的な販売を行っている薬局は少ないようです。また、仮に販売する場合であっても、同通知においては、「一般用医薬品の販売による対応を考慮したにもかかわらず、やむを得ず販売を行わざるを得ない場合などにおいては、必要な受診勧奨を行った上で、第3の事項を遵守するほか、販売された処方箋医薬品以外の医療用医薬品と医療機関において処方された薬剤等との相互作用・重複投薬を防止するため、患者の薬歴管理を実施するよう努めなければならない」とされており、さらに、原則、使用者本人にしか販売ができません。もっとも、最近は積極的に販売を行っている薬局もあるようですが、販売数量の限定など同通知の留意事項(第3の事項)を遵守することとされており、その他の規制3)も含めて遵守する必要があるので注意が必要です。処方箋がなくても販売できる条件を知っておく処方箋医薬品と処方箋医薬品以外の医療用医薬品は、薬局においては、原則的に処方箋に基づくものとして同一に扱っていることが多いかもしれませんが、上記のとおり法的な規制は異なっています。処方箋医薬品は例外以外では処方箋がなければ販売できませんが、処方箋医薬品以外の医療用医薬品は、積極的に販売しないとしても、一般用医薬品の販売による対応ができない場合には、状況によって販売する必要性がある場合もあると思いますので、販売にかかるルールを知っておく必要があるでしょう。なお、参考として、古い判例ですが、「電話に依る医師の虞(処)方と雖(いえども)急速を要する場合に於て過誤を避くる為必要にして且十分なる注意に依り確実性を保障するに必要なる条件を具備するときは之を処方箋と同一視するを妨げず※」(昭和6年12月21日大審院判決 大審院刑事判例集10巻803頁)と判断していることは、電話においても処方箋と同一視できる可能性を示しており興味深いです。※原文に括弧書きで一部補足いたしました。ちなみに、この事案が判明した経緯は、通報によるもののようです。コンプライアンスが重要視される世の中ですから、日頃から法令遵守の意識を強く持っておくことの重要性を改めて認識しておきたいですね。参考資料1)埼玉県公式ホームページ 県政ニュース(報道発表資料)2018年9月「薬局開設者に対する行政処分(業務停止)について」2)厚生労働省医薬食品局長 薬局医薬品の取扱いについて3)厚生労働省医薬食品局長 薬事法及び薬剤師法の一部を改正する法律等の施行等について

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臨床研究法施行で何が変わったか~メリット・デメリット

 今年4月1日に「臨床研究法」が施行された。降圧薬に関する臨床研究でのデータ操作への疑念や、メーカーの関与といった問題の発覚から制定されたこの法律に、戸惑っている研究者も多いのではないだろうか。今回、今月末に日本で初めて開催されるICPM(International Conference on Pharmaceutical Medicine:国際製薬医学大会)2018の大会長である今村 恭子氏(東京大学大学院薬学系研究科ファーマコビジネス・イノベーション特任教授)とICPM組織委員会の広報担当である松山 琴音氏(日本医科大学研究統括センター副センター長/医療管理学特任教授)に、臨床研究法の要点、メリット・デメリット、研究を行う医師への影響などを伺った。なお、この法律については、ICPM2018と同時開催される第9回日本製薬医学会(JAPhMed)年次大会のセッションでも取り上げられる予定だ。臨床研究法における書式統一の先駆け的存在が日本製薬医学会 JAPhMedは、製薬企業や行政の勤務医をはじめ、大学・医療機関において臨床研究に従事する医師などによる学会である。今村氏によると、「所属会員は現在約300名だが、メディカルアフェアーズ(MA)、メディカルサイエンスリエゾン(MSL)という職種に注目が集まるなか、医師以外の参加者が増えている」という。 学会活動の1つに「企業等が研究機関に対して契約に基づき資金を提供する場合に使用する契約書式の例示」がある。臨床研究に関する契約書式を医薬品企業法務研究会(企業に所属する弁護士や法務担当者を中心に作られている研究団体)の経済法研究部会と共同で2009年に第1版を作成しており、JAPhMedは臨床研究法における書式統一の先駆け的存在ともいえる。臨床研究法では特定臨床研究の管理方法が厳重に “承認申請目的の医薬品等の臨床試験”である「治験」には医薬品医療機器等法(薬機法)に基づくGCPが適用される。一方、薬機法における未承認・適応外の医薬品等の臨床研究や、製薬企業などから資金提供を受けて実施される医薬品等の臨床研究である「特定臨床研究」は、法に縛られることなく倫理指針に基づいて行われてきたため、研究資金の提供や研究不正に対する歯止めがきかない状態であった。これを見直すべく、臨床研究法が2017年4月14日に公布、今年4月1日に施行された。 臨床研究法では、医療機関での特定臨床研究の実施に係る措置として、1)モニタリング・監査の実施、利益相反の管理、研究対象者の保護、疾病等の報告や5年間の記録の保存、2)研究計画書の厚労省への提出義務、3)研究対象者への補償、4)実施基準違反に対する指導・監督の4点が設けられた。松山氏は、「法制定により倫理審査委員会(IRB)が認定制になった。これまでは委員会要件を満たせば誰でも委員になれたが、今後は、委員の経歴や適格性なども含め、各地方厚生局の審査を経て厚労省に届け出すことになった。また、研究を行う医師にも、懲役もしくは罰金の罰則が設けられた」と管理方法が厳重になったことに言及した。 また、臨床研究法が施行された2018年4月1日より前から実施している特定臨床研究については、法施行後1年間の経過措置が設けられており、認定臨床研究審査委員会による審査を経たうえで、2019年3月31日までに厚生労働大臣に実施計画書を提出することが義務付けられている。 一方、製薬企業などに対しては、「契約の締結」と「研究資金等の提供に関する情報等の公表」の2点が義務付けられた。公表の対象となる資金の提供先には、医療機関や大学、NPO法人などが含まれ、1)研究資金等、2)寄附金、3)原稿執筆および講演の報酬その他の業務に要する費用の3つについては、インターネット上で5年間公表し続けることになっている。臨床研究法の患者目線での必要性の理解を求めた 臨床研究法におけるメリット・デメリットについては、次の内容が挙げられる。<メリット>・書式の統一化・Single IRB:これまでは関連する機関すべてのIRBで審査をかけていたが、認定された1つのIRBのみで可能となる・倫理的観点だけでなく科学的観点も重要視:技術専門員による評価が必須(対象領域を専門とする医師/歯科医師、生物統計家、臨床薬理学者など)・透明性:利益相反管理基準(特定企業から年間250万円以上を受け取っている医師は、原則、研究代表医師になれない)の適用 このことを踏まえ、今村氏は「スムーズに進めるための書式の標準化をはじめ、委員会要件が明確に定義されたことで、全国で統一された研究体制が期待できるようになる」と臨床研究法による法的規制に対する期待を膨らませた。<デメリット>・雇用負担:認定IRBの専任事務局員4名の配置が必要・契約における時間の増大:認定臨床研究審査委員会の中には、審査費用の支払いに当たり契約が必要なところがあり、審査までの時間が増大するケースがある(ただし、認定臨床研究審査委員会契約が不要な認定審査委員会もある)・書類作成負担の増大:企業が準備を担っていた書式を研究責任医師が準備する・臨床研究保険の措置:補償内容も含めた説明文書の作成と患者の文書による同意が必要・資金提供契約が必要:研究者自身が主体となって、企業に研究の提案を行うとともに、臨床研究に必要な計画および予算を提示し、資金提供契約に基づく実施を目指す必要がある 臨床研究法には上記のようなデメリットがあり、研究者にとっては研究がやりづらくなるものの、今村氏は「治験では契約があるのに、これまで臨床研究の契約がなかったことがおかしい」とし、また、「研究目的だけが先行して、患者に結果を返せていなかった」と患者目線での臨床研究法の必要性に対する理解を求めた。臨床研究に参加する前に、まずは臨床研究法を学んでほしい 両氏は、「実施計画作成などの研究に必要なプロセスを経ずに研究を行ってきた医師を教育し、研究費の予算立てをして製薬企業に研究の必要性をアピールする能力を育成する重要性を臨床研究医に発信していかないといけない」と述べ、製薬企業に対しては「MAの定着に努めてほしい」とコメントした。加えて、今村氏は「これらのニーズに対して貢献できる学会を目指したい。MSL制度認証の普及に寄与し、患者が求めているものを創る、患者中心の医療開発を目指して学会運営に取り組んでいる」と、医療における学会の役割を示し、「まずは臨床研究に参加する前に臨床研究法を学んでほしい」とICPM2018、日本製薬医学会(JAPhMed)年次大会への参加を呼びかけた。<ICPM2018、第9回日本製薬医学会(JAPhMed)年次大会の概要>会期:2018年9月27日(木)、28日(金)9:00~19:30 ICPM&JAPhMed共通   2018年9月29日(土)9:00~16:00 JAPhMed年次大会場所:東京大学 伊藤国際学術研究センター(9月27・28日)   東京大学医学部教育研究棟14階鉄門記念講堂(9月29日)ホームページ:https://www.icpm2018tokyo.com/index.html

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処方提案、残薬調整の法的な位置付けは?【赤羽根弁護士の「薬剤師的に気になった法律問題」】第5回

先日、身内が入院することになり、付き添いで大学病院に行ってきました。病院に着いて、まずは入院の事務手続きをし、部屋が決まり、その後、病棟に行き、荷物の整理をしていると、白衣を着た女性が部屋にやってきました。「○○さん。薬剤師の△△です。少しお話しさせてください」と。薬剤師の先生でした。私としては、薬剤師とこうして病棟で会ったことがなかったので新鮮でしたし、なにより、入院して一番初めに話す医療者が薬剤師であったことに、とても驚きました。身内と薬剤師のやり取りでは、他の病院から処方されている薬剤、市販薬なども含めて持参薬の確認、薬に関する質問などがありました。その後、薬剤師がどのような業務を行うのか詳細はわかりませんが、その情報を基に入院中の処方検討などをするのかと思います。病院によっては、医師による診察の前に行う薬剤師外来というものがありますが、それと同様に、処方提案や残薬調整なども行うのかもしれません。さて、このようなやり取りを見て、薬剤師が病棟で活躍する時代になったことを実感するとともに、対人業務が重視されるなか、処方提案や残薬調整についての業務は、薬剤師の重要な業務であることを再認識しました。そこで、このような業務の法的な位置付けについて考えてみました。現行法は薬剤師の職務の広がりに追いついていない?薬剤師の業務については薬剤師法に規定されており、具体的な内容は、その第4章(業務)で定められています。第19条 調剤の独占第20条 薬剤師の名称独占第21条 応需義務第22条 調剤の場所第23条 処方せんに基づく調剤第24条 疑義照会第25条 調剤した薬剤の表示第25条の2 調剤した際の情報提供および指導第26条 調剤済み処方せんへの署名など第27条 処方せんの保存第28条 調剤録の記入・保存第28条の2 薬剤師の氏名の公表第28条の3 事務の区分これを見るとわかるように、処方提案や残薬調整というのは、薬剤師法において、明確には規定されていません。調剤の定義をどのように捉えるのかによって変わる、あるいは情報提供や指導に含まれるのでは、という議論もあるかもしれません。しかし、調剤は処方せんに基づくのが前提であり、情報提供や指導も調剤した際の義務なので、調剤前の段階や自らが調剤していない薬剤の残薬調整となると、これらのなかに含めて考えるのは難しいような気もします。「保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則」にも調剤を行う場合の服薬状況および服用歴の確認などの規定がありますが、薬剤師法と同様に明確なものではありません。残薬調整に関係しそうな条文としては、在宅での残薬調整を前提にした以下の規定(薬剤師法施行規則13条の2第1項2号)がありますが、これも自身で調剤することを前提としています。薬剤師が、処方せんを交付した医師又は歯科医師の同意を得て、当該処方せんに記載された医薬品の数量を減らして調剤する業務(調剤された薬剤の全部若しくは一部が不潔になり、若しくは変質若しくは変敗するおそれ、調剤された薬剤に異物が混入し、若しくは付着するおそれ又は調剤された薬剤が病原微生物その他疾病の原因となるものに汚染されるおそれがない場合に限る)。以上のとおり、現在の対人業務で重要とされる処方提案などに、患者との関係では契約上の義務とされる場合があるとしても、法的に明確な規定はありません。薬剤師の任務についての規定は薬剤師法第1条にあり、もちろん調剤だけではありませんが、第4章の業務に規定されているのは、調剤に関わるものであり、薬剤師の職務の広がりを見ると、法が追い付いていないという側面があるかもしれません。(薬剤師の任務)第1条 薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによつて、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする。今後の医薬品医療機器等法改正で薬剤師の対人業務はさらに明記される?処方提案や残薬調整などは、法的に明確な位置付けはありませんが、薬剤師の専門性から期待されている業務といえるかと思います。そのため、調剤報酬などでは評価されているのでしょう。薬剤師が、処方提案や残薬調整などを積極的に行っていくことは好ましいはずです。現状の具体的な例を挙げますと、2014年に「必要な薬学的知見に基づく指導」(薬剤師法25条の2)が追加されました。このことは対人業務の充実への期待といえますので、ほかの業務でもよい結果を示すことが、今後の法改正につながるかもしれません。法に明記されるということは、国民からの期待といってもいいかと思いますし、薬剤師に対してそのような期待を持ってもらいたいところです。“対物”から“対人”という流れで、薬剤師の業務も今後、より変化していくでしょう。そういう意味で、来年予定されている医薬品医療機器等法の改正には注目をしたいところです。参考資料1)e-Gov 薬剤師法2)e-Cov 保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則3)e-Gov 薬剤師法施行規則

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入浴中の熱中症が溺水を引き起こす?

 わが国では入浴に関連する突然の心停止がしばしば起こる。今回、慶應義塾大学/東京歯科大学市川総合病院の鈴木 昌氏らの前向き横断観察研究から、非致死的イベントを含む事故が頻繁に発生していること、また体温上昇を伴う、機能障害による意識障害と昏睡が、キーとなる症状であることがわかった。本研究の結果から、お湯に浸水中の熱中症が溺水を引き起こすことが示唆されるという。Internal Medicine誌オンライン版2018年8月24日号に掲載。 著者らは、東京都、佐賀県、山形県において、2012年10月~2013年3月に前向き横断観察研究を実施した。緊急医療システムの起動が入浴関連であると救急隊員が認識した場合にイベントを本研究に登録し、救急隊員および担当医から交付されたサーベイランスカードを収集した。 主な結果は以下のとおり。・本研究で計4,593イベントが登録された(心停止1,528例、救助が必要な生存者935例、急性疾患1,553例、外傷577例)。・救助が必要および急性疾患の生存者の主症状として、器質的疾患のない意識障害および昏睡が認められた。・急性冠症候群および脳卒中の診断はまれであった。・生存者の30%は体温が38℃を超えていた。・意識レベルは体温と有意に相関していた。・救急隊員の報告では、顔が浴槽の湯に浸漬していた例は、突然の心停止で79%、生存者で18%であった。

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宿日直や自己研鑽はどう扱う?~医師の働き方改革

 厚生労働省「医師の働き方改革に関する検討会(第9回)」が9月3日開かれ、今年度末のとりまとめに向け具体的な議論が開始された。医師の時間外労働の上限時間数の設定をはじめとした対応を議論していくにあたり、座長を務める岩村 正彦氏(東京大学大学院法学政治学研究科教授)は、(1)働き方改革の議論を契機とした、今後目指していく医療提供の姿(国民の医療のかかり方、タスク・シフティングの効率化等)、(2)医師の特殊性を含む医療の特性(応召義務の整理)、(3)医師の働き方に関する制度上の論点(時間外労働の上限時間数の設定、宿日直や自己研鑽の取り扱い等)の3つを軸とすることを提議。この日は事務局が示すデータを基に、宿日直と自己研鑽についての議論が開始された。 まず、勤務医の週勤務時間について分析した結果(病院・大学病院勤務医約20万人対象)、週50時間以上が6割以上を占めていた(オンコール待機は除外したデータ)、これまでのデータを紹介。性別、年代、診療科や地域ブロック別に分析されたデータも示され、「属性別に特段大きな特徴は見られない」とされたが、これに対し委員からは「全国的に一律の基準にしてしまったら医療は崩壊する。地域ごと・診療体制ごとにもっと丁寧な分析が必要」という声が上った。宿日直の類型化は必要? そして実現は可能なのか さらに四病院団体協議会が今年7~8月に実施した平日時間外の勤務実態についてのアンケート調査からは、当直勤務中(17時から翌9時までの16時間)の診療時間数について、2時間以下だった医師が全体の34%を占めた一方で、8時間を超える医師も19%存在することが明らかとなった。事務局側は、当直勤務の実態としては3つ(ほぼ診療なし/一定の頻度で診療が発生/日中と同程度に診療が発生)に大別できるのではないかとの視点を提供。委員からは、「当直勤務の負担レベルを労基署が判断するようなことは難しく、混乱を招きかねない。診療実態に即した形で、医療者側からみた類型化が必要なのではないか(今村 聡氏、日本医師会女性医師支援センター長)」、「総時間もあるが、断続的に対応している場合、睡眠が確保できない。睡眠の質の確保という観点も加えるべきではないか(黒澤 一氏、東北大学環境・安全推進センター教授)」、「健康への影響が大きい当直明けの連続勤務についての視点が抜けている(村上 陽子氏、日本労働組合総連合会総合労働局長)」などの意見が上った。自己研鑽にあたるもの、あたらないものとは 自己研鑽については、「病院勤務医の勤務実態調査(2017年12月~2018年2月実施)」において「自己研修」として記録された行為を参考に、事務局から自己研鑽と考えられているものの例が提示された(診療ガイドラインについての勉強、新しい治療法や新薬についての勉強、自らが術者等である手術や処置等についての予習や振り返り、自主参加の学会や外部の勉強会への参加・発表準備等、自主的な院内勉強会への参加・発表準備等、自主的な論文執筆・投稿、大学院の受験勉強、専門医の取得・更新[勤務先の雇用条件となっていない場合]、参加が必須ではない上司・先輩が術者である手術や処置等の見学、診療経験や見学の機会を確保するための当直シフト外での待機、臨床研究)。 委員からは、「健康管理をしたうえで、必要な自己研鑽が時間内にできるような勤務スケジュールのデザイン、システムの整備が必要(三島 千明氏、青葉アーバンクリニック総合診療医)」、「1つひとつの自己研鑽を評価するのではなく、“自己研鑽手当”のような形で包括的に評価していくことができないか(黒沢氏)」、「“使用者の指揮命令下かどうか”が1つの判断基準とすると、労働者は労働だと思っているが、使用者は自己研鑽だと思っているものが問題になるのではないか(赤星 昂己氏、東京医科歯科大学医学部附属病院救命救急センター医師)」などの多様な意見が出された。 今後は、国民の医療のかかり方について9月中にも懇談会が新たに設置される予定のほか、応召義務の解釈についても別途研究班が発足して議論が始まっており、これらの議論を検討会で吸い上げつつ、上限時間数の設定等について複数の試案を提案することも視野に入れ、引き続き議論を進める方針だ。■参考厚生労働省「第9回医師の働き方改革に関する検討会」資料■関連記事厚労省・医師の働き方改革検討会が初会合-残業規制の在り方など19年3月ごろ取りまとめ

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