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コロナワクチンの有効性、AZ製vs.ロシア製vs.中国製/Lancet

 アルゼンチンにおいて使用された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する3種類のワクチンは、いずれもSARS-CoV-2感染とCOVID-19による死亡を減少させ有効であることが認められた。アルゼンチン保健省のAnalia Rearte氏らが、60歳以上を対象とした診断陰性デザイン(test-negative design)による症例対照研究の結果を報告した。アルゼンチンでは、2021年1月よりrAd26-rAd5(Sputnik製)、ChAdOx1 nCoV-19(AstraZeneca製)およびBBIBP-CorV(Sinopharm製)を用いたCOVID-19ワクチン接種キャンペーンが開始されていた。Lancet誌オンライン版2022年3月15日号掲載の報告。2021年1月~9月に報告された60歳以上のCOVID-19疑い約128万例を解析 研究グループは、2021年1月31日~9月14日にNational Surveillance System(SNVS 2.0)に報告された60歳以上のCOVID-19疑い例を登録し、RT-PCR検査でSARS-CoV-2感染が確認された患者を症例、確認されなかった患者を対照として、3種類のCOVID-19ワクチン(rAd26-rAd5、ChAdOx1 nCoV-19、BBIBP-CorV)の有効性を評価する診断陰性デザインを用いた症例対照研究を行った。ワクチン未接種者は登録可能とし、ワクチン接種プログラム開始前に発症したCOVID-19疑い例は除外した。 SARS-CoV-2感染のオッズ比(OR)はロジスティック回帰モデルで評価し、RT-PCR検査でCOVID-19と確認された患者の死亡リスクは補正後の比例ハザード回帰モデルを用い、交絡因子(症状発現日の年齢、性別、居住地域、症状発現日の疫学週、COVID-19既往有無)を補正して評価した。また、感染および死亡の推定値を組み合わせ、COVID-19による死亡に対するワクチンの予防効果を間接的に評価した。さらに、ウイルスベクターワクチンの1回目接種の経時的な有効性も評価した。 解析対象は計128万2,928例で、そのうちrAd26-rAd5解析が68万7,167例(53.6%)、ChAdOx1 nCov-19解析が35万8,431例(27.6%)、BBIBP-CorV解析が23万7,330例(18.5%)であった。死亡への2回接種の有効率、ロシア製93.1%、AZ製93.7%、中国製85.0% 2回接種による感染予防効果は3種類のワクチンすべてで高く、補正後ORはrAd26-rAd5で0.36(95%信頼区間[CI]:0.35~0.37)、ChAdOx1 nCoV-19で0.32(0.31~0.33)、BBIBP-CorVで0.56(0.55~0.58)であった。 2回接種による死亡予防効果は、感染予防効果より高く、補正後ハザード比(HR)はrAd26-rAd5で0.19(95%CI:0.18~0.21)、ChAdOx1 nCoV-19で0.20(0.18~0.22)、BBIBP-CorVで0.27(0.25~0.29)であった。死亡に対する間接的なワクチン2回接種の有効率は、rAd26-rAd5で93.1%(95%CI:92.6~93.5)、ChAdOx1 nCoV-19で93.7%(93.2~94.3)、BBIBP-CorVで85.0%(84.0~86.0)であった。ウイルスベクターワクチンの1回目接種後の有効性は、経時的に安定していた。

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オミクロンvs.デルタ、ワクチン接種・感染歴・年齢別の入院・死亡リスク/Lancet

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染後の重症アウトカムのリスクについて、デルタ変異株(B.1.617.2)よりもオミクロン変異株(B.1.1.529)で大幅に低く、オミクロン変異株ではより重症度の高いエンドポイント発生が大きく低下しており、年齢間のばらつきは顕著であることなどが、英国・ケンブリッジ大学のTommy Nyberg氏らによる検討で示された。オミクロン変異株は部分的なワクチンエスケープと、高い感染性が示されているが、早期の試験でデルタ変異株よりも重症化リスクは低いことが示唆されていた。Lancet誌オンライン版2022年3月16日号掲載の報告。オミクロン変異株vs.デルタ変異株の通院、入院、死亡リスクを検証 研究グループは、デルタ変異株と比較したオミクロン変異株の重症度をよりよく特徴付けるために、通院受診、入院、死亡の相対リスクを評価する大規模全国コホート試験を行った。 2021年11月29日~2022年1月9日に、検査でCOVID-19と確認された英国住民の個人レベルデータを、ワクチン接種状況、通院受診、入院、死亡に関するルーチンデータベースと結び付け、感染確認後の14日以内の通院または入院リスク、もしくは28日以内の死亡の相対リスクを、比例ハザード回帰法を用いて推算し評価した。 解析は、試験日、10歳年齢群単位、民族、居住地域、ワクチン接種状況で層別化し、さらに、性別、複数の剥奪指数、以前の感染の有無、各年齢群で補正して行われた。副次解析では、変異株特異的およびワクチン特異的なワクチン効果、デルタ変異株と比較したオミクロン変異株固有の相対的重症度(ワクチン未接種例など)を推算した。オミクロン変異株の入院・死亡に、mRNAワクチンのブースターの有効性70%以上 デルタ変異株と比較したオミクロン変異株の、通院(入院不要と診断)の補正後ハザード比(HR)は0.56(95%信頼区間[CI]:0.54~0.58)で、入院は同0.41(0.39~0.43)、死亡は0.31(0.26~0.37)であった。 オミクロン変異株vs.デルタ変異株のHR推定値は、解析したすべてのエンドポイントで年齢によるばらつきが認められた。たとえば入院のHRは、10歳未満では1.10(95%CI:0.85~1.42)で、年齢が上がるに従って低下し60~69歳では0.25(0.21~0.30)だったが、それ以降の年齢群では増大し、80歳以上では0.47(0.40~0.56)であった。 両変異株について、以前の感染が、ワクチン接種群(HR:0.47[95%CI:0.32~0.68])とワクチン未接種群(0.18[0.06~0.57])の両症例において、死亡に対するある程度の保護効果をもたらしたことが認められた。一方で、以前の感染は、ワクチン接種によりもたらされる以上の入院に対する追加の保護効果をもたらしていなかった(ワクチン接種群のHR:0.96[0.88~1.04])。しかしながらワクチン未接種群では、以前の感染が中程度の保護効果をもたらしていた(HR:0.55[0.48~0.63])。 オミクロン変異株vs.デルタ変異株のHR推定値は、ワクチン未接種群症例での入院(0.30[95%CI:0.28~0.32])が、主要解析のすべての症例の対応するHR推定値よりも低かった。 mRNAワクチンによるブースター接種は、オミクロン症例の入院および死亡に対して非常に高い保護効果を示した(ブースター接種後8~11週間の入院のHR(vs.ワクチン未接種):0.22[95%CI:0.20~0.24])。ブースターは、1回目と2回目に使用されるワクチンによる影響はみられなかった。 これらの結果を踏まえて著者は、「観察されたリスクの根底には、ワクチン有効性の低下によって相殺された内因性重症度(ワクチン未接種者における)の大幅な低下がある。また、以前のSARS-CoV-2感染は、ワクチン未接種者の入院に対するある程度の保護効果と死亡に対する高い保護効果をもたらしたが、ワクチン接種者では死亡のエンドポイントについてのみ追加の保護効果をもたらしていた。mRNAワクチンのブースター接種は、新たに確認されたオミクロン変異株感染における入院および死亡について70%以上の有効性を維持することが示された」とまとめている。

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新型コロナワクチンからリスクとベネフィットを考える【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第46回

第46回 新型コロナワクチンからリスクとベネフィットを考える新型コロナとの闘いが続きます。3回目のワクチン接種の普及が鍵といわれています。小生もワクチン接種会場の問診係として何度か協力しております。接種に当たり皆に配布されるワクチンについての説明用紙に、「接種に当たっては、リスクとベネフィットをご理解いただき、納得したうえで接種してください」と記載してあることに気づき驚きました。リスクとベネフィットに基づいて、ワクチンを接種するかしないかを選択することは難しいことだと感じたからです。これは、医師や医療関係者にも難しいことで、一般市民の方々には本当に困難なことに思えます。私たちは日々の生活をしていく中でも、毎日多くのことを選択しています。晩御飯はなににするか? 肉か魚か? 肉は高価だが国産にするか外国産にするか? 休日にはどこに行こう? ディズニーランドか田舎の温泉宿か? 自分の車で行くか電車で行くか? などなど…です。選択の結果、良い結果になることもあれば悪い結果になることもあります。しかし、この程度の選択では生命を左右するほどの差異に至ることはないので気楽です。人生に大きく関わる選択もあります、この人と結婚して良いのか? もっと良い次の出会いがあるかもしれない。この課題では、選択が正しかったのか間違っていたのかの評価が困難であることと、いったん解消してリセットすることも可能な社会システムも準備されています。しかし、医療における選択は命に関わるだけに重大です。なによりも、いったん失われた命はリセットして回復させることはできません。ワクチンの接種によって得られる利益つまりベネフィットと、副反応などのリスクを比較し判断するのは、なぜ難しいのでしょうか。ワクチンは、感染症の抗菌薬や対症療法薬ではありません。すでに感染し発熱や呼吸困難に苦しむ患者の治療薬であれば、その薬剤の効果を評価することは比較的容易です。ワクチンは予防薬ですから、すでに疾患をもつ患者への治療薬のような目に見える効果がありません。ワクチンを接種して健康な生活を続ける人々は、「俺はワクチンを打たなくても感染もしなかったし元気でいた」と思うのです。責めるわけではありません。それが人間です。健康な人は、感染症予防や感染症拡大の抑制といったワクチンの役割に気づくことはありません。ワクチンのベネフィットは、ワクチンを接種した人としなかった人での、感染率や死亡率の差異などの疫学的に正確に収集したデータに拠らなければ判明しません。こういったデータに基づく地味な情報を粛々と報じて、わかりやすく解説する成熟した報道機関が期待される由縁です。一方で、ワクチンの副反応などのリスクは可視化が容易です。ワクチン接種後の、心筋炎や心膜炎などの個々の症例の情報はソーシャルメディアなどを通して拡散しがちです。これにより、ワクチン接種を躊躇したり、懸念を示したり、あるいは接種に強く反対したりする人々が増える可能性があります。実際に、ワクチン後の心筋炎はゼロではありません。その点について、日本循環器学会は声明を発表しています。一部を紹介します(2022年3月12日日本循環器学会ホームページ確認)。新型コロナウイルスワクチン接種後の急性心筋炎と急性心膜炎の発症率は、新型コロナウイルス感染後の急性心筋炎と急性心膜炎の発症率に比較して極めて低い。新型コロナウイルスワクチン接種後に発症する急性心筋炎と急性心膜炎の大半は軽症である。新型コロナウイルスワクチン接種による利益は、ワクチン接種後の急性心筋炎と心膜炎の危険性を大幅に上回る。さらにワクチン接種のリスクとベネフィットを複雑にするのが集団免疫という概念です。ワクチンは集団免疫として働きますので、ワクチンの接種率も重要です。例えば、自分勝手な独裁者は、ワクチンを接種しなくとも自分以外の全員にワクチンを強制的に接種させればワクチンの利益を享受することができます。ワクチンは、背景因子によって医学的に接種できない人が一定数いますので、可能な人は受けていただきたい理由です。ワクチンを接種しないという意思決定は個人的な選択のように見えますが、集団免疫のため他者への影響を伴うものであることを認識すべきです。ワクチン接種は幅広い社会における義務の一部という考えの背景です。今回は、新型コロナのワクチンをめぐってのリスクとベネフィットを考えてみました。話を変えます。とっても変な夢を見ました。オリンピックの開会式などで鳩が一斉に放たれ競技場から飛び去る状況はイメージできると思います。自分の見た夢を紹介します。世の中の人すべてがマスクをはずし捨て去ると、そのマスクがあたかも鳩が離散するかのようにヒラヒラと天高く消え去っていくシーンです。これは、きっと正夢に違いありません。コロナ収束を願っております。

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第101回 私が見聞きした“アカン”医療機関(中編) オンライン診療、新しいタイプの“粗診粗療”が増える予感

18都道府県に出ていた「まん延防止等充填措置」がやっと解除こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。3月21日、18都道府県に出ていた「まん延防止等充填措置」が解除されました。全面解除は実に約2ヵ月半ぶりです。ただ、これからの時期、お花見、春休み、新学期、新年度などで宴会や移動が活発化します。「第7波」に備えた体制は怠りなく進めておく必要がありそうです。ところで、先週のこのコラムで、「鈴木 誠也選手はサンディエゴ・パドレス、菊池 雄星投手はトロント・ブルージェイズと合意したとの報道もありました」と書きましたが、鈴木選手の情報は一部スポーツ紙の勇み足による“誤報”でした。その後、鈴木選手は歴史あるシカゴ・カブスと合意、契約しました。契約金は5年総額8,500万ドル(約101億3,000万円)と伝えられており、日本人野手の渡米時の契約としては、4年総額4,800万ドルの福留 孝介(当時、カブス)を上回る史上最高額とのことです。カブスと言えば「ヤギの呪い(Curse of the Billy Goat)」で有名なチームです。鈴木選手が何らかの呪いに襲われることなく、大活躍することを願っています(「ヤギの呪い」自体は2016年のワールドシリーズ優勝で解けたと言われていますが…)。さて、今回も前回に引き続き、少し趣向を変え、最近私や知人が体験した“アカン”医療機関について、書いてみたいと思います。【その3】オンライン診療ゆえの“マイルド”処方に困った友人新型コロナウイルス感染症のオミクロン株に感染した友人の話です。症状は軽快し、PCR検査も陰性となって療養解除となったのですが、数週間経ってもひどい咳がなかなか止みません。とくに夜間がひどく、「これは『いつもの処方』が必要だ」と感じた彼は、時節柄、外来診療ではなく近所のクリニックでオンライン診療を受けることにしました。「いつもの処方」とはステロイド内服薬の服用です。これまでも風邪などで気管支がひどくやられると、炎症が治まらずひどい咳が遷延することがたびたびありました。そんなときだけ、知り合いの呼吸器内科医に頼んで、ステロイド(プレドニゾロンなど)を頓服で処方してもらっていたのです。ただ、その呼吸器内科医は最近、遠方の病院に異動してしまったため、今回は渋々、呼吸器内科も標榜し、オンライン診療にも対応している近所のクリニックをネットで見つけ、受診することにしたわけです。ステロイド内服薬を出せない、出さないオンライン診療医LINEを用いてのオンライン診療は、初めての体験でとても緊張したそうです。これまでの咳治療の経験も詳しく説明し、「スパッ」と咳が止まるステロイド内服薬の処方を頼んでみたのですが、願いは叶えられなかったそうです。「結局、吸入薬のサルタノールインヘラーとツムラ麦門冬湯エキス顆粒が出されただけだった。粘ってみたんだけど…」と友人。サルタノールインヘラーは、β2アドレナリン受容体刺激剤です。ステロイドも入っている吸入薬(ブデホルなど)もあるはずなのに、それも避け、漢方を気休めに上乗せするというのは、幾多のしつこい咳と戦ってきた彼にとっては、効き目があまり期待できない“マイルド”過ぎる処方でした。「オンラインで初診だと、マイルドで安全な処方をしたくなるのはわかるが、患者側の意見もきちんと聞いて欲しい。これで咳にまだ数週間悩まされると思うとウンザリだ。結局、次は外来に来てくれと言われたし…」と、オンライン診療に不満たらたらの友人でした。処方箋が届いたのは診療から5日後実はこの話、これだけで終わりませんでした。水曜日にオンライン診療を受診し、「処方箋は郵送します」と言われたのですが、2日後の金曜になっても処方箋が届かなかったのです。金曜夕刻に診療所に電話すると、夜8時過ぎに、クリニックの事務職員が薬(おそらく院内調剤)を持って自宅にやって来たそうです。「処方箋はちゃんと郵送したのですが」と弁明する職員でしたが、現物が届いたのは翌週月曜でした。これは全く“アカン”ですね。最終的に彼は、最初の処方では全く軽快しませんでした。翌週末に外来を訪れ、今度はステロイドも入ったブデホルを入手することができ、その後徐々に快方に向かったそうです。新しいタイプの“粗診粗療”が増えるのではオンライン診療については、処方箋のやり取りと、薬剤のデリバリーが障害になることがある、とも聞きます。クリニックから薬局にファクスやメールで処方箋を送るにしても、その薬局が患者の近所にあるか、宅配を行っていなければなりません。また、そうしたオンライン診療の処方箋に対応できる“かかりつけ”薬局を持っている人もまだ多くはありません。診療から薬剤入手までのインターバルの解消は、オンライン診療普及に向けた大きな課題の一つでしょう。オンライン診療については、「第96回 2022年診療報酬改定の内容決まる(前編)オンライン診療初診から恒久化、リフィル処方導入に日医が苦々しいコメント」でも詳しく書きました。こうした新しい動きに対し、日本医師会の今村 聡副会長は3月2日の定例会見で、自由診療下でオンライン診療を活用し、GLP-1受容体作動薬のダイエット目的での不適切処方が横行している状況について問題提起をしました。今村氏は、「本来の治療に用いる医薬品が不適切に流通して健康な方が使用してしまうというような状況は、国民の健康を守るという日本医師会の立場としては看過できない」と話したとのことです。オンライン診療のこうした“悪用”は確かに問題ですが、私自身は、逆に友人が経験したような、対面でないために慎重になり、治療効果が低い、“マイルド”過ぎる薬剤を処方してしまうという、新しいタイプの“粗診粗療”が増えることを危惧しています。ステロイドと同様、抗菌薬も初診からの投与を嫌う医師が多い印象があります。診断が適切なら問題はないのですが、結局、2回目からはリアルの対面受診を余儀なくされ、本来服用が必要な薬にたどり着くまでに通院回数が増えるとしたら、オンライン診療のメリットはほぼないに等しいと思うのですが、皆さんどうでしょう。次回も、引き続き“アカン”医療機関を紹介します(この項続く)。

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リハビリテーションでの感染症対応の指針まとまる/日本リハビリテーション医学会

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予防では、人と人との間に距離をとることが推奨されているが、理学療法や運動療法では患者の体を支えたりする必要もあり難しい。そのためCOVID-19に感染する、感染させるリスクが日常生活に比べて高くなる。 日本リハビリテーション医学会(理事長:久保 俊一氏[京都府立医科大学])は、2022年2月21日に「日本リハビリテーション医学会 感染対策指針 COVID-19含む」を制作、同学会のホームページで公開した。 本指針は、リハビリテーション診療患者と医療従事者の距離が近く、接している時間も長時間となることに鑑み、同学会診療ガイドライン委員会において、新興感染症などに対応した医療関連感染対策の指針が必要と判断され、策定が決定されたもの。COVID-19だけでないリハビリテーションでの感染症対策 主な内容は次の通り。1)平常時対応・(平常時の)標準予防策、経路別予防策は?・(平常時)の職員教育の方法は?2)新興・再興感染症・新興・再興感染症にはどのようなものがあり、どのような感染予防策が必要か?3)COVID-19蔓延期・地域での対応・入院リハビリテーションに際する対応は?・外来リハビリテーションに際する対応は?・訪問リハビリテーションに際する対応は?・通所リハビリテーションに際する対応は?・発熱や上気道症状などCOVID-19を疑う症状を呈している患者への対応は?・職員の健康管理はどのように行うか?・家族との面談方法は?・外部関係者との面会・手続きは?・その他の対応は?4)COVID-19確定症例との濃厚接触・COVID-19患者との濃厚接触の定義は?・濃厚接触者となった患者への対応は?・濃厚接触者となった職員の就業は?5)COVID-19確定症例の対応・COVID-19と診断された患者の訓練はどのように行うか?レッドゾーンの中でリハビリテーションを行う際の感染対策は?・COVID-19と診断された場合、特別な対策が必要な期間は? 同学会では、指針の利用にあたり「2021年12月での一般論をまとめたものであり、各医療機関内に設定されている感染対策指針がある場合には、そちらが優先される」としている。また、「医療関連感染対策の基本は、すべての職員が、すべての患者・利用者に対して基本的手順を確実に実施することにあり、医療機関ごとに設定された指針を熟知し、それを遵守することが必須である」とし、医療関連感染において、「リハビリテーション診療はハイリスク領域であり、そのことを十分に認識して診療にあたる必要で、医療関連感染対策の推進のため、本指針を役立てて欲しい」と記している。

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第104回 心筋炎経験者へのCOVID-19ワクチン接種は安全らしい

心筋炎を経た人への新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン接種はどうやら安全らしいことがフランスでの試験1)で示唆されました。世間一般での心筋炎の有病率は10万人当たり10~106人、全世界での年間の発現数は180万件と推定されています2,3)。心筋炎の主な原因はウイルス感染で、SARS-CoV-2感染(COVID-19)患者にも認められることがあり、とくに若い男性に多く生じるようです。米国の20歳未満の若者を調べた試験によるとCOVID-19と診断された12~17歳の男性の心筋炎の発現率は100万人当たり450人と推定されています4)。COVID-19ワクチン接種に伴う心筋炎も稀ながら報告されており、その発現率は10万人当たり2.1人ほどです1)。COVID-19 mRNAワクチン接種後の心筋炎もCOVID-19に伴う心筋炎と同様に若い男性により生じ易いようで、2021年5月までに米国FDAに報告されている有害事象記録によると2回目接種後の心筋炎の発現率は12~29歳の男性では100万人当たり40.6人、30歳以上の男性では100万人当たり2.4人となっています3)。それらの年齢層の女性での割合は100万人当たりそれぞれ4.2人と1人でした。そのようにCOVID-19やそのワクチン接種後の心筋炎の生じやすさの把握は進んでいる一方で心筋炎を経た人のCOVID-19ワクチン接種後に心筋炎がどれだけ再発しやすいかは分かっていません。そこでフランスのリヨンの病院のIyad Abou Saleh氏等はCOVID-19ワクチンを接種しても心筋炎は再発しやすくならないとの仮説を立て、同病院で先立つ5年間に急性心筋炎と診断された142人に電話をかけてその仮説を検証しました1)。それら142人からCOVID-19ワクチン接種の有無、接種したとすればそのワクチンの種類、接種回数、副反応があったかどうか等を尋ねた結果、接種済みの55人に心筋炎再発を含む深刻な有害事象は幸いにも認められませんでした。非接種16人の大半の12人(75%)は心筋炎再発を恐れて接種しないままであり、果たして心筋炎再発の心配がワクチン回避の主な理由となっていました。今回の結果は心筋炎の経験がある人のCOVID-19ワクチン接種を促すかもしれないとAbou Saleh氏は言っています。今回の結果を参考にするうえで注意することがあります。接種されていたのはほとんどがPfizer/BioNTechのmRNAワクチンBNT162b2であり(ワクチン接種済みの55人中53人)、他のワクチンの参考にはならないかもしれません1)。参考1)COVID-19 vaccination is safe in patients with previous myocarditis / Eurekalert2)ACC issues clinical guidance on cardiovascular consequences of COVID-19 / Eurekalert3)2022 ACC Expert Consensus Decision Pathway on Cardiovascular Sequelae of COVID-19 in Adults. J Am Coll Cardiol. 2022 Mar 16.4)Risk of Myocarditis from COVID-19 Infection in People Under Age 20: A Population-Based Analysis. medRxiv. July 27, 2021.

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がん患者でのブレークスルー感染リスクと転帰/JCO

 米国で最大のCOVID-19症例と対照の全国コホートを運営するNational COVID Cohort Collaborative Consortiumが、ワクチン接種を受けたがん患者のブレークスルー感染リスクと転帰について調査した結果が、Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2022年3月14日号で報告された。がん患者、とくに血液腫瘍患者はブレークスルー感染と重篤な転帰のリスクが高かったが、ワクチン接種患者ではブレークスルー感染リスクが著明に低下することが示唆された。 本研究では、新型コロナウイルス感染の記録がなく、mRNAワクチンを1回もしくは2回接種し、2020年12月1日~2021年5月31日にブレークスルー感染した患者をNational COVID Cohort Collaborativeを用いて特定した。ブレークスルー感染リスクと転帰について、ロジスティック回帰を使用して分析した。 主な結果は以下のとおり。・ワクチン接種集団においてブレークスルー感染を6,860例に認め、うち1,460例(21.3%)ががん患者だった。・固形腫瘍および血液腫瘍患者は、がん患者以外と比較して、ブレークスルー感染(オッズ比[OR]:1.12、95%CI:1.01〜1.23およびOR:4.64、95%CI:3.98〜5.38)および重篤な転帰(OR:1.33、95%CI:1.09〜1.62およびOR:1.45、95%CI:1.08〜1.95)のリスクが有意に高かった(年齢、性別、人種/民族、喫煙状況、ワクチンの種類、ワクチン接種日を調整)。・血液腫瘍患者は、固形腫瘍患者に比べてブレークスルー感染リスクが高かった(調整ORはリンパ腫の2.07からリンパ性白血病の7.25の間)。・ブレークスルー感染リスクはワクチン2回目接種後、すべてのがん患者で低かった(OR:0.04、95%CI:0.04〜0.05)。また、BNT162b2ワクチン(ファイザー製)よりmRNA-1273ワクチン(モデルナ製)でリスクが低く(OR:0.66、95%CI:0.62〜0.70)、とくに多発性骨髄腫患者で低かった(OR:0.35、95%CI:0.15〜0.72)。・免疫抑制が強く、骨髄移植を伴う薬物療法は、ワクチン接種集団のブレークスルー感染リスクと強く関連していた。

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第100回 国民の1/4がダウンロードしたCOCOA、ついに勇退の時が来た!?

政府は新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)のオミクロン株蔓延に伴って現在も18都道府県に発出されている新型インフルエンザ等特別措置法に基づくまん延防止等重点措置(まん防)を21日付で解除する方針を決定した。これにより1月上旬から各地に発出されていたまん防は全面解除となる。もっとも首相官邸で会見した岸田 文雄首相は当面は「平時への移行期間」と定義し、今後の感染拡大に備えた医療体制の維持や検査キット、ワクチン、治療薬の確保も進めるとした。一方で、濃厚接触者の追跡に関しては医療機関、高齢者施設、家族内に限定するという大きな方針転換を発表した。濃厚接触者追跡については私自身もこの政府方針には基本的に賛成だが、それだったら「もう止めたら?」と思うものがある。新型コロナウイルス接触確認アプリ、通称COCOAのことだ。ご存じのように当初、濃厚接触者の炙り出しに使われたCOCOAだが、私自身インストールしていても今やほとんど気にしていない。厚生労働省のホームページによると、2022年3月11日時点でダウンロード件数は3,418万件、実際の陽性登録者は62万245件。ダウンロード数では国民の約4人に1人、陽性者では約10人に1人が利用していることになる。この登録の数字だけを見れば、「ないよりまし」とも言えるが、オミクロン株のような感染力が強い反面、重症化率が低い変異株の流行の際は、中途半端に警報が増加し、それが医療現場や行政などの業務を圧迫するという「害」のほうがクリアになってしまう。このCOCOAの仕組みは、陽性通知がくると「検査等の相談先を探す」というボタンが表示され、それを押すと都道府県の受診・相談センターの連絡先が表示される。COCOAの陽性通知者のみの専用窓口があるのではなく、COCOAで通知はするが、「あとは自治体でよきにはからえ」という、ある種の外部丸投げなのだ。この結果、今回のオミクロン株での陽性者激増ターンでは、都道府県のコールセンターも保健所も発熱外来もすでにパンク状態にある中で、COCOAで通知を受けた濃厚接触疑いの人の電話も殺到する。当然ながら電話はなかなかつながらず、通知を受けた人も苛立ち、最終的にその一部がようやく電話がつながった先で「何なんだ!」と怒りを爆発させる。たとえが悪いと言われるかもしれないが、電話がたまたまつながった先は「突然ロシアの侵略を受けたウクライナ」のごとく訳がわからない状態になってしまう。実はこの問題に拍車をかけたものがある。IT時代の「負」ともいえるのだが、個人で「COCOAログチェッカー」なるサイトを立ち上げてしまった人がいる。COCOAはスマートフォンのBluetoothを利用し、陽性登録者に1m以内で15分以上の接触があったユーザーに通知が届くことになっているのだが、実はBluetoothは周囲10~30mの接触を検知するため、その点をこのサイトは利用している。しかもCOCOAアプリ内には2週間分の接触検知ログが蓄積されているので、このチェッカーを使うと、自分から広範囲にいたかなり前の登録陽性者までも検知できてしまうのだ。私自身も何度も使ってみたが、1月下旬の段階でCOCOAではとくに通知が来ないにもかかわらず、Bluetooth範囲内では過去2週間に1件の「接触」があったと判定された。何度か調べてみた中では最高は7件。もっともパンデミック当初に登録し、今では何ともない過去の陽性者も検出できてしまうのだから、それほど意味のあるものではない。個人的には「まあ、そんなものね」と思ってとくに何かをするわけではないし、医療従事者ならばこれを使ってもほぼ似たような反応になるだろう。ところが世の中全体で考えればそうはおさまらない。内科クリニックを経営する知り合いの医師のところには、実際に「COCOAログチェッカーで『陽性』と出たんですが…」と連絡があったという。COCOAならまだしも非正規の仕組みで問い合わせをされても困るだろう。実際、その医師は「保健所に問い合わせてください」と回答したそうだ。保健所に迷惑がかかるのでけしからん対応と思う人もいるかもしれないが、個人的にはやむを得ないと考えている。今回の濃厚接触者の追跡範囲縮小については、さまざまな意見があるとは思うが、いずれにせよこの政策が実行される以上、COCOAというもはや無用の長物を放置したままにするのはいかがなものかと思ってしまうのだが…。

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アンチエイジングを“アンチ”から学ぶ!抗加齢の原点回帰

『心身ともに若々しさを保つ アンチエイジング科学とエビデンス』をテーマに掲げ、第22回日本抗加齢医学会総会が2022年6月17日(金)~19日(日)に大阪国際会議場(グランキューブ大阪)とWEB併用のハイブリッド形式で開催される。脳の専門家として初の大会長を務める阿部 康二氏(国立精神・神経医療研究センター病院長)に、脳と抗加齢の関係や一押しのシンポジウムについて話を聞いた。“究極のアンチエイジングは脳”、血管内皮細胞の炎症抑制が課題老化現象の現れ方は個々で異なり、老化=酸化と言っても過言ではありません。たとえば、ピカピカだった鉄パイプが経年劣化して錆びるように、人間の体も酸素を利用することで酸素の毒性にもさらされ続け、年齢とともにそれが蓄積した結果、老化に至ります。毒性面を最小限に抑え、酸素のいいとこ取りをすることが老化予防の最大のコツですが、近年、血管内皮細胞の炎症抑制がアンチエイジングの1つであることが明らかにされています。この血管内皮細胞の保護の観点からも、脳の専門家である私としては、“究極のアンチエイジングは脳”だと自負しており、いくら見た目や皮膚が若々しくても、脳が老化していれば本当の若々しさを維持すること、表面化することは難しいと考えています。昨今、治療薬が国内承認の是非で話題を集めたアルツハイマー病も実は血管内皮細胞の酸化が原因の1つであり、それをターゲットとした治療薬の開発が急がれています。これまではアミロイドβの蓄積が問題だとされてきたため、何十年もの間、それをターゲットとした治療薬の開発が進められてきました。ところが、超高齢化社会におけるアルツハイマー病はアミロイドβに加えて血管そのものの老化が影響しているため、血管内皮細胞を同時にターゲットにする必要があるんです。治療薬開発から30年が経過し、その間に日本の超高齢化も進行してしまい、今後の治療薬開発において、脳の血管内皮細胞を若々しくするというようなコンセプトの転換が求められています。たとえば、結婚当初は10万円の指輪で喜んでいた妻が、何十年か連れ添うと10万円の指輪では喜んではくれず、100万円の指輪でないと喜んでくれないというように、妻の名前は同じでも中身が変わってしまう。それと同じ状況が医学でも起こっているのです。今の妻が喜ぶようなプレゼントを見定めるように、アルツハイマー病という疾患名は昔と同じでも、その治療ニーズが時代に伴い変化することを忘れてはならないのです。そもそも抗加齢医学の概念は正しいの?アーミッシュの考えにヒントが…話は変わりますが、これまで、“老化は悪、老化予防が善”という定説の下で抗加齢医学(アンチエイジング)の研究が進められてきましたが、それは本当に正しいのでしょうか。それを振り返るため、今回の特別講演には『アーミッシュの生活とアンチエイジング』という演題を盛り込みました。アーミッシュとは、「イエスやアマンの時代の生活を実践しようとする復古主義を特徴」とし、「現代文明を拒否して電気や車を使わず、馬車を用いて、おもに農業を営む」1)人々のことを指します。時の流れに身を任せようとする、つまり、アンチエイジングにアンチな人たちです。それゆえ、「アーミッシュから抗加齢のヒントになる学びがあるのでは!」「アンチエイジングの根本に立ち返れるいい機会になるのでは?」という思いが募り、企画しました。アンチエイジングが本当に正しいのかを問い直し、双方の意見がぶつかり合うなかで得るものがあるのでは、と期待を寄せています。阿部氏がお奨めする演題<会長講演>脳のアンチエイジングと見た目のアンチエイジング<特別講演>アーミッシュの生活とアンチエイジング<シンポジウム>中高年女性へ適応可能なサプリメントアンチエイジングと認知症予防メンタルヘルスとエクササイズ腸内細菌x新テクノロジーコロナ禍により一層孤独を強め、コミュニケーション力の低下、身体能力の低下を訴える人が増加しています。また、メンタルの破綻などにも影響しているためか凶悪事件が後を絶ちません。フレイルを助長、認知症や糖尿病などの持病を悪化させ、それに加えて新型コロナウイルス自体がもたらす血管内皮細胞への影響により脳出血や脳梗塞患者の増加も問題視されています。コロナ禍は外出規制による影響ばかりか、生物学的な血管内皮細胞の炎症においても抗加齢に逆行するパンデミックであることから、いかにこの負の連鎖から脱却できるか、その足掛かりになるような演題も豊富に取り揃えています。日本は世界で類を見ない超高齢社会となり、これまで以上に超高齢者と向き合う必要があります。そのため、若い医師には老化のメカニズムに関する基本的な理解、老化にどう立ち向かっていくのか、などを医師の基本的な心構えとして医業に取り組んでもらいたいと考えています。そのため、本学会では若手のための発表の場も多数用意していますし、病気と健康ひいては若々しさと老化の橋渡しになる学会として、健康産業など医療者以外の参加者との交流も積極的に行っています。ぜひ、皆さま奮ってご参加ください。第22回日本抗加齢医学会総会1)日本大百科全書(ニッポニカ)

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オミクロン株へのワクチン有効性、3回接種で対従来株と同等/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するmRNAワクチンは、アルファ変異株、デルタ変異株、オミクロン変異株によるCOVID-19関連入院の予防に高い有効性を示したが、オミクロン変異株に対しては、デルタ変異株やアルファ変異株に対する2回接種で得られる効果と同じ効果を得るためには、3回接種が必要であることが、米国・ミシガン大学のAdam S. Lauring氏らによる症例対照試験で示された。また、COVID-19による入院患者では、オミクロン変異株のほうがデルタ変異株より重症度が低かったものの、依然として罹患率および死亡率は高いこと、3種すべての変異株についてワクチン接種済みの患者は未接種患者と比較し重症度が有意に低いことも明らかになったという。BMJ誌2022年3月9日号掲載の報告。COVID-19入院患者と非COVID-19入院患者を対象に症例対照試験 研究グループは米国の21病院において、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)陽性が確認された18歳以上のCOVID-19入院患者(症例)と、同時期の非COVID-19入院患者(対照)を登録し、前向き観察研究を実施した。解析対象は、2021年3月11日~2022年1月14日の間に登録されたCOVID-19患者5,728例、対照患者5,962例の計1万1,690例であった。 患者は、ウイルス全ゲノム解析、または入院時の流行株(2021年3月11日~7月3日:アルファ変異株、2021年7月4日~12月25日:デルタ変異株、2021年12月26日~2022年1月14日:オミクロン変異株)に基づき、SARS-CoV-2変異株群に層別化された。 主要評価項目は、COVID-19による入院の予防に関するmRNAワクチンの、変異株(アルファ変異株、デルタ変異株、オミクロン変異株)ごとの有効性で、診断陰性デザイン(test-negative design)を用いて算出した。また、COVID-19入院患者を対象に、世界保健機関(WHO)の臨床進行スケール(WHO-CPS)による疾患重症度について、比例オッズ回帰モデルを用いて変異株間で比較した。ワクチンの入院予防効果、オミクロン変異株では2回接種65%、3回接種86% COVID-19入院予防に関するmRNAワクチンの有効性は、アルファ変異株に対して2回接種では85%(95%信頼区間[CI]:82~88%)であった。デルタ変異株に対して2回接種では85%(83~87)、同3回接種では94%(92~95)であり、オミクロン変異株に対しては2回接種で65%(51~75)、同3回接種では86%(77~91)であった。 院内死亡率は、アルファ変異株7.6%(81/1,060例)、デルタ変異株12.2%(461/3,788例)、オミクロン変異株7.1%(40/565例)であった。 ワクチン未接種のCOVID-19入院患者において、WHO-CPSに基づく重症度は、デルタ変異株群がアルファ変異株群より高く(補正後オッズ比[aOR]:1.28、95%CI:1.11~1.46)、オミクロン変異株群はデルタ変異株群より低かった(0.61、0.49~0.77)。 ワクチン未接種患者と比較してワクチン接種患者は、アルファ変異株(aOR:0.33、95%CI:0.23~0.49)、デルタ変異株(0.44、0.37~0.51)、オミクロン変異株(0.61、0.44~0.85)のいずれの変異株においても重症度が低かった。

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ゼロ・リスクか?ウィズ・リスクか?それが問題だ(解説:甲斐久史氏)

 早いもので20年ほど前、外勤先の内科クリニックでの昼下がり。「今朝から、とくにどこというわけではないが、何となく全身がきつい」と20歳代後半の女性が来院した。熱も貧血もないのに脈拍が120前後。血圧はもともと低いそうだが収縮期血圧は80mmHg弱。心音・呼吸音に明らかな異常はないが、皮膚が何となくジトーッと冷たい気がする。聞いてみると先週、2〜3日間、風邪にかかったとのこと。心電図をとってみた。洞性頻脈。PQ延長(0.30秒くらいだったか?)。ドヨヨーンとした嫌な波形のwide QRS。どのように患者さんに説明し納得してもらったかは覚えていないが、ドクターヘリでK大学病院に搬送した。救急車では小一時間かかるためでもあったが、当時導入されたばかりのドクターヘリを使ってみたいというミーハー心に負けた一面も否定できない。夕方、帰学するとその足でCCUを覗いてみた。「大げさですよ。スカでしたよ!」レジデントたちからの叱責(?)覚悟しつつ…。が、何と!その患者はPCPSにつながれていたのである。約10分のフライト中は順調であったが、CCU搬入直後に完全房室ブロック。あっという間に心室補充収縮も消失。直ちにその場でPCPSを挿入できたため事なきを得たとのこと。CCUスタッフの的確な治療もあり、彼女は、2~3日後にはPCPSを離脱し、その後も順調に回復。完璧な正常心電図に復し、心機能障害を残すこともなく退院した。循環器内科医には身に覚えのある“心筋炎、あるある話”と言えよう。 本稿の執筆時(2022年3月中旬)、オミクロン変異株による新型コロナウイルス感染拡大第6波の感染者数のピークは越えたとはいえ、期待されていた急激な感染者数減少はなかなか見通せず、死亡者数や重症者数も高水準で推移している。そのような中で、依然としてワクチンが、発症・重症化予防、感染予防(オミクロン変異株には期待できないようであるが)の現実的な切り札的存在であることに変わりはない。しかしながら、種々の要因のため3回目のワクチン接種は伸び悩んでいる。その中で、ワクチンの副反応、とりわけ最近、コミナティ(BNT162b2、ファイザー社)・スパイクバックス(mRNA-1273、モデルナ社)の添付文書にも記載された心筋炎・心膜炎への危惧の影響も大きいようである。 米国疾病予防管理センターのOsterらによれば、米国のワクチン有害事象報告システム(Vaccine Adverse Event Reporting System:VAERS)に基づく解析の結果、2020年12月〜2021年8月にmRNAワクチンを接種された12歳以上の約2億例(約3億5,000万回接種)のうち、心筋炎が1,626例(BNT162b2 947例、mRNA-1273 382例)でみられたという。心筋炎患者の年齢中央値は21歳、男性に多く(82%)、2回目接種後が多く、症状発症までの期間は2日(中央値)であった。ワクチン接種後7日以内の心筋炎の報告は、12〜15歳男性でBNT162b2 70.7例/100万回、16〜17歳男性でBNT162b2 105.9例/100万回、18〜24歳男性でBNT162b2 52.7例/100万回、mRNA-1273 56.3例/100万回であった。これらは、一般の心筋炎の発症頻度とされる80〜100例/100万人に匹敵する。なお、30歳未満の症例のうち詳細な臨床情報が得られたものは826例でそのうち98%が入院した。その87%が退院までに症状が消失した。治療は主に非ステロイド系抗炎症薬投与(87%)であった。最近の厚生労働省資料によれば、わが国の心筋炎・心膜炎の発症頻度は、10代男性でBNT162b2 3.7例/100万回、mRNA-1273 28.8例/100万回、20代男性でBNT162b2 9.6例/100万回、mRNA-1273 25.7例/100万回である。VAERSの報告と比較すると低めではあるが、やはり10〜20代男性では心筋症発症リスクが認められる。ただ、VAERSや厚生労働省のデータは受動的な報告システムであるため、心筋炎の報告が不完全であり情報の質も一貫していない恐れがあり、報告数が過小評価なのか過剰評価なのかさえ判断が難しい。 まったく健康な若者にワクチン接種することで、一定の割合で心筋症のリスクを負わせることに、社会や当の若者たちが不安を覚えることはよくわかる。しかし、そのリスクは一般住民が日常的に曝されている普通のウイルスなどにより引き起こされる心筋炎・心膜炎のリスクを超えるものではない。少なくとも急激に重症心不全に陥るような劇症心筋炎はまずみられないようである。一方、新型コロナウイルス感染症に実際に感染した場合、心筋症・心筋炎発症リスクは、わが国(15〜39歳男性)では834例/100万回、海外(12〜17歳男性)では450例/100万回にのぼる。われわれ医師としては、ワクチン接種のメリットがデメリットよりはるかに大きいことを、正しく冷静に社会に訴えていくのが妥当であろう。リスクを強いるのであれば、ワクチン接種者に胸痛、動悸、強い倦怠感や息切れなど心筋炎・心膜炎症状を自覚したら迷わず受診することを周知するとともに、ワクチン接種後には積極的に心筋炎・心膜炎を考慮した診察・検査を行い早期発見、早期治療を提供することがわれわれの責務と心得るべきであろう。ただ、心筋炎は、心不全進展とは全く別途に、心室頻拍、心室粗動、伝導障害により突然死を来す。この発症頻度の推定困難なリスクまで考えると悩みは深まる。 2年以上続く新型コロナウイルス感染症パンデミックを前にして、日本は、依然、ゼロ・コロナか? ウィズ・コロナか? という命題の前に右往左往している。その根源には、そもそもゼロ・リスクの人生などあり得ないのに、ウィズ・リスクの現実には目を背け、「日々安心が何より」を是とする筆者のような正常性バイアスがあるのではないか? かと思うと一点、自分に都合の良い情報ばかりに頼る確証バイアスに陥るし・・・。日常からリスクを正面に見据えたリスク・リテラシーの醸成は、わが国にとって喫緊の課題かもしれない。

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オミクロン株へのブースター接種、入院・死亡への有効性は?/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のmRNAワクチンのブースター接種は、症候性デルタ変異株感染には高い有効性を示したが、症候性オミクロン変異株感染への有効性は低いことが、カタール・Weill Cornell Medicine-QatarのLaith J. Abu-Raddad氏らが同国で行ったコホート試験で示された。ただしいずれの変異株においても、mRNAワクチンのブースター接種が、COVID-19関連の入院および死亡に対する高い保護効果をもたらすことが示されたという。NEJM誌オンライン版2022年3月9日号掲載の報告。オミクロン変異株大流行中にブースター接種者 vs.非ブースター接種者 研究グループは、2021年12月19日~2022年1月26日のオミクロン株が大流行していた期間中に、症候性SARS-CoV-2感染およびCOVID-19に関連した入院および死亡に対するワクチンブースター接種群と2回のプライマリ接種群を比較する、2つのマッチド後ろ向きコホート試験を実施した。 ブースター接種と感染の関連性を、Cox比例ハザード回帰モデルを用いて算出・評価した。 対象集団には、「BNT162b2」(Pfizer-BioNTech製)または「mRNA-1273」(Moderna製)を2回以上接種した223万9,193例(BNT162b2群129万9,010例、mRNA-1273群89万619例)が含まれた。BNT162b2群において、適格コホート群(ブースター群22万922例、非ブースター群114万168例)とマッチドコホート群(マッチドブースター群18万9,483例、マッチド非ブースター群18万9,483例)を比較、mRNA-1273群において適格コホート群(ブースター群6万7,176例、非ブースター群78万1,968例)とマッチドコホート群(マッチドブースター群6万6,191例、マッチド非ブースター群6万6,191例)を比較した。BNT162b2ブースター、オミクロン変異株の入院・死亡への有効性76.5% BNT162b2群において、追跡期間35日後の症候性オミクロン変異株感染の累積発生率は、ブースター群2.4%(95%信頼区間[CI]:2.3~2.5)、非ブースター群4.5%(4.3~4.6)だった。症候性オミクロン変異株感染に関する同ブースター接種の有効性は、プライマリ接種群との比較で49.4%(95%CI:47.1~51.6)だったが、COVID-19関連の入院・死亡に関する有効性は同76.5%(55.9~87.5)だった。 なお、デルタ変異株(またはB.1.617.2)の症候性感染に関するBNT162b2ブースター接種の有効性は、プライマリ接種群との比較で86.1%(95%CI:67.3~94.1)だった。 一方、mRNA-1273群においては、追跡期間35日後の症候性オミクロン変異株感染の累積発生率は、ブースター群1.0%(95%CI:0.9~1.2)、非ブースター群1.9%(1.8~2.1)だった。症候性オミクロン変異株感染に関する同ブースター接種の有効性は、プライマリ接種群との比較で47.3%(95%CI:40.7~53.3)だった。また、mRNA-1273群においては、COVID-19の重症例はほとんど認められなかった。

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4回目接種は必要か?その時期は?~免疫学の視点から[宮坂昌之氏インタビュー 前編]

感染者数・死者数ともに過去最多となったオミクロン株(BA.1)による第6波のピークは越えたとみられ、ワクチン3回目接種が進みつつある中、4回目接種についても政府が検討をはじめている。免疫学の視点からみた4回目接種の必要性や既感染者へのワクチン接種について、宮坂 昌之氏(大阪大学免疫学フロンティア研究センター招へい教授)に話を伺った。4回目接種は必要か?その時期は?~免疫学の視点から[宮坂昌之氏インタビュー 前編]―4回目接種の必要性やその時期について、現時点ではどのようにお考えですか?まず1つ言えることは、4回目がいつ必要になるかということは現時点でははっきりしていないものの、必要になったときに遅れずに対応できるように、国としては準備をしておかないといけないと思います。そのうえで、ワクチンの有効性は大きく年齢依存的・かつ個人差があり、とくに高齢者では2回接種しても抗体がしっかり作れない人というのが存在します。例えば下記は和歌山県での2回接種6ヵ月後のS抗体値を年齢別にみたものですが(高齢者施設での職員を含む100人の調査)、75歳を超えると2回接種後でも十分に抗体を作れない人の頻度が高くなっていることがわかります。抗体価は時間に応じてさらに減少していくので、3回目の追加接種が必要になってきます。画像を拡大する2回接種しても抗体価が上がらなかった人たちについても、多くは3回目の接種で大きく抗体価を上げることができます。しかし同時になかには2回接種しても3回接種しても反応しない人というのが一定数存在し、高齢者ほど多くなります。S抗体値はウイルスの初期防御に重要な役割を果たすので、これが低くても細胞性免疫やナチュラルキラー細胞などが働き、2回接種していれば重症化予防効果は期待できますが、ブレークスルー感染の大きな原因の1つとなっていると考えられます。またオミクロン株は免疫回避性があり中和抗体ができにくく、下記は査読前のデータですが、2回接種だけでは不十分なことがわかります。3回目の接種によって、BA.1だけでなく今後日本でも置き換わりが進む可能性のあるBA.2に対しても、中和抗体価を上げることができています。一方で、今後は3回目接種によって上がった抗体価も下がっていくと考えられ、いずれかのタイミングで4回目接種が必要となると考えますが、それがいつかに関しては、次に現れる変異株がどのような特徴を持つかによるでしょう。画像を拡大する免疫学の立場から言えることは、1回より2回、2回よりも3回免疫をつけたほうが免疫は長続きします。1回接種では2~3ヵ月、2回接種では4~6ヵ月で抗体価が下がり、3回接種では6~8ヵ月続いているという報告がありますが、それが1年続くかは分かりません。上記左図の追加接種2週間後のオミクロン株に対する中和抗体価のばらつきをみてもわかるように(100~1万ほどの幅)、個人差が大きいことにも注意が必要です。適切な接種時期を考えるうえで重要なもう一つの視点としては、接種間隔が短すぎてもよくない可能性です。下記は1回目と2回目の接種間隔を4週か16週かで比較したデータですが、16週としたほうがオミクロン株を含む種々の変異株に反応する良質な中和抗体が得られています。これは1回目接種後にリンパ球が十分に成熟する機会が与えられると、2回目に抗原が入ってきたときに十分に抗体を作る能力ができるのだと考えられます。画像を拡大する3回目の接種に関しても、2回目接種後2~3ヵ月などあまり早くに接種すると、抗体価は一時的に上がるものの、早く下がってしまうというデータがでてきています。イスラエルはこの状態に該当してしまっているのではないでしょうか。おそらく4回目接種についても同じことがいえる可能性が高く、感染性がより高いなどひどく恐い変異株が入ってきていない限り、半年ないし8ヵ月など、データをみながら十分な間隔を空けて慌てずに4回目接種を行っていけばよいと思います。ワクチン接種は接種者本人が得られる直接効果だけでなく、感染伝播に対しても大きな防御効果を発揮します。ワクチンを接種した人が感染しても、のどの中に抗体が存在するわけなので、そこにウイルスが増えたとしても、抗体にくるまれた形でくしゃみや咳によってウイルスが排出されます。中和抗体にくるまれたウイルスは、感染能力が下がります。PCRでは同じウイルス量が検出されますが、感染性のあるウイルス量はぐんと下がるのです。したがってやはり集団としての感染リスクを下げるには、3回目までの接種ももちろん重要ですし、時期を見極めながら4回目接種も行っていくことが必要となってくると考えています。―既感染者へのワクチン接種や、再感染リスクについてはどのように考えればよいでしょう?ウイルス感染によってできた免疫とワクチン接種によってできた免疫を比較すると、ワクチン接種では約9割の人に免疫を作ることができるのに対し、感染者の場合はウイルスによる感染の度合いや個人の免疫能力に左右されるので、次の感染時に確実に中和できる免疫ができているかというと、やはりワクチン接種のほうが確度が高いと言えます。先ほどの査読前データの右図をみると、BA.1感染者の血清には、中国での元の株(図中WA)・BA.2いずれも中和する抗体が確認されており、BA.1感染者はこの中和抗体がある間、BA.2にすぐには感染しにくいと考えられます。一方、英国からのデータをみると、デルタ以前の株への感染者の抗体はオミクロン株を認識しにくく、再感染する可能性が高いことが示唆されています。下図の通り、オミクロン株が流行するまでは再感染する人はそれほど多くなかったのに対し、オミクロン株流行下では急激に増加しています。今後出てくる変異株の特徴にもよりますが、既感染者もいずれかのタイミングでワクチン接種を受けておくほうが有利だと思います。画像を拡大する(インタビュー:2022年3月11日、聞き手・構成:ケアネット 遊佐 なつみ)

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今後登場する新たなワクチンの可能性は~免疫学の視点から[宮坂昌之氏インタビュー 後編]

感染者数・死者数ともに過去最多となったオミクロン株(BA.1)による第6波のピークは越えたとみられ、ワクチン3回目接種が進みつつある中、4回目接種についても政府が検討をはじめている。宮坂 昌之氏(大阪大学免疫学フロンティア研究センター招へい教授)へのインタビュー後編では、今後登場する新たなワクチンの4回目接種における可能性や小児へのワクチン接種について話を伺った。今後登場する新たなワクチンの可能性は~免疫学の視点から[宮坂昌之氏インタビュー 後編]―交互接種の有効性について、免疫学の観点からはどのように考えますか? 今後登場するかもしれない新たなワクチンについても同じことが期待できるのでしょうか?当初英国で多く使われたアストラゼネカ社のウイルスベクターワクチンの接種後に、mRNAワクチンを接種した場合、同じウイルスベクターワクチンを接種した場合より高い有効性が報告されました。また、mRNAワクチンどうしの交互接種の場合でも、他社のワクチンを接種したほうがおおむね良い結果がでているようです。B型肝炎ワクチンなどですでによくわかっていることですが、100人にワクチンを打つと5人ぐらいノンレスポンダーが発生します。この人たちは肝炎ウイルスワクチンに一切反応できないかというとそうではなくて、A社のワクチンでは反応しなかったが、B社のワクチンでは反応できたという例が報告されています。ファイザー社とモデルナ社のmRNAワクチンで言えば、同じスパイクタンパク質であっても作り方が違うことで、Bに反応できなくてもB‘には反応できるということが免疫の世界では起こり得ます。抗原を変えるということは全然悪いことではなくて、マイナスはむしろ考えにくく、変えてよくなることの方が通常は多いと考えられます。また、1~2回目の接種で基礎免疫ができていれば、新型コロナウイルス反応性のT細胞とB細胞の数が増えていて、スパイクタンパク質(抗原)が入ってきたときの親和性が高まり準備態勢が整った状態(少量の抗原でも認識できる状態)といえます。たとえ1~2回目のワクチンとしてみたときにmRNAワクチンに効果が劣るものだったとしても、4回目のワクチンとしては十分に使えるものがでてくる可能性はあるでしょう。―小児へのワクチン接種が開始されましたが、効果の持続期間が短いという報告もあります。小児へのワクチン接種についてはどのようにお考えですか?基本的には若ければ若いほど自然免疫の力も獲得免疫の力も高く、感染時の新型コロナ反応性T細胞の働きも成人よりも小児で高くなっています。ところがB細胞をみてみると、抗体は作られるものの抗体価が早く低下してしまうという傾向が報告されています。小児がワクチンを打つべきかどうかとなったときに、私はよく下記のスライドを使って説明しています。両親がまずきちんとワクチンを打っていれば、アルファ株感染の場合で約70%、デルタ株感染の場合でも約60%子どもへの家庭内感染リスクを下げることができます。画像を拡大するまた、オミクロン株流行下で小児がどれくらい感染し、入院者がでているかをみてみると、ヨーロッパでは感染者・入院者ともに急激に増加しています。一方成人では感染者の増加に比して入院者はそれほど増加していません。この原因はオミクロン株が重症化しにくいことに加えて、成人のワクチン接種率が例えばイギリスでは70%以上など非常に高かったことが寄与したと考えられます。日本でもオミクロン株流行下で小児感染者が増えたことは間違いないと思いますが、入院者がどれくらい増えたかというデータはまだ出てきていません。そのデータもみながら判断していく必要があるとは思いますが、現段階では、慌てて5~11歳にもワクチンを打つべきかという議論はあるべきだと思います。私は今の段階では、12歳以上は2回の接種を、成人は追加接種も含めてしっかり受けたうえで、5~11歳については家庭の状況次第ではないかと思っています。ワクチンはゼロリスクではないので、例えば家に高齢者がいる場合や、両親の職業上小児が学校で感染してくることによる影響が大きい場合など、ケースバイケースで親御さんが判断して、打つ人がいてもいいし打たない人がいてもいいという位置づけであるべきではないかと考えています。画像を拡大する(インタビュー:2022年3月11日、聞き手・構成:ケアネット 遊佐 なつみ)

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コロナ禍で医療従事者のビタミンD欠乏が顕著/国立成育医療研究センター

 日々の生活でビタミンDが不足すると免疫力を低下させる可能性があり、長期間の屋内生活での運動不足(骨刺激不足)では骨粗鬆症への影響も懸念される。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が蔓延する環境下で、医療従事者の長期間の屋内生活での影響はどのようなものがあるだろうか。 国立成育医療研究センター(理事長:五十嵐 隆氏)の「ナショナルセンター職員における新型コロナウイルス感染症の実態と要因に関する多施設共同観察研究」グループは、感染者の易感染性や重症化要因を評価する目的で、COVID-19患者受け入れ病院である同センターのハイリスク医療従事者361人(男性87人、女性274人)を対象に、2021年3月1日~5日に調査を行い、その結果を発表した。 調査の結果、対象者にはビタミンDの欠乏が顕著にみられた。そのため医療従事者だけでなく、長期間の屋内生活をしている方には、適度な日光浴もしくはビタミンDの補充(食事、サプリメント、薬剤)が重要である可能性が示唆された。屋内生活が長いときに意識したいビタミンDの摂取【背景・目的】 COVID-19の最大の特徴は、ウイルス側の感染性および病原性の変化に加え、感染者(ホスト側)の年齢や基礎疾患などによる病状の多様性にある。この点に着目し、ホスト側の易感染性もしくは重症化要因を評価するために、感染防御能力低下、動脈硬化、耐糖能異常、肝・腎機能障害、栄養低下、骨髄機能低下のスクリーニング調査を行った。【結果概要】 ・本調査で顕著に異常を認めたのはビタミンDであり、性別、年齢を問わず多くの研究参加者で不足していた。・COVID-19の防御対策や、医療従事による長期間の室内生活が紫外線吸収の低下を招いたことが原因の1つとして考えられる。・ビタミンDには多様な生理作用があり、細胞の分化・増殖や免疫機構、骨代謝と深くかかわっている。・ビタミンD不足においては、感染防御能力の低下に加え、骨代謝の低下と運動不足(骨刺激不足)による骨粗鬆症や、それに起因する骨折への注意が必要。【今後の展望・発表者のコメント】 ビタミンDを補充する方法はまちまちだが、日光(紫外線)曝露、経口摂取とそれに加え薬剤(活性型ビタミンD3製剤)の補充により免疫能力の改善、骨粗鬆症の予防が期待される。この調査は医療従事者を対象とした調査結果だが、コロナ禍で長期間の屋内生活をしている方は、適度の日光浴やビタミンDの補充を行い、ビタミンD不足を起因とする感染防御能力の低下、骨代謝の低下と運動不足による骨粗鬆症や、骨折への注意が必要と警鐘を鳴らしている。

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コロナ禍での女性の雇用喪失、世界共通で多い要因は?/Lancet

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行が、健康、社会、経済の指標の男女差に及ぼした最も大きな影響は、新たな不平等を生み出すというよりも、以前から広く存在していた不平等を強化したことであり、とくに女性は男性に比べ、雇用の喪失や家事の増加、無報酬の介護義務による仕事の断念の割合が高い点が懸念材料であることが、米国・ワシントン大学のLuisa S. Flor氏らの調査で明らかとなった。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2022年3月2日号で報告された。5つのカテゴリーに関する指標を193ヵ国で包括的に再検討 研究グループは、健康関連、社会的、経済的な幅広い指標に関して、COVID-19が男女差に及ぼした間接的な影響の評価を目的に、包括的な調査を行った(ビル&メリンダ・ゲイツ財団の助成を受けた)。 解析には、2020年3月~2021年9月の193ヵ国のデータが用いられた。次の5つのカテゴリーに関する指標の、公表されているデータセットを再検討し、COVID-19の世界的流行の影響が評価された。 (1)ワクチンへのためらい(接種サービスが利用可能なのに拒否)と接種(完全接種者)、(2)保健サービス(医療全般・性と生殖に関する健康・予防医療・薬剤の入手・健康製品[眼鏡、補聴器、杖など]の入手の混乱)、(3)経済上および仕事関連の心配事(雇用喪失、収入喪失、家事の増加、他人の世話の増加、介護が原因の離職)、(4)教育(学校の中途退学、適切な遠隔学習)、(5)家庭と地域社会での安全性(性差に基づく暴力増加の認識、家庭での不安感)。 混合効果回帰とガウス過程回帰、ブートストラップ法を用いて、すべてのデータソースが統合された。基礎データとモデル化過程の不確実性を考慮したうえで、混合効果ロジスティック回帰モデルを使用して、世界および地域別の男女差(gender gap)の検討が行われた。ワクチンへのためらいや接種には差がない COVID-19の世界的流行の開始以降、雇用喪失の割合は高く、男性よりも女性で顕著に高率であるが、男女とも着実に減少する傾向がみられた。2021年9月の時点で、女性の26.0%(95%不確実性区間[UI]:23.8~28.8)、男性の20.4%(18.2~22.9)が、COVID-19の世界的流行期間中の雇用喪失を報告した。 回答者の半数以上が、COVID-19の世界的流行の期間中に、家事や他人の世話が増えたと報告しており、北アフリカと中東を除き、女性が男性よりも有意に高率であった。最も男女差が大きかったのは、他人の世話の増加が高所得国で女性が男性の1.10倍に、家事の増加は中央ヨーロッパ、東ヨーロッパ、中央アジアで女性が男性の1.22倍となっていた。 同期間中に、どの地域でも女性は男性に比べ、介護が原因で仕事を辞めたとの報告が多く、この性差は時間の経過に伴って拡大した。2020年3月の時点で、介護が原因の離職の世界的な割合は、女性が男性の1.8倍であり、2021年9月には2.4倍に拡大していた。 同期間中の学校の中途退学の割合は、全体では6.0%(95%UI:5.98~6.02)であった。学校閉鎖以外の理由による中途退学の報告は、女性/女児が男性/男児の1.21倍(95%UI 1.20~1.21)だった。最も性差が大きかったのは、中央ヨーロッパ、東ヨーロッパ、中央アジア(女性が男性の4.10倍)と南アジア(同1.48倍)であった。 性差に基づく暴力の報告の割合は、女性が53.7%(95%UI:53.6~53.8)、男性は43.7%(43.7~43.8)であり、女性が男性の1.23倍(1.22~1.23)であった。最も頻度が高かったのは、中南米諸国とカリブ海諸国(61.2%、95%UI:60.9~61.5)、高所得国(59.9%、59.6~60.3)、サハラ以南のアフリカ諸国(56.7%、56.4~56.9)だった。 2021年9月の時点で、ワクチンへのためらいや接種には有意な男女差は認められなかった。 著者は、「社会はいま、重大な局面を迎えており、男女平等(gender equality)に向けた重要な進展がCOVID-19の世界的流行によって停滞したり、逆行したりしないように、女性/女児の能力開花(empowerment)への投資が必要とされている」としている。

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高齢者と基礎疾患のある成人に早期の3回目接種を

 2022年3月11日、モデルナ・ジャパン株式会社(以下モデルナ社)はメディアセミナー「この春の感染拡大を見据えた3回目追加接種の必要性~Long COVID リスク等も視野にいれて~」を開催した。 本セミナーでは、はじめにモデルナ社 代表取締役社長の鈴木 蘭美氏より、コロナワクチンの開発と最新パイプラインについての説明が行われた。 コロナワクチンに関しては本年秋頃の追加接種の可能性を見込み、モデルナ社ではオミクロン株用を含む追加接種用の2価ワクチンを開発中だという。またmRNA医薬品創出技術を生かしたパイプラインについては、サイトメガロウイルス感染症ワクチン、MSD社と共同開発のがんに対するワクチン、アストラゼネカ社と共同開発の心臓発作時の損傷を防ぐ新薬など、グローバルで計44の新薬開発プロジェクトが進行している。パイプラインの中には新型コロナウイルス・インフルエンザ・RSウイルスに対する3種混合ワクチンも含まれており、2023年秋までの提供開始を目指しているという。 3回目接種と今後のワクチン開発について、鈴木氏は「できるだけ多くの方に3回目のワクチン接種を受けてもらい、免疫を備えてもらいたい。ワクチンのリーディングカンパニーとして、(今後の感染状況が)最悪の場合を想定して最善を備えたいと思っている」と強く語った。 続いて、国際医療福祉大学の和田 耕治氏より、第7波を見据えたワクチン戦略についての講演が行われた。 和田氏は、ワクチン接種状況のデータや自主調査の結果から3回目接種の遅れを指摘、国内外における3回目接種による重症化予防効果のデータを示し、とくに高齢者と基礎疾患のある成人に対する早期接種の重要性を述べた。また、英国のCOVID-19ワクチンサーベイランスレポート1)のデータを用いて、モデルナワクチンとファイザーワクチンの混合接種を含んだ3回目接種による発症予防効果についての解説を行った。 モデルナ社では、3月11日から5月10日まで、60名のサッカー選手が所属クラブの公式Twitterアカウントで、「#GoGoGo 3回目接種」のハッシュタグを付けて3回目接種を支援するツイートを行うキャンペーンを実施している。

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第103回 実は存在するらしいデルタ株とオミクロン株の融合株

今年1月、キプロス大学のウイルス学者Leondios Kostrikis氏が率いるチームはデルタ株とオミクロン株の両方の変異を有する新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ゲノムを見つけたと報告し1)、Deltacron(デルタクロン)と名付けたそれら配列をゲノム情報データベースGISAIDに登録しました。即座に反応した世界の専門家からの風当たりはきついものでした。Kostrikis氏らがGISAIDに登録した52の配列は新たな変異株を意味するものではないし、ましてや異なるウイルスがそれぞれ手持ちの遺伝情報を融合させて生じたものでもなく、実験での不手際による混入が招いたものであろうと多くの専門家はツイッターなどのソーシャルネットワークやら記者会見などで言い散らしたのです。たとえば世界保健機関(WHO)のCOVID-19チームのメンバーKrutika Kuppalli氏などはツイッターにオミクロン株とデルタ株が混じった超変異株などない(“#Omicron and #Delta did NOT form a super variant.”)と当時断言しました2)。研究の過程でオミクロン株がうっかり混じってしまったデルタ株検体の配列を読んでしまったことが原因だろうと同氏は推察しています。キプロスのKostrikis氏が配列をデルタクロンと呼んでしまったせいでデルタ株とオミクロン株が融合したウイルス配列が見つかったと幾つかのニュースは報じました。しかし配列はデルタ株であってデルタ株とオミクロン株の融合配列とは言っていないと同氏は釈明しています。とはいえ針のむしろのKostrikis氏はすっかり気が引けてしまったらしく、せっかくGISAIDに登録した“デルタクロン”の配列を72時間後には更なる調査が必要と言って引っ込めてしまいました。そんなこんなでもはやデルタクロンは幻として忘れ去られると思いきやさにあらず、デルタ株とオミクロン株の融合と思しきゲノムの報告は先月2月に入って相次ぎ、その月末27日までに融合産物らしいどれも非常に似通った配列がGISAIDに15も登録されています。そしてとうとう先週8日のmedRxiv掲載報告3)でフランスの研究者がその尻尾を捕まえたことを明らかにしました。デルタ株とオミクロン株のそれぞれに特有の変異を併せ持つSARS-CoV-2株・デルタミクロン(Deltamicron)を感染者の1人から培養で単離していわば生け捕りにし、そのゲノム配列を読み取ることに成功したのです。SARS-CoV-2感染は世界に広まってすでに数年が経ち、複数の変異種が時にあいまみえつつ入れ代わり立ち代わり跋扈しています。ウイルス2種がそれぞれ手持ちのゲノムを融合させるにはそれらがあいまみえている期間に同じ細胞に一緒に感染することを必要とします。デルタ株とオミクロン株の感染流行は数週間ほど重なっており、一つの細胞にそれらが共存して果てはそれぞれのゲノムを共有する機会は確かにありました。実際、デルタ株とオミクロン株の同時感染の報告は幾つか存在しますし、WHOのKuppalli氏のツイッター投稿とは裏腹にコロナウイルスがそれぞれ手持ちのゲノム情報を共有するのはよくあることです3)。フランスの研究報告の4日後の先週土曜日(12日)には米国の遺伝研究企業Helix社もデルタ株とオミクロン株の同時感染とゲノム情報の共有を裏付ける解析結果を発表しています4,5)。同社は米国でデルタ株流行とオミクロン株流行がかぶっていた去年11月から今年2月の感染例検体およそ3万件を解析し、同時感染20件を同定しました。そのうちの1つではウイルスゲノムの共有の痕跡が認められ、さらには、デルタ株とオミクロン株のゲノムが融合したウイルスが感染者2人から見つかりました。それらのSARS-CoV-2ゲノムは両端の一方(5‘末端)がデルタ株、もう一方(3’末端)がオミクロン株からのものでした。Helix社の研究で示唆されているようにデルタ株とオミクロン株の融合はどうやら稀であり、それら融合株がオミクロン株に比べて人から人により伝染しやすいという謂れは今の所ありません。ただしフランスの研究チームのスパイクタンパク質解析によると気味が悪いことにデルタミクロンは細胞膜への結合にうってつけ(optimization of virus binding to the host cell membrane)になっているようです3)。フランスの研究チーム曰く世界で初めてデルタミクロン株が今や単離されたことで細胞への結合のほどが実際にはどうなのかの検討が早速始まるでしょう。加えて、細胞各種でのその増えやすさ、先立つ感染やワクチン接種で備わった中和抗体の効き具合、遺伝的変化の様子なども今後調べることができます3)。ちなみにデルタ株とオミクロン株の融合などないと断言した件のKuppalli氏のツイッターには「今はどう考える?(So, what do you have to say about this now?)」といった問いかけがあり、また最近のニュースでも言及されました。それに対して同氏は先週11日に以下のように回答しています。“This is a perfect example of media taking a tweet out of context. I wrote that tweet in December in relation to a preprint that reported “Deltacron” that tweet was relevant to that story at the time. Using a tweet from three months ago when things have evolved is inappropriate(ニュースが状況を無視してツイートを取り上げる良い例だ。私のツイートはデルタクロンを報告したプレプリントに関する去年12月のものだ[筆者注:ツイートされたのは今年1月10日。それにツイートで引用されているのはプレプリントではなくCNBCのニュース]。3ヵ月前[筆者注:2ヵ月前が妥当でしょう]のツイートを状況が変化した今になって取り上げるのは不適切だ)。この言い分はちょっと的外れと思うのはわたしだけでしょうか。参考1)Deltacron: the story of the variant that wasn’t. Nature.2)Krutika Kuppalli氏ツイッター投稿3)Culture and identification of a “Deltamicron” SARS-CoV-2 in a three cases cluster in southern France. medRxiv. March 08, 20224)Evidence for SARS-CoV-2 Delta and Omicron co-infections and recombination. medRxiv. March 12, 20225)"Deltacron" with genes of Delta and Omicron found Reuters.

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オミクロン株BA.2、コロナ治療薬の有効性は?/NEJM

 現在、オミクロン株亜種BA.2は、デンマーク、インド、フィリピンなどの地域において、オミクロン株BA.1系統から置き換わり、主流になっている。近いうちに日本国内でもBA.1からBA.2に置き換わることが予想されている。国立感染症研究所の高下 恵美氏らの研究グループは、オミクロン株BA.2に対し、7種類の抗体薬と3種類の抗ウイルス薬について、in vitroでの有効性を検証した。本研究の結果は、NEJM誌オンライン版2022年3月9日号のCORRESPONDENCEに掲載。 研究対象となった薬剤は、FDA(米国食品医薬品局)で承認済み、日本で承認済みのものが含まれる。日本で承認済みの抗体薬は、イムデビマブとカシリビマブの併用(商品名:ロナプリーブ)、ソトロビマブ(商品名:ゼビュディ)、抗ウイルス薬は、レムデシビル(商品名:ベクルリー)、モルヌピラビル(商品名:ラゲブリオ)、ニルマトレルビル(商品名:パキロビッドパック[リトナビルと併用])となる。 今回の試験では、7種類の抗体薬(etesevimab、bamlanivimab、イムデビマブ、カシリビマブ、tixagevimab、cilgavimab、ソトロビマブ)の単剤および併用について、オミクロン株BA.2の培養細胞における感染を阻害(中和活性)するかどうかを、FRNT50(ライブウイルス焦点減少中和アッセイで50%のウイルスを中和する血清希釈)を用いて評価した。また、3種類の抗ウイルス薬(レムデシビル、モルヌピラビル、ニルマトレルビル)について、IC50(50%阻害濃度)を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・etesevimab、bamlanivimabの単剤使用では、最も高いFRNT50値(>5万ng/mL)でも、オミクロン株BA.2に対する中和活性は見られなかった。併用では、最も高いFRNT50値(>1万ng/mL)でも、中和活性は見られなかった。この結果は、オミクロン株BA.1とその亜種のBA.1.1に対しても同様だった。・イムデビマブの単剤使用では、BA.1とBA.1.1に対する中和活性は見られなかったが、BA.2に対して中和活性があることが確認された。・カシリビマブの単剤使用では、BA.2に対して中和活性があることが確認された。・イムデビマブとカシリビマブの併用では、BA.1とBA.1.1に対する中和活性は見られなかったが、BA.2に対して中和活性があることが確認された。ただし、初期のSARS-CoV-2や、アルファ株、ベータ株、ガンマ株、デルタ株より、FRNT50値が43.0~143.6倍高かった。・tixagevimab、cilgavimabの単剤使用では、BA.2に対して中和活性があることが確認された。・tixagevimabとcilgavimabの併用では、BA.2に対して中和活性があることが確認された。ただし、初期のSARS-CoV-2や、アルファ株、ベータ株、ガンマ株、デルタ株より、FRNT50値が1.4~8.1倍高かった。・ソトロビマブの前駆体では、BA.1とBA.1.1に対する中和活性は低く、BA.2に対する中和活性はそれ以下で、FRNT50値が12.2〜49.7倍高かった。・レムデシビル、モルヌピラビル、ニルマトレルビルの各抗ウイルス薬では、BA.2に対し、初期のSARS-CoV-2やこれまでの変異株と同等の効果を示した。 研究チームは、本試験の結果から、抗体薬のうちイムデビマブとカシリビマブの併用、tixagevimabとcilgavimabの併用、ソトロビマブは、中和活性は認められるものの、初期の変異株よりも、オミクロン株BA.2に対する効果が劣っていると述べている。また、本試験で使用した抗ウイルス薬がBA.2に対して実際に有効かどうかは、臨床研究が必要であるとしている。

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第93回 新型コロナウイルスワクチン4回目接種も検討開始/厚労省

<先週の動き>1.新型コロナウイルスワクチン4回目接種も検討開始/厚労省2.新規感染者数と病床使用率、まん防の解除条件見直しへ/内閣府3.手術後の3年生存率、がん拠点病院vs.それ以外の病院/大阪府4.がん拠点病院、敷地内における自由診療の免疫療法に批判5.全世代型社会保障構築会議で少子化対策の検討開始/内閣府1.新型コロナウイルスワクチン4回目接種も検討開始/厚労省後藤 茂之厚生労働相は11日の記者会見において、新型コロナウイルスワクチン接種の4回目の実施を検討していると明らかにした。海外ではすでにイスラエルやチリが4回目接種を開始しており、全国知事会からも、4回目について政府の考え方を早期に示し、ワクチンの確保を求める提言を出している。後藤厚労大臣は、「今の段階ではともかく、3回目のワクチン接種を希望する方が、1日でも早く接種が受けられるように全力で取り組んでいきたい」と強調した。(参考)新規感染者は減少傾向続く 政府は3回目接種を急ぎ、4回目も検討(東京新聞)ワクチン4回目接種 “科学的知見や諸外国の対応を注視”厚労相(NHK)抗体量は半年で減少、秋頃に4回目の接種必要…モデルナ日本法人社長(読売新聞)2.新規感染者数と病床使用率、まん防の解除条件見直しへ/内閣府内閣は11日に新型コロナウイルス感染症対策分科会を開催し、21日が期限の「まん延防止等重点措置」の解除の条件について、新たな行動制限緩和の検討を行った。これまでは、新規の感染者数が前週と比べて減少傾向にあることと、病床使用率が50%を下回ることの2つの基準を重視してきたが、これらを転換し、新規感染者数か病床使用率のいずれかが低下すれば解除可能とする方針を確認した。また、大規模イベントの人数制限についても緩和する方向で、今週正式に決定する見込み。(参考)“まん延防止”解除 条件緩和の新たな考え方を提示 政府分科会(NHK)まん延防止、病床5割超でも解除可=イベント制限緩和へ―政府(時事通信)3.手術後の3年生存率、がん拠点病院vs.それ以外の病院/大阪府大阪国際がんセンターのグループによる分析によって、大阪府や国が指定するがん拠点病院で手術を受けた患者とそれ以外の病院で手術を受けた患者の生存率に差があることが判明した。がん拠点病院とそれ以外の病院での治療成績について、2012年までの3年間に大阪府内でがん患者として手術を受けた15歳以上の患者8万6,000人余りの3年生存率を比較したところ、すべてのがんにおいて、国の拠点病院では86.6%、大阪府の拠点病院では84.2%、拠点病院以外の病院では78.8%と差があった。国は全国の医療圏ごとにがん診療の均てん化を進めてきたが、これらの結果から、従来のやり方での格差解消は難しいと考えられ、アクセスの良い都市部ではさらに拠点化・重点化によって地域格差の解消が求められる。(参考)がん手術後の生存率 大阪府内の拠点病院と拠点以外の病院で差(NHK)がん手術後の生存率で明暗 拠点病院を選ぶならセンターより大学が無難【Dr.中川 がんサバイバーの知恵】(日刊ゲンダイ)4.がん拠点病院、敷地内における自由診療の免疫療法に批判厚労省は3月にがん診療連携拠点病院等の指定に関する検討会を開催した。拠点病院の指定をめぐって今回、金沢大学附属病院と同一敷地内の「医療法人社団金沢先進医学センター」が免疫療法を行っており、さらには金沢大病院に勤務する医師が兼業しているのが問題視された。保険適応外の免疫療法を提供する場合は、原則として臨床研究、先進医療の枠組みで行うことが求められているが、今回発覚した問題は営利目的で自由診療の免疫療法を実施していたとみられる。過去の事例として、埼玉県の民間病院は、ほかの要件はすべて満たしているにもかかわらず、効果が不確かかつ患者に莫大な負担が生じる「免疫細胞療法」を早期がん患者に提供していた問題があり、拠点病院の指定が見送られていた。(参考)金沢大病院の敷地内施設で行われる免疫療法に強い懸念―がん拠点病院指定検討会(Gem Med)同一医療圏で複数のがん拠点病院を指定する場合、明確な「相乗効果」が必要―がん拠点病院指定検討会(同)5.全世代型社会保障構築会議で少子化対策の検討開始/内閣府9日に第2回全世代型社会保障構築会議が開催され、今後さらに進む高齢化や人口減を踏まえて、医療・介護分野では、人材の確保と育成が課題であり、デジタル技術の活用、高齢人材の活用が話題となった。出席した委員からは、わが国には今後20年間の社会の担い手を確保する「少子化対応戦略」と、20年後以降の少子化に歯止めをかけるための「少子化克服戦略」の同時実施が求められていると指摘があり、地域医療構想の再構築による医療介護提供体制の見直しを進める。具体的には、医療に求められる機能が「治す医療」から「治し支える医療」へと変化していることを踏まえ、在宅医療の機能強化、病院の機能分化を求める意見が出された。(参考)全世代型社会保障構築へ議論開始、人への投資 社会保障制度改革は骨太方針と改革工程表で(CB news)全世代型社会保障、「人への投資」優先 子育て支援拡充など議論(日経新聞)

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