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コロナ感染後の手術、間隔が長いほど術後の心血管疾患リスク減

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染から手術までの間隔が長くなるほど、術後の主要心血管イベント複合転帰のリスクが低くなることを、米国・ヴァンダービルト大学医療センターのJohn M. Bryant氏らが単一施設の後ろ向きコホート研究によって明らかにした。JAMA Netw Open誌2022年12月14日号掲載の報告。コロナ感染後、手術までの期間が長くなるほど複合転帰の発生率が低下これまで、複数の研究によってコロナ感染と手術後の死亡率増加の関連が報告されているが、コロナ感染から手術までの期間と死亡率の関連性についてはまだ不十分であった。そこで研究グループは、コロナ感染から手術までの期間が短いほど、術後の心血管イベントの発生率が上がると仮説を立て、手術後30日以内の心血管イベントリスクを評価することにした。 対象は、PCR検査によるコロナ感染歴があり、かつ2020年1月1日~2021年12月6日にヴァンダービルト大学医療センターで手術を行った3,997例(年齢中央値51.3歳、女性55.6%、白人74.8%)であった。主要エンドポイントは、手術後30日以内の深部静脈血栓症、肺塞栓症、脳血管障害、心筋損傷、急性腎障害、または死亡の複合転帰であった。データ分析は2022年3月29日に実施された。 コロナ感染から手術までの期間と心血管イベント発生率の関連性について評価した主な結果は以下のとおり。・コロナ感染の診断から手術までの期間の中央値は98日(四分位範囲[IQR]:30~225日)で、3,997例中1,394名(34.9%)が7週以内に手術を受けていた。・手術の内訳は、消化器系25.1%、整形外科系14.3%、頸部・頸部10.4%、産婦人科系9.6%、腹部全般9.3%、循環器系5.8%、泌尿器科系5.8%などであった。・術後30日以内に485例(12.1%)で主要心血管イベントが確認された。急性腎障害は363例(9.1%)、心筋損傷は116例(2.9%)、深部静脈血栓症は61例(1.5%)、脳血管障害は29例(0.7%)、肺塞栓症は16例(0.4%)、死亡は79例(2.0%)であった。・多変量ロジスティック回帰分析の結果、コロナ感染から手術までの期間が長くなるほど、主要心血管イベントの複合転帰の発生率は低くなった(10日あたり調整オッズ比[aOR]:0.99、95%信頼区間[CI]:0.98~1.00、p=0.006)。・高齢、男性、黒人/アフリカ系、全身状態不良、泌尿器科系手術、併存症を既往している患者などでは、主要心血管イベントの複合転帰の発生率が高かった。・新型コロナ感染症の症状の有無、ワクチン接種の有無にかかわらず、陽性診断から手術までの経過日数と複合転帰の発生率は同様の傾向を示した。 研究グループは、これらの結果から「コロナ感染の診断から手術までの間隔の延長が、術後の重大な心血管疾患イベントの低減と関連していた。コロナ感染歴のある患者の手術タイミングと転帰の議論に役立ててほしい」とまとめた。

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超過死亡1,483万人、コロナ死の約3倍/Nature

 2020〜21年における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行による超過死亡者数は、全世界で約1,483万人にのぼることが、世界保健機構(WHO)のWilliam Msemburi氏らのグループの推計で明らかになった。この推計値は、同期間中に報告されたCOVID-19を原因とした死亡(COVID-19死)件数の約3倍に相当する。Nature誌オンライン版12月14日掲載の報告。日本の超過死亡者数は2020年が-3万139人、2021年が1万668人 2021年12月31日現在、WHOに報告されたCOVID-19の確定数は、全世界で2億8,700万人を超え、そのうち約542万人が死亡している。しかし、検査の利用しやすさ、診断能力、COVID-19死の認定方法に一貫性がないといった要因により、COVID-19が世界人口に及ぼす影響の評価には困難が伴う。そこでMsemburi氏らは、人命損失について世界規模で定量化するため、超過死亡者数を推定した。超過死亡者数にはCOVID-19死の総数、必要な医療の中断などの間接的な影響による死亡の両方が含まれる。 超過死亡者数を推定した主な結果は以下のとおり。・全世界の2020~21年におけるCOVID-19流行による超過死亡者数(不確定区間[UI])は、1,483万人(1,323万~1,658万)であり、この推定値はCOVID-19死報告件数542万人と比較して2.74倍であった。・全世界のCOVID-19流行による超過死亡者数(UI)は、2020年が447万人(391万~507万)であったのに対し、2021年には1,036万人(906万~1,197万)に増加した。・2020~21年の超過死亡者数の多い国は、インド(474万人)、ロシア連邦(107万人)、インドネシア(103万人)、アメリカ合衆国(93万2千人)などであった。日本の超過死亡者数は2020年が-3万139人、2021年が1万668人。・2020~21年の超過死亡率(超過死亡数/COVID-19が発生しなかったと仮定した場合の予測死亡数)の高い国は、ペルー(97%)、エクアドル(51%)、ボリビア(49%)などであった。日本の超過死亡率は2020年が-2.13%、2021年が0.74%。・WHOの定める6地域別の2020~21年の超過死亡率は、アメリカ22%、南東アジア22%、ヨーロッパ17%、東地中海12%、西太平洋0%であった(日本は西太平洋に所属)。 著者らは、本研究の重要なポイントとして、以下の4点を挙げている。・COVID-19の流行は2020~21年の期間において、全世界で1,483万人という顕著な超過死亡者数をもたらした。・COVID-19死報告件数、超過死亡者数は、共に2020年よりも2021年のほうが多かった。・超過死亡者数がCOVID-19死報告件数を大きく上回った。多くの国でCOVID-19死が正確に報告されているが、正確に報告されていない国では超過死亡者数がCOVID-19死報告件数よりも顕著に多く、数桁の差がみられる国もあった。・全世界の約半数の国において、入手可能なデータでは超過死亡者数の追跡が不可能であり、これらの国では統計モデルに頼らざるを得なかった。データが得られない国が多い地域の推定値については慎重な解釈が必要である。

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第129回 インフルエンザが流行期入り、年明けに感染拡大の可能性も/厚労省

<先週の動き>1.インフルエンザが流行期入り、年明けに感染拡大の可能性も/厚労省2.来年度の予算を閣議決定、社会保障費は36.9兆円3.かかりつけ医は自治体が公表へ/厚労省4.電子処方箋、来年1月から運用開始/厚労省5.オンライン資格確認システムの導入義務化に経過措置/厚労省6.マイナンバー活用して生活保護者の頻回受診の改善を/厚労省1.インフルエンザが流行期入り、年明けに感染拡大の可能性も/厚労省厚生労働省は12月18日までの1週間に発生報告されたインフルエンザ患者数が1施設当たり1人を超え、東京や岩手などの6都県で流行入りしたことを発表した。全国平均では1医療機関当たり0.53人だが、岩手県2.84、富山県1.33、青森県1.25と東北地方のほか、東京都1.12、神奈川県1.05といずれも流行の目安を超えており、年末年始の帰省シーズンの移動により、年明け以降に新型コロナとの同時流行が全国に広がる可能性があり、警戒を呼びかけている。(参考)インフルエンザの発生状況について(厚労省)1都5県でインフル流行期入り 「6~8週間でピーク」厚労相(朝日新聞)岩手や東京など6都県でインフル流行入り、専門家はコロナとの同時流行を懸念(読売新聞)インフルエンザ 6都県で「流行期入り」 コロナ感染拡大以降初(NHK)2.来年度の予算を閣議決定、社会保障費は36.9兆円岸田内閣は、一般会計総額114兆3,812億円となる2023年度予算案を12月23日に閣議決定した。北朝鮮や中国の軍事的脅威に対抗するため、防衛費は今年度の5兆4,005億円から、過去最大の約6兆8,000億円と増加している中、後期高齢者が増加のため、社会保障費は4,100億円増加を見込み、社会保障費は36.9兆円を計上している。政府は社会保障費の抑制に薬価の引き下げによって医療費削減を図っているが、膨らむ社会保障費の抑制策については、医療保険制度の改革を進める検討が進められるとみられている。(参考)社会保障費、伸び止まらず 描けぬ「子ども予算倍増」-来年度予算案(時事通信)医療体制、見えぬコロナ後 社会保障費36.9兆円で最大に(日経新聞)社会保障費、過去最大の約36.9兆円 23年度予算案決定(CB news)3.かかりつけ医は自治体が公表へ/厚労省厚生労働省は12月23日に社会保障審議会医療部会を開き、かかりつけ医制度について改革案を提案した。今後の人口構造の変化に対応するため「治す医療」を担う医療機関と「治し、支える医療」を担う医療機関の役割分担を明確化する。さらに入退院を繰り返し、最後は看取りを要する高齢者を支えるため、かかりつけ医機能を有する医療機関を中心とした患者に身近な地域での医療・介護の「水平的連携」を推進するとともに、「地域完結型」の医療・介護提供体制を構築するため、個々の医療機関からの機能報告を行うことで、令和7年度を目途に地域の協議の場における「かかりつけ医機能」に関する議論を開始し、結果については地方自治体がホームページで公表することとした。この案をもとに来年の通常国会で医療法改正案提出を目指す。(参考)医療提供体制の改革に関する意見(案)第95回社会保障審議会医療部会(厚労省)かかりつけ医、自治体が公表へ 厚労省が改革案(日経新聞)「かかりつけ医」法律に明記 医療機関の情報、ウェブで公開 厚労省(時事通信)4.電子処方箋、来年1月から運用開始/厚労省厚生労働省は12月21日、電子処方箋の運用を来年1月26日から始めると発表した。これにより、処方箋発行システムを導入した医療機関や薬局では、電子処方箋の利用が可能となる。紙による処方箋の発行も当面は可能だが、厚生労働省は対応できる施設の拡大を目指すとしている。電子処方箋の導入により、お薬手帳なしでも、他の医療機関の薬の処方内容を、医療機関や薬局で共有されることで、併用禁忌の回避や重複投薬の防止などが可能となる。なお、事前に医師や薬剤師はそれぞれ医師会や薬剤師会を介してHPKIカードの取得が必要となる。(参考)電子処方箋の運用開始日について(厚労省)電子処方箋の運用開始日は「来年(2023年)1月26日(木)」-厚労省(Gem Med)電子処方箋サービス、来年1月26日から運用開始 厚労省が発表、今月23日にはオンライン説明会も(CB news)医師資格証(HPKIカード)について(日本医師会 電子認証センター)5.オンライン資格確認システムの導入義務化に経過措置/厚労省厚生労働省は12月23日に開かれた中央社会保険医療協議会の総会で、2023年4月からとされていた「オンライン資格確認システムの導入義務化」について、経過措置を設けることを提案し、了承された。この場合、医療機関や薬局側に以下のような「やむを得ない事情」がある場合に限られる。光回線のネットワークが未整備、医療機関が訪問診療のみを提供、廃止・休止の計画があるなどの事情があるケースを想定している。また、オンライン資格確認の導入・普及を促進するために、2023年12月までの期間限定で、初診時・調剤時に追加の加算や再診時における加算の設定も提案された。今後、来年1月までに関係法令の改正を行い、4月から施行予定。(参考)オンライン資格確認、6つのケースで導入猶予「整備が未完了」なら最大で半年、厚労省案(CB news)オンライン資格確認等システムの導入義務化に経過措置を設け、加算を拡充、後発品使用体制加算なども増点-中医協総会(Gem Med)2023年12月までの期限付きで、オンライン資格確認の導入・普及を目指す初診時等の追加加算、再診時の新加算を創設-加藤厚労相(同)6.マイナンバー活用して生活保護者の頻回受診の改善を/厚労省厚生労働省は、12月20日に「生活困窮者自立支援制度及び生活保護制度の見直しに関するこれまでの議論の整理(中間まとめ)」を発表した。これまで生活保護受給者が医療機関を受診する場合、紙の医療券を用いているが、2023年度中にマイナンバーを使った受診に原則切り替えることを決定しており、不正受給の未然防止や、頻回受診の抑制を目指している。以前から、頻回受診指導を行っているが、未改善の者が約半数おり、特に精神疾患や認知症のため理解が難しい場合や、社会的孤立や精神的不安に起因するものについては取り組みの成果が十分としており、今後も強化したいとしている。また、精神障害者等の長期入院に対しては、福祉事務所による実態把握を通して、退院指導など退院促進も進める。(参考)生活困窮者自立支援制度及び生活保護制度の見直しに関するこれまでの議論の整理(中間まとめ)(厚労省)生活保護で受診、変更へ 「頻回」改善 マイナカード活用(毎日新聞)頻回受診対応でオンライン資格確認ログ情報活用を生活保護議論の中間まとめ、精神障害者退院促進も(CB news)

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事例014 SARS-CoV-2 インフルエンザ抗原同時検出で返戻【斬らレセプト シーズン3】

解説発熱と倦怠感がある患者に、新型コロナウィルス感染症またはインフルエンザではないかと疑い、同時に検査が実施できるキットを使用しました。通知にしたがい「D012「44」 SARS-CoV-2・インフルエンザ抗原同時検出検査(以下「同検査」)」を算定したところ、同じパターンの複数枚が返戻となってしまいました。返戻理由には、「SARS-CoV-2・インフルエンザ核酸同時検出検査又はSARS-CoV-2・インフルエンザ抗原同時検出検査を算定する場合には、「COVID-19」の病名と共に「インフルエンザ」または「インフルエンザ疑い」の病名が必要となります。また、コメントとして記載している場合には、傷病名欄へ病名を記載してください」と記載されていました。本来ならば傷病名欄に記載しなければならない「インフルエンザ疑い」病名を、検査を行った根拠の1つとして摘要欄に記載していたため、コンピュータチェックで病名なしと判定されたようです。「以後、気を付けてください」とのお知らせと考えられました。令和3年12月6日支払基金連絡にも、「それぞれの検査に該当する傷病名(COVID-19の疑い、インフルエンザの疑いなど)が必要となる」と、傷病名は傷病名欄へ記載するようにレセプト記入の例示があります。例示にしたがい「インフルエンザの疑い」と「発熱、全身倦怠感」を傷病名欄に記載して再請求を行いました。レセプト担当者には、支払基金連絡を示して「病名は摘要欄ではなく傷病名欄へ記載、同検査を必要としたデータなどは摘要欄にコメント入力すること」を周知して対策としています。

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12月27日 国際疫病対策の日【今日は何の日?】

【12月27日 国際疫病対策の日】〔由来〕新型コロナウイルス感染の初確認から約1年となる2020年、疫病の大流行に対する備えの必要性を国際社会が認識し続ける狙いをこめて、国連総会の本会議で採択し、制定。関連コンテンツCOVID-19 関連情報まとめサル痘に気を付けろッ!【新興再興感染症に気を付けろッ!】今、知っておきたいワクチンの話COVID-19罹患後症状のマネジメントの手引きの活用法【診療よろず相談TV】英語で「性交渉はありますか」は?【1分★医療英語】

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12~20歳のmRNAコロナワクチン接種後の心筋炎をメタ解析、男性が9割

 12~20歳の若年者へのCOVID-19mRNAワクチン接種後の心筋炎に関連する臨床的特徴および早期転帰を評価するため、米国The Abigail Wexner Research and Heart Center、Nationwide Children’s Hospitalの安原 潤氏ら日米研究グループにより、系統的レビューとメタ解析が行われた。本研究の結果、ワクチン接種後の心筋炎発生率は男性のほうが女性よりも高く、15.6%の患者に左室収縮障害があったが、重度の左室収縮障害(LVEF<35%)は1.3%にとどまり、若年者のワクチン関連心筋炎の早期転帰がおおむね良好であることが明らかとなった。JAMA Pediatrics誌オンライン版2022年12月5日号に掲載の報告。 本研究では、2022年8月25日までに報告された、12~20歳のCOVID-19ワクチン関連心筋炎の臨床的特徴と早期転帰の観察研究および症例集積研究を、PubMedとEMBASEのデータベースより23件抽出し、ランダム効果モデルメタ解析を行った。抽出されたのは、前向きまたは後ろ向きコホート研究12件(米国、イスラエル、香港、韓国、デンマーク、欧州)、および症例集積研究11件(米国、ポーランド、イタリア、ドイツ、イラク)の計23件の研究で、COVID-19ワクチン接種後の心筋炎患者の合計は854例であった。被験者のベースラインは、平均年齢15.9歳(95%信頼区間[CI]:15.5~16.2)、SARS-CoV-2感染既往者3.8%(1.1~6.4)。心筋炎の既往や心筋症を含む心血管疾患を有する者はいなかった。 本系統レビューおよびメタ解析は、PRISMAガイドライン、およびMOOSEガイドラインに従った。バイアスリスクについて、観察研究はAssessing Risk of Bias in Prevalence Studies、症例集積研究はJoanna Briggs Instituteチェックリスト、各研究の全体的品質はGRADEを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・接種したワクチンは、ファイザー製(BNT162b2)97.5%、モデルナ製(mRNA-1273)2.2%であった。・ワクチン接種後に心筋炎を発症した患者では、男性が90.3%(87.3~93.2)であった。・ワクチン接種後に心筋炎を発症した患者では、1回目接種後(20.7%、95%CI:58.2~90.5)よりも2回目接種後(74.4%、58.2~90.5)のほうが多く、心筋炎の発生率は、1回目接種後が100万人あたり0.6~10.0例、2回目接種後が100万人あたり12.7~118.7例であった。・ワクチン接種から心筋炎発症までの平均間隔のプールされた推定値は2.6日(95%CI:1.9~3.3)であった。・左室収縮障害(LVEF<55%)は患者の15.6%(95%CI:11.7~19.5)に認められたが、重度の左室収縮障害(LVEF<35%)を有する患者は1.3%(0~2.6)にすぎなかった。・心臓MRI検査(CMR)では、87.2%の患者にガドリニウム遅延造影(LGE)所見が認められた。・92.6%(95%CI:87.8~97.3)の患者が入院し、23.2%(11.7~34.7)の患者がICUに収容されたが、昇圧薬投与は1.3%(0~2.7)にとどまり、入院期間は2.8日(2.1~3.5)で、入院中の死亡や医療機器の支援を必要とした患者はいなかった。・最もよく見られた心筋炎の臨床的特徴は、胸痛83.7%(95%CI:72.7~94.6)、発熱44.5%(16.9~72.0)、頭痛33.3%(8.6~58.0)、呼吸困難/呼吸窮迫25.2%(17.2~33.1)だった。・心筋炎の治療に使用された薬剤は、NSAIDsが81.8%(95%CI:75.3~88.3)、グルココルチコイド13.8%(6.7~20.9)、免疫グロブリン静注12.0%(3.8~20.2)、コルヒチン7.3%(4.1~10.4)であった。 著者によると、SARS-CoV-2感染後の心筋炎発症リスクは、mRNAワクチン接種後の心筋炎発症リスクよりも有意に高いという。本結果は、複数の国や地域の多様な若年者の集団において、ワクチン関連心筋炎の早期転帰がおおむね良好であり、ワクチン接種による利益は潜在的リスクを上回ることを裏付けるとしている。

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2022年、がん専門医に読まれた記事は?Doctors’Picksランキング

 ケアネットが運営する、オンコロジーを中心とした医療情報キュレーションサイト「Doctors'Picks」は、2022年を通して、がん専門医によく読まれた記事ランキングを発表した。1位は新型コロナに関する話題だったが、その他は肺がん分野の話題が多数ランク入りしたほか、がん横断的なトピックスである新たな免疫療法の開発に関する話題(4位)や、米国臨床腫瘍学会(ASCO2022)でプレナリーセッションに登壇した国立がんセンター東病院 消化管内科長・吉野 孝之氏の演題(6位)も大きな注目を集めた。【1位】3回目接種を受けた医療従事者の新型コロナ感染率は?(1/11)/JAMA 2022年1月10日にJAMA誌に掲載された、イスラエルの医療従事者におけるSARS-CoV-2感染の発生率とBNT162b2ワクチンの3回目接種との関連についての研究。ブースター接種から約1ヵ月間におけるSARS-CoV-2感染のハザード比は、2回接種者と比較して0.07(95%CI:0.02~0.20)と有意に低下することが示された。【2位】PD-L1高発現の1次治療、ICIにChemoを上乗せしてもOSの延長なし?(3/24)/Annals of Oncology PD-L1高発現の非扁平上皮非小細胞肺がん(Nsq-NSCLC)の1次治療において、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)に化学療法を上乗せする効果を見た試験。結果として上乗せ効果は認められなかったという。【3位】小細胞肺がん、アテゾリズマブ+化学療法+tiragolumabの成績/SKYSCRAPER-02(5/28)/ASCO ASCO2022で発表された、進展型小細胞肺がんの標準療法の1つであるアテゾリズマブ+カルボプラチン/エトポシドの併用療法に、抗TIGIT抗体tiragolumab追加併用の有効性を見たSKYSCRAPER-02試験。主要評価項目である全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)の延長は示されなかったという。【4位】PD-1阻害薬を超える!?新たな免疫療法PD1-IL2v開発の基礎(10/4)/nature PD-1を発現しているT細胞特異的に、IL-2R(βとγ)アゴニスト作用を持つ新たな免疫療法として、PD1-IL2vという薬剤が開発されたという報告。PD-1治療抵抗性のメラノーマに対して、PD-1阻害薬と比較しても圧倒的な効果を発揮したという、その作用機序を解説。【5位】おーちゃん先生のASCO2022 肺癌領域・オーラルセッションの予習 9000番台(5/30)/Doctors'Picks ASCO2022で発表される数千の演題の中から注目すべきものをエキスパート医師が事前にピックアップして紹介する恒例企画。肺がん分野は山口 央氏(埼玉医科大学国際医療センター)がオーラルセッションを全解説した。 6~10位は以下のとおり。【6位】国立がんセンター東病院・吉野 孝之氏がプレナリーセッション登壇(6/2)/ASCO【7位】進行NSCLC、PD-1/L1阻害薬PD後のペムブロリズマブ継続の意義(2/7)/Clinical Cancer Research【8位】転移のある大腸がん、原発巣部位とゲノム異常の解析結果(5/9)/Target Oncol【9位】EGFR陽性NSCLCに対するオシメルチニブ/アファチニブ交替療法の有効性(4/13)/Lung Cancer【10位】ctDNAの臨床応用に関するESMOの推奨事項(7/14)/ESMO

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新型コロナは季節性インフルと同等となるか/COVID-19対策アドバイザリーボード

 第110回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードが、12月14日に開催された。その中で「新型コロナウイルス感染症の特徴と中・長期的リスクの考え方」が、押谷 仁氏(東北大学大学院微生物学講座 教授)らのグループより報告された。 本レポートは、「I.リスク評価の基本的考え方」「II. COVID-19 のリスク評価」「III.COVID-19 パンデミックは季節性インフルエンザのような感染症になるのか」の3つに分かれて報告されている。 とくに「I.リスク評価の基本的考え方」では、「COVID-19のパンデミックは新型インフルエンザとはまったく異なる経過をたどり、病態にまだ不明な点も多く、死亡者の絶対数は季節性インフルエンザを大幅に超えているということもCOVID-19のリスクを評価する際には重要」と注意を喚起している。また、「III.COVID-19パンデミックは季節性インフルエンザのような感染症になるのか」では、今後予測される状況として季節性インフルエンザと同じような特徴を持った感染症になるとしても相当の時間を要すると予想している。COVID-19と季節性インフルエンザとの比較は慎重に・新型コロナウイルス感染症(COVID-19)をめぐっては季節性インフルエンザとの比較などの議論がなされているが、疫学・病態など多くの点でCOVID-19と季節性インフルエンザには大きな違いが存在しており、そのリスクをデータや最新の知見に基づいて評価することが必要である。・世界保健機関(WHO)はパンデミックインフルエンザの評価には、(1)伝播性、(2)疾患としての重症度、(3)医療や社会へのインパクトを評価するように求めている。国内ではCOVID-19と季節性インフルエンザの評価を致死率・重症化率でのみ比較されている場合が多いが、これは疾患としての重症度の一側面のみを評価するものであり、リスクの評価としては不十分である。・COVID-19の伝播性は当初より、季節性インフルエンザより高かったが、変異株の出現とともにさらに伝播性は増大してきており、伝播性の観点からはむしろ季節性インフルエンザとは大きく異なる感染症に変化してきている。COVID-19の伝播性が高いことに加え、ワクチンや自然感染で獲得した免疫も減弱することと、変異株は免疫逃避の程度も高いことから疫学的には季節性インフルエンザとは異なる特徴を持つ感染症になっている。・COVID-19の重症度は病原性が一定程度低いとされるオミクロン株が流行株の主体となり、さらに多くの人が自然感染あるいはワクチンによる免疫を獲得したことにより、発生初期と比較して低下している。一方で、循環器系の合併症で死亡を含むインパクトが生じているとするデータが各国で得られてきている。国内でも2021年以降超過死亡が増加しており、循環器系の合併症を含めた超過死亡の要因を解明する必要がある。また、罹患後症状の問題もCOVID-19のリスクの評価の際には考慮すべきである。なお、COVID-19と季節性インフルエンザの致死率や重症化率を比較するさまざまなデータが示されているが、ほとんどの場合異なる方法で集められたものであり、直接比較することは困難であり、現在示されているデータの解釈には留意が必要である。・国内でも救急搬送困難事案の増加などCOVID-19による直接の医療負荷だけではなく、一般医療への負荷も生じている。同様のことは英国などでも報告されている。今後さらに流行規模が大きくなれば、罹患や罹患後症状による欠勤者が増え、社会機能維持に支障が生じるリスクも存在している。一方で、感染症法に基づく公衆衛生対応(行動制限)を継続することによる社会や経済に対するインパクトも発生している点には留意が必要である。

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第140回 厚労省の動画が3週間で656万回再生!いったい何が流れた?

もうあと1週間足らずで2022年も終わりとなる。結局この1年もほぼ新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)で明けて暮れた1年だったと個人的には感じている。とはいえ昨年末以来、流行株が見かけ上、重症化率の低いオミクロン株の亜系統内で続いていることもあってか、ぱっと見の市中の様子はかなりコロナ禍以前に近づいていると感じている。敢えて「見かけ上」と記載したのは、ここ1ヵ月ほどでワクチン未接種の知人・友人が感染し、入院の上で酸素吸入にまで至った事例を複数知っているからである。その意味でワクチンの効果はある意味凄いものだと改めて感じている。そんな中、つい先日仕事が深夜0時を超える時間まで及んだ際、コンビニエンスストアに行くついでに、最寄り駅周辺を散策した。すると日中には見えなかったコロナ禍前後のわずかな変化が見えてきた。現在は飲食店への営業自粛要請もなくなったこともあって、午前0時を過ぎても営業している飲食店はあるが、その数は確実に減っている。少なくともコロナ禍以前、この周辺では0時過ぎまで営業していた飲食店は、私が知っている範囲でも10軒以上はあった。ところが先日確認した範囲では3軒のみ。ちょうど第7波から第8波の間に珍しく夜の早い時間に仕事のめどがつき、馴染みの飲食店に顔を出したが、その店も従来は午前1時までだった営業時間を午前0時までに短縮していた。従業員は「最近は皆さん来る時間も早いし、帰るのも早いですよ。客単価も以前の6割程度。もう遅くまで開けていてもコストばかりかかって」と、ぼやいていた。確かに私自身のことで言っても夜間の飲酒飲食は激減している。とくに今は大学受験生の娘を抱えていることもあり、今後2月末までは今まで以上に外出の飲食を控えることになるだろう。さて世の変化というところでやや驚いたものがある。それは半月ほど前から厚生労働省(以下、厚労省)が流し始めた屋外のマスク原則不要を告知するCMだ。ごくごく当たり前の内容ではあるが、わずか30秒の動画の構成はわかりやすく、失礼ながら厚労省が主導して製作したCMとしてはよくできている。同省のYouTubeチャンネルはさまざまな動画がアップされているが、再生回数が1,000回未満のものがほとんど。しかし、この動画だけは再生回数656万回と群を抜いている。ざっと同省配信動画の再生回数を眺め回してみたが、たぶん2022年に配信された動画の中では再生回数トップである。そもそも、このマスク問題はコロナ禍当初、かなり変動幅の大きいものだったと個人的には理解している。コロナ禍以前のマスクの位置付けとは、明らかに呼吸器感染症が疑われる症状を有する人が着用するもので、現在のようなユニバーサルマスクの考え方は標準的なものではなかったはずである。しかし、新型コロナの場合は症状発症前に二次感染を引き起こしていること、感染経路のほとんどが飛沫感染でマスクに一定の感染リスク低減効果があるなどのエビデンスが徐々に積み上げられたことで現在のような形になっている。かくいう私も2020年春くらいまではユニバーサルマスクには懐疑的だったが、今ではこの考えを改めている。もっとも考えを改めた後でも、明らかに感染リスクが低いであろう屋外(ただし、アーケード内や明らかな人混み、信号待ちで人が集合している場合などは除く)ではマスクを外していた。さてこのマスク問題、昨今のSNS上などでは新型コロナ関連の大きな話題の一つでもある。その中核は非医療従事者からの「いつまでこんなものを続けているのか」的な声が多くを占め、一見するとその声は日増しに大きくなっているようにも映る。ひょっとすると前述の厚労省のCMもそうした声を意識したものかもしれない。ちなみに私がこのCMに「驚いた」のは個人的な印象としての出来栄えの良さもあるが、厚労省が敢えてこれを出したということである。一般大衆に比べて無びゅう性を気にするお役所や専門家は、規制・推奨の強化は比較的得意だが、その逆は苦手である。それらを緩和した結果生じる問題に対して詰め腹を切らされかねないからだ。しかも、一般人とは概してこうしたお役所や専門家が発する言葉を自分に都合よく解釈しがちである。今年5月に前厚労相の後藤 茂之氏が閣議後の記者会見で「屋外でも身体的距離を置いた場合は、もともと『外してよい』との考えだったが、国民に十分に伝わっていなかった」と発言した直後、私は旧知の医師から愚痴をこぼされた。「定期受診の患者がいきなりノーマスクで来院して、マスクをしてくださいと話すと、『いや、厚生労働大臣がマスクは要らないって言ってたでしょ』と返される。それも特定の人に限ったことではなく、ポチポチと増えて一時的に対応に苦慮した」こうした事例を経験した医療従事者は少なからずいるのではないだろうか? ちなみに後藤氏は当時、これからは国民にこの点を丁寧に説明していきたいとの意向を示したが、そのような説明があった記憶は少なくとも私はない。腰が重いはずの厚労省が、この問題について前向きな対応を始めたことは一定の前進と言えるが、現状を鑑みる限り、一般国民の多くが期待するであろう日常生活でマスク着用が不要はまだ先のことだろう。そのためには新型コロナウイルスが一層弱毒化するか、有効性がより高く有効期間がより長いワクチンが開発・上市されることが必要だろうと考えられるからだ。むしろ私は次に来る「ポストコロナ時代」とは「メリハリのある感染対策ができる社会」と考えている。このマスク問題が代表例であり、感染リスクの高い局面では着用する、逆に感染リスクが低い局面では外しても良いという場面の切替である。これは昨今の教育現場で進む黙食の緩和も同様だろう。換気などの一定の感染対策をしたうえで黙食を緩和することが完全に誤りとは言えない(医療従事者を除けば、行動規制のない現在、夜間の飲酒飲食する大人は黙食とは無縁である以上、子どものみに規制的に対応する理由はある種薄弱である)。もっともこれも局面ごとの判断が必要である。具体的には小児での新型コロナワクチン接種完了者が4人に1人と留まる現状を考えれば、感染拡大期には黙食にする、感染拡大収束期には黙食を緩和するというメリハリである。その意味で、来る2023年はポストコロナ時代を念頭に社会全体がメリハリのついた感染対策を行える社会になって欲しいと切に願いながら、2022年最後の本連載を終えたいと思う。また、本連載は私への意見・要望窓口を設けていることもあり、読者の皆さんからは、本当にさまざまな角度からご意見を頂戴している。なるべくそれにお答えしようとは思っているものの、すべてのご意見を記事に反映できていないことについてはこの場を借りてお詫びしたい。それに懲りずこの1年間、私にお付き合いいただき誠にありがとうございました。来年も宜しくお願いいたします。

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コロナ重症化率と致死率、どの程度低下したのか/COVID-19対策アドバイザリーボード

 新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けについて議論が進んでいる。その判断には、病原性(重篤性)と感染力、それらによる国民への影響を考慮する必要があるが、病原性(重篤性)の参考となる重症化率と致死率について、12月21日に開催された新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードで報告された。重症化率・致死率ともに昨年夏から大きく低下しており、病原性が低いとされるオミクロン株が流行株の主体となっていること、多くの人が自然感染あるいはワクチンによる免疫を獲得したことが要因と考えられている。 今回報告された重症化率と致死率は、石川県、茨城県、広島県のデータから、2021年7~10月(デルタ株流行期)、2022年1~8月(オミクロン株流行期)に診断された新型コロナウイルス感染者のうち死亡/重症化した割合と死亡した割合を算出している。参考データとしての季節性インフルエンザの重症化率と致死率は、レセプト情報・特定健診等情報データベースにおいて2017年9月~2020年8月までに診断または抗インフル薬を処方された患者のうち、28日以内に死亡または重症化した割合と死亡した割合を算出したもの。重症化の定義やデータソース、集計方法などが異なるため、比較する際には留意が必要である。■重症化率(60歳未満、60・70代、80歳以上の順)2021年7~10月:0.56% 、3.88%、10.21% 2022年1~2月:0.03%、1.22%、5.04%2022年3~4月:0.03%、0.79%、3.50%2022年5~6月:0.01%、0.34%、1.66%2022年7~8月:0.01%、0.26%、1.86%<参考>季節性インフルエンザ:0.03%、0.37%、2.17%■致死率(60歳未満、60・70代、80歳以上の順)2021年7~10月:0.08%、1.34%、7.92%2022年1~2月:0.01%、0.70%、4.57%2022年3~4月:0.01%、0.43%、3.12%2022年5~6月:0.00%、0.14%、1.53%2022年7~8月:0.00%、0.18%、1.69%<参考>季節性インフルエンザ:0.01%、0.19%、1.73%注)新型コロナウイルス感染症の数字は、療養および入院期間が終了した際のステータス、または期間終了日から30日以上経過した時点でのステータスに基づいて算出しているため、とくに致死率については過少である可能性がある。

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第25回 救急車に抗原キットを常備する地域も、搬送困難例多発

搬送困難例がじわじわ増加皆さんの勤務する病院での救急受け入れ状況はどうでしょうか? 「ベッドの空きがないので受け入れ無理です」という医療機関がどうやら増えてきているそうで、冬に満床になりやすいという日本独自の事情がここにきて悪影響しているのかもしれません。新型コロナ疑いの事例は、救急要請があった時点で、相当の確率で入院が想定されるわけですから、隔離可能なベッドが確保されていることが条件になってしまいます。救急部での初療は可能かもしれませんが、帰宅可能ではなく入院が必要な新型コロナとなってしまうと、そこから再び転院の打診をするというのは非効率的と言わざるを得ません。過去のインフルエンザシーズンで、個室が無い場合、やむを得ずカーテン隔離した大部屋に入院いただくということもあったかもしれませんが、新型コロナの患者さんを一般病棟の大部屋に入院させるのは、まだ理解が得られないと思います。そのせいもあってか、第4波あたりから問題になっていたことがいよいよ表面化してきました。すでに平時から救急搬送が滞ってしまうようになりました。現在、都市部では結構搬送困難例が増えてきており、知り合いの救急隊員も「なかなか搬送できない」と嘆いていました。新型コロナ自体は軽症者が多いので、「重症コロナが搬送できず自宅で死亡」といったアルファ株・デルタ株の頃に苦しんだようなジレンマはありませんが、コロナ禍に入ってじわじわと救急搬送困難例が増えてきているのがグラフからもわかります(図)。波と波の間の平時でも、全国の救急搬送困難例は約2,000件あったわけで、救急隊員としても「どの病院もなかなか引き受けてくれない」感覚を持っていたことでしょう。画像を拡大する図. 各消防本部からの救急搬送困難事案に係る状況調査(抽出)の結果(各週比較)1)救急車に抗原検査キットを常備栃木県や大分県では、救急車に抗原検査キットを常備して、搬送前の患者が新型コロナに感染しているかどうか確認できる仕組みを導入しています。もちろん、抗原陰性で搬送してみたが、PCRは陽性だったという事態はありえるわけで、気休めにすぎないかもしれません。しかし、「車内での抗原検査は陰性です」という情報は、搬送を受ける側としてもありがたいかもしれません。ユニバーサルに搬送例全員の検査をするわけにはいかないので、たとえば大分県では、あくまで発熱や全身倦怠感などの感染症らしい所見がある搬送事例で、なおかつ医療機関から2回以上断られた場合に適用する取り決めとなっています。プレホスピタルで工夫しなければ、非コロナの患者さんすら搬送できないというのはやはり異常事態なので、政府として何らかの策を早期に現場に下ろさないといけないと思っています。参考文献・参考サイト1)総務省消防庁 各消防本部からの救急搬送困難事案に係る状況調査(抽出)の結果

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第140回 次のパンデミックに備え感染症法等改正、そう言えば感染症の「司令塔機能」の議論はどうなった?

改正感染症法案、岸田文雄首相の約束通り今国会で成立こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。この週末は、友人の版画家、宇田川 新聞氏の個展「木版画パラダイス」を観に、池袋のB-galleryに行って来ました。「宇田川新聞」と言われても、ピンと来ないかもしれませんが、テレビ東京系で放映されている「出川哲朗の充電させてもらえませんか?」1)で、赤色、緑色、黒色を使った特徴的なイラストを描いている(厳密には彫っている)版画家と言えばおわかりかと思います。芸能人の表情を絶妙にとらえたシンプルでほのぼのとした版画は、いつ見てもほっとします。彼女(女性です)との付き合いはもう25年近くになりますが、最近の売れっ子ぶりには頭が下がります。ただ、ギャラリーで「オリジナルの作品より、出川番組関連の版画の方が多いんじゃない?」と本音を言ったら、しょぼんとうなだれていました。芸術家は扱いが難しいです。あの独特の版画の実物を見たい方はぜひ覗いてみて下さい2)。さて、今回は先ごろ成立した感染症法改正と、検討が進められている(はずの)、「司令塔機能」について書いてみたいと思います。改正感染症法案は、参院選前の岸田 文雄首相の約束通り、今国会で成立しました。もう一つの“公約”とも言うべき、一元的に感染症対策を行う新しい「司令塔機能」については、その後、あまり報道もありません。一体どうなっているのでしょうか。地域医療支援病院や特定機能病院などと協定を結び医療の提供を義務付け新型コロナウイルス対応の教訓を活かし、今後の感染症のまん延(パンデミック)に備えるための改正感染症法などが11月2日、参院本会議で可決され、成立しました。都道府県は地域医療支援病院や特定機能病院などとあらかじめ協定を結び、病床確保や発熱外来といった医療の提供を義務付けることになります。協定に沿った対応をしない医療機関には勧告や指示を行うほか、場合によっては承認の取り消しもあり得るとされています。施行(協定を締結する規定も)は来年、2023年4月1日付です。医療の提供が義務付けられるのは、自治体などが運営する「公立・公的医療機関」(約6,500施設)、400床以上で大学病院中心の「特定機能病院」(87施設)、200床以上で救急医療が可能な「地域医療支援病院」(685施設)です。また、都道府県は上記を含む全国すべての医療機関と、医療提供を事前に約束する協定を結べるようになります。都道府県は平時から計画をつくり、病床、発熱外来、人材派遣などの数値目標を盛り込み各医療機関への割り当てを決めます。医療機関は協議に応じる義務はありますが、実際に協定を結ぶかは任意です。付則には、新型コロナの感染症法上の位置付けについて速やかに検討するよう政府に求める文言も加わりました。これについては、法案成立直前の11月29日、加藤 勝信厚生労働大臣は会見で、新型コロナを感染症法の「2類相当」から「5類」に見直す検討を本格的に始める方針を示しています。なお、感染症法とあわせて医療法や予防接種法、新型インフルエンザ等対策特別措置法、検疫法なども一括で改正されています。特別措置法では、厚生労働大臣が協力を要請した時に限って、歯科医師、診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士、救急救命士にワクチン接種を認めました。検疫法では、水際対策により実効性をもたせるため、入国後の個人に自宅待機などを指示できるようにしたうえ、待機中の体調報告に応じない場合の罰則が設けられました。一般の民間病院や診療所については、協定締結は任意この3年間あまりの医療機関のドタバタぶり、個々の医療機関に対する国の権限のなさ(お願いしかできず命令できなかった)を考えると、地域医療支援病院や特定機能病院などへの病床確保や発熱外来といった医療提供の義務付けは、とても意味のあることで、特定機能病院などの承認を取り消す行政処分も含まれていることから、相当の強制力を持つことも確かです。ただ一方で、一般の民間病院や診療所については、都道府県との協議に応じなければならないものの、協定締結は任意のため、どの程度協力を得られるかは不透明です。今回のパンデミックでも、とくに民間病院や診療所の対応に批判が集まったことからも、協議から協力に至るプロセスをもう少し明確にしておく必要がありそうです。岸田首相がぶち上げたもう一つの大きな計画さて、今回の感染症法等の改正は、岸田首相が今年6月15日、通常国会の閉会を受けて行った記者会見で語った「新型コロナをはじめとする感染症に対する新対策」の中に盛り込まれていたことです。岸田首相はこの時、「昨年の総裁選で約束したとおり、国・地方が医療資源の確保等についてより強い権限を持てるよう法改正を行う。医療体制については、(2021年)11月の「全体像(次の感染拡大に向けた安心確保のための取り組みの全体像)」で導入した医療機関とあらかじめ協定を締結する仕組みなどについて、法的根拠を与えることでさらに強化する」と語っていました(「第114回 コロナ新対策決定、協定結んだ医療機関は患者受け入れ義務化、罰則規定も」参照)。当時は参議院選挙を睨んだパフォーマンスと見る向きもありましたが、岸田首相は感染症法改正については、約束を守ったと言えるかもしれません。岸田首相はこの時、もう一つの大きな計画をぶち上げています。それは、一元的に感染症対策を行う「内閣感染症危機管理庁」の新設と、国立感染症研究所と国立国際医療研究センターを統合して「日本版CDC」をつくるというものです。そう言えば、この計画について、最近は話をあまり聞きません。「内閣感染症危機管理庁」を内閣官房に設置し司令塔機能を強化岸田首相の6月15日の会見では、新型コロナウイルスを含む今後の感染症に対応する「内閣感染症危機管理庁」を内閣官房に設置し、司令塔機能を強化することを表明していました。内閣感染症危機管理庁は、感染症の危機に備えて「首相のリーダーシップの下、一元的に感染症対策を行う」組織で、同庁の下で平時から感染症に備え、有事の際は物資調達などを担う関係省庁の職員を同庁の指揮下に置き、一元的な対策を行うとしました。トップには「感染症危機管理監(仮称)」が置かれる予定とのことでした。さらにこの時は、厚労省における平時からの感染症対応能力の強化も表明しています。その施策の目玉は、研究機関である国立感染症研究所と、高度な治療・研究の拠点である国立国際医療研究センターを統合、米疾病対策センター(CDC)をモデルとした、いわゆる「日本版CDC」を厚労省の下に創設するというものでした。この2つの計画は6月17日、新型コロナウイルス感染症対策本部において正式決定しています。新型コロナウイルス感染症対策本部が公表した司令塔機能の具体的な姿その後、内閣官房の新型コロナウイルス感染症対策本部は9月2日、「新型コロナウイルス感染症に関するこれまでの取組を踏まえた次の感染症危機に備えるための対応の具体策」を公表し、その中で、司令塔機能の具体的な姿を提示しました。それによれば、司令塔となる「内閣感染症危機管理統括庁(仮称)」については、2023年度中の設置を目指すとして、以下の組織、業務等にするとしています3)。1)感染症対応に係る司令塔機能を担う組織として「内閣感染症危機管理統括庁(仮称)」を設置し、感染症対応に係る総合調整を、平時・有事一貫して所掌する。総理・官房長官を直接助ける組織として内閣官房に設置し、長は官房副長官クラス、内閣官房副長官補を長の代行とし、厚生労働省の医務技監を次長相当とする等、必要な体制を整備する。2)統括庁は、平時から、感染症危機を想定した訓練、普及啓発、各府省庁等の準備状況のチェック等を行う。3)緊急事態発生時は初動対応を一元的に担う(内閣危機管理監と連携して対応)。4)特措法適用対象となる感染症事案発生時は、同法の権限に基づき、各府省庁等の対応を強力に統括する。各府省庁の幹部職員を庁と兼務させる等により、政府内の人材を最大限活用する。これら有事の際の招集職員はあらかじめリスト化し十分な体制を確保する。5)平時・有事を通じて厚生労働省の新組織(いわゆる日本版CDC)とは密接な連携を保ち、感染症対応において中核的役割を担う厚生労働省との一体的な対応を確保する。6)必要となる法律案を次期通常国会に提出し、2023年度中に設置することを目指す。――これらの案から見えてくるのは、今回のコロナ禍にあって、統率がとれなかった各省庁を強力にコントロールしたい、という内閣の強い意思です。とくに、厚生労働省(今回官邸の言うことを聞かなかった、対応がグダグダだったという批判もありました)とそこにつくる新組織(日本版CDC)をきちんと統括したい、という強い思いが伝わって来ます。国立感染症研究所と国立国際医療研究センターを統合した「日本版CDC」この「具体策」では、国立感染症研究所と、国立国際医療研究センターを統合して作る新組織、「日本版CDC」についても提示しています。それによれば、新組織については、1)厚生労働省における平時からの感染症対応能力を強化するため、健康局に「感染症対策部(仮称)」を設置し、内閣感染症危機管理統括庁(仮称)との連携の下、平時からの感染症危機への対応準備に係る企画立案や感染症法等に係る業務を行う。2)国立感染症研究所と国立研究開発法人国立国際医療研究センターを統合し感染症等に関する科学的知見の基盤・拠点国際保健医療協力の拠点、高度先進医療等の総合的な提供といった機能を有する新たな専門家組織を創設する。3)必要となる法律案を次期通常国会に提出し感染症対策部の設置及び厚生労働省の一部業務移管は2024年度の施行、新たな専門家組織の創設については2025年度以降の設置を目指す。――などとなっています。専門家組織をきっちりコントロールしたい厚労省内閣感染症危機管理統括庁と、厚生労働省、日本版CDCが整備されれば、機動的かつ科学的な対応が100%可能になるかのように書かれてある点が気になります。今回のパンデミックで機能してきた「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議」のような、ある意味“第三者”の立場で検討・提言する組織についての記述は、日本版CDCの中に「新たな専門家組織を創設する」と書かれています。ただ、厚労省傘下にしっかり置いて、専門家組織をきっちりコントロールしようという意図が透けて見えます。また、専門家組織が感染症の専門家ばかりで、臨床や医学研究の分野に偏りそうな点も気がかりです。危機管理やIT、経済対策、メディア対策など、医学以外の分野の専門家もしっかりとメンバーに入れておくべきだと思いますがいかがでしょう。さらに、現在、国立感染症研究所は国立の機関、国立研究開発法人 国立国際医療研究センターは国立研究開発法人と、組織形態が異なります。仮に、組織が圧倒的に大きい国立国際医療研究センターに国立感染症研究所が身を寄せる形で統合するとなれば、組織は国立研究開発法人ということになります。国からは一応は独立した組織になるとすれば、危機管理統括庁や厚生労働省がどういう形で影響力を及ぼすかも今後の大きな検討課題でしょう。現在のところ、厚労省が中心となって、これらの新組織の詳細を詰めているとのことです。内閣感染症危機管理統括庁は2023年度中の設置、日本版CDCは2025年以降の設置を目指すとされていますが、実際の稼働まで、まだまだひと悶着、ふた悶着ありそうです。参考1)出川哲朗の充電させてもらえませんか?/テレビ東京2)宇田川新聞個展《木版画パラダイス》(12/13(火)〜12/25(日)、池袋B-gallery、14:00〜18:00、月曜休廊)3)新型コロナウイルス感染症に関するこれまでの取組を踏まえた次の感染症危機に備えるための対応の具体策/新型コロナウイルス感染症対策本部

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重症化リスク因子を問わない軽症~中等症の新型コロナ治療薬「ゾコーバ錠125mg」【下平博士のDIノート】第112回

重症化リスク因子を問わない軽症~中等症の新型コロナ治療薬「ゾコーバ錠125mg」今回は、抗SARS-CoV-2剤「エンシトレルビル フマル酸錠(商品名:ゾコーバ錠125mg、製造販売元:塩野義製薬)」を紹介します。本剤は、重症化リスク因子の有無に関わらない軽症~中等症の新型コロナウイルス感染症患者を対象とした初めての抗ウイルス薬であり、発熱、鼻水、喉の痛み、咳などの症状が消失するまでの期間を短くすることが期待されています。<効能・効果>本剤は、SARS-CoV-2による感染症の適応で、2022年11月22日に緊急承認制度に基づく製造販売承認を取得しました。なお、重症度の高いSARS-CoV-2による感染症患者に対する有効性は検討されていません。<用法・用量>通常、12歳以上の小児および成人にはエンシトレルビルとして1日目は375mgを、2~5日目は125mgを1日1回経口投与します。SARS-CoV-2による感染症の症状が発現してから速やかに投与を開始する必要があります。<安全性>国際共同第IIa相、第IIb相、第III相試験(T1221試験)において、5%以上に認められた副作用は、HDLコレステロール低下(16.6%)でした。<患者さんへの指導例>1.この薬は、ウイルスの複製に必要な酵素を阻害することで、新型コロナウイルス感染症の症状を緩和します。発熱、鼻水、喉の痛み、咳などの症状が消失するまでの期間を短くすることが期待されています。2.初日は1日1回3錠を服用し、2~5日目は1日1回1錠を服用します。3.体調が良くなっても自己判断で中止せず、指示通りに服用を続けてください。4.飲み合わせに注意が必要な薬剤が多数ありますので、服用している薬剤や健康食品、サプリメント、嗜好品をすべて申告してください。5.妊婦または妊娠している可能性がある人はこの薬を使用することはできません。<Shimo's eyes>新型コロナウイルス感染症の治療で、重症化リスク因子のない軽症~中等症患者を対象とした初めての抗ウイルス薬が登場しました。本剤はタンパク質合成過程における3CLプロテアーゼを選択的に阻害することで、新型コロナウイルスの増殖を抑制します。この作用機序は既存類薬のニルマトレルビルと同様です。投与対象は、高熱、強い咳症状、強い咽頭痛などの臨床症状があり、重症度の高くない患者(おおむね中等症II未満)で、症状発現から遅くとも72時間以内に投与を開始します。初日は3錠を1日1回投与し、2~5日目は1錠を1日1回投与します。第II/III試験(T1221試験)において、軽症~中等症のSARS-CoV-2感染者に本剤を5日間経口投与したとき、オミクロン株に特徴的な5症状(1.倦怠感または疲労感、2.熱っぽさまたは発熱、3.鼻水または鼻づまり、4.喉の痛み、5.咳)が快復するまでの時間の中央値は、プラセボ群192.2時間に対し本剤群では167.9時間と有意差をもって約1日短縮しました。また、投与4日目のウイルス量は本剤群でプラセボ群に比べて有意に減少しました。本剤はCYP3Aの基質であり、強いCYP3A阻害作用を有するとともに、P-gp、BCRP、OATP1B1およびOATP1B3阻害作用も有します。このため、併用禁忌薬が多いので、服薬中のすべての薬剤を確認することが必要です。また、本剤で治療中に新たに他の薬剤を服用する場合、事前に相談するよう患者さんに伝えましょう。流通については、安定的な供給が難しいことから、パキロビッドやラゲブリオの一般流通前と同様に、当面の間は厚生労働省が所有した上で、指定された医療機関または薬局に無償で配分されます。当初はパキロビッドの処方実績がある医療機関・薬局に限定されていましたが、2022年12月15日よりその限定が撤廃され、対象が拡大されました。ゾコーバ登録センターに登録し、同センターを通じて配分依頼を行い、患者に交付した後は投与実績を入力します。処方に際しては患者の同意書が必要であり、院外処方に際しては、対応薬局に処方箋とともに記入済みの「適格性情報チェックリスト」を送付する必要があります。本剤の提供時は、自宅療養や宿泊療養の患者さんが来局しなくても済むように「患者の居所への配送・持参」が基本で、患者さんが薬局を訪れることは原則禁止となります。患者さんの過度な期待から安易な不適正使用が行われないように、薬剤師は情報提供をしっかりと行うとともに、併用禁忌薬が多いため安全性監視も行っていきましょう。なお、包装単位は、1箱28錠(14錠PTPシートが2枚)で4人分です。薬価収載されて一般流通する際には1人分の包装単位も販売されることが期待されます。

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第128回 かかりつけ医機能もつ医療機関の公表を/全世代型社会保障構築会議

<先週の動き>1.かかりつけ医機能もつ医療機関の公表を/全世代型社会保障構築会議2.入手困難な医療用解熱鎮痛薬に110番を設置/厚労省3.病院経営者に医療情報のガイドライン順守を求めるガイドラインを改定へ/厚労省4.75歳以上の4割が健康保険料を段階的に引き上げへ/厚労省5.薬価改定で半数近くを引き下げ、3,100億円削減へ/厚労省6.地域医療構想で急性期病床6,600床が減少、一定の成果を確認/厚労省1.かかりつけ医機能もつ医療機関の公表を/全世代型社会保障構築会議岸田文雄総理は総理大臣官邸で全世代型社会保障構築会議と全世代型社会保障構築本部を合同開催し、全世代型社会保障構築会議報告書について、意見交換を行った。公表された報告書には「かかりつけ医機能」が発揮される制度整備が明記され、今後の高齢者人口のさらなる増加と人口減少を見据え、かかりつけ医機能が発揮される制度整備は不可欠としている。また、「かかりつけ医機能」の定義は、現行の医療法施行規則に規定されている「身近な地域における日常的な医療の提供や健康管理に関する相談等を行う機能」をベースに検討すべきとしている。かかりつけ医機能は、医療機関、患者それぞれの手挙げ方式で、患者がかかりつけ医機能を持つ医療機関を選択できる方式とするため、医療機能情報提供制度を拡充するため、医療機関が自ら有するかかりつけ医機能を都道府県に報告する制度を創設することとなっている。今後、この報告書をもとに、医療法など改正案を次期通常国会で審議する見込み。(参考)第12回全世代型社会保障構築会議(内閣官房)全世代型社会保障構築会議 報告書(同)「かかりつけ医機能」全て提供可能なら確認・公表 全世代型会議が報告書決定(CB news)2.入手困難な医療用解熱鎮痛薬に110番を設置/厚労省12月16日、加藤厚生労働大臣は、医療機関や薬局向けに、医療用解熱鎮痛薬の購入をサポートする相談窓口を設置したと明らかにした。医療用解熱鎮痛薬について、各メーカーが限定出荷を行っているため入手が困難となっている状況に対応して、需要が急増している医療機関や小規模な薬局などに優先して供給を行うよう医薬品卸売業者に要請しているが、解熱鎮痛薬などが購入できない医療機関や薬局に対応するため、相談窓口を開設した。供給が困難な場合は、厚生労働省の相談窓口にメールを送信した場合、相談のあった医療機関や薬局のある地域の卸売業者に同省が働きかけるとしている。(参考)医療用解熱鎮痛薬等の供給相談窓口(医療用解熱鎮痛薬等110番)の設置について(厚労省)解熱鎮痛剤の入手支援 コロナ感染増で厚労省(産経新聞)解熱鎮痛薬、入手困難の薬局向けに相談窓口…厚労省が卸売業者に供給依頼(読売新聞)解熱鎮痛薬やせき止め 感染拡大で入手難しく 厚労省が供給支援(NHK)3.病院経営者に医療情報のガイドライン順守を求めるガイドラインを改定へ/厚労省厚生労働省は12月15日に健康・医療・介護情報利活用検討会の「医療等情報利活用ワーキンググループ」を開催し、近年急増しているサイバー攻撃による電子カルテの被害を防ぐため、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」を改定して、病院経営層に対して、医療情報システムの安全管理に関する責任や、リスク評価など、安全管理に必要な項目などを指針の改定版に盛り込むことを明らかにした。新しいガイドラインはパブリックコメントを経て、2023年3月上旬に改定を行い、公表される見通し。(参考)セキュリティー対策、指針に経営層の順守事項明示へ 改定版の概要提示、厚労省(CB news)続発する病院へのサイバー攻撃 情報公開で教訓の「バトン」つなごう(朝日新聞)全医療機関に「セキュリティー責任者を」、大学病院団体が提言へ…大阪の病院サイバー攻撃(読売新聞)第13回健康・医療・介護情報利活用検討会医療等情報利活用ワーキンググループ資料[令和4年12月15日](厚労省)医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第6.0版 概要(同)4.75歳以上の4割が健康保険料を段階的に引き上げへ/厚労省厚生労働省は、12月15日に社会保障審議会医療保険部会を開催し、75歳以上が加入する後期高齢者医療制度において、一定の年収を超える人が支払う保険料の上限金額を引き上げることについて議論を行った。年間保険料の上限は、2024年度に73万円、2025年度に80万円と段階的に引き上げ、激変緩和措置を設けることになった。これにより、現役世代の負担を抑えるとともに、出産育児一時金の財源に充てることを目指す。(参考)第161回社会保障審議会医療保険部会(厚労省)75歳以上の4割で医療保険料を増額、出産一時金の財源に…審議会が了承(読売新聞)75歳以上医療保険料の上限額、段階的に引き上げ 24-25年度、厚労省(CB news)医療保険改革案まとまる!「段階的な保険料(税)引き上げ」により、後期高齢者の急激な負担増に配慮!-社保審・医療保険部会(1)(GemMed)5.薬価改定で半数近くを引き下げ、3,100億円削減へ/厚労省厚生労働省は、12月16日に中央社会保険医療協議会薬価専門部会を開き、来年の春に実施される薬価改定について討論を行い、最終的には48%の品目を薬価引き下げの対象とする一方、原価高騰のため不採算となっている医薬品6%については価格を引き上げるとした。従来は2年ごとに改定していた薬価の見直しは2021年度から毎年実施しており、製薬業界からは新薬によるイノベーションに対する評価を求める声があり、前回の中間年の2021年度の削減額4,300億円と比較すると1,200億円ほど低くなる見通し。(参考)中央社会保険医療協議会 薬価専門部会(厚労省)薬価改定で医療費3100億円減 来年度、48%の品目引き下げ(日経新聞)23年度薬価改定 48%の品目で薬価引き下げも6%は引上げ 加藤厚労相「メリハリ利かせた見直し」(ミクスオンライン)全医薬品の48%薬価引き下げへ、来年度 全品目の6%は上げ、3閣僚合意(CB news)6.地域医療構想で急性期病床6,600床が減少、一定の成果を確認/厚労省厚生労働省は、12月14日に地域医療構想および医師確保計画に関するワーキンググループを開催し、2019年に再編統合の議論が必要としてきた公立病院と公的病院の全国436病院のうち、228病院の病床が25年7月までに2,900床減少する見通しであることを明らかにした。対象となった3万6,800床が、25年7月までには3万3,900床となる。削減されるのは急性期病床が6,600床、慢性期病床が1,200床。代わりに回復期病床は4,900床増え、高度急性期も100床増加が見込まれている。一方、民間病院については「合意済み」が全体の29%にとどまるなど、今後は、未着手の民間病院への対応にシフトしていくよう求める声が上がった。(参考)第10回地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ(厚労省)再編検討228病院、急性期6,600床削減見込み 厚労省調べ、25年までの8年間で(CB news)424病院は「再編検討を」 厚労省、全国のリスト公表(日経新聞)

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COVID-19行動制限の緩和により、喘息増悪が増加

 これまで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるロックダウンに伴い、喘息増悪が減少したことが報告されている。しかし、制限緩和による喘息への影響についてはいまだ報告されていない。そこで、英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のFlorence Tydeman氏らは、行動制限の緩和が急性呼吸器感染症(ARI)の発症や喘息増悪に及ぼす影響を検討した。その結果、制限緩和によりCOVID-19の発症・非COVID-19のARI発症がいずれも増加し、それらはいずれも重度喘息増悪の発現に関連していた。Thorax誌オンライン版2022年11月23日掲載の報告。 調査は、2020年11月~2022年4月の期間において、英国の成人喘息患者2,312例を対象として実施した。顔面被覆具の使用、社会的交流の頻度、ARIの発症、重度喘息増悪の発現について、月1回のオンラインアンケートを用いてデータを収集した。上記に関する経時変化は、ポアソン一般化加法モデルを用いて可視化し、COVID-19・非COVID-19のARI発症と急性増悪の関連は、マルチレベルロジスティック回帰分析を用いて交絡因子を調整して解析した。 主な結果は以下のとおり。・2021年4月からの制限緩和に伴い、顔面被覆具の使用の減少(p<0.001)、公共の施設や他の家庭への訪問の頻度の増加(p<0.001)、COVID-19発症の増加(p<0.001)、非COVID-19のARI発症の増加(p<0.001)、重度喘息増悪の発現の増加(p=0.007)が認められた。・非COVID-19のARI発症は重度喘息増悪の発現の独立した関連因子であった(調整オッズ比[aOR]:5.75、95%信頼区間[CI]:4.75~6.97)。COVID-19発症もオミクロン株の発現前(5.89、3.45~10.04)、発現後(5.69、3.89~8.31)のいずれも重度喘息増悪の発現の独立した関連因子であった。 研究グループは、これらの結果から「行動制限の緩和により顔面被覆具の使用が減少、社会的交流が増加し、ARIと喘息のリバウンドが生じた。非COVID-19のARI発症、オミクロン株発現前後のCOVID-19発症はいずれも重度喘息増悪の発現に関連し、その度合いはいずれも同程度であった」とまとめた。

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モデルナ製COVID-19ワクチン、追加免疫の接種対象が12歳以上に拡大

 モデルナは2022年12月12日付のプレスリリースで、「スパイクバックス筋注」(1価:起源株)、「スパイクバックス筋注」(2価:起源株/オミクロン株BA.1)および「スパイクバックス筋注」(2価:起源株/オミクロン株BA.4/5)の追加免疫について、日本における添付文書を改訂し、接種対象年齢が12歳以上に拡大されたことを発表した。 これについてモデルナ・ジャパン代表取締役社長の鈴木 蘭美氏は「オミクロン株とその亜系統による感染が拡大する中、モデルナのCOVID-19ワクチンにより進学や受験といったイベントを控える方の多い12~17歳の年齢層をCOVID-19から守れることを嬉しく思います」と述べている。 なお、日本小児科学会(会長:岡 明氏[埼玉県立小児医療センター])の予防接種・感染症対策委員会は、同学会のホームページで「5~17歳の小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方」を発表しており、COVID-19の重症化予防に寄与することが確認されたことを踏まえ、メリットがデメリットを大きく上回ると判断し、小児へのワクチン接種を推奨している。

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第24回 新型コロナ抗体薬の栄枯盛衰

どんどん効かなくなる抗体薬臨床現場で最も使った抗体薬といえば、ソトロビマブ(商品名:ゼビュディ)です。2022年の初頭あたりは、モルヌピラビル(商品名:ラゲブリオ)とソトロビマブを大事に使っていました。当時院内在庫が3本しかなくて、結局のところ、軽症例で海外のようにレムデシビル(商品名:ベクルリー)が使えないかと声が上がり、軽症の入院患者さんの抗ウイルス薬は、基本的にレムデシビルという流れになったと記憶しています。オミクロン株がBA.2になって、スパイクタンパクのS371F変異が影響し、これまで効果的と考えられたソトロビマブも有効性が低下していきました1)。主に血液悪性腫瘍などの抗体価が得られにくい患者さんに対して、チキサゲビマブ/シルガビマブ(商品名:エバシェルド)が予防的に用いられてきましたが、ここにきて再び変異ウイルスがBA.5からBQ.1.1などに変わりつつあります。最近、分離したBQ.1.1とXBBに対する抗体薬の効果は期待できないとする報告がありました2)。FRNT50(ウイルスの50%を中和する血清の希釈率の逆数)は表のとおりです。表. 抗体薬の効果(参考資料2をもとに筆者作成)もはや現在流通している抗体薬のすべてがBQ.1.1やXBBに効果を持たないことから、今後抗体薬が登場しても、またウイルスが変異して、といういたちごっこになる可能性があります。抗体薬はこのような変異が起こると、効果を失っていくのかと正直驚かざるを得ませんでした。頑張ってコマースした製剤が過去の薬剤になっていく構図は、製薬会社としてもつらいだろうなと思います。抗ウイルス薬は効果を保っている幸いにも抗ウイルス薬は変異ウイルスにも効果があることがわかっており、今後も使用されていくと思われます。塩野義製薬のエンシトレルビル(商品名:ゾコーバ)は国際的には認められていませんが、重症化予防効果などのエビデンスが示されれば、使用が増えてくるかもしれません。現時点では、レムデシビル、モルヌピラビル、ニルマトレルビル/リトナビル(商品名:パキロビッド)に先んじて使用することは推奨されていません。12月9日に塩野義製薬から、エンシトレルビルの使用状況や副作用データをまとめた報告がありましたが、1,024人に処方されているものの、とくに重篤な副作用は報告されていないとのことです。参考文献・参考サイト1)Iketani S, et al. Antibody evasion properties of SARS-CoV-2 Omicron sublineages. Nature. 2022 Apr;604(7906):553-556.2)Imai M, et al. Efficacy of Antiviral Agents against Omicron Subvariants BQ.1.1 and XBB. N Engl J Med. 2022 Dec 7. [Epub ahead of print]

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長年の謎。ウイルス感染はなぜ寒い時期に増える?

 ウイルス性気道感染症は、冬の時期に増えることが知られているが、そのメカニズムはこれまで明らかになっていなかった。ハーバード大学のDi Huang氏らの研究グループは、上気道感染症の原因となるウイルスを撃退する鼻の中の免疫反応を発見した。さらに、この免疫反応は気温が低くなると抑制され、感染症が発生しやすくなることを明らかにした。本研究結果は、The Journal of Allergy and Clinical Immunologyオンライン版2022年12月6日に掲載された。 先行研究により、鼻孔の細胞が細菌やウイルスなどの病原体を検出すると、細胞外小胞(EV)が粘液中に放出され攻撃することが報告されている。そこで、健康人や手術を受ける患者から採取した鼻粘膜組織を用いて、Toll様受容体3(TLR3)を介した免疫応答における鼻腔上皮細胞由来EVの役割が検討された。具体的には、TLR3刺激による鼻腔上皮細胞由来EVの分泌や組成、EVの呼吸器ウイルス(コロナウイルス、ライノウイルス)に対する抗ウイルス活性とそのメカニズム、TLR3を介した抗ウイルス免疫に及ぼす低温の影響などが検討された。 主な結果は以下のとおり。・TLR3アゴニストのpoly(I:C)(polyinosinic-polycytidylic acid)への曝露により、TLR3シグナルを介して鼻腔上皮細胞由来EVの分泌が増加した。・鼻腔上皮細胞由来EVは、マイクロRNA(miR-17)の送達およびLDL受容体(LDLR)、接着分子ICAM-1などの表面受容体を介したウイルスとの結合・中和による抗ウイルス活性を通じて宿主をウイルス感染から保護することが示された。・健康人を室温の環境(23.3℃)から寒い環境(4.4℃)に移動させて15分経過すると、鼻の中の温度が約5℃低下した。そして、この温度低下を鼻粘膜組織に適用したところ、EVの総分泌量の減少、EV中のmiR-17量の低下、EV上のLDLR、ICAM-1の発現量の低下がみられ、EVの抗ウイルス活性が低下した。 著者らは、本研究の重要なポイントとして、「鼻腔上皮細胞由来EVが、TLR3を介した抗ウイルス免疫に関与していること」「鼻腔上皮細胞由来EVが、マイクロRNAの輸送および直接的にウイルスを中和することにより、感染を抑制していること」「寒い環境では、鼻腔上皮細胞由来EVを介した抗ウイルス活性が低下すること」の3点を挙げている。

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3~17歳へのコロナワクチン、オミクロン優勢期の効果は?/BMJ

 アルゼンチンで、3~17歳の小児・青少年に対する新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン(mRNA-1273[モデルナ製]、BNT162b2[ファイザー製]、BBIBP-CorV[Sinopharm製])2回接種の有効性について調べたところ、死亡に対する予防効果は、優勢となっている変異株の種類にかかわらず、小児・青少年ともに高値を維持していたことが明らかにされた。ワクチン接種後の短期間におけるSARS-CoV-2感染予防効果については、オミクロン変異株が優勢であった間は低かったこと、また時間の経過とともに同効果は急激に低下することも明らかにされた。アルゼンチン・保健省のJuan Manuel Castelli氏らが、約14万人のケースとそのマッチング対照を解析した、診断陰性例コントロール試験の結果で、BMJ誌2022年11月30日号で発表された。アルゼンチンで84万例超を対象に診断陰性例コントロール試験 研究グループは、アルゼンチンの国内サーベイランス・システムのデータベースと、ワクチンレジストリを基に、診断陰性例コントロール試験を行い、小児(3~11歳)・青少年(12~17歳)へのCOVID-19ワクチン2回接種の、SARS-CoV-2感染やCOVID-19関連死に対する有効性を推定し評価した。 対象は、2回のCOVID-19ワクチンのプライマリ接種対象者で、SARS-CoV-2感染歴がなく、2021年9月~2022年4月にポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査または迅速抗原検査を受けた3~17歳、84万4,460例。マッチング対照の照合を行い、23万1,181例のケースのうち13万9,321例(60.3%)について解析を行った。 主要アウトカムは、SARS-CoV-2感染とCOVID-19関連死だった。条件付きロジスティック回帰分析で、ワクチン2回接種者の非接種者に対するオッズ比(OR)を推算した。ワクチン有効率は、(1-OR)×100%で算出した。小児の対SARS-CoV-2感染有効率、デルタ株優勢期間は61%、オミクロン株では16% デルタ変異株優勢期間のSARS-CoV-2感染に対するCOVID-19ワクチン2回接種の有効率は、小児が61.2%(95%信頼区間[CI]:56.4~65.5)、青少年が66.8%(63.9~69.5)だった。オミクロン変異株優勢期間は、それぞれ15.9%(13.2~18.6)、26.0(23.2~28.8)だった。 ワクチン有効性は、接種後、日数経過とともに低下し、とくにオミクロン変異株優勢期間の低下は急激で、小児では、接種後15~30日で37.6%(95%CI:34.2~40.8)であったが、60日以降では2.0%(1.8~5.6)へと低下し、青少年ではそれぞれ55.8%(52.4~59.0)から12.4%(8.6~16.1%)への低下が認められた。 一方で、オミクロン変異株優勢期間の、SARS-CoV-2感染関連死に対するワクチン有効率は、小児が66.9%(95%CI:6.4~89.8)、青少年が97.6%(81.0~99.7)だった。

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自宅コロナ死、4割は同居家族あり/COVID-19対策アドバイザリーボード

 第109回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードが、12月7日に開催された。その中で「新型コロナ患者の自宅での死亡事例に関する自治体からの報告について」が報告された。 調査期間中776名の自宅で死亡した者の解析から、死亡者の79%が70代以上であり、基礎疾患がある者が69%、親族などと同居が42%いた。また、ワクチン接種歴も不明が34%で一番多いものの、「3回接種」も28%と多かった。 政府では、「Withコロナに向けた政策の考え方」に則り、今後必要な医療資機材の提供、国民への正確な知識の普及に努めるとしている。 以下に概要を示す。70代以上の高齢者で、基礎疾患がある人は死亡が多い【調査概要】期間: 2022年7月1日~8月31日地域:全国都道府県条件:新型コロナウイルス感染症患者(死後陽性確認者も含む)で自宅にて死亡した者を本年10月に都道府県を通じ、その年齢、基礎疾患、同居の有無、ワクチン接種歴、死亡に至るまでの経過などを調査(ただし自宅療養中に症状が悪化し、医療機関に入院した後に死亡した事例は除く)。【結果概要】 合計776名(男性460名、女性316名)(死亡時の年齢構成) 80代以上が58%、70代以上が21%、60代以上が9%(基礎疾患の有無) 「あり」が69%、「なし」が19%、「不明」が12%(ワクチンの接種歴) 「不明」が34%、「3回」が28%、「未接種」が20%(単身・同居などの状況) 「不明」が48%、「同居」が42%、「単身」が10% その他の事項は次のとおり。・死亡直前の診断時の症状の程度について、軽症・無症状が41.4%、中等症が13.1%、重症が7.1%、不明または死亡後診断が38.4%・生前に陽性が判明した者は70.1%、死後に陽性が判明した者は29.9%・発生届の届出日が死亡日よりも前であった事例が50.6%、発生届の届出日が死亡日と同日であった事例が31.2%、発生届の届出日が死亡日以降であった事例が17.9%、不明が0.3%・自宅療養の希望ありが22.8%、希望なしが10.3%、不明者および死後陽性が判明した者が66.9%発熱がなく、毎日訪問介護を受けていても死亡のケースも【具体的な死亡事例について】・救急搬送の搬入時の検査で陽性が判明したケース。・家族や親族などに自宅で倒れているところを発見されたケース。・陽性が判明したが、本人や家族の意思により自宅療養を希望したケース。・高齢であることや末期がんであることにより自宅での看取りを希望したケース。・自宅療養中に急速に重症化して死亡したケース。・同居家族から感染し、自宅での死亡につながったケース。・コロナ以外の要因で死亡し、死後に陽性が判明したケース。・入院や宿泊療養、治療を希望しないケース。・浴槽で意識がなくなっているところを同居家族に発見されたケース。・入院調整や宿泊療養の対象となるも、直後に死亡したケース。・主治医からの健康観察や訪問看護を受けていたものの、死亡したケース。・自宅訪問するも応答なく、警察に協力依頼を行ったケース。・症状があったが検査や受診を受けずに、死後に陽性が判明したケース。・家族は入院を希望していたが、自宅療養となり、死亡したケース。・発熱がなく、毎日訪問介護を受けていたが、死亡したケース。【自治体での取組事例】・体調の変化・悪化の早期把握のため、自宅療養開始時の説明、ホームページ、SMSなどで電話相談窓口への連絡を自宅療養者に対して周知。・療養者支援センターを開設。若年層にはSMSを利用して調査を実施し、保健所が電話で調査すべき対象者を重症化リスクが高い方に絞ることで連絡遅滞を防ぐ改善を行った。・陽性者からの要請があった場合、感染防護対策を行ったうえで、直ちに現場に向かう体制を施行。【今後の対応】 「Withコロナに向けた政策の考え方」の考え方に則り、入院治療が必要な患者への対応の強化、発熱外来や電話診療・オンライン診療の体制強化、治療薬の円滑な供給、健康フォローアップセンターの拡充と自己検査キットの確保などの対策を進めるとともに、国民への情報提供と重症化リスクなどに応じた外来受診・療養への協力の呼びかけなどに取り組んでいく。

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