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英語で「声が途切れ途切れです」は?【1分★医療英語】第72回

第72回 英語で「声が途切れ途切れです」は?Your voice is breaking up.(あなたの声が途切れ途切れです)Sorry. Let me fix my microphone.(ごめんね。マイクを直させて)《例文1》You are breaking up a bit.(あなたの音声がちょっと途切れ途切れです)《例文2》Your voice is breaking up a lot and I can’t hear you well.(あなたの声がかなり途切れ途切れで、よく聞こえません)《解説》“break up”は恋愛のシーンで恋人同士が別れてしまったときに使うフレーズとして記憶している人も多いかもしれません。その場合には、“We recently broke up.”(私たちは最近別れてしまった)なんていうふうに用いられます。しかし、ここではそういう意味ではなく、「音声が途切れ途切れである」ことを示すために用いられています。新型コロナのパンデミック以降、リモート会議が増えた人も多いでしょう。そんな折に、電波が悪くて相手の声が聞き取りにくい、なんていうシーンにも頻繁に遭遇します。そんなときによく用いる表現がこの“Your voice is breaking up.”です。このように表現することで、相手の音声が割れてしまっていることを伝えることができます。また、単に“You are breaking up.”と言うだけでも同じ意味で用いることができます。加えて、その後に“a lot”や“a bit”などを付けることにより、「ひどく」「ちょっと」というような音声の途切れ方の程度を示すこともできます。これらの表現は、リモート会議だけでなく、電話中などにも使うことができ、比較的登場頻度の高い表現です。これがうまく伝えられないと、話し相手はどんどん話を続けてしまい、コミュニケーションエラーのもとになります。“break up”、ぜひマスターしてくださいね。講師紹介

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生後6ヵ月~4歳児に、ファイザー2価ワクチン追加接種を承認/FDA

 米国食品医薬品局(FDA)は3月15日、ファイザーの新型コロナウイルスのオミクロン株BA.4/BA.5対応2価ワクチンについて緊急使用許可(EUA)を修正し、生後6ヵ月~4歳の小児において、同社の1価ワクチンの3回接種(初回シリーズ)が完了してから少なくとも2ヵ月後に、2価ワクチンによるブースター接種1回を行うことができることを発表した。 2022年12月に、生後6ヵ月~4歳の小児は、1価ワクチンの初回シリーズの2回目までを接種した者に対して、3回目に2価ワクチンを接種することが承認されていた。今回の生後6ヵ月~4歳への2価ワクチンブースター接種の承認では、上記の3回目に2価ワクチンを接種した小児は対象外となり、初回シリーズをすべて1価ワクチンで3回接種した者のみが対象となる。 FDAは、生後6ヵ月~4歳の小児に対する臨床試験で、ファイザーの1価ワクチンを3回接種し、同社の2価ワクチンのブースター接種を1回受けた60例の免疫応答データを評価した。2価ワクチンのブースター接種から1ヵ月後、被験者はSARS-CoV-2起源株とオミクロン株BA.4/BA.5の両方に対して免疫応答を示した。 安全性のデータは、55歳以上への2価ワクチンのブースター接種、生後6ヵ月以上への初回シリーズ接種、5歳以上への1価ワクチンのブースター接種を評価した臨床試験、1価および2価ワクチンの市販後の安全性データに基づいている。加えて、6ヵ月以上に対して、以下の2つの臨床試験が行われた。 1つの試験では、1価ワクチンを3回接種し、2価ワクチンのブースター接種を1回受けた生後6~23ヵ月の被験者24例において、主な副反応として、イライラ感、眠気、注射部位の発赤、痛みおよび腫脹、食欲低下、疲労感、発熱が報告された。5~11歳の113例の被験者では、主な副反応として、疲労、頭痛、筋肉痛、関節痛、悪寒、発熱、嘔吐、下痢、注射部位の痛み、腫脹、発赤、注射部位と同じ腕のリンパ節の腫脹などが報告された。 もう1つの試験では、1価ワクチンを2回、1価ワクチンのブースター接種を1回、2価ワクチンのブースター接種を1回受けた12歳以上の316例において、主な副反応は5~11歳の被験者で報告されたものと同じであった。

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第151回 マスク脱着による世論分断を防ぐため、知っておきたい人間の特性

政府の方針で3月13日から新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)対策を念頭に置いたマスクの着用は、原則個人の判断が基本となった。この日以降、街中を歩く際はマスク着用の動向を自分なりに眺めているが、確かに着用していない人は若干増えたようだ。もっともパッと見は着用していなくとも、手にマスクをぶら下げているなど様子見のような雰囲気がうかがえることも多い。私個人はというと、信号待ちで人が密集するなどの状況以外、屋外では原則マスクを外し、屋内ではマスクを着用するという元々の方針をほとんど変えていない。が、厳密に言うとむしろ屋外でマスクをするシーンが増えた。というのも、スギ花粉の飛散量が例年よりもかなり多いと言われる今シーズン、どうやら初めて本格的な花粉症を発症したようなのだ。日中、屋外にいる時間が短い場合はほとんど問題ないのだが、ノーマスクのままで数時間経つと、突如くしゃみが止まらなくなる。先日はたぶん人生で初のくしゃみ27連発を経験し(いちいち数えているのもどうかと思われるかもしれないが)、慌ててマスクを着用。それで症状が治まったため、さすがに花粉症なんだろうと思っている。そんなこんなで花粉症対策のマスクのありがたみを実感するとともに、このシーズンが終われば、マスクを外す人はそれなりに増えてくるのだろうと予測している。もっとも私個人は今のところ前述の着用原則を当面変えるつもりはない。新型コロナウイルスがいなくなったわけでもなく、重症化リスクを有する人にとっては相変わらずインフルエンザよりは明らかに恐ろしい感染症であるため、3月13日を「マスク外し記念日」と認識するのは時期尚早と考えるからである。私が屋内外とも全面的にマスクを外すようになるのは、たぶん有効性・抗体価持続期間が現在よりも大幅に改善した新型コロナワクチンが登場した時だろう。さてそんな中、この件に関して厚生労働省が開設した特設ページを見て、モヤモヤした気分になってしまった。書いている内容に間違いはないし、良い意味でお役所らしい「簡にして要」の原則は貫かれている。しかし、良くも悪くも真面目過ぎる。このページを作成した人たちは、おそらく読む人は冒頭から最後まできちっと目を通してくれるはず、あるいは目を通して欲しいと思ったのだろう。だが、メディアという世界に四半世紀以上も身を置いている自分は、多くの場合、そうした期待や願望は幻想に過ぎないという現実を嫌と言うほど経験している。具体例を挙げるならば、記事の見出しだけを見て、すべてをわかった気になっているSNS投稿などがそれだ。では、このページのどこが気になるのか? まず、原則個人の判断ではあるが、“医療機関や高齢者施設、混雑した公共交通機関では従来通りマスク着用が推奨される”というのが訴えたいメッセージのはずである。伝える側の本音として、個人の判断と今後も推奨が続くシーンという情報に本来ならば主従関係などないはずである。ところが、このページの見せ方は完全に主従関係となっている。まず冒頭のやや小さい字のお知らせは「これまで屋外では、マスク着用は原則不要、屋内では原則着用としていましたが令和5年3月13日以降、マスクの着用は、個人の主体的な選択を尊重し、個人の判断が基本となりました。本人の意思に反してマスクの着脱を強いることがないよう、ご配慮をお願いします」とあり、「個人の…基本」にアンダーラインが引いてある。また、後段の図示では「個人の主体的な選択を尊重し、個人の判断が基本となります。感染拡大防止対策として、マスクの着用が効果的である場面などについては、マスクの着用を推奨します」とあり、前文のみがやや大きい赤字フォントで目立つようにしてあり、後半はやや小さい黒字フォントで目立ちにくい。最初に目に入ったものに強く印象付けられるのが人の特性であり、この見せ方では「個人の判断」が及ばない今後も推奨されるシーンが霞んでしまう。「特設ページには前述の着用の推奨が継続するシーンについては大きなイラスト付きで示されているじゃないか」と声を大にしたくなる人もいるかもしれないが、実際こうした部分は良くて流し見、最悪、目すら向けられないことも結構あるのだ。たとえば、単語カードを使って英単語の意味を覚えようとする時、往々にして最初に覚えるのは1枚目のカードだ。1つの単語で複数の意味がある場合も、最初に覚えるのは一番目に表示される意味であることが多い。こうした現象は日常的に少なくないはずだ。ではどうするかというと、こうした人の特性を逆手にとって多少長くとも冒頭から「〇〇や××、あるいは△△のような場面では今後もマスク着用が推奨されますが、それ以外については個人の判断が基本になります」と記載するほうがベターである。また、この「最初に目にしたもの」の原則から気になった点がもう1つある。「本人の意思に反してマスクの着脱を強いることがないよう、ご配慮をお願いします」の「着脱」である。「着脱」は「着けること」と「外すこと」の両方を意味しているし、この使い方そのものは間違いではない。しかし、人は最初の「着」のほうに目が行きがちである。注意深く読まない人やマスクに否定的な人は「着脱」をシンプルに「着けること」のみに解釈しがちである。その結果起こると予想されることが、医療機関などに対して「なんでおたくはマスクを強要するのか」というお門違いのクレームである。その意味ではここでも回りくどくとも、「着けることや外すことを強いることがないよう」と表現するほうがベター。今回の私の指摘を非常に細かい「重箱の隅をつつく」ことと思われる方もいるかもしれない。しかし、少なからぬ国民が3年間のコロナ禍疲れを感じているはずで、原因の1つには、この間に推奨されてきたマスク着用も入っていると考えても差し支えないだろう。その中で今回のマスクに対する推奨の変更は1つの大きな転換点であることは間違いない。とはいえ、新型コロナウイルスがいなくなったわけでもなく、少なくとも日本人の3分の1以上は該当するであろう重症化リスクを有する人たちにとっては、いまだに油断ならない感染症である。だからこそこの局面で理性・論理性に欠くノイジー・マイノリティーのマスク否定派、あるいはそこに影響を受けかねない人たちに都合良く解釈されるかもしれない訴え方は、社会分断への「蟻の一穴」になりかねないものだと危惧している。

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パキロビッドパック600/300が薬価収載/ファイザー

 ファイザー(日本)は3月15日付のプレスリリースにて、同社の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する経口抗ウイルス薬の「パキロビッドパック600」および「パキロビッドパック300」(一般名:ニルマトレルビル/リトナビル)が薬価基準に収載されたことを発表した。パキロビッドパック600の薬価は19,805.50円 パキロビッドパックは、2022年1月14日に厚生労働省に製造販売承認を申請し、同年2月10日に、日本における製造販売に関し、医薬品医療機器等法第14条の3に基づく特例承認を取得している。本剤がパッケージ化されたパキロビッドパック600および同300は、2022年11月14日に製造販売承認を取得している。 薬価はそれぞれ、パキロビッドパック600(1シート)が19,805.50円、パキロビッドパック300(1シート)が12,538.60円となる。両パッケージともに、2023年3月22日から一般流通が開始される予定。 パキロビッドパック600は通常用のパッケージとなっている。通常、成人および12歳以上かつ体重40kg以上の小児に対して、ニルマトレルビル1回300mgおよびリトナビル1回100mgを同時に1日に2回、5日間経口投与する。 一方、パキロビッドパック300は中等度の腎機能障害患者用のパッケージとなっている。中等度の腎機能障害患者(eGFR[推算糸球体ろ過量]30mL/min以上60mL/min未満)には、ニルマトレルビル1回150mgおよびリトナビル1回100mgを同時に1日に2回、5日間経口投与する。 パキロビッドパックは、臨床試験において、症状発現から6日目以降に投与を開始した患者における有効性を裏付けるデータは得られていないため、SARS-CoV-2による感染症の症状が発現してから速やかに投与を開始することとしている。また、パキロビッドパックは併用薬剤と相互作用を起こすことがあるため、服薬中のすべての薬剤の確認が必要となる。また、パキロビッドパックで治療中に新たに他の薬剤を服用する場合、事前に相談するよう患者に指導することとしている。 日本も参加している国際共同第II/III相EPIC-HR試験では、外来治療の対象となる重症化リスクの高いCOVID-19患者において、パキロビッドパックはプラセボと比較して、入院または死亡のリスクを89%(症状発現から3日以内)、および86%(症状発現から5日以内)減少させることが示された。また、有害事象の発現割合は本剤(23%)とプラセボ(24%)と同程度であり、おおむね軽度だった。

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第36回 コロナ病棟を廃止する病院が続出か

病院経営をどうする?5月8日から新型コロナは「5類感染症」に移行します。そして、3月13日からマスク着用も緩和され、世間は通常モードへ移行することになりますが、いきなりウイルスの感染性が減るわけではなく、引き算をうまくやらないと、また医療逼迫が来るのではないかと懸念しています。私がとくに気になっているのが「コロナ病棟」の行く末です。多くの病院が、新型コロナの患者さんを受け入れる使命を背負い、3年間ずっと診療してきました。収支が潤った医療機関もあるかもしれませんが、通常診療に戻してコロナ前の病院経営に戻したいという気持ちを持っている施設も多いことでしょう。いやしかし、こればかりは自治体の要請に従うことになるのだろうか、いや「5類」化するのだから、そういった要請はなくなるのだろうか、などいろいろな憶測が飛び交っております。交付金が半減確保病床を持っている医療機関を補助する交付金が見直されることから、私が耳にする限り、新型コロナの専用病棟を廃止し、コロナ前の診療体制に戻す医療機関が出てきています。とくに大学病院などはその方向に動くのではないでしょうか。交付金を段階的に廃止していくとはいえ、損益分岐点近くで運用していた医療機関はもう通常診療に舵を切ることになるでしょう。実際、「令和5年度の病床確保料の取扱いについて」1)において、重点医療機関である一般病院では確保病床1床当たり36,000円/日(ICU・HCU以外)と、これまでの約半額に減額されています。となると、おそらく今後は、かかりつけの新型コロナ患者さんを優先して、一般病床の個室で受け入れるなどの体制を構築していくのではないかと思われます。このあたりは明言はしないでしょうが、新規の入院要請を受け入れる体制にしていくとは到底思えないので…。とはいえ、やはり感染者数が増えてしまうとこの目論見は外れてしまい、結局一部区画をまとめて新型コロナ対応に転用せざるを得ない状況になるかもしれません。PPEのダウングレードPPEは、これまでのフルPPEではなく、ある程度ダウングレードしてもよいのではないかと思いますが、そのぶん院内感染リスクが増えることが弱点です。3月8日のアドバイザリーボードからのQ&Aでは、PPEや個室管理については以下のような推奨となっております2)。「診療やケアにあたる方は、アイゴーグル、フェイスシールドなどにより目を保護するようにしてください。一方、身体密着することがなければ、ガウンやエプロンなどは必要ありません。接触時には使い捨ての手袋を使用することが望ましいですが、速やかにアルコール消毒や手洗いができるのであれば必須ではありません。施設内の感染者については、できるだけ個室または感染者を集めた部屋(コホート隔離)での療養を原則としてください。トイレも感染者専用とすることが望ましいです。」院内感染リスクを減らすため、逆にPPEはダウングレードせずに、医療機関内で徹底的にトレーニングするという方策もアリかもしれません。参考文献・参考サイト1)厚生労働省:令和5年度の病床確保料の取扱いについて2)資料3-10高山先生提出資料. 第118回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和5年3月8日)

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花粉症患者はコロナによる嗅覚・味覚障害が悪化しやすい

 花粉症患者では、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染時の嗅覚・味覚障害のリスクが高く、その回復も遅いことが、中国・西安交通大学のJingguo Chen氏らの調査によって明らかになった。Laryngoscope investigative otolaryngology誌2023年2月号掲載の報告。花粉症患者は味覚・嗅覚障害がコロナで悪化した割合が高かった 急な嗅覚障害や味覚障害の発現は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予測因子と考えられている。しかし、慢性副鼻腔炎や喘息、季節性アレルギー、アレルギー性鼻炎などを有する患者では、新型コロナウイルスに感染する前にすでに併存疾患の影響によって嗅覚障害や味覚障害が生じている可能性があり、それらによる評価が効果的ではないことがある。そのため、研究グループは、呼吸器疾患のあるCOVID-19患者の嗅覚・味覚と併存疾患の関連を調査することにした。 研究は、「化学感覚研究のための国際コンソーシアム(Global Consortium for Chemosensory Research:GCCR)」のアンケートデータを用いて行われた。対象者は、新型コロナウイルス感染前と感染後の嗅覚・味覚の程度と、感染前6ヵ月の併存疾患の状態を自己評価した。併存疾患(高血圧、季節性アレルギー/花粉症、肺疾患、副鼻腔炎、糖尿病、神経疾患)によって層別化し、線線形混合モデルを用いて評価した。 最終解析には、呼吸器疾患のある2万6,468例(女性1万8,429例[69.87%]、20~60歳が90%)が組み込まれた。 花粉症などによる併存疾患の有無とコロナ感染後の嗅覚・味覚障害の程度を評価した主な結果は以下のとおり。・最終解析に組み込まれた2万6,468例のうち、花粉症などの併存疾患があるのは1万6,016例、併存疾患がないのは1万452例であった。・年齢、性別、地域を調整した多変量回帰分析の結果、高血圧、肺疾患、副鼻腔疾患、神経疾患の併存疾患がある新型コロナウイルス感染症患者では、嗅覚・味覚障害が悪化した割合が高かった(いずれもp<0.05)が、それらの回復に明らかな差はみられなかった。・季節性アレルギー/花粉症を有する新型コロナウイルス感染症患者では、味覚・嗅覚障害が悪化した割合が高く、回復も遅かった(いずれもp<0.001)。・糖尿病では、味覚・嗅覚障害の悪化にも回復にも明らかな関連はみられなかった。

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新型コロナワクチン、米国政府の投資額はいくら?/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のmRNAワクチンの開発、製造、購入に関連した米国政府の投資額を調べた結果、少なくとも319億ドルに上ることを、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のHussain S. Lalani氏らが明らかにした。このうち、COVID-19パンデミック前の30年間(1985~2019年)にわたり基礎的研究に投じmRNAワクチンの重要な開発に直接寄与した投資額は、3億3,700万ドルだったという。また、2022年3月までのパンデミック中に投じた金額は少なくとも316億ドルで、臨床試験(6%)、ワクチン開発(2%)、ワクチン購入(92%)に充てられていた。著者は「これらの公的投資は何百万人もの命を救うことにつながり、また将来のパンデミックへの備えとCOVID-19をしのぐ疾患を治療する可能性ももたらし、mRNAワクチン技術の開発に見合ったものであった」と述べ、「社会全体の健康を最大化するために、政策立案者は、公的資金による医療技術への公平かつグローバルなアクセスを確保しなければならない」とまとめている。BMJ誌2023年3月1日号掲載の報告。NIHデータやRePORTERなどでワクチン開発への研究助成金などを算出 研究グループは1985年1月~2022年3月にかけて、米国国立衛生研究所(NIH)の資金提供に関するデータや研究成果を収載したReport Portfolio Online Reporting Tool Expenditures and Results(RePORTER)などを基に、米国政府がmRNA COVID-19ワクチンの開発に投じた公的資金を算出した。 政府の助成金を、mRNA COVID-19ワクチン開発の4つの重要なイノベーション(脂質ナノ粒子、mRNA合成または改良、融合前スパイクタンパク質構造、mRNAワクチンバイオテクノロジー)への主任研究者、プロジェクトのタイトルおよびアブストラクトをベースとした直接的または間接的な関与、あるいは関与が認められないもので評価した。 同ワクチン開発研究に対する直接的な公的投資額について、パンデミック前の1985~2019年と、パンデミック後の2020年1月~2022年3月で分類し評価した。COVID-19パンデミック後、ワクチン購入に292億ドル投資 NIHによるmRNA COVID-19ワクチンの開発に直接関連した研究助成金は、34件だった。これらの助成金と、その他の米国政府助成金・契約金の合計は、319億ドルだった。そのうち、COVID-19パンデミック前の投資額は3億3,700万ドルだった。 パンデミック前、NIHはmRNAワクチン技術の基礎的研究や橋渡し(translational)科学研究に対し1億1,600万ドル(35%)を投資。米国生物医学先端研究開発局(Biomedical Advanced Research and Development Authority:BARDA)は1億4,800万ドル(44%)、米国国防総省は7,200万ドル(21%)を、それぞれワクチン開発に投資した。 パンデミック後には、米国公的資金はワクチン購入に292億ドル(92%)を、臨床試験支援に22億ドル(7%)を、製造に加え基礎的研究および橋渡し科学研究に1億800万ドル(1%未満)を費やしていた。

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今後の医師のマスク着用意向は?/医師1,000人アンケート

 新型コロナウイルス感染症対策として、これまで屋内では原則マスク着用、屋外では原則マスク不要とされてきたが、2023年3月13日よりマスクの着用は個人の判断が基本となった。CareNet.comでは、医師のプライベートにおけるマスク着用意向を探るため、会員医師1,000人を対象に『今後のマスクの着用意向に関するアンケート』を実施した。その結果、大多数の医師がマスクの着用基準が個人判断になることに賛成であり、プライベートでマスクを外したい医師と外したくない医師がほぼ半数であることが明らかとなった(2023年3月2日実施)。新型コロナウイルスに感染したことがある医師は3人に1人 Q1では、これまでの新型コロナウイルスの感染歴を聞いた。感染したことのある医師は32%、感染したことがない医師は68%であった。なお、CareNet.comで2022年12月10~17日に実施した調査では、感染したことのある医師は26%、感染したことがない医師は74%で、感染したことのある医師が増えていた。着用基準が個人判断になることに賛成の医師は68% Q2では、マスクの着用基準が個人判断になることに賛成かどうかを聞いた。「とても賛成」は23%、「どちらかといえば賛成」は45%であり、個人判断になることに賛成の医師は68%であった。「どちらかといえば反対」は16%、「とても反対」は6%、「どちらともいえない/わからない」は11%であった。新型コロナウイルスの感染経験の有無別でもほぼ同様の結果であった。・感染歴あり(328人):とても賛成25%、どちらかといえば賛成46%、どちらかといえば反対16%、とても反対4%、どちらともいえない/わからない9%・感染歴なし(700人):とても賛成23%、どちらかといえば賛成44%、どちらかといえば反対15%、とても反対6%、どちらともいえない/わからない12%「外したい」「外したくない」派はほぼ同数 Q3では、マスクの着用基準が個人判断になる3月13日以降、プライベートでマスクを外したいかどうかを聞いた。「できるだけ外したい」は41%、「できるだけ外したくない」は43%でほぼ同数であった。「どちらともいえない/わからない」は16%であった。感染経験の有無別では、感染歴のある医師のほうがマスクを外したい意向がやや強かった。・感染歴あり(328人):できるだけ外したい44%、できるだけ外したくない40%、どちらともいえない/わからない16%・感染歴なし(700人):できるだけ外したい40%、できるだけ外したくない44%、どちらともいえない/わからない16%マスクを外さないほうがよい状況は「飛行機、バス、電車」 Q4では、医師としてプライベートであってもマスクを外さないほうがよいと考える状況を聞いた(複数回答)。多い順に、飛行機/バス/電車、デパート/ショッピングモール、ライブ/スポーツ観戦(観客も声を出す可能性のある催事)、映画館/美術館/博物館、近所のスーパー、飲食店、カラオケ、クラシックコンサート/観劇(観客は声を出さない催事)、スポーツジム/フィットネスクラブ、公園/路上、屋外のスポーツ競技であった。 なお、フリーコメントでは、混雑時のバスや電車はつけたほうがよいが、飛行機は必要ないと区別する意見もあった。今後感染拡大すると考える医師は67% Q5では、マスクの着用判断が個人に委ねられることで、今後の新型コロナウイルス感染症の流行に変化が生じると考えるかどうかを聞いた。「とても感染が拡大する」は16%、「やや感染が拡大する」は51%で、着用判断が個人になることで感染が拡大すると考える医師は67%と大多数であった。「あまり感染は拡大しない」は19%、「ほぼ感染は拡大しない」は5%、「どちらともいえない/わからない」は9%であった。 フリーコメントでは、「社会の流れとしてはやむを得ないと思うが、恐らく感染は拡大して多少の死者を許容する形になるだろう」「マスクを外す場合、社会として、死者数が増えることを容認することが前提。現時点ではマスクを外すことが目的になり、その先のことの説明が足りない」「緩和していくことにより死者が増え後戻りしていくと思う」など、感染の再拡大を懸念する声が寄せられた。自由回答のコメント 最後に、マスクの着用判断が個人に委ねられることや、今後のマスク着用や感染対策について意見を聞いた。マスク着用を継続したい/継続してほしい医師・医療従事者はずっとマスクを着用することになるでしょう。・医療機関、高齢者もいる公共施設では着用すべき。・人の多い閉鎖空間ではマスク必要。・感染が拡大したときの医療現場の負担や社会の混乱を考えると、少なくともマスク着用を推薦したほうがよいと思う。・マスクを外すメリットが小さいのに、リスクが多すぎます。マスクを外したい/外してもよいと考える医師・マスクは着用しなくてよいが、換気だけは十分するよう国から通達してほしい。・基本的に有症状時に着用すればよいと思います。・感染が一時的に広がっても、自然免疫をつける上でも、外したほうがよいと思う。・世界の標準に合わせるべき。・マスクしなくてよい。感染が広がってもそれが自然なことなので無理なことはしなくてよいと思う。その他・周囲からの同調圧力が心配(外せ、外すなとも)。・政府の方針が、国主導で対応→自己責任で体調管理と各病院・医院に放り投げに変わっただけ。次の流行の波が来たら、これまで以上に医療崩壊。・あまりにも感染が増加し医療体制に支障が出るようなら再検討してほしい。・個人で判断ができず、医師に聞いてくる人たちがいます。子供ではないので自分で判断してほしい。・コロナに限らず、インフルエンザなど感染症流行時は自らの判断で感染予防に努めるべき。アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。医師もマスクを外したい?/医師1,000人アンケート

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第138回 新型コロナ5類移行後、医療費は原則自己負担/政府

<先週の動き>1.新型コロナ5類移行後、医療費は原則自己負担/政府2.新型コロナ病床確保の補助金半減、9月末まで継続/厚労省3.コロナワクチン接種後死亡症例、「因果関係は否定できない」と認定/厚労省4.第8次医療計画へ新興感染症対策を追加、大筋で合意/厚労省5.アレルギー情報、薬剤禁忌などカルテ情報の共有へ/厚労省6.介護保険料の負担金額、4月以降 過去最高に/厚労省1.新型コロナ5類移行後、医療費は原則自己負担/政府政府は3月10日に新型コロナウイルス感染症対策本部を持ち回りで開催し、5月8日新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けを5類に変更するのに合わせ、医療提供体制および公費支援の見直しを行うと発表した。従来行ってきた行政による入院措置や限られた医療機関による特別な対応から、幅広い医療機関による通常の対応に移行するのに合わせ、医療費については原則自己負担を求め、高額な医薬品代は公費支援を9月末まで継続する。外来診療については、新型コロナ罹患や疑いのみを理由とする診療拒否は「正当な事由」に該当しないとし、現在、新型コロナ患者を診療している約4.2万の医療機関を、季節性インフルエンザを対応している最大6.4万の医療機関まで拡充するとした。(参考)新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う医療提供体制及び公費支援の見直し等について(厚労省)加藤大臣会見概要[新型コロナウイルス感染症対策本部後](同)コロナ5類移行後、原則自己負担 病院名公表は継続、政府決定(共同通信)政府 コロナ5類移行後 最大6万4000の医療機関で受け入れ目指す(NHK)コロナ5類移行 医療費負担が増える? 受診できる医療機関はQ&A(同)2.新型コロナ病床確保の補助金半減、9月末まで継続/厚労省厚生労働省は、新型コロナウイルスの感染症法上の分類引き下げに伴い、医療提供体制を正常化するため、コロナ患者の受け入れ医療機関に対して払ってきた「病床確保料」を半減させる方針を、3月10日に加藤厚生労働大臣の記者会見で明らかにした。また、受け入れ病院はこれまで約3,000の医療機関だったが、5月以降は約8,200の全病院での対応を目指す。このため急性期病棟以外での要介護者の受入れを評価するなど受入れを推進する。(参考)コロナ病床確保料半減へ 5類移行で厚労省、9月末まで(日経新聞)コロナ病床の補助金半減 通常医療と両立目指す(東京新聞)診療報酬のコロナ特例、5月8日に見直し 24年度からウィズコロナの報酬体系へ(CB news)3.コロナワクチン接種後死亡症例、「因果関係は否定できない」と認定/厚労省厚生労働省は、3月10日に厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会と、薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会を開催した。この中で、昨年11月初旬に、ファイザー社のオミクロン株対応ワクチンの接種を受け、同日中に死亡した症例についても検討が行われた。症例は接種5分後に体調悪化を発言し、15分後に呼吸停止、心肺蘇生を行ったが、アドレナリン注射は静脈ルートからの注射を指示されるも静脈ルートがなく、医療機関へ搬送したが、接種開始後1時間40分余りで死亡した。委員会は発生した患者とワクチンの因果関係については「ワクチン接種と死亡との直接的因果関係は否定できない」とした。(参考)第92回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和4年度第27回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会資料(厚労省)コロナワクチン接種後42歳女性死亡「因果関係否定できない」 初認定(産経新聞)コロナワクチン接種後の死亡で初の認定「因果関係否定できず」(NHK)コロナワクチン接種後に死亡、因果関係「否定できず」 初めて評価(朝日新聞)42歳女性の接種後死亡「因果関係否定できず」…コロナワクチンで初の判定(読売新聞)4.第8次医療計画へ新興感染症対策を追加、大筋で合意/厚労省厚生労働省は、3月9日に「第23回第8次医療計画に関する検討会」を開催し、2024年度から始まる第8次医療計画に新たに「新興感染症発生・まん延時の医療」について盛り込む方向性を大筋で合意した。これまで医療計画には、5疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、精神疾患)、5事業(救急医療、災害医療、へき地医療、周産期医療、小児医療)」を二次医療圏ごとに定めてきたが、次なる新興感染症の発生・蔓延に備えて、医療計画の中に「新興感染症対策」を位置付けて整備を進める。この中で、新興感染症の発生時には、まず特定感染症指定医療機関・第1種感染症指定医療機関・第2種感染症指定医療機関(345病院)が中心となって対応し、流行の場合は特別協定を締結した医療機関が対応する。さらにその後、公立・公的病院や地域医療支援病院、特定機能病院に対応を拡大し、最終的には「入院医療を担当する」などの協定を結んだ医療機関など全体で対応することとし、平時から医療機関と自治体で締結することを求めた。厚生労働省は、今年5月には指針・関連通知を示したいとしている。(参考)第23回第8次医療計画等に関する検討会(厚労省)意見のとりまとめ(新興感染症発生・まん延時における医療)(同)医療計画での新興感染症対策、取りまとめ大筋了承 厚労省検討会、5月ごろに計画作成指針(CB news)新興感染症への医療計画での対応方針固まる!感染症の流行度合に応じ「段階的」な対応体制を平時から固めておく!?第8次医療計画検討会(Gem Med)5.アレルギー情報、薬剤禁忌などカルテ情報の共有へ/厚労省厚生労働省は、3月9日「第7回 健康・医療・介護情報利活用検討会医療情報ネットワークの基盤に関するワーキンググループ」を開催し、新たに立ち上げる電子カルテ情報交換サービス(仮称)において、診療情報提供書や退院時サマリーを電子的に紹介先病院と共有・送付する仕組みや、患者のアレルギー情報、薬剤禁忌、検査値などの電子カルテ情報を患者自身や全国の医療機関で確認できる仕組みを可能とする方向性について討議し、大枠で合意した。ただ、電子カルテはベンダーごとに規格が異なり、早期に体制を整えるために、国が標準規格を策定する必要があるなどさらに検討が必要だが、厚生労働省は2023年度から社会保険診療報酬支払基金でシステム構築を進めたいとしている。(参考)第7回健康・医療・介護情報利活用検討会 医療情報ネットワークの基盤に関するワーキンググループ資料(厚労省)医療のデジタル化、現状は? マイナ保険証の活用が鍵(日経新聞)医療機関・患者自身で「電子カルテ情報」を共有する仕組みの大枠決定、2023年度からシステム構築開始-医療情報ネットワーク基盤WG(1)(Gem Med)6.介護保険料の負担金額、4月以降 過去最高に/厚労省厚生労働省は、現役世代が支払う介護保険料(第2号保険料)が今年の4月以降で、現在より100円余り増加し、平均6,200円余りと過去最高となると推計を発表した。介護保険制度は2000年に発足し、40歳以上で介護認定を受けた被保険者の介護サービス利用の場合、9割まで給付する内容となっている。令和4年度の介護給付費は予算ベースで12.3兆円となっており、財源の半分は加入者からの保険料が50%、残りは公費(国25%、都道府県12.5%、市町村12.5%)からとなっている。発足当初、第2号保険料は2,075円だったが、今回の厚生労働省の推計によれば、平均で1月あたり6,216円と発足時の3倍となり現役世代の負担が増加している。同省では、団塊の世代が後期高齢者になるのを前に、高齢者の負担能力に応じた負担の見直しや、高齢者が支払う介護保険料の見直しを検討し、今年の夏までに結論を出すことにしている。(参考)令和5年度 介護納付金の算定について(厚労省)現役世代が支払う介護保険料 4月以降 過去最高に 厚労省推計(NHK)2023年4月から「介護保険料」改定で6,216円に。40歳~65歳未満「現役世代」の負担は重く(LIMO)

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2022年11月以降の中国・北京における新型コロナウイルス流行株の特徴(解説:寺田教彦氏)

 本研究は2022年1月から12月までに収集された新型コロナウイルスサンプルについて、次世代シーケンサーを用いた遺伝子解析結果を報告している。本研究結果からは、2022年11月14日以降の中国・北京における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行時の主流はBA.5.2とBF.7で、新規亜種は検出されなかったことが報告された(「北京では22年11月以降、新たな変異株は認められず/Lancet」、原著論文Pan Y, et al. Lancet. 2023;401:664-672.)。 本研究の研究期間である2022年11月以降に中国では新型コロナウイルス感染者が増加していたが、同年12月7日以降のゼロコロナ政策終了により拍車がかかり、新型コロナウイルス感染者は急増していたと考えられている。そのため、感染者が激増した中国から「懸念される変異株」が出現し、各国へ流入する恐れがあり、日本や欧米では中国からの渡航者に対し水際対策を強化していた。 本研究の結果のとおり、2022年12月における中国・北京でのCOVID-19流行では新規の変異株出現はなかったと考えられ、現在は各国の水際対策は緩和されている。これは本研究のような中国からの報告に加えて、中国から各国への渡航者で検出された新型コロナウイルスの株の解析からも矛盾がないことが確認されていることがあるだろう。たとえば、2022年12月後期の本邦への渡航者検疫で確認されたCOVID-19患者のうち、中国からの渡航者で検出された株もBF.7やBA.5.2がほとんどであった(厚生労働省.「新型コロナウイルス感染症(変異株)の患者等の発生について(検疫)」2023年(令和5年)1月5日.https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_30137.html, (参照2023-03-03).)。 今回検出されたBA.5.2系統とBF.7系統はともに、BA.5系統を起源としており、BA.5系統は2022年2月に南アフリカ共和国で検出されて以降、世界的に検出数が増加し、本邦でも同年6月以降はBA.2系統からBA.5系統への置き換わりが進んでいた。7月以降の第7波はBA.5系統のBA.5.2が流行の主体となっており、第8波も初期の流行の主体はBA.5系統だったが10月以降はBQ.1系統やBA.2.75系統の占める割合が上昇傾向となっていた(国立感染症研究所「感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異株について(第25報)」. https://www.niid.go.jp/niid/ja/2019-ncov/2551-cepr/11794-sars-cov-2-25.html, (参照2023-02-27).)。 同時期の世界に目を向けると、BA.2系統やBA.5系統を起源とする亜系統も検出されていたが、BQ.1系統、XBB系統など特徴的なスパイクタンパク質の変異が起こり、ワクチン接種や感染免疫による中和抗体から逃避しやすくなる亜系統、感染力がさらに高まったと予測される亜系統も報告されるようになり、とくに北米ではXBB.1.5系統のように既存の流行株に比して感染者数増加の優位性がみられる亜系統が報告されていた(Uriu K, et al. Lancet Infect Dis. 2023;23:280-281.)。 ところで、2022年12月ごろ、特定の流行株が世界的に優勢とはなっていなかったとはいえ、感染者が増加していた株はBQ.1系統やBA.2.75系統などが考えられ、同時期にBF.7系統やBA.5.2系統が流行していた国は多くはなさそうである(World Health Organization. “Weekly epidemiological update on COVID-19 - 15 February 2023”. https://www.who.int/publications/m/item/weekly-epidemiological-update-on-covid-19---15-february-2023, (参照2023-02-27).)中国において、これらの株が流行した理由について考えると、1つは、中国のゼロコロナ政策により、中国国外で流行していたBQ.1系統などの株が国内へ流入することを防いでいたことがあるだろう。本文中でも、中国国内感染と海外からの輸入株に違いがあることは指摘されており、輸入株ではBQ.1系統、BA.5.2系統そしてXBB.1系統の順番で検出されたことを報告している。中国のゼロコロナ政策により、他国からより感染力の高いBQ.1系統やXBB.1系統が流入していなかったことが、BF.7系統やBA.5.2系統が主流株になった一因ではないだろうか。 もうひとつは、各国で接種したワクチンの差異もあるかもしれない。本邦や欧米ではmRNAワクチンの接種が行われたが、これらのワクチンは、1価、2価にかかわらずBA5.2系統やBF.7系統に対しては中和抗体が増加することが知られており、XBB.1.系統などよりもBA.5.2系統やBF.7系統では感染予防効果や重症化予防効果が期待できると考えられる(Miller J, et al. N Engl J Med. 2023;388:662-664.)。中国で接種されたワクチンのBA.5.2系統やBF.7系統に対する効果が公表されている資料からは調査できなかったが、場合によっては接種したワクチンの差異が流行株の選択の一因になったのかもしれない。 さて、2022年12月までの中国の新型コロナウイルス流行においては、新規の流行株の出現はなかったと考えられるが、中国は多数の人口を抱えている国家である。本研究では、2022年12月のCOVID-19流行時にBQ.1系統やXBB系統などの感染免疫による中和抗体からの逃避や感染者数増加の優位性が示唆された亜系統の検出が乏しいことを考えると、これらの株の流入によっては、COVID-19の流行を再度起こす可能性が懸念される。 翻って本邦の流行を考えると、2023年3月時点では第8波が落ち着きつつあるが、本邦でもXBB.1.5株などの流行がなかった。今後は、これらの株が第9波を引き起こす懸念があり、引き続き、COVID-19に対する持続可能な感染対策を模索する必要があるだろう。

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第150回 薬価収載了承も中医協で苦言、紆余曲折なゾコーバ

中央社会保険医療協議会(中医協)総会は3月8日、国産初の新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)治療薬として緊急承認されたエンシトレルビル(商品名:ゾコーバ)の薬価収載を了承した。ゾコーバ錠の規格は125mgのみで、その薬価は1錠あたり7,407.40円。この薬の用法に従えば5日間の服用となり、患者1人当たりの薬剤費総額は5万1,851.80円。思わずため息が出る。もちろんこの薬価決定は、きちんとした公的ルールが適用されての結果である。中医協での議論を踏まえ、同薬では同じ効果を持つ類似薬の1日薬価に合わせる「類似薬効比較方式I」が採用されている。この場合の「類似薬」とは「(1)効能及び効果」「(2)薬理作用」「(3)組成及び化学構造式」「(4)投与形態、剤形区分、剤形及び用法」の4点を指す。今回、類似薬として指定されたのは疾患類似性がある新型コロナ治療薬のモルヌピラビル(同:ラゲブリオ)と投与対象類似性があるインフルエンザ治療薬のバロキサビル マルボキシル(同:ゾフルーザ)である。この2つの薬剤の1治療あたりの薬価の平均値から算出された。効能が違う同じ塩野義製薬のインフルエンザ治療薬を類似薬に含めたことにいぶかる向きもあるようだが、むしろこの薬を類似薬に入れたことは薬価を押し下げる要因になっているため、それは陰謀論の範疇である。だが、医療従事者も含め多くの人が高いと感じているのが現実ではないだろうか。まず、そもそも今の段階で判明している効果は、オミクロン株に特徴的な症状の短縮期間が約1日であり、劇的な効果があるとは言い難い。また、オミクロン株の登場以降、新型コロナは誰もがかかる可能性が十分にあるという意味では季節性インフルエンザとかなり類似している(病態などは季節性インフルエンザと同等とは言えないと個人的には考えている)。この季節性インフルエンザに対する経口治療薬として汎用され、エンシトレルビルと同じく5日間投与、かつ治癒までの期間を約1日短縮するという効果もやや似ているオセルタミビル(同:タミフル ほか)の発売当時の薬価は1カプセル396.30円(1治療単価3,963円)に過ぎなかった。もちろんエンシトレルビルはオセルタミビルと比べれば分子量が大きく、合成の難易度もやや高いとみられるし、形式上は重症化因子やワクチン接種歴の有無を問わない汎用性があるものの、催奇形性などの問題から現実の臨床現場での投与対象はかなり限定的とみられることなど、考慮すべき要因はある。しかし、やっぱり高価過ぎるという印象は拭えない。さて、そのエンシトレルビルが、既存の新型コロナ治療薬と比べて有望視されているのが新型コロナ罹患後症状(Long COVID、後遺症)に対する効果だ。これは緊急承認時からそれを示唆するデータがあることを塩野義製薬側が明らかにしていたが、2月下旬に第30回レトロウイルス・日和見感染症会議(CROI)で発表された結果を同社が公表した。これはエンシトレルビルの第III相パートの登録患者に対し、3ヵ月、6ヵ月後にフォローアップのアンケートを実施したもの。それによると全体ではプラセボ投与群に比べ、エンシトレルビル群(125mg投与、以下同様)ではlong COVIDとして新型コロナに特徴的な14症状のいずれが長期持続した患者割合が25%低下、罹患後に起こる神経症状(課題解決力の低下、集中力・思考力の低下、短期または長期の物忘れ、不眠)が発現した患者割合が26%低下したという。後者については統計学的有意差が認められた。一方で投与開始時の14症状スコアが中央値以上(9点以上、各症状で軽度が1点、中等度が2点、重度が3点でスコアリング)の患者集団では、同様にプラセボ群に比べてエンシトレルビル群では、14症状のいずれかの長期持続を認めた患者割合が45%、罹患後に起こる神経症状が発現した患者割合が33%、いずれも有意に低下したとのこと。もっともあくまで探索的解析であり、かつアンケート回答者は当初の試験登録者の50~60%とのこと。現時点ではあくまで参考値と言わざるを得ない。実はこの件は中医協総会で支払側委員である日本労働組合総連合会(連合)の「患者本位の医療を確立する連絡会」委員である間宮 清氏に「保険適用直前のタイミングでこのニュースを流すのはモラルとしていかがなものか」という趣旨の苦言を呈されている。正直、私もlong COVIDの第一報を聞いた際は、似たような印象を持っていた。企業側としては学会で発表されたデータをニュースリリースとして発表したいであろうし、それ自体が何か法に触れるわけでもない。しかしながら、現時点でも発症後の打つ手がまだまだ限られる新型コロナでは、こうした探索的な事後解析であっても臨床医の処方を誘引するファクターになりうる可能性がある。CROIの開催時期を考えれば、この時期の発表にならざるを得ないのは百も承知なのではあるが…。とはいえ、まさか中医協の場でも同様の指摘があるとは思っていなかった。本連載で私自身がこの薬について取り上げたものは、率直に言ってほとんどがネガティブな内容である。といっても別にこの薬にも塩野義製薬にも個人的に遺恨はない。だが、なぜかこの薬に関しては正面切って解釈しようとすると「?」が付くことが多いのが実際である。

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3月13日以降のマスク、濃厚接触者は7日間着用を推奨/厚労省

 厚生労働省は2023年3月7日、自治体・医療機関向けの事務連絡「B.1.1.529系統(オミクロン株)が主流である間の当該株の特徴を踏まえた感染者の発生場所毎の濃厚接触者の特定及び行動制限並びに積極的疫学調査の実施について」を一部改正した。2023年2月10日に発表された「マスク着用の考え方の見直し等について」に基づき、2023年3月13日よりマスクの着用は、個人の判断を基本とすることとなるが、濃厚接触者については7日間のマスク着用が推奨されることとなった。 改正後の記載は以下のとおり。 令和5年3月13日以降は、「マスク着用の考え方の見直し等について」令和5年2月10日新型コロナウイルス感染症対策本部決定に基づき、マスクの着用については個人の判断を基本とすることとなりますが、7日間が経過するまでは、感染対策として、引き続きマスクの着用が推奨されます。また、引き続き、事業所等における保健所等による積極的疫学調査及び濃厚接触者の特定・行動制限は求めない点に変わりはありません。令和5年3月7日付けの改正は、マスク着用の考え方が見直される令和5年3月13日より適用します。 また、濃厚接触者の特定について、マスクを着用していないことだけで一律に濃厚接触者と特定するのではなく、周辺の環境や接触の状況など、個々の状況から感染性を総合的に判断してほしいと記載された。 改正後の記載は以下のとおり(事業所などで感染者が発生した場合の例を示す)。 濃厚接触者の特定は、「手で触れることの出来る距離(目安として1メートル)で、必要な感染予防策なしで、「患者(確定例)」と15分以上の接触があった者」が要件の一つとなっているが、マスクを着用していないことのみをもって一律に濃厚接触者と特定するのではなく、引き続き、周辺の環境や接触の状況等個々の状況から患者の感染性を総合的に判断いただくものであり、事業所等で感染者との接触を判断する上でも、同様に取り扱われたい。

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レムデシビル、コロナ入院患者の死亡リスクを低減/ギリアド

 ギリアド・サイエンシズ(日本)は3月6日付のプレスリリースにて、入院後2日以内の抗ウイルス薬レムデシビル(商品名:ベクルリー)投与により、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による入院患者において、重症度にかかわらず死亡率および再入院率が低下したことを示すデータが、50万人超のリアルワールド試験から得られたことを発表した。死亡率の低下は、免疫不全者の集団においても認められた。米国本社が2月21日に英語で発表したものの邦訳版。本結果は2月19~22日に米国・シアトルで開催された第30回レトロウイルス・日和見感染症会議(Conference on Retroviruses and Opportunistic Infections)にて発表された。 プレスリリースによると、U.S. Premier Healthcareデータベースに登録された臨床診療情報を基に、米国の病院800施設以上における成人のCOVID-19入院患者50万人超のデータが解析された。 主な結果は以下のとおり。・全体解析では、COVID-19入院患者の14日目および28日目の死亡率を検証した。入院後2日以内にレムデシビルを投与された患者群と、投与されなかった対照群を比較したところ、すべての酸素レベルにおいて、投与群の死亡率が有意に低かった。・ベースライン時に酸素療法使用の記録がない患者では、レムデシビル投与により、28日目の死亡リスクが19%(p<0.001)低下した。・低流量酸素療法を受けている患者では、28日目の死亡リスクが21%(p<0.001)低下し、高流量酸素療法を受けている患者では12%(p<0.001)低下した。・ベースライン時に侵襲的機械換気(IMV)/ECMOを必要とする患者では、28日目の死亡リスクが26%(p<0.001)低下した。・これらの結果は、オミクロン株を含む全変異株の流行期を通じて、すべてのレベルの酸素療法を受けている患者において認められた。・免疫不全者においても、レムデシビルの投与による死亡率の低下が認められた。28日目の死亡率は、入院後2日以内にレムデシビルを投与された場合、非投与群と比較して、すべての変異株の期間において、死亡リスクが25%(デルタ株以前35%、デルタ株期21%、オミクロン株期16%)有意に低下した。・レムデシビルを投与されたCOVID-19入院患者が30日以内に同じ病院に再入院する確率も27%有意に低下した。・in vitro解析によると、レムデシビルは、XBB、BQ.1.1、BA.2.75、BA.4/BA.5を含むオミクロン株亜種に対しても、抗ウイルス活性を保持していた。 今回の解析で認められたレムデシビルの死亡率低下に関する有効性は、2021年に同社が発表した約10万人のCOVID-19入院患者のリアルワールド解析において得られた生存率改善のエビデンスと一貫性を示している。

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軽症から中等症のCOVID-19外来患者において、フルボキサミンはプラセボと比較して症状改善までの期間を短縮せず(解説:寺田教彦氏)

 本研究では、軽症から中等症のCOVID-19外来患者で、フルボキサミンが症状改善までの期間を短縮するか評価が行われたが、プラセボと比較して症状改善までの期間を短縮しなかったことが示された1)。 フルボキサミンは、うつ病や強迫性障害などの精神疾患に使用される選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)であり、比較的安価な薬剤である。COVID-19流行初期において、このフルボキサミンは、サイトカインの産生を制御するσ-1受容体のアゴニストとして機能することから、臨床転帰の改善効果を期待して臨床試験が行われた。初期の臨床試験では有効性を示した報告2)もあり、ブラジルで行われたプラセボ対照無作為化適応プラットフォーム試験(TOGETHER試験)でも有効性が示されていた3)。そして、これらの研究に基づいたsystematic review4)やCochrane COVID-19 Study Register5)では、フルボキサミンは28日の全死因死亡率をわずかに低下させる可能性や、軽症COVID-19の外来および入院患者の死亡リスクを低下させる可能性があると評されていた。 しかし、フルボキサミンの有効性を否定する報告6)や、新型コロナウイルスワクチンの開発に伴いワクチン接種の有無で治療薬の有効性が変化する可能性も考えられ、現時点でフルボキサミンの有効性がない可能性も考えられた。そのため、新型コロナウイルスワクチンの接種率が7割程度あり、流行株がデルタ株からオミクロン株の時期の米国において、フルボキサミンの有効性が再度検証され、結果は前述の通りであった1)。 これまでの経緯や今回の研究結果を踏まえ、私は、日本ではフルボキサミンを臨床的に使用する必要性はないと考える。 過去の研究と今回の研究を比較すると、初期に有効性を示した臨床研究2)では、試験の参加者が少なかったことや、経過観察期間が短かったために正確な結論が得られなかった可能性が懸念される。また、ブラジルで実施されたTOGETHER試験は重症の定義に「6時間以上の救急医療を要する患者」を含めており、フルボキサミンが真に重症化予防効果があったかの疑問が残る。 今回、検証された理由の1つである、新型コロナの流行株や国民の新型コロナウイルスワクチン接種率の観点からも、本邦では今回の研究参加者の背景が近いと考えられる。フルボキサミンの有用性を示せなかった理由に、薬剤の投与量が指摘されることもあるが7)、現在はCOVID-19の病態の解明も進み、ワクチンの効果や新型コロナウイルスの変異により、かつてよりも死亡率や重症化率はかなり低下している状況である。そのうえ、重症化リスクのある患者に対する有効な抗ウイルス薬も開発され、使用方法も確立している。これだけCOVID-19治療法が確立した現在の日本においては、いくら安価であるとはいえ、COVID-19に対する効果が不確定なフルボキサミンを使用するメリットはないだろう。 さて、欧米や本邦では、COVID-19の治療ガイドライン8)や薬剤使用方法の手引き9)が整備されており、われわれ医療従事者はこれらのエビデンスに容易にアクセスできるようになった。しかし、インターネットのホームページをみると、本原稿執筆時でも、フルボキサミンが有効だったことを報告した当初の論文のみを載せてフルボキサミンの販売をしている通販サイトが散見される。COVID-19診療を振り返ってみると、イベルメクチンなどのようにCOVID-19への治療が期待されたがために、本来投与が必要な患者さんの手に薬剤が回らないことが懸念された薬剤もあった。新興感染症の病態や有効な治療薬が不明確なときには、有効と考えられる薬剤の投与を通して、エビデンスを生み出す必要があるが、病態や治療方法が確立すれば、適切な治療を行うように努めるべきであろう。 また、治療の有効性が否定された薬剤はその結果を受け止め、本来医学的に必要とされる患者さんに同薬剤が行き渡るようにするべきであろう。医薬品が一般人でも入手しやすくなった現代では、非医療従事者にも適切な情報が届くように、インターネットを含めてFact-Checkを行ってゆく必要があると考える。【引用文献】1)フルボキサミン、軽~中等症コロナの症状回復期間を短縮せず/JAMA2)Lenze EJ, et al. JAMA. 2020;324:2292-2300.3)Reis G, et al. Lancet Glob Health. 2022;10:e42-e51.4)Lee TC, et al. JAMA Netw Open. 2022;5:e226269.5)Nyirenda JL, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2022;9:CD015391.6)Bramante CT, et al. N Engl J Med. 2022;387:599-610.7)Boulware DR, et al. Lancet Glob Health. 2022;10:e329.8)Coronavirus Disease 2019 (COVID-19)Treatment Guidelines9)COVID-19 に対する薬物治療の考え方 第 15.1 版(2023年2月14日)

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第35回 新型コロナの入院時スクリーニング検査のやめどきは?

「5類」化によって間引くべきところを考えているご存じのとおり5月8日から「5類感染症」にスイッチするわけですが、どう引き算をしていけばよいのか迷われている医療機関は多いのではないでしょうか。当院でも侃々諤々と議論が交わされています。コロナ禍におけるその象徴が「入院時スクリーニング検査」です。そもそもPCR検査やそれに準ずる検査は、スクリーニングに用いる意義はそこまで大きくないというのが定説でしたし、コロナ禍当初、私もそう理解していました。基本的には確定診断にこそ用いるべき技術であろう、と。当たり前になった入院時スクリーニングしかし、急速な検査キャパシティの拡大により、どこの病院でもスクリーニング検査を行うことが当たり前になりました。これにより入院時スクリーニングが可能になりました。検査入院で入院してきた人が陽性になり、入院できなくなった事例、また陰性だったのに院内で発症した事例が、あるのも事実。2つ研究を紹介しましょう。1つ目は、2020年12月3日~2021年3月20日に東京都内の急性期病院に入院し、鼻咽頭スワブを用いたSARS-CoV-2の抗原定量検査(ルミパルス)と、症状・ウイルス曝露を評価するアンケート調査です1)。5,000例を超える患者のうち、抗原定量が陽性になったのは、わずか53例(1.02%)でした。判定保留は19例です。抗原定量陽性だった53例のうち、37例は典型的な症状などがあり、COVID-19と診断がついています。検査しておいてよかったね、という症例です。ただこの研究は、無症状の人にやみくもに採取した研究ではありません。抗原定量陽性であったものの入院時にCOVID-19と診断されなかった16例と、判定保留の19例については、全員隔離した後、3日以内にPCR検査を実施しました。このうち、PCR陽性は8例でした。残り27例はPCR陰性で、COVID-19ではありませんでした。他方、抗原定量陰性だった大多数のうちCOVID-19だったのはわずか2人でした(2人ともPCR陽性)。しかしこの2人についても、問診時点でCOVID-19が疑わしかったので、しっかりと隔離できていました。つまり、しっかり問診・診療しておれば、スクリーニング検査があってもなくても院内に広めるリスクはそれほど高くないのでは…ということも言えます。2つ目の研究は、実際に入院時スクリーニングを行っている患者のその後の感染を追跡した観察研究です。症例数は約1,100例です2)。この研究では、上記と違って当然COVID-19の事前確率がかなり低いわけです。PCR陽性で感染性があると判断されたのは、10例のみという結果でした。PCR陽性はちょいちょい引っかかるのですが、蓋を開けてみるとほとんどは感染性がない事例でした。となると、COVID-19の事前確率が高い場合はともかくとして、無症状の入院患者にスクリーニング検査を行う費用対効果はそこまで高くない印象を持っています。基本的に入院時に陰性を確認しても、その翌日や翌々日などにCOVID-19を発症することがありうるため、「その瞬間の陰性をみること」にどのくらいの価値を見出せるかどうか、でしょうか。参考文献・参考サイト1)Morishima M, et al. Universal admission screening for COVID-19 using quantitative antigen testing and questionnaire screening to prevent nosocomial spread. PLoS One. 2022;17:e0277426.2)山室亮介, 他. 新型コロナウイルスの入院時スクリーニングにおける抗原定性検査およびRT-PCR検査が院内感染に与える影響. 感染症学雑誌. 2023;97:1-5.

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コロナへのイベルメクチン、最大用量でも効果認められず/JAMA

 軽症~中等症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)外来患者へのイベルメクチン治療について、最大目標用量600μg/kgの6日間投与はプラセボ投与と比較して、持続的回復までの期間を改善しなかった。米国・デューク大学のSusanna Naggie氏らが、約1,200例を対象に行った無作為化二重盲検プラセボ対照プラットフォーム試験「ACTIV-6試験」の結果を報告した。著者は、「結果は、軽症~中等症のCOVID-19患者へのイベルメクチン使用を支持しないものであった」とまとめている。JAMA誌オンライン版2023年2月20日号掲載の報告。発症から7日以内の軽症~中等症を対象に試験 ACTIV-6試験は、軽症~中等症のCOVID-19外来患者における既存治療転用を評価するようデザインされた、進行中のプラットフォーム無作為化試験。 被験者は2022年2月16日~7月22日にかけて、米国の93施設で登録された、2種以上の急性感染症の症状があり発症から7日以内のCOVID-19感染が確認された30歳以上の外来患者1,206例であった。最終フォローアップは同年11月10日。 被験者は無作為に2群に割り付けられ、一方にはイベルメクチン最大目標用量600μg/kgを(602例)、もう一方にはプラセボが(604例)、それぞれ6日間投与された。 主要アウトカムは、持続的な回復(3日以上無症状が続く状態と定義)までの期間だった。副次アウトカムは、複合アウトカム(28日以内の入院、死亡、緊急/救急外来受診)など7項目だった。持続的回復までの期間中央値、両群とも11日 無作為化を受けた1,206例は、年齢中央値48歳(四分位範囲[IQR]:38~58)、女性が713例(59.1%)、SARS-CoV-2ワクチンの2回以上接種者は1,008例(83.5%)だった。 持続的回復までの期間中央値(IQR)は、イベルメクチン群、プラセボ群ともに11日(IQR:11~12)だった。症状回復までの期間改善に関するハザード比(HR)は1.02(95%信用区間[CrI]:0.92~1.13、p=0.68)。 複合アウトカム発生は、イベルメクチン群34例(5.7%)、プラセボ群36例(6.0%)だった(HR:1.0、95%CrI:0.6~1.5、p=0.53)。また、イベルメクチン群で死亡が1例、入院が4例(0.8%)発生したが、プラセボ群では死亡例はなく、入院は2例(0.3%)だった。有害事象は両群共にまれであった。

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2023年度コロナワクチン接種スケジュールを発表/厚労省

 厚生労働省は3月7日、新型コロナワクチンの2023年4月以降の接種についてスケジュールの方針を発表した。2023年度も、すべての国民に自己負担なしで新型コロナワクチンを接種できる「特例臨時接種」が延長される。 12歳以上については、重症化リスクの高い高齢者(65歳以上)や基礎疾患を有する人、および医療従事者は、5月8日から、オミクロン株対応2価ワクチンの追加接種を開始する。年2回の接種が可能となる。高齢者は春~夏に1回、秋~冬に1回の接種が推奨されている。いずれの対象者も、最終接種からの接種間隔は少なくとも3ヵ月以上となる。 それ以外の12歳以上の者は、2022年度秋接種開始分のオミクロン株対応2価ワクチンの追加接種を5月7日に終了し、9月以降に、年1回の追加接種を再開する。使用するワクチンは再度検討される予定。 5~11歳の小児については、3月8日から、追加接種がオミクロン株対応2価ワクチンとなる。2価ワクチンは、1・2回目接種を完了した者が対象で、最終接種から少なくとも3ヵ月以上間隔をあけて接種する。基礎疾患を有する小児は、5月8日~8月の期間に、さらにもう1回の2価ワクチンの追加接種が可能。 生後6ヵ月~4歳の小児については、初回免疫として従来型の1価ワクチンを随時接種することができる。

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コロナワクチンの重症化と死亡減少効果、RCT28件をメタ解析/Lancet Microbe

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンのCOVID-19重症や死亡に対する有効性と、ワクチンによって得られた抗体濃度と有効性の相関性を評価するため、中国科学院深セン先進技術研究院のZhi-Rong Yang氏らの研究グループは、ワクチンの有効性に関する28件のランダム化比較試験(RCT)について、系統的レビューとメタ解析を行った。その結果、ワクチンはCOVID-19感染予防よりも、重症化や死亡に対する予防効果のほうが高いことや、接種後の時間経過とともに有効性は低下するが、ブースター接種によって効果を強化することが可能であることが示された。Lancet Microbe誌オンライン版2023年2月28日号に掲載の報告。コロナワクチンが重症化および死亡を効果的に予防できるという強固なエビデンス 本研究では、2020年1月1日~2022年9月12日に発表された論文をPubMed、Embase、Scopus、Web of Science、Cochrane Libraryにて検索、また、同時期の査読前論文をbioRxiv、medRxiv、WHO COVID-19 Research Databaseにて検索し、RCTを特定して系統的レビューとメタ解析を行った。アウトカムは、無症状感染、有症状感染、入院、重症、死亡である。本研究では、完全接種をプライマリシリーズによる接種と定義し、ブースター接種は完全接種後の追加接種と定義した。 コロナワクチンの重症化や死亡に対する予防効果を評価した主な結果は以下のとおり。・28件のRCTを解析した。ワクチン接種群28万6,915例、プラセボ群23万3,236例で、追跡期間の中央値は最終ワクチン接種後1~6ヵ月だった。・27件のRCTで、DNAワクチン、mRNAワクチン、ウイルスベクターワクチン、不活化ウイルスワクチン、組換えタンパクワクチンの完全接種の有効性が評価された。2件のRCTで、ブースター接種と未接種が比較された。・無症状感染に対するワクチンの有効性を評価したRCTは9件で、全体の有効性は44.5%(95%信頼区間[CI]:27.8~57.4)で異質性は高い(I2=79.6%、p<0.0001)。mRNAワクチンでは56.5%(46.2~64.9)、ウイルスベクターワクチンでは32.1%(5.3~51.4)、不活化ワクチンでは51.0%(24.7~68.1)だった。・有症状感染に対するワクチンの有効性を評価したRCTは27件で、全体の有効性は76.5%(95%CI:69.8~81.7)で異質性は高い(I2=93.0%、p<0.0001)。DNAワクチンでは67.3%(45.8~80.2)、mRNAワクチンでは85.5%(63.5~94.2)、ウイルスベクターワクチンでは69.9%(58.2~78.4)、不活化ワクチンでは72.1%(58.9~81.1)、組換えタンパクワクチンでは76.3%(67.0~82.9)だった。・ウイルスの各変異株に対するワクチンの有症状感染の予防効果は、アルファ株(B.1.1.7)では78.2%(95%CI:64.0~86.8)、デルタ株(B.1.617.2)では67.0%(50.0~78.2)だった。・時間の経過とともに有効性の著しい低下が見られ(p=0.0007)、完全接種から1ヵ月後あたりの平均低下率は13.6%(95%CI:5.5~22.3)だった。・COVID-19関連入院に対するワクチンの有効性を評価したRCTは8件で、全体の有効性は95.4%(95%信用区間[CrI]:88.0~98.7)であり、異質性はわずかであった(I2=4.0%、p=0.95)。・COVID-19重症に対するワクチンの有効性を評価したRCTは22件で、全体の有効性90.8%(95%CrI:85.5~95.1)であり、中程度の異質性があった(I2=47.6%、p=0.0030)。mRNAワクチンでは91.5%(76.1~96.0)、ウイルスベクターワクチンでは88.2%(69.6~97.5)、不活化ワクチンでは96.2%(80.2~99.7)、組換えタンパクワクチンでは90.5%(82.1~96.1)だった。・COVID-19関連死に対するワクチンの有効性を評価したRCTは13件で、全体の有効性は85.8%(95%CrI:68.7~94.6)であり、異質性はわずかであった(I2=3.5%、p=0.94)。mRNAワクチンでは85.8%(-174.2~99.3)、ウイルスベクターワクチンでは88.4%(56.8~97.9)、不活化ワクチンでは93.5%(-447.4~100.0)、組換えタンパクワクチンでは82.8%(48.3~95.6)。 著者によると、本研究では、ワクチンによって得られる抗体濃度と有効率の相関性については不均一性があり確認することができなかったが、ワクチン接種がSARS-CoV-2感染のリスクを低減し、とくにCOVID-19重症および死亡を効果的に予防できるという強固なエビデンスが得られたとしている。接種後の時間経過とともに有効性は低下するが、ブースター接種によって効果を強化することが可能であることが示された。著者は本結果から、ワクチン戦略の第1目標を重症化と死亡の減少に再設定し、接種時期を最適化する必要性を訴えている。

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コロナ感染拡大しやすいのは夜間営業店~東京都で大規模調査/東北大

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック下では、ロックダウンなど人流の抑制や行動制限の介入による感染拡大のコントロールが世界的に実施されてきたが、社会経済への影響も大きかった。現在はワクチン接種の普及に伴い行動制限の緩和が進んでいるものの、直近の第8波ではコロナ関連死亡者数が過去最多を更新し、依然として感染拡大のコントロールは困難だ。 社会経済活動を維持しつつ感染拡大リスクが高い場面に焦点を絞った感染防止対策の構築のため、東北大学の今村 剛朗氏らによる東京都、東北大学医科学研究科、国立感染症研究所の合同チームは、東京都に報告されたコロナ感染者4万4,054例を対象として、保健所での積極的疫学調査による情報を用いた後ろ向き解析を行った。その結果、夜間営業店と医療機関・福祉施設とでクラスターが多く生じていたことなどが明らかとなった。JAMA Network Open誌2023年2月24日号に掲載の報告。 本研究では、ワクチン接種実施以前の2020年1月23日~12月5日の期間に東京都に報告された新型コロナウイルス感染者4万4,054例を対象として後ろ向き解析を行った。この期間において、コロナ第1波が2020年1月14日~5月25日、第2波が5月26日~9月30日、第3波の一部が10月1日~12月6日であった。 対象者の感染経路を、海外、ナイトライフ、飲食店、職場、家庭、医療機関(福祉施設含む)、その他の7つの感染環境に分類し、感染環境ごとの症例数およびその後の感染伝播の発生可能性を比較した。「ナイトライフ」の定義は、レストラン、バー、ナイトクラブ(ホストクラブ、ホステスクラブ含む)、その他の夜間営業の飲食店とした。ナイトライフは、さらに接待を伴う施設と接待を伴わない施設とに分類し、性的サービスを提供する施設は、接待を伴う施設に分類した。「飲食店」の定義は、ナイトライフの定義を満たさない飲食店とした。 主な結果は以下のとおり。・全症例数4万4,054例のうち、2万5,241例(57.3%)は男性患者で、患者の年齢中央値は36歳(四分位範囲:26~52)であった。・感染経路が確認できたのは1万3,122例で、家庭6,768例(51.6%)、次いで医療機関2,733例(20.8%)、ナイトライフ1,174例(8.9%)であった。・症例致死率(CFR)は、医療機関で最も多く(2,733例中268例[9.8%])、医療機関におけるすべての死亡例は、患者または訪問者の間で発生した(すなわち、医療従事者の間では発生しなかった)。・6,624件の感染現場が特定され、1次感染例から5例以上の2次感染例(クラスター)が確認された感染現場数は、ナイトライフが380件中72件(18.9%)、医療機関が329件中119件(36.2%)で、飲食店、職場、家庭、その他の環境よりもとくに多かった。・特定されたナイトライフ380件の中で、接待を伴う施設でクラスターが193件中59件(30.6%)発生していた。一方、接待を伴わない施設でのクラスターは187件中13件(7.0%)だった。・ナイトライフの症例は流行の波の初期に多く、家庭と医療機関の症例は後期に多かった。第1波では、ナイトライフでの発症日の中央値は、家庭での発症日の中央値よりも10日早く、医療機関での発症日の中央値よりも16日早かった。第2波では、ナイトライフでの発症日の中央値は、家庭よりも35日、医療機関よりも40日早かった。・ナイトライフの症例と比較して、家庭および医療機関の症例は、その後の感染伝播を引き起こす可能性が低かった。家庭の調整オッズ比[aOR]:0.03(95%信頼区間[CI]:0.02~0.05)、医療機関のaOR:0.57(95%CI:0.41~0.79)。・家庭環境は世代間伝播と関連し、非家庭環境は主に同年齢群間の伝播であった。・感染現場が特定されていない3万932例において、ナイトライフの履歴のある症例は、履歴のない症例よりも、非家庭環境へ感染伝播する可能性が高く(aOR:5.30、95%CI:4.64~6.05)、家庭環境へ感染伝播する可能性は低かった(aOR:0.85、95%CI:0.75~0.97)。 著者は本結果について、ナイトライフで確認されたCOVID-19症例は、家庭および医療機関での症例よりも、その後に感染伝播する可能性が高いため、とくに流行の初期段階において、ナイトライフの場を対象としたサーベイランスや行動制限の介入を優先させるべきだとしている。

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第137回 コロナウイルス5類に移行後、診療拒否は認めない方針/厚労省

<先週の動き>1.コロナウイルス5類に移行後、診療拒否は認めない方針/厚労省2.外来機能報告制度、3月29日までに報告を/厚労省3.地域医療構想実現のため、病床過剰地域での病院再編を加速へ/厚労省4.昨年の出生数は80万人割れで過去最少、死亡数は158万人超/厚労省5.介護人材不足で、介護施設の経営に影響/社会保障審議会6.自由診療の再生医療、審査体制に疑問あり/国立がん研究センター1.コロナウイルス5類に移行後、診療拒否は認めない方針/厚労省今年の5月に新型コロナウイルス感染症が、感染症法において2類相当から5類への位置付けの変更により、今後の医療体制について3月10日に政府は検討し、発表する見込み。現在判明している見直し案では、2類相当の新型コロナは、特定の医療機関以外は例外的に応召義務の適用外となっているが、5類となる5月以降は、コロナ感染が疑われることを理由とした診療拒否は認められないと明記し、周知徹底を図る。同時に、コロナ患者に対応した医療機関に対しては、診療報酬を上乗せするなどしてきた特例措置は、段階的に縮小する。また、ホテルで隔離しての宿泊療養は原則廃止とするが、高齢者や妊婦については、自治体の判断で9月末まで継続可能だが原則有料とされる見込み。(参考)「5類移行後」のコロナ医療費、外来は原則自己負担…治療薬は9月末まで公費継続(読売新聞)5類移行後に診療拒否 医師法違反の可能性 神奈川県が見解(東京新聞)コロナ軽症者の宿泊療養制度、原則廃止へ 「5類」移行で(毎日新聞)2.外来機能報告制度、3月29日までに報告を/厚労省厚生労働省は令和3年に成立した改正医療法により、3月6日より全国の医療機関に対して、医療資源を重点的に活用する外来について情報を集め、診療実績を元に、地域の医療関係者や医療保険者らと協議を行い、地域ごとに「医療資源を重点的に活用する外来」を持つ「紹介受診重点医療機関」を6月以降公表する見込み。報告対象医療機関は、一般病床か療養病床がある病院と有床診療所が対象だが、無床診療所の報告は任意だが、意向がある医療機関は提出できる。報告しない医療機関には、「報告対象外医療機関」の申告書または医療機関等情報支援システム(G-MIS)からダウンロードした報告書を提出することを求めている。締切は3月29日まで。(参考)令和4年度外来機能報告(報告様式2)の報告開始等について(厚労省)外来機能報告「様式2」週明け開始、厚労省 29日まで、診療実績「見える化」(CB news)3.地域医療構想実現のため、病床過剰地域での病院再編を加速へ/厚労省厚生労働省は3月1日に「第8次医療計画等に関する検討会」の地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループを開催した。二次医療圏において、病床過剰地域では複数の医療機関による再編・統合については、中止しないことを明らかにした。これまで、病床過剰地域での新たな医療機関の開設や増床については中止勧告を出せるとしたが、今後は再編統合の前後で病床の総数が増加しないで、地方厚生局長が適当である旨の認定をする再編計画の仕組みであれば、中止勧告を出さないことが了承された。(参考)病床過剰地域での複数病院の再編、中止勧告せず 条件付きで(CB news)地域医療構想に係る医療機関の再編計画の認定等について(関東信越厚生局)第11回地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ(厚労省)病院再編が進み「淘汰される」時代に 日本医師会副会長・全日本病院協会会長の猪口雄二氏に聞く(日経ヘルスケア)4.昨年の出生数は80万人割れで過去最少、死亡数は158万人超/厚労省厚生労働省は2月28日に人口動態統計(速報)を公表した。これによると、2022年の出生数は79万9,728人と1899年の統計開始以来、過去最少となった。一方、死亡数は158万2,033人と新型コロナウイルス感染による死亡のほか、心不全などで死亡する高齢者が急増しており、過去最高を記録した。厚生労働省によれば、コロナウイルスの感染による死亡は3万8,881人と前年の1万4,926人に比べ、約2万4千人増加しているが、コロナ以外の死因での死亡も増えていた。岸田総理はこれに対して「危機的な状況と認識している」とし、少子化政策を進めることを明らかにした。(参考)人口動態統計速報[令和4年12月分](厚労省)出生数、初の80万人割れ コロナ影響、減少加速-22年人口動態統計速報・厚労省(時事通信)22年の死亡158万人超、戦後最多 コロナ余波も(日経新聞)首相、出生数80万人割れ「危機的な状況」(産経新聞)5.介護人材不足で、介護施設の経営に影響が/社会保障審議会厚生労働省が2月27日に開催した社会保障審議会介護保険部会において、コロナ感染拡大により、介護人材不足のため介護施設が休止・閉鎖したほか、病院でも介護人材の確保のため派遣業者や紹介業者に支払う費用負担が経営を圧迫していることが話題になった。2月20日に開催された社会保障審議会介護給付費分科会でも、この問題が検討されており、福祉医療機構が1月に公表した令和3年度の通所介護の経営状況調査の結果で、通所介護サービス事業者の46.5%が赤字であったことが明らかとなっており、今後、検討される見込み。(参考)第106回社会保障審議会介護保険部会(厚労省)第214回社会保障審議会介護給付費分科会(同)介護人材の紹介料・派遣料が高い…審議会で悲鳴 「立ち行かなくなる」「真剣に検討を」(JOINT)通所介護の約半数が赤字 「危機的状況」「介護提供体制が崩壊する」の声=社保審・介護給付費分科会(同)介護職員不足 施設休止・閉鎖相次ぐ/青森県内(東奥日報)2021年度(令和3年度)通所介護の経営状況について(福祉医療機構)6.自由診療の再生医療、審査体制に疑問あり/国立がん研究センター国立がん研究センターや京都大学iPS細胞研究所の研究者チームが、保険診療外の自由診療で行われている再生医療について、そのうち25%が「安全性の科学的根拠に疑義がある」とする調査結果を発表した。報告によると、再生医療の審査を行う特定認定再生医療等委員会の中に、独立・公正な審査を期待できない委員会が存在すること、承認された治療計画の中に安全性の科学的根拠や医師の専門性に疑義が認められるものが一定数認められ、誇大広告など不適切な広告によって患者さんの理解や治療選択が誤導される恐れがあることなど問題が認められた。研究チームは、再生医療法の改正や現行制度の運用の見直しを求め、患者の理解や治療選択の参考になるように公正な審査体制の整備を求めている。(参考)自由診療で行われる再生医療の審査に関する課題を調査 今後の制度改正に期待(国立がん研究センター)保険外の再生医療、25%が「安全性に疑義」…肝障害を美容外科医が治療のケースも(読売新聞)再生医療実施計画の審査 独立で公正な審査期待できないおそれ(NHK)

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