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新型コロナ軽症例に出現、味覚障害以外の口腔病変とは?

 ブラジル・ブラジリア大学のDos Santos氏らは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の口腔徴候と症状の有病率に関するエビデンスの系統的レビューを行い、味覚障害以外の口腔病変について明らかにした。Journal of Dental Research誌2021年2月号掲載の報告。 本レビューはPRISMAチェックリストに基づき、文献は6つのデータベースと灰色文献から検索されたCOVID-19患者の口腔症状と徴候に言及する研究が含まれた。バイアスのリスクはJBI(Joanna Briggs Institute)の評価ツールを用いて評価した。このレビューには33件の横断的研究と7件の症例報告の計40件の研究が含まれていた。 主な結果は以下のとおり。・全19ヵ国の1万228例(男性:4,288例、女性:5,770例、不明:170例)が評価された。・最も一般的な口腔症状として、味覚障害の有病率は45%(95%信頼区間[CI]:34~55、I2=99)だった。・さまざまな味覚障害についてプールされた適格なデータによると、味覚障害の有病率は38%、味覚減退は35%で、味覚消失は24%であった。・COVID-19による味覚障害のオッズ比[OR]は12.68(95%CI:6.41〜25.10、I2=63、p

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第41回 入院拒否者に50万円以下の過料など、改正感染症法が成立

<先週の動き>1.入院拒否者に50万円以下の過料など、改正感染症法が成立2.緊急提言「定期受診をやめないで」/日医・日本循環器連合3.75歳以上の高齢者、年収200万円以上は窓口負担2割導入へ4.医療従事者に対するいわれなき差別にNO!/日医5.健診データの共有など、民間PHRの利活用を推進6.広がらぬセルフメディケーション、新しく設立された有識者会議1.入院拒否者に50万円以下の過料など、改正感染症法が成立新型コロナウイルス対策を強化する改正特別措置法など関連法が、3日の参院本会議で可決、成立した。改正感染症法では、入院拒否者に50万円以下(疫学調査拒否者に30万円以下)の過料を、改正特措法により、営業時間短縮命令を拒んだ事業者に対して、緊急事態宣言下で30万円以下(まん延防止等重点措置では20万円以下)の過料を科すことになる。当初は刑罰が検討されていたが、政府・与党は早期成立のため、野党との修正協議にて、罰則の軽減がなされた。この法律の施行に伴う関係政令の整備のため募集されたパブリックコメントによると、「まん延防止等重点措置を集中的に実施すべき事態におけるまん延防止のために必要な措置として、従業員に対する検査受診の勧奨、手指の消毒設備の設置や従業員に対する検査受診の勧奨など」が求められている。(参考)手指消毒できない店に過料も 特措法政令案の概要公表(朝日新聞)「新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令案」に対する意見の募集(パブリックコメント)について(e-GOV)2.緊急提言「定期受診をやめないで」/日医・日本循環器連合日本医師会と日本循環器学会などを中心とする日本循環器連合は、新型コロナウイルス感染拡大下でも受診控えをしないよう、国民に向けて連名で緊急声明を発出した。現在、緊急治療を要する急性心筋梗塞、急性心不全、致死性不整脈、肺塞栓症などの緊急対応ができなくなっている地域や医療機関が増えている一方、治療中断や受診抑制によって、持病の心臓血管病が悪化する患者が増えているという。緊急医療の提供体制を維持するために、より一層新型コロナウイルス感染予防への留意と慎重な行動をするとともに、現在治療中の患者に向けて継続的な受診と治療を呼び掛けている。(参考)新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言下の心血管病診療に関する緊急声明(日本医師会・日本循環器連合)3.75歳以上の高齢者、年収200万円以上は窓口負担2割導入へ菅内閣は5日、75歳以上で年収200万円以上の人は、医療費の窓口負担を2割に引き上げることを閣議決定した。本国会での成立を目指し、2022年の後半に施行される見通し。現在、75歳以上の後期高齢者の窓口負担は原則1割で、年収383万円以上の人は3割負担だが、今回の制度変更により、単身世帯で年収200万円以上、複数人世帯で75歳以上の年収合計が320万円以上であれば負担割合を1割から2割に引き上げられる。75歳以上の2割に当たる約370万人が対象となる見込み。今後の高齢者の医療費増を見据えた動きだが、収入の大半を年金に頼る高齢者にとっては負担増大であり、受診抑制が進む懸念が残る。(参考)年収200万円以上、2割負担に 75歳以上医療費で法案決定―政府(時事通信)令和3年2月5日付大臣会見概要(厚労省)4.医療従事者に対するいわれなき差別にNO!/日医日本医師会は、3日の定例記者会見にて、医療従事者などへの差別や風評被害に関する調査結果を発表した。これによると、寄せられた698件の差別や風評被害のうち、「医師以外の医療従事者」(主に看護師)に対するものが277件(40%)と最多。次が「医療機関」で268件(38%)、「医師または医療従事者の家族」は112件(16%)だった。城守 国斗常任理事は、「今回の調査結果で、医療従事者などに対していわれなき差別が見られたことを問題視し、引き続き公式YouTubeなどで、医療従事者が国民の生命と健康を守るため、過酷な環境下で仕事をしていることに理解を求める動画の配信を行っていくとともに、国に対しても対応を要望する」と明らかにした。(参考)恫喝や暴言も、医療者への風評被害の実態/日医(ケアネット)医療従事者等に対するいわれなき差別の実態について(日医)「近寄らないで」看護師らへの差別698件 医師会発表(朝日新聞)5.健診データの共有など、民間PHRの利活用を推進厚労省の健康・医療・介護情報利活用検討会の健診等情報利活用ワーキンググループ民間利活用作業班が2月3日に開催された。そこで、民間PHR(Personal Health Record)サービスの利用実態や安全性について、個人を対象とした利用者へのアンケート調査結果が公表された。これによると、PHRの知名度は66.7%が「まったく知らない」と回答しており、現在利用されているアプリは、「お薬手帳」「COCOA」「フィットネス」が多かった。サービスの利用者はアプリケーション自体のユーザビリティを高く評価し、また利用による健康意識や安心を実感していることが明らかになった。一方、個人情報の漏えいに対する不安がある人は、利用したことがある人の約半数に上った。今後、マイナンバーの活用とともに、PHRによってデータが利用される場面が広がっていくと考えられ、現場の医療従事者も患者が利用するような主なサービスについて知っておく必要があるだろう。(参考)民間PHRサービス利用者へのアンケート調査結果等民間事業者間の健診情報連携「拡大に努めるべき」事務局が作業班報告書の記載事項案提示(CBnewsマネジメント)6.広がらぬセルフメディケーション、新しく設立された有識者会議厚労省は3日に第1回セルフメディケーション推進に関する有識者検討会の初会合を開催した。昨年12月に閣議決定された政府税制改正大綱においては、セルフメディケーション税制について、対象をより効果的なものに重点化し、手続きを簡素化した上で5年延長することが打ち出されている。このため、対象医薬品について、スイッチOTCから医療費適正化効果が低いと認められるものを除外し、スイッチOTC以外の一般用医薬品などで医療費削減効果が著しく高いと認められるもの(3薬効程度)を対象に加えることとされた。今後、セルフメディケーション税制の対象医薬品の範囲および今後の医療費削減効果などの検証方法を議論することになる。適応範囲によっては、医療の受診動向にも影響が出る可能性がある。(参考)【厚労省検討会】セルフM税制、対象見直しで議論‐鼻炎薬など求める意見多く(薬事日報)資料 第1回セルフメディケーション推進に関する有識者検討会(厚労省)令和3年度税制改正の大綱の概要(令和2年12月21日閣議決定)(総務省)

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新型コロナ、20歳未満は感染しにくいが感染させやすい

 新型コロナウイルスの家庭内感染の調査から、20歳未満の若年者は高齢者より感染しにくいが、いったん感染すると人にうつしやすいことが、中国・武漢疾病予防管理センターのFang Li氏らの後ろ向き研究で示唆された。また感染力は、症状発現前の感染者、症状発現後の感染者、無症状のままだった感染者の順で高かった。Lancet Infectious Diseases誌オンライン版2021年1月19日号に掲載。 本研究は、2019年12月2日~2020年4月18日に検査もしくは臨床的に確認されたCOVID-19症例と、検査で確認された無症状の感染者の家庭内感染について、後ろ向きに調査したコホート研究。本研究での家庭内感染とは、家族および必ずしも同居していなかった近親者も含めたものとし、共通接点を共有する家庭は疫学的な関連があるとみなした。統計学的伝達モデルを用いて家庭内2次感染率を推定し、他者への感染力と感染感受性に関連する危険因子を定量化した。さらに介入政策による家族内感染への影響も調べた。 主な結果は以下のとおり。・1次感染者2万9,578例を有する2万7,101世帯と家庭内接触者5万7,581人を特定した。・平均潜伏期間を5日、最大感染期間を22日と仮定した場合、推定される2次発病率は15.6%(95%信頼区間[CI]:15.2~16.0)であった。・60歳以上は他の年齢層よりも感染リスクが高かった。・0〜1歳では、2〜5歳(オッズ比[OR]:2.20、95%CI:1.40~3.44)および6〜12歳(OR:1.53、95%CI:1.01~2.34)に比べて感染リスクが高かった。・曝露時間が同じ場合、20歳未満の若年者は60歳以上よりも他者にうつすリスクが高かった(OR:1.58、95%CI:1.28~1.95)。・無症状のままだった感染者は症状のある感染者より他者にうつすリスクが低かった(OR:0.21、95%CI:0.14~0.31)。・症状が発現した感染者では、症状発現前のほうが発現後よりも他者にうつすリスクが高かった(OR:1.42、95%CI:1.30~1.55)。・2次発病率と推定家庭内再生産数(感染者が感染させうる家庭内接触者数の平均)は、軽症患者の多くが自宅で隔離されていた2020年1月24日~2月10日は、1月24日以前とほぼ変わらなかった。しかし、感染者の集団隔離・家庭内接触者からの隔離・移動制限が実施された2月11日以降、家庭内再生産数は1次感染では0.25(95%CI:0.24~0.26)から0.12(同:0.10~0.13)と52%減少し、2次感染では0.17(同:0.16~0.18)から0.063(同:0.057~0.070)と63%減少した。 著者らは、「子供が感染すると家族に感染させるリスクがあるため、学校再開を決定する際は子供たちの高い感染力を慎重に検討する必要がある。また、乳児の感染しやすさを考えると保護者へのワクチン接種が優先されるべき」としている。

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血液によるCOVID-19重症化リスクの判定補助キットが保険適用/シスメックス

 シスメックスは2月4日、SARS-CoV-2陽性患者における重症化リスク判定を補助する新規の体外診断用医薬品として、インターフェロン-λ3(IFN-λ3)キット「HISCLTM IFN-λ3試薬」が2月3日に保険適用を受けたことを発表した。同キットと全自動免疫測定装置を用いて血清中のIFN-λ3を測定することで、SARS-CoV-2陽性患者における重症化リスク判定を補助するための情報を提供する。 シスメックスは国立国際医療研究センターとの共同研究を通じ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)重症化リスクの経過観察に有用なバイオマーカーとして、IFN-λ3を特定した。IFN-λ3は重症化の症状が認められる数日前に急激に血液中の濃度が上昇することが確認されており、重症化の予測や経過観察補助としての臨床有用性が報告されている1,2)。同製品は、2020年12月22日にSARS-CoV-2陽性患者における重症化リスク判定を補助する新規の体外診断用医薬品として、製造販売承認を取得している3)。 保険適用により、SARS-CoV-2陽性となり、倦怠感および咳や発熱がある軽症患者、息切れや呼吸器初期症状などの所見が確認される中等症患者に対して、定期的に血清中のIFNλ3を測定することが可能となる。【製品の概要】一般的名称:インターフェロン-λ3キット販売名:HISCLTM IFN-λ3試薬(製造販売承認番号:30200EZX00089000)使用目的:血清中のインターフェロン-λ3の測定(SARS-CoV-2陽性患者の重症化リスクの判定補助)対象地域:日本製造販売元:シスメックス株式会社発売日:2021年1月5日【保険適用の概要】4)申請区分:E3(新項目)測定項目:インターフェロン-λ3(IFN-λ3)測定方法:2ステップサンドイッチ法を用いた化学発光酵素免疫測定法保険点数:340点留意事項:(10)インターフェロン-λ3(IFN-λ3) ア COVID-19と診断された患者(呼吸不全管理を要する中等症以上の患者を除く。)の重症化リスクの判定補助を目的として、2ステップサンドイッチ法を用いた化学発光酵素免疫測定法により、インターフェロン-λ3(IFN-λ3)を測定した場合は、区分番号「D013」肝炎ウイルス関連検査の「14」HBVジェノタイプ判定の所定点数を準用して算定する。 イ 本検査を2回以上算定する場合は、前回の検査結果が基準値未満であることを確認すること。 ウ 本検査の実施に際し、区分番号「D013」肝炎ウイルス関連検査の「14」HBVジェノタイプ判定の所定点数を準用して算定する場合は、区分番号「D013」肝炎ウイルス関連検査の「注」に定める規定は適用しない。

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第43回 副反応に匹敵!?新型コロナワクチンのもう1つの不安要素とは

新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)のワクチン接種に関して、医療従事者の優先接種が早ければ今月中旬にも始まると言われている。各自治体や接種を受け付ける受託医療機関も含め、私の耳にはさまざまな情報が飛び込んできていて、円滑な接種の遂行に向けて現場が数多くの難題を抱えていることは承知している。新興感染症のパンデミックによるワクチン接種と言えば、2009年の新型インフルエンザ以来となるが、今回の新型コロナは感染症として社会全体に与えたダメージは測り知れず、なおかつワクチンの接種対象もほぼ全国民に及ぶため、2009年の経験はあまり役に立たない。そうした中ある自治体(都道府県レベル)では、副反応が起きた際にその患者に対応する専門チームを創設すると耳にした。いわばリスクコミュニケーションの一環である。この動きはその自治体独自のものらしいが、私はとくに今回のワクチン接種に関しては、この患者に直接対応する副反応対策チームの存在が大きな役割を果たすと思っている。そもそも新型コロナのワクチン接種に関しては、ご存じのように日本で最初に接種が開始されるのは米・ファイザー/独・ビオンテック、米・モデルナのメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン。この種のワクチンが実用化されたのは世界初である。原理だけを見れば、安全性はむしろ既存の不活化ワクチンなどに比べて高いとも思えるのだが、これ以前に実績のないものゆえに逆に不安に思ってしまう接種対象者が出てきてしまう点は否めない。また、このmRNAワクチンはいずれも筋肉内注射である。といっても医療従事者の皆さんにとっては「それが何か?」と思われるだろう。少なくともワクチン接種全体で考えれば、筋肉内注射は珍しくもなんともないが、こと日本人に関していえば予防接種法に基づく定期接種に含まれているワクチンの中で筋肉内注射が標準となっているのは、副反応問題(個人的にはこのワクチンが原因とは思っていないが)で接種率低下が著しい、あのヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンのみである。ちなみに2016年10月から定期接種となったB型肝炎ワクチンは、成人の場合は筋肉内注射が一般的だが、日本国内で定期接種対象となった幼児の場合は皮下注射である。つまるところインフルエンザワクチンも含め筋肉内注射が一般的となっている欧米と比べ、この点は大きく異なる。で、それでも「だから何なの?」と言われてしまうかもしれない。だが、非医療従事者の間ではアメリカでのワクチン接種映像が放映されたことをきっかけにSNSをはじめ各所で「なんで注射針を腕に垂直に刺してるの?」などとおびえている人たちは少なからずいるのだ。先日も電車内で若い女性2人が「あのさ、新型コロナのワクチンって腕の筋肉に針指して注射するんだって」、「えー、マジ。痛そう。嫌だなあ」というやり取りをしていたのを聞いたばかりだ。未知のワクチンを経験のない方法で接種しなければならないことに怖さを感じるほうがむしろ自然である。ちなみにワクチン接種を冗談半分で「趣味」と公言し、国内承認・未承認も含め20種類のワクチンを接種済みの私は、A型肝炎、B型肝炎、腸チフス、帯状疱疹(商品名:シングリックス)、髄膜炎菌(B群以外)、髄膜炎菌B群、ダニ媒介性脳炎、HPVで筋肉内注射を経験しているが、はっきり言って筋肉内注射に伴う痛みは一定程度注射を行う人の手技に左右されている側面があると感じる。そうなると、副反応という点ではほとんど問題がないとしても(1)未知のワクチンへの怖さ、(2)未経験の筋肉内注射への怖さ、(3)人によって痛さが異なることによる疑問・不信感、というネガティブ要素がどうしても避けられない。その前提がある中で、国が主体となってこのワクチンを接種している以上、国や地方自治体、医療従事者の側にどうしても副反応が生じた際に接種者により親身に対応する窓口があることが望ましいと考える。これは単なる形式的意見ではなく、日本での過去のワクチンの負の歴史を踏まえてのことだ。負の歴史とはまさに前述したHPVワクチンの件である。この件についてメディア関係者が言及すると「お前が言うか」と言われるのは百も承知している。HPVワクチンの接種率の低下にメディアが大いに影響を及ぼしたことは事実であるからだ。ちなみに言い訳がましいかもしれないが、念のために言っておくと、私は医療以外の領域の取材・執筆も行っており、ちょうどHPVワクチンの定期接種化とそれに伴う副反応騒動の時期は、医療そのものの取材がほとんどストップしていた時期だった。あの時はただ横目で事態を眺めていたが、あれよあれよという間に事態は悪い方向に転がって行った。とはいえ、もしあの時、騒動の渦中にいたら自分が適切な報道ができていたと断言できる自信はない。その意味では今も忸怩(じくじ)たる思いを抱き続けている。そしてまさにあの時期、渦中におらずにたまたま横眼で眺めていたがゆえに、他の報道関係者と比べれば、どのようにして悪い方向に転んで行ったかをある程度は概説できる。ざっくり説明する構図は以下のようなものだ。まず、接種後に副反応を訴えた女児の親御さんたちの一部は、当然ながら医療従事者などにその状況を訴えた。そこでは概ね「ワクチンの副反応ではないと考えられる」旨の説明がなされている。こうした症状に関しては後に「機能性身体症状」という言葉で説明されるようになったのは今では周知のことである。ところが症状が改善しない女児とその親御さんの一部は、そうした医療従事者の説明に納得せず、行き場のない不安を抱えたまま社会をさまよい続けた。それを「受け止めた」のが弁護士などの法曹関係者や市民運動の活動家などだ。こうして受け止めた側には対外広報戦術に長け、大手メディアでキーマンとなる社会部記者とつながりを持つ人たちも少なくなかった。こうして、被害を訴える人たち → 法曹関係者・市民活動家 → 大手メディア社会部記者、という情報の流通ルートが成立し、一気に報道に火が付くことになった。実はこの当時、大手メディアの中でも科学部記者などは、副反応騒動にかなりクールに反応していたと記憶している。いわば医療従事者とほぼ同じような見解である。ところが大手新聞社などを中心とするレガシーメディアの社内権力構造は、おおむね社会部のほうが科学部よりも圧倒的に上位にある。その結果、社内ではあまりブレーキがききにくく、今のような事態に至っている。もっとも報道を事細かく見ていけば分かるが、最近の大手新聞ではHPVワクチン接種者での機能性身体症状をワクチンの副反応と報じる記事はほとんどないといっていいほど姿勢は転換している。さて話を戻そう。行政がリスクコミュニケーションの一環としてワクチン接種者の注射部位反応なども含めた副反応に対処することのメリットは何かだが、それは前述のHPVワクチンのケースで経験した、副反応を訴える人たちの声の流通のうち「医療従事者 → 弁護士・市民活動家」が「医療従事者・行政の専門チーム → 弁護士・市民活動家」と言う形で川上が強化される。このことはワクチンと因果関係が薄いと思われる有害事象に関する情報の川下(弁護士・市民活動家、メディアの社会部系記者)への流通量を劇的に減らせる効果を期待できる。それだけでもHPVワクチン騒動の二の舞となる確率は減らすことができるだろう。こうした観点から、自治体の副反応対策チームの取り組みが、私の耳にした自治体以外へも水平方向にも広がってほしいと切に願うのだ。ここで「じゃあお前たちメディアは何をするんだ?」と問われることだろう。私が考えるのは主に2つだ。1つは副反応対策チームの存在とその役割を積極的に報じ、不安を感じた人にその存在を知ってもらうこと、もう1つは「可能性がゼロではないリスク」なる迷信を安易に報じないことである。その意味ではメディアにとって今回の新型コロナワクチンの接種にかかわる報道は、今後の医療報道の分水嶺になる可能性があると考えている。

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COVID-19に対する薬物治療の考え方 第7版を公開/日本感染症学会

 日本感染症学会(理事長:舘田 一博氏[東邦大学医学部教授])は、2月1日に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬について指針として「COVID-19に対する薬物治療の考え方 第7版」をまとめ、同会のホームページで公開した。 本指針は、COVID-19の流行から約1年が経過し、薬物治療に関する知見が集積しつつあり、これまでの知見に基づき国内での薬物治療に関する考え方を示すことを目的に作成されている。 現在わが国でCOVID-19に対して適応のある薬剤はレムデシビルである。デキサメタゾンは重症感染症に関しての適応がある。また、使用に際し指針では、「適応のある薬剤以外で、国内ですでに薬事承認されている薬剤をやむなく使用する場合には、各施設の薬剤適応外使用に関する指針に則り、必要な手続きを行う事とする。適応外使用にあたっては基本的にcompassionate useであることから、リスクと便益を熟慮して投与の判断を行う。また、治験・臨床研究の枠組みの中にて薬剤を使用する場合には、関連する法律・指針などに準じた手続きを行う。有害事象の有無をみるために採血などで評価を行う」と注意を喚起している。 抗ウイルス薬などの対象と開始のタイミングについては、「発症後数日はウイルス増殖が、そして発症後7日前後からは宿主免疫による炎症反応が主病態であると考えられ、発症早期には抗ウイルス薬、そして徐々に悪化のみられる発症7日前後以降の中等症・重症の病態では抗炎症薬の投与が重要となる」としている。 抗ウイルス薬などの選択について、本指針では、抗ウイルス薬、抗体治療、免疫調整薬・免疫抑制薬、その他として分類し、「機序、海外での臨床報告、日本での臨床報告、投与方法(用法・用量)、投与時の注意点」について詳述している。紹介されている治療薬剤〔抗ウイルス薬〕・レムデシビル(商品名:ベクルリー点滴静注液100mgなど)・ファビピラビル〔抗体治療〕・回復者血漿・高度免疫グロブリン製剤・モノクローナル抗体〔免疫調整薬・免疫抑制薬〕・デキサメタゾン・バリシチニブ・トシリズマブ・サリルマブ・シクレソニド〔COVID-19に対する他の抗ウイルス薬(今後知見が待たれる薬剤)〕インターフェロン、カモスタット、ナファモスタット、インターフェロンβ、イベルメクチン、フルボキサミン、コルヒチン、ビタミンD、亜鉛、ファモチジン、HCV治療薬(ソフォスブビル、ダクラタスビル)今回の主な改訂点・レムデシビルのRCTを表化して整理・レムデシビルの添付文書改訂のため肝機能・腎機能を「定期的に測定」に変更(抗体治療薬の項目追加)・バリシチニブ+レムデシビルのRCT結果を追加・トシリズマブのREMAP-CAP試験などの結果を追加・シクレソニドの使用非推奨を追加

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COVID-19外来患者への中和抗体2剤併用療法は有効か?/JAMA

 軽症~中等症新型コロナウイルス感染症(COVID-19)外来患者において、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の中和抗体であるbamlanivimabとetesevimabの併用療法は、プラセボと比較し11(±4)日目のSARS-CoV-2ウイルス量を有意に減少させることが確認された。米国・ベイラー大学医療センターのRobert L. Gottlieb氏らが、COVID-19外来患者を対象に、bamlanivimab単独療法またはbamlanivimab+etesevimab併用療法の有効性と安全性を検討する無作為化二重盲検プラセボ対照第II/III相試験「BLAZE-1試験」の結果を報告した。すでにBLAZE-1試験第II相コホートの中間解析として、bamlanivimabによるウイルス量減少効果が報告され、この結果に基づき米国では2020年11月より、軽症~中等症COVID-19患者で成人および12歳以上の小児(体重40kg以上)、かつ、重症化または入院するリスクが高い患者に対するbamlanivimabの緊急使用が許可されている。JAMA誌オンライン版2021年1月21日号掲載の報告。単独療法、bamlanivimab 2,800mg+etesevimab 2,800mg併用療法をプラセボと比較 研究グループは、米国の49施設において、SARS-CoV-2検査陽性で1つ以上の軽症~中等症の症状を有するCOVID-19外来患者を、2020年6月17日~8月21日の期間はbamlanivimab(700mg、2,800mg、7,000mg)単独群またはプラセボ群に、2020年8月22日~9月3日の期間はbamlanivimab(2,800mg)+etesevimab(2,800mg)併用療法群またはプラセボ群に無作為に割り付けた。 主要評価項目は、11(±4)日目までのウイルス量の変化。事前に設定された副次評価項目は、ウイルス排除(3項目)、症状(5項目)、29日時点での臨床アウトカム(COVID-19関連入院、救急外来受診、または死亡)の9項目で、各治療群とプラセボ群との比較検証を行った。ウイルス量はbamlanivimab+etesevimab併用療法でプラセボより有意に減少 613例がスクリーニングを受け、592例が無作為化された。このうち、治験薬の投与を受けた577例(bamlanivimab 700mg群101例、2,800mg群107例、7,000mg群101例、併用群112例、プラセボ群156例)が解析対象となった(データカットオフ日:2020年10月6日)。 解析対象577例(平均[±SD]年齢44.7±15.7歳、女性54.6%)のうち、533例(92.4%)が有効性評価期間(29日)を完遂した。 SARS-CoV-2ウイルス量(log)のベースラインから11日目までの変化量は、700mg群が-3.72、2,800mg群が-4.08、7,000mg群が-3.49、併用群は-4.37、プラセボ群は-3.80であり、プラセボ群との群間差は700mg群が0.09(95%信頼区間[CI]:-0.35~0.52、p=0.69)、2,800mg群が-0.27(-0.71~0.16、p=0.21)、7,000mg群が0.31(-0.13~0.76、p=0.16)、併用群は-0.57(-1.00~-0.14、p=0.01)であった。 副次評価項目については、84項目中10項目で各治療群とプラセボ群との間に有意差が認められた。COVID-19関連入院または救急外来受診の患者の割合は、プラセボ群5.8%(9件)、700mg群1.0%(1件)、2,800mg群1.9%(2件)、7,000mg群2.0%(2件)、併用群0.9%(1件)であった。即時型過敏反応は9例(bamlanivimab群6例、併用群2例、プラセボ群1例)報告され、治療期間中の死亡例はなかった。

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恫喝や暴言も、医療者への風評被害の実態/日医

 日本医師会・城守 国斗常任理事が、3日の記者会見で「新型コロナウイルス感染症に関する風評被害の緊急調査」について、結果を公表した。これは、昨年11月に開催された都道府県医師会長会議で問題提起され、各地域の被害状況について全47都道府県医師会が調査したもの。全国から698件の報告、「近寄るな」「責任を取れ」など心ない言葉も 風評被害を受けた対象としては、総回答数698件のうち「医師以外の医療従事者」に対する被害が277件(40%)と最も多かった。次いで「医療機関」が268件(38%)、「医師または医療従事者の家族」が112件(16%)、「医師」が21件(3%)、「その他」が20件(3%)という内訳だった。「医師以外の医療従事者」に対する風評被害は、主に看護師に対するものが多かったという。《具体的な事例1:医師》・濃厚接触者ではなく、新型コロナ患者の対応をしていないにもかかわらず、自治体より乳児健診前の2週間は勤務しないように要望された。・検死に赴いたにもかかわらず、当該関係者から、あたかも自分が新型コロナに罹患しているかのような対応を受けた。・防護服着用で診察などの対応をしていると、その格好を揶揄するような指摘をされた。・このような時だから、医師は遠出をするべきではないとを言われた。・医師が近隣に引っ越してくると知った住人から、「窓も開けられなくなる」「引っ越しを延期してもらえないか」といったクレームが出た。《具体的な事例2:医師以外の医療従事者》・新型コロナを診ている医療機関か否かにかかわらず、医療機関に勤務しているだけで、「近寄るな」「(集まりや習い事に)来ないで欲しい」「(美容院などの)予約を受けられない、しばらく利用を控えて欲しい」「一緒にエレベーターに乗るのが怖い」などの扱いや暴言を受けた。・保育園などに子供の預かりを拒否され、新型コロナの対応に当たっていないことを説明しても聞き入れられず、仕事を休むことを強いられた。・勤務先医療機関に初めて新型コロナ患者が入院した際、ほかの通院患者から「自分の家族は大丈夫なのか。何かあったら責任を取ってもらう」と言われた。・病院職員に陽性者が出たため、PCR検査を受けた。陰性だったが、自宅待機をしていたところ、近隣住民から電話が殺到、嫌がらせのようなものもあった。・買い物に行くと、知人である従業員から「何しに来たの?早く帰って」と言われた。・感染拡大地域から通勤していることで、同僚から避けられ、車が県外ナンバーであることで肩身の狭い思いをすることがあった。《具体的な事例3:医療機関》・「診療・検査医療機関」であることが県ホームページに掲載されると、受診患者数が大きく減少した。・近隣医療機関で新型コロナ患者が出たことを受け、「(当院でも)患者が出た」「スタッフが感染している」など、SNSに誤った情報を書き込まれた。・病院敷地内にユニットハウスを建て、発熱外来として利用していると、近隣住民から「窓を開けるな」など、クレームがあった。・医療機関に勤務していることを職員の家族らが心配し、職員の退職の原因となった。・「お前らのせいで学校が再開できなくなった。どうしてくれるんだ」「感染拡大の責任を取れ」「職員を外出させるな」「職員の住んでいる場所を教えろ」など、恫喝めいた問い合わせがあった。《具体的な事例4:医療従事者の家族》・子供が「学校に来てもいいのか?お母さんは看護師だろ?」と言われるだけでなく、本人が新型コロナに感染しているかのような扱いを受けた。・医療従事者の子供というだけで、別室保育や別室授業などの対応をされたほか、登園や登校をしばらく控えるように要望された。・子供の地域活動(友達付き合い、習い事、クラブ活動など)が、直接的・間接的に拒否され、子供が精神的に不安定となった。・家族が新型コロナを診療している医療機関に勤務しているため、親のデイサービス利用が断られたり、取引先から「取引を止める」と言われたり、会社内で「お前の家族はコロナじゃないのか」「お前も感染してるんじゃないのか」と言われた。 このように、新型コロナウイルス感染症に対する過剰な心配と思われる事例が多く見られた。中には、家族や親戚から交流を避けられるといった事例も散見され、医療従事者が精神的にも大きなダメージを受けていることが心配される。城守氏「風評被害というよりも“いわれなき差別”」 風評被害への対応としては、「不安で通院できないといった問い合わせがあった際は、保健所の指導の下、感染対策をしっかり行っているので安心して通院してほしいと説明した」「慢性疾患により定期的な通院が必要な患者には個別に連絡し、病院内では感染対策を行っていること、定期的な受診が重要であることを説明した」「周辺住民を対象に勉強会を開催し、正しい情報が広まるよう努めた」など、その多くが繰り返し丁寧に説明し、医療従事者・医療機関への理解を求めていた。 城守氏は、「全国規模で風評被害が発生していることが明らかとなった。中には、医療従事者に対する“いわれなき差別”とも言える事例が多く見られ、由々しき事態であると考えている。国に対しても何らかの早急な対応を求めたい」と述べた。なお、被害状況に地域差などは見られず、報告がなかった県は7つほどあったという。調査概要1.名称:新型コロナウイルス感染症に関する風評被害の緊急調査2.目的:令和2年度第2回都道府県医師会長会議(2020年11月17日開催)で新型コロナウイルス感染症に関する医療従事者などへの風評被害について問題提起されたことを受けて、日本医師会として医療従事者などに対する風評被害の実態を把握し、その結果を基に、医療の最前線で奮闘している医療従事者の置かれている状況について、国民に理解を求める。3.対象:2020年10月1日~12月25日までに各地域で起こった風評被害4.内容:風評被害の対象者(医療機関、医師、医師以外の医療従事者、医療従事者の家族、その他)、具体的事例、対応策5.方法:都道府県医師会の協力のもと、各地域の被害状況について調査し、その結果を、2021年1月15日を期限としてメールで回答いただいた。6.回答:47都道府県医師会すべてより回答(総回答数698件)

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第43回 病床協力だけでは見えないコロナ診療の実情

感染症法改正などの議論で、新型コロナウイルス感染症患者の受け入れに応じない病院に対し、病院名公表などの措置が検討されたり、大阪府の吉村 洋文知事が「民間でコロナを受け入れている病院の比率が低い」と発言したりするなど、民間病院に対する風当たりが厳しい。こうした「患者受入登録」だけで病院が評価されることに疑問を持った大阪府保険医協会は1月26日、民間病院のコロナ患者受け入れ状況を把握するため、府内全病院を対象に実施した緊急アンケートの結果を公表した。それによると、府の要請に応じて病床登録した民間病院は1割程度だった。その理由をひも解くと、「病院の構造的な問題」や「専門スタッフがいない」など物理的・人的な問題が浮かび上がった。一方、未登録であっても何らかの形でコロナ患者に対応している病院があることも明らかになった。未登録の民間病院もコロナ患者に対応大阪府保険医協会は1月19日、府内484病院を対象にアンケートを実施。1月26日現在、132施設から回答を得た。このうち、民間病院は122施設から回答があった。コロナ患者の受け入れ病床の状況については、府が昨年12月に各1~2床の確保を要請した108施設中40施設が回答。その結果、病床を登録したのは5施設(12.5%)にとどまった。登録しない理由(複数回答可)として、「動線確保や個室の数など病院の構造上の問題」(30施設)、「感染症専門スタッフがいない・少ない」(26施設)、「重症化した際の転送先に不安がある」(21施設)などが挙がった。一方、コロナ患者への対応についての実績・経験を尋ねたところ、いずれも未登録の民間病院79施設が、コロナ患者の入院受け入れや軽快後の後方病床を担うなど、何らかの形でコロナ患者を受け入れていることもわかった。病院が悪者にされ現場の士気が保てない自由回答では、「公立病院などでコロナ患者を受け入れている分、コロナ患者以外の疾患を民間病院が担ってくれている」(コロナ患者を受け入れている公立病院)、「頑張っている病院が悪者にされ、現場の士気が保てない」(コロナ患者を受け入れている民間病院)、「コロナ病床が埋まっている限り、通常の2次救急ができなくなっている」(コロナ患者の受け入れを要請されている民間病院)などの意見が寄せられた。大阪府保険医協会は「民間病院攻撃に繋がるような国や大阪府の方針や情報発信は、国民と医療機関に責任を転換し、さらに国民に“分断”を持ち込みかねないもので看過できない。国や大阪府は、これまでの政策の過ちを真摯に受け止め、十分な補償と情報提供、新型コロナウイルス感染防止対策への国民・府民の主体的・積極的参加を促す政策をとるよう、強く要望する」とコメントした。今回のアンケート結果からもわかるように、コロナ患者の受け入れ人数のみで評価するのは、あまりに問題の捉え方が表面的過ぎるということだ。コロナ以外の疾患診療や、軽快後の後方病床も重要な役割である。コロナ診療の最前線に立たない医療者、機関への逆風を煽るような行政のやり方では、直面する医療崩壊やひっ迫状況の打開に到底なり得ない。

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日本におけるCOVID-19第2波によるうつ病リスク

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによる社会的混乱は今も続いており、これが国民の社会的抑制につながっている。北里大学の深瀬 裕子氏らは、COVID-19によるメンタルヘルス関連のリスク因子を明らかにし、具体的な対処方法について検討を行った。BMC Psychiatry誌2021年1月12日号の報告。 日本でCOVID-19の第2波が起こっていた2020年7月に、Webベースの調査を実施した。人口統計、こころとからだの質問票(PHQ-9)、怒りの状態、怒りのコントロール、コーピング尺度(Brief COPE)を測定した。設定変数によるPHQ-9スコアの多変量ロジスティック回帰分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・対象者2,708人のうち、18.35%がうつ病であった。・ロジスティック回帰分析では、抑うつ症状発症の予測因子は、以下のとおりであった。●基礎疾患あり(オッズ比[OR]:1.96、95%信頼区間[CI]:1.32~2.92)●無職(OR:1.85、95%CI:1.22~2.80)●マイナスの経済状況の経験(OR:1.33、95%CI:1.01~1.77)●怒りの状態(OR:1.17、95%CI:1.14~1.21)●怒りのコントロール(OR:1.08、95%CI:1.04~1.13)・一方、抑うつ症状発症のORが1未満であった因子は以下のとおりであった。●年齢が高い(OR:0.97、95%CI:0.96~0.98)●世帯収入800万円以上の高収入(OR:0.45、95%CI:0.25~0.80)●既婚(OR:0.53、95%CI:0.38~0.74)・対処戦略と抑うつ症状との関連について、ORは以下の順であった。●プランニング(OR:0.84、95%CI:0.74~0.94)●機器的サポートの利用(OR:0.85、95%CI:0.76~0.95)●自粛(OR:0.88、95%CI:0.77~0.99)●行動の放棄(OR:1.28、95%CI:1.13~1.44)●自己非難(OR:1.47、95%CI:1.31~1.65) 著者らは「日本ではロックダウンは行われなかったが、COVID-19パンデミックに伴う長期的な心理的苦痛によって、抑うつ症状の有症率は、パンデミック前の2~9倍に増加した。社会的混乱への対処または回避する方法を、1人または他者と実践することは、メンタルヘルスの維持に役立つが、人口統計的影響が対処戦略より強く、高リスク因子を有する人への治療が求められる」としている。

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第43回 ドタバタ続きの旭川医大、ワンマン学長の言動を文科省が静観する理由

旭川医大、学長が院長を電撃解任こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。今オフにニューヨーク・ヤンキースからフリー・エージェント(FA)になっていた、田中 将大投手の東北楽天ゴールデンイーグルス復帰が1月28日に正式発表され、30日には田中投手の記者会見も行われました。ヤンキースが再契約しなかったこと、MLBの他球団の獲得が実現しなかったことなど気になる点は多々ありますが、東北楽天ファンだけでなく、日本の野球ファンのほとんどは大歓迎ではないでしょうか。ヤンキースでの7年間のキャリアのうち、後半は早い回での降板も増え、好不調の波が激しかった気もします。ただ、全盛期を過ぎつつあるとはいえ、あの田中 将大です。本人も「キャリアの晩年ではなく、いいタイミングで、楽天でバリバリ投げたいという思いはあった」と語っています。今年は東日本大震災から10年目という節目でもあり、ひょっとして東北楽天に再び優勝をもたらしてくれるかもしれません。個人的には、引退間近とも言われる日本ハムの斎藤 佑樹との投げ合いが楽しみです。さて、今週は旭川医科大学のドタバタを取り上げます。旭川医大は26日、同大で記者会見を開き、旭川医大病院の古川 博之病院長を25日付で解任したことを明らかにしました。昨年11月、同大の吉田 晃敏学長が新型コロナウイルスのクラスターが発生した市内の慶友会吉田病院からの患者受け入れを拒否する発言をしていたことが「週刊文春」で報道されましたが、この発言を録音し、外部に漏らしたことなどが解任理由となっています。「不利益処分を基礎付ける具体的証拠は何もない」と前院長この会見には吉田学長に加え、2人の理事と顧問弁護士が出席。理事は古川氏の解任理由について、(1)昨年11月の学内の会議をひそかに録画するなどし、外部に漏えいした、(2)11月、クラスターが発生した吉田病院の感染患者受け入れに関する吉田学長との協議内容を恣意的に報道機関に話した、(3)報道を受けた12月、難局を団結して乗り越えることを学内で確認したにもかかわらず、その後も取材に応じ続けた、という3点を挙げました。一方、解任された古川氏は25日夜に、報道関係者向けのコメント文書を出しています。それによると、15日に同大の役員会から辞任を求められたものの「解任相当とする具体的事実が事前に告知されておらず、告知・聴聞の手続きにおいては不適正」「ヒアリングでの質問内容は十分な反論も受け入れず、結論ありきのもの」と批判。役員会が指摘する情報漏洩の疑いも否定した、とし、「不利益処分を基礎付けるような具体的証拠は何もない」としています。さらに、文部科学省が吉田学長の不適切発言問題などで旭川医大を調査している最中に院長辞任を求めるのは、「真実隠しと思わざるを得ない」とし、旭川市の病院の新型コロナウイルス対策において「リーダーシップをとってきた私を解任することは、地域医療をないがしろにしている」と書いています。「吉田病院のコロナがなくなればいい、という趣旨だった」と弁明26日の旭川医大の記者会見において、吉田学長はそれまでの自身の発言について以下のようにコメントしました。「週刊文春」の2020年12月24日号で報道された市内の慶友会吉田病院からの患者受け入れを拒否する発言、「コロナを完全になくすためには、あの病院がなくなるしかない。ここの旭川市の吉田病院があるということ自体が、ぐじゅぐじゅ、ぐじゅぐじゅとコロナをまき散らして」については、「あのときの真意は吉田病院のコロナがなくなればいい、という趣旨だった。それが切り取られてしまった」と苦しい弁明。さらに、吉田病院の患者受け入れを巡り、吉田学長が古川氏に「受け入れるならおまえが辞めろ」などと発言したことについては、「11月8日と13日に私はある病院からの軽症者を断った。それは、私の教員として培ってきた知識と動物的な勘でそういう対応を取った。その後はコロナ対応の病床が32床使えるようになったことからも、(当時許可しなかった)私の判断は間違っていなかった」と話しました。 吉田学長のリコールを求める署名運動も「おまえが辞めろ」発言については、文科省がパワーハラスメントに当たるかどうかを調査中とのことです。萩生田 光一文科相は26日の閣議後会見で、旭川医大が古川病院長を解任したことについて「学長と付属病院長が争うことそのものが、道民や患者に不安を与える」と述べ、地域医療への影響に懸念を示すとともに、「学内人事は各大学の判断で、よしあしを判断する立場にない」とした上で、「学内で冷静な対応をしてもらいたい」と語ったとのことです。なお、週刊文春の暴言報道をきっかけとして、昨年末には同大OBが中心となった吉田学長のリコールを求める全国有志の会が発足し、署名運動が始まっています。同会は1万筆の署名を目指しており、3月を目標として文科省に提出予定とのことです。旭川医大の1期生学長による老害の数々一連の報道を読んでいて浮かんだのは、“老害”という言葉です。吉田学長は68歳。旭川医大1979年卒の1期生で眼科が専門です。2007年の学長選で同大出身者初の学長となり、その後、実に14年にわたって学長の座に就いています。ちなみに旭川医大の職員(教授など)の定年は多くの国立大と同じ65歳です。国立大学法人法では「学長の任期は、2年以上6年を超えない範囲内で、学長選考会議の議に基づき、国立大学法人が定める」とされています。旭川医大の場合、かつては「学長は1期4年を任期とし再任を1回だけ認め、再任後の任期は2年とする」という常識的なものでしたが、吉田学長になって「1期4年、再任は無限」に変更となりました。どこかの共産主義政権と同じことを強権で実行したわけです。もう一つ気になったのは、吉田学長の眼科学教室主任教授への返り咲きです。通常、学長をはじめ大学の運営に関与する役員は臨床から離れ、教授職などは返上して後任に譲ります。そもそも大学の経営をしながら、バリバリ手術や、診察、指導、研究はできないでしょう。ところが吉田学長は現在、眼科教授を兼任しています。報道等によれば、2020年、前任の教授(東大出身)を解任し、自らが眼科学講座の主任教授も兼任することにしたのです。1月15日付のFRIDAYデジタルは、昨年秋に学内に掲出された、吉田学長の第4代教授就任を伝えるポスターを掲載しており、これが笑えます。着物姿の吉田学長が色紙を掲げている写真なのですが、色紙には「二冠 学長・第四代教授」と書かれているのです。記事によれば、将棋二冠の藤井 聡太棋士を真似たとのことです。吉田学長を巡っては、2019~20年に麻酔科教授の不正報酬問題(本連載の「第2回 全国の麻酔科教室が肝を冷やしただろう事件」参照)など不祥事が続き、大学トップとして管理体制が問われていましたが、病院長解任直後の報道では、自身も公立病院とアドバイザー契約を結び月40万円(14年間で計6,920万円)受け取っていたことも明らかになっています。ちなみに、旭川医大眼科教室のWebサイトの医局員紹介を見てみると、教授が3人います。1人は主任教授の吉田学長、1人は旭川医大病院経営企画部教授、そしてもう1人は医工連携総研講座教授です。地方の医大に眼科医局所属の教授が3人とは、これも何らかの力が働いたのかもしれません。国立大学の学長は簡単にクビにはできない中央の目があまり届かない北の地の国立大学でやりたいようにやってきた吉田学長ですが、週刊文春やFRIDAYといった厳しいメディアの“目”に晒されたためか、北海道新聞など地元紙の報道もかなり批判的になってきているようです。しかし、文科省は今のところ「学内人事は各大学の判断で、よしあしを判断する立場にない」と静観の構えです。任命するのは国なのですから、交代させることも可能だと考えがちですが、そうは簡単にはいかない理由があります。国立大学法人法は「学長の任命は、国立大学法人の申出に基づいて、文部科学大臣が行う」(同法12条)となっています。ただ、その申し出を文科相が拒否することはほとんどありません。国立大学法人が、同法人の規則に則って学長を選出、それを文科相に申し出ます。この申し出に明白に形式的な違法性がある場合や、明らかに不適切と客観的に認められる場合などを除き、法人の申し出を国が拒否することはできない(申し出には法的拘束力がある)とされているのです。なにやら昨年話題となった日本学術会議会員の任命拒否問題とも似ていますが、考え方はまったく同じです。学術会議会員の任命拒否問題でもあれだけ大騒ぎとなりました。ですから、大学の自治尊重の考え方の下、国立大学の教職員が国家公務員だった時代でさえ行われなかった学長の任命拒否やクビのすげ替えが、そう簡単にできるわけがないのです。もっとも、昨年10月、学術会議の任命拒否問題が騒がれていた頃、国立大学学長の任命について聞かれた萩生田文科相は「基本的には(大学側の)申し出を尊重したい」とした上で、「文科相の判断で任命しないこともありうる」との認識も示しています。仮に老害を撒き散らしている学長だとしても、学内のルールに則ってことを収めてほしい、というのが国、文科省の強い意向だと言えそうです。とはいえ、今後、旭川医大がとくに学長を交代させることなく、今回の一連の事件をうやむやにしようとするならば、国も「明らかに不適切と客観的に認められる場合」として“立件”すべく、積極的な情報収集に動くかもしれません。今後の文科省の動きに注目したいと思います。

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新型コロナ抗体薬、第III相試験で最大8割の予防効果/リリー

 米国・イーライリリーは1月21日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬として開発したモノクローナル抗体薬bamlanivimab(LY-CoV555)の第III相試験(BLAZE-2)において、感染リスクを大幅に減少させることが確認されたと発表した。bamlanivimabは、成人および小児(12歳以上、体重が少なくとも40kg)における軽症~中等症COVID-19治療薬として、米国FDAが2020年11月より緊急使用を許可している。 BLAZE-2は、高齢者施設の入居者およびスタッフ965例(入居者:299例、スタッフ666例)を対象に実施。ベースラインでSARS-CoV-2陰性を確認した上で、bamlanivimab投与群とプラセボ群に無作為に割り付け、8週間後に追跡調査した。その結果、全体では投与群のCOVID-19発症リスクは、プラセボ群に比べ57%低かった(オッズ比[OR]:0.43、p=0.00021)。入居者に限って見ると、投与群ではプラセボ群よりも発症リスクが最大80%低下した(OR:0.20、p=0.00026)。 本結果についてリリー社は、発表したニュースリリースにおいて「bamlanivimabが社会で最も脆弱な集団の1つである高齢者施設の入居者においてCOVID-19発症を大幅に減らせることを示唆したことに満足している」とのコメントを掲載し、本剤の予防効果がCOVID-19パンデミックの潮流を変える上で重要な役割を果たすことができると期待感を示している。

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COVID-19入院患者、ACEI/ARB継続は転帰に影響しない/JAMA

 入院前にアンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)またはアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)の投与を受けていた軽度~中等度の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の入院患者では、これらの薬剤を中止した患者と継続した患者とで、30日後の平均生存・退院日数に有意な差はないことが、米国・デューク大学臨床研究所のRenato D. Lopes氏らが実施した「BRACE CORONA試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌2021年1月19日号で報告された。アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)は、COVID-19の原因ウイルスである重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の機能的な受容体である。また、RAAS阻害薬(ACEI、ARB)は、ACE2をアップレギュレートすることが、前臨床試験で確認されている。そのためCOVID-19患者におけるACEI、ARBの安全性に対する懸念が高まっているが、これらの薬剤が軽度~中等度のCOVID-19入院患者の臨床転帰に及ぼす影響(改善、中間的、悪化)は知られていないという。ブラジルの29施設が参加した無作為化試験 本研究は、軽度~中等度のCOVID-19入院患者において、ACEIまたはARBの中止と継続で、30日までの生存・退院日数に違いがあるかを検証する無作為化試験であり、2020年4月9日~6月26日の期間にブラジルの29の施設で患者登録が行われた。最終フォローアップ日は2020年7月26日であった。 対象は、年齢18歳以上、軽度~中等度のCOVID-19と診断され、入院前にACEIまたはARBの投与を受けていた入院患者であった。被験者は、ACEI/ARBを中止する群、またはこれを継続する群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要アウトカムは、無作為化から30日までの期間における生存・退院日数(入院日数と、死亡からフォローアップ終了までの日数の合計を、30日から差し引いた日数)とした。副次アウトカムには、全死亡、心血管死、COVID-19の進行などが含まれた。全死亡、心血管死、COVID-19の進行にも差はない 659例が登録され、ACEI/ARB中止群に334例、継続群には325例が割り付けられた。100%が試験を完了した。全体の年齢中央値は55.1歳(IQR:46.1~65.0)、このうち14.7%が70歳以上で、40.4%が女性であり、52.2%が肥満、100%が高血圧、1.4%が心不全であった。無作為化前に中央値で5年間(IQR:3~8)、16.7%がACEI、83.3%がARBの投与を受けていた。β遮断薬は14.6%、利尿薬は31.3%、カルシウム拮抗薬は18.4%で投与されていた。 入院時に最も頻度が高かった症状は、咳、発熱、息切れであった。発症から入院までの期間中央値は6日(IQR:4~9)で、27.2%の患者が酸素飽和度(室内気)94%未満であった。入院時のCOVID-19の臨床的重症度は、57.1%が軽度、42.9%は中等度だった。 30日までの生存・退院日数の平均値は、中止群が21.9(SD 8)日、継続群は22.9(7.1)日であり、平均値の比は0.95(95%信頼区間[CI]:0.90~1.01)と、両群間に有意な差は認められなかった(p=0.09)。また、30日時の生存・退院の割合は、中止群91.9%、継続群94.8%であり、生存・退院日数が0日の割合は、それぞれ7.5%および4.6%だった。 全死亡(中止群2.7% vs.継続群2.8%、オッズ比[OR]:0.97、95%CI:0.38~2.52)、心血管死(0.6% vs.0.3%、1.95、0.19~42.12)、COVID-19の進行(38.3% vs.32.3%、1.30、0.95~1.80)についても、両群間に有意な差はみられなかった。 最も頻度が高い有害事象は、侵襲的人工呼吸器を要する呼吸不全(中止群9.6% vs.継続群7.7%)、昇圧薬を要するショック(8.4% vs.7.1%)、急性心筋梗塞(7.5% vs.4.6%)、心不全の新規発症または悪化(4.2% vs.4.9%)、血液透析を要する急性腎不全(3.3% vs.2.8%)であった。 著者は、「これらの知見は、軽度~中等度のCOVID-19入院患者では、ACEI/ARBの適応がある場合に、これらの薬剤をルーチンに中止するアプローチを支持しない」としている。

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1回接種のコロナワクチンの有効率66%/J&J

 米国ジョンソン・エンド・ジョンソンは、現地時間の1月29日に第III相ENSEMBLE臨床試験から得られたトップライン有効性・安全性データを発表し、同社の医薬部門であるヤンセンで開発中のCOVID-19単回投与ワクチン候補(以下「ワクチン候補」という)が、すべての主要評価項目および主な副次評価項目を満たしたと発表した。 第III相ENSEMBLE試験は、18歳以上の成人を対象に、1回接種ワクチンの安全性と有効性をプラセボと比較して評価するために設計された無作為化、二重盲検、プラセボ対照臨床試験。被験者の45%が女性、55%が男性であり、参加者の41%は、重症化するリスク増加に関連する併存疾患を有していた(肥満が28.5%、2型糖尿病が7.3%、高血圧が10.3%、HIVが2.8%)。 このトップラインにおける有効性および安全性のデータは、43,783例の被験者(468例のCOVID-19症候性症例を含む)で行われ、この試験では本ワクチン候補が中等症から重症のCOVID-19感染症を予防する有効性と安全性を評価するよう設計され、ワクチン1回接種後14日以降と28日以降の評価を2つの主要評価項目(コプライマリ・エンドポイント)として設定した。 新興ウイルス変異株への感染例を含むさまざまな地域の被験者で、本ワクチン候補による接種後28日以降の中等症から重症のCOVID-19感染症の予防効果は、全体で66%だった。また、その予防効果は、接種後14日という早い段階で確認された。中等症から重症のCOVID-19感染症の予防率は、ワクチン接種後28日以降では、米国で72%、ラテンアメリカで66%、南アフリカで57%だった。重症例を予防し、2~8℃で安定保存もできる このワクチン候補は、1回接種後28日以降の、全試験対象地域の全成人被験者(18歳以上)において、重症疾患への予防効果が85%だった。重症疾患に対する有効性は経時的に増加し、49日目以降は、ワクチン接種者において重症例は報告されなかったま。また、本ワクチン候補は、COVID-19感染症による入院および死亡に対して、ワクチン接種後28日以降に被験者の全員に予防効果を示した。医学的介入を要するCOVID-19の症例(入院、集中治療室(ICU)入室、人工呼吸器、体外式膜型人工肺(ECMO)使用)に対するワクチンの明らかな効果が認められ、1回接種後28日以降で、本ワクチン候補の接種を受けた被験者に、そのような症例は報告されなかった。 なお、本ワクチン候補は標準的なワクチン流通手段に対応し、承認された場合、ワクチン候補は-20℃で2年間安定保存可能と想定され、少なくとも3ヵ月間は2~8℃で安定保存することができる。 同社では「できる限り多くの人に簡便で効果的な解決策を生み出し、パンデミックの終息にむけて最大限に貢献したい」と目標を語っている。

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希少がんのオンライン・セカンドオピニオンを開設/国立がん研究センター

 新型コロナウイルス感染症流行に収束の目処が立たない中、患者の受診控えが続いている。国立がん研究センター中央病院は、オンラインでのセカンドオピニオン外来をスタートすることを発表した。2021年2月15日(月)13時より予約を開始する。 利用者としては、原則として、希少がんなど専門医が限られる種類のがん患者を想定し、細かく分類したうえでそれぞれの専門医が対応する。同院が民間会社と共同開発した検査画像の閲覧ができるオンライン診察システムサービスを用い、PC、スマホ、タブレット等を使って受診する。感染リスクを考えて受診を控えていた患者や、地方在住者に利用を促す。(オンライン・セカンドオピニオンの対象患者)【治療開始前】・診断が正しいかどうか不安な方・がん治療が妊娠や出産に与える影響や対応方法等について知りたい方・主治医からの治療方針を確認したい方・複数の選択肢があるために当院の見解を知りたい方・主治医から診断や治療方針の決定が難しいと言われた方【治療中】・研究的な治療の相談(ゲノム検査結果を踏まえた治療など) 従来の対面でのセカンドオピニオンも引き続き行っており、「主治医から提示された治療が希望に合わず、当院で他の治療法がないかを知りたい」「転院を相談したい」という場合は対面を利用するよう推奨している。 患者本人からの相談を原則とし、家族からの相談は本人の同意書が必要。国外在住者の受診は不可となっている。完全予約制で時間は60分以内、料金は自費診療となり49,940円(税込、病理診断実施の場合は55,440円)。がん診療を中心に、オンラインでのセカンドオピニオンの開設は広がっており、がん研有明病院や亀田総合病院でも既に導入されている。申し込み・詳細は下記よりオンライン・セカンドオピニオン/国立がん研究センター中央病院

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第45回 南ア株にワクチンは確かに効き難く、先立つ感染も通用しなさそう/エボラ潜伏の恐れ

南アフリカ変異株にワクチンは確かに効き難く、先立つ感染も通用しなさそう世界屈指の製薬会社Johnson & Johnson(J&J)と米国メリーランド州のバイオテクノロジー企業Novavax(ノババックス)社の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症(COVID-19)予防ワクチンそれぞれの試験結果が先週末に相次いで発表され、南アフリカで最初に見つかってとりわけ心配されている変異株B.1.351への効果はどちらのワクチンもだいぶ低めでした1)。J&JのワクチンJNJ-78436735(Ad26COVS1)の第III相試験における米国での予防効果は72%、南アフリカでは57%であり、南アフリカでの感染のほぼすべて(95%)は変異株B.1.351によるものでした2)。NovavaxのワクチンNVX-CoV2373は英国での第III相試験結果と南アフリカでの後期第II相試験結果が報告され、英国試験での効果は大変有望な89%でした。しかし南アフリカ試験での効果はJ&Jのワクチンと同様に低く49%(HIV陰性被験者では60%)であり、ウイルス配列が調べられた感染のほぼすべて(93%)はJ&Jワクチンの試験と同様に変異株B.1.351によるものでした3)。Novavaxワクチンの南アフリカでの試験に組み入れられた被験者のおよそ3分の1は先立つ感染経験があることを裏付ける抗体保有者(seropositive)でした。上述の解析ではそれら3分の1の被験者は除外されていますが、それら被験者を含めたプラセボ群のCOVID-19発現率は抗SARS-CoV-2抗体を有していようといまいと変わらず、変異前のウイルスに感染したところで変異株B.1.351の感染は防げないようです4)。効果は低めとはいえワクチンがB.1.351に有効なことは朗報ですが、先立つ感染がどうやら通用しないというのは心配です。米国の有力なアナリスト会社Leerinkの見通しは不吉で、B.1.351のような厄介な変異株はこれから世界に広がり、先立つ感染やワクチンの普及は新たな変異株の出現をひたすら後押しするだろうと予想しています1)。Novavaxのワクチンは先月中頃に英国での承認申請がすでに始まっており、J&Jのワクチンは今月中に米国に認可申請されます。どちらも世に出ることになるでしょうが、変異株への対応などに追われ、ワクチン開発の一段落まではまだまだ長い時間がかかりそうです。Moderna社がB.1.351に対するワクチンの開発に着手したのと同様にNovavaxも変異株を標的とする新たなワクチンの開発を先月の早くから開始しています3)。その臨床試験がまもなく今春(第2四半期)に始まる予定です。Pfizerも同様です。新たに出回る変異株が見つかったらワクチンの効果をその都度検証し、必要とあらば変異株に対応できるようにワクチンに手を加えていくと同社CEO・Albert BourlaはBloombergニュースに話しています5)。エボラ感染後の抗体が周期的に増減~潜伏ウイルスの仕業?エボラウイルス(EBOV)感染を切り抜けてもはや健康な115人の感染後30~500日の血液中の抗EBOV抗体を調べたところその量がどうやら周期的に増減を繰り返しうると示唆されました6,7)。その理由はこれから調べる必要がありますが、一つの可能性として眼・中枢神経系・精巣などの免疫が手加減(immunologically privileged)する組織で細々と増える潜伏EBOVが抗体減少につけ込んでその都度引き起こす小ぶりな感染が周期的な抗体反応をもたらすことによるのかもしれません7)。COVID-19を経た人がそうであるようにEBOV感染を経た人の多くも頭痛、疲労、視覚障害、筋肉痛などを特徴とする長患い・エボラ後症候群(post-Ebola syndrome)に陥ります。アフリカのリベリアでの試験(PREVAIL)によるとEBOVのRNAはおよそ3人に1人の精液から検出され、その検出は最長で発症から40ヵ月後にも認められました8)。免疫が手加減する組織・精巣は感染を繰り返し引き起こして抗体生成を突発させるEBOVの潜伏先かもしれません7)。PREVAIL試験の結果はEBOVの細々とした複製が抗体の時おりの急増を招くという考えを支持しています。しかしPREVAIL試験では抗体量とエボラ後症候群の症状の関連は認められておらず、抗体分泌細胞(プラズマ細胞)や抗体量の維持に寄与するまだよく分かっていない仕組みが存在しているようです。今回の研究を実施した英国リバプール大学のチームはCOVID-19を経た人の抗体の推移も調べ始めています9)。参考1)Novavax and J&J join the Covid-19 vaccine push / Evaluate2)Johnson & Johnson Announces Single-Shot Janssen COVID-19 Vaccine Candidate Met Primary Endpoints in Interim Analysis of its Phase 3 ENSEMBLE Trial / PRNewswire3)Novavax COVID-19 Vaccine Demonstrates 89.3% Efficacy in UK Phase 3 Trial / GlobeNewswire4)Announcement of UK and South Africa Trial Results / Novavax5)Pfizer to Deliver U.S. Vaccine Doses Faster Than Expected / Bloomberg6)Adaken C, et al.Nature. 2021 Jan 27:1-5.7)Antibodies periodically wax and wane in survivors of Ebola / Nature8)PREVAIL III Study Group, N Engl J Med. 2019 Mar 7;380:924-934.9)Antibody highs and lows in survivors of Ebola / Eurekalert

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COVID-19、陽性者の3分の1以上が無症状

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)において、無症状の感染者が一定数いることは知られているが、実際にその割合はどのくらいなのか。米国Scripps ResearchのDaniel P. Oran氏らがこれまでに発表されたCOVID-19関連論文のシステマティックレビューを行った結果、少なくとも3分の1が無症状であることがわかったという。Annals of Internal Medicine誌2021年1月22日オンライン版の報告。COVID-19論文を検索し無症状者数などを記録 著者らは、2020年11月17日までに発表されたCOVID-19に関する論文を検索し、1万人以上の被験者、被験者のランダムな選択等の条件から適格な論文を選択したうえで、検査を受けた人数、陽性者数、有症状者・無症状者数を記録。検査方法はPCR検査または抗体検査とした。PCR検査を用いた横断研究の場合、診断は一度しか行われず、症状がなかったとしても、それが発症前なのか無症状感染なのかを区別することができない。一方、過去の感染を判定する抗体検査、PCR検査でも複数回の診断を行う縦断研究では、発症前と無症状感染を区別することができる。このため、3つの手法を分類したうえでの解析も行われた。 新型コロナウイルス感染症において無症状の感染者の割合を調査した主な結果は以下のとおり。・基準を満たす論文または調査は61で、PCR検査を使ったものが43、抗体検査を使ったものが18だった。最大のデータは英国の93万2,072例の調査だった。・PCR検査を使用した調査では、陽性判定者のうち無症状だった例(無症状感染者)の割合中央値は65.9%(IQR:42.8~87.0)だった。・PCR検査を使用した縦断研究は19あり、追跡期間中央値は14日(IQR:14.0~15.8)、無症状感染者の割合中央値は42.5%(IQR:29.6~77.8)、追跡期間中に無症状のままだった割合中央値は72.3%(IQR:56.7~89.7)だった。・抗体検査を使用した調査では、無症状感染者の割合中央値は41.2%(IQR:32.6~48.1)だった。・統合されたデータから、陽性者の少なくとも3分の1が無症状感染者である可能性が高いことがわかった。

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第40回 日本医師会が示す緊急事態宣言の解除条件

<先週の動き>1.日本医師会が示す緊急事態宣言の解除条件2.ワクチン接種体制の確立に追われる医療機関と地方自治体3.第3次補正予算、病床確保などで医療機関を支援4.地域医療構想、重点支援区域に山形県・置賜と岐阜県・東濃を追加5.積極的なコロナ患者受け入れで黒字化に成功した徳洲会病院G1.日本医師会が示す緊急事態宣言の解除条件日医・中川 俊男会長は、2月7日に予定されている緊急事態宣言の解除について、現状では厳しいとの見方を定例記者会見で述べた。今回の措置によって、一定の感染拡大防止効果が表れているようにもみえるが、「決して気を抜ける状況ではない」という。中川会長は、緊急事態宣言の解除について、都道府県の医療提供体制などの状況の判断に用いる6つの指標を示した。1)病床のひっ迫具合2)療養者数3)PCR検査陽性率4)感染者の新規報告数5)直近1週間と前の週の感染者数の比較6)感染経路不明割合上記のすべてがステージ2相当となるか、ステージ3ではあるものの、この状況が続けばステージ2になるのが確実となった時点で検討を開始すべきであると主張した。(参考)新型コロナウイルス感染症に関する最近の動向について(日本医師会)2.ワクチン接種体制の確立に追われる医療機関と地方自治体各都道府県の医療機関と地方自治体は、この2月から開始される新型コロナワクチン接種開始に向けて体制作りに動いているが、情報不足と医師不足に直面している。厚労省はワクチンについての情報ページに資料を掲載するなど、情報提供を行っているが、集団接種の会場手配や医師・看護師など人手のほか、ワクチンの供給についてさまざまな問題がある。地域の医師会や看護協会と連携しながら、対応が急がれる。(参考)新型コロナワクチンについて(厚労省)自治体9割、医師確保できず 7割が情報提供不十分 新型コロナワクチン、全国調査(毎日新聞)3.第3次補正予算、病床確保などで医療機関を支援1月28日の参議院本会議にて、コロナなど追加対策19兆円を含む、20年度3次補正予算が成立した。厚労省の予算は、新型コロナウイルス感染の拡大防止策を含む、追加額4兆7,330億円。さらなる感染拡大防止対策の支援、検査体制の充実、ワクチン接種体制や情報収集・分析体制の整備などが含まれた。ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現のためには、雇用就業機会の確保や、子供を産み育てやすい環境作りのほか、介護・福祉分野におけるデジタル化の推進など、デジタル改革の実現を狙う内容となっている。(参考)令和2年度厚生労働省第三次補正予算案の概要(厚労省)医療機関への支援などで1兆6千億円余り増額 20年度第3次補正予算(CBnewsマネジメント)4.地域医療構想、重点支援区域に山形県・置賜と岐阜県・東濃を追加厚労省も2025年までの地域医療構想の実現に向けて、国が集中的な支援を行う重点支援区域として、昨年1月から重点支援区域を2回に分けて指定していた。今年に入ってさらに山形県・置賜と岐阜県・東濃の2区域を追加した。各都道府県は、域医療構想調整会議において、重点支援区域申請を行う旨合意を得た上で、「重点支援区域」に申請することになっており、地域医療介護総合確保基金の優先配分や新たな病床ダウンサイジング支援を一層手厚く実施することとなっている。今後も重点支援区域申請は随時募集されることで、地域医療構想の実現に向け、促進されることになる。(参考)公立と民間の3病院を再編、国の支援対象に 山形・米沢(日経新聞)重点支援、山形県・置賜と岐阜県・東濃の2区域追加 地域医療構想の実現へ、厚労省(CBnewsマネジメント)当面の地域医療構想の推進に向けた取組について(厚労省)重点支援区域の状況について(第25回 地域医療構想に関するWG)5.積極的なコロナ患者受け入れで黒字化に成功した徳洲会病院G2020年度の病院業界は、コロナウイルス感染拡大により、多くの医療機関が経営悪化に陥った。一方、大手民間病院グループである徳洲会病院グループでは、当初は受診抑制や救急車の搬送件数減少に見舞われたものの、その後、湘南鎌倉病院や千葉西総合病院、羽生総合病院などにコロナ専門病棟を開設することで、重症患者と棲み分けしつつ、急性期医療を継続することで、黒字経営を維持している。感染拡大により、国は「5疾病・5事業および在宅医療」に2024年度からの第8次医療計画には新たに「感染症」を加えることとしており、地域医療構想の実現には感染症対策は重要課題となると考えられる。(参考)鎌倉の臨時医療施設、最後の1棟患者受け入れ開始 県(神奈川新聞)大手の民間病院がコロナ患者を積極的に受け入れる理由(東洋経済オンライン)

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新型コロナ無症状者の医療機関での一斉検査、プール法など活用可能に/厚労省

 医療機関・高齢者施設等において、無症状者に対し幅広く検査を実施する場合の検査法として、検体プール検査法と抗原簡易キットが新たに行政検査として実施可能となった。1月22日の事務連絡で都道府県等に通知された。併せて同日、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)検体プール検査法の指針」が公表され、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針(第3版)」ではこれらの変更が反映されている。地域の感染状況に応じ、医療機関・高齢者施設での一斉検査実施を要請 厚生労働省では、感染者が多数発生している地域やクラスターが発生している地域(とくに直近 1 週間で中規模[5人以上を目安]以上のクラスターが複数発生している地域)においては、その期間、医療機関、高齢者施設等に勤務する者、入院・入所者全員を対象に、一斉・定期的な検査を積極的に実施するよう要請を行っている1-3)。今回、医療機関・高齢者施設等において幅広く検査を実施する場合の検査法として、1)複数の検体を混合して同時にPCR検査等を実施する検体プール検査法2)結果が陰性であった場合も感染予防策の継続を徹底すること等一定の要件下における無症状者に対する抗原簡易キットの使用の2つが、行政検査として新たに実施可能となった4)。検体プール検査法とは? 検体プール検査法は、陽性率の低い集団に対して効率的に検体をスクリーニングする目的で、複数の検体をまとめて検査を行う方法。一般に個別検体を用いた検査と比較し感度・特異度が下がることから、検査体制に余裕がある場合には個別検査が推奨される。「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)検体プール検査法の指針」5)では、実際に検査を実施するにあたっての指針を下記7項目についてまとめている:1)適切な検査機器と試薬について2)検体プール検査法実施前に必要となる精度管理3)リスク評価と検体の適正管理の実施について4)適正なプール化検体の数および試料の種類について5)適正な対象集団の設定について6)プール検査を実施した場合の結果の解釈について7)その他抗原簡易キットとは? 抗原定性検査については、これまで無症状者に使用することは推奨されてこなかった経緯がある。しかし、感染拡大地域の医療機関および高齢者施設等において、PCR検査等による実施が困難な場合に抗原定性検査により幅広く検査を実施することは、重症化リスクの高い者が多い医療機関や高齢者施設等における感染拡大を防止する観点から有効であるとの観点から、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針(第3版)」6)では、「感染拡大地域の医療機関や高齢者施設等において幅広く検査を実施する際にスクリーニングに使用することは可能」と変更された。 無症状者に対する抗原定性検査は、以下の1)~4)のいずれにも該当することを実施要件としている4):1)医療機関または高齢者施設等の職員、入院・入所者(新規の入院・入所者を含む)等に対して幅広く実施する検査であること2)とくに検体中のウイルス量が少ない場合には、感染していても結果が陰性となる場合があるため、陰性の場合でも感染予防策の継続を徹底すること3)結果が陽性であった場合であり、医師が必要と認めるときは、PCR検査、抗原定量検査等を実施すること(※)4)実施した実績・結果について厚生労働省に報告すること※検査結果の解釈・注意点については、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針」を参考にすること。 その他、対象者の考え方、行政検査で用いることができる抗原簡易キットと入手方法についても、1月22日付けの事務連絡4)に明記されている。■参考文献・参考サイトはこちら1)厚生労働省.令和2年11月16日付け事務連絡:「医療機関、高齢者施設等の検査について(再周知)」2)厚生労働省.令和2年11月19日付け事務連絡:「高齢者施設等への重点的な検査の徹底について(要請)」3)厚生労働省.令和2年11月20日付け事務連絡:「クラスターが複数発生している地域における積極的な検査の実施について(要請)」4)厚生労働省.令和3年1月22日付け事務連絡:医療機関・高齢者施設等における無症状者に対する検査方法について(要請))」5)「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)検体プール検査法の指針」6)「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針(第3版)」

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「がん診療と新型コロナウイルス感染症」、患者向けQ&Aを改訂/日本臨床腫瘍学会

 2021年1月25日、がん関連3学会(日本癌学会、日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会)は合同で「がん診療と新型コロナウイルス感染症 がん患者さん向けQ&A」の改訂3版を公開した。これは3学会合同連携委員会の新型コロナウイルス(COVID-19)対策ワーキンググループがまとめたもので、「がん患者は新型コロナウイルスに感染しやすいのか」「検査はどこまですべきなのか」「現在の治療を延期したほうがよいのか」といった、多くのがん患者が抱える疑問に答える内容となっている。今回は各種文献やガイドラインのアップデートを反映した改訂となる。 ASCO(米国臨床腫瘍学会)やESMO(欧州臨床腫瘍学会)が提唱する基本治療方針へのリンクや、「血液がん」「肺がん」「乳がん」といったがん種別に分けたうえで細かく治療方針を解説する項目もあり、がん治療中の患者にとって必要な情報が網羅的にまとまっている。

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