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第49回 日本の科学者が見いだしたイベルメクチンは、コロナ治療の新たな希望か

新型コロナウイルスのワクチンを巡り、不安材料が浮上してきた。世界的なワクチン争奪戦の影響などで、米ファイザー製のワクチンが計画通りに供給されない可能性が出てきたり、英アストラゼネカ製のワクチンにおける副反応疑いが報じられたりしているからだ。翻って、ノーベル医学生理学賞受賞者(2015年)の大村 智氏(北里大学特別栄誉教授)の研究を基にした抗寄生虫薬「イベルメクチン」について、日本発の新型コロナウイルス感染症治療薬として期待する声が上がっている。新型コロナ治療薬としては未承認だが、中南米やアフリカ、中東でオンコセルカ症(河川盲目症)や類縁の感染症の治療薬として毎年約3億人が服用し、約30年間、副作用の報告がほとんどないという。イベルメクチンは2012年から、さまざまなウイルスに対する効果が多数報告されている。ヒトの後天性免疫不全症候群(AIDS)やデング熱ウイルス、インフルエンザウイルス、仮性狂犬病ウイルスなどだ。世界25ヵ国が新型コロナ治療薬に採用北里大学では2020年9月から、新型コロナウイルスに対する治療効果を調べる臨床試験を行っている。すでに医薬品として承認されているため、第I相を飛ばし、第II相の治験が実施されている。日本を含め、世界27ヵ国で91の臨床試験が行われており(2021年1月30日現在)、25ヵ国がイベルメクチンを新型コロナ感染症対策に採用している(2021年2月26日現在)。米国FLCCC(Front-Line COVID-19 Critical Care)アライアンスの会長Pierre Kory氏が2020年12月8日、上院国土安全保障と政府問題に関する委員会に証人として登壇した際は、イベルメクチンを新型コロナに対する「奇跡の薬」と評し、「政府はイベルメクチンの効果を早急に評価し、処方を示すべきだ」と訴えた。強力な支持、一方で効果を問う最新論文も…FLCCCは、2020年春以降、新型コロナ治療薬としてのイベルメクチンに関する臨床試験情報を収集・分析し、Webに公開している。これまでの臨床試験から可能性が示唆されているのは以下の通りだ。(1)患者の回復を早め、軽~中等症の患者の悪化を防ぐ。(2)入院患者の回復を早め、集中治療室(ICU)入室と死亡を回避させる。(3)重症患者の死亡率を低下させる。(4)イベルメクチンが広く使用されている地域では、新型コロナ感染者の致死率が著しく低い。さらにKory氏は、WHOがイベルメクチンを「必須医薬品リスト」に入れたことを強調。NIHやCDC、FDAに対し、イベルメクチンの臨床試験結果を早急に確認のうえ、医療従事者らに処方ガイドラインを示すように求めた。一方で、イベルメクチンが新型コロナ軽症患者に対して改善効果が認められなかったという無作為化試験の結果が今月、JAMA誌に掲載された1)。新型コロナを巡っては、ワクチンも治療薬も現在進行形で研究・開発が進み、エビデンスの蓄積と医療者や世間の期待とのバランスが非常に難しい。イベルメクチンが、コロナ治療における新たな希望になり得るのか、今後の研究の行方を注視したい。参考1)イベルメクチン、軽症COVID-19の改善効果見られず/JAMA

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「腫瘍内科専門医」は新専門医制度で何が変わる?/日本臨床腫瘍学会

 日本臨床腫瘍学会の専門医制度は、新専門医制度の中で主に内科を基本領域とする「サブスペシャルティ領域専門医」として日本専門医機構より認定された。名称は「腫瘍内科専門医」とされ、今秋・遅くとも来春からの研修開始を目指して最終調整が進められている。第18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO Virtual2021)ではこの新専門医制度についてシンポジウムが開催された。本稿では、その概要について解説した田村 研治氏(島根大学医学部附属病院先端がん治療センター)の講演内容を紹介する。「腫瘍内科専門医」への名称変更に紆余曲折 2018年、日本専門医機構は「がん薬物療法専門医」を新専門医制度における「サブスペシャリティ領域専門医」として承認した。しかし2019年に厚生労働省・医道審議会医師分科会・医師研修部会が発足し、同新制度の問題点を指摘。サブスペシャリティ領域の承認基準や整備指針に不十分な点があるのではないかということで、見直しが図られた。 その結果、最終的に「がん薬物療法専門医」は「腫瘍内科専門医」に名称が変更され、内科のサブスペシャリティ領域の1つとして承認された。腫瘍内科と呼吸器内科で異なるサブスぺ領域の類型とは? サブスペシャリティ領域は、研修実施の時期や考え方に応じて以下の3類型が設けられている。1)連動研修を行い得る領域:内科(ほか基本領域)の3年間の研修中に、いくつかの症例について連動して研修可能(消化器内科、呼吸器内科、血液内科など)2)連動研修を行わない領域:内科(ほか基本領域)の3年間の研修後に開始(腫瘍内科、アレルギー、感染症など)3)少なくとも1つのサブスペシャリティ領域を修得した後に研修を行う領域:(消化器内科→肝臓内科、消化器内視鏡など) このうち、腫瘍内科は2)連動研修を行わない領域に位置づけられ、3年間の基本領域研修中にがんの症例を経験したとしても、研修経験は共有できない。また、複数のサブスペシャリティ領域の同時登録はできないため、例えば連動研修として呼吸器内科の研修を開始していた場合に、同時期に腫瘍内科での研修を開始することはできない。 しかし、サブスペシャリティ領域どうしの症例のオーバーラップは可能であり、田村氏は「例えば呼吸器内科領域で肺がんの症例を診ていて、2つめのサブスぺ領域として腫瘍内科を選択した場合には、双方の学会の同意のもと、腫瘍内科での症例としても認められることとなっている」と説明した。また、新専門医制度は5年をめどに制度が見直されることとされており、「将来的には、腫瘍内科についても連動研修が可能となるよう目指して体制の整備含め動いていきたい」と展望を示した。腫瘍内科専門医は日本内科学会を基本領域とする 旧専門医制度での「がん薬物療法専門医」取得にあたっては、内科のほか外科、産婦人科、泌尿器科など14学会の専門医資格を基本資格としている。しかし、新専門医制度では、「腫瘍内科専門医」は日本内科学会を基本領域とする。この背景には、新制度では多くのサブスペシャリティ領域専門医の取得が実質的に難しいこと(原則として2領域)、「がん薬物療法専門医」取得者の基本領域は86%を日本内科学会が占めることがある。ただし、日本外科学会を基本領域としている医師も10%ほどおり、田村氏は「とくに乳がん領域で多く、今後日本外科学会については基本領域としての追加を検討していきたい」と話した。 なお、この変更は旧専門医制度「がん薬物療法専門医」取得者の更新には影響せず、例えば皮膚科を基本領域として「がん薬物療法専門医」を取得している医師の資格は失われない。腫瘍内科専門医が2024年度頃に誕生の見通し 新専門医制度における内科専門研修1期生は、2018年から3年間の基本領域プログラムを受けており、本来であれば、2021年4月から腫瘍内科等のサブスペシャリティ領域の研修がスタート予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染症等の影響で遅れが出ており、基本領域の試験は2021年7月4日に予定されている。「腫瘍内科専門医のモデルカリキュラムは9月頃にはホームページ上で公開予定となっており、J-OSLERの開始も遅くとも来春までには整えたい」と田村氏は説明した。なお、2021年4月からの症例については、さかのぼって実績に含めることができる。 今後数年は旧制度と新制度が並行する形となるが、2024年度頃におそらく最初の腫瘍内科専門医が誕生し、その後最終的には、旧制度は終了する予定との見通しを同氏は示した。参加者からは、「外科などの内科以外を基本領域とするがん薬物療法専門医は腫瘍内科専門医へ移行可能か?」という質問が寄せられた。同氏は、旧制度のがん薬物療法専門医は順次更新が行われるので、新専門医制度による影響は受けないことを説明。名称については今後更新の際に「がん薬物療法専門医」→「腫瘍内科専門医」と変更される可能性はあるが、資格としては変わらず更新が可能とした。

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GSK/Vir社の新型コロナ治療薬が入院・死亡リスクを85%低減、変異株にも有効か/第III相試験中間解析

 グラクソ・スミスクライン(本社:英国、以下GSK)は、3月15日、Vir Biotechnology,Inc.(本社:米国、以下Vir社)と共同開発したCOVID-19治療薬VIR-7831/GSK4182136について、第III相試験COMET-ICE(COVID-19 Monoclonal antibody Efficacy Trial-Intent to Care Early)で、入院・死亡リスクを85%低減させたとする中間解析を発表した。両社は今後、米国における緊急使用許可申請と、他国での承認申請を進める予定だ。本結果により十分な有効性が確認されたとして、3月10日、独立データモニタリング委員会が本試験への追加の被験者組み入れを中止するよう勧告した。 VIR-7831/GSK4182136は、COVID-19成人患者への早期治療薬としてGSKとVir社が共同開発したモノクローナル抗体薬。前臨床試験では、正常細胞へのウイルス侵入を防ぐと共に、感染細胞を除去する能力を高める可能性が示唆されている。 単剤療法としてのVIR-7831/GSK4182136を評価するCOMET-ICE第III相臨床試験では、入院していない患者を対象に、VIR-7831/GSK4182136(500mg)もしくはプラセボを単回静脈内投与した場合の安全性と有効性を評価した。今回の結果は、登録された583例のデータの中間解析に基づくもの。VIR-7831/GSK4182136を投与した患者群(291例)において、主要評価項目である入院もしくは死亡リスクが、プラセボ群(292例)に比べ、85%(p=0.002)低減したことが示された。VIR-7831/GSK4182136の忍容性は良好だった。 さらに新たなin vitro試験において、英国型、南アフリカ型およびブラジル型など現在懸念されている変異株に対し、VIR-7831/GSK4182136が活性を維持することが示されたという。この試験結果は、査読前の研究論文サーバー「bioRxiv」に3月10日付で掲載された。

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イベルメクチン、軽症COVID-19の改善効果見られず/JAMA

 軽症COVID-19成人患者において、経口駆虫薬イベルメクチンの投与(5日間コース)はプラセボと比較し、症状改善までの期間を有意に改善しないことが示された。コロンビア・Centro de Estudios en Infectologia PediatricaのEduardo Lopez-Medina氏らが、約400例を対象に行った試験で明らかにした。イベルメクチンは、その臨床的有益性が不確実にもかかわらず、COVID-19の潜在的な治療薬として広く処方されている。著者は、「今回の試験では、軽症COVID-19へのイベルメクチンの使用を支持する所見は認められなかった。さらなる大規模な試験を行い、イベルメクチンの他の臨床関連アウトカムの効果を明らかにする必要があるだろう」と述べている。JAMA誌オンライン版2021年3月4日号掲載の報告。軽症で発症後7日以内の成人を対象に試験 イベルメクチンが軽症COVID-19の有効な治療法であるかを確認するため、コロンビア・カリの1医療機関で二重盲検プラセボ対照無作為化試験を行った。簡易ランダムサンプリング法を用いて、試験期間中に検査で確認された症候性COVID-19患者を州の保健部門の電子データベースから特定し被験者とした。2020年7月15日~11月30日にかけて、計476例の在宅療養または入院中の軽症かつ発症後7日以内の成人を登録し、2020年12月21日まで追跡した。 被験者は2群に分けられ、一方にはイベルメクチン(300μg/kg/日)が、もう一方にはプラセボが、それぞれ5日間投与された。 主要アウトカムは、21日以内で症状が軽快するまでの期間とした。非自発的な有害事象および重篤有害事象も収集した。症状消失までの期間中央値、イベルメクチン群10日、プラセボ群12日で有意差なし 無作為化を受けて主要解析に包含された被験者は400例だった(年齢中央値37[IQR:29~48]歳、女性58%)。そのうち試験を完了した398例(99.5%)について分析を行った。 症状消失までの日数中央値は、イベルメクチン群10日(IQR:9~13)、プラセボ群12日(9~13)で有意差はなかった(ハザード比:1.07、95%信頼区間[CI]:0.87~1.32、log-rank検定のp=0.53)。21日目までに症状が消失した被験者の割合も、それぞれ82%、79%で同等だった。 最も多くみられた非自発的な有害事象は頭痛で、報告例はイベルメクチン群104例(52%)、プラセボ群111例(56%)だった。重篤有害事象で最も多かったのは多臓器不全で、合計4例(各群それぞれ2例)で発生した。 研究グループは、本試験ではイベルメクチンの効果は支持されなかったものの、より大規模な試験を行うことで、イベルメクチンの他の臨床アウトカムについてその効果が判定できるのではないか、とした。

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第49回 新型コロナと東日本大震災(後編) あの時の医療支援は、被災地の医療をどう変えたか?

東北沿岸部の医療を進化させた在宅医療の支援こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。3月11日を境に、東日本大震災の関連報道も一気に下火となりました。NHKは、先々週はドラマが主軸でしたが、11日を迎えた先週はドキュメンタリー中心で、考えさせられる番組も多かった印象です。中でも、3月11日の夜に放送された「定点映像 10年の記録〜100か所のカメラが映した“復興”〜」は、被災3県100カ所で定期的に撮影してきた映像を基につくられたドキュメンタリーで、被災地によって復興の歩みに大きな違いがあり、そこに住む人々の思いや生活も多様であることを、改めて我々に気づかせてくれる内容でした。番組の最後で被災地を取材してきたNHKの記者が、「被災地では一般の方々は復興という言葉をほぼ使わない。使っているのは行政であり、政治家であり、われわれマスコミ」と語り、「行政の復興は、基本は住まい。被災された方は住まいも大事だが、そこがゴールとは思っていない。復興という言葉をめぐる行政と一般の方々のズレが広がっている」と指摘していたのが印象的でした。さて、今回も引き続き、東日本大震災が医療に及ぼした影響について考えてみたいと思います。東日本大震災では、前回(第48回 新型コロナと東日本大震災(前編) あの時の経験は今、医療現場でどう役に立っているか?)書いたDMAT以外にも、さまざまな医療支援チームが被災地に入りました。日本医師会のJMAT、日本プライマリ・ケア連合学会のPCATなどは、急性期医療だけではなく、亜急性期や慢性期の患者にも臨機応変に対応しました。そんな中、被災地のそれまでの医療提供体制を一気に進化させた支援もありました。それは、東北沿岸部のいくつかの町で展開された「在宅医療」です。日本の10年後だった東北沿岸部東日本大震災は、高齢化が進んだ東北沿岸部を襲ったことにより、病院や介護施設など入院・入所“施設”主体であった日本の医療提供体制の問題点を浮き彫りにしました。今から10年前の2011年、日本人口はちょうど減少傾向に入ったばかりでした(日本の人口のピークは2008年の1億2,800万人)。当時、日本全体の高齢化率は23%(現在は約29%)。それに対し、東北沿岸部の市町村の多くは30%前後に達していました。つまり、震災当時の東北沿岸部は日本の10年後の姿だった、とも言えるわけです。震災直後は津波で道路が寸断され、自動車も流されて、病院に通えない患者が続出しました。また、停電が続いたことで電動ベッドが動かず、自宅や施設で褥瘡が悪化する患者が続出しました。その時、自宅や施設において渇望されたのは、病院での医療でなく、在宅医療でした。しかし、当時、東北沿岸部の多くの市町村において、在宅医療はまだ十分に普及・定着していませんでした。医療支援チームと一体になって在宅専門部隊を組織一例として、宮城県の沿岸部最北に位置する気仙沼市では、震災前までは基幹病院である気仙沼市立病院が市民の医療の最後の砦として、急性期から慢性期まで対応しており、同病院で死を迎える人も多かったと言われています。震災前から同病院でも急性期医療への特化が模索されてはいましたが、地域で在宅医療が定着しておらず、回復期の機能を持った病床も未整備で、急性期後の患者の退院先探しには難渋していました。そんな状況の中、東日本大震災が起こり、在宅医療のニーズが急速に高まったわけです。その危機をどう乗り越えたのか……。気仙沼では全国から集った医療支援チームと地元の開業医、市立病院の医師らが一体となって、急遽、「気仙沼巡回療養支援隊」が組織され、突発的な在宅医療のニーズに対応したのです。同支援隊の活動は約6ヵ月続き、地元の開業医に在宅患者を引き継ぐ形で終了しましたが、在宅医療や口腔ケア・摂食嚥下のサポートは着実に普及・定着していきました。10年経った今、気仙沼周辺は、在宅医療だけではなく、多職種連携でも先進地域となっています。それは、大震災で気仙沼巡回療養支援隊の活動をベースに、地元の医療機関や介護事業所のスタッフたちが、研修や交流などを継続し、連携を深めてきた結果だと言えます。2017年に新築移転した気仙沼市立病院も、病床を震災時の451床から340床(一般336床〈うち回復期リハビリ病床48床〉、感染症4床)まで一気にスリム化し、地域の医療機関との連携にも力を入れはじめている、とのことです。なお、気仙沼のように、地元のリソースで在宅医療を定着させた地域がある一方で、宮城県の石巻市や登米市などでは関東を本拠とする医療法人が在宅専門診療所を開設し、やはり在宅医療や医療連携の定着・普及に寄与しています。在宅医療のニーズ拡大はコロナ禍と似ている震災によって“弱者”である高齢者が自宅に留まらざるを得なくなって、在宅医療・介護のニーズが拡大した状況は、現在のコロナ禍と似ています。今、感染防止の観点から医療機関の受診を控える高齢者が増えています。また、がん手術後の患者や末期患者なども、病院ではなく自宅療養を選択する人が増加しています。コロナ患者についても、重症病床から回復期病床、在宅への流れがきちんと定まっていなかったことが、病床逼迫の一因であったことは確かです。今後の第4波の襲来に備え、通常診療の在宅医療での対応拡大や、コロナ回復患者の在宅医療での対応なども考えておく必要があるでしょう。そうした仕組みづくりには、ひょっとすると、気仙沼巡回療養支援隊をはじめとした被災地での在宅医療の展開事例が参考になるかもしれません。

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新型コロナワクチン、無症候性感染者を94%予防か/ファイザー

 米国・Pfizer社、ドイツ・BioNTech社、イスラエル保健省(MoH:Ministry of Health)は、イスラエルでの集積データから同社が製造する新型コロナウイルス感染症のmRNAワクチン(BNT162b2)の新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の発症や入院、死亡を予防する効果は、症候性の場合で少なくとも97%、無症候性の場合で94%だったことを3月11日付けのプレスリリースで発表した。また、今回のデータ解析からワクチン接種を受けていない人は症候性の新型コロナを発症する可能性は44倍高く、新型コロナが原因で死亡する可能性は29倍高いことも示唆されたという。 今回のリリースによると、イスラエルMoHが2021年1月17日~3月6日の匿名化されたデータを使用し、Pfizer社/BioNTech社が製造したワクチンの2回目の接種から2週間後の時点での健康状態を非接種者と比較したという。この当時、イスラエルではB.1.1.7株が流行していた。 ワクチンの有効性は年齢、性別、および検体が収集された週の変動などで調整し、6項目―新型コロナウイルス感染(症状のあり/なし いずれも含む)、無症候性のみ、 症候性のみ、新型コロナによる入院(重度:呼吸困難、毎分30回以上の呼吸、室内空気の酸素飽和度<94%、および/またはP/F比(PaO2/FiO2比)<300mmHg、入院期間の評価(機械的換気、ショック、および/または心臓、肝臓、腎臓機能の障害)、新型コロナによる死亡―から接種者と非接種者に対する予防効果を決定したという。 なお、この内容は現在プレプリント段階であり、近々、査読付き論文として公表予定とのこと。

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第51回 経口アンドロゲン受容体抑制薬がCOVID-19万能薬に?/陰茎の世界標準

経口のアンドロゲン受容体抑制薬が外来と入院を問わず新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症(COVID-19)に有効なことがブラジルでの試験で裏付けられ、次は集中治療室(ICU)のCOVID-19患者にどうかが検討されます。また、男性諸君のおそらく多くの気をもましている陰茎の大きさの世界標準に関する報告を簡単に紹介します。経口アンドロゲン受容体抑制薬がCOVID-19患者に外来と入院を問わず有効今年1月に発表された試験で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の入院を完全またはほぼ完全に防いだ経口薬proxalutamide(プロキサルタミド)が今度はCOVID-19入院患者の死亡のほとんどを防ぎました。中国の江蘇省の蘇州を拠点とするKintor Pharmaceutical社が開発している同薬はSARS-CoV-2スパイクタンパク質の細胞表面受容体ACE2結合前の下処理に駆り出される酵素TMPRSS2の発現亢進に携わりうるアンドロゲン受容体(AR)を抑制します1)。また、ACE2の阻害と発現抑制の二手からその活性を抑制する作用もあり、AR抑制とACE2抑制のどちらもがSARS-CoV-2肺細胞侵入阻止に貢献するとの期待を背景にしてまずはCOVID-19入院抑制効果を調べる試験が去年4月にブラジルで始まりました2)。試験はCOVID-19患者の男性を募り、COVID-19による入院率の比較によって軽症患者の重症化予防効果を示すことを目指しました3)。1月10日に発表された最終解析でのproxalutamide投与群134人の入院率は0%、つまり1人も入院せずに済みました。一方、プラセボ群128人では4人に1人以上の35人(27%)が病状悪化により入院を要し、proxalutamideの重症化予防効果が裏付けられました。安全性も申し分なく、同薬15日間使用に伴う有害事象は認められませんでした。外来の女性COVID-19患者を対象にした試験の途中結果も同日1月10日に発表され、男性での試験と同様の効果が認められています。proxalutamide治療群の女性60人の入院率は男性での試験と同様に低くてわずか1.7%であり、入院したのは1人のみでした4)。プラセボ群35人では6人(17%)が入院を要しました。1月10日の発表によると患者組み入れは2月まで続き、データは今月中に揃います。今回3月11日に新たに発表された死亡抑制効果はCOVID-19流行がとくに深刻だったブラジル北部(アマゾナス州)での第III相試験に参加したCOVID-19入院男女294人の結果に基づきます。ブラジル北部でのCOVID-19入院患者の死亡率は高く、Lancet Respiratory Medicine誌に最近発表された25万例超の解析によるとブラジル北部では半数(50%;ブラジル全体では38%)が入院中に死亡しました5)。proxalutamideの試験でもプラセボ群296人の死亡率は同様に高く、およそ2人に1人、141人(48%)が14日間に死亡しました。一方、proxalutamide群294人で死亡したのはわずか11人(4%)のみであり、同薬はCOVID-19入院患者の死亡リスクを92%減らしました6)。Kintor社は今月中か来月4月初めに最終結果を手にし、同薬の取り急ぎの認可をブラジルに申請する予定です7)。また、より重症の集中治療室(ICU)患者を対象にしたブラジルでの非盲検試験も予定されています。ブラジル以外の国での取り組みも進んでいます。Kintor社は外来の男性COVID-19患者を対象にした第III相試験の米国FDA許可を今月初めに得ており8)、最初の患者が来月4月には組み入れられます7)。Kintor社はCOVID-19治療低分子薬の第III相試験FDA許可を得た最初の中国製薬会社となりました8)。また、2009年発足の同社が初めてFDA許可を得た第III相試験でもあります。陰茎の世界標準17の報告で調べられた世界の男性しめて1万5,521人の記録に基づくこれまでで恐らく最も正確なまとめ9-11)によるとペニス(陰茎)の平均的な長さは普段の緩んだ状態では9.16 cm、勃起時は13.12cmです。平均的なペニス回り(circumference)は緩んだ状態では9.31 cm、勃起時は11.66 cmでした。参考1)Anti-Androgen Treatment for COVID-19(Clinical Trial.gov)2)First Patient Enrolment for the COVID-19 Clinical Trial of Proxalutamide Completed / Kintor Pharmaceutical3)Kintor Pharmaceutical Releases the Final Data of Proxalutamide in the Treatment of Male Subjects Infected with COVID-19 / Kintor Pharmaceutical 4)Kintor's Proxalutamide (GT0918) COVID-19 Clinical Trial Shows Positive Preliminary Results in Treatment of Female Patients / PRNewswire5)Ranzani OT,et al. Lancet Respir Med. 2021 Jan 15. [Epub ahead of print]6)Kintor Pharmaceutical Announces Results from Investigator-Initiated Brazil Trial Demonstrating 92% Reduction in Mortality in Hospitalized COVID-19 Patients / PRNewswire7)Kintor’s proxalutamide reduces COVID-19 mortality risk by 92%; trial in ICU patients next / BioWorld8)Proxalutamide Phase III Clinical Trial for the Treatment of COVID-19 Patients Approved by FDA / PRNewswire9)Veale D,et al. BJU Int. 2015 Jun;115:978-86. 10)Am I Normal? British Urology Journal Measures 15,000 Penises to Find the Average / Newswise11)How big is the average penis? / Science

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新型コロナワクチン接種後の安全性情報をリアルタイム公開/三重県

 国立病院機構三重病院では、三重県予防接種センター事業の一環として、ワクチンの安全性情報をインターネット上でリアルタイム公開するシステムCOV-Safeを開発・運用している。3月15日時点で、約700人の接種7日後までのデータが順次公開されており、発熱は1%未満と稀で、接種当日と翌日に接種部位の痛みを感じる人が比較的多い傾向がみられている。 COV-Safeは、ワクチンを接種し、調査への協力が得られた人が接種後の健康状態についてアプリから入力すると、匿名化されたデータがリアルタイムに集計され、速やかに安全性情報が表示されるシステムとなっている。ホームページで公開されるのは速報版で、今後詳細な解析結果も発表される予定。なお、本調査の一部は国立研究開発法人日本医療研究開発機構 新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業「ワクチンの実地使用下における基礎的・臨床的研究及びワクチンの評価・開発に資する研究」(研究代表者:菅 秀氏)で実施されている。 接種部位の発赤、腫脹、硬結、疼痛、熱感、かゆみのほか、体温(37.5度以上)、頭痛、倦怠感について接種1回目、2回目それぞれの7日後まで各日の報告数が公開されており、性別や年代別の詳細も閲覧することができる。

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オリンピック開催、医師の賛否や検討すべき条件は?/会員アンケート結果

 新型コロナウイルス感染症流行によって、今年7月に延期された東京オリンピック・パラリンピック。しかし、3月現在でも国内外の感染流行は収まらず、開催すべきか中止・再延期すべきか、開催するとすればどのような条件下で行うべきか、連日メディアではさまざまな案が報道されている。医療の最前線に立つ医師たちは、開催の賛否をどう考えているのか。2021年3月9、10日にインターネットで会員医師にアンケートを行い、1,020人から回答を得た。 「開催の賛否」を聞いた設問では、「賛成」290人(29%)、「反対」585人(57%)、「わからない/どちらとも言えない」145人(14%)と、反対が賛成のほぼ倍、という結果となった。2021年1月時点で共同通信が一般人を対象に行ったアンケートでは80%が反対または再延期すべきと回答しており、緊急事態宣言が延長された1月7日時点では国内の新規感染者数が7,639人/日だったのに対し、3月9日は1,127人/日といったんの落ち着きを見せていること、医療者に対してワクチン接種が開始したこと等を背景に、賛成とする人が増えたようだ。 「賛成」「反対」の両者に、「どんな制限・条件が必要か」を聞いた設問(複数回答可)では、既に決定路線との報道も出ている「海外からの観客受け入れなし」が363人で最多となり、「完全無観客での開催」が288人、「会場の入場者数制限(現在の屋内イベントの制限に準じる)」が167人となった。さらに、「海外選手・関係者の入国後2週間隔離」149人、「海外選手・関係者のPCR陰性証明書提出を義務付け」133人といった、いわゆる水際対策がこれに続いた。一方で、「どのような条件があっても開催すべきでない」との回答者も228人いた。 オリンピックへの意見を自由回答で聞いたところ、賛成の回答者からは「今さら止められない」「経済損失を避けるべき」といったやや消極的な声が多かった一方で、反対の回答者からは「招致時点から反対。開催する意味をまったく感じない」「中止決定こそが日本の存在感を上げるはず」「ただのスポーツ、人命の危険を冒す権利はない」といった強い言葉が並んだ。ほかに「医療者を無償で招集するのはあり得ない」「オリンピック予算をコロナ対策と東北支援に充ててほしい」といった医療者の立場からの声も上がっていた。アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。「東京オリンピック・パラリンピックの開催に賛成ですか?反対ですか?」

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新型コロナウイルス感染:米国退役軍人の医療経験から(解説:後藤信哉氏)-1361

 世界最強の米軍を維持するため、米国の退役軍人は手厚く待遇されている。各都市には退役軍人専用のDepartment of Veterans Affairs管理下の病院、クリニックがある。本研究は米国各地の退役軍人専用病院、クリニックにおける新型コロナウイルス感染者の抗血栓療法の実態と生命予後の解析結果である。2020年3月1日から7月30日までに新型コロナウイルス陽性とされた症例が対象となった。この短期間にて退役軍人に限定して4,297例が本研究の対象となった。一般に、血栓イベントリスクの高い西欧人では入院、安静時には静脈血栓予防の抗凝固療法が標準である。ICUに入院する市条例などでは禁忌がなければ全例予防的抗凝固治療を受ける。本研究では、入院24時間以内に抗凝固治療を受けた3,627例(84.4%)と受けなかった症例の予後を比較した。抗凝固療法の圧倒的多数は(3,600例:99%)ヘパリン(低分子ヘパリン)の皮下注であった。 新型コロナウイルスがあらためて恐ろしいのは30日以内に622例が死亡していたことからもわかる。死亡者のうち513例は抗凝固予防を受けていた。622例のうち、510例は入院期間中の死亡であった。一般に入院例、とくに重症例では抗凝固予防が施行される米国にて抗凝固予防例と非予防例の比較に価値があるか否かは難しい。著者らは傾向スコアを用いて標準化を目指した。予防介入を受けた症例の30日の死亡率は14.3%(95% confidence interval [CI]:13.1%~15.5%)にて、抗凝固予防を受けなかった症例の18.7%(15.1%~22.9%)より低いと本研究では報告されている。24時間以内に抗凝固薬を開始すれば死亡はHR 0.73(95%CI:0.66~0.81)にて低く、かつ重篤な出血イベントが多くなったわけではない。 一般に欧米の入院症例では抗凝固予防の価値が大きいことは知られている。新型コロナウイルス感染でも24時間以内にヘパリンなどを開始することにより死亡率低減効果はありそうである。米国の退役軍人のデータなので、米国、欧州にも適応可能と考える。日本でも同じかどうかはわからない。単純な観察研究なので各種の交絡因子により結論には限界がある。しかし、数値は事実である。健康保険の経済データベースの充実している本邦でも単純に、?月?日から??月??日までに新型コロナウイルス感染にて入院した症例は?例、抗凝固薬使用は?%、死亡は30日以内に?例など数値データベースを速やかに解析、公表する体制を作れば、皆で数値に基づいた議論ができると思う。

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第46回 ワクチン1回目、疼痛90%超も3日後に軽快/厚労省

<先週の動き>1.ワクチン1回目、疼痛90%超も3日後に軽快/厚労省2.改訂「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き」3.一般向け予約確認サイト「コロナワクチンナビ」、今月中に開設4.高齢者ワクチン接種、医師確保に追われる自治体も5.出生前の遺伝子検査、質の担保に国が関与へ6.病院職員同士の会食でコロナ感染、院長が謝罪1.ワクチン1回目、疼痛90%超も3日後に軽快/厚労省12日、厚生労働省が各自治体に対して行った説明会において、医療者を対象としたワクチン投与開始初期の重点的調査(前向きコホート)の中間報告があった。2月25日までに1回目の接種を済ませた1万9,808例(内訳:医師16.7%、看護師46.6%、薬剤師、臨床検査技師各3%、理学療法士、介護系職種各2%、事務職11%、その他12%/男性33.8%、女性66.2%)が登録され、第1回接種後8日目以降に回収した1万7,138例(全体の86.5%)の健康観察日誌によると、発熱(37.5℃以上)は3%であり、接種翌日がもっとも多かった。また、90%を超える接種者が接種翌日までに痛みを自覚したが、中等度以上の疼痛でも3日後にはおおむね軽快することがわかった。このほか、16%が接種翌日に全身倦怠感を自覚していた。なお、接種30分以内に失神を伴わない血管迷走神経反射や動悸、紅斑、痛みなど88例(0.44%)を認めたが、アナフィラキシーは発現しなかった。接種後の副反応疑いとしては5例がPMDAに報告された。今回の結果を、2009年に行われたNHOによるH1N1インフルエンザワクチン2万人調査と比較すると、接種部位の疼痛の頻度が明らかに高く、全身症状がやや多かった。(参考)資料 1回目接種後健康観察日誌集計の中間報告 第4回 新型コロナウイルスワクチンの接種体制確保に係る自治体向け説明会より抜粋(厚労省)2.改訂「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き」厚労省が12日、「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き」の改訂版(2.1版)を通知した。前回2月の改訂に続き、「居宅サービス等」「ワクチンの移送」「地方公共団体が設ける診療所」「接種体制構築に係る市町村間の連携」「接種券」「住所地外接種」についての内容が追記されている。なお、今後の検討状況により随時更新される。(参考)資料 「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き」の改訂について(厚労省)3.一般向け予約確認サイト「コロナワクチンナビ」、今月中に開設厚労省は、接種希望者への案内と予約受付をスムーズに行うため、一般公開サイト「コロナワクチンナビ」の開設を発表した。ワクチン接種円滑化システム(V-SYS)に入力された医療機関情報をもとに、実施医療機関、ワクチンの種類、予約受付状況などの情報を提供する。予約受付は原則として各医療機関で行うことになるが、これを活用するためには、予約状況をV-SYS上で更新する必要がある。(参考)新型コロナワクチンの接種を行う医療機関へのお知らせ(厚労省)資料 V-SYSについて4(同)4.高齢者ワクチン接種、医師確保に追われる自治体も医療従事者に対する接種に続いて、4月12日以降に開始される高齢者へのワクチン接種に向け、各自治体は接種の実施計画を立てている。厚労省は、各自治体の準備状況について、12日時点で823自治体によるシミュレーション実施など状況をまとめているが、今後も情報提供を進めていく予定。一方、ワクチン接種をめぐって、一部の自治体で接種のピーク時に必要な医師の確保が間に合わない可能性が出ている。日経新聞の報道によると、集団接種会場で実際に接種する医師について、主要都市で計画の6割しか確保できていない状況であり、医師不足に直面した自治体は医師や看護師など人員拡充を進めていく。(参考)新型コロナワクチンに関する自治体向け通知・事務連絡等(厚労省)高齢者のコロナワクチン接種、医師確保6割どまり 主要都市本社調査、「派遣看護師ら活用」8割(日本経済新聞)5.出生前の遺伝子検査、質の担保に国が関与へ近年、高齢で妊娠した母親の血液から胎児の染色体異常を推定する出生前遺伝学的検査(NIPT)が普及しているが、日本産婦人科学会の指針で認められない性別や全遺伝子検査が行われる例、産婦人科以外の医師が検査を実施する例など、カウンセリングが不十分で適切な対応ができないなどの問題が指摘されている。厚労省は「母体血を用いた出生前遺伝学的検査(NIPT)の調査等に関するワーキンググループ」を19年10月に立ち上げ、無認可施設での検査トラブルや高額検査などについて検討を重ね、先月2月10日に報告書が公開された。これによると、遺伝カウンセリングの内容など質の担保を求めており、今後、出生前診断の施設の認証制度に国が関与する制度に向け着手することになった。(参考)母体血を用いた出生前遺伝学的検査(NIPT)の調査等に関するワーキンググループ報告(厚労省)新型出生前診断 国が実施施設認証に関与 厚労省方針案明らかに(毎日新聞)6.病院職員同士の会食でコロナ感染、院長が謝罪東京都立墨東病院は、医師と看護師ら職員5人が新型コロナウイルスに感染したことを発表した。研修医と看護師、放射線技師らが、都内の居酒屋と医師の自宅でマスクをしないまま長時間の飲食を行い、数日後、そのうち2人に発熱ならびに味覚障害が発症。病院側の調査により会食が発覚した。なお、都立墨東病院においては昨年4~5月にかけて患者並びに職員43名にのぼるクラスター感染が発生しており、救命救急センターの新規入院受け入れ中止など、診療体制の縮小を強いられた。報道陣の取材に対し、上田 哲郎院長は「患者に不安な思いをさせて申し訳なく思っている。自らの軽率な行動が患者や同僚、家族を巻き込むことにつながることをあらためて自覚させる」と謝罪した。(参考)都立墨東病院医師ら5人感染 居酒屋と医師宅でマスクせず会食(毎日新聞)都立病院の研修医や看護師ら5人感染…居酒屋で会食後に2次会も、院長「軽率」と謝罪(読売新聞)

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新型コロナワクチン接種に伴う重度の過敏症の管理・診断・治療」を公開/日本アレルギー学会

 新型コロナウイルスワクチンが特例承認され、2月から医療関係者を対象とした接種が始まっている。現時点でアナフィラキシー発症頻度が従来のワクチンよりも高いことが報告されているが、いずれも適切な対処により回復している。ワクチン接種に際してはその益と害のバランスを考えることが必要であり、副反応に対する過度な懸念や対応は社会に大きな損失と負担をもたらす。日本アレルギー学会では、新型コロナウイルスワクチン接種に伴う副反応のうち、とくに重度の過敏反応(アナフィラキシー等)を起こし得る危険因子、管理、診断および治療について現時点の情報を整理し、適切にワクチン接種を行うための指針として、「新型コロナウイルスワクチン接種にともなう重度の過敏症(アナフィラキシー等)の管理・診断・治療」を作成し、3月1日学会ホームページに公開した。3月12日に改訂版が公開されている。 本指針には、副反応の種類と頻度、副反応の機序、ワクチン接種の対象(不適格者、要注意者)、アレルギー反応/アナフィラキシー対策(準備体制、アレルギー反応/アナフィラキシーの診断と対応、アナフィラキシー類似の症候・疾患の鑑別と初期対応)がまとめられている。ワクチン接種を実施する際の具体的な対応として、ワクチン接種後の観察時間、アレルギー反応が見られたときの対応方法、アナフィラキシーの診断基準、アナフィラキシー発症時の対応方法のほか、アナフィラキシー類似症状を起こしうる症状(血管迷走神経反射、パニック発作、喘息発作、過換気症候群、てんかん)の対応方法も解説している。

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第48回 決戦は月曜日?政府の印象操作がにじむ緊急事態宣言解除日

結局、新型インフルエンザ特別措置法に基づく緊急事態宣言は、首都圏の1都3県で3月8日~21日まで2週間の再延長が決定した。そうした中、3月10日の衆議院厚生労働委員会で政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身 茂会長が早くも緊急事態宣言の再々延長の可能性を示唆する発言をしている。実際、延長が決まった8日からの東京都の感染者報告を見ると、月曜日である8日が100人台となり、その後は200~300人台を推移するという前週とほぼ同じ動きを見せ、減少スピードはやや鈍化している。また、1都3県での感染状況の4段階のステージを判断する6つの指標は、東京都、千葉県、埼玉県で「病床使用率」と「10万人当たりの療養者数」が感染急増を示すステージ3、埼玉県と神奈川県で「直近1週間と先週1週間の新規感染者比」がステージ3にある。ちなみに、ステージ3の「直近1週間と先週1週間の新規感染者比」とは比が1.0を超える状態だが、埼玉県は1.11、神奈川県は1.06で増加傾向、さらに東京都は0.99、千葉県は0.93となっている。尾身会長の言葉は抑え気味だが、これらの状況を見れば3月21日での緊急事態宣言解除も絵空事にさえ思えてくる。そしてもしこの解除を判断するならば、もしかしたら政府はある日を決め撃ちしてくるかもしれない。それはずばり週初めの月曜日だ。そう思ったのはある記録を目にしたからである。ある記録とはシンクタンクである一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブ(API)によってまとめられた「新型コロナ対応民間臨時調査会 調査・検証報告書」である。報告書はAPIが2020年7月に発足させた新型コロナ対応・民間臨時調査会(小林 喜光委員長)が、当時の安倍 晋三首相、菅 義偉官房長官、加藤 勝信厚生労働相、西村 康稔新型コロナウイルス感染症対策担当相、萩生田 光一文部科学相はじめ政府の責任者など83人を対象に延べ101回のヒアリングとインタビューを実施し、初期の日本の新型コロナウイルス感染症対策を検証したものだ。この報告書では昨年4~5月の緊急事態宣言解除時のことも記載されている。この時は東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、大阪府、兵庫県、福岡県を対象とした4月7日~5月6日までの緊急事態宣言が発出され、その後、4月16日に全国に拡大。解除目前の5月4日にはさらに同月31日までの延長が決定され、5月14日に北海道、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、京都府、大阪府、兵庫県を除く39県、5月21日には京都府、大阪府、兵庫県で解除。そして5月25日には残る北海道と首都圏の1都3県で前倒し解除となった。やや前置きが長くなったが、この解除決定日のうち5月14日と21日は木曜日、5月25日は月曜日である。そしてこの5月25日について前述の報告書では、官邸スタッフの「狙いすまして25日にセットした」との証言を紹介している。これは医療機関の休業などが影響して、新規感染者報告は週前半が少なく、週後半が多いという特性を敢えて利用したということ。報告書の完全なネタバレは避けなければならないので端折ってより具体的に言うと、週前半の少ない数字を強調して専門家たちを押し切って緊急事態宣言の完全解除に持ち込んだということである。なんともえげつない話だが、さもありなんである。どうしても政府は緊急事態宣言発出による経済への影響を無視できないので、完全に専門家の意見だけで政策決定を行わないのは周知のこと。その前提で考えると、経済規模が大きい東京都を含む首都圏3都県で、現在の緊急事態宣言を再々延長することは何としても回避したいだろう。そしてこの3都県の緊急事態宣言の継続は他の道府県にも影響する。実は、私は先週末より出張で北海道の函館市に入り、今はそこから南下して青森県の八戸市にいる。函館と言えば、有名なのが函館朝市だが、今はまさに閑古鳥が鳴いている状態だ。私がたまたま朝市周辺を歩いていた時、観光客向けに海産物を販売している店の中年女性から「ねえ、お兄ちゃん(と言われても50過ぎだが)、何でもいい、ちょっとでもいいから何か買って行って」と哀願された。そして現在函館市では、市の事業として市内の宿泊施設に宿泊した人を対象に1泊当たり2000円のグルメクーポンを配布している。これが市内の主な飲食店で使える。ちなみに私が宿泊したのはなんと1泊2000円のビジネスホテルである。そして函館市でも今滞在している八戸市でもよく耳にするのが「観光客や出張客が増えるかは首都圏から人が来るかどうか。だから緊急事態宣言の継続は、自分たちにとっても他人事ではない」という話である。だからこそ私のような首都圏に住んでいる者はより徹底した感染防止対策が必要であるとも感じる。ただ、感染者急増局面のままでの緊急事態宣言の解除はあってはならないし、私たち全員で政府が安易な判断をしないかを注視する必要もあると思う。その意味で先ほど紹介した姑息とも言える「週前半の緊急事態宣言解除決定」は政府の判断を評価する一つのメルクマークになるかもしれない。

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コロナ対策、二重マスクの効果は正しく着けた不織布マスク1枚と同等/理研

 新型コロナウイルス対策に加え、この時期は花粉症に悩まされる人も多い中、われわれの暮らしの必需品となったマスクの使い方には、人によってさまざまな工夫が見られる。理化学研究所などの研究チームが3月4日、マスクによる感染予防について、スーパーコンピューター「富岳」を使った行った検証結果を公表した。それによると、いわゆる「二重マスク」は、ある程度の性能向上が期待できるものの、その効果は不織布マスク1枚を正しく装着した場合と大きく変わらないことがわかった。マスク二重にしても効果は単純に足し算になるわけではない 研究チームは、4種のマスク(布、不織布、ウレタン、N95)について、それぞれの装着方法と組み合わせ(二重マスク)による飛沫予防効果を「富岳」で計算した。 このうち不織布マスクについて、鼻の金具(ノーズフィッター)を鼻の形に沿って変形させ、目元はおおむねマスクと接触している状態(タイトフィット)での飛沫捕集効果が85%だったのに対し、ノーズフィッターの折り曲げが緩く隙間がある状態(フィット)では、同効果は81%、ノーズフィッターを折り曲げずにそのまま装着した状態(ルーズフィット)では、同効果が69%まで低下した。 次に、不織布マスクのルーズフィット状態からウレタンマスクで二重にして1枚目をフィットさせると、飛沫捕集効果は89%となり、二重にすることで20%の性能向上が得られた。ただし、1枚目からフィットさせていた状態と比較すると、8%の性能向上にとどまり、タイトフィット状態と比べると、わずか4%程度の性能向上という計算になる。 本研究チームリーダーの坪倉 誠氏(神戸大学教授)は、「マスクを二重にしても性能が単純に足し算になるわけではない。フィルタ性能が向上する分、顔やマスク間の隙間から漏れが発生する。結果的に、性能の良いマスクを1枚、タイトに装着することとあまり性能は変わらない」と述べている。

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トシリズマブとサリルマブ、重症COVID-19患者に有効/NEJM

 集中治療室(ICU)で臓器補助(organ support)を受けた重症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者において、インターロイキン6(IL-6)受容体拮抗薬のトシリズマブとサリルマブによる治療は、生存を含むアウトカムを改善することが認められた。英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのAnthony C. Gordon氏らが、現在進行中の国際共同アダプティブプラットフォーム試験である「Randomized, Embedded, Multifactorial Adaptive Platform Trial for Community-Acquired Pneumonia:REMAP-CAP試験」の結果を報告した。重症COVID-19に対するIL-6受容体拮抗薬の有効性は、これまで不明であった。NEJM誌オンライン版2021年2月25日号掲載の報告。アダプティブプラットフォーム臨床試験でトシリズマブとサリルマブの有効性を評価 研究グループは、ICUで臓器補助開始後24時間以内のCOVID-19成人患者を、トシリズマブ(8mg/kg体重)群、サリルマブ(400mg)群、または標準治療(対照群)のいずれかに無作為に割り付けた。 主要評価項目は、21日以内の非臓器補助日数(患者が生存し、ICUで呼吸器系または循環器系の臓器補助を要しない日数)で、患者が死亡した場合は-1日とした。 統計にはベイズ統計モデルを用い、優越性、有効性、同等性または無益性の事前基準を設定。オッズ比>1は、生存期間の改善、非臓器補助期間の延長、あるいはその両方を示すものとした。標準治療と比較しトシリズマブ、サリルマブで非補助日数が増加、90日生存も改善 トシリズマブ群およびサリルマブ群のいずれも、事前に定義された有効性の基準を満たした。 解析対象は、トシリズマブ群353例、サリルマブ群48例、対照群402例であった。非臓器補助期間の中央値は、トシリズマブ群10日(四分位範囲:-1~16)、サリルマブ群11日(0~16)、対照群0日(-1~15)であった。対照群に対する補正後累積オッズ比中央値は、トシリズマブ群1.64(95%信頼区間[CI]:1.25~2.14)、サリルマブ群1.76(1.17~2.91)で、対照群に対する優越性の事後確率はそれぞれ99.9%、99.5%であった。 90日生存についても、トシリズマブ群とサリルマブ群のプール解析群で改善が認められ、対照群に対するハザード比は1.61(95%CI:1.25~2.08)、優越性の事後確率は99.9%超であった。 その他のすべての副次評価項目についても、これらIL-6受容体拮抗薬の有効性が支持された。

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第48回 病院は格好のターゲット、コロナ過で急増するサイバー攻撃の狙いは?

コロナ禍で世界的に増えているサイバー攻撃。医療関連機関を狙った攻撃も増えている。時に患者の命に関わる危険もある攻撃に対し、どう立ち向かうべきか。NTTチーフ・サイバーセキュリティ・ストラテジストの松原 実穂子氏が2月1日、都内で行ったセミナー(主催:株式会社新社会システム総合研究所)において、サイバー攻撃の傾向と対策を語った。なぜ医療機関が狙われるのかイスラエルのサイバーセキュリティ企業チェックポイント・ソフトウェア・テクノロジーズによると、医療機関に対する攻撃は、昨年11月から今年1月までの間だけで45%も増えたという。攻撃の1つは、コロナワクチンや治療薬等の研究成果を盗むスパイ目的だ。2つ目は、身代金要求型ウイルスを使った金銭目的の業務妨害だ。身代金要求型ウイルスに感染すると、ファイルが暗号化され、ITシステムが使えなくなり、業務が中断されかねない。たとえば、患者の治療法や健康状態の入ったデータベースにアクセスできなくなれば、治療や投薬、入退院の手続きに支障が出る。最悪の場合、患者の命が危険に晒されることも考えられる。そのため、身代金を支払ってでも暗号を解く鍵を入手しようという窮地に追い込もうと、病院を狙った攻撃が続いているのだ。UCSFもターゲットに、1億2,000万円の被害米国では、2020年だけで約560もの医療機関が身代金要求型ウイルスによる攻撃を受けた。昨年10月、バーモント大学の医療部門のITシステムがウイルス攻撃によりダウンした際には、患者の治療を続けることが困難になった。このトラブルにより、同大学は医療スタッフ300人を一時解雇するまでに追い込まれた。被害額は、1日当たりで1億5,500万円近くにも上ったという。昨年6月に被害を受けた、カリフォルニア大学サンフランシスコ校医学部では、研究に不可欠な情報がサイバーウイルスにより暗号化され、最終的に約1億2,000万円の身代金を支払った。なぜ医療機関に対するサイバー攻撃が増えているのか。松原氏は以下の3つを挙げる。1つは、IT予算に占めるサイバーセキュリティ予算の割合が低いこと。例えば、サイバーセキュリティ対策に注力してきた金融業界の場合、IT予算に占めるサイバーセキュリティ予算の割合は6〜14%だが、医療機関の場合は3〜4%程度だという。2つ目は、サイバーセキュリティ対策が不足していること。サイバー攻撃で最も多く使われる手口の1つが「なりすましメール」だが、米保険会社Corvusによると、最も基本的なサイバーセキュリティ対策であるメールのスキャニング・フィルタリングツールでさえ、医療機関の86%以上が未導入なのが現状だ。なりすましメールが医療スタッフに対して届きやすい状況を生んでいるのは明白である。3つ目は、コロナ禍における医療資源の逼迫だ。コロナ禍以前ですら、サイバーセキュリティ対策が遅れていたのに、新型コロナウイルスの収束が見えない中、さらに対策が取りにくくなっている。NTT Ltd.がまとめた医療機関の地域別サイバーセキュリティ成熟度によると、アジア太平洋地域はほかの地域に比べて圧倒的に低い。南米大陸と比べても評点は3分の1程度で、欧州や同じアジア太平洋地域の豪州と比べても半分ほどだという。セキュリティ対策甘い日本の医療機関は格好のターゲット米サイバーセキュリティ企業CrowdStrikeによると、昨年4月以降、日本の複数のワクチン開発機関に対して断続的にサイバー攻撃が行われた。なりすましメールに新型コロナ関係のファイルが添付されていたという。同社は、中国のハッカー集団が行ったのではないかと推測している。身代金要求型ウイルスによる被害は、日本企業でも発生している。読売新聞によると、身代金要求型ウイルスに感染した塩野義製薬の台湾現地法人では、医療機器の輸入許可証や社員在留許可証がダークウェブで公開された。通常のブラウザではアクセスできない匿名性が高いサイトで、ドラッグや個人情報等違法取引が横行しているという。米国ではギリアド・サイエンシズが2020年4月、イランと見られるハッカー集団からのサイバー攻撃を受けた。モデルナも昨年7月、中国人とみられるハッカー集団に狙われている。コロナワクチンには低温物流が必要だが、ここに狙いをつけたのか、昨年後半から低温物流企業に対しても、知的財産を狙ったサイバー攻撃が行われ、国家の関与が指摘されている。低温物流世界2位のAmericold Realty Trust(米ジョージア州アトランタ)には2020年11月、身代金要求型ウイルスによる攻撃が行われ、業務が一時停止する事態に陥った。ワクチンの承認機関も攻撃を受けている。昨年12月、米ファイザーと独ビオンテック、モデルナが、欧州医薬品庁に承認を受けるために提出したワクチン情報が、サイバー攻撃で不正アクセスされてしまった。情報が文脈を無視した状態でオンライン上に流出し、同庁は「ワクチンの信頼性を損ねかねない」と懸念を表明した。動き出した各国政府・国際機関・企業の対応こうした状況に各国政府や国際機関は警告や非難声明を出している。事態を重く見た各国のサイバーセキュリティの専門家が立ち上がり、政府機関や司法機関と協力しつつ、医療機関を狙ったサイバー攻撃の手口やサイバーセキュリティ対策の取り方についての情報を無料で提供する枠組みを複数立ち上げた。一部の企業からも、被害を受けた医療機関へのサイバーセキュリティツールやコンサルティングサービスの無料提供が行われている。松原氏は、医療サプライチェーン関連組織の経営層に対し、サイバーセキュリティ強化を訴えた。医療業界では、医療ISAC(Information Security and Analysis Center)という情報共有の枠組みなどを通じ、攻撃の手口や対策についての情報共有が進められ、被害の最小化に努めている。世界を巻き込んだコロナ禍は、ウイルスとの闘いであると共に、サイバー攻撃との闘いまで強いられているのである。

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新型コロナ、感染リスクが高まる行動/CDC

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック発生後、感染防止のため、医薬品以外におけるさまざまなアプローチが検討・推奨されてきた。このうち感染防止に実際に有効なアプローチを観察研究で特定した研究が米国疾病予防管理センター(CDC)サイトに掲載されている。感染リスクはケースコントロール研究で検討し、感染者と非感染者の最近の行動を比較することによって特定された。 COVID-19感染者の2割が全感染の8割を引き起こし、感染の半数は無症候性または発症前の患者からと推定されている。無症状の感染者によって感染が拡大するリスクが高く、リスクの高い行動を周知することは依然重要となる。 米国において2020年半ばに外出禁止令が緩和された後、10州においてCOVID-19の検査を受けた18歳以上の成人を対象とした。検査時に有症状だった332例が登録され、最終的に314例を対象に電話調査を実施し、発症前14日間の行動を聞いた。 検査結果は、陽性154例・陰性160例となり、両者の行動を比較し、感染者との接触歴の有無(あり:89例、なし:225例)に分けたうえでオッズ比を算出した。オッズ比は人種/民族、性別、年齢、1つ以上の基礎疾患で調整した。 「感染者との接触歴なし」群で、COVID-19感染との関連が認められた行動は以下の2つであった。・バーまたはカフェの利用(調整オッズ比:3.88、95%信頼区間:1.49~10.05)・レストランでの食事(2.82、1.86~4.26) その他、調査した主な行動の調整オッズ比と95%信頼区間は以下のとおり(「感染者との接触歴なし」群の数値)。・教会などの礼拝集会(1.68、0.53~5.38)・ジムの利用(1.64、0.49~5.53)・公共交通機関の利用(0.93、0.21~4.05)・オフィスでの執務(0.91、0.46~1.80)・10人以下での在宅(0.87、0.57~1.32)・美容室等のサロン利用(0.78、0.32~1.86) 調査チームは、バーやカフェ、レストラン利用者の感染リスクが高いのは、マスクをし続けることが難しく、無症状の感染者に長時間接触するリスクが高いためだろうとしている。(ケアネット 杉崎 真名)■関連スライドはこちら新型コロナ感染に注意すべき行動

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新型コロナワクチン接種完了者の行動指針を見直し/CDC

 米国疾病対策センター(CDC)は2021年3月8日、新型コロナウイルスワクチン接種完了者を対象に行動指針を見直した。この中では接種完了者同士であれば、マスクを着用せず、小規模な集まりが可能とされている。 「接種完了」の定義としては、ファイザーもしくはモデルナ製の2回接種ワクチンは2回目の接種から、ジョンソン・エンド・ジョンソン(ヤンセン)製の単回接種ワクチンは接種から、それぞれ2週間後としている。 接種完了者に対して、変更された行動指針は以下のとおり。・接種完了者同士であれば、マスクを着用せずに屋内で会うことが可能。・接種完了者は、COVID-19重症化リスクが高い同居人がいない場合には、マスクを着用せずに、ほかの1世帯のワクチン未接種者と屋内で集まることが可能(全員が同居する親戚を訪問する、など)。・接種完了者は、COVID-19感染者と接触しても、症状が出ない限り、他人との接触を避けたり、検査を受けたりする必要はない(ただし、クラスター発生リスクの高い環境[刑務所・拘置所、高齢者施設等]に居住し、COVID-19感染者との接触歴がある場合には、無症状であっても14日間の隔離と検査を受ける)。 接種完了者に対しても、引き続き推奨される行動指針は以下のとおり。・公共の場、複数世帯のワクチン未接種者との集まり、重症化や死亡リスクが高い、またはリスクの高い人と同居するワクチン未接種者と会う場合には、マスク着用・他人と2m以上距離をとる・人ごみや換気の悪い場所を避ける、といった従来の感染予防策を行う。・中~大規模の集まりを避ける。・国内および海外旅行は延期する。・COVID-19の症状を確認する。とくに周囲に体調の悪い人がいる場合は検査を受け、他人との接触を避ける。・職場のガイダンスに従う。

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