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Dr.岩田のFUO不明熱大捜査線 -入院患者シリーズ-

「入院患者 case1」―56歳男性・・3週間の発熱・腹痛―「入院患者 case2」―46歳女性・・皮下結節を伴う発熱―「入院患者 case3」―69歳女性・・長期間下がらない熱― 「入院患者 case1」 ―56歳男性・・3週間の発熱・腹痛―外来シリーズで不明熱がどんな状況で生まれるか、またどう対峙していけば良いかという基本的な姿勢を学んでいただきました。入院患者シリーズでは、名古屋大学の鈴木富雄先生をお招きして、入院患者での不明熱の症例を検討していきます。いろいろな精査を行っても診断に行き着かない難解な症例を通して、不明熱へのアプローチをさらに深く解説します。今回は、不明熱の症例を数多く経験されている鈴木先生が独自に編み出した「不明熱へのアプローチ13ヵ条の原則」を大公開。抗菌薬やステロイドの考え方、検査所見の注目点、主治医としての心構えなど、驚きの奥義を伝授します。この機会に是非会得してください !「入院患者 case2」 ―46歳女性・・皮下結節を伴う発熱―鈴木先生が提唱する「不明熱へのアプローチ13ヵ条の原則」。この原則には、「抗菌薬やステロイドを中止」、「フェリチン、赤沈、尿沈査に注目」、「CTには造影剤を使う」など、テクニカルなヒントが多く含まれていますが、それだけではなく、医師として患者さんと向き合う姿勢も示されています。今回の症例はまさにその姿勢が問われる一例です。みなさんは、診断に向かう変わらぬ姿勢を貫かれていますか? 患者さんとともに苦楽を共有し常にベストをつくしていますか? 医療チームとして統一した対応ができていますか? このような姿勢で臨んでこそ初めて診断がつく症例があります。是非本編で確認してみてください。「入院患者 case3」 ―69歳女性・・長期間下がらない熱―今回の症例は数多くの不明熱の症例を診てこられた鈴木富雄先生にとっても、相当診断に難渋した症例の一つです。病歴や身体診察、検査では特別な所見がなく、時間ばかりが過ぎていく。繰り返す検査の中で疲弊する患者さん、憔悴する主治医団。抗菌薬やステロイド使用の誘惑…。そんなときはどうしたらいいのでしょう。「ブレない論理的思考が重要です。患者さんと苦しみを共有する中でプロとして患者さんにとってのベストを考え続けることが必要です」と鈴木先生は語ります。診断までに半年を要したこの症例から、技術的な側面だけでなく、それと向かい合う医師の姿勢を学んでください !

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亀井道場スーパーライブ 臨床呼吸器ブラッシュアップ

第3回「肺炎(前篇)」第4回「肺炎(後篇)」 第3回「肺炎(前篇)」循環器専門医の伊賀幹二先生が「万年研修医」として聞き手を務めるシリーズ第2弾は「肺炎」です。 肺炎を疑ったとき、まず判断すべきことは、「いつレントゲンを撮るか」「採血はするべきか」「検尿はどうするか」「起炎菌をどう推定するか」「心電図は撮るべきか」「CTはどのタイミングで撮るか」。もし肺炎だとすれば、「抗生物質の投与、種類はどうするか」「投与方法はivか経口か」「検査なしでの抗生剤投与はやむを得ないか」の判断も必要です。また、「非専門医がどこまで肺炎の診断治療をしてもいいのか」「専門医に送らなければならないケースはどんな場合か」等々、多くの非専門医の方々にとって身近な疑問に2人のスペシャリストがズバリお答えします。第4回「肺炎(後篇)」循環器専門医である、おなじみ伊賀幹二先生が「万年研修医」となり聞き手を務める大好評の呼吸器講座。。 今回も「肺炎」の診断・治療をテーマとし、ややアティピカルな例も含めて詳しく解説いたします。特に、「抗菌薬の投与」については、その使い分けやさじ加減、効果的な投与のコツなどについて、当該分野のスペシャリストである鈴木先生に、詳しく、切れ味鋭くご講義いただきます。また、亀井先生による「非専門医のための(必要十分な)到達目標」で長年のモヤモヤを解消してください。その他にも見どころ満載。どうぞお見逃しなく!

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Dr.岩田のFUO不明熱大捜査線 -悪性疾患シリーズ-

「悪性疾患 case1」―68歳男性・・3週間続く発熱―「悪性疾患 case2」―69歳女性・・皮疹を伴う発熱―「悪性疾患 case3」―30歳女性・・長期血球増加の発熱―「悪性疾患 case4」―57歳男性・・血小板減少を伴う発熱 「悪性疾患 case1」 ―68歳男性・・3週間続く発熱―不明熱の原因として多く考えられる疾患に感染症、膠原病、悪性疾患が上げられます。第3巻は、そのひとつである悪性疾患の専門医・大木康弘先生をゲストに招き、専門家の視点を交えて更に詳しく不明熱を探求していきます。悪性疾患が原因の不明熱は、画像検査の発達とともに少なくなってきましたが、それでも見落としは禁物。B症状と呼ばれる「発熱、盗汗、体重減少」と悪性疾患との関係も詳しく解説します。「悪性疾患 case2」 ―69歳女性・・皮疹を伴う発熱―悪性疾患の難しいところは他の疾患と違い、病歴や身体診察には手がかりが少ないことです。それゆえ常に鑑別の候補として頭の片隅に置いておくことが必要です。年齢や出身地なども考慮して、皮疹などの小さな手がかりもおろそかにしないようにしましょう。当然、確定診断には画像や検査が不可欠ですが、どんな悪性疾患がどの程度の割合で発熱症状を来すのか、またそれはどのくらい予後に影響するのかを知識として持っておくことは非常に重要です。診療の幅を広げる知識を、是非会得してください。「悪性疾患 case3」 ―30歳女性・・長期血球増加の発熱―不明熱の患者さんが悪性疾患であることは、それほど多くありません。また、症状も非特異的で、一般診療でそれと特定することはなかなか難しいものです。しかし、常に鑑別の中に入れておくことは重要です。例えば、「白血球値が下がらない」という今回の症例では、もちろん第一に考えるのは感染症ですが、「原因が見つからない」、「なかなか白血球値が下がらない」、そんなときはやはり血液疾患を考慮する必要があります。今回はヒントになる症候もいくつかご紹介します。稀だからこそ、常に疑いの目を持っておくことが大切なのです。後半では化学療法で問題になる「好中球減少時の熱」を解説します。抗菌薬は何をどう使えばいいのか、G-CSF 製剤は有効か、など皆さんの疑問にお答えします。「悪性疾患 case4」 ―57歳男性・・血小板減少を伴う発熱―不明熱の診断といえば、やはり“忍耐”の一語につきます。今回はこのことが実感できる症例をご紹介します。熱の他には病歴、身体所見ともに特筆すべきことがなく、検査でも血小板が低い、LDH が高い、など非特異的な所見ばかり。感染症や膠原病の可能性をひとつひとつ消していき、確定診断に迫るために苦痛を伴う生検を繰り返す。さて、最後にたどり着いた診断は…?医師にも患者にも根気の要る不明熱。その診断の過程を追いながら“診療のパール”を多数お見せいたします。さらに、不明熱を見る上で知っておきたい血球貪食症候群についても詳しく解説します。ぜひ知識として覚えていただきたいです。

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Dr.林の笑劇的救急問答4

第3回「かじられたらどうしよう !? 動物咬症」第4回「はずしまくりの脱臼」 第3回「かじられたらどうしよう!?動物咬症」野生動物やペット、はたまた人に咬まれて来院する患者さんを診た経験はあるでしょうか。蛇咬症の場合に抗血清は必須なのか、抗菌薬を使うべきなのはどんな症例か、患者さんが「本当のこと」を言いたがらないのはどんな時・・・?など、4つの症例をご紹介します。外傷治療のなかでも改めて学ぶことのあまりない動物咬症をこの機会に習得しましょう! 55歳男性 山で蛇に咬まれ来院。研修医は動物咬症をみた経験がないため治療方法がよくわからない。Dr.林の指導中、更に蛇咬症の男性患者がやって来るが… 22歳女性 デートでピクニック中に蛇に咬まれお姫様抱っこで来院。治療に向かう研修医を引き止める相手の男性。実は女性の毒を吸い出している時に毒を飲んでしまったから、彼女よりも自分を先に治療して欲しいと頼む。 26歳女性 飼い猫に手を咬まれ腫れてきたため来院。研修医は大した事ないと診断するが、実は…! 45歳男性 手の甲を壁で擦ってしまったという主訴で来院。怪我の状態をみたDr.林は男性の話が嘘だと指摘する。第4回「はずしまくりの脱臼」脱臼、とくに肩関節・肘・顎関節の脱臼整復に対して、教科書的な整復法を試みてもなかなか上手くいかなかった…という経験はありませんか?ちょっとしたコツさえ知っていれば実に簡単に整復できる事が多いものです。患者さんに不要な痛みや負担をかけないためにもぜひ知っておきたい、それらのコツをご紹介します。 30歳男性 右肩関節を脱臼し来院。研修医は本で読んだ整復法を実施するがうまくいかない。そこでDr.林の整復法は? 2歳男児 昼寝から目覚めた後、手を動かさなくなった。X線所見では骨折は見られず研修医は診断を下せない。 25歳女性 飲酒時に大笑いをして顎がはずれた。顎関節脱臼の既往歴あり。

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Dr.名郷のコモンディジーズ常識のウソ

第1話「NSAIDsで胃薬を欲しがる患者さん」第2話「風邪で抗菌薬を欲しがる患者さん」特別篇「101人目の患者 〜EBMの常識のウソ〜」 第1話「NSAIDsで胃薬を欲しがる患者さん」「痛み止めのNSAIDs薬を常用している患者さんが、胃痛を訴えて来院する」というのは日常診療でよくあること。それでは・・・と惰性で粘膜保護剤を出す前に、「ちょっと待った!その処方に根拠はありますか?」と名郷先生。こういう場合、どんな薬を出すのが最も適切であると言えるのでしょうか? 前編では、主にコンクランライブラリー記載の臨床試験データを勉強し、個々の患者に最適な処方とは何かを考え、後編では、クリニカルエビデンスをもとに、臨床現場でEBMを具体的に使っていく方法を学んでいきます。「薬剤の副作用にまた別の薬剤をもって対処する」ことを求められた時、医師は一体何を考え、どのように行動すべきなのか?診療に対する考えが、更に一歩深まるはずです。第2話「風邪で抗菌薬を欲しがる患者さん」一般に感冒はウィルスに感染することによりおこり、抗菌薬は無効であると知られています。その一方で、風邪に罹った患者さんが「抗生物質」を欲しがることは非常に多く、かなりの医師が(後ろめたい気持ちを抱きつつも)実際に抗菌薬を処方しています。そこには、「もし処方せずに患者が肺炎に罹ったら大変」というリスク回避の論理が強く働いていることでしょう。本番組では、このテーマについて掘り下げ、「風邪に抗菌薬は無効」というのは本当に正しいのか?もし多少なりとも効果があるのであれば、それはどの程度のものなのか? 膿性鼻汁、水溶性鼻汁ではどうなのか?Dr.名郷が驚きのデータとともに解説していきます。特別篇「101人目の患者 〜EBMの常識のウソ〜」多くの人がEBMについて抱くイメージとは、“大規模臨床試験に基づく論文など外部の客観的情報から臨床判断を行う”というものでしょう。しかし、元来EBMのプロセスでは、先に述べた外部情報だけでなく、むしろ個々の患者にじかに接することによって得られた情報が重要で、両者を統合して臨床判断に至ることこそが求められていたはずです。この「特別篇」では、ゲストにマッシー池田先生をお招きし、「狂牛病」の話題を枕に「EBMそのもの」の常識のウソに迫ります。「100人の患者を相手にした場合、101人目の患者がいることに気がつくんですよ」と、なぞの言葉をつぶやく名郷先生。硬い脳ミソを打ち砕き、目からウロコのお話の数々!御出演の先生方と一緒に(グラス片手に)どうぞお楽しみください。

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聖路加GENERAL 【内分泌疾患】

第4回「糖尿病の悪化だと思ったら・・・」第5回「ただ風邪といっても」第6回「2次性高血圧を見逃さない ! 」 第4回「糖尿病の悪化だと思ったら・・・」人間ドックにおいて、糖尿病の疑いということで精査を勧められていた68歳の男性。肥満も家族歴もないことから受診していませんでしたが、急な体重減少をきっかけに初めて検査を受けたところ、A1Cが13.7%と、急激に上昇していることが判明。高血糖の要因は、I型II型糖尿病以外にも、膵炎、膵がん、ヘモクロマトーシス、Cushing症候群、先端肥大症、PCOSなどさまざまなものがあります。本症例の患者さんは、急な体重減少もあることから膵臓のCTを撮影したところ、膵がんが発見されました。血糖の悪化が膵がん発見のきっかけになり、膵がんが糖尿病治療のきっかけになったという例を通して、糖尿病の裏に隠れている内分泌系の異常をどのようにして見抜くか、そしてその対応について解説します。第5回「ただ風邪といっても」もともと健康な21歳の女子大生。発熱、咽頭痛など、感染症の症状を呈したため近医で受診しました。数種類の抗菌薬を処方されましたが改善せず、ついには意識低下で救急コール。糖尿病の既往のある78歳の男性。家族が訪ねて行ったら、すでに意識がなく倒れていた。いずれも意識障害が出る危険な状態ですが、その裏には糖尿病がありました。意識障害の鑑別AIUEO tipsから始まって、DKA(糖尿病性ケトアシドーシス)、遷延性の低血糖による意識障害など、難度の高い診断について解説します。第6回「2次性高血圧を見逃さない ! 」最終回は、高血圧の裏に隠れた内分泌疾患を紹介します。10年間高血圧があるも、降圧薬が効かない60歳女性。特に目立った所見はないものの、低Kから原発性アルドステロン症をつきとめました。内分泌性高血圧もさまざまなものがありますが、まずは患者をよく観察することがポイントです。たとえば、「クッシング症候群」ではにきび、肥満、多毛、「アクロメガリー」では大きな鼻顎手足、「腎血管性高血圧」では腎周囲の血管雑音など。その後、症状によって、所定の検査をおこなうことで診断します。ともすれば、見逃して放置されてしまう可能性もある内分泌性高血圧を、具体的な症例を呈示して解説します。

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抗結核薬耐性の最大リスク因子は「2次抗結核薬の投与歴」

 超多剤耐性結核(XDR-TB)を含む抗結核薬耐性の最大のリスク因子は、「2次抗結核薬の投与歴」であることが、米国疾病対策予防センター(CDC)のTracy Dalton氏らの調査(Global PETTS)で示された。多剤耐性結核(MDR-TB)は、Mycobacterium tuberculosisを原因菌とし、少なくともイソニアジドとリファンピシンに対する耐性を獲得した結核で、XDR-TBはこれら2つの1次抗結核薬に加え、2次抗結核薬であるフルオロキノロン系抗菌薬および注射薬の各1剤以上に耐性となった結核と定義される。XDR-TBの世界的発生は実質的に治療不能な結核の到来を告げるものとされ、MDR-TBに対する2次抗結核薬の使用拡大によりXDR-TBの有病率が増大しつつあるという。Lancet誌2012年10月20日号(オンライン版2012年8月30日号)掲載の報告。2次抗結核薬の耐性を前向きコホート試験で評価Global PETTS(Preserving Effective TB Treatment Study)の研究グループは、8ヵ国における2次抗結核薬に対する耐性の発現状況を評価するプロスペクティブなコホート試験を実施した。2005年1月1日~2008年12月31日までに、エストニア、ラトビア、ペルー、フィリピン、ロシア、南アフリカ、韓国、タイにおいて、MDR-TBが確認され、2次抗結核薬治療を開始した成人患者を登録した。CDCの中央検査室で、以下の11種の抗結核薬の薬剤感受性試験を行った。1次抗結核薬であるエタンブトール、ストレプトマイシン、イソニアジド、リファンピシン、2次抗結核薬としてのフルオロキノロン系経口薬(オフロキサシン、シプロフロキサシン)、注射薬(カナマイシン、カプレオマイシン、アミカシン)、その他の経口薬(アミノサリチル酸、エチオナミド)。2次抗結核薬に対する耐性のリスク因子およびXDR-TBを同定するために、得られた結果を臨床データや疫学データと比較した。2次抗結核薬耐性率43.7%、XDR-TB感染率6.7%解析の対象となった1,278例のうち、1つ以上の2次抗結核薬に耐性を示したのは43.7%(559例)であった。20.0%(255例)が1つ以上の注射薬に、12.9%(165例)は1つ以上のフルオロキノロン系経口抗結核薬に耐性を示した。XDR-TBの感染率は6.7%(86例)だった。これらの薬剤に対する耐性発現の最大のリスク因子は「2次抗結核薬の投与歴」で、XDR-TB感染のリスクが4倍以上に増大した(フルオロキノロン系経口薬:リスク比4.21、p<0.0001、注射薬:4.75、p<0.0001、その他の経口薬:4.05、p<0.0001)。フルオロキノロン系抗菌薬耐性(p<0.0072)およびXDR-TB感染(p<0.0002)は男性よりも女性で高頻度であった。2次抗結核注射薬に対する耐性は、失業、アルコール依存、喫煙との間に関連を認めた。その他のリスク因子については、各薬剤間、各国間でばらつきがみられた。著者は、「XDR-TBを含む抗結核薬耐性の一貫性のある最大のリスク因子は、2次抗結核薬の投与歴であった」と結論し、「今回の特定の国における調査結果は、検査体制に関する国内的な施策や、MDR-TBの効果的な治療に関する勧告の策定の参考として他国にも外挿が可能と考えられる」と考察している。

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アジスロマイシン、非嚢胞性線維症性気管支拡張症の増悪を抑制:EMBRACE試験

 アジスロマイシン(商品名:ジスロマック)は、嚢胞性線維症を原因としない気管支拡張症におけるイベントベースの増悪の予防治療として有効なことが、ニュージーランド・Middlemore病院(マヌカウ市)のConroy Wong氏らが実施したEMBRACE試験で示唆された。気管支拡張症は好中球性の気道炎症、慢性的な細菌感染、繰り返す肺の病態の増悪で特徴づけられ、大量の喀痰を伴う重篤な咳嗽や進行性の肺機能低下、QOL低下をきたし、死亡率の上昇をもたらす可能性がある。アジスロマイシンは抗炎症作用および免疫調節作用を有するマクロライド系抗菌薬で、嚢胞性線維症の病態の増悪を抑制することが示されている。Lancet誌2012年8月18日号掲載の報告。気管支拡張症に対する効果をプラセボ対照無作為化試験で評価EMBRACE(Effectiveness of Macrolides in patients with BRonchiectasis using Azithromycin to Control Exacerbations)試験は、非嚢胞性線維症に起因する気管支拡張症の治療において、アジスロマイシンは増悪率を低減して肺機能を増強し、健康関連QOLを改善するとの仮説の検証を目的とする二重盲検プラセボ対照無作為化試験。2008年2月12日~2009年10月15日までに、ニュージーランドの3施設に、抗菌薬治療を要する増悪の既往歴があり、高解像度CT検査で気管支拡張症と診断された18歳以上の患者が登録された。これらの患者が、アジスロマイシン500mgあるいはプラセボを週3日(月、水、金曜日)、6ヵ月間投与する群に無作為に割り付けられた。主要評価項目は、6ヵ月の治療期間中のイベントベースの増悪率、気管支拡張薬投与前の1秒量(FEV1)のベースラインからの変化、St George呼吸器質問票(SGRQ:0~100点で表し値が低いほど良好、4点以上の変化で臨床的に有意と判定)総スコアの変化の複合エンドポイントとした。増悪率が有意に改善、FEV1、SGRQ総スコアは改善せず141例が登録され、アジスロマイシン群に71例、プラセボ群には70例が割り付けられた。治療期間中の増悪率はアジスロマイシン群が0.59/人と、プラセボ群の1.57/人に比べ有意に改善した(率比:0.38、95%信頼区間[CI]:0.26~0.54、p<0.0001)。拡張薬投与前FEV1は、アジスロマイシン群はベースラインから変化はなく、プラセボ群では0.04L低下したが、この差は有意ではなかった(群間差:0.04L、95%CI:-0.03~0.12、p=0.251)。さらに、SGRQ総スコアの変化についても、アジスロマイシン群は5.17点の低下、プラセボ群は1.92点の低下で、有意差は認めなかった(群間差:-3.25点、95%CI:-7.21~0.72、p=0.108)。著者は、「6ヵ月間のアジスロマイシン治療は、増悪率の低下に加え、初回増悪までの期間もプラセボ群に比し有意に延長し、これらの改善効果は治療終了後6ヵ月の時点でも継続していた。SGRQの症状関連項目の改善効果も確認された。それゆえ、アジスロマイシンは1回以上の増悪歴のある非嚢胞性線維症性気管支拡張症における増悪の予防治療の新たな選択肢である」と結論し、「長期治療の場合は、マクロライド系抗菌薬への耐性の発現を十分に考慮して患者を選択すべきである」と指摘している。

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(6)〕 女性の急性腎盂腎炎、抗菌薬の7日間投与が有効

急性腎盂腎炎の治療は、原因菌に感受性のある抗生物質を10~14日間投与するプロトコールが、本邦で長らく用いられてきた方法であろう。第一選択の薬剤は培養検査の結果が判明するまで、βラクタムあるいはニューキノロンが選択されるが、院内感染症対策部門の意向も取り入れて選ばれることと思う。 女性の単純性腎盂腎炎に関する診療ガイドラインには、Infectious Disease Society of AmericaおよびEuropean Society for Microbiology and Infectious Diseaseによる2010年版ガイドラインがある1)。これによると、フルオロキノロン耐性菌検出率が10%を超えない地域で入院の必要がない症例に対しては、シプロフロキサシン(500mg ×2回/日)を7日間投与というプロトコールが推奨されている。ただしその根拠となる研究は、シプロフロキサシン7日間とST合剤14日間との比較であり、対象症例は平均25歳、血液培養陽性症例は3%と、若年の軽症患者が主体であった2)。本研究はシプロフロキサシンの7日間と14日間投与との比較、しかも中高年症例(平均年齢46歳)、血液培養陽性症例27%と、ある程度対照症例に幅をもたせた研究であったが、7日間投与は14日間投与に劣らない結果となった。治療期間の短縮は患者さんにとって福音だし、医療経済的にもメリットがある。ただし、7日間投与の優良性はほかの抗菌薬にはかならずしも当てはまらないとしている。 この文章を執筆中、1週間程度の急性腎盂腎炎の治療を受け改善したのち、再発して筆者の外来を訪れた患者さんを拝見した。関節リウマチで少量ステロイド投与中の方だった。 今回はしっかり14日間の治療を行い、元気に退院された。シプロフロキサシンではなかったが、discussionの内容に合致していたので印象に残っている。

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女性の急性腎盂腎炎、抗菌薬の7日間投与が有効

 急性腎盂腎炎の女性患者に対するシプロフロキサシン(商品名:シプロキサンなど)の7日間投与は有効かつ安全な治療法であることが、スウェーデン・Sahlgrenska大学病院のTorsten Sandberg氏らの検討で示された。尿路感染症の最大の原因は腸内細菌の抗菌薬に対する耐性化であり、対策としては投与期間の短縮など、抗菌薬の消費量の抑制が重要だという。急性腎盂腎炎は成人女性に高頻度にみられる感染症だが、その治療法に関する対照比較試験は少なく、抗菌薬治療の至適投与期間は確立されていない。Lancet誌2012年8月4日号(オンライン版2012年6月21日号)掲載の報告。至適投与期間を前向き無作為化非劣性試験で検討研究グループは、急性腎盂腎炎の女性患者に対するシプロフロキサシン治療における7日間投与と14日間投与の有効性をプロスペクティブに比較するプラセボ対照無作為化非劣性試験を実施した。対象は、スウェーデンの21の感染症医療施設で急性腎盂腎炎と推定診断された18歳以上の妊娠していない女性であった。これらの患者が、シプロフロキサシン(500mg×2回/日)を7日間投与する群あるいは14日間投与する群に無作為に割り付けられた。最初の1週間は非盲検下に全例に同様の治療が行われ、2週目は二重盲検下にシプロフロキサシン(500mg×2回/日)あるいはプラセボが継続投与された。患者、介護者、担当医、試験運営センター職員には治療割り付け情報がマスクされた。主要評価項目は治療終了後の短期的(10~14日)な臨床治癒率、副次的評価項目は長期的(42~63日)な累積治癒率とし、per-protocol解析を行った。治癒は、臨床的かつ細菌学的な治癒が達成された場合と定義した。短期的臨床治癒率:97% vs 96%、長期的累積治癒率:93% vs 93%2006年2月1日~2008年12月31日までに248例登録され、7日間投与群に126例が、14日間投与群には122例が割り付けられた。それぞれ73例(平均年齢46歳、27~62歳)、83例(同:41歳、23~58歳)が解析の対象となった。短期的臨床治癒率は、7日間投与群が97%(71/73例)、14日間投与群は96%(80/83例)で、短期投与の長期投与に対する非劣性が確認された(群間差:-0.9%、95%信頼区間:-6.5~4.8、非劣性検定:p=0.004)。長期的累積治癒率は両群とも93%(7日間投与群:68/73例、14日間投与群:78/84例)で、これも同様の非劣性が示された(群間差:-0.3%、95%信頼区間:-7.4~7.2、非劣性検定:p=0.015)。両群とも忍容性は良好であった。7日間投与群の1例が筋肉痛で治療を中止し、14日間投与群ではそう痒性発疹による治療中止が1例認められた。最初の1週間の治療後にシプロフロキサシン関連の有害事象を発現した患者は、7日間投与群が5%(4/86例)、14日間投与群は6%(6/93例)だった。粘膜カンジダ感染症は7日間投与群ではみられなかったが、14日間投与群では5例に認めた(p=0.036)。著者は、「高齢女性や比較的重篤な病態の女性を含む急性腎盂腎炎患者において、シプロフロキサシンの7日間投与は有効かつ安全な治療法であることが示された」と結論し、「薬剤耐性が増加傾向にある現在、短期的抗菌薬療法は好ましい治療法といえよう」と指摘している。

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教育講演「分子標的薬の現状と展望―副作用対策を含めて―」

座長 清原 祥夫氏 (静岡がんセンター 皮膚科)中川 秀己氏(東京慈恵会医科大学 皮膚科学講座)ビスフォスフォネートの抗腫瘍効果についてはいまだ賛否両論がある。現在までにいくつかの臨床試験の結果が報告されており、システマティックレビューとメタ分析が行われた。ここでは、主にチロシンキナーゼ阻害薬による皮膚症状の特徴と対処法、抗体医薬使用時の注意すべき副作用について前編、後編に分けてレポートする。皮膚科医とチロシンキナーゼ阻害薬・抗体医薬の関わりとは?本教育講演では、まず、自治医科大学皮膚科学教室 大槻マミ太郎氏が分子標的薬の概要について講演を行った。初めに、大槻氏は、今後、シェアを確実に伸ばしていく薬剤として低分子のチロシンキナーゼ阻害薬や高分子の抗体医薬などを挙げ、これらの薬剤がターゲットを絞り込む分子特異的治療の両輪となっていると述べた。キナーゼ阻害薬は主に抗がん剤として用いられており、皮膚科領域でも、悪性黒色腫などに対する開発に期待が高まっている一方、現時点では、その副作用として高頻度に発現する皮膚症状とその対処法に注目が集まっている。また、抗体医薬は免疫疾患のQOL改善に貢献度が高く、皮膚科では乾癬治療薬としてTNFαやIL-12、IL-23を標的とした生物学的製剤に期待が寄せられているが、ほかの適応疾患における使用により、乾癬型の薬疹の発現が報告されており、その対処も議論されている。このことを踏まえ、乾癬の治療に関しては、新しい分子標的薬は標的がピンポイントであるため、副作用も絞り込まれると期待されているが、特定の経路のみ抑制すると別の経路が活性化される可能性があり、未知なる「逆説的副作用」が生じる可能性がある。一方で、シクロスポリンなど作用点は多岐にわたるがさまざまな経路を幅広く抑制しうる薬剤は、副作用も経験的に熟知されており、古典的であるがゆえに、使い勝手の良い薬剤ともいえる、と大槻氏は述べた。EGFR阻害薬の皮膚症状と対処法:主にざ瘡様発疹について滋賀医科大学皮膚科学講座 藤本徳毅氏はEGFR(上皮増殖因子受容体)阻害薬による皮膚症状と対処法について、考察を述べた。EGFR阻害薬には、ゲフィチニブ(商品名:イレッサ)やエルロチニブ(同:タルセバ)などのチロシンキナーゼ阻害薬と、セツキシマブ(同:アービタックス)やパニツムマブ(同:ベクティビックス)などのモノクローナル抗体があり、非小細胞肺がんや大腸がん、膵がんなどに使用されている。これらの薬剤は、EGFRシグナルを阻害することにより、腫瘍の増殖を抑制し、原疾患への効果を発揮する。一方でEGFRは正常皮膚の表皮基底細胞や外毛根鞘細胞などにも発現することがわかっており、EGFR阻害により、活性化EGFRが減少し、ケラチノサイトの角化異常、角質の菲薄化、角栓の形成が亢進することで高頻度で皮膚障害が生じると言われている。EGFR阻害薬の皮膚症状としては、主にざ瘡様発疹や乾皮症、爪囲炎などが多く、稀なものとしては脱毛性病変などが挙げられる。これら皮膚症状は、重症度が高いほど、原疾患に対するEGFR阻害薬の有効性が高い、つまり生存期間が長いことが示されており、治療効果をはかる指標となる可能性も示唆されている。ざ瘡様発疹の対処法とは?続いて、それぞれの皮膚障害の特徴や対処法について言及した。ざ瘡様発疹はEGFR阻害薬投与後、数日で発現し、4~6週でピークを迎え、6~8週で軽快するケースが多い。また、顔面や体幹に好発し、掻痒や疼痛を伴うが面疱は認められず、大半が無菌性であると言われている。藤本氏は、ざ瘡様発疹は高頻度に発現することがわかっているが、チロシンキナーゼ阻害薬よりもモノクローナル抗体のほうが重症な皮疹が出る印象がある、とつけ加えた。重症度については、日本臨床腫瘍研究グループによって公表されている「有害事象共通用語規準ver4.0 日本語訳JCOG版」(CTCAE v4.0 - JCOG)を用いるのが一般的である。ここでは、体表面積と社会的要素を中心に5段階のGradeに分類されている。ほかにも、各製品の適正使用ガイド等に、掻痒、疼痛の有無によるGradeの目安や発疹出現時の用量調節の基準などが掲載されており、参考にできるとした。対処法については、基本的に、皮膚症状による薬剤の休薬や減量は避けたいとしながら、確立していないものの経験的に実施されているいくつかの治療法について紹介した。ざ瘡様発疹の場合、炎症性ざ瘡の治療に準じて、外用抗菌薬が用いられる。また、局所療法の1つとして、ステロイド外用薬が使用されており、藤本氏は、顔面については、Grade2の場合はstrong class、Grade3でvery strong classを使用すると述べた。しかし、これまでの国内外の文献を見てみると、その評価は一定していないことにも触れ、ステロイド外用薬は即効性はあるが、上手に使いこなすことが重要であると強調した。さらに、Grade2以上または細菌感染合併例には、テトラサイクリン系抗菌薬内服(とくにミノサイクリン)が有効であることも述べた。ミノサイクリンに関しては、海外から、「6週間程度の服用を推奨する」、「皮膚症状の予防効果がある」などの報告がある一方で、「そのエビデンスレベルは不明」とする報告もあるとした。ほかにも、免疫抑制剤の外用薬を使用し、有効性が認められた報告やアダパレンゲルについても言及したが、いずれも一定の評価は得られていないとした。その他の副作用への対処法は?乾皮症は4~35%程度の発現頻度であり、EGFR阻害薬投与後、1~2ヵ月で症状が発現することが多い。治療としては、まずはヘパリン類似物質やワセリン、尿素製剤外用などによって保湿を行い、効果が得られない場合は、ステロイド外用薬を併用する。この症状に関しては、保湿による予防が重要である、と述べた。また、爪囲炎は6~12%程度の発現頻度であり、薬剤投与後2~4ヵ月くらいから見られる症状である。基本的には、浸出液が見られる場合、洗浄、クーリング、テーピング、保湿剤等による処置を行うが、発赤や腫脹が見られる場合には、初期から、very strong~strong classのステロイド外用薬を積極的に用いることが重要である。そのほか、細菌感染合併例には短期間のミノサイクリン内服、さらに外科的処置として部分抜爪や人口爪も考慮されるとした。毛髪異常に関しては、薬剤投与開始後2、3ヵ月で見られることが多いが、頻度は不明であり、中にはまつ毛や眉毛が伸びる症例も見られる。基本的には、EGFR阻害薬を中止しないことには改善しないが、患者さんからの訴えも多くはないため、中止・休薬するケースは少ないと述べた。このようなEGFR阻害薬による皮膚症状では、予防が重要であると言われている。スキンケアの指導は、清潔、保湿、刺激からの保護を基本とし、たとえば、「保湿剤はこすらずに、手のひらでおさえて塗る(スタンプ式塗布)」「外出時は日焼け止めを使用する」「爪は長く伸ばしてまっすぐ切る」などこまめな指導が必要となってくる。藤本氏は、これらスキンケアの方法を患者にわかりやすく説明し、薬剤の写真が入った説明書を配布するなどして、皮膚症状が出ても患者があわてずにすむように指導を行うことも重要である強調し、講演を締めくくった。

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亜鉛追加、乳児の重症細菌感染症に有効

重症細菌感染症が疑われる生後7~120日の乳児に対し、標準抗菌薬治療の補助療法として亜鉛を追加投与すると、治療不成功リスクが低減する可能性があることが、全インド医科学研究所(AIIMS)のShinjini Bhatnagar氏らの検討で明らかとなった。重症細菌感染症は開発途上国の乳児期早期の主要な死因である。標準的な抗菌薬治療に安価で入手しやすい介入法を追加することで、乳児死亡率の抑制が可能と考えられている。Lancet誌2012年6月2日号(オンライン版2012年3月31日号)掲載の報告。亜鉛追加の有効性をプラセボ対照無作為化試験で評価研究グループは、重症細菌感染症の可能性がある乳児に対する抗菌薬治療の補助療法としての亜鉛の有効性を評価する二重盲検プラセボ対照無作為化試験を実施した。2005年7月6日~2008年12月3日まで、インド・ニューデリー市の3つの病院に、重症細菌感染症が疑われる生後7~120日の乳児が登録された。これらの患児が、登録時の低体重や下痢の有無で層別化した上で、標準抗菌薬治療に加えて亜鉛10mgあるいはプラセボを毎日経口投与する群に無作為に割り付けられた。主要評価項目は治療不成功率(割り付けから7日以内の抗菌薬の変更を要する病態、21日以内の集中治療[人工呼吸器装着もしくは血管作動薬投与]を要する病態あるいは死亡)とした。治療不成功率:10% vs 17%352例が亜鉛追加群に、348例がプラセボ群に割り付けられ、それぞれ332例、323例が評価可能だった。治療不成功率は、プラセボ群の17%(55/323例)に対し、亜鉛追加群は10%(34/332例)と有意に少なかった[相対リスク低下率:40%、95%信頼区間(CI):10~60%、p=0.0113、絶対リスク低下率:6.8%、95%CI:1.5~12.0、p=0.0111)。治療不成功を1例回避するのに要する治療例数は15例(95%CI:8~67)であった。死亡例は亜鉛追加群が10例で、プラセボ群は17例と、有意な差はなかったものの亜鉛追加群で低下する傾向を認めた(相対リスク:0.57、0.27~1.23、p=0.15)。著者は、「生後60日までの乳児に限ってもベネフィットが確認された。回復、体重増加、完全経口摂食までの期間には影響はなかった。亜鉛は、標準抗菌薬治療の補助療法として、重症細菌感染症が疑われる生後7~120日の乳児の治療不成功リスクを低減する可能性がある」と結論し、「亜鉛はすでに一般的に使用可能で、多くの低~中所得国で急性下痢の治療薬として市販されており、重症細菌感染疑いの乳児への介入に使用しても医療コストの増分はわずかだ」と指摘している。

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抗菌薬と心血管死リスクとの関連

抗菌薬と心血管死リスクとの関連について、米国・ヴァンダービルト医科大学のWayne A. Ray氏らによる検討の結果、治療1~5日目において、マクロライド系のアジスロマイシン(商品名:ジスロマック)使用患者は、ニューキノロン系のシプロフロキサシン(商品名:シプロキサンほか)より有意に増加したがレボフロキサシン(商品名:クラビットほか)とは有意差は認められなかったことが明らかにされた。Ray氏らは「5日間の治療中、アジスロマイシン服用者の心血管死亡の絶対数増加はわずかであるが、基線での心血管疾患リスクが高い患者では顕著に増加した」と結論している。NEJM誌2012年5月17日号掲載報告より。テネシー州のメディケイドコホートを対象に検討研究グループは、薬剤の心臓に与える短期的影響に関連した死亡リスクの上昇を検出するようデザインされた、テネシー州のメディケイドコホートを対象に調査を行った。コホートは、心血管系以外の重篤な疾患で入院した患者、および入院中-入院直後の人・時間を除外した1992~2006年の間のアジスロマイシン服用群34万7,795処方と、傾向スコアマッチングした対照群として、抗菌薬非服用群139万1,180例(対照期間中マッチング例)、ペニシリン系のアモキシシリン(商品名:サワシリンほか)服用群134万8,672処方、シプロフロキサシン服用群26万4,626処方とレボフロキサシン服用群19万3,906処方が含まれた。主要エンドポイントは、心血管死亡と全死因死亡とした。絶対数増加はわずか、心血管疾患リスクが最も高い群で顕著に増加結果、5日間の治療中、アジスロマイシン服用群は、抗菌薬非服用群と比べて、心血管死亡リスクの上昇(ハザード比:2.88、95%信頼区間:1.79~4.63、P<0.001)、全死因死亡リスクの上昇(同:1.85、1.25~2.75、P=0.002)が認められた。同一期間中に、アモキシシリン服用群の死亡リスクでは上昇が認められなかった。アモキシシリン群と比べてアジスロマイシン群は、心血管死亡(同:2.49、1.38~4.50、P=0.002)と全死因死亡(同:2.02、1.24~3.30、P=0.005)のリスク上昇が認められ、100万治療当たり心血管死は約47件増加すると推定された。一方で、心血管疾患リスクスコア別にみると、最も高い十分位群(スコア区分1~5、6~9、10のうちのスコア10該当群)での推定値が約245件増加と最も顕著であった。スコア1~9では9件増加、6~9では45件増加であった。(朝田哲明:医療ライター)

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単純性急性虫垂炎、一次治療の抗菌薬投与で合併症リスク3~4割低減

単純性急性虫垂炎への一次治療には、抗菌薬投与のほうが切除術に比べ、合併症リスクは3~4割低減することがあきらかにされた。英国・ノッティンガム大学病院のKrishna K Varadhan氏らによる、4つの無作為化比較試験の被験者900人を対象にしたメタ解析の結果で、BMJ誌2012年5月5日号(オンライン版2012年4月5日号)で発表した。合併症、治療有効性や入院期間、複雑性虫垂炎などを比較同研究グループは、4つの無作為化比較試験に参加した単純性急性虫垂炎の患者、計900人について、一次治療としての抗菌薬投与と虫垂切除術の治療アウトカムについて、メタ解析で比較した。被験者のうち、抗菌薬投与を受けたのは470人、虫垂切除を行ったのは430人だった。主要アウトカムは、合併症発症率とし、副次アウトカムは、治療有効性、入院期間、複雑性虫垂炎と再入院とした。抗菌薬治療群の合併症リスク31~39%減、治療成功率は63%その結果、抗菌薬治療群は虫垂切除群に比べ、合併症発症リスクが31%低かった(リスク比:0.69、95%信頼区間:0.54~0.89、p=0.004)。抗菌薬投与群から虫垂切除群へ移行した患者を除いて2次分析を行ったところ、抗菌薬治療群は虫垂切除術群に比べ、合併症発症リスクは39%低かった(リスク比:0.61、同:0.40~0.92、p=0.02)。抗菌薬治療群の治療成功率は、63%(438人中277人)だった。同群20%が症状再発のため再入院し虫垂切除を行ったが、そのうち穿孔性虫垂炎が認められたのは9人、壊疽性虫垂炎は4人だった。副次アウトカムの、治療有効性、入院期間、複雑性虫垂炎発症リスクについては、両群で有意差はなかった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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O104:H4へのアジスロマイシン投与、排菌期間を短縮

腸管凝集性志賀毒素産生大腸菌(STEC O104:H4)の感染者に対し、アジスロマイシン(商品名:ジスロマック)を投与することで、排菌期間を短縮できることが示された。ドイツ・Schleswig-Holstein大学病院のMartin Nitschke氏らが、65人の感染者について行った試験で明らかにしたもので、JAMA誌2012年3月14日号で発表した。STEC感染への抗菌薬治療は、溶血性尿毒症症候群(HUS)発症リスクを増大する可能性があるとして、あまり行われていないが、一方で、腸管凝集性大腸菌への抗菌薬投与は広く行われている。65人を約40日追跡研究グループは、2011年5月15~7月26日の間に、ドイツ・ルベックにあるセンター病院単施設で、STEC O104:H4に感染した65人について、アジスロマイシン投与の有無と、排菌期間について追跡調査を行った。被験者の中には、HUSを発症している人も、していない人も含まれた。発症後の追跡期間の平均値は、39.3日だった。主要アウトカムは、STEC O104:H4の保菌期間とアジスロマイシン投与の関係だった。長期保菌者発生、非投与群81%に対し、アジスロマイシン群4.5%被験者のうち、経口アジスロマイシンを投与したのは22人、投与しなかったのは43人だった。結果、28日超の長期STEC保菌者は、アジスロマイシン群が22人中1人(4.5%、95%信頼区間:0~13.3)だったのに対し、非投与群は43人中35人(81.4%、同:69.8~93.0)と、有意に高率だった(p<0.001)。アジスロマイシン群全員が、同服用終了後に、3回以上の便検査でSTEC陰性が得られ、再発は認められなかった。また、非投与群で長期STEC保菌者のうち15人について、アジスロマイシンを3日投与したところ、便検査でSTEC陰性が得られた。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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小児重症肺炎、地域の女性医療ワーカーによる診断と抗菌薬投与が有効

パキスタン農村部地域の女性医療ワーカー(LHW)は、小児重症肺炎の自宅での診断および治療において、十分な役割を果たし得ることが、パキスタン・Aga Khan大学のSajid Soofi氏らの調査で示された。肺炎は世界的に5歳未満の小児の主要な罹病および死亡の原因である。パキスタンでは、肺炎による死亡率は都市部に比べ医療施設が少ない農村部で高く、自宅で死亡する患児が多いという。Lancet誌2012年2月25日号(オンライン版2012年1月27日号)掲載の報告。女性医療ワーカーによる重症肺炎管理の有用性を評価研究グループは、重症肺炎の管理において、地域の医療従事者による経口抗菌薬投与が小児の自宅での死亡率の抑制に有効か否かを検証するために、パキスタン・シンド州の農村地域であるMatiari地区でクラスター無作為化試験を実施した。地域の女性医療ワーカー(LHW)が、肺炎(WHO定義)が疑われる介入群の小児のスクリーニングを行い、重症肺炎と診断した小児には自宅でアモキシシリンシロップ(90mg/kg、1日2回;商品名:クラバモックス)を5日間経口投与した。対照群の小児には、コトリモキサゾール(ST合剤)を1回経口投与したうえで、近隣の医療施設に入院させて抗菌薬を静注投与した。両群ともに、第2、3、6、14日目にLHWが小児の自宅を訪問してフォローアップを行った。主要評価項目は、登録後6日目までに発生した治療不成功とした。18の地区(クラスター)を介入群あるいは対照群に無作為に割り付けた。治療不成功率:介入群8%、対照群13%2008年2月13日~2010年3月15日までに、生後2~59ヵ月の小児が登録された。介入群は2,341例(年齢中央値13ヵ月、男児56%)が、対照群は2,069例(同:10ヵ月、55%)が解析の対象となった。治療不成功率は、介入群が8%(187/2,341例)、対照群は13%(273/2,069例)だった。調整済みリスク差は-5.2%(95%信頼区間:-13.7~3.3%)であった。第6日目までに2例が死亡し、第7~14日の間に1例が死亡した。重篤な有害事象は確認されなかった。著者は、「パキスタン農村部の小児重症肺炎の自宅での診断および治療において、地域のLHWは十分な役割を果たすことができた」と結論づけ、「この戦略は、医療施設への紹介が困難な環境にある重症肺炎患児に対し有用であり、小児肺炎の発見や管理の鍵となると考えられる」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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急性副鼻腔炎に対する抗菌薬治療、プラセボとの比較で症状改善みられず

急性副鼻腔炎に対するアモキシシリン(商品名:サワシリンほか)10日間投与の効果を、プラセボとの比較で検討した無作為化試験の結果、投与開始3日後、10日後での症状改善は認められなかったことが報告された。ただし7日後ではアモキシシリン群で有意な改善が認められたという。急性副鼻腔炎への抗菌薬投与に関するエビデンスは乏しいものの、医療現場では広く投与が行われている。本報告は、米国・ワシントン大学総合医科学部門のJane M. Garbutt氏らが、約170人について行った無作為化プラセボ対照試験の結果で、JAMA誌2012年2月15日号で発表した。アモキシシリン1,500mg/日を10日間投与、3、7、10、28日時点のアウトカムを評価研究グループは、2006年11月1日~2009年5月1日にかけて、米国ミズーリ州10ヵ所の医療機関で治療を受けた、合併症のない急性副鼻腔炎の成人166人(男性36%)について試験を行った。被験者を無作為に二群に分け、一方にはアモキシシリン1,500mg/日(1日3回投与、85人、平均年齢32歳)を、もう一方にはプラセボを(81人、同31歳)、それぞれ10日間投与した。被験者には、その他に、痛みや発熱、咳、鼻づまりの症状を抑える薬が必要に応じて5~7日間投与された。対症療法は92%(アモキシシリン群94%、プラセボ群90%、p=0.34)。主要アウトカムは、副鼻腔アウトカム尺度16により測定した生活の質(QOL)だった。副次アウトカムは、患者の後ろ向き自己評価による、症状や機能上の変化、再発や治療に対する満足度、副作用などだった。アウトカムの評価は、治療開始後3、7、10、28日後に、電話インタビューにより行われた。治療開始7日後のみで、アモキシシリン群の症状が有意に改善その結果、副鼻腔アウトカム尺度16の変化の平均値は、治療開始3日後でアモキシシリン群が-0.59に対し、プラセボ群は-0.54(群間差:0.03、95%信頼区間:-0.12~0.19)、10日後では同群間差0.01(同:-0.13~0.15)と、いずれも有意差はなかった。ただし、治療開始7日後の評価では、アモキシシリン群で改善幅が有意に大きく、群間差は0.19(同:0.024~0.35)だった。症状が改善したと答えた人の割合も、治療開始3日後がアモキシシリン群37%、プラセボ群34%(p=0.67)、同10日後がそれぞれ78%、80%(p=0.71)と、いずれの時点でも両群は同等だった。一方、治療開始7日後では、アモキシシリン群74%に対しプラセボ群が56%と、アモキシシリン群で有意に高率だった(p=0.02)。その他副次アウトカムについて、両群の差は認められなかった。重篤な有害事象は発生がなかった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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プライマリ・ケア医の抗菌薬使用減に有効な多面的教育プログラムが開発

英国・カーディフ大学プライマリ・ケア部門教授のChristopher C Butler氏らは、プライマリ・ケアでの抗菌薬使用の減少を目的とした多面的教育プログラム「STAR」を開発、臨床実践ベースの無作為化対照試験の結果、その使用減少が認められ、その後の入院や再受診、コストの有意な増大は認められなかったことが報告された。プライマリ・ケアでの抗菌薬は、有益性がほとんどないことが立証されているにもかかわらず、過剰に処方され続け、患者は不必要な有害反応に曝露されており、耐性菌発生を招いていることが指摘されている。Butler氏らは、診断能力のトレーニングによって、抗菌薬処方を減らす可能性があるとしてプログラム開発を行った。BMJ誌2012年2月11日号(オンライン版2012年2月2日号)掲載報告より。プログラム介入群と非介入群で無作為化試験Butler氏らが開発した教育プログラム「STAR(Stemming the Tide of Antibiotic Resistance)」は、多面的な内容(e-ラーニング、実際診療での経験学習と熟考を促す)で、局面に敏感となり(抗菌薬使用と耐性についてのデータに反応する)、以前に推奨されていた鑑別(使用について時間的な効率性を重視した診療戦略)を基本とする。その介入効果を検証するため、ウェールズと英国の68(GP)の診療所(患者約48万人のデータ)を対象に無作為化試験を行った。GPを、プログラムを受ける群(34ヵ所、介入群)と通常ケアを行う群(34ヵ所、対照群)に無作為化。無作為化前に試験への参加を了承していた医師は、介入群139人、対照群124人だった。解析は、68ヵ所全医師の診療データについて行われた。主要評価項目は、前年使用で補正後、介入後1年間の、全症例に対する抗菌薬使用件数(1,000診療・患者当たり)で、副次評価項目には、再受診、入院、費用などが含まれた。介入群の抗菌薬使用は年間4.2%減少結果、経口抗菌薬使用総計(1,000登録患者当たり)は、介入群で14.1件減った一方で、対照群は12.1件増加し、正味26.1件の差が生じていた。基線での使用について補正後、対照群と比較して介入群では、総経口抗菌薬使用の減少は年間4.2%(95%信頼区間:0.6~7.7)に上っていた(P=0.02)。使用減はペニシリナーゼ耐性ペニシリン(PRP)以外の全クラスの抗菌薬でみられ、個別にみると、フェノキシメチルペニシリン(ペニシリンV、使用減:7.3%、95%信頼区間:0.4~13.7)とマクロライド系(同:7.7%、1.1~13.8)の減少が大きく有意であった。入院、再受診(7日以内の気道感染による)については介入群と対照群に有意差は認められなかった。プログラムにかかった平均費用は、2,923ポンド(4,572ドル)/診療所だった。一方で、対照群と比べた介入群の抗菌薬使用コスト減は、5.5%で、1つの平均的介入によって年間約830ポンドの削減効果に匹敵する。

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急性単純性膀胱炎に対するセフポドキシムvs. シプロフロキサシン

急性単純性膀胱炎への抗菌薬投与について、セフェム系のセフポドキシム(商品名:バナンほか)はフルオロキノロン系のシプロフロキサシン(同:シプロキサンほか)に対し、非劣性を示さなかったことが報告された。米国・マイアミ大学のThomas M. Hooton氏らが、女性患者300人を対象に行った無作為化二重盲検試験の結果、明らかにしたもので、JAMA誌2012年2月8日号で発表した。フルオロキノロン系の抗菌薬は単純性膀胱炎に対し最も有効として一般的に使用されている一方で、その耐性大腸菌発生率の上昇が世界的に報告されており、最近公表された米国感染症学会のガイドラインでは、使用の制限が勧告されている。同疾患に対するセフポドキシムの使用については、これまで十分な検討データがなかった。3日間投与し、30日後の治癒率を比較研究グループは、2005~2009年にかけて、18~55歳の急性単純性膀胱炎と診断された女性300人を、無作為に二群に分け検討した。一方にはシプロフロキサシン(250mg、1日2回)を、もう一方にはセフポドキシム(100mg、1日2回)をそれぞれ3日間投与した。治療終了後、5~9日目と、28~30日目に、アウトカムを評価した。主要アウトカムは、30日後の診察時における臨床的治癒とした。副次アウトカムは、治療終了後5~9日目の診察時における、臨床的・微生物学的治癒と、両診察時における膣の大腸菌コロニー形成とされた。30日後臨床的治癒率、5~9日後微生物学的治癒率ともに非劣性示さずその結果、追跡不能を治癒とみなした場合では、30日後の臨床的治癒率は、シプロフロキサシン群が93%(150人中139人)に対し、セフポドキシム群は82%(150人中123人)で、治癒率格差は11%(95%信頼区間:3~18)と、事前に定義した非劣性マージン10%未満の基準を満たさなかった。また、追跡不能を治療に反応しなかったとみなした場合では、30日後臨床的治癒率は、それぞれ83%(150人中124人)と71%(150人中106人)で、治癒率格差は12%(同:3~21)で、非劣性マージン基準を満たさなかった。治療終了後5~9日目の微生物学的治癒率も、各群96%と81%、同率格差は15%で基準を満たさなかった。治療終了後の初回診察時に、膣大腸菌のコロニー形成が認められたのは、シプロフロキサシン群で16%に対し、セフポドキシム群では40%に上った。結果を受けてHooton氏は、「他の広域β-ラクタムへの重大な生態学的影響の懸念は残るが、セフポドキシムを急性単純性膀胱炎に対し、シプロフロキサシンに代わって第一選択薬として使用することは支持できない」と結論している。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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前立腺生検、有害事象が再生検への消極性を招く

前立腺生検の忍容性は全般に良好だが、一部では疼痛や感染などの有害事象による重大な症状をもたらし、再生検に対する消極性や、プライマリ・ケアにおける医療資源の使用を促進することが、英国Sheffield大学のDerek J Rosario氏らが行ったProBE試験で明らかとなった。前立腺がんの診断では前立腺生検が重要だが、被験者の受容性(acceptability)や有害事象の影響、その結果としての医療資源の使用状況をプロスペクティブに検討した試験はほとんどないという。BMJ誌2012年1月21日号(オンライン版2012年1月9日号)掲載の報告。無作為化試験に組み込まれた前向きコホート研究ProBE(Prostate Biopsy Effects)試験は、進行中の多施設共同無作為化対照比較試験であるProtecT(Prostate Testing for Cancer and Treatment)試験の登録患者を対象に行われたプロスペクティブなコホート研究。経直腸的超音波ガイド下生検(TRUS-Bx)から35日以内に発現した有害事象の影響の評価を目的とした。ProtecT試験では、50~69歳の地域住民男性22万7,000人が前立腺特異抗原(PSA)検査のカウンセリングを受けるよう招聘された。そのうち11万1,148人がPSA検査を受け、PSA値 3~20ng/mLの1万297人がTRUS-Bxを推奨された。このうち、2006年2月~2008年5月までに8施設で抗菌薬併用下にTRUS-Bxを受けた1,753人(平均年齢:62.1歳、平均PSA値:5.4ng/mL)がProBE試験の適格例とされ、試験参加に同意した1,147人(65%、平均年齢:62.1歳、平均PSA値:4.2ng/mL)が登録された。生検時、7日目、35日目に、質問票を用いて疼痛、感染、出血の頻度と関連症状の影響を評価した。生検直後と7日目に再生検に対する患者の受容性を調査し、35日までの医療資源の使用状況を評価した。有害事象関連症状が大きな問題になることは少ない生検後35日までに疼痛を訴えたのは43.6%、発熱の訴えは17.5%、血尿が65.8%、血便が36.8%、血性精液は92.6%であった。これらの症状が中等度~重度の問題となったと答えた患者は少なく、疼痛が7.3%、発熱は5.5%、血尿は6.2%、血便は2.5%、血性精液は26.6%であった。生検直後に、中等度~重度の問題が生じた場合は再生検を考慮すると答えた患者は10.9%で、7日後には19.6%に増加した。再生検に対する消極的な姿勢は、初回生検時の好ましくない経験、特に生検時疼痛(p<0.001)、感染関連症状(p<0.001)、出血(p<0.001)と有意な関連がみられ、明らかな施設間差が認められた(p<0.001)。10.4%が医療施設(通常は担当GP)を受診しており、最も頻度が高かったのは感染関連症状であった。有害事象の重症度は再生検に対する消極的な姿勢と有意な関連を示した(p<0.001)。著者は、「前立腺生検は全般に良好な忍容性を示したが、一部では有害事象による重大な症状をもたらし、再生検への受容性やプライマリ・ケアにおける医療資源の使用に影響を及ぼした」と結論し、「有害事象プロフィールの施設間差は、局所麻酔薬や抗菌薬をより効果的に使用すれば患者のアウトカムが改善され、医療資源の使用が抑制される可能性を示唆する」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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