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オセルタミビルは有効か?メタ解析で検討/Lancet

 成人インフルエンザ患者に対しオセルタミビル(商品名:タミフル)は、臨床的な症状緩和までの時間を短縮し、下気道合併症や入院リスクを低下することが明らかにされた。英国のロンドン大学公衆衛生学・熱帯医学大学院のJoanna Dobson氏らが、9試験4,328例を組み込んだメタ解析の結果、報告した。なお安全性に関しては、悪心と嘔吐の発生増大が判明したという。本分析では神経学的または精神医学的な障害や重篤な有害事象の記録はなかったと報告している。Lancet誌オンライン版2015年1月30日号掲載の報告より。メタ解析で、有効性、安全性を評価 インフルエンザの治療でオセルタミビルは広く使用されるようになっているが、有効性については疑問符がついたままである。研究グループは、対プラセボ比較のすべての臨床試験の個人データを組み込んだメタ解析を行い、成人インフルエンザ患者におけるオセルタミビル治療の症状緩和、合併症、安全性について調べた。 インフルエンザ様疾患の成人患者についてオセルタミビル治療を行い1つ以上のアウトカムを報告していた試験を適格とした。また、Medline、PubMed、Embase、the Cochraneなどの電子データベースで、2014年1月1日以前に発表された試験を検索し、intention-to-treat感染集団、intention-to-treat集団、および同安全性集団について分析した。 主要アウトカムは、加速ハザードモデルで分析した、全症状緩和までの時間とした。また、リスク比とMantel-Haenszel法を用いて、合併症、入院、および安全性アウトカムについて評価した。対プラセボ、全症状緩和までの時間21%短縮、合併症、入院も有意に低下 解析には、9試験4,328例のデータが組み込まれた。 intention-to-treat感染集団の分析において、オセルタミビルはプラセボと比較して、全症状緩和までの時間を21%短縮したことが判明した(時間比:0.79、95%信頼区間[CI]:0.74~0.85、p<0.0001)。緩和までの時間中央値は、オセルタミビル群97.5時間、プラセボ群122.7時間であった(差:-25.2時間、95%CI:-36.2~-16.0)。 intention-to-treat集団の分析では、推定治療効果は減弱した(時間比:0.85)が、両群差は高値で有意なままであった(中央値差:-17.8時間)。 intention-to-treat感染集団の分析では、無作為化後48時間超で抗菌薬を必要とした下気道合併症が低下したことを認めた(リスク比[RR]:0.56、95%CI:0.42~0.75、p=0.0001、オセルタミビル4.9% vs. プラセボ8.7%、リスク差:-3.8%、95%CI:-5.0~-2.2)。さらに、あらゆる入院についても低下を認めた(同:0.37、0.17~0.81、p=0.013、0.6% vs. 1.7%、-1.1%、95%CI:-1.4~-0.3)。 安全性に関しては、オセルタミビルは悪心(同:1.60、1.29~1.99、p<0.0001、9.9% vs. 6.2%、3.7%、1.8~6.1)、嘔吐(同:2.43、1.83~3.23、p<0.0001、8.0% vs. 3.3%、4.7%、2.7~7.3)のリスク増大が認められた。

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市中肺炎患者に対するステロイド投与は症状が安定するまでの期間を短くすることができるか?(解説:小金丸 博 氏)-311

 市中肺炎では過剰な炎症性サイトカインによって肺が障害され、肺機能が低下すると考えられている。そのため、理論的には抗炎症効果を有するステロイドを併用することが有効と考えられ、肺炎の治療に有益かどうか1950年代から議論されてきた。しかしながら、最近報告された2つのランダム化比較試験においても相反する結果が得られており、いまだにステロイド併用の有益性について結論が出ていない1)2)。 本研究は、入院が必要な市中肺炎患者に対し、ステロイドを併用投与することの有用性を調べるために行った、多施設共同二重盲検ランダム化プラセボ対照比較試験である。18歳以上の市中肺炎患者785例を、(1)プレドニゾン50mg/日を7日間投与する群(392例)と、(2)プラセボ投与群(393例)に割り付けた。プライマリエンドポイントは、症状が安定化(バイタルサインが少なくとも24時間安定)するまでの日数とした。 その結果、症状が安定化するまでの期間の中央値は、プレドニゾン投与群が3.0日、プラセボ投与群が4.4日であり、プレドニゾン投与群のほうが有意に短かった(ハザード比1.33、95%信頼区間:1.15~1.50、p<0.0001)。プライマリエンドポイント以外の結果では、入院期間はプレドニゾン投与群のほうが約1日短かった。抗菌薬の総投与期間に有意差はなかったが、静脈注射での投与期間はプレドニゾン投与群で0.89日短かった。30日目までの肺炎関連合併症の発症率は両群間で有意差はなかったものの、プレドニゾン投与群で低い傾向がみられた。30日時点での総死亡率に差はなかった。 プレドニゾン投与群では、インスリンを要する高血糖の頻度が有意に高かった(19% vs 11%、オッズ比1.96、95%信頼区間:1.31~2.93、p=0.0010)。ステロイドによるその他の有害事象はまれであり、両群間で差はなかった。 適切な抗菌薬にステロイドを短期間併用することで、全身状態が早く安定化するのは理解できる結果である。ステロイドを併用することによって、入院期間や抗菌薬の静注投与期間を短縮できるのであれば、結果として入院費を抑制でき、患者にとってメリットになるかもしれない。 しかし、この研究を根拠に、入院を要する市中肺炎患者全例にステロイドを併用するかどうかを決めることは難しいと思う。ステロイドは、高血糖以外にも多くの副作用がある薬剤であり、死亡率の改善など誰もが納得できる理由がなければ全例に投与する必然性は乏しい。本研究の「症状が安定化するまでの日数」というプライマリエンドポイントの設定には疑問が残る。 最後に、実臨床ではステロイドの併用が必要と思われる肺炎患者がいるのも事実である。現時点では患者の基礎疾患、重症度、肺障害の程度などから総合的にステロイドの適応を判断することが多いと思われる。とくにICUに入室するような超重症肺炎患者にステロイドを併用すべきかどうかのデータは不足しており、今後のさらなる研究が待たれる。

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重症患者の連日クロルヘキシジン清拭は無効?/JAMA

 連日のクロルヘキシジン(商品名:ヒビテンほか)清拭は、重症患者の医療関連感染(health care-associated infection)を予防しないことが、米国・ヴァンダービルト大学のMichael J Noto氏らの検討で確認された。入院中の院内感染(医療関連感染)は、入院期間の延長や死亡率の上昇、医療費の増大をもたらす。入院患者の皮膚は病原菌の貯蔵庫であり、医療関連感染の機序には皮膚微生物叢の浸潤が関連すると考えられている。クロルヘキシジンは広域スペクトルの局所抗菌薬であり、清拭に使用すると皮膚の細菌量が減少し、感染が抑制される可能性が示唆されている。AMA誌2015年1月27日号掲載の報告。予防効果をクラスター無作為化クロスオーバー試験で評価 研究グループは、連日クロルヘキシジン清拭による、重症患者における医療関連感染の予防効果を検証するために、実臨床に即したクラスター無作為化クロスオーバー試験を行った。対象は、2012年7月~2013年7月までに、テネシー州ナッシュビル市にある3次医療機関の5つの専門機能別ICU(心血管ICU、メディカルICUなど)に入室した9,340例の患者であった。 5つのICUは、毎日1回、使い捨ての2%クロルヘキシジン含浸タオルを用いて清拭する群(2施設)または抗菌薬を含まないタオルで清拭する群(対照、3施設)に無作為に割り付けられた。これを10週行ったのち、2週の休止期間(この間は抗菌薬非含浸使い捨てタオルで清拭)を置き、含浸タオルと非含浸タオルをクロスオーバーしてさらに10週の清拭治療を実施した。 主要評価項目は、中心静脈ライン関連血流感染(CLABSI)、カテーテル関連尿路感染(CAUTI)、人工呼吸器関連肺炎(VAP)、クロストリジウム・ディフィシル(C.ディフィシル)感染の複合エンドポイントとした。副次評価項目には、多剤耐性菌、血液培養、医療関連血流感染の陽性率などが含まれた。医療費の損失や耐性菌の増加を招く可能性も クロルヘキシジン群に4,488例(年齢中央値:56.0歳、男性:57.6%)、対照群には4,852例(57.0歳、57.8%)が割り付けられた。医療関連感染は、クロルヘキシジン清拭期に55例(CLABSI:4例、CAUTI:21例、VAP:17例、C.ディフィシル感染:13例)、抗菌薬非含浸清拭期には60例(4例、32例、8例、16例、)に認められた。 主要評価項目の発生率は、クロルヘキシジン清拭期が1,000人日当たり2.86、抗菌薬非含浸清拭期は同2.90であり、両群間に有意な差は認められなかった(発生率の差:-0.04、95%信頼区間[CI]:-1.10~1.01、p=0.95)。ベースラインの変量で補正後も、主要評価項目に関して両群間に有意差はみられなかった。 また、院内血流感染、血液培養、多剤耐性菌などの副次評価項目の発生率にも、クロルヘキシジン清拭による変化は認めなかった。さらに、事前に規定されたサブグループ解析では、各ICU別の主要評価項目の発生率にも有意な差はなかった。 著者は、「連日クロルヘキシジン清拭は、CLABSI、CAUTI、VAP、C.ディフィシルによる医療関連感染を予防せず、重症患者に対する連日クロルヘキシジン清拭は支持されない」とまとめ、「クロルヘキシジン清拭はいくつかの専門ガイドラインに組み込まれているが、医療費の損失やクロルヘキシジン耐性菌の増加を招いている可能性がある」と指摘している。

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急性脳卒中への予防的抗菌薬は有用か/Lancet

 急性脳卒中の患者に対し、通常の脳卒中治療に加え第3世代セフトリアキソン(商品名:ロセフィンほか)の予防的投与を行っても、機能的アウトカムの改善にはつながらなかったことが報告された。オランダ・アムステルダム大学のWilleke F. Westendorp氏らが、同患者2,550例について行った多施設共同非盲検無作為化比較試験PASS(Preventive Antibiotics in Stroke Study)の結果、示された。著者は「今回の結果は、成人急性脳卒中患者に対する予防的抗菌薬投与を支持しないものであった」とまとめている。Lancet誌オンライン版2015年1月19日号掲載の報告より。セフトリアキソン2gを24時間ごとに4日間投与 研究グループは2010年7月6日~2014年3月23日にかけて、オランダ30ヵ所の医療機関で、急性脳卒中の患者2,550例を対象に試験を行った。 被験者を無作為に2群に分け、一方には、通常の脳卒中治療に加えセフトリアキソン2gを24時間ごと、4日間にわたり静注投与した。もう一方の群には、通常の脳卒中治療のみを行った。被験者の割り付けは、発症後24時間以内に行われた。 主要エンドポイントは、3ヵ月後の修正Rankinスケールによる機能的アウトカムだった。副次的評価項目は、死亡、感染症、抗菌薬使用の各発生率、入院期間などだった。3ヵ月後の修正Rankin・スケールは同等 無作為化直後に12例が除外となり、2,538例についてintention-to-treat分析を行った(セフトリアキソン群1,268例、対照群は1,270例)。なお3ヵ月のフォローアップを完了したのは2,514例(99%、各群1,257例)だった。 結果、3ヵ月後の修正Rankinスケールは両群において同程度で、セフトリアキソンの予防的投与による機能改善は認められなかった(オッズ比:0.95、95%信頼区間:0.82~1.09、p=0.46)。 また、セフトリアキソン予防的投与による有害事象は認められなかったが、クロストリジウム・ディフィシル菌の過剰繁殖感染が、セフトリアキソン群の2例(1%未満)にのみ認められた(対照群は発生例なし)。

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アナフィラキシー 症例クイズ(1)

3回目のセフェム系抗菌薬静注後に熱感を訴えた糖尿病の女性症例161歳・女性経過3日前に家族でスキーに行ったが途中で疲れてしまい、本人は山小屋で家族が滑り終わるのを待ってホテルに戻った。翌日の夜から微熱があり、当日は38.5℃の発熱と頭痛があるため受診。既往歴高血圧、糖尿病服用薬剤イミダプリル(商品名:タナトリル)5mg、グリメピリド(同:アマリール)1mg

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市中肺炎入院患者、ステロイド追加で早期回復/Lancet

 入院を要する市中肺炎患者の治療において、プレドニゾンの7日間投与による補助療法を行うと、臨床的安定の達成までの期間が有意に短縮することが、スイス・バーゼル大学病院のClaudine Angela Blum氏らの検討で示された。市中肺炎では、血中への炎症性サイトカインの過剰放出により肺機能障害が引き起こされるが、ステロイドは全身性の炎症過程を抑制し、さらに肺炎球菌性肺炎に対する効果も確認されている。一方、ステロイド補助療法のベネフィットに関する議論は1950年代から続いているが、最近の臨床試験の結果は相反するものだという。Lancet誌オンライン版2015年1月18日号掲載の報告。ステロイド追加の有用性をプラセボと比較 研究グループは、市中肺炎に対する短期的ステロイド療法の有用性を評価する多施設共同二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験を行った(Swiss National Science Foundationなどの助成による)。対象は、年齢18歳以上、入院後24時間以内の市中肺炎患者であった。 被験者は、プレドニゾン50mg/日を7日間経口投与する群またはプラセボ群に無作為に割り付けられた。主要評価項目は臨床的安定までの期間(バイタルサインが24時間以上安定するまでの日数)とし、intention-to-treat(ITT)解析を行った。 臨床的安定は、体温37.8℃以下、心拍数100回/分以下、自発呼吸数24回/分以下、昇圧薬の投与なしで収縮期血圧90mmHg以上(高血圧患者の場合は100mmHg以上)、精神状態が発症前レベルに回復、経口摂取が可能、適正な酸素供給(PaO2≧60mmHgまたはパルスオキシメトリ≧90%)のすべてを満たす場合と定義した。臨床的安定までの期間が1.4日短縮 2009年12月1日~2014年5月21日に、スイスの7つの3次病院に785例(ITT集団)が登録され、ステロイド群に392例(年齢中央値74歳、男性61%)、プラセボ群には393例(73歳、63%)が割り付けられた。 臨床的安定までの期間中央値は、ステロイド群が3.0日と、プラセボ群の4.4日に比べ有意に短かった(ハザード比[HR]:1.33、95%信頼区間[CI]:1.15~1.50、p<0.0001)。 30日以内の肺炎関連合併症(急性呼吸促迫症候群、膿胸、肺炎の持続)の発現率は、ステロイド群が3%であり、プラセボ群の6%よりも低かったが、有意な差は認めなかった(オッズ比[OR]:0.49、95%CI:0.23~1.02、p=0.056)。 退院までの期間(6.0 vs. 7.0日、p=0.012)および抗菌薬静注投与期間(4.0 vs. 5.0日、p=0.011)はステロイド群で有意に短かったが、肺炎の再発や再入院、ICU入室、全死因死亡、抗菌薬治療期間などは両群間に差はなかった。 有害事象は、ステロイド群の24%、プラセボ群の16%に発現し、有意差が認められた(OR:1.77、95%CI:1.24~2.52、p=0.0020)。ステロイド群では、インスリン治療を要する高血糖の院内発症率が19%と、プラセボ群の11%に比し有意に高かった(OR:1.96、95%CI:1.31~2.93、p=0.0010)。他のステロイド投与に特徴的な有害事象はまれであり、プラセボ群との間に差を認めなかった。 著者は、「プレドニゾン7日間投与は、合併症を増加させずに臨床的安定を早期にもたらした」とまとめ、「この知見は患者の立場からも実際的な価値があり、入院費や有効性の決定要因としても重要である」と指摘している。なお、今回の結果をこれまでのエビデンスに加えてメタ解析を行ったところ、入院期間の有意な短縮が確認されたという。また、著者は「高血糖の発現は予期すべきであり、ステロイド禁忌についても考慮する必要がある」としている。

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1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第16回

第16回:犬猫咬傷~傷は縫っていいの? 抗菌薬は必要なの?監修:吉本 尚(よしもと ひさし)氏 筑波大学附属病院 総合診療科 犬や猫などの咬傷はよくみかけるものです。医者になって以来、私はずっと指導医に「咬傷は縫うな!」と教えられ忠実に守ってきましたが、縫合してもしなくても感染率は変わらないとする報告があります1)。しかしながら動物咬傷は、感染が起きやすいのが事実。感染の有無についての丁寧な観察が必要ということはいうまでもありません。また、この元論文2)では、狂犬病ワクチンについても言及していますが、日本では1958年以降は人・動物での狂犬病の国内発生はありません3)。破傷風ワクチンの接種をしっかりとすることに力点を置くべきでしょう。 以下、American Family Physician 2014年8月15日号2) よりアメリカにおいて動物咬傷は全救急症例の1%を占め、それにより5,000万ドル(約60億円)の医療コストがかかっている。多くの症例が犬咬傷 (85~90%)であり、その犠牲者の多くは子供である(咬傷部位は子供の場合は顔や首が多い。ちなみに思春期以上になると四肢が多い)。70%のケースでは知っている犬に咬まれ、50%が挑発をしていないのに咬まれる。一方、猫咬傷は大人の女性に多く、興奮させた場合に咬まれるケースがしばしばである。猫咬傷の場合は傷が深くなることに注意すべきである。処置をする場合は大量の水道水・生理食塩水で洗浄し、腱や骨に達していないかを詳細に確認する必要がある。年老いた犬や猫は、歯周病に罹患していることも多く、感染のリスクが上昇する。猫咬傷、縫合した創、手の傷、免疫抑制された患者に関しては、抗菌薬を考慮すべきであり、その際は、アモキシシリン/クラブラン酸(オーグメンチンなど)が第1選択薬である。多くの研究では、投与期間は3~7日である。ただし、抗菌薬の効果に関しては議論を呼んでいるようで、あるメタアナリシス4)では抗菌薬の投与により2次感染が減少 (HR 0.56、NNT 14)とするものもあれば、コクランレビュー5)では手以外の外傷で、有意差を認めなかった。飼い犬でさえも狂犬病ワクチンを接種していない場合もあるので、あらゆる動物咬傷に対して、狂犬病の予防接種を考慮すべきである。(基礎免疫がある場合)破傷風のワクチンを5年以上打っていない人は、破傷風の予防接種を考慮すべきである。※本内容は、プライマリケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、詳細に関しては原著を参照されることを推奨いたします。 1) Maimaris C and Quinton DN. Arch Emerg Med. 1988; 5: 156-161. 2) Ellis R and Ellis C. Am fam physician. 2014; 90: 239-243. 3) 平成 24 年度 厚生労働科学研究「動物由来感染症に対するリスク管理手法に関する研究」分担研究班. 狂犬病対応ガイドライン2013.厚生労働省.(参照 2015.1.21) 4) Cummings P. Ann Emerg Med. 1994; 23: 535–540. 5) Medeiros I and Saconato H. Cochrane Database Syst Rev. 2001; CD001738. ※本文中に誤解を招く表現が含まれていたため、1月29日15時30分ごろに内容を一部修正いたしました。

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クローン病患者に対する腸切除後の治療方針:無作為化比較試験(解説:上村 直実 氏)-304

 クローン病は原因不明で根治的治療が確立していない炎症性腸疾患であり、日本では医療費補助の対象である特定疾患に指定されている。 抗菌薬、サリチル酸製剤、ステロイドや従来型免疫抑制剤および腸管を安静に保つ栄養療法がわが国における治療の主体であったが、最近、顆粒球除去療法や生物学的製剤である抗TNFα抗体が、新たな治療法として注目されている。 日本における治療目的は再燃を少なくして不自由のない社会生活を送ることのできる寛解期間を長くすることであるが、欧米では入院費用が高額なためにほとんどが外来治療であり、入院を要するのは外科的手術が必要な場合のみという医療現場の違いが治療方針にも反映されている。 クローン病の通過障害を伴う狭窄や穿孔および瘻孔に対して外科的腸切除術が施行されるが、とくに手術施行率の高い欧米では高率な術後再発が大きな課題となっている。 本研究は、腸切除後の患者を対象として、手術から6ヵ月後に内視鏡検査を施行して治療法を変更する群(積極的治療群)と、内視鏡検査を施行せずに標準治療を継続する群(標準治療群)に無作為に割り付けて、18ヵ月後の内視鏡的再発率および粘膜の正常化率を検討した結果、標準治療群と比較して積極的治療群の再発率が有意に低値で、粘膜の正常化率が有意に高値であった。この結果、「クローン病の腸切除後には、早期の内視鏡検査により判定される再燃状態に応じた免疫療法の導入が、術後再発の予防に有用であり、再手術のリスクを軽減できる」と結論している。 クローン病の悪化に対して外科的手術の選択率が高く、さらに術後の短期再発も高率にみられる欧米の医療において、本研究で示された早期内視鏡検査の重要性は術後の診療方針に大きな影響を与えるものであろう。医療保険システムの異なる日本の症例にも適合する可能性が高く、今後、内視鏡的な評価を用いたRCTがわが国でも施行されることを期待したい。

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在宅で診る肺炎診療の実際

■在宅高齢者の肺炎の多くが誤嚥性肺炎在宅高齢者の発熱の原因として最も多いのは肺炎である1)。在宅医療を受けている患者の多くは嚥下障害を起こしやすい、脳血管性障害、中枢性変性疾患、認知症を患っており、寝たきり状態の患者や経管栄養を行っている患者も含まれていて、肺炎のほとんどは誤嚥性肺炎である。日本呼吸器学会は2005年に「成人市中肺炎診療ガイドライン(改訂版)」を、2008年には「成人院内肺炎診療ガイドライン」を作成したが、在宅高齢者の肺炎診療に適するものではなかった。その後、2011年に「医療介護関連肺炎(NHCAP)診療ガイドライン」が作成された。NHCAPの定義と発症機序は表1 2)および表2 2)に示されるように、在宅療養患者が該当しており、その特徴は市中肺炎と院内肺炎の中間に位置し、その本質は高齢者における誤嚥性肺炎を中心とした予後不良肺炎と、高度医療の結果生じた耐性菌性肺炎の混在したもの、としている。本稿では、NHCAPガイドライン(以下「ガイドライン」と略す)に沿って、実際に在宅医療の現場で行っている肺炎診療を紹介していく。表1 NHCAP の定義1.長期療養型病床群もしくは介護施設に入所している(精神病床も含む)2.90日以内に病院を退院した3.介護を必要とする高齢者、身障者4.通院にて継続的に血管内治療(透析、抗菌薬、化学療法、免疫抑制薬などによる治療)を受けている・介護の基準PS3: 限られた自分の身の回りのことしかできない、日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす、以上を目安とする表2 NHCAP の主な発症機序1.誤嚥性肺炎2.インフルエンザ後の2次性細菌性肺炎3.透析などの血管内治療による耐性菌性肺炎(MRSA肺炎など)4.免疫抑制薬や抗がん剤による治療中に発症した日和見感染症としての肺炎を受けている■在宅での肺炎診断在宅患者の診察では、平素より経皮的酸素飽和度(SpO2)を測定しておき、発熱時には変化がないかを必ず確認する。高齢者は、咳や痰などの一般的症状に乏しいが、多くの場合で発熱を伴う。しかし、発熱を伴わない場合もあるので注意する。聴診所見では、必ずしも特異的な所見がなく、脱水を伴っている場合はcoarse crackleは聴取しにくくなる。血液検査では、発症直後でも上昇しやすい白血球数を参考にするが、数が正常でも左方移動がみられれば有意と考える。CRPは、発症直後には上昇しにくいので、発症当日のCRP 値で重症度を評価することはできない。必要に応じてX線ポータブル検査を依頼する。■NHCAPにおける原因菌ガイドラインによると原因菌として表3 2)が考えられている。表3 NHCAP における原因菌●耐性菌のリスクがない場合肺炎球菌MSSAグラム陰性腸内細菌(クレブシエラ属、大腸菌など)インフルエンザ菌口腔内レンサ球菌非定型病原体(とくにクラミドフィラ属)●耐性菌のリスクがある場合(上記の菌種に加え、下記の菌を考慮する)緑膿菌MRSAアシネトバクター属ESBL産生腸内細菌ガイドラインでは、在宅療養している高齢者や寝たきりの患者では、喀出痰の採取は困難であり、また口腔内常在菌や気道内定着菌が混入するため、起因菌同定の意義は低く、診断や治療の相対的な判断材料として用い、抗菌薬の選択にはエンピリック治療を優先すべきである、とされている。実際の現場では、喀出痰が採取できる患者は肺炎が疑われた場合、抗菌薬を開始する前にグラム染色と好気性培養検査を依頼し、初期のエンピリック治療に反応が不十分な場合、その結果を参考に抗菌薬の変更を考慮している。■ガイドラインで示された治療区分とはガイドラインでは、市中肺炎診療ガイドラインで示しているような重症度基準(A-DROP分類)では、予後との関連がはっきりしなかったため、治療区分という考え方が導入された。この治療区分(図1)2)に沿って抗菌薬が推奨されている(図2)2)。画像を拡大する画像を拡大する画像を拡大するここでのポイントは、耐性菌のリスクの有無(90日以内の抗菌薬の投与、経管栄養があり、MRSAが分離された既往歴)が、問われていることである。■在宅患者における肺炎の重症度判断PSI(pneumonia severity index)は、患者を年齢、既往歴、身体所見・検査所見の異常など20因子による総得点により、最も正確に肺炎の重症度判定ができる尺度として有名である。そこで筆者の診療所では在宅診療対象患者のみを対象に、血液検査・画像所見の結果がなくても肺炎の重症度を推定できる方法はないかを検討した。身体所見や患者背景から得られた総得点をPSI for home-care based patients(PSI-HC)と名付け、この得点を基に患者を分類したところ、血液検査や画像所見がなくても予後を反映するものであった3)。当院ではそれを基に「発熱フェイスシート」を作成し、重症度の把握と家族への説明に利用している(図3)。なお、図中の死亡率は1年間における97人の肺炎患者をレトロスペクティブにみた値であり、今後さらなる検討が必要な参考値である。画像を拡大する■在宅における肺炎治療の実際実際の現場では、治療区分で入院が必要とされるB群でも、連日の抗菌薬投与ができるようであれば在宅での治療も可能である。先述したように、喀出痰が採取できない症例が多いため、在宅高齢者の肺炎の起因菌についての大規模なデータはないが、グラム陰性菌、嫌気性菌が主な起因菌であるといわれている。グラム陰性菌に抗菌力が強く、ブドウ球菌や肺炎球菌などのグラム陽性菌や一部の嫌気性菌を広くカバーする、ニューセフェムやレスピラトリーキノロンを第1選択としている。●経口投与の場合:レボフロキサシン(商品名:クラビット[LVFX])、モキシフロキサシン(同:アベロックス[MFLX])LVFXは1日1回500mgを標準投与量・法とする。腎排泄型の抗菌薬であり、糸球体濾過量(GFR)に応じて減量する。MFLXは主に肝代謝排泄型の抗菌薬であり、腎機能にかかわらず、1日1回400mgを標準投与量とする。●静脈投与の場合:セフトリアキソン(同:ロセフィン[CTRX])血中半減期が7~8時間と最も長いので1日1回投与でも十分な効果を発揮し、胆汁排泄型であることからGFRの低下を認める高齢者にも安心して使用できる。CTRXは緑膿菌に対して抗菌力がほとんどなく、ブドウ球菌、嫌気性菌などにも強い抗菌力はないといわれており、ガイドライン上でも誤嚥性肺炎には不適と記載されているが、筆者らは誤嚥性肺炎を含む、肺炎初期治療としてほとんどの患者に使用し、十分な効果を認めている。また、過去90日以内に抗菌薬の使用がある場合にも、同様に効果を認めている。3日間投与して解熱傾向を認めないときには、耐性菌や緑膿菌を考慮した抗菌薬に変更する。嫌気性菌をカバーする目的で、クリンダマイシン内服の併用やブドウ球菌や嫌気性菌に、より効果の強いニューキノロン内服を併用することもある。■入院適用はどのような場合か在宅では、病院と比較すると正確な診断は困難である。しかし、全身状態が保たれ、介護する家族など条件に恵まれれば、在宅で治療可能な場合が多い。筆者らは、先述した在宅患者の肺炎の重症度(PSI-HC)を利用して重症度の把握、家族への説明を行ったうえで、患者や家族の意思を尊重し、入院治療にするか在宅治療にするかを決定している。在宅高齢者が入院という環境変化により、肺炎は治癒したけれども、認知機能の悪化やADL低下などを経験している場合も少なくない。過去にそのような体験がある場合には、在宅でできる最大限の治療を行ってほしいと所望されることが多い。ただ、医療的には、高度の低酸素血症、意識低下や血圧低下を伴う重症肺炎や、エンピリック治療で正しく選択された抗菌薬を使い、3日~1週間近く治療を行っても改善傾向が明らかでない場合に入院を検討している。また、介護面では重症度にかかわらず、介護量が増えて家族や介護者が対応できない場合にも入院を考慮している。■肺炎予防と再発対策誤嚥性肺炎の治療および予防として表42)が挙げられる。表4 NHCAP における誤嚥性肺炎の治療方針1)抗菌薬治療(口腔内常在菌、嫌気菌に有効な薬剤を優先する)2)PPV 接種は可能であれば実施(重症化を防ぐためにインフルエンザワクチンの接種が望ましい)3)口腔ケアを行う4)摂食・嚥下リハビリテーションを行う5)嚥下機能を改善させる薬物療法を考慮(ACE阻害薬、シロスタゾール、など)6)意識レベルを高める努力(鎮静薬、睡眠薬の減量、中止、など)7)嚥下困難を生ずる薬剤の減量、中止8)栄養状態の改善を図る(ただし、PEG〔胃ろう〕自体に肺炎予防のエビデンスはない)9)就寝時の体位は頭位(上半身)の軽度挙上が望ましいガイドラインではNHCAPの主な発症機序として誤嚥性肺炎のほか、インフルエンザと関連する2次性細菌性肺炎の重要性が提案されており、わが国でも高齢者施設におけるインフルエンザワクチン、そして肺炎球菌ワクチンの効果がはっきり示されたこともあり、両ワクチンの接種が勧められる4)。日々の生活の中では、口腔ケアや摂食嚥下リハビリテーションは重要であり、歯科医師・歯科衛生士や言語聴覚士との連携で、より質の高いケアを提供することができる。●文献1)Yokobayashi K,et al. BMJ Open. 2014 Jul 9;4(7):e004998.2)日本呼吸器学会 医療・介護関連肺炎(NHCAP)診療ガイドライン作成委員会. 医療・介護関連肺炎診療ガイドライン. 2011.3)Ishibashi F, et al. Geriatr Gerontol Int. 2014 Mar 12 . [Epub ahead of print].4)Maruyama T,et al. BMJ. 2010 Mar 8;340:c1004.●関連リンク日本呼吸器学会 医療・介護関連肺炎(NHCAP)診療ガイドライン

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抗菌薬と小児喘息は本当に関連するのか/BMJ

 スウェーデン・カロリンスカ研究所のAnne K Ortqvist氏らは、従前、指摘されている「胎児期や出生後間もない抗菌薬曝露は小児喘息と関連している」という知見について、交絡因子による補正後も認められるのかを同国住民ベースのコホート研究で調べた。交絡因子として家族因子を用いた兄弟姉妹間比較や、抗菌薬の治療目的別の違いなどを検討した結果、家族因子は同関連を支持するものではなく、また呼吸器感染症の治療目的使用が尿路感染症や皮膚感染症と比べて関連が強いことなどを明らかにした。著者は、「家族因子や呼吸器感染症によって、同関連は示唆されたり否定されたりすることが判明した」とまとめている。BMJ誌オンライン版2014年11月28日号掲載の報告より。スウェーデン、2006~2010年の出生児49万3,785例について分析 検討は、スウェーデンの人口統計および健康レジスターから、2006~2010年の出生児49万3,785例を特定して行われた。そのうち適格条件を満たした18万894例については兄弟姉妹分析も行った。 喘息の診断歴および喘息薬の処方歴で喘息児を特定。抗菌薬曝露と喘息の関連を、Cox比例ハザード回帰法を用いて全コホートにおいて分析した。また兄弟姉妹群の層別化比例ハザードモデルを用いて、家族内共有因子で補正した分析も行った。さらに、特異的抗菌薬投与群と喘息との関連を評価し、呼吸感染症が交絡因子であるかについても調べた。家族因子、治療目的の感染症因子でリスクが増減 全コホート分析の結果、胎児期の抗菌薬投与と小児喘息リスク増大との関連が認められた(ハザード比:1.28、95%信頼区間[CI]:1.25~1.32)。しかし、同関連は兄弟姉妹分析ではみられなかった(同:0.99、0.92~1.07)。 また、全コホート分析で、小児期の呼吸器感染症治療目的での抗菌薬使用が(HR:4.12、95%CI:3.78~4.50)、尿路感染症および皮膚感染症治療目的での抗菌薬使用よりも(同:1.54、1.24~1.92)、小児喘息リスクが顕著に高かった。 しかし兄弟姉妹分析では、呼吸器感染症使用目的曝露後のリスクは全コホート分析時よりも低く(HR:2.36、95%CI:1.78~3.13)、尿路感染症および皮膚感染症使用目的曝露後ではリスクの増大は認められなかった(同:0.85、0.47~1.55)。

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【医療ニュース トップ100】2014年、最も読まれた「押さえておくべき」医学論文は?

今年も、4大医学誌の論文を日本語で紹介する『ジャーナル四天王』をはじめ、1,000本以上の論文をニュース形式で紹介してきました。その中で、会員の先生方の関心の高かった論文は何だったのでしょう? ここでは、アクセス数の多いものから100本を紹介します。 1位 日本男性の勃起硬度はアレと関連していた (2014/11/13) 2位 日本人若年性認知症で最も多い原因疾患は:筑波大学 (2014/1/7) 3位 子供はよく遊ばせておいたほうがよい (2014/3/28) 4位 思春期の精神障害、多くは20代前半で消失/Lancet (2014/1/27) 5位 なぜコーヒーでがんリスクが低下? (2014/7/31) 6位 メロンでかゆくなる主要アレルゲンを確認 (2014/4/15) 7位 新たな輸液プロトコル、造影剤誘発急性腎障害の予防に有効/Lancet (2014/6/9) 8位 体幹を鍛える腹部ブレーシング、腰痛に効果 (2014/5/7) 9位 コーヒーを多く飲む人は顔のシミが少ない (2014/8/7) 10位 スタチンと糖尿病リスク増大の関連判明/Lancet (2014/10/9) 11位 スルピリドをいま一度評価する (2014/5/16) 12位 米国の高血圧ガイドライン(JNC8)のインパクト/JAMA (2014/4/16) 13位 インフルエンザワクチン接種、無針注射器の時代に?/Lancet (2014/6/16) 14位 新規経口抗凝固薬4種vs.ワルファリン-心房細動患者のメタ解析-/Lancet (2013/12/25) 15位 アルコール依存症、薬物治療の減酒効果は?/JAMA (2014/5/29) 16位 SGLT2阻害薬「トホグリフロジン」の日本人への効果 (2014/2/28) 17位 大人のリンゴ病 4つの主要パターン (2014/7/29) 18位 脳動脈瘤、コイルvs. クリッピング、10年転帰/Lancet (2014/11/12) 19位 ACE阻害薬を超える心不全治療薬/NEJM (2014/9/8) 20位 アルツハイマーに有用な生薬はコレ (2014/11/14) 21位 塩分摂取と死亡リスクの関係はJカーブ/NEJM (2014/8/25) 22位 スタチン投与対象者はガイドラインごとに大きく異なる/JAMA (2014/4/14) 23位 食後血糖によい食事パターンは?(低脂肪vs低炭水化物vs地中海式) (2014/3/27) 24位 成人ADHDをどう見極める (2014/5/21) 25位 各種ダイエット法の減量効果/JAMA (2014/9/16) 26位 牛乳1日3杯以上で全死亡リスクが2倍/BMJ (2014/11/13) 27位 腰痛持ち女性、望ましい性交体位は? (2014/11/21) 28位 ロマンチックな恋愛は幸せか (2014/3/26) 29位 無糖コーヒーがうつ病リスク低下に寄与 (2014/5/8) 30位 下肢静脈瘤、ベストな治療法は?/NEJM (2014/10/10) 31位 せん妄管理における各抗精神病薬の違いは (2014/9/18) 32位 降圧薬投与量の自己調整の有用性/JAMA (2014/9/11) 33位 深部静脈血栓症の除外診断で注意すべきこと/BMJ (2014/3/20) 34位 StageII/III大腸がんでのD3郭清切除術「腹腔鏡下」vs「開腹」:ランダム化比較試験での短期成績(JCOG 0404) (2014/2/26) 35位 たった1つの質問で慢性腰痛患者のうつを評価できる (2014/2/21) 36位 スタチン時代にHDL上昇薬は必要か/BMJ (2014/8/7) 37位 就寝時、部屋は暗くしたほうがよいのか:奈良医大 (2014/8/29) 38位 認知症のBPSD改善に耳ツボ指圧が効果的 (2014/10/28) 39位 統合失調症患者の突然死、その主な原因は (2014/4/18) 40位 うつ病と殺虫剤、その関連が明らかに (2014/7/9) 41位 帯状疱疹のリスク増大要因が判明、若年ほど要注意/BMJ (2014/5/26) 42位 慢性のかゆみ、治療改善に有用な因子とは? (2014/7/1) 43位 女性の顔の肝斑、なぜ起きる? (2014/5/8) 44位 DES1年後のDAPT:継続か?中断か?/Lancet (2014/7/30) 45位 駆出率が保持された心不全での抗アルドステロン薬の効果は?/NEJM (2014/4/23) 46位 レビー小体型認知症、パーキンソン診断に有用な方法は (2014/10/30) 47位 アトピー性皮膚炎患者が避けるべきスキンケア用品 (2014/2/6) 48位 タバコの煙を吸い込む喫煙者の肺がんリスクは3.3倍:わが国の大規模症例対照研究 (2014/6/18) 49位 世界中で急拡大 「デング熱」の最新知見 (2014/10/17) 50位 円形脱毛症とビタミンDに深い関連あり (2014/4/10) 51位 不眠の薬物療法を減らすには (2014/7/23) 52位 オメプラゾールのメラニン阻害効果を確認 (2014/11/6) 53位 タバコ規制から50年で平均寿命が20年延長/JAMA (2014/1/16) 54位 ICUでの栄養療法、静脈と経腸は同等/NEJM (2014/10/15) 55位 認知症のBPSDに対する抗精神病薬のメリット、デメリット (2014/3/17) 56位 COPDにマクロライド系抗菌薬の長期療法は有効か (2014/1/13) 57位 座りきりの生活は心にどのような影響を及ぼすか (2014/5/12) 58位 PSA検診は有用か:13年後の比較/Lancet (2014/8/22) 59位 気道感染症への抗菌薬治療 待機的処方 vs 即時処方/BMJ (2014/3/17) 60位 血圧と12の心血管疾患の関連が明らかに~最新の研究より/Lancet (2014/6/19) 61位 マンモグラフィ検診は乳がん死を抑制しない/BMJ (2014/2/21) 62位 機能性便秘へのプロバイオティクスの効果 (2014/8/14) 63位 超高齢の大腸がん患者に手術は有用か:国内での検討 (2014/2/14) 64位 糖尿病予防には歩くよりヨガ (2014/8/4) 65位 乳がん術後リンパ節転移への放射線療法、効果が明確に/Lancet (2014/3/31) 66位 75歳以上でのマンモグラフィ検診は有効か (2014/8/11) 67位 大腸がん術後の定期検査、全死亡率を減少させず/JAMA (2014/1/23) 68位 「歩行とバランスの乱れ」はアルツハイマーのサインかも (2014/5/13) 69位 食事由来の脂肪酸の摂取状況、国によって大きなばらつき/BMJ (2014/4/28) 70位 心房細動合併の心不全、β遮断薬で予後改善せず/Lancet (2014/9/19) 71位 薬剤溶出ステントの直接比較、1年と5年では異なる結果に/Lancet (2014/3/24) 72位 ピロリ除菌、糖尿病だと失敗リスク2倍超 (2014/8/21) 73位 認知症にスタチンは有用か (2014/7/25) 74位 RA系阻害薬服用高齢者、ST合剤併用で突然死リスク1.38倍/BMJ (2014/11/20) 75位 腰痛へのアセトアミノフェンの効果に疑問/Lancet (2014/8/6) 76位 食べる速さはメタボと関連~日本の横断的研究 (2014/9/12) 77位 うつになったら、休むべきか働き続けるべきか (2014/9/16) 78位 英プライマリケアの抗菌治療失敗が増加/BMJ (2014/10/1) 79位 総胆管結石疑い 術前精査は必要?/JAMA (2014/7/21) 80位 歩くスピードが遅くなると認知症のサイン (2014/10/8) 81位 前立腺がん、全摘vs.放射線療法/BMJ (2014/3/10) 82位 緑茶が認知機能低下リスクを減少~日本の前向き研究 (2014/6/3) 83位 高力価スタチンが糖尿病発症リスクを増大させる/BMJ (2014/6/16) 84位 乳がんの病理学的完全奏効は代替エンドポイントとして不適/Lancet (2014/2/27) 85位 Na摂取増による血圧上昇、高血圧・高齢者で大/NEJM (2014/8/28) 86位 抗グルタミン酸受容体抗体が神経疾患に重大関与か (2014/8/15) 87位 歩数を2,000歩/日増加させれば心血管リスク8%低下/Lancet (2014/1/8) 88位 肩こりは頚椎X線で“みえる”のか (2014/3/19) 89位 地中海式ダイエットと糖尿病予防 (2014/4/7) 90位 閉塞性睡眠時無呼吸、CPAP vs. 夜間酸素補給/NEJM (2014/6/26) 91位 揚げ物は肥満遺伝子を活性化する?/BMJ (2014/4/3) 92位 6.5時間未満の睡眠で糖尿病リスク上昇 (2014/9/4) 93位 セロトニン症候群の発現メカニズムが判明 (2014/3/14) 94位 日本発!牛乳・乳製品を多く摂るほど認知症リスクが低下:久山町研究 (2014/6/20) 95位 肥満→腰痛のメカニズムの一部が明らかに (2014/8/8) 96位 低炭水化物食 vs 低脂肪食 (2014/8/7) 97位 認知症患者の調子のよい日/ 悪い日、決め手となるのは (2014/3/21) 98位 統合失調症患者は、なぜ過度に喫煙するのか (2014/7/2) 99位 血糖降下強化療法の評価―ACCORD試験続報/Lancet (2014/8/20) 100位 小児BCG接種、結核感染を2割予防/BMJ (2014/8/21) #feature2014 .dl_yy dt{width: 50px;} #feature2014 dl div{width: 600px;}

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腎移植後のBKウイルス尿症、キノロンで予防できるか/JAMA

 腎移植後レシピエントの重大合併症であるBKウイルス感染症に対して、移植後早期開始のレボフロキサシン(商品名:クラビットほか)療法(3ヵ月間投与)は、BKウイルス尿症発症を予防しなかったことが、カナダ・オタワ大学のGreg A. Knoll氏らによる、前向き二重盲検プラセボ対照無作為化試験の結果、判明した。BKウイルスの一般集団保有率は60~80%であり、移植後免疫療法は同ウイルスを再活性化することが知られる。ウイルス尿症に始まり、ウイルス血症、最終的にウイルス腎症に至る感染症の進行は、レシピエントの移植失敗に結びつくこと(10~100%)から問題視されている。今のところ同感染症に対する有効な治療戦略はないが、後ろ向き検討において、キノロン系抗菌薬の抗ウイルス効果が示されたことから、前向き試験による予防的投与の効果を検討する本試験が行われた。JAMA誌2014年11月26日号掲載の報告。移植後5日以内に3ヵ月間投与、プラセボ群と比較 試験は、2011年12月~2013年6月にカナダの7つの移植医療施設で行われた。被験者は、死体または生体腎移植を受けた154例で、移植後5日以内に開始する3ヵ月間のレボフロキサシン投与(500mg/日、76例)を受ける群と、プラセボ群(78例)に無作為に割り付けられ追跡を受けた。 主要アウトカムは、移植後1年以内のBKウイルス尿症発症(定量リアルタイムPCR法で検出)までの期間。副次アウトカムは、BKウイルス血症の発生率、ウイルス量最大値、拒絶反応、患者死亡率および移植片生着失敗率などであった。BKウイルス尿症発生のハザード比0.91で有意差なし、むしろ耐性菌リスク増大 本試験は、被験者154例のうち38例が追跡予定期間(12ヵ月)を完遂できなかった。38例のうち11例はウイルス尿症を発症したため、また27例はリスクが認められ、試験を早期に終了した(全被験者が完了した追跡期間は8ヵ月間)。全体の平均追跡期間は、レボフロキサシン群46.5週、プラセボ群46.3週であった。 BKウイルス尿症の発生は、レボフロキサシン群22例(29%)、プラセボ群26例(33.3%)で、両群に有意差は認められなかった(ハザード比:0.91、95%信頼区間[CI]:0.51~1.63、p=0.58)。また、各副次エンドポイントについても、両群間で有意差はみられなかった。 一方で、レボフロキサシン群でキノロン耐性菌感染症のリスク増大が認められた(58.3%vs. 33.3%、リスク比:1.75、95%CI:1.01~2.98)。また、有意ではなかったが腱炎リスクの増大も認められた(7.9%vs. 1.3%、リスク比:6.16、95%CI:0.76~49.95)。 試験期間中の腎機能は両群で同等であった。

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RA系阻害薬服用高齢者、ST合剤併用で突然死リスク1.38倍/BMJ

 ACE阻害薬またはARBのRA系阻害薬服用中の高齢患者では、経口ST合剤(トリメトプリム+スルファメトキサゾール)は突然死のリスクを増大することが、カナダ・トロント大学のMichael Fralick氏らによる住民ベースのコホート内症例対照研究の結果、明らかにされた。著者らは、同リスクの増大は、ST合剤により誘発された高カリウム血症によるものと推測され、高カリウム血症リスクの重大性を認識していなかったことに起因する可能性を指摘した。所見を踏まえて著者は「ACE阻害薬やARB服用中の患者が抗菌薬投与を必要とする際、担当医師は、トリメトプリムを含有しない抗菌薬を選択するか、トリメトプリムベースの治療を続けるにしても用量や投与期間を制限するとともに血清カリウム値のモニタリングを密に行うべきである」と提言している。BMJ誌オンライン版2014年10月30日号掲載の報告より。66歳以上のACE阻害薬、ARB服用者の抗菌薬投与後突然死を調査 ACE阻害薬またはARB服用中のST合剤投与は、アモキシシリンが関連した高カリウム血症による入院リスクが7倍と増大することが知られていた。研究グループは、それらの知見を踏まえて突然死との関連を明らかにする検討を行った。 1994年4月1日~2012年1月1日に、カナダ・オンタリオ州の住民でACE阻害薬またはARB治療を受けている66歳以上の高齢者を対象に行われた。外来で、ST合剤、アモキシシリン(商品名:サワシリンほか)、シプロフロキサシン(同:シプロキサンほか)、ノルフロキサシン(同:バクシダールほか)、ニトロフラントイン(国内未発売)のうちいずれか1つの処方を受けており、その直後に死亡していた人を症例群とし、各症例について、年齢、性別、慢性腎臓病、糖尿病に関する適合を行った(最大4項目)。 主要評価項目は、突然死と各抗菌薬曝露との関連についてのオッズ比(OR)で、アモキシシリンを参照値とし、疾患リスク指数別の突然死予測で補正後に算出し評価した。ST合剤服用後の突然死リスク、最大値は14日時点で1.54倍 対象期間中に、3万9,879例の突然死が報告されており、そのうち、抗菌薬曝露後7日以内の突然死の発生は1,027例であった。 適合対照群3,733例との検討において、アモキシシリンと比べて、補正後ORが最大であったのは、ST合剤で1.38(95%信頼区間[CI]:1.09~1.76)であった。同投与によるリスクは14日時点が最も高く、補正後ORは1.54(同:1.29~1.84)。すなわち、ST合剤を1,000例処方するごとに、14日以内の突然死が3例発生することが示唆された。 次いでシプロフロキサシンの7日以内突然死の補正後ORも1.29(同:1.03~1.62)とリスク増大が示されたが、ノルフロキサシン(OR:0.74)、ニトロフラントイン(OR:0.64)ではリスクの増大は認められなかった。

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RA系阻害薬使用中の高齢者への抗菌薬ST合剤使用で突然死!(解説:浦 信行 氏)-277

RA系阻害薬は、RA系を阻害することによるアルドステロン低下が高K血症を引き起こすことはよく知られた事実であり、致死性の不整脈を惹起することを念頭に置いた使用が望まれる。ST合剤(トリメトプリム。スルファメトキサゾール合剤)はわが国ではバクタ、バクトラミン、セプテリンの商品名で市販されており、それなりに汎用されている薬剤である。このたび、カナダのFralick氏らは、RA系阻害薬使用中の高齢者への、抗菌薬であるST合剤の使用が突然死のリスクを上げることをBMJ誌に報告した。 アモキシシリン使用例を対照とすると、ST合剤併用の突然死のリスクは7日目で1.38倍、14日目で1.54倍と有意に上昇するとの結果である。成分中のトリメトプリムの化学構造がK保持性利尿薬のアミロライドに類似しており、腎臓の遠位ネフロンに存在するアミロライド感受性の上皮型Naチャネルを抑制し、Na利尿を促進し、K利尿を抑制して、血清K濃度を上昇させる。ST合剤単独使用でも、投与例の80%に0.36 mEq/L以上の血清K濃度を上昇させ、6%に5.4 mEq/L以上の高K血症を引き起こすことが報告されている1)。 また、高齢者においてアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬使用例に各種K保持性利尿薬を併用すると、高K血症による入院のリスクは20倍になることも報告されている2)。著者らは、以前よりこの点に着目しており、ACE阻害薬使用例におけるST合剤の使用が、高K血症のリスクを6.7倍に上昇させることをすでに報告していた3)。その結果、本研究で示されるように、最終アウトカムである突然死のリスクが有意に増加するという重大な事実を明示した。 バクタ配合薬の添付文書は2012年8月に改訂されており、重大な副作用の(13)に高カリウム血症、低ナトリウム血症(頻度不明)と記載されている。しかし、相互作用、併用注意の項でRA系阻害薬やK保持性利尿薬併用時の注意喚起は記載されておらず、突然死の可能性を示す記載もない。高齢者は潜在的な腎機能低下を合併しやすく、その結果、腎代謝であるST合剤の血中濃度の上昇とK排泄能低下から、そのリスクが高まると考えられる。しかし、非高齢者においてもこのリスクは十分考慮されなければならない。

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CareNet座談会 「高齢者の肺炎診療 ~新しい肺炎球菌ワクチンで変わる高齢者肺炎予防~」

<座長><出席者>高齢者肺炎の現状と肺炎球菌ワクチンの重要性賀来(座長) 本日は、感染症の専門の先生方にお集まりいただき、高齢者の肺炎の現状と新しい肺炎球菌ワクチンについて伺います。私どもは東日本大震災後の感染症について解析しており、災害後の集団感染リスクから被災者を守る必要性を感じています。震災後に東北大学病院に入院した感染症患者は、高齢者の誤嚥性肺炎を含めた市中肺炎などの呼吸器感染症が67%を占め、肺炎の原因菌の25.8%が肺炎球菌であり(図1)1)、肺炎球菌ワクチン接種による肺炎発症予防の重要性を感じました。図1 東北大学病院における震災関連感染症の解析画像を拡大するはじめに、高齢者における肺炎球菌感染症対策の重要性について伺います。門田 肺炎はわが国の死因の第3位の疾患であり、死亡者の大半を高齢者が占める現状がありますが、なかでも肺炎球菌による肺炎が多く、65歳以上の市中肺炎入院患者を対象とした検討では肺炎球菌が約30%を占めることが報告されています2)。また、生命を脅かす重篤な疾患である髄膜炎や敗血症などの侵襲性肺炎球菌感染症も高齢者に多く起こりますので、肺炎球菌感染症の予防はきわめて重要です。三鴨 高齢者ではさまざまな基礎疾患を有することが多く、それらが肺炎リスクを高めていると考えられます。例えば、糖尿病患者では白血球の貪食能、殺菌能の低下により、感染症リスクが高まると考えられます。また、脳梗塞や一過性脳虚血発作の後遺症がある場合は、誤嚥が関連する肺炎のリスクが高いと考えられます。さらに、高齢者に対する治療を考えると、腎機能低下例が多いために抗菌薬療法を十分に行えない可能性があります。腎機能や肝機能に留意した治療が求められるのが高齢者の特徴です。賀来(座長) 誤嚥は肺炎の要因になりますが、そこでも原因菌として肺炎球菌は重要でしょうか。門田 誤嚥の疑いのある高齢者の肺炎において肺炎球菌が26%を占めていたという報告もあり3)、意外に多いことが明らかになりつつあります。三鴨 とくに不顕性誤嚥(睡眠中に無意識のうちに唾液などが気道に入る)があると誤嚥性肺炎のリスクが高まり、免疫機能の低下が加わることでさらにリスクが増加します。肺炎球菌が意外に多いことを考えると、やはり肺炎球菌ワクチンによる予防が重要となります。また、高齢者の基礎疾患と肺炎リスクは関連があると考えられますので、高齢者全員にワクチンを接種するユニバーサルワクチネーションの考え方が重要です。高齢者肺炎の診断と病態の特徴賀来(座長) 次に、高齢者肺炎の診断と病態の特徴について伺います。門田 高齢者肺炎において注意していただきたいのは、細菌性肺炎であっても白血球数が上昇しない場合があること、また、症状が潜在性の場合があることです。典型的な症状がなくとも、食欲減退・不活発・会話の欠如などがあり、肺炎が疑われる場合には早めに胸部画像検査をしていただきたいです。三鴨 高齢者の肺炎で、もう1つ臨床上重要な点は、不顕性誤嚥があると肺炎を繰り返す例が多いことです。門田 肺炎を繰り返すと、抗菌薬治療を繰り返すことで耐性菌が出現するリスクも高まります。三鴨 おっしゃるとおりです。そのため、私たちは高齢者の肺炎患者に対しては退院時に積極的に肺炎球菌ワクチンを接種するようにしています。新しい肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)のエビデンス賀来(座長) これまで高齢者に対しては肺炎球菌多糖体ワクチン(PPV)が用いられてきましたが、先頃、小児において使用実績の高い肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)が成人(65歳以上)に対しても適応が認められ、選択肢が広がりました。この新しいワクチンの特徴と期待されるメリットについて伺います。門田 PPVは肺炎球菌の莢膜多糖体を抗原とするワクチンですが、PCV13は莢膜多糖体にキャリアタンパクを結合させたワクチンであり、免疫原性が高いことが特徴です(図2)。図2 多糖体ワクチンと結合型ワクチンにより誘導される免疫応答の概略画像を拡大するキャリアタンパクを結合することでB細胞のみならずT細胞を活性化することが可能であり、免疫応答の惹起に加え、メモリーB細胞を介した免疫記憶の確立が期待できます。賀来(座長) これらの特徴は臨床試験からも確認されているのでしょうか。三鴨 国内における第III相試験4)では、肺炎球菌ワクチン未接種の65歳以上の日本人高齢者764例を対象として、従来のPPVを対照群とする非劣性試験が実施されました。接種1ヵ月後のオプソニン化貪食活性(OPA)を比較した結果、両ワクチンに共通する12種類の血清型のいずれについてもPCV13はPPVに対して非劣性を示しました。このうち9血清型についてはPCV13におけるOPAの有意な上昇が認められ、PCV13の免疫原性が示されました(図3)。図3 ワクチン血清型別OPA*幾何平均力価比画像を拡大する一方、海外における第III相試験5)では、1回目にPCV13またはPPVを接種し、その3~4年後にPPVを再接種した場合のOPAの上がり方を検討しており、PCV13を接種した群における再接種時の免疫応答からPCV13による免疫記憶の確立が示されています(図4)。この結果から、1回目にPCV13を接種すると、PCV13に続いて2回目に接種されるワクチンの免疫応答も増大すると考えられ、今後、両ワクチンの特性を活かして接種スケジュールを検討する際の参考にできると思います。図4 肺炎球菌ワクチンの2回目接種前後のワクチン血清型別OPA画像を拡大する高齢者に対する肺炎球菌ワクチン接種の今後の展望賀来(座長) PCV13が高齢者にも使用可能になったことにより肺炎球菌感染症の予防にさらなる期待がもたれます。今後、高齢者へのワクチン接種をさらに普及させるうえでどのような方策が必要でしょうか。門田 日本呼吸器学会では「ストップ肺炎キャンペーン」を展開しており、一般向け・医療従事者向けの冊子をWebでも公開しています6)。今後、呼吸器科のみならず他科の先生方にも肺炎予防の重要性を周知し、他疾患領域の学会とも連携して取り組む必要があると思います。三鴨 糖尿病やリウマチでは、新薬の登場により治療成績が向上していますが、その一方で感染症リスクが高まる場合もあるため、高齢者の感染症予防に対する関心が高まっています。こうした面からも肺炎球菌ワクチン接種の意義を訴求していけると思います。また、ワクチンの普及には行政の役割も重要です。2014年10月から、65歳以上を対象に成人用肺炎球菌ワクチンが定期接種化されました(表1)。国の制度では5年間で順次接種することになっていますが、私はすべての高齢者に接種することが望ましいと考えています。そのため、居住地である岐阜市の市長がワクチン接種の公費助成に力を入れる方針を示していることを知り、この地域に居を構えるアカデミアの一人として肺炎球菌ワクチンについて提言を行いました(表2)。その結果、岐阜市では本年度に65歳以上全員を接種対象として予算を組んでくれました。高齢者医療はこうした比較的小規模な枠組みからも改善でき、非常に重要な動向であると思っています。賀来(座長) 本日は、高齢者に対する肺炎球菌ワクチンの現状と今後の展望について詳細にお話を伺うことができました。皆さま、ありがとうございました。表1 65歳以上の成人用肺炎球菌ワクチン定期接種(B型)の経過措置を含めた接種対象年齢画像を拡大する表2 肺炎球菌ワクチンについての提言画像を拡大する参考文献1)賀来 満夫. 日本内科学会雑誌. 2014; 103: 572-580.2)石田 直. Infection Control. 2005; 14: 645-649.3)Ishida T, et al. Intern Med. 2012; 51: 2537-2544. 4)ファイザー(株) 社内資料 国内第Ⅲ相試験(非劣性試験、未接種者、B1851088試験).5)Jackson LA, et al. Vaccine. 31; 2013: 3594-3602.6)日本呼吸器学会ホームページ PCV13についての詳細は製品添付文書をご覧ください。

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バンコのMIC上昇、死亡リスクと関連せず/JAMA

 黄色ブドウ球菌(S aureus)血流感染(SAB)患者では、バンコマイシン(VCM)の最小発育阻止濃度(MIC)の高値例と低値例で死亡リスクに差はないことが、米国・ネブラスカ大学医療センターのAndre C. Kalil氏らの検討で示された。50歳以上の黄色ブドウ球菌感染患者に対しVCMは第一選択の治療薬とされるが、近年、VCMのMICが上昇傾向にあることが複数の研究で明らかにされている(MIC creepと呼ばれる)。また、3件のメタ解析では、VCMのMIC上昇は不良な転帰と関連する可能性が示唆されているが、死亡との関連や、MIC高値の場合はVCMを回避すべきかなどの問いへの解答は明確ではないという。JAMA誌2014年10月15日号掲載の報告。MIC高値と死亡の関連をメタ解析で評価 研究グループは、SAB患者におけるVCMのMIC上昇と死亡との関連を評価するために、系統的なレビューとメタ解析を実施した。2名の研究者が別個に、2014年4月までに5つの医学データベースに登録された文献を検索し、関連論文を選出した。 全体の解析ではVCM MICのカットオフ値を1.5mg/L(μg/mL)に設定し、≧1.5μg/mLを高MIC群、<1.5μg/mLを低MIC群とした。試験の質はNewcastle-Ottawaスケールで評価し、8~9点を最上質と定義した。主要評価項目は全死因死亡とし、ランダム効果モデルを用いて全データを統合した。 前向き試験8件および後ろ向き試験30件(日本の2試験を含む)の合計38試験に登録された8,291件のSABエピソードが解析の対象となった。全体の全死因死亡率は26.1%であった。死亡リスクの上昇、必ずしも排除できないが… SAB患者の推定死亡率は、高MIC群(2,740例)が26.8%、低MIC群(5,551例)は25.8%であり、両群間に差を認めなかった(補正リスク差[RD]:1.6%、95%信頼区間[CI]:-2.3~5.6%、p=0.43)。 最上質の試験(22件、6,486例)における推定死亡率は、高MIC群(2,318例)が26.2%、低MIC群(4,168例)は27.8%であり、やはり両群で同等であった(RD:0.9%、95%CI:-2.9~4.6%、p=0.65)。 メチシリン耐性菌(MRSA)感染に限定した解析(7,232例)でも、推定死亡率は高MIC群(2,384例)が27.6%、低MIC群(4,848例)は27.4%と差はみられなかった(RD:1.6%、95%CI:-2.3~5.5%、p=0.41)。 全死因死亡のサブグループ解析では、試験デザイン(前向き、後ろ向き、症例対照、症例集積)、薬剤感受性試験(微量液体希釈法、Etest)、MICのカットオフ値(1.5、2.0、4.0、8.0μg/mL)、臨床転帰(院内死亡、30日死亡)、菌血症の罹患期間、過去6ヵ月のVCM投与量、VCM治療歴の有無のいずれにおいても、高MIC群と低MIC群の間に差はみられなかった。 研究グループは、これらの知見の実臨床および公衆の保健上の意義として、(1)米国の臨床検査標準協会(CLSI)のVCM MICの標準値を低く設定する必要はほとんどない、(2)MICが1~2μg/mLの場合は通常、その差に意味はない、(3)MICの上昇がみられるが感受性の範囲内にある場合は、他の抗菌薬への変更は不要と思われる、を挙げている。 著者は、「本試験の結果は、MIC高値例における死亡リスクの上昇を明確に排除するものではないが、VCMの感受性の解釈や、MICが上昇するも感受性がある場合の薬剤変更の決定の際に考慮すべきである」と指摘している。

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事例23 レボフロキサシン(商品名:クラビット)投与日数の査定【斬らレセプト】

解説前月受傷の足底挫創に対して状態確認に通院された患者が熱発を訴えていた。足底の傷はきれいに治癒していたので、口腔内を目視したところ、扁桃腺に膿が付着していた。これが熱発の原因であると考えて急性扁桃炎と診断、クラビット®錠(レボフロキサシン)を14日分処方した。しかし、B事由(医学的に過剰・重複と認められるものをさす)を理由に7日分へと査定になった。同薬剤の添付文書を見てみると、「本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめる」と限度日数の明記はない。そのため14日分までは良いと考え、投与していた。しかし、「最小限の期間」とは、「感受性検査などを行ったうえで効果が予見できる期間」とされている。その期間は、他の多くの抗菌薬では添付文書にて7日間を限度とされていることから、保険診療における抗菌薬使用限度は、7日間が1つの目安とされていることが推測できる。事例もこの目安で7日分に査定となったものであろう。外来であって、急性感染症に対する抗菌薬の1処方に対して感受性検査などもないことから、7日以内に査定となっていてもおかしくはなかった事例であった。

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英プライマリケアの抗菌治療失敗が増加/BMJ

 英国では、1990年代後半にプライマリケアでの抗菌薬の処方が減少しプラトーに達した後、2000年以降再び増加し、耐性菌増加の懸念が出てきている。 英・カーディフ大学のCraig J Currie氏らは、1991~2012年における英国のプライマリケアでの主な4つの感染症における抗菌薬の治療失敗率について検討した。その結果、各感染症に対して初期治療で用いられる抗菌薬の上位10剤のうち、1剤以上が治療失敗と関連していた。また、この期間中に全体的な治療失敗率が12%増加し、その増加のほとんどは、プライマリケアでの抗菌薬処方が再び増加してきた2000年以降であることが報告された。BMJ誌2014年9月23日号に掲載。 著者らは、UK Clinical Practice Research Datalink(CPRD)のデータを用いて、上気道感染症、下気道感染症、皮膚・軟部組織感染症、急性中耳炎に対する抗菌薬単剤での初期治療の失敗率を縦断的に分析した。主な評価項目は、標準化した基準で定義された調整治療失敗率(1991年を100とした指数)とした。 主な結果は以下のとおり。・CPRDの抗菌薬処方箋約5,800万枚から、4つの適応症に対する単剤治療の1,096万7,607エピソードを分析した。それぞれのエピソードは、上気道感染症が423万6,574(38.6%)、下気道感染症が314万8,947(28.7%)、皮膚・軟部組織感染症が256万8,230(23.4%)、急性中耳炎が101万3,856(9.2%)であった。・1991年における全体的な治療失敗率は13.9%であり、上気道感染症12.0%、下気道感染症16.9%、皮膚・軟部組織感染症12.8%、急性中耳炎13.9%であった。・2012年における全体的な治療失敗率は15.4%で、1991年と比較し12%増加していた(1991年を100とした調整値:112、95%CI:112~113)。最も高かったのは下気道感染症であった(同調整値:135、95%CI:134~136)。・最もよく処方される抗菌薬(アモキシシリン、フェノキシメチルペニシリン、フルクロキサシリン)の治療失敗率は20%以下であった。一方、上気道感染症治療におけるトリメトプリム(1991~1995年:29.2% → 2008~2012年:70.1%)、下気道感染症治療におけるシプロフロキサシン(同22.3% → 30.8%)とセファレキシン(同22.0% → 30.8%)は顕著な増加が認められた。・広域スペクトルのペニシリン、マクロライド、フルクロキサシリンの治療失敗率は、ほぼ変化がなかった。

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1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第12回

第12回:胆石のマネージメント~無症状の対応から、胆石発作や急性胆嚢炎を起こした場合の対処まで~監修:吉本 尚(よしもと ひさし)氏 筑波大学附属病院 総合診療科 胆石は、腹部エコーを行ったら偶然見つかった、ということが日常診療では多いと思います。日本でも剖検による胆石保有率が2.4%1) と決して少なくありません。ここで、無症状の胆石への対応、胆石発作や急性胆嚢炎を起こした場合の対処を復習したいと思います。 以下、American Family Physician 2014年5月15日号2) より1.はじめに胆石は、消化器疾患の中でも最も多い疾患の1つである。胆石のリスクとして、糖尿病、肥満、女性、ホルモン製剤、避妊薬の内服がある。ほとんどの患者では無症状に経過し、超音波検査などで偶然見つかることが多い。偶然見つかった胆石患者のほとんどは、今後症状が出現する可能性は少ないが、一度症状が起きると胆石発作が繰り返される。2.症状、徴候胆石発作は、右上腹部の急性の疼痛として表現される。変動なく突然発症し、1時間でピークを迎える。90%が10年以内に再発をする。急性胆嚢炎の身体所見は何と言ってもMurphy sign(右季肋部を押さえると吸気時に痛くて呼吸が止まる)が重要である。3.診断腹部エコーがまず勧められる。胆石の診断において 感度が98%、特異度が95%である。MRCPは、エコーで描出できなかった場合に次に推奨される。胆石がある患者の6~12%に胆管結石があり、それらは膵炎や胆管炎のリスクになるので注意が必要である。MRCPとERCPは同等の診断精度を持つ。ただし、ERCPのほうが侵襲的で出血、膵炎、胆管炎が4~10%で生じる。4.治療胆石溶解剤の内服は、無症状の胆石に対する疼痛予防としては効果がない。手術の有無については、通常の無症状の胆石は経過観察をするが、例外として磁器様胆嚢(胆嚢がんのリスクあり)、溶血性貧血、3cm以上の胆石では手術を考慮する。胆石発作および胆嚢炎で手術を選択した場合は、ほとんどの症例で腹腔鏡下胆嚢摘出術が薦められる。ただし、経過観察も1つの選択肢となりうる。ある研究によると症状のある胆石に対しては35%に手術が必要で、平均5.6年手術を延長することができたとする報告がある。腹腔鏡下から開腹術に移行する可能性は、非炎症性であれば2~15%、胆嚢炎であると6~35%である3) 。待機的に行われた胆嚢摘出術であれば、予防的な抗菌薬の投与は不要である。ただし、ハイリスク(60歳以上、糖尿病を抱えるなど)であれば、予防投与により感染のリスクを軽減できるかもしれない。※本内容は、プライマリ・ケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、詳細に関しては原著を参照されることを推奨いたします。 1) 山口和哉ほか. 日臨外医会誌 1997; 58): 1986-1992. 2) Abraham S, et al. Am Fam Physician. 2014;89:795-802. 3) Sherwinter DA, et al. Laparoscopic cholecystectomy. Medscape.

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びまん性汎細気管支炎〔DPB : diffuse panbronchiolitis〕

1 疾患概要■ 概念・定義びまん性汎細気管支炎(diffuse panbronchiolitis:DPB)は病理組織学的には両側びまん性に分布する呼吸細気管支領域の慢性炎症像を特徴とし、臨床的には慢性副鼻腔炎を伴う慢性気道感染症の形を取る疾患である。そもそもDPBの疾患概念は1960年代に、わが国で確立されたものであるが、欧米においてDPBがほとんど存在しないため、長く認知されてこなかった。しかしながら、1983年、本間氏らによりChest誌上に紹介されて以来1)、徐々に理解が深まり、現在では広く認知され欧米の主要な教科書でも必ず触れられる疾患となっている。■ 疫学以前はそれほどまれな疾患ではなく、1970年代には人口10万人対11という有病率の報告もあったが、近年では典型例は激減し、めったに見ることがなくなった2)。男女差はなく、発症年齢は10~70代まで広く分布するが、発症のピークは中年である。多くの例で、幼小児期にまず慢性副鼻腔炎にて発症し、長い年月を経て下気道症状の咳、膿性痰が加わって症状が完成する。近年DPBが激減した背景には、戦後の日本人の生活水準が急速に向上し、栄養状態が大きく改善したことと、後述するマクロライド療法が耳鼻科領域の医師にも普及し、慢性副鼻腔炎の段階で治癒してしまうことの2つが大きな原因と考えられる。■ 病因明確な発症のメカニズムはまったく不明であるが、本症が病態として副鼻腔気管支症候群(sino-bronchial syndrome: SBS)の形を取ることから、背景には何らかの呼吸器系での防御機構の低下・欠損が推定される。さらにDPBでは親子・兄弟例が多く報告され、また家族内に部分症ともいえる慢性副鼻腔炎のみを有する例が多発することから、何らかの強い遺伝的素因に基づいて発症する疾患と考えられる。この観点からHLAの検討が行われ、日本人DPB患者では、一般人にはあまり保有されていないHLA-B54が高頻度に保有されていることが見出された3)。B54は特殊なHLAで、欧米人やアフリカ人にはまったく保有されず、東アジアの日本を含む一部の民族でのみ保有される抗原であり、このことがDPBという疾患が、欧米やアフリカにほとんど存在しないことと関連があると考えられる。■ 症状最も重要な症状は、慢性的な膿性の喀痰である。この症状のない例ではDPBの診断はまったく考えられない。痰に伴って咳があるのと、併存する慢性副鼻腔炎由来の症状である鼻閉、膿性鼻汁、嗅覚の低下が主症状である。疾患が進行していくと、気管支拡張や肺の破壊が進行し、息切れが増強し、呼吸不全状態となっていく。■ 予後1980年代以前のDPBはきわめて予後不良の疾患であり、1981年の調査では初診時からの5年生存率は42%、喀痰中の細菌が緑膿菌に交代してからの5年生存率はわずかに8%であった。しかしながら、1980年代半ばに工藤 翔二氏によるエリスロマイシン少量長期投与法が治療に導入されると予後は著明に改善し、早期に診断されてマクロライドが導入されれば、むしろ予後のよい疾患となった4)。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)病歴と特徴ある画像所見から、典型例では診断は難しくない。画像所見としては、胸部X線所見で中下肺野に強い、両側びまん性の辺縁不鮮な小粒状影の多発を認め、これにさまざまな程度の中葉・舌区から始まる気管支拡張像と過膨張所見が加わる。CT(HR-CT)は診断上、きわめて有用であり、(1) びまん性小葉中心性の粒状影、(2) 分岐線状陰影、(3) 気道壁の肥厚と拡張像がみられる。DPBの診断基準(表1)を示す。表1 びまん性汎細気管支炎の診断の手引き1. 概念びまん性汎細気管支炎(diffuse panbronchiolitis: DPE)とは、両肺びまん性に存在する呼吸細気管支領域の慢性炎症を特徴とし、呼吸機能障害を来す疾患である。病理組織学的には、呼吸細気管支炎を中心とした細気管支炎および細気管支周囲炎であり、リンパ球、形質細胞など円形細胞浸潤と泡沫細胞集簇がみられる。しばしばリンパ濾胞形成を伴い、肉芽組織や瘢痕巣により呼吸細気管支炎の閉塞を来し、進行すると気管支拡張を生じる。男女差はほとんどなく、発病年齢は40~50代をピークとし、若年者から高年齢まで各年代層にわたる。慢性の咳・痰、労作時息切れを主症状とし、高率に慢性副鼻腔炎を合併または既往に持ち、HLA抗原との相関などから遺伝性素因の関与が示唆されている#1。従来、慢性気道感染の進行による呼吸不全のため不良の転帰を取ることが多かったが、近年エリスロマイシン療法などによって予後改善がみられている。2. 主要臨床所見(1) 必須項目1)臨床症状:持続性の咳・痰、および労作時息切れ2)慢性副鼻腔炎の合併ないし既往#23)胸部X線またはCT所見: 胸部X線:両肺野びまん性散布性粒状影#3 胸部CT:両肺野びまん性小葉中心性粒状病変#4(2) 参考項目1)胸部聴診所見:断続性ラ音#52)呼吸機能および血液ガス所見:1秒率低下(70%低下)および低酸素血症(80Torr以下)#63)血液所見:寒冷凝集素価高値#73. 臨床診断(1) 診断の判定確実上記主要所見のうち必須項目1)~3)に加え、参考項目の2項目以上を満たすものほぼ確実必須項目1)~3)を満たすもの可能性あり必須項目のうち1)2)を満たすもの(2) 鑑別診断鑑別診断上注意を要する疾患は、慢性気管支炎、気管支拡張症、線毛不動症候群、閉塞性細気管支炎、嚢胞性線維症などである。病理組織学的検査は本症の確定診断上有用である。[付記]#1日本人症例ではHLA-B54、韓国人症例ではHLA-A11の保有率が高く、現時点では東アジア地域に集積する人種依存症の高い疾患である。#2X線写真で確認のこと。#3しばしば過膨張所見を伴う。進行すると両下肺に気管支拡張所見がみられ、時に巣状肺炎を伴う。#4しばしば細気管支の拡張や壁肥厚がみられる。#5多くは水泡音(coarse crackles)、時に連続性ラ音(wheezes、rhonchi)ないしスクウォーク(squawk)を伴う。#6進行すると肺活量減少、残気量(率)増加を伴う、肺拡散能力の低下はみられない。#7ヒト赤血球凝集法で64倍以上。(厚生省特定疾患びまん性肺疾患調査研究班班会議、平成10年12月12日)SBSの形を取り、画像上、前述のような所見がみられれば、臨床的に診断がなされる。寒冷凝集素価の持続高値、閉塞性換気障害、HLA-B54(+)といった所見が診断をさらに補強する。通常、病理組織検査を必要としないが、非典型例、関節リウマチ合併例、HTLV-1陽性例、他のSBSとの鑑別が難しい例などでは、胸腔鏡下肺生検による検体が必要となる場合もある。近年、DPBが激減していることから経験が不足し、COPD、気管支喘息などと診断されてしまっている例もみられ、注意を要する。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)表2 びまん性汎細気管支炎(DPB)に対するマクロライド療法の治療指針(2000年1月29日)マクロライド少量療法はDPBに対する基本療法であり、早期の症例ほどより高い臨床効果が得られることから、診断後は速やかにマクロライド少量治療法を開始すべきである。 なおマクロライド薬のうち、第1選択薬はエリスロマイシン(EM)である。(投与量及び用法)EM 1日投与量は400または600mgを分2または分3で経口投与する。(効果判定と治療期問)1.臨床効果は2~3ヵ月以内に認められることが多いが、最低6ヵ月は投与して、その臨床効果を判定する。2.長期投与により自覚症状、臨床検査所見(画像、肺機能など)が改善、安定し、重症度分類で4または5級(付記1)程度になれば、通算2年間の投与で終了する。3.終了後症状の再燃がみられれぱ、再投与が必要である。4.広汎な気管支拡張や呼吸不全を伴う進行症例で有効な場合は、通算2年間に限ることなく継続投与する。(付記)1.4級:咳・痰軽度。痰量10mL以下、息切れの程度はH-J II~III。安静時PaO2は70~79 Torrで、呼吸器症状のため社会での日常生活活動に支障がある。5級:呼吸器症状なし。安静時にPaO2は80 Torr以上。日常生活に支障なし。2.マクロライド薬のうち、現在までに本症に対する有効性が確認されているのは14員環マクロライド薬であり、16員環マクロライド薬は無効である。EMによる副作用や薬剤相互作用がある場合、あるいはEM無効症例では、14員環ニューマクロライド薬の投与を試みる。投与例 1)クラリスロマイシン(CAM)200または400mg 分1または分2経口投与2)ロキシスロマイシン(RXM)150または300mg 分1または分2経口投与炎症が強い例では、殺菌的な抗菌薬の静注やニューキノロン経口薬を短期間投与し、感染・炎症を抑えてから基本的治療に入る。基本的治療はエリスロマイシン、クラリスロマイシンを中心とした14員環マクロライドの少量長期投与である。これらの薬剤の抗炎症効果による改善が、通常投与後2週間くらいから顕著にみられる。エリスロマイシンでは400~600mg/日を6ヵ月~数年間以上用いる。著効が得られた場合はさらに減量して続行してもよい。ただし、気管支拡張が広範囲に進展し、呼吸不全状態にあるような例では、マクロライドの効果も限定的である。有効例では、投与後2週間くらいからまず喀痰量が減少し、この時点ですでに患者も自覚的な改善を認める。さらに数ヵ月~6ヵ月で呼吸機能、胸部X線像の改善がみられていく。同時に慢性副鼻腔炎症状も改善するが、嗅覚に関しては、やや改善に乏しい印象がある。マクロライドは一般的には、長期間投与しても何ら副作用を認めないことが多いが、まれに肝障害や時に胃腸障害を認める。元来マクロライドは、緑膿菌にはまったく抗菌力がないと考えられるが、近年の研究から14員環マクロライドが緑膿菌のquorum sensingという機能を抑制し、毒素産生やバイオフィルム形成を阻害することが解明されてきている。4 今後の展望典型例はほとんどみられなくなったが、日本人にはDPBの素因が今なお確実に受け継がれているはずであり、軽症例や関節リウマチなどの疾患に合併した例などが必ず出現する。 SBSをみた場合には、必ずDPBを第1に疑っていく必要がある。5 主たる診療科呼吸器内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)日本呼吸器学会 呼吸器の病気のコーナー(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)1)Homma H, et al. Chest. 1983; 83: 63-69.2)Kono C, et al. Sarcoidosis Vasc Diffuse Lung Dis. 2012; 29: 19-25.3)Sugiyama Y, et al. Am Rev Respir Dis. 1990; 141: 1459-1462.4)Kudoh S, et al. Am J Respir Crit Care Med. 1998; 157: 1829-1832.

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