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爪真菌症に対しタザロテン有望

 遠位側縁爪甲下爪真菌症は爪真菌症の中で最も多い病型である。爪甲下角質増殖を来し外用抗真菌薬の浸透が限られていることから、抗炎症作用および免疫調節作用を有し、角質増殖を伴う爪乾癬に対する有効性が確立されているタザロテン(tazarotene)が期待されている。イタリア・ローマ大学トルベルガータ校のElena Campione氏らは、予備的な非盲検臨床試験を行い、遠位側縁爪甲下爪真菌症に対しタザロテン0.1%ゲルの局所投与で臨床的に良好な治療成績が得られることを示した。著者は、爪真菌症に対するタザロテンの有効性および安全性を大規模臨床試験で確認する必要があるとまとめている。Drug Design, Development and Therapy誌オンライン版2015年2月16日号の掲載報告。 対象は、足の遠位側縁爪甲下爪真菌症患者15例で、タザロテン0.1%ゲルを1日1回、12週間、局所塗布した。試験開始時および終了時に爪の真菌培養および水酸化カリウム染色を行い、臨床的治癒および真菌陰性の場合に有効とした。 また、in vitroにおけるタザロテンの静真菌活性をディスク拡散法(48時間培養)にて評価した。 主な結果は以下のとおり。・投与4週後、6例(40%)が真菌学的治癒を達成した。・投与12週後、全例で臨床的治癒および真菌陰性を認めるとともに、感染した爪のすべての臨床的パラメータが有意に改善した。・すべての真菌培養検体で、中心領域の増殖抑制がみられた。・6ヵ月後の追跡調査でも、大部分の患者は治癒が維持されていた。

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股部白癬、体部白癬の治療エビデンスは?

 オランダ・ライデン大学医療センターのE J van Zuuren氏らは、股部白癬と体部白癬の局所治療の有効性および安全性のエビデンスを評価するコクラン系統的レビューを行った。129試験、被験者1万8,086例を包含し分析した結果、薬剤塗布による積極的治療はいずれも大半は効果的であることが示されたが、臨床意思決定に役立つエビデンスを示すには、さらに質の高い無作為化試験の必要性が判明したと報告している。股部白癬、体部白癬は一般開業医、皮膚科医がいずれも最もよく遭遇する真菌感染症である。British journal of dermatology誌オンライン版2014年10月7日号の掲載報告。 股部白癬、体部白癬の大半は、さまざまな外用抗真菌薬による治療が行われている。 検討は、Cochrane Skin Group Specialised Register、CENTRAL in The Cochrane Library、MEDLINE、EMBASE、LILACSなどを2013年8月時点で検索して行われた。 主な結果は以下のとおり。・129試験、被験者1万8,086例が参加した無作為化試験を包含して介入評価を行った。・介入の大半は、アゾール系薬によるものであった。・プールできたアウトカムのデータは、2つの治療についてのみであった。・テルビナフィン(商品名:ラミシールほか)は5試験におけるデータから、プラセボと比較して統計的に有意な臨床的治癒率が認められた(RR:4.51、95%CI:3.10~6.56)。・真菌別の治療データは、不均一性が大きくプールすることができなかった。・真菌学的治癒率は、ナフチフィン1%含有薬(国内未発売)がプラセボと比較して良好であることを支持するデータであった(3試験、RR:2.38、95%CI:1.80~3.14)。しかし、エビデンスの質は低かった。・アゾール+コルチコステロイド系薬は、アゾール系薬単独よりもわずかではあるが効果的であった。しかし、真菌学的治癒率に関する統計的な有意差は認められなかった。・65試験が「不明」であるとの評価を、また64試験は「バイアスリスクが高い」との評価をしていた。被験者は大半が20歳超であり、試験デザインが不十分で、報告も不十分であった。

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日本初“外用”爪白癬治療剤の特徴と有用性

 2014年9月2日(火)、爪白癬治療剤エフィナコナゾール(商品名:クレナフィン爪外用液10%)が発売された。本剤は、日本初の外用爪白癬治療剤で、科研製薬が創製した新規トリアゾール系化合物エフィナコナゾールを有効成分とする。 本剤の発売によって治療選択肢が増えた爪白癬治療。その現状および課題、新薬への期待について紹介する。爪白癬とは 爪白癬とは、皮膚糸状菌(白癬菌)が爪および爪の下の皮膚(爪床)に入って生じた感染症で、日本の有病者は1,100万人ともいわれている。 爪白癬はかゆみなどの症状はなく、主に爪の混濁、肥厚、変形などの外見上の変化を来す。病態が進行すると、肥厚した爪が靴で押さえられて痛くなったり、歩きづらくなったりすることもある。 また、身体の他部位や家族などへ感染が広がることもあるので、速やかに治療する必要がある。これまでの爪白癬治療と課題 これまで、日本国内で爪白癬に適応のある治療薬は、経口抗真菌薬のみであった。経口抗真菌薬のメリットとして、血流に乗って爪床で抗真菌作用を示すこと、他部位の白癬菌感染にも効果が期待できるといったことが挙げられる。 しかし、肝障害などの副作用や他剤との薬物相互作用が生じることがあるため、高齢者や合併症によって複数の薬剤を服用している患者さんでは、注意が必要となる。 経口抗真菌薬を服用できない場合は、適応外とはなるが、爪を削ったうえで外用抗真菌薬が塗布されることもあった。これまでの外用抗真菌薬は、爪床まで浸透しにくく、爪白癬には効果が期待できないためである。爪床まで浸透する外用抗真菌剤特徴 エフィナコナゾールは、エルゴステロールの生合成を阻害することで、抗真菌活性を発揮する。ケラチン親和性が低いため、爪の表面に塗るだけで爪床まで浸透し、爪白癬に効果が期待できる薬剤である。 なお、処方の際は、直接鏡検または培養などにより確定診断を行い、他疾患と鑑別する必要がある。有効性 日本人を含む国際共同第III相試験および海外第III相試験で、感染面積が20~50%(中等度)の爪白癬患者を対象とし、基剤群との二重盲検比較を行った。 エフィナコナゾールまたは基剤を48週間投与し、投与開始後52週目の完全治癒率、真菌学的治癒率、臨床的有効率などを評価した。その結果、エフィナコナゾール群は基剤群に比べて、有意な差が認められた。 なお、52週目の真菌学的治癒率(KOH直接鏡検と真菌培養検査がともに陰性の割合)は55.2%であった。安全性 上記の2試験における臨床検査値異常を含む副作用発現は、安全性評価対象例1,227例中78例(6.4%)であった。頻度の高いものは皮膚炎、水疱、紅斑、そう痒などで、主に適用部位にみられた。 血中移行性は低いため、経口抗真菌薬で問題となる全身性の副作用や薬物相互作用を回避できるという点でも期待が高い。使用方法 1日1回、罹患爪全体に塗布する。爪がひどく濡れている状態での塗布は避け、清潔な状態での塗布が望ましい。 爪の表面全体および皮膚との境界部まで塗布するが、皮膚に付着すると刺激を感じることがあるため、周囲の皮膚に付着した薬剤は拭き取る。完全に治癒するまで継続使用が大切 本剤は、爪の白癬菌に作用するもので、すでに変化した爪の外観を改善するものではない。爪が生え変わるまでは白癬菌が爪の中に残っていることもあるため、健康な爪に生え変わるまで継続して治療を続ける必要がある。 完全に治癒する前に自己判断で中断すると、再発・悪化、他部位や他者へ感染するおそれがある。また、すでに家族が罹患している場合は、白癬菌の移し合いにならないように全員で治癒を目指したい。早期治療、継続治療のために 最後に、クレナフィン爪外用液について、科研製薬株式会社の製品担当者に話を聞いた。「これまで、日本では外用の爪白癬治療剤はなく、経口抗真菌薬ではカバーしきれない症例も多くみられた。本剤の登場により、より安全・簡便に有効性が期待できるため、新たな選択肢として先生方や患者さんのお役に立てるのではないかと考えている」としたうえで、「爪白癬の症状は外見の変化が主で、痛みやかゆみが少ないので、病気と認識していない患者さんも少なくない。早期治療、継続治療の必要性を説明するため、情報を提供していきたい」と語った。 新たな治療選択肢であるクレナフィン爪外用液によって、患者さんのQOLおよび全身性副作用や薬物相互作用への懸念が少ない爪白癬治療の実現につながるものと考えられる。また、外用剤という利便性から良好なアドヒアランスが見込まれ、治療の継続につながることが期待される。

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足の爪真菌症診断に共焦点反射顕微鏡が有用

 フランス・ニース大学中央病院のMomen Pharaon氏らは、足の爪真菌症の診断について、標準的な真菌検査と比較した共焦点反射顕微鏡(RCM)の診断精度を評価した。その結果、RCMは特異度に優れ、抗真菌薬治療の処方を強化するため、またフォローアップに関して診察室で迅速に行える検査法であることが示された。Journal of the American Academy of Dermatology誌2014年7月号(オンライン版2014年4月29日号)の掲載報告。 研究グループは、「爪真菌症の臨床症状は非特異的なことが多く、不適切な抗真菌治療につながる可能性がある。また真菌検査には多くの欠点がある」として、標準的な真菌検査とRCMとの診断精度を比較する検討を行った。 爪真菌症疑いの患者58例を、前向きに登録。RCM、水酸化カリウム処理と菌培養を、爪真菌症が確認された患者においてベースライン時と治療後に行った。 爪真菌症のRCM診断は、有隔菌糸および/またはアルスロコニジアに対応する爪甲の線状痕および/またはroundish構造の存在に基づいた。 主な結果は以下のとおり。・登録患者58例のうち46例において、RCMによる層別化が正しくできた。診断率は79.3%、感度52.9%、特異度は90.2%、陽性適中率69.2%、陰性適中率は82.2%であった。・手持ちタイプのRCM機器を用いることで、同様の精度でより速やかな診断が可能であった。・9例の患者において、治療後に行ったRCMで爪甲の正常所見がみられた。治癒は真菌検査またはフォローアップによって確認された。・従来のRCMスキャナヘッドは、爪を調べることを目的としたものではなく、その点で本検討は限界がある。・感度は、テクニカルな改善で補える可能性があった。

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1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第8回

第8回:爪甲真菌症:疑えば繰り返し検査を、治療は適切な抗真菌薬と期間で 日本医真菌学会の調査によると、爪甲真菌症を含むすべての皮膚真菌症は皮膚科の新患患者の12.3%を占め、皮膚科医としても頻度の高い皮膚感染症であるとされます1)。 またプライマリ・ケア医が関わる診療現場でも、直面する頻度の高い皮膚疾患であります。他の疾患をフォロー中に見つける場面は少なからずあり、診断・治療については現場で悩みながら、もしくは経験的に治療する場面もあるかもしれません。 以下、本文 American Family Physician 2013年12月1日号2)より爪甲真菌症1.概要爪甲真菌症は手指爪や足指爪の真菌感染症で、変色・肥厚・爪床からの分離を来す。爪甲真菌症は人口の10%程度に生じるが高齢者に多くみられ、60歳以上では20%、70歳以上ともなると50%もの有病率に至る。高齢者の有病率が増える背景としては末梢血管疾患、免疫異常、糖尿病との関連がいわれている。糖尿病があると1.9〜2.8倍にリスクが増加するともいわれる。HIVを基礎疾患に持つ人では15〜40%の有病率といわれる。2.微生物学的原因さまざまな原因菌があるが、最も多いのはTrichophyton(白癬菌属)の中の皮膚糸状菌である。他の菌種は、Candidaで手指爪に多く、慢性の粘膜皮膚カンジダ症でみられる。3.分類形態学的な観点からいくつかの種類に分類される。 遠位側縁爪甲下爪真菌症(DLSO):下爪皮から爪甲・爪床へ向かい広がっていく。爪は肥厚し崩れ、萎縮する。色調は黄〜白色もしくは褐色〜黒色へ変化する。頻度は最多。 全層性爪真菌症:爪が乳白色変化し、でこぼこで、層状に分裂した状態。稀である。DLSOの亜系とも考えられる。 近位爪甲下爪真菌症(PSO):爪の近位部の下で沈殿が積み重なった状態。近位から遠位へ進行し白色変化する。免疫抑制状態を示唆する。 表在性皮膚真菌症(SO):爪表面に線状横断するような粉状の変化がみられる。 全異栄養性爪真菌症(TDO):長期の感染により爪構造が完全に破壊される。4.診断爪の変色・変形・肥大・角化、爪下沈殿あり:爪甲真菌症疑い  ↓70%イソプロピルアルコールで消毒し、切り落とした爪や爪下沈殿からの検体を採取  ↓KOHを使用し検鏡  ↓陽性:治療開始:起因微生物を同定するための検査も考慮  ↓培養確認、またPAS染色でも評価(陰性の際もこの過程を)(※PAS染色の感度:82%培養[ 53%、KOH法 46%])(※培養とPAS染色を合わせることで感度を96%まで上げられる)  ↓陽性:治療開始陰性:他の部位からの検体採取を検討5.治療と効果 臨床的治癒:爪の80〜100%が正常形態になっていること 真菌的治癒:培養、検鏡で病原体が検出されないこと フルコナゾール 100〜300mg/週 3〜6ヵ月(手指)、6〜12ヵ月(足指)カンジダ種に対して効果。副作用は嘔気・嘔吐・下痢・腹痛・頭痛・発疹。臨床的治癒率 41%、真菌的治癒率 48%。 イトラコナゾールパルス法 200mg 2回/日を1週間内服/月 2ヵ月(手指)3ヵ月(足指)持続法 200mg 1回/日 6週間(手指)12週間(足指)カンジダ種、皮膚糸状菌、アスペルギルス種などに効果。副作用は嘔気・嘔吐・低カリウム・トランスアミナーゼ上昇・中性脂肪上昇・発疹。臨床的治癒率 70%、真菌的治癒率 パルス法 63% / 持続法 69%。 テルビナフィン 250mg 1回/日を6週間(手指)12週間(足指)糸状菌、酵母菌(カンジダなど)の一部に効果。副作用は胃腸障害・発疹・頭痛。臨床的治癒率 66%、真菌的治癒率 76%。※本内容は、プライマリ・ケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、詳細に関しては原著を参照されることを推奨いたします。 1) 日本皮膚科学会雑誌.皮膚真菌症診断・治療ガイドライン 2) Westerberg DP, et al. Am Fam Physician. 2013 Dec 1;88:762-770.

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足爪白癬に抗菌外用薬+レーザー治療が有効?

 足爪白癬の治療として、抗真菌外用薬とフラクショナルCO2レーザーの組み合わせが有効であることが、韓国・忠南大学校のEun-Hwa Lim氏らによる検討の結果、報告された。足爪白癬の従来療法は経口抗真菌薬の内服治療だが、有効性が低~中等度であり、有害反応や副作用の可能性もあり、使用が制限される患者も少なくない。今回の結果について著者は、「内服治療が禁忌となる患者のオプション治療として検討されるべきであろう」と述べている。Journal of the American Academy of Dermatology誌2014年5月号(オンライン版2014年3月18日号)の掲載報告。 研究グループは、爪白癬治療としての抗真菌外用薬とフラクショナルCO2レーザーの組み合わせの臨床的な有効性と安全性を調べるため24例の患者を対象に検討を行った。 レーザー治療は、4週間間隔で3セッション行った。有効性の評価は、一般写真画像、爪甲下型の直接鏡検、主観的評価とした。 主な結果は以下のとおり。・被験者24例のうち、92%が臨床的有効性を示した。50%は直接鏡検で陰性を確認し治癒したことが示された。・アウトカム成功例に影響を及ぼした因子として、爪白癬のタイプと治療前の爪甲の厚みが明らかになった。・治療レジメンへの忍容性も良好で、最終治療後3ヵ月後も再発はみられなかった。・なお本検討は、24例の患者を追跡したものであり、対照群を設定していなかった点で限定的である。

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脂漏性皮膚炎への経口抗真菌薬の使用実態が明らかに

 カナダ・トロント大学のA.K. Gupta氏らは、脂漏性皮膚炎に対する経口薬治療について発表された文献数とその質について系統的レビューを行った。脂漏性皮膚炎は通常、局所ステロイドまたは抗真菌薬による治療が行われ、重症例もしくは治療抵抗性の場合には経口薬治療が可能とされている。Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology誌2014年1月号の掲載報告。 Gupta氏らによる系統的レビューは、MEDLINE、Embaseのデータベースおよび文献参照リストを探索して行われた。脂漏性皮膚炎の経口薬治療に関するあらゆる報告を対象とした。 文献の質について、Downs&Black修正27項目チェックリストを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・検索により、8つの経口薬治療(イトラコナゾール、テルビナフィン、フルコナゾール、ケトコナゾール、プラミコナゾール、プレドニゾン、イソトレチノイン(国内未承認)、ホメオパシー療法)をカバーした21本の報告(無作為化対照試験、非盲検試験、症例報告)が特定された。・大半の報告は、経口抗真菌薬について検討していたが、その質は概して低かった。・臨床的有効性アウトカムは、試験間でかなりのばらつきがあり、統計解析と治療間の直接比較は難しかった。・その中で、ケトコナゾール治療は、ほかの経口薬治療と比較して脂漏性皮膚炎再発との関連がより大きかった。・イトラコナゾールの投与量は通常、最初の1ヵ月の第一週は200mg/日、2~11ヵ月は、月初めの2日間に200mg/日が投与されていた。・テルビナフィンは、250mg/日を連続投与(4~6週)もしくは間欠投与(月に12日間を3ヵ月)で処方されていた。・フルコナゾールは、連日投与(50mg/日を2週間)もしくは毎週投与(200~300mg)を2~4週で設定されていた。・ケトコナゾールの投与レジメンは1日200mgを4週間であった。・プラミコナゾールは、200mg単回投与であった。・著者は、「今回のレビューにより、将来、試験をデザインする際に考慮すべきキー領域が明らかになった」とまとめている。

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爪真菌症にアルバコナゾールが奏効

 新たなトリアゾール系経口抗真菌薬アルバコナゾール(国内未承認)について、足親指の遠位爪甲下型爪真菌症に対する高い有効性と安全性が確認されたことが報告された。アイスランド大学のBarour Sigurgeirsson氏らによる4つの用量レジメンについて検討した第2相無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験の結果、示された。爪真菌症に対する有効な治療としては、テルビナフィン(商品名:ラミシールほか)、イトラコナゾール(同:イトリゾールほか)があるが、頻繁な反復投与を必要とする頻度が高く、肝・心臓の有害事象を引き起こす可能性がある。今回の試験ではアルバコナゾールの4レジメンともに肝・心臓の重大有害事象はみられなかったという。Journal of the American Academy of Dermatology誌2013年9月号(オンライン版2013年5月22日号)の掲載報告。 研究グループは、足親指の遠位爪甲下型爪真菌症に対するアルバコナゾール週1回投与の有効性と安全性について検討した。試験は、584例の患者を、アルバコナゾール100~400mg、またはプラセボをそれぞれ週1回投与する二つの群に割り付け行われた。治療期間は24週間または36週間であった。 有効性の指標は、52週時点での菌学的治癒および爪が透明またはほぼ透明であることとした。 主な結果は以下のとおり。・52週時点の有効率は、4つの用量レジメンすべての治療群(21~54%)がすべてプラセボ(1%)よりも有意に高かった(すべての群のp<0.001)。・ほとんどの群で患者の5%以上が、治療奏効を24週時点で達成していた。・有害事象の大部分は軽度~中程度であった。・治療関連の有害事象は3%以内であった。また、治療関連の肝・心臓の重大有害事象はみられなかった。・今回の試験は、追跡調査期間が短く有効性の最大値を評価することができなかったこと(治癒率が試験終了時点で増大していた)、アルバコナゾールの有効性と忍容性についてほかの治療薬との比較は行われなかったこと、目標病変の足指の爪の変化は主観的評価であったという点について限界があった。・以上を踏まえて著者は、「アルバコナゾールは爪真菌症に対して、いずれの用量でも忍容性は良好で高い治癒率を示した」と結論している。

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汚染メチルプレドニゾロン注射による脊椎真菌感染症、MRIで高精度に識別/JAMA

 汚染されたメチルプレドニゾロン注射を受けた人に対し、MRI検査を行うことで、脊椎または傍脊椎真菌感染症の有無を、高い精度で識別できることが明らかになった。米国・St Joseph Mercy HospitalのAnurag N. Malani氏らが行った試験の結果、報告したもので、MRI所見で異常が認められた36例中35例で、同真菌感染症である可能性が高いと診断されたという。米国では2012年に、汚染されたメチルプレドニゾロン注射(薬局で調製)が原因で、多州にわたる髄膜炎のアウトブレイクが発生している。JAMA誌2013年6月19日号掲載の報告より。汚染薬剤の注射を受け、副作用について未治療の172例にMRI検査 研究グループは、汚染されたメチルプレドニゾロン注射を受けていながら、その副作用について治療を受けていない患者、172例を試験の対象とした。被験者に対し、2012年11月~2013年4月にかけてMRI検査を行い、その所見による脊椎・傍脊椎真菌感染症の識別能について調べた21%にMRI所見異常、その大部分がCDC基準で脊椎・傍脊椎感染が高い可能性 その結果、被験者のうちMRI所見で異常が認められたのは36例(21%)で、硬膜外または傍脊椎に膿瘍や蜂巣織炎、くも膜炎、脊椎骨髄炎、椎間板炎、また中程度から重度の硬膜外・傍脊椎・硬膜内の増強が認められた。 そのうち35例が、米国疾病予防管理センター(CDC)の診断基準で、脊椎・傍脊椎真菌感染症の可能性が高い(17例)、または確定的(18例)であると診断された。 35例の患者全員に、抗真菌剤(ボリコナゾール、アムホテリシンBリポソーム製剤の併用・非併用)を投与した。そのうち24例は、外科的創面切除術を要したが、手術時点で17例(71%)が、臨床検査によって真菌感染症が確認された。なお、同17例中5例は、自覚症状がなかった。

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「内科で遭遇する皮膚疾患」に関するアンケート結果 part 2

Q1皮膚疾患を診療する上で困っていることがありましたら教えてください<診断・治療について>「このほくろは大丈夫ですか」と聞かれることが多いが、皮膚科医へわざわざ紹介すべきか、経過観察でよいかの判断がつかない。 患者さんとしては、受診したついでに質問されていることなので、それを全例「皮膚科へ行ってください」では患者さんのニーズにこたえていないと思う。しかし実際のところ判断がつかないので「大丈夫です」とも言えない。(勤務医・内科)ステロイドを使用するかどうか迷う時がある。(勤務医・内科)どういう湿疹や病状なら皮膚科に紹介すべきか悩む。(開業医・内科)患者さんから皮膚科医の処方の継続を依頼されるが、薬剤の中止や変更の判断が困る。(開業医・内科)感染性の皮膚疾患が診断できなくて、困っている。(勤務医・内科)緊急性の有無がよく分からない。(開業医・内科)黒色の色素斑が、悪性なのかどうか聞かれることがあるが、難しい。かといって、すべてを紹介するわけにもいかず、悩むことが多い。(開業医・内科)初期の病状は何とかなるが、しばらくたってからの皮膚病変をどのようしたらよいかわからない。(開業医・内科)他の医師で比較的安易にステロイド含有剤を内服処方しているので、離脱が大変である。(開業医・内科)皮膚科と違い、内科では、外来でKOHなど迅速に検査することができず、白癬として抗真菌薬を処方すべきか、ステロイド外用薬を処方すべきなのか、悩むことがある。(勤務医・内科)風疹などの感染症との鑑別。とくにウィルス性のカゼや溶連菌などで出てくる皮疹との鑑別。また、薬疹が疑われる場合の原因物質の究明。(開業医・内科)薬疹の原因薬剤が最終的に絞りきれない症例がある。(勤務医・内科)蕁麻疹と思われるが長期化している症例や受診時には皮疹が消失している症例がある。(勤務医・内科)<患者さんについて>あきらかに皮膚科的専門性のある疾患で、皮膚科受診を勧めるも、行きたがらないこと。(開業医・内科)皮膚に関して相談されたときは基本的に皮膚科に紹介している。ところがなぜか患者は”皮膚が悪いのは内臓から来ているのではないか”と内科を先に受診されることがままあり、困っている。(勤務医・内科)皮膚科受診を勧めても、当方での治療を希望される方が少なからずいる。今のところ大きなミスはないが、やはり専門医に行ってほしい。(開業医・内科)<その他>気軽に相談できる皮膚科医がそばにいない。(開業医・内科)当院は、総合病院でないため皮膚科医が在籍しない。外来患者で診断に困る場合や難治性の場合には他院の皮膚科専門医に紹介できるが、入院の場合には紹介しにくい。出来るだけ自分自身の診断能力の向上に努めているが限界がある。(勤務医・内科)疥癬など、急いで診断治療しないといけない疾患や薬疹を疑った時など、皮膚科にすぐコンサルトできる時は良いが、できないときに困る。(勤務医・内科)

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エキスパートに聞く!「内科医がおさえるべき皮膚診療ポイント」Q&A part1

CareNet.comでは『内科で診る皮膚疾患特集』を配信するにあたり、事前に会員の先生より質問を募集しました。その中から、とくに多く寄せられた質問に対し、三橋善比古先生にご回答いただきましたので、全2回でお届けします。皮膚科専門医に紹介すべき疾患の見分け方、緊急性のある皮膚疾患の見分け方のポイントがあれば教えてください。発熱がある場合は緊急性があることが多いと思います。皮膚所見では、全身が赤い紅皮症状態、水疱形成や粘膜症状がある例が重症疾患のことが多いと思います。数日間観察して悪化傾向があれば、その後も悪化することが考えられるので紹介すべきです。この悪化傾向は必ずしも面積の拡大を意味しません。中毒疹は体幹に始まり、軽快するときに四肢に拡大していくことが多いのです。面積が拡大しているので悪化していると解釈されることが多いですが、実際は軽快していることもあります。この場合、色調や浸潤に注意すると、面積は拡大しても赤みが薄くなって浸潤が改善していることがあります。これは軽快の徴候です。プライマリ・ケアで注意すべき皮膚疾患はどのようなものがあるでしょうか?湿疹・皮膚炎群、蕁麻疹、表在性白癬で、全皮膚疾患患者の半分程度を占めるとされています。これらの疾患に対応できればかなりの部分をカバーできると思われます。白癬を疑うケース:内科外来では顕微鏡やKOH検査ができません。そのような場合、どのように対処すべきでしょうか? まず抗真菌薬を処方すべきか、ステロイド外用薬を処方すべきかなど悩みます。皮膚科でKOH検査を行っても湿疹か白癬か判別できないことがあります。このような場合は、必ず後日再来する約束をしてステロイド薬の外用を行い、再度、真菌鏡検を行って診断を確定することがあります。この場合、ステロイド薬外用は、湿疹性病変を治療することで白癬病変を明瞭化すること、かゆみを取り除くという意味があります。真菌鏡検ができないときはこの手は使えませんので、まず抗真菌薬を外用する方がよいと思います。ステロイド外用で真菌病変が悪化してしまうことを避けるためです。蕁麻疹について:受診時には皮疹が消失している症例にはどのように対処したらよいでしょうか?蕁麻疹は膨疹を特徴とする疾患です。膨疹は短時間で出没することが特徴です。出たり消えたりしているわけです。全体としては続いていることもあるし、全体が消えてしまうこともあります。従って、診察の時に発疹がまったくないことは珍しくありません。むしろこれが、他の疾患ではみられない蕁麻疹の特徴です。蕁麻疹はアレルギー性のほか、運動誘発性、寒冷、温熱、コリン性など原因は多彩です。蕁麻疹の治療は、抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬の内服が第一選択です。ステロイド外用はあまり意味がありません。もし外用薬を処方する場合は、ジフェンヒドラミン(商品名:レスタミンコーワクリーム)などのステロイドを含まないものがよいでしょう。複数の皮膚病変が合併している場合の対処法について教えてください。複数の皮膚病変の合併と聞いて、真っ先に、水虫(足白癬)に細菌の二次感染が合併している状態を思い出しました。このような患者は、これから暑くなってくると毎日のように来院されます。また、足白癬の治療のための外用薬による接触皮膚炎を合併している患者もおられます。これら3疾患を併発していることもあります。このようなときの治療は、後で生じたものから治療するという原則があります。白癬に細菌感染では、細菌感染から治療します。接触皮膚炎を合併していたら、まず接触皮膚炎を治療します。原則にこだわるよりも、急を要するものから治療すると考えるのがいいかも知れません。いずれにしても、白癬の治療は最後でよいのです。

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(87)〕 クリプトコッカス髄膜炎に対する抗真菌薬の併用療法は単独療法より有効か?

クリプトコッカス髄膜炎は、進行したHIV感染症患者でよくみられる日和見感染症である。HIV感染症に合併したクリプトコッカス髄膜炎の治療は、導入療法、地固め療法、維持(あるいは抑制)療法の3段階に分けられる。米国感染症学会のガイドラインでは、導入療法としてアムホテリシンBとフルシトシンの併用療法を第一選択と位置付けている。この治療法は、アムホテリシンB単独投与と比べ、髄液の無菌化に要する時間を短縮させることがわかっていたものの、死亡率を低減させるかどうかについては明らかになっていなかった。  本研究は、HIV感染症患者のクリプトコッカス髄膜炎における抗真菌薬の併用療法の有効性を調べるために行った、オープンラベルのランダム化比較試験(299例)である。導入療法に用いる抗真菌薬を(1) アムホテリシンB単独(1mg/kg/日)4週間、(2) アムホテリシンBとフルシトシン併用(それぞれ1mg/kg/日、100mg/kg/日)2週間、(3) アムホテリシンBと高用量フルコナゾール併用(それぞれ1mg/kg/日、800mg/日)2週間、の3群に分け、その後地固め療法としてフルコナゾール(400mg/日)を10週間まで投与し、生存率などを比較検討した。  その結果、アムホテリシンB単独群よりもアムホテリシンBとフルシトシン併用群の方が、14日時点、70日時点での死亡が少なかった(14日時点:p=0.08、70日時点:p=0.04)。アムホテリシンBとフルコナゾール併用群では、アムホテリシンB単独群と比較し、生存率に有意差を認めなかった(14日時点:p=0.42、70日時点:p=0.13)。髄液の無菌化に要する時間は、アムホテリシンBとフルシトシン併用群が他の2群より有意に短かった。有害事象の発生率は3群間で同等だった。  アムホテリシンBとフルシトシンの併用療法が、アムホテリシンB単独療法と比較し、死亡率を有意に低減させたことを示した意義は大きい。本研究の対象患者には、治療開始時に髄液の真菌量が多い患者や意識障害の強い患者が多く含まれており、とくに重症患者ではアムホテリシンBとフルシトシンの併用療法を考慮すべきと考える。  日本の施設では、アムホテリシンBではなくアムホテリシンBリポソーム製剤が多く使用されているだろう。したがって、厳密にはこちらの製剤での検討も必要である。また、本研究では導入療法の期間を限定していたが、実際の現場では、全身状態が悪化していたり、髄液の無菌化が図れていない場合は、導入療法の期間を延長してもよいだろう。  最後に、本研究では、アムホテリシンBとフルシトシン併用群でも、14日死亡率が15%、70日死亡率が31%と高い。このため、治療薬の選択や治療期間について、今後も検討する余地があると考える。

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クリプトコッカス髄膜炎に対する抗真菌薬併用療法の有効性を確認/NEJM

 クリプトコッカス髄膜炎に対し、治療ガイドラインではアムホテリシンBデオキシコール酸(商品名:ファンギゾンほか)とフルシトシン(同:アンコチル)による抗真菌薬併用療法が推奨されている。しかしアムホテリシンB単独療法と比べて同療法による死亡率の低下は示されなかった。その後の検討で、高用量アムホテリシンBおよび高用量フルコナゾールの各単独療法の有効性は示され、ベトナム・オックスフォード大学臨床研究ユニットのJeremy N. Day氏らは、未検討であった高用量アムホテリシンB+フルシトシンあるいは高用量フルコナゾール(商品名:ジフルカンほか)との併用療法の有効性について無作為化オープンラベル試験を行った。その結果、高用量アムホテリシンB+フルシトシンの併用療法による生存改善は認められたが、高用量アムホテリシンB+高用量フルコナゾールについては有効性が認められなかったことを報告した。NEJM誌2013年4月4日号掲載の報告より。高用量アムホテリシンB単独、+フルシトシン、+高用量フルコナゾールを比較 研究グループは、クリプトコッカス髄膜炎に対する、高用量アムホテリシンB+フルシトシンあるいは高用量アムホテリシンB+高用量フルコナゾールが、14日時点、70日時点の生存を改善するかについて検討した。 299例が登録され、被験者は3群に分けられ、グループ1は4週間にわたる高用量アムホテリシンB(1mg/kg体重/日)単独療法を、グループ2は高用量アムホテリシンBを2週間投与後、フルシトシン(100mg/kg体重/日)の同時投与を2週間受けた。グループ3は高用量アムホテリシンBを2週間投与後、高用量フルコナゾール(1日2回400mg)の同時投与を2週間受けた。高用量アムホテリシンB+フルシトシンの14日、70日生存改善を確認 アムホテリシンB+フルシトシン群の死亡発生は、単独療法群と比べて有意な減少が認められた。14日時点の死亡発生は15例vs. 25例[ハザード比:0.57、95%信頼区間(CI):0.30~1.08、未補正p=0.08]、70日時点は同30例vs. 44例(同:0.61、0.39~0.97、p=0.04)だった。 一方、アムホテリシンB+フルコナゾール群については、単独療法との比較で有意な生存への効果が認められなかった。14日時点の死亡ハザード比は0.78(95%CI:0.44~1.41、p=0.42)、70日時点は同0.71(同:0.45~1.11、p=0.13)だった。 また、アムホテリシンB+フルシトシン群では、脳脊髄液の酵母のクリアランス速度の有意な上昇[-0.42 log10コロニー形成単位(CFU)/mL/日]も認められた(vs.単独療法群:-0.31 log10CFU/mL/日、アムホテリシンB+フルコナゾール群:-0.32 log10CFU/mL/日、両比較のp<0.001)。 有害事象発生率は、全群で同程度であったが、好中球減少症が併用療法群で高頻度に認められた。

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乳房外パジェット病の治療体制確立を目指して がん・感染症センター都立駒込病院 皮膚科・皮膚腫瘍科 吉野 公二氏

日本、アジアに多く、欧米に少ない乳房外パジェット病 乳房外パジェット病は、東南アジア、特に日本や韓国に多く、欧米に少ない疾患です。多くのがんの場合、欧米で確立したエビデンスをもとに日本で治験を組む、あるいはそれを基に公知申請で治療薬を導入するという方法が今の世の流れです。しかしながら、乳房外パジェット病には欧米でのエビデンスはありません。つまり、公知申請はできない状況で、日本で一から治験を組まないと新しい治療体制が生まれてこないのです。 ところが、乳房外パジェット病は疾患数が少なく、市場の小ささが障害となり製薬会社としても新たに治験を組めません。また、医師主導治験も製薬会社からの薬剤供給が確立できず実現不可能です。もうひとつ、高度先進医療という方法がありますが、キードラッグであるドセタキセルはがん領域で十分な実績のある薬であり、新たな治療法を対象とする高度先進医療の適用とはなりません。日本発のデータで新しい治療体制を さまざまな検討を行った結果、実際の治療実績のデータを、日本から世界に向かって発信し、それを基にして公式な臨床研究や申請の実現を目指すことになりました。そのためには単独施設ではなく、多施設の臨床研究を行う必要があります。そこで、乳房外パジェット病の治療に携わる医師が主体となり「乳房外パジェット病研究会」を設立しました。臨床研究といっても保険適応外ですので、多施設の後ろ向き研究となります。その結果を、乳房外パジェット病研究会で論文化し、早ければ来年中にpublishするという方針です。 同研究では、抗がん剤だけにとどまらず、他の治療関連エビデンスも検討する予定です。そのひとつはステージ分類です。乳房外パジェット病には国際的なステージ分類がありません。今回の研究で、日本オリジナルのTNM分類を世界に向かって発信しようと計画しています。 また、センチネルリンパ節生検の有用性についても調べています。乳房外パジェット病では、センチネルリンパ節転移陰性例の予後は良く、5年生存率は100%です。リンパ節腫脹後にセンチネルリンパ節生検を実施した例と、事前にセンチネルリンパ節生検を実施した例とを比較することで、予後予測因子ならびに予後の改善に結びつくか有用性を確認したいと思っています。現在、乳房外パジェット病でのセンチネルリンパ節生検は保険未認可であり、結果次第では保険適応も視野に入れたいと思っています。 乳房外パジェット研究会は皮膚科だけの集まりでしたが、婦人科、泌尿器科、形成外科にも広げています。患部が陰部であることも多く、さまざまな診療科が関わるため、より幅広いデータを収集しようという試みです。乳房外パジェット病の治療報告は、世界的にみても1例のケースレポートがほとんどです。同研究では、現在ドセタキセルを使用した約20例を収集しており、すでにかなりのインパクトはあると思います。また乳房外パジェット病自体で最終的には400例近くのデータ収集を目指しています。世界的にも大きなインパクトを示すことになるでしょう。発見が遅れがちな乳房外パジェット病 乳房外パジェット病の患者さんは、皮膚科に行ったり、泌尿器科に行ったり、女性は婦人科に行ったりしています。陰部が痒いという症状から単なる湿疹と判断され、湿疹の薬を処方されたり、症状が改善せずドクターショッピングを繰り返すことも多いようです。 そのためか、医療機関を受診しているにもかかわらず、発見されるまで数年かかり、来院時にはすでにリンパ節転移があるケースも少なくありません。通常の湿疹だと思われるケースのなかには、わずかですが乳房外パジェット病も隠れています。早期発見すれば、ほとんどの症例は予後良好なので、ステロイドや抗真菌薬を使っても奏効しない例では、1ヵ月以内に皮膚生検を行うなど、乳房外パジェット病を念頭に置いて診療をしていただければと思います。

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深在性真菌症治療薬「カンサイダス」発売

 MSD株式会社は19日、深在性真菌症治療薬「カンサイダス 点滴静注用50mg/70mg」(一般名:カスポファンギン酢酸塩)を発売した。 カンサイダスはキャンディン系抗真菌薬で、ヒトの細胞では生成されない真菌細胞壁の主要構成成分である1,3-β-D-グルカンの生合成を阻害することで深在性真菌症の主要起炎菌であるカンジダ属およびアスペルギルス属に対し抗真菌活性を示し、「カンジダ属又はアスペルギルス属による真菌感染症[食道カンジダ症、侵襲性カンジダ症、アスペルギルス症(侵襲性アスペルギルス症、慢性壊死性肺アスペルギルス症、肺アスペルギローマ)] 」の適応を取得した。また、キャンディン系抗真菌薬では唯一となる『真菌感染症が疑われる発熱性好中球減少症』の適応も有している。 海外ではすでに世界84ヵ国で販売されており(2011年9月現在)、日本国内では2012年1月18日に製造販売承認を取得し、4月17日に薬価基準収載された。 詳細はプレスリリースへhttp://www.msd.co.jp/newsroom/msd-archive/2012/Pages/product_news_0419.aspx

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深在性真菌症治療薬 カスポファンギン酢酸塩(商品名:カンサイダス)

深在性真菌症治療薬のカスポファンギン酢酸塩(商品名:カンサイダス点滴静注用50mg、同点滴静注用70mg)が2012年1月18日に製造承認を取得した。適応は「(1)真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症(FN)、(2)カンジダ症(食道カンジダ症、侵襲性カンジダ症)、アスペルギルス症(侵襲性アスペルギルス症、慢性壊死性肺アスペルギルス症、肺アスペルギローマ)」となっている。深在性真菌症の現状深在性真菌症は、主に、白血病をはじめとした血液疾患やがんに対する化学療法、造血幹細胞移植における好中球減少時など、免疫力が低下している患者において、深部組織や臓器にカンジダ属やアスペルギルス属などが日和見感染することで感染を引き起こす疾患である。一般に重症化しやすく、治療が難しい感染症である。我が国における深在性真菌症の患者数は年々、増加傾向にあり、その中でもアスペルギルス症の増加が著しいとの報告がある1)。カスポファンギンの承認これまで、アゾール系、ポリエン系、フロロピリミジン系、キャンディン系などの深在性真菌症治療薬が使用されてきた。この度、承認されたカスポファンギンは、国内で2剤目となるキャンディン系抗真菌薬で、2000年12月に世界初のキャンディン系として承認されて以来、これまでに世界84ヵ国(2011年9月現在)と、多くの臨床現場で使用されてきた。カスポファンギンは既に、IDSA(米国感染症学会)のガイドラインをはじめ、さまざまな海外のガイドラインで推奨されている。このため、深在性真菌症治療に携わる医療関係者からの認知度は高く、国内での承認が待ち望まれてきた薬剤である。特に、カスポファンギンがキャンディン系で初めて「真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症」の適応を取得した意義は大きい。発熱性好中球減少症におけるエンピリック治療発熱性好中球減少症とは好中球が1,000/μL未満で且つ、500/μL未満になる可能性がある状況下で、腋窩で37.5℃以上(口腔内温≧38℃)の発熱が生じ、薬剤熱、腫瘍熱、膠原病、アレルギーなど原因がはっきりわかっているものを除外できる疾患をいう。発熱性好中球減少症は血液培養で10%程度の陽性率と低く、臨床的に感染巣が明らかなものは10~20%程度に留まり、70~80%で原因不明の発熱がおこる2)。このようなことから発熱性好中球減少症では、起因菌が特定できないまま、細菌や真菌感染を疑い、エンピリック治療が行われることが多い。しかしながら、これまで、キャンディン系には、発熱性好中球減少症の適応はなかった。この度、カスポファンギンが適応を取得したことにより、深在性真菌症治療に新たな選択肢が加わることは、患者や医療関係者にとって福音となるであろう。まとめ医療技術の発展による、骨髄・臓器移植、がんに対する化学療法などといった高度医療の普及や高齢化社会の進行により、患者の免疫低下リスクが高まる要因は増えていくと考えられる。そして、免疫低下患者の増加に伴い、深在性真菌症も増加することが予想される。このような背景の中、カスポファンギンが新たな選択肢となり、深在性真菌症治療の幅が広がることは、医療関係者にとって新たな治療戦略となる。そして、それは患者やその家族の明日への希望につながるといえよう。

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鳥谷部俊一先生の答え

ラップ療法の患者家族への説明方法患者さんを自宅で介護している家族の方へ、ラップがガーゼよりも有効である旨を説明するときに上手く伝える方法はあるのでしょうか?また先生のご経験で、このように伝えると上手くいく。というノウハウがございましたら是非教えて頂きたいと考えております。宜しくお願いします。このような場合は、モイスキンパッドをお勧めします。「ガーゼの替わりにバンドエイド、キズパワーパッドを貼るのが時代の先端。治りも早く、痛くない。モイスキンパッドをよく見てください、巨大なバンドエイドですよ」。こんなふうに説明してください。モイスキンパッドで良くなってきたら、床ずれパッドを見せて、「そっくりでしょ。しかも安いんです」とお話しましょう。アトピー性皮膚炎のラップ療法アトピー性皮膚炎でもラップ療法が有効であるとか有効でないとか、賛否両論のようですが、先生はどのようにお考えでしょうか?また、有効である場合に、どのような点に気をつければ宜しいでしょうか?ご教示宜しくお願いします。ラップ療法は、床ずれの治療法です。「アトピー性皮膚炎にドレッシング療法が有効か」という質問にお答えできる立場ではありません。アトピー性皮膚炎に対するドレッシング療法の可能性の問題は興味深く、論議が深まることを期待します。モイスキンパッドはじめまして。日々、「皮膚・排泄ケア認定看護師」とともに床ずれの診療をさせていただいている一皮膚科医です。以前、形成外科の先生が手作りで、「モイスキンパッド」と同様なものを使用されていました。「皮膚・排泄ケア認定看護師」は、あまりいい顔をしていませんでした。実際、ある程度褥瘡は改善するものの、その周囲にかぶれを起こしたり、体部白癬に罹患する患者さんが後を立ちませんでした。結局、ラップ療法を中止することとなりました。これについて、先生はどのようにお考えになりますか?どのようにすれば、こうした皮膚トラブルを避けられますか?改善点はありますでしょうか?ご教示いただけるとありがたいと思います。ご質問ありがとうございます。いろいろ工夫してラップ療法を試みたことに敬服します。ラップ療法や、モイスキンパッド処置では、抗真菌剤を塗布して真菌症を簡単に治療することができます。2000年の医師会雑誌に書いたラップ療法の論文では、合併した「カンジダ症2例を抗真菌剤で治療した」と明記しております。夏など暑い季節には、予防的に抗真菌剤を塗ります。クリーム類がお勧めです。ラップ療法や、モイスキンパッド処置ではドレッシングを絆創膏で固定しないで毎日交換するので、外用薬を毎日塗るのが容易です。真菌は湿潤環境で増殖しますので、吸水力の高いモイスキンパッドを使って皮膚を乾燥させることをお勧めします。手作り「モイスキンパッド」の吸水力についてはデータがありませんのでコメントできません。既成のドレッシングや軟膏ガーゼの治療の場合も真菌感染を生ずるのですが、なぜか話題になることが少ないようです。高齢者の足をみると、ほとんどの方の爪が白く濁って変形しております。白癬症です。爪白癬がある人をよく観察すると、全身に角化した皮疹が見られます。掻痒感があれば、爪で引っかいた痕跡や、体を捩って背中を擦り付ける動作があるでしょう。足ユビ、足底、足背、下腿、膝、臀部、背部、後頭部、手、上肢などをよく調べれば、白癬菌が検出されます。皮膚を湿潤環境にすると、真菌類(カンジダ、白癬)が増殖しやすくなります。抗真菌外用薬(クリーム)を積極的に使用して治療します。基礎疾患が重篤な場合は?現場の知恵を洗練していく先生に敬意を持っております。通常の免疫能がある患者さんにおいては、水道水による洗浄と湿潤環境で軽快するというのはわかりますが、がん治療に伴い免疫不全状態にある患者さん、糖尿病のコントロールがうまくなくこれも免疫不全のある患者さん等、表在の細菌、真菌に弱いと考えられる患者さんにも同様に適応し、効果を期待できるのでしょうか。こうした患者さんにはある程度の消毒なり軟膏治療が必要になるのではないでしょうか。困難な症例に取り組むご様子に敬服します。基礎疾患が重篤な症例に対するラップ療法の有効性は確立しておりません。よって、このような症例には、「ガイドライン」に従った治療をするのが安全であると考えます。ただし、「こうした患者さんに消毒・軟膏治療が有効である」というエビデンスが無いのが現状です。また、「基礎疾患が重篤な患者にこそ、消毒や軟膏による有害事象が生じ易いのではないか」という観点からの検討も必要です。床ずれに対するラップ療法の治癒の機序床ずれはもともと血流障害ですが、これがラップ療法で治癒する機序は何でしょうか。創傷治療の本質に迫るご質問、ありがとうございます。既存の軟膏ガーゼ処置は、「厚い小さなドレッシング」が外力(圧力/ずれ力)を床ずれに加えるため、血流障害をおこして治癒を遷延させます。ラップ療法は、「薄い大きななドレッシング」が外力(圧力/ずれ力)を打ち消すことにより、血流を改善して治癒を促進する湿潤療法です。床ずれの原因は、「外力による血流障害」です。一方、下腿潰瘍などの末梢動脈疾患(PAD)は、「外力によらない血流障害」です。床ずれは、外力(圧力/ずれ力)を取り去ることにより血流が改善して治癒に向かいます。例えば、仙骨部の床ずれは、「腹臥位」で圧迫を防ぐことにより治癒した、という報告があります。要するに、「圧迫さえ無ければ床ずれは普通の切り傷と同じような治り方をする」ということです。圧迫を減らすための工夫が、体圧分散マットレス、体位変換、ポジショニングなどです。ラップ療法は、外力を分散するドレッシング療法・湿潤療法です。感染がある 虚血がある感染症があれば、抗菌作用のパスタ剤や、感受性のある抗菌軟膏やソフラチュールなどは一定期間必要じゃないでしょうか。血流を高めるPG剤も必要では。また、化学的デブリードメントにあたるプロメラインなども必要ではないでしょうか。ラップ療法を実践している医療者の多くは、感染症は抗生剤全身投与で、血流改善は(必要に応じて)PG剤全身投与で治療しております。デブリードメントは、外科的デブリードメントと湿潤療法による自己融解を行なっており、化学的デブリードメント剤は使っておりません。「学会ガイドライン」を参照したところ、ご指摘の外用剤はガーゼとの組み合わせでエビデンスが証明されているようですが、ラップ療法やモイスキンパッドとの組み合わせによるエビデンスはございません。今後、エビデンスが集積されてから併用されることをお勧めします。ラップで治療困難な症例の判別皮膚所見をみた当初から、外科治療、皮弁手術が必要かどうかは、判別可能でしょうか。ある程度ラップしたあとで、考慮するのでしょうか。もちろん他の疾患の管理をし栄養、感染など評価をした場合として。ラップ療法は床ずれの保存療法です。外科治療、皮弁手術を考慮される場合は、「学会ガイドライン」に従った治療をお勧めします。2010年の日本褥瘡学会での議論を拝見した限りでは、外科治療、皮弁手術の適応症例は減っているようでした。感染症に対して抗生剤と抗真菌薬の外用と全身投与について感染症には抗生剤の全身投与は理解できるのですが、表在真菌感染症に抗真菌薬の外用が効くのはどうしてでしょうか?抗生剤の外用はなぜ不適切なのでしょうか?ご教授よろしくお願いします。一部の領域(皮膚科、耳鼻科、歯科など)を除き、細菌感染症の治療は抗生剤全身投与が標準治療です。創感染に対する抗生剤外用は、耐性菌誘発リスクなどの理由から、CDCガイドラインなどは推奨しておりません、「学会ガイドライン」にも推奨の記載が見当たりません。表在真菌感染症は、表皮が感染の舞台なので、抗真菌外用剤がよく効きます。抗生剤の外用は無効です。細菌感染の舞台は真皮や皮下組織、あるいはさらに深部の組織です。閉鎖療法の場合は、創を閉鎖して組織間液が深部組織に逆流する結果抗菌薬が感染部位に到達すると想像されますが、ラップ療法・開放性湿潤療法では、創を開放するので組織間液の逆流は起きず、抗菌剤は感染部位に到達しないと考えます。全身投与された抗生物質は、血流を通じて感染部位に到達します。糖尿病性神経症、ASO合併の下肢壊疽80歳、女性、糖尿病で血液透析の患者です。3年前 右足趾を壊疽で切断。今回は左下足に足趾を中心に踵まで、壊疽、深い、汚染の褥瘡様潰瘍があります、悪臭がします。切断は拒否しています。ラップ療法は有効でしょうか?ラップ療法は、床ずれの治療法です。よって、この症例はラップ療法の適応外です。PADのガイドラインに従った治療をお勧めします。血管治療、デブリドマン後のドレッシング材としてモイスキンパッドが有効であったとの報告があります。このような処置は、ラップ療法とではなく、ドレッシング療法、湿潤療法と呼称すべきです。病院皮膚科形成外科との調整病院内科勤務医です。当院では褥瘡ケアは皮膚科の褥瘡ケアチームが回診しています。形成外科は陰圧吸引療法の高価な機械を使いますが患者の一部費用負担はあるものの病院としては赤字になるようです。どのようにして病院全体の褥瘡ケアを統一改善していったらよいでしょうか。アドバイスをお願い申し上げます。かつて同様の立場にあった内科医として、同情申し上げます。1999年に日本褥瘡学会でラップ療法の発表をして12年になりますが、2009年の学会シンポジウムで「ラップ療法と学会ガイドラインは並立する」と(私が)宣言したことが、「在宅のラップ療法を条件付で容認する」という2010年の学会理事会見解につながったようです。「褥瘡ケアの統一」は、学会ガイドラインで統一するか、ラップ療法で統一するかの選択問題ですが、未だ結論が出ておりません。より多くの方がラップ療法を支持するようになれば、学会がラップ療法を受容する日がいずれ来るでしょう。皆様のお働きを期待申し上げます。総括医学の歴史を紐解くと、新しい考え方が「専門領域の侵害」と受け止められ、いろいろな形で抵抗を受けてきたことが分かります。ゼンメルヴァイスの「消毒法」が医学界で受け入れられたのは、ゼンメルワイスの死後のことです。ラップ療法はインターネットの時代に遭遇して、学会よりも一般社会で先に普及しました。情報化社会では、権威者よりも一般社会が先に一次情報を入手することができます。そうした中にあって、情報の真贋を見抜く力(情報リテラシー)が必要であり、そうした能力が専門家と呼ばれる人々に求められております。MediTalkingという場でラップ療法の議論が深められたのはこうした時代の反映であり、有意義なものと考えます。顧問 鳥谷部俊一先生「床ずれの「ラップ療法」は高齢者医療の救世主!」

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