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β-ラクタマーゼ阻害剤配合注射用抗生物質ゾシンが国内新発売

大正富山医薬品株式会社は、β-ラクタマーゼ阻害剤配合抗生物質製剤「ゾシン静注用2.25、4.5」(一般名:注射用タゾバクタムナトリウム・ピペラシリンナトリウム)を10月1日、国内にて新発売したと発表した。 ゾシンは、大鵬薬品工業株式会社と富山化学工業株式会社の両社で開発し、大鵬薬品が製造販売承認を取得した薬剤。β-ラクタマーゼ阻害剤タゾバクタムとペニシリン系抗生物質ピペラシリンを、1:8の力価比で配合した製品で、肺炎をはじめ敗血症、腎盂腎炎、複雑性膀胱炎に対して優れた臨床効果が期待できる。同剤は海外では米国ワイス社により、米国をはじめ世界94ヶ国で発売され、世界的な標準的治療薬として高く評価されている注射用抗生物質製剤である。国内では、大鵬薬品が製造販売元となり、大正富山医薬品が発売する。詳細はプレスリリースへhttp://www.taiho.co.jp/corporation/news/20080930_2.html

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ブルセラ症にはアミノグリコシド系抗生物質を含む併用レジメンの長期投与が有効

ヒトのブルセラ症の治療では、アミノグリコシド系抗生物質を含む3剤あるいは2剤併用レジメンの有効性が高いことが、イスラエルRabin医療センターBeilinson病院のKeren Skalsky氏らが実施したメタ解析で明らかとなった。ブルセラ症は世界で最も多い人獣共通感染症で、新規発症は毎年50万例以上に及ぶ。抗生物質の併用レジメンの無作為化対照比較試験が数多く行われているが、包括的なエビデンスは確立されていない。BMJ誌2008年3月29日号(オンライン版2008年3月5日号)掲載の報告。抗生物質レジメンの無作為化試験を系統的にレビュー研究グループは、ブルセラ症の治療レジメンの有効性の評価を目的に、個々の抗生物質レジメンと治療期間を検討した無作為化対照比較試験の系統的レビューおよびメタ解析を行った。2名の研究者が個々に、データベース(PubMed、CENTRAL、Lilacs)、カンファレンス記録集、文献目録を、言語、研究年、出版形態を問わずに検索した。選択および除外規準に基づいてデータを抽出し、試験方法の質を評価した。主要アウトカムは初期治療の失敗(failure)および再発とした。相対リスク(RR)と95%信頼区間(CI)を算出し、データは固定効果モデル(fixed effect model)を用いてプールした。30試験の77の治療法と治療期間を解析30試験の77の治療法が解析の対象となった。全体の治療失敗率はドキシサイクリン+リファンピシンが、ドキシサイクリン+ストレプトマイシンよりも有意に高く、そのおもな原因は再発率が高いためであった相対リスク(RR:2.80、95%CI:1.81~4.36、13試験)。ドキシサイクリン+ストレプトマイシンは、ドキシサイクリン+リファンピシン+アミノグリコシド系薬剤(3剤併用)よりも治療失敗率が有意に高かった(RR:2.50、95%CI:1.26~5.00、2試験)。ゲンタマイシンがストレプトマイシンに劣ることはなく(治療失敗のRR:1.45、95%CI:0.52~4.00、2試験)、キノロン系薬剤+リファンピシンはドキシサイクリン+リファンピシン、ドキシサイクリン+ストレプトマイシンよりも有意に効果が低かった(治療失敗のRR:1.83、1.11~3.02、5試験)。治療期間に大きな差がない場合は、単剤療法は併用療法よりも治療失敗のリスクが有意に高かった(RR:2.56、95%CI:1.55~4.23、5試験)。治療期間は、6週以上のほうが短期間の場合よりも有効性は高かった。Skalsky氏は、「ブルセラ症の治療では、現在の推奨レジメン間に有効性に関する有意な差が認められた。アミノグリコシド系抗生物質を含む3剤あるいは2剤併用レジメンがより有効と考えられる」と結論し、今回の解析に基づく第1選択レジメンとして、ドキシサイクリン(6週投与)+リファンピシン(6週投与)+ゲンタマイシン(2週投与)、あるいはドキシサイクリン(6週投与)+ゲンタマイシン(2週投与)を推奨し、代替レジメンとしてドキシサイクリン(6週投与)+ストレプトマイシン(2週投与)を挙げている。(菅野守:医学ライター)

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多剤耐性結核患児へのフルオロキノロン投与は侵襲性肺炎球菌疾患を招く

 多剤耐性結核(MDRTB)に罹患した子どもの治療にフルオロキノロンを使用すると、レボフロキサシン(LVFX)非感受性肺炎球菌およびその院内伝搬に起因する侵襲性肺炎球菌疾患(IPD)の発現を招くことが、Anne von Gottberg氏らGERMS-SA(南アフリカ)の研究グループによって明らかにされた。現在、抗生物質に対する肺炎球菌の耐性獲得が世界的な問題となっており、フルオロキノロンなど比較的新しい薬剤に対する耐性菌は、とくに市中肺炎の経験的治療(empiric treatment)において重要とされる。Lancet誌2008年3月29日号(オンライン版2008年3月21日付)掲載の報告。IPD例の中からLVFX非感受性肺炎球菌保有例を同定 南アフリカでは、2000~2006年に全国的な積極的サーベイランスを行っており、2003年には7州に導入された15の拠点病院においてサーベイランスを強化した。その結果、2万1,521例のIPDが同定された。 スクリーニングによりオフロキサシン耐性菌の保菌者1万9,404例(90%)を同定し、これらの患者においてLVFXの最小発育阻止濃度(MIC)を測定した。MIC≧4mg/Lを、LVFX非感受性と定義した。LVFX非感受性肺炎球菌に起因するIPDが検出された2つの結核専門施設で、65例の患児において肺炎球菌の鼻咽頭保菌を評価した。LVFX非感受性菌によるIPDと結核治療歴、院内感染率が関連 15歳以下の子どものうちLVFXに非感受性のIPDは12例であった。すべての分離株がリファンピシンに耐性を示した。このうち11例の転帰が判明し、5例(45%)が死亡した。 LVFXに感受性の肺炎球菌の感染児のうち結核治療歴を有する者の割合は18%(396/2,202例)であったのに対し、非感受性菌感染児では89%(8/9例)であり、非感受性菌によるIPDと結核治療歴の関連が示唆された(相対リスク:35.78、p<0.0001)。 また、感受性菌感染児の院内感染率は4%(109/2,709例)であったのに対し、非感受性菌感染児では80%(8/10例)であり、非感受性菌によるIPDと院内感染にも関連が認められた(相対リスク:88.96、p<0.0001)。 肺炎球菌の保菌者35例のうち31例(89%)がLVFX非感受性の菌を有していた。 これらの知見により、Gottberg氏は「子どものMDRTBの治療にフルオロキノロンを使用すると、LVFX非感受性肺炎球菌およびその院内伝搬に起因するIPDの発現を招くことが示唆された」と結論している。

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副鼻腔炎に抗生物質の使用を正当化する臨床徴候、症状はない

副鼻腔炎はウイルス感染と細菌感染の鑑別が困難なため、プライマリ・ケア医は急性副鼻腔炎に対し抗生物質を過剰に処方しがちだという。スイスBasel大学病院臨床疫学研究所のJim Young氏らは、副鼻腔炎には、抗生物質が有効な症例を同定しうる一般的な徴候や症状はないことを確認、Lancet誌2008年3月15日号で報告した。米国では、受診理由の第3位が上部気道感染症で、その約1/3を急性副鼻腔炎が占め、さらにその80%が抗生物質を処方されている。ヨーロッパでもプライマリ・ケアにおける抗生物質処方の72~92%が急性副鼻腔炎とされる。無作為化試験に登録された症例の個々のデータを再解析研究グループは、抗生物質が有効な副鼻腔炎の一般的な徴候、症状を評価するために、個々の症例のデータに基づいて無作為化試験のメタ解析を実施した。Cochrane Central Register of Controlled Trials、Medline、Embaseを検索し、当該試験を記述した報告のリストを参照することで、副鼻腔炎様の病状を呈する成人患者を対象に抗生物質あるいはプラセボによる治療に無作為に割り付けた試験を同定した。9つの試験に登録された2,547例の個々のデータを確認し、再解析を行った。抗生物質の全体的な治療効果を評価し、1例の治癒を得るのに要する抗生物質治療の回数(NNT)を算出することで一般的な徴候、症状の予測値の検討を行った。ベネフィットはほとんどない、可能なのはwatchful waiting、症状の緩和のみ新たに1例の治癒を得るためには、副鼻腔炎様病状を呈する15例を抗生物質で治療する必要があった。咽頭に膿性分泌物を認める症例では、この徴候のない症例よりも治癒に長い時間を要した。新たに1例の治癒を得るには、咽頭の膿性分泌物を認める8例を抗生物質で治療する必要があった。より高齢の症例、より長期間にわたり症状を訴える症例、より重篤な症状を呈する症例は治癒に長い時間を要したが、これらの症例が他の症例に比べ抗生物質が有効な傾向は認めなかった。Young氏は、これらの知見に基づき「抗生物質治療が明確に正当化される副鼻腔炎患者を同定しうるような一般的な臨床徴候および症状は認めなかった」と結論している。また、同氏は「プライマリ・ケアでは、急性副鼻腔炎様病状の患者に対する抗生物質治療のベネフィットはほとんどない。患者が7~10日以上の長期間にわたって症状を訴える場合でも抗生物質治療は正当化されない。正当化されるのは重篤な合併症を示唆する徴候が見られる場合のみである。小児や免疫抑制状態の患者はこの限りではないが、急性副鼻腔炎様病状の成人患者に保障できるのは、ほとんどの場合watchful waitingあるいは症状の緩和のみである」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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MRSA院内感染率は全入院患者のスクリーニングでも低下しない

メチシリン耐性黄色ぶどう球菌(MRSA)による院内感染を減らすため、医療政策担当者らが、入院する患者全員にユニバーサル・スクリーニング実施を要求していることに対して、スイスのジュネーブ病院・医科大学のStephan Harbarth氏らが、外科患者のMRSA院内感染初期の検出戦略効果を評価する大規模な研究を行い、「ユニバーサル・スクリーニングを行ってもMRSA手術部位感染率やMRSA院内獲得率は有意に変化しない」とスクリーニングに疑問を提示している。JAMA誌2008年3月12日号より。12の外科病棟で患者21754人を対象に実施研究では、2004年7月から2006年5月の間、スイスの教育病院のうち異なる専門領域を含む12の外科病棟で、外科患者計21,754例を対象として、入院時に迅速スクリーニングと標準的な感染症管理対策を行う介入群と、標準的な感染症管理対策だけを行う制御群に分け、両者を交叉法で比較した。各病棟は初めの9ヵ月間、介入群と制御群に割り付けられ、その後9ヵ月間は、割り付ける群を切り替えた。介入期間に介入病棟へ24時間以上入院する患者は、入院前または入院時に迅速な多重ポリメラーゼ連鎖反応検査でスクリーニングされた。介入期間の患者数は10,844例、制御期間は10,910例だった。全病棟で、MRSAキャリアとの接触隔離、専用道具(ガウンや手袋、必要ならマスクも)使用、MRSAキャリアの周術期抗生剤予防処置、コンピュータ化されたMRSA警戒システム、ムピロシン軟膏の鼻腔塗布とクロルヘキシジン身体洗浄による局所無菌化処置から成る5日間の標準感染症管理処置がとられた。主要評価項目は、MRSA院内感染の発生率、MRSA手術部位感染およびMRSA感染の院内獲得率とした。手術部位感染率も院内獲得率も有意な変化なし介入期間中の患者10,844例中10,193例(94%)をスクリーニングした結果、事前に未知のMRSAキャリア337例を含むMRSA陽性患者515例(5.1%)を特定。スクリーニングからMRSAキャリア試験結果通知までに要した時間の中央値は22.5時間(四分位数間領域は12.2~28.2時間)だった。このうち院内でMRSA感染症を発症したのは、介入期間中は93例(患者1,000人日につき1.11)だったが、制御期間中は76例(患者1,000人日につき0.91、調整された罹患率比率1.20、 95%信頼区間:0.85~1.69、P=0.29)だった。手術部位感染率と院内獲得率は有意に変化しなかった。介入区域で感染した患者93例中53例(57%)は、入院時にはMRSAと無縁だったが入院中に発症していた。これらからHarbarth氏らは「入院時に患者全員をスクリーニングする戦略は、標準的な感染症管理対策より有利とは言えない」とし、疑問を呈している。(朝田哲明:医療ライター)

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トラコーマ排除は年2回の抗生剤大量投与で可能

トラコーマの治療エンドポイントは「排除」にあるとされる。「空飛ぶ病院」で知られるオービス・インターナショナル(エチオピア)のMuluken Melese氏らは、年2回の治療が結膜クラミジア感染を就学前児童から排除できるかどうかを、世界保健機関(WHO)が勧告する年1回治療と比較し検討した。JAMA誌2008年2月20日号より。1歳以上の就学前児童を対象に結膜クラミジア感染率と排除率を比較トラコーマは結膜がクラミジア菌感染を繰り返すことで発症し、アフリカやアジアの多発地域ではいまだに失明原因の1割程度を占めている。治療は抗生剤の反復投与が推奨されるが、トラコーマを抑制することはできても、根絶あるいは局地的排除には至らないとされている。抗生剤投与を中止すれば、クラミジアに対する免疫を失ったコミュニティで再感染が起こる懸念がある。Melese氏らは、エチオピアの16地方の村の全居住者を対象とし、2003年3月から2005年4月にかけて、大量アジスロマイシン投与の年2回対年1回のクラスタ無作為化試験を行った。1歳以上の子ども全員に、経口アジスロマイシン(日本国内商品名:ジスロマック)の単回投与を毎年または半年ごとに定期的に実施した。主要評価項目は、結膜クラミジア感染の村落出現率と、24ヵ月時点の就学前児童に対するPCR法(ベースライン出現率で補正)で、排除が確認できた率で判定した。抗生剤の年2回大量投与が有意に高い排除率示す条件を満たした16,403例のうち、14,897例(90.8%)が定期的治療を受けた。年1回投与を受けた村落では、24ヵ月目の感染出現率は平均42.6%(範囲14.7%~56.4%)から6.8%(同0.0%~22.0%)に減少した。一方、半年ごとに投与された村落での感染出現率は、投与前の31.6%(同6.1%~48.6%)から、24ヵ月目には0.9%(同0.0%~4.8%)まで減少。年2回投与のほうが出現率がより低いこと(P=0.03、ベースライン出現率で補正)が確認された。また24ヵ月目には、年2回投与の8つの村のうち6つで、年1回投与の村では8つのうち1つの村で感染が確認されなかった(P=0.049、ベースライン出現率補正後)。研究グループは、広域にわたる年2回の抗生剤大量投与を必要とするが、それによって結膜クラミジア感染多発地域であっても局地的排除が可能となると報告している。(朝田哲明:医療ライター)

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手洗い、マスクは、呼吸器系ウイルス感染の拡大防止に有効

 鳥インフルエンザや重症急性呼吸器症候群(SARS)などのウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)に対する社会的な関心が高まっている。Cochrane Vaccines Field所属の研究者である Tom Jefferson氏(イタリア、アレッサンドリア)らは、呼吸器系ウイルスの拡大を防止する物理的介入法の効果に関するエビデンスを系統的にレビューし、パンデミックへの備えとしての手洗いやマスクの着用など簡便で低コストの方法の有用性を明らかにした。BMJ誌2008年1月12日号(オンライン版2007年11月27日号)掲載の報告。呼吸器系ウイルス伝搬の予防法に関する49論文をレビュー データベースの検索により、呼吸器系ウイルス伝搬の予防法[発病者の隔離(isolation)、曝露者の隔離(quarantine)、社会的接触の低減化(social distancing)、防御法、個人的防護、衛生管理]に関する無作為化試験、コホート試験、症例対照試験などの文献を抽出した。 51試験に関する49の論文についてレビューを行った。試験の質は、3つの無作為化試験およびほとんどのクラスター無作為化対照比較試験で低く、観察試験にはばらつきがみられた。低コストの物理的な防御法が有効、優先度を上げるべき もっとも質の高いクラスター無作為化試験では、低年齢の小児を対象とした衛生処置による介入が呼吸器系ウイルスの伝搬を予防することが示唆された。また、6つの症例対照試験のメタ解析により、SARSの拡大の予防には次の6つの物理的対策が高い効果を示した。 1日10回以上の手洗い[オッズ比(OR):0.45、1感染の予防に要する治療例数(NNT):4]、マスクの着用(0.32、6)、微粒子用N95マスクの着用(0.09、3)、手袋の着用(0.43、5)、防護用ガウンの着用(0.23、5)、手洗い・マスク・手袋・ガウンの併用(0.09、3)。 通常の手洗いに抗ウイルス薬、抗菌薬を併用した場合の相加的効果は不明であり、スクリーニングや社会的接触の低減化(学校閉鎖、公共の場への集合禁止)などの総合対策については適切な評価法がないため確固たる結論には至っていない。Jefferson氏は、「呼吸器系ウイルス感染の拡大を防止するには、とくに手洗い、マスク着用などの低コストの物理的な防御法が有効と考えられる」と結論し、「これらの方法はパンデミックへの備えとしてもっと高く評価すべきであり、優先度を上げる必要がある」と指摘している。

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小児の重症肺炎は高用量経口アモキシシリンにより家庭で治療可能

開発途上国では、毎年、下部気道の急性感染症により5歳以下の小児が200万人以上の死亡している。WHOのガイドラインでは、重症肺炎は非経口抗生物質による病院での治療が推奨されている。パキスタン医科学研究所小児病院のTabish Hazir氏は、重症肺炎小児の治療において、高用量アモキシシリンを用いた家庭での治療の有用性を確認、Lancet誌2008年1月5日号で報告した。肺炎小児2,037例を入院治療と家庭治療に無作為に割り付け本試験はパキスタンの5都市7施設で実施された無作為化試験である。対象は、2005年2月~2006年8月の間に咳、呼吸困難あるいはその両方のために小児科を受診した生後3~59か月の小児2,037例。入院にてアモキシシリン(100mg/kg/日)を48時間静注投与したのち経口薬(シロップ80~90mg/kg/日)を3日間投与する群(入院治療群:1,012例)あるいは家庭で経口アモキシシリン(シロップ80~90mg/kg/日)を5日間投与する群(家庭治療群:1,025例)に無作為に割り付けた。フォローアップは登録後第1、3、6、14日に行い、主要評価項目は第6日までに確認された治療無効(臨床的増悪)とした。両群で効果は同等、WHO勧告は改訂すべきper-protocol解析では、入院治療群の36例および家庭治療群の37例がおもにプロトコール違反あるいはフォローアップ不可を理由に除外された。第6日までの臨床的増悪は、入院治療群の87例(8.6%)に、家庭治療群では77例(7.5%)に認められた(リスク差:1.1%、95%信頼区間:-1.3~3.5)。登録後14日までに5例(0.2%)が死亡した(入院治療群:4例、家庭治療群:1例)。いずれの症例も死亡の前に臨床的増悪が確認されており、抗生物質が変更されていた。治療関連死はみられず、重篤な有害事象も報告されなかった。以上の結果により、Hazir氏は「合併症のない重症肺炎小児の治療において、高用量アモキシシリンを用いた家庭治療は現在の標準治療として推奨されている入院によるアモキシシリン治療と同等の効果を示すことが明らかとなった」と結論し、「重症肺炎の治療に関するWHO勧告は改訂する必要がある」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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細菌性髄膜炎患者へのデキサメタゾン効果

 細菌性髄膜炎に対するデキサメタゾンの補助的投与が、成人に対して有効であるかどうかは明らかとなっていない。ベトナム・ホーチミン市にある国立熱帯病研究所病院Nguyen Thi Hoang Mai氏らの研究グループは、細菌性髄膜炎が疑われる14歳以上の患者435例を対象に、デキサメタゾンの無作為化二重盲検プラセボ対照試験を行った。NEJM誌12月13日号より。死亡・障害リスクの低下はデキサメタゾンと無関係 研究はデキサメタゾンの投与によって、1ヵ月後の死亡リスク、6ヵ月後の死亡リスクまたは障害リスクが低下するかどうかを目的に行われた。 試験は、217例をデキサメタゾン投与群に、218例をプラセボ投与群に割り付けられ行われた。そのうち細菌性髄膜炎が確定できたのは300例(69.0%)で、123例(28.3%)が髄膜炎の可能性が高いと診断され、12例(2.8%)には他の診断が下された。 全例解析による結果、1ヵ月後の死亡リスク(相対リスク0.79、95%信頼区間:0.45~1.39)、6ヵ月後の死亡または障害リスク(同0.74、0.47~1.17)の有意な低下とデキサメタゾン投与とは関連していないことが示された。効果は微生物学的診断が確定した患者に限定される? しかし、細菌性髄膜炎確定群では、1ヵ月後の死亡リスク(同0.43、0.20~0.94)、6ヵ月後の死亡または障害リスク(同0.56、0.32~0.98)で有意な低下がみられた。これらの効果は、細菌性髄膜炎の可能性が高いと診断された群ではみられなかった。 多変量解析の結果、細菌性髄膜炎の可能性が高いとされた例におけるデキサメタゾン投与が、1ヵ月後の死亡リスク増加と有意に関連していることが示された。しかしこの所見について研究グループは、「投与群に結核性髄膜炎のケースが存在していた可能性も否定できない」としている。 以上から、デキサメタゾンが細菌性髄膜炎の疑われる少年以上全年齢層の予後を改善するわけではなく、有益効果は、事前に抗生物質投与を受けた患者を含め、微生物学的検査を経て診断が確定した患者に限定されるのではないかと結論づけている。■「デキサメタゾン」関連記事術前デキサメタゾン追加で術後24時間の嘔吐が低減/BMJ

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急性副鼻腔炎には抗生剤、点鼻用ステロイドいずれも無効

急性副鼻腔炎はよくある臨床テーマで、抗生剤の投与に落ち着くのが一般的だが、その是非をめぐっては議論の余地が残っている。局所ステロイドのような抗炎症薬は有効性が期待されるものの、調査研究が十分に行われてはいないからで、英国サウサンプトン大学のIan G. Williamson氏らの研究グループが、急性副鼻腔炎に対するアモキシシリンとブデソニド(点鼻用)の有効性に関する臨床試験を行った。JAMA誌2007年12月5日号より。2剤を単独・併用の4群に無作為割り付けこの試験は、240例の成人患者(16歳以上)を対象とする二重盲検無作為化プラセボ対照試験。2001年11月から2005年11月までの間に58の家庭診療所(74人の家庭医)から、再発性でない急性副鼻腔炎患者(片側性の化膿性鼻漏、片側性の局所疼痛、両側性の化膿性鼻漏、鼻腔膿のうち2つ以上の診断を持つ)が集められ、抗生剤と点鼻用ステロイド、プラセボ抗生剤と経鼻ステロイド、抗生剤とプラセボ点鼻用ステロイド、プラセボ抗生剤とプラセボ点鼻用ステロイドの4つの投与群にランダムに割り付けられた。投与は、アモキシシリン500mgを1日3回7日間、ブデソニド200μg を1日1回10日間が繰り返された。主要評価項目は、症状経過、治癒に要した期間、症状の重症度を比較因子として10日目の治癒程度で比較した。抗生剤も点鼻用ステロイドも急性副鼻腔炎治療の有効性認められず症状が10日以上持続している患者の割合は、アモキシシリン投与群29%(100例中29例)、非アモキシシリン投与群33.6%(107例中36例)だった。補正オッズ比は0.99(95%信頼区間:0.57-1.73)。点鼻用ブデソニドについてもほぼ同様の結果で、投与群31.4%(102例中32例)、非ブデソニド投与群31.4%(105例中33例)で、補正オッズ比0.93(同0.54-1.62)だった。 二次解析の結果から、点鼻用ステロイドが有効なのはべースラインより症状が軽い患者であることが示唆された。これらから研究グループは、抗生剤も点鼻用ステロイドも、単独か併用かを問わず、日常診療における急性副鼻腔炎の治療には有効でないと結論づけている。(朝田哲明:医療ライター)

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上気道感染症、咽頭炎、中耳炎に対する抗生物質投与は正当か

プライマリケア医は、一般的な気道感染症に対して、それに続発する重篤な合併症への配慮から予防的に抗生物質を処方しがちだ。イギリスのガイドラインでは、耐性菌の発現を考慮して上気道感染症、咽頭炎、中耳炎には抗生物質をルーチンに使用すべきでないとされる。また、肺感染症は急性気管支炎に分類され抗生物質は推奨されないが、肺炎には推奨されている。 I. Petersen氏(ロンドン大学ユニバーシティーカレッジ感染症疫学センター)らは、抗生物質の使用により一般的な気道感染症に続発する重篤な合併症のリスクをどの程度低下させられるかについて検討した。BMJ誌10月18日付オンライン版、11月11日付本誌掲載の報告。重篤な合併症発症リスクを抗生物質投与群と非投与群で比較本試験は、1991年7月~2001年6月までにUK General Practice Research Databaseに登録されたデータをレトロスペクティブに解析したコホート研究である。336万件の気道感染症のデータを用い、診断後に重篤な合併症を発症するリスクを抗生物質投与群と非投与群において比較した。主要評価項目は、中耳炎に続発する乳様突起炎、咽頭炎後の化膿性扁桃腺炎、上気道感染症後の肺炎のリスク、および個々の合併症の予防に要する抗生物質による治療コース数とした。重篤な合併症の続発はまれ、高齢者の肺炎リスクは高い中耳炎、咽頭炎、上気道感染症に重篤な合併症が続発することはまれであり、個々の合併症を予防するには4,064~4,407コースもの抗生物質治療が必要であった。肺感染症後の肺炎のリスクは特に高齢患者で高く、肺炎の予防に要する抗生物質治療コース数は、65歳未満の96~119コースに対し65歳以上では39コースと高齢者で実質的な予防効果が認められた。肺炎の予防を除き、気道感染症への抗生物質の使用は正当化されないPetersen氏は、「中耳炎、咽頭炎、上気道感染症後の重篤な合併症のリスク軽減を目的に抗生物質を使用することは正当化されない」と結論している。また、「市中肺炎は重篤な病態で死亡率も高い。イギリスのプライマリケア医はすでに肺感染症患者に抗生物質の投与を行っており、今回のわれわれの検討は特に高齢患者におけるその正当性を明らかにした」と指摘している。(菅野 守:医学ライター)

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ロセフィン、小児も1日1回の投与が可能に

中外製薬は抗生物質「ロセフィン」が小児1日1回投与の用法を追加取得したと発表した。成人に対しては1日1回投与が認められているがが、これまで小児には朝晩の2回投与する必要があった。そのため、入院が中心となっていたが、小児においても成人と同様に外来による抗菌薬静注療法(OPAT:Outpatient Parenteral Antimicrobial Therapy)が可能となる。詳細はプレスリリースへhttp://www.chugai-pharm.co.jp/generalPortal/pages/detailTypeHeader.jsp?documentId=doc_10327&lang=ja

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小児急性中耳炎原因菌に多剤耐性菌が出現

7価を有する複合ワクチン(PCV7)には含まれておらず、小児の急性中耳炎(AOM)を引き起こす原因となる肺炎球菌に、多剤耐性菌出現の可能性が懸念されている。 アメリカ・ロチェスター大学小児科のMichael E. Pichichero氏らは、AOMに罹患した患児の原因肺炎球菌の抗原型を調べ、その抗生物質感受性を調査した。JAMA誌10月17日号より。肺炎球菌の抗原型と抗生物質感受性を調査本研究は前向きコホート研究で、AOMを引き起こす肺炎球菌の負担変動を、特に抗原型と抗生物質感受性に注意を払いながら、複合ワクチンPCV7投与後継続的にモニタリングされた。対象となったのは、2003年9月~2006年6月の間にPCV7の投与を受けた小児。AOMの原因肺炎球菌の確認は鼓室穿刺術を用いて行われた。小児は全員、ロチェスター、ニューヨークの小児科で診療を受けている。AOMと診断された小児は1,816例。鼓室穿刺術は212例で実行され、59例で肺炎球菌感染が確認された。多剤耐性を有する抗原型19Aの肺炎球菌を9/59例で確認このうち9例で確認された菌株(2003~2004年:2例、2004~2005年:2例、2005~2006年:5例)は、新規の遺伝子型を有する抗原型19A。これはAOMに罹患した小児に用いることができるすべてのFDA承認抗生物質に耐性だった。4例の感染小児は2種類以上の抗生物質(高用量amoxicillinあるいはamoxicillin-clavulanateを含む)を用いても治療が失敗に終わった。結局、中耳腔換気用チューブが挿入されている。3例はceftriaxone注射剤投与で反復性AOMを、その他2例の感染は乳幼児期の早い段階で確認されていた。これらには手術以外の感染消散の手段としてlevofloxacinの投与が行われた。Pichichero氏らは、「PCV7ワクチン導入数年で、小児AOM治療に対するすべてのFDA承認抗生物質に耐性の肺炎球菌が出現していることが本研究で明らかとなった」とまとめている。(武藤まき:医療ライター)

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抗生物質の処方が地域に耐性菌を蔓延

一般医の抗生物質の処方が地域に耐性菌を蔓延させている、との興味深い論文が、BMJ誌オンライン版7月26日号、本誌9月1日号に掲載された。 英国一般診療で抗生物質の処方が最も多いのは、小児の急性呼吸器感染症に対してだが、コミュニティ・スタディなどがほとんど行われてこなかった。英国オックスフォード大学のAngela Chung氏らがあらためて観察研究を行った結果の報告。急性呼吸器感染症と診断の小児119例を追跡調査英国一般診療において抗生物質の処方と耐性菌出現との相関は低いと言われてきたが、最近の報告で、欧州19ヵ国のペニシリンのコミュニティにおける使用とペニシリン耐性菌出現との相関は0.84であると報じられた。ただし、スウェーデンやデンマークは英国よりも処方率は高いが耐性菌レベルは低く、一方フランスは処方率は高いが耐性菌レベルが高い。アイスランドのコミュニティ・スタディでは相関関係は特に見られないなど国によって異なる事実もある。Chung 氏らの観察研究は、オックスフォードシャー州の一般医開業医を受診し急性呼吸器感染症と診断された生後6ヵ月~12歳までの小児119例が対象。そのうち 71例はβラクタム系抗生剤(アモキシシリン70例、cephradine 1例)を処方されており、2週時点と12週時点に咽頭ぬぐい液検査を行い、アンピシリンの最小発育阻止濃度とICEHin1056耐性因子を4つのHaemophilus分離株で評価した。抗生物質投与群の耐性菌出現リスクは2倍2週時点の評価で、アンピシリンの最小発育阻止濃度は、アモキシシリン処方の有無で3倍以上の開きがあることが明らかとなった(処方あり9.2 μg/mL vs 処方なし2.7 μg/mL、P=0.005)。またICEHin1056耐性因子のリスクは約2倍になることも示された(処方あり67% vs処方なし36%、相対危険度1.9、95%信頼区間1.2-2.9)。耐性因子の増加は一過性だったが(12週時にアンピシリン耐性はベースライン近くに低下)、約35%の小児に耐性因子の存在が示され、本研究の一部ポイントでは83%(76%~89%)だった。Chung 氏らは、「プライマリ・ケアで処方されるアモキシシリンの短期的影響は、個々の小児にとって一過性かもしれないが、集団観点ではハイレベルの抗生物質耐性を蔓延させるのに十分足りうるものだ」と結論付け、一般診療での抗生物質の処方を大きく変化させる必要があると述べている。

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プロバイオティクス飲料が、高齢入院患者の抗生物質および感染による下痢を予防

プロバイオティクスは、「十分な量を投与された場合に宿主の健康にベネフィットをもたらす生きた微生物」と定義され、Streptococcus thermophilus、腸球菌種、サッカロミセス種、多くの種の乳酸菌やビフィズス菌などがある。感染性および抗生物質に起因する下痢などの消化器症状に、プロバイオティクスが有効であることを示すエビデンスが蓄積されつつある。 インペリアル・カレッジ・ロンドン医学部栄養学のMary Hickson氏らは、抗生物質およびClostridium difficileによる下痢の予防におけるプロバイオティクス飲料の有効性を評価するためのプラセボ対照無作為化試験を実施した。BMJ誌6月29日付オンライン版、7月14日付本誌掲載の報告から。高齢入院患者がカゼイ菌などを含むプロバイオティクスを飲用対象は、ロンドン市内の3施設に入院中で抗生物質の投与を受けている高齢患者135例(平均年齢74歳)。これらの症例が、抗生物質投与中および投与終了後1週間、カゼイ菌、ブルガリア菌、Streptococcus thermophilusを含むプロバイオティクス飲料100g(97mL)を1日2回飲用する群(69例)あるいは長期保存用の滅菌ミルクセーキ(プラセボ)を飲用する群(66例)に無作為に割り付けられた。評価可能例は113例(プロバイオティクス群57例、プラセボ群56例)であった。主要評価項目は抗生物質に関連する下痢の発生とし、副次評価項目はdifficile毒素および下痢の発現とした。ルーチンな飲用により抗生物質関連の下痢の発現が低下、医療費抑制も抗生物質に関連する下痢の発生率は、プロバイオティクス群がプラセボ群に比し有意に低かった(12 vs. 34%、p=0.007)。プラセボ群に対するプロバイオティクス群のオッズ比は0.25[95%信頼区間:0.07-0.85]と有意であった。抗生物質による下痢の予測因子として、血漿ナトリウム値上昇(オッズ比:0.84、95%信頼区間:0.75-095)、血清アルブミン値上昇(オッズ比:0.82、95%信頼区間:0.73-0.92)が挙げられた。また、C. difficileによる下痢の発現もプロバイオティクス群で有意に低下していた(0 vs. 17%、p=0.001)。プロバイオティクス飲料は抗生物質およびC. difficileによる下痢の発生を低下させることが明らかとなった。Hickson氏は、「プロバイオティクス飲料はコンプライアンスが良好であり、ルーチンに飲用することで50歳以上の症例の下痢の発生を予防するため医療費が抑制され、死亡率も低下する可能性がある」としている。(菅野 守:医学ライター)

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小児の反復性UTIに抗菌薬予防投与は効果なし

小児の反復性尿路感染(UTI)の危険因子と、抗菌薬の予防投与の有益性に関する十分な証拠は得られていない。そのためアメリカ・ペンシルベニア大学のPatrick H. Conway氏らのグループは、小児科プライマリ・ケア・コホートで反復性UTIの危険因子を同定すること、また抗菌薬の予防投与と反復性UTIとの関連性を評価すること、さらに反復性UTIに見られる耐性の危険因子を同定することを目的にtime-to-event解析を行った。本研究報告はJAMA誌7月11日号に掲載された。約7万5,000例を対象にtime-to-event解析を実施研究対象は、フィラデルフィア子供病院で管理されるelectronic health record(EHR)を共有する3つの州(デラウェア、ニュージャージー、ペンシルベニア)に分布する27の小児科プライマリ・ケア診療所のネットワークから集められた。診療所は都市部、郊外、準田園地帯と異なるエリアに点在している。反復性UTIの危険因子、抗菌薬の予防投与と反復性UTIの関連性を評価するためtime-to-event解析法が、また反復性UTI患児における耐性菌感染症の危険因子同定には、ネステッド・ケースコントロール研究が実施された。主要評価項目は、反復性UTIに至る時間と病原体の抗菌薬耐性。抗菌薬予防投与は反復性UTIに効果なく、耐性菌リスクを増大小児74,974例のうち、611例(0.007/人年)で初回UTIを、83例(初回UTI後、0.12%/人年)で反復性UTIが見られた。反復性UTIのリスク増加と関連する因子は、「白人」0.17/人年(ハザード比1.97、95%信頼区間1.22-3.16)、「3~4歳」0.22/人年(2.75、1.37-5.51)、「4~5歳」0.19/人年(2.47、1.19-5.12)、「膀胱尿管逆流(grade IV~V)」0.60/人年(4.38、1.26-15.29)で、「性別」および「膀胱尿管逆流(grade I~III)」は再発リスクとの関連は認められなかった。また抗菌薬の予防投与を行っても反復性UTIリスクは有意に低下せず(1.01、0.50-2.02)、むしろ抗菌薬耐性菌をもたらす危険因子の一つとなっていた(7.50、1.60-35.17)。このことからConway氏らは、「小児へのUTIに対する抗菌薬予防投与は、反復性UTIのリスクを減らすどころか、耐性菌感染症のリスクを増加させる」と結論づけた。(朝田哲明:医療ライター)

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