サイト内検索|page:274

検索結果 合計:5539件 表示位置:5461 - 5480

5461.

注射用ニューキノロン系抗菌製剤「パズフロキサシンメシル酸塩注射液 1000mg」製造販売承認申請

富山化学工業株式会社と田辺三菱製薬株式会社は15日、国内で共同開発を進めてきた注射用ニューキノロン系抗菌製剤「パズフロキサシンメシル酸塩注射液1000㎎」の製造販売承認申請を、11日に行ったことを発表した。「パズフロキサシンメシル酸塩注射液」は、2002年9月より1物2銘柄(製品名:富山化学「パシル点滴静注液」、田辺三菱製薬「パズクロス」)で並売をしていて、「パズフロキサシン」として300㎎、500㎎含量した2規格を販売している。近年、医療現場で問題となっている重症・難治性感染症に対して、本剤を増量して使用したいとの学会からの要望を受け、臨床試験を実施。今回、試験成績がまとまり、通常は「パズフロキサシン」として1日1000㎎を2回に分けて点滴静注する現在の用法・用量に加え、重症・難治性感染症等では1日2000mgを2回に分けて点滴静注するという用法・用量の取得を目指しているとのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.toyama-chemical.co.jp/news/detail/090615.html(富山化学工業株式会社)http://www.mt-pharma.co.jp/shared/show.php?url=../release/nr/2009/MTPC090615_P.html(田辺三菱製薬株式会社)

5462.

米国における移民・難民の結核疫学調査

結核は、感染症死亡世界第2位で、発病率は1990年から2003年の間に世界的に増加した。WHOによれば、2005年の新規患者は世界で約880万人、うち84.1%がアジアおよびサハラ以南のアフリカからの報告だったという。一方、先進国の発病率も、こうした国からの移民・難民の影響を受けていると言われ、米国では、1年間の結核の新規患者の約6割が、外国生まれの人であり、その大半は、移民や難民と推定されるという(2007年調べ)。こうした外国生まれの人に対する結核予防対策を講じるため、米国疾病管理予防センター(CDC)のYecai Liu氏らは、詳細な疫学調査を実施した。NEJM誌2009年6月4日号より。外国生まれの人の結核発病率は、米国内で生まれた人の9.8倍2007年の米国における結核の新規患者数は1万3,293人で、そのうち57.8%が外国生まれの人だった。それら外国生まれの人の発病率は、米国生まれの人の9.8倍に上った(20.6例対2.1例/人口10万)。米国には毎年、約40万人の移民、5万~7万人の難民が移住してきており、外国生まれで結核を発病した人の多くがそうした人々だと推定された。海外でスミア陰性だった人のうち7%が移住後に発病一方、CDCでは、移民や難民の移住後の結核に関する追跡調査とともに、海外スクリーニングのデータも収集している。Liu氏らは、それらデータを分析。1999~2005年の間の、移民者271万4,223人の海外スクリーニングデータから、スミア陰性例(胸部X線によって活動性結核が示唆されたが、喀痰スミアは3日連続で抗酸菌陰性)が合計2万6,075例、非活動性結核例(胸部X線によって臨床的に非活動性結核を示した症例)が2万2,716例だったことが明らかになった。これは、有病率がそれぞれ、961例/10万人(95%信頼区間:949~973例)、837例/10万人(826~848例)であることを意味する。また同期間の、難民37万8,506人については、スミア陰性の結核は3,923例、非活動性の結核は1万0,743例で、有病率はそれぞれ、1,036例/10万人(1,004~1,068例)、2,838例/10万人(2,785~2,891例)であった。これら海外スクリーニングデータと国内発症データを合わせると、海外ではスミア陰性と診断されていた人のうち7.0%が、米国に移住後、活動性肺結核と診断されており、また、非活動性結核と診断されていた人については、1.6%が移住後、活動性肺結核と診断されていた。(武藤まき:医療ライター)

5463.

新型インフルエンザの状況をどうみるか? ―第49回日本呼吸器学会学術講演会 緊急報告

第49回日本呼吸器学会学術講演会では6月13日、世界保健機関(WHO)で感染症対策を担当した押谷 仁氏(東北大学大学院医学系研究科微生物学分野 教授)により、「インフルエンザA(H1N1)による新型インフルエンザの各国の状況と日本の課題」と題した新型インフルエンザに関する緊急報告が行われた。まず、押谷氏は日本現在の「今回のインフルエンザA(H1N1)の毒性は弱毒性で、季節性インフルエンザと同程度」、「日本での第1波の流行は終息し、この冬の第2波に備えればよい」との論調に疑問を呈示、WHOでは深刻に捉えていることを話した。わが国でこれまで想定されていた新型インフルエンザでは、罹患率を人口の25%としており、これに基づき、感染者数は約3,000万人とされていた。押谷氏は、新型インフルエンザの病原性を季節性インフルエンザと同程度(致死率0.1~0.2%)とすると、死亡者数は3~6万人、致死率が0.4%と仮定した場合、死亡者数は12万人に上ると推測している。さらに、季節性インフルエンザと異なり、死亡者の多くは子供と20~40歳代の成人であるため、社会的インパクトはきわめて大きいと警告している。今回の新型インフルエンザA(H1N1)の病原性をどう見るべきかについて、押谷氏は、流行がまだ進展している状況では、はっきりとした全体像はよくわからないとした上、米国、特にニューヨーク市の状況について紹介した。米国での死亡者数は、最初の死亡者が出てから1ヵ月半の6月12日時点では、累計45人に達している。ニューヨーク市では、5月1日~20日の電話調査により、罹患率を5%以下と推計。ニューヨーク市の死亡者数は6月2日時点の7人から、6月12日の16人に増加しており、そのうち2人は65歳以上の高齢者だった。さらに、ニューヨーク市では、6月12日時点で、入院者数は567名に達し、そのうち、ICUケアが必要な患者は117人(21%)、人工呼吸器が必要な患者は59人(10%)であった。入院患者・死亡者の約80%はなんらかのリスク因子を持っている。リスク因子の割合は、喘息や他の慢性肺疾患は41%と最も多く、そのほか妊娠女性(妊娠可能女性患者の28%)、2歳未満12%、糖尿病11%などの順であった。なぜ重症化するのかについて、押谷氏は、1)ウイルス側にはこれまでVirulenceを決めるようなMutationは見つかっていない(NS1、PB1、PB2など)、2)おそらく一部の症例では(特に基礎疾患などがある人では)ウイルスの増殖をコントロールできなくなっている、3)ほとんどの人に免疫がないためにこのようなことが起こりうるとしている。わが国では、疫学リンクのない例(感染源が特定されていない例)がかなり見つかっているが、隔離や自宅待機を恐れて名乗り出ていない人もいると思われ、日本での感染拡大が続いている可能性があると押谷氏は指摘した。今後予想されているシナリオとしては、1)このまま日本を含め大規模なパンデミックに突入、2)北半球では今回は「小流行」で終わる、3)いったん北半球では収まっても感染者の流入は続く可能性が指摘されている。日本でも半年以内に大規模な感染拡大は確実に起こる可能性が高いとされる。押谷氏は現時点では感染者の多くは軽症であるとしながらも、感染者が増加すれば日本でも重症化する人が出てくるとし、重症化例への医療体制は大きな課題であると締めくくった。【関連リンク】 ●2009 New York City Department of Health and Mental HygieneHealth Alert ♯22: Novel H1N1 Influenza Update June 12, 2009http://www.nyc.gov/html/doh/downloads/pdf/cd/2009/09md22.pdf ●2009 New York City Department of Health and Mental HygieneHealth Alert ♯21: Novel H1N1 Influenza Update June 2, 2009http://www.nyc.gov/html/doh/downloads/pdf/cd/2009/09md21.pdf(ケアネット 呉 晨/松本佳世子)

5464.

【医学生の会】勉強会:厚生労働医系技官木村盛世先生

「医師のキャリアパスを考える医学生の会」が、7月11日(土)15時から日本医科大学にて、厚生労働医系技官の木村盛世先生をお呼びして、勉強会を開催致します。 【日時】7月11日(土)15:00-17:00 【場所】日本医科大学(詳細は後日) 【講師】木村盛世先生 【参加費用】無料 *勉強会後、実費で懇親会あり 【申し込み】以下メールアドレスより *参加は医学生のみとなりますdoctorscareer_kimura@yahoo.co.jp件名に木村先生講演会とご記入の上、大学名、学年、氏名、当日連絡用携帯メールアドレス、電話番号、懇親会希望の有無(仮も可)を添えて、メールをお送りください。人数により会場を調整いたしますので、ご参加可能な方は6月13日(金)までにできるだけお早めにご連絡ください。厚生労働医系技官で現在新型インフルエンザ問題においてもご活躍されている木村盛世先生のビジョンや、医学生の私たちに伝えたいことなど様々な面から共に考える勉強会を予定しております。 木村 盛世(きむら もりよ)先生のプロフィール 医師/厚生労働医系技官。筑波大学医学群卒業。米国ジョンズ・ホプキンス大学公衆衛生大学院疫学部修士課程修了(MPH[公衆衛生学修士号])。優れた研究者に贈られる、ジョンズ・ホプキンス大学デルタオメガスカラーシップを受賞する。内科医として勤務後、米国CDC(疾病予防管理センター)多施設研究プロジェクトコーディネイターを経て財団法人結核予防会に勤務。その後、厚生労働省大臣官房統計情報部を経て、厚労省検疫官。専門は感染症疫学。プライベートでは双子の娘のシングルマザーとしての顔も持つ。 木村盛世先生のホームページ http://www.kimuramoriyo.com/木村盛世先生のブログ  http://ameblo.jp/moriyon/ ●医学生の会ホームページhttp://students.umin.jp/

5465.

シプロキサン注の用法・用量が一部変更 希釈せずに投与も可能に

バイエル薬品株式会社は5日、同社が販売中のニューキノロン系注射用抗菌剤「シプロキサン注」(一般名:シプロフロキサシン)200mgおよび300mgの「用法・用量」の一部変更承認申請が、6月1日付で承認されたと発表した。これに伴い、同社は添付文書の「用法・用量」および「使用上の注意」を改訂した。国内初のニューキノロン系注射用抗菌剤であるシプロキサン注は2000年11月の上市以後、肺炎をはじめとするさまざまな重症感染症の治療薬として汎用されているが、投与の際の点滴静注局所の血管痛や静脈炎の発現リスクを軽減するため、生理食塩液などで希釈することが用法・用量で定められていた。このため、例えば、心機能や腎機能が低下していて、著しい水分摂取制限下にある患者については、水分管理の観点からシプロキサン注の使用を見送らざるを得ないという問題が、発売当初から医療現場より提起されてきた。そのため、同社が集積されたデータを基に希釈の有無による忍容性について改めて検討を行った。その結果、著しい水分摂取制限により水分負荷がかけられない患者であると医師が判断した場合には、同剤による治療上の有益性を考慮し、シプロキサン注を希釈せずに投与ができるよう、用法・用量の一部変更承認申請を行い、このたび承認された。詳細はプレスリリースへhttp://byl.bayer.co.jp/scripts/pages/jp/press_release/press_detail/?file_path=2009%2Fnews2009-06-05.html

5466.

Dr.東田の病態生理学 自由自在! [糖尿病編]

第1回「総論」第2回「診断と症状」第3回「治療」 [糖尿病編]病気の仕組みを理解し原因を解き明かす病態生理学。 「複雑で難しい・・・」と苦手意識がある人は多いでしょう。このDVDでは、患者ケアをする際に必要不可欠な病態生理について、わかりやすく、かつ楽しく、解説します。従来の病態生理学の教材にはない、病気の意外なエピソードから始まり、身近な物事や面白い例え話も交えた、まさに痒いところに手が届く、”究極”の講義!いつの間にか病気の本質や仕組みを面白いほど理解していて、丸暗記という苦痛から開放されているはずです。医師・看護師をはじめ,臨床現場に携わるすべての医療従事者にオススメします!第1回 総論・そもそも糖尿病とは何か (尿に糖が出る病気?)・三大栄養素 (エネルギー(ATP)になる3つの栄養素)・細胞の栄養摂取の仕組み ( グルコースが細胞に摂り込まれるまで)・糖尿病のメカニズム (「栄養が良い病気」ではない!)・細胞内に摂取された三大栄養素の分解 (いずれもクエン酸回路を介してATPに)・細胞のグルコース摂取とインスリン (重要な細胞から優先的にグルコース摂取)・血糖値(BS : Blood Sugar) について (糖尿病と血糖値の関係は?)・血糖値を調整するホルモン (血糖値を50?140 mg/dlに収めるために)・インスリンの合成・分泌 (膵臓の内分泌機能により生成)・尿糖が発生するメカニズム ( なぜ尿中に糖が排泄されるのか?)・【参考】尿検査について (尿に角砂糖を溶かせば糖尿病?)・糖尿病のメカニズム (「栄養が良い病気」ではない!)第2回 診断と症状・糖尿病の現状 (増えつづける糖尿病患者)・糖尿病の分類 (糖尿病は3種類に大別される)・“その他”に分類される糖尿病の原因 ( 他の症状に伴って発病するタイプ)・1型糖尿病 原因とメカニズム ( 自己免疫によって発症するタイプ)・2型糖尿病 原因とメカニズム (遺伝的素因+生活習慣によって発症)・糖尿病の診断 ①血糖値 (糖尿病の主たる診断基準は血糖値)・糖尿病の診断 ②補足的な検査 (診断におけるその他の検査)・1型糖尿病と2型糖尿病の鑑別診断 ( 治療法が異なるので、明確に区別すべき)・糖尿病の診断基準 ( 検査数値と症状)・糖尿病の合併症①口渇・多飲・多尿・体重減少 (糖尿病の古典的症状)・糖尿病の合併症②網膜症・腎症・神経障害 (糖尿病の三徴(三大合併症;Triopathy))・糖尿病の合併症③動脈硬化性病変・感染症など (その他の重篤な合併症)第3回 治療・細胞の栄養摂取 (グルコースが細胞に摂り込まれるまで)・糖尿病の諸症状の原因 (糖尿病治療の根幹は?)・1型糖尿病の治療法 (1型:自己免疫によりラ氏島B細胞が破壊)・2型糖尿病の治療法 (2型:生活習慣(過食)が関与する糖尿病)・食事療法の基本 (1型と2型で方針が異なる)・運動療法の基本 (激しい運動をするわけではない)・インスリンの投与方法 ( 頓服しても効きません・・・)・糖尿病の経口薬① (インスリン分泌促進薬)・糖尿病の経口薬② (インスリン抵抗性改善薬)・糖尿病の経口薬③ (ブドウ糖吸収阻害薬)

5467.

HIV-1対策は予防と治療をセットで議論すべき段階を迎えている

HIV-1感染症の拡大予防対策は、危険な性行為や麻薬の常用といったリスク行動対策とは別に、高活性抗レトロウイルス療法(HAART・多剤併用療法)の予防的観点での投与が、近く本格化するかもしれない。British Columbia Centre for Excellence in HIV/AIDS(カナダ)のEvan Wood氏らは、これまで未報告だった地域ベースでの血漿HIV-1 RNA濃度とHIV-1発症率との関連について前向きコホート研究を行い、「リスク行動とは独立した関連が見られ、血漿HIV-1 RNA濃度との関連でHIV-1発症を予測することができた」ことを明らかにした。BMJ誌2009年5月16日号(オンライン版2009年4月30日号)より。地域の血漿HIV-1 RNA濃度と、麻薬(注射)常用者におけるHIV-1発生率との関連を調査HIV-1感染拡大予防の観点からのHAART活用が議論されるようになり、有効性を示す統計的データが次々と発表されても、「リスク行動を助長するものだ」との意見に抑え込まれ活用は進んでいないが、最近になってWHOもHAARTの予防的投与の研究を認めるコンセンサス文書を発表し、また関連学会で中心的トピックを占めるなど世界的関心が高まっている。そうした中で行われたWood氏らの調査は、カナダ・バンクーバーのダウンタウンを対象とし、同地域の血漿HIV-1 RNA濃度と、麻薬(注射)常用者におけるHIV-1発生率との関連が調べられた。被験者の麻薬常用者はHIV-1陽性・陰性にかかわらず登録され、1996年5月1日~2007年6月30日の間、6ヵ月ごとに追跡調査が行われた。抗体陽転時期はウイルス量の増加から予測可能研究期間中に追跡調査されたHIV-1陽性の麻薬常用者は622例(女性40.2%、年齢中央値37歳)で、血漿HIV-1 RNA濃度の測定値は12,435例[1患者当たり中央値17例(8~31)]が集められた。 一方、HIV-1陰性の麻薬常用者は1,429例[女性32.5%、年齢中央値36.1歳、追跡調査回数中央値8(3~16)]。このうちHIV-1抗体陽転したのは155例で、発生率は2.49/100人年(95%信頼区間:2.09~2.88)だった。研究期間11年の動向を見たところ、HIV-1の血漿濃度と発生率とは相関関係を示していた。未調整コックス回帰分析の結果、HIV-1陰性患者が抗体陽転した時期と、前回(6ヵ月前)調査時の推定血漿HIV-1 RNA濃度とが関連していることが見出された(ハザード比:3.57)。この関連は、危険な性行動や注射器共用などで調整後も維持された(ハザード比:3.32)。またHIV-1の血漿濃度と発生率との関連に関して、事後解析の結果、研究期間以前(1988年1月以降の血漿HIV-1 RNA濃度中央値が

5468.

武田薬品がノバルティスからHibワクチンを導入へ

武田薬品工業株式会社は26日、スイス・ノバルティス社と、インフルエンザ菌b型(以下、「Hib」)による感染症の予防を目的としたワクチン(以下、Hibワクチン)の導入に関する契約を締結したと発表した。今回、同社が導入するHibワクチン(製品名:Vaxem Hib)は、無毒化したジフテリア毒素と結合させることで免疫原性を高め、乳幼児においても有効に抗体を産生できるようにしたもの。今回の契約により、同社は、ノバルティス社製Hibワクチンの国内における独占的開発および企業化に関する権利と、同ワクチンを用いた各種混合ワクチンの全世界における開発、製造および企業化に関する権利を有することになるという。また、同社が海外において他社と共同で当該混合ワクチンを企業化する場合は、ノバルティス社が優先交渉権を有するとのこと。なお、本契約に基づき、同社はノバルティス社に対し契約一時金1億円を支払うとともに、販売時マイルストーンならびに販売額に応じたロイヤルティを支払うという。詳細はプレスリリースへhttp://www.takeda.co.jp/press/article_34370.html

5469.

乳児の細気管支炎、エピネフリン+デキサメタゾン併用療法で入院が減る可能性

 乳児に最もよく見られる急性感染症の細気管支炎(大半はRSウイルスが原因)には、エピネフリン+デキサメタゾン併用療法を行うことで、入院を有意に減らす可能性があるとの報告が、カナダから寄せられた。オタワ大学小児科のAmy C. Plint氏らPERC(Pediatric Emergency Research Canada)の調査による。北米での細気管支炎による入院は、ここ10~15年でほぼ倍増しており、入院医療費は1998年時点で約4億~7億ドルに上ると試算されている。一方で、細気管支炎への治療についてはなお論争の的となっており、気管支拡張薬とコルチコステロイド療法は広く行われているが、推奨はされていない。研究グループは、それら懸念や論争に一石を投じるべく、救急部門で行われている治療(エピネフリン吸入療法、短期のデキサメタゾン経口投与、もしくは両治療の併用)によって入院が減っているかどうかを調べた。NEJM誌2009年5月14日号より。乳児800例対象の多施設共同二重盲検プラセボ対照比較試験 小児科救急部門を受診した細気管支炎の乳児800例を対象とした、多施設共同二重盲検プラセボ対照比較試験。対象患児は、無作為に4群(併用群、エピネフリン群、デキサメタゾン群、プラセボ群)に割り付けられた。 エピネフリンは、0.1%溶液3mLの吸入を2回、デキサメタゾンは、経口投与6回(救急部門で1.0mg/kg体重、以後0.6 mg/kg体重/日を5日間)で治療された。 主要転帰は、救急部の初回受診から7日以内の入院とした。 ベースラインでの臨床的特徴は4群とも同等だった。 入院率は併用群17.1%、プラセボ群26.4% 7日までに入院したのは、併用群が34例(17.1%)、エピネフリン群47例(23.7%)、デキサメタゾン群51例(25.6%)、プラセボ群53例(26.4%)だった。 重大な有害事象は特に見られなかった。 解析の結果、補正前解析では、プラセボ群と比較して併用群だけが、7日以内の入院率が低いように思えた(相対リスク:0.65、95%信頼区間0.45~0.95、P=0.02)。しかし、多重比較解析後には、この結果は意味をなさなくなっていた(P=0.07)が、研究グループは、「併用療法を行うことで、入院を有意に減らす可能性がある」と結論している。■「デキサメタゾン」関連記事術前デキサメタゾン追加で術後24時間の嘔吐が低減/BMJ

5470.

バリキサに臓器移植と悪性腫瘍におけるサイトメガロウイルス感染症への効能・効果追加承認

田辺三菱製薬株式会社は21日、抗サイトメガロウイルス化学療法剤「バリキサ錠450mg(一般名:バルガンシクロビル塩酸塩)」について、5月20日付で効能・効果の追加に係る承認事項一部変更承認を取得し、これまでの「後天性免疫不全症候群(エイズ)患者におけるサイトメガロウイルス網膜炎の治療」から、「後天性免疫不全症候群、臓器移植(造血幹細胞移植も含む)、および悪性腫瘍におけるサイトメガロウイルス感染症」の効能・効果となったと発表した。サイトメガロウイルス(CMV:cytomegalovirus)は、典型的な日和見病原体ウイルスで、日本人のほとんどは生後早期にCMVの感染を受け、潜伏感染の状態でCMVを終生体内(肺、消化管、肝臓など)に保有しているといわれている。近年の強力な免疫抑制剤の使用により、臓器移植の臨床成績は著しく向上している一方で、同剤の使用により誘因される免疫不全状態は日和見感染症(CMV感染症等)を誘発し、致命的感染症へと進展することが少なくないという。国内では、臓器移植後のCMV感染症には、同社が製造販売する「デノシン点滴静注用500mg」が抗CMV化学療法剤として使用されているが、点滴静注で投与することから、患者への負担が大きく、経口投与が可能な製剤が望まれていた。同社は、経口剤であるバリキサ錠450mgの臨床試験を2006年より開始し、その結果、臓器移植患者における本剤の高い効果が確認されたことから、2008年6月に本効能・効果の追加の承認申請を行っていた。詳細はプレスリリースへhttp://www.mt-pharma.co.jp/shared/show.php?url=../release/nr/2009/MTPC090521.html

5471.

下気道感染症への不必要な抗生物質処方が低減、その対策とは?

一般医(GP)がC反応性蛋白(CRP)検査を行い、コミュニケーション技能を鍛錬すれば、下気道感染症への抗生物質の処方が低減することが、オランダMaastricht大学医療センター一般医療科のJochenWL Cals氏らが実施した無作為化試験で明らかにされた。下気道感染症による咳嗽は抗生物質処方の最も一般的な理由の一つだが、プライマリ・ケアではその多くが患者にベネフィットをもたらしていない。不必要な抗生物質処方の最大の要因は、診断の不確実性や患者の期待だという。BMJ誌2009年5月9日号(オンライン版2009年5月5日号)掲載の報告。2つのアプローチに関するファクトリアルデザインのクラスター無作為化試験研究グループは、GPによるCRP検査[疾患(disease)志向型アプローチ]およびコミュニケーション技能の鍛錬[病状(illness)志向型アプローチ]が、下気道感染症への抗生物質処方に及ぼす影響を評価するために、実践に即した2×2ファクトリアルデザインによるクラスター無作為化試験を行った。オランダの20のプライマリ・ケア施設の40名のGPから、下部気道感染症患者431例が登録された。20の施設を5施設ずつ、次の4つのクラスターに無作為化に割り付けた(1施設2名のGP)。CRP検査のみを行う群(110例)、コミュニケーション技能の訓練のみを行う群(84例)、両方を行う群(117例)、通常治療を行う群(120例)。両方のアプローチを実施した群で処方率が最も低いCRP検査を実施したGPが抗生物質を処方した患者の割合が31%であったのに対し、CRP非施行群のGPの抗生物質処方率は53%であり有意差を認めた(p=0.02)。コミュニケーション技能の訓練を実施したGPの抗生物質処方率が27%であったのに比べ、非訓練群のGPは54%と有意に高値を示した(p<0.01)。副次評価項目である28日間のフォローアップ期間中の抗生物質処方については、2つのアプローチはそれぞれ有意な抑制効果を示した。両方のアプローチを実施した群の抗生物質処方率は23%と最も低値であったが、相互作用は有意ではなかった。患者の回復状況および満足度は全群で同等であった。著者は、「GPがCRP検査を行い、コミュニケーション技能の向上を図ることで、患者の回復や満足度に支障を来さずに、プライマリ・ケアにおける下気道感染症への抗生物質の処方が低減した」と結論し、「このプライマリ・ケアの現場で一般的な病態への抗生物質の処方を最大限に低減するには、疾患志向型のアプローチと病状志向型のアプローチの統合が不可欠と考えられる」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

5473.

感染研が新型インフルエンザの「診断の流れ」と「治療・予防投与の流れ」を掲載

国立感染症研究所感染症情報センターは5月6日、日本国内の医療機関に向けて、新型インフルエンザの診断・治療・予防投薬について示した文書を掲載した。  ●国立感染症研究所感染症情報センター「国内医療機関における新型インフルエンザA(H1N1)診断の流れ Ver.1」http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/pdf09/090506_diagnosis.pdf ●国立感染症研究所感染症情報センター「国内医療機関における新型インフルエンザA(H1N1)抗ウイルス薬による治療・予防投薬の流れ Ver.1」http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/pdf09/090506_treatment-chemoprophylaxis.pdf 

5474.

豚インフルについて、研修医の皆さんへ -神戸大学 岩田健太郎先生より

神戸大学感染症内科の岩田健太郎先生より、今回の豚インフルエンザに関して、ご自身が2001年の炭疽菌騒ぎの際にNYで2004年には北京でSARSに関わった医者として研修医の皆さんに流された提案を先生のご好意により掲載させていただきました。 豚インフルについて、研修医の皆さんへ まず、毎日の診療を大切にしてください。呼吸器症状の有無を確認し、ないときに安易に「上気道炎」と診断せず、旅行歴、シックコンタクト、動物暴露歴など問診を充分に聴取してください。患者さんが言わない、ということはその事実がない、という意味ではありません。せきをしていますか?と聞かなければ、せきをしているとは言わないかも知れません。原因不明の発熱であれば、必ず血液培養を検討してください。バイタルサインを大切にしてください。バイタルサインの重要度は重要な順番に、血圧、脈拍、呼吸数、(第五のバイタル)酸素飽和度、そして、体温です。極端な低体温などはまずいですが、発熱患者で大切なのは体温「以外」のバイタルサインと意識状態であることは認識してください。発症のオンセット、潜伏期など、時間の感覚には鋭敏になってください。要するに、ブタインフルエンザ診療のポイントは普段の診療の延長線上にしかありません。ほとんど特別なものはないことを理解してください。上記の診療は診療所、大学病院、どこのセッティングでも可能です。大抵の感染症診療は、大抵のセッティングで可能なのです。 自分の身を護ってください。とくに初診患者では外科用マスクの着用をお奨めします。患者の診察前とあとで、ちゃんと手を洗っていますか。呼吸器検体を採取するなら採痰ブースが理想的ですが、理想的な環境がないからといって嘆く必要は少しもありません。「うちには○○がない」と何百万遍となえても嘆いても、物事は一つも前に進みません。「うちには○○がないので、代わりに何が出来るだろう」と考えてください。考えても思いつかなかったら、そこで思考停止に陥るのではなく、分かっていそうな上の先生に相談してください。いつだって相談することは大切なのです。診察室で痰を採取するなら、部屋の外に出て患者さんだけにしてあげるのもいいかもしれません。日常診療でも、とくに女性の患者は人前で痰なんて出せないものです。呼吸器検体を扱うとき、気管内挿管時などはゴーグル、マスク(できればN95)、ガウン、手袋が必要です。採血時やラインを取るときも手袋をしたほうがよいでしょう。こういうことは豚インフルに関わらず、ほとんどすべての患者さんに通用する策に過ぎません。繰り返しますが、日常診療をまっとうにやることが最強の豚インフル対策です。 あなたが不安に思っているときは、それ以上に周りはもっと不安かも知れません。自分の不安は5秒間だけ棚上げにして、まずは周りの不安に対応してあげてください。豚インフルのリスクは、少なくとも僕たちが今知っている限り、かつて遭遇した感染症のリスクをむちゃくちゃに逸脱しているわけではありません。北京にいたときは、在住日本人がSARSのリスクにおののいてパニックに陥りましたが、実際にはそれよりもはるかに死亡者の多かった交通事故には全く無頓着でした。ぼくたちはリスクをまっとうに見つめる訓練を受けておらず、しばしばリスクを歪めて捕らえてしまいます。普段の診療をちゃんとやっているのなら、豚インフルのリスクに不安を感じるのはいいとしても、パニックになる必要はありません。 今分かっていることでベストを尽くしてください。分からないことはたくさんあります。なぜメキシコ?なぜメキシコでは死亡率が高いの?これからパンデミックになるの?分かりません。今、世界のどの専門家に訊いても分かりません。時間と気分に余裕のあるときにはこのような疑問に思考をめぐらせるのも楽しい知的遊戯ですが、現場でどがちゃかしているときは、時間の無駄以外の何者でもありません。知者と愚者を分けるのは、知識の多寡ではなく、自分が知らないこと、現時点ではわかり得ないこととそうでないものを峻別できるか否かにかかっています。そして、分からないことには素直に「分かりません」というのが誠実でまっとうな回答なのです。 情報は一所懸命収集してください。でも、情報には「中腰」で対峙しましょう。炭疽菌事件では、米国CDCが「過去のデータ」を参照して郵便局員に封をした郵便物から炭疽感染はない。いつもどおり仕事をしなさい」と言いました。それは間違いで、郵便局員の患者・死者がでてしまいました。未曾有の出来事では、過去のデータは参考になりますが、すがりつくほどの価値はありません。「最新の」情報の多くはガセネタです。ガセネタだったことにむかつくのではなく、こういうときはガセネタが出やすいものである、と腹をくくってしまうのが一番です。他者を変えるのと、自分が変わるのでは、後者が圧倒的にらくちんです。 自らの不安を否定する必要はありません。臆病なこともOKです。ぼくが北京で発熱患者を診療するとき、本当はこわくてこわくて嫌で嫌で仕方がありませんでした。危険に対してなんのためらいもなく飛び込んでいくのは、ノミが人を咬みに行くような蛮行で、それを「勇気」とは呼びません。勇気とは恐怖を認識しつつ、その恐怖に震えおののきながら、それでも歯を食いしばってリスクと対峙する態度を言います。従って勇気とは臆病者特有の属性で、リスクフリーの強者は、定義からして勇気を持ち得ません。 チームを大切にしてください。チーム医療とは、ただ集団で仕事をすることではありません。今の自分がチームの中でどのような立ち位置にあるのか考えてみてください。自分がチームに何が出来るか、考えてください。考えて分からなければ、チームリーダーに訊くのが大切です。自分が自分が、ではなく、チームのために自分がどこまで役に立てるか考えてください。タミフルをだれにどのくらい処方するかは、その施設でちゃんと決めておきましょう。「俺だけに適用されるルール」を作らないことがチーム医療では大切です。我を抑えて、チームのためにこころを尽くせば、チームのみんなもあなたのためにこころを尽くしてくれます。あなたに求められているのは、不眠不休でぶっ倒れるまで働き続ける勇者になることではなく、適度に休養を取って「ぶったおれない」ことなのです。それをチームは望んでいるのです。 ぼくは、大切な研修医の皆さんが安全に確実に着実に、この問題を乗り越えてくれることを、こころから祈っています。 2009年4月28日 神戸大学感染症内科 岩田健太郎 

5475.

新型インフルエンザに関する情報サイト

新型インフルエンザに関する情報サイトのリンクです。 ●MLインフルエンザ流行前線情報DBhttp://ml-flu.children.jp/ ●日本感染症学会緊急提言「一般医療機関における新型インフルエンザへの対応について」http://www.kansensho.or.jp/ ●日本予防医学リスクマネージメント学会「新型インフルエンザ A(N1H1) 情報」http://www.jsrmpm.org/JSwineinfo.html ●国立感染症研究所感染症情報センター「国内医療機関における新型インフルエンザA(H1N1)診断の流れ Ver.1」http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/pdf09/090506_diagnosis.pdf ●国立感染症研究所感染症情報センター「国内医療機関における新型インフルエンザA(H1N1)抗ウイルス薬による治療・予防投薬の流れ Ver.1」http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/pdf09/090506_treatment-chemoprophylaxis.pdf ●UP-TO-DATE「Epidemiology, clinical manifestations, and diagnosis of swine H1N1 influenza A」http://www.utdol.com/home/content/topic.do?topicKey=pulm_inf/18836 ●新型インフルエンザ(豚インフルエンザH1N1)に係る症例定義及び届出様式についてhttp://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/090429-03.html  ●首相官邸「海外における新型インフルエンザの発生に関する政府の対応状況」http://www.kantei.go.jp/jp/kikikanri/flu/swineflu/index.html ●厚生労働省「新型インフルエンザ対策関連情報」http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/index.html ●厚生労働省「ブタインフルエンザに対する対応について」http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/090426-02.html ●WHO「Swine influenza」http://www.who.int/csr/disease/swineflu/en/index.html ●CDC「Swine Influenza (Flu)」http://www.cdc.gov/swineflu/ ●国立感染症研究所感染症情報センター「ブタインフルエンザ」http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/index.html ●青木眞先生のブログにCDCの一般向けの翻訳が掲載されていますhttp://blog.goo.ne.jp/idconsult/e/b60eb34d09d10229a171a400faf59300 ●新型インフルエンザ・ウォッチング日記http://blog.goo.ne.jp/tabibito12 

5476.

クラビット錠250mg/500mg・細粒10%の製造販売承認取得

第一三共株式会社は22日、広範囲経口抗菌製剤「クラビット錠250mg/500mg・細粒10%」(一般名:レボフロキサシン水和物)の製造販売承認を取得したと発表した。クラビットは、1993年12月に発売以来、これまでに各種感染症に対して43の適応症と32の適応菌種を取得し、今なお優れた治療効果を維持し高い安全性が評価されている。クラビット500mg 1日1回投与法は、PK-PD理論に基づき開発され、従来の100mg 1日3回投与法と比較して最高血中濃度を上げることにより、殺菌作用が増強されると共に耐性菌の出現を抑制することが期待できることから、抗菌薬の適正使用にのっとった投与法。この投与法は、すでに海外においては120以上の国または地域で承認されており、世界の標準的用法・用量になっているという。詳細はプレスリリースへhttp://www.daiichisankyo.co.jp/4less/cgi-bin/cs4view_obj.php/b_newsrelease_n1/895/20090422_クラビット500承認リリース(日)final.pdf

5477.

バルーン椎骨形成術は急性期の脊椎圧迫骨折に有効:FREE試験

バルーン椎骨形成術は、脊椎圧迫骨折に対する長期的な効果はないものの急性期には有効で安全な治療法であることが、イギリス・グランピアン州国民保健サービス(NHS)Woodend病院整形外科のDouglas Wardlaw氏らが実施したFREE試験で明らかとなった。バルーン椎骨形成術は疼痛を伴う脊椎骨折に対する低侵襲性の治療手技であり、痛みの低減およびQOLの改善を目的に施行されるという。Lancet誌2009年3月21日号(オンライン版2009年2月25日号)掲載の報告。8ヵ国21施設から300例を登録、1ヵ月後の身体的QOLを評価本試験は、脊椎圧迫骨折に対するバルーン椎骨形成術の効果と安全性の評価を目的とした無作為化対照比較試験。2003年2月~2005年12月までに、8ヵ国21施設から1~3ヵ所の急性脊椎骨折を有する成人患者300例が登録され、バルーン椎骨形成術群(149例)あるいは外科治療を行わない対照群(151例)に無作為に割り付けられた。主要評価項目は、QOL評価としてベースライン時から1ヵ月後までのshort form-36の身体的健康度(SF-36 PCS)スコア(1~100)の変化の差とした。QOLとともにそれ以外の効果や安全性に関する評価を12ヵ月後まで実施した。SF-36の身体的健康度スコアが有意に改善、有害事象の頻度は同等1ヵ月後までのフォローアップが完遂できたのは、治療群が138例、対照群は128例であったが、解析は300例全例について行った。治療群ではSF-36 PCSスコアが、ベースラインの26.0から1ヵ月後には33.4まで7.2ポイント改善したのに対し、対照群では25.5から27.4までと2.0ポイントの改善にとどまり、バルーン椎骨形成術の有意な治療効果が確認された(群間差:5.2ポイント、p<0.0001)。有害事象の頻度は両群間で差がなかった。バルーン椎骨形成術に関連する重篤な有害事象が2例(血腫、尿路感染症)に認められたが、周術期の心筋梗塞や肺塞栓などはみられなかった。著者は、「バルーン椎骨形成術は、急性期の脊椎圧迫骨折に対し有効で安全な治療法である」と結論し、「今回の知見は、早期の治療選択肢として本法の使用を決定する際の情報提供に寄与するであろう」としている。(菅野守:医学ライター)

5478.

1回飲みきり型の経口抗菌薬 ジスロマックSRが4月新発売

ファイザー株式会社は、4月6日に15員環マクロライド系抗生物質製剤であるジスロマック(一般名:アジスロマイシン水和物)の新効能・新剤形・新用量医薬品として、経口懸濁液用徐放性製剤「ジスロマックSR成人用ドライシロップ2g」を発売すると発表した。ジスロマックSRは、耐性菌防止と服薬遵守の観点から、抗菌薬は十分量を使用し、短期間使用の実行を遂行することを目的に開発された1回飲みきり型の経口抗菌薬。咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、副鼻腔炎などの急性呼吸器感染症、淋菌・クラミジアによる性感染症をはじめ、皮膚感染症や歯性感染症など成人の急性感染症に広く適応を有する。今回新発売されるジスロマックSRは、海外では2005年6月以降、56ヵ国で承認されている。日本においては、2008年1月に厚生労働省へ承認申請を行い、2009年1月に製造販売承認を取得後、同年3月13日に薬価収載される予定とのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2009/2009_03_12.html

5479.

幹細胞移植によるHIV-1長期コントロールの可能性

これまでの知見として、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)感染には、CD4レセプターとケモカイン・レセプター(CCR、主にCCR5)の存在が不可欠であり、CCR5アレル(対立遺伝子)のうち、32塩基対が突然変異で欠損した遺伝子(CCR5 delta32)をホモ接合で持つ人はHIV-1感染に対して抵抗性を示すことが知られている。シャリテ医科大学(ドイツ)Gero Hutter氏らの研究グループは、このCCR5 delta32ホモ接合のドナーから取り出した幹細胞を、急性骨髄性白血病に罹患したHIV-1感染症患者1例に移植し、HIVの長期間にわたるコントロールが可能かどうかを調べた。NEJM誌2009年2月12日号に短報が掲載された。変異したCCR5のHIV-1抵抗性に期待HIV-1はCD4レセプターと結合して宿主細胞に侵入し、その後CCR5またはCXCケモカイン・レセプター(CXCR4)と相互に作用する。しかし、CCR5アレル32塩基対欠損型のホモ接合(delta32/delta32)は細胞表面のレセプターが不活性であるため、HIV-1感染に対して強い抵抗性を示すとされている。免疫応答に深く関わるヒト白血球抗原(HLA:Human Leukocyte Antigen)領域が一致するドナーからの幹細胞移植は、急性骨髄性白血病患者の治療法としては実行可能な選択肢であるが、この治療法はHIVにも感染している患者の治療法としては確立されていない。HIV感染症患者の予後は多剤併用療法(HAART)の導入以後かなり改善している。その結果として、HAARTを併用した同種異系間の幹細胞移植も2000年から始まり、好成績をおさめている。2回目の移植後3ヵ月でHIV-1DNAは検出されず今回報告された急性骨髄性白血病に罹患した40歳白人男性の症例は、10年以上前にHIV-1に感染していたが、4年前からHAART療法を受けており、その間、AIDSに関連する疾病は見られなかった。Gero Hutter氏らは、この患者に対し同種異系間の幹細胞移植を2回行ったところ、3ヵ月時点でHIV-1RNAは検出されなくなり、急性白血病も寛解した。患者は移植後20ヵ月間、臨床的反跳を起こすことなく、また抗レトロウイルス療法も中断したままであると報告している。これらから、CCR5 delta32ホモ接合はHIV-1感染から守る重要な役割を示していると述べている。今回の移植は、あらかじめCCR5 delta32欠損とホモ接合性の有無をスクリーニングした上で、HLAが一致した非血縁ドナーから提供された幹細胞を使って行われた。(朝田哲明:医療ライター)

5480.

腰痛の画像検査は無用?

重篤な基礎疾患のない腰痛患者に画像検査を行っても臨床転帰は改善しないことが、アメリカ・オレゴン健康科学大学のRoger Chou氏らが実施したメタ解析で明らかとなった。Agency for Healthcare Policy and Research(AHCPR)ガイドラインは急性腰痛発症1ヵ月以内の画像検査を否定しており、重篤な基礎疾患を示唆する臨床所見(いわゆるred flags:癌、感染症、馬尾神経症候群など)のない慢性腰痛には画像検査を行うべきではないとするガイドラインもある。しかし、現実には患者の要望などもあってルーチンに施行したり、臨床所見がないのに行われる場合が多いという。Lancet誌2009年2月7日号掲載の報告。腰痛、腰椎機能を主要評価項目とした6試験のメタ解析研究グループは、重篤な基礎疾患のない腰痛患者において、即座に腰部画像検査(X線、MRI、CT)を実施する群と、これを施行しない通常ケアのみの群の臨床転帰を評価するために、無作為化対照比較試験の系統的なレビューとメタ解析を行った。解析対象の試験は、腰痛あるいは腰椎機能を主要評価項目とするものとし、QOL、精神的健康状態、各種スケールに基づく患者自身による全般的な改善度、ケアに対する患者満足度についても検討した。6つの試験(イギリス3、アメリカ2、インドネシア1、計1,804例)が選択基準を満たした。試験の質は、Cochrane Back Review Groupの基準を適用した判定法に基づいて2人のレビューワーが個々に評価した。メタ解析には変量効果モデル(random effects model)を用いた。プライマリ・ケアに十分に適用可能即時的な腰部画像診断施行群と非施行群で、短期的(3ヵ月以内)および長期的(6ヵ月~1年)な解析の双方において、腰痛と腰椎機能障害の発症には有意な差は認められなかった。そのほかの評価項目についても、有意差を認めたものはなかった。試験の質、個々の画像法、腰痛の罹病期間も解析の結果に影響を及ぼさなかったが、これらの検討を行った試験は少なかった。今回の解析結果は、プライマリ・ケアにおける急性および亜急性の腰痛に十分に適用できるものであった。著者は、「重篤な基礎疾患のない腰痛患者に対し画像検査を行っても臨床転帰は改善しない。それゆえ、重篤な基礎疾患を示唆する所見のない急性、亜急性の腰痛に対するルーチンの即時的な画像検査は止めるべき」と結論し、「不要な画像検査を避ける一方で、患者の要望を満たし満足度を向上させる腰痛評価法や患者教育の戦略を確立する必要がある」と主張している。(菅野守:医学ライター)

検索結果 合計:5539件 表示位置:5461 - 5480