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Dr.須藤のビジュアル診断学

第7回「訴えられなかった症状」第8回「PMRと類似症例」第9回「SpPinな病歴」 第7回「訴えられなかった症状」今回は、「75歳男性の不明熱」という症例について、患者から「訴えられなかった症状」とは何か、詳細に検討していきます。患者の言葉や訴えをどう聞くべきか、迫真の講義をお楽しみください!【 症 例 】75歳男性。他院から紹介により精査のため入院。患者の娘さんから、「こちらのように多くの症例をご経験なさっているところで是非見ていただきたい!」といわれ、さらに、診断がつかずに度重なる検査を受けさせられる患者本人からは、「治療もせずに検査ばっかりで、俺は実験台みたいなものだ。もういいよ…」とさらなるプレッシャーがかかります。いくつか候補となる疾患はあっても、最終的な診断がつかないまま、治療を開始しますが・・・。さて、その決断は正しかったのでしょうか。第8回「PMRと類似症例」リウマチ性多発筋痛症(PMR)は、ステロイドが劇的に著効する、「診断して名医と賞賛される」疾患です。今回は、ほんの数日間のステロイド投与で、まるで別人のように元気になる様子を豊富な動画症例でご紹介します。一方、診断確定前の安易なステロイド投与には注意が必要です。少量でも免疫抑制による合併症が起こり得るため、悪性腫瘍や感染症を否定する必要があります。一見PMRに見える類似症例について診断・治療上の注意点を詳しく解説します。代表的な類似疾患の「環軸関節偽通風」はPMRや側頭動脈炎、髄膜炎に誤診されやすい疾患です。特にDr.須藤の体験した「冷や汗モノ」な症例は必見です!第9回「SpPinな病歴」これまでは、さまざまな身体所見を動画・画像中心に見てきましたが、いよいよ最終回では病歴、特に患者の語ることばにこだわってみます。患者が語ることばの中には、特定の疾患・診断に非常に特徴的な表現があります。患者がその「表現」を使ったとき、ある疾患の可能性が高くなる、或いは、その疾患を想起できることがあります。86歳男性:「4日前から身体中が痛くなり歩けなくなった」、58歳女性:「右の首のどくどく脈打つところを触ると飛び上がるほど痛む」、52歳男性:「仰向けに寝ると胸の痛みが強くなり、起き上がると痛みが楽になる」などのことばから、“疾患を絞り込む三種の神器”「年齢、性別、主訴」を当てはめて考えていきます。

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Dr.林の笑劇的救急問答6

第3回「気胸に絶叫 ! ? 」第4回「感染巣を捜し出せ ! 」 第3回 「気胸に絶叫 ! ? 」交通事故外傷などで、特に見逃してはならないのが緊張性気胸です。緊張性気胸の対応は一刻を争うため、全ての所見が揃わなくても処置をしなくてはならないケースがしばしば発生します。そこで、今回は次の3 点を到達目標に解説していきます。 1. 緊張性気胸に強くなる ! 2. 胸腔チューブ速攻裏技をゲットする ! 3. 気胸を見つける名人になる !実際の臨床現場で遭遇するのは希なことですが、命に関わる疾患のため、しっかりおさえてきっちり対応できるようにしておきましょう。 35歳男性 車対車の交通事故外傷で救急車搬送されてきた。車は大破。血圧90/70mmHg、脈拍120/m、15L酸素投与でSpO2 92%。病院到着時には意識喪失。気管挿管直後、脈が触知できなくなった。 28歳男性 交通事故の高エネルギー外傷だが意識はあり胸を痛がっている。右の呼吸音が減弱、皮下気腫(+)。血圧90/70mmHg、脈110/m、SpO2 94%。研修医は胸腔穿刺を実施しようとするがDr.林はそれを止める…第4回 「感染巣を捜し出せ ! 」Focus 不明の発熱では身体のどこかに感染症が潜んでいると疑われますが、患者が高齢で認知症や麻痺がある場合や、所見が揃わない場合など感染巣を特定するのが難しい事もあります。そんなとき感染巣を捜し出すには、患者の背景や生活スタイルをよく考えること、病歴から推察すること、そして何より身体所見を隈なくしっかり取ることがとても大事です。“患者さんの感染巣はどこにあるのか”を症例提示ドラマで一緒に考えながらご覧ください ! 88歳男性 深夜、発熱を主訴に数年前から入所しているナーシングホームから連れて来られた。認知症と脳梗塞後遺症で右片麻痺がある。研修医は各種検査を試みるも発熱の原因を特定できない。血圧130/60mmHg、脈100/m、体温38. 8℃、SpO2 98%。 82歳男性 Focus不明な高熱で孫がインフルエンザを疑い心配して来院した。前立腺肥大で同院に通院中のほか特記すべき既往はない。血圧100/50mmHg 、脈拍125 /m 、体温39.0℃、10L酸素投与後のSpO2 100%。

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聖路加GENERAL 【内分泌疾患】

第4回「糖尿病の悪化だと思ったら・・・」第5回「ただ風邪といっても」第6回「2次性高血圧を見逃さない ! 」 第4回「糖尿病の悪化だと思ったら・・・」人間ドックにおいて、糖尿病の疑いということで精査を勧められていた68歳の男性。肥満も家族歴もないことから受診していませんでしたが、急な体重減少をきっかけに初めて検査を受けたところ、A1Cが13.7%と、急激に上昇していることが判明。高血糖の要因は、I型II型糖尿病以外にも、膵炎、膵がん、ヘモクロマトーシス、Cushing症候群、先端肥大症、PCOSなどさまざまなものがあります。本症例の患者さんは、急な体重減少もあることから膵臓のCTを撮影したところ、膵がんが発見されました。血糖の悪化が膵がん発見のきっかけになり、膵がんが糖尿病治療のきっかけになったという例を通して、糖尿病の裏に隠れている内分泌系の異常をどのようにして見抜くか、そしてその対応について解説します。第5回「ただ風邪といっても」もともと健康な21歳の女子大生。発熱、咽頭痛など、感染症の症状を呈したため近医で受診しました。数種類の抗菌薬を処方されましたが改善せず、ついには意識低下で救急コール。糖尿病の既往のある78歳の男性。家族が訪ねて行ったら、すでに意識がなく倒れていた。いずれも意識障害が出る危険な状態ですが、その裏には糖尿病がありました。意識障害の鑑別AIUEO tipsから始まって、DKA(糖尿病性ケトアシドーシス)、遷延性の低血糖による意識障害など、難度の高い診断について解説します。第6回「2次性高血圧を見逃さない ! 」最終回は、高血圧の裏に隠れた内分泌疾患を紹介します。10年間高血圧があるも、降圧薬が効かない60歳女性。特に目立った所見はないものの、低Kから原発性アルドステロン症をつきとめました。内分泌性高血圧もさまざまなものがありますが、まずは患者をよく観察することがポイントです。たとえば、「クッシング症候群」ではにきび、肥満、多毛、「アクロメガリー」では大きな鼻顎手足、「腎血管性高血圧」では腎周囲の血管雑音など。その後、症状によって、所定の検査をおこなうことで診断します。ともすれば、見逃して放置されてしまう可能性もある内分泌性高血圧を、具体的な症例を呈示して解説します。

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聖路加GENERAL 【Dr.大曲の感染症内科】

第1回「咽頭炎」第2回「尿路感染症」 第1回「咽頭炎」「のどが痛い」と訴えてくる患者は多数いますが、その原因はさまざま。最も多いのが、急性上気道炎や伝染性単核球症などの感染症。その他に、扁桃周囲膿瘍や急性咽頭蓋炎など、頻度は低いものの緊急性の高いもの、あるいはアレルギー性鼻炎、胃・食道逆流など感染症以外の要因によるものもあります。今回は、咽頭炎をテーマに、緊急性の高い症例の鑑別法をはじめ、風邪と溶連菌の見分け方、Modified Centor Scoreによる溶連菌の判定、溶連菌感染症と伝染性単核球症の見分け方など診断のポイント、治療法について解説します。第2回「尿路感染症」65歳の女性は、発熱が5日経っても下がらず受診するが、それ以外には特に症状はありません。このように、発熱のみで他に症状がほとんどない感染症には、尿路感染、腹腔内感染、稀に循環器系の感染性心内膜炎などがあります。逆に、他に症状がない時にこそ、急性腎盂腎炎など尿路感染症を疑うことがポイント。高齢になるほど増加するのはなぜか?クランベリージュースが予防に効果がある?エストロゲンクリームは?主に急性腎盂腎炎について、その症状の特徴と鑑別法、画像診断、治療法、またリスクのある患者として妊婦が罹患した場合の診断と治療についてもお伝えします。

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ロタウイルスワクチン予防接種プログラム、導入初年度から明らかなインパクト

 フィンランド国立健康福祉研究所(THL)のTuija Leino氏らは、同国で2010年に導入されたロタウイルスワクチン予防接種プログラムの初年度の影響について推定評価を行った。その結果、重症度、病院での治療、ロタウイルス胃腸炎の型について明らかに管理コントロールできたことを報告した。Vaccine誌オンライン版2010年11月1日号の掲載報告。 研究グループは、ロタウイルスワクチン予防接種プログラム導入後初年度のフィンランドにおける、病院で治療された急性胃腸炎の負荷について、および重症ロタウイルス疾患の負荷について推定することを目的とした。また、接種したワクチンによって生じた免疫が非特異的な疾患負荷をも防御するという仮説を検討するというワクチン探索的研究の意図も目的に含んだ。 ロタウイルス関連のアウトカムは、ICD 10コードを用いてコーディングされた国立病院退院レジスターに登録されるデータに基づいた。 5歳未満児の急性胃腸炎またはロタウイルス胃腸炎による入院および外来症例の発生率を、プログラム導入前(1999~2005年)とプログラム開始後(2010年)とで比較した。 利用したICD 10コードは、A00~A09、R11、K52であった。 主な結果は以下のとおり。・プログラム導入前と比較した導入後の疾患負荷の減少率は、1歳未満児において、入院ロタウイルス胃腸炎患児においては80.3%(95%CI:74.5~84.7)であり、感染性胃腸炎の総入院患者負荷でみた場合は同一年齢グループで53.9%(同:49.8~57.7)であった。・同じく外来患者についても、それぞれ78.8%(同:48.4~91.3)、12.5%(同:7.1~17.7)の減少がみられた。・ロタウイルス胃腸炎に対する2010年ロタウイルスシーズン前のワクチン接種の全体的なインパクトは、97%(同:90.7~99.0)であった。・ロタウイルス胃腸炎と細菌未特定だがロタウイルス胃腸炎とみなされた症例について、ともに総発症数が減少した場合に獲得可能な総疾患負荷の住民ベース推計は、1歳未満児のロタウイルス胃腸炎入院で1,000人・年当たり10.5であった。一方で、診断特異的発生率はその半分以下の4.9であった。・総疾患負荷は、ワクチン導入後は診断症例よりもエンドポイントとして、より価値があるが、本研究は、ワクチン導入後のフォローアップが非常に短期であり限定的なものである。

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(37)〕 心血管疾患罹患リスクは年齢を問わず男性が高いことを確認

米国の代表的な追跡研究であるフラミンガム研究などの疫学データをもとに、年当たり90万人という膨大な米国住民のプール解析を実施し、心血管疾患発症に対する生涯リスクについて検討した貴重な成績である。 平均的な45歳のアメリカ人で、生涯にわたって心血管疾患を発症するリスクは男性で60.3%、女性では55.6%という。すべての世代において女性での心血管死発症率は男性より約5%低く、これは閉経までのエストロゲンによる動脈硬化予防効果が生涯にわたって影響するということだろうか。 55歳時に血圧が120/80mmHg未満で、喫煙歴と糖尿病の既往がなくとも、85歳までに心血管イベントを発症するリスクは男性40%、女性30%であるというのは意外な感がするが、肥満や遺伝歴などリスクとしてカウントされていない要素があるためかもしれない。またLDL-コレステロール値が考慮されていないこともあろうし、ストレスそのものが心血管疾患のリスクになっている可能性も否定できない。リスク因子が多くなるほど、生存期間が短くなるという結果は、従来フラミンガム研究が示してきたことと同じである。 実際には、生命予後は心血管疾患以外にも悪性腫瘍や感染症などによって大きく左右されるが、本報告は米国人での心血管イベント発症、生命予後とリスク因子の関連を検討した成績として意義がある。 しかし、本試験の結果をみると、生きていくかぎり血管は痛み、いずれは破綻するということを実感させられる。問題はいかに血管の破綻を先延ばしするかということである。

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MMRワクチン2回接種高率地域では、耳下腺炎流行を3回目の接種でコントロール可能

 MMRワクチン2回接種率の高い地域では、耳下腺炎流行時に3回目の接種を行うことで、接種後すみやかに発生率の減少がみられ、流行のコントロールに有用である可能性が示された。米国CDCのIkechukwu U Ogbuanu氏らが、耳下腺炎流行コントロールに対するMMRワクチン3回目接種の影響を評価した初の試験結果として報告した。米国では2009~2010年に北東部の宗教コミュニティにおいて、MMRワクチン2回接種率が高率であったにもかかわらず耳下腺炎の大規模な流行が発生した。その際、同地域の学生に対し、流行のコントロール効果を目的にMMRワクチンの3回目の接種が行われた。Pediatrics誌オンライン版2012年11月5日号の掲載報告。 MMRワクチンの3回目の接種に関する試験は、3校の6~12学年の学生に対して行われた。 ベースライン評価とフォローアップ評価、および医師の症例報告によって、耳下腺炎罹患率(接種前後3週間の期間について算出)をモニタリングした。 主な結果は以下のとおり。・試験適格であった学生2,265例のうち、2,178例(96.2%)に対し追加接種に関する文書を提供した。接種を選択した学生は高率(1,755例、80.6%)であった。・6~12学年全体の耳下腺炎罹患率は、ワクチン接種前は4.93%であったが、接種後は0.13%に低下した(p<0.001)。・コミュニティ全体の罹患率は、介入後75.6%まで低下した。・罹患率の低下は全年齢群でみられたが、ワクチン接種を行った11~17歳群での低下は、その他のどの年齢群よりも有意に大きかった(96.0%)。・有害事象発生の報告は、MMRワクチン接種1回目または2回目の既存報告の範囲内、もしくはより低率であった。

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子宮頸がん治療後のフォローアップではHPV検査の実施が有効で費用対効果あり/BMJ

 子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)治療後に行うヒトパピローマウイルス(HPV)検査の費用対効果について、英国・London School of Hygiene and Tropical MedicineのRosa Legood氏らによる経済解析の結果、フォローアップでの実施は有効であり、細胞診のみによるフォローアップと比べてコスト削減につながることを報告した。先行研究では見解が一致しておらず、研究グループは、国民保健サービス(NHS)のSentinel Sites Studyのデータを用いて解析を行った。BMJ誌2012年11月10日号(オンライン版2012年10月31日号)掲載より。細胞診のみでのフォローアップとHPV検査併用の費用対効果を比較 CIN治療後のHPV検査の費用対効果の評価は、Markovモデル手法を用いて、NHSのSentinel Sites Studyからの医療費コストと疫学データと、先行研究からの治療後再発率データを統合した、経済解析によって行った。 NHSの子宮頸がんスクリーニング・プログラムに基づき、マネジメント・ガイドラインに即したCIN処置後10年にわたって毎年行われる細胞診フォローアップと、HPV検査を用いた代替プロトコルとの、治療後サーベイランスにおける総額費用の低下について比較した。 主要評価項目は、10年間で予防できたグレード3以上(CIN3+)の基底細胞がん症例数と、治療を受けた女性1,000人当たりのコストとした。治療後フォローアップのHPV検査は費用対効果に優れる 解析の結果、細胞診のみフォローアップ群では10年間で29例のCIN3+の基底細胞がん再発症例が認められ、コストは治療女性1,000人当たり35万8,222ポンド(44万426ユーロ、57万4,910ドル)だった。 Sentinel Sitesプロトコルによる細胞診陰性女性を対象とした治療のためのHPV検査の実施は、8.4例のCIN3+症例の予防が追加され、治療女性1,000人当たりのコストは9,388ポンド減少した。 これらの分析結果から研究グループは、フォローアップのためのHPV検査は有効で、細胞診のみによる場合と比べて医療費の削減になるだろうと述べ、その上で、「NHS Cervical Screening ProgrammeでCIN治療後に行うフォローアップのHPV検査の実施を全面的に支持する」とまとめている。

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患者負担は本当に減るのか? 高額療養費制度見直しの真相

東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門特任研究員 児玉 有子2012年11月20日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行※本記事は、MRIC by 医療ガバナンス学会より許可をいただき、同学会のメールマガジンで配信された記事を転載しております。11月15日の日経新聞に「高額療養費に年間上限-自己負担減最大60万円 厚労省検討」という記事が掲載されました。私は、2009年から高額療養費制度について研究を続けています。我々の研究結果は様々な方々に注目して頂き、この4月から高額療養費制度の支払いのしくみが変わるのに、少しは貢献できたと感じています。新しい仕組みとなり7ヶ月。今回の新聞報道では、さらに問題解決が進むのかと、期待していました。ところが、日経の新聞報道を知って驚きました。【低所得世帯への配慮】最も驚いたのは、今回、年間上限として示された負担額が、従来の額と殆ど変わらなかったことでした。2010年10月27日、厚労省が社保審医療保険部会に示した試算では、高所得世帯(800万以上)から多く徴収し、300万円以下の世帯では最初の3回は現行の約半額の44,400円、4回目からは35,400円をとることに「改善」しようとしていました。ところが、11月15日の同部会で示された案は、300万円以下の世帯では44, 400?12月。これでは、現制度下と変わりません。日経の記事では、低所得世帯に配慮したことになっていますが、2010年に示された案より負担が増えているのが実情です。なぜ、日経は、このような記事を書いたのでしょうか。【突然減った公費負担】問題は、これだけではありません。従来の主張とは全く違う部分があります。それは、「新規制度を導入した場合、公費負担が20億増える(2012年11月15日日経新聞)」という記載です。厚労省はこれまで、高額療養費制度の見直し案を3年連続で出しています。しかしながら、大きな財政負担が必要になることを理由に、見直しは見送られてきました。その規模は、2010年は2600億(うち公費900億)、2011年(公費)1300億円でした。納得せざるを得ない金額です。ところが、今回の報道では、その金額は20億となっています。多くの患者の年間自己負担額はほぼ横ばい、高額所得者のみ年間60万円減る仕組みなのに、なんでこんなことになるのでしょうか。どのように計算したか、是非、情報を開示して頂きたいと思います。【次政権への期待:疾患ごとの対立を生まない解決策を】この秋、日本ではうれしいニュースがありました。iPSを研究している京大山中伸弥・京大教授のノーベル賞受賞です。臨床研究が進めば、新しい治療が生まれるかもしれません。研究が進み、新しい薬ができても安心してその治療を受けることができることは、誰もが望むことです。先日、MRICに岩田健太郎・神戸大学教授が「HIV感染症を難病指定に」( http://medg.jp/mt/2012/11/vol655hiv.html#more )という論文を寄稿されました。HIV感染者へのサポートには異存はありません。ただ、厚労省が難病に指定するという、これまでと同様の対応でいいのでしょうか。それは、疾患ごとに区切ることで、制度の狭間に苦しむ患者が生まれるからです。新しい疾患概念や新薬が登場するたびに問題が顕在化します。疾患や治療で区切らない医療費助成の方法について冷静な幅広い国民的議論が必要です。ここで重要なのが「高額療養費問題の解決」なのです。この問題、今回の選挙では医療はどう扱われて行くのでしょうか。どのような疾患であっても、よりよい薬を安心してつかえる制度への変更、長期的に高額な負担が必要になる患者への配慮を新政権に期待します。

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ハイリスク群へのPCV13接種の費用対効果は?/BMJ

 多くの国で侵襲性肺炎球菌感染症のハイリスク患者には23価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV23)の予防的投与が推奨されているが、欧州委員会は最近、13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)の適応を50歳以上の成人まで拡大した。オランダ・フローニンゲン大学のMark H Rozenbaum氏らは、ハイリスク患者に対するPCV13接種の費用対効果について検証した。BMJ誌2012年11月10日号(オンライン版2012年10月26日号)掲載より。2歳以上のイギリス人ハイリスク患者を対象にコスト、QALYを評価 経済解析は保険者視点によるコホートモデルを用いて行われ、対象は、2歳以上のイギリス人で、慢性腎臓病、脾臓の機能不全、HIV感染症、免疫系の易感染、慢性の心臓・肝臓・呼吸器系の疾患、糖尿病などで侵襲性肺炎球菌感染症のリスクが高い者であった。 主要評価項目はコスト、質調整生存年(QALY)、増分費用効果比(ICER)とした。非肺炎球菌菌血症に対するPCV13の有効性が実証されれば費用対効果が高い可能性 PCV13を用いた新生児ワクチン接種プログラムによる間接効果の増大は、一方でハイリスク群の予防可能な疾患負荷を減らすことが可能であることを意味する。 ベース症例の条件(ハイリスク群の非肺炎球菌菌血症に全体的な効果が認められず、ハイリスクワクチン接種プログラムは新生児接種プログラム後の2~3歳で開始する)下では、増分費用効果比は最大ハイリスク群でQALY当たり3万ポンド(3万7,216ユーロ、4万8,210ドル)以上になると推定された。 しかし、もしワクチンが非肺炎球菌菌血症の予防に効果がない、あるいはワクチンを新生児PCV13プログラム開始と同時とした場合は、ハイリスク患者への接種は(より)費用対効果に優れている可能性があるとしている。 感度解析では、費用対効果はとくに集団ベネフィットと有効性の推定において感度が高かった。 これらの結果からRozenbaum氏らは、ベース症例前提条件下では、高い費用対効果が可能と考えられるリスク群への肺炎球菌ワクチン接種プログラムは考えにくいとしたうえで、この不確定さは、非肺炎球菌菌血症に対するPCV13の有効性を実証することによって、かなり減少される可能性はあると報告した。

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ロタウイルスワクチン接種は、ローコストでハイリターン

 ロタウイルスワクチン接種は、わずかなコストにより、相当な疾患負担を減少することが、カナダ・トロント大学のDavid N Fisman氏らによる検討の結果、報告された。ロタウイルス胃腸炎は世界中の小児における罹患率と死亡率の要因となっており、カナダを含む高所得国では、高い罹患率とヘルスケア利用は大きな負担となっている。カナダでは現在、2種のロタウイルスワクチン(商品名:ロタリックス、ロタテック)が承認されているが、これまで経済効果については調査されていなかったという。Vaccine誌オンライン版2012年10月26日号の掲載報告。 研究グループは、2つのモデル(マルコフ連鎖モンテカルロ法シミュレーションと、ブリティッシュコロンビア州小児のロタウイルス胃腸炎に関する動的伝播モデルシミュレーション)による経済解析を行った。モデルは、疾患自然史、疫学情報、ワクチンの有効性およびコスト、医療費について入手可能な最善のデータに基づいて示され、ヘルスケア利用、ワクチン普及率は経験的推定値とすり合わせて調整した。それら予測値の検証について、決定論的・確率論的感度解析で評価した。 主な結果は以下のとおり。・小児のロタウイルス胃腸炎に対する予防接種は、小児への接種100人につき63~81人の感染を防御することが予測された。外来患者については、相当数を防御すると予測された。・2種のワクチンはともに、小児への接種100人につき1~2件の入院を防御すると予測された。・ワクチン接種は、ヘルスケアコストを増加すると予測された。・ロタリックスによる予防接種はおよそ1感染防御につき10ドルのコストを要し、2,400ドルQALYを獲得する可能性が示された。ロタテックは、コストが多いが効果は低く、優先的に選ばれない可能性が示された。・それらの可能性は、広範囲の感度解析でも揺るがなかった。

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脊椎手術後の最大有害事象、外科医は死亡に10点、患者は脳卒中に9.2点と評価

 脊椎手術後のさまざまな有害事象の影響について、患者と医師の認識の度合いを調査した結果、双方ともに項目間にはかなりのばらつきがあり、全体的には患者の方が医師よりも有害事象の影響を強く認識していることが明らかになった。脊椎手術後の有害事象はなお多く発生しているが、これまで患者中心のアウトカム評価ツールは開発されていない。米国・オレゴン健康科学大学のRobert Hart氏らは、手術結果とQOLにおいて有害事象の影響を考慮することは重要なファーストステップであるとして、両者の認識について評価する、合併症発生シナリオベースのサーベイ調査を行った。Spine誌オンライン版2012年11月2日号の掲載報告。 サーベイ調査は22の潜在的な周術期の有害事象(心筋梗塞、脳卒中、脊髄損傷、神経根損傷、馬尾損傷、失明、硬膜損傷、輸血、深部静脈血栓症、肺塞栓症、表在性感染症、深在性感染症、呼吸不全、尿路感染症、偽関節、隣接椎間障害、脊柱変形が持続、インプラント治療失敗、死亡、腎機能不全、消化管系の合併症、性機能障害)を、14人の脊椎手術専門外科医と、16例の成人脊柱変形患者に対して示し行われた。 各合併症が起きた場合の影響スコアを、総合的な重症度、手術に対する満足度、QOLへの影響からなる3つのカテゴリーで評価してもらい、Wilcoxon/Kruskal-Wallis検定にて外科医と患者との比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・外科医と患者の各合併症の平均影響スコアは、イベント間でばらつきがみられた。外科医では、最低が0.9点(輸血)、最高が10.0点(死亡)であり、患者では最低が2.3点(尿路感染症)、最高が9.2点(脳卒中)であった。・患者のスコアでは、6つの潜在的な有害事象(脳卒中、呼吸不全、心筋梗塞、肺塞栓症、硬膜損傷、輸血)について、3つのすべてのカテゴリーの評価が、外科医より一貫して高かった(p<0.05)。・さらに3つの合併症(腎機能不全、偽関節、深部静脈血栓症)は、1つあるいは2つのカテゴリーについて、患者の評価の方が高かった。 これらの結果を踏まえて著者は、「患者本位の立場から有害事象を説明することで、より完成度の高い手術結果の提供が可能となるであろう」と結論している。

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HIV 感染症を難病指定に

神戸大学感染症内科岩田 健太郎2012年11月16日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行※本記事は、MRIC by 医療ガバナンス学会より許可をいただき、同学会のメールマガジンで配信された記事を転載しております。厚生労働省によると、これまで56しかなかった難病指定疾患を300以上に増やす予定だという。この難病にHIV感染症および後天性免疫不全症候群(エイズ)(以下、HIV感染症とまとめる)を含めるべきだ、というのが本論の主旨である。以下にその理由を示す。難病対策委員会によると、難病の選定基準は1. 患者数が人口の0.1%程度以下2. 病気が未解明3. 治療法がないか、治療法があっても症状が良くなったり悪くなったりする4. 生活への支障が生涯にわたる5. 診断基準か客観的な指標があるの全てを満たす場合に対象となるという(朝日新聞2012年10月31日朝刊より)。HIV感染症は現在482あるという難病研究事業の対象にはなっていないが、患者は現在分かっているだけで数万人規模であり(1)、条件1は満たす。条件2と3についてはどうだろうか。エイズはヒト免疫不全ウイルス(HIV)が原因の細胞性免疫不全である。病気のメカニズムはある程度分かっており、抗ウイルス療法も存在する。しかし、この疾患はいまだ治癒に至る方法は解明されていない。「解明」がどの程度を意味するものなのかは分からないが、難病指定されている筋萎縮性側索硬化症(ALS)などもスーパーオキシド・ジスムターゼ(SOD1)の遺伝子異常など、病態生理はある程度「解明」されているので、HIV感染症を除外する根拠には乏しいと考える(2)。抗ウイルス療法を用いて患者の予後は劇的に改善したが、症状が悪くなる場合も少なくない。治療は生涯にわたり、生活への支障は続く(条件4)。診断基準は明確だ(HIVの各種検査を行う、条件5)。難病指定してはいけない、という根拠は乏しい。現在、HIV感染患者には診療費の公費助成がある。その主たるものは免疫不全の程度に応じて得られる身体障害者認定と自立支援医療である(3、4)。もともと、薬害エイズ事件など「薬害」の要素が大きかったこの感染症患者の救済の手段として身体障害者制度は活用された(5)。しかし、現実には多くの患者には「身体障害」は存在せず、そういう患者では日常生活を送ったり仕事をすることも可能であるから、この制度をアプライするには若干の無理がある。また、「症状の固定」まで4週間の経過を見なければ障害者認定は受けられないため、その分、治療が遅れたり余分な(そして高額な)治療費がかかる。近年のHIV感染治療は激変している。以前は免疫抑制がかなり進んでから抗ウイルス療法を開始していたが、治療薬の進歩と臨床試験データの蓄積から、治療はどんどん前倒しするようになった。日和見感染症があっても早期(2週間以内。ただし結核などを除く)に治療を始めたほうが予後が良いケースも多いことが分かっている。障害者認定にかかる「4週間の遅れ」は無視できない遅れなのである。今年発表された診療ガイドライン(International Antiviral Society-USA, IAS-USA)では、すべてのHIV感染者に抗ウイルス療法を提供するよう推奨されている(6)。しかし、免疫不全が進んでいない患者では低い等級の身体障害者認定しか得られないため、十分な診療支援はかなわない。感染早期に治療を始めれば、体内にあるウイルスの量を減らし、さらなる感染者発生防止にも役に立つ。日本は先進国でも新規発生患者が増加している稀有な国の一つである。HIV感染の診療費は生涯1億円程度かかると言われる(7)。患者の早期発見、早期治療、そして予防は医療費の有効活用という観点からも重要である。(免疫不全の程度にかかわらず)すべてのHIV感染者を速やかに難病指定し、適切な治療を提供できるようにする必要がある。患者救済という目的のもと、HIV患者の身体障害者認定は一定の成果を上げてきた。しかし、その成果は「歴史的成果」と称すべきで、現状維持を正当化する根拠にしてはならない。厚生労働省は現状を鑑み、HIV感染者を難病指定に切り替えるべきである。1. 日本のHIV感染者・AIDS患者の状況(平成23年12月26日~平成24年3月25日) IASR Vol. 33 P. 171-173 http://www.nih.go.jp/niid/ja/aids-m/aids-iasrd/2274-kj3888.html2. 筋萎縮性側索硬化症(公費対象) 難病情報センター http://www.nih.go.jp/niid/ja/aids-m/aids-iasrd/2274-kj3888.html3. HIV感染者の身体障害者認定について 厚生労働省 http://www1.mhlw.go.jp/houdou/0912/h1216-1.html4. 自立支援医療(更生医療)の概要 厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jiritsu/kousei.html5. HIV感染者が免疫機能障害として、身体障害者認定を受けるまでの経緯をご存知ですか? はばたき福祉事業団 http://old.habatakifukushi.jp/hiv_medical_welfare/medical_treatment_welfare_system/hiv_55.html6. Lawn SD,Antiretroviral Treatment of Adult HIV Infection. IAS-USA. https://www.iasusa.org/content/antiretroviral-treatment-adult-hiv-infection-07. 世界は減少、日本は増加…1人に約1億円医療費必要なHIV感染症を知る 日経トレンディネット 2011年2月28日 http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20110224/1034622/

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インフルエンザの乳児、細菌性髄膜炎と菌血症のリスクは非常に低い

 乳児のインフルエンザ罹患症状は重篤な細菌感染症と似通っており、腰椎穿刺のような侵襲的検査が行われる。しかし、インフルエンザが細菌性髄膜炎を併発するとのエビデンスは限られており、それでも腰椎穿刺が行われるのは、実施が考慮される時点でインフルエンザの診断が確立されていない場合がほとんどであるからとされる。オーストラリア・国立ワクチン予防接種疾患研究・サーベイセンターのGulam Khandaker氏らは、腰椎穿刺の実施およびその必要性を考慮するにあたって、インフルエンザを有した小児と、その他の呼吸器感染症を有した小児とを比較する後ろ向き研究を行った。 研究グループは、オーストラリア シドニーのウェストミード小児病院で、冬季1シーズン中に検査確認されたインフルエンザまたはその他の呼吸器ウイルス感染症(ORVIs、RSウイルスは除外)を有したすべての小児について、後ろ向きカルテレビューを行った。 侵襲的検査(主として腰椎穿刺、血液培養も対象とする)の実施例をインフルエンザ群と非インフルエンザ群で比較し、その必要性を検討した。 また、細菌性髄膜炎または菌血症の同時罹患率も調べた。 主な結果は以下のとおり。・対象患児294例中、51%が検査確認されたインフルエンザ患児であり、49%がORVIs(パラインフルエンザウイルス34%、アデノウイルス15%)患児であった。・インフルエンザ群のうち、18%が腰椎穿刺を、71%が血液培養を受けていた。一方、ORVIs群はそれぞれ6.3%、55.5%であった(いずれもp<0.01)。・インフルエンザ群のほうがORVIs群よりも、入院中に腰椎穿刺を受けている傾向が認められた。ORVIsと比較するとインフルエンザのケースでは、入院時に腰椎穿刺を行う可能性は3倍以上に上った。・多変量解析の結果、インフルエンザの診断は、腰椎穿刺(p=0.02)、血液培養(p=0.05)を実施に関してそれぞれ強力な因子であった。・インフルエンザを有した患児で、菌血症を伴ったのは1例(0.9%)であった。髄膜炎を有した患児はいなかった。・インフルエンザが入院時にベッドサイド検査で確認されている場合は、臨床医は安心感から腰椎穿刺を行わない傾向がある。一方で、もし髄膜炎が臨床的に疑われるようであれば、それに応じた対応をしなければならない。・しかし、インフルエンザやORVIsで入院した小児では、細菌性髄膜炎と菌血症のリスクは非常に低いことが認められた。本知見について、大規模な試験設定でのシステマティックレビューを行う必要がある。

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ガバペンチン、難治性慢性咳嗽の治療に有効/Lancet

 難治性慢性咳嗽の治療として、抗てんかん薬ガバペンチンが有効なことが、オーストラリア・ニューカッスル大学のNicole M Ryan氏らの検討で示された。難治性の慢性咳嗽は重篤な症状やQOL障害を引き起こす。難治性咳嗽には中枢性感作に関連する疾患(神経因性疼痛など)との類似性がみられ、神経因性疼痛にはガバペンチンが有効とされる。また、慢性咳嗽に対するガバペンチンの効果を示唆する2つの症例シリーズ研究が知られている。Lancet誌2012年11月3日号(オンライン版2012年8月28日号)掲載の報告。ガバペンチンの効果をプラセボ対照無作為化試験で評価 研究グループは、難治性慢性咳嗽患者に対するガバペンチンの有効性を評価する二重盲検プラセボ対照無作為化試験を実施した。 2008年10月~2010年9月までJohn Hunter病院呼吸器外来(オーストラリア、ニューランブトン)で患者登録を行った。対象は、治療にもかかわらず咳嗽が8週以上持続し、活動性の呼吸器疾患(COPD、未治療の喘息など)や呼吸器感染症がない非喫煙患者とした。 これらの患者が、ガバペンチン(最大1,800mg/日)を投与する群またはプラセボ群に無作為に割り付けられた。治療期間は10週で、治療開始前に6日かけて増量し、終了後6日かけて減量を行った。 主要評価項目は、治療8週時の咳嗽特異的QOLのベースラインからの変化とし、Leicester咳嗽質問票(LCQ)スコアで評価した(1.3ポイント以上の変化を「臨床的に意義あり」と判定)。LCQスコアの変化の差は1.80 62例が登録され、ガバペンチン群に32例(平均年齢62.7歳、女性63%、平均咳嗽持続期間36ヵ月)、プラセボ群には30例(60.9歳、67%、48ヵ月)が割り付けられた。試験中に10例が脱落し、治療を完遂したのは両群26例ずつだった。 治療8週時のLCQスコアの臨床的な改善率は、ガバペンチン群が74.1%(20/27例)と、プラセボ群の46.2%(12/26例)に比べ有意に良好であった(p=0.038)。ベースラインからの平均LCQスコアの変化の差は1.80(95%信頼区間:0.56~3.04、p=0.004)で、1例で臨床的改善効果を得るのに要する治療例数[治療必要数(NNT)]は3.58だった。 副作用はガバペンチン群で10例(31%)、プラセボ群では3例(10%)に認められた。ガバペンチン群は、悪心・胃痛(4例)、めまい(3例)、疲労感(3例)が多かった。 著者は、「難治性慢性咳嗽の治療として、ガバペンチンは有効性、忍容性ともに良好だった」と結論し、「これらの優れた効果は、難治性慢性咳嗽の発症機序には咳嗽反射に対する中枢性感作の関与があることを示唆する」と指摘する。

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耳下腺炎ワクチンの接種は、男性の精巣炎リスクを有意に減少する/NEJM

  12歳以上の男性で、耳下腺炎ワクチンの2回投与を受けた人は、受けなかった人に比べ、耳下腺炎を発症しても、合併症の精巣炎を発症するリスクを有意に減少することが報告された。米国疾病予防管理センター(CDC)のAlbert E. Barskey氏らが、2009~2010年にかけて、ニューヨーク地域などのユダヤ教徒コミュニティで流行した、3,500人超の耳下腺炎発症例について調べて明らかにしたもので、NEJM誌2012年11月1日号で報告した。米国では2005年までに、耳下腺炎ワクチン接種によって同罹患率は99%以上減少したものの、2006年には同ワクチン接種をした人の中で耳下腺炎が大流行した。その後、同様の集団発生が世界各地で報告されている。13~17歳が全体の27%、うち男性は78%と高率 研究グループは、2009年6月28日~2010年6月27日の間に、ニューヨーク地域(ニューヨーク市、ニューヨーク州北部の2郡、ニュージャージー州の1州)で報告された、耳下腺炎症例3,502人について調査を行った。 臨床検体の得られた1,648人中50%が、検査によって耳下腺炎が確定された。被験者のうち97%が、ユダヤ教徒コミュニティに属していた。 年齢・性別で比較すると、13~17歳が全体の27%で、そのうち男性が78%と、発症割合の偏りが認められた。ワクチン2回接種群の精巣炎発症率は4%、非接種群は11% ワクチン接種が確認できた13~17歳の患者884人について精査したところ、89%が2回摂取で、8%が1回摂取だった。また、そのうち合併症が認められたのは140人で、最も多かったのは精巣炎であり、12歳以上の男性1,771人の7%にあたる120人に認められた。 12歳以上の男性のうちワクチン接種を2回受けていた人の精巣炎発症率は4%と、受けていなかった人の11%に比べ低率だった(p=0.04)。また、18歳以上の同発症率は9%だったのに対し18歳未満では4%、入院率もそれぞれ2%と1%と、18歳以上で有意に高率だった(それぞれ、p<0.001、p=0.001)。 伝播経路については、ユダヤ系男子校で集中していた。そこでは生徒たちが対面で激論を交わす時間を多く過ごしていた。 著者は「集団発生の疫学的特徴は、耳下腺炎の強度の曝露が、とくに男子校で伝播促進されたこと、またこうした患者ではワクチン接種による防御能を圧倒したことが示唆された。2回接種率が高かったことが疾患の重症度と、曝露が強度ではない人への伝播を抑制した」とまとめている。

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ロタウイルスワクチン、市販後の有効性モニタリングで大切なこと

 スペインでは2006年に、2種の経口弱毒生ロタウイルスワクチンが、6ヵ月未満児のために認可された。そのワクチン有効性について最近のデータで、ばらつきがある可能性が示されたという。スペイン・カステロン公衆衛生センターのJuan B Bellido-Blasco JB氏らは、このことはロタウイルスワクチンの有効性に関する市販後モニタリングに重大な局面をもたらすものだとして、症例対照研究を行った。Vaccine誌オンライン版2012年10月25日号の掲載報告。 2009年にカステロンにて生後2~35ヵ月児を対象に、ロタウイルスワクチンの有効性を評価した。可能な限りの選択バイアスと関連特異度を評価するため、二次的観察と反事実的観察として、ロタウイルス性下痢症状に対する肺炎球菌ワクチン接種の「有効性」を評価した。 主な結果は以下のとおり。・ロタウイルス胃腸炎が確認された小児は71例で、ロタウイルス以外が原因であった対照群は261例であった。・各児の予防接種状況、投与量、投与日について地方予防接種レジストリにて評価した結果、ロタウイルス性下痢症状を呈した患児のワクチン接種率は低かった(2.8%)。・対照群のワクチン接種率は21.8%であった。・ロタウイルスワクチンを1回以上接種した場合の有効性は87.7%(45.5~99.7%)であった。・解析を非入院児に限定した場合の同有効性は、わずかに低くなり83.5%(25.4~96.3%)であった。・予想されたことではあるが、肺炎球菌ワクチンのロタウイルス感染症に対する保護効果は認められなかった。・ワクチン有効性の市販後モニタリングは、EDICSのような伝染性胃腸炎発生を住民ベースの研究と組み合わせた予防接種情報システムが適している。

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プライマリ・ケアでの肺塞栓症の除外、WellsルールとDダイマー検査の併用が有用/BMJ

 プライマリ・ケアでの肺塞栓症の除外診断において、Wellsルールとポイント・オブ・ケア診断としてのDダイマー検査を併用するアプローチは安全で効果的な方法であることが、オランダ・ユトレヒト大学医療センターのGeert-Jan Geersing氏らが実施したAMUSE-2試験で示された。原因不明の息切れや胸膜炎性胸痛は診断が困難な症状であり、これらの患者と最初に遭遇するプライマリ・ケア医は気道感染症などの自己管理が可能な一般的な疾患と、肺塞栓症のような生命を脅かす疾患を鑑別する必要に迫られる。WellsスコアとDダイマー検査の併用により、肺塞栓症が疑われる患者の約3分の1が安全に除外可能なことが分かっているが、プライマリ・ケアにおける有用性は検証されていなかったという。BMJ誌2012年10月27日号(オンライン版2012年10月4日号)掲載の報告。プライマリ・ケアにおける有用性を前向きコホート試験で検証 AMUSE-2(Amsterdam Maastricht Utrecht Study on thrombo-Embolism)試験は、プライマリ・ケアにおいて肺塞栓症を安全に除外する診断戦略として、Wellsルールとポイント・オブ・ケア診断としてのDダイマー検査の併用の有用性を検証するプロスペクティブなコホート試験。 2007年7月1日~2010年12月31日までにオランダの3都市(アムステルダム、マーストリヒト、ユトレヒト)のプライマリ・ケア施設を受診した18歳以上の肺塞栓症疑いの患者598例を対象とした。 Wellsルールの7項目について患者の病態をスコア化し、Dダイマー検査を実施した。診断は個々の施設の基準に従って行われた。スパイラルCTおよび3ヵ月のフォローアップなどによる複合的な標準的基準に準拠して、肺塞栓症を確定または否定した。偽陰性率1.5%、感度94.5%、特異度51.0% 73例(12.2%)が肺塞栓症と確定された。「Wellsスコア≦4かつDダイマー検査陰性」を閾値とすると、598例中272例が「低リスク」と判定された(有効率:45.5%)。低リスク判定例のうち4例が実際には肺塞栓症だった[偽陰性率:1.5%、95%信頼区間(CI):0.4~3.7]。 この併用診断アプローチの感度は94.5%(95%CI:86.6~98.5%)、特異度は51.0%(同:46.7~55.4%)だった。 著者は、「プライマリ・ケアでは、『Wellsスコア≦4かつDダイマー検査陰性』を判定基準とすれば、肺塞栓症の安全で効果的な除外が可能と考えられる」と結論し、「今後は、この併用診断に基づく患者管理が、医療費や患者負担の軽減の観点から実行可能か否かを評価する必要がある」としている。

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HAARTを受けているHIV患者、マルチビタミン高用量服用にメリットみられず

 多剤併用抗レトロウイルス療法(HAART)を受けているHIV患者で、マルチビタミンサプリメントを併用する場合の高用量と標準量とを比較した結果、高用量服用により疾患進行および死亡が抑制されることはなく、むしろアラニントランスアミナーゼ(ALT)が増加してしまう可能性が示された。米国・ハーバード公衆衛生大学院のSheila Isanaka氏らが、タンザニアで行った約3,400例を対象とする無作為化二重盲検対照試験の結果、報告した。先行研究ではHAARTを受けていないHIV患者で、微量栄養素がCD4細胞数を増加し、疾患進行と死亡を抑制したことが報告されていたが、HAARTを受けている場合のサプリメント服用の安全性および有効性については検証されていなかった。JAMA誌2012年10月17日号掲載より。高用量群でALT上昇がみられ、試験は早期に終了 研究グループは、マルチビタミンサプリメントの高用量服用は、標準量服用と比べてHIV進行や死亡のリスクを低下し、免疫学的、ウイルス学的、栄養学的な指標を改善すると仮定して検証試験を行った。 試験は、タンザニアの7つのクリニックで2006年11月~2008年11月の24ヵ月間にわたって、HAARTを開始した3,418例を対象として行われた。 マルチビタミンサプリメントは、ビタミンB6、B12、C、Eなどを含む経口剤で、毎日服用した。 主要評価項目は、HIVのあらゆる要因での疾患進行または死亡とした。 試験は2009年3月に、高用量群でALT値増大のエビデンスにより早期に終了となった。高用量群と標準量群のリスク比、HIV進行および死亡については1.00 試験中止時点で3,418例が試験に登録(追跡期間中央値15ヵ月)しており、疾患死高イベントが認められたのは2,374例、死亡は453例観察された(複合イベント合計2,460件)。 標準用量群と比べて高用量群のHIV進行および死亡の抑制は認められなかった。 高用量群のHIV進行および死亡の絶対リスクは72%、標準群も72%だった[リスク比(RR):1.00、95%信頼区間(CI):0.96~1.04]。 高用量服用によるCD4細胞数や血漿中ウイルス量、BMI、ヘモグロビン濃度への効果はみられなかった。一方で、高用量群では標準量群に比べてALTの有意な上昇がみられた(>40 IU/L上昇のRR:1.44、95%CI:1.11~1.87、p=0.006)。

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