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4801.

妊婦への3種混合ワクチン、早産リスクと関連せず/JAMA

 妊娠中に破傷風・弱毒化ジフテリア・無菌体百日咳3種混合ワクチン(Tdap)を接種しても、早産や在胎週数不当軽量児(SGA)、妊娠高血圧症の発生リスクは増大しないことが明らかにされた。一方で、絨毛羊膜炎リスクが、接種群で2割弱の増大が認められたという。米国・HealthPartners Institute for Education and ResearchのElyse O. Kharbanda氏らが、単胎生児を出産した12万超の女性について行った検討で明らかにした。米国では2011年、米国疾病管理予防センター(CDC)の予防接種の実施に関する諮問委員会(Advisory Committee on Immunization Practices)が、Tdap未接種の妊婦に対し、妊娠20週以降の同接種を勧告している。JAMA誌2014年11月12日号掲載の報告より。単胎生児出産した試験対象のうちTdap接種をした21%について分析 検討は、後ろ向き観察研究にて行われ、単胎児を妊娠し、2010年1月1日~2012年11月15日の間に生児出産した女性12万3,494人を対象とした。カリフォルニア州の2つのワクチン接種に関するデータベースを基に、妊娠中のTdap接種と、妊娠中または出生後の有害アウトカムとの関連を分析した。 対象者のうち、Tdap接種を受けたのは2万6,229人(21%)、受けなかったのは9万7,265人だった。早産発生率は6~8%、SGAは8%と両群で同等 結果、妊娠中のTdap接種は有害な出生アウトカムとの関連は認められなかった。早産発生率は接種群で6.3%に対し非接種群では7.8%(補正後相対リスク:1.03、95%信頼区間:0.97~1.09)、SGA(在胎週数相当の10パーセンタイル未満)の発生率はそれぞれ8.4%と8.3%だった(同:1.00、同:0.96~1.06)。 妊娠20週までのTdap接種でも、妊娠高血圧症の発症リスクを増大しなかった(同:1.09、同:0.99~1.20)。一方で、絨毛羊膜炎については、接種群が6.1%に対し非接種群が5.5%と、接種群で2割弱の増大が認められた(同:1.19、同:1.13~1.26)。

4802.

肝移植後HCVへのIFNフリーレジメンの検討/NEJM

 肝移植後の再発C型肝炎ウイルス(HCV)遺伝子型1型感染症患者に対し、インターフェロンを用いない、NS5A阻害薬オムビタスビル+リトナビル・ブースト・プロテアーゼ阻害薬ABT-450(ABT-450/r)+非ヌクレオチド系NS5Bポリメラーゼ阻害薬ダサブビル+リバビリンの24週治療は、治療後のウイルス学的著効(SVR)が12週後、24週後ともに97%を示し、有効であることが示された。米国・インディアナ大学のPaul Y. Kwo氏らが、患者34例を対象とした試験で明らかにした。今回試験対象とした移植後再発患者は、従来の標準治療レジメンでは、治療反応率は13~43%に留まっていたという。NEJM誌オンライン版2014年11月11日号掲載の報告より。主要評価項目は治療終了12週後のSVR 被験者は、12ヵ月前までに肝移植を行い、HCV遺伝子型1型感染症の再発が認められ、線維症がないか軽度な患者34例で、オムビタスビル+ABT-450/rの合剤、ダサブビル、リバビリンを24週間投与した。 具体的なレジメンは、オムビタスビル-ABT-450/r(オムビタスビル25mg、ABT-450/r 150mg、リトナビル100mgをそれぞれ1日1回)、ダサブビル250mg1日2回と、リバビリン(初期投与量とその後の貧血症状に基づく用量調整は治験担当医の判断)を投与した。 主要評価項目は、SVR 12だった。12週後、24週後ともにSVRは97% その結果、治療終了12週後、24週後ともに、被験者34例中33例でSVR達成が認められ、その割合は97%(95%信頼区間:85~100)だった。 最も多くみられた有害事象は、疲労、頭痛、咳だった。また、エリスロポエチンの投与を要した人は5例(15%)で、輸血は0例。治療中の移植片拒絶は認められなかった。 治療中には、血中カルシニューリン濃度を測定し、用量を調節し治療レベルの維持が図られていた。

4803.

ウステキヌマブ、日本人高齢患者の長期治療に有用

 ウステキヌマブ(UST、商品名:ステラーラ)の長期1年間の治療は、日本人65歳以上の重症感染症を有していない乾癬患者について十分な効果が期待できるものであるようだ。東京慈恵会医科大学 皮膚科学講座の林 光葉氏、同教授の中川 秀己氏らがレトロスペクティブな検討の結果、報告した。結果を踏まえて著者は、「所見は、USTが高齢乾癬患者にとって選択肢として望ましい治療薬であることを示すものであった」とまとめている。Journal of Dermatology誌2014年11月号の掲載報告。 乾癬患者は高齢患者の占める割合が増大している。しかし、高齢乾癬患者について満足のいく長期的な治療は、若い患者と比べて共存疾患の頻度が高く、また全身性の治療薬は有害事象リスクが高く困難なものとなっている。 研究グループは、USTは他の全身性治療薬よりも有害事象の頻度が少なく通院頻度もわずかで済むことから、長期治療としての有効性および安全性をレトロスペクティブに評価した。評価はPASIおよびDLQIにて行い、有効性についてはPASIスコア75以上(PASI 75)達成患者の割合で評価した。 主な結果は以下のとおり。・65歳以上の24例を検討対象に含んだ(年齢範囲:65~88歳、平均73.1歳)。乾癬の重症度は中等度~重症であり、QOLに障害を来していた。・PASI 75達成患者は、16週時点で56.5%、28週時点で59.1%、52週時点で60.0%であった。・1年間にあらゆる重症感染症を発生した患者は報告されていなかった。・DLQIスコアの平均値は、0週時点7.8±6.0、16週時点2.5±3.4、28週時点1.4±1.7、52週時点1.2±1.7であった。

4805.

糖尿病患者へのインフルエンザ予防接種、HbA1c値は抗体保有に影響するのか

 インフルエンザA(H1N1)pdm09ワクチンは、1回の接種で、糖尿病患者の免疫力を十分なレベルまで高めることができ、HbA1c値は抗体保有割合に悪影響を及ぼさないことが、大阪市立大学の江川 裕美氏らによる研究で明らかになった。ただし、高齢者やBMIが低い患者では、免疫応答が低下する可能性があるという。Human vaccines & immunotherapeutics誌2014年5月号の報告。 糖尿病患者は、インフルエンザの感染やインフルエンザに関連する合併症のリスクが高いと考えられている。そのため、著者らは、糖尿病患者におけるインフルエンザA(H1N1)pdm09ワクチンの免疫原性を評価するために、前向きコホート研究を行った。 糖尿病患者49例にインフルエンザA(H1N1)pdm09ワクチンを接種し、ベースライン時と接種後3週後に赤血球凝集抑制抗体価を測定した。 主な結果は以下のとおり。・ワクチン接種による重篤な有害事象は認められなかった。・感染症が疑われた1例を除き、48例について分析を行った。・赤血球凝集抑制抗体価は、ワクチン接種により、幾何平均抗体価の約9倍上昇した。・抗体応答割合は79%であった。・抗体保有割合は73%であった。・免疫応答は、より高齢の患者、BMIがより低値の患者ほど低い傾向を示した。・多変量解析の結果、HbA1c値は抗体保有割合に悪影響を及ぼさないことが示された。

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HCV経口レジメン、グラゾプレビル+エルバスビル第II相試験/Lancet

 C型肝炎ウイルス(HCV)遺伝子型1型感染症へのグラゾプレビル(grazoprevir、MK-5172)+エルバスビル(elbasvir、MK-8742)併用療法は、リバビリンの追加併用を問わず、未治療の肝硬変併存患者、ペグインターフェロン+リバビリン(PR-null)既治療が有効であった肝硬変併存患者または非併存患者において、12週投与、18週投与ともに高い効果を示したことが、米国・テキサス大学健康科学センターのEric Lawitz氏らによる第II相非盲検無作為化試験の結果、報告された。Lawitz氏は、「結果は第III相の試験実施を裏付けるものであった」と述べている。Lancet誌オンライン版2014年11月11日号掲載の報告より。グラゾプレビル+エルバスビル、リバビリンありなしを検討 HCV治療については、インターフェロンを用いず、経口投与のみの短期間治療のニーズが高まっている。加えて、その治療対象患者は多岐にわたること(肝硬変が伴う患者、ペグインターフェロンやPR-nullが既治療の患者を含む)も求められている。 本検討では、ベースライン特性不良のHCV遺伝子型1型感染症の患者について、グラゾプレビル+エルバスビル併用療法、リバビリンあり・なしでの有効性、安全性を評価する「C-WORTHY」試験を行った。 本報告では、2つの試験集団について得られた所見を報告している。コホート1は、肝硬変を伴う未治療患者集団(123例)であり、コホート2は、PR-null既治療が有効だった患者(肝硬変のありなし問わず、130例)であった。 被験者の適格条件は、18歳以上の血中HCV RNA値は1万IU/mL以上のHCV遺伝子型1型感染症患者とした。 被験者は無作為に、グラゾプレビル(1日100mg)+エルバスビル(1日50mg)、リバビリン追加併用ありなしの12週投与または18週投与群に割り付けられ追跡を受けた。 具体的にコホート1では、60例が12週投与群に割り付けられ(リバビリンあり31例、なし29例)、63例が18週投与群に割り付けられた(同:32例、31例)。コホート2は、65例が12週投与群に(同:32例、33例)、65例が18週投与群(33例、32例)に割り付けられた。 主要エンドポイントは、12週治療後12週時点でのHCV RNA値が25 IU/mL未満を達成していた(SVR12)患者の割合とした。多様な患者集団でSVR12達成割合が90~100% SVR12の達成率は、リバビリン併用ありなし、治療期間の長さに関与しておらず、90%(コホート1の12週投与リバビリン併用、28/31例、95%信頼区間[CI]:74~98)から100%(コホート2の18週投与リバビリン併用あり、33/33例、同:89~100)と高率を示した。 12週投与のリバビリン併用なし群は、コホート1では97%(95%CI:82~100、28/29例)、コホート2では91%(同:76~98、30/33例)であった。 10%以上の報告があった有害事象は、疲労感(66例、26%)、頭痛(58例、23%)、無力症(35例、14%)であった。

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肺炎球菌ワクチン導入で直接および間接的な効果/NEJM

 南アフリカ共和国では、2009年に小児への7価肺炎球菌ワクチン(PCV7)定期接種が導入され、2011年からはPCV7に代わりPCV13の定期接種が行われている。同国National Health Laboratory Service(NHLS)のAnne von Gottberg氏らは、ワクチン定期接種導入前後の侵襲性肺炎球菌感染症発症の変化を調べた。その結果、2歳未満児と22~45歳の年齢群での効果が最も大きく、それぞれPCV7タイプの肺炎球菌髄膜炎の減少は89%、57%であったことなどを報告した。NEJM誌2014年11月13日号(オンライン版2014年11月11日号)掲載の報告より。ワクチン導入前と導入後の侵襲性肺炎球菌感染症の発生の変化を調査 2009年に導入された同国PCV7、PCV13の接種スケジュールは3回タイプのもの(生後6週、14週、36週時)で、2012年において1歳児の接種率(3回接種を完了)は推定81%であったという。 研究グループは、全国規模の検査施設ベースのサーベイランスを行い、ワクチン定期接種導入前(2005~2008年、ベースライン)から導入後2011年および2012年への疾患発生の変化を、同国ハイリスク年齢群(2歳未満、25~44歳)に焦点を当てて調べた。全年齢の侵襲性肺炎球菌感染症の発生は40%減少 8年間(2005~2012年)のサーベイランスで、3万5,192例の侵襲性肺炎球菌感染症症例を特定した。このうち70%で分離株を入手できた。年齢が不明な症例は5%であった。 全年齢における侵襲性肺炎球菌感染症の発生は10万人年当たり、ベースライン9.4例から2012年は5.7例へと相対比で40%減少していた。 減少率が最も大きかったのは2歳未満児群と25~44歳群であった。 2歳未満児群の発生は、54.8例から17.0例へと69%減少していた。このうちPCV7に含まれる血清型の発生例だけをみると32.1例から3.4例へと89%(95%信頼区間[CI]:-92~-86%)減少していた。 HIV非感染小児におけるPCV7血清型疾患の発生は、85%(95%CI:-89~-79%)の減少であった。一方で、同群ではワクチンに含まれていない血清型の発症例が33%(同:15~48%)増大していた。 25~44歳の成人では、疾患発生は3.7例から1.6例へと57%(同:-63~-50%)減少していた。 結果を踏まえて著者は、「小児と成人においてみられたPCV7血清型の侵襲性肺炎球菌感染症発生の減少は、ワクチン接種の直接的効果と間接的効果が反映された結果だと思われる」とまとめている。

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RA系阻害薬服用高齢者、ST合剤併用で突然死リスク1.38倍/BMJ

 ACE阻害薬またはARBのRA系阻害薬服用中の高齢患者では、経口ST合剤(トリメトプリム+スルファメトキサゾール)は突然死のリスクを増大することが、カナダ・トロント大学のMichael Fralick氏らによる住民ベースのコホート内症例対照研究の結果、明らかにされた。著者らは、同リスクの増大は、ST合剤により誘発された高カリウム血症によるものと推測され、高カリウム血症リスクの重大性を認識していなかったことに起因する可能性を指摘した。所見を踏まえて著者は「ACE阻害薬やARB服用中の患者が抗菌薬投与を必要とする際、担当医師は、トリメトプリムを含有しない抗菌薬を選択するか、トリメトプリムベースの治療を続けるにしても用量や投与期間を制限するとともに血清カリウム値のモニタリングを密に行うべきである」と提言している。BMJ誌オンライン版2014年10月30日号掲載の報告より。66歳以上のACE阻害薬、ARB服用者の抗菌薬投与後突然死を調査 ACE阻害薬またはARB服用中のST合剤投与は、アモキシシリンが関連した高カリウム血症による入院リスクが7倍と増大することが知られていた。研究グループは、それらの知見を踏まえて突然死との関連を明らかにする検討を行った。 1994年4月1日~2012年1月1日に、カナダ・オンタリオ州の住民でACE阻害薬またはARB治療を受けている66歳以上の高齢者を対象に行われた。外来で、ST合剤、アモキシシリン(商品名:サワシリンほか)、シプロフロキサシン(同:シプロキサンほか)、ノルフロキサシン(同:バクシダールほか)、ニトロフラントイン(国内未発売)のうちいずれか1つの処方を受けており、その直後に死亡していた人を症例群とし、各症例について、年齢、性別、慢性腎臓病、糖尿病に関する適合を行った(最大4項目)。 主要評価項目は、突然死と各抗菌薬曝露との関連についてのオッズ比(OR)で、アモキシシリンを参照値とし、疾患リスク指数別の突然死予測で補正後に算出し評価した。ST合剤服用後の突然死リスク、最大値は14日時点で1.54倍 対象期間中に、3万9,879例の突然死が報告されており、そのうち、抗菌薬曝露後7日以内の突然死の発生は1,027例であった。 適合対照群3,733例との検討において、アモキシシリンと比べて、補正後ORが最大であったのは、ST合剤で1.38(95%信頼区間[CI]:1.09~1.76)であった。同投与によるリスクは14日時点が最も高く、補正後ORは1.54(同:1.29~1.84)。すなわち、ST合剤を1,000例処方するごとに、14日以内の突然死が3例発生することが示唆された。 次いでシプロフロキサシンの7日以内突然死の補正後ORも1.29(同:1.03~1.62)とリスク増大が示されたが、ノルフロキサシン(OR:0.74)、ニトロフラントイン(OR:0.64)ではリスクの増大は認められなかった。

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リツキシマブ維持療法、ANCA関連血管炎に有効/NEJM

 抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎の治療において、リツキシマブ(商品名:リツキサン)はアザチオプリン(同:アザニン、イムラン)に比べ良好な寛解維持をもたらすことが、フランス・コシャン病院のL. Guillevin氏らが行ったMAINRITSAN試験で示された。主なANCA関連血管炎として、多発血管炎性肉芽腫症(以前はウェゲナー肉芽腫症と呼ばれた)、顕微鏡的多発血管炎、腎限局型ANCA関連血管炎があり、患者の多くはシクロホスファミドとグルココルチコイドの併用療法により寛解に至るが、アザチオプリンやメトトレキサートによる維持療法を行った場合でも、依然として再燃率が高い。リツキシマブ維持療法の有効性は示唆されているが、いまだ十分な検討は行われていない。NEJM誌2014年11月6日号掲載の報告。リツキシマブとアザチオプリンの2つの、維持療法レジメンを無作為化試験で評価比較 MAINRITSAN試験は、ANCA関連血管炎患者に対するリツキシマブによる維持療法の有用性を評価する非盲検無作為化試験。対象は、年齢18~75歳の多発血管炎性肉芽腫症、顕微鏡的多発血管炎、腎限局型ANCA関連血管炎の新規診断または再燃例で、シクロホスファミドのパルス療法とグルココルチコイドの併用により完全寛解が得られた患者であった。 被験者は、リツキシマブ500mgを0、14日、6、12、18ヵ月に投与する群またはアザチオプリンの連日投与を22ヵ月(1~12ヵ月:2mg/kg/日、13~18ヵ月:1.5mg/kg/日、19~22ヵ月:1mg/kg/日)行う群に無作為に割り付けられた。 主要評価項目は、28ヵ月時の重症再燃率とした。重症再燃は、疾患活動性の再発または増悪[バーミンガム血管炎活動性スコア(BVAS、0~63点、点数が高いほど疾患活動性が高い)0超]、および1つ以上の主要臓器への転移、疾患関連の致死的イベントあるいはその両方と定義された。リツキシマブによる維持療法に明確な臨床ベネフィット重症再燃率:29 vs. 5%、軽症再燃率:16 vs. 11% 2008年10月~2010年6月までに、115例(多発血管炎性肉芽腫症:87例、顕微鏡的多発血管炎:23例、腎限局型ANCA関連血管炎:5例)が登録され、アザチオプリン群に58例、リツキシマブ群には57例が割り付けられた。全体の平均年齢は55歳、女性が43%で、新規診断後の寛解例が80%、再燃後の寛解例が20%であった。 28ヵ月時の重症再燃率は、アザチオプリン群が29%(17例)、リツキシマブ群は5%(3例)であり、有意な差が認められた(再燃のハザード比[HR]:6.61、95%信頼区間[CI]:1.56~27.96、p=0.002)。 軽症再燃(BVASスコア0超;重症ではないが軽度の治療強化を要する再燃)率は、アザチオプリン群が16%(9例)、リツキシマブ群は11%(6例)であり、両群間に差はみられなかった(p=0.43)。一方、軽症/重症再燃のHRは3.53(95%CI:1.49~8.40、p=0.01)であり、リツキシマブ群が有意に良好であった。 重篤な有害事象が両群とも25例に発現し、アザチオプリン群が44件、リツキシマブ群は45件であった(p=0.92)。重症感染症が、それぞれ8例、11例に認められ、がんが2例(膵、基底細胞)、1例(前立腺)に発生した。また、重篤な血液学的イベントがそれぞれ9例、1例にみられた。アザチオプリン群の2例が死亡した(敗血症1例、膵がん1例)。 著者は、「リツキシマブによる維持療法の明確な臨床ベネフィットが確認された」と結論し、「この知見は、抗ミエロペルオキシダーゼANCA陽性血管炎患者においてリツキシマブの有用性を評価する試験を行う論拠となる」と指摘している。

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RA系阻害薬使用中の高齢者への抗菌薬ST合剤使用で突然死!(解説:浦 信行 氏)-277

RA系阻害薬は、RA系を阻害することによるアルドステロン低下が高K血症を引き起こすことはよく知られた事実であり、致死性の不整脈を惹起することを念頭に置いた使用が望まれる。ST合剤(トリメトプリム。スルファメトキサゾール合剤)はわが国ではバクタ、バクトラミン、セプテリンの商品名で市販されており、それなりに汎用されている薬剤である。このたび、カナダのFralick氏らは、RA系阻害薬使用中の高齢者への、抗菌薬であるST合剤の使用が突然死のリスクを上げることをBMJ誌に報告した。 アモキシシリン使用例を対照とすると、ST合剤併用の突然死のリスクは7日目で1.38倍、14日目で1.54倍と有意に上昇するとの結果である。成分中のトリメトプリムの化学構造がK保持性利尿薬のアミロライドに類似しており、腎臓の遠位ネフロンに存在するアミロライド感受性の上皮型Naチャネルを抑制し、Na利尿を促進し、K利尿を抑制して、血清K濃度を上昇させる。ST合剤単独使用でも、投与例の80%に0.36 mEq/L以上の血清K濃度を上昇させ、6%に5.4 mEq/L以上の高K血症を引き起こすことが報告されている1)。 また、高齢者においてアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬使用例に各種K保持性利尿薬を併用すると、高K血症による入院のリスクは20倍になることも報告されている2)。著者らは、以前よりこの点に着目しており、ACE阻害薬使用例におけるST合剤の使用が、高K血症のリスクを6.7倍に上昇させることをすでに報告していた3)。その結果、本研究で示されるように、最終アウトカムである突然死のリスクが有意に増加するという重大な事実を明示した。 バクタ配合薬の添付文書は2012年8月に改訂されており、重大な副作用の(13)に高カリウム血症、低ナトリウム血症(頻度不明)と記載されている。しかし、相互作用、併用注意の項でRA系阻害薬やK保持性利尿薬併用時の注意喚起は記載されておらず、突然死の可能性を示す記載もない。高齢者は潜在的な腎機能低下を合併しやすく、その結果、腎代謝であるST合剤の血中濃度の上昇とK排泄能低下から、そのリスクが高まると考えられる。しかし、非高齢者においてもこのリスクは十分考慮されなければならない。

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携帯電話で服薬リマインド、効果は?/BMJ

 HIV感染患者を対象に、抗レトロウイルス療法(ART)の開始にあたって携帯電話を使った治療薬服用に関するリマインドの介入を行ったが、治療効果を示すウイルス学的失敗までの時間や同発生率について、非介入との差は示されなかった。また、治療薬のアドヒアランスへの効果も認められなかった。インド・St John’s Medical College HospitalのAnita Shet氏らが、631例のHIV感染患者について行った無作為化比較試験の結果、報告した。BMJ誌オンライン版2014年11月6日号掲載の報告より。毎週、自動音声による双方向通話と、その4日後にリマインド画像メッセージを送付 研究グループは、インド南部の3ヵ所の保健医療施設(国立の外来診療所2施設、民間HIVヘルスケアクリニック1施設)で2010年7月~2011年8月にかけて、ART未治療の成人HIV感染患者631例を対象に検討を行った。 被験者を無作為に2群に分け、一方には毎週、患者の携帯電話に、双方向となるようYes/Noの質問方式(1または2を押して回答)を取り入れた自動音声通話をかけて、薬の処方どおりの服用を促した。患者が応答しない場合は通話が成立するまで最大3回のコールが24時間にわたって行われた。また同通話から4日後に、リマインドを目的とした画像メッセージの送付を非双方向で行った。 もう一方の対照群には、携帯電話による介入のない通常どおりの治療を行った。 主要評価項目は、2回連続測定でのウイルス量400コピー/mL超で定義した、ウイルス学的失敗までの時間だった。副次評価項目は、治療薬の数により判断したART治療のアドヒアランス(遵守率)、および死亡率、治療離脱率だった。最適アドヒアランスは平均95%未満と定義した。ウイルス学的失敗率、非最適アドヒアランスは両群で同等 結果、ウイルス学的失敗率は、介入群が10.52(95%信頼区間[CI]:8.11~14.19)/100人年に対し、対照群は10.73(同:7.95~13.92)/100人年と、両群で有意差は認められなかった。ウイルス学的失敗の患者数は、それぞれ49/315例(15.6%)、49/316例(15.5%)だった。 また、ウイルス学的失敗までの時間についても、両群で有意差は認められなかった(補正前ハザード[HR]比:0.98、同:0.67~1.47、p=0.95)。 最適アドヒアランスも、両群で同等だった(補正前罹患率比:1.24、同:0.93~1.65、p=0.14)。最適アドヒアランスの定義を満たした人は、それぞれ81/300例(27.0%)、65/299例(21.7%)だった。 これらの解析結果は、交絡因子で補正後も変わらず両群間の有意差は示されなかった(HR:0.96、p=0.85)。また、副次評価項目(死亡率の補正後HR:0.91、p=0.74、離脱率の同0.59、p=0.10)、施設や年齢などによるサブグループ解析の結果も似通ったものだった。

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臍帯血移植1単位vs. 2単位/NEJM

 小児・青少年の造血器腫瘍患者に対する臍帯血移植について、1単位vs. 2単位移植後の生存率は同等であったことが、米国・ミネソタ大学のJohn E. Wagner氏らによる第III相の非盲検無作為化試験の結果、示された。また1単位移植群のほうが、血小板回復が良好で、移植片対宿主病(GVHD)のリスクも低かったという。本検討は、移植時の造血細胞数が1単位よりも2単位のほうが多くなることから転帰が改善するとの仮説に基づき行われたものであった。NEJM誌2014年10月30日号掲載の報告。1~21歳224例を1単位移植または2単位移植に無作為化 1993年以来、臍帯血を用いた造血幹細胞移植は約3万件が行われてきたという。臍帯血移植は、1単位の胎盤から得られる造血細胞数は限られていることから、移植の適用対象は小児や体重が軽い成人に制限されてきたが、1単位移植後の造血機能回復の遅れや死亡率が高いことが報告されていた。一方で移植後の転帰に冷凍保存下の有核細胞の数量などが関係していることが報告され、2単位移植を含む移植片での造血幹細胞増加のためのさまざまな戦略が探索されるに至ったという。 研究グループは今回、2006年12月1日~2012年2月24日の間、1~21歳の小児・青少年の造血器腫瘍患者224例を、1単位(113例)vs. 2単位(111例)移植について検討を行った。被験者は、全身状態がLansky/Karnofskyスケール70以上、臓器機能が十分に保たれており、HLA型一致臍帯血が2単位分入手可能な、急性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群の診断を受けていた患者であった。無作為化の前に、同一の骨髄破壊的前処置レジメン、GVHD予防の免疫抑制治療が行われた。 主要エンドポイントは、1年全生存率であった。1年全生存率は同等、1単位群のほうが血小板回復良好、GVHD発生も低率 両群の年齢、性別、自己申告の人種(白人か否か)、全身状態、HLA型一致スコア、疾患名、移植時の状態などはマッチしていた。年齢中央値は、2単位群9.9歳、1単位群10.4歳、体重中央値は37.0kg、35.7kgだった。 結果、1年全生存率は、2単位群65%(95%信頼区間[CI]:56~74%)、1単位群73%(同:63~80%)であった(p=0.17)。 同様に、無病生存率(2単位群64%vs. 1単位群70%、p=0.11)、好中球回復率(88%vs. 89%、p=0.29)、移植関連死亡率(22%vs. 19%、p=0.43)、再発率(14%vs. 12%、p=0.12)、また感染症や免疫再構築症候群の発生、およびグレードII~IVの急性GVHD発生率(p=0.78)といったアウトカムも同等だった。 一方で1単位群のほうが、血小板回復が有意に高率(1単位群76%vs. 2単位群65%、p=0.04)で期間も短く(58日vs. 84日)、グレードIIIまたはIVの急性GVHDの発生率(13%vs. 23%、p=0.02)、全身型慢性GVHDの発生率(9%vs. 15%、p=0.05)が有意に低かった。

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CareNet座談会 「高齢者の肺炎診療 ~新しい肺炎球菌ワクチンで変わる高齢者肺炎予防~」

<座長><出席者>高齢者肺炎の現状と肺炎球菌ワクチンの重要性賀来(座長) 本日は、感染症の専門の先生方にお集まりいただき、高齢者の肺炎の現状と新しい肺炎球菌ワクチンについて伺います。私どもは東日本大震災後の感染症について解析しており、災害後の集団感染リスクから被災者を守る必要性を感じています。震災後に東北大学病院に入院した感染症患者は、高齢者の誤嚥性肺炎を含めた市中肺炎などの呼吸器感染症が67%を占め、肺炎の原因菌の25.8%が肺炎球菌であり(図1)1)、肺炎球菌ワクチン接種による肺炎発症予防の重要性を感じました。図1 東北大学病院における震災関連感染症の解析画像を拡大するはじめに、高齢者における肺炎球菌感染症対策の重要性について伺います。門田 肺炎はわが国の死因の第3位の疾患であり、死亡者の大半を高齢者が占める現状がありますが、なかでも肺炎球菌による肺炎が多く、65歳以上の市中肺炎入院患者を対象とした検討では肺炎球菌が約30%を占めることが報告されています2)。また、生命を脅かす重篤な疾患である髄膜炎や敗血症などの侵襲性肺炎球菌感染症も高齢者に多く起こりますので、肺炎球菌感染症の予防はきわめて重要です。三鴨 高齢者ではさまざまな基礎疾患を有することが多く、それらが肺炎リスクを高めていると考えられます。例えば、糖尿病患者では白血球の貪食能、殺菌能の低下により、感染症リスクが高まると考えられます。また、脳梗塞や一過性脳虚血発作の後遺症がある場合は、誤嚥が関連する肺炎のリスクが高いと考えられます。さらに、高齢者に対する治療を考えると、腎機能低下例が多いために抗菌薬療法を十分に行えない可能性があります。腎機能や肝機能に留意した治療が求められるのが高齢者の特徴です。賀来(座長) 誤嚥は肺炎の要因になりますが、そこでも原因菌として肺炎球菌は重要でしょうか。門田 誤嚥の疑いのある高齢者の肺炎において肺炎球菌が26%を占めていたという報告もあり3)、意外に多いことが明らかになりつつあります。三鴨 とくに不顕性誤嚥(睡眠中に無意識のうちに唾液などが気道に入る)があると誤嚥性肺炎のリスクが高まり、免疫機能の低下が加わることでさらにリスクが増加します。肺炎球菌が意外に多いことを考えると、やはり肺炎球菌ワクチンによる予防が重要となります。また、高齢者の基礎疾患と肺炎リスクは関連があると考えられますので、高齢者全員にワクチンを接種するユニバーサルワクチネーションの考え方が重要です。高齢者肺炎の診断と病態の特徴賀来(座長) 次に、高齢者肺炎の診断と病態の特徴について伺います。門田 高齢者肺炎において注意していただきたいのは、細菌性肺炎であっても白血球数が上昇しない場合があること、また、症状が潜在性の場合があることです。典型的な症状がなくとも、食欲減退・不活発・会話の欠如などがあり、肺炎が疑われる場合には早めに胸部画像検査をしていただきたいです。三鴨 高齢者の肺炎で、もう1つ臨床上重要な点は、不顕性誤嚥があると肺炎を繰り返す例が多いことです。門田 肺炎を繰り返すと、抗菌薬治療を繰り返すことで耐性菌が出現するリスクも高まります。三鴨 おっしゃるとおりです。そのため、私たちは高齢者の肺炎患者に対しては退院時に積極的に肺炎球菌ワクチンを接種するようにしています。新しい肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)のエビデンス賀来(座長) これまで高齢者に対しては肺炎球菌多糖体ワクチン(PPV)が用いられてきましたが、先頃、小児において使用実績の高い肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)が成人(65歳以上)に対しても適応が認められ、選択肢が広がりました。この新しいワクチンの特徴と期待されるメリットについて伺います。門田 PPVは肺炎球菌の莢膜多糖体を抗原とするワクチンですが、PCV13は莢膜多糖体にキャリアタンパクを結合させたワクチンであり、免疫原性が高いことが特徴です(図2)。図2 多糖体ワクチンと結合型ワクチンにより誘導される免疫応答の概略画像を拡大するキャリアタンパクを結合することでB細胞のみならずT細胞を活性化することが可能であり、免疫応答の惹起に加え、メモリーB細胞を介した免疫記憶の確立が期待できます。賀来(座長) これらの特徴は臨床試験からも確認されているのでしょうか。三鴨 国内における第III相試験4)では、肺炎球菌ワクチン未接種の65歳以上の日本人高齢者764例を対象として、従来のPPVを対照群とする非劣性試験が実施されました。接種1ヵ月後のオプソニン化貪食活性(OPA)を比較した結果、両ワクチンに共通する12種類の血清型のいずれについてもPCV13はPPVに対して非劣性を示しました。このうち9血清型についてはPCV13におけるOPAの有意な上昇が認められ、PCV13の免疫原性が示されました(図3)。図3 ワクチン血清型別OPA*幾何平均力価比画像を拡大する一方、海外における第III相試験5)では、1回目にPCV13またはPPVを接種し、その3~4年後にPPVを再接種した場合のOPAの上がり方を検討しており、PCV13を接種した群における再接種時の免疫応答からPCV13による免疫記憶の確立が示されています(図4)。この結果から、1回目にPCV13を接種すると、PCV13に続いて2回目に接種されるワクチンの免疫応答も増大すると考えられ、今後、両ワクチンの特性を活かして接種スケジュールを検討する際の参考にできると思います。図4 肺炎球菌ワクチンの2回目接種前後のワクチン血清型別OPA画像を拡大する高齢者に対する肺炎球菌ワクチン接種の今後の展望賀来(座長) PCV13が高齢者にも使用可能になったことにより肺炎球菌感染症の予防にさらなる期待がもたれます。今後、高齢者へのワクチン接種をさらに普及させるうえでどのような方策が必要でしょうか。門田 日本呼吸器学会では「ストップ肺炎キャンペーン」を展開しており、一般向け・医療従事者向けの冊子をWebでも公開しています6)。今後、呼吸器科のみならず他科の先生方にも肺炎予防の重要性を周知し、他疾患領域の学会とも連携して取り組む必要があると思います。三鴨 糖尿病やリウマチでは、新薬の登場により治療成績が向上していますが、その一方で感染症リスクが高まる場合もあるため、高齢者の感染症予防に対する関心が高まっています。こうした面からも肺炎球菌ワクチン接種の意義を訴求していけると思います。また、ワクチンの普及には行政の役割も重要です。2014年10月から、65歳以上を対象に成人用肺炎球菌ワクチンが定期接種化されました(表1)。国の制度では5年間で順次接種することになっていますが、私はすべての高齢者に接種することが望ましいと考えています。そのため、居住地である岐阜市の市長がワクチン接種の公費助成に力を入れる方針を示していることを知り、この地域に居を構えるアカデミアの一人として肺炎球菌ワクチンについて提言を行いました(表2)。その結果、岐阜市では本年度に65歳以上全員を接種対象として予算を組んでくれました。高齢者医療はこうした比較的小規模な枠組みからも改善でき、非常に重要な動向であると思っています。賀来(座長) 本日は、高齢者に対する肺炎球菌ワクチンの現状と今後の展望について詳細にお話を伺うことができました。皆さま、ありがとうございました。表1 65歳以上の成人用肺炎球菌ワクチン定期接種(B型)の経過措置を含めた接種対象年齢画像を拡大する表2 肺炎球菌ワクチンについての提言画像を拡大する参考文献1)賀来 満夫. 日本内科学会雑誌. 2014; 103: 572-580.2)石田 直. Infection Control. 2005; 14: 645-649.3)Ishida T, et al. Intern Med. 2012; 51: 2537-2544. 4)ファイザー(株) 社内資料 国内第Ⅲ相試験(非劣性試験、未接種者、B1851088試験).5)Jackson LA, et al. Vaccine. 31; 2013: 3594-3602.6)日本呼吸器学会ホームページ PCV13についての詳細は製品添付文書をご覧ください。

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エボラ、初期データ解析からの知見/NEJM

 2014年5月にシエラレオネで起きたエボラウイルス病(EVD)のアウトブレイクの初期データから、潜伏期間や死亡率は同時期の他の地域や過去の事例と類似しており、出血はまれで発熱や下痢などの消化管症状が多いとの特徴があることが、同国ケネマ国立病院とWHOの研究チームの調査で明らかとなった。10月25日現在、EVD例はギニア、シエラレオネ、リベリア、セネガル、ナイジェリア、マリの6ヵ国で1万100例を超えたが、収集された患者データは限られたものだという。NEJM誌オンライン版2014年10月29日号掲載の報告。潜伏期間6~12日、死亡率74% シエラレオネのケネマ国立病院は、ウイルス性出血熱の研究拠点であり、2014年5月に起きたEVDのアウトブレイク以降、患者を受け入れ治療を行っている。 今回、研究チームは、2014年5月25日~6月18日までにEVDと診断され、同院で治療を受けた患者のデータを精査した。診断には定量的逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)法を用い、ザイール種エボラウイルス(EBOV)のウイルス量の測定も行った。 ラッサ出血熱またはEVDが疑われた213例のうち、106例(50%)がRT-PCR法でEVDと診断された。このうち転帰が確認できたのは87例で、詳細な臨床情報が得られたのは44例だった。 潜伏期間は6~12日と推定され、死亡率は74%であった。また、症状発現から入院までの期間は平均5.7±0.5日、死亡までの期間は9.8±0.7日であった。生存例の罹病期間は平均21.3±2.6日で、入院期間は15.3±3.1日だった。発熱、衰弱、めまい、下痢、肝・腎機能低下が死亡と関連 発症時の主要所見として、発熱(89%)、頭痛(80%)、衰弱(66%)、めまい(60%)、下痢(51%)、腹痛(40%)、咽頭炎(34%)、嘔吐(34%)、結膜炎(31%)などがみられた。 これら発症時の臨床症状や検査値異常のうち致死的転帰との関連が認められたのは、衰弱(p=0.003)、めまい(p=0.01)、下痢(p=0.04)のほか、血中尿素窒素(BUN、p=0.01)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST、p=0.009)、クレアチニン(Cr、p=0.04)の上昇であった。初診時の発熱は死亡とは関連しなかったが、38℃以上の場合は関連が認められた。 また、下痢を発症した患者の死亡率は94%に上ったが、下痢がみられない場合は65%であった。出血を認めたのは1例のみであったが、データが少ないため可能性は排除できない。 さらに、6つのバイタルサイン(発熱、収縮期血圧、拡張期血圧、心拍数、呼吸速度、酸素飽和度)を6時間ごとに測定したところ、死亡との有意な関連を認めたのは発熱(38℃以上)のみであった(p=0.001)。入院時の平均体温は、死亡例のほうが生存例よりも有意に高かった(37.5 vs. 35.9℃、p=0.001)。45歳超、コピー数107/mL超で死亡率94% 死亡率に関する探索的解析では、21歳未満が57%と45歳超の94%に比べ有意に低く(p=0.03)、21~45歳の死亡率は中間的(74%)であった。EBOVのコピー数が105/mL未満の患者の死亡率は33%であり、107/mL以上の94%よりも有意に低かった(p=0.003)。 一方、ほとんどの患者が入院時または入院中にアシドーシスをきたしていた。死亡例は経時的にBUNおよびCrが上昇したことから、入院経過では脱水や腎機能低下が重要な役割を果たすことが示唆された。  著者は、医療従事者の感染予防策の重要性を強調したうえで、「EVD施設は検疫よりもむしろ患者の治療や延命に注力すべき」とし、「これらの臨床所見と検査所見は、今回だけでなく今後のEVDアウトブレイク時の対策の参考となるだろう」とまとめている。関連記事 発見者ピーター ピオットが語るエボラの今 エボラ出血熱 対策に成功し終息が宣言された国も エボラ出血熱の最新報告-国立国際医療研究センターメディアセミナー

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肺結核への4ヵ月レジメンの効果/NEJM

 喀痰塗抹陽性・リファンピン(本邦ではリファンピシン)感受性の肺結核に対し、ガチフロキサシン(国内販売中止)を含む4ヵ月レジメンは、エタンブトール(商品名:エブトールほか)投与を含む6ヵ月標準レジメンとの比較において、非劣性は示されなかったことが報告された。英国のロンドン大学公衆衛生学・熱帯医学大学院のCorinne S. Merle氏らが、アフリカ5ヵ国で1,836例について行った非劣性無作為化非盲検比較試験で明らかにした。本検討は、結核の治療期間が短縮できれば、疾病コントロールの大きな改善につながることから行われたものであった。NEJM誌2014年10月23日号掲載の報告より。主要評価項目は治療失敗や再発などの不良アウトカム 試験対象は、アフリカ・サハラ砂漠以南の5ヵ国で、喀痰塗抹陽性でリファンピン感受性の肺結核の診断を新たに受けた18~65歳の患者1,836例であった。 研究グループは被験者を無作為に2群に分け、一方には2ヵ月の強化治療期間中にエタンブトール投与を行う6ヵ月標準レジメンを、もう一方の群には強化治療期間中にエタンブトールの代わりにガチフロキサシン(400mg/日)を投与し、その後もリファンピンとイソニアジドとともに継続投与する4ヵ月レジメンを行った。 主要有効性評価項目は、治療終了後24ヵ月時点における、治療失敗、再発、治療期間中の死亡や試験からの脱落といった不良アウトカムだった。非劣性マージンは国について補正後6%であった。国によりばらつき、4ヵ月レジメンは脱落・失敗率は低いが再発率は高い 結果、治療終了後24ヵ月時点における不良アウトカム発生率は、被験者全体(修正intention-to-treat集団、1,356例)では、4ヵ月レジメン群21.0%、6ヵ月標準レジメン群は17.2%で、補正後群間差は3.5%(95%信頼区間[CI]:-0.7~7.7%)だった。 しかし、国別にみるとばらつきが大きく(相互作用p=0.02)、4ヵ月レジメン群の6ヵ月標準レジメン群との差は、ギニアでは-5.4%だった一方で、セネガルでは12.3%だった。 また、試験からの脱落率は、6ヵ月標準レジメン群5.0%に対し4ヵ月レジメン群は2.7%、治療失敗率はそれぞれ2.4%、1.7%と、いずれも4ヵ月レジメンで低率だったが、再発率については7.1%、14.6%と6ヵ月標準レジメンのほうが低かった。なお、4ヵ月レジメンとQT延長および糖代謝異常リスク上昇との関連を示すエビデンスは認められなかった。

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エボラ国際伝播、出国検疫強化がカギ/Lancet

 カナダ・トロント大学のIsaac I Bogoch氏らは、国際線航空機搭乗者を介したエボラウイルス伝播の可能性について、国際線フライトデータとエボラウイルス調査データを連動し評価を行った。その結果、現在アウトブレイクが伝えられる西アフリカのギニア、リベリア、シエラレオネの3ヵ国からは、毎月平均2.8人のエボラウイルス感染旅行者が出国している可能性を報告。同時に、それら3ヵ国に関連した出国時の検疫を強化することで、感染リスクの高い全旅行者の健康状態の評価が可能になるとして、国際的な支援の必要性を提言した。Lancet誌オンライン版2014年10月21日号掲載の報告より。フライト制限、出入国時スクリーニングの有効性をモデル化 Bogoch氏らは、2014年9月1日~12月31日までの国際線フライトスケジュールや、2013年の旅行者データを分析し、ギニア、リベリア、シエラレオネからの航空機による出国旅行者数などを割り出した。 それらとエボラウイルス調査データを連動して、予想されるエボラウイルス感染者の出国者数を調べ、航空機出国旅行を制限することの有効性、空港での出入国時スクリーニングの有効性をモデル化し検討した。検討では、対象3ヵ国の国内線または国際線搭乗者は全員、エボラウイルス曝露の可能性があるとみなし、その他の旅行者には有意な曝露リスクはないものとみなした。ギニア、リベリア、シエラレオネから毎月2.8人の感染旅行者が出国 分析の結果、2013年における全世界の航空機搭乗者に占める出国搭乗者は、ギニア、シエラレオネからはいずれも0.02%、リベリアからは0.01%であった。各国からの出国者数は、2014年9月1日時点でフライトキャンセルや減便などにより、リベリアで51%、ギニアで66%、シエラレオネで85%まで減少していた。 モデル検討により、空港での旅行者の健康スクリーニングが、エボラウイルス伝播の阻止に最も有効であると推定された。スクリーニングが必要なのは、出国時については3ヵ国の3都市の空港、入国時については3ヵ国からの直行便がある15ヵ国の15都市、また直行便のない1,238都市での入国時スクリーニングが必要であることも判明したという。 また、3ヵ国からは毎月平均2.8人のエボラウイルス感染旅行者が出国していることが推定され、ギニア、リベリア、シエラレオネからの航空機搭乗出国者のうち64%(9万1,547例)は、低所得国、低中所得国に向かっていると予測され、3ヵ国3都市の出国時スクリーニングが、エボラウイルス感染曝露が高い全旅行者の健康評価を実現できる可能性が明らかになったという。関連記事 発見者ピーター ピオットが語るエボラの今 エボラ出血熱 対策に成功し終息が宣言された国も エボラ出血熱の最新報告-国立国際医療研究センターメディアセミナー

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エボラ熱“最後の1人まで終わらない”と発見者ピオット氏

 2014年10月30日、グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)メディアセミナーが開催され、エボラウイルス発見者の1人であるロンドン大学衛生熱帯医学大学院学長 ピーター・ピオット氏が「エボラ出血熱やその他の感染症への対応と課題」について講演した。今回は、記者との質疑応答をレポートする。前回記事(「発見者ピーターピオットが語るエボラの今」はこちら)今までのアウトブレイクとの違いは? 今回の死者は約5,000人となり(会見時:2014年10月30日)、1976年の発見以降の38年間におけるエボラによる死者数の3倍に達する。これまでのアウトブレイクは非常に限定的なものであった。ところが、今回は、医療システムの崩壊、政府への信用欠如、対応の遅れなど、さまざまな要素が合わさり、流行を制御不能にした。また、医療従事者に悪影響を及ぼし、医療システムの崩壊を招いている。このように社会全体に与えている影響を鑑みると、大規模な国際的取り組みは喫緊の課題といえよう。事態は好転しているのか? 国際的協力が進み、社会の認知が改善したことで良い刺激が出てきているが、国によって状況は異なる。シエラレオネでは流行はまだ悪化している。リベリアでは一部の地域で沈静化のサインが出てきている。実際の社会での拡大阻止を実現できるのは、国際的援助ではなく、地域の人間の活動である。リベリアでは、伝統的指導者が、(死者の身体を拭くという)埋葬の方法を変えるべき、と発言するなど新たな動きが出てきた。これは非常に重要なことだ。 個人的な楽観的シナリオではあるが、クリスマスまでには緩やかな減少が各地にみられるかもしれない。防御服を着ても医療従事者の感染が起こっているが? 防御服を脱ぐ時が問題である。エボラウイルスは死亡患者の身体にも非常に多く生存する。嘔吐、下痢、出血などがその原因だ。死亡者の身体でも2~3日は感染性が高い状態が続き、患者の寝ていたシーツやテーブルの上などでも数時間生存する。ウイルスは口、鼻、結膜などから侵入する。防護服を脱ぐ際、過って患者や死亡者の体液がついた防御服に触れ、その手で瞼や鼻をさわるなどして感染を起こす。そのため、国境なき医師団など熟練した組織では現在、防御服の脱衣を監督下で行っている。中国、日本への拡大リスク 伝播は世界中どの国でも起こりうるが、中国での危険性は高いといえる。現在、何千人という中国人労働者がアフリカ大陸にいる。人の渡航は止めることはできない。中国人労働者がエボラを本国に持ち帰ることも、逆にアフリカ人が中国にウイルスを持ち込む可能性もある。だが、ここで最も大きな問題は医療機関の感染制御の質なのである。SARSの経験で徐々に改善されているものの、中国の公の病院の感染制御レベルはまだ低い。そういう意味で、中国は脆弱性が高いと考えられる。 一方、日本は衛生面、感染制御とも基準を満たしている。だが、同じレベルにある米国テキサスでも死者が発生していることからも安全とはいえない。この時期に、国全体でより良い感染制御の訓練を加速すべきである。これは一部の指定された病院だけでなく、すべての病院が対象となるべきだ。エボラウイルス治療薬、ワクチンの開発 現在は患者の隔離、生命維持、水分補給、接触者の検疫措置、環境改善などの原始的な形でしか封じ込めはできない。そのようななか、富士フイルムグループの富山化学工業のインフルエンザ治療薬アビガン錠がエボラ治療薬として認められた。エボラに対する効果はヒトでは確認されていないが(マウスでは確認済み)、WHOは本疾患の死亡率を鑑みこの判断を下した。現在、用量設定試験が進行中である。そのほかにも幾つかの治療薬が開発されつつある。また、ワクチンも開発されつつある。現在の混乱した状況では効果確認は容易ではないが、いつくかの候補があり、うち1つのワクチンで第I相試験が行われている。 エボラの大きな問題は、他者に感染させる危険がある最後の1人がいなくなるまで終わらないことである。実際、ギニアでは一旦沈静化したにもかかわらず1人の有名人に集まった葬儀参加者から感染が再拡大している。つまり、患者が1人いれば流行が再燃するには十分なのである。この点が他の感染症とは大きく違うところである。そして、これは同時に今後も全面的な取り組みが必要であることを意味する、とピオット氏は強調した。グローバルヘルス技術振興基金 GHIT Fund(Global Health Innovative Technology Fund):開発途上国に蔓延する感染症制圧に必要不可欠な医薬品、ワクチン、診断薬の研究開発および製品化の支援を目的とし、官・企業・市民がパートナーシップを組み資金を拠出して設立したグローバルヘルスR&Dに特化した基金。途上国の最貧困層が必要とする医薬品・ワクチン・診断薬の研究開発・製品化に向け活動している。

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肺結核の1次治療、より簡略なレジメンが非劣性/NEJM

 肺結核の1次治療では、高用量リファペンチン(国内未承認)+モキシフロキサシン(商品名:アベロックス)の週1回投与を含む6ヵ月レジメンの有効性が、イソニアジド(同:イスコチンほか)+リファンピシン(同:リファジンほか)の6ヵ月連日投与を要する標準治療に劣らないことが、英国・ロンドン大学セント・ジョージ校のAmina Jindani氏らが行ったRIFAQUIN試験で示された。現在の肺結核に対する6ヵ月レジメンは、薬剤感受性菌の場合、適切に投与すれば95%以上の無再発治癒達成が可能だが、より短期間で簡略化されたレジメンの確立が求められている。リファペンチンの間欠投与では再発率が高く、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の重複感染例ではリファマイシン系薬への抵抗性がみられるが、マウス実験では高用量リファペンチンとモキシフロキサシンの併用が治癒率を改善する可能性が示唆されている。NEJM誌2014年10月23日号掲載の報告。簡略、短期レジメンの非劣性を無作為化試験で評価 RIFAQUIN試験は、肺結核患者の1次治療において、高用量リファペンチン+モキシフロキサシンの間欠投与を含む6ヵ月および4ヵ月レジメンの、標準治療であるイソニアジド+リファンピシンの6ヵ月連日投与レジメンに対する非劣性を検証する国際的な無作為化対照比較試験。対象は、年齢18歳以上、体重35kg以上で、2つの喀痰塗抹の顕微鏡検査で結核菌陽性の未治療の患者であった。 被験者は、以下の3つのレジメンのいずれかに無作為に割り付けられた。(1)エタンブトール、ピラジナミド、イソニアジド、リファンピシンを2ヵ月連日投与後、イソニアジドとリファンピシンを4ヵ月連日投与する群(対照群)、(2)対照群のイソニアジドをモキシフロキサシンに変更して2ヵ月連日投与後、モキシフロキサシンとリファペンチン900mgを週2回、2ヵ月投与する群(4ヵ月レジメン群)、(3)対照群のイソニアジドをモキシフロキサシンに変更して2ヵ月連日投与後、モキシフロキサシンとリファペンチン1,200mgを週1回、4ヵ月間投与する群(6ヵ月レジメン群)。 喀痰検体の顕微鏡検査と培養検査を定期的に行った。主要評価項目は、治療不成功と再発の複合エンドポイント(治療効果不良)であった。非劣性マージンは6%とし、per-protocol(PP)解析とmodified intention-to-treat(mITT)解析の双方で90%信頼区間(CI)の上限値が6%を超えない場合に非劣性と判定することとした。4ヵ月レジメンでは効果はむしろ不良 2008年8月15日~2011年8月1日までに、南アフリカ、ジンバブエ、ボツワナ、ザンビアから827例が登録され、593例(6ヵ月レジメン群:277例、4ヵ月レジメン群:275例、対照群:275例)がmITT解析、514例(186例、165例、163例)がPP解析の対象となった。mITT集団の64%が男性、27%はHIVとの重複感染例だった。 PP解析では、治療効果不良率は対照群の4.9%に対し、6ヵ月レジメン群は3.2%(補正後対照群との差:-1.8%,90%CI:-6.1~2.4%)、4ヵ月レジメン群は18.2%(同:13.6%、8.1~19.1%)であった。 mITT解析では、治療効果不良率は対照群の14.4%に対し、6ヵ月レジメン群は13.7%(補正後対照群との差:0.4%、90%CI:-4.7~5.6%)、4ヵ月レジメン群は26.9%(同:13.1%、6.8~19.4%)であった。 すなわち、6ヵ月レジメン群はPP解析、mITT解析の双方で90%CIの上限値が6%を超えなかったことから、対照群に対する非劣性が確認された。一方、4ヵ月レジメン群はいずれの解析でも上限値が6%を超えており、非劣性であることは認められなかった。なお、より厳格な95%CIでは、6ヵ月レジメン群のPP解析は非劣性マージンを満たしたが、mITT解析は満たさなかった。 38例に45件の重篤または生命を脅かす有害事象がみられたが、治療に関連するものはなかった。割り付けの対象となった827例中25例が死亡し、このうち4例は結核による可能性があると判定された。 著者は、「高用量リファペンチンとモキシフロキサシンの週1回投与を含む6ヵ月レジメンは、HIV重複感染のない患者やイソニアジド抵抗性の患者などの1次治療として使用可能と考えられる」としている。

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