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麻疹ワクチン、エアロゾルは皮下注に劣性/NEJM

 麻疹予防ワクチンの接種について、吸入タイプのエアロゾルワクチン接種は、従来タイプの皮下注ワクチン接種と比べて、免疫原性は認められたが、事前規定マージンに基づき評価した血清陽性率については劣性であったことが、WHOのNicola Low氏らによる非盲検無作為化非劣性試験の結果、示された。エアロゾル麻疹ワクチンはメキシコで開発され、1980年代以降400万人以上の子供たちに接種されている。臨床的な訓練を要さず注射関連の感染症の懸念もないことから、医療資源の乏しい発展途上国での使用拡大が期待されている。しかし、これまで有効性に関して相反するデータが示されてきたという。NEJM誌2015年4月16日号掲載の報告より。2,004例対象に、接種後91日時点のエアロゾルワクチンの非劣性を評価 検討はインドで、麻疹ワクチンの初回接種が適格な生後9.0~11.9ヵ月児を集めて行われた。2009年12月20日~2010年4月5日に、ワクチン接種をエアロゾル吸入で行う群と皮下注射で行う群に無作為に割り付けた。 主要エンドポイントは、ワクチン接種後91日時点の、抗麻疹抗体の血清陽性率および有害事象とした。非劣性のマージンは5ポイントとした。 合計2,004例が、エアロゾルワクチン群(1,001例)と皮下注ワクチン群(1,003例)に無作為に割り付けられた。接種を受け91日時点のフォローアップを受けたのは1,956例(各群775例、785例)であった。しかし、そのうち331例(17%)のデータは、検体輸送時の解凍によりアウトカムデータを得ることができなかった。 per-protocol集団解析は、2,004例中の1,560例(77.8%)について行われた。血清陽性率85%超だが非劣性マージン未達成 結果、91日時点の血清陽性児は、エアロゾルワクチン群662/775例(85.4%、95%信頼区間[CI]:82.5~88.0%)、皮下注ワクチン群743/785例(94.6%、同:92.7~96.1%)で、エアロゾルワクチン群のほうが血清陽性率は低く、両群差は9.2ポイント(95%CI:-12.2~-6.3ポイント)であった。 同様の所見は、全解析(エアロゾルワクチン群673/788例[85.4%]、皮下注ワクチン群754/796例[94.7%]、差:-9.3ポイント、95%CI:-12.3~-6.4ポイント)や、欠測データの多重代入後においても認められた。 麻疹ワクチン接種による重大有害事象は報告されなかった。また、有害事象は両群で同程度の報告であった。

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SFTSに気を付けろッ!その2【新興再興感染症に気を付けろッ!】

国立国際医療研究センター 国際感染症センターの忽那です。この「新興再興感染症に気を付けろッ!」は、新興再興感染症への適切な気を付け方について、まったりと学ぶコーナーです。前回は、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)についての概説をさせていただきましたが、今回はSFTSに潜む謎に迫りたいと思います。SFTSの謎(1)高い致死率SFTSの日本での致死率は29%と非常に高いのですが、一方で中国のSFTS症例の致死率は12~15%程度であり、日本のおよそ半分程度です。同じSFTSなのに、なぜこのような致死率の違いが生まれるのでしょうか?まず、ウイルスの病原性の違いについて、中国のSFTSウイルスと日本のSFTSウイルスは、遺伝子学的にはかなり昔に分かれているということが判明しています1)。つまり、最近になって中国から日本にやって来たというわけではなく、おそらくかなり昔から日本に潜んでいたウイルスということになります。しかし、この中国のSFTSウイルスと日本のSFTSウイルスの病原性についての違いは、これまでのところ明らかではありませんので、致死率の違いは、ウイルスの病原性の違いによるものとは言いにくいと思われます。では、人種間の違いでしょうか? その可能性はあるかもしれませんが、遺伝子が比較的近い日本人と中国人で死亡率に大きく違いがあるとは思えません。では、なぜ日本ではSFTSの致死率が高いのでしょうか。もしかしたら日本では、重症症例のみが診断されているという可能性があるかもしれません。中国でも当初は致死率が30%程度とされていましたが、現在の致死率まで下がっており、軽症例が診断されるようになったことが、原因の1つと考えられます。日本でも当初は厚生労働省の提示した症例定義(前回の表をご参考ください)というものがあり、これに該当しない軽症例は検査されなかったために、死亡率が高く出ているということなのかもしれません。SFTSは、高齢者で致死率が高いとされています。現在、日本では農村部の高齢者を中心に症例が報告されていますが(図1)、実際には若年者もSFTSに感染しているけれど、診断されていないだけなのかもしれません。今後、軽症の若年者も診断されるようになり、致死率が下がってくる、という可能性はあるかと思います。画像を拡大するSFTSの謎(2)発生地域の分布前述のように西日本で感染が見られていますが、東日本ではまったく感染者は報告されていません。SFTSは、主にタカサゴキララマダニとフタトゲチマダニによって媒介されるダニ媒介感染症と考えられています。タカサゴキララマダニは、西日本に多く分布していますが、フタトゲチマダニは日本全域に見られるマダニです。実際にSFTSウイルスは、北海道や宮城県など東日本でも遺伝子が検出されています(図2)2)。また、SFTS抗体を持つ動物も、東日本で見つかっています。しかし、実際に感染者が出ているのは西日本に限局しており、最東端は和歌山県です。なぜこのような偏りが生まれるのか……。画像を拡大する考えられる原因としては、ダニのSFTSウイルス保有率の違いでしょうか。SFTSウイルスを持つダニの比率が、西日本のほうが高いのかもしれません。現にシカのSFTSウイルス抗体陽性率は西高東低といわれており、ダニのウイルス保有率を反映しているのでしょうか。このマダニのSFTSウイルス保有率については、今後サーベイランスの結果が待たれるところです。東日本でもマダニからSFTSウイルスの遺伝子が検出されているということから、まれであるかもしれませんが、東日本でもSFTSが発生するかもしれません。東日本で勤務する医療従事者も、白血球と血小板減少を伴う発熱疾患ではSFTSを鑑別に挙げるようにしましょう(あとデング熱も)。SFTSの謎(3)適切な感染対策SFTSは広義のウイルス性出血熱であり、エボラ出血熱と同様に、血液・体液を介してヒト-ヒト感染が起こりうると考えられています。実際に、患者家族や医療従事者でのヒト-ヒト感染事例も複数報告されています3)。しかし、SFTS疑い(あるいは確定例)でどのような感染対策を行えばよいのかについては、まだきちんとした方針がありません。国立国際医療研究センター 国際感染症センターの作成した『重症熱性血小板減少症候群(SFTS)診療の手引き』2)を一例として公開しておりますので、ご参考ください。これまでにSFTS患者から感染した医療従事者は、採血の介助や気管挿管をした際に感染したと考えられており、また、ご遺体に触れた家族や納棺師も感染しています4)。診療の際には標準予防策を徹底する必要がありますし、SFTSの患者さんは亡くなられた際にウイルス量が最も多くなっているため、亡くなられた際の埋葬の方法についても注意が必要です。というわけで、とくに解決策を提示することなくお送りした「SFTSに気を付けろッ!」ですが、いかがでしたでしょうか。次回は、個人的な激アツトピックである「Borrelia miyamotoi感染症の気を付け方」について取り上げたいと思います。1)Takahashi T, et al. J Infect Dis. 2014;209:816-827.2)国立国際医療研究センター 国際感染症センター. 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)診療の手引き. 第3 版. 2014. (参照2015.3.27)3)Kim WY, et al. Clin Infect Dis. 2015 Feb 18. [Epub ahead of print]4)Gai Z, et al. Clin Infect Dis. 2012;54:249-252.

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未治療の高齢CLL、オファツムマブ併用でPFS延長/Lancet

 未治療の高齢者または併存疾患を有する慢性リンパ球性白血病(CLL)の治療において、標準治療薬であるクロラムブシル(国内未承認)にオファツムマブ(商品名:アーゼラ)を併用すると、臨床転帰が大きく改善され副作用プロファイルは管理可能であることが、英国・セントジェームズ大学病院のPeter Hillmen氏らが行ったCOMPLEMENT 1試験で示された。若年者や他の疾患がみられないCLL患者の標準治療は、プリン類似体であるフルダラビンをベースとする多剤併用レジメンであるが、高齢者や併存疾患を有する患者の多くは耐用不能である。オファツムマブは、リツキシマブとは異なる作用機序を持つヒト型抗CD20モノクローナル抗体であり、臨床試験でフルダラビン抵抗性CLLへの有効性が確認されている。Lancet誌オンライン版2015年4月13日号掲載の報告より。併用の効果と安全性を無作為化試験で評価 COMPLEMENT 1試験は、クロラムブシルへのオファツムマブ追加の有用性を検証する無作為化第III相試験(GlaxoSmithKline社などの助成による)。対象は、未治療の活動性のCLLで、高齢や併存疾患を理由にフルダラビンベースのレジメンが不適応と判定された患者であった。年齢制限は設けなかった。 被験者は、クロラムブシルを経口投与する群またはクロラムブシルにオファツムマブの静脈内投与を併用する群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)であった。 2008年12月22日~2011年5月26日までに、16ヵ国109施設に447例が登録され、オファツムマブ併用群に221例、クロラムブシル単独群には226例が割り付けられた。PFSが9ヵ月以上延長、若年患者と同等 全体の年齢中央値は69(35~92)歳で、65歳以上が69%、70歳以上が49%、75歳以上は27%含まれ、63%が男性であった。また、65歳以上または併存疾患が2つ以上、クレアチニンクリアランスが70mL/分未満の患者が87%を占めた。 PFS中央値は、併用群が22.4ヵ月であり、単独群の13.1ヵ月に比べ有意に延長した(ハザード比[HR]:0.57、95%信頼区間[CI]:0.45~0.72、p<0.0001)。ほとんどのサブグループで、併用群のほうがPFS中央値が長かった。 また、65歳未満のPFS中央値のHRは0.54(95%CI:0.34~0.85)であるのに対し、65歳以上は0.57(95%CI:0.43~0.76)、75歳以上は0.56(95%CI:0.35~0.89)であり、高齢患者でも若年患者と同等のPFSが達成された。 寛解率は併用群が82%、単独群は69%(オッズ比[OR]:2.16、95%CI:1.36~3.42、p=0.001)、完全寛解率はそれぞれ14%、1%であり、いずれも年齢、性別、Stage、予後因子にかかわらず併用群で良好であった。 一方、フォローアップ期間中央値28.9ヵ月の時点で、両群ともに全生存期間(OS)中央値には未到達で、有意な差は認めなかった(HR:0.91、95%CI:0.57~1.43、p=0.666)。2年OSは併用群が89%、単独群は87%、3年OSはそれぞれ85%、83%だった。 Grade 3以上の有害事象の頻度は、併用群が50%、単独群は43%であり、好中球減少(26 vs. 14%)の頻度が最も高く、感染症(9 vs. 12%)は両群で同等であった。また、併用群でGrade 3以上の注射関連有害事象が10%に発現した。治療期間中に10例が死亡し(両群5例ずつ)、このうち5例(併用群3例、単独群2例)が治療関連死と考えられた。 著者は、「これらの知見に加え、最近のオビヌツズマブやリツキシマブとクロラムブシルの併用に関するデータを考慮すると、抗CD20抗体薬とクロラムブシルによる免疫化学療法は、未治療の高齢CLL患者の重要な治療選択肢と考えられる」と指摘している。

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テーブル回診LIVE@神戸大学感染症内科 問題の本質を探究するカンファレンス (第1版)

カンファレンスの臨場感たっぷり。感染症医の考え方、対応が丸わかり神戸大学感染症内科で日々行われている「テ-ブル回診」を書籍化。前作「神戸大学感染症内科版TBL」と同じく、ライブ形式で収録いたしました。刻々と変化していく臨床現場で、プロはどのように思考過程でdecision makingをしていくのか、学生・研修医・フェロ-は何を学んでいくのか。診断のプロセス、議論のポイント、展開されていくロジック―「感染症診療とはなにか」を追体験できます。さらに付録として研修医へのレクチャ-、「病棟で困ったらシリーズ」も同時収載し、医局の教材としても使えます。感染症診療に携わる医師、医療従事者必読の1冊です。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。   テーブル回診LIVE@神戸大学感染症内科問題の本質を探究するカンファレンス (第1版) 定価 4,500円 + 税判型 A5判頁数 424頁発行 2015年4月著者 岩田 健太郎Amazonでご購入の場合はこちら

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市中肺炎へのβラクタム系抗菌薬、単独療法でも有効/NEJM

 成人市中肺炎疑い患者へのβラクタム系抗菌薬単独療法は、マクロライド系抗菌薬との併用療法やフルオロキノロン系抗菌薬単独療法に比べ、90日死亡率に関して非劣性であることが示された。オランダ・ユトレヒト大学メディカルセンターのDouwe F. Postma氏らが、3群で約2,300例の患者を対象に行った試験の結果、報告した。NEJM誌2015年4月2日号掲載の報告より。90日死亡率を非劣性マージン3%で検証 市中肺炎が疑われ入院した患者(ICU以外)に対する経験的抗菌薬治療の選択について、エビデンスが少ない。Postma氏らは、3つの経験的治療戦略について、クラスター無作為化クロスオーバー試験を行った。 βラクタム系抗菌薬単独療法、βラクタム系抗菌薬・マクロライド系抗菌薬併用療法、フルオロキノロン系抗菌薬単独療法を、それぞれ4ヵ月ごとに交代で実施し、90日死亡率を比較。両側90%信頼区間を用いて、非劣性マージンは3%としてβラクタム系抗菌薬単独療法の非劣性について検証した。90日死亡リスク、併用療法+1.9ポイント、フルオロキノロン単独療法は-0.6ポイント 被験者は、βラクタム戦略期間656例、βラクタム・マクロライド戦略期間739例、フルオロキノロン戦略期間888例で、各戦略の順守率はそれぞれ93.0%、88.0%、92.7%だった。被験者の年齢中央値は70歳だった。 結果、補正前90日死亡率は、それぞれ9.0%、11.1%、8.8%だった。 intention-to-treat分析の結果、死亡リスクはβラクタム戦略よりも、βラクタム・マクロライド戦略が1.9ポイント高く(90%信頼区間:-0.6~4.4%)、一方フルオロキノロン戦略は0.6ポイント低く(同:-2.8~1.9)、βラクタム戦略の非劣性が示された。 なお、入院期間の中央値はいずれの戦略でも6日で、経口投与開始までの期間の中央値は、フルオロキノロン戦略で3日、それ以外の戦略では4日だった。

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肺炎球菌ワクチン 接種間隔はどのくらい?

 インフルエンザの時期が過ぎ、花粉症の季節となった。一般的に肺炎は冬に多いが、高齢者の肺炎リスクは年間を通じて高いため、引き続き注意が必要である。先日、本サイトに高齢者肺炎に関する記事を掲載したところ、大きな反響があった。 肺炎の原因である肺炎球菌感染症の予防には、ワクチン接種が有効である。昨年(2014年)10月より、従来使用されてきた23価肺炎球菌多糖体ワクチン(PPSV23)の65歳以上の成人を対象とした定期接種が開始となった。また、同年6月から13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)が、65歳以上の成人に適応拡大になった。そのため、2種類のワクチンをどのように使い分けるか、併用接種する場合はどのような接種間隔が適切かなどを判断していく必要が生じている。そこで、今回は肺炎球菌ワクチンの接種間隔にフォーカスして、基本的な考え方を紹介する。 PPSV23とPCV13の接種間隔に関する考え方は、以下のとおり(図)1)。(1)PPSV23単剤で使用する:5年以上間隔を空けて接種する(2)PPSV23とPCV13を併用する:  (I)PPSV23を先に接種し、その後PCV13を接種する場合:1年以上間隔を空けて接種する  (II)PCV13を先に接種し、その後PPSV23を接種する場合:6ヵ月~4年以内に接種する図画像を拡大する 肺炎球菌ワクチンの接種によってすべての肺炎を予防できるわけではないが、リスクを小さくすることができる。ワクチン接種対象者の年齢や基礎疾患、経済的な負担を考慮したうえで適切なワクチンを選択し、適正に使用していくことが求められる。【参考】1)日本呼吸器学会呼吸器ワクチン検討 WG 委員会/日本感染症学会ワクチン委員会・合同委員会.65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方.日本感染症学会(参照 2015.4.17)

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C型肝炎治療最前線 経口薬への期待

 C型肝炎の治療に新たな変化が起きている。ダクルインザ・スンベプラ併用療法のインターフェロン未治療・再燃患者への適応拡大に伴い、2015年4月8日、都内にてプレスセミナー(主催:ブリストル・マイヤーズ株式会社)が開催された。今回は、茶山 一彰氏(広島大学大学院 医歯薬保健学研究院 応用生命科学部門 消化器・代謝内科学 教授)の講演内容を中心にセミナーの内容を紹介する。インターフェロンの副作用が大きな負担 従来、本邦におけるC型肝炎根治療法の主体はインターフェロン(IFN)であった。1992年にIFN単独療法が、2004年にペグIFN・リバビリン併用療法が承認された。さらに、2013年には経口プロテアーゼ阻害薬が承認され、3剤併用療法が開始された。しかし、依然として治療の主体はIFNであり、うつ・全身倦怠感をはじめとする重い副作用が患者にとって大きな負担となってきた。ダクルインザ・スンベプラ療法 昨年9月に発売されたダクルインザ(一般名:ダクラタスビル)とスンベプラ(同:アスナプレビル)は日本初のIFNフリーで治療可能な経口C型肝炎治療薬である。ダクルインザ・スンベプラ療法は、日本におけるC型肝炎の約70%を占めるセログループ1(ジェノタイプ1)型またはC型代償性肝硬変におけるウイルス血症を改善する効果がある。本剤の登場により、これまで高齢や合併症リスク、副作用などでIFNを含む既存の治療を受けられない患者、あるいは十分な効果が得られなかった患者さんに、新たな治療選択肢が加わった。経口2剤併用療法が適応拡大 また、これまでダクルインザ・スンベプラ療法の適応は、「セログループ1(ジェノタイプ1)のC型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変で、(1)IFNを含む治療法に不適格の未治療あるいは不耐容の患者、(2)IFNを含む治療法で無効となった患者」であった。 しかし、今回(2015年3月)の適応拡大に伴い、IFNの治療歴にかかわらず、日本人で最も多いジェノタイプ1型C型肝炎のすべての患者がこの治療法を選択できるようになった。さらに、第III相試験において、本療法の貧血・皮疹などの副作用は、3剤併用療法例よりも有意に低発現であり、安全性の面でも期待されている。IFNフリー療法への期待 ダクルインザ・スンベプラ療法はその安全性と有効性の観点から、現在約2万6,000例に投与されているという。第III相試験では、ウイルスの遺伝子変異がなければ本療法は98%と高い著効率を示している。茶山氏は「投与前のウイルス遺伝子検査を徹底し適切に使用すれば、患者に優れた有効性と安全性をもたらすことができる」と強調し、講演を結んだ。

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症例から学ぶ 輸入感染症 A to Z

対話形式だからサクサク読める!輸入感染症診療の今を学習海外渡航者が増加の一途をたどる現代社会において、いかなる医療機関においても輸入感染症に遭遇する可能性は少なくありません。マラリアや腸チフスなどのメジャーな疾患から近年話題のデング熱やエボラ出血熱、さらには見落としてはいけないマイナーな感染症まで、「日本で」診る可能性のある輸入感染症の適切な診療について忽那、上村の師弟コンビが対話形式でゆる~く解説します。感染症と戦う最前線からのレポート、ぜひご覧ください!画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。   症例から学ぶ 輸入感染症 A to Z定価 4,000円 + 税判型 A5判頁数 302頁発行 2015年4月著者 忽那賢志Amazonでご購入の場合はこちら

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「明日から役立つ内科診療ベストライブ」のご案内

 創業140周年を迎えた医学書の老舗出版社、金原出版では、『こんなとき、フィジカル』『テーブル回診LIVE@神戸大学感染症内科』『Fever』を刊行するとともに、その出版を記念して、「明日から役立つ 内科診療ベストライブ」と題した講演会を4月30日に開催する。 当日は、 それぞれの書籍の著者が、書籍内容に関連したテーマで“ここでしか聴けない”“すぐに役立つ” 内科診療の秘訣をレクチャーする予定。 「明日から役立つ 内科診療ベストライブ」の概要、申込みは次の通りである。■開催概要日 時 2015年4月30日(木)    18:00開場  18:30開演(21:00終了予定)場 所 紀伊國屋サザンシアター    (新宿タカシマヤタイムズスクエア 紀伊國屋書店 新宿南店7階)内 容 プロフェッショナルが贈る! 明日から役立つ 内科診療ベストライブ    (トークショー&パネルディスカッションほか) 講演者 徳田安春氏・岩田健太郎氏・忽那賢志氏・國松淳和氏・佐田竜一氏・狩野俊和氏     (敬称略)料 金 1,000円(税込)全席指定(先着順)※特典として素敵なグッズを来場者全員にプレゼント!●チケットのお申込みは (電話予約)紀伊國屋サザンシアター 03-5361-3321(10:00~18:30)●詳しくは金原出版 特設サイトまで画像を拡大する

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SFTSに気を付けろッ!その1【新興再興感染症に気を付けろッ!】

タイトル募集中ケアネットをご覧の皆さま、はじめまして。国立国際医療研究センター 国際感染症センターの忽那と申します。感染症医であり感染症全般の診療をさせていただいておりますが、そのなかでも専門は新興再興感染症であります。この連載では日本を取り巻く新興再興感染症について、時にまったりと、そして時にまったりと、つまり一貫してまったりと書き綴っていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。さて、本連載のタイトル「新興再興感染症に気を付けろッ!」ですが、いったい何に気を付ければいいのかまったく伝わってこない漠然としたタイトルであり、私が5秒で考えたタイトルであるとバレバレかもしれませんが、時間もありませんので(なぜならすでにこの原稿は締め切りを過ぎているのですッ!)とりあえずこのタイトルで進めていきたいと思います。ほかによいタイトルがあれば積極的に変えていきたいと思いますのでぜひご教示ください。最近流行の重症熱性血小板減少症候群(SFTS)第1回目となる今回は「SFTSに気を付けろッ!」ということで、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の謎に迫りたいと思います!メディアでも大きく報道されたのでSFTSという感染症については、ご存じの方も多いと思いますが、SFTSが最初に報告されたのは中国でした。2007年頃からこの感染症の存在が知られはじめ、2011年にはブニヤウイルス科フレボウイルス属であるSFTSウイルスによる感染症であることが報告されました1)。クリミア・コンゴ出血熱に類似した臨床像であり、致死率も高い疾患であることが明らかになるにつれ「中国におっかないウイルスがいるなあ……」と思っていたところ、なんとなんと2013年1月には日本の山口県でSFTS患者が報告されました。日本でも(広義の)ウイルス性出血熱が……。その後、次々と日本国内でSFTS患者が報告され、これまでに西日本を中心に110例が報告されています2)(図1)。画像を拡大するSFTSは主にタカサゴキララマダニとフタトゲチマダニによって媒介されるダニ媒介感染症と考えられています。ちなみに図2がフタトゲチマダニです。これは私が趣味のダニ狩りにいった際に撮ったものです。症例の発生はマダニの活動期に一致して春から夏にかけて多く報告されています。画像を拡大するSFTSの症状と治療SFTSの臨床症状ですが、SFTSウイルスに感染すると6~14日の潜伏期を経て発熱、消化器症状(嘔吐、下痢、腹痛など)、頭痛、筋肉痛などの症状で発症します。意識障害や失語などの神経症状、下血などの出血症状がみられることもあります。PCRによるSFTSウイルス遺伝子の検出によって診断されます。2013年1月に厚生労働省から「SFTSの症例定義」なるものが発表され(表)、この1~7をすべて満たす症例に関して全国の医療機関に情報提供の依頼がなされていますが、診断のためには必ずしもこれらすべてを満たす必要はなく、実際にこれらすべてを満たさなくてもPCRでSFTSウイルスが検出され、診断されている事例もあります。診断のためというよりも、参考程度に使うという理解でよろしいかと思いますが、自治体によっては症例定義を満たさないと検査してくれないところもあるようです。画像を拡大する治療は支持療法が中心です。これまでの日本での致死率は29%と高く、恐ろしい感染症です。さて、このSFTS、いまだによくわかっていないことがいくつかあります。この「新興再興感染症に気を付けろッ!」では、SFTSに気を付けるために2回にわたってSFTSに潜む謎に深く切り込む予定です。とりあえず急に頑張り過ぎるとろくなことがありませんので、今日のところはこのくらいで……次回に続きます。1)Yu XJ, et al. N Engl J Med. 2011;364:1523-1532.2)国立感染症研究所. 重症熱性血小板減少症候群(SFTS).(参照 2015.3.27)

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中心静脈カテーテル 感染予防に有効な消毒薬は

 血液内科領域の患者における中心静脈カテーテル挿入部位の皮膚消毒にはどの消毒液を使用すればよいのだろうか。福島県立医科大学の山本 夏男氏らは、1%クロルヘキシジングルコン酸塩エタノールと10%ポビドンヨードの効果を比較した。その結果、1%クロルヘキシジングルコン酸塩エタノールのほうがより効果的であることがわかった。American Journal of Infection Control誌2014年5月号(オンライン版2014年3月18日)の掲載報告。 著者らは、前向き研究により、血液内科における中心静脈カテーテル長期留置患者を対象とし、1%クロルヘキシジングルコン酸塩エタノールと10%ポビドンヨードの皮膚消毒効果について比較を行った。 主な結果は、以下のとおり。・1%クロルヘキシジングルコン酸塩エタノール使用群と10%ポビドンヨード使用群のCVCコロニゼーション発生率はそれぞれ11.9%、29.2%であった。・カテーテル関連血流感染の発生率は、1,000カテーテル日当たりそれぞれ0.75件、3.62件であった。

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成人に対する13価肺炎球菌結合型ワクチンの有効性を示したCAPiTA trial(解説:小金丸 博 氏)-339

 肺炎球菌結合型ワクチンは、小児における肺炎球菌性肺炎、侵襲性肺炎球菌感染症、中耳炎、およびHIV感染症患者における肺炎球菌感染症を予防できることが示されてきた。成人においては、13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)は23価肺炎球菌多糖ワクチン(PPSV23)と比較し、免疫原性が優れていることは示されていたが、実際に成人の肺炎球菌感染症を予防できるかどうかはわかっていなかった。 本論文は、成人に対するPCV13の予防効果を検討したランダム化二重盲検プラセボ対照比較試験である。2005年以前には、小児に対する肺炎球菌結合型ワクチンを導入していなかったオランダにおいて、2008年9月~2013年8月に実施された。65歳以上の成人を、(1)PCV13接種群(4万2,240例)と(2)プラセボ接種群(4万2,256例)に割り付けし、ワクチン血清型の肺炎球菌による市中肺炎、非菌血症性・非侵襲性肺炎球菌性肺炎、侵襲性肺炎球菌感染症の予防効果を調査した。原因菌がワクチンに含まれる血清型の肺炎球菌だったかどうかの確認には、血液などの無菌材料からの培養検体に加えて、ワクチン血清型特異的尿中抗原検査を用いた。  per-protocol解析では、ワクチン血清型による市中肺炎はPCV13接種群で49例、プラセボ群で90例発生し、ワクチン効果は45.6%(95.2%信頼区間:21.8~62.5%)だった。同様に、非菌血症性・非侵襲性肺炎球菌性肺炎の発生数は、それぞれ33例と66例で、効果は45.0%(同:14.2~65.3%)、侵襲性肺炎球菌感染症の発生数は、それぞれ7例と28例で、効果は75.0%(95%信頼区間:41.4~90.8%)だった。ワクチン効果は試験期間中持続した(平均フォローアップ期間3.97年)。肺炎球菌以外も含めた全市中肺炎の発生数は、それぞれ747例と787例で、ワクチン効果は5.1%(95%信頼区間:-5.1~14.2%)だった。全死因死亡者数は両群間で同等だった。肺炎球菌感染症に関連した死亡者数は、ワクチンの有効性を解析する意味を持たないほど両群共に少なかった。 本試験はCAPiTA trialと呼ばれる臨床試験である。PCV13による成人の肺炎球菌感染症の予防効果を示した最初の論文であり、本試験の結果を受けて米国の予防接種諮問委員会(ACIP)の推奨が「PCV13をすべての65歳以上の成人に対して接種すること」と変更になった。  本邦においてPCV13は、2014年6月に65歳以上の成人に対して適応拡大されている。それに加えて、2014年10月からは65歳以上の成人を対象としたPPSV23の定期接種が開始されており、成人に対する肺炎球菌ワクチンの接種が複雑になっている。 米国では、PCV13はPPSV23と連続して使用される。ACIPは、(1)肺炎球菌ワクチン接種歴のない場合は、まずPCV13を接種し、6~12ヵ月後にPPSV23を接種、(2)65歳以降にPPSV23の接種歴がある場合は、PPSV23の接種から1年以上空けてPCV13を接種、(3)65歳未満にPPSV23の接種歴がある場合は、PPSV23の接種から1年以上空けてPCV13を接種し、その6~12ヵ月後にPPSV23を接種するように推奨している。PCV13とPPSV23を連続接種することにより高い免疫原性を得ることが期待できるが、至適接種間隔はわかっていない。また、連続接種による臨床効果を示した研究はなく、今後のさらなる研究が待たれる。

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~プライマリ・ケアの疑問~  Dr.前野のスペシャリストにQ!【呼吸器編】

第1回 気管支喘息治療のスタンダードは? 第2回 吸入ステロイドを使い分けるポイントは? 第3回 気管支喘息で経口ステロイドはどう使う? 第4回 風邪症状から肺炎を疑うポイントは?第5回 呼吸器感染症の迅速診断は臨床で使える?第6回 肺炎のempiric therapyの考え方とは?第7回 COPDの薬物療法は何から始める?第8回 呼吸リハビリテーション、プライマリ・ケアでできることは?第9回 在宅酸素療法の基本的な考え方は?第10回 慢性咳嗽の原因疾患を鑑別する方法は?第11回 アトピー咳嗽と咳喘息、どう見分ける?第12回 成人の百日咳、鑑別と検査のポイントは?第13回 結核の発見と対応のポイントは?第14回 肺塞栓を疑うポイントは?第15回 肺の聴診のコツは? 日常診療におけるジェネラリストの素朴な疑問に一問一答で回答するQ&A番組!気管支喘息や肺炎、COPDなどの実臨床でよく見る呼吸器疾患の診察、検査、治療に関する15の質問を、番組MCの前野哲博先生が経験豊富なスペシャリスト・長尾大志先生にぶつけます!第1回 気管支喘息治療のスタンダードは? プライマリ・ケアで扱うことも多い気管支喘息。寛解への近道は継続した投薬です。そのため、患者のアドヒアランスを高めることも治療のキーポイント。治療の原則と併せて、最も効果がある処方例をズバリお教えいたします!第2回 吸入ステロイドを使い分けるポイントは? 吸入ステロイドは気管支喘息治療薬のスタンダードですが、その剤形やデバイスは年を追うごとに進歩しています。かつて主流だったMDIと、近年数多く発売されているDPI。それぞれの特徴と使い分けをズバリお教えいたします。また、気管支喘息治療でよく使用されるDPI合剤の使い分けについても伝授。吸入ステロイドの選択はこの番組でばっちりです!第3回 気管支喘息で経口ステロイドはどう使う?気管支喘息治療では発作時の対処も重要なポイント。発作止めとしてよく使用する経口ステロイドですが、怖いものと思って、おそるおそる使っては効果も半減してしまいます。今回は、効果的に使用するために重要な投与量と中止のタイミングをズバリ解説。救急での受診後に処方する場合など発作時以外の使い方も併せてレクチャーします。第4回 風邪症状から肺炎を疑うポイントは?風邪はプライマリ・ケアで最もよく見る症状のひとつ。風邪症状から肺炎を見逃さないために、風邪の定義、そして風邪をこじらせた場合、初めから肺炎だった場合など、様々なシュチエーションに応じた見分け方のコツをズバリお教えします。第5回 呼吸器感染症の迅速診断は臨床で使える?インフルエンザに迅速診断は必要?肺炎を疑う場合に使うのはどの検査?信頼性は?迅速診断に関する疑問にズバリお答えします。マイコプラズマ、尿中肺炎球菌、レジオネラ菌。それぞれの原因微生物ごとの迅速診断の特徴やキットの使い勝手など実臨床に役立つ情報をお届けします。第6回 肺炎のempiric therapyの考え方とは?肺炎だけど起炎菌が同定できない!そんなときに行うのがempiric therapyです。今回はプライマリ・ケアで多い市中肺炎に焦点をあてて、empiric thearpyの進め方を解説します。その際、最も重要なのは肺炎球菌なのかマイコプラズマなのか予想すること。この2つを見分けるポイントと、またそれぞれに適した薬剤をズバリお教えします。第7回 COPDの薬物療法は何から始める?急激に患者数が増加するCOPD。2013年にガイドラインが改訂され、第1選択薬に抗コリン薬とβ2刺激薬が併記されました。でも実際に専門医はファーストチョイスにどちらを使っているのか?抗コリン薬が使えない場合はどうする?喀痰調整薬ってどんな患者に有用?COPDの薬物療法についてズバリお答えします。第8回 呼吸リハビリテーション、プライマリ・ケアでできることは?COPD治療に必要な呼吸リハビリテーション。専門の機械や人員のいないプライマリ・ケアでもできることはあるの?答えはYES!と長尾先生は断言します。専門病院のような細かいプログラムは不要。しかもプライマリ・ケア医の強みを活かせる指導なのです。第9回 在宅酸素療法の基本的な考え方は?専門病院で導入された在宅酸素療法。どういうときならプライマリ・ケア医の判断で酸素量を増やしてもいいの?SpO2の管理目標値はどのくらい?嫌がる患者さんに在宅酸素を継続してもらうコツはある?などの疑問にズバリ答えます!第10回 慢性咳嗽の原因疾患を鑑別する方法は?長引く咳を主訴に来院する患者さん、最も多い感染後咳嗽を除外したあとに残るのは慢性咳嗽です。慢性咳嗽の原因疾患は、副鼻腔炎、後鼻漏、胃食道逆流、咳喘息と多彩。これらをどのように鑑別するのか?ズバリそのキーポイントは喀痰のありなしなのです!今回の講義ではすぐに使える鑑別のノウハウをレクチャーします。第11回 アトピー咳嗽と咳喘息、どう見分ける?慢性咳嗽の代表的な鑑別疾患である、咳喘息とアトピー咳嗽。この2つはどう違うの?アトピー咳嗽という言葉はよく耳にするけれど、実は慢性咳嗽の半数は咳喘息なのだそう。今回は両者の違いを端的に解説。咳喘息の特徴的な症状や診断と治療を兼ねた処方例まで網羅します。第12回 成人の百日咳、鑑別と検査のポイントは?百日咳は近年、成人の罹患率が高まり、受診する患者も増えてきました。成人では特徴的な症状が見られにくく、診断ができるころには治療のタイミングを逸しているのも診療の難しいところ。今回はそんな百日咳の鑑別のコツや検査をすべき対象について、ズバリお教えいたします!第13回 結核の発見と対応のポイントは?再興感染症とも言われる結核。早期の発見治療にはプライマリケアでの対応が重要です。今回は特徴的な感染徴候やリスク因子をレクチャー。検査はクオンティフェロンと喀痰検査どちらがいい?周囲に感染者が出たと心配する患者さんにどう対応したらいい?などの質問にもズバリお答えいたします!第14回 肺塞栓を疑うポイントは?いち早く発見したい肺塞栓症。確定診断までの流れなどのベーシックな知識はもちろん、造影CTやDダイマーなどの検査ができないときでも肺塞栓を除外できる条件をズバリお教えします!第15回 肺の聴診のコツは?肺の聴診は基本的な手技。どうやってカルテに書いたら伝わりやすい?今回は代表的な4つの肺雑音の特徴とカルテの記載方法をレクチャーします。連続性か断続性か、高音か低音かなど、聞き分けるコツと、その機序も併せて解説。仕組みの講義で病態生理の理解も深まること間違いありません!

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PCV13、高齢者市中肺炎にも有効/NEJM

 高齢者への13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)接種について、ワクチン型の肺炎球菌性、菌血症性、および非血症性の市中肺炎と、ワクチン型の侵襲性肺炎球菌感染症の予防に有効であることが明らかにされた。オランダ・ユトレヒト大学医療センターのM.J.M. Bonten氏らが、8万4,496例の65歳以上高齢者を対象に行った無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告した。PCVワクチンは、新生児において肺炎球菌感染症の予防が認められているが、65歳以上高齢者の肺炎球菌性市中肺炎の有効性は明らかにされていなかった。試験の結果では、あらゆる原因による市中肺炎へのワクチンの有効性は示されなかったが、著者は「ワクチン型の市中肺炎が46%減少しており、高齢者の市中肺炎の減少に寄与すると思われる」とまとめている。NEJM誌2015年3月19日号掲載の報告より。オランダ65歳以上8万4,496例を登録して無作為化二重盲検プラセボ対照試験 試験は2008年9月15日~2010年1月30日にかけて、オランダ国内101地点で65歳以上高齢者を8万4,496例登録して行われた。被験者は1対1の割合で無作為に割り付けられ、4万2,240例がPCV13接種を、4万2,256例がプラセボの接種を受けた。追跡期間は中央値3.97年であった。 PCV13の有効性について、ワクチン型肺炎球菌性市中肺炎、非菌血症性・非侵襲性肺炎球菌性市中肺炎、侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)の初回エピソードの予防について評価した。市中肺炎とIPDの特定は、標準的なラボ検査と血清型に特異的な尿中抗原検出アッセイにより行った。 追跡期間中に、肺炎またはIPDが疑われ試験協力病院を受診した人は、PCV13群1,552例、プラセボ群1,680例であった。このうち2,842例(88%)は、前年にインフルエンザワクチンの接種を受けていた。ワクチン型株市中肺炎への有効率、per-protocol解析で45.6% ワクチン型株による感染症の初回エピソードのper-protocol解析の結果、市中肺炎発生は、PCV13群49例、プラセボ群90例でワクチンの有効率は45.6%(95.2%信頼区間[CI]:21.8~62.5%)であった。非菌血症性・非侵襲性市中肺炎は、PCV13群33例、プラセボ群60例でワクチン有効率は45.0%(同:14.2~65.3%)、侵襲性肺炎球菌感染症は PCV13群7例、プラセボ群28例でワクチン有効率は75.0%(95%CI:41.4~90.8%)だった。有効性は試験期間中、持続していた。 修正intention-to-treat解析(安全性データを入手できなかった人を除外した8万4,492例)においても、ワクチン型株による感染症の初回エピソードに対するワクチン有効率は同程度であった(それぞれ37.7%、41.1%、75.8%)。 一方、あらゆる原因(非肺炎球菌性と肺炎球菌性を含む)による市中肺炎の初回エピソード発生例は、PCV13群747例、プラセボ群787例で、ワクチン有効率は5.1%(95%CI:-5.1~14.2%)だった。 重篤な有害事象と死亡は、両群で同程度であったが、PCV13群で局所反応が、より多く認められた。

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アリスミアのツボ Q24

Q24 抗凝固療法、抗血小板薬2剤の併用(triple therapy)は大丈夫? 「混ぜるな、危険」が基本ですが…… ヒトは太古の昔から出血と闘ってきました。今でこそ血栓症が死因の多くを占めますが、つい江戸時代までは斬る、斬られるで、大出血や感染症が死因の多くを占めていたと考えられます。 そして、この大出血を防ぐための生体のシステムが、血小板と凝固カスケードです。と考えれば、抗凝固療法で凝固カスケードをブロックし、抗血小板薬2剤併用で二方向から血小板機能をブロックすれば、大出血を防ぐためのシステムがなくなり……その結果すべての出血が大出血へと変化してしまいます。“The more, the better”は、そもそもこの領域には当てはまらないのです。 なので、抗血栓薬は「混ぜるな、危険」が基本です。ただ、人間の行動には慣性モーメントが働いています。これまで動脈血栓予防には抗血小板薬を、静脈血栓予防には抗凝固薬をと身に染みつくくらい習ってきたので、両方のリスクがあるなら抗血栓薬を重ねるという慣性モーメントが働いてしまいます。 まだ、この分野には十分なエビデンスがなく、最低限これだけで大丈夫とはいえないのですが(具体的な処方はまだ確定していません)、できるだけ抗血栓薬は少なくできないかを考える機会を持つことが重要でしょう。そのとき、 (1)ステントを用いていない場合は、抗凝固療法は抗血小板薬を兼ねる (2)ステントが入っている場合でも、ステントの改良で抗血小板薬2剤の併用が必要となる期間は短縮している という2つの知識が生かされると思います。長い間お楽しみいただいた「Dr山下のアリスミアのツボ」は、今回で最終回となります。ご愛読ありがとうございました。

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蜂窩織炎・膿瘍への抗菌薬 治癒率に違いはある? クリンダマイシンvs.トリメトプリム・スルファメトキサゾール

 蜂窩織炎および膿瘍において、クリンダマイシンまたはトリメトプリム・スルファメトキサゾール(TMP-SMX)を10日間投与したところ、治癒率や副作用プロファイルは同程度であったことが、米国・カリフォルニア大学のLoren G. Miller氏らにより報告された。NEJM誌2015年3月19日号の掲載報告。 皮膚および軟部組織感染症は、外来診療では一般的であるものの、市中感染型メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に対する抗生物質レジメンの効果は十分に明らかにされていなかった。 Miller氏らは、蜂窩織炎、5cm以上の膿瘍(小児ではより小さい径も含む)のいずれか、または両方を有する合併症のない単純性皮膚感染症の外来患者を4施設で登録した。すべての膿瘍は切開排膿を行った。 被験者らはクリンダマイシン群またはTMP-SMX群に無作為に1:1で割り付けられ、10日間投与された。被験者と医師にレジメンの割付および微生物学的検査結果は知らされず、二重盲検下で実施された。 主要評価項目は治療終了から7~10日後の臨床的治癒であった。 主な結果は以下のとおり。・合計524例の被験者が登録され、そのうち155例(29.6%)が小児であった。・264例がクリンダマイシン群、260例がTMP-SMX群に登録された。・160例(30.5%)が膿瘍単独、280例(53.4%)が蜂窩織炎単独、82例(15.6%)が膿瘍と蜂窩織炎の両方を罹患していた。・黄色ブドウ球菌は217例(41.4%)の被験者の病変部から分離され、そのうち167例(77.0%)の分離株がMRSAであった。・intention-to-treat 集団における治癒率は、両群で同程度であった(クリンダマイシン群80.3%、TMP-SMX群77.7%、差:-2.6%ポイント、95%信頼区間:-10.2~4.9、p=0.52)。・評価可能であった466例における治癒率も、両群で同程度であった(クリンダマイシン群89.5%、TMP-SMX群88.2%、差:-1.2%ポイント、95%信頼区間:-7.6~5.1、p=0.77)。・サブグループ(小児、成人、膿瘍または蜂窩織炎単独の患者)における治癒率も、両群で同程度であった。・両群でみられた副作用プロファイルに有意な差はみられなかった。

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1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第18回

第18回:高齢者における意図しない体重減少へのアプローチ方法監修:吉本 尚(よしもと ひさし)氏 筑波大学附属病院 総合診療科 高齢者の体重減少は、外来でよく出会う愁訴の1つです。まず真っ先に思い浮かぶのは悪性腫瘍ですが、それ以外にも考えるべき鑑別診断がいくつかあります。外来ではまず、食事摂取がどの程度できているかを、その方の社会的背景を踏まえて評価するかと思います。また、疾患を見つけた場合に治療が可能かどうかを想像しながら、検査の適応を判断しなければいけませんが、非常に個別性が高く、毎回悩ましい問題だと感じています。 以下、American Family Physician 2014年5月1日号1)より意図しない体重減少は高齢者の15~20%に起こり、ADLの低下、病院内での疾病罹患率の上昇、女性の大腿骨頚部骨折、全死亡率の上昇の原因となる。有意な体重減少とは、6~12ヵ月以内に5%以上の体重減少があった場合、などと定義されるが、このような意図しない体重減少に関する適切な評価や管理のためのガイドラインは、現在、存在していない。しかし、もし存在したとしても、このような非特異的な病態に対する適切な検査を決定するのは難しいだろう。体重は通常60歳代をピークとして、70歳代以降は毎年0.1~0.2kgずつ減少する。それ以上の減少であれば、年齢相応の体重減少とは言えない。最もよくある理由としては、悪性腫瘍、非悪性の胃腸疾患、うつや認知症といった精神疾患であるが、全体の割合としては、非悪性の疾患が悪性腫瘍を上回っている。また、6~28%は原因不明である。(表1) 【表1:意図しない高齢者の体重減少】 悪性腫瘍(19~36%) 原因不明(6~28%) 精神疾患(9~24%) 非悪性の胃腸疾患(9~19%) 内分泌(4~11%) 心肺疾患(9~10%) アルコール関連(8%) 感染症(4~8%) 神経疾患(7%) リウマチ関連(7%) 腎疾患(4%) 全身性炎症疾患(4%) 鑑別の記憶法としては、MEALS‐ON‐WHEELS[「食事宅配サービス」の意味、(注1)]あるいは高齢者の9D's(注2)として覚える。薬剤の副作用もよくある原因だが、しばしば見逃される。多剤服薬は味覚に干渉するとみられ、食思不振を生じ、体重減少の原因となりうる。さらには貧困、アルコール問題、孤立、財政的制約などといった、社会的な要素とも体重減少は関連している。Nutritional Health Checklist(表2)は栄養状態を簡単に評価するツールである。各項目に当てはまれば、質問の後ろにある得点を加算し、合計得点を算出する。0~2点は良好、3~5点は中等度のリスク、6点以上はハイリスクである。 【表2:Nutritional Health Checklist】 食事量が変わるような病状がある 2点 食事の回数が1日2回より少ない 3点 果物、野菜、乳製品の摂取が少ない 2点 ほとんど毎日3杯以上のビール、蒸留酒、ワインを飲んでいる 2点 食べるのが困難になるほどの歯や口腔の問題がある 2点 いつも必要なだけの食料を購入するお金がない 4点 ひとりで食事をする事が多い 1点 1日3種類以上の処方か市販薬を服用している 1点 過去6ヵ月で4.5kg以上の予期しない体重減少がある 2点 いつも買い物や料理、自力での食事摂取を身体的に行えない 2点 推奨される一般的な検査としては、CBC、肝・腎機能、電解質、甲状腺機能、CRP、血沈、血糖、LDH、脂質、蛋白・アルブミン、尿酸、尿検査がある。また、胸部レントゲン、便潜血検査は行うべきであり、腹部超音波も考慮されても良いかもしれない。これらの結果が正常だとしても、3~6ヵ月間の注意深い経過観察が必要である。治療には食事、栄養補助、薬物療法などがあるが、研究結果がさまざまであったり、副作用の問題があったりして、体重減少がある高齢者の死亡率を改善するような明確なエビデンスのある治療法は存在しない。(注1:MEALS‐ON‐WHEELS)M:Medication effects(薬剤性)E:Emotional problems, especially depression(気分障害、とくにうつ)A:Anorexia nervosa; Alcoholism(神経性食思不振症、アルコール依存症)L:Late-life paranoia(遅発性パラノイア)S:Swallowing disorders(嚥下の問題)O:Oral factors, such as poorly fitting dentures and caries(口腔内の要因、たとえば合っていない義歯、う歯など)N:No money(金銭的問題)W:Wandering and other dementia-related behaviors(徘徊、その他認知症関連行動)H:Hyperthyroidism, Hypothyroidism, Hyperparathyroidism, andHypoadrenalism(甲状腺機能亢進および低下、副甲状腺機能亢進、副腎機能低下)E:Enteric problems; Eating problems, such as inability to feed oneself(腸管の問題;摂食の問題、たとえば手助けなしに一人では食べられないなど)L:Low-salt and Low-cholesterol diet(低塩分、低コレステロール食)S:Stones; Social problems, Such as isolation and inability to obtain preferred foods(結石;社会的問題、たとえば孤独、好きな食べ物を手に入れられないなど)(注2:高齢者の9D's)Dementia(認知機能障害)Dentition(歯科領域の問題)Depression(抑うつ)Diarrhea(下痢)Disease [acute and chronic](急性・慢性疾患)Drugs(薬剤)Dysfunction [functional disability](機能障害)Dysgeusia(味覚異常)Dysphagia(嚥下困難)※本内容は、プライマリケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、詳細に関しては原著を参照されることを推奨いたします。 1) Gaddey HL, et al. Am Fam Physician. 2014; 89: 718-722.

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