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新規抗インフルエンザ薬「ゾフルーザ」発売

 塩野義製薬株式会社は3月14日、抗インフルエンザウイルス薬「ゾフルーザ錠10mg・20mg」(一般名:バロキサビル マルボキシル)を新たに発売した。同日付で薬価収載され、薬価は、10mg1錠が1,507.50円、20mg1錠が2,394.50円。 ゾフルーザは、塩野義製薬が創製したキャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬で、既存の薬剤とは異なる新しい作用機序でインフルエンザウイルスの増殖を抑制する。1回の錠剤服用で完結し、利便性が高く、良好なアドヒアランスが期待できる。 成人および12歳以上の小児には、20mg錠2錠を、体重80kg以上の患者には20mg錠4錠を単回経口投与する。12歳未満の小児の場合、体重40kg以上には20mg錠2錠を、20kg以上40kg未満には20mg錠1錠を、10kg以上20kg未満には10mg錠1錠を、いずれも単回経口投与する。 ゾフルーザは、2015年10月に厚生労働省の先駆け審査指定制度の対象品目に指定され、18年2月23日に製造販売承認を取得していた。■参考塩野義製薬株式会社ニュースリリース■関連記事新規抗インフルエンザ薬ゾフルーザ、承認取得

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複雑性尿路感染症に対するメロペネム/vaborbactamの効果(解説:吉田 敦 氏)-826

 多剤耐性グラム陰性桿菌、とくにカルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌(CPE)の増加と蔓延は、抗菌薬療法の限界を示唆する耐性菌、いわゆる「悪魔の耐性菌」として今や人類の脅威となっている。現在使用できる抗菌薬が限られている中で、セリン型のクラスAおよびクラスC βラクタマーゼを阻害するボロン酸であるvaborbactamとカルバペネム(メロペネム)を配合したメロペネム/vaborbactam(以下MEPM/VBT)が登場し、体内動態に関する第I相試験が行われていたが、今回第III相試験の結果が発表された。 本試験は国際多施設参加ランダム化比較試験であり、18歳以上の複雑性尿路感染症あるいは腎盂腎炎の症例を無作為にMEPM/VBT投与群(2g/2gを3時間かけて投与、1日3回)とピペラシリン/タゾバクタム(PIPC/TAZ)投与群(4g/0.5gを30分で投与、1日3回)に割り付けた。15回以上投与した後、あらかじめ定めた臨床的な改善基準を満たした場合、経口のレボフロキサシンに変更可能とし、治療期間は計10日間とした。primary end pointにはFDA基準(臨床的改善・治癒と、静注薬終了時の尿細菌数が104 CFU/mL未満)とEMA(欧州医薬品庁)基準(治療終了後に治癒確認を目的に診察した際の尿細菌数が103 CFU/mL未満)を用いた。 最終的に17ヵ国550例を対象とすることができ、272例がMEPM/VBT投与群に、273例がPIPC/TAZ投与群に割り付けられた。このうち腎盂腎炎は59%、尿中菌数が105 CFU/mL以上であったのは69%であり、原因微生物のうち65%は大腸菌、15%はK. pneumoniaeであった。なお大腸菌のうちPIPC/TAZ耐性率は5%、MEPM耐性菌はなく、K. pneumoniaeのうちPIPC/TAZ耐性率は42%、MEPM耐性率は5%であった。Primary end pointを達成した成功率は、FDA基準ではMEPM/VBT群98.4%、PIPC/TAZ群94.0%であり、MEPM/VBTはPIPC/TAZに非劣性であるばかりか、それよりも優れていた。EMA基準では、MEPM/VBT群66.7%、PIPC/TAZ群55.7%であり、これでも非劣性が判明した。有害事象はMEPM/VBT群39.0%、PIPC/TAZ群35.5%で報告されたが、抗菌薬に関連したものはそれぞれ15.1%、12.8%であり、重度のものは2.6%、4.8%であった。MEPM/VBT群で多かったのは頭痛や下痢、ALT上昇などであったが、副作用のために投与を中止したのは2.6%とPIPC/TAZ群の5.1%より少なかった。 今回の報告は、βラクタマーゼ・カルバペネム配合剤のヒト感染症例でのランダム化比較試験としては、初めてのものである。この結果を受けて、FDAは2017年8月に成人の複雑性尿路感染症を対象に本剤を認可した(Vabomere)。ただし本試験にはいくつかの限界が存在する。SIRSの基準を満足している割合が1/3以下と高くないこと、原因微生物がメロペネム耐性菌である割合が低く(PIPC/TAZ耐性率は高い)、そもそもカルバペネム耐性菌を主対象とした研究でないことである。そしてこれまでの検討で、MEPM/VBTはCPEのうちKlebsiella pneumoniae Carbapenemase(KPC)には有効であるが、クラスBのメタロβラクタマーゼ産生菌(代表的なのはNDM)にはあまり有効でないことが指摘されている1)。カルバペネム耐性腸内細菌科細菌による複数の感染症に対し、本剤の有効性を調べた続発試験(TANGO II)が行われたとも聞く。KPCが多い地域と、メタロβラクタマーゼ産生菌が多い本邦やアジアでは、本剤が適応となる状況は異なると思われる。メタロβラクタマーゼ産生菌に使用できる選択肢が増えることが、さらに望まれる状況にある。

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複雑性尿路感染症、メロペネム/vaborbactam配合剤の有効性/JAMA

 複雑性尿路感染症の治療において、メロペネム/vaborbactam配合剤の効果は、ピペラシリン/タゾバクタム配合剤に対し非劣性であることが、米国・ミシガン大学のKeith S. Kaye氏らが実施したTANGO I試験で示された。研究の成果は、JAMA誌2018年2月27日号に掲載された。カルバペネム系抗菌薬メロペネムとβ-ラクタマーゼ阻害薬vaborbactamの配合剤は、薬剤抵抗性グラム陰性菌による重症感染症に有効である可能性が示唆されている。2種の配合剤の非劣性を評価する無作為化試験 TANGO Iは、急性腎盂腎炎を含む複雑性尿路感染症の治療における、メロペネム/vaborbactam配合剤の有効性と有害事象の評価を目的とする二重盲検ダブルダミー無作為化実薬対照非劣性試験である(The Medicines Company社などの助成による)。 年齢18歳以上の尿路感染症または急性腎盂腎炎の確定例または疑い例が、8時間ごとにメロペネム/vaborbactam配合剤(2g/2g、3時間静注)またはピペラシリン/タゾバクタム配合剤(4g/0.5g、30分静注)を投与する群にランダムに割り付けられた。患者は、盲検を維持するために、薬剤を含まない生理食塩水(30分または3時間静注)の投与を受けた。 15回以上の静注後は、全10日間の治療を完了するために、事前に規定された改善の判定基準を満たす場合は、経口レボフロキサシン(500mg、24時間ごと)に切り替えることとした。 米国食品医薬品局(FDA)の基準による主要エンドポイントとして、微生物学的に修正したintent-to-treat(ITT)集団における静注投与終了時のoverall success(臨床的な治癒または改善と、除菌の複合)、および欧州医薬品庁(EMA)の基準による主要エンドポイントとして、微生物学的に修正したITT集団および微生物学的に評価可能な集団における治癒検査受診時の除菌の評価を行った。事前に規定された非劣性マージンは-15%であった。すべての主要エンドポイントで非劣性を確認 2014年11月~2016年4月の期間に、17ヵ国60施設に550例が登録され、545例(メロペネム/vaborbactam配合剤群:272例、ピペラシリン/タゾバクタム配合剤群:273例)が1回以上の投与を受けた(修正ITT集団)。 全体の平均年齢は52.8歳、361例(66.2%)が女性であった。微生物学的に修正したITT集団は374例(68.6%)、微生物学的に評価可能な集団は347例(63.7%)だった。 FDAの主要エンドポイントであるoverall successは、メロペネム/vaborbactam配合剤群の192例中189例(98.4%)で達成され、ピペラシリン/タゾバクタム配合剤群の182例中171例(94.0%)に対し非劣性であった(群間差:4.5%、95%信頼区間[CI]:0.7~9.1%、非劣性のp<0.001)。 EMAの主要エンドポイントである微生物学的に修正したITT集団における除菌は、メロペネム/vaborbactam配合剤群の192例中128例(66.7%)で達成され、ピペラシリン/タゾバクタム配合剤群の182例中105例(57.7%)に対し非劣性であった(群間差:9.0%、95%CI:-0.9~18.7%、非劣性のp<0.001)。また、微生物学的に評価可能な集団における除菌は、それぞれ178例中118例(66.3%)、169例中102例(60.4%)で達成され、同様に非劣性が示された(群間差:5.9%、95%CI:-4.2~16.0%、非劣性のp<0.001)。 有害事象は、メロペネム/vaborbactam配合剤群の272例中106例(39.0%)、ピペラシリン/タゾバクタム配合剤群の273例中97例(35.5%)で発現し、試験薬関連有害事象はそれぞれ15.1%、12.8%に認められた。メロペネム/vaborbactam配合剤群で最も頻度の高い有害事象は頭痛(8.8%)で、すべて軽度~中等度であり、頭痛が原因で治療が中止された患者はなかった。 著者は、「メロペネム/vaborbactam配合剤が臨床的利益をもたらす患者のスペクトルを知るために、さらなる検討を要する」としている。

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インフルエンザ感染後1週間以内は急性心筋梗塞が増える(解説:佐田政隆氏)-816

 特異度の高い検査でインフルエンザ感染が正確に確認された1万9,729人をフォローしたところ、感染1週間以内の急性心筋梗塞により入院する数が、それ以降の1年間に比較して、約6倍に増えるというカナダからの観察研究である。 動脈硬化プラークの進展と破綻の病態に、炎症が中心的な役割を担っていることが明らかになっている。インフルエンザ感染による急性炎症が、プラーク破裂とその後の血栓性閉塞の誘因になったと思われる。その原因としてはインフルエンザ感染とその後の強い炎症反応が、交感神経を活性化させ、凝固能を亢進させたり、内皮機能を低下させたり、血小板の活性化につながったのかもしれない。また、全身状態の悪化、飲水困難により、低酸素、脱水、低血圧などが冠動脈閉塞につながったのかもしれない。また、体調不良のため、スタチンやアスピリンを休薬してしまったことが発症につながった可能性もある。 しかし、ウイルスのサブタイプ別にみると、インフルエンザA型で5.17倍、インフルエンザB型で10.11倍、RSウイルスで3.51倍のリスク増加と違いがあり、ウイルス感染がプラーク破綻と閉塞の病態に何らかの生物学的影響をもたらしたことが考えられる。このような臨床データの科学的な根拠を明らかにするために、モデル動物を用いた基礎研究が望まれる。 いずれにせよ、インフルエンザ感染で自宅待機している時は、急性心筋梗塞の発症リスクが高いので、胸部症状などあったら、我慢せずに、救急車ですぐに医療機関を受診することが重要と思われる。

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尿路感染へのトリメトプリムで突然死リスクは増えるのか/BMJ

 尿路感染症(UTI)に対するトリメトプリムの使用は、他の抗菌薬使用と比べて、急性腎障害(AKI)および高カリウム血症のリスクは大きいが、死亡リスクは高くないことが、英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のElizabeth Crellin氏らによるコホート研究の結果で示された。また、相対リスクの上昇は試験対象集団全体においては類似していたが、レニン・アンジオテンシン系(RAS)阻害薬およびカリウム保持性利尿薬を服用していた群ではベースラインのリスクが高いほど、AKIや高カリウム血症の絶対リスク上昇がみられたという。BMJ誌2018年2月9日号掲載の報告。一般集団を対象に、AKI、高K血症、死亡の発生を他の抗菌薬と比較 合成抗菌薬のコトリモキサゾール(ST合剤:スルファメトキサゾールとトリメトプリムの合剤)は、突然死のリスク増大と関連しており、そのリスク増大は血清カリウム値の上昇による可能性が報告されている。しかし先行研究は、対象が特定集団(RAS阻害薬服用患者など)であり、交絡因子(感染症のタイプや重症度)の可能性が排除できず、結果は限定的であった。また、トリメトプリムとST合剤のリスクが同程度のものなのかについても、明らかになっていなかった。 研究グループは、一般集団においてUTIに対するトリメトプリム使用が、AKI、高カリウム血症、あるいは突然死のリスクを増大するかを検証した。 英国のClinical Practice Research Datalinkに集積されているプライマリ受診者の電子カルテ記録を用い、Hospital Episode Statisticsデータベースからの入院記録データと関連付けて解析を行った。 対象は、1997年4月~2015年9月に、プライマリケアでUTIの診断後に最長で3日間、トリメトプリム、アモキシシリン、セファレキシン、シプロフロキサシン、またはnitrofurantoinのいずれかを処方されていた65歳以上の患者。UTIの抗菌薬治療14日間でのAKI、高カリウム血症、死亡の発生について評価した。RAS阻害薬とスピロノラクトンの使用群ではリスクが上昇 コホートには、65歳以上の患者119万1,905例が組み込まれた。このうち、17万8,238例がUTIの抗菌薬治療を1回以上受けており、UTIの抗菌薬治療エピソード総計42万2,514件が確認された。 抗菌薬投与開始後14日間のAKI発生のオッズ比(OR)は、アモキシシリン群との比較において、トリメトプリム群(補正後OR:1.72、95%信頼区間[CI]:1.31~2.24)およびシプロフロキサシン群(同:1.48、1.03~2.13)で高かった。 抗菌薬投与開始後14日間の高カリウム血症発生のORは、アモキシシリン群との比較において、トリメトプリム群(同:2.27、1.49~3.45)のみで高かった。 しかしながら、抗菌薬投与開始後14日間の死亡発生のORは、アモキシシリン群と比べてトリメトプリム群では高くなく、全集団における補正後ORは0.90(95%CI:0.76~1.07)であった。一方で、RAS阻害薬使用群における補正後ORは1.12(同:0.80~1.57)であった。 解析の結果、65歳以上で抗菌薬治療を受けた1,000UTIについて、RAS阻害薬使用の有無にかかわらず、アモキシシリンの代わりにトリメトプリムを用いた場合の高カリウム血症の追加症例は1~2例であり、AKIによる入院は2例であることが示唆された。一方で、RAS阻害薬およびスピロノラクトンの使用群では、アモキシシリンの代わりにトリメトプリムを用いた場合、高カリウム血症の追加症例は18例、AKIによる入院は11例であった。

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主要医学雑誌の論文、データの入手可能性と再現性は/BMJ

 医学雑誌編集者国際委員会(ICMJE)は、投稿論文にデータ共有計画の記載を求めており、医学ジャーナルのBMJとPLOS Medicineは、ランダム化対照比較試験(RCT)の出版の条件として、データ共有を明確に求める強固な指針を示している。米国・スタンフォード大学のFlorian Naudet氏らは、これら2つのジャーナルに掲載されたRCT論文を調査し、データの入手可能性は十分とはいえないが、データの共有が可能であった場合は、再解析のほとんどで、元論文の結果がほぼ再現されたと報告した。研究の成果は、BMJ誌2018年2月13日号に掲載された。データ入手可能性と解析の再現性、問題点を検討 研究グループは、全データ共有指針を有する医学ジャーナルに掲載されたRCT論文により、データ共有の有効性を評価し、主要アウトカムの再解析の実施過程で直面する可能性のある問題点の記述を目的とする調査を行った(研究助成は受けていない)。 医学データベース(PubMed、Medline)を検索して、データ共有指針を採択後のBMJおよびPLOS Medicineに掲載されたRCT論文を選出した。 主要アウトカムはデータの入手可能性とし、「当該RCTの主要アウトカムの再解析に、十分な情報を提供するデータの最終的な受領」と定義した。また、再現性を評価するために主要アウトカムの再解析を行い、問題点を記述した。 2013~16年に発表されたRCT論文37編(BMJ:21編、PLOS Medicine:16編)が適格基準を満たした。データ共有率46%、十分ではないが他に比べ良好 全37編のサンプルサイズ中央値は432例(IQR:213~1,070)であった。26編(70%)は企業の助成を受けておらず、25編(67%)は欧州の研究チームの論文で、12編(33%)が感染症関連論文であり、20編(54%)が薬物療法、9編(24%)が複合的介入(精神療法プログラム)、8編(22%)はデバイスの評価を行うRCTの論文であった。 37編中17編(46%、95%信頼区間[CI]:30~62)がデータ入手可能性の定義を満たし、このうち14編(82%、95%CI:59~94)は再解析で主要アウトカムが完全に再現された。再現性が不完全だった3編のうち、1編は「方法」の情報が不十分で、2編はエラーがみつかったものの再解析の結論は元論文とほぼ同様であった。 再解析の過程でみられた問題点としては、「元論文の著者との連絡が困難」「元論文の著者がデータセットを提供する際の時間と財源の欠落」「研究グループ間でデータ共有の方式が大きく異なる」などが挙げられた。 著者は、「2つのジャーナルのデータ入手可能性は十分ではないが、46%というデータ共有率は他の生物医学文献に比べ良好であった」とし、「意味のあるデータの再解析や再利用を可能とするには、データ共有の方式をもっと受け入れやすく、合理的なものにする必要がある」と指摘している。

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ジカウイルスワクチン、初期結果は有望/Lancet

 ジカウイルス感染の予防では、安全かつ有効で、急速な感染拡大にも対応できるワクチンが求められている。米国・ウォルター・リード陸軍研究所(WRAIR)のKayvon Modjarrad氏らは、精製ホルマリン不活化ジカウイルスワクチン(ZPIV)候補の開発を進めており、今回、第I相試験の初期結果をLancet誌2018年2月10日号で報告した。健常成人で安全性を評価 研究グループは、ヒトを対象に、アジュバント(水酸化アルミニウム)添加ZPIVに関する二重盲検プラセボ対照第I相試験を3施設で実施し、統合解析を行った。本試験は米国陸軍省、国防総省、国立アレルギー・感染症研究所の助成を受け、これらの資金提供者は試験のデザインと運営、データの収集、解析、解釈および論文の執筆に関与した。 試験は、WRAIR、セントルイス大学(SLU)、ベス・イスラエル・ディコネス医療センター(BIDMC)で行われた。対象は18~49歳の健常成人で、ZPIV(5μg)またはプラセボ(生食)を投与する群に、WRAIRでは4対1、SLUとBIDMCでは5対1の割合でランダムに割り付けられ、試験1日目および29日目に接種(筋肉注射)された。 主要評価項目はZPIVの安全性および免疫原性とし、57日までに発現した有害事象およびジカウイルス・エンベロープのマイクロ中和抗体価を評価した。良好な忍容性と免疫原性を確認 2016年11月7日~2017年1月25日の期間に、3施設で68例が登録され、67例(ZPIV群:55例、対照群:12例)が実際に投与を受けた。年齢は平均31.5歳(SD 8.9)、中央値29歳(範囲:18~49)で、35例(52%)が男性であった。 ワクチン関連の有害事象のほとんどが軽度~中等度であった。とくに注目すべき神経学的または神経炎症性の有害事象や、ワクチン関連の重篤な有害事象、試験中止を誘導する他の有害事象は認めなかった。 56例(84%)で、1つ以上の有害事象が発現した。最も頻度の高い局所有害事象は接種部位の疼痛(40例、60%)および圧痛(32例、47%)であり、全身反応原性有害事象は疲労(29例、43%)、頭痛(26例、39%)、不快感(15例、22%)であった。 57日までに、ZPIV群の52例中48例(92%)で抗体価が陽転した(マイクロ中和抗体価≧1:10)。陽転の閾値をマイクロ中和抗体価≧1:100とすると、40例(77%)に陽転が認められた。幾何平均抗体価(GMT)のピーク値は43日目にみられた。 著者は、「ZPIVは、健常成人において良好な忍容性と免疫原性を示した」とまとめ、「これらの結果と既存の知見を合わせると、不活化というプラットフォームは、ワクチン開発の進展に寄与する候補であると示唆される」としている。

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新規抗インフルエンザ薬ゾフルーザ、承認取得

 塩野義製薬株式会社が創製した新規抗インフルエンザウイルス薬「ゾフルーザ錠10mg・20mg」(一般名:バロキサビル マルボキシル、開発コード:S-033188)が、2月23日付で「A型又はB型インフルエンザウイルス感染症」の適応で承認された。 ゾフルーザはキャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬で、既存の薬剤とは異なる新しい作用機序でインフルエンザウイルスの増殖を抑制する。2015年10月に厚生労働省より先駆け審査指定制度の対象品目に指定され、2017年10月25日に製造販売承認を申請していた。薬価基準収載後早期に発売予定。 ゾフルーザによる治療は、1回の錠剤服用で完結するため、利便性が高く、良好なアドヒアランスが期待でき、インフルエンザ患者のQOL向上に貢献することが期待される。■参考塩野義製薬株式会社ニュースリリース

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MG治療の新たなる幕開け

 2018年2月16日、都内にて「全身型重症筋無力症の治療課題と今後の展望」と題するセミナーが開かれた(主催:アレクシオンファーマ合同会社)。 セミナーでは、指定難病である重症筋無力症(MG:Myasthenia Gravis)の治療課題と、昨年12月に全身型重症筋無力症の適応が追加された新薬エクリズマブ(商品名:ソリリス)の可能性について、医師と患者それぞれの立場から語られた。演者の1人である村井 弘之氏(国際医療福祉大学 医学部 神経内科学 主任教授)は、「従来薬とは異なる作用機序を持つソリリスは、難治性MGの強力な次の一手になりうる」と、新薬への期待を述べた。 以下、セミナーの内容を記載する。プライマリケア医も診察する可能性のある難病 MGは指定難病で、本邦における患者数は約22,000人と推定される。眼瞼下垂、複視、筋力低下が主な症状で、易疲労性、日内変動を特徴とする。具体的には、夕方になると瞼が下がる(眼瞼下垂)、水を飲むとむせやすい(嚥下障害)、布団を持ち上げられない(筋力低下)、といった形で症状が現れる。しかし、これらの症状には波があり、疲れによる一過性のものと思われることも多い。それ故、患者が最初に来院するのも眼科や耳鼻咽喉科、内科などであり、MGを専門的に診療している神経内科に至るまでに複数の診療科を巡ることも多い。 このようにMGは、プライマリケア医も診察する可能性のある難病といえる。MGは寛解が得られにくい疾患 現在、このMGの治療では、高用量経口ステロイド剤の普及により死亡率は著しく減少している。しかし、寛解レベルに至る患者の割合は低く、MGは寛解が得られにくい疾患とされている。 「全国筋無力症友の会」の事務局長である北村 正樹氏は、会員へのアンケート調査で、障害者手帳の取得状況が2006年と比較して2016年では減少している一方、重度等級(1・2級)の割合は増加していることを紹介。こうした症状管理が困難な難治性MG患者は、全身型MG患者の10~15%、約900人前後に存在し、新たな治療が望まれていた。難治性MG治療における新たな一手 こうした中、新たな治療薬として登場したのが、ソリリスだ。ソリリスは昨年12月、全身型重症筋無力症の適応が新たに追加された。ソリリスは補体活性化を抑制する薬剤だ。MGの機序として、神経筋接合部の補体活性化による運動終板の破壊が示唆されているが、ソリリスは、ヒト補体タンパクC5に結合し、補体の活性化を抑制することで、運動終板の破壊に歯止めをかける。実際、第III相臨床試験「REGAIN試験」において、ソリリスによるMG-ADL総スコアの早期かつ持続的な改善が示されている。髄膜炎菌感染症のリスクもあるため適正使用が求められるが、ソリリスの登場で難治性MG患者のQOL向上が期待される。MG患者の抱える悩み MG患者はその症状に波があることから、周囲の理解や就労の困難といった社会的不利益を被っており、4分の1が失職を経験しているといったデータもあるという。 MGの患者で、『I’m“MG”~重症筋無力症とほほ日記~』(三輪書店. 2007)の著者でもある渡部 寿賀子氏は、MGのつらさは、その症状に加え「見た目でのわかりにくさ」にあると述べた。一見健康な人と変わらなくても、職場では頻繁な休憩が必要で役割を果たせず離職に追い込まれ、「社会の中で自分の居場所がない」と感じた経験を紹介した。女性の場合は、発症時期が20~40代と若いため、高用量経口ステロイド剤による妊娠・出産への影響や合併症の不安も付きまとう。長期・慢性疾患の患者にとって、「病と共に過ごす人生」は退院後のほうが長い。同氏は、「新薬承認のニュースは心に明かりがともるようなニュースだ」と述べた。 本講演は、「難病が難病でなくなる日が来ることを期待したい」という渡部氏の言葉で締めくくられた。

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インフルやっと減少に…累積受診者は1,600万人超

定点当たり報告数は減少 2018年第6週(2018年2月12~18日)の定点当たり報告数は45.38(患者報告数223,928)となり、前週の定点当たり報告数54.33よりも減少した。都道府県別では高知県(67.67)、山口県(62.82)、大分県(60.28)、宮崎県(57.17)、鹿児島県(56.66)、北海道(55.39)、福岡県(53.22)、岩手県(52.09)、埼玉県(51.37)、沖縄県(50.81)、千葉県(50.30)の順となっている。8道県で前週の報告数よりも増加がみられ、39都府県で減少がみられた。全国の保健所地域で警報レベルを超えている保健所地域は521ヵ所(全47都道府県)、注意報レベルを超えている保健所地域は30ヵ所(1都1道2府17県)となった。受診者数減少も、今シーズンの累積受診者は1,632万人に 定点医療機関からの報告をもとに、定点以外を含む全国の医療機関を第6週に受診した患者数を推計すると約239万人(95%CI:222~256万人)となり、第5週の推計値(約282万人)よりも減少した。年齢別では、0~4歳が約26万人、5~9歳が約50万人、10~14歳が約34万人、15~19歳が約16万人、20代が約14万人、30代が約19万人、40代が約26万人、50代が約19万人、60代が約17万人、70歳以上が約20万人となっている。また、2017年第36週以降これまでの累積の推計受診者数は約1,632万人となった。国内のインフルエンザウイルスの検出状況をみると、直近の5週間(2018年第2~第6週)ではB型が最も多く、次いでAH3型、AH1pdm09型の順であった。■参考厚生労働省2018年2月16日インフルエンザの発生状況について

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イチゴ腫根絶のWHO戦略、長期効果示せず/Lancet

 イチゴ腫(フランベジア)の根絶に向けたWHOの戦略は長期的に有効ではなく、原因菌の長期的排除には、集団薬剤投与(mass drug administration:MDA)は単回では不十分であることが、スペイン・バルセロナ大学病院のOriol Mitja氏らの検討で明らかとなった。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2018年2月7日号で報告された。イチゴ腫はTreponema pallidum subspecies pertenue(T. p. pertenue)によって発症し、熱帯地方の14ヵ国以上において、子供の外観を損なう慢性的な潰瘍の主な原因とされる。WHOが新たに採択したイチゴ腫根絶戦略では、アジスロマイシン単回の集団投与後に、対象患者を絞って治療を行うプログラムを用いており、パイロット試験では短期的に、顕著な低減効果が示されている。28村落の島住民を対象とする縦断的研究 研究グループは、2013年4月15日~2016年10月24日の期間に、イチゴ腫が風土性となっているパプアニューギニアのLihir島において、イチゴ腫根絶のWHO戦略の長期的な有効性について縦断的研究を行った(ISDIN laboratoriesなどの助成による)。 初期研究では、参加者は12ヵ月間のフォローを受け、拡大フォローアップ研究では、臨床検査、血清学的検査およびPCR検査が、6ヵ月ごとに42ヵ月間行われた。新たなジェノタイピング法を用いてT. p. pertenueの遺伝的多様性(伝播のマーカー)の変化を測定し、輸入イベントを同定するために島外への旅行歴の調査を行った。 主要アウトカムは、PCR検査によるTreponema pallidumの検出で確定された活動性のイチゴ腫病変(血清学的検査の結果にかかわらず)とした。 Lihir島の28の村落(平均人口575人[SD 225])に居住する1万6,092例のうち、1万3,490例(83.8%)がアジスロマイシン(禁忌者はベンジルペニシリンベンザチン)単回の集団投与を受けた。18ヵ月後に最低値、24ヵ月後に感染が再興 試験期間中に、239例がPCR検査でT. pallidum陽性と判定された。そのうちベースライン時が31例(13%)、集団投与後の期間は208例(87%)であった。 活動性イチゴ腫の有病率は、集団投与前の1.8%から18ヵ月後には最低値である0.1%にまで低下した(ベースラインとの差:-1.7%、95%信頼区間[CI]:-1.9~-1.4、p<0.0001)が、24ヵ月後に感染の再興(re-emerge)が始まり、42ヵ月時には0.4%と有意に増加した(18ヵ月時との差:0.3%、95%CI:0.1~0.4、p<0.0001)。 ベースライン以降の各受診時にみられた全地域のイチゴ腫の70%以上が、旅行歴がない住民であり、集団投与に参加しなかった者および新規感染者がみつかった。また、36および42ヵ月時には、活動性イチゴ腫の5例(いずれも同一の村の住民)において、PCR検査により、アジスロマイシン耐性をもたらす23S rRNA遺伝子変異が検出され、アジスロマイシン治療の無効が示された。 無症状の小児(1~5歳)では、高力価の血清反応を示す潜伏イチゴ腫の有病率が13.7%から<1.5%へと持続的に減少した。また、全体の遺伝的多様性は、0.139から0.046未満へと持続的に(24~42ヵ月の間に)低下した。これらの知見により、感染症の伝播は低減したと示唆された。 著者は、「WHO戦略は、イチゴ腫の風土性が高い地域に、長期に及ぶ原因菌の排除はもたらさず、その主な理由は集団投与に参加しなかった住民における病変の再活動性であったことから、排除には集団投与の反復を要する可能性がある」とし、「治療が無効である可能性を知り、耐性の生物学的マーカーを発見するには、地域のサーベイランスの強化が必要である」と指摘している。

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Twitterでカンファレンスする時代?【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第109回

Twitterでカンファレンスする時代? いらすとやより使用 「Twitterの何が楽しいの?」と友人に聞くと、「リスナーのことを気にせずに1人でラジオ放送しているような感じ」と言っていました。理解できるような、できないような。 Chapman SJ, et al.Twitter can enhance the medical conference experience.BMJ. 2016;354.この論文は、Twitterがカンファレンスにおいて有用であるというレターですが、私も同じ意見です。Twitterを見ていると、たとえば有名な国際学会なんかでは、参加者がこぞってツイートを投稿しています。これは、日本では考えられない現象です。Twitterの発祥がアメリカだから、ということもあるのかもしれませんが、先日のアメリカ胸部学会(ATS)の総会を見てみると、多くの参加者がSNSを使って世界中のドクターと情報交換をしていました(図)。私も、そのTwitterの情報を使って、自身のFacebookページで速報ニュースを発信していました。図. 学会に参加している医師のTwitterのタイムライン日本では、感染症の分野などでメーリングリスト活動が活発です。しかし、SNSが話題になることはあまりありません。アカデミアとSNSは相いれないもの、と考えられているからでしょうか。SNSによるオンラインカンファレンスでは、患者さんの個人情報を出すわけにはいきません。しかし、多くの医師の意見を集約できるうえ、発信者の匿名性が選択できますから、気軽に発言するようなカンファレンスに適していると思います。とはいえ、今後TwitterがSNSの王者で居続けられるかどうかはわかりませんから、世界中の医師からの情報が集まるほかのSNSが出てくるようなら、私はそちらに乗り換えるつもりです。

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抗CCR4抗体モガムリズマブ、HTLV-1関連脊髄症に光/NEJM

 ヒト化抗CCR4モノクローナル抗体モガムリズマブは、ステロイド維持療法の効果不十分なヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)関連脊髄症(HAM)(正式な疾患名の表記は、HAM/TSP[HTLV-1-associated myelopathy/Tropical spastic paraparesis、HTLV-1関連脊髄症/熱帯性痙性対麻痺])患者において、末梢血中のHTLV-1感染細胞数と髄液炎症マーカーを減少させることが認められた。主な副作用は皮疹で、忍容性も良好であった。聖マリアンナ医科大学の佐藤 知雄氏らが、身体機能を著しく損なう神経炎症性疾患であるHAMに対する、モガムリズマブの安全性および有効性を検討した医師主導の第I/IIa相試験の結果を報告した。NEJM誌2018年2月8日号掲載の報告。医師主導第I/IIa相試験でモガムリズマブの安全性と有効性を評価 HTLV-1は、成人T細胞白血病・リンパ腫(ATLL)やHAMの原因となるウイルスで、HAM患者では、主にCCR4陽性のHTLV-1感染T細胞が異常細胞に変化し、脊髄内で慢性的な炎症を引き起こす。これまで、HAM患者から得た末梢血単核細胞を用いた前臨床試験で、モガムリズマブがHTLV-1感染細胞数と炎症性サイトカインの両方を減少することが示されていた。 研究グループは、2013年11月~2015年1月に、HAMに対するモガムリズマブの安全性、薬物動態および有効性を評価する目的で、第I/IIa相試験を実施した。 対象は、3ヵ月以上の経口プレドニゾロン投与が無効のHAM患者であった。第I相用量漸増試験(3+3デザイン)において、モガムリズマブの5用量(0.003mg/kg、0.01mg/kg、0.03mg/kg、0.1mg/kgまたは0.3mg/kg)を各3例に段階的に単回投与(点滴静注)し、85日間観察した。計21例が投与を受けた。第IIa相試験には、第I相試験を完遂した19例を組み込み、第I相試験と同じ用量を投与した。0.003mg/kg、0.01mg/kgまたは0.03mg/kg投与群には8週ごと、0.1mg/kgまたは0.3mg/kg投与群には12週ごとに投与し、24週間観察した。忍容性は良好、血中HTLV-1感染細胞数と髄液中炎症マーカーが減少 モガムリズマブは、最大投与量0.3mg/kgまでの忍容性が確認された。最も頻度が高かった副作用は、Grade1/2の皮疹(発現率48%)、リンパ球減少および白血球減少(いずれも33%)であった。 末梢血単核細胞中のHTLV-1感染細胞数の減少(15日目に64.9%減少、95%信頼区間[CI]:51.7~78.1)、ならびに脳脊髄液中の炎症マーカーの減少(29日目にCXCL10濃度が37.3%減少[95%CI:24.8~49.8]、ネオプテリン濃度が21.0%減少[95%CI:10.7~31.4])が認められた。その効果は用量依存的で、第IIa相試験においても反復投与により試験終了まで維持された。また、下肢の痙性は79%の患者で改善し、運動障害の改善も32%で確認されている。

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敗血症性ショックに対するグルココルチコイドの投与:長い議論の転機となるか(解説:吉田 敦 氏)-813

 敗血症性ショックにおいてグルココルチコイドの投与が有効であるかについては、長い間議論が続いてきた。グルココルチコイドの種類・量・投与法のみならず、何をもって有効とするかなど、介入と評価法についてもばらつきがあり、一方でこのような重症病態での副腎機能の評価について限界があったことも根底にある。今回大規模なランダム化比較試験が行われ、その結果が報告された。 オーストラリア、英国、ニュージーランド、サウジアラビア、デンマークのICUに敗血症性ショックで入室し、人工呼吸器管理を受けた18歳以上の患者3,800例を、無作為にヒドロコルチゾン(200mg/日)投与群とプラセボ投与群とに割り付けた。この際、SIRSの基準を2項目以上満たすこと、昇圧薬ないし変力作用のある薬剤を4時間以上投与されたことを条件とした。ヒドロコルチゾンは200mgを24時間以上かけて持続静注し、最長で7日間あるいはICU退室ないしは死亡までの投与とした。ランダム化から90日までの死亡をプライマリーアウトカム、さらに28日までの死亡、ショックの再発、ICU入室期間、入院期間、人工呼吸器管理の回数と期間、腎代替療法の回数と期間、新規の菌血症・真菌血症発症、ICUでの輸血をセカンダリーアウトカムとし、原疾患による死亡は除いた。 患者の平均年齢は約62歳、外科手術が行われた後に入室した患者は約31%、感染巣は肺(35%)、腹部(25%)、血液(7%)、皮膚軟部組織(7%)、尿路(7%)の順であり、介入前の基礎パラメーターや各検査値に2群間で差はなかった。なおショック発症からランダム化までは平均約20時間、ランダム化から薬剤投与開始までは0.8時間(中央値)であり、ヒドロコルチゾンの投与期間は5.1日(中央値)であった。 まずプライマリーアウトカムとしての90日死亡率は、ヒドロコルチゾン投与群では27.9%(1,832例中511例)、プラセボ投与群では28.8%(1,826例中526例)であり、有意差はなかった。次いでセカンダリーアウトカムでは、ショックから回復するまでの期間も、ICU退室までの期間も、さらに1回目の人工呼吸器管理の期間もヒドロコルチゾン投与群で有意に短かった(それぞれ3日と4日、p<0.001、10日と12日、p<0.001、6日と7日、p<0.001)。ただし再度人工呼吸器管理が必要な患者もおり、人工呼吸器を要しなかった期間としてみると差はなかった。輸血を要した割合も前者で少なかったが(37.0%と41.7%、p=0.004)、その他、28日死亡率やショックの再発率、退院までの日数、ICU退室後の生存期間、人工呼吸器管理の再導入率、腎代替療法の施行率・期間、菌血症・真菌血症発生率に差はなかった。 これまでの検討では、グルココルチコイドは高用量よりは低用量のほうが成績がよかったものの、二重盲検ランダム化比較試験では一致した結果が得られなかった1,2)。現行のガイドラインでも“十分な輸液と昇圧薬の投与でも血行動態の安定が得られない例”に対し、エビデンスが弱い推奨として記載されている3)。本検討は、上記のランダム化比較試験よりも症例数がかなり増えているのが特徴であり、2群で比較が可能であった項目も多い。したがって、グルココルチコイド投与の目的—改善を目指す指標—をより詳しく評価できたともいえる。一方で21例対6例と少数ではあるが、グルココルチコイド群で副作用が多く、中にはミオパチーなど重症例も存在した。グルココルチコイドとの相関の可能性を含んで、この結果は解釈したほうがよいであろう。本検討は、これまでの議論の転機となり、マネジメントや指針の再考につながるであろうか。これからの動向に注目したい。

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ARREST試験:黄色ブドウ球菌菌血症に対するリファンピシン併用療法(解説:小金丸博氏)-811

 黄色ブドウ球菌菌血症は、市中でも院内でもみられるありふれた疾患である。他臓器への転移病巣形成や深部臓器感染の原因となり、死亡率は約20%と高率である。頻度や重症度が高い疾患であるにもかかわらず、いまだに最適な治療方法は定まっていない。 黄色ブドウ球菌感染症に対する併用薬の候補の1つにリファンピシンが挙げられる。リファンピシンは消化管からの吸収率が高く、細胞、組織、バイオフィルムによく浸透するため、βラクタム薬やグリコペプチド系薬と併用することで黄色ブドウ球菌感染症の予後を改善する可能性があると考えられてきた。主に感染性心内膜炎や人工物感染に対して世界中でリファンピシン併用が行われているが、高いエビデンスのある研究は存在しなかった。 本研究は、黄色ブドウ球菌菌血症に対するリファンピシン併用投与の効果を検証した多施設共同ランダム化二重盲検プラセボ対象比較試験である。標準的な抗菌薬治療開始から96時間以内の成人(18歳以上)を対象に、リファンピシン併用投与群とプラセボ併用投与群に分けて評価した。プライマリアウトカムは細菌学的治療失敗、再発、あらゆる原因による死亡までの時間とした。その結果、試験開始から12週までに、これらいずれかのアウトカムを経験した患者割合は、リファンピシン投与群17%、プラセボ投与群18%であり、両群間で有意差は認めなかった(絶対リスク差:-1.4%、95%信頼区間:-7.0~4.3、ハザード比:0.96、p=0.81)。アウトカムを個別にみてみると、リファンピシンを併用しても死亡率は減少しなかったものの、再発率は有意に減少した。細菌学的再発を1例防止するのに必要な治療数(number needed to treat:NNT)は29だった。 本試験では、黄色ブドウ球菌菌血症に対してリファンピシンを併用しても全体的なベネフィットは変わらないことが確認された。本試験は過去の試験よりサンプルサイズが大きいことが特徴の1つである。本試験の結果から、黄色ブドウ球菌菌血症と診断した全例に対してリファンピシンを併用する根拠は乏しいといえる。 黄色ブドウ球菌は、薬剤感受性パターンからMSSAとMRSAに分類される。本試験に組み込まれた患者の原因菌のうちMRSAは全体の6%しか占めておらず、MRSA菌血症に対するリファンピシンの併用効果を評価することは困難と考える。また、人工弁あるいは人工関節を有する患者は2%と少なく、本試験の結果のみでは人工物感染に対する併用効果を評価することも難しい。 MSSA感染症に対する世界標準薬は抗黄色ブドウ球菌用ペニシリンである。英国、オーストラリアではFlucloxacillin、米国ではNafcillinやクロキサシリンが好んで利用され、本試験では82%でFlucloxacillinが選択されている。ところが、日本では純粋な抗黄色ブドウ球菌用ペニシリンは認可されておらず、MSSA感染症に対しては第一世代セフェム系抗生物質であるセファゾリンが選択されることが多いため、本試験の結果を日常臨床にそのまま当てはめることはできない。本邦でも、世界標準薬が利用できる日がくることを希望する。

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国内のインフルエンザ増加続く。推計受診者数1,400万人に/本年第5週

定点当たり報告数は引き続き増加 2018年第5週(平成30年1月29日~2月4日)の定点当たりのインフルエンザ報告数は54.33(患者報告数268,811)となり、第4週(平成30年1月22~28日)の定点当たり報告数52.35よりも増加した。都道府県別では大分県(77.09)、福岡県(69.96)、埼玉県(68.29)、神奈川県(66.31)、高知県(66.19)、鹿児島県(64.61)、千葉県(63.98)、愛知県(62.52)、山口県(62.28)、佐賀県(59.51)、三重県(58.28)、福島県(57.43)、岩手県(56.98)、宮崎県(56.02)、新潟県(55.74)、熊本県(55.06)の順となっている。増加は31、減少は16都道府県 31道府県で第4週の報告数よりも増加がみられ、16都県で前週の報告数よりも減少がみられた。全国の保健所地域で警報レベルを超えている保健所地域は511ヵ所(全47都道府県)、注意報レベルを超えている保健所地域は40ヵ所(1都1道2府18県)となった。今シーズンの推計受診者数は約1,393万人、直近5週ではB型 定点医療機関からの報告をもとに、定点以外を含む全国の医療機関をこの1週間に受診した患者数を推計すると約282万人(95%CI:262~302万人)となり、第4週の推計値(約274万人)よりも増加した。年齢別では、0~4歳が約29万人、5~9歳が約62万人、10~14 歳が約43万人、15~19歳が約19万人、20代が約16 万人、30代が約 22万人、40代が約29万人、50代が約22万人、60代が約19万人、70歳以上が約22万人となっている。また、2017年第36週以降これまでの累積の推計受診者数は約1,393万人となった。 基幹定点からのインフルエンザ患者の入院報告数は2,018例であり、第4週(2,088例)から減少した。国内のウイルス検出状況をみると、直近の5週間(2018年第1~第5週)ではB型が最も多く、次いでAH3型、AH1pdm09型の順であった。 ■参考厚生労働省2018年2月9日インフルエンザの発生状況について

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C肝に8週投与でSVR99%:マヴィレット第III相試験/NEJM

 肝硬変を伴わないC型肝炎ウイルス(HCV)遺伝子型1型または3型感染患者において、グレカプレビル・ピブレンタスビル合剤(商品名:マヴィレット配合錠)の1日1回8週間治療および12週間治療のいずれについても、高率の持続性ウイルス学的著効(SVR)を達成(それぞれ99%、95%)したことが、ドイツ・フランクフルト大学病院のStefan Zeuzem氏らが行った検討の結果、示された。NS3/4Aプロテアーゼ阻害薬グレカプレビルとNS5A阻害薬ピブレンタスビルは、すべてのHCV遺伝子型(1~6型)に活性を示し、耐性に対して高いバリアを持つ直接作用型抗ウイルス薬である。両薬合剤の第II相試験では、12週間治療のSVRが全遺伝子型で93%以上を達成し、1/3型のSVRは97%を示していた。NEJM誌2018年1月25日号掲載の報告。グレカプレビル300mg+ピブレンタスビル120mgを遺伝子型1/3型感染患者に 大半のHCV感染患者への治療レジメンは12週間である。しかし、患者のアドヒアランスは、8週間を過ぎると下がる可能性があり、服薬期間はできるだけ短いほうがアドヒアランスを改善することが示唆されていた。 研究グループは、2件の第III相多施設共同無作為化非盲検試験(ENDURANCE-1試験とENDURANCE-3試験)にて、肝硬変を伴わないHCV遺伝子型1/3型感染患者に対するグレカプレビル300mg+ピブレンタスビル120mgの、8週間治療および12週間治療の有効性と安全性を評価した。 ENDURANCE-1試験では、1型感染患者を対象にグレカプレビル・ピブレンタスビルの8週間治療と12週間治療の有効性と安全性を比較評価した(割り付け1対1)。ENDURANCE-3試験では、3型感染患者を対象にグレカプレビル・ピブレンタスビルとソホスブビル・ダクラタスビル(SOF+DCV)の有効性と安全性を比較検討した(治療は12週間、割り付けは2対1)。さらに、3型感染患者を追加登録し、非無作為にてグレカプレビル・ピブレンタスビルの8週間治療を受ける群に割り付けた。 主要評価項目は、治療終了後12週時点のSVR(SVR12)とした。SVR12、95~99.1% 2015年10月21日~2016年5月4日に1,051例が無作為化治療を受けた。その内訳は、1型で8週間治療群351例、1型(352例)/3型(233例)の12週間治療群585例、3型で12週間SOF+DCV治療群115例であった。また、追加登録(非無作為割り付け)の3型で8週間治療群は157例で、総計1,208例の患者が試験治療を受けた。 SVR12は、1型8週間治療群が99.1%(95%信頼区間[CI]:98~100)、1型12週間治療群は99.7%(95%CI:99~100)であった。3型8週間治療群は95%(95%CI:91~98)(149/157例)。3型12週間治療群は95%(95%CI:93~98)(222/233例)、3型で12週間SOF+DCV治療群は97%(95%CI:93~99.9)(111/115例)であった。 なお、治療中止に至った有害事象の発生は、いずれの治療群でも1%以下であった。

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敗血症性ショックへの低用量ステロイド、死亡率は低下せず/NEJM

 人工呼吸器を装着した敗血症性ショック患者において、低用量ステロイド(ヒドロコルチゾン持続静脈内投与)は、プラセボと比較し90日死亡率を低下させるという結果は得られなかった。オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のBalasubramanian Venkatesh氏らが、国際共同無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験「ADRENAL(Adjunctive Corticosteroid Treatment in Critically Ill Patients with Septic Shock)試験」の結果を報告した。現在、敗血症性ショックに対する低用量ステロイド療法は、敗血症ガイドラインにおいてショックの離脱を目的とした投与は推奨されているが、エビデンスの質が低く推奨度は低い。死亡率低下については賛否両論が報告されていた。NEJM誌オンライン版2018年1月19日号掲載の報告。敗血症性ショック3,800例で、低用量ステロイドとプラセボの90日死亡率を比較 研究グループは、18歳以上で敗血症性ショックにより人工呼吸器を装着している患者を、ステロイド群(ヒドロコルチゾン200mg/日)またはプラセボ群に無作為に割り付け、7日間または死亡/ICU退室までそれぞれ投与した。主要評価項目は90日全死因死亡率で、ロジスティック回帰分析により解析した。 2013年3月~2017年4月に、3,800例が無作為化され、うち3,658例(ステロイド群1,832例、プラセボ群1,826例)が主要評価項目の解析対象となった。90日全死因死亡率は両群で有意差なし 90日時点で、ステロイド群27.9%(511例)、プラセボ群28.8%(526例)で死亡が認められた(オッズ比[OR]:0.95、95%信頼区間[CI]:0.82~1.10、p=0.50)。事前に定義された6つのサブグループ(入院の種類、カテコールアミン投与量、敗血症の主要部位、性別、APACHE IIスコア、ショックの期間)において、有効性は類似していた。 ショックからの離脱については、ステロイド群がプラセボ群より早かった(中央値[四分位範囲]で3日[2~5]vs.4日[2~9]、ハザード比[HR]:1.32、95%CI:1.23~1.41、p<0.001)。また、ステロイド群はプラセボ群と比較し、初回の人工呼吸器の使用期間が短かったが(6日[3~18]vs.7日[3~24]、HR:1.13、95%CI:1.05~1.22、p<0.001)、人工呼吸器の再装着を考慮すると、人工呼吸器から離脱した状態での生存日数に有意差は認められなかった。 ステロイド群ではプラセボ群と比較し、輸血を受けた患者が少なかったが(37.0% vs.41.7%、OR:0.82、95%CI:0.72~0.94、p=0.004)、28日死亡率、ショック再発率、ICU退室後の生存日数、退院後の生存日数、人工呼吸器の再装着、腎代替療法率、菌血症/真菌血症の新規発生率は、両群間に差はなかった。

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インフルエンザと心筋梗塞に有意な関連/NEJM

 呼吸器感染症、とくにインフルエンザと急性心筋梗塞には、有意な関連が認められることが明らかにされた。インフルエンザの感染が検査で確認された後の1週間以内に、急性心筋梗塞で入院するリスクは、B型で約10倍、A型で約5倍に増大する。また、RSウイルスについても、同リスクは約4倍に上昇することが示された。カナダ・トロント大学のJeffrey C. Kwong氏らが、自己対照ケースシリーズ試験を行い明らかにしたもので、NEJM誌2018年1月25日号で発表した。これまでにも、インフルエンザ感染と急性心筋梗塞との関連を示唆した試験結果はあったが、インフルエンザ感染の確認に非特異的な検査方法を用いる、バイアスを受けやすい試験デザインを採用するなどの欠点があったという。感染後1週間と感染前後1年を比較 研究グループは2009年5月~2014年5月に、呼吸器ウイルス感染検査を行った35歳以上の成人を対象に、検査で確認されたインフルエンザ感染と、急性心筋梗塞による入院の関連を、自己対照ケースシリーズ試験で検証した。 具体的には、種々の特異度の高い検査方法を用いて、呼吸器検体のインフルエンザ感染を確認し、急性心筋梗塞による入院は行政データで特定した。 試験では、呼吸器検体の採取後7日間を「リスク期間」、リスク期間の前後1年間を「対照期間」とそれぞれ定義し、両期間の急性心筋梗塞の発生について比較した。B型約10倍、A型約5倍、その他RSウイルスなどでも約3~4倍 インフルエンザ陽性判定の前後1年以内に発生した急性心筋梗塞による入院は、364件だった。このうち、リスク期間内の発生は20件(20.0件/週)だったのに対し、対照期間内の発生は344件(3.3件/週)だった。 急性心筋梗塞による入院について、リスク期間の対照期間に対する発生率比は、6.05(95%信頼区間:3.86~9.50)だった。8日目以降には、同発生率の上昇は認められなかった。 ウイルスのサブタイプ別にみると、インフルエンザB型の発生率比は10.11(95%CI:4.37~23.38)、A型は5.17(95%CI:3.02~8.84)、また、インフルエンザ以外のウイルスでは、RSウイルスが3.51(95%CI:1.11~11.12)、インフルエンザやRSウイルス以外でも2.77(95%CI:1.23~6.24)だった。

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インフルエンザの患者数が過去最多に

 2018年1月26日、厚生労働省は平成30年第3週(1月15日~21日)までのインフルエンザの発生状況を発表した。 これによると定点当たり報告数は51.93(患者報告数25万6,833)となり、前週の定点当たり報告数26.44よりも約2倍近く増加した。これは、1999年に統計を取り始めて以来、最多。そのほか、定点数の多さを都道府県別の上位3地域でみると鹿児島県(86.53)、宮崎県(84.97)、福岡県(83.99)の順で多く、全47都道府県で前週の報告数よりも増加がみられた。 定点医療機関ならびにそれ以外の全国の医療機関でこの1週間に受診した患者数を推計すると約283万人(95%信頼区間:266~300万人)となり、前週の推計値(約171万人)よりも約110万人増加した。年齢別では、5~9歳が約59万人、10代が約40万人、40代が約29万人と多く、2017年第36週以降これまでの累積の推計受診者数は約837万人となった。■入院は年少者と高齢者に多く、検出ウイルスは2種類が拮抗 基幹定点からのインフルエンザ患者の入院報告数は2,370例であり、前週(1,742例)から約600例増加したほか、年代別でみると80歳以上(835例)、1~9歳(478例)、70代(416例)の順で多く、高齢者の入院が目立った。 国内のインフルエンザウイルスの検出状況では、直近5週間(2017年第51週〜2018年第3週)でAH1pdm09(2009年に流行したウイルス)、B型の検出割合がほぼ同程度で、次いでAH3型の順だった。 厚生労働省では、医療機関におかれても、日常の診療に加え、咳エチケットや手洗いなどのインフルエンザの予防対策の周知にも、改めてご協力をお願いするとしている。 詳しくは、下記のサイトを参照されたい。■参考 厚生労働省インフルエンザに関する報道発表資料(pdf) 厚生労働省インフルエンザ(総合ページ)■関連記事 診療よろず相談TVシーズンII 第24回「インフルエンザ」回答者:川崎市健康安全研究所所長 岡部 信彦氏

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