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統合失調症はどの季節に生まれた子に多いかメタ解析

 冬季出生の子供は、統合失調症リスクが増加するといわれ、100年近く経過している。統合失調症リスクと冬季出生との関連性を示す観察研究に基づき、ビタミンD欠乏症や子宮内でのウイルス曝露などの統合失調症の潜在的な病因リスク因子に関する仮説が考えられている。米国・イェール大学のSamantha M. Coury氏らは、出生の季節と統合失調症リスクとの関連を明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、誕生月のデータを使用した分析では、北半球で冬季出生の子供は統合失調症リスクが高く、夏~秋に出生した子供は統合失調症リスクが低いという季節的傾向が認められた。Schizophrenia Research誌オンライン版2023年1月20日号の報告。統合失調症リスクと季節性~冬季出生で有意に上昇 誕生月と統合失調症リスクとの関連を調査するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。南北半球で層別化し、これらの関連をさらに調査した。 出生の季節と統合失調症リスクとの関連を調査した主な結果は以下のとおり。・メタ解析には、43件の研究(30の国と地域、統合失調症患者44万39例)を含めた。・冬季出生は、統合失調症リスクが、小さいながらも統計学的に有意な上昇と関連していた(オッズ比[OR]:1.05、95%信頼区間[CI]:1.03~1.07、p<0.0001)。また、夏季出生は、統合失調症リスクが、小さいながらも有意な低下と関連していた(OR:0.96、95%CI:0.94~0.98、p=0.0001)。・層別サブグループ解析では、出生の季節と統合失調症リスクとの有意な関係は、北半球と南半球で差は認められなかった。・誕生月のデータを使用した分析では、南半球ではなく北半球において統合失調症リスクの増加が冬季出生に関連し、夏~秋の出生では統合失調症リスクが減少するという明確な季節的傾向が示された。・誕生月と統合失調症リスクとの関連に対する潜在的な病因を明らかにするためには、さらなる研究が求められる。

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アルツハイマー病疾患修飾薬lecanemab、臨床医が知っておきたい現状と課題【外来で役立つ!認知症Topics】第2回

lecanemabの3つの課題日本におけるlecanemabの申請が発表された。これを受け、認知症の人やその家族、そして医療関係者はアルツハイマー病の疾患修飾薬に熱い視線を向けている。エーザイでは、7.5ヵ月の延長効果、27%の症状軽減を公式発表している。しかしマスコミなどでは、シミュレーションの数字を基に軽度認知障害(MCI)なら2年間も認知症へのコンバートが遅くなるなどと報道している。このように期待が先行し、現実を見えにくくしている面もある。そこで今回はこの薬剤に関し、実際的な3つの問題点について述べる。まず今後、薬価を下げるために考えられる方法論。次に、最大の副作用であるARIA。そして現時点での個人輸入の可能性とこれから医師が直面するであろう課題である。薬価、保険収載はどうなるか?価格に関しては、アメリカでは1人あたりの1年間分の薬価が350万円とされた。そこでマスコミが試算して、日本の場合には150万円くらいとの報道もあるが、これも根拠の薄い値段のようだ。それはさておき、わが国の認知症の人の3分の2を占めるアルツハイマー病患者、それを前駆期や初期に限ったとしても100万人台と思われる。これを考えた時、保険収載はそう容易ではないと思われる。そこでまずは、製造技術の革新や大量生産等により廉価になっていくことが期待される。また、抗アミロイドβ(Aβ)抗体薬の投与量が少なくても効果が今以上になれば安くなるはずだ。従来の抗体薬の効果が乏しかった原因として注目される説の1つに、血液脳関門(blood-brain barrier:BBB)の通過率が低いからとするものがある。そこでBBB通過の効率を上げることが注目される。従来、抗アミロイド抗体のような巨大分子の輸送では受容体媒介移動(receptor-mediated transcytosis:RMT)過程の活用が有効と考えられ、RMT受容体に結合できるリコンビナント抗体が注目されてきた。これ以外にも、末梢で可溶性Aβを取り除いて、崩れた末梢・中枢間のAβ比を復元しようとする力を促し、脳に沈着をさせない、脳の沈着を除くという戦略1)もある。いずれも値下げにつながる可能性を持つものと期待される。重要な副作用のARIAとは?次に本剤が持つさまざまな副作用の中で最も怖いのが、小さな血管の浮腫や出血の「ARIA(amyloid-related imaging abnormalities)」である。アルツハイマー病患者の約半数はアミロイドアンギオパチーを有するとされる。こればアミロイドのプラークが血管壁の平滑筋に置き換わった病理変化である。さて本剤の治験のダブルブラインド期に、参加した1,800例のうち13例での死亡が報告されている。脳出血による死亡例は、このダブルブラインド相また実薬相を併せて3例ある。いずれも本剤との関係は疑われるが未確定であるとされる。抗Aβ抗体薬は、脳内のAβ沈着を標的に、選択性なく作用する。だからアミロイドアンギオパチーもターゲットになるのでARIAは不可避である。最近では、専門家によってはARIAという術語が正しくないと言われる。つまりこれは画像上の異常ではなく、これらの死亡例が物語るように、明らかな臨床症候だと述べている2)。なお治験においてARIAは、多くの場合、投与開始から3、4ヵ月までに発生した。だから投与からしばらくは、とくに厳重な注意が求められる。個人輸入への対応はどうする?さて、わが国における本剤の発売は、2023年末になるのではないかと噂される。しかし今すぐ欲しい人も多く、すでに承認されているアメリカから個人輸入したいという方もいる。これに関し、筆者が調べてみた限りでは、個人輸入は本剤に関しても可能なようだ。これまでと同様に個人の申請に基づき、一般的には輸入代行会社に申し込むことになる。こうした手続きは厚生労働省厚生局の管理下にあるが、これを仕入れて他者に売却するような行為はもちろん許されない。次に、仮に薬剤を仕入れたとしても、本剤は点滴投与するので、医療者の関わりが欠かせないだろう。つまり個人が当薬品を医療機関に持参して投与処置を依頼すると思われる。このような見込みを踏まえたとき、医師が直面する大きな課題が少なくない。まず当該者が、本剤の適応であるMCIか初期のアルツハイマー病の患者なのか否かである。そもそもアミロイドPETや脳脊髄液穿刺により、アルツハイマー病だとほぼ確定できるという診断が得られているかどうかが問われるはずだ。ところが、進行していても本剤を望む人は少なくない。こういう人にどう対応するかも大きな問題だ。こうした医療処置は自由診療になるので、保険診療との区別をどうするかという問題もある。さらにARIA をMRIにより追跡調査する方法に加えて、これらの副作用が生じた場合に、医師の責任がどこまで問われるかも懸念される。以上のように、lecanemabが仮に承認になり発売に至ったとしても、われわれ医療者に直接降りかかりそうな問題は多い。おそらく関連学会が中心になり、厚労省と共に具体的な決定を進めていくのだろう。しかしここには従来経験したことのない難問が山積している。参考1)松原悦朗. アルツハイマー病の分子メカニズムと治療戦略. 老年期認知症研究会誌. 2011;18:53-55.2)Piller C. Scientists tie third clinical trial death to experimental Alzheimer’s drug. Science. 2022 Dec 21.

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免疫便潜血検査陽性と認知症との関連

 免疫便潜血検査(FIT)は、大腸がん(CRC)のスクリーニングに広く用いられているが、CRC以外の疾患の場合でもFIT陽性になることがある。韓国・ソウル大学のYu Kyung Jun氏らは、FIT陽性結果と認知症発症との関連を調査した。その結果、FIT陽性は、とくに65歳未満の人で認知症リスクの増加と関連が認められた。著者らは、FIT陽性者で悪性腫瘍が認められない場合、臨床医は認知症の可能性を考慮すべきであるとまとめている。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2023年1月12日号の報告。 韓国国民健康保険公団のデータベースを用いて、FIT陽性者の特定を行った。 主な結果は以下のとおり。・すべての原因による認知症の発症率は、FIT陽性者のほうが陰性者よりも高かった(p<0.0001)。・FIT陽性者は、陰性者と比較し、アルツハイマー病(p<0.0001)および血管性認知症(p=0.0002)のリスクが高かった。・FIT陽性者におけるすべての原因による認知症(p<0.0001)またはアルツハイマー病(p=0.0002)のリスクは、65歳以上の人よりも65歳未満の人で高かった。

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疼痛に有効な抗うつ薬は?/BMJ

 オーストラリア・シドニー大学のGiovanni E. Ferreira氏らは、成人の疼痛において抗うつ薬とプラセボを比較した試験に関する26件の系統的レビューのデータの統合解析を行った。抗うつ薬の有効性を示す確実性が「高」のエビデンスは得られなかったが、4種の疼痛において、セロトニン-ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(SNRI)の有効性を示す確実性が「中」のエビデンスが確認された。研究の成果は、BMJ誌2023年2月1日号に掲載された。系統的レビューのデータを統合して要約 研究グループは、病態別の疼痛に対する抗うつ薬の有効性、安全性、忍容性に関して、包括的な概要を提示する目的で、系統的レビューのデータを統合して要約した(特定の研究助成は受けていない)。 医学関連データベース(PubMed、Embase、PsycINFO、Cochrane Central Register of Controlled Trials)に、その創設から2022年6月20日までに登録された文献を検索した。対象は、成人の疼痛について、抗うつ薬とプラセボを比較した系統的レビューとされた。 主要アウトカムは疼痛であった。疼痛の連続アウトカムは、0(痛みなし)~100(最悪の痛み)の尺度に変換され、平均差(95%信頼区間[CI])が示された。また、2値アウトカムはリスク比(95%CI)が提示された。副次アウトカムは、安全性と忍容性(有害事象による投与中止)であった。 得られた結果は、「有効」「有効でない」「結論に至らない」に分類された。エビデンスの確実性は、GRADE(grading of recommendations assessment, development, and evaluation)で評価した。痛みへの抗うつ薬処方では、より微妙なアプローチが必要 2012~22年に発表された26件の系統的レビュー(156試験、参加者2万5,000例以上)が解析の対象となった。これらのレビューには、22種の疼痛について、8クラスの抗うつ薬とプラセボの42の比較が含まれた。疼痛に対する抗うつ薬の有効性に関して、確実性が「高」のエビデンスを示すレビューは認められなかった。 9件のレビューで、11の比較において、9種の疼痛に対していくつかの抗うつ薬がプラセボと比較して「有効」とのエビデンスが示された。その多くはSNRIの有効性を示すもので、6件のレビューで7種の疼痛に有効であった。 このうち確実性が「中」のエビデンスが得られたのは、いずれもSNRIの有効性が示された次の4つの疼痛であった。背部痛(平均差:-5.3、95%CI:-7.3~-3.3)、術後疼痛(多くが整形外科手術)(-7.3、-12.9~-1.7)、神経障害性疼痛(-6.8、-8.7~-4.8)、線維筋痛症(リスク比:1.4、95%CI:1.3~1.6)。 これ以外の31の比較のうち、5の比較で抗うつ薬は「有効でない」、26の比較では「結論に至らない」であった。 安全性および忍容性のデータのほとんどは不明確だった。SNRIは、化学療法による疼痛、背部痛、坐骨神経痛、変形性関節症の患者において、あらゆる有害事象のリスクを増加させたが、術後疼痛や緊張型頭痛では、そのようなことはなかった。 また、背部痛、坐骨神経痛、変形性関節症、機能性ディスペプシア、神経障害性疼痛、線維筋痛症のレビューでは、SNRIはプラセボより忍容性が低かった。 著者は、「これらの知見は、痛みに対して抗うつ薬を処方する際には、より微妙なアプローチが必要であることを示唆する」としている。

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がんと共に生きる人々を支えるために、医師ができること/武田

 がん治療の進歩は目覚ましく、新たな治療法が続々と登場している。しかし、がん患者の精神・心理的苦痛に対する支援はどうだろうか。がん患者が抱える課題と、それに対する取り組みについての理解を深めることを目的に、武田薬品工業は「がんになっても“誰一人取り残されない社会”を作るために」をテーマとして、2023年1月27日にメディアセミナーを開催した。 セミナーの前半では、大西 秀樹氏(埼玉医科大学国際医療センター 精神腫瘍科 診療部長・教授)が「がん患者さん・ご家族の心理社会的支援の必要性」をテーマに、心理支援の重要性を語った。後半では、坂本 はと恵氏(国立がん研究センター東病院 サポーティブケアセンター 副サポーティブケアセンター長)が「がん相談支援センターの役割と現状」をテーマに、がん相談支援センターの具体的な業務内容を紹介し、医療者・患者への周知の重要性を述べた。セミナーの座長は、悪性リンパ腫の罹患経験を有する天野 慎介氏(一般社団法人全国がん患者団体連合会 理事長)が務めた。がん患者の約半数は精神科診断がつく 病気には固有のイメージがある。がんであれば「死」だという。大西氏は「がんの診断は患者の大きなストレスとなり、約5割に精神科診断がつく。このことを確実に知っておいていただきたい。それは、精神科疾患のうち、うつ病は薬物治療により改善することが多く、適応障害であれば、医療者が関わることで改善することが多いからである」と話した。精神症状は、治療にも影響を及ぼす。乳がん患者では、抑うつがない患者の92.2%が術後化学療法を受けたのに対し、抑うつがあるとその割合は51.3%にとどまったと報告されている1)。また、自殺も懸念される。本邦の調査では、がんと診断後1年以内の自殺のリスクが23.9倍と報告されているのである2)。 それでは、がん患者のうつ病はどのように見つけたらよいのだろうか。大西氏は「たとえば、がん患者が倦怠感や食欲不振を訴えたとき、副作用やがんの進行を疑うだろう。しかし、もう少し質問してみると、『眠れない』『気分が滅入る』『意欲が低下する』と訴えることがあり、うつ病が判明する場合もある」と具体例を示した。加えて、「うつ病が判明した患者にうつ病治療を行うと、副作用やがんの進行が原因と考えていた倦怠感や食欲不振などの身体症状も改善することがある」と述べた。 がん患者の家族のケアも忘れてはいけない。がん患者の家族にも抑うつが多くみられ、身体面(不眠、せん妄、心疾患など)や社会面(失業、貯蓄減少など)にも影響が出るという。したがって「腫瘍精神科やがん相談支援センターは、がん患者の家族も利用できることを周知してほしい」と述べた。がん相談支援センターの積極的な活用を がん相談支援センターは、全国453施設に設置され、がんの疑いから旅立ちまで、具体的には「治療場所の選択」「治療選択の迷い」「住居、食べ物、日常生活や移動手段などのニーズ」「子供の世話」「雇用や学校の問題」「医療費負担」「残される家族の生活の再設計」など、さまざまな相談に応じている。坂本氏は「がん相談支援センターは、一人ひとりの『希望』に橋をかけることのお手伝いをしたいという思いで支援を行っている」と話した。 しかし、がん相談支援センターの認知には課題があるという。平成30年度の患者体験調査3)では、がん相談支援センター自体の認知率は66.4%にのぼったものの、「がん相談支援センターを知っている」と回答した人のうち、「利用したことがある」と回答した割合は14.4%にとどまった。また、利用しなかった人のうち、15.9%が「何を相談する場所かわからなかった」「プライバシーの観点から利用しにくかった」という理由で利用しなかったという。したがって、「がん相談支援センターはどのような機能を持っている場所なのか、医療者に理解いただき、患者へ伝えていただくことが重要である」と強調した。 坂本氏は、“ひとりもとりこぼすことなく”の実現のためには、「がん患者がどのような困難に直面しているのかを聞いたうえで、日々の臨床に生かすことが重要」とまとめ、「オンラインも活用しながら、多施設連携、社会協働で“知らなかったが故の不利益”を減らしたい」と語った。

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ADHDスクリーニング、親と教師の精度に関する調査

 注意欠如多動症(ADHD)のスクリーニング精度について、小学生の親または学校教師による違いを明らかにするため、中国・The First Hospital of Jilin UniversityのHong-Hua Li氏らは検討を行った。また、ADHDに対する親の認識や情報源に影響を及ぼす因子、ADHD陽性スクリーニング率へのそれらの影響についても併せて調査した。その結果、小学生の親と教師ではADHD症状の認識が異なっており、ADHDスクリーニング陽性率は親よりも教師において有意に高いことが明らかとなった。親のADHDの認識に影響を及ぼす因子として、親の性別・教育レベル、子供の性別・年齢・学年、ADHDに関する情報源が挙げられた。結果を踏まえ著者らは、父親、教育レベルの低い両親、小学2年生・3年生の両親においては、ADHD症状の早期認識を向上させるために、ADHDに関するより多くの知識の習得が必要であるとしている。Frontiers in Psychology誌2022年12月23日号の報告。 2020年9月~2021年1月、中国・長春市の小学校の生徒1,118人の両親および校長24人を対象に横断的研究を実施した。データの収集には、構造化された自己記入式の質問票を用いた。調査項目には、社会人口統計学的特徴、ADHD症状スクリーニング質問票、親の認識、ADHDに関する情報源を含めた。 主な結果は以下のとおり。・Swanson, Nolan, and Pelham Rating Scale(SNAP-IV)によるスクリーニングで陽性であった小学生は、親のバージョンで30人(2.7%)、教師のバージョンでは60人(5.4%)であった。・親は、教師よりもADHDスクリーニング陽性率が低かった。・ADHDに対する親の認識と関連する因子として、以下が挙げられた。 ●母親における子供との関係 OR:1.552(95%CI:1.104~2.180) ●両親の大学卒業以上の学歴 OR:1.526(同:1.054~2.210) ●女児 OR:1.442(同:1.093~1.904) ●子供の年齢 OR:1.344(同:1.030~1.754) ●子供の学年  小学2年生 OR:0.522(同:0.310~0.878)  小学3年生 OR:0.388(同:0.185~0.782) ●ADHDに関する情報源  医療スタッフ OR:1.494(同:1.108~2.015)  家族、親族、友人 OR:1.547(同:1.148~2.083)  テレビ、インターネット OR:3.200(同:2.270~4.510)

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昼寝とうつ病になるリスク~メタ解析

 いまだ議論の余地が残る昼寝とうつ病リスクとの関連について、中国・江西科技師範大学のLiqing Li氏らはメタ解析を実施し、これらの関連性を明らかにしようと試みた。その結果、昼寝はうつ病の予測因子であることが示唆された。Frontiers in Psychology誌2022年12月15日号の報告。昼寝をしている人は抑うつ症状のリスクが高かった 2022年2月までに公表された研究を、PubMed、Embase、Web of Science、China National Knowledge Infrastructure databasesより検索し、解析に含めた研究のリファレンスリストの情報も併せて収集した。ランダム効果モデルを用いて、複合エフェクトサイズを推定した。 昼寝とうつ病リスクとの関連を解析した主な結果は以下のとおり。・9件の研究、64万9,111人をメタ解析に含めた。・昼寝をしている人は、抑うつ症状のリスクが高かった(プールされたオッズ比:1.15、95%信頼区間:1.01~1.31、I2=91.3%、p for heterogeneity<0.001)。・ファンネルプロット、Egger's test、Begg's testでは、明確な出版バイアスは確認されなかった。・昼寝がうつ病リスクに及ぼす影響には、個人の特性、昼寝のパターン、個別の睡眠体験により違いがみられる。

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統合失調症患者の睡眠構造に対するブレクスピプラゾールの影響

 ブレクスピプラゾールは、日本において統合失調症治療に広く用いられている非定型抗精神病薬の1つである。これまでの研究では、睡眠変数に対するいくつかの抗精神病薬による治療効果が報告されているが、統合失調症患者の睡眠構造に対するブレクスピプラゾールの影響については、十分に検討されていない。長野・栗田病院の荒井 勇輔氏らは、統合失調症患者を対象に、睡眠構造に対するブレクスピプラゾールの影響を検討した。その結果、ブレクスピプラゾールの併用は、統合失調症患者の睡眠構造に変化を及ぼす可能性が示唆されたが、多重比較補正後では有意な差は認められなかった。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2023年1月6日号の報告。 対象は、ハロペリドール単剤で治療を行っていた統合失調症患者10例。睡眠変数は、睡眠ポリグラフを用いて測定した。研究の適格基準を満たした7例(男性:5例、女性:2例、平均年齢:59.0±10.0歳)について分析を行った。適格患者に対し、ハロペリドールにブレクスピプラゾールを併用し、4週間後に睡眠ポリグラフを繰り返し実施した。ブレクスピプラゾール併用前後の睡眠構造を比較した。 ブレクスピプラゾール併用後の睡眠構造の変化は以下のとおりであった。・REM潜時の延長・ステージN2およびN3の睡眠持続時間と割合の増加・REM睡眠ステージの持続時間と割合の減少

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6つの“健康的な生活習慣”で高齢者の記憶力低下が遅延/BMJ

 健康的な生活習慣(喫煙をしない、飲酒をしない、健康的な食事、定期的な運動、活発な認知活動と社会的接触を組み合わせた)は、アポリポ蛋白E(APOE)ε4遺伝子型保有者においても、記憶力低下の進行を遅らせることを、中国・首都医科大学のJianping Jia氏らが地域住民を対象とした10年間の前向きコホート研究「China Cognition and Ageing Study(COAST)」の結果、報告した。健康的な生活習慣が認知機能に及ぼす影響に関する研究は増えているが、記憶力への影響に目を向けた研究は少なく、長期にわたる健康的な生活習慣と記憶力低下との関係を評価するには不十分なものであり、また遺伝的リスクとの相互作用は考慮されていなかった。著者は、「今回の研究は、記憶力の低下から高齢者を守るための重要な情報を提供するだろう」とまとめている。BMJ誌2023年1月25日号掲載の報告。10年間追跡、6つの健康的な生活習慣と記憶力低下の関連を検討 研究グループは、中国・北部、南部および西部の代表的な12省の計96地域(都市部48地域、農村部48地域)において、2009年5月8日より認知機能が正常でAPOE遺伝子型の検査を受けた60歳以上の個人を登録し、2019年12月26日まで追跡した。ベースラインおよび各追跡調査時(2012、2014、2016および2019年)に、記憶力(WHO/UCLA聴覚性言語学習検査[AVLT])、認知機能(ミニメンタルステート検査[MMSE])、生活習慣(健康行動質問票による)を評価した。 主要アウトカムは、健康的な生活習慣6項目の記憶力への影響で、生活習慣について好ましい(健康的な生活習慣の該当項目が4~6項目)、平均的(2~3項目)、好ましくない(0~1項目)に分類し、線形混合モデルを用いて解析した。 健康的な生活習慣とは、健康的な食事(12品目[果物、野菜、魚、肉、乳製品、塩、油、卵、穀類、豆類、ナッツ、茶]中7品目以上を毎日推奨された量を摂取)、定期的な運動(中強度150分/週以上、または強強度75分/週以上)、活発な社会的接触(週2回以上)、活発な認知活動(週2回以上)、喫煙なし(喫煙未経験または少なくとも3年前に禁煙)、飲酒なし(まったく飲まない、または時々飲む)とした。APOEε4遺伝子型有無にかかわらず、健康的な生活習慣で記憶力低下が遅延 5万6,894例がスクリーニングされ、ベースラインでAPOE遺伝子型検査を受けた認知機能が正常な2万9,072例が登録された(平均年齢72.23歳、女性48.54%、APOEε4保有者20.43%)。 10年の追跡期間において、全体集団では生活習慣が好ましくない群と比較して好ましい群で記憶力の低下が遅かった(0.028点/年、95%信頼区間[CI]:0.023~0.032、p<0.001)。 APOEε4を保有している集団では、好ましくない群と比較して、好ましい群(0.027点/年、95%CI:0.023~0.031)および平均的な群(同:0.014、0.010~0.019)で記憶力の低下が遅かった。APOEε4を保有していない集団でも同様の結果がみられ、好ましくない群と比較し、好ましい群(同:0.029、0.019~0.039)ならびに平均的な群(同:0.019、0.011~0.027)で記憶力の低下が遅かった。 APOEε4の保有状況と生活習慣は、記憶力低下に対する有意な相互作用を示さなかった(p=0.52)。

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第31回 介護事業者の倒産は過去最多、面会緩和はどう影響する?

厚労省は高齢者施設の面会を勧奨皆さんの勤務されている医療機関では、全面的に面会が緩和されているところは多くないと思います。全国の大学病院を調べてみると、コロナ禍初期に比べると緩和されたとはいえ、面会人数・面会時間などを厳しく制限しているところが多いと思います。日本語とは難しいもので、「コロナ禍当初の厳しい制限と比べるとずいぶん緩和された」と捉えるのか「いまだに面会に一部制限を設けている」と捉えるのかで、国民の心証も変わるのかもしれません。厚生労働省は1月31日、「高齢者施設等での面会の再開・推進を図ることは重要」と位置付けたうえで、高齢者施設における面会の注意点などをまとめた動画やリーフレットを自治体に向けて通知しました1)。これ以上面会を制限しないでいただきたい、という強いメッセージと受け取ってよいでしょう。とはいえ、面会制限をイケイケドンドンで緩和しろというわけではありません。面会者に感染症状がある場合には面会を控えてもらい、マスク着用や手洗い・手指消毒を心掛けていただくことが重要ということがパンフレットでも図示されています(図)。画像を拡大する図. 面会のポイント(参考1より引用)これを見たとき、「あまり緩和している感じはないな」と感じました。面会は認めるが、かなり制限がかかっている印象は否めず、多くの高齢者施設・医療機関が現時点で講じている対策とそう変わらないからです。高齢者施設は感染対策と「BCP」を天秤に高齢者施設クラスターが起こる背景は、ADLが不良でケアを要する頻度が高く、認知症の患者さんが多いためです。いつの間にか、フロア全体に広がっているというのは、コロナ禍でよくある光景でしょう。これに対して、「感染対策がなっとらん」と批判することは簡単ですが、限られた人員でオミクロン株とガチで戦えない施設が複数あることは、想像に難くありません。個人的な印象ですが、大手介護チェーンの高齢者施設は、保健所の介入をあまり好みません。ヒエラルキー、と書くと語弊がありますが、上層部や本部からの指示で動きますので、個別の感染対策があまり容認されていない施設が多いように思います。さて、「BCP(Business Continuity Plan)」を皆さんはご存知でしょうか。日本語で「事業継続計画」といいますが、自然災害、大火災、テロ攻撃、そして感染症パンデミックなどの緊急事態に遭遇した場合に、被害を最小限に食い止めながら、その事業を継続させることを指します。たとえば、警察、消防、病院などはその必然性が高い事業といえるでしょう。2021年4月に「令和3年度介護報酬改定における改定事項について」2)の中で、2024年から介護でのBCP策定が義務付けられました。現在は猶予期間にありますが、来年の4月にはすべての介護事業所にBCP策定が必須となります。この背景に、「老人福祉・介護事業」の倒産が増えていることがあります。コロナ禍で、経営が維持できないのです。介護保険制度が始まった2000年以降で、現在最多記録を更新し続けています。感染対策を講じながら、経営を守るという、なかなか無理難題を突き付けられているのが現在の高齢者施設なのです。高齢者の入所者が行き場を失うわけですから、政府としても「介護事業者」倒産を止めたいという思惑もあるのでしょう。参考文献・参考サイト1)厚生労働省:高齢者施設における面会の実施に関する取組について2)厚生労働省:令和3年度介護報酬改定における改定事項について

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SNRI使用と口渇リスク

 口腔乾燥症や口渇は唾液量の減少および欠如を起因とする状態であり、特定の薬剤の使用に続発してみられる。Joseph Katz氏らは、口腔乾燥症患者とセロトニンノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)使用との関連を分析した。その結果、SNRIを使用している患者は、使用していない患者と比較し、口渇リスクが約5倍であることが明らかとなった。結果を踏まえて著者らは、SNRIを処方する専門医、唾液の産生やQOLへのSNRIによる影響を認識していない医師、口腔乾燥症の治療に携わっている歯科医師にとって、本結果は有益な情報であろうと報告している。Quintessence International誌オンライン版2023年1月10日号の報告。 2015年6月~2022年9月の期間に、米国・フロリダ大学の統合データであるi2b2を用いて、口渇の診断(ICD-10)およびSNRI使用に関するデータを抽出した。オッズ比の算出には、MedCalc Softwareを用いた。 主な結果は以下のとおり。・SNRI使用の口渇リスクのオッズ比は、5.95(95%CI:5.47~6.48、p<0.0001)であった。・性別または年代別のSNRI使用による口渇リスクのオッズ比は、以下のとおりであった。 ●女性:5.48(95%CI:4.97~6.02、p<0.0001) ●男性:5.48(同:4.56~6.95、p<0.0001) ●小児:2.87(同:1.19~6.96、p=0.0192) ●成人:4.46(同:4.09~4.86、p<0.0001)・使用するSNRIごとの口渇リスクのオッズ比は、以下のとおりであった。 ●ベンラファキシン:5.83(同:5.12~6.60、p<0.0001) ●デュロキセチン:6.97(同:6.33~7.67、p<0.0001) ●desvenlafaxine:5.24(同:3.65~7.52、p<0.0001) ●ミルナシプラン:9.61(同:5.66~16.31、p<0.0001)

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日本人片頭痛患者に対するフレマネズマブ オートインジェクターの第III相臨床試験

 ヒト化抗CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)モノクローナル抗体であるフレマネズマブは、片頭痛発作の発症抑制を適応とする皮下注射製剤である。2022年、フレマネズマブに、自宅での自己注射が可能となるオートインジェクター(AI)製剤が新たな選択肢として加わった。獨協医科大学の平田 幸一氏らは、フレマネズマブのAI製剤の安全性を調査するために実施された第III相臨床試験の結果を報告した。その結果、自宅でのフレマネズマブのAI製剤自己注射は、一般的な安全性および良好な忍容性が認められた。著者らは、有用性およびアドヒアランス改善の観点から、フレマネズマブのAI製剤による投与戦略は臨床的に意義があると考えられると報告している。Expert Opinion on Drug Safety誌オンライン版2022年12月28日号の報告。 2020年6~11月に日本国内10施設で、片頭痛患者71例を対象とした多施設共同非盲検試験を実施した。本試験では、4週間(28日)のスクリーニング期間と8週間(57日)の治療期間を設けた。治験実施責任者の指示に従い、すべての患者は施設内と自宅で4週間の自己注射による治療および、頭痛の電子日誌による記録を行った。主要評価項目は、治療中に発現した有害事象(TEAE)に基づく試験薬剤の安全性とした。 主な結果は以下のとおり。・TEAEは施設内での自己注射後に比べ、自宅での自己注射後においてより頻繁に認められたが、主に注射部位反応であり、ほとんどが軽度であった。・安全性プロファイルは同等であり、これまでの研究報告と比較し新たな懸念は認められなかった。・片頭痛の日数および頭痛の日数いずれにおいても、大幅な減少が観察された。

1794.

統合失調症発症と昼寝の頻度との関係

 統合失調症と昼寝の頻度との関連について、中国・温州医科大学のJun Ma氏らが調査を行った。その結果、昼寝の頻度の増加と統合失調症発症との間に双方向の関連が認められ、統合失調症の進行や治療に対する潜在的な介入として昼寝の頻度をコントロールする意義が示唆された。BMC Psychiatry誌2022年12月13日号の報告。統合失調症発症と昼寝の頻度の増加との間に双方向の関連が認められた 昼寝の頻度と統合失調症に関連する上位の遺伝的バリアントのゲノムワイド関連解析(GWAS)によって得られる要約統計量(summary statistics)を用いて、双方向2サンプルメンデルランダム化解析を実施した。昼寝に関するGWASの一塩基多型(SNP)のデータは、英国バイオバンク(45万2,633例)および23andMeコホート研究(54万1,333例)より抽出し、統合失調症に関連するGWASは、Psychiatric Genomics Consortium(PGC:3万6,989件、症例:11万3,075例)より抽出した。逆分散加重(IVW)分析を主要な方法として用い、加重中央値、MR-Robust、Adjusted Profile Score(RAPS)、Radial MR、MR-Pleiotropy Residual Sum Outlier(PRESSO)を感度分析として用いた。 統合失調症と昼寝の頻度との関連について調査した主な結果は以下のとおり。・MR分析では、昼寝の頻度の増加と統合失調症発症との間に双方向の関連が認められた。昼寝の頻度(まったくない、時々、日常的)が1単位増加した際の統合失調症発症のオッズ比(OR)は3.38(95%信頼区間[CI]:2.02~5.65、p=3.58×10-6)であり、昼寝の頻度における統合失調症発症のβ値は0.0112(95%CI:0.0060~0.0163、p=2.04×10-5)であった。・感度分析においても、同様の結果が得られた。

1795.

高齢者の歩行速度と認知症リスク~久山町研究

 九州大学の多治見 昂洋氏らは、高齢者の歩行速度と脳体積および認知症発症リスクとの関連を調査した。その結果、最高歩行速度が低下すると認知症リスクが上昇しており、この関連には海馬、島皮質の灰白質体積(GMV)減少および白質病変体積(WMHV)増加が関連している可能性が示唆された。Archives of Gerontology and Geriatrics誌2023年3月号の報告。 MRIを実施した65歳以上の認知症でない日本人高齢者1,112人を対象に、5.0年間(中央値)フォローアップを行った。対象者を、年齢および性別ごとに最高歩行速度の四分位により分類した。GMVおよびWMHVの測定には、voxel-based morphometry(VBM)法を用いた。最高歩行速度とGMVとの横断的な関連を評価するため、共分散分析を用いた。最高歩行速度と認知症発症リスクとの関連を推定するため、Cox比例ハザードモデルを用いた。最高歩行速度と認知症との関連に対する脳体積の影響を検討するため、媒介分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・最高歩行速度の低下は、ベースラインでの脳全体、前頭葉、側頭葉、帯状回、島皮質、海馬、扁桃体、大脳基底核、視床、小脳のGMV低下およびWMHV増加と有意な関連が認められた。・フォローアップ期間中に認知症を発症した高齢者は108人であった。・潜在的な交絡因子で調整した後、すべての原因による認知症発症率は、最高歩行速度の低下に伴い有意な増加が観察された(P for trend=0.03)。・海馬、島皮質のGMVおよびWMHVの媒介効果に有意差が認められた。

1796.

統合失調症治療における抗精神病薬処方の臨床的決定因子~コホート研究

 統合失調症の治療では主に抗精神病薬が用いられるが、近年、長時間作用型注射剤(LAI)抗精神病薬の使用頻度が高まっている。米国・ニューヨーク医科大学のEmily Groenendaal氏らは、抗精神病薬の使用(LAI vs.経口)、薬剤クラス(第1世代抗精神病薬[FGA]vs.第2世代抗精神病薬[SGA])、臨床アウトカムの観点から、抗精神病薬選択の予測因子を特定しようと試みた。その結果、LAIか経口、FGAかSGAといった抗精神病薬の選択には、疾患重症度と罹病期間が影響を及ぼす可能性が示唆された。LAI抗精神病薬は、より重症な患者に使用される場合が多かったが、再入院率は経口抗精神病薬と同様であり、重症患者に対するLAI抗精神病薬使用が支持される結果となった。また、若年患者にはLAI抗精神病薬、高齢患者にはFGAが使用されていることが明らかとなった。Journal of Psychiatric Research誌オンライン版2022年12月28日号の報告。 対象は、LAI抗精神病薬による治療を受けた統合失調症患者123例およびマッチした経口抗精神病薬治療患者。疾患の重症度を含む社会人口統計学的および臨床的因子を医療記録より抽出した。カイ二乗検定およびt検定で群間比較を行い、抗精神病薬選択の独立した予測因子の特定にはロジスティック回帰モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・LAI抗精神病薬による治療を受けた患者は、入院期間が長く、退院が簡単ではなく、より重症であったが、再入院率に経口抗精神病薬との差は認められなかった。・LAI抗精神病薬使用の独立した予測因子は、若年、独身、入院期間の長さであった。・FGA LAI治療を受けた患者は、SGA LAI治療の場合と比較し、物質使用障害および定住していない可能性が高く、唯一の予測因子は高齢であった。・経口FGA治療を受けた患者は、経口SGAよりも、高齢、女性であることが多く、物質使用障害の併存、退院が簡単ではない、入院期間が長いなどの特徴が認められた。

1797.

治療抵抗性双極性障害治療の現在と今後の方向性

 双極性障害は世界人口の1~2%に影響を及ぼすとされる慢性的な精神疾患であり、うつ病エピソードが頻繁に認められ、約3分の1の患者では適切な用量による薬物治療に反応が得られないといわれている。治療抵抗性双極性障害(TRBD)の明確な基準は存在しないが、2つの治療薬による適切な治療を行ったにもかかわらず効果不十分である場合の対処は、TRBD治療の重要な課題である。米国・ルイビル大学のOmar H. Elsayed氏らは、TRBDに対する治療介入、課題、潜在的な今後の方向性について、エビデンスベースでの確認を行った。その結果、TRBDの現在の治療法に関するエビデンスは限られており、その有効性は低かった。TRBDの効果的な治療法や革新的なアプローチは研究中であり、今後の研究結果が待ち望まれる。Neuropsychiatric Disease and Treatment誌2022年12月16日号の報告。 PubMedよりTRBD治療に関連するランダム化対照試験、ClinicalTrials.govよりTRBD/双極性うつ病治療に関連する進行中の試験を検索した。 主な結果は以下のとおり。・プラミペキソールおよびモダフィニルによる補助療法の短期的な有効性を裏付けるデータ、ラセミ体ケタミンの静脈内投与の限定されたデータが報告されている。・インスリン抵抗性患者におけるエスシタロプラムのセレコキシブ増強療法とメトホルミン治療は、有望な結果が示されている。・右片側電気けいれん療法は、有意なレスポンス率と改善を示したが、薬物療法と比較し有意な寛解は認められていない。・経頭蓋磁気刺激(TMS)療法は、TRBDの偽治療と比較し、有意な差は認められていない。・新規作用機序を有するブレクスピプラゾールやボルチオキセチンによる薬理学的治療は、単極性うつ病に対する有効性に続いて試験が行われている。・短期集中TMS療法(aTMS)などのTMSプロトコールの調査も行われている。・革新的なアプローチとして、サイケデリック支援療法、インターロイキン2、糞便移植療法、多能性間質細胞などによる治療の研究が行われている。

1798.

アルツハイマー病治療薬lecanemab、厚労省の優先審査品目に指定/エーザイ・バイオジェン

 エーザイとバイオジェン・インクは1月30日、アルツハイマー病(AD)治療薬の抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体lecanemabの日本における製造販売承認申請について、厚生労働省より優先審査品目に指定されたことを発表した。優先審査は、重篤な疾病で医療上の有用性が高いと認められた新薬などに与えられ、総審査期間の目標が短縮される。医薬品医療機器総合機構(PMDA)によると、申請から承認までの総審査期間は、通常品目は80パーセンタイル値で12ヵ月のところ、優先品目は9ヵ月となっている。 同社は2023年1月16日に、日本における製造販売承認申請を行った。本申請は、lecanemab投与による早期ADの臨床症状の悪化抑制を実証した臨床第III相Clarity AD試験、臨床第IIb相試験(201試験)に基づく。 本剤については、米国において、2023年1月6日に米国食品医薬品局(FDA)よりAD治療薬として迅速承認を取得し、同日、フル承認への変更に向けた生物製剤承認一部変更申請(supplemental Biologics License Application:sBLA)が提出された。欧州においても、1月9日に欧州医薬品庁(EMA)に販売承認申請(MAA)を提出し、1月26日に受理されている。中国においては、2022年12月に中国国家薬品監督管理局(NMPA)にBLAの申請データの提出を開始した。

1799.

高齢ドライバーの運転事故は減少しているか/筑波大

 高齢者の自動車運転に起因する事故が後を絶たない。交通安全推進のため、75歳以上のドライバーを対象に、2009年から運転免許更新時の認知機能検査が義務化され、2017年からその検査結果の運用方法が変更された。これら運用変更後に、高齢ドライバーの事故は減少したのだろうか。 市川 政雄氏(筑波大学医学医療系教授)らの研究グループは、2012~19年までに全国で発生した高齢ドライバーによる交通事故のデータを用い、2017年の運用変更後に、75歳以上のドライバーの事故数が、認知機能検査の対象外である70~74歳と比べ、どの程度変化したのか分析した。また、75歳以上の高齢者が自転車や徒歩で移動中に負った交通外傷の数にも変化があったのか、同様に分析した。 その結果、ドライバーとしての事故は減少していた一方で、自転車や歩行者としての外傷は増加していたことが明らかとなった。Journal of the American Geriatrics Society誌2023年1月25日号からの報告。自動車事故は減少した一方で課題も残る【研究の背景】 わが国では、高齢ドライバーの安全確保を目的として、さまざまな運転免許証更新時の講習などの施策がとられている。しかし、本研究グループの先行研究によれば、これら導入後、75歳以上のドライバーが起こした事故は減少せず、認知機能検査導入後は、自転車や歩行者としての外傷が増加していた。本研究では、2017年3月の運用変更後に、高齢者のドライバーとしての事故や自転車や歩行者としての外傷がどの程度変化したのか分析した。【研究内容と成果】(方法) 本研究では、交通事故総合分析センターから入手した2012年7月~2019年12月までに全国で発生し、警察に報告された交通事故のデータを使用。2017年3月の認知機能検査の運用変更後に、75~79歳、80~84歳、85歳以上の男女別の各年齢層のドライバーが当事者となった事故の率(性・年齢層別の人口当たり)が、免許更新時の認知機能検査の対象外であった70~74歳のドライバーの事故率と比べて、その率比がどの程度変化したかを、分断時系列解析を用いて分析した。また、高齢者が自転車や歩行者として交通外傷を負った率(性・年齢層別の人口当たり)の変化も、同様に分析した。(結果) 2017年3月以降、ドライバーとしての事故率は、いずれの年齢層でも、男性で低下し、女性では統計学的に有意な変化がみられなかった。その一方で、自転車や歩行者としての外傷率は、とくに女性で増加していた。また、2017年3月以降の事故率・外傷率のトレンドの変化に基づき推定したところ、認知機能検査の運用が変更された2017年3月~2019年12月までに、75歳以上のドライバーとしての事故は3,670件(95%信頼区間[CI]:2,104~5,125)減少し、自転車や歩行者としての外傷は959件(95%CI:24~1,834)増加したと推定された。 以上から2017年3月の運用変更は、ドライバーとしての事故を減らした可能性がある一方で、自転車や歩行者としての外傷を増やした可能性が示唆された。 研究グループは今回の研究結果から、「自転車や徒歩で移動する際の安全対策を強化したり、それらよりも安全な移動手段を確保したりする必要がある。また、高齢ドライバーが安全に運転できる『運転寿命』を延伸する方策や、運転を止めても住み慣れた地域で暮らし続けられるようにする支援にも検討を進めることが必要」と課題を示している。

1800.

映画「ラン」(後編)【子どもを病気にさせたがるのが人ごとではないわけは?(育児中毒)】Part 1

今回のキーワード代理ミュンヒハウゼン症候群ひきこもり孫育ての心理(祖母効果)空の巣症候群共依存毒親前編では、代理ミュンヒハウゼン症候群になる心理として、同情欲求、承認欲求、そして育児欲求を挙げました。育児欲求とは、子供にお世話などをいろいろやってあげたいという欲求です。そして、これが過剰になり、やってあげる必要がないのに無理にやってあげようとする状態を育児中毒と名付けました。確かに、何かをやってあげるために嘘をついてまで子供を病気にさせたがるのは異常です。しかし、嘘をつくほどでなければ、そして病気に限らなければ、この育児中毒は、同情中毒や承認中毒と同じく、それほど珍しいことではなく、実は私たちにとっても人ごとではありません。今回の記事では、育児中毒をテーマに、引き続き映画「RUN/ラン」を取り上げ、その特徴と社会的な対策を考えます。育児中毒の特徴とは?まず、育児時期を3つに分けて、それぞれの時期に起こりがちな育児中毒の特徴を挙げてみましょう。(1)乳幼児期に発達に問題がある子にさせたがる母親のダイアンは、障害の悪化を理由に、娘のクロエを幼少期に何度も病院に担ぎ込んでいました。1つ目、乳幼児期の育児中毒の特徴は、このような健康上の問題がなくても、発達に問題がある子にさせたがることです。たとえば、「言葉の遅れ」「落ち着きがない」「子供のHSP(過敏)」についてあれこれ心配し、医療機関を渡り歩いたり、さまざまな子育ての講演会や相談会に参加し続けることです。小学校に入学する前に行われる就学前相談では、とくに保育園や幼稚園で具体的な問題がないのに、心配だからとの理由だけで、小学校の通級指導教室を希望することです。そうすることで、育児という「仕事」を増やすことができます。本来、育児は負担が少なければ少ないほど良いはずなのにです。さらに、「大変ですね」という同情(共感)や、「よく頑張ってきましたね」という承認(受容)を毎回得ることができます。もはや自分から心配の種をつくり出し、悩んでいることに悩んでいる状態で、むしろ悩みたがっているように見えます。逆に言えば、悩みが解決してしまったら、相談することがなくなり、同情や承認が得られなくなります。そして何より、「仕事」が減ってしまいます。(2)児童思春期に能力に問題がある子にさせたがるダイアンは、障害を理由にクロエを学校に行かせずに、ホームスクーリングと言う形で自ら教えていました。2つ目、児童思春期の育児中毒の特徴は、このような障壁の問題がなくても、能力に問題がある子にさせたがることです。たとえば、学習塾や習いごとに通わせて、期待どおりではないことを理由に「勉強ができない」「不器用だ」「オンチだ」「体力がない」などとダメ出しをし続けることです。そうすることで、育児という「仕事」を通して自分のやり残したことをやり直している気分になることができます。本来、学習塾や習いごとは、学校とは違って義務教育ではない点で、親ではなく本人のやる気や主体性が重要であるはずなのにです。もちろん、結果的に「良い進学校(または大学)に入れてすごいですね」「お子さん、コンテストですごい賞をとりましたね」という承認も得られることがあるため、自分が直接努力しないでその手柄を自分のもののようにできます。「トロフィーワイフ」ならぬ、「トロフィーキッズ」です。ただし、そうなっても、子供の頑張りを認めることはあまりありません。なぜなら、そうすると「能力に問題がある子」ではなくなってしまい、「仕事」が減ってしまうからです。一方で、成果が得られなければ、「こんなにやってあげてるのに(なんで期待に応えられないの?)」と文句を言い続けることで、子供に罪悪感を植えつけ、ますます言いなりにさせることができます。これは、支配の心理(モラルハラスメント)です。この詳細については、関連記事4をご覧ください。(3)成人期以降に生き方に問題がある子にさせたがるダイアンは、大学合格通知を隠すことで、クロエの行き場をなくしていました。3つ目、成人期以降の育児中毒の特徴は、このような状況的な問題がなくても、大人になって生き方に問題がある子にさせたがることです。たとえば、子供に家を出ていかれないように、本人の生活全般のお世話をし続けて、一人暮らしをするための生活能力が身に付かないようにすることです。そして、生活能力のなさのダメ出しをして、一人暮らしに反対します。切り札として「私を見捨てるの?」という決めゼリフを使うこともあります。子供がひきこもりになった場合は、早く働きなさいと言っておきながら、不自由がないようにお小遣いを与え続けることです。部屋から出てこない場合は、かいがいしく食事を部屋のドアの前まで運びます。なお、ひきこもりの心理の詳細は、関連記事5をご覧ください。一方で、子供(とくに娘)に早く結婚して早く孫を産むよう促します。なぜなら、孫ができれば孫育てができるからです。また、子供(とくに娘)が離婚して子連れで出戻りの場合は、自分が孫を囲うために、再婚に反対します。なお、孫育ての心理(祖母効果)は、進化心理学的にも説明されています。なお、この詳細については、関連記事6をご覧ください。逆に結婚しても子供(孫)ができない場合は、子づくりをしつこく催促することです。それでもできない場合は、本人や夫婦関係へのダメ出しをして、離婚を促します。とくに娘の場合は、あえて婚姻関係なしで子供をつくる(選択的シングルマザーになる)ことまでほのめかします。なお、選択的シングルマザーの詳細については、関連記事7をご覧ください。そうすることで、育児という「仕事」がなくなるのを防ぐことができます。本来、育児には終わりがあるはずなのにです。逆に、そうしなければ、育児という生きがい(アイデンティティ)がなくなり、自分が何者でもなくなってしまうからです(アイデンティティ拡散)。これは、空の巣症候群と呼ばれています。ひな(子供)が巣立ったあとの巣のように心が空っぽになる状態です。ちなみに、育児という「仕事」は、以前のミュンヒハウゼン症候群の記事(関連記事1)で紹介したシックロール(病気役割)と対にして、「ケアロール」(お世話役割)と名付けることができます。次のページへ >>

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