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日本人慢性片頭痛患者におけるフレマネズマブの有効性と安全性

 慢性片頭痛(CM)患者に対し、抗CGRPモノクローナル抗体製剤フレマネズマブによる治療は有効であり、効果発現が早く、忍容性が良好であることが臨床試験で示されている。近畿大学の西郷 和真氏らは、日本人CM患者におけるフレマネズマブの有効性および安全性を評価するため、2つの臨床試験(Japanese and Korean CM Phase 2b/3、HALO CM Phase 3)のサブグループ解析を実施した。著者らは、「サブグループ解析の限界にもかかわらず一貫した結果が得られており、日本人CM患者に対するフレマネズマブの有効性および忍容性が裏付けられた」と報告している。Journal of Pain Research誌2023年4月20日号の報告。 両試験では、適格基準を満たしたCM患者を、フレマネズマブ皮下投与月1回群、同3ヵ月に1回群、プラセボ群(4週間隔)にランダムに割り付けた(1:1:1)。主要エンドポイントは、初回投与から12週間における、1ヵ月(28日間)当たりの中等度~重度の頭痛日数のベースラインからの平均変化であった(最初の4週間:MMRM分析、12週間:ANCOVA分析)。副次エンドポイントには、薬物使用や障害など、有効性以外の項目も含まれた。 主な結果は以下のとおり。・日本人患者は、Japanese and Korean CM Phase 2b/3試験に479例、HALO CM Phase 3試験に109例が含まれていた。・両試験ともに、ベースラインおよび治療の特徴は、治療群間で類似していた。・ANCOVA分析による主要エンドポイントのサブグループ解析では、日本人CM患者に対するフレマネズマブ治療はプラセボよりも優れていることが実証された(両試験とも、フレマネズマブ3ヵ月に1回:p=0.0005、フレマネズマブ月1回:p=0.0002)。・MMRM分析では、フレマネズマブ治療の効果発現の早さが確認された。・副次エンドポイントの結果では、日本人CM患者に対するフレマネズマブ治療の有効性がさらに裏付けられた。・フレマネズマブは、最も一般的な有害事象である上咽頭炎および注射部位反応に対する忍容性が良好であった。

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亭主を見張れ【Dr. 中島の 新・徒然草】(481)

四百八十一の段 亭主を見張れ雨が降ったりやんだりの天気が続いています。いつも梅雨ってのはこんな感じでしたかね。私が子供の頃は毎日のように雨が降っていたような気がするのですが。さて今回、来院されたのは80歳前後のご夫婦。最近になってご主人の認知症が進んできた、ということで近医から脳外科外来に紹介されてきました。なんでも、奥さんが私にかかっているらしいです。確かに顔は見たことがあるような気がするのですが、何の病気でどういう名前だったか、さっぱり思い出せません。認知症が進んできたのは私のほうかも?高齢のご夫婦の受診にありがちですが、お2人がそれぞれに好きなことを言い始めました。ご主人のほうは、よく睡眠中に歩き回ってしまうとのこと。患者「それが、○○病院の精神神経科で薬をもらったらピタリと止まったんですわ」中島「ほう、何という薬ですか」患者「うーん、わからん。持ってきたらよかった」この台詞をこれまでの人生でどれだけ聞かされたでしょうか。たぶん100回と1,000回の間ですね。奥さん「この人はね、寝ている時に叫び出して物を投げてくるんですよ」中島「それは大変ですね」奥さん「それが当たらないように布団や枕で間に衝立をしているんですけど、それを越えて物が降ってくるんです」中島「じゃあ、ご主人の近くに物を置かないようにしておけばいいのでは?」奥さん「それが……災害に備えて懐中電灯やら救急箱やらを枕元に置いているんですよ」近医からの診療情報提供書では「頭部MRIなどの検査をお願いします」とあります。適応はかなり疑問ですが、ひょっとしたら巨大な脳腫瘍が隠れているかもしれません。念のために撮影してみると、とくに問題はなさそうでした。問題なしとなると、こちらも強気に出ることができます。中島「誰がどうみても○○病院精神神経科の守備範囲じゃないですか」奥さん「○○病院にかかっているなんて知らんがな、そんなもん」中島「ご主人の行動はちゃんと把握しておかないと。浮気されてもわかりませんよ」奥さん「浮気って、この人が今までどんだけ浮気してきたか」そんなに色男には見えないご主人ですけど。奥さんは憤懣やるかたなし、といった感じでまくしたてはじめました。こうなったら終わりが見えなくなります。患者「20年前に引退したで」たぶん浮気のことなんでしょう。それにしても、60歳までは浮気していたってことになりますね。奥さん「もう腹が立つのも慣れましたわ」中島「奥さんが納得しているんなら実害はないかもしれんけど」奥さん「納得してるんじゃなくて諦めてるんです」中島「諦めているっていってもね、隠し子がいたり、相手の女が出てきて財産を持っていかれたりせんとも限りませんよ」アドバイスしているのか煽っているのか?中島「まずは奥さんが○○病院に一緒について行くのが第一です」奥さん「でも、クリニックの先生が『国立で診てもらえ』って」中島「いやいやいや。MRIで悪いところがないのだから、私にできることは何もありませんよ」その日は昼から出張の予定が入っていました。奥さん「でもこの人が物を投げつけてくるんですよ」中島「物が飛んでくるのが困るんだったら、別の部屋で寝たらどうですか?」奥さん「『国立で診てもらえ』ってクリニックの先生が……」中島「奥さんが○○病院に一緒に行かないと隠し子が出てきますよ」もう自分でも何を言っているのか意味不明になってきました。とにかく、奥さんの無限ループには私も無限ループで対抗です。ようやくのことで、ご夫婦にお引き取りいただきました。冷たい医者だと思われたかもしれません。でも、叫ぼうが物を投げようが、命には別条ないでしょう。思わぬ時間を取ってしまいましたが、何とか出張には間に合いました。それにしても「隠し子が出てきますよ」って。自分でも呆れるアドバイスでした。最後に1句梅雨なれど 亭主を見張れ ついていけ

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伝記「ヘレン・ケラー」(後編)【ということは特別なことをしたからといって変わらない!?(幼児教育ビジネス)】Part 1

今回のキーワード意図共有認知能力連合学習行動遺伝学非認知能力(社会情動的スキル)モンテッソーリ教育とくにまだ幼い子供のいるみなさんは、賢くさせるために何かしていますか? 幼児教室に通わせたり、知育動画を見させたり、ドリルを解かせたり…さらに、最近ますます注目されているモンテッソーリ教育を受けさせたり…ところで、その効果について考えたことはありますか? 効果はあるに決まっていると思い込んでいませんか? そして、やらせるだけで満足していませんか?今回は、前編で取り上げた象徴機能のメカニズムとその起源を踏まえて、子供を賢くさせるためには賢くさせようと特別なことをしないという逆説の訳を説明します。そして、幼児教育ビジネスの不都合な真実に迫ります。幼い子が言葉を覚えるために必要なことは?前編での象徴機能の発達のプロセスや進化の歴史を踏まえると、幼い子が言葉を覚えるために必要なことが見えてきます。それは、前編でキーワードとなった意図共有、つまり、心が通じ合うことです。そのためには、日常生活の中で出会ういろんな人との自由な相互作用が必要です。「water」と発したヘレン・ケラーのように、実際に触れたり味わったりすることも含めて、五感を総動員して、生活の一部として体験することです。つまり、言葉は、ただ話すために話すという目的そのものではなく、相手がいて楽しいから話す・そうしないと困るから話すという手段になっているということです。そして、インプットだけでなく、自由なアウトプット(意図共有)もすることで初めて身になるということです。特別な幼児教育とは?ヘレン・ケラーは、「見えない、聞こえない、話せない」という障害によって、サリバン先生による特別な教育が必要でした。発達障害の子供にも、療育という特別な教育が必要です。一方で、とくに障害がない子供についてはどうでしょうか?たとえば、難しい言葉や英単語を覚えたり、先取り学習を幼児教室、知育動画、ドリルなどで認知能力の特別なトレーニングをすることです。これらが特別であるためには、一般的な保育園での教育とは差別化される必要があります。しかし、実はこれらは、前編で紹介した連合学習、つまり構造化されたパターン学習にすぎません。その場で楽しくなるような工夫はある程度されてはいますが、日々の生活の中で必要になることがありません。逆に言えば、もし必要になるのであれば、日常生活の中で学べば良いだけの話で、特別にはなりません。そもそも、幼児教育での構造化されたパターン学習は、禁止行為などのルールの学習に限定されます。つまり、これは、「water」と発する前のヘレン・ケラーや、絵文字や一方的に要求するための手話を学んだだけのチンパンジーと同じ状況です。それでも、何かを学んだわけだから、それがその後に役に立つと考える方もいるでしょう。しかし、みなさんも薄々お気付きかも知れませんが、人間の脳は巧妙に進化していて、日常生活に必要ないものはどんどん忘れていくようになっています。実際の行動遺伝学の研究では、認知能力への親の取り組みの違い(家庭環境)の影響度は、幼児期には35%と、あるにはあるのですが、成人期になるにつれて20%と目減りしています。この詳細については、関連記事5をご覧ください。また、非認知能力(社会情動的スキル)が高まると唱える教育関係者もいます。しかし、これは、ヘックマンの研究(2000)を誤解したものです。この研究の対象となった幼児は、経済的な貧困層(幼児教育などの子育てが適切に行われていないネグレクトの可能性が高い家庭)に限定されています。一般的な家庭についてまで拡大解釈はできません。なお、ヘックマンの研究の詳細については、関連記事6をご覧ください。逆に、行動遺伝学の研究から、非認知能力への親の取り組みの違い(家庭環境)の影響度は、幼児期から成人期まで変わらずほぼ0%と推定できます。推定としたのは、非認知能力は、その評価のしにくさから、これ自体の行動遺伝学の研究が見当たらないため、代わりに最も近い概念である性格で置き換えたからです。それにしても、驚くべきことです。この詳細については、関連記事7をご覧ください。つまり、幼児期に特別な幼児教育として何かを、より早くやったからといって、より多くやったからといって、その効果は一時的で限定的でしかないわけです。特別な幼児教育と一般的な保育園の教育に最終的な違いがほとんどない点で、何かを学ぶ必要はもちろんありますが、それが特別な何かである必要はないわけです。少なくとも親子ともに楽しんでやっているのであればやる意味が見いだせます。しかし、将来的に意味があると盲信して親子ともに我慢してやっているのであれば、それは、時間とお金と労力の壮大な無駄使いであるばかりでなく、不幸を招いていると言えるでしょう。次のページへ >>

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伝記「ヘレン・ケラー」(後編)【ということは特別なことをしたからといって変わらない!?(幼児教育ビジネス)】Part 2

モンテッソーリ教育も効果ははっきりしない!?モンテッソーリ教育も、一般的な幼児教育とは差別化され、世の中で成功している有名人がこの教育を受けていたと喧伝されています。この教育の中身については割愛しますが、この効果については、世界的な論文誌Natureの姉妹紙npj Science of Learning(2017)のレビューにおいて、「モンテッソーリ教育の科学的根拠は弱い」と結論付けられています6-8)。よくよく考えると、提唱者のモンテッソーリ先生が活躍したのは、ヘレン・ケラーと同じ20世紀前半です。当時は、体罰が容認され、今と比べものにならないほど幼児教育が行き届いていませんでした。だからこそ、モンテッソーリ教育にも意味があったでしょう。ヘレン・ケラーだって裕福な家庭に生まれたからこそ、あそこまでの教育が受けられました。しかし、現代において、「特別」な幼児教育をしても、その効果が特別にはならなくなってきているということは、保育園をはじめとする幼児教育が十分に行き届いていることを意味します。つまり、近代だからこそ広まったモンテッソーリの理念は、現代で拡大解釈され、幼児教育ビジネスにいいように利用されてしまっていることになります。これが、幼児教育ビジネスの不都合な真実です。「奇跡の人」とは?タイトル「奇跡の人」(The Miracle Worker)とは、ヘレン・ケラーではなく、ヘレン・ケラーに学ぶ楽しさを気付かせたサリバン先生のことだったわけですが、幼児教育ビジネスの不都合な真実を知った今、私たちの誰もが日々の生活の中でその「奇跡」を無理なく起こせることがわかります。これが、冒頭で触れた「子供を賢くさせるためには賢くさせようと特別なことをしない」という逆説の訳です。親が日常生活の中で、できる範囲でほどほどに子供にかかわり、その自由なやり取りを親子で一緒に楽しむことだけで、十分に子供の豊かな発達を育むことができるとわかりました。この子育てのあり方によってこそ、私たちもサリバン先生と同じく「奇跡の人」になることができるのではないでしょうか?6)「モンテッソーリ教育」には本当に効果があるのか 専門家たちが追跡調査を実施:クーリエ・ジャポン、20237)【解説】モンテッソーリ教育とは?その効果は?早期教育の科学的根拠:Suzakuの研究所8)モンテッソーリ教育 科学的根拠のレビュー:Marshall C、npj Science of Learning<< 前のページへ■関連記事そして父になる(続編・その2)【子育ては厳しく? それとも自由に? その正解は?(科学的根拠に基づく教育(EBE))】Part 1そして父になる(続編・その1)【英才教育で親がハマる「罠」とは?(教育虐待)】Part 1ちびまる子ちゃん(続編)【その教室は社会の縮図? エリート教育の危うさとは?(社会適応能力)】Part 1

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自殺念慮の検出に有用な兆候は

 自殺の兆候を有するうつ病患者は、プライマリケアの臨床現場で見逃されることが少なくない。久留米大学の藤枝 恵氏らは、初診から6ヵ月間の中年期プライマリケア患者における自殺念慮を伴ううつ病の予測因子を調査した。その結果、起床時の疲労感、睡眠状態不良、職場の人間関係の問題は、プライマリケアにおける自殺念慮を伴ううつ病の予測因子である可能性が示唆された。International Journal of Environmental Research and Public Health誌2023年4月17日号の報告。 対象は、日本の内科クリニックを受診した35~64歳の新規患者。自己記入式アンケートと医師のアンケートを用いて、ベースライン特性を収集した。自殺念慮を伴ううつ病は、登録時および6ヵ月後にZungうつ病自己評価尺度(SDS)、気分プロフィール検査(POMS)を用いて評価した。自殺念慮を伴ううつ病の調整オッズ比(aOR)を算出するため、多重ロジスティック回帰分析を用いた。関連因子の感度、特異性、尤度比も算出した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者387例中13例(3.4%)が6ヵ月時点で自殺念慮を伴ううつ病であると評価された。・性別、年齢、関連因子で調整した後、統計学的に有意な自殺念慮を伴ううつ病のaORが認められた因子は以下のとおりであった。 ●1回/月以上の起床時の疲労感(aOR:7.90、95%CI:1.06~58.7) ●1回/週以上の起床時の疲労感(aOR:6.79、95%CI:1.02~45.1) ●睡眠状態の悪さ(aOR:8.19、95%CI:1.05~63.8) ●職場における人間関係の問題(aOR:4.24、95%CI:1.00~17.9)・本調査は、サンプルサイズが小さかったため、本結果を確認するためには、より多くのサンプルサイズを用いた研究が必要とされる。

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6月14日 認知症予防の日【今日は何の日?】

【6月14日 認知症予防の日】〔由来〕アルツハイマー病を発見したアロイス・アルツハイマー博士の誕生日から日本認知症予防学会が制定。認知症予防の大切さを啓発している。関連コンテンツ急速に進行する認知症(1)【外来で役立つ!認知症Topics】高度アルツハイマー型認知症にも使用できるドネペジル貼付薬「アリドネパッチ27.5mg/55mg」【下平博士のDIノート】夜勤と認知症リスク~UK Biobankの縦断的研究認知機能低下の早期発見にアイトラッキングはどの程度有用かビタミンD不足で認知症リスク上昇~コホート研究

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20年間で同じ統合失調症患者に対する薬物治療はどう変化したか

 最近の薬理学的疫学データによると、第2世代抗精神病薬(SGA)単剤療法で治療されている患者の割合が増加していると報告されているが、同じ患者を長期間にわたって分析した研究は、これまでほとんどなかった。獨協医科大学の古郡 規雄氏らは、同じ統合失調症患者に対する薬物療法が20年間でどう変化したかを検討するため、20年間のデータが入手可能な患者を対象とし、レトロスペクティブに評価を行った。その結果、同じ統合失調症患者であっても、20年間でゆっくりではあるが確実に第1世代抗精神病薬(FGA)からSGAへ切り替わっていることが明らかとなった。Neuropsychiatric Disease and Treatment誌2023年4月17日号の報告。 本研究は、2021年4月に日本の精神科病院15施設で実施された。同じ病院で20年以上治療を行った統合失調症患者を対象に、2001、06、11、16年(5年ごと)の処方データをレトロスペクティブに解析した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者数は716例、2021年時点での平均年齢は61.7歳、女性の割合は49.0%であった。・抗精神病薬単剤療法率は、過去20年間でわずかな増加を認めた。・SGA使用率は、過去20年間で28.9%から70.3%へ顕著な増加がみられたが、SGA単剤療法率は緩やかな増加傾向を示すにとどまった。・過去20年間で抗コリン薬併用率は減少傾向を示したが、抗うつ薬、抗不安薬/睡眠薬、気分安定薬の併用率に変化は認められなかった。

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第167回 帯状疱疹ワクチンで認知症発現率低下 / タウリンでより健康に長生きできるかも

無作為化試験様の解析で帯状疱疹ワクチンと認知症が生じ難いことが関連おのずと無作為化試験のようになった英国・ウェールズの2集団の比較で帯状疱疹ワクチンzostavax接種と認知症が生じ難いことの関連が示されました1)。同地では2013年9月1日からzostavaxの接種が始まりました。zostavaxは80歳までの人にどうやらより有効とのことで、1933年9月2日以降に生まれた80歳未満の人が接種の対象となり、1933年9月2日より前に生まれた人は対象外でした。その日を挟む1925~42年生まれの約30万人(29万6,603人)の電子診療情報が解析され、zostavax接種対象の人はそうでない人に比べて認知症の発現率が8.5%低いことが示されました。接種対象者のうち実際に接種したのは半数ほどであることを踏まえた解析結果によるとワクチン接種は認知症発現率の約20%(19.9%)低下をもたらしました。生まれが1933年9月2日以降かその前かで区切った2集団の誕生日以外の全般的な違いといえばzostavax接種対象かそうでないかのみであり、その2集団はおのずから無作為化試験のような集団となっています。とはいえあくまでも診療録の解析結果であり、その効果の確証には試験が必要です。より新しい帯状疱疹ワクチンの試験がいくつか進行中で、それらの被験者の認知機能を検査してみたらどうだろうと著者は言っています2)。アミノ酸・タウリン補給でマウスの寿命が伸び、中年サルの体調が改善真核生物の世界で最も豊富なアミノ酸の1つであるタウリンはイカやタコそれに貝類などに多く含まれ、多くの栄養ドリンクやエナジードリンクの成分としても知られ、サプリメントとしても販売されています。ヒトにとってタウリンは準必須アミノ酸で、合成できるものの発達に十分な量を作ることができない幼いころには体外から取り込まねばなりません3)。幼いころのタウリン不足は老化関連疾患と関連する骨格筋、眼、中枢神経系(CNS)機能障害を引き起こします。そのタウリンの体内の巡りが老化に伴って減ることがマウス、サル、さらにはヒトで認められ、タウリンの体内の巡りを増やすことでマウスの健康で生きられる期間や寿命が伸び、中年サルの体調が改善しました4,5,6,7)。マウスやサルで認められたようなタウリンの健康増進効果がヒトでも期待しうることも英国の試験の記録の解析で示唆されました。解析されたのは英国・ノーフォーク州でのEPIC-Norfolk試験の被験者1万人超(1万1,966人)の記録で、血中のタウリンやタウリン関連代謝物が多いことはより痩身であることを示す体型指標と関連しました。また、2型糖尿病の有病率が低いこと、糖濃度が低いこと、炎症指標であるC反応性タンパク質(CRP)が少ないことなどとも関連し、タウリン欠乏のヒトの老化への寄与に見合う結果が得られています。アスリートやそうでない人を募って実施した試験で運動が血中のタウリンやタウリン関連代謝物を増やしうることも確認され、運動の健康向上効果のいくらかにタウリンやタウリン関連代謝物が寄与しているという予想に沿う結果も得られています。しかし早まってタウリンを補給するのは得策ではありません。ヒトがタウリンを補給することで健康が改善するかどうかや寿命が伸びるかどうかはわかっておらず、店頭で売られているタウリン含有サプリメントを健康維持や老化を遅らせることを目当てに早まって服用すべきでないと著者は言っています7)。タウリンの健康や寿命への効果は無作為化試験で検証しなければなりません5)。参考1)Causal evidence that herpes zoster vaccination prevents a proportion of dementia cases, May 25 2023. medRxiv.2)Does shingles vaccination cut dementia risk? Large study hints at a link / Nature3)MCGAUNN J, et al. Science. 2023;1010:380.4)SINGH P, et al. Science. 1012;380:eabn9257.5)Taurine May Be a Key to Longer and Healthier Life / Columbia University6)Amino acid in energy drinks makes mice live longer and healthier / Science7)Taurine supplement makes animals live longer - what it means for people is unclear / Nature

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ベンゾジアゼピンの使用と中止の意思決定に関する患者と精神科医の認識比較

 ベンゾジアゼピン(BZD)やZ薬の長期使用は推奨されていないにもかかわらず、患者や医師がどのように認識しているかは、あまりよくわかっていない。聖路加国際大学の青木 裕見氏らは、精神科外来患者および精神科医において、BZDの使用と中止の意思決定に関する認識を評価し比較するため、横断調査を実施した。その結果、精神科外来患者の多くは、自分の意思に反して睡眠薬または抗不安薬を長期的に使用していることが示唆された。International Journal of Environmental Research and Public Health誌2023年4月3日号の報告。 主な結果は以下のとおり。・精神科外来患者104人のうち、1年以上睡眠薬を使用していた患者は92%、1年以上抗不安薬を使用していた患者は96%であった。また、開始後1年以内に睡眠薬または抗不安薬を漸減する意向を示していた患者は49%であった。・多くの精神科医が患者と比較し、医師と患者は対等な基準で共に意思決定していると感じていた(p<0.001)。・一方、多くの患者は精神科医と比較し、医師の意見を考慮し意思決定した(された)と感じていた(p<0.001)。・精神科医543人のうち79%が、患者は睡眠薬または抗不安薬の中止に消極的だったと報告した。・一方、患者は、睡眠薬または抗不安薬の中止に関して、精神科医が手順(18.3%)、タイミング(19.2%)、適切な状態(14.4%)について十分な説明をしなかったと報告した。 著者らは、「睡眠薬または抗不安薬の使用と中止の意思決定について、精神科外来患者と精神科医との間に認識の差があり、このギャップを埋めるにはさらなる研究が求められる」としている。

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眼球運動と認知機能を用いた統合失調症診断の有用性

 統合失調症患者では、眼球運動異常や認知機能低下がみられる。奈良県立医科大学の岡崎 康輔氏らは、統合失調症患者と健康対照者における眼球運動および認知機能に関するデータを用いて、精神科医療における実践的なデジタルヘルスアプリケーションに流用可能な臨床診断マーカーの開発を目指して、本研究を実施した。その結果、眼球運動と認知機能データの7つのペアは、統合失調症患者を鑑別するうえで、臨床診断に支援につながり、統合失調症の診断の一貫性、早期介入、共通意思決定を促進するために、これらを利用したポータブルディバイスでも機能する客観的な補助診断方法の開発に役立つ可能性があることを報告した。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2023年4月8日号の報告。 対象は、統合失調症患者336例および健康対照者1,254例。ウェクスラー成人知能検査第3版(WAIS-III)およびウェクスラー記憶検査改訂版(WMS-R)を用いて眼球運動と認知機能のパフォーマンスを確認し、ロジスティック回帰を用いた多変量解析を実施した。眼球運動と認知機能尺度を含む鑑別精度を測定し、診断基準に従って臨床上有用なペアを特定するためペア判別分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・多変量解析では、眼球運動と認知機能は、統合失調症患者と健康対照者を鑑別するうえで、有用であることが確認された。・ペア判別分析では、7つの眼球運動測定値と認知機能テストの7つのスコアに他の要素を1つ組み合わせることにより、高い鑑別精度が検出された。・7ペアのdigit-symbol codingまたはsymbol-searchおよび眼球運動測定による鑑別精度は、高く堅牢であった。

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コロナ感染2年後、18%に罹患後症状/BMJ

 感染前にワクチン未接種であった重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染者の約18%に、感染後2年まで新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の罹患後症状が認められ、未感染者と比較して感染者には症状の過剰リスクがあることが、スイス・チューリッヒ大学のTala Ballouz氏らが実施した「Zurich SARS-CoV-2 Cohort研究」のデータ解析で示された。研究の成果は、BMJ誌2023年5月31日号で報告された。スイスの人口ベースの前向き縦断コホート研究 Zurich SARS-CoV-2 Cohort研究は、スイス・チューリッヒ州の一般住民を対象とする進行中の前向き縦断コホート研究である。研究グループは同データを用いて、SARS-CoV-2感染者における罹患後症状に関連する長期的な症状および健康アウトカムの評価を行った(Swiss School of Public Health[SSPH+]の助成を受けた)。 SARS-CoV-2感染が確認された感染前ワクチン未接種の成人参加者1,106例(年齢中央値50.0歳[四分位範囲[IQR]:35.0~66.0]、女性51.2%)と、未感染の成人参加者628例(65.0歳[45.0~72.0]、51.3%)が解析に含まれた。 主要アウトカムは、感染から6、12、18、24ヵ月時点の自己報告による健康状態およびCOVID-19関連症状の推移と、未感染の参加者と比較した感染後6ヵ月時点での症状の過剰リスクであった。1割以上が無症状と有症状を交互に繰り返した SARS-CoV-2感染から6ヵ月の時点で、感染者の22.9%(95%信頼区間[CI]:20.4~25.6)が、完全に回復していないと報告した。その後、未回復と報告した患者の割合は、12ヵ月時には18.5%(16.2~21.1)、24ヵ月時には17.2%(14.0~20.8)へと減少した。 自己報告による健康状態の変化の評価では、多くの感染者が経時的に、回復を続けている(68.4%、95%CI:63.8~72.6)か、全体として改善している(13.5%、10.6~17.2)と答えた。一方、5.2%(3.5~7.7)は健康状態が悪化している、4.4%(2.9~6.7)は回復と健康障害を繰り返していると報告した。 また、経時的に、COVID-19関連症状の点有病率も減少し、重症度は軽減した。24ヵ月の時点で、症状を訴えたのは18.1%(95%CI:14.8~21.9)だった。 感染者の8.9%(95%CI:6.5~11.2)が、フォローアップの4つの時点(6、12、18、24ヵ月)のすべてで症状を報告し、12.5%(9.8~15.9)は、無症状と有症状の時期を交互に繰り返していた。味覚・嗅覚の変化や労作後倦怠感などの過剰リスクが高い 症状の有病率は、6ヵ月の時点で感染している参加者のほうが、この時点で未感染の参加者よりも高かった(補正後群間リスク差:17.0%、95%CI:11.5~22.4)。 未感染者と比較した感染者における個々の症状の過剰リスク(補正後群間リスク差)は、2~10%の範囲であった。感染者で最も過剰リスクが高かった症状は、味覚・嗅覚の変化(9.8%、95%CI:7.7~11.8)、労作後倦怠感(PEM)(9.4%、6.1~12.7)、集中力低下(8.3%、6.0~10.7)、呼吸困難(7.8%、5.2~10.4)、記憶障害(5.7%、3.5~7.9)、疲労(5.4%、1.2~9.5)の順であった。 著者は、「COVID-19の罹患後症状の負担軽減に資する、効果的な介入法を確立するための臨床試験が求められる」としている。

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向精神薬の頓服使用が統合失調症入院患者の転帰に及ぼす影響

 統合失調症治療では、興奮、急性精神症状、不眠、不安などの症状に対し、一般的に頓服薬が用いられる。しかし、頓服薬使用を裏付ける質の高いエビデンスは不足しており、これら薬剤の使用は、臨床経験や習慣に基づいて行われている。北里大学の姜 善貴氏らは、向精神薬の頓服使用の実態および患者の転帰に対する影響を評価するため、本研究を行った。その結果、向精神薬の頓服使用は、統合失調症入院患者の入院期間の延長、抗精神病薬の多剤併用、再入院率の増加と関連しており、精神症状のコントロールには、大量の向精神薬の頓服使用を避け、ルーチン処方で安定を目指す必要があることを報告した。Clinical Psychopharmacology and Neuroscience誌2023年5月30日号の報告。 入院での治療を受けた統合失調症患者205例を対象に、入院前および退院時の向精神薬使用状況、入院中の頓服薬の使用頻度を調査した。また、向精神薬の頓服使用が入院日数、抗精神病薬の多剤併用、再入院率に及ぼす影響も検討した。 主な結果は以下のとおり。・入院中に向精神薬の頓服使用を行った患者は、使用しなかった患者と比較し、入院日数が有意に長く(p=0.00075)、退院時の抗精神病薬の多剤併用率が有意に高かった(p=0.00024)。・1日当たりの向精神薬の頓服使用数が多いほど、退院3ヵ月以内の再入院率の増加が認められた(p=0.0044)。・頓服薬の使用をモニタリングし、再検討を促すシステムを構築する必要性が示唆された。

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コロナ罹患後症状、スコアに基づく定義を提案/JAMA

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染後に生じる持続的であり再発を繰り返す、あるいは新規の症状は、罹患後症状(postacute sequelae of SARS-CoV-2 infection:PASC)と呼ばれ、long COVIDとしても知られている。米国・マサチューセッツ総合病院のTanayott Thaweethai氏らは、米国国立衛生研究所(NIH)によるRECOVER(Researching COVID to Enhance Recovery)Initiativeの一環として、RECOVER成人コホート9,764例のデータを解析し、SARS-CoV-2感染者では非感染者と比較して37症状が感染後6ヵ月以上の時点で多く認められ、このうち12症状の症状スコアに基づき、PASCを定義する予備的ルールを開発した。著者は、「PASCの実用的な定義のためには、他の臨床的特徴をさらに組み込み反復的な改良が必要である」とまとめている。JAMA誌オンライン版2023年5月25日号掲載の報告。NHIによるRECOVER成人コホートのデータを解析 研究グループは、米国の33州とワシントンDC、ならびにプエルトリコの85施設(病院、保健所、地域団体)において、18歳以上のSARS-CoV-2感染者および非感染者を登録し(RECOVER成人コホート)、前向き観察コホート研究を行った。登録は現在も行われており、今回の解析は2023年4月10日以前に登録された参加者を解析コホートとした。 感染者は、COVID-19の疑い、可能性および確定のWHO基準を満たしていることとし、COVID-19発症日またはSARS-CoV-2検査陽性日を指標日とした。また、非感染者は、SARS-CoV-2感染歴がなく、過去のSARS-CoV-2検査が陰性であった日を指標日とした。参加者は受診および遠隔により症状調査を受け、指標日から6ヵ月以上後の調査を完了している参加者を解析対象とした。 主要アウトカムは、参加者が報告した44の症状の有無で、これらの症状を用いてPASCを特定する予備的定義を作成し、PASCの頻度について解析した。PASCスコアに寄与する12症状を特定 解析対象は、適格基準を満たした9,764例(感染者8,646例、非感染者1,118例)。対象集団の背景は、女性71%、ヒスパニック/ラテン系16%、非ヒスパニック系黒人15%、年齢中央値47歳(四分位範囲[IQR]:35~60)であった。 全体において、44症状のうち、37症状が頻度2.5%以上かつ補正後オッズ比1.5以上(感染者vs.非感染者)であった。頻度(重症度閾値を使用)の絶対差が15%以上の症状は、労作後倦怠感(PEM)、疲労、浮動性めまい、ブレインフォグおよび消化管症状であった。 37の各症状に推定係数に基づいてスコアを割り付け、PASCを特定するためのスコア閾値を求めた結果、12の症状(労作後倦怠感、疲労、ブレインフォグ、浮動性めまい、消化管症状、動悸、性的欲求・性機能の変化、嗅覚・味覚の喪失または変化、口渇、慢性咳嗽、胸痛、異常行動)が特定され、各症状のスコアは1~8で、PASCスコアの閾値は合計12点以上であった。 2021年12月1日以降(オミクロン株流行期)に初感染し、感染後30日以内に登録された参加者2,231例のうち、6ヵ月時点でのPASC陽性者は224例(10%、95%信頼区間:8.8~11)であった。

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ChatGPTに代筆依頼すると達人エッセイストでした、弟子入り希望です【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第61回

第61回 ChatGPTに代筆依頼すると達人エッセイストでした、弟子入り希望ですChatGPTは、人間のように自然な会話ができる生成AIです。生成AIとは、学習したデータを基に、文章や画像、さらに音楽などを新たに作成する人工知能(AI:Artificial Intelligence)の総称です。2022年11月に公開されるや、無料で利用できる革新的なサービスとして注目を集めています。このChatGPTに関する報道は皆さまも耳にしたことはあるでしょう。すでに上手く使いこなしている方もいるでしょうが、具体的に経験したことがない方もいるでしょう。試してみましょう。ChatGPTに質問です。「医療に関するエッセイで、猫・生命観をモチーフとした原稿を書いてください」と入力し、エンターキーをポンとクリックしました。このコラムの代筆依頼をしたことになります。待つこと30秒でPC画面に表示された内容を、一切修正なしで提示します。タイトル:猫の生命観:自己の存在を受け入れる喜び人間社会において、医療は私たちの生活に欠かせないものです。しかし、医療の本質は単なる身体的な健康だけではなく、私たちの心と魂を癒すことも含まれています。このエッセイでは、猫をモチーフにして、私たちの生命観と医療の関係について探求していきます。猫は自己の存在を受け入れ、豊かな喜びを見いだすことで知られています。その姿勢を参考にしながら、私たちが医療を通じてより充実した人生を送る方法を考えてみましょう。1.猫の自己受容と生命の美しさ猫は、自然な姿勢で自己を受け入れています。彼らは自分自身に対して厳しい評価をしませんし、他の猫との比較にも固執しません。それぞれが個性的な存在として、自分の存在を享受しているのです。私たちも、猫のように自己受容の姿勢を持つことができれば、医療の恩恵をより深く受けることができるのではないでしょうか。2.医療の役割:身体と心のバランスを取る医療は、身体的な健康だけでなく、心の健康も含まれています。猫は、自然なバランスを保つことに優れています。彼らはストレスを感じたり、自己犠牲を強いられることなく、自分の欲求を追求します。私たちも、医療を通じて身体と心のバランスを取り戻し、自己の欲求や目標を追求することで、より充実した人生を送ることができるでしょう。3.猫の喜びと癒しの力猫は、生命の喜びを追求することによって、心を豊かに保ちます。彼らは日常の小さな喜びを大切にし、穏やかで幸福な存在として生きています。私たちも、猫のように喜びを見いだし、心に癒しをもたらすことができれば、医療の助けをより深く受け入れることができるでしょう。猫の生命観は、私たちにとって重要な教訓を与えてくれます。自己受容、バランスの取れた生活、喜びの追求は、医療を通じてより豊かな人生を築くための鍵です。私たちは猫から学び、自分自身を大切にし、心と身体のバランスを取り戻し、喜びと癒しを見つけることができるでしょう。医療は私たちの生活の一部であり、猫のように生きることで、その恩恵を最大限に享受することができます。ここからは再び自筆の文章です。ChatGPTの作文への感想はいかがでしょうか。おそらくは皆さまの予想以上の内容の整った文章と感じたのではないでしょうか。自分自身もChatGPTに原稿の代筆を依頼するまでは、「書かせてやるぜ! どうせツマラナイ文章を書いてくるだろう、俺様が推敲してやるぜ!」という上から目線でした。出来上がった文章を読んで感服しました。なかなかの名文です。さらに30秒もかからずに書き上げるChatGPTは、師匠と仰ぎ弟子入りすべき達人エッセイストです。ChatGPTには、出力された文章の著作権や、元情報の不確実性など多くの問題が内在していることは承知しています。大学の課題レポートの作成に、学生がChatGPTを使用することの是非が議論されています。この使用を認めれば、思考力や問題解決能力の低下が懸念されます。一方で、この使用を禁止するだけで解決する問題ではありません。ここまでAIが進化している現実を認識する必要があります。また、このシステムを開発する情報産業を持つ米国に代表される国家と、そのすさまじい進化に驚愕し、導入の是非を議論する以上の関与が難しい日本という国へのじくじたる思いもあります。近い将来に医療分野にも大きな影響を与えるであろうことも容易に予想されます。世の中の人々は、ChatGPTに代表される生成AIに、(1)開発する人(2)使いこなす人(3)使われる人、この3つのカテゴリーに分類されていくのではないでしょうか。少なくとも(3)にはなりたくないですね。まず(2)を目指して使用経験を重ねてみます。「楽しい猫の鳴き声は?」とChatGPTに質問してみました。返答を一切修正なしで提示します。“にゃんにゃん!にゃおおお〜!にゃんにゃんにゃん!”素晴らしいです。ChatGPTは、猫についても達人レベルで熟知しているようです。やはり弟子入りですね。

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認知症は遺伝する? 母親と父親の認知症歴と子供のアルツハイマー病リスク

 両親の認知症歴は、子供の認知症リスクを上昇させるともいわれているが、その結果に一貫性は見られていない。韓国・Sungkyunkwan University School of MedicineのDae Jong Oh氏らは、両親の認知症歴と子供の認知症リスクに関して、認知症サブタイプおよび性別の影響を調査するため、本検討を行った。その結果、母親の認知症歴は、男女ともに子供の認知症およびアルツハイマー病(AD)リスクとの関連が認められた。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2023年5月10日号の報告。母親の認知症歴は子供の認知症およびアルツハイマー病リスクと関連 8ヵ国、9件の人口ベースコホート研究より抽出された高齢者1万7,194人のデータを用いて、横断的研究を実施した。対象研究では、認知症の診断のため、対面診断、身体検査、神経学的検査、神経心理学的評価が実施された。父親および母親の認知症歴と子供の認知症、認知症サブタイプのリスクとの関連を評価した。 父親および母親の認知症歴と子供の認知症リスクとの関連を評価した主な結果は以下のとおり。・対象者の平均年齢は72.8±7.9歳、女性の割合は59.2%であった。・両親の認知症歴は、認知症およびADリスク上昇と関連が認められたが、非ADリスクとの関連は認められなかった。 【認知症】オッズ比(OR):1.47、95%信頼区間(CI):1.15~1.86 【AD】OR:1.72、95%CI:1.31~2.26・母親の認知症歴は、子供の認知症およびアルツハイマー病リスクとの関連が認められたが、父親では認められなかった。 【認知症】OR:1.51、95%CI:1.15~1.97 【AD】OR:1.80、95%CI:1.33~2.43・子供の性別に分けた分析でも、母親の認知症歴は、子供の認知症およびアルツハイマー病リスクとの関連が認められたが、父親では認められなかった。 【男性】OR:2.14、95%CI:1.28~3.55 【女性】OR:1.68、95%CI:1.16~2.44・母親の認知症歴は、臨床試験においてアルツハイマー病リスクの高い人を特定し、リスク層別化に有用なマーカーである可能性が示唆された。

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大卒の社会人、ADHD特性レベルが高いのは?

 これまで、成人の注意欠如多動症(ADHD)と社会人口学的特徴を検討した研究の多くは、ADHDと診断された患者を対象としており、一般集団におけるADHD特性について調査した研究は、ほとんどなかった。また、大学在学中には問題がみられず、就職した後にADHD特性を発現するケースが少なくない。国際医療福祉大学の鈴木 知子氏らは、大卒の日本人労働者におけるADHD特性と社会人口学的特徴との関連について、調査を行った。その結果、大学を無事に卒業したにもかかわらず、大卒労働者ではADHD特性レベルは高いことから、ADHD特性レベルを適切に評価し、健康の悪化や予防をサポートする必要性が示唆された。Neuropsychiatric Disease and Treatment誌2023年4月5日号の報告。 日本全国から無作為に抽出された労働者1,240人を対象に、オンラインによる自己記入式調査を実施した。ADHD特性は、成人ADHD自己報告尺度(ASRS)を用いて測定し、DSM-5の基準を反映したスコアリングルールを適用した。性別、年齢、社会経済的地位、労働時間、健康関連行動などの社会人口学的特徴に関する情報を収集した。偏相関分析を用いて傾向の関連性を推定し、共分散分析を用いて調整平均を比較した。本モデルでは、すべての変数に対し調整を行った。 主な結果は以下のとおり。・ADHD特性レベルは、女性よりも男性で高く(p=0.001)、より若いほど高かった(p<0.001)。・低所得者は、高所得者よりもADHD特性レベルが高かった(p=0.009)。・朝食、昼食、夕食の摂取とADHD特性との関連は認められなかったが、夜食をより頻繁に摂取する人ほど、ADHD特性レベルが高かった(p<0.001)。・睡眠により十分な休息が得られなかった人は、ADHD特性レベルが高かった(p=0.007)。

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治療抵抗性うつ病に対するベンゾジアゼピン長期使用~FACE-TRDコホート研究

 ベンゾジアゼピン(BZD)の長期使用は、公衆衛生上の問題の1つである。しかし、治療抵抗性うつ病(TRD)に対するBZD長期使用の影響に関するデータは、十分とはいえない。フランス・エクス=マルセイユ大学のGuillaume Fond氏らは、選択していないTRD患者におけるBZD長期使用および1年間でBZD中止に成功した患者の割合を調査し、継続的なBZD長期使用がメンタルヘルスのアウトカムに及ぼす影響を評価した。その結果、TRD患者の約半数は、BZDが過剰に使用されており、BZD中止を推奨しているにもかかわらず、1年間の中止率は5%未満であることを報告した。著者らは、TRD患者に対するBZD長期使用は、臨床症状、認知機能、日常生活に悪影響を及ぼす可能性があり、計画的なBZD中止が強く推奨されると考えられることから、薬理学的および非薬理学な代替介入を促進する必要があるとしている。Progress in Neuro-psychopharmacology & Biological Psychiatry誌2023年8月30日号の報告。 2014~21年にTRDの専門医療機関13施設より募集されたTRD患者を対象に、1年間のフォローアップを行ったFACE-TRDコホート研究を実施した。トレーニングされた医師および患者からの報告を含む標準化された包括的バッテリーが実施され、1年後に患者の再評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時、BZD長期使用群に分類された患者は、45.2%であった。・多変量解析では、BZD長期使用群は、非BZD長期使用群と比較し、年齢、性別、抗精神病薬の投与量とは無関係に、身体活動の低さ(調整オッズ比[aOR]:1.885、p=0.036)、プライマリケアの利用率の高さ(B=0.158、p=0.031)と関連が認められた。・性格特性、自殺念慮、衝動性、幼少期のトラウマへの暴露、初発大うつ病エピソード年齢の低さ、不安、睡眠障害については、有意な差は認められなかった(それぞれp>0.05)。・BZD中止を推奨しているにもかかわらず、1年間のフォローアップ期間中にBZDを中止した患者は5%未満であった。・1年後の継続的なBZD長期使用と関連していた因子は、以下のとおりであった。 ●うつ病重症度の高さ(B=0.189、p=0.029) ●臨床全般重症度の高さ(B=0.210、p=0.016) ●不安状態の高さ(B=0.266、p=0.003) ●睡眠の質の低下(B=0.249、p=0.008) ●末梢炎症性の増加(B=0.241、p=0.027) ●機能レベルの低下(B=-0.240、p=0.006) ●処理速度の低下(B=-0.195、p=0.020) ●言語エピソード記憶の低下(B=-0.178、p=0.048) ●欠勤および生産性の低下(B=0.595、p=0.016) ●主観的な健康状態の低さ(B=-0.198、p=0.028)

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伝記「ヘレン・ケラー」(前編)【何が奇跡なの? だから子どもは言葉を覚えていく!(象徴機能)】Part 1

今回のキーワード連合学習指差し意図共有自閉症サイン言語音声言語メラビアンの法則左脳皆さんは、どうやって赤ちゃんが言葉を覚えていくのか不思議に思ったことはありませんか? そもそも私たち人間がどうやって言葉を話すようになったのか疑問に思ったことはありませんか? さらに、言葉そのものよりも、なぜ見た目や口調の方が相手に影響を与えるのでしょうか? なぜ言葉と利き手を司る優位半球が同じ左脳なのでしょうか?これらの謎を解くために、今回は、伝記「ヘレン・ケラー」を取り上げ、言葉の意味を理解する象徴機能のメカニズムを解き明かし、その起源に迫ります。なお、厳密にいえば言葉には、発語、象徴、統語の主に3つの機能があります。今回は、象徴にフォーカスしています。発語の機能の詳細については、関連記事1をご覧ください。象徴機能とは?ヘレン・ケラーは、今から100年以上前の偉人です。彼女は、1歳半の時に感染症(髄膜炎)にかかってしまい、その後遺症で「見えない、聞こえない、話せない」という三重苦を背負うことになります。そして、言葉を覚えることが困難なまま、家の中で暴れ回っていました。やがて彼女が6歳になった時、ついに家庭教師のサリバン先生に巡り会います。サリバン先生は、一生懸命ヘレンに指文字を教え込み、やがてヘレンは指文字がものや動作と関連付けられていることを理解し、いくつかの名詞と動詞を覚えました。しかし、ケーキに触れたり嗅いだり味わったりすれば「c-a-k-e」という指文字を綴ることができるのに、ケーキが食べたい時はその指文字を使わずに、身振りで表現していたのです。なぜなのでしょうか?その訳は、「ケーキに触れる→c-a-k-eの指文字を綴る」というパターン学習(連合学習)をしただけだったからです。しかし、c-a-k-eという指文字がケーキというものを表す記号(象徴)であり、それを使って逆に「ケーキが欲しい」という自分の欲求を伝える、つまり「c-a-k-eの指文字を綴る→ケーキに触れる」ということがわからなかったのでした。このように、ものごとやできごとを記号(象徴)に置き換えて、目の前にそれがなくても記号(象徴)によって認識することを象徴機能と呼んでいます。つまり、「もの→記号」なら「記号→もの」と理解することです(刺激等価性)。何が奇跡なの?サリバン先生は、根気強くヘレンに指文字を教えていきます。そして、運命の時が来ます。2人が出会って1ヵ月後、サリバン先生はヘレンを井戸に連れていき、水を流します。そして、ほとばしった水がヘレンの手に当たった時、彼女ははっとします。そして、おもむろに「わーたー(water)」と唸るように言葉を絞り出したのでした。さらに、自分から「w-a-t-e-r」と指文字を綴り、水を求めるのでした。この時、ヘレンは初めてすべてのものには名前があり、それを指文字で表していることに気付くのです。つまり、「もの→記号」なら「記号→もの」を理解したのでした。それを可能にさせたのも、ヘレンが病気になる前にすでに覚えた「water」の発音をその瞬間に思い出したからでした。「waterという発音(記号)→水(もの)」が理解できたからこそ、「w-a-t-e-rの指文字(象徴)→水(もの)」も理解できるようになったのでした。この時を境に、ヘレンは身の回りのあらゆるものの名前を次々と質問するようになります。いわゆる幼児の「なになに期」が遅れて爆発的にやってきたのでした。さらに、サリバン先生が自分の口の中にヘレンの指を入れさせて発音の仕方を教えることで、話せるようにもなっていきます。やがて大学に進学するまでになり、生涯、講演活動を通して世界の福祉のあり方に働きかけました。彼女は、三重苦を背負いながら、世界を変える人になったのでした。まさに奇跡です。と同時に、そんなヘレンを子供の頃から支え続けたサリバン先生こそ、タイトルの「奇跡の人」(The Miracle Worker)であるといえるでしょう。次のページへ >>

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伝記「ヘレン・ケラー」(前編)【何が奇跡なの? だから子どもは言葉を覚えていく!(象徴機能)】Part 2

象徴機能はどうやって発達するの?ヘレンは、三重苦になる前に、すでに象徴機能が発達していたため、その後に奇跡を起こすことができました。それでは、この機能はどうやって発達するのでしょうか? ここから、象徴機能の発達を3つの段階に分けて説明しましょう。(1)まねによる共感赤ちゃんは、生後6ヵ月を過ぎると、「バンザイ」「バイバイ」「オツムテンテン」などの動きをまねするようになります。これは、赤ちゃんが親の動きのインプットと自分の動きのアウトプットを「ものまね神経」(ミラーニューロン)という同じ脳内の神経ネットワークで処理するようになるからです。この時、親の動作と同時に気持ちも脳内に「鏡」(ミラー)のように映し出されることで、共感性も発達します。1つ目の発達は、まねによる共感です。この共感性は、親が赤ちゃんの気持ちを汲み取った表情や声かけをすることで高まります(ミラーリング)。このメカニズムの詳細については、関連記事2をご覧ください。(2)指差しによる意図共有赤ちゃんは、生後9ヵ月を過ぎると親が指を差した方向や視線を向けた方向と同じ方向を見るようになり、1歳を過ぎると自分で指を差して親に注意を向けさせ、注意を向ける対象を親(相手)と赤ちゃん(自分)で共有することができるようになります(共同注視)。そして、親の意図に気付いたり、自分の意図を伝えることが可能になります。2つ目の発達は、指差しによる意図共有です。これは、当たり前のことのように思いますが、実は人間にしかできません。その訳は、指差しで示された方向とは、指差しした相手からの方向だからです。指差しがわかるということは、相手の位置に自分の身を置く想像ができる、つまり相手の視点に立つという人間ならではの能力が発達したことを意味します。(3)ごっこ遊びによる想像1歳後半から、食べるふりをしたり、葉っぱを皿に見立てたり、おままごとをするようになります(ごっこ遊び)。そして、相手と同じ想像の世界を共有することが可能になります。3つ目の発達は、ごっこ遊び(象徴遊び)による想像です。ちなみに、最初のまねによる共感の発達がうまく行かない場合、その後に続く指差しによる意図共有やごっこ遊びによる想像の発達もできなくなります。これが自閉症です。自閉症に言葉の遅れがあるのは、もともと言語能力(知能)が低いからではなく、ベースとなる共感性が低いため、その後に言語に必要な象徴機能が発達しにくくなるからであることがわかります。<< 前のページへ | 次のページへ >>

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