サイト内検索|page:62

検索結果 合計:5819件 表示位置:1221 - 1240

1221.

塩分摂取と認知症リスク~メンデルランダム化研究

 観察研究では、食事による塩分摂取と認知症の発症リスクに潜在的な関連性があることが示唆されている。しかし、これらの研究では、逆因果関係や残留交絡因子の課題が発生しやすいことに注意を払う必要がある。中国・山西医科大学のKe Shi氏らは、塩分摂取と認知症リスクとの因果関係を調査するため、2サンプルメンデルランダム化(MR)研究を実施した。Genes & Nutrition誌2024年3月15日号の報告。 食事による塩分摂取と認知症リスクとの因果関係を調査するため、MR研究にサマリー統計を組み込んだ。塩分摂取と全体的な認知症、アルツハイマー病、血管性認知症、レビー小体型認知症など、さまざまなタイプの認知症リスクとの因果関係を推定した。主要なMR分析として、逆分散加重法を用いた。感度分析には、MR-PRESSO法、Leave-one-out法を採用した。多面性および異質性の検証には、MR-Egger intercept、コクランQ検定をそれぞれ用いた。 主な結果は以下のとおり。・欧州人を祖先に持つ人では、遺伝的に予測されたより高い塩分摂取量と全体的な認知症リスク増加についての関連性が示唆された(オッズ比:1.542、95%信頼区間:1.095~2.169、p=0.013)・食事による塩分摂取量と全体的な認知症リスクとの因果関係は、統計手法の選択に関してロバストであり、広範の感度分析を通じて検証された。・明らかな不均一性や多面発現性は認められなかった。・食事による塩分摂取が、各認知症サブタイプのリスクに及ぼす因果関係を検出することはできなかった。 著者らは、「食事による塩分摂取量と認知症発症との有意な関連性が示唆された。この発見は、認知症予防に対する減塩の重要性を支持するものである」としている。

1222.

高齢者の高感度CRPと認知症リスクが関連~日本人1万人を解析

 血清高感度C反応性蛋白(CRP)とアルツハイマー病などの認知症との関連についての報告は一貫していない。今回、愛媛大学の立花 亜由美氏らが全国8地域の高齢者約1万人を調査したところ、血清高感度CRP値の上昇が認知症全体やアルツハイマー病と関連し、側頭皮質萎縮のリスクの増加とも関連することが示唆された。Scientifc Reports誌2024年3月28日号に掲載。高齢者の高感度CRP値の上昇は認知症リスクの増加と関連する 本研究(長寿社会の実現を目指した大規模認知症コホート研究:JPSC-AD)では、全国8地域(青森県弘前市、岩手県矢巾町、石川県中島町、東京都荒川区、島根県海士町、愛媛県中山町、福岡県久山町、熊本県荒尾市)における高齢(65歳以上)の地域住民1万1,957人を募集し、除外基準の適用後、血液検査と健康関連検査を受けた1万85人について解析した。血清高感度CRP値を臨床的カットオフ値に従って分類し、各血清高感度CRP値について認知症全体およびサブタイプの存在に関するオッズ比(OR)を算出した。さらに、脳MRIを受けた8,614人のデータを用いて、血清高感度CRPと脳容積の関心領域との関連を共分散分析によって調べた。 高齢者の血清高感度CRP値と認知症との関連について調査した主な結果は以下のとおり。・多変量調整後、血清高感度CRP 1.0mg/L未満の高齢者と比較したORは、認知症全体において、1.0~1.9mg/L、2.0~2.9mg/L、3.0mg/L以上で、順に1.04(95%信頼区間:0.76~1.43)、1.68(同:1.08~2.61)、1.51(同:1.08~2.11)であった。 アルツハイマー病では、順に0.72(同:0.48~1.08)、1.76(同:1.08~2.89)、1.61(同:1.11~2.35)であった。・認知症全体およびアルツハイマー病の有病率の多変量調整ORは、高齢者の血清高感度CRP値の増加と共に有意に増加した(傾向のpは順に<0.001、0.001)・多変量調整後の側頭皮質容積/推定総頭蓋内容積比は、血清高感度CRP値の上昇と共に有意に減少した(1.0mg/L未満:4.28%、1.0~1.9mg/L:4.27%、2.0~2.9mg/L:4.29%、3.0mg/L以上:4.21%、傾向のp=0.004)。 この結果から、著者らは「地域在住の日本人高齢者集団において、血清高感度CRP値の上昇は、認知症、とくにアルツハイマー病の存在および側頭皮質の萎縮のリスクの増加と関連することを示唆している」とまとめた。

1223.

うつ病における疼痛症状と抗うつ薬の治療結果~系統的レビューとメタ解析

 うつ病患者では、疼痛を伴う身体症状がみられることが多い。うつ病患者における疼痛を伴う身体症状は、抗うつ薬治療効果の低下と潜在的に関連している。中国・北京大学のJia Jia Liu氏らは、ベースライン時の疼痛レベルと抗うつ薬治療効果との関連を評価した。Molecular Psychiatry誌オンライン版2024年3月13日号の報告。 事前に登録したプロトコールに基づき、2023年2月までに公表された研究をPubMed、Embase、Cochrane Libraryのデータベースより検索した。うつ病患者のうち、抗うつ薬治療反応患者/寛解患者および非治療反応患者/非寛解患者における治療前の疼痛対策を報告したオリジナル研究を含めた。データ抽出と品質評価は、2人の独立したレビュー担当者によりPRISMAに従い実施した。主要アウトカムは、抗うつ薬治療反応患者/寛解患者と非治療反応患者/非寛解患者の間での治療前の疼痛レベルの差とした。ランダム効果メタ解析を用いてエフェクトサイズ(Hedge's g)を算出し、サブグループ解析とメタ回帰分析を用いて不均一性の原因を調査した。 主な結果は以下のとおり。・分析には、20件の研究を含めた。・6件の研究より、うつ病治療に対する非治療反応患者においてベースライン時の疼痛重症度レベルが有意に高いことが報告された(Hedge's g=0.32、95%信頼区間[CI]:0.13~0.51、p=0.0008)。・6件の研究より、疼痛を伴う身体症状(疼痛重症度尺度を用いて測定)と治療反応不良との有意な関連が認められた(オッズ比[OR]:1.46、95%CI:1.04~2.04、p=0.028)。・5件の研究より、非治療反応患者においてベースライン時の疼痛干渉レベルが有意に高いことが示唆された(Hedge's g=0.46、95%CI:0.32~0.61、p<0.0001)。・4件の研究より、非寛解患者のベースライン時の疼痛重症度レベルが有意に高いことが報告された(Hedge's g=0.27、95%CI:0.14~0.40、p<0.0001)。・8件の研究より、疼痛を伴う身体症状と非寛解との有意な関連が認められた(OR:1.70、95%CI:1.24~2.32、p=0.0009)。 著者らは「うつ病患者の疼痛を伴う身体症状は、抗うつ薬治療アウトカムと負の相関があることが示唆されたことから、うつ病治療を行う際、疼痛マネジメントを改善することで、抗うつ薬の治療効果を向上させる可能性がある」と報告した。

1224.

第189回 紅麹サプリメント問題、無症状でも保険診療可能に/厚労省

<先週の動き>1.紅麹サプリメント問題、無症状でも保険診療可能に/厚労省2.オンライン初診での麻薬、向精神薬の処方制限強化へ/厚労省3.医療広告をさらに規制強化、事例解説書を更新/厚労省4.当直明けの手術を7割が実施、遅れる消化器外科医の働き方改革/消化器外科学会5.看護師の離職率は依然として高水準、タスクシフトや業務効率化を進めよ/看護協会6.未成年への経頭蓋磁気刺激治療(TMS)、専門家から倫理性に疑問/児童青年精神医学会1.紅麹サプリメント問題、無症状でも保険診療可能に/厚労省厚生労働省は、小林製薬の紅麹原料を含む機能性表示食品に関連する健康被害について、入院者数が延べ196人、受診者数が1,120人を超えたと発表した。この問題は国内で広がりをみせており、相談件数は約4万5,000件に上っている。厚労省は、無症状の人でも医師が必要と判断すれば、保険診療での診察や検査を許可する措置を講じた。立憲民主党は、このような健康被害があった場合に迅速な報告義務を課す制度改正を政府に要請する方針を明らかにした。また、小林製薬は、製品が安全に摂取できると言えないとの見解を示し、紅麹原料の製造過程で温水が混入するトラブルがあったことも公表したが、健康被害との直接的な関連は不明としている。この一連の問題に対し、消費者庁や厚労省は、紅麹を含む製品による健康被害の原因究明と、被害拡大防止のための対策を強化している。参考1)健康被害の状況等について[令和6年4月4日時点](厚労省)2)疑義解釈資料の送付について[その65](同)3)「紅麹を含む健康食品等を喫食した者」、無症状でも、医師が喫食歴等から必要と判断した場合には、保険診療で検査等実施可-厚労省(Gem Med)4)小林製薬「紅麹」、受診1,100人超 健康被害どこまで(日経新聞)5)健康被害で報告義務を=機能性食品、政府に要請へ-立民(時事通信)6)報告義務の法制化「必要あれば迅速に」 紅麹サプリ問題で武見厚労相(朝日新聞)7)紅麹製造タンクで温水混入トラブル、小林製薬「健康被害との関係不明」…公表2週間で受診1,100人超(読売新聞)2.オンライン初診での麻薬、向精神薬の処方制限強化へ/厚労省厚生労働省は、オンライン診療の適切な実施に関する新たな指針を公表し、特定の医薬品の処方に関する制限を明確にした。これにより、オンライン診療の初診では麻薬・向精神薬、抗がん剤、糖尿病治療薬などの特定薬剤の処方が禁止され、これらの情報を過去の診療情報として扱うこともできなくなる。この措置は、患者の基礎疾患や医薬品の適切な管理を確保するため、および不適切な処方を防ぐために導入された。オンライン診療では、患者から十分な情報を得ることが困難であり、医師と患者の本人確認が難しいため、安全性や有効性を保証するための規制が設けられている。厚労省は、新たな課題や医療・情報通信技術の進展に伴い、オンライン診療指針およびその解釈のQ&Aを更新し続けている。また、オンライン診療で糖尿病治療薬をダイエット薬として処方するなどの不適切な事例にも対処。これにより、医療機関はオンライン診療の際に、医師法や刑事訴訟法に基づく適切な手続きを踏むことが強く求められる。とくに、医師のなりすましや患者情報の誤りが疑われる場合は、警察との連携を含む厳格な対応が促されている。さらにオンライン診療では、基礎疾患の情報が不明な患者に対しては、薬剤管理指導料の「1」の対象となる薬剤の処方を避け、8日分以上の薬剤処方を行わないことで、一定の診察頻度を確保し、患者観察を徹底することを求めている。参考1)「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に関するQ&A[令和6年4月改訂](厚労省)2)オンライン初診では麻薬や抗がん剤、糖尿病薬などの処方不可、オンライン診療の情報を「過去の診療情報」と扱うことも不可-厚労省(Gem Med)3.医療広告をさらに規制強化、事例解説書を更新/厚労省厚生労働省は、医療広告に関する規制をさらに強化を図るため、事例解説書の第4版を公表した。今回の改定では、誤解を招く誇大広告や、いかなる場合でも特定の処方箋医薬品を必ず受け取れるとする広告など、不適切な医療広告に対処する内容の改定となった。新たに追加された内容では、GLP-1受容体作動薬の美容・ダイエットを目的とした適応外使用に関する違反事例が散見されることに対応し、特定の処方箋医薬品を必ず受け取れる旨を広告することを禁止するほか、SNSや動画を含むデジタルメディア上での広告事例が含まれ、ビフォーアフター写真の説明が一切ないままの使用、治療内容やリスクに関する不十分な説明が禁止される事例が明確にされた。また、自院を最適または最先端の医療提供者と宣伝することも禁じられている。これらの更新は、患者が正確な情報に基づいて医療サービスを選択できるようにすることを目的とし、今後ガイドラインの遵守を求めていく。参考1)医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書[第4版](厚労省)2)医療広告「自院が最適な医療提供」はNG 厚労省が事例解説書・第4版(CB news)3)「必ず処方薬が受け取れる」はNG、オンライン診療広告 厚労省、解説書に事例追加(PNB)4)2024年3月 医療広告ガイドラインの変更点まとめ(ITreat)4.当直明けの手術を7割が実施、遅れる消化器外科医の働き方改革/消化器外科学会日本消化器外科学会が、昨年学会員に対して行った調査で、消化器外科医が直面している厳しい労働環境が明らかになった。2023年8月~9月にかけて65歳以下で、メールアドレスの登録がある会員1万5,723名(男性1万4,267名[90.7%]、女性1,456名[9.3%])を対象にアンケート調査を行ったところ、2,923人(18.6%)から回答を得た。その結果、月に80時間以上の時間外労働を報告した医師が全体の16.7%に上り、さらに100時間以上と回答する医師が7.6%と、「医師の働き方改革」で定められた年間960時間の上限を超える勤務をしていることがわかった。また、当直明けに手術を行う医師が7割以上を占め、「まれに手術の質が低下する」と回答した医師が63.3%に達した。この結果は、過酷な勤務条件が医療の質に潜在的なリスクをもたらしていることを示唆している。さらに、医師の働き方改革が導入される直前の調査では、労働環境の改善がみられるものの、賃金の改善が最も求められていることが明らかになった。医師は、兼業が収入の大きな部分を占め、とくに手術技術料としてのインセンティブの導入を望んでいる。また、次世代の医師に消化器外科を勧める会員は少数で、これは消化器外科医を取り巻く環境に対する懸念を反映したものとなった。同学会では、労働環境の改善、とくに賃金体系の見直しは、消化器外科医の減少に歯止めをかけ、消化器外科の将来を守るために積極的に取り組む必要があり、今後も高い品質の外科医療を提供し続けるために不可欠であると結論付けている。参考1)医師の働き方改革を目前にした消化器外科医の現状(日本消化器外科学会)2)消化器外科医の当直明け手術、「いつも」「しばしば」7割超…「まれに手術の質低下」は63%(読売新聞)5.看護師の離職率は依然として高水準、タスクシフトや業務効率化を進めよ/看護協会2022年度の看護職員の離職率が11.8%と高い水準で推移していることが、日本看護協会による病院看護実態調査で明らかになった。正規雇用の離職率は11.8%、新卒は10.2%、既卒は16.6%と報告されている。医療・介護ニーズの増加と現役世代数の減少が見込まれる中、医療機関における看護職員の離職防止が一層重要な課題となっている。また、看護職員の給与に関しては、勤続10年での税込平均給与が32万6,675円となっており、処遇改善評価料を取得した病院では、看護職員の給与アップ幅が大きくなっている。この調査結果は、看護職員の離職率が高い状況を背景に、看護職員のサポートと業務効率化が急務であることを示しており、看護職員から他職種へのタスク・シフトを進めることの重要性を強調している。これにより、医療現場での働きやすさの向上と医療提供体制の確保が求められている。同協会は、看護師の離職防止のために看護業務効率化ガイドを公表し、医療現場での業務効率化の事例を紹介している。この中で、業務効率化のプロセスやノウハウを示し、医師の働き方改革を支える看護職員の業務効率化に焦点を当てている。具体的な業務効率化の取り組みとしては、記録業務のセット化や音声入力機器の導入などが示されている。参考1)「2023年 病院看護実態調査」結果 新卒看護職員の離職率が10.2%と高止まり(日本看護協会)2)「看護業務効率化先進事例収集・周知事業」報告書(同)3)新卒の看護職員10人に1人が離職 23年病院看護実態調査 日看協(CB news)4)看護業務を効率化するガイドを公表、日看協 ホームページなどに掲載(同)5)コロナ感染症の影響もあり、2021年度・22年度の看護職員離職率は、正規雇用11.8%、新卒10.2%、既卒16.6%と高い水準-日看協(Gem Med)6.未成年への経頭蓋磁気刺激治療(TMS)、専門家から倫理性に疑問/児童青年精神医学会日本児童青年精神医学会は、18歳未満の子供や若年層への経頭蓋磁気刺激治療(TMS)の使用に対し、「非倫理的で危険性を伴う」との声明を発表し、この治療法の適用に強い倫理的懸念を示した。とくに発達障害を扱う精神科クリニックが、適応外でありながら、専門家の適正使用指針に反して、未成年者への施術を勧めるケースが問題視されている。TMSは、頭痛やけいれん発作などの副作用が報告されており、子供への有効性と安全性については現時点でエビデンスが不十分とされている。日本国内では2017年9月に厚生労働省が医療機器として薬事承認し、治療抵抗性うつ病への対応として帝人のNeuroStarによるrTMSを承認したが、日本精神神経学会は、とくに未成年者への施術にはさらなる臨床研究が必要としている。今回、同学会が指摘した倫理的な問題としては、一部のクリニックが患者の不安を利用し、高額な治療費用のためにローンを組ませる事例がある。今回の声明は、未成年者へのTMS治療の実施に当たっては慎重な検討を求めている。参考1)子どもに対する反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)療法に関する声明(日本児童青年精神医学会)2)反復経頭蓋磁気刺激装置適正使用指針(改訂版)(日本精神神経学会)3)「非倫理的で危険」と学会声明 子どもへの頭部磁気治療で(東京新聞)

1225.

米国頭痛学会声明、片頭痛に対するCGRP標的療法の位置付け

 これまで第1選択治療として考えられてきたすべての片頭痛の予防的治療は、他の適応症のために開発され、その後片頭痛予防にも採用されている。これらの治療法は、有効性および忍容性の問題によりアドヒアランス低下が懸念されていた。前臨床および臨床エビデンスよりカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)が片頭痛発症に重要な役割を果たしていることが示唆され、いくつかの片頭痛特異的な治療法が開発された。これらのCGRPをターゲットとした治療法は、片頭痛のマネジメントに革新的な影響を及ぼしたものの、第1選択治療として広く普及しているとはいえない。米国・UCLA Goldberg Migraine ProgramのAndrew C. Charles氏らは、米国頭痛学会から表明された片頭痛予防に対するカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)をターゲットとした治療法に関する最新情報を報告した。Headache誌オンライン版2024年3月11日号の報告。 主要および副次的エンドポイントを含む片頭痛予防に関するランダム化プラセボ対照臨床試験、事後分析、オープンラベル拡張試験、プロスペクティブおよびレトロスペクティブ観察研究を、さまざまなデータベース(PubMed、Google Scholar、ClinicalTrials.govなど)より検索した。研究結果や結果に基づく結論は、臨床試験との一貫性を確認し、コンセンサスを得るため米国頭痛学会の理事会により検討、議論を行った。 主な結果は以下のとおり。・CGRPをターゲットとした片頭痛に対する予防的治療(モノクローナル抗体:エレヌマブ、フレマネズマブ、ガルカネズマブ、eptinezumab、ゲパント系:rimegepant、atogepant)の有効性、忍容性、安全性に関するエビデンスは十分であり、他の予防的治療アプローチのエビデンスを大きく上回っていた。・これらのエビデンスは、CGRPをターゲットとした各治療薬全体で一貫しており、さまざまなリアルワールドの臨床経験により裏付けられている。・これらのデータでは、CGRPをターゲットとした治療の有効性および忍容性は、これまでの第1選択治療と同等以上であり、関連する重篤な有害事象はまれであることが示唆されている。 著者らは「CGRPをターゲットとした片頭痛の予防的治療は、他の治療法で効果不十分な場合にとどまらず、第1選択治療として考慮されるべきである」としている。

1226.

高齢入院患者のせん妄、認知症リスクが増加/BMJ

 認知症がなく、せん妄のエピソードを少なくとも1回経験している65歳以上の入院患者が初発の認知症の診断を受けるリスクは、せん妄のない患者のほぼ3倍に達し、せん妄のエピソードが1回増えるごとにリスクが20%増加することが、オーストラリア・クイーンズランド大学のEmily H. Gordon氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2024年3月27日号で報告された。ニューサウスウェールズ州の後ろ向きコホート研究 研究グループは、認知症のない高齢患者におけるせん妄と認知症発症との関連を評価する目的で、後ろ向きコホート研究を行った(オーストラリア国立保健医療研究評議会[NHMRC]の助成を受けた)。 2001年7月~2020年3月に、オーストラリア・ニューサウスウェールズ州の公立・私立病院に入院した65歳以上の患者のデータを収集した。ベースラインで認知症の患者は除外。個人的特性と臨床的特性をマッチングすることで、せん妄ありとなしの患者の組み合わせを決定し、5年以上追跡した。 主要アウトカムは、せん妄と死亡、およびせん妄と認知症発症との関連とし、せん妄とアウトカムの用量反応関係を定量化した。せん妄による認知症リスクは男性のほうが高い マッチングを行った5万5,211組(11万422例、平均年齢83.4[SD 6.5]歳、男性48%)を解析の対象とした。63ヵ月(5.25年)の追跡期間中に、58%(6万3,929例)が死亡し、17%(1万9,117例)が新たに認知症と診断された。 せん妄のない患者と比較して、せん妄を有する患者は、死亡リスクが高く(ハザード比[HR]:1.39、95%信頼区間[CI]:1.37~1.41)、初発の認知症のリスクも顕著に高かった(部分分布のHR:3.00、95%CI:2.91~3.10)。 また、せん妄と認知症との関連は、女性よりも男性で強力であった(部分分布のHR:男性3.17、女性2.88、p=0.004)。せん妄の予防、治療で、認知症の疾病負担軽減の可能性 せん妄のエピソードが1回増えるごとに、死亡のリスクが10%増加し(HR:1.10、95%CI:1.09~1.12)、認知症のリスクは20%増加した(部分分布のHR:1.20、95%CI:1.18~1.23)。 著者は、「これらのデータは、せん妄が認知症の原因となり得ることを示している」と述べ、「認知症の潜在的な修正可能なリスク因子として、せん妄の臨床的な意義は大きい。せん妄の予防と治療は、認知症の世界的な疾病負担を軽減する可能性がある」としている。

1227.

統合失調症患者の脳容積の長期的な減少と認知機能との関連

 統合失調症の脳バイオマーカーを確立することは、精神科医による診断サポートに寄与するだけでなく、疾患経過に伴う脳の進行性変化をフォローするうえで重要となる。最近の研究報告では、統合失調症患者の脳の形態学的特徴が示されており、健常な人と比較し、脳容積が減少した脳領域クラスターにより定義されている。この兆候は、統合失調症患者と健康な人を鑑別するうえで有効であることが証明されており、統合失調症の脳バイオマーカーの有望な候補であることが示唆されている。しかし、長期的な特徴については、いまだ不明なままであった。東京慈恵会医科大学の山崎 龍一氏らは、統合失調症患者の脳容積の変化が時間経過とともにみられるのか、それが臨床アウトカムと関連しているのかについて調査を行った。Neuropsychopharmacology Reports誌2024年3月号の報告。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者では、健康な人における年齢に伴う自然な脳容積の減少よりも、より大きな減少を伴う脳の形態学的に有意な変化がみられ、この変化が脳の進行性の形態学的変化を表していることが示唆された。・さらに、脳の形態学的特徴の変化とフルスケールIQの変化との間に有意な関連が認められた。・IQが改善した患者では、脳の形態学的特徴が維持されていたのに対し、IQの改善が認められなかった患者では、脳の形態学的特徴に進行性の変化がみられた。このことから、知的能力の回復の可能性と脳病変の進行速度との関連性が示唆された。 著者らは、「脳の形態学的特徴は、統合失調症患者の認知機能障害と関連する脳の進行性変化を評価するために使用可能な脳バイオマーカーである」と結論付けた。

1228.

断酒から“減酒”へ、アルコール依存症の新たな治療戦略

 アルコール依存症やアルコールによる健康障害を回避するためには断酒・禁酒が推奨されてきたが、昨今の風潮ではアルコール依存症の治療でも重症度によっては「減酒」が第一歩となる。なぜ、断酒・禁酒ではなく減酒なのか。株式会社CureAppが主催した『減酒治療に関するメディアラウンドテーブル』では、治療法の時代変遷とそれに基づく減酒アプリ(現在、製造販売承認申請中)の実用化について、宋 龍平氏(減酒治療アプリプロジェクトリーダー/岡山県精神科医療センター臨床研究部 医師)が解説した。断酒から減酒、移行期の今 アルコール依存症の従来の治療目標は、お酒を止める断酒・禁酒が中心だったが、その一方で断酒への抵抗感を抱く患者が一定数存在すること、初期のアルコール依存症患者が治療を避けてしまうことが問題となっていた。しかし、減酒(飲酒量低減)を目標とした欧米の治療に基づき、新しい選択肢として、2019年に日本アルコール・アディクション医学会ほか4学会合同が「飲酒量低減治療マニュアル 第1版」1)を作成した。そのような国内での治療戦略の変化を踏まえ、株式会社CureAppは減酒治療に有用なアプリの開発に着手した。 本アプリがもたらす治療解決策について、宋氏らは「現時点で、アルコール依存症の診断名が付いた患者に利用できるような薬事承認や保険適用を受けた『減酒治療アプリ』はない。アルコール依存症患者のうち、診断を受ける患者は10%程度に過ぎず、アルコール依存症になってから深刻化するのには7~8年はかかると言われている。そのためにも早期から飲酒コントロールしていくことが治療の鍵になる。重症ではない症例においては、“減酒”が治療目標に加わることによって治療のハードルが下がる」と述べ、「アプリを導入することで患者の診察時間の短縮が目指せる」などのメリットを紹介した。その一方で、「重症例でも“減酒で良いだろう”というハレーションが起こっているのも事実。重症例では集学的な対応を求められることも多く、現状を確認して個々に向き合うことが必要」と、どのような患者に対しても減酒アプリを使うのではなく、アルコール依存症の重症度に応じた対応が重要であることも説明した。<減酒アプリに期待できること>・幅広い医療機関において、多量飲酒者への治療提供が実現できる・厚生労働省が推進するアルコール健康障害対策に貢献できる・飲酒の害を減らしたいが、断酒までは考えていない患者への治療の選択肢が増える(軽~中等症の場合のみ)・次の診察までの期間、患者も医師も飲酒量などを医師アプリで把握することができる アルコールは本人・他者への害の総量が嗜癖性物質のなかで最も大きく、本人の疾患リスク上昇2)はもとより、他者への害も大きい3)のが特徴だ。これまでにもアルコールに関連するガイドラインは存在したが、専門医向けであったため、多くの方に理解を得るために、先日、「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」4)が発刊されるに至った。また、エビデンス不足により令和6年度の診療報酬改定における加算の新設には至らなかったが、減酒治療のために日本アルコール・アディクション学会が主体となって、適切な介入対象を拾い上げる目的で使用するスクリーニング検査「AUDIT(アルコール使用障害特定テスト)」や「アルコール関連疾患患者減酒指導料」などの提案がなされている。その足掛かりとしても本アプリの役割が期待されるところである。 なお、3月25日に本アプリの製造販売承認申請が行われたことが発表されたが、治験結果*の詳細については、国内外の学会や学術誌を通じて報告される予定である。*内科、精神科医療機関で実施されたランダム化比較試験。主要評価項目は登録時点から登録後12週時点までの多量飲酒日数の変化量で、通常診療と本アプリを併用する介入群は、通常診療と飲酒記録機能のみのアプリを併用する対照群に対し、統計的に有意な改善を認めた。

1229.

医師数統計公表、増えた診療科・減った診療科-厚労省調査

 厚生労働省は「医師・歯科医師・薬剤師統計」の最新結果を取りまとめ、3月19日に公表した。それによると、全国の医師数は34万3,275人で、前回調査(2020年)に比べ1.1%増加。人口10万対医師数は274.7人で、前回に比べ5.5人増加している。医療施設(病院・診療所)に従事する医師のうち女性は7万7,380人となり、前回よりも4.8%増と大きく数字を伸ばした。年齢階級別にみるとすべての階級で男性が多くなっているが、年齢階級が低くなるほど女性の割合が増え、29歳以下では36.2%を占めている。 「医師・歯科医師・薬剤師統計」は、厚労省が2年おきに実施しており、今回は2022年12月31日時点の届け出を集計したもの。医師数を主に従事している施設の別にみると、医療施設の従事者は32万7,444人(総数の95.4%)で、前回に比べ3,744人(1.2%)増加。介護老人保健施設の従事者は3,298人(同1.0%)で前回に比べ107人(3.1%)減少している。対前回比で医師数が最も増えたのは美容外科、減ったのは気管食道外科 従事する主たる診療科別にみると、臨床研修医を除き、内科が6万1,149人(18.7%)と最も多く、次いで整形外科2万2,506人(6.9%)、小児科1万7,781人(5.4%)と続いた。診療科別の平均年齢をみると、肛門外科が60.5歳と最も高く、内科(59.1歳)、臨床検査科(58.7歳)と続いた。臨床研修医を除くと救急科が41.9歳と最も低く、美容外科(42歳)、集中治療科(42.8歳)と続いた。 前回調査時(2020年)と比較して医師数が増えた診療科は、美容外科(対前回比で132.4%)、アレルギー科(同110.7%)、産科(同108.3%)、形成外科(同106.8%)など。一方で医師数の減少が大きかったのは気管食道外科(同95.4%)、小児外科(同95.7%)、外科(同96.7%)、心療内科(同97.5%)、耳鼻咽喉科(同97.7%)などであった。なお、本稿で紹介した診療科別の統計結果については「臨床研修医」や「主たる診療科不詳」および「その他」の回答はいずれも除外している。人口10万対医師数が最も多いのは徳島県 医療施設に従事する人口10万対医師数は262.1人で、前回(256.6人)に比べ5.5人増加している。これを都道府県(従業地)別にみると、徳島県が335.7人と最も多く、次いで高知県335.2人、京都府334.3人。一方で埼玉県が180.2人と最も少なく、次いで、茨城県202.0 人、千葉県209.0人となっている。 主たる診療科が小児科の医師数(15歳未満人口10万対)を都道府県(従業地)別にみると、鳥取県が184.8人と最も多く、山口県が91.2人と最も少ない。小児科専門医は鳥取県が148.5人と最も多く、千葉県が66.1人と最も少なかった。 主たる診療科が産婦人科・産科の医師数(15~49歳女性人口10万対)を都道府県(従業地)別にみると、鳥取県が68.4人と最も多く、埼玉県が32.8人と最も少ない。産婦人科専門医は徳島県が66.7人と最も多く、埼玉県が32.4人と最も少なかった。 主たる診療科が外科(外科、呼吸器外科、心臓血管外科、乳腺外科、気管食道外科、消化器外科[胃腸外科]、肛門外科、小児外科)の医師数を都道府県(従業地)別にみると、岡山県が32.2人と最も多く、埼玉県が15.1人と最も少ない。外科の専門医(外科専門医、呼吸器外科専門医、心臓血管外科専門医、消化器外科専門医、小児外科専門医のうちいずれかを取得)は、岡山県が24.3人と最も多く、新潟県が12.6人と最も少なかった。

1230.

アトピー性皮膚炎は小児の学習・記憶に影響するか?

 米国で行われた横断研究において、アトピー性皮膚炎を有する小児は、学習障害と記憶障害が報告される割合が高いことが示唆された。ただし、その関連性は、主に注意欠如・多動症(ADHD)や限局性学習症といった神経発達症を併存する子供に限定されることも示された。米国・メリーランド大学医学校のEmily Z. Ma氏らが、JAMA Dermatology誌オンライン版2024年3月6日号で報告した。先行研究でアトピー性皮膚炎は小児の認知機能障害と関連することが示唆されているが、それらの研究では認知機能の評価を、症状ではなく神経発達の診断で代用している。したがって、アトピー性皮膚炎の小児が、認知機能障害のリスクが高いかは不明であった。著者は、「今回の結果から、アトピー性皮膚炎を有する小児の認知機能障害に関するリスク分類を改善できる可能性があり、アトピー性皮膚炎と神経発達症がある小児では認知機能障害の評価を優先すべきであることが示唆された」と述べている。 研究グループは、米国の小児を対象とした横断研究を実施し、アトピー性皮膚炎と認知機能に関する症状(学習障害や記憶障害)との関連性を評価した。また、その関連性が神経発達症の併存(ADHD、発達遅延、限局性学習症)の有無によって異なるか調べた。対象は知的障害または自閉症を有さない17歳以下の小児とし、US National Health Interview Survey 2021のデータを用いた。 アトピー性皮膚炎の定義は、現在診断されているか、以前に医療の専門家によって医学的に確認されたことがある場合とした。学習や記憶の障害は、小児の保護者の報告に基づき評価した。 主な結果は以下のとおり。・加重合計6,973万2,807例のうち、922万3,013例(13.2%)がアトピー性皮膚炎であった。・アトピー性皮膚炎を有する小児は、アトピー性皮膚炎を有さない小児と比べて学習障害(10.8%[95%信頼区間[CI]:7.8~15.8]vs.5.9%[5.1~6.9]、p<0.001)、記憶障害(11.1%[8.0~15.9]vs.5.8%[4.9~6.9]、p<0.001)がより多くみられる傾向があった。・多変量ロジスティック回帰モデル(社会人口学的要因、喘息、食物アレルギー、季節性アレルギーや花粉症で調整)において、アトピー性皮膚炎を有する場合、学習障害(調整オッズ比[aOR]:1.77、95%CI:1.28~2.45)、記憶障害(1.69、1.19~2.41)がみられる割合が高かった。・神経発達症の有無による層別解析では、アトピー性皮膚炎は、何らかの神経発達症がある小児の記憶障害がみられる割合が2~3倍高く(aOR:2.26、95%CI:1.43~3.57)、ADHD(2.90、1.60~5.24)、限局性学習症(2.04、1.04~4.00)がある小児でも記憶障害がみられる割合が高かった。・一方で、神経発達症のない小児においては、アトピー性皮膚炎は学習障害や記憶障害との関連は認められなかった。

1231.

筋力パラメータは不安・抑うつの予測因子となりうるか

 うつ病や不安症は、主要な公衆衛生上の問題の1つである。そのため、うつ病や不安症の症状予測因子を特定することは、症状悪化を避けるうえで重要となる。筋力や筋機能(握力、timed-stands testなど)は、健康アウトカムの予測因子として広く知られているが、うつ病や不安症との関連性は、十分にわかっていない。ブラジル・Santo Amaro UniversityのGabriella Mayumi Tanaka氏らは、握力やtimed-stands testスコアとうつ病および不安症の症状との関連を調査するため、コミュニティベースの横断研究を実施した。また、筋力レベルの高い人は、低い人と比較し、不安や抑うつ症状が軽減されるかについても調査した。その結果、筋力パラメータは、不安および抑うつ症状に関連する重要な予測因子である可能性を報告した。Clinical Nursing Research誌2024年3月号の報告。 対象者は、ソーシャルメディアを通じて募集し、半構造化面接を実施し、社会人口学的特徴、併存疾患、タバコおよび薬物使用、不安症状(Beck's Anxiety Inventory[BAI])、抑うつ症状(Beck's Depressive Inventory[BDI])を評価した。その後、身体的特徴、握力、機能性(timed-stands test)を評価した。 主な結果は以下のとおり。・評価対象者は216人。・調整済み回帰モデルでは、握力と不安症状(β=-0.22、95%CI:-0.38~-0.07、R2=0.07、p=0.005)および抑うつ症状(β=-0.25、95%CI:-0.42~-0.07、R2=0.05、p=0.006)との間に逆相関が認められた。・timed-stands testスコアと不安症状(β=-0.33、95%CI:-0.54~-0.13、R2=0.09、p=0.002)および抑うつ症状(β=-0.32、95%CI:-0.56~-0.09、R2=0.06、p=0.008)との間にも同様の関連が認められた。・筋力レベルが低い人は、高い人と比較し、BAI(9.5 vs.5.9、p=0.0008)およびBDI(10.8 vs. 7.9、p=0.0214)が高値であった。・timed-stands testスコアで層別化した場合、低スコア群は、高スコア群と比較し、BAI(9.9 vs.5.5、p=0.0030)およびBDI(11.2 vs.7.5、p<0.0001)が高値であった。

1232.

85歳以上のアルツハイマー病患者の認知機能に関連する因子と脳画像の特徴

 85歳以上の超高齢者のアルツハイマー病における認知機能低下の根底にある病態生理学は、これまで明らかになっていない。総合東京病院 認知症疾患研究センターの羽生 春夫氏らは、超高齢者のアルツハイマー病における認知機能に関連する因子と脳画像の特徴を明らかにするため、本研究を実施した。Journal of the Neurological Sciences誌2024年3月15日号の報告。 対象は、アルツハイマー病の可能性のある連続した外来患者456例(男性:145例、女性:311例、年齢範囲:51~95歳)。対象者は、74歳以下、75~84歳、85歳以上のサブグループに分類した。人口統計学的要因(教育レベル、初診時の罹病罹患、BMI、併存疾患、フレイル、余暇活動など)、画像検査の特徴(内側側頭葉の萎縮、白質病変、梗塞の重症度、脳低灌流の頻度など)の違いをサブグループ間で比較した。 主な結果は以下のとおり。・85歳以上の群は、若年群と比較し、次の特徴が認められた。 ●罹病期間が長い ●教育レベルが低い ●フレイルがより重症 ●余暇活動が少ない ●認知機能障害の悪化 ●認知機能低下の進行が遅い傾向 ●内側側頭葉の萎縮がより大きい ●重度の白質高信号領域 ●重度の梗塞 ●脳低灌流の頻度が低い・脳画像のサブタイプに関しては、85歳以上の群は、若年群と比較し、大脳辺縁系優位サブタイプの患者が有意に多く、海馬温存サブタイプの患者が少なかった。 著者らは「85歳以上のアルツハイマー病患者は、より若年のアルツハイマー病患者と異なる特徴を示すことが明らかとなった。この結果は、アルツハイマー病の病態を理解し、臨床診断や適切なマネジメント方法を決定するうえで、有用であろう」としている。

1233.

統合失調症における幻聴の状態と特性のネットワーク局在化

 統合失調症における幻聴の神経回路を調査した神経画像研究では、さまざまな結果が得られているが、ネットワーク局在化により調整される可能性が示唆されている。中国・安徽医科大学のFan Mo氏らは、統合失調症における幻聴の状態および特徴的な脳変化が共通のネットワークに局在化するか否かを調査した。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2024年2月24日号の報告。 統合失調症における幻聴の状態、および特徴的な脳変化を報告した48の研究を特定した。影響を受けた脳のデータを、安静状態の大規模な発見と検証の機能的磁気共鳴機能画像法(fMRI)データベースと統合し、次に機能的結合ネットワークマッピングを活用して、幻聴の状態および特徴の機能不全ネットワークを構築した。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症における神経解剖学的に不均一な幻聴の状態および脳変化は、個別の特異的なネットワークに局在化していた。・幻聴状態の機能不全ネットワークは、主に聴覚、顕著性、大脳基底核、言語、感覚運動ネットワークを含む広範囲な一連の脳領域で構成されていた。・対照的に、幻聴の特徴的な脳変化の機能不全ネットワークは、主に尾状核および下前頭葉の関連する限定された脳領域パターンとして出現した。・さらに、幻聴状態の機能不全ネットワークは、幻聴の効果的な治療のための神経調整標的部位と一致しており、臨床的関連性の可能性が示唆された。 著者らは「本知見は、現実可能性が低いと考えられる神経画像結果を統合した点とは別に、ネットワークの観点から統合失調症における幻聴の状態、および特徴的な脳変化の根底にあるさまざまな神経機構を示唆しており、将来の幻聴に対する広範な神経調整治療につながる情報となる可能性がある」としている。

1234.

うつ病に対する17種類の抗うつ薬の治療反応比較

 うつ病に対する抗うつ薬の治療反応を比較した長期的研究は不足している。デンマーク・Psychiatric Center CopenhagenのLars Vedel Kessing氏らは、うつ病患者に対する6つの抗うつ薬クラス17薬剤における2年間の治療反応を比較するため、システマティック人口ベース全国レジストリデータを報告した。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2024年2月20日号の報告。 対象は、1995~2018年にデンマークの精神科病院で初めてうつ病と診断され、その後抗うつ薬治療を行った入院患者または外来患者10万6,920例。2年間の研究期間において、最初の抗うつ薬治療に反応しなかった患者の定義は、他の抗うつ薬への切り替え、抗精神病薬・リチウムへの切り替えまたは追加、入院とした。分析では、年齢、性別、社会経済的地位、精神症状・身体症状の併存に従って標準化された集団を対象とした試験を参照した。 主な結果は以下のとおり。・セルトラリンと比較し、citalopramは差がみられなかったが、fluoxetine、パロキセチン、エスシタロプラムは、治療無反応のリスク比が高かった。【citalopram】RR:1.00(95%信頼区間[CI]:0.98~1.02)【fluoxetine】RR:1.13(95%CI:1.10~1.17)【パロキセチン】RR:1.06(95%CI:1.01~1.10)【エスシタロプラム】RR:1.22(95%CI:1.18~1.25)・選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害薬の中では、セルトラリンはreboxetineを上回っていた。・セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬の中では、ベンラファキシンはデュロキセチンを上回っていた。・ノルアドレナリン作動性および特異的セロトニン作動性抗うつ薬の中では、ミルタザピンはミアンセリンよりも良好な成績を示し、他の抗うつ薬クラスでは、セルトラリンがagomelatineおよびボルチオキセチンよりも良好な成績を示した。・三環系抗うつ薬では、アミトリプチリンと比較し、ノルトリプチリン、ドスレピン、クロミプラミンの治療無反応率が高かったのに対し、イミプラミンには差が認められなかった。 著者らは「リアルワールドデータを用いた分析では、抗うつ薬使用2年間の長期的な治療無反応は、一部の抗うつ薬において増加している可能性が示唆された」としている。

1235.

新型コロナウイルス感染症の認知機能障害は徐々に軽症化している(解説:岡村毅氏)

 イングランドで80万例を対象にした、新型コロナウイルス感染症と認知機能の大規模調査である。まだよくわかっていないことの全体像をつかむための研究であり、規模が大きく、情報の確度も高く、適切な時期に適切な報告がなされたと思う。 対象者は、期間(無症状/4週以内に完治/12週以内に完治/12週以上かかったが完治/12週以上かかってまだ症状がある)、感染株(オリジナル/アルファ/デルタ/オミクロン)、医療(救急受診/入院/集中治療室)などで分類している。認知機能は、直後再生、空間記憶、語義、抽象思考、空間操作、遅延再生などをみっちりとられる。なかなか大変である。 まず、認知機能の全体を見ると、2020年1月に始まった世界的流行であるが、それから時間がたてばたつほどに感染者の認知機能低下は軽くなっている。古い株ほど、また症状の期間が長いほど、認知機能低下は重度である。常識的な結果といえる。 さらに詳しく認知機能を見てみると、記憶、抽象思考、空間操作が新型コロナウイルスの影響が出やすい領域のようだ。抽象思考とは「高い/低いに対して速い/遅い。では、人間/猿に対して速い/遅いは正しい?」みたいな課題をさせられる。空間操作はロンドン塔ゲームをさせられる。なかなか大変である。また主観的な記憶の障害や、いわゆるブレインフォグを訴えている人は、直後再生、抽象思考、空間記憶に特に低下があるようだ。これらの症状は、「頭が回らない」というような表出がなされることが多いため、納得の結果であろう。 この研究が(あえて?)触れていないことにも触れておく。この研究の枠組みでは分析のしようもないが、認知機能は精神状態の影響を大きく受けることは指摘しておきたい。長期的に症状に苦しんでいる人(例えば息苦しさが続き生活や仕事に支障が出ている)では、当然の反応として抑うつ的になり、結果的に一時的に認知機能が低下している可能性があるだろう。あるいは、未知の感染症が世界を襲い多くの人が死んでいる中で感染した場合には、心的影響が大きく、やはり認知機能への影響が軽微に残っている可能性は十分にあるだろう。 最後に、新型コロナウイルスについて発言するのはとても難しいが、これを読んでいる人には、将来精神科領域で働くことを検討している人もいるだろうから、一人の精神科医にはパンデミックがどのように見えていたのかを記して、精神科医的な思考を体験していただこう(以下は筆者個人の意見であり、いかなる所属組織とも関係ない)。 パンデミックの初期は「人類はまた新しい感染症に遭遇したが、医学の進んだ現代でよかった」と認識していた。一方でそう語ると、『世界が破滅するかもしれない』と興奮している人達とは、会話にならないこともわかっていた。 さらに高齢者施設で感染が広がり、高齢者は面会が禁止され、認知機能低下が進んだ。高齢者施設で働く人への偏見も助長された。この時には「そもそも高齢者施設では毎年インフルエンザで感染対策を繰り返していたのに、一般の人は全く知らなかったんだな」と悲しくなったが、真面目にやれば感染は防げると思いこむクレーマーの人とはわかりあえないだろうとあきらめていた。 さて、現在は明らかに弱毒化しているが、患者さんは元気に歩き回るから、逆に感染コントロールが難しくなっている。引き続き淡々と注意が必要だ。 今後はいつかエボラ出血熱のようなものが、世界的に感染を起こすことがあるだろう。その日まで私が生きていたら、その時こそ本当に恐怖を感じることだろう。 とまあ、こんなふうに見てきた。精神科医になるということは、様々な主観世界を生きる人々と出会い、その世界を冒険することにほかならない。例えば統合失調症の症状に「世界没落体験」というのがあり、世界の終末を主観的には生きている人と話したこともある。このような仕事をしていると、執着が減り、先入観から徐々に自由になり、何が起きても淡々と対応できるようになってくる。あくまで個人的な意見だが、新型コロナウイルス感染症の社会的パニックにおいて、もっとも傷を負わなかったのは精神科医かもしれない。

1236.

初発統合失調症の脳ネットワークに対するアリピプラゾールの影響

 アリピプラゾールは、初発統合失調症患者のいくつかの脳内ネットワーク間の機能接続を調節し、臨床症状の改善に影響を及ぼす。しかし、統合失調症患者の広範な脳内ネットワーク間の異常接続に対するアリピプラゾールの作用は、依然として不明である。中国・首都医科大学のSitong Feng氏らは、大規模な脳内ネットワークの機能接続に対するアリピプラゾール12週間投与の影響を調査するため、縦断的研究を実施した。Journal of Psychiatric Research誌2024年3月号の報告。 対象は、初回エピソード時に薬物治療未実施の統合失調症患者45例および健康対照者45例。ベースライン時およびアリピプラゾール投与12週間後、安静時の磁気共鳴機能画像法(fMRI)データを収集した。統合失調症患者は、12週間治療後の臨床症状改善に応じて、治療反応群と非治療反応群に分類した。機能接続は、7つの大規模な脳内ネットワークに対し評価した。さらに、大規模な脳内ネットワークの機能接続変化と臨床症状との関連を調査するため、相関分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時、統合失調症患者は、健康対照者と比較し、広範な脳内ネットワークの機能接続の減少が認められた。・12週間のアリピプラゾール投与により、臨床症状の改善と関連し、治療反応群の皮質下ネットワーク、デフォルトモードネットワーク、その他の脳内ネットワークの持続的な機能接続の減少を抑制した。 著者らは「本発見は、統合失調症患者の大規模な脳内ネットワークにおける機能接続に対するアリピプラゾールの作用を明らかにしており、統合失調症における症状改善の理解に、新たな洞察を与える可能性がある」としている。

1237.

運転パフォーマンスに対する睡眠薬の残存効果の影響~ネットワークメタ解析

 睡眠薬には残存効果があり、運転中の安全性に悪影響を及ぼす可能性がある。イタリア・フェデリコ2世ナポリ大学のMichele Fornaro氏らは、不眠症患者における睡眠薬の残存効果と運転パフォーマンスへの影響を明らかにするためネットワークメタ解析を実施した。European Neuropsychopharmacology誌2024年4月号の報告。 2023年5月28日までに公表された、不眠症患者と健康対照者を比較した睡眠薬使用および運転に関するランダム化比較試験(RCT)を、PubMed、EMBASE、TRID、Clinicaltrials.gov、WHO-ICTRP、Web Of Scienceより検索した。エンドポイントとして、車両の横位置の標準偏差(SDLP)、朝の最初の運転時における障害率を考慮した。バイアスリスクおよび不均一性(グローバル/ローカル)を測定し、エビデンスの信頼性を評価するためCINeMAを用いた。 主な結果は以下のとおり。・特定された4,805件のうち、クロスオーバーRCTをシステマティックレビューに含め、22件をネットワークメタ解析に組み入れた(健康対照者のみに焦点を当てた)。・単回投与では、ほとんどの薬剤は運転パフォーマンスへの影響がプラセボと同様であり、SDLPについてはゾピクロンを上回っていた。・対照的に、ラメルテオン8mg、daridorexant 100mg、就寝時のゾルピデム10mg、深夜のゾルピデム10mgおよび20mg、ミルタザピン15~30mg、トリアゾラム0.5mgは、プラセボよりも有意にパフォーマンスが悪かった。・レンボレキサント2.5~5mg、スボレキサント15~20mg、深夜のゾルピデム3.5mgは、ゾピクロンよりも機能障害が少なかった。・フルラゼパムを除き、反復投与(最大フォローアップ期間:10日間)により、残存効果は少なくなっていた。・異質性および不均一性は、ほとんど認められなかった。・エビデンスの信頼性は、「低」または「非常に低」であった。・感度分析により、主要分析の結果が確認された。 著者らは「FDAが承認したほとんどの睡眠薬は、承認用量において運転パフォーマンスへの影響がプラセボと同程度であり、ゾピクロンを上回っていた。15日以内の反復投与が残存効果を減少させる点については、さらなる研究が求められる」としている。

1238.

妊娠後期の抗てんかん薬、薬剤ごとの児への影響は?/NEJM

 出生前に抗てんかん薬に曝露された児は、曝露されていない児より自閉症スペクトラム障害の発生率が高いことが示された。ただし、適応症やその他の交絡因子で調整すると、トピラマートとラモトリギンへの曝露児では実質上その関連がみられなくなったのに対し、バルプロ酸への曝露児ではリスクが高いままであった。米国・ハーバード大学T.H. Chan公衆衛生大学院のSonia Hernandez-Diaz氏らが、米国の2つの医療利用データベースを用いた解析結果を報告した。母親の妊娠中のバルプロ酸使用は、児の神経発達障害のリスク上昇との関連が示されている。一方で母親のトピラマート使用に関連した児の自閉症スペクトラム障害のリスクに関しては、限定的だが相反するデータが示されていた。NEJM誌2024年3月21・28日号掲載の報告。曝露群vs.非曝露群で、自閉症スペクトラム障害のリスクを比較 研究グループは、米国のメディケイド受給者の医療利用に関するデータを含むMedicaid Analytic eXtract-Transformed Medicaid Statistical Information System Analytic Files(MAX-TAF)の2000~18年のデータ、および民間医療保険に関するデータを含むMerative MarketScan Commercial Claims and Encounters Database(MarketScan)の2003~20年のデータを用い、妊婦とその児を同定した。 解析対象は、推定最終月経日の3ヵ月以上前から出産1ヵ月後まで保険に加入していた12~55歳の女性(とその児)を全体集団とし、てんかんと診断されている女性に限定した集団についても解析を行った。 妊娠19週目から出産まで(妊娠後期)にトピラマートの投薬を1回以上受けた妊婦とその児を曝露群(トピラマート群)、最終月経の90日前から出産まで抗てんかん薬の投薬を受けていない妊婦とその児を非曝露群とした。また、トピラマート群の陽性対照としてバルプロ酸、陰性対照としてラモトリギンの投薬を1回以上受けた妊婦とその児を設定した。 主要アウトカムは、児の自閉症スペクトラム障害の臨床診断(自閉症スペクトラム障害のコードが2回以上の受診で記載されていること)で、曝露群の児と非曝露群の児について自閉症スペクトラム障害のリスクを比較した。トピラマート群6.2%、バルプロ酸群10.5%、ラモトリギン群4.1%、非曝露群4.2% 解析対象の全体集団は429万2,539例で、このうち2,469例がトピラマート群、1,392例がバルプロ酸群、8,464例がラモトリギン群、非曝露群が419万9,796例であった。また、てんかんの診断を有する女性の限定集団は2万8,952例で、トピラマート群1,030例、バルプロ酸群800例、ラモトリギン群4,205例、非曝露群8,815例であった。 全体集団において、非曝露群の児(419万9,796例)における8歳時の自閉症スペクトラム障害の推定累積発症率は1.9%(95%信頼区間[CI]:1.87~1.92)であった。 てんかんと診断されている母親の限定集団では、8歳時の自閉症スペクトラム障害の推定累積発症率は、非曝露群4.2%に対して、トピラマート群6.2%、バルプロ酸群10.5%、ラモトリギン群4.1%であった。ベースラインの交絡因子を補正した傾向スコア加重ハザード比は、トピラマート群0.96(95%CI:0.56~1.65)、バルプロ酸群2.67(1.69~4.20)、ラモトリギン群1.00(0.69~1.46)であった。

1239.

降圧薬治療による認知症リスク低下、超高齢やフレイルでも

 降圧薬治療で認知症リスクが低下するというエビデンスはあるが、これが一般集団の高齢者にも一般化できるかは不明である。今回、イタリア・University of Milano-BicoccaのFederico Rea氏らが、一般集団の高齢者において、新たに降圧薬の服用を開始した患者について検討したところ、降圧薬治療と認知症リスクの低下の関連が示唆された。また、この関連は超高齢(85歳以上)やフレイルの患者でも同様であったという。Journal of the American College of Cardiology誌2024年4月2日号に掲載。 本研究はネステッドケースコントロール研究で、2009~12年に降圧薬の服用を開始したイタリア・ロンバルディア州の65歳以上の21万5,547例のコホートで実施した。ケースは、追跡期間中(2019年まで)に認知症またはアルツハイマー病を発症した1万3,812例(年齢:77.5±6.6歳、男性:40%)で、各ケースに対して性、年齢、臨床状態をマッチさせたコントロールを5例ずつ選択した。降圧薬への曝露は、降圧薬服用が追跡期間に占める割合で評価した。また、条件付きロジスティック回帰を用いて降圧薬への曝露に関連する転帰リスクをモデル化した。 主な結果は以下のとおり。・降圧薬への曝露は認知症リスクと逆相関していた。・曝露が非常に少ない患者と比較して、曝露が少ない患者で2%(95%信頼区間:-4〜7%)、中間的な患者で12%(同:6〜17%)、多い患者で24%(同:19〜28%)のリスク低下がみられた。・これは、超高齢(85歳以上)やフレイル(「1年後の死亡リスクが高い」特徴を有する)の患者においても同様であった。

1240.

統合失調症診断の指標となりえる唾液中ガレクチン3レベル

 精神疾患を特定する生物学的マーカーはほとんどなく、精神疾患患者に対する侵襲的なサンプリング手法は困難なケースも少なくないため、非侵襲的な手法である唾液サンプルの活用は、有用であると考えられる。パキスタン・Islamic International Medical CollegeのSaba Shoukat氏らは、統合失調症患者と健康対照者における血清および唾液中のガレクチン3レベルの比較を行った。Journal of the College of Physicians and Surgeons Pakistan誌2024年2月号の報告。 2022年9月~2023年5月に、Islamic International Medical CollegeとBenazir Bhutto Hospitalの精神医学研究所と共同で横断的研究を実施した。対象は、統合失調症患者30例および年齢性別がマッチした健康対照者30例。統合失調症の診断は、DSM-Vの診断基準に従った。対象者から無刺激で口腔内全体から唾液を摂取するため、唾液を吐きだす方法により収集した。EDTAチューブを用いて血液サンプルを収集し、統合失調症患者の唾液および血清中のガレクチン3レベルを測定した。ガレクチン3の検出にはELISA法を用いた。独立サンプルのt検定およびピアソン相関分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者の唾液中の平均ガレクチン3レベルは、健康対照者と比較し、有意に高かった(1,324±74ng/mL vs. 68.4±336ng/mL、p<0.001)。・統合失調症患者の唾液および血清中のガレクチン3レベルには正の相関が認められた(p=0.03)。 著者らは「統合失調症患者の唾液中ガレクチン3レベルは上昇しており、血清中レベルとの正の相関が確認されたことから、統合失調症の診断確定に、唾液中ガレクチン3レベル測定が有用な指標となりえる可能性が示唆された」としている。

検索結果 合計:5819件 表示位置:1221 - 1240