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てんかん診療に福祉制度の活用を!

2014年4月23日(水)、東京都品川区で開催された大塚製薬株式会社・ユーシービージャパン株式会社共催の「てんかんアカデミー」にて、ソーシャルワーカーの漆畑 眞人氏(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター病院 医療福祉相談室長)が「てんかん診療ですぐに活用できる福祉制度」をテーマに講演を行った。福祉制度を活用する意義とはてんかん患者は、治療によって肉体的・精神的「健康」という大きな成果を得ることができる。ただし、その生活はさまざまな社会的障害を抱えることがある。てんかんの医療は、こうした社会的障害にも目を向けて、患者の生活安定とその有意義な人生につながることで、より大きな成果をみることができる。福祉制度の活用は、患者のこのような生活実現を支援するうえで重要なもののひとつである。てんかんで利用可能な福祉制度のうち、主なものには、1)自立支援医療(精神通院)2)精神障害者保健福祉手帳3)障害年金の3つがある。しかしながら、それぞれの制度に対する患者・家族および医療従事者の認知が十分でないため、必ずしもすべてのてんかん患者には支援が行き届いていない現状がある。てんかん患者にとって、これらの福祉制度を活用することは、一方で、医療費の心配をなくして、てんかん治療の中断を防ぐとともに、他方で、患者とその家族の生活安定をはかるものとなる。そうすれば、安定した生活基盤をもとに、患者とその家族が病気や障害を抱えつつも自分自身で納得して満足できる人生を送ることについて、医療が大きな貢献をしていくことができるようになる。(1)自立支援医療(精神通院医療)自立支援医療(精神通院医療)制度は、障害者が人格を尊重されて自立生活を営めるようにすることを目的としているが、直接的には医療費助成制度である。この制度を活用することで、患者は指定医療機関でのてんかん通院医療費が1割負担となる。上限月額も定められているため患者負担が少なくおさえられ、治療を継続しやすい環境が整う。自治体によってはさらに上乗せ助成される場合もあるため、各自治体のホームページなどを参考にされたい。区市町村役所にて手続きが可能である。“精神通院”とあるが、診断書を作成する医師が精神科に限定されるわけではなく、てんかんを含む精神障害の診断または治療に従事する指定医療機関の医師であれば、診療科は問われない。また、「指定医療機関」の認定にあたっては、各種医療・福祉制度の紹介や説明、カウンセリングの実施等が行える体制整備のほかは、主として担当する医師がてんかん医療に3年以上従事していれば指定基準を満たすため、積極的に活用していただきたい。なお、「福祉制度の紹介や説明」とは必ずしもすべての制度を詳細に渡って情報提供することが想定されているわけではない。実際には行政機関窓口等に行って詳しく聞くように助言することだけでも十分である。(関連リンク)厚生労働省『自立支援医療(精神通院医療)について』(PDF)(2)精神障害者保健福祉手帳精神障害者保健福祉手帳は、精神障害者の社会復帰、自立と社会参加の支援を受けやすくすることを目的としている。具体的な支援例としては、公共交通機関の料金割引、公共施設の入場料無料、税金の減額などがある。申請窓口は居住地の保健所や市区役所など自治体によって異なるが、都道府県知事が発行する。ただし、自立支援医療(精神通院医療)制度が「病気治療」について適用されるのに対し、精神障害者保健福祉手帳は「一定の精神障害の状態にあること」が必要とされることから、てんかんと診断された日から6ヵ月が経過している必要がある。診断書の作成医は、精神保健指定医その他てんかんを含む精神障害の診断または治療に従事する医師である。ここでも診療科を問わない。てんかん患者の精神障害等級はてんかん発作の種類と頻度によって、1級から3級に分けられている。等級基準は公開されている。等級を判断する際のポイントは、患者の診察室での様子だけではなく、患者が一人住まいとなった時の日常生活を「想像」して判断する必要があるため、患者の側にいる家族や、保健所保健師、ケアマネージャーなどの地域での支援者から情報をもらうと参考になる。(関連リンク)東京都の場合:東京都福祉保健局 東京都立中部総合精神保健福祉センター「精神障害者保健福祉手帳制度の手続き」(3)障害年金障害年金は、所得保障により障害者の経済的な生活支援を目的としている。ここでも診断書作成医は、てんかんにおいては精神科以外の診療科医師も作成が可能である。障害年金も精神障害者保健福祉手帳と同様に障害等級が定められており、等級判定の手続きが必要となる。なお、障害年金を受給していれば、年金証書等を添付するだけで同じ等級の精神障害者保健福祉手帳を取得することができる。しかし、精神障害者保健福祉手帳があっても障害年金の等級判定手続きはあらためて必要となるため、注意が必要である。また、障害年金の場合は、障害等級の該当性のほかに、保険料の納付要件も必要である。(関連リンク)日本年金機構『障害基礎年金を受けられるとき』障害年金サポートセンター『障害年金の受給までの流れ』制度を活用するうえでのデメリットとは主な3つの福祉制度をみると、患者においてはメリットが大きいように思えるが、デメリットはあるのだろうか。デメリットと考えることには人それぞれの個別性もある。たとえば、精神障害者保健福祉手帳を取得することで自分が「精神障害者である」というレッテルを貼られたくない人もいる。また、自分の周りや職場に知られたくないという人にとっては、制度上は知られないよう個人情報保護が図られているものの、事実上は情報が漏れてしまう可能性がないとはいえない。逆に、職場環境としては、てんかん患者であることを知られた上で安全配慮を受けて仕事をすることもありうる。福祉制度提案の際には、患者とのコミュニケーションをしっかりと図る必要があるだろう。以上のようなデメリットも考慮したうえで、各々の患者が納得して福祉制度を活用することが重要である。てんかん医療は、肉体的・精神的「健康」をめざすとともに患者の生活にも目を向けて福祉制度を積極的に取り込むことを期待されている。多くのてんかん患者が制度活用によって生活を安定させ、それぞれにとっての実りのある有意義な人生を歩んでいくことができる。患者にとってはこのような大きな目標を医療従事者と共有でき、日々の医療の成果はこのような生活の実現に大きく貢献するものとなる。(ケアネット)

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統合失調症の症状、インターロイキン-2の関与が明らかに

 統合失調症の患者における認知能力の衰退と陰性症状に、インターロイキン2(IL-2)が関与している可能性が、ブラジル・サンパウロ連邦大学のElson Asevedo氏らによる検討の結果、示唆された。これまで、統合失調症においてIL-2が関与している可能性が示唆されていたが、どのような症状と関連しているかを調べる検討は行われていなかった。Physiology & Behavior誌2014年4月号の掲載報告。 研究グループは、統合失調症患者において、末梢IL-2値と症状および認知のパフォーマンスとの関連について調べ、末梢IL-2値について、統合失調症患者と健常対照者との比較も行った。パフォーマンスについては、DSM-IV基準で統合失調症と診断され治療を受けている外来患者と、健常対照者を対象に、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)、統合失調症に関するカルガリーうつ病評価尺度(CDSS)、臨床全般印象尺度(CGI)、全般機能評価尺度(GAF)にて評価して調べた。被験者の採血は、全員午前9~10時に、EDTA管を用いた静脈穿刺にて行われた。IL-2の血漿中濃度は、Cytometric Bead Array(CBA)法によって確定し、コンピュータによる神経心理学的検査で、言語学習能、ことばの流暢さ、作業記憶、変化に対する柔軟性(set shifting)、実行機能、抑制と知能を評価した。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者29例と、健常対照者26例について検討が行われた。・統合失調症患者は、健常対照者よりIL-2値が低値であった(p<0.001)。・統合失調症患者群におけるIL-2値は、ディジットスパンテスト(rho=0.416、p=0.025)、知能評価(rho=0.464、p=0.011)のスコアとの間に明らかな相関を認めた。・また、IL-2値とPANSS陰性サブスケールの総スコアとの逆相関の関連性を認めた(rho=-0.447、p=0.015)。関連医療ニュース 双極性障害の認知障害にインターロイキン-1が関与 治療抵抗性統合失調症女性、エストラジオールで症状改善 統合失調症では自己免疫疾患リスクが1.53倍

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小児期早期のてんかん転倒発作、特徴が判明:東京女子医大

 東京女子医科大学の小国 弘量氏らは、小児期早期の症候性てんかんにおける転倒発作(epileptic drop attack:EDA)について、ミオクロニー失立発作(myoclonic-astatic epilepsy:MAE)との違いを明らかにする検討を行った。その結果、EDAは屈曲側でてんかん性スパスムス(ES)が起きる頻度が最も多く、MAEでみられるような典型的なけいれんの発生はまれであることを明らかにした。今回の所見を踏まえて著者は「臨床では、脳波所見でみられる棘徐波複合の周期的、限局的あるいは多巣性の発現が、ESによるEDAであることを示唆する可能性がある」とまとめている。Brain and Development誌オンライン版2014年4月11日号の掲載報告。 研究グループは、小児期の症候性てんかんにおけるEDAとMAEの違いを明らかにするため、ビデオポリグラフ試験の記録について、両者それぞれの人口統計学的データとともに比較検討した。 主な結果は以下のとおり。・被験者は、月齢7ヵ月~6歳までの間に症候性てんかんを有した21例と、EDAと記録され特発性MAEを有した20例であった。・ビデオポリグラフ試験でEDAが記録されたのは、症候性てんかん児においては総計188件(中央値8件)、特発性MAE児では182件(中央値7件)であった。・EDAが記録された症候性てんかん児における、EDAの発生はESによるものであった。そのうち15例の患者では、二相性の緩徐な弧を描く鋭徐波複合、あるいはフラットな背景脳波活動がみられ、4例において、atoticな発作に特徴的な棘徐波複合が、残り2例においてミオクロニー失立発作がみられた。・ESでのEDA発生は、15例のうち8例で周期的なものであった。また脳波検査において、限局性、多巣性、不規則多発性な棘徐波複合が判明した。・16例のMAE患者では、典型的な発作がみられたが、残り4例では、ミオクロニー屈曲発作がみられた。後者はいずれも、高振幅棘波あるいは多発棘波複合が単独でみられた。関連医療ニュース てんかんの原因遺伝子発見により臨床にどのような変化が起こったか 扁桃体腫大を伴う側頭葉てんかんの特徴は:国立精神・神経医療研究センター 小児外傷後てんかんの予防にレベチラセタムは有用

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治療抵抗性統合失調症女性、エストラジオールで症状改善

 多くの統合失調症女性は、現時点での最適な治療を受けているにもかかわらず症状が持続する。これについて先行研究では、エストロゲン療法の追加が効果的である可能性が示唆されていた。オーストラリア・モナシュ大学のJ Kulkarni氏らは、治療抵抗性の統合失調症女性に対するエストロゲン療法追加の有用性を検討する初の大規模臨床試験を行った。その結果、エストラジオール経皮投与は、プラセボと比較し陽性・陰性症状スコア(PANSS)をはじめとする症状スコアを有意に低下させ、とくに陽性症状に対して高い効果を示すことを報告した。Molecular Psychiatry誌オンライン版2014年4月15日号の掲載報告。  本試験は、治療抵抗性の統合失調症女性を対象とした初めての大規模無作為化比較試験であり、8週間にわたる3群の二重盲検無作為化対照試験で、2006~2011年に実施された。対象は、18~45歳(平均35歳)で、統合失調症または統合失調症様の障害を有しPANSS スコア60超、抗精神病薬を4週間以上服用しているが症状を認める女性183例であった。平均罹病期間は10年以上であった。エストラジオール200 μgおよび100 μgの経皮投与、またはプラセボパッチを投与した。主要アウトカムはPANSSスコアとし、試験を完了した180例についてベースライン時、7、14、28および56日目に評価した。認識力はベースライン時と56日目に神経心理検査RBANS(Repeatable Battery of Neuropsychological Status)を用いて評価した。データは潜在曲線モデルを用いて解析した。 主な結果は以下のとおり。・エストラジオール100μg群、200 μg群とも、PANSS陽性スコア、全般スコアおよび総合症状スコアが、プラセボに比べて有意に低下した(p<0.01)。・その効果は、エストラジオール100μg群に比べ200 μg群のほうが大きかった。・エストラジオール200μg群では、PANSSのサブスケール陽性症状において最大の効果が認められた(エフェクトサイズ:0.44、p<0.01)。・以上のように本研究により、治療抵抗性の統合失調症女性、とくに陽性症状を呈する例において、エストラジオールは有効であり、臨床的意義のある追加治療であることが示された。関連医療ニュース 統合失調症女性の妊娠・出産、気をつけるべきポイントは 日本人女性の統合失調症発症に関連する遺伝子が明らかに 妊娠可能年齢のてんかん女性にはレベチラセタム単独療法がより安全

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認知症では味覚に関する機能も低下:東北大学

 認知症患者では、嚥下の問題がないにもかかわらず摂食障害が起こりうる。東北大学の目黒 謙一氏らは、アルツハイマー病(AD)および血管性認知症(VaD)患者における、食物と味覚に関する認知機能を検討した。その結果、AD、VaD患者とも健常人と比較して食物および味覚に関する認知機能が低下していること、味覚認知障害が脳の島皮質の障害と関連していることを報告した。International Psychogeriatrics誌オンライン版2014年4月3日号の掲載報告。 健常対照(HC)15例、AD患者30例、VaD患者20例を対象とし、食物認知テストと味覚認知テストを行った。食物認知テストでは、日本で一般的な無臭の3つの食物のレプリカを被験者に見せ、それぞれの食物の名称を答えてもらった。その後、食品素材のレプリカを見せ、前述の食物の中にそれが含まれているかどうか質問した。味覚認知テストでは、12 種類の食物のレプリカを見せ、想定される味を質問した。 主な結果は以下のとおり。・食物/味覚認知テストの結果、AD群およびVaD群は、健常対照群と比較してスコアが有意に低かった。・AD群において、これらスコアはMini-Mental State Examination(MMSE)スコアと逆相関の関係にあった。・ADおよびVaD患者50例中12例に、食事の摂取量減少が認められた。その12例のうち8例は味覚認知テストのスコアが低く、この割合は正常な食事量摂取患者における比率よりも高かった。・濾紙ディスクによる味覚検査において、3群間で差はなかった。・島皮質と味覚認知が関連しているという仮説を検証するため、MMSEをマッチさせた2つのADサブグループ(10例 vs. 10例)でPET検査を行ったところ、味覚認知機能が低いサブグループでは、脳の右島皮質の糖代謝がより低下していた。・VaD 患者においても、島領域で同所見がみられる場合、味覚認知が障害されていた。・以上より、認知症患者の介護に際しては、食事摂取という観点から認知機能を考慮することが重要だと考えられた。関連医療ニュース アルツハイマー病への薬物治療は平均余命の延長に寄与しているのか:東北大学 認知症患者の調子のよい日/ 悪い日、決め手となるのは 認知症患者のニーズを引き出すアプリ:神奈川県立保健福祉大学

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小児ADHDの薬物治療、不整脈リスクに注意を

 小児における注意欠陥・多動性障害(ADHD)薬の使用について、危険な不整脈のリスクがある子供では注意を払う必要があることを、ノルウェー・ベルゲン大学のAnsgar Berg氏らが文献レビューの結果、報告した。ADHDに対する薬物治療は、一般に安全であると考えられてきたが、今回の結果を踏まえて著者は、「心臓病や不整脈の既往、あるいは心臓病リスク因子を有する子供のADHD治療は、小児循環器の専門家との連携のうえで行われるべきである」とまとめている。Tidsskrift for Den norske legeforening誌2014年4月8日号の掲載報告。 ノルウェーでは、ADHD治療が開始される前の健康な小児または若者へのECGスクリーニングが一般的に行われているようである。しかし一方で、ECGは、リスクのある個人にのみ行われるべきだと推奨されている。 研究グループは、小児と若者のADHD薬物療法について、心血管リスク評価に関するガイドラインの位置づけを明確にすること、また実際的な勧告を提案することを目的としたレビューを行った。2013年10月1日時点でPubMedを介し、著者自身の臨床経験や、任意の評価に基づく論文を探索した。 主な結果は以下のとおり。 ・中枢神経刺激薬、アトモキセチンの使用は、わずかだが血圧、脈拍の上昇と関連しており、同様にわずかだがQT幅の変化と関連していた。・ADHD薬を使用している小児・若者の突然死の頻度は、非使用の小児・若者と比べて頻度は多いということはみられなかった。・その他の健常被験者の心血管系へのADHD薬の長期的な影響に関しては、ほとんどわからなかった。また、心臓病を有する小児・若者におけるADHD薬の使用に関連したリスクについてもほとんどわからなかった。・若干の不整脈がある場合、薬物は、突然死リスクを増大すると考えられる。したがって、不整脈が疑われる小児では、ADHDの使用には注意を払うべきであることが示唆された。・薬物療法を開始する前に、リスクを特定するために臨床検査と詳細な病歴調査が推奨された。また、健康な子供については、ADHD治療開始前にECG検査を行う必要はないことも示唆された。関連医療ニュース 統合失調症患者の突然死、その主な原因は 知的障害者の約半数が向精神薬多剤併用 小児の自殺企図リスク、SSRI/SNRI間で差はあるか

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電気けいれん療法での麻酔薬使用、残された課題は?

 うつ病は主たる精神疾患で世界中の何百万人もが罹患しており、WHOでは障害の主要な一因としている。重度のうつ病において電気けいれん療法(ECT)は確立された治療であるが、不快感とECTに誘発される強直間代けいれんという有害な副作用を最小限に抑えるため、静脈麻酔が使用される。しかし、麻酔薬の種類によるうつ症状軽減効果や有害作用への影響は明らかになっていない。中国・重慶大学附属病院のPeng Lihua氏らは、うつ病に対するECTにあたって使用される静注麻酔薬について、うつ症状軽減効果や有害作用への影響を比較検討するためレビューを行った。Cochrane Database Systematix Reviewsオンライン版2014年4月11日号の掲載報告。  研究グループは、ECT施行中の成人うつ病患者において、静注催眠・鎮静薬の相違が抗うつ効果、回復および発作期間に及ぼす影響を評価することを目的としたレビューを行った。Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)(2012年の12号分)、MEDLINE via Ovid SP、およびEMBASE via Ovid SP(いずれも1966~2012年12月31日まで)を用いて検索した。関連記事は手作業で検索し、言語を制限することなく適用した。検索対象は、ECTに対して種類の異なる催眠・鎮静薬の有効性を評価している無作為化比較試験(RCTs)およびクロスオーバー試験とし、プラセボまたは吸入麻酔薬を使用している試験・研究および麻酔薬を使用していない試験は除外した。 2名のレビュワーが試験の質を独立して評価し、データを抽出した。可能な場合はデータを蓄積し、Cochrane Review Manager statistical package(RevMan)を用いて、リスク比(RR)と平均差(MD)をそれぞれ95%信頼区間(CI)と共にコンピュータで算出した。 主な結果は以下のとおり。・1994~2012年に報告された18件のRCT(599例)がレビューの対象となった。・大半がバイアスリスクの高い試験であった。・6種類の静脈麻酔薬を比較検討した結果を解析したほか、プロポフォールとメトヘキシタール(国内未承認)を比較した4件の試験、プロポフォールとチオペンタールを比較した3件の試験を併合して解析を行った。・プロポフォールとメトヘキシタールの比較において、うつスコアの軽減に差はみられなかった(エビデンスの質:低)。ただし分析に含んだ4件の試験では、うつスコアの差を検出するデザインとされていなかった。・プロポフォール群はメトヘキシタール群と比較して、脳波(EEG)の発作持続時間ならびに運動発作の期間が短かった(エビデンスの質:低)。・プロポフォールとチオペンタールの比較において、EEG発作期間に差はみられなかった(エビデンスの質:低)。・チオペンタール麻酔後の被験者は、プロポフォールに比べて回復までの時間(命令に従う)が長かった(エビデンスの質:低)。・その他の麻酔薬の比較に関しては、1件の試験または不十分なデータしかなかった。・検討対象とした試験において有害事象に関する報告は不十分であったが、麻酔薬に関連する死亡の報告はなかった。・今回、多くの試験でバイアスリスクが高く、エビデンスの質は概して低かったほか、臨床的に明らかなうつスコアの差を検出するようデザインされていなかった。著者は、「麻酔薬は有害事象プロファイル、すなわち発作の出現と発作期間に及ぼす影響に基づいて選択されるべきである」と指摘している。・十分に長期の発作を導き出すのが困難だとすれば、メトヘキシタールはプロポフォールに比べ優れている可能性があった(エビデンスの質:低)。・もし麻酔からの回復がゆっくりであれば、プロポフォールはチオペンタールに比べ命令に応じるまでの時間(回復までの時間)がより早い可能性があった(エビデンスの質:低)。・エトミデード(国内未承認)による副腎抑制は、いずれの試験でも臨床的な懸念事項として示されていなかった。・静脈催眠・鎮静薬の最適な用量はいまだ不明であった。有害事象を最小限に抑えつつ、うつスコアを最大限に改善する静注麻酔薬を明らかにするため、より大規模の十分にデザインされた無作為化試験が求められる。関連医療ニュース うつ病治療に対する、電気けいれん療法 vs 磁気けいれん療法 ECTが適応となる統合失調症患者は? 治療抵抗性うつ病患者が望む、次の治療選択はどれ

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統合失調症の陰性症状改善へ、グリシン再取り込み阻害

 統合失調症において、陰性症状の重症度は長期障害の主要な予測因子である。一方、N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体を介したシグナル欠乏は、統合失調症のとりわけ陰性症状に関連する多くの徴候や症状の背景要因であると推察されている。グリシンは、NMDA受容体のコアゴニストとして働くことから、Daniel Umbricht氏らは、NMDA受容体を介したシグナル伝達を増強するうえで、グリシントランスポータータイプ1の阻害は、グリシン再取り込み阻害によりシナプス間隙のグリシン濃度を上昇させるため有効な戦略であると仮定した。そして著者らは、陰性症状が優勢な統合失調症患者を対象とし、グリシン再取り込み阻害薬であるビトペルチン(RG1678)の有効性と安全性を検討した。JAMA誌オンライン版2014年4月2日号の掲載報告。 著者らは、抗精神病薬服用中で安定状態にある陰性症状が優勢な統合失調症における、同薬の有効性と安全性を明らかにする検討を行った。試験は、世界66の地域において、陰性症状が優勢な統合失調症患者323例を対象とした、無作為化二重盲検プラセボ対照第II相概念実証試験。ビトペルチン(10、30または60mg/日)またはプラセボを標準的な抗精神病治療に追加し、8週間投与した。アウトカムは、ベースラインからの陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)陰性症状スコアの変化とした。 主な結果は以下のとおり。・per-protocol集団において、ビトペルチン10-mg/日の8週投与(陰性症状スコアの平均値[SE]減少率:-25%[2%]、p = 0.049)および30-mg/日の8週投与(同:-25%[2%]、p =0 .03)は陰性症状を有意に軽減し、10-mg/日群はプラセボ群と比較して有意に高い有効率と機能改善傾向を示した(同:-19%[2%])。・intent-to-treat集団では、傾向を認めた結果は有意に達した。・ビトペルチンは、グリシントランスポータータイプ1に低~中等度レベルで結合すると推察され、これが、患者における最適な有効性を導くものと推察された。またこの結果は前臨床試験の結果とも一致した。・以上により、ビトペルチンを介したグリシン再取り込み阻害は、統合失調症の陰性症状に対する新しい治療オプションとなる可能性が示唆された。関連医療ニュース 統合失調症の陰性症状に対し、抗うつ薬の有用性は示されるのか 統合失調症の陰性症状軽減へ新たな選択肢となりうるか セロトニン3受容体、統合失調症の陰性症状改善に期待:藤田保健衛生大学

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てんかんの原因遺伝子発見により臨床にどのような変化が起こったか

 オーストラリア・メルボルン大学のIngrid E. Scheffer氏は、てんかん遺伝学が臨床にもたらした影響に関するレビューを行った。てんかん遺伝学は、てんかんの原因遺伝子が発見されて以降の19年間で変革をもたらしてきた。その結果、実際に多くの患者が診断可能となり、共存症や予後、遺伝カウンセリングに対する医療者の理解を深めるなど、臨床診療に変化がもたらされたという。Neuropediatrics誌2014年4月号(オンライン版2014年3月10日号)の掲載報告。 Scheffer氏は、てんかん遺伝子の発見に関連した臨床分子アプローチ概要について検証した。概要には、家族研究や、より最新の多重遺伝子パネルを用いた次世代シーケンスやwhole exome sequencingなどを含んだ。 主な結果は以下のとおり。・最近の研究は、てんかん遺伝学が臨床にどのような変化をもたらしたかを報告していた。・とくに注目されている遺伝子は、DEPDC5であった。・同遺伝子は、非病変性焦点性てんかんに関する初の遺伝子で、小家族での特発性焦点性てんかん患者の発病に関与している可能性があった。対照的に、常染色体優性焦点性てんかんを有する大家族ではまれであった。・DEPDC5は、哺乳類ラパマイシン標的タンパク質(mTOR)の陰性レギュレーターで、DEPDC5突然変異を有する一部の患者は、結節性硬化症で示唆された二重衝撃仮説(two hit hypothesis)と類似した、皮質の形成異常を有する可能性があった。・てんかん遺伝学の臨床レベルの最も大きな影響は、てんかん性脳症患者に対するもので、多くの新たな突然変異の原因遺伝子が発見されるに至っていた。・以上のように、てんかん遺伝学は多くの患者の診断を可能とし、医療者が共存症や予後、遺伝カウンセリングについて理解することに寄与しており、臨床に変化をもたらしていることが示された。・遺伝子の発見は、治療選択に影響を与える可能性があるという点で重大であった。・分子レベルでの新たな洞察は、新たな治療法の開発に結びつく可能性がある。また、非病変性てんかんと、皮質形成異常に関連したてんかんとを遺伝学的にまとめることにもなる可能性があった。関連医療ニュース てんかん患者の精神疾患有病率は健常人の8倍 難治性てんかん患者に対するレベチラセタムの有用性はどの程度か 統合失調症の発症に、大きく関与する遺伝子変異を特定

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アルツハイマー病への薬物治療は平均余命の延長に寄与しているのか:東北大学

 アルツハイマー型認知症(AD)の進行抑制に対し、ドネペジルなどのコリンエステラーゼ阻害薬(ChEI)は有用であるが、平均余命への影響は不明である。東北大学の目黒 謙一氏らは、AD発症後の平均余命に対するChEIの影響を抗精神病薬の使用および特別養護老人ホームの入所とともに分析した。BMC neurology誌オンライン版2014年4月11日号の報告。 1999~2012年に宮城県田尻町(現・大崎市)のクリニックを受診したすべての外来患者の診療記録と死亡証明書を含む情報をレトロスペクティブに解析した。対象者基準は、DSM-IV基準に基づいた認知症診断およびNINCDS-ADRDA基準を用いたAD診断、3ヵ月以上の治療歴、死亡前1年未満までのフォローアップ症例とした。 主な結果は以下のとおり。・診療記録と死亡証明書が特定できた390例のうち、認知症基準を満たしたのは275例であった。・ADと診断された100例のうち、ドネペジル治療症例は52例であった。48例は日本でのドネペジル承認前のため薬物治療が行われていなかった。・AD発症後の平均余命は、ドネペジル治療症例で7.9年、非治療症例で5.3年であった。・薬物効果と特別養護老人ホーム入所を組み合わせることにより、有意な共変量効果が認められた。・他の共変量は有意水準に達しなかった。 以上の結果を踏まえ、著者らは「本研究はレトロスペクティブ研究であり、ランダム化も行われていないなど限界があるものの、ChEI治療はAD発症後の平均余命に好影響をもたらす可能性があることが示された。これは、肺炎などの合併症が減少することで死亡率減少につながった可能性がある」としている。また、「ドネペジルを服用している自宅療養中の患者とドネペジルを服薬していない特別養護老人ホーム入所者で平均余命がほぼ同じであることから、ChEI薬物治療による経済効果も良好であることが示唆される」とまとめている。関連医療ニュース たった2つの質問で認知症ルールアウトが可能 認知症患者の調子のよい日/ 悪い日、決め手となるのは 認知症のBPSDに対する抗精神病薬のメリット、デメリット

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パロキセチンは他の抗うつ薬よりも優れているのか

 パロキセチンは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRIs)の中で最も強力な作用を有し、多くの無作為化比較試験(RCTs)で検討されてきた。しかし、これらの比較結果やRCTsのシステマティックレビューは、通常、SSRIsに分類される薬剤全体のエビデンスであり、パロキセチン単独に適用可能なものではない。そこで、イタリア・ヴェローナ大学のMarianna Purgato氏らは、パロキセチンの有効性と忍容性プロファイルを、三環系抗うつ薬(TCAs)、SSRIsおよび新規または非従来型の薬剤と比較評価するシステマティックレビューを行った。その結果、治療1~4週の早期の治療効果において、パロキセチンはレボキセチン(国内未承認)よりも効果が高く、ミルタザピンより低いなど、いくつかのエビデンスは示されたものの、他の抗うつ薬との有効性の相違に関する明確なエビデンスは得られなかったことを報告した。Cochrane Database of Systematic Reviewsオンライン版2014年4月3日号の掲載報告。パロキセチンとその他の抗うつ薬、従来の薬剤、非従来型の薬剤を比較検討 著者らは、パロキセチンの有効性と忍容性プロファイルを TCAs、SSRIsおよび新規または非従来型の薬剤と比較評価するためシステマティックレビューを行った。具体的には、(1)大うつ病性障害の急性症状軽減効果、(2)治療の受容性、(3)有害事象発現状況、を比較検討した。2012年9月30日までのCochrane Depression, Anxiety and Neurosis Review Group's Specialized Register(CCDANCTR)を検索した。同レジスターには、代表的な無作為化比較試験が含まれていた(The Cochrane Library:全年、EMBASE:1974年以降、MEDLINE:1950年以降、PsycINFO:1967年以降)。また、代表的な文献と過去のシステマティックレビューの参考リストを手作業で検索し、パロキセチン販売メーカーおよび同領域の専門家らに連絡を取り、補足データを収集した。 大うつ病患者を対象に、パロキセチンとその他の抗うつ薬(ADs)、従来の薬剤(TCAs、SSRIsなど)、新規または天然ハーブのヒペリカムのような非従来型の薬剤を比較検討した、すべての無作為化比較試験を検索対象とした。クロスオーバーデザインの試験については、最初の無作為化期間における結果のみを考慮に入れた。独立した2名のレビュワーが適格性をチェックし、試験、患者背景、介入の詳細、試験のセッティング、有効性、受容性、忍容性などの情報を抽出した。パロキセチンはレボキセチンと比較して早期に反応する患者が多い パロキセチンの有効性と忍容性プロファイルの主な結果は以下のとおり。・115件の無作為化比較試験(2万6,134例)が選択された。内訳は、パロキセチンvs. 旧来ADs:54件、vs. その他SSRI:21件、vs. 新規または非従来型SSRI以外の抗うつ薬:40件であった。・主要アウトカム(治療反応性)において、パロキセチンはレボキセチンと比較して早期に反応する患者が多く(オッズ比[OR]:0.66、95%信頼区間[CI]:0.50~0.87/ ベネフィットを得るための治療必要数(NNTb)=16、95%CI:10~50/ 1~4週時、3試験、1,375例、エビデンスの質:中等度)、ミルタザピンと比較して少なかった(OR:2.39、95%CI:1.42~4.02/ NNTb=8、95%CI:5~14/ 1~4週時、3試験、726例、エビデンスの質:中等度)。・パロキセチンは、治療反応性の改善においてシタロプラムと比較して効果が低かった (OR:1.54、95%CI:1.04~2.28/ NNTb=9、95%CI:5~102/ 6~12週時、1試験、406例、エビデンスの質:中等度)。・急性期(6~12週)、早期(1~4週時)または長期(4~6ヵ月)において、治療反応性の向上に関して、パロキセチンがその他の抗うつ薬と比較して有効性が高い(または低い)という明らかなエビデンスは見出せなかった。・パロキセチンは、アミトリプチリン、イミプラミンおよび旧来ADsと比較して、有害事象の発現頻度が低かったが、アゴメラチン(国内未承認)およびヒペリカムと比べ忍容性は不良であった。・検討対象とした試験は、無作為化の詳細やアウトカムの評価が不明、アウトカムの報告が不十分なため、概してバイアスが不明確または高かった。・パロキセチンとその他のADsとの間に、臨床的に意味のある差がいくつかみられたが、これらから明確な結論を導くことはできなかった。反応性については、パロキセチンに比較してシタロプラムが急性期(6~12週)において有効というエビデンス(質:中等度)が示されたが、これは1件の試験データのみによるものであった。・早期の治療効果(1~4週時)に関しては、パロキセチンはレボキセチンよりも効果が高く、ミルタザピンより低いというエビデンス(質:中等度)が示されたが、各評価時点でパロキセチンがその他の抗うつ薬と比較して反応性が良好または不良であることを示す明らかなエビデンスはなかった。・いくつかの差が認められたものの、本レビューは仮説の検証という以前の、あくまで仮説構築の域を超えないものであり、将来の試験で再現可能な結論を見出すために再検証すべきであることが示唆された。また、対象とした試験の大半はバイアスが不明または高く、メーカー主導であり、治療効果が過大評価された可能性がある点に留意する必要があった。

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統合失調症患者の認知機能に対するアリピプラゾール vs.リスペリドン

 現在、抗精神病薬の社会的認知に及ぼす影響に関する研究は少なく、また社会的認知機能に対するアリピプラゾールの影響に関してもよくわかっていない。オランダ・ユトレヒト大学のArija Maat氏らは、アリピプラゾールおよびリスペリドンが統合失調症患者の社会認知、神経認知に及ぼす影響を検討した。European neuropsychopharmacology誌2014年4月号の報告。 DSM-IV-TRで統合失調症と診断された80例(年齢:16~50歳)を対象に、8週間の無作為化、非盲検、多施設共同研究を行った。対象患者のベースラインおよび8週時点で複数のコンピュータ・テストを行い、反応時間を含む社会認知および神経認知を測定した。社会的機能は、Social Functioning scale と Quality of Life scaleにより評価した。本研究は、2005年6月~2011年3月に実施された。 主な結果は以下のとおり。・社会認知および神経認知テストのスコアは両群ともに改善した。また、反応時間も同様であった。・社会的認知テストのスコアは両群間でほとんど違いがみられなかった。・アリピプラゾール群は「symbol substitution」の項目でより良い(より正確な)結果であった(p=0.003)。・アリピプラゾール群はリスペリドン群と比較し、「emotional working memory」、「working memory」の反応時間が優れていた(各々、p=0.006、p=0.023)。・これらのテストでの改善は社会的機能と相関していた。・アリピプラゾール、リスペリドンはどちらも社会認知テストのスコアを改善させた。とくに、アリピプラゾール群はリスペリドン群と比較し、処理速度に好影響をもたらし、これが社会的機能の改善と関連していると考えられる。・アリピプラゾールの認知に及ぼす長期的な影響について、さらなる検討が必要である。関連医療ニュース 統合失調症へのアリピプラゾール+リハビリ、認知機能に相乗効果:奈良県立医大 統合失調症の寛解に認知機能はどの程度影響するか:大阪大学 統合失調症患者は処理速度が著しく低下、日本人でも明らかに:大阪大学

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てんかん治療では、より高いゴール設定を!

2014年4月2日(水)、都内にて開催された、グラクソ・スミスクライン株式会社主催の第1回てんかんメディアセミナーにおいて、講師の東北大学大学院医学系研究科てんかん学分野教授 中里 信和氏が「てんかん医療が抱える課題を解決するために」と題して講演を行った。まず冒頭に中里氏は、「てんかんでは本来、適切な診断と治療で7割以上の患者さんが発作をコントロールでき、普通の社会生活を営むことが可能だが、現状ではさまざまな課題によりあるべき医療が実現していない」ことを指摘した。その課題とは1)長時間ビデオ脳波同時記録の未普及2)診療ネットワークの未認知・未成熟3)医師患者間のコミュニケーション不足4)旧薬と新薬の使い分けの未周知5)公的支援制度の未活用に大別される。これらの課題について、グラクソ・スミスクライン株式会社が実施した「てんかん患者さんの意識調査」の結果を交えて解説が行われた。1)長時間ビデオ脳波同時記録の未普及てんかん発作が1年以上抑えられていない場合、長時間ビデオ脳波同時記録を受けることが推奨されるが、実際に検査を受けている患者さんは全体で7%、難治例でもわずか14.8%にとどまる。日本では先進諸外国と比較して本検査の診療報酬点数が著しく低いため、実施できる施設がきわめて限られていることが背景にある。本検査がもっと普及すれば、患者QOLが向上するだけでなく、不要な医療費の削減や、・生産性の向上で経済的利益がもたされ、わが国の財政に大きくプラスになる。2)診療ネットワークの未認知・未成熟日本全国には約100万人のてんかん患者がいるとされているが、専門医は400名あまりしかいないため、専門医とかかりつけ医との連携は欠かせない。現在わが国では「てんかん診療ネットワーク」の整備が進められているが、このネットワークの利用度・認知度を聞いたところ、「知らない」と答えた患者さんが7割以上を占めた。ここで重要なのは、主治医がもつ専門医資格の有無ではなく、患者にとって「発作ゼロ」「副作用ゼロ」「悩みゼロ」の治療ゴールをすべて達成できているかどうかである。患者は、てんかんをあきらめることなく、どれか1つでも欠けていたら、主治医に頼んで専門施設に紹介してもらうべきである。また医師の側にも、ひとりで診療せずネットワークを利用する必要性のあることを強く認識してもらいたい。3)医師患者間のコミュニケーション不足理想的な診察時間は初診の場合1時間、再診でも15分は必要だ。しかし本調査によると、初診時の診察時間は20分未満が半数以上を占め、再診時になると5分未満が半数近くを占める。多くの患者さんが発作以外にも悩みを抱えていることを考えると、現状の診察時間では医師が患者さんの悩みを十分に聞き取り、アドバイスを行うことは難しい。余裕をもった診療ができるよう、今後は医師以外の職種による診療補助や診療連携システムの充実を図るべきであろう。4)旧薬と新薬の使い分けの未周知多くは発作が消失している軽症例であっても、約4割の患者が副作用に悩んでいることが明らかになった。代表的な副作用である「眠気」「意欲の低下」「倦怠感」は従来の抗てんかん薬でとくに出現しやすい。主治医が副作用の少ない新規抗てんかん薬の知識を有し、かつ患者さんがこういった悩みを主治医に相談できていれば、副作用の少ない薬剤に切り替えていくことも可能であろう。なお、現在わが国では新規抗てんかん薬の単剤使用が保険診療上認められていないが、ラモトリギンをはじめとしたいくつかの新規抗てんかん薬においては、単剤使用が認められるよう申請が出されている。5)公的支援制度の未活用てんかん患者さんのための各種支援センターやさまざまな公的支援サービスがあるが、これらの認知・利用はほとんど進んでいない。各種支援センターに関しては、全体で約6割、難治例でも半数の患者さんがその存在を知らず、医師による情報提供が十分でない可能性があると中里氏は指摘した。なお、この調査の対象は現在てんかん治療中の20代以上の男女300例(うち8割が30~50代の働き盛りの年代)であることから、これまで述べたような課題が解決し、生産性が向上した場合の社会的インパクトは大きい。また、対象患者300例のうち8割が軽症例であるにもかかわらず、7割以上の患者が何らかの悩みを抱えている事実からも、医学的問題に加えて社会的問題の解決が重要であるという、てんかんの特殊性がわかる。最後に、「医学的な治療ゴールが達成できても、社会的な偏見を除去することは難しい。てんかんの多様性を理解してもらうためには、継続的な教育・啓発活動が重要である。」という、われわれメディアへのエールで講演は締めくくられた。

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統合失調症患者の突然死、その主な原因は

 統合失調症と突然死との関連は知られているが、剖検データが不足しており、死亡診断書や原因ルート評価を用いた先行研究では、大半の突然死について解明がなされていなかった。一方、住民ベースの突然の“自然死”の原因に関する事実分析データでは、最も共通した要因は冠動脈疾患(CAD)であることが明らかになっていた。ルーマニア・トランシルヴァニア大学のPetru Ifteni氏らは、精神科病院に入院中の統合失調症患者の突然死について、その発生率や原因を調べた。Schizophrenia Research誌オンライン版2014年4月3日号の掲載報告。 研究グループは、1989~2013年の精神科教育病院に入院した連続患者を対象に検討を行い、統合失調症患者の突然死の原因について剖検所見により特定した。 主な結果は以下のとおり。 ・被験者は、統合失調症連続入院患者7,189例であった。・医療記録をレビューした結果、57例(0.79%)の突然死を特定した。そのうち51例(89.5%、55.9±9.4歳、男性56.9%)の患者について剖検が行われていた。・剖検データに基づく分析の結果、突然死の原因は、ほとんどが心血管疾患(62.8%)であることが判明した。また特異的要因としては、心筋梗塞(52.9%)、肺炎(11.8%)、気道閉塞(7.8%)、心筋炎(5.9%)、拡張型心筋症、心膜血腫、肺塞栓症、出血性脳卒中、脳腫瘍(それぞれ2.0%)などであった。・突然死のうち6例(11.8%)は原因が不明であった。しかしそのうち3例は、剖検で冠動脈硬化症の所見がみられたことが記録されていた。・心筋梗塞の有無にかかわらず、患者の年齢、性別、喫煙歴、BMI、精神科治療は類似していた(p≧0.10)。 以上の結果より、統合失調症入院患者の突然死発生率は0.8%で一般住民における発生率よりもかなり多いことや、死因としては急性心筋梗塞が大半(52.9%)を占めていたことなどが明らかとなった。結果を踏まえて著者は、「統合失調症成人患者について、CADに対する速やかな認識と治療を臨床的優先事項としなければならない」とまとめている。関連医療ニュース 抗精神病薬の高用量投与で心血管イベントリスク上昇:横浜市立大 統合失調症患者、合併症別の死亡率を調査 救急搬送患者に対する抗精神病薬の使用状況は

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非定型抗精神病薬、小児への適応外使用の現状

 過去20年間における非定型抗精神病薬使用の増大は、注意欠陥・多動性障害(ADHD)を含む未承認適応での頻度が顕著に認められているという。米国・メリーランド大学のMehmet Burcu氏らは、非定型抗精神病薬の使用について、年齢群、メディケイド適格カテゴリー群、またADHDを有さない若者において特徴づける検討を行った。その結果、とくにフォスターケア(里親制度)の小児およびADHDと診断された小児において、長期的な効果、安全性、適切な心臓代謝モニタリングの監督に関するアウトカムについて、探求すべき根拠が認められたことを報告した。Journal of Child and Adolescent Psychopharmacology誌オンライン版2014年4月1日号の掲載報告。 2006年に米国中西部州のメディケイドプログラムに、連続的に登録された2~17歳26万6,590例の診療データを用いて、非定型抗精神病薬使用日数の中央値を二変量分析および多変量分位点回帰にて評価した。また、精神疾患合併の既往はなかったがADHDと診断された若者(非併存例のADHD)のサブ分析を行い、年齢特異的補正後オッズ比やメディケア適格カテゴリー別にみた非定型抗精神病薬の使用期間中央値を評価した。さらに非定型抗精神病薬療法の単剤投与の使用パターン、2剤併用のパターンを明らかにする評価も行った。 主な結果は以下のとおり。・全体的に、非定型抗精神病薬の年間使用期間中央値は、180日(四分位範囲:69~298日)だった。・小児(2~12歳)における使用期間は中央値192日で、年長者(13~17歳)の同179日よりも長期間であった。・精神疾患合併はないがADHDと診断されたフォスターケアの若者の非定型抗精神病薬の使用に関する補正後オッズ比は、所得適格のメディケイドカテゴリー群に登録された若者における使用と比べて、3倍以上であった。・精神疾患合併はないがADHDと診断されたフォスターケアの若者のおよそ3分の1が、年齢に関係なく非定型抗精神病薬を使用していた。そのうち2~12歳における年間使用日数は、中央値250日超であった。・非定型抗精神病薬の併用療法では、リスペリドン、アリピプラゾール、クエチアピンの頻度が最も高くみられた。関連医療ニュース 抗精神病薬治療中の若者、3割がADHD 小児・思春期の双極性障害に対する非定型抗精神病薬vs気分安定薬 若年発症統合失調症への第二世代抗精神病薬治療で留意すべき点

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