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認知症への運動療法、効果はあるのか

 最近の複数の研究とシステマティック・レビューにおいて、認知症患者に対する運動の効果について信頼性の高い結果が報告されている。カナダ・アルバータ大学のDorothy Forbes氏らは、認知症高齢者に対する運動の効果について、患者および介護者の両面から明らかにするためメタ解析を行った。その結果、運動プログラムが認知症患者の日常生活動作を改善する可能性、および認知機能、神経精神症状、抑うつに対する運動の効果に関するエビデンスは認められなかったことを報告した。Cochrane Database Systematic Reviewsオンライン版2015年4月15日号の掲載報告。 本報告は、2013年に行ったレビューのアップデートであった。「認知症高齢者に対する運動プログラムは認知機能、日常生活動作(ADLs)、神経精神症状、抑うつ、死亡率を改善するか?」の検討を主要目的とした。また、「認知症高齢者に対する運動プログラムは家族介護者の負担、QOL、死亡率に対し間接的に影響を及ぼすか?」、「認知症高齢者に対する運動プログラムは、患者および家族介護者の医療サービス(救急科への来院など)の使用回数を減らすか?」などの検討を副次目的とした。 2011年9月4日、2012年8月13日、2013年10月3日にALOIS、Cochrane Dementia and Cognitive Improvement Group's Specialised Registerの検索を行い、無作為化比較試験を検索した。適格条件は、認知症と診断された高齢者を対象とし、認知機能、ADLs、神経精神症状、抑うつ、死亡率の改善を目的として、運動群と対照群(通常治療あるいは社会的コンタクト/活動)に割り付けて検討しているものとした。副次アウトカムには家族介護者に関連する項目(介護者の負担、QOL、死亡率、医療サービスの使用)とした。 2人以上の評価者が、独立して検索文献の評価を行い、方法論的質の評価を行ったうえで、データの抽出を行った。効果の要約に関するデータを分析し、連続データについては平均差または標準化平均差(SMD)を算出し、試験間に大きな不均一性が認められなければ固定効果モデルを用いて各アウトカムのデータを統合し、それ以外の場合はランダム効果モデルを用いた。認知症の重症度とタイプ、そして運動プログラムの内容・回数・期間に関連した不均一性を調査した。また、有害事象の評価も行った。 主な結果は以下のとおり。・17件、1,067例が選択基準に合致した。しかし、3件の試験における必要なデータおよび4件目の試験データには公表されてないものがあり、利用できなかった。・認知症サブタイプと重症度、そして運動の内容、期間、回数などの点において、試験間に顕著な不均一性がみられた。・2件の試験のみが在宅患者を対象としていた。・メタ解析により、運動による認知機能への効果を示す明確なエビデンスは確認されなかった。運動群と対照群における推定標準化平均差は0.43(95%CI:-0.05~0.92、p=0.08、9試験、409例)であった。しかし、きわめて高い不均一性が認められ(I2値80%)、そのほとんどが説明不能であり、エビデンスの質は非常に低かった。・6件の試験の被験者289例において、運動プログラムが認知症患者のADLに効果的に働くことが判明した。運動群と対照群の間の推定標準化平均差は0.68(95%CI:0.08~1.27、p=0.02)であった。しかし、このメタ解析でも、説明できない高い不均一性が認められ(I2値77%)、エビデンスの質は非常に低いと評価された。・さらに詳細な分析において、1件の試験で、自宅で介護を行う家族介護者が認知症家族の運動プログラムへの参加を指導する立場にある場合、介護者としての負担が減少する可能性がみられた。運動群と対照群の間の平均差は-15.30(95%CI:-24.73~-5.87、1試験、40例、p=0.001)であった。同試験において明らかなバイアスリスクは認められなかった。・さらに、運動が神経精神症状(MD:-0.60、95%CI:-4.22~3.02、1試験、110例、p=0.75)あるいは抑うつ(SMD:0.14、95%CI:-0.07~0.36、5試験、341例、p=0.16)に有効であることを示す明らかなエビデンスはみられなかった。その他のアウトカム、QOL、死亡率、医療コストに関しては、適したデータが報告されていなかった、あるいはこれらのアウトカムを扱った試験を検索していなかったかのどちらかの理由により評価できなかった。関連医療ニュース 認知症、早期介入は予後改善につながるか 適切な認知症薬物療法を行うために 歩くスピードが遅くなると認知症のサイン  担当者へのご意見箱はこちら

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統合失調症患者の自殺企図、家族でも気づかない:東邦大学

 未治療の統合失調症では多くの場合、周囲の人たちは、患者の精神症状や自殺企図の可能性を認識できていない。東邦大学の山口 大樹氏らは、致死的な自殺企図を経験した未治療の統合失調症患者において、主観的な経験と観察された行動との間に矛盾があるかを質的パイロット研究により調査した。Annals of general psychiatry誌オンライン版2015年4月15日号の報告。 自殺企図時の主観的経験を検討するために、直近に致死的な自殺企図を経験した未治療の統合失調症患者7例を対象に半構造化インタビューを行った。また、患者家族に対して、患者の精神症状や自殺念慮を認識していたかを評価するため、インタビューを実施した。インタビューデータは質的に分析した。 主な結果は以下のとおり。・6例の被験者は、自殺関連の念慮を示す際、精神症状の悪化を経験した。・1例は、自殺を試みる前に、長期の抑うつ状態になっていた。・すべての患者が、精神症状や抑うつ気分による重度な苦痛を経験していたが、助けを求める行動は、低レベルまたはまったくない状況であった。・7家族中6家族は、患者の精神状態の変化を認識していなかった。 結果を踏まえ、著者らは「統合失調症患者の助けを求める行動が見過ごされないように、疾患に関する適切な情報が一般に提供されるべきであり、精神疾患のための利用しやすい早期介入サービスの確立が求められる」とまとめている。関連医療ニュース 日本人統合失調症患者の自殺、そのリスク因子は:札幌医大 日本人統合失調症患者における自殺企図の特徴は?:岩手医科大学 統合失調症の自殺にプロラクチンは関連するのか  担当者へのご意見箱はこちら

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SSRI抵抗性、脳内ヒスタミンが関与か

 治療抵抗性うつ病の背景に存在する神経生物学的変化については、不明な部分が多い。一方で選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)不応については、ヒスタミンなどのセロトニン作動性神経を活性化する神経伝達物質システムの異常に起因している可能性がある。イタリア・フィレンツェ大学のLeonardo Munari氏らは、ヒスタミン合成不能マウスモデルを用いて、抗うつ薬抵抗性のメカニズムについて検討を行った。その結果、ヒスタミン合成不能マウスにおいて、レボキセチンやイミプラミンは抗うつ効果を発揮することが示唆された一方、SSRIはセロトニン作動性神経系が機能している場合でも効果が認められなかった。International Journal of Neuropsychopharmacology誌オンライン版2015年4月21日号の掲載報告。  研究グループは、ヒスタミン合成不能マウスを用い、行動的(尾懸垂試験)および神経化学的(in-vivoマイクロダイアリシス法、ウエスタンブロット解析)アプローチによる検討を行った。 主な結果は以下のとおり。・検討により、SSRI(シタロプラムまたはパロキセチン)の抗うつ効果は、ヒスチジン脱炭素酵素遺伝子(HDC, -/-)の標的破壊、あるいはこの酵素の自殺阻害剤であるα-フルオロメチルヒスチジン(α-FMHis)の注入により阻害されることが確認された。・尾懸垂試験では、検討したすべての種類の抗うつ薬において、対照群と比べ無動時間の短縮が認められた。・ヒスタミン合成不能マウスにおいて、レボキセチンまたはイミプラミンの全身投与は無動時間を短縮させたが、SSRIsはセロトニン作動性神経系が機能している場合でも効果が認められなかった。・in-vivo マイクロダイアリシスの実験において、シタロプラムは、自由行動下マウスの大脳皮質における神経外ヒスタミン濃度を有意に増加させ、メチセルジド、5-HT1/5-HT2受容体アンタゴニストはこの効果を阻害した。これは、内因性セロトニンの関与を示唆するものであった。・ヒスタミン欠損マウスにシタロプラムを投与したところ、抗うつ薬の分子レベルでのメカニズムに関連するCREBのリン酸化が阻害された。 ・8-Br-cAMPの投与によりCREB経路のリン酸化が亢進したため、HDC-/-マウスではCREB経路に障害はなかった。・また、尾懸垂試験では、いずれの遺伝子タイプのマウスにおいても、無動時間が有意に減少した。・以上の結果から、SSRIsがその前臨床反応を引き出すためには、脳内ヒスタミン系が完全に機能していることの必要性が示唆された。 結果を踏まえて、著者らは「とくにSSRIでは、脳内ヒスタミンによる神経伝達物質経路の異常が治療抵抗性の一因となっている可能性が示唆された」と報告している。関連医療ニュース 難治性うつ病に対する効果的な治療は何か 治療抵抗性うつ病に対し抗精神病薬をどう使う 難治性うつ病発症に肥満が関連か  担当者へのご意見箱はこちら

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うつ病 症状の有無のみの治療評価は危険

 2015年5月8日、都内にて「うつ病における社会機能回復の重要性」をテーマにプレスセミナー(主催:ファイザー株式会社)が開催された。本セミナーにおいて、日米間で異なるうつの治療環境や、うつ病の再発を防ぐための考え方が紹介された。今回は、デイビッド・シーハン氏(米国・南フロリダ大学 精神医学行動医学センター 教授)の講義に注目し、概要を紹介する。日米間で異なるうつの治療環境 うつ病を患う労働者は、日米において異なる治療環境にあるという。日本ではうつと診断されると医師より休職を勧められるのに対して、米国では労働を休むことなく外来にて治療していくケースが大多数を占める。これには、米国が厳しい競争主義の状況下にあり、十分に働けない者は自分の地位を失うという厳しい現状が背景にあるようだ。しかし、うつ病に苦しむ患者への社会的な支援があまり大きくない点は日米間で共通しており、それぞれの国においてうつ病の発症・再発予防の必要性が再認識されつつある。うつ病を評価するための指標 うつ病は症状の有無だけでなく、社会機能障害も含めたリスク管理を行う必要がある。うつ病を評価するための指標として、シーハン氏は自身が考案したシーハン障害尺度(Sheehan Disability Scale:SDS)を紹介した1)。この指標は疼痛評価における視覚的評価スケール(Visual Analog Scale:VAS)と同様に社会機能障害を数字で評価することができる。その簡便さと治療効果に対する正確性ゆえに、現在米国においてこの指標が広まりつつあるという。うつ病を再発させないために シーハン氏によると、患者個人で苦しむのではなく、まずは医師に相談すること、医師と共に問題解決を行っていくことが大切だという。また、抗うつ薬治療の安易な中断は再発のリスクを高める。身体症状や精神症状が軽減されてもSDSなど各種尺度を用いた社会機能障害を含めたうつの評価と、十分な期間の薬物治療の継続が必要となる。また、日本では、平成27年12月1日より労働者50人以上の企業に対して企業ストレスチェックが義務化されるため2)、この制度を活用してうつ病を1次予防していくこともポイントとなってくる。 シーハン氏は、「一般に抗うつ薬は効果を発揮するのに4~6週間かかる傾向にあるが、それまでに治療を中断されることもある。きちんとした治療を続ければ続けるほどうつ病の再発を抑えることができる。患者が医療従事者と協力し、治療を継続できるような支援体制を整え、患者1人で頑張らせる治療からシフトしていくべきだ」とメッセージを送り、講演を締めくくった。

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認知症ドライバーの運転能力、どう判断すべきか

 認知症高齢者は、危険運転のリスク群であるが、すべての認知症タイプにおいて同様であると考えてよいのだろうか。オランダ・フローニンゲン大学のDafne Piersma氏らは、認知症の病因が異なっても運転能力に同様の影響があるのかを検討するため、文献レビューを行った。Traffic Injury Prevention誌オンライン版2015年4月15日号の掲載報告。 レビューは、PubMed、PsychINFO、Google Scholarを介して、認知症の病因と運転に焦点を当てた試験を特定して行った。 主な結果は以下のとおり。・初期症状と予後は、病因が異なる認知症間で異なっていた。・認知症の病因ごとに、運転への適応度が異なる可能性が示唆された。さらに、認知症の病因ごとに、起こりうる運転問題のタイプを予測できる可能性がある。・一方で、認知症のほぼすべての病因において、運転への影響に関するデータや知識はかなり不足していた。・1つの仮説として、アルツハイマー型認知症患者は、ルートを見つけるといった戦略的側面の困難さに苦しめられる一方、前頭側頭型認知症患者は、危険認知機能が障害され戦術レベルに誤りを来しやすい傾向があると考えられた。・また、運動症状を伴っているその他の病因を有する認知症患者は、運転操作レベルでの問題が生じる可能性があった。・しかしながら、認知症のさまざまな病因の運転への影響について、十分に検討されたものはなかった。・認知症患者の運転における問題を検出するために、患者のみならず家族も含めた構造的インタビューが重要だと思われた。・神経心理学的評価は、認知障害を識別する根拠となりうる。また、そのような障害の運転への影響については、運転シミュレーターによっても調査可能であり、運転シミュレーターでは運転行動における長所と短所の観察が可能であった。・これらの知識を用いて、患者の運転適応度や運転サポートの選択(補完技術、自動車の補助機能など)についてアドバイスが可能であった。・しかしながら、運転適応度の評価について、妥当性があり信頼性が高く、広く認められた試験がない限り、コストを要するオンロード運転検査を行うしかない。・認知症の病因の違いが考慮された認知症患者の運転適応検査が開発されれば、オンロード運転検査の代替となりうる。関連医療ニュース 認知症タイプ別、各認知機能の経過を比較 認知症患者が車で徘徊、発見方法は? 重度の認知障害を有する高齢者、視力検査は行うべき

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パートナーのうつ病は、うつるのか

 カップル間において、一方のうつ病はもう一方の適応障害のリスク因子となることを、スイス・チューリッヒ大学のAndrea B. Horn氏らが報告した。研究グループの検討では、このことはとくに男性に当てはまったという。適応障害は、ストレスフルなことに適切に対処できないことが診断理由である傾向が高い。一方で、臨床的に問題となる不適応を招く社会的リスクについては、ほとんどわかっていないが、文献的考察で、カップル間のコミュニケーションにおけるうつ病の影響やサポート状況の変化が示唆されていた。Psychother Psychosomatik Medizinische Psychologic誌オンライン版2015年3月30日号の掲載報告。男性パートナーがうつの場合は有意な関連がみられない 研究グループは、カップルにおいて臨床的に問題となるうつ病は、適応障害のリスク因子であり、ストレス反応障害をもたらすかどうかについて検討した。さらに、パートナーのうつ症状と自身の適応障害との関連の大きさについても検討した。それに関連して、単なるうつ感染を除外し、ストレス反応を切り離すため、自身のうつ症状について調整を行った。 カップルにおいて一方のうつ病がもう一方の適応障害のリスク因子となるのか検討した主な結果は以下のとおり。・オンラインカップル研究法にて検討した。294例(147組)が参加した。・152例が、今なお悩まされているストレスフルな出来事の経験があると報告した。・そのうち28例が、スクリーニング質問票のAdjustment disorder New Moduleで診断できうる閾値に達していた。・また、14例のパートナーが、CES-Dのカットオフ値を上回るうつ症状を報告した。・適応障害のリスクは、パートナーが女性であり、臨床的に問題となるうつ症状レベルを報告した場合に有意に上昇した(OR:7.13)。この関連は、女性パートナーがうつであった場合に限られ、男性パートナーがうつの場合は、いずれの有意な関連もみられなかった。・以上より、女性パートナーのうつ症状と、関心事(ストレス要因となる反復的でネガティブな考え方)への適応症状との間に、正の関連があることが示された。・パートナーのうつ病は、ストレスフルな出来事に対する不適応反応の有意なリスク因子になると思われた。・本検討により、研究や臨床的介入において対人関係を見据えることが重要であることが示唆された。関連医療ニュース 仕事と家庭の両立への悩み、女性ではうつ病リスク ロマンチックな恋愛は幸せか スタイルを気にしすぎる女性はうつに注意を  担当者へのご意見箱はこちら

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統合失調症の社会参加に影響する症状は何か

 認知機能、陰性症状、抑うつは統合失調症における障害の潜在的な予測因子である。米国・マイアミ大学のMartin T. Strassnig氏らは、さまざまな障害とそれを決定付ける潜在的な要因を評価した4件の研究の統合解析から、認知機能に関する治療は社会的機能にあまり影響しないことを示した。このことは、統合失調症における認知障害の治療に関する先行研究と一致するもので、著者は、「統合失調症の特徴は認知障害ではなく、陰性症状が社会的予後と関連していることであり、この特徴に応じて治療に取り組まなくてはならない」との見解を示した。Schizophrenia Research誌オンライン版2015年4月10日号の掲載報告。 研究グループは、陰性症状が社会的予後を、認知機能と身体機能が職業的機能と日常生活を予測するという仮説を立て、4件の別個の研究データ(すべて170例以上、合計821例)の統合解析を行った。社会的および職業的予後に関する日常機能は、臨床医が情報提供者への聞き取りによって評価したものであり、日常生活は、認知機能および身体機能の検査で観察し、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)および自己申告による抑うつ症状の有無で臨床的に評価した。そのうえで、前述の仮説を検証する特異的モデルを算出し、陰性症状・抑うつ・認知機能・身体機能が、日常機能のあらゆる側面に同等に影響するという一般的な予測モデルと比較した。 主な結果は以下のとおり。・特異的モデルはデータと適合しており、4件すべての標本において同様に適合することが確認された。・相対適合度を分析したところ、特異的モデルは一般的な予測モデルよりデータと良く適合することが示唆された。・陰性症状は社会的機能を予測するが、認知機能障害に対する治療は他の障害ほどは社会的機能に影響しない可能性が示唆された。関連医療ニュース 統合失調症の陰性症状に対し、抗うつ薬の有用性は示されるのか 統合失調症の陰性症状改善は何と相関するか 厚労省も新制度義務化:精神疾患患者の「社会復帰」へ  担当者へのご意見箱はこちら

4708.

反復性うつ病の再発予防にマインドフルネス?(解説:岡村 毅 氏)-357

 近年、精神科にとどまらず、社会的に大きく注目されているマインドフルネスが、3回以上の重症うつ病エピソードを持つ反復性うつ病性障害(現在は完全寛解あるいは部分寛解)の再発予防において、抗うつ薬による維持療法と同等の効果を持つことを報告する論文である。 ところで、私は仏教の社会的貢献活動をなさっている僧侶の方々と親しくしているが、先日会った際にちょうどマインドフルネスが話題になった。彼らによれば、マインドフルネスとは禅そのものであるとのことだ。  私は認知症や公衆衛生を専門としており、マインドフルネスには明るくないことを最初に開示しておく。認知症領域ではreligiosity/spiritualityが、(1)認知症の予防効果がある、(2)認知症ケアラーのストレス緩衝作用がある、ということからいくらか注目されている。(2)はソーシャルサポートなどを考えれば容易に納得ができようが、(1)に関しては、たとえば「倫理的なことなどの抽象的なことを考えると良い知的刺激になる」、「良い感情を持つことがストレスホルモンとの関連から脳保護的」などの知見があるらしい。門外漢が勝手なことをいわせてもらえるならば、いま、ここ、に集中するマインドフルネスが、心の平安に有効であるのは、自明であるように個人的には思う。  さて、本論文では、マインドフルネスと抗うつ薬維持療法の同等の効果が報告されている。寛解が続く場合は、英国NICEガイドラインではおよそ2年維持療法をしてから治療の終了を検討するとなっているが、英国でも実際は自己判断でやめてしまう患者さんが多いとのことである。したがって、効果が長く期待できる心理的介入が求められているというのがこの研究の動機である。 再発を繰り返す反復性うつ病性障害は難治性であるのだから、つまり、適切な薬物治療をしているにもかかわらず再発を繰り返して苦しんでおられる方がいるのであるから、薬物治療以外の選択肢が有効であることが示されたのは喜ばしい。患者さんにとっても、また医師にとっても朗報と思う。 一方で、本研究でも再発率は44%あるいは47%といずれの群でも高く、本論文を読んで「やはりマインドフルネスが最高だ」という早とちりをしないことが重要である。あくまで同等(どちらも半分程度の方には効果がある)といっているに過ぎない。 個人的には以下のように考えている;正統派の臨床精神科医は2つの認知の歪みと戦わなければならない。すなわち、薬物治療が悩みをすべて解決してくれるはずという考え方と、薬物治療は無益であり一切不要だという考え方である。初回のうつ病エピソードなら薬物療法だけで良くなる可能性は高いので、きちんと普通に治療したほうがよい。しかし、再発を繰り返す場合は残念ながら今後も繰り返す可能性はあるので、非薬物的介入や、生活を変えること、価値観を変えることも時には必要かもしれない。今回のエビデンスは後者の枠組みでのお話である。 ただし、わが国において一定の質を担保したうえでの保険診療の枠内あるいは周辺でのマインドフルネスの提供体制の構築となると、これは私には何も書くことができない問題だ。

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若者の新型うつ病へのアプローチとなりうるか

 日本では、とくに若者の間で「新型うつ病」や「ひきこもり(6ヵ月以上持続している重度の社会的なひきこもり)」と表現される新たな精神医学的事象が報告されてきている。信頼ゲームと呼ばれる経済ゲームが現実社会における対人関係の評価に利用できることから、早稲田大学高等研究所の渡部 幹氏らは、大学生を対象に予備的研究を行った。その結果、信頼行動が精神医学的評価スケールと関連していることを報告した。著者は、「新型うつ病やひきこもり等の人々における経済ゲームの妥当性が研究されるべきである」とまとめている。PLoS One誌オンライン版2015年4月2日号の掲載報告。 研究には、日本人大学生81人が参加した。ゲームの相手40人の写真を提示した後に、その写真を参考にお金をいくら提供するかを決定してもらい、Lubben Social Network Scale(LSNS)-6およびPatient Health Questionnaire(PHQ)-9を含む7つの評価スケールに回答してもらった。 結果は以下のとおり。・先行研究と同様に、男子学生のほうが女子学生よりも相手を信頼した。・回帰分析の結果、男子学生ではLSNS-6の「家族」(家族からのサポートの認知)が、女子学生ではPHQ-9の項目8(主観的な焦燥性興奮や遅延)が、それぞれの信頼行動と関連していた。・男子学生において、家族からのサポートは家族以外の人への協力行動と、負の相関を示した。これは社会科学者の主張と一致した。・主観的な焦燥性興奮(および/または遅延)がより強い女子学生は、対人関係において魅力が少ない女性に対してよりも、男性およびより魅力的な女性に対してお金をあまり提供しなかった。関連医療ニュース 若年者への抗精神病薬使用、93%は適応外処方 大うつ病性障害の若者へのSSRI、本当に投与すべきでないのか? 若年男性のうつ病予防、抗酸化物質が豊富な食事を取るべき  担当者へのご意見箱はこちら

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統合失調症への支持療法と標準的ケア、その差は

 英国・チェリイ・ノウル病院のLucy A Buckley氏らは、統合失調症に対する支持療法の有効性を、その他の治療法と比較するレビューのアップデートを行った。24件の無作為化試験(RCT)を組み込み評価した結果、標準的ケアとの比較では再発、入院、全般的機能に有意差は認められず、また心理的あるいは心理社会的療法のほうが入院、精神状態の改善、患者の治療満足度において有意に良好であったという。ただし、いずれの試験もエビデンスの質がきわめて低いものであったため、支持療法とその他の治療法との差異を明確化するには至らなかったと述べている。Cochrane Database Systematic Reviewオンライン版2015年4月14日号の掲載報告。 レビューは、Cochrane Schizophrenia Group's register of trials(2012年11月)のデータを検索して行った。統合失調症患者を対象とし、支持療法とその他の治療あるいは標準的ケアを比較検討したすべてのRCTを検索対象とした。信頼性の高いソースから試験を選択し、質の評価ならびにデータを抽出。固定効果モデルを用いてリスク比(RR)および95%信頼区間(CI)を推算した。可能な限りintention-to-treat解析を実施した。連続データについては主に固定効果の平均差(MD)をCIと共に算出した。不均質性、公表バイアスも算出し、GRADEを用いてエビデンスの質を評価した。 主な結果は以下のとおり。・2012年以降に4件の新規試験が追加され、本レビューでは妥当な研究24件(2,126例)を対象とした。全体的に、エビデンスの質はきわめて低かった。・主要アウトカムである再発、入院、全般的機能において、支持療法と標準的ケアの間に有意差は認められなかった。・一方、心理的あるいは心理社会的療法は、支持療法と比べて有意に良好な成績であることが示された。すなわち、入院率(4件、306例、RR:1.82、95%CI:1.11~2.99、エビデンスの質は非常に低い)、精神状態の臨床的改善(3件、194例、RR:1.27、95%CI:1.04~1.54、エビデンスの質は非常に低い)、患者の治療満足度(1件、45例、RR:3.19、95%CI:1.01~10.7、エビデンスの質は非常に低い)において有意差が認められた。・再発率、試験からの早期脱落、QOLに関して有意差は認められなかった。・支持療法を認知行動療法(CBT)と比較した場合も、主要アウトカムに有意差は認められなかった。・支持療法を家族療法および心理教育療法と比較したデータはきわめて限定的であり、関心の高い主要アウトカムの1つである全般的機能に関しては、いずれの研究においても臨床的に重要な変化を示すデータはなかった。・支持療法と標準的ケアのアウトカムにおける差異を明確にするにはデータが不十分であった。・入院、全般的な精神状態など、支持療法に比べ、その他の心理療法のほうが優位であることを示すアウトカムが複数認められた。しかしこれらの結果は、エビデンスの質が非常に低いと評価された数少ない小規模試験に基づいたものであった。支持療法を比較対照群とせず、主要な治療群に設定した大規模試験により研究を進めることで、成果が期待できるであろう。関連医療ニュース 統合失調症の妄想低減へ、新たな介入方法 統合失調症治療、家族への介入に効果はあるか 重度アルツハイマー病に心理社会的介入は有効か:東北大  担当者へのご意見箱はこちら

4711.

アリピプラゾール、脳卒中後の抑うつに対するメカニズム

 虚血性脳卒中後、うつ病を発症することは少なくない。虚血性脳卒中の発作後、慢性弱ストレス(chronic mild stress:CMS)が加わることにより抑うつに進展するか否かに関し、韓国・釜山大学校のYu Ri Kim氏らは、マウスを用いて検討を行った。その結果、発作後のCMSにより生じるドパミン作動性ニューロン損傷や海馬におけるニューロン新生低下をアリピプラゾールが回復させ、抗うつ作用を発揮する可能性を示唆した。Behavioural Brain Research誌2015年7月号の掲載報告。 マウスを用い、CMS、左中大脳動脈閉塞(MCAO)、MCAO後のCMS(MCAO+CMS)の各種条件下におけるうつ障害を、行動学的および病理組織学的分析により評価した。抑うつスクリーニングテストとしてオープンフィールドテスト、スクロース嗜好性試験、強制水泳試験、モリス水迷路試験を実施した。 主な結果は以下のとおり。・MCAO+CMSマウスはMCAOマウスに比べ、有意な抑うつ行動を示した。・MCAO+CMSマウスはCMSマウスに比べ、強制水泳試験およびモリス水迷路試験において明らかな障害を示した。・病理組織学的分析において、MCAO治療マウスはCMSマウスに比べ、線条体と中脳に顕著な萎縮性変化が認められた。・MCAO+CMSマウスはCMSあるいはMCAO単独治療マウスに比べ、中脳におけるドパミン作動性ニューロンの損傷と線条体および海馬における神経細胞の増殖および分化の減少が顕著に認められた。・MCAO+CMSマウスをアリピプラゾールで治療したところ、評価したすべての抑うつ行動が減少し、とくにモリス水迷路テストにおいてその効果がみられた。・中脳におけるドパミン作動性ニューロンの損傷回復および海馬におけるニューロン新生の増強も示された。関連医療ニュース 日本人うつ病患者に対するアリピプラゾール補助療法:名古屋大学 難治性うつ病にアリピプラゾールはどの程度有用か 抗精神病薬間で虚血性脳卒中リスクに違いはあるか

4712.

難治性うつ病発症に肥満が関連か

 肥満と大うつ病性障害(MDD)は公衆衛生上の大きな問題である。MDDは不均一な疾患であり、反復性MDD(MDD-R)と単一エピソードのMDD(MDD-S)とでは病因や予後が異なることが知られているが、肥満との関連性についてのエビデンスは不十分である。オランダ・フローニンゲン大学のYeshambel T Nigatu氏らは、一般住民を対象とした大規模観察研究において、肥満がとくにMDD-Rの発症と関連している可能性があることを明らかにした。結果を踏まえて著者は、「この問題を十分に評価するためにはさらなる大規模研究が必要であり、MDDに対する肥満の影響を調べる場合はMDDの不均一性を考慮すべきである」とまとめた。BMC Public Health誌オンライン版2015年4月10日号の掲載報告。 研究グループは、PREVEND研究に参加した1,094例を対象とし、ベースラインおよび平均2年の追跡期間後のデータを分析した。MDD-SとMDD-Rの評価にはComposite International Diagnostic Interview(CIDI 2.1)を使用した。肥満はBMI 30以上と定義した。肥満がMDD-S/MDD-Rを予測するか、またはその逆の予測がなされるかどうかについて、潜在的交絡因子補正後、バイナリロジスティック回帰分析を用いて検討した。 主な結果は以下のとおり。・予測分析において、ベースラインのBMIと追跡期間中のMDD-R発症の関連が示された(OR 1.32、95%信頼区間[CI]:1.11~1.57)。・しかし、MDD-S発症との関連は示されなかった(OR 0.98、95%CI:0.89~1.07)。・ベースラインの肥満は、追跡期間中のMDD-S発症と関連していなかった(OR 0.75、95%CI:0.25~0.23)。しかし、追跡期間中のMDD-R発症とは関連していた(同:11.63、1.05~128.60)。・2年の追跡期間中、MDD-SとMDD-Rのいずれも、追跡期間中の肥満への進展とは関連していなかった(それぞれOR 1.67、95%CI:0.64~4.29およびOR 2.32、95%CI:0.82~6.58)。関連医療ニュース うつ病と双極性障害を見分けるポイントは 少し歩くだけでもうつ病は予防できる 難治性うつ病に対する効果的な治療は何か  担当者へのご意見箱はこちら

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アルツハイマーへのリバスチグミン、その有用性は

 英国・オックスフォード大学のJacqueline S Birks氏らは、アルツハイマー型認知症(AD)に対するコリンエステラーゼ阻害薬リバスチグミンの臨床での有効性と安全性を確認するレビューを行った。13試験を包含した解析の結果、同薬は軽症~中等度ADに有益と思われること、プラセボとの比較で認知機能やADLの低下に対して効果があることが観察されたが、その程度はわずかで臨床的意義については不確かであることなどを報告した。Cochrane Database Systematic Reviewsオンライン版2015年4月10日号の掲載報告。 レビューは、2015年3月2日時点でALOIS、Cochrane Dementia and Cognitive Improvement Group Specialized Registerを検索して行った。AD患者へのリバスチグミン治療について12週以上の検討を行っており、効果についてプラセボ並行群比較を行っている、またはリバスチグミンの2製剤が比較検討されているすべての非交絡二重盲検無作為化対照試験を適格とした。試験適格基準の判定、試験の質の評価、データ抽出は、1人のレビュー著者(筆頭執筆者)が行った。13試験が適格基準を満たして組み込まれた。試験期間は12~52週。古い年代の試験では12mg/日用量のカプセル剤の検討が行われており、2007年以降は、4.6、9.5、17.7mg/日の経皮パッチ製剤による検討が報告されていた。主要解析では、リバスチグミン経口投与6~12mg/日もしくは経皮的投与9.5mg/日の安全性および有効性について、プラセボと比較検討した。 主な結果は以下のとおり。・解析には、7試験3,450例のデータが組み込まれた。すべてが多施設試験で、被験者のAD程度は軽症~中等度、平均年齢は約75歳であった。・治療26週後、リバスチグミン群はプラセボ群と比較して、認知機能(ADAS-Cog評価で平均差[MD]:-1.79、95%信頼区間[CI]:-2.21~-1.37;6試験3,232例)、Mini-Mental State Examination(MMSE)スコア(MD:0.74、95%CI:0.52~0.97;6試験3,205例)、ADL(標準化平均差[SMD]:0.20、95%CI:0.13~0.27;6試験3,230例)について、より良好なアウトカムと関連していた。・また、変化なし、あるいは悪化したリバスチグミン治療患者の割合は小数であり、医師による全般印象度の変化が認められた(オッズ比[OR]:0.68、95%CI:0.58~0.80、7試験3,338例)。・行動変化は3試験で報告されていた。プラセボとの差はみられなかった(SMD:-0.04、95%CI:-0.14~0.06、3試験1,529例)。・介護者への影響の評価は1試験で報告されていた(NPI-D尺度を利用)。プラセボとの差はみられなかった(MD:0.10、95%CI:-0.91~1.11、1試験529例)。・全体として、リバスチグミン群の被験者のほうが、試験脱落者(OR:2.01、95%CI:1.71~2.37、7試験3,569例)、試験期間中の有害事象経験者(同:2.16、1.82~2.57、7試験3,587例)が約2倍多かった。・副作用は、経皮パッチ剤のほうがカプセル剤よりも少ないようであったが、有効性は類似していた。・エビデンスの質はレビューされたすべてのアウトカムに関して、途中脱落者によるバイアスリスクのため、中程度であった。・分析に含まれた試験はすべて、企業による資金提供または後援があった。・本レビューでは、経済データについては検討されなかった。関連医療ニュース 抗認知症薬4剤のメタ解析結果:AChE阻害薬は、重症認知症に対し有用か アルツハイマー病への薬物治療は平均余命の延長に寄与しているのか:東北大学 アルツハイマー病の早期ステージに対し、抗Aβ治療は支持されるか

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日本人難治性てんかん、レベチラセタムは有用か

 静岡てんかん・神経医療センターの井上 有史氏らは、日本人の成人難治性部分てんかん発作患者を対象に二重盲検プラセボ対照検証的試験を行い、レベチラセタム追加投与の有効性と安全性を検討した。その結果、主要有効性解析においてレベチラセタム群とプラセボ群の間で有効性に有意差は認められなかったが、探索的解析においてレベチラセタム3,000mg群はプラセボ群に比べ有意な発作減少が確認されたことを報告した。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2015年4月8日号の掲載報告。 日本人の成人難治性部分てんかん発作患者に対するレベチラセタム追加投与の有効性と安全性を検討するため、二重盲検プラセボ対照検証的試験を行った。適格例をレベチラセタム500、1,000、2,000、3,000mg/日群、またはプラセボ群に無作為に割り付け、16週間投与した。主要評価項目は、12週の評価期間における1週間当たりの発作頻度のベースラインからの減少率とした。忍容性についても評価を行った。そして、本結果と過去の無作為化二重盲検試験の結果を比較した。 主な結果は以下のとおり。・スクリーニングを行った401例のうち352例が無作為に割り付けられ、316例が試験を完了した。・1週間当たりの発作頻度のベースラインからの平均減少率は、プラセボ群の12.50%に対し、レベチラセタム500 mg/日群は12.92%、以下1,000mg/日群18.00%、2,000mg/日群11.11%、3,000mg/日群31.67%であった。・過去に実施された試験と異なり、レベチラセタム1,000および3000mg群とプラセボ群を比較した主要有効性解析において、統計学的有意差は認められなかった(p=0.067)。 ・探索的解析において、レベチラセタム3,000mg群とプラセボ群の発作減少率の差は14.93%(95%信頼区間:1.98~27.64、p=0.025)であった。・レベチラセタムの、すべての用量群で忍容性は良好であった。・2件の試験における主な違いは、今回の試験でプラセボ群の反応性が高かったことであった。・結果を踏まえて著者は「主要有効性解析では統計学的有意差には至らず、それはプラセボ群における予想外の高い反応によるものであった。とはいえ、探索的解析によりレベチラセタム3000mg/日投与は、わずかながら難治性部分てんかん発作患者に有効であることが示された」とまとめている。■関連記事難治性てんかん患者に対するレベチラセタムの有用性はどの程度か日本人、レベチラセタム静注の薬物動態レベチラセタム、部分てんかん患者に対する1年間の使用結果レビュー:聖隷浜松病院抗てんかん薬レベチラセタム、日本人小児に対する推奨量の妥当性を検証

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うつ再発にマインドフルネス認知療法が有望/Lancet

 うつの再発・再燃の予防療法として、マインドフルネス認知療法(mindfulness-based cognitive therapy:MBCT)と抗うつ薬維持療法を比較検討する無作為化試験PREVENTが、英国・オックスフォード大学のWillem Kuyken氏らにより行われた。有効性および費用対効果の観点で行われた評価の結果、MBCTが抗うつ薬維持療法より優れるというエビデンスは示されなかったが、両療法とも、再発・再燃、残存性のうつ症状およびQOLなどで良好なアウトカムを保つことが認められたという。Lancet誌オンライン版2015年4月20日号掲載の報告より。MBCT vs. 抗うつ薬維持療法の無作為化試験で検討 うつの再発経験がある人は、再燃リスクが高く、最低2年間の抗うつ薬維持療法が推奨されている。しかし患者の多くが、薬物療法に代わる治療法を望んでいる。 MBCTは、通常ケアとの比較で、再発・再燃リスクを減少することが示されているが、抗うつ薬維持療法と比較した検討は行われていなかった。 研究グループは、MBCT-TS(MBCTと併せて抗うつ薬を漸減または中断投与する療法)が抗うつ薬維持療法に優れるか、24ヵ月間のPREVENT試験を行った。多施設単盲検並行群間無作為化対照試験であった。 英国内の都市および周辺地域のプライマリケア一般医から、3回以上の重大うつエピソード経験があり、抗うつ薬維持療法を受ける患者を集めた。 参加者を、MBCT-TS群または抗うつ薬維持療法群に無作為に割り付けた。割り付けはコンピュータ生成乱数配列法にて行った。登録施設および症状で層別化した。参加者は治療割り付けを認識していたが、試験の評価者には治療割り付けはマスキングされた。  主要アウトカムは、うつの再発・再燃までの期間で、患者は24ヵ月間試験期間中5回にわたってフォローアップを受けた。主要解析は原則intention to treatに基づき行われた。24ヵ月間の再発・再燃リスクのハザード比0.89、両群差はなし 2010年3月23日~2011年10月21日の間に、2,188例の参加者について適格性を評価し、一般医95人から集めた424例の患者をMBCT-TS群(212例)と抗うつ薬維持療法群(212例)に無作為に割り付け検討した。 結果、うつの再発・再燃までの期間は、両群間で差はみられなかった。24ヵ月時点で再発・再燃がなかった人はMBCT-TS群44%、抗うつ薬維持療法群47%で、ハザード比は0.89(95%信頼区間[CI]:0.67~1.18、p=0.43)であった。 重篤有害事象の発生についても差はみられなかった。有害事象は5件報告され、うち2例が死亡(MBCT-TSと抗うつ薬維持療法の各群で報告)であったが、有害事象は、介入または試験に起因したものはなかった。

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うつ病と抗うつ薬治療は乳がんリスクに影響しているのか

 うつ病および抗うつ薬の使用がそれぞれ乳がんのリスクを高めるという仮説があるが、これらに同時に曝露した場合を考慮した先行研究はなく、うつ病によるリスク上昇が抗うつ薬使用に起因したものか、あるいはそうでないのかは未解決であった。米国マサチューセッツ大学アマースト校のKW Reeves氏らは、うつ病と抗うつ薬の使用を同時に考慮したモデルを用いて、乳がんリスクに及ぼす影響を検討した。その結果、うつ病は乳がんリスクと関連しなかったこと、抗うつ薬がわずかであるが乳がんのリスクを増加させ、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)によるリスク上昇が確認されたことを報告した。Cancer Epidemiology Biomarkers & Prevention誌2015年4月号の掲載報告。うつ病と乳がんリスクとの関連は認められなかったが抗うつ薬使用は有意にリスク増加 検討は、前向きコホートである米国看護師健康調査(Nurses’ Health Study)に2000年初頭に登録された女性7万7,482例の、うつ病と抗うつ薬使用に関するデータを使用して行われた。医師によるうつ病の診断歴、特定の種類の抗うつ薬使用について自己報告をしてもらい、2012年の1年間に乳がんと自己報告された症例を精査し、浸潤性がんと確定された症例のみをアウトカムに含めた(2,567例)。ロジスティック回帰モデルを用い、ベースライン時のうつ病ならびに抗うつ薬使用の乳がんリスクに及ぼす影響を、個々におよび相互調整後の両面から評価した。 うつ病ならびに抗うつ薬使用の乳がんリスクに及ぼす影響を評価した主な結果は以下のとおり。・被験者の平均年齢は66.2(SD 7.1)歳であった。臨床的にうつ病と診断された患者は8.9%で、8.7%が抗うつ薬を使用していた。・年齢、BMI、閉経状況で調整後、うつ病と抗うつ薬使用それぞれの個別モデルにおいて、うつ病(オッズ比[OR]:0.94、95%信頼区間[CI]:0.81~1.08)あるいは抗うつ薬使用(同:1.07、0.93~1.22)と、乳がんリスクとの間に統計的に有意な関連は認められなかった。・うつ病と抗うつ薬使用を1つのモデルに同時に組み込んだ場合、うつ病と乳がんリスクとの関連は依然認められなかったが(OR:0.87、95%CI:0.74~1.03)、抗うつ薬使用は有意なリスク増加と関連していた(同:1.15、0.98~1.35)。ただし、その差は小さく、有意差は境界線上であった。・抗うつ薬使用と乳がんリスクとの関連は、SSRIにおいて常に確認されたが(OR:1.16、95%CI:0.96~1.39)、他の種類の抗うつ薬では明らかではなかった(同:1.07、0.85~1.35)。・これら最初に得られた結果は、うつ病が乳がんリスクと関連しないことを示しているが、SSRI使用とリスクのわずかな上昇との関連は除外できなかった。 結果を踏まえて著者は、「さらなる分析でフォローアップ時の曝露情報が更新され、閉経状況やホルモン受容体サブタイプによる関連性の評価が可能となると思われる」と述べ、また「うつ病と抗うつ薬使用の乳がんリスクに及ぼす影響が明確になれば、うつ病や抗うつ薬を使用する数百万の女性に重要な情報を提供しうる」とまとめている。関連医療ニュース 片頭痛予防にSSRIやSNRIは支持されない がん患者のうつ病を簡単にスクリーニングするには SSRIは月経前症候群の治療に有用か?

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双極性障害、平均余命に大きく影響

 双極性障害患者は、平均余命が11~20年短縮することが報告されている。この計算は、個人の15歳時データに基づいており、それ以降に双極性障害を発症した多くの患者の誤解を招く可能性がある。デンマーク・コペンハーゲン大学のLars Vedel Kessing氏らは、異なる年齢の双極性障害患者における平均余命の計算を行った。Bipolar disorders誌オンライン版2015年4月4日号の報告。双極性障害患者の平均余命が大幅に短縮 1970~2012年にデンマークのすべての精神科病院に入院または外来通院している全患者の全国レジスタを用い、2000年に生存していた患者について、15~75歳まで10歳刻みでの平均余命を計算した。 異なる年齢の双極性障害患者における平均余命の計算を行った主な結果は以下のとおり。・25~45歳の標準的な双極性障害患者における平均余命は、男性で12.0~8.7年、女性で10.6~8.3年短かった。・双極性障害患者と一般集団の平均余命比は、年齢とともに低下しており、これは双極性障害が若年または中年期における余命期間の減少開始に影響していることが示唆された。・双極性障害患者の平均余命は、以前報告された程度ではないものの、大幅に短縮していた。関連医療ニュース うつ病と双極性障害を見分けるポイントは 若年双極性障害への治療効果を高めるには アルツハイマー病への薬物治療は平均余命の延長に寄与しているのか:東北大学

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統合失調症、維持期では用量調節すべきか:慶應義塾大

 抗精神病薬による65%以上のドパミンD2受容体遮断は、統合失調症患者にとって最適な臨床効果と関連付けられている。しかし最近のデータでは、統合失調症の維持療法において、閾値はより低いことが示唆されている。慶應義塾大学の坪井 貴嗣氏らは、ドパミンD2受容体の持続的な高遮断が、統合失調症の維持治療において必要かどうかを検討した。Schizophrenia research誌2015年5月号の報告。 本研究は、リスペリドンまたはオランザピンによる治療で臨床的に安定している統合失調症患者を、持続的D2遮断群(D2遮断レベルの推定トラフ値>65%)と非持続的D2遮断群(推定トラフ値<65%、かつ推定ピーク値>65%)に無作為割り付けを行った、52週間の単盲検ランダム化比較試験。著者ら自身が開発したモデルを用い、割り付けられたD2遮断レベルに必要な抗精神病薬の経口投与量をランダム血漿中薬物濃度から推定し、調整を行った。精神病理作用および副作用は、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)、Simpson-Angus 錐体外路系副作用評価尺度(SAS)、異常不随意運動評価尺度(AIMS)を用い、ベースラインと1年後で評価した。 主な結果は以下のとおり。・68例(各群34例)が登録された。・持続的D2遮断群26例、非持続的D2遮断群31例が試験を完了し、両群間で有意な差はなかった。・評価スケールのいずれにおいても、両群間で有意な差は認められなかった。・投与量変更の度合いは、両群において小さかった。 結果を踏まえ、著者らは「統合失調症の維持治療におけるドパミンD2受容体遮断は、65%より低くできることが示された。これらの予備的結果は、より長期の追跡を行う大規模な二重盲検比較試験で検討する必要がある」とまとめている。関連医療ニュース 維持期統合失調症でどの程度のD2ブロックが必要か 維持期の統合失調症患者において現在の薬物投与量は最適か 統合失調症の治療目標、急性期と維持期で変更を:京都大学  担当者へのご意見箱はこちら

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グルタミン酸受容体阻害薬、気分障害での可能性は

 新規の選択的な代謝性グルタミン酸5(mGlu5)受容体ネガティブアロステリックモジュレータであるDSR-98776について、齧歯目モデル試験の結果、有効な経口抗うつ薬および抗躁薬として作用することが示され、躁うつ病態を呈する幅広い気分障害の治療オプションと成りうることが示された。大日本住友製薬のTaro Kato氏らが報告した。European Journal of Pharmacology誌オンライン版2015年3月28日号の掲載報告。 モノアミン・モジュレーション・システムは、気分障害治療の主流である。しかし、最近のエビデンスとして、グルタミン酸システムが、この障害の病理生体において重要な役割を担うことが示唆されている。そこで研究グループは、mGlu5受容体ネガティブアロステリックモジュレータのDSR-98776の薬理学的な特徴および躁うつマウスモデルにおける効果を評価した。はじめに、in vitroのDSR-98776プロファイルを細胞内カルシウムと放射性リガンド結合アッセイを用いて評価した。次に、in vivoでDSR-98776の治療ベネフィットについて、一般的な躁うつ齧歯目モデルで評価した。 主な結果は以下のとおり。・DSR-98776は、mGlu5受容体に対し用量依存の阻害活性を示した。同活性は、mGlu5インヒビターとして知られる同一アロステリック部位の2-methyl-6-(phenylethynyl)-pyridine(MPEP)との結合によるものであった。・ラットの強制水泳試験において、DSR-98776(1~3mg/kg)は7日間の治療後、無動時間を有意に短縮した。一方でパロキセチン(3または10mg/kg)は2週間の連続治療後に、無動時間が短縮した。・マウスの強制水泳試験では、DSR-98776(10~30mg/kg)の急速投与が、無動時間を有意に短縮した。この効果は、4-chloro-DL-phenylalanineメチルエステル塩酸塩誘発5HTの減少には影響しなかった。・最後に、DSR-98776(30mg/kg)は、マウスにおいてメタンフェタミン/クロルジアゼポキシド誘発の機能亢進を有意に減少させ、この複雑な抗躁病様薬の効果を反映する結果が示された。関連医療ニュース 精神疾患におけるグルタミン酸受容体の役割が明らかに:理化学研究所 精神疾患のグルタミン酸仮説は支持されるか セロトニン3受容体、統合失調症の陰性症状改善に期待:藤田保健衛生大学  担当者へのご意見箱はこちら

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妊娠糖尿病は子供の自閉スペクトラム症のリスク/JAMA

 妊娠26週までに妊娠糖尿病(GDM)と診断された母親から出生した子供は、母親が糖尿病でない場合に比べ自閉スペクトラム症(ASD)を発症するリスクが高いことが、米国・カイザーパーマネンテ南カリフォルニア(KPSC)のAnny H Xiang氏らの検討で示された。胎児における母親の高血糖への曝露は、臓器の発達や機能に長期に影響を及ぼす可能性が示唆され、妊娠前の糖尿病だけでなく妊娠期間中の高血糖(=GDM)と、子供の肥満や代謝異常の長期的リスクとの関連が確認されている。一方、母親の糖尿病と子供のASDとの関連を検討した研究は少なく、GDMの発症時期を重視した報告はこれまでなかったという。JAMA誌2015年4月14日号掲載の報告より。診断時期を妊娠26週前後で分けて後ろ向きに評価 研究グループは、子供のASDのリスクと、子宮内での2型糖尿病やGDMへの曝露、妊娠中のGDM診断時期との関連について検討する目的で、レトロスペクティブな縦断的コホート研究を実施した。対象は、1995年1月1日~2009年12月31日までにKPSCで単胎妊娠、妊娠期間28~44週で出生した子供32万2,323例であった。 子供は、出生から以下のいずれかの日まで追跡された。ASDの診断、KPSC健康計画の登録期限、全死因による死亡、2012年12月31日。出生年で補正したCox回帰モデルを用いてハザード比(HR)を算出し、ASDの相対リスクを推定した。 母親を既存の2型糖尿病(6,496例[2.0%]、平均年齢32.7歳)、GDM(2万5,035例[7.8%]、32.4歳、妊娠期間26週までに診断:7,456例、26週以降に診断:1万7,579例)、非糖尿病(29万792例[90.2%]、29.2歳)に分けて解析した。 主要評価項目は子供の臨床的なASDの診断であった。母親、兄/姉のASDや、母親の喫煙、体重の影響はない 出生後のフォローアップ期間中央値は5.5年で、この間に3,388例の子供がASDと診断された。そのうち、既存の2型糖尿病の母親から生まれた子供が115例、26週までにGDMと診断された母親の子供が130例、26週以降に診断された母親の子供が180例であり、非糖尿病の母親の子供は2,963例であった。 1,000人当たりの非補正年間ASD発症率は、既存2型糖尿病群が3.26件、26週以内診断GDM群が3.02件、26週以降診断GDM群が1.77件、非糖尿病群は1.77件であった。出生年で補正したHR(非糖尿病群との比較)は、既存2型糖尿病群が1.59(95%信頼区間[CI]:1.29~1.95)、26週以内診断GDM群が1.63(95%CI:1.35~1.97)、26週以降診断GDM群は0.98(0.84~1.15)であった。 母親の出産年齢、経産回数、教育歴、世帯収入、人種/民族、併存疾患歴および子供の性別で補正後の子供のASDリスクは、母親の既存の2型糖尿病とは関連がなかった(HR:1.21、95%CI:0.97~1.52、p=0.09)が、26週以内のGDM診断とは有意な関連がみられた(HR:1.42、95%CI:1.15~1.74、p<0.001)。抗糖尿病薬の投与はASDのリスクとは関連がなかった。 全コホートでは、母親または兄/姉のASD診断で補正しても結果に影響はなく、またデータが得られた6万8,512例においては、母親の喫煙、妊娠前のBMI、妊娠中の体重増加で補正しても結果は変わらなかった。 著者は、「多彩な民族からなる集団において、母親の既存の2型糖尿病は子供のASDとは関連がないが、妊娠26週までにGDMと診断された母親の子供のASDリスクは共変量で補正後も有意に高いことが示された」とまとめ、「本研究では、すべてのデータが統合された患者ケアシステムから得られ、子供は1歳までにKPSC健康計画に登録されて電子カルテにより継続的にフォローアップが行われたため、スクリーニングバイアスや診断バイアスが回避されたと考えられる」と考察している。

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