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認知症と介護、望まれる生活環境は

 認知症患者が生活する環境デザインは納得できるもの、そして患者がパーソナルアイデンティティを強く保ち、彼らの能力を維持していけるようなものであるべきである。これまでは認知症患者がうまく生活することに重点を置いてきたため、終末期が近い患者の物理的環境支援へのニーズや希望が考慮されてこなかった。オーストラリア・ウーロンゴン大学のRichard Fleming氏らは、認知症患者が良好なQOLを保ちつつ人生の最期を迎えるのに適切な環境を明らかにするため、認知症患者、介護家族、医療従事者らからなるフォーカスグループインタビューを行った。その結果、環境デザインとして求められる15の特性についてコンセンサスが得られたことを発表した。BMC Palliative Care誌オンライン版2015年5月12日号の掲載報告。 本研究では、フォーカスグループインタビューとデルファイ法とを組み合わせ、認知症患者、介護家族、専門家が、終末期に向けて良好なQOL維持をサポートするために重要とする物理的環境について調査した。 研究グループは、オーストラリア東海岸に位置する3都市で、文献レビューに基づくディスカッションガイドを用いて3つのフォーカスグループインタビューを実施。フォーカスグループは、最近遺族となった認知症患者の介護家族(FG1)、認知症患者と認知症の介護家族(FG2)、終末期あるいは終末期に近づいている認知症患者の診療にあたる医療従事者(FG3)の3つで、フォーカスグループの会話は参加者の同意を得て録音した。 オーディオファイルを基に速記録を作成し、人生の最期に向けて望ましい生活を提供するという目的の達成を促す環境的特性を判断するため、テーマ分析を実施した。フォーカスグループの録音記録分析より引き出されたデザイン特性リストを、認知症の各分野に携わるさまざまな専門家に確認してもらい、妥当性についてのコンセンサスを探り、終末期に近い認知症患者にとってふさわしい環境デザインの特性を判断した。 主な結果は以下のとおり。・3つのフォーカスグループへの参加者は18人であった(認知症患者2人、現在介護をしている家族、あるいは最近まで介護していた遺族介護者11人、医療従事者5人)。・重要だと考える環境に関する事項について、意見の相違が認められた。・認知症患者および介護家族は、関与全般を通しての快適性、心の安らぎ、穏やかな環境、プライバシーと尊厳、そして連続的な技術の活用が重要であるとした。・医療従事者らがとくに重要としたテーマは、介護業務を容易にするデザインと、制度面での業務への影響であった。・認知症の各分野に関わる専門家21人が、フォーカスグループの発言記録から分析された、環境デザインに求められる特性についてのコンセンサスを得るべく検討を行い、15項目の特性で意見が一致し認定した。・15の特性は、動くことができる認知症患者に対するデザイン方針と対応しているが、感覚的な関与により重点が置かれていた。 結果を踏まえ、著者らは「これら15の特性を介護の一環として考慮することにより、優れた介護の実現をサポートし、認知症患者に最後まで良い人生を提供し、また介護家族にも患者と共に生きる最期の日までより有意義な体験を与えることができるものと考える」とまとめている。関連医療ニュース 認知症治療、薬物療法にどの程度期待してよいのか 認知症への運動療法、効果はあるのか 複雑な薬物療法レジメン、認知症介護者の負担増加  担当者へのご意見箱はこちら

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第2世代抗精神病薬の評価試験実施は不十分

 米国・ペンシルベニア大学のGregory Kruse氏らは、医療技術評価(HTA)機関を支援するため、統合失調症患者に対し第2世代抗精神病薬の有用性を検討した試験のシステマティックレビューを行った。その結果、試験のタイプ、試験方法、アウトカムに大きなばらつきがあるうえ、HTAが好ましいとする試験のタイプは少なく、かつそれら試験は実施されていたとしてもバイアスリスクが高いことを報告した。PharmacoEconomics誌オンライン版2015年5月12日号の掲載報告。 HTA機関を支援するための効果比較の試みは、統合失調症治療に対する抗精神病薬の選択において重要な事項である。研究グループは、HTA機関の支援に向け、新規抗精神病薬の効果比較に関する疑問に対処するため、公表文献に報告されている試験方法とアウトカムの評価、ならびにエビデンスの妥当性と可能性を評価した。 2009年1月1日~2013年9月30日までのPubMed databaseを用いて系統的検索を行い、新規非定型抗精神病薬の効果比較について報告している研究を特定した。統合失調症患者を対象とした研究で、少なくとも2種類以上の薬剤の比較が行われており、少なくとも1群は第2世代抗精神病薬(リスペリドン、オランザピン、アリピプラゾール、パリペリドン、アセナピン、イロペリドン、ルラシドン、クエチアピンのいずれか)が投与されている試験についてシステマティックレビューを行った。また、陽性陰性症状評価尺度(PANSS)のスコア、体重増加、資源活用あるいはコストといった有効性、安全性、経済的アウトカムが含まれていることも試験の選択基準とした。 2人のレビュワーが独立して組み入れ基準を評価。意見が一致しなかった場合は、原著を検索してコンセンサスを得たうえで解決した。各試験から方法とアウトカムに関する情報を収集し、試験には薬剤の直接比較、患者集団、試験方法、統計解析法、アウトカムの報告、試験のサポート、掲載誌の種類などが記載されていることとした。 主な結果は以下のとおり。 ・電子検索により、合計198件の試験が特定された。・最も多かった試験のタイプは無作為化対照試験(RCT、73件、36.9%)で、その多くは規定のエンドポイントで直接比較されていた。・HTAが要望するコホート研究(53件、26.8%)、メタ解析(32件、16.2%)、経済性の研究(14件、7.1%)、および横断研究(13件、6.6%)は少数であった。・HTAが選択した直接比較の薬剤はオランザピンとリスペリドンが大勢を占め、それぞれ149試験(75.3%)、119試験(60.1%)であった。・規制当局に提出される資料として主要な試験のタイプであるRCTにおいて、バイアスはみられなかったが、HTAが要望した試験は同じようにして(バイアスがない状態で)実施されなかった。・コホート研究には、比較群における選択バイアスの問題、交絡因子の調整の欠如、脱落率の相違などの問題がみられた。・横断研究のグループではバイアススコアが十分に得られず、代表的なサンプルを特定できなかった。 ・経済性の研究では高い変数バイアスがみられ、有効性データ、妥当性が検証されていない仮説モデル、感度解析の欠如といった点においてバイアスがみられた。・なお本システマティックレビューは、2009~2013年までの研究のみを対象としたものであり、第1世代抗精神病薬の検討を含む初期の比較研究を除外したレビューという点で限界があった。関連医療ニュース 抗精神病薬の切り替えエビデンス、どう評価すべきか 第二世代抗精神病薬、QT延長に及ぼす影響:新潟大学 プロラクチン上昇リスクの低い第二世代抗精神病薬はどれか

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うつ病と双極性障害、脳の感情調節メカニズムが異なる

 うつ病および双極性障害は、抑うつ期あるいは寛解期において臨床的な鑑別が困難である。この2つの気分障害は感情調節障害により特徴付けられるが、それぞれの感情制御の相違に関してはほとんど知られていない。オランダ・アムステルダム大学のMaria M. Rive氏らは、うつ病および双極性障害患者の抑うつ期および寛解期における感情調節の相違について、核磁気共鳴画像(MRI)を用いて検討した。その結果、抑うつ期と寛解期のいずれにおいても、happyあるいはsadという感情を調節している際の脳活性が両疾患の間で異なることを報告した。JAMA Psychiatry誌オンライン版2015年5月6日号の掲載報告。 うつ病と双極性障害の感情制御の理解は、障害に特異的な病態生理メカニズムに基づいて両疾患を区別する助けになると思われる。これまでの研究では、薬剤の使用が認められているものが多く、また一般化可能性と妥当性に限界のあるものが多かった。また、気分の状態が両疾患の相違に影響を及ぼすと考えられるが、うつ病および双極性障害患者の大半が寛解期ではなく抑うつ期に比較検討されていた。 研究グループは、薬物治療を実施していないうつ病および双極性障害患者について、抑うつ期と寛解期の2つの気分状態におけるポジティブおよびネガティブな感情調節について検討した。2009年5月~2013年8月までに横断的研究を実施。オランダ全土の複数の精神科施設から登録された、向精神薬の投与を受けていないうつ病患者42例、双極性障害患者35例、健常対照(HC)36例を対象とし、行動的および機能的MRIによる感情調節データを比較した。MRIでは、ポジティブ・ネガティブピクチャーを使用し、自主的感情調節の機能的MRIタスクを評価した。主要アウトカムは、血中酸素濃度による感情調節反応とした。 主な結果は以下のとおり。・寛解期において、双極性障害患者のみが感情調節障害を示し(t=3.39、p<0.001、Cohen d =0.70)、感情のタイプにかかわらず、うつ病患者および健常対照と比較し背外側前頭前皮質活性の増加を認めた(p=0.008)。・抑うつ期において、うつ病患者と双極性障害患者で幸福感(happy)と悲嘆(sad)の感情調節に相違が認められ(t=4.19、p<0.001、Cohen d=1.66)、前帯状回吻側における活性に差異がみられた(p<0.001)。・うつ病患者は双極性障害患者および健常対照に比べて幸福感と悲嘆の感情調節が不十分であったが、これら2つの感情間に前帯状回吻側における活性の差異は示されなかった。・一方、双極性障害患者はうつ病患者に比べて悲嘆の感情調節が不良であったが、幸福感の感情調節は正常であり、悲嘆と比べ幸福感の感情調節が行われている間は、前帯状回吻側における活性が有意に低かった。・薬物治療を受けていないうつ病患者と双極性障害患者の比較により、抑うつ期と寛解期のいずれにおいても、感情調節を行っている際の脳活性がうつ病と双極性障害で異なることがわかった。うつ病と双極性障害間で異なる神経学的な病態生理メカニズムは、診断ツールの開発に有効な可能性があった。関連医療ニュース うつ病と双極性障害を見分けるポイントは うつ病から双極性障害へ転換するリスク因子は 重症うつ病と双極性障害の関係:徳島大  担当者へのご意見箱はこちら

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アミロイドPET陽性率で若年性認知症診断の可能性/JAMA

 PET画像診断で検出されたアミロイド陽性率について、アルツハイマー型認知症(AD)の患者では加齢に伴い低下することが、一方、非ADでは、加齢に伴い上昇することが明らかにされた。またAD患者における同低下の程度はアポリポ蛋白E(APOE)ε4非キャリアのほうがキャリアと比べると大きいことなども判明したという。オランダ・アムステルダム自由大学医療センターのRik Ossenkoppele氏らが、メタ解析の結果、明らかにした。所見について著者は、「若年性認知症診断へのアミロイドPETの臨床有用性、および70歳超のAPOEε4非キャリアAD患者の鑑別診断をサポート可能であることを示唆するものである」と述べている。JAMA誌2015年5月19日号掲載の報告より。2004~2015年の試験結果をメタ解析 Ossenkoppele氏らは2004~2015年にかけて、MEDLINE、Web of Scienceデータベースを用い、アミロイドPETに関する試験を検索した。ケースレポートや認知症以外の神経学的あるいは精神医学的疾患に関する試験は除外した。  その結果、臨床的にADの診断を受けた1,359例、非ADの538例に関するデータが得られた。また参照グループとして、アミロイドPETの結果が正常だった対照群(1,849例)と、剖検結果から診断されたAD例1,369例についても分析を行った。 主要アウトカムは、診断、年齢、APOEε4の有無別にみた、推定アミロイドPET陽性率だった。AD患者でAPOEε4非キャリア、アミロイドPET陽性率は50歳で86%、90歳で68% アミロイドPET陽性率は、年齢やAPOEε4の有無と関連が認められた。 AD患者でAPOEε4非キャリア(377例)の場合、アミロイドPET陽性率は、50歳時は86%(95%信頼区間[CI]:73~94%)であったが、90歳時は68%(同:57~77%)と、年齢と共に低下していた。 AD患者でAPOEε4キャリア(593例)でも、アミロイドPET陽性率は年齢と共に低下したが、50歳時97%(同:92~99%)、90歳時90%(同:83~94%)と、低下の幅は小さかった。 同様の傾向は、剖検で診断されたAD例でも認められた。 一方、大半の非ADは、アミロイドPET陽性率が年齢と共に上昇し(60歳時と比べて80歳時)、またAPOEε4キャリアのほうが高率だった。 レビー小体型認知症でAPOEε4キャリア(16例)は、60歳時63%から80歳時83%に、同非キャリア(18例)は29%から54%への上昇だった。前頭側頭型認知症でAPOEε4キャリア(48例)は、60歳時19%から80歳時43%に、非キャリア(160例)は5%から14%に上昇。血管性認知症でAPOEε4キャリア(30例)は、60歳時25%から80歳時64%に、非キャリア(77例)は7%から29%への上昇だった。

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拒食に対する抗精神病薬増強療法の効果は

 神経性やせ症は生命に危険を及ぼすことがあり、あらゆる精神障害のうち最も死亡率が高く、治療が難しい精神疾患である。イタリア・トリノ大学のEnrica Marzola氏らは、神経性やせ症入院患者のカルテを後ろ向きに評価し、非定型抗精神病薬による増強療法について、アリピプラゾールが有望であることを報告した。今回の所見について、著者らは「無作為化試験での確認に値する有望な知見であった」と述べている。PLoS One誌オンライン版2015年4月29日号の掲載報告。 研究グループは、神経性やせ症の成人患者におけるSSRIへの増強療法として、オランザピンとアリピプラゾールの実臨床での使用について予備データを得るため、2012~2014年に入院した患者のカルテを後ろ向きに評価した。入院時、退院時における摂食症状、ならびに精神病理全般・摂食病理について、ハミルトン不安評価尺度、ハミルトンうつ病評価尺度、Yale-Brown-Cornell摂食障害尺度を用いて調べた。 主な結果は以下のとおり。・患者75例の医療記録が検討に含まれた。患者検体は、等しくSSRI投与を受けており、またSSRIに加えてアリピプラゾールもしくはオランザピンの投与を受けていた。・ベースラインで臨床的な差がいくつかみられたが、退院時には全員、すべての評価尺度において有意な改善が認められた。・とくに、アリピプラゾール投与群では、摂食関連への傾倒(preoccupation)や儀式(ritual)を減らす最も大きな効果が、かなり大きなエフェクトサイズとともに示された。・神経性やせ症における薬物治療のエビデンスは見通しの暗い状況にある。増強療法は、さまざまな精神障害の確立したアプローチであり、患者への日常診療でもしばしば使用されているが、これまでに本件に関して利用可能なデータはほとんどない。・本検討では、アリピプラゾールの増強療法が摂食関連の強迫観念や衝動を減ずるのに有望であるとの結果が得られた。関連医療ニュース 難治性の強迫性障害治療「アリピプラゾール併用療法」 摂食障害、成人期と思春期でセロトニン作動系の特徴が異なる 拒食に抗精神病薬、その是非は  担当者へのご意見箱はこちら

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CM「サントリー角」【対人魅力(女性編)】

今回のキーワード心の進化(進化心理学)気配り美人(ノルアドレナリン)甘え美人(ドパミン)癒し美人(セロトニン)共依存依存性パーソナリティ演技性パーソナリティ「なんで彼女はいつもモテるの?」皆さんは、友人や職場の人で「なんで彼女はいつもモテるの?」とうらやましく思ったことはありませんか? 世の中には、異性からも同性からもモテる魅力的な人がいます。魅力的である方が、デートのチャンスが増えますし、仕事もやりやすいです。特に精神科や心療内科では、患者がほど良く主治医に好感を持つことで、治療がうまくいくといわれています(陽性転移)。モテる人とモテない人の違いは何でしょうか? 今回は、女性の対人魅力をテーマに、心の進化(進化心理学)の視点からとらえ直します。恋人や妻としての女性の魅力だけでなく、職場の上司や部下としての女性の人間的な魅力にも迫っていきたいと思います。その魅力とは、もちろん顔やスタイルを挙げる方もいるでしょう。しかし、実は、それ以上に大事なことが3つあります。そのヒントが、あるCMにあります。それは、現在までにシリーズ化されている「サントリー角」のCMです。お酒のCMに登場する女性のイメージは、世の男性が求める女性の魅力が詰まっているともいえます。なぜなら、その魅力が直接売り上げにつながるのですから。今回は、このCMに登場する初代の小雪さん、2代目の菅野美穂さん、3代目の井川遥さんの振る舞いから、女性の3つの魅力についていっしょに考えていきましょう。気配り美人1つ目は、初代の小雪さんが登場するCMです。まずは、以下の動画サイトを見てみましょう。画面をクリックしてください。小雪さんは、お客さんたちに「とりあえずハイボールと」「アジフライ」「ポテトサラダ」「オムレツ」と言い、お客さんが注文しようとする前に、彼らの「いつもの注文」を言い当てています。別のCMでは、「とりあえずハイボールと、夏だからちょいと絞ります」と気を配っています。その振る舞いに、お客さんたちは感心してうっとりしています。1つ目の魅力は、気配り美人です。この魅力を発揮するために、女性の方は次のクイズに挑戦しましょう。Q1. あなたが彼に作る最初の料理は?A. 高級なフランス料理B. 得意なメキシコ料理C. 最近ハマっている創作料理D. 定番の和食ポイントは、その料理であなたが満足するかどうかではなく、彼が満足するかどうかという視点を持っていることです。男性と女性の脳の違いから分かっていることは、男性は女性よりもこだわり(システム化)が強いです。Aの高級なものよりも、Bの彼女が得意なものやCのハマっているものよりも、Dのいつも食べている定番のものを男性は好みます。それは、例えば、カレーライスやハンバーグです。つまり、答えはDです。Q2. 彼が「ガンダムのコレクションがある」と話した時、あなたは何と答える?A. 「私、分かんない」と無邪気に答える。B. 「ガンダム好きなんだね」とほほ笑む。C. 「どんなとこが好きなの?」と興味を示す。Aはそこで話が終わってしまいます。Bは受け止めてはいますが、やはりそこで話が終わってしまっています。AもBも、広がりがなく、退屈な会話になってしまいます。一方、Cは、男性のこだわりをいっしょに楽しもうとする姿勢がみられます。彼もきっと生き生きと語るでしょう。よって、答えはCです。気配り美人が考えることは、「自分が彼に何をしてあげたいか」ではなく、「彼が自分に何をしてもらいたいか」ということです。そのためには、彼(もっと言えば男性)は何が好きで何が嫌いかを徹底的に知っておく必要があります。なぜ気配り美人はモテるのか?そもそも男性は、気配り美人を本能的に選ぶ傾向があります。これを心の進化(進化心理学)の歴史からひも解いてみましょう。私たち人間の体は環境に適応するために進化してきました。同じように、私たち人間の心も進化してきました。その適応してきた環境とは、狩猟採集生活を営んでいた原始の時代です。その始まりは、チンパンジーと共通の祖先から私たちの祖先が二足歩行をして分かれていった700万年前です。農耕牧畜から始まる現代の文明社会は、たかだか1万数千年の歴史であり、進化が追い着くにはあまりにも短いといえます。つまり、進化心理学的に考えると、私たちの心の原型は、まさにこの原始の時代に形作られました。原始の時代、人間は、二足歩行が可能になったことで、手が自由になり、より食料を運ぶことができるようになりました。そこで、男性(父親)は日々食糧を確保し、女性(母親)は日々子育てをするというふうに、性別で役割を分担して、家族集団で共同生活を行いました。そして、この生活スタイルをとった種がより生き残りました。生き残った子孫が現在の私たちです。つまり、私たちは男性も女性も、いっしょに助け合って生きていこうとする協力的な異性を魅力的に感じる好み(嗜好性)が進化しているということです(性選択)。そして、男性から女性を見定める目安(形質)が気配りなのです。その気配りの能力が存分に発揮される現代の職業は何でしょうか? それは対人援助職、特に看護師です。看護師は、患者の「かゆい」ところに手が届き、いたわる気持ちもあります。男性にモテる女性の職業として、看護師が常に上位にあるのも納得がいきます。さらに、現代の情報化社会では、気を配って話を合わせるという女性的なコミュニケーション能力が男性にもますます求められています。気配り美人すぎると? ―表1それでは、気配り美人であればあるほど良いのでしょうか? そうともいえないです。気配りの心理(能力)は、世話焼き、面倒見が良い反面、度がすぎるとお節介で押し付けがましくなってしまいます。つまり、自分の気配りの能力を発揮するために、気配りできる相手を求める、もっと言えば、必要とされることを必要とする、依存されることに依存するようになってしまいます(共依存)。また、気配り美人だけであれば良いのでしょうか? そうともいえないです。気配り美人は、コミュニケーション能力の高さを表していますが、それだけでは良いビジネスパートナーにはなれても、良いライフパートナーにはなれない可能性が高まります。なぜなら、女性を魅力的にさせるために必要な要素が、あと2つあるからです。表1 気配り美人の二面性マイナス面プラス面お節介、押し付けがましい過干渉、ありがた迷惑甘やかし世話焼き、面倒見が良い尽くす、献身世話女房甘え美人2つ目は、2代目の菅野美穂さんが登場するCMです。まずは、以下の2つの動画サイトを見てみましょう。画面をクリックしてください。菅野美穂さんは、あるお客さんのおとぼけに、楽しいリアクションをします。また、一生懸命に料理を作る最中にちょっとドジをしますが、その振る舞いに、お客さんたちは優しく彼女をフォローします。2つ目の魅力は、甘え美人です。この魅力を発揮するために、女性の方は次のクイズに挑戦しましょう。Q3. 合コンで年齢を聞かれた時、どう答える?A. 「○歳(実年齢)です」と正直に答える。B. 「女性に年齢を聞くのは失礼」とはっきり言う。C. 「何歳でしょうねえ」とほほ笑む。D. 「逆に何歳だと思います?」と切り返す。E. 「二十歳です。(間を置いて)気持ちは」と極端に若い年齢をふざけて言う。AとBは、真面目な対応で、会話がはずみません。Cは、年齢を言いたくないことをほのめかしていることは伝わりますが、楽しくはありません。Dは、質問返しで、会話の広がりが期待できます。ただし、この切り返しは使い古されてきています。Eは、相手を楽しませようとするメッセージは伝わります。ウケないならそれはそれで良いという強いハートで臨むことが大切です。なぜなら笑いは伝わらなかったとしても、笑いを届けたいという思いは確実に伝わっています。相手も興味や好意があるからこそ年齢を聞いているわけで、きっと相手から暖かいツッコミやノリツッコミが返って来ることでしょう。大事なのはいかに会話を楽しめるかということです。Q4. 出会いの場で「彼氏いる?」と男性に聞かれた時、何と答える?A. 「いません」とだけ真面目に答える。B. 「いるけど、うまくいってないの」と悲しげに答える。C. 「いない。だけど今日ここで素敵な彼氏ができそう」と楽しげに答える。D. 「もしいないって言ったら、この後どうする?」と笑顔で答える。Aは、悪くはないですが、魅力もないです。Bは、一見良さそうにも思えますが、実はかなりリスキーです。なぜなら、こう言えるのは、顔やスタイルなどの他の要素ですでに魅力が十分に伝わっていることが前提だからです。あまり魅力が伝わっていない状況では、男性に面倒臭い女性だと思われてしまい、敬遠されがちです。Cについて、聞かれている時点である程度、男性に好意はあるので、「あなたと楽しく過ごしたい」というポジティブなメッセージをお返しすることができます。Dは難易度がかなり高いです。すでに十分に魅力が伝わっていると確信しているのでしたら、誘惑的なメッセージとして効果は絶大でしょう。これは、実際に、フリーアナウンサーの小林麻耶さんが使った言葉です。しかし、魅力が十分に伝わっていなければ、自意識の強い女性だと思われてしまい、またまた敬遠されてしまうでしょう。そこで、Dを使うなら、そのリスクを避けるため、保険をかけましょう。Dを使った後、男性が表情を曇らせたら、すかさず「って小林麻耶さんなら言いますね」と笑いに持っていきましょう。Q5. 合コンでどう振る舞う?A. 食事の盛り付けや話の相づちを完璧にこなす。B. 常にニコニコしてうなずくだけに徹する。C. 盛り付けをこぼして恥ずかしそうにしたり、酔って馴れ馴れしくする。Aは、全てをそつなくこなして良さそうです。気配り美人としては完璧です。ただ、残念なことに、男性に付け入るスキを与えません。仕事のデキる優秀な女性に多いタイプです。Bは、共感的で一見良さそうですが、話のキャッチボールができず、だんだんと退屈になってきます。Cは、男性に付け入るスキを与えています。男性を助けたくさせます。大事なのは、自分にスキがある(甘えている)といかに男性に思わせるかということです。結論としては、基本的にAのスタンスで、合間を見てCを入れると効果的です。しっかり者のように見えてちょっとだらしないのがちょうど良いようです。すると、完璧さとスキ(甘え)のギャップによってそれぞれが際立ちます(ギャップ戦略)。甘え美人が考えることは、「自分が彼に何をしてもらいたいか」ではなく、「彼が自分に何をしてあげたいか」ということです。そのためにはどんなスキをつくれば彼(もっと言えば男性)が喜ぶかを徹底的に知っておく必要があります。なぜ甘え美人はモテるのか?そもそも男性は、甘え美人を本能的に選ぶ傾向があります。これも先ほどの心の進化(進化心理学)から考えてみましょう。原始の時代、男性(父親)は女性(母親)とその子どもたちから頼られる存在でした。そこに自分の存在の意味(プライド)を感じる男性がより女性に受け入れられました。その子孫が現在の男性たちです。つまり、男性は、自分を頼りにする女性を魅力的に感じる好み(嗜好性) が進化しているということです(性選択)。そして、その目安(形質)がスキ(甘え)なのです。逆に言えば、一人でも生きていけるオーラを出す女性は、男性に「自分はいらない」と思わせてしまうのです。その甘えが存分に発揮されたキャラは何でしょうか? それは「ぶりっ子」「かまとと」です。ぶりっ子は、いい子ぶる、かわいい子ぶるなどそれらしい振りをすることです。かまととは、「かまぼこは魚(とと)から作るのか」と尋ねることから、知っているのに知らないふりをして世慣れていないように振る舞うことです。このようなキャラの女性が、同性の女性からはさて置き、男性からはとてもモテるのも納得がいきます。甘え美人すぎると? ―表2それでは、甘え美人であればあるほど良いのでしょうか? そうともいえないです。甘えの心理(能力)は、かわいげがあり、無邪気であり、懐への入りやすさがある反面、度がすぎると、だらしなく、飽きっぽく、怠け癖があり、常に受け身で主体性がなくなってしまいます(依存性パーソナリティ)。例えば、先ほどのクイズQ2のAの「私、分かんない」と無邪気に答えるのは、甘え美人ではありますが、その状況では正解ではないです。また、ノリが良く、ほめ上手で、演出がうまい反面、度がすぎると、表裏が激しく嘘つきになり媚びてばかりで薄っぺらく中身がなくなってしまいます(演技性パーソナリティ)。例えば、行き詰るとすぐに泣く女性です。また、甘え美人だけであれば良いのでしょうか? そうともいえないです。甘え美人は、男性への魅惑の強烈さを表していますが、それはあくまで最初のツカミに有効なだけです。無計画でバランスを欠いた甘えは、ワンナイトラブで終わってしまう可能性が高まります。また、ぶりっ子やかまととは、同性の女性に嫌われるリスクが高まります。なぜなら、進化心理学的には、女性にとっては自分の男性を寝取られる脅威を意識的にせよ無意識的にせよ感じてしまうからです。女性を魅力的にさせ続けるために必要な要素は、気配り美人と甘え美人の他にあと1つあります。表2 甘え美人の二面性マイナス面プラス面だらしない、飽きっぽい怠け癖、受け身かわいげ、無邪気懐に入りやすい嘘つき、媚びる薄っぺらい、中身がないノリが良い、ほめ上手演出がうまい癒し美人3つ目は、3代目の井川遥さんが登場するCMです。まずは、以下の動画サイトを見てみましょう。画面をクリックしてください。井川遥さんは、あるお客さんから「幸せですか?」と尋ねられて、その返答をしません。そして、間を置いて「あなたは?」と質問を質問で返しています。すると、その男性は「幸せになりたいです」と答え、安らいでいます。彼女は、自分のことは置いといて、相手の気持ちを引き出しています(受容)。3つ目の魅力は、癒し美人です。この魅力を発揮するために、女性の方は次のクイズに挑戦しましょう。Q6. 彼(夫)が仕事から遅く帰ってきた時、「おかえりなさい」のあとに何て言う?A. 「聞いてよ。今日、お隣さん(or 私の上司)がねえ・・・」B. 「ビール?それともお風呂?」C. 「お仕事どうだった?」ポイントは、仕事で帰宅が遅い状況から、彼が疲れている可能性を想定できるかということです。Aは、甘え美人なのですが、この時の彼はこれからあなたの話を聞くだけのエネルギーが足りない可能性があり、望ましくないです。Bは、よく耳にする言い回しで、気配り美人として良さそうです。ただ、注意したいのは、ビールとお風呂以外の選択肢がないことです。もしかしたらちょっと自分の部屋で休みたいかもしれません。「ビール?お風呂?それとも他にどうしたい?」と添えるのがより良いでしょう。Cは、彼の気持ちを聞き出せます。そして、どうしたいかも分かるでしょう。彼は、疲れており、癒しに飢えている可能性が考えられます。よって、答えはCです。Q7. 仕事がうまくいかなくて彼は落ち込んでいる。何て彼に声をかける?A. 「もう~暗いよ!元気出してよ」と励ます。B. 「今、何がしたい?何が食べたい?」と聞き出す。C. 「私が落ち込んだ時はね・・・」と自分の話を聞かせる。D. 「今つらいんだね」と共感する。Aは、甘え美人としてついつい言いそうになります。しかし、彼は彼なりにすでに元気を出そうとしてがんばっているかもしれません。そんな時に、さらに元気を出せと励ますのは、彼を追い込むだけになるリスクがあります。医療においては、うつ状態の人に叱咤激励は禁忌です。Bは、気配り美人として良さそうです。しかし、彼は落ち込んでいて何もしたくないかもしれません。何かしたいだろうという彼にエネルギーがあることを前提に話を進めるのはやはり望ましくないです。Cは、Q6のAと同じく、彼に話を聞く心の余裕はない可能性があります。Dは、共感することで彼の気持ちに寄り添っています。彼は、あなたが自分の味方であることを再確認します。大事なのは、彼があなたに心を預けたくなるかということです。Q8. 「今、独りになりたい」という彼に返す言葉は?A. 「私がいっしょじゃだめなの?」と甘える。B. 「いっしょにいた方が安心でしょ?」と気を回す。C. 「今は独りがいいんだね。いっしょにいたくなったら言ってね」とそっとしておく。Aは甘え美人で、Bは気配り美人ですが、両者とも過干渉となってしまい、彼の自由(自律性)が損なわれてしまうリスクや心の間合い(心理的距離)が取りにくくなるリスクがあるので、望ましくないです。Cは、本人の自由(自律性)を尊重しつつ、助け(癒し)が必要な時はいつでもそばにいるという心づもりが伝わっています。うつ状態の人への接し方の「温かい無関心」です。また、独りになりたいと言いつつも、実はいっしょにいてほしいという彼の裏のメッセージがある可能性があります。彼の甘えの心理を読み取ることも大事です。Q9. 落ち込んでいた彼は頭が回らず、誤解から言い合いになった。「そんなに責めないでよ」と言う彼に返す言葉は?A. 「責めてないわよ!」と言い返し、とことん話し合う。B. 「責めてるように聞こえたんだね」「どの言葉かしら?」とやんわりと尋ねる。Aは、彼に言い合うエネルギーが足りずに、彼を追い込む結果が見えるので、望ましくないです。Bは、責めているかどうかは置いといて、彼の気持ちを受け止めています。人の気持ちとして、弱っている時は責められていると感じやすくなることをまず理解することが大切です。癒し美人が考えることは、「彼が弱っている時に、自分は彼に何をして何をしないか」ということです。そのためには彼(もっと言えば男性)はどうすれば安らぐかを徹底的に知っておく必要があります。なぜ癒し美人はモテるのか?そもそも男性は、癒し美人を本能的に選ぶ傾向があります。これも先ほどの心の進化(進化心理学)から考えてみましょう。原始の時代、女性(母親)は子育てをする役割がありました。その役割を全うする女性、つまり良いお母さんになる女性を男性はより選びました。その子孫が現在の男性たちです。つまり、男性は、子ども=弱者=弱っている時(退行)の自分に優しくしてくれる女性を魅力的に感じる好み(嗜好性)が進化しているということです(性選択)。そして、その目安(形質)が癒しなのです。言い換えれば、男性は、弱った時には女性に癒されたいということです。その癒しが存分に発揮される職業は何でしょうか? それは保母さん(保育士)です。保母さんは、子育てのプロです。保母さんの幼児への眼差しは、慈愛に満ちています。男性にモテる女性の職業として、保育士も常に上位にあるのも納得がいきます。もっと言えば、「スナックのママ」や「ホステス」になぜ男性たちが通い詰めるのかも納得がいきます。彼女たちは、男性たちの愚痴や自慢話をよく聞きます。面倒臭いと思っても顔には出しません。彼女たちは、擬似的な「お母さん」なのでしょう。つまり、世の多くの男性たちは「お母さん」というどんな時でもどんな自分でも受け入れてくれる絶対的な味方(安全基地)を求めてしまうということです。癒し美人すぎると? ―表3それでは、癒し美人であればあるほど良いのでしょうか? 癒し美人だけであれば良いのでしょうか? そうともいえないです。癒しの心理(能力)は、安心感や安全感をもたらしてくれる反面、そればかりだと刺激がなく退屈になってしまいます。例えば、先ほどのクイズQ2のBの「ガンダム好きなんだね」とほほ笑む、Q3のCの「何歳でしょうねえ」とほほ笑む、Q5のBの常にニコニコしてうなずくだけに徹するなどは、癒し美人ではありますが、その状況では正解ではないです。表3 癒し美人の二面性マイナス面プラス面刺激がない退屈安心感安全感女性の対人魅力とは? ―バランスとギアチェンジこれまで、恋人や妻としての女性の魅力(対人魅力)の要素が、気配り美人、甘え美人、癒し美人であることを明らかにしてきました。それぞれの美人は、脳内の3つの代表的な神経伝達物質に重なります。気配りは強さであるノルアドレナリン、甘えは楽しさであるドパミン、そして癒しは優しさであるセロトニンです。これらの心理(神経伝達物質)がバランス良く、そしてタイミング良く発揮されていることが心の健康として、そして対人魅力として望ましいといえます。つまり、ここで大事なことが2つ分かります。1つは、どの美人を高めるかだけでなく、どの美人が足りないかを知ることです。つまり、どの美人でもあるバランスです。そしてもう1つは、自分がどの美人になりたいかではなく、その時の彼(相手)がどの美人になってほしいかを見極める賢さを持つことです。つまり、どの美人にもなるギアチェンジです。職場に生かす対人魅力とは? ―表4さらには、職場の上司や部下としての女性の人間的な魅力も、3つの美人のバランスとギアチェンジからヒントが得られます。例えば女性の上司の場合、勤務時間中はテキパキと仕事をこなし、部下たちに仕事を回す一方(気配り美人)、休み時間は部下と打ち解けてふざけたり、時には部下にあえて相談事を持ち掛けます(甘え美人)。特に男性の部下は頼られていると思うと仕事へのモチベーションが高まります。そして、部下が仕事で疲れ切っている時は必ずねぎらいます(癒し美人)。また、部下にダメ出しをする時は、自分のタイミングではなく、部下が受け入れられるタイミングを見計らいます。これは、さきほどのQ9の恋人関係にも通じるもので、人は疲れている時や弱っている時はひがみっぽくなり、指示や忠告を素直に受け入れにくい心理があるからです。つまり、弱っている時のダメ出しは、効果があまり期待できないどころか逆効果になる可能性を理解していることです。このように、女性の対人魅力をより良く知ることは、女性の人間的な魅力を発揮することにもつながります。さらには、女性だけでなく、男性もその心理を知ることで、お互いのより良いコミュニケーションにつながっていくのではないでしょうか?表4 職場に生かす3つの美人 例気配り美人勤務時間中はテキパキと仕事を回す甘え美人休み時間は部下と打ち解けてふざける時には部下にあえて相談事を持ち掛ける癒し美人部下が仕事の疲れ切っている時は必ずねぎらう部下にダメ出しをする時は、自分のタイミングではなく、部下が受け入れられるタイミングを見計らう1)ジャレド・ダイアモンド:人間の性はなぜ奇妙に進化したのか?、草思社、20132)井村裕夫:進化医学、羊土社、20133)山岸俊男監修:社会心理学、新星出版社、2011

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認知症治療、薬物療法にどの程度期待してよいのか

 認知症は治癒が望めない疾患であり、治癒または回復に向かわせる治療法は存在しない。現在の治療は、認知または機能的アウトカムの改善を目的としたものである。米国・ブラウン大学のJacob S. Buckley氏らは、認知症および軽度認知障害(MCI)の治療に関する研究をレビューし、治療のベネフィットとリスクを評価した。その結果、コリンエステラーゼ阻害薬(ChEI)によるベネフィットは小さく、経過とともに効果が減弱すること、用量依存的に有害事象が増加すること、またメマンチン単剤療法はベネフィット、リスクともに小さいことが明らかになったと報告した。Drugs & Aging誌オンライン版2015年5月5日号の掲載報告。 研究グループは、認知症に対する薬理学的治療の基礎をレビューし、認知症治療のベネフィットとリスクについてまとめた。2014年11月における、認知症およびMCIの治療に関する英語で記載された試験および観察研究について、MEDLINEを用いて系統的に文献検索を行った。その他の参考文献は関連する出版物のビブリオグラフィーの検索により特定した。可能な限り、メタ解析あるいはシステマティックレビューによる併合データを入手した。レビューの対象は、認知症またはMCIを対象とした無作為化試験または観察研究で、治療に伴う有効性アウトカムまたは有害アウトカムを評価している試験とした。FDAの承認を受けていない治療について評価している試験、認知症およびMCI以外の障害に対する治療を評価している試験は除外した。 主な結果は以下のとおり。・文献検索により540件の試験がレビュー対象の候補となり、そのうち257件がシステマティックレビューに組み込まれた。・試験の併合データにより、軽度から中等度のアルツハイマー病とレビー小体型認知症において、ChEIは認知、機能、および全般的ベネフィットをやや改善することが示された。ただし、これらの効果における臨床的意義は明らかでない。・血管性認知症に対する、有意なベネフィットは認められていないことが判明した。・ChEIは、治療開始1年後に有効性のベネフィットが最小となり、経過に伴い減弱すると思われた。・進行例あるいは85歳以上の患者にベネフィットを示したエビデンスはなかった。・有害事象は、ChEIの使用により用量依存的に有意に増加した。コリン作動性刺激に関連して消化器系、神経系および心血管系の副作用に対するリスクは2~5倍となり、重大な副作用として体重減少、衰弱、失神などが認められた。・85歳を超えた患者の有害事象リスクは若年患者の2倍であった。・メマンチン単剤療法は、中等度から重度のアルツハイマー病および血管性認知症の認知機能に何らかのベネフィットをもたらす可能性があった。しかし、そのベネフィットは小さく、数ヵ月の経過において減弱する可能性があった。・メマンチンは、軽度認知症あるいはレビー小体型認知症において、またChElへの追加治療として、有意なベネフィットは示されていなかった。・少なくとも管理下にある試験という状況において、メマンチンの副作用プロファイルは比較的良好であった。 結果を踏まえ、著者らは「ChEIは軽度から中等度の認知症に対し、短期的に、わずかな認知機能の改善をもたらすが、これは臨床的に意味のある効果とはいえない。重症例、長期治療患者、高齢者においては、わずかなベネフィットしか認められない。体重減少、衰弱、失神などのコリン作動性の副作用は臨床的に重要であり、とくに虚弱な高齢患者において弊害をもたらし、治療によるリスクがベネフィットを上回る結果となっている。メマンチン単剤療法の中等度~重度認知症に対するベネフィットは最低限であった。有害事象も同程度に小さいと考えられた」とまとめている。関連医療ニュース アルツハイマー病の早期ステージに対し、抗Aβ治療は支持されるか 抗認知症薬の神経新生促進メカニズムに迫る:大阪大学 抗認知症薬4剤のメタ解析結果:AChE阻害薬は、重症認知症に対し有用か  担当者へのご意見箱はこちら

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出生地が双極性障害発症時期に影響

 出生直後の環境条件は、概日システムの刷り込みや、その後の環境応答に影響するかもしれない。ドイツ・カールグスタフ・カールス大学病院のMichael Bauer氏らは以前、とくに気分障害の家族歴を持つ人において、春の日射量の増加が双極性障害の発症年齢と関連することを報告していた。本研究では、出生地の日照時間がこの関連に影響を与えているかどうかを検討した。Journal of psychiatric research誌2015年5月号(オンライン版2015年3月27日号)の報告。 以前収集した23ヵ国、36施設のデータから、双極I型障害患者3,896例のデータが得られた。患者の出生地は、北緯1.4度から70.7度および南緯1.2度から41.3度の範囲であった。出生地の日照時間の変数をベースモデルに追加し、発症年齢と日射との関連を評価した。 主な結果は以下のとおり。・乳児期の出生地のより多い日照時間は、より高齢での発症と関連していた。このことは、発症地での春の日射の増加が、将来の概日リズムに対する脆弱性を低下することを示唆していた。・出生後最初の3ヵ月における、平均月間日照量の最小値を変数に加えることでベースモデルが改善し、発症年齢と正の相関がみられた。・その他すべての変数における係数は安定、重大かつベースモデルと一致した。 結果を踏まえ、著者らは「出生後早期の光曝露は、とくに冬場の自然光が少ない緯度地域の、双極性障害を発症しやすい人に重要な影響を与える。出生後早期の光曝露は、その後の概日リズム応答のための長期的な適応性に影響を与える可能性がある」とまとめている。関連医療ニュース 双極性障害ラピッドサイクラーの特徴は 小児・思春期の双極性障害に対する非定型抗精神病薬vs気分安定薬 冬季うつ病、注意が必要な地域は  担当者へのご意見箱はこちら

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リチウムの腎臓・内分泌系の有害作用/Lancet

 リチウムは気分障害の治療に広く用いられ、優れた有効性が示されているが、腎臓や内分泌系への有害作用の特性はよくわかっていないという。英国・John Radcliffe病院のBrian Shine氏らは、今回、リチウムは腎機能を低下させ、甲状腺機能低下症や高カルシウム血症を引き起こすことを報告した。Lancet誌オンライン版2015年5月21日号掲載の報告より。腎臓、甲状腺への有害作用を後ろ向きに検討 研究グループは、オックスフォード大学病院NHSトラストに集積されたデータをレトロスペクティブに解析した。対象は、1982年10月1日~2014年3月31日に、年齢18歳以上で、血清クレアチニン、甲状腺刺激ホルモン、カルシウム、糖化ヘモグロビン(HbA1c)、リチウムを2回以上測定された患者であった。リチウムの投与を受けていない患者を対照とした。 以下の5つの有害作用の評価を行った。Stage 3の慢性腎臓病(推定糸球体濾過量<60mL/分/1.73m2)、甲状腺機能低下症(甲状腺刺激ホルモン>5.5mU/L)、甲状腺機能亢進症(同<0.2mU/L)、総血清カルシウム濃度および補正血清カルシウム濃度の異常高値(>2.6mmol/L[≒46.8mg/dL])。 全体で、4,678例(2回以上の投与は2,795例[60%])のリチウム投与例と68万9,228例の対照のデータが得られた。リチウムの投与回数は2~162回であり、初回から最後のリチウム投与までの期間中央値は3.0年(四分位範囲:0.7~8.7年、最長28年)であった。60歳未満の女性でリスク大、治療早期に発現 年齢、性別、糖尿病で補正すると、血清リチウム濃度は、Stage 3の慢性腎臓病(ハザード比[HR]:1.93、95%信頼区間[CI]:1.76~2.12、p<0.0001)、甲状腺機能低下症(2.31、2.05~2.60、p<0.0001)、総血清カルシウム濃度の上昇(1.43、1.21~1.69、p<0.0001)と有意な関連が認められた。 一方、血清リチウム濃度は、甲状腺機能亢進症(HR:1.22、95%CI:0.96~1.55、p=0.1010)および補正血清カルシウム濃度の上昇(1.08、0.88~1.34、p=0.4602)とは関連がなかった。 女性は男性に比べリチウムによる腎臓や甲状腺の障害のリスクが高かった。また、60歳未満の女性は、60歳以上の女性よりも高リスクであった。 初回から最後のリチウム投与の期間が中央値より長い患者は、5つの有害作用のリスクがいずれも有意に低く、これはリチウムによる有害作用はいずれも治療早期に発現することを示す。また、5つの有害作用のリスクは、いずれも血清リチウム濃度が中央値よりも高値の患者で高かった。 糖尿病の有無で、リチウムによる有害作用のリスクに差はみられなかった。 著者は、「リチウムは、双極性障害患者の自殺リスクを低減するなど、現在も標準的な気分安定薬であることから、ベースライン時に腎臓および甲状腺、副甲状腺の機能の評価を行い、定期的なモニタリングを長期に継続する必要がある」と指摘している。

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てんかんドライバーの事故率は本当に高いのか

 米国・ホフストラ・ノースショアLIJ医科大学のPuja Appasaheb Naik氏らは、米国神経学会のガイドラインに準じてシステマティックレビューを行った。その結果、てんかんを有するドライバーと一般集団における交通事故率の違いに関するエビデンスは矛盾しており、結論は得られないことを報告した。Epilepsy&Behavior誌オンライン版2015年5月7日号の掲載報告。 研究グループは、PubMedを用いて1996年以降に発表された英語論文を検索し、てんかん患者と非罹患者における自動車運転による交通事故のリスクを比較検討した。 結果は以下のとおり。・本レビューの対象となったエビデンスは、クラスⅡの研究が6件、クラスIIIの研究が1件であった。・2件(クラスIIIおよびクラスII、各1件)は、一般集団と比較し、てんかん患者群で全交通事故率が減少する傾向がみられた。各研究の相対リスク(RR)は0.86(95%信頼区間[CI]:0.65~1.14)と1.00(同:0.95~1.06)であった。なお、どちらの研究も交通事故率は自己報告に基づいた。・3件(すべてクラスⅡ)は、一般集団と比較して、てんかん患者群で全交通事故率の増大または増大傾向がみられた。RRは、保険会社・救急診療部・医師が報告しているデータベースに用いた研究で1.62(95%CI:0.95~2.76)、警察の報告を用いた研究で1.73(同:1.58~1.90)、救急来院に基づいた研究で7.01(同:2.18~26.13)であった。・1件(クラスⅡ)は、死亡事故の発生率について、てんかん患者との比較において、他疾患に起因する事故は26倍、アルコール中毒に起因する事故は156倍と報告していた。・1件(クラスⅡ)は、てんかん患者の発作による交通事故は、交通事故2,800件につき1件と報告していた。 一般集団と比較したてんかん患者の交通事故率について、矛盾した結果が得られたことについて、著者らは方法論的な差異を挙げたうえで、「今後の研究では、交通事故率の算出はてんかん患者の自己申告によらない客観的な指標を用い、分母には走行距離を用いるべきである」とまとめている。【訂正のお知らせ】本文に誤りがあったため、一部訂正いたしました(2016年8月24日)。関連医療ニュース 精神疾患ドライバー、疾患による特徴の違い 認知症ドライバーの運転能力、どう判断すべきか てんかん患者への精神療法、その効果は  担当者へのご意見箱はこちら

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精神疾患ドライバー、疾患による特徴の違い

 米国・バージニア大学のPaula A. Aduen氏らは、注意欠如・多動症(ADHD)、うつ病を有するドライバーと、精神疾患のないドライバーを比較し、衝突事故等との関連を調べた。結果、ADHDドライバーとうつ病ドライバーでは交通違反や衝突事故リスクが異なり、ADHDは多様な衝突事故や違反、衝突関連の障害と特異的に関連している一方、うつ病は自己報告による衝突後の受傷と関連していると思われる所見が示されたという。Psychiatric Research誌2015年5月号の掲載報告。 臨床においてほとんど議論にならないが、自動車運転は、複雑で多岐にわたる動作努力を要し、瞬間的な不注意が壊滅的な結果を招く。先行研究において、ADHDのような罹病率の高い精神障害は、過度の衝突率に関連し、種々の有害な社会的、経済的、健康、死亡そして法的なアウトカムの前兆となることが示唆されていたが、自己バイアスや精神疾患の比較群の欠落により、所見は限定的なものにとどまっていた。 研究グループはそうした限界に焦点を当て、ADHD、うつ病と、有害運転アウトカム、自己バイアスのない選択、運転曝露および紹介バイアスとの特徴的な関連を調べるStrategic Highway Research Program(SHRP-2)Naturalistic Driving Studyを行った。試験には、確率抽出法に基づくサンプリングにより6地域から米国ドライバーが参加し、Barkley ADHD評価、精神科診断質問票によって、ADHD群(275例)、うつ病群(251例)、健康対照(1,828例)にグループ分けされた。主要アウトカムは、自己報告による衝突事故、走行中の交通違反、衝突に関連した受傷および障害(過去3年間における)が含まれた。 主な結果は以下のとおり。・ADHDは、多様な違反(OR:2.3)や衝突(同:2.2)、また衝突関連の障害(同2.1)のリスク増大要因となることが、統計学的差をもって示された。うつ病についてはいずれも認められなかった。・一方、ADHDにはなくうつ病がリスク増大要因となることがみられたのは、自己報告による衝突後の受傷であった(OR:2.4)。 結果を踏まえ、著者らは「こうしたリスクの特異的な基礎メカニズムを明らかにすることが重要であり、高罹病率の精神障害を有するドライバーについて長期的な機能改善を図る効果的な研究を考案することが求められる」とまとめている。関連医療ニュース 認知症ドライバーの運転能力、どう判断すべきか 成人ADHDをどう見極める うつになったら、休むべきか働き続けるべきか  担当者へのご意見箱はこちら

4692.

治療抵抗性強迫症に抗精神病薬の増強療法は有効か

 強迫症(OCD)患者の多くがセロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)に対する反応が十分ではなく、抗精神病薬による増強療法が行われることがある。こうした治療抵抗性例に対する抗精神病薬付加の有効性を評価する目的で、オーストリア・ウィーン医科大学のMarkus Dold氏らが、検討を行った。無作為化二重盲検プラセボ対照試験のメタ解析の結果、SSRI治療抵抗性OCD患者には、抗精神病薬による治療が有効であることが示された。International Journal of Neuropsychopharmacology誌オンライン版2015年5月4日号の掲載報告。 研究グループは、SSRI治療抵抗性OCDを対象とした抗精神病薬の無作為化二重盲検プラセボ対照試験(RCT)について、2015年1月までに発表された論文をClinicalTrials.gov、Clinicaltrialsregister.eu、CENTRAL、EMBASE、PubMed/MEDLINEおよびPsycINFOを用いて検索した。主要評価項目は、Yale-Brown強迫尺度(Y-BOCS)総スコアの平均変化量、副次的評価項目は強迫観念、強迫行為、反応率および中断率で、データ収集は2名の研究者が独立して行い、Hedges’s gとリスク比を算出した。 結果は以下のとおり。・14件(491例)のRCTが組み込まれた:クエチアピン4件(142例)、リスペリドン4件(132例)、アリピプラゾール2件(79例)、オランザピン2件(70例)、パリペリドン1件(34例)、ハロペリドール1件(34例)。・抗精神病薬増強療法はプラセボより、Y-BOCS総スコアの減少が有意に大きく、有効性が示された(14件、478例;Hedges’s g=-0.64、95%信頼区間:-0.87〜-0.41、p<0.01)。・アリピプラゾール(Hedges’s g=-1.35)、ハロペリドール(Hedges’s g=-0.82)、リスペリドン(Hedges’s g=-0.59)は、プラセボより有意に優れていた。・強迫観念や強迫行為の改善および反応率は、抗精神病薬がプラセボより優れていた。・全中断率は、抗精神病薬とプラセボとの間に有意差はみられなかった。・なお抗精神病薬の用量やベースラインでの症状の重症度は、メタ解析の結果に影響しないことが示唆された。 結果を踏まえて著者は、「抗精神病薬の増強療法は、SSRI治療抵抗性OCDに対する根拠に基づいた治療である」と結論付けている。関連医療ニュース 難治性強迫性障害に有用な抗精神病薬は何か 難治性の強迫性障害治療「アリピプラゾール併用療法」 SSRIで著効しない強迫性障害、次の一手は  担当者へのご意見箱はこちら

4693.

小児てんかん、多剤併用療法の悪影響は

 英国・Young EpilepsyのColin Reilly氏らは、小児活動性てんかんにおける全般的認知、ワーキングメモリおよび処理スピードの障害について調査した。その結果、とくにワーキングメモリおよび処理スピードの障害が顕著であること、多剤併用療法は全般的認知、ワーキングメモリおよび処理スピードの障害に関連していることを報告した。これまで、小児てんかんに特異的な認知プロファイルに関する住民ベースの検討データはなかった。Journal of Clinical and Experimental Neuropsychology誌2015年5月号の掲載報告。 研究グループは、住民ベースのサンプルにおいて、抗てんかん薬(AED)服用中および/または過去1年間にけいれん発作を認めた小児の「活動性」てんかんの、全般的認知、ワーキングメモリおよび処理スピードの障害の頻度を明らかにすることを目的とした。活動性てんかんを有する5~15歳の学童85例(適格例の74%)について、全般的認知、ワーキングメモリおよび処理スピードを含む包括的な精神学的評価を行った。認知下位テストのスコアをペアt検定にて比較した。線形回帰解析により、認知障害に関連する因子を評価した。 主な結果は以下のとおり。・小児の24%がIQ 50未満、40%がIQ 70未満であった。・処理スピード指数スコアは、VerbalスコアまたはWechsler式パフォーマンス指数スコアに比べ、有意に低値であった。・Coding下位テストの成績は、その他のWechsler式下位テストと比べ有意に低かった。・4つのワーキングメモリ下位テストの少なくとも1つ以上において、小児の58%はメモリが未熟(メモリスコア1 SD以下で評価したIQ)であった。・全般的認知障害と有意に関連する因子は、多剤併用療法施行中(β=-13.0、95%CI:-19.3~-6.6、p=0.000)および注意欠如/多動症(ADHD、β=-11.1、95%CI:-19.3~-3.0、p=0.008)であった。・多剤併用療法施行中は、ワーキングメモリおよび処理スピード複合の低スコアとも関連していた。・発達性協調運動症(DCD)は、処理スピード複合の低スコアと関連していた。・小児てんかんにおいて、全般的および特異的認知障害が高頻度にみられ、ワーキングメモリおよび処理スピードにおいて障害が最も顕著であった。・小児てんかんにおける認知障害の予測因子は、てんかん関連因子および行動因子であり、認知評価のドメインによって異なる可能性が示唆された。関連医療ニュース てんかん患者への精神療法、その効果は 精神障害を伴う難治性てんかん患者への術前ビデオ脳波は禁忌なのか 寛解後、抗てんかん薬はすぐに中止すべきか  担当者へのご意見箱はこちら

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非定型抗精神病薬は認知症に有効なのか

 認知症によくみられる神経精神症状の治療に、さまざまな非定型抗精神病薬が広く用いられているが、これらの薬剤の有効性と安全性に関する無作為化比較試験では矛盾する結果が示されている。中国海洋大学のリン・タン氏らは、この問題に取り組むためシステマティックレビューを行った。結果、アリピプラゾールとリスペリドンは、平均12週で認知症の神経精神症状を改善し認知機能の低下を遅らせると結論付けた。ただし、著者は「認知症患者においては、重度の有害事象が非定型抗精神病薬の有効性を相殺する可能性がある」と指摘している。Alzheimer’s Research &Therapy誌オンライン版2015年4月20日号の掲載報告。 研究グループは、認知症患者の神経精神症状に対する非定型抗精神病薬の有効性と安全性を評価する目的で、PubMed、EMBASE、Cochrane Controlled Trials RegisterおよびCochrane Database of Systematic Reviewsを用い、2014年8月までに発表された論文で精神症状を有する認知症患者を対象とした非定型抗精神病薬(リスペリドン、オランザピン、クエチアピン、アリピプラゾール、ジプラシドン、クロザピン)療法の無作為化比較試験を検索した。2人の研究者が独立して試験の質を評価し、情報を得た。 結果は以下のとおり。・検索により、23件の無作為化比較試験(合計5,819例)が確認された。・メタ解析において、非定型抗精神病薬はプラセボと比較して精神症状および認知機能に対する効果が有意に優れることが示された。・精神症状に関するスコアの変化量の加重平均差(WMD、対プラセボ)は、アリピプラゾールが-4.4(95%信頼区間[Cl]:-7.04~-1.77)、リスペリドンが-1.48(同:-2.35~-0.61)であった。・認知機能に関するスコア(Clinical Global Impression-Change:CGI-C)の変化は、アリピプラゾール、リスペリドン、オランザピン、クエチアピンにおいて有意な改善が認められ、変化量のWMDは、アリピプラゾールの-0.30(95%Cl:-0.59~-0.01)からリスペリドンの-0.43(95%Cl:-0.62~-0.25)にわたった。・非定型抗精神病薬治療群では、外傷または転倒のリスクに差はなかったが(p>0.05)、傾眠、尿路感染症、浮腫および歩行異常のリスクは有意に高かった(p<0.05)。・死亡に関して重要な所見は報告されなかった。関連医療ニュース 認知症への抗精神病薬、用量依存的に死亡リスクが増加 抗精神病薬は統合失調症患者の死亡率を上げているのか 脳血管性認知症患者に非定型抗精神病薬を使用すべきか  担当者へのご意見箱はこちら

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「手術で改善する認知症」を知らない一般人は90%

 ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社メディカル カンパニー(本社:東京都千代田区、代表取締役プレジデント:日色 保、以下J&J)は、特発性正常圧水頭症(Idiopathic Normal Pressure Hydrocephalus、以下iNPH)の疾患認知度および医師の診療経験に関する実態調査の結果を発表した。本調査では、一般人1,000人を対象に認知症や歩行障害、尿失禁を伴う高齢者疾患iNPHの疾患認知度について、また、医師2万288人(34診療科)を対象にiNPHを診療しているかどうかについてインターネット調査を実施し、前年に実施した同内容の調査結果と比較した。 今回の調査によると、一般人の90.1%が、手術により改善する可能性のある認知症、iNPHについて、「知らない」と回答しており、依然としてその認知度が低いことがわかった。また、医師におけるiNPHの診療経験率は脳神経外科で51.9%、神経内科で42.5%と高いことが確認されたものの、精神科でのiNPH診療経験率は6.0%と低いままであることが明らかとなった。 一般人への調査では、「あなたは、身近な人に『認知症』の症状が出たら、まずどうするか?」という質問について、80%の人が認知症の可能性を疑って医療機関を訪れるとしていたが、iNPHの専門家とされる脳神経外科または神経内科を受診する人は45%と、全体の半数以下であることがわかった。詳細はプレスリリースへ。

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妊娠中の抗精神病薬、母親や胎児への影響は?/BMJ

 妊娠中の抗精神病薬の使用が、妊婦や胎児の転帰に及ぼす影響は小さいことが、カナダ・トロント大学のSimone N Vigod氏らによる調査で明らかとなった。その一方で、一般人口に比べると妊娠高血圧や早産などの頻度が高いことから、妊娠中や周産期には注意深い健康評価を要することも示された。抗精神病薬は、妊婦の代謝性合併症(妊娠糖尿病など)や、その結果としての胎児の発育異常などの原因となる可能性が示唆されている。近年、妊婦の抗精神病薬の使用が増加しているが、評価が行われているのは、現在ではあまり使用されていない古い定型抗精神病薬がほとんどだという。BMJ誌オンライン版2015年5月13日掲載の報告より。曝露群と非曝露群を高次元傾向スコアマッチング法で比較 研究グループは、妊娠中の抗精神病薬の使用が妊婦および胎児に及ぼす影響を評価するコホート試験を行った。対象は、2003~2012年にオンタリオ州で単胎児(生児、死産児)を出産し、受胎から分娩までの間に抗精神病薬を2回以上処方され、そのうち少なくとも1回は妊娠27週以前の女性であった。 データの収集には、トロント市のInstitute for Clinical Evaluative Sciences(ICES)に集約された公衆衛生管理関連の複数のデータベースが用いられた。高次元傾向スコア(HDPS)によるマッチング法を用いて、妊娠中に抗精神病薬に曝露した妊婦と非曝露妊婦のベースラインの背景因子をマッチさせ、転帰の比較を行った。  母親の主な医学的転帰は、妊娠糖尿病、妊娠高血圧、静脈血栓塞栓症、主な周産期転帰は早産(<妊娠37週)および不良な出生児体重とし、性別・妊娠期間別の出生時体重が<3パーセンタイルに相当する場合に不当軽量体重(small for gestational age)、>97パーセンタイルの場合に不当重量体重(large for gestational age)と定義した。非定型抗精神病薬に限定しても差はない 背景因子をマッチさせたコホートとして、両群に1,021例ずつが登録された。両群とも、平均年齢は28.8歳、経産回数中央値は1回であった。妊娠前の精神医学的診断名は、精神病性障害が曝露群31.2%、非曝露群15.7%、双極性障害/大うつ病がそれぞれ74.2%、65.9%、アルコール/薬物性障害(喫煙を含む)が44.9%、40.7%、パーソナリティ障害が28.9%、22.6%であった。 妊娠糖尿病の発生率は、曝露群が7.0%、非曝露群は6.1%であった。未補正の相対リスク(RR)は1.15(95%信頼区間[CI]:0.82~1.61)、妊娠中の選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、非SSRI、気分安定薬、ベンゾジアゼピンの処方で補正後のRRは1.10(95%CI:0.77~1.57)であり、いずれも有意な差を認めなかった。また、非定型抗精神病薬(クエチアピン、オランザピン、リスペリドン)に限定した解析でも、結果は変わらなかった。 妊娠高血圧(4.7 vs. 4.1%、未補正RR:1.14、95%CI:0.76~1.73、補正RR:1.12、95%CI:0.70~1.78)および静脈血栓塞栓症(1.2 vs. 1.3%、0.92、0.42~2.02、0.95、0.40~2.27)の発生率も同様の結果であり、非定型抗精神病薬のみの結果にも変化はなかった。また、これらの疾患はいずれも一般人口に比べると頻度が高い傾向がみられた。 早産(14.5 vs. 14.3%、未補正RR:1.01、95%CI:0.81~1.27、補正RR:0.99、95%CI:0.78~1.26)の発生率は両群とも一般人口の約2倍に達したが、群間にリスクの差はみられなかった。不当軽量体重(6.1 vs. 5.1%、1.22、0.84~1.77、1.21、0.81~1.82)および不当重量体重(3.6 vs. 2.3%、1.64、0.96~2.78、1.26、0.69~2.29)についても、両群間にリスクの差はなかった。さらに、非定型抗精神病薬のみの解析でも同様の結果であった。

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呼称変更から12年、統合失調症への偏見は軽減されたのか:東京大学

 わが国では2002年、統合失調症に対するスティグマを軽減するため、精神分裂病から統合失調症へと呼称変更が行われた。しかし、その長期的な影響はあまり知られていない。東京大学の小池 進介氏らは、呼称変更から12年でどのような影響があったかを調査した。Social psychiatry and psychiatric epidemiology誌オンライン版2015年5月7日号の報告。 20大学、計259人の学生に匿名の自己記入式アンケートを実施した。調査項目は、自身のメンタルヘルス関連の経験、統合失調症、精神分裂病、うつ病、糖尿病の4疾患に対する認識(feasible knowledge)を含むスティグマスケールとネガティブな固定概念であった。また、統合失調症、認知症、10種類の精神または身体的な疾患および状態の新旧名称を選択させた。 主な結果は以下のとおり。・参加者は、精神分裂病よりも統合失調症に対してのほうが、認識がより高くネガティブな固定概念がより少なかった。しかし、これらはうつ病や糖尿病と比較すると有意に悪いものであった(p<0.01)。・精神衛生上の問題を抱えている人と直接関わった経験を持つ人では、ネガティブな固定概念ではなく、統合失調症の認識との関連が認められた(β=0.13、p=0.020)。・統合失調症の新旧名称の正解率は、認知症よりも有意に低かった(41 vs. 87%、p<0.001)。・メディアによるメンタルヘルス関連の経験が、呼称変更の認識と関連していたが(p=0.008)、このことは新名称である統合失調症のより低い認識と関連していた。 結果を踏まえ、著者らは「呼称変更から12年経過し、統合失調症に対するスティグマは軽減された。より効果的なキャンペーンや教育カリキュラム、政策決定が統合失調症へのスティグマを軽減させるために必要とされている」とまとめている。関連医療ニュース 呼称変更から10年、統合失調症患者へのスティグマを減らすためには:日本医科大学 統合失調症患者の自殺企図、家族でも気づかない:東邦大学 画像診断から統合失調症の理解を深める:高知大  担当者へのご意見箱はこちら

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学歴とうつ病の関連は、遺伝か、環境か

  うつ病と低学歴の関連には、遺伝的多面発現効果(pleiotropy)の影響は認められないが、社会経済的状況などの環境因子が関わっている可能性が示唆された。Major Depressive Disorder Working Group of the Psychiatric GWAS ConsortiumのW J Peyrot氏らがドイツ人、エストニア人のうつ病患者のデータを解析し報告した。Molecular Psychiatry誌2015年6月号の掲載報告。 低学歴とうつ病リスク増加との関連は、西欧諸国において確認されている。研究グループは、この関連に遺伝的pleiotropyが寄与しているか否かを検討した。ドイツ人およびエストニア人のデータを加えたPsychiatric Genomics Consortiumから、うつ病9,662例と対照1万4,949例(生涯にわたりうつ病の診断歴なし)のデータを解析した。 主な結果は以下のとおり。・1万5,138例において、低学歴とうつ病の関連をロジスティック回帰により評価したところ、有意な負の関連が示された。・低学歴のうつ病に対する標準偏差(SD)増加当たりのオッズ比は、0.78(0.75~0.82)であった。・常染色体性の主な一塩基多型(SNP)88万4,105件のデータを用いて、うつ病と低学歴のpleiotropyを、次の3つの方法で検証した。(1)低学歴(メタ解析とは独立した被験者12万例)とうつ病(現在のサンプルについて10分割交差確認法としてleave-one-out法を使用)の集合データに基づく遺伝子プロファイルリスクスコア(GPRS)で検証。→低学歴のGPRSはうつ病の状況を予測せず、またうつ病のGPRSは低学歴を予測しなかった。(2)二変量genomic-relationship-matrix restricted maximum likelihood(GREML)法で検証。→弱い負の遺伝学的関連が認められたが、この関連は一貫して有意ではなかった。(3)SNP effect concordance analysis(SECA)法で検証。→うつ病と低学歴のSNPの影響が一致するというエビデンスは確認されなかった。・以上より、低学歴とうつ病リスクとの関連は認められたものの、これは測定可能な遺伝的多面発現効果によるものではなく、たとえば社会経済的状況といった環境因子が関与している可能性が示唆された。関連医療ニュース うつ病のリスク遺伝子判明:藤田保健衛生大 うつ病患者の自殺企図、遺伝的な関連性は アルツハイマー病治療、学歴により疾患への対処に違いあり

4700.

てんかん患者への精神療法、その効果は

 英国・王立ハラムシャー病院のEdel Dewhurst氏らは、てんかん患者に対するアクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)の有効性と費用対効果について検討した。その結果、ACTは抑うつや不安、QOL、自尊心、職業および社会的適応に対して良好な効果をもたらし、費用対効果にも優れることを報告した。Epilepsy Behavior誌オンライン版2015年4月10日号の掲載報告。 研究グループは、てんかん患者に対するACTアプローチに基づいた精神療法の有効性と、費用対効果を評価した。検討は、発作に関連する情緒障害のため心理療法士単独による外来心理療法を勧められた難治性てんかん連続症例を対象とし、前向き非対照研究にて実施した。精神科専門医、神経心理学者あるいはてんかん専門看護師により紹介された患者を被験者とした。有効性が確認されている一連の自己報告質問票(Short Form-12 version 2、Generalized Anxiety Disorder-7、Neurological Disorders Depression Inventory for Epilepsy、Work and Social Adjustment Scale、Rosenberg Self-Esteem Scale)に回答してもらい、紹介時、治療終了時、治療6ヵ月後のけいれん発作回数を報告した。被験者は、ワークブックを用いた1対1のACTを最大20セッション受けた。介入に関わる費用対効果について、質調整生存年(QALY)を算出して評価した。 主な結果は以下のとおり。・ACT前およびACT後に質問票を完了した患者は60例で、そのうち41例から6ヵ月のフォローアップデータを得られた。・患者が受けたACTは、6~20セッション(平均値11.5、S.D. 9.6)であった。・ACTは、抑うつ、不安、QOL、自尊心、職業および社会的適応に対し、中程度以上のポジティブな効果と有意に関連し(ps<0.001)、治療後6ヵ月間継続した。・ACTの平均コストは、445.6ポンドであった。・効果が治療終了後少なくとも6ヵ月維持されると仮定した場合、QALY当たりのコストは1万1,140ポンド(1万4,119ユーロ、1万8,016ドル、QALY当たりのコストは効果が1年間続いた場合には半額となる)と推算された。・本パイロット研究により、ACTはてんかん患者にとって費用対効果の高い治療であることが示唆されるとともに、無作為化対照試験を実施することの妥当性が示された。関連医療ニュース 精神障害を伴う難治性てんかん患者への術前ビデオ脳波は禁忌なのか 寛解後、抗てんかん薬はすぐに中止すべきか 認知症患者への精神療法、必要性はどの程度か  担当者へのご意見箱はこちら

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