サイト内検索|page:221

検索結果 合計:5819件 表示位置:4401 - 4420

4401.

成人期まで持続するADHD、その予測因子は

 注意欠如・多動症(ADHD)は、診断された症例の半数において成人期まで症状が持続する神経発達障害と考えられている。現在、疾患の経過に関連する因子を明らかにするエビデンスは得られていない。ブラジル・リオグランデドスール連邦大学のArthur Caye氏らは、ADHD症状の成人期までの持続を予測するため、小児期のリスクマーカーに関する文献を検索し、システマティックレビューを行った。European child & adolescent psychiatry誌オンライン版2016年3月28日号の報告。 著者らは、2万6,168件のアブストラクトを検討し、72件のフルテキストレビューを選択した。6件の集団ベースのレトロスペクティブサンプルと10件の臨床フォローアップ研究を含む16件の研究データを同定した。少なくとも3件の研究により評価された要因について、メタ分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・ADHD症状の成人期までの持続を予測する小児期の因子は、ADHD重症度(OR:2.33、95%CI:1.6~3.39、p<0.001)、ADHD治療(OR:2.09、95%CI:1.04~4.18、p=0.037)、素行症の併存(OR:1.85、95%CI:1.06~3.24、p=0.030)、うつ病の併存(OR:1.8、95%CI:1.1~2.95、p=0.019)であった。関連医療ニュース 成人ADHDをどう見極める 9割の成人ADHD、小児期の病歴とは無関係 ADHDに対するメチルフェニデートは有益なのか

4402.

認知症に進行しやすい体型は

 軽度認知障害(MCI)者における認知症やアルツハイマー病(AD)への進行とBMIとの関連について、イタリア・ミラノ大学Luigi Sacco'病院のIlaria Cova氏らが調査を行った。Dementia and geriatric cognitive disorders誌オンライン版2016年3月31日号の報告。 メモリークリニックから得られたMCI者228例(平均年齢:74.04±6.94、女性57%)を2.40±1.58年追跡調査した。ベースライン時の身長と体重は、BMIの計算に用いた。主要評価項目は、認知症(DSM-IV基準)とAD(NINCDS-ADRDA基準)への進行とした。認知症、ADとBMIとの長期的関連性は、血管危険因子および疾患と神経画像プロファイルを含む共変量を包括的に調整し、Cox比例ハザードモデルを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・228例中、117例(51.3%)が認知症に進行した。・認知症のうち89例(76%)は、ADであった。・未調整および多変量調整モデルの両方において、高BMIは、認知症リスクの低下(多変量調整HR 0.9、95%CI:0.8~0.9)およびADリスクの低下(多変量調整HR 0.9、95%CI:0.8~0.9)と関連していた。・低体重は、すべての認知症タイプを増加させたが(多変量調整HR 2.5、95%CI:1.2~5.1)、ADとの関連は認められなかった(多変量調整HR 2.2、95%CI:0.9~5.3)。 著者らは「BMIにより、MCIから認知症およびADへの進行を予測できる。とくに、BMIが高いと認知症、ADのリスクが低下すること、低体重では認知症リスクが上昇することが示された。実臨床においてBMIを評価することで、MCIの予後予測の精度を向上させることができる」とまとめている。関連医療ニュース アルツハイマー病へ進行しやすい人の特徴は 早期アルツハイマー病診断に有用な方法は 日本人の認知症リスクに関連する食習慣とは

4403.

てんかん治療におけるベンゾジアゼピンの役割

 ベンゾジアゼピン(BZP)は、一般に抗不安薬、鎮静薬、抗けいれん薬として処方される薬剤である。米国・サウスアラバマ大学のJuan G Ochoa氏らは、てんかん治療におけるベンゾジアゼピンの役割をレビューした。Current treatment options in neurology誌2016年4月号の報告。 主なレビューは以下のとおり。・BZPは、イオンチャネルを介してCI-コンダクタンスを増加させることによりGABAA受容体に作用し、中枢神経系の抑制を促進する。・BZPの臨床特性は、GABAA受容体の異なるサブユニットの組成に依存している。各サブユニットは、中枢神経系全体に存在する複数のサブタイプを有し、これらはすべて異なる臨床反応を示す。・BZPは、てんかん重積状態の第1選択薬である。BZPに対する治療反応は、治療までの期間が重要であり、てんかん重積状態が持続した場合は効果が損なわれる。・静脈内投与可能なてんかん重積状態に最も一般的に用いられるのはBZPのロラゼパム静脈内投与であるが、同様の有効性を有するミダゾラムの非静脈内投与を、代替治療として考慮すべきである。・外来患者の急性発作治療に用いられるBZPは、現在ジアゼパム注腸に限定されるが、別の投与経路の開発も進んでいる。・複数の抗てんかん薬でも効果不十分な難治性てんかん患者に対し、クロバザムやクロナゼパムは、発作の予防に有効な選択肢である。クロバザムは、GABAA受容体のα2サブユニットに親和性が高いため、鎮静の効果が少ない可能性がある。・慢性的なBZP使用による副作用としては、鎮静、耐性、一部の患者における中毒や乱用の可能性がある。関連医療ニュース てんかん重積状態に対するアプローチは ベンゾジアゼピン系薬の中止戦略、ベストな方法は 不適切なベンゾジアゼピン処方、どうやって検出する

4404.

ニーマン・ピック病C型〔NPC : Niemann-Pick disease type C〕

1 疾患概要■ 概念・定義1, 2)ニーマン・ピック病は、多様な臨床症状と発病時期を示すがスフィンゴミエリンの蓄積する疾患として、1961年CrockerによりA型からD型に分類された。A型とB型はライソゾーム内の酸性スフィンゴミエリナーゼ遺伝子の欠陥による常染色体性劣性遺伝性疾患で、ニーマン・ピック病C型は細胞内脂質輸送に関与する分子の欠陥で起こる常染色体性劣性遺伝性疾患である。D型は、カナダのNova Scotia地方に集積するG992W変異を特徴とする若年型のC型である。■ 疫学C型の頻度は人種差がないといわれ、出生10~12万人に1人といわれている。発病時期は新生児期から成人期までと幅が広い。2015年12月の時点で日本では34例の患者の生存が確認されている。同時点での人口8,170万人のドイツでは101人、人口6,500万人の英国では86例で、人口比からすると日本では現在確認されている数の約5倍の患者が存在する可能性がある。■ 病因遺伝的原因は、細胞内脂質輸送小胞の膜タンパク質であるNPC1タンパク質をコードするNPC1遺伝子、またはライソゾーム内の可溶性たんぱく質でライソゾーム内のコレステロールと結合し、NPC1タンパク質に引き渡す機能を持つNPC2タンパク質をコードするNPC2遺伝子の欠陥による。その結果、細胞内の脂質輸送の障害を生じ、ライソゾーム/後期エンドソームにスフィンゴミエリン、コレステロールや糖脂質などの蓄積を起こし、内臓症状や神経症状を引き起こす。95%の患者はNPC1遺伝子変異による。NPC2遺伝子変異によるものは5%以下であり、わが国ではNPC2変異による患者はみつかっていない。■ 症状1)周産期型出生後まもなくから数週で、肝脾腫を伴う遷延性新生児胆汁うっ滞型の黄疸がみられる。通常は生後2~4ヵ月で改善するが、10%くらいでは、肝不全に移行し、6ヵ月までに死亡する例がある。2)乳児早期型生後間もなくか1ヵ月までに肝脾腫が気付かれ、6~8ヵ月頃に発達の遅れと筋緊張低下がみられる。1~2歳で発達の遅れが明らかになり、運動機能の退行、痙性麻痺が出現する。歩行を獲得できる例は少ない。眼球運動の異常は認められないことが多い。5歳以降まで生存することはまれである。3)乳児後期型通常は3~5歳ごろ、失調による転びやすさ、歩行障害で気付かれ、笑うと力が抜けるカタプレキシーが認められることが多い。神経症状が出る前に肝脾腫を指摘されていることがある。また、検査に協力できる場合には、垂直性核上性注視麻痺を認めることもある。知的な退行、けいれんを合併する。けいれんはコントロールしづらいこともある。その後、嚥下障害、構音障害、知的障害が進行し、痙性麻痺が進行して寝たきりになる。早期に嚥下障害が起こりやすく、胃瘻、気管切開を行うことが多い。7~15歳で死亡することが多い。わが国ではこの乳児後期型が比較的多い。また、この型では早期にまばたきが消失し、眼球の乾燥を防ぐケアが必要となる。4)若年型軽度の脾腫を乳幼児期に指摘されていることがあるが、神経症状が出現する6~15歳には脾腫を認めないこともある。書字困難や集中力の低下などによる学習面の困難さに気付かれ、発達障害や学習障害と診断されることもある。垂直性核上性注視麻痺はほとんどの例で認められ、初発症状のこともある。カタプレキシーを認めることもある。不器用さ、学習の困難さに続き、失調による歩行の不安定さがみられる。歩行が可能な時期に嚥下障害によるむせやすさ、構語障害を認めることが多く、発語が少なくなる。ジストニア、けいれんがみられることが多く、進行すると痙性麻痺を合併する。30歳かそれ以上まで生存することが多い。わが国でも比較的多く認められる。5)成人型成人になって神経症状がなく、脾腫のみで診断される例もまれながら存在するが、通常は脾腫はみられないことが多い。妄想、幻視、幻聴などの精神症状、攻撃性やひきこもりなどの行動異常を示すことが多い。精神症状や行動異常がみられ、数年後に小脳失調(76%)、垂直性核上性注視麻痺(75%)、構語障害(63%)、認知障害(61%)、運動障害(58%)、脾腫(54%)、精神症状(45%)、嚥下障害(37%)などがみられる。運動障害はジストニア、コレア(舞踏病)、パーキンソン症候群などを認める。■ 予後乳児早期型は5歳前後、乳児後期型は7~15歳、若年型は30~40歳、成人型は中年までの寿命といわれているが、気管切開、喉頭気管分離術などによる誤嚥性肺炎の防止と良好なケアで寿命は延長している。また、2012年に承認になったミグルスタット(商品名: ブレーザベス)によって予後が大きく変化する可能性がある。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)ニーマン・ピック病C型の診断の補助のためにSuspicion Indexが開発されている。これらはC型とフィリピン染色で確定した71例、フィリピン染色が陰性であった64例、少なくとも症状が1つある対照群81例について、内臓症状、神経症状、精神症状について検討し、特異性の高い症状に高いスコアを与えたスクリーニングのための指標である。この指標は便利であるが、4歳以下で神経症状の出現の少ない例では誤診する可能性のあることに注意して使用していただきたい。現在、4歳以下で使えるSuspicion Indexが開発されつつある。このSuspicion Indexは、(http://www.npc-si.jp/public/)にアクセスして使用でき、評価が可能である。一般血液生化学で特異な異常所見はない。骨髄に泡沫細胞の出現をみることが多い。皮膚の培養線維芽細胞のフィリピン染色によって、細胞内の遊離型コレステロールの蓄積を明らかにすることで診断する。LDLコレステロールが多く含まれる血清(培地)を用いることが重要である。成人型では蓄積が少なく、明らかな蓄積があるようにみえない場合もあり注意が必要である。骨髄の泡沫細胞にも遊離型コレステロールの蓄積があり、フィリピン染色で遊離型コレステロールの蓄積が確認できれば診断できる。線維芽細胞のフィリピン染色は、秋田大学医学部附属病院小児科(担当:高橋 勉、tomy@med.akita-u.ac.jp)、大阪大学大学院医学系研究科生育小児科学(担当:酒井 規夫、norio@ped.med.osaka-u.ac.jp)、鳥取大学医学部附属病院脱神経小児科(担当:成田 綾、aya.luce@nifty.com)で対応が可能である。確定診断のためにはNPC1遺伝子、NPC2遺伝子の変異を同定する。95%以上の患者はNPC1遺伝子に変異があり、NPC2遺伝子に変異のある患者のわが国での報告はまだない。NPC1/NPC2遺伝子解析は鳥取大学生命機能研究支援エンター(担当:難波 栄二、ngmc@med.tottori-u.ac.jp)で対応が可能である。近年、遊離型コレステロールが非酵素反応で形成される酸化型ステロール(7-ケトコレステロール、コレスタン-3β、5α、6βトリオール)が、C型の血清で特異的に上昇していることが知られ、迅速な診断ができるようになっている1、2)。わが国では、一般財団法人脳神経疾患研究所先端医療センター(担当者:藤崎 美和、衞藤 義勝、sentanken@mt.strins.or.jp、電話044-322-0654 電子音後、内線2758)で測定可能であり、連絡して承諾が得られるようであれば、凍結血清1~2mLを送る。さらに尿に異常な胆汁酸が出現することが東北大学医学部附属病院薬剤部から報告され9)、この異常も診断的価値が高い特異的な検査の可能性があり、現在精度の検証が進められている。診断的価値が高いと考えられる場合、また精度の検証のためにも、東北大学医学部附属病院へ連絡(担当者:前川 正充、m-maekawa@hosp.tohoku.ac.jp)して、凍結尿5mLを送っていただきたい。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)■ ミグルスタット の治療効果C型の肝臓や脾臓には、遊離型コレステロール、スフィンゴミエリン、糖脂質(グルコシルセラミド、ラクトシルセラミド)、遊離スフィンゴシン、スフィンガニンが蓄積している。一方、脳では、コレステロールやスフィンゴミエリンの蓄積はほとんどなく、スフィンゴ糖脂質、とくにガングリオシッドGM2とGM3の蓄積が顕著である。このような背景から、グルコシルセラミド合成酵素の阻害剤であるn-butyl-deoxynojirimycin(ミグルスタット)を用いてグルコシルセラミド合成を可逆的に阻害し、中枢神経系のグルコシルセラミドを基質とする糖脂質の合成を減少させることで、治療効果があることが動物で確認された。さらに若年型と成人型のC型患者で、嚥下障害と眼球運動が改善することが報告され、2009年EUで、2012年わが国でC型の神経症状の治療薬として承認された。ミグルスタットは、乳児後期型、若年型、成人型の嚥下機能の改善・安定化に効果があり、誤嚥を少なくし、乳児後期型から成人型C型の延命効果に大きく影響することが報告されている。また、若年型のカタプレキシーや乳児後期型の発達の改善がみられ、歩行機能、上肢機能、言語機能、核上性注視麻痺の安定化がみられることが報告されている。乳児早期型では、神経症状の出現前の早い時期に治療を開始すると効果がある可能性が指摘されているが、乳児後期型、若年型、成人型の神経症状の安定化に比較して効果が乏しい。また、脾腫や肝腫大などの内臓症状には、効果がないと報告されている。ミグルスタットの副作用として、下痢、鼓腸、腹痛などの消化器症状が、とくに治療開始後の数週間に多いと報告されている。この副作用はミグルスタットによる二糖分解酵素の阻害によって、炭水化物の分解・吸収が障害され、浸透圧性下痢、結腸発酵の結果起こると考えられている。ほとんどの場合ミグルスタット継続中に軽快することが多く、ロペラミド塩酸塩(商品名:ロペミンほか)によく反応する。また、食事中の二糖(ショ糖、乳糖、麦芽糖)の摂取を減らすことでミグルスタットの副作用を減らすことができる。さらには、ミグルスタットを少量から開始して、増量していくことで副作用を軽減できる。■ ニーマン・ピック病C型患者のその他の治療について2)C型のモデルマウスでは、細菌内毒素受容体Toll様受容体4の恒常的活性化によって、IL-6やIL-8が過剰に産生され、脳内の炎症反応が起こり、IL-6を遺伝的に抑制することで、マウスの寿命が延長することが示唆されている5)。また、モデルマウスに非ステロイド性抗炎症薬を投与すると神経症状の発症が遅延し、寿命が延長することが報告されており6)、C型患者で細菌感染を予防し、感染時の早期の抗菌薬投与と抗炎症薬の投与によって炎症を抑えることが勧められる。また、教科書には記載されていないが、C型患者では早期に瞬目反射が減弱・消失し、まばたきが減少し、この結果眼球が乾燥する。この瞬目反射の異常に対するミグルスタットの効果は不明である。C型患者のケアにあたっては、瞬目反射の減弱に注意し、減弱がある場合には、眼球の乾燥を防ぐために点眼薬を使用することが大切である。4 今後の展望シクロデキストリンは、細胞内コレステロール輸送を改善し、遊離型コレステロールの蓄積を軽減させると、静脈投与での効果が報告されている3)。シクロデキストリンは、髄液の移行が乏しく、人道的使用で髄注を行っている家族もあるが、今後アメリカを中心に臨床試験が行われる可能性がある。また、組み換えヒト熱ショックタンパク質70がニーマン・ピック病C型治療薬として開発されている。そのほか、FDAで承認された薬剤のなかでヒストン脱アセチル化阻害剤(トリコスタチンやLBH589)が、細胞レベルでコレステロールの蓄積を軽減させること4, 7)や筋小胞体からCaの遊離を抑制し、筋弛緩剤として用いられているダントロレンが変異したNPCタンパク質を安定化する8)ことなどが報告され、ミグルスタット以外の治療薬の臨床試験が始まる可能性が高い。5 主たる診療科小児科(小児神経科)、神経内科、精神科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報厚生労働省難治性疾患克服事業 ライソゾーム病(ファブリー病を含む)に関する調査研究班 ライソゾーム病に関して(各論)ニーマン・ピック病C型(医療従事者向けのまとまった情報)鳥取大学医学部N教授Website(ニーマン・ピック病C型の研究情報を多数記載。医療従事者向けのまとまった情報)NP-C Suspicion Index ツール(NPCを疑う症状のスコア化ができる。提供: アクテリオン ファーマシューティカルズ ジャパン株式会社)The NPC-info.com Information for healthcare professionals に入り、Symptoms of niemann pick type C diseaseにて動画公開(ニーマン・ピック病C型に特徴的な症状のビデオ視聴が可能。提供: アクテリオン株式会社)患者会情報ニーマン・ピック病C型患者家族の会(患者とその患者家族の情報)1)大野耕策(編). ニーマン・ピック病C型の診断と治療.医薬ジャーナル社;2015.2)Vanier MT. Orphanet J Rare Dis.2010;5:16.3)Matsuo M, et al. Mol Genet Metab.2013;108:76-81.4)Pipalia NH, et al. Proc Natl Acad Sci USA.2011;108:5620-5625.5)Suzuki M, et al. J Neurosci.2007;27:1879-1891.6)Smith D, et al. Neurobiol Dis.2009;36:242-251.7)Maceyka M, et al. FEBS J.2013;280:6367-6372.8)Yu T, et al. Hum Mol Genet.2012;21:3205-3214.9)Maekawa M, et al. Steroids.2013;78:967-972.公開履歴初回2013年10月10日更新2016年04月19日

4405.

双極性障害の簡便な症状把握のために

 双極性障害(BD)患者の安定性と生活リズムのマーカーとして臨床的に検証されたソーシャル・リズム・メトリック(SRM)を、スマートフォンから受動検知したデータを用いて自動評価する仕組みの実現可能性について、米国・コーネル大学のSaeed Abdullah氏らが評価した。Journal of the American Medical Informatics Association誌オンライン版2016年3月14日号の報告。 BD患者7例に、行動および状況パターンを推測する目的で、加速度計、マイク、位置、コミュニケーションといった情報のデータを受動的に収集するスマートフォンを4週間使用させた。参加者は、スマートフォンアプリを用いてSRMエントリーを完了した。 主な結果は以下のとおり。・自動感知は、SRMスコアを推定するために使用可能であった。・ロケーション、移動距離、会話の頻度、非定常の時間を入力項目として用いた、この一般化モデルの二乗誤差(RMSE)は1.40であった。なお、適正パフォーマンスの範囲は、SRMスコア(0-7)である。・個別化モデルは、さらに向上し、ユーザー全体での平均RMSEは0.92であった。・センサーストリームを用いた分類は、高精度に安定状態(SRMスコア3.5以上)、不安定状態(SRMスコア3.5未満)を予測することが可能である(適合率:0.85、再現率:0.86)。 著者らは「自動スマートフォン感知は、リズムを推定するための実行可能なアプローチであり、BD患者のウェルビーイングの重要なマーカーである」とまとめている。関連医療ニュース 双極性障害の症状把握へ、初の質問票が登場 双極性障害の診断、DSM-IV-TRでは不十分 スマホ版うつ病スクリーニングアプリの精度は

4406.

パーキンソン病治療はどう変わっていくか

 パーキンソン病は「予後が悪い」と説明する医師もいる。しかし、パーキンソン病の予後は決して悪くなく、さらに最近の治療法の進歩によってより良い方向へ変化しつつある。 2016年4月6日、アッヴィ合同会社主催のプレスセミナー「パーキンソン病治療の現状と将来への期待」が行われた。講師は順天堂大学脳神経内科 服部 信孝氏と、全国パーキンソン病友の会常務理事の高本 久氏だ。パーキンソン病治療は今どのような課題があり、今後どう変わっていくのか。セミナーの内容から解説していく。パーキンソン病治療の抱える課題 パーキンソン病の主症状は「手足のふるえ」「筋肉のこわばり」「動作の鈍化」「バランスが取りづらさ」といった運動症状である。一方で、パーキンソン病では「便秘」「睡眠障害」「抑うつ」「関節の変性」「嗅覚障害」といった症状もみられ、これらは非運動症状と呼ばれる。非運動症状は、患者にとってパーキンソン病の症状だとわかりにくいことがある。そのため、受診先に内科・精神科・整形外科を選んでしまい、5~6年間も適切な診断・治療を受けられない患者もいるという。このような患者を「正しい受診先へと導く」ことは今後の大きな課題である。 また、治療法についても課題が挙げられる。全国パーキンソン病友の会が行ったアンケートでは、半分以上の患者が現在の治療に満足しておらず、とくに重症例ではその割合が多い(図1)。また、新しい治療法に対する意識についての質問では、90%以上の患者が「新しい治療法を試したい」という意向を示した(図2)。このことから、パーキンソン病の患者、とくに重症例の患者ではより良い治療法へのニーズが高いという現状がうかがえる。  図1画像を拡大する  図2画像を拡大するパーキンソン病治療はどう変わっていくのか では、今後どのような治療法が期待されているか。現在、薬物治療の中心はL-dopa内服療法であり、多くの患者が症状の改善を実感している。しかし、薬剤が過剰であると「ジスキネジア※1」に、薬剤が効かない・不足していると「オフ※2」になってしまうこと、そして「薬が適切に効いている時間(オン※3)」は病状の進行につれて狭まっていくことが問題になっている。そのためジスキネジアやオフ時間が出にくい薬物療法、または薬物療法以外の治療法に期待が集まっている。 ジスキネジアやオフ時間が出にくいと期待される治療法が「持続性ドパミン刺激療法」だ。ドパミン刺激が持続的になされ、ドパミンの血中濃度が安定することでジスキネジア、wearing off※4といった運動合併症を緩和・発現防止すると考えられている。現在、日本ではレボドパ/カルビドパ合剤を、携帯型注入ポンプ・チューブを介して直接的に十二指腸へ投与する「持続的十二指腸内投与」の治療薬の承認申請も進んでいる。また、薬物療法で症状の改善に限界がある場合には、「脳深部刺激療法」が治療選択肢となる。脳深部に電極を、胸部に小型刺激電源を埋め込み、両者をリード線でつないで脳の奥深くに電流を持続的に流し刺激を与える。この治療法によりジスキネジアやwearing-offの改善が期待でき、薬剤増量が困難な患者における有用な一手となりうる。 「持続的十二指腸内投与」、「脳深部刺激療法」は双方ともパーキンソン病患者のより良い症状改善につながる治療法であるが、手術が必要になるなど、患者と医師にとってはややハードルが高いといえる。服部氏は「海外では治療効果が優先されるが、日本では安全性が重要視される。これらの治療法を行う際、患者や医師のフォローをどのように充実させていくかが課題だ」と述べた。  また、その他の新規治療法として「水素水飲用」「COQ10服用」によるUPDRS※5の改善といったトピックスが注目を浴び、研究が進められている。(図3参照)  図3画像を拡大する パーキンソン病は症状が進行すると非常に多くの薬剤を服薬する必要があり、患者に大きな負担がかかる。また高齢化社会に伴い、パーキンソン病患者は増加すると予想されている。患者により良い治療の選択肢を提案していくためにも、新規治療法の研究には関心が高まっていくだろう。※1 ジスキネジア:体や手足がくねくねと勝手に動くなどの症状(不随意運動)※2 オフ:薬の効果が切れている時間※3 オン:薬が適切に効いている時間※4 wearing off:薬剤の薬効時間が短縮して、薬剤服用前に症状が悪化する現象※5 UPDRS:パーキンソン病統一スケール(Unified Parkinoson's Disease Rating Scale)、パーキンソン病の重症度を点数で表す指標

4407.

リスペリドン誘発性高プロラクチン血症への補助療法

 統合失調症女性におけるリスペリドンまたはパリペリドン誘発性高プロラクチン血症に対する低用量アリピプラゾール補助療法について、上海交通大学医学院のYing Qiao氏らが検討を行った。Psychiatry research誌2016年3月30日号の報告。 リスペリドンまたはパリペリドンによる4週間の治療後、症状が有意に改善し、高プロラクチン血症を経験した漢民族系の統合失調症女性患者66例から60例を抽出した。対象患者は、治療群30例(アリピプラゾール補助療法)または対照群30例(非補助療法)に無作為に割り付けられた。リスペリドンおよびパリペリドンの用量は維持され、アリピプラゾールは5mg/日で8週間の試験期間中維持された。 主な結果は以下のとおり。・8週間後のプロラクチンレベルは、対照群よりも治療群で有意に低かった。・8週間の試験終了後および4週ごとのエストラジオールレベルは、治療群、対照群の両群において血清プロラクチンレベルと負の相関が認められた。・8週間の試験期間中、PANSSスコアは、両群ともに有意に改善した。・治療時の有害事象発現率は、両群ともに同等であった。 結果を踏まえ、著者らは「統合失調症女性患者に対する低用量アリピプラゾール補助療法は、有害事象を増加させることなく、リスペリドン、パリペリドン誘発性高プロラクチン血症の緩和に有効である」とまとめている。関連医療ニュース 抗精神病薬誘発性高プロラクチン血症にアリピプラゾール補助療法 抗精神病薬誘発性高プロラクチン血症、乳がんリスクとの関連は プロラクチン上昇リスクの低い第二世代抗精神病薬はどれか

4408.

酔いがさめたら、うちに帰ろう。(前編)【アルコール依存症】

今回のキーワード進化医学報酬系(ドパミン)問題飲酒(プレアルコホリズム)否認共依存心の居場所毒をもって毒を制すアルコール依存症の映画とは?皆さんは、アルコール依存症の人たちとかかわったことはありますか? 彼らは、なぜアルコール依存症になるのでしょうか? そもそもなぜアルコール依存症は「ある」のでしょうか? そして、どうすれば良いのでしょうか?これらの疑問を解き明かすために、今回、2010年の映画「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」を取り上げます。 この映画の原作者は、「毎日かあさん」などを代表作とする漫画家の西原理恵子さんの元夫です。実際にアルコール依存症になり、最後は末期がんが判明するまでの彼とその家族の様子が赤裸々に描かれ、 笑いと共感を誘います。また、描写が忠実であるため、アルコール依存症の理解を深める教材としても最適です。 この映画を通して、依存症の心理を、進化医学的な視点で解き明かし、回復のポイントを探っていきましょう。どんな症状がある?―表1主人公の安行は38歳の元戦場カメラマン。 本を書いたことはありましたが、定職には就かず、毎日、酒をひたすら飲み続けてきました。 彼は、それを「朝から晩までのノンストップの飲酒マラソン」と言い表します(連続飲酒)。 かつて、酒を飲んでは妻の由紀に絡み、暴言を吐き、引っぱたくなどの暴力を振るい、 挙句の果てに、妻が一生懸命に描いた大切な漫画の原稿を破り捨てたことがありました(脱抑制)。 そして、「(実の子どもたちを)おれの子じゃねえ」「太田(安行の親友)とやったんだろ!?」と言い出し、怒り出したこともありました。 アルコール依存症の人は、自分に引け目があるため、妻が自分に愛想を付かせて浮気をするのではないかという不安から妄想に発展しやすくなります(嫉妬妄想)。現在、安行は、由紀とは離婚し、2人の子どもとも別れて、実家で母親と暮らしています。居酒屋では飲み過ぎて気を失い(ブラックアウト)、嫌がる店員たちに介抱されます。意識がもうろうとする中、介抱する由紀と子どもたちの幻覚が現れます。帰り道に酒を買い、自宅でさらに飲み続けると、「何とかなるよ、まあ酒でも飲めよ」という自分に都合の良い幻覚も現れます(願望充足型の幻覚)。 その後、失禁をして、吐血もします。吐血(食道静脈瘤破裂)はとうとう10回目に達していました。安行は、断酒を決意します。クリニックで処方された抗酒薬(アルコールを飲むと体調不良になる薬)を飲むのですが、それも束の間。すぐにお酒が欲しくてたまらなくなり(渇望)、ふらふらと探し求め(探索行動)、けっきょくお酒を飲んでしまいます。そして、抗酒薬の効き目で倒れてしまいます。安行の様子は、以下のアルコール依存症の診断基準に照らし合わせると、11項目のほぼ全てを満たしています。安行は、典型的なアルコール依存症です。表1 アルコール使用障害(アルコール依存症)の診断基準(DSM-5) 精神依存身体依存耐性項目(1)長期間で大量の摂取(2)コントロールの失敗(3)探索行動(4)渇望(5)無責任(6)対人的問題(7)のめり込む(仕事や他の娯楽の放棄)(8)身体的な危険性(9)身体的または精神的問題(10)離脱(11)耐性備考上記11項目中2つ以上苦痛があるなぜアルコール依存症になるの?―表2由紀の友人の医師が「(原因は)環境もありますね」「挫折感とか劣等感とかそういったものが引き金になることもある」と言います。ここで、安行がアルコール依存症になった原因として、その危険因子を、個体因子と環境因子に分けて、整理してみましょう。(1)個体因子個体因子としては、まず体質(生物学的感受性)、つまりアルコールの欲しやすさ(嗜癖性) が挙げられます。これは、お酒が好きになる人とならない人という個人差です。嗜癖性が強ければ強いほど、機会飲酒から習慣飲酒、そして連続飲酒に至りやすくなります。昨今の双子研究や養子研究により、酒好き(嗜好性)は約50%遺伝することが分かっています。実際に安行の父親もアルコール依存症でした。さらに、アルコール摂取が1日5合以上、週5日以上、5年以上で多くの人はアルコールをやめられなくなる、つまりアルコール依存症になることが指摘されています。一方、法律で禁止されている覚醒剤は、一度摂取するとすぐにやめられなくなります。つまり、アルコールは、欲する体質に加えて、量と時間をかけることで、人にとって覚醒剤と同じものになってしまうということです。 もう1つは、アルコール依存症に関連した独特の気質、つまりアルコール依存症ならではの性格(パーソナリティ特性)が挙げられます。これには、3つの特徴があります。1つ目は、ついやってしまう軽々しさです(衝動性)。安行は、10回目の吐血をした時、由紀に「あーごめん、またやっちゃったよ」と謝ります。断酒を誓って抗酒剤を飲んだ直後、食べた奈良漬けのアルコール分が引き金となり、「たかがビールだもんな」「大丈夫だよ、これくらい」とつい飲んでしまいます。また、入院中に、制限されている食事であると言われているのに、診察中に「(回復の兆し)だったらカレー食わせろよ!」と主治医につい怒鳴っています。この特徴は、注意欠如多動性障害(ADHD)との関連も指摘されています。2つ目は、とても寂しがり屋であることです(愛着不全)。安行は再び飲んでしまう直前に、由紀と子供たちと別れて「寂しいよ」「悲しい」とつぶやいています。この特徴は、 反応性愛着障害との関連も指摘されています。3つ目は、助けを当てにすることです(依存性)。安行は、「ほんとのほんとに(酒を)やめるよ」と断酒の宣言を繰り返しています。飲んだ直後に、抗酒薬の影響で、倒れて頭を打って流血して、由紀と母親にまた迷惑をかけた時、呆れて何も言わない2人に向かって「なんか言わないの?」「説教とかないんだ」と物足りなく感じています。説教されることで関係性が保たれ、今後も助けてもらえる保証を得たいのです。この特徴は、依存性パーソナリティ障害との関連も指摘されています。 これらの性格の傾向が強ければ強いほど、お酒をやめられなくなります。さらに、長期間の大量の飲酒によって、頭の働きが弱まり(認知機能障害)、この特性がますます際立っていくのです。(2)環境因子環境因子としては、まずストレスが適度に一定ではないことが挙げられます。安行は、もともと戦場カメラマンです。危険な仕事であることやフリーランスで収入が不安定であることは大きなストレスです。そのストレスが多ければ多いほど、そのストレスを和らげるための飲酒量が増えていきます。それでは、逆にストレスが全くない状況が良いでしょうか? 仕事をしていないなどやることがない状況では、刺激を求めて暇つぶしで飲酒量が増えてしまいます。これは、仕事人間だったサラリーマンが退職後に暇を持て余して、朝からお酒を飲み続けてしまうことと同じです。つまり、ストレスは、多すぎることもなく少なすぎることもなく、適度で一定であることが望ましいのです。もう1つは、アルコール依存症を助長する周りとの独特な人間関係(共依存)が挙げられます。これには、3つの特徴があります。1つ目は、周りが流されやすいことです(同調)。母親のかかわり方をみてみましょう。安行が病院で3日ぶりに目覚めて起き上がろうとすると、母親は「だめ!ベッドで安静にって言われてる」と言いつつ、「ちょっとだけ上げてみよっか」と言います。この「ちょっとだけ」は依存症の人たちやその家族がよく使うキーワードです。「だめなものはだめ」とは対照的な言い回しです。2つ目は、周りが助けすぎることです(過保護)。母親は「そんなに死にたけりゃ独りでどっか行って勝手に死んでちょうだい」「家族を巻き添えにしないで」「あとはどうとでも好きにすればいいわ」と厳しく言っていますが、無職の安行を実家で養い、酒を買う金を与え、毎回、トラブルが起きると助けます。入院中も付きっきりです。放っておかずに、毎回、巻き込まれています。言っていること(言語的コミュニケーション)とやっていること(非言語的コミュニケーション)が一致しません(ダブルバインド)。このような状況では、やっていることの方がまさって伝わるため、けっきょく厳しい言葉に逆の意味が込められてしまいます。それは、このパターンが繰り返されることで、「(なんだかんだ言うけど)けっきょくどんな時もあなたを助けるわよ」という逆のメッセージとして強調されて伝わっていくのです。由紀も同じコミュニケーションのパターンをとっています。由紀が入院中の安行のお見舞いに来た時、「そのうちコロッと逝くね、あんた」と子どもたちの前で悪い冗談を言います。そして、子どもたちがいなくなると、「このばかちん」と言い、すでに離婚しているのに、安行にキスをします。由紀は、子どもたちのためとは言え、けっきょく安行が好きで放っておけないのです。3つ目は、周りが手なずけたがることです(過干渉)。母親は、アルコール依存症の専門病棟に入院させるために、有無を言わさず安行を連れ出し、「ここは精神病院。あなたは入院するんです」と一方的に言い放ちます。安行が手ぶらなのに対して、母親は安行の重そうな荷物を運んでいます。なお、映画では強制的に入院されているように描かれていますが、実際は、人権擁護の観点から、そして本人の主体性が治療動機に重要であるという観点から、依存症病棟には、本人の同意による任意入院が一般的です。表2 安行がアルコール依存症になった原因個体因子環境因子体質(生物学的感受性)遺伝気質(パーソナリティ特性)ついやってしまう軽々しさ(衝動性)寂しがり屋(愛着不全)助けを当てにする(依存性)ストレスが適度に一定ではない危険な仕事不安定な収入やることがない共依存的な人間関係周りが流されやすい(同調)周りが助けすぎる(過保護)周りが手なずけたがる(過干渉)依存症の3つの要素とは?―図1依存とは、「依(よ)って存(あ)ること」、つまり何かに頼って生きることで、私たち人間に必要なことです。その何かとは、食べ物や飲み物など体に取り入れるもの(物質の依存)であり、生活習慣などの行動パターン(過程の依存)であり、家族やその周囲とのつながり(人間関係の依存)です。そして、依存症とは、これらにのめり込んでコントロールできなくなること、つまりはやめたくてもやめられなくなることです。 ここから、安行の状況に照らし合わせながら、アルコール依存症を、飲酒そのもの(嗜好の依存症)、飲酒までに至る行動パターン(行動の依存症)、その行動パターンを支える人間関係(人間関係の依存症)の3つの要素に分けて整理してみましょう。(1)アルコールをコントロールできない―嗜好の依存症―図2安行は、入院してしばらくの間、アルコールによる胃腸の障害から、食事が制限されていたため、定期的に献立になっているカレーライスを食べることができませんでした。その後に食事制限がなくなり、目の前のカレーライスを見た時、彼の胸は高まります。そして、病院食の普通のカレーライスを格別な気分で幸せそうに頬張るのです。また、私たちは喉がカラカラの時に水をとてもおいしく感じます。しかし、普段、水はただの水で、おいしいとは感じません。水に限らず、塩、糖、タンパク質、脂肪などもともと自然界にあるものも同じです。このように、私たちの脳は、不足すると気になり(サリエンス)、欲しくなります(渇望)。摂取すると気持ち良くなります(快感)。そして満足すると飽きてきます(無関心)。そうなるように調節が働き(フィードバック)、一定の健康状態を維持しています(恒常性)。これは、私たちがより適応的な行動をするために進化したメカニズムです(報酬系)。ここで、私たちの脳を車に例えてみましょう。すると、報酬系のメカニズムはエンジン(ドパミン)です。何かが足りないストレスの状態(興奮)では、アクセル(ノルアドレナリン)が踏まれ、そのアクセルでエンジン(ドパミン)の回転数も上がります。一方、満たされているリラックスの状態(抑制)では、ブレーキ(GABA)が踏まれ、そのブレーキでエンジン(ドパミン)の回転数も下がります。ところが、アルコールを摂取すると、代わりのブレーキ(ベンゾジアゼピン受容体)が踏まれ、リラックスの状態になります。それは、本家のブレーキ(GABA)の働きを阻み、このブレーキ(GABA)が利かなくなることでエンジン(ドパミン)の回転数が逆に上がってしまうのです。これが、酩酊感や高揚感という気持ちの良い状態です。さらに、多量のアルコール摂取によってエンジン(ドーパミン)の回転数が上がりすぎる、つまり空回転するとどうなるでしょうか? これが、酒乱(中毒せん妄)、泣き上戸や笑い上戸(脱抑制)と呼ばれる悪酔いの状態です。この状態は昔では宗教的な意味付けがされていました。アルコール摂取の問題点は、エンジン(ドパミン)の回転数を上げるばかりで下げるメカニズムがないので、やがていつも欲しくなってしまうのです(精神依存)。お酒が世界の全てになってしまい、起きている時はお酒のことしか考えず、問題が起きてもお酒を飲み続けます。さらには、アルコールが一定濃度、体に満たされ続けるとやがてそれが定常状態になる、つまりアルコールが脳にとって「あるべきもの」になります。よって、アルコールを切らしてしまうと、脳が異常と誤って感知して、禁断症状(離脱症状)が出てしまうようになります(身体依存)。こうして、アルコールの摂取をコントロールできなくなるのです(物質の依存症)。 なお、覚せい剤では、エンジン(ドパミン)の回転数を直接的に上げるため、高揚感を伴う興奮が得られます。よって、アルコールが「ダウナー」(抑制性薬物)と呼ばれるのに対して、覚せい剤は「アッパー」(興奮性薬物)と呼ばれます。ちなみに、ベンゾジアゼピン系薬剤である睡眠薬や抗不安薬も、副作用としてアルコールと同じように「悪酔い」(脱抑制、中毒せん妄)を引き起こすリスクがあります。しかし、精神科を専門としない医師がよくやってしまう間違いとして、もともとの脱抑制やせん妄の患者に対して、落ち着かせようとしたり眠らせようとして、ベンゾジアゼピン系薬剤を投薬し、その後に症状を悪化させるケースがあります。脱抑制やせん妄には、原則として、ベンゾジアゼピン系薬剤を投薬しないように注意する必要があります。(2)行動をコントロールできない―行動の依存症安行は、入院中、周りの患者たちがカレーライスを食べているのに自分だけ食べられないことに腹を立てて、「何だよ、ケンカを売る気かよ」「売られたケンカは買ってやろうじゃないの」とわざと独り言を言って看護師を威圧しています。患者同士が言い争いをしている時、安行は直接関係がないのに、良く思っていない方に「てめえが帰れ、くそじじい」とぼそっと小さな声でわざと挑発し、殴られてしまいます。また、かつて戦場カメラマンとして命の危険にさらされたり、作家として生計を立てようとしたりと、ギャンブルのような不安定な生活をあえて選んでいます。一見、男らしくも見えます。この男らしさに由紀は惚れてしまっているのでした。このように、安行にはアルコール依存症ならではの独特な行動パターンがあります。本来、行動パターンとは、生存や生殖に有利になるために進化した本能・習性や学習能力です。これは、脳の神経回路に刻み込まれるもので、一度覚えたらなかなか忘れません。例えば、自転車の運転や水泳のような運動神経から、食事や睡眠リズムのような生活習慣、プラス思考やマイナス思考のような思考パターンまで様々あります。生存や生殖という目的に向かって、遺伝的な傾向をもとに記憶や経験が快感(報酬)と結び付いて、そう行動するようにエンジン(ドパミン)の回転数が上がるというわけです。安行の行動パターンの問題点は、アルコールをコントロールできていない以前に、自分の感情や行動をコントロールできていないことです(行動の依存症)。言うならば、飲む前から酔っ払っている、つまり、しらふでも行動が酔っ払っています(空酔い、ドライドランク)。これは、アルコール依存症にまだなっていない人で、アルコールでトラブル(問題飲酒)を繰り返し起こす人にも当てはまります(プレアルコホリズム)。本来、アルコール依存症にならない人は、ストレスを溜め込んで飲酒量が増えたり、問題飲酒などうまく行かないことが起きた時点で、周りの意見に耳を傾け、自分を振り返り、早い段階で行動パターンを修正します。しかし、アルコール依存症になる人は、この修正をなかなかしません。その原因は、「まだ大丈夫」「それほど重くない」「やめようと思えばやめられる」と考えて、問題の深刻さに薄々気付いてはいるのですが、それをはっきり認めようとしない否認の心理があるからです。アルコール依存症は「否認の病」とも呼ばれます。この否認の心理によって、アルコール依存症を完成させてしまうのです。それでは、安行にはなぜ否認の心理があるのでしょうか? その答えは、彼の父親が「教えた」からです。安行は、母親から「2人の子どものことだけはよーく考えてください」と言われると、「おやじは考えてくれなかったよね、子ども(安行)のこと」と言い返します。実際に、「(父親は)毎日のように酒を飲んでは母親に暴力をふるっていました」と入院患者たちに語っています。ここから分かるのは、彼の父親は、子ども(安行)のことだけでなく、自分のことも考えることができない不安定な行動パターン(否認)の悪いお手本(モデル)を見せていたことです。そして、安行は、父親から否認の仕方を「学んだ」のでした。安行は飲酒を中学生から始めています。本来、父親というものは子どもに生き方(社会)のルールを教える役割(父性)があるはずですが、それがないのです(父性不在)。安行は、入院中に「やっちゃったよ。父さんの真似なんかしたくないのに」と嘆いています。体験発表で「けっきょく嫌いだった父親と同じことをしてしまっていたんです」と振り返ります。一方、お見舞いに来た小学生の息子は、安行に「父さん、何やってんだよ」と笑っていいます。まさに否認という行動パターンの「文化」が脈々と受け継がれようとしている危うさが読み取れます(世代間連鎖)。(3)人間関係をコントロールできない―人間関係の依存症安行は、入院して、初対面の若い看護師にいきなり下の名前を聞き出します。また、主治医の女医に「なんでコンタクトにしないんですか?」と個人的な質問をします。人懐っこくて相手の懐に飛び込むのにとても長けていることが分かります。このように、安行には心理的距離が近すぎる独特の人間関係があります。本来、人間関係とは、生存や生殖に有利になるために、約300万年前に進化した社会性(社会脳)です。これは、周りとうまくやる能力であり、助け合い(協力)の心理であり、人間関係における行動パターンとも言えます。安行が築く人間関係の問題点は、心理的距離が近すぎて相手との境界(バウンダリー)が弱まっているために、その人間関係をコントロールできていないことです(人間関係の依存症)。言うなれば、人間関係も酔っ払っています。例えば、安行は、母親の保護や由紀の支援に甘んじて頼り切ってしまい、迷惑をかけっぱなしです。「すいまんせん」「反省しています」と言うわりに、同じことを繰り返しています。これは依存の心理(依存パーソナリティ)です。それでは、安行にはなぜ依存の心理があるのでしょうか? その答えは、彼の母親が「教えた」からです。彼女のかかわり方は、良く言えば優しくて献身的ですが、悪く言えば過保護で過干渉で支配的です。彼女は、必要とされることを必要としている、言い換えれば依存されることに依存しています(共依存)。そのかかわり方を、かつてアルコール依存症の自分の夫にし続けました。彼女は華道の先生ですが、生徒たちに「この枝は『私はここ(生ける場所)に入りたい』と言っていました」「なんて、枝がそんなこと言うわけありませんよね」「ただ私が勝手にそう思っただけです」「でも昔、私はこの勘で夫の浮気を見破りました(笑)」と冗談を交えて説くシーンにその傾向が現れています。そして、当時に同じようなかかわり方を子ども時代の安行にもし続けてきたのです。安行は、母親を相手に人間関係での依存の仕方を小さい頃から「学んだ」のでした。本来、母親というものは子どもに安心感や安全感を与える役割(母性)があるはずですが、それが行きすぎています(母性過剰)。そして、実は、由紀はこの安行の母親と似ています。由紀の父親もアルコール依存症で、由紀の母親はそんな夫に尽くしてきました。由紀はその母親の悪いお手本(モデル)を見て育ちました。そして、由紀は、父親と同じような依存的な安行に惚れてしまい、母親と同じように共依存的に接するのです。このように、アルコール依存症を助長する家族などの周りをイネーブラー(enabler)と呼びます。アルコール依存症を「enable(可能にする)+er(人)」という意味です。そもそもアルコール依存症でい続けるには、依存する体だけでなく、依存するためのお金や依存する相手が必要です。つまり、安行の望ましくない行動パターンを下支えしてしまっているのは、母親や由紀です。逆に言えば、健康とお金と人間関係が続く限り、依存症はなかなか回復しないということです。由紀と安行の子どもである息子と娘は、由紀と安行が夜中に激しい夫婦喧嘩をしていても、寝たふりをして静かにしています。由紀は「大丈夫。あの子(娘)は泣いた顔を人に見せない子です」と胸を張って言っています。娘も息子も、母親の由紀の姿を見て、もの分りが良く我慢をする「良い子」にもなっています。そして、彼らが思春期になった時、その我慢の反動により依存的に振れるか、またはその我慢の順応により共依存的に振れるか、さらにはその両方を行ったり来たりするかといういずれかのこのような極端で独特の人間関係を築いてしまうのです。まさに依存と共依存の「文化」が脈々と受け継がれようとしている危うさが読み取れます(世代間連鎖)。なぜアルコール依存症は「ある」の?―図3これまで、「なぜアルコール依存症になるのか?」という疑問の答えを解きあかしてきました。それでは、そもそもなぜアルコール依存症は「ある」のでしょうか? その答えを探るために、アルコールの歴史をひも解いてみましょう。アルコールの自然発酵が発見されたのは、旧石器時代(数万年前?)と考えられています。それは、人類が手にした最も古いバイオテクノジーです。当時から、アルコールの摂取による一時の酩酊感や高揚感は、非日常(非現実)を味わう神秘体験の道具として祝祭(宗教的儀式)で重宝されてきました。しかし、当初はまだアルコール依存症として問題になることはほとんどありませんでした。その理由は、製造技術が原始的なために、低純度で希少で高価で、手に入りにくかったからです。その後、1万5千年前に農耕牧畜が開発され、それまでの狩猟採集社会から農耕牧畜社会へと社会構造が変わっていきました。特に東アジアでは早くから米作が広まり、それに伴い早くからアルコールの醸造が広まっていたと考えられています。なお、このことが原因で、ヨーロッパ人(コーカソイド)やアフリカ人(ネグロイド)と比べて、東洋人(モンゴロイド)はアルコールに弱い体質が多くなったという説があります。実際に、飲酒後すぐに表れる赤ら顔はフラッシング反応と呼びますが、東洋人に独特であるため、別名はオリエンタルフラッシュ(Oriental flush)と呼ばれます。例えば、日本人は、アルコールに強い人(ALDH1型)が50%強、アルコールに弱い人(ALDH2型部分欠損型)が45%弱、アルコールが全く飲めない人(ALDH2型完全欠損型)が5%です(グラフ1)。この東洋人はアルコールに弱いという説の根拠として、3つの可能性が考えられます。1つ目は、アルコールに強い遺伝子の淘汰がより早い時代からあった可能性です。これは、アルコールに強い人は、それだけアルコールを多く飲むので、アルコール依存症になりやすいということです。そして、アルコール依存症によって、働けなくなります(生存の困難)。また、配偶者として選ばれにくくなり(生殖の困難)、子孫を残しにくくなります。かつてアルコールは「きちがい水」とも呼ばれていました。結果的に、アルコールに強い遺伝子を持つ人は減っていくということです。2つ目は、アルコールに強い遺伝子の淘汰がより広い地域であった可能性です。狩猟採集民族が多く残るヨーロッパやアフリカは、狩りなどで衝動性や独自性が求められる社会です。そこでは、アルコールに強い人に寛容になります。その理由は、衝動性からアルコールを多く飲み酔っぱらって一時だらしなくなっても、酔いから醒めて、また本人のペースで狩りをすれば良いからです。また、飲みっぷりの良さは、豪快さ(衝動性)として男らしさに結び付いていきました。その価値観は現在でも根強いです。もともと狩猟採集と衝動性(ADHD)は関連性が高いですが、同時にアルコール依存症と衝動性(ADHD)も関連性が高いと言えます。一方、農耕牧畜民族が多く広まった東アジアは、田植えや稲刈りなどで計画性や協調性が求められる社会です。そこでは、アルコールに強い人に不寛容になります。その理由は、アルコールを多く飲み酔っぱらって一時でもだらしなくなったら、計画的にそして協調的に働けないからです(生存の困難)。そして、配偶者として選ばれにくくなり(生殖の困難)、子孫を残しにくくなります。結果的に、アルコールに強い遺伝子を持つ人は減っていくということです。3つ目は、アルコールに弱い遺伝子の選択がより多くあった可能性です。これは、アルコールに弱い方がより適応的であるという逆転の発想です。もともとアルコール摂取は、単なる気晴らしなどの娯楽ではなく、神聖な儀式の一環でした。この時、少しのアルコールですぐに酔えて非日常を味わえるアルコールに弱い人は、より神に近付ける人としてステータスが高まります。結果的に、アルコールに弱い遺伝子を持つ人は、配偶者として選ばれやすくなり、子孫を残しやすくなります。つまり、アルコールに弱い遺伝子を持つ人は増えていくということです。なお、アルコールが全く飲めない遺伝子は、ほんの少しのアルコールですぐに気持ち悪くなるだけで酔えないので、神に近付くことはできないため、この遺伝子を持つ人は増えなかったという解釈ができます。アルコール依存症が世界的に社会問題となっていったのは、18世紀の産業革命です。その理由は、10世紀以降にアルコールの蒸留法が発明されて純度を高めることが可能になった上に、産業革命による大量生産や広範囲の流通が可能になったからです。つまり、高純度で大量で安価で、手に入りやすくなったからです。もともとアルコールは、自然界に限りあるもので、人はなかなかアルコール依存症になれませんでした。しかし、文明が進歩した現在、ほとんど限りなく手に入るようになり、人は簡単にアルコール依存症になれるようになってしまったのです。つまり、アルコール依存症とは、文明の代償と言えます。もともと自然界にある水、糖、塩、タンパク質、脂肪などの物質は、調節をするメカニズムが進化しています。ところが、アルコールは、人工的に作られ始めてからまだせいぜい1万5千年です。そのため、その調節(フィードバック)をするメカニズムが進化するには、あと数万年以上は必要と思われます。もしかしたら東洋人(モンゴロイド)にアルコールに弱い体質が多いのは、その進化の先駆けかもしれません。 なぜ欲しがる心(嗜癖)は「ある」の?ここまで、アルコール依存症の起源が明らかになってきました。それでは、アルコール依存症などの嗜好の依存症(物質依存)から、行動の依存症(過程依存)、人間関係の依存症(関係依存)までを全て含んで、そもそもなぜ欲しがる心(嗜癖)は「ある」のでしょうか? 由紀と安行の生き方を通して、進化心理学的に解き明かしてみましょう。安行の母親は、「(安行は)何から逃げるためにあんなにお酒飲むのか」と由紀に呆れて言います。一方、安行は主治医に「(夢で)何か探してるんだけど、探しているものが何か分からなくてイライラする」と言います。由紀は、知り合いの医師から「離婚した相手のことをどうしてそんなに心配するんですか?」と聞かれて、「一度好きになった人はなかなか嫌いになりにくいし」と答えます。また、「体を満たしているのがたとえ(安行を末期がんで失う)悲しみであっても、とにかく体がいっぱい満たされているわけだから、悲しいんだか嬉しいだか分かんなく(なって)」と言っています。安行と由紀に共通する心理は、心が「何か」で満たされていないことです。そして、その「何か」を「代わりの何か」で満たそうと駆り立てられ、必死で追い求めます(渇望)。これが、欲しがる心(嗜癖)です。安行は、戦場カメラマンとしてベストショットを追い求め、がむしゃらで無茶でギャンブルのような生き様をしました。そして、追い求めるものはお酒にすり替わっていきました。由紀は、離婚しても安行を追い求め、安行を最期はがんで失うという「悲しみ」で心を満たそうとしています。この映画のラストシーンで、由紀は安行の母親に「子どもたちのいる場所だと思います、(死期が間近な)あの人の帰るところ」と言うと、母親は「居場所があるのねえ、まだあの子に」と言います。ここでようやく、心を満たす「何か」とは、家族の絆という心のよりどころ、つまりは「心の居場所」であることが分かります。安行や由紀は、この「心の居場所」の感覚が幼少期にうまく育まれなかったため、この感覚が充分に満たされていないのです。この心理は、オキシトシンとドパミンという神経伝達物質によって調整されています。この心理が満たされないと、オキシトシンと結び付いているドパミンによって、他の「何か」を欲しがる心理(嗜癖)が強まってしまうのです。オキシトシンが「心の居場所」の心理として働くようになったのは、私たちの祖先が人類として社会脳が進化して大家族をつくるようになった約300万年前と考えられます。さらに、このオキシトシンの起源は、私たちの祖先が哺乳類として授乳(哺乳)するようになった2億年以上前です。ドパミンの起源は、さらに遡って、私たちの祖先が原始生物として捕食対象に接近するようになった数億年前以上前です。これが私たちの欲しがる心(嗜癖)の起源であると言えます。私たちは、本能的に何かに近付いて欲しがる心(嗜癖)を持っており、問題はその相手(対象)や程度であるということです。 1)鴨志田穣:酔いがさめたら、うちに帰ろう。講談社文庫、20102)斎藤学:アルコール依存症に関する12章、有斐閣新書、19863)ディヴィッド・J・リンデン:快感回路、河出文庫、20144)アンソニー・スティーブンズほか:進化精神医学、世論時報社、20115)長尾博:図表で学ぶアルコール依存症、星和書店、2005

4409.

統合失調症、喫煙と脂質プロファイルの関連は

 統合失調症では、喫煙および異常な脂質プロファイルの高い割合と関連している。中国・北京大学のHui-Mei An氏らは、統合失調症患者の喫煙者と非喫煙者のプロファイルが異なるかどうか、脂質プロファイルが精神病理的症状に関連しているかどうかを検討した。Neuroscience bulletin誌オンライン版2016年3月28日号の報告。 血清脂質プロファイルは、DSM-IVで定義された統合失調症男性患者130例(喫煙者:104例、非喫煙者:26例)で測定された。症状は、PANSSを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・PANSS陽性症状は非喫煙者よりも喫煙者で少なく、陰性症状はタバコをより多く吸っている人で少なかった。・総タンパク質およびグロブリンレベルは、非喫煙者よりも喫煙者で有意に低かった。・しかし、総コレステロール、トリグリセライド、HDLコレステロール、LDLコレステロール、アポリポ蛋白A1またはBは、喫煙者と非喫煙者との間で有意な差は認められなかった。・PANSS陽性サブスケールは、喫煙者において、HDLコレステロールレベルとの間に有意な負の相関が示されたが、非喫煙者ではそうではなかった。・統合失調症患者の喫煙者は精神症状が少なく、予想に反して、喫煙は脂質プロファイルレベルに影響を与えなかった。関連医療ニュース 日本人統合失調症患者の脂質プロファイルを検証!:新潟大学 抗精神病薬、日本人の脂質異常症リスク比較:PMDA 統合失調症患者は、なぜ過度に喫煙するのか

4410.

抗うつ薬誘発性体重増加のレビュー、その結果は

 うつ病と肥満はどちらも複雑な病因を持ち、公衆衛生に大きな影響を与える不均一な疾患である。疾患管理予防センター(CDC)のデータによると、抗うつ薬の処方は1988年以降、約400%上昇している。同時に、1980年以降の肥満率は、成人で15%から30%に倍増しており、小児では3倍以上増加している。肥満率の上昇は、重大な健康への影響を有し、30以上の重篤な疾患の増加率に影響する。西洋社会において、抗うつ薬の使用と肥満率が同時に上昇しているにもかかわらず、2つの関連付けおよび抗うつ薬誘発性体重増加のメカニズムについてはよくわかっていない。オーストラリア国立大学のS H Lee氏らは、抗うつ薬使用およびうつ病と体重増加との複雑な関係に注目し、レビューを行った。Translational psychiatry誌2016年3月15日号の報告。 主なレビューは以下のとおり。・臨床所見から、肥満がうつ病発症リスクを高め、うつ病が肥満リスクを高める可能性が示唆された。・視床下部-下垂体-副腎中枢(HPA axis)の活性化はストレス状態で誘発される。同時に、HPA axisは肥満やメタボリックシンドロームにより調節不全が生じ、それはうつ病と共通の病態生理学的経路として最もよく理解されている。・多くの研究で、異なるクラスの抗うつ薬が体重に及ぼす影響が示唆されてきた。・前臨床研究では、三環系のアミトリプチリン、ノルトリプチリン、イミプラミン、セロトニン・ノルエピネフリン再取り込み阻害薬のミルタザピンが体重増加と関連していることが示唆されている。・選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の使用は、急性期治療の体重減少と関連しているにもかかわらず、多くの研究において、SSRIが体重増加の長期的リスクと関連していることが示唆されている。しかしながら、臨床研究の高い変動性や複数の交絡因子のため、SSRI治療の長期的効果やSSRI曝露による体重増加は、依然として不明なままである。・最近開発された動物パラダイムでは、ストレスと抗うつ薬の組み合わせに続く長期的な高脂肪食の結果、長期抗うつ薬治療の中止後に、高脂肪食のみが引き起こす量を上回る著しい体重増加が示唆されている。・既存の疫学、臨床、前臨床データに基づき、抗うつ薬使用の増加により、抗うつ薬曝露が高率となった結果が肥満の蔓延に影響する因子であるとの検証可能な仮説が導き出された。関連医療ニュース 非定型抗精神病薬による体重増加・脂質異常のメカニズム解明か 抗精神病薬による体重増加や代謝異常への有用な対処法は:慶應義塾大学 オランザピン誘発性体重増加を事前に予測するには:新潟大学

4411.

アミロイドβ凝集を継時的に観察する方法

 全世界で4,600万人以上の方がアルツハイマー病に苦しんでいる。多くの治療法が提唱されており、その1つにアルツハイマー病の主な原因の1つであると考えられているアミロイドβペプチド(Aβ)凝集を阻害する治療がある。多くの場合、in vitro研究では、細胞や組織中のAβ凝集モニタリングに限界があることから、抗アミロイド薬のスクリーニングが制限される。スペイン・バルセロナ大学のAlba Espargaro氏らは、in vivoでアミロイド蓄積などのバクテリアを用いて、リアルタイムにin vivoでのAβ凝集を追跡するためのシンプルながらも強力な方法を開発した。Scientific reports誌2016年3月22日号の報告。・バクテリア封入体(IBS)を染色するために、特定のチオフラビンS(Th-S)染色アミロイドを使用した。・この場合には、主にアミロイド構造でAβを形成した。・アミロイドに結合するTh-Sは蛍光量の増加につながり、モニターすることが可能である。・Th-Sの蛍光量の定量化により、継時的なAβ凝集および抗凝集薬の効果を追跡することができる。関連医療ニュース アルツハイマー病、進行前の早期発見が可能となるか 軽度認知障害からの進行を予測する新リスク指標 日本人アルツハイマー病、BPSDと睡眠障害との関連は

4412.

naltrexone、刑事犯罪者のオピオイド依存再発を抑制/NEJM

 オピオイド依存症歴のある成人刑事犯罪者に対し、徐放性naltrexoneはオピオイド使用再開の抑制効果があることが明らかにされた。米国・ニューヨーク大学のJoshua D. Lee氏らが、通常治療と比較した無作為化試験の結果、報告した。徐放性naltrexoneは、μオピオイド受容体完全拮抗薬の月1回投与の徐放性注射剤で、オピオイド依存症の再発防止効果はすでに確認されているが、刑事犯罪者への効果に関するデータは限定的であったという。NEJM誌2016年3月31日号掲載の報告。依存症歴のある犯罪者308例を対象に無作為化試験、naltrexone vs.通常治療 試験は2009年2月~13年11月に米国5地点で非盲検にて行われた。437例をスクリーニングし308例を、徐放性naltrexone(商品名:Vivitrol)を投与する群と通常治療(簡単なカウンセリングと地域治療プログラムへの紹介)群の2群に無作為に割り付けて、24週間介入を行い、オピオイド依存症再発防止について比較した。 被験者は、オピオイド依存症歴のある成人の刑事犯罪者(米国刑事裁判制度で被告人になった者など)で、オピオイド維持療法ではなくオピオイドからの離脱を選択し、無作為化を受ける時点で、オピオイド使用に対する自制ができていた人とした。 主要アウトカムは、オピオイド依存症再発までの期間とした。再発の定義は、28日間で10日以上使用した場合とし、自己申告または2週間ごとの尿検査の結果(陽性または未確認の場合はオピオイドを5日間使用とみなす)で評価した。また、治療後フォローアップを、27、52、78週時点で行った。依存症再発までの期間、naltrexone群が有意に延長、ただし治療中断後1年で同等に naltrexone群に153例、通常治療群に155例が割り付けられた。 24週の治療期間中、naltrexone群のほうが通常治療群よりも、再発までの期間が有意に延長し(10.5 vs.5.0週、p<0.001、ハザード比[HR]:0.49、95%信頼区間[CI]:0.36~0.68)、再発率は有意に低く(43 vs.64%、p<0.001、オッズ比[OR]:0.43、95%CI:0.28~0.65)、尿検査陰性の割合が有意に高かった(74 vs.56%、p<0.001、OR:2.30、95%CI:1.48~3.54)。 しかし、78週(治療終了後約1年)時点の評価では、尿検査陰性の割合について有意差はみられなくなっていた(両群とも46%、p=0.91)。 その他の事前に規定した副次アウトカム(自己申告でのコカイン、アルコール、静注薬物の使用、非安全な性行為、再収監)は、naltrexone群で低率であったが有意ではなかった。 78週以上の観察において、過量服薬行為の報告はnaltrexone群は0件、通常治療群は7件であった(p=0.02)。 これらの結果を踏まえて著者は、「刑事犯罪者に対し、徐放性naltrexoneの投与は、通常治療を行った場合と比べて、オピオイド依存症の再発率が低かった。再発防止効果は、治療中断後に減弱した」とまとめている。

4413.

双極性障害発症のリスク因子を解析

 双極性障害(BD)の発症に対する環境リスク因子については十分にわかっていない。イタリア・Centro Lucio BiniのCiro Marangoni氏らは、長期研究によりBDの有病率、罹病期間、環境曝露の予測値を評価した。Journal of affective disorders誌2016年3月15日号の報告。 著者らは、2015年4月1日までのPubMed、Scopus、PsychINFOのデータベースより、関連キーワード(出生前曝露、母体内曝露、トラウマ、児童虐待、アルコール依存症、大麻、喫煙、コカイン、中枢興奮薬、オピオイド、紫外線、汚染、地球温暖化、ビタミンD、双極性障害)と組み合わせて体系的に検索し、当該研究を抽出した。追加の参照文献は相互参照を介して得た。(1)長期コホート研究または長期デザインの症例対照研究、(2)初期評価時に生涯BDの診断がなく、フォローアップ時に臨床的または構造化評価でBDと診断された患者の研究が含まれた。家族性リスク研究は除外した。研究デザインの詳細、曝露、診断基準の詳細と双極性障害リスクのオッズ比(OR)、相対リスク(RR)またはハザード比(HR)を計算した。 主な結果は以下のとおり。・2,119件中、22件が選択基準を満たした。・識別されたリスク因子は、3つのクラスタに分類可能であった。(1)神経発達(妊娠中の母体のインフルエンザ;胎児発育の指標)(2)物質(大麻、コカイン、その他の薬;オピオイド薬、精神安定剤、興奮剤、鎮静剤)(3)身体的/心理的ストレス(親との別れ、逆境、虐待、脳損傷)・唯一の予備的エビデンスは、ウイルス感染、物質またはトラウマの曝露がBDの可能性を高めることであった。・利用可能なデータが限られたため、特異性、感度、予測値を計算することができなかった。関連医療ニュース うつ病と双極性障害を見分けるポイントは 双極性障害I型とII型、その違いを分析 双極性障害治療、10年間の変遷は

4414.

統合失調症患者への健康増進介入はやはり難しい

 統合失調症患者における早期死亡の最も一般的な原因は、心血管疾患である。デンマーク・オーフス大学病院のMette Vinther Hansen氏らは、短期試験で有効性が証明されている手法を用いて、非選択的な統合失調症外来患者における心血管リスク因子を減らせるかを検討した。さらに、どのようなベースライン特性が良好なアウトカムと関連しているかも検討した。The International journal of social psychiatry誌オンライン版2016年3月23日号の報告。 2つのデンマークの病院で統合失調症の治療を受けたすべての患者を対象に、1年間の追跡研究を行った。対象患者は、個別およびグループでの健康介入を受けた。体重、腹囲、血糖値、血清脂質、喫煙とアルコールに関する情報を得た。 主な結果は以下のとおり。・平均して、BMI、腹囲のわずかだが有意な増加が観察された一方で、他の心血管リスク因子は有意ではないわずかな改善が認められた。・ベースライン時にBMIの高い患者、2年超の罹病期間を有する患者においては、介入により有意に良好な結果が得られた。 結果を踏まえ、著者らは「ルーチンケアの一部として、統合失調症患者の身体健康状態を改善することは難しいことが示された。患者に対して介入に参加する動機付けがなく、推奨されるメタボリックリスク指標の管理は困難であった。今後の研究は、ルーチンケアに取り入れることのできる健康増進法として、シンプルな戦略に焦点を当てるべきである」とまとめている。関連医療ニュース 統合失調症患者の運動増進、どうしたら上手くいくか 統合失調症患者にはもっと有酸素運動をさせるべき 日本人統合失調症患者のMets有病率を調査:新潟大学

4415.

日本人アルツハイマー病、BPSDと睡眠障害との関連は

 アルツハイマー病(AD)における睡眠障害はBPSD(認知症の行動と心理症状)に影響を与える可能性がある。大阪大学保健センターの壁下 康信氏らは、ADの異なるステージにおける、睡眠障害とBPSDとの関連を検討した。その結果、非常に初期のAD患者において、睡眠障害とBPSDとの強い関連が認められたことを報告した。International journal of geriatric psychiatry誌オンライン版2016年3月21日号の報告。 本調査は、日本における多施設レトロスペクティブ研究(J-BIRD)の一部である。分析対象は、AD患者684例。認知症のグローバル重症度は、臨床的認知症評価尺度(CDR)を用いて推定した。BPSDは、NPI(Neuropsychiatric Inventory)を用いて評価した。CDRのスコアに応じ、ADの異なるステージにおける、睡眠障害とBPSDとの関連を分析した。 主な結果は以下のとおり。・684例中146例(21.3%)は睡眠障害を有していた。・睡眠障害を有する非常に初期のAD患者(CDR:0.5)では、睡眠障害のない患者と比較し、BPSDが有意に多かった。なかでも、不安、多幸感、脱抑制、異常運動行動のNPI4項目の有病率が高かった。・中等度のAD患者(CDR:2)では、過敏性の1項目のみが影響を受けていた。軽度AD(CDR:1)高度AD(CDR:3)では、いずれも影響を受けなかった。・重回帰分析は、さまざまなCDRスコアを有するAD患者で実施した。・非常に初期のAD患者では、睡眠障害の存在は高い総NPIスコアと関連していた(β=0.32、p<0.001)。・しかし、認知機能低下、年齢、性別、教育年数を含む他の要因は、NPIスコアとの有意な関連は認められなかった。・軽度または中等度のAD患者では、BPSDと有意に関連する要因はなかった。関連医療ニュース 日本人高齢者、運動でアルツハイマー病リスク軽減:九州大学 認知症者の向精神薬使用実態と精神症状発現状況 アルツハイマー病へのBZD、使用頻度の追跡調査

4416.

抗精神病薬の過量投与、昔と比べてどう変化しているか

 薬物過量投与による罹患率や死亡率は、この30年間減少している。これは、より安全性の高い薬剤が開発されたことで、過量投与のアウトカムが改善したことが背景にある。オーストラリア・Calvary Mater NewcastleのIngrid Berling氏らは、26年間における抗精神病薬の処方変更と過量投与の変化との関連を検討した。British journal of clinical pharmacology誌オンライン版2016年3月6日号の報告。 1987~2012年のすべての抗精神病薬中毒に関する発表を検討した。人口統計、摂取情報、臨床効果、合併症、治療のデータをプロスペクティブに収集した。オーストラリアにおける抗精神病薬の使用率は、1990~2011年の政府からの出版物から抽出し、ポストコードから過量投与情報とリンクした。 主な結果は以下のとおり。・過量投与は抗精神病薬3,180件、第1世代抗精神病薬1,235件、第2世代抗精神病薬1,695件、リチウム250件であった。・26年間で抗精神病薬の過量投与は1.8倍に増加し、第1世代抗精神病薬はピーク時の5分の1に減少したが(80件/年~/16件/年)、第2世代抗精神病薬は倍増しており(160件/年)、そのうちオランザピンとクエチアピンが78%を構成していた。・すべての抗精神病薬過量投与は、ICU平均在室時間18.6時間、ICU入院15.7%、人工呼吸10.4%、院内死亡0.13%であった。これは、第2世代抗精神病薬と比較し、第1世代抗精神病薬でも同様であった。・同期間において、抗精神病薬の処方は2.3倍増加していた。第1世代抗精神病薬の処方が減少している一方で、第2世代抗精神病薬は急激に上昇していた。主にオランザピン、クエチアピン、リスペリドン(79%)が上昇していた。 結果を踏まえ、著者らは「26年間にわたり、抗精神病薬処方の増加は抗精神病薬の過量投与の増加と関連していた。抗精神病薬の種類は変化しているが、罹患率や死亡率に変化はなく、抗精神病薬の過量投与による入院の割合は増加していた」とまとめている。関連医療ニュース 抗精神病薬のアジア実態調査:高用量投与は36% 統合失調症、維持期では用量調節すべきか:慶應義塾大 抗精神病薬の高用量投与で心血管イベントリスク上昇:横浜市立大

4417.

慢性腰痛、うつ病合併で痛み増大

 神経障害性の腰痛にうつ病を合併している患者は、うつ病を合併していない患者よりも疼痛レベルが有意に高く、疼痛による障害の度合いが大きく、QOLも低いことが、東海大学の檜山 明彦氏らによる研究で明らかになった。これは、自己評価式抑うつ性尺度(SDS-Zung)およびPainDETECT日本語版(PDQ-J)を用いて、神経障害性の腰痛患者の抑うつ症状とQOLへの影響を評価した最初の研究である。European spine journal誌オンライン版2016年2月13日号の報告。 本研究の目的は、腰痛にうつ病を合併する患者、腰痛が神経障害性である患者の割合を調査し、彼らのQOLに与える影響を検討することであった。 2012年6月と13年12月の間に東海大学医学部付属病院を訪れた慢性腰痛患者650例のうち、腰痛とQOLについてのアンケートに回答した309例を対象に断面レトロスペクティブ研究を行った。アンケートには、SDS-Zung、PDQ-J、痛みの評価スケール(NRS)、QOL評価が用いられた。対象患者をSDS-Zungスコアに応じて2群に分け(スコア40未満:非うつ病群、スコア50以上:うつ病群)、両群を比較検討した。 主な結果は以下のとおり。・うつ病群が63例(20.4%)、非うつ病群が125例(40.5%)であった。・平均PDQ-Jスコアは、非うつ病群よりも、うつ病群で高かった。・神経障害性疼痛は、うつ病群の17例(27%)、非うつ病群の11例(9%)で認められ、うつ病群で多かった。・腰痛患者のSDS-ZungスコアとPDQ-Jスコアは、有意に相関していた(r=0.261、p<0.001)。・NRSスコアは、非うつ病群よりもうつ病群で高かった。・QOLスコアは、非うつ病群よりもうつ病群で低かった。 抑うつ症状を合併する神経障害性の腰痛は、早期に発見し、早期から治療を行うことで、治療効果の改善が期待できる。しかし、多くの腰痛患者の痛みは複合しているため(神経障害性疼痛・侵害受容性疼痛・心因性疼痛)、数種類の薬剤を使う必要があり、マネジメントは複雑となる。さらに研究を重ねることで、痛みや機能障害の原因、痛みと抑うつ症状の合併例に対する治療の有効性を明らかにし、腰痛患者のQOL向上につなげることが大切であると考えられる。

4418.

高用量のドネペジル徐放性製剤、日本人に対する評価は

 ドネペジルは、軽度、中等度、高度のアルツハイマー病(AD)に対する治療薬として確立している。国際的研究では、認知機能において、ドネペジル徐放性製剤(SR)23mg/日はドネペジル即放性製剤(IR)10mg/日を上回る優れた有効性が実証されているが、中等度から高度ADにおける全般的機能についてはわかっていない。認知症介護研究・研修東京センターの本間 昭氏らは、日本人高度ADにおいて、ドネペジルSR23mg/日の効果が、同IR10mg/日を上回るかの検討を行った。Journal of Alzheimer's disease誌オンライン版2016年3月11日号の報告。 本研究は、多施設無作為化二重盲検並行群間試験にて実施された。日本人高度AD外来患者を対象に、IR10mg/日継続群とSR23mg/日切り替え群とに無作為に割り付け、24週投与した。評価項目は、Severe Impairment Battery(SIB)、臨床面接による認知症変化印象尺度(Clinician's Interview-Based Impression of Change plus Caregiver Input:CIBIC-plus)と安全性とした。 主な結果は以下のとおり。・対象患者は、IR10mg/日継続群(166例)とSR23mg/日切り替え群(185例)に割り付けられた。・SR23mg/日切り替え群は、IR10mg/日継続群と比較し、SIB(LSMD:0.0、95%CI:-1.7~1.8、p=0.981)またはCIBIC-plus(LSMD:0.2、95%CI:0.0~0.4、p=0.080)において有意な差は認められなかった。・SR23mg/日切り替え群における一般的な有害事象は、食欲不振、嘔吐、下痢、挫傷であった。安全性所見については、ドネペジルにおける既知の安全性プロファイルと共通だった。 著者らは「日本人高度AD患者において、SR23mg/日への切り替えは、IR10mg/日継続と比較し、有効性評価項目で優れているとは言えなかった。日本では、高度AD患者に対し、10mg/日が承認されていることを考慮すると、現在の知見は、日本人の同患者に対しては10mg/日が最適な用量であることを示唆している」としている。関連医療ニュース 高度アルツハイマー病へのドネペジル投与は続けたほうがよいのか ドネペジル+メマンチン、アルツハイマー病への効果はどの程度? 中等度~高度のアルツハイマー型認知症に対するドネペジル+メマンチンの有効性/安全性の検討

4419.

統合失調症患者の再発リスクを低下させるためには

 統合失調症患者でも抗精神病薬の効果が続く長時間作用型治療(LAT)による治療を行っているにもかかわらず、再発することが少なくない。米国・セントルイス大学のLarry Alphs氏らは、LATによりアドヒアランスが確保されているにもかかわらず再発する要因を検討した。International clinical psychopharmacology誌オンライン版2016年3月11日号の報告。 著者らは、安定期統合失調症または統合失調感情障害患者323例に対し、リスペリドン長時間作用型注射剤を1年間使用した研究の事後分析を行った。対象患者は、抗精神病薬の経口剤を中止し、52週間のリスペリドン長時間作用型注射剤50mg(163例)または25mg(161例)の隔週投与に割り付けられた。再発の要因の推定にはCox比例ハザード回帰モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・323例中59例(18.3%)は、持続的なLATにもかかわらず12ヵ月間で再発が認められた。・再発リスクと関連した要因は、罹病期間(年6%増加、p=0.0003)と調査国(カナダ対米国で4.7倍リスク増加、p=0.0008)であった。・罹病期間を、5年以下、6~10年、10年超で分類した場合、10年超対5年以下で再発リスクが最も高かった(4.4倍リスク増加、p=0.0181)。 著者らは「罹病期間が長い慢性化した患者では、アドヒアランスを維持したにもかかわらず再発リスクが高いため、早期の介入が必要である」としている。関連医療ニュース 統合失調症の再発予防プログラムを日本人で検証:千葉大学 統合失調症“再発”の危険因子は 統合失調症再発予防、遠隔医療に改善の余地あり

4420.

維持期統合失調症治療、抗精神病薬の中止は可能か

 南アフリカ共和国・ステレンボッシュ大学のRobin Emsley氏らは、抗精神病薬による維持療法の長所と短所に関する最近の文献をレビューし、推奨事項をまとめた。Current opinion in psychiatry誌2016年5月号の報告。 最近の主な知見は以下のとおり。・単一エピソード後でさえ、抗精神病薬治療を中止した場合の再発率はきわめて高い。再発の確実な予測因子はなく、再発は重篤な心理社会的および生物学的結果に結び付く。・一方で、よく認識されている抗精神病薬の副作用の負担に加えて、最近の文献では、抗精神病薬治療の曝露の多さと長期転帰の不良との関連性が示唆されている。・抗精神病薬を中止した患者と比較し、維持した患者のほうが有効であるというエビデンスの報告は多い。・統合失調症単一エピソード後の維持療法に関して確実な回答を得るために、より多くの、より良い研究が緊急に必要である。・現状では、臨床医はとくに初期段階では、抗精神病薬治療の継続するよう促すことで、再発防止を優先する必要がある。そのうえで、可能な限り低用量かつ最も適した忍容性の高い抗精神病薬を選択することで、副作用を回避する必要がある。関連医療ニュース 統合失調症に対し抗精神病薬を中止することは可能か ベンゾジアゼピン系薬の中止戦略、ベストな方法は 統合失調症患者の抗コリン薬中止、その影響は

検索結果 合計:5819件 表示位置:4401 - 4420