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アルツハイマー病へのスタチンの効果~RCTのメタ解析

 アルツハイマー病の治療としてのスタチンの使用について広く議論されている。中国・Anhui Medical UniversityのKun Xuan氏らは、アルツハイマー病治療におけるスタチンの効果について無作為化比較試験(RCT)のメタ解析を行ったところ、短期間(12ヵ月以内)のスタチン投与がMMSEスコアに有益な効果をもたらすことが示された。また、スタチンはアルツハイマー病患者の神経精神症状の悪化を遅らせ、日常生活能力を有意に改善した。一方、ADAS-Cogスコアの変化において効果はみられなかった。Neurological Sciences誌オンライン版2020年1月13日号に掲載。 本研究では、2019年3月31日までのPubMed、Embase、Cochraneライブラリ、OvisdSP、Web of Science、Chinese Nation Knowledge Infrastructure(CNKI)、Chinese Biomedical Database(CBM)のデータベースから対象となるRCTを検索。Mini-Mental State Examination(MMSE)、Alzheimer's Disease Assessment Scale-cognitive(ADAS-Cog)、Neuropsychiatric inventory(NPI)、日常生活動作(ADL)のスコア、その他の情報を抽出した。統合された加重平均差(WMD)と95%信頼区間(95%CI)は、ランダム効果モデルまたは固定ランダム効果モデルで計算した。 主な結果は以下のとおり。・1,489例(スタチン群742例、対照群747例)を含む合計9件のRCTを解析した。・MMSEを使用した研究が9件、ADAS-Cogを使用した研究が5件、NPIを使用した研究が4件、ADLを使用した研究が6件あった。・MMSEを使用した9件の研究のメタ解析では、スタチン群が対照群と比較して有意な効果がないことが示された(統合されたWMD:1.09、95%CI:-0.00~2.18、p=0.05、I2=87.9%)。・ADAS-Cogを使用した5件の研究のメタ解析でも、スタチン群が対照群と比較して有意な効果がないことが示された(統合されたWMD:-0.16、95%CI:-2.67~2.36、p=0.90、I2=80.1%)。・NPIを使用した4件の研究のメタ解析では、スタチンによる治療がNPIスケールスコアの増加を遅らせることができることが示された(統合されたWMD:-1.16、95%CI:-1.88~-0.44、p=0.002、I2=45.4%)。・ADLを使用した6件の研究のメタ解析では、スタチンによる治療が患者の日常生活能力を改善することが示された(統合されたWMD:-4.06、95%CI:-6.88~-1.24、p=0.005、I2=86.7%)。・サブグループ解析の結果から、短期間(12ヵ月以下)のスタチン使用がMMSEスコアの変化に関連することが示された(統合されたWMD:1.78、95%CI:0.53~3.04、p=0.005、I2=79.6%)。・感度分析と出版バイアス検定はどちらもネガティブであり、結果は比較的信頼性が高く安定していた。

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小児双極性障害患者の不安症合併率~メタ解析

 不安症は、成人の双極性障害への合併や経過に対し影響を及ぼすことが知られている。しかし、小児の双極性障害における不安症の合併に関する研究は限られている。トルコ・コチ大学のHale Yapici Eser氏らは、小児双極性障害と不安症合併に関するメタ解析を実施した。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2020年1月3日号の報告。 PRISMAガイドラインの定義に基づき、2019年5月までに公表された関連文献をシステマティックに検索した。不安症の関連する特徴および有病率を抽出した。 主な結果は以下のとおり。・データ分析に用いた研究は、37件であった。・不安症の生涯合併率は44.7%であった。各不安症の内訳は以下のとおり。 ●パニック症 12.7% ●全般不安症 27.4% ●社交恐怖 20.1% ●分離不安症 26.1% ●強迫症 16.7%・小児期の研究では、全般不安症と分離不安症の合併率が高かった。・青年期の研究では、パニック症、強迫症、社交恐怖の合併率が高かった。・小児双極性障害と各不安症の合併には、発症年齢、性別およびADHD、物質使用障害、反抗挑発症、素行症の合併が異なる影響を及ぼしていた。 著者らは「小児双極性障害は不安症が合併していることが多く、早期発症患者では、不安症リスクが上昇する。合併や経過の生物心理社会的側面についてのさらなる評価が求められる」としている。

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3年B組金八先生(後編)【令和の金八先生になるには? 子どもにも大人にも使える!(叱るスキル)】Part 1

今回のキーワード恐怖(ノルアドレナリン)自信自尊心受容私メッセージアンガーマネジメントコーチングアサーション令和の金八先生なら誰を叱る?前編では、叱るために必要な基本要素を3つにまとめました。ただし、相手によっては、同じように叱っても、無効になったり逆効果になることがあります。ここから、相手の年齢と性格によって場合分けをして、叱るための基本要素のバランスや叱り方のバリエーションを見極めてみましょう。(1)何歳を叱る?1つは、相手の年齢です。これは、厳密には、実年齢ではなく、精神年齢(知的水準)です。年齢を大きく3つの年齢層に分けて、基本要素のバランスを考えてみましょう。a.乳児期と老年期-「受け止める」1つ目の年齢層は、乳児期と老年期です。0歳から2歳の乳児期に重視される基本要素は、「受け止める」ことです。なぜなら、愛着を形成して、自尊心を育むことが優先されるからです。また、精神年齢(知的水準)で考えれば、重度から最重度の知的障害も、「受け止める」要素が重視されます。また、65歳以上の老年期に重視される基本要素も、「受け止める」ことです。なぜなら、老年期(高齢期)は認知機能(知的水準)が低下しており、つい家族は本人を子ども扱いしてしまいがちですが、子どものように学習効果が期待できず、にもかかわらずプライド(自尊心)は高いからです。結果的には、家族関係を損ねてしまい、そのストレスから認知機能をさらに低下させてしまうリスクもあります(認知症のBPSD)。つまり、知的水準が低すぎる場合は、「教える」「考えさせる」要素が無効または逆効果になります。b.幼児期から児童期-「教える」2つ目の年齢層は、幼児期から児童期です。この2歳から10歳の時期に重視される基本要素は、「教える」ことです。なぜなら、社会的なルールを学習して、自信を育むことが優先されるからです。また、精神年齢(知的水準)で考えれば、軽度から中等度の知的障害も、「教える」要素が重視されます。よって、知的水準が高くない場合、「教える」要素を前面に出しつつ、「受け止める」要素を保ち、年齢が上がっていくにつれて少しずつ「考えさせる」要素を増やすのが効果的です。c.思春期から成人期-「考えさせる」3つ目の年齢層は、思春期から成人期です。この10歳以降の時期に重視される基本要素は、「考えさせる」ことです。なぜなら、自分で考えて行動して、積極性を育むことが優先されるからです。また、思春期は第2次反抗期でもあるため、「そんなの分かってる」「くどい」と思われるからです。つまり、知的水準が高い場合は、「教える」要素が逆効果になります。「受け止める」要素を保ちつつ、「考えさせる」要素を前面に出すのが効果的です。これは、以前(2017年6月号)にご紹介したアサーションにつながります。次のページへ >>

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3年B組金八先生(後編)【令和の金八先生になるには? 子どもにも大人にも使える!(叱るスキル)】Part 2

(2)どんな人(子)を叱る?もう1つは、相手の性格です(パーソナリティ特性)。性格を2つの軸で分けてみましょう。グラフ1のように、横軸は、周りに合わせすぎる過剰適応な傾向か、周りに合わせにくい不適応な傾向かを示します。縦軸は、自分なりの考えを持つ積極的な傾向か、自分なりの考えを持たない受け身な傾向かを示します。すると、右上は過剰適応で積極的な優等生タイプ(ヒーロータイプ)、左上は不適応で積極的なヤンキータイプ(スケープゴートタイプ)、右下は過剰適応で受け身なお調子者タイプ(ピエロタイプ)、左下は不適応で受け身な劣等生タイプ(ロストチャイルドタイプ)にそれぞれ分けられます。真ん中は、癖がない平均的な普通タイプになります。ここから、4つの傾向に分けて、叱り方のバリエーションを考えてみましょう。a.過剰適応1つ目は、過剰適応です。この傾向は、協力的なので、その瞬間にその場で端的に叱ることが効果的です。優等生タイプにありがちなのが、完璧主義であるために、仕事や勉強のやり方が丁寧すぎて時間切れになることです。そんな時は、「これで十分に合格点」(承認)、「作成前にもっとおきちんと話しておけばよかった。ごめん」(へりくだり)、「期日に間に合わせることがまず大事だから」(優先順位)などと言い、本人のがんばりを認めていることを伝えることが効果的です。また、過剰適応な傾向の人は、人前であっても叱ることができます。これが、結果的に、不適応な傾向の人に叱られるポイントの判断材料を提供することにもなり、意味があります。b.不適応2つ目は、不適応です。この傾向は、その集団の中での役割意識や所属意識(集団アイデンティティ)が不確かです(アイデンティティ拡散)。「そっちが悪い」とひねくれている場合や、「なんで自分のことを分かってくれないの」と甘えている場合もあります。端的にそのまま叱っても素直に受け止めてくれない可能性があります。よって、時間と場所を改めて丁寧に叱ることが効果的です。時間は、仕事や勉強が終わる時間帯や休日前など、最後に別れる時であることです。相手にいったん離れて考えてもらう時間を確保するためです。また、場所は、人前ではないことです。それは、彼らは周りの評価を人一倍気にするからです。反発や言い訳があれば、「もし自分にも改善すべき点があるとしたら?」のように、仮定の問いかけで叱ることが効果的です。これは、「仮定叱り」と言えます。また、事実と違うことを相手が言ったとしても、「うそですね」とは言わず、「そう言いたくて言ったわけじゃないよね」「一生懸命だったんだよね」とまず受容することです。さらに、小声でぼそっと「ウゼー」と捨てゼリフを吐いたら、どうしましょう? 「今、何て言った!?」と問い詰めるのではなく、「あれっ、何か聞こえたけど」「あなたは聞こえた?」とすっとぼけてみましょう。たいていの子は、「いや、別に」と否定します。するとこちらは続けて、「『ウゼー』って」聞こえたような気がしたんだけど、気のせいだよね」「あなたは言うわけないよね」と笑顔で答えます。もし「ウゼー」と繰り返した場合は、どうでしょうか? 「もう1回言ってみようか」と穏やかに問いかけます。そして、「そう思ったわけをよく聞かせて」とまず言い分を聞く流れに持っていきます。ここで、大事なことは、怒ったふりはしても、本気では怒らないことです。彼らは不適応なだけに問題点は多いです。そんな彼らについやってしまいがちなのが、細かいダメ出しをすることです(マイクロ・マネジメント)。すると、ますます彼らはつむじを曲げます。とくに、劣等生タイプは打たれ弱いので、ますます萎縮してしまうでしょう。よって、逆を行きましょう。小さな問題点は無視して、まず一番の問題点のみに焦点を絞ることです。これは「限定叱り」でした。一方で、「私服はオシャレだよね」「でもお客さんの中には第一印象で決め付ける人がいる」「現場での服装は注意してほしいの」「あなたの良さを損なっちゃう」「あなたはセンスがあるからこそ」「あなたの成長に期待してるからこそ」と添えて、ほかの点で褒めることを積み重ねることです。これは、「アメとムチ」ならぬ「アメとムシ(無視)」と呼ばれています。最後に、「まあね、あなたの年ゴロの私よりはマシなんだけど」「地頭は良いのに」「あなただからこそ」のように、フォローを入れることも重要です。c.受け身3つ目は、受け身です。この傾向は、なぜ叱られたのか、今後はどうすれば良いのかということまで考えが及んでいないことが多いです。よって、理由付けをして具体的に叱ることが効果的です。また、「良い線行ってるね」「惜しいなあ」「もったいないなあ」「あともう少しなんだけどなあ」などと添えることで、あともう少しで褒められるという状況を演出することも効果的です。さらに、黙り込んだり泣くという反応が出た場合は、「落ち着いたら声をかけて」「明日にあなたの意見を聞かせて」と一旦場面転換をすることが効果的です。ここで誤解がないようにしたいのは、お調子者タイプは、積極的に思われがちですが、あくまでそれは笑いや周りへのウケに対してです。逆に、周りが見ていなければサボり癖が出てきます。つまり、仕事や勉強に対しては受け身であると言えます。d.積極性4つ目は、積極性です。この傾向は、すでに本人なりに考えて行動しています。よって、その考えを汲み取った上で、やや抽象的に客観視させて叱ることが効果的です。たとえば、「ちょうどあなたの年頃だった時の私の話なんだけど…」と同じ問題エピソードをこちらの過去の話として聞かせることです。また、最後は、「あなたに任せるわ」という言葉を残し、相手に委ねて信頼しているスタンスを示すことも効果的です。高度なやり方としては、あなたが本人を叱るのではなく、代わりにあなたが誰かに叱られることです。たとえば、あなたの上司にあなたが代わりに叱られている様子を本人に見せることです。または代わりに誰かを叱ることです。たとえば、本人の教育係が代わりに叱られている様子を本人に見せることです。こうすることで、問題が広がっていることを本人に分からせて、事の重大さを痛感させることができます。<< 前のページへ | 次のページへ >>

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3年B組金八先生(後編)【令和の金八先生になるには? 子どもにも大人にも使える!(叱るスキル)】Part 3

どうフォローする?叱る効果を高めるために、相手の年齢や性格によって、叱るための基本要素のバランスや叱り方のバリエーションをまとめました。ここから、叱るデメリットを最小限にするために、叱る行為へのフォローのポイントを主に3つご紹介しましょう。(1)叱る前にフォロー1つ目は、叱る前のフォローです。叱ることにより、相手の自尊心と自信が損なわれないように、常日頃から相手に共感と承認をして、信頼関係を強めていることです。これは、褒めることでもあります。つまり、褒め叱りのバランスを常に意識して、褒めが勝っているように保つことがポイントです。例えるなら、褒めるという「貯金」をコツコツして、叱るという「高い買い物」をするということです。また、無用な恐怖を抱かせないように、叱る前は雑談をあえてして、アイスブレイクを図ることです。相手から打ち明けてくる可能性もあるため、相手の出方をうかがうことも重要です。反抗期の子どもに「最近のゲームって面白すぎてやめられないんだって」「部活の顧問の先生ってけっこう大変なんだってねえ」などと、ゲームのやり過ぎや部活の是非についての話題をあえてポジティブに人ごとのように話すことです。これは、一ひねりしており、「間接叱り」といえます。さらに、相手に叱られる心の準備をしてもらうために、叱る前の言い回しがあります(クッションフレーズ)。たとえば、基本は「はっきり言っちゃうけど」「気を悪くしないで聞いてもらいたいんだけど」です。自分が謙遜するなら「私の勘違いかもだけど」「心配性だから確認するけど」です。相手を持ち上げるなら「期待してるあなただから言うんだけど」「鋭いあなたならもう気付いてるかもだけど」「今さらと思うかもだけど」「頭の良いあなただから分かってくれると思うけど」です。(2)叱った後にフォロー2つ目は、叱った後のフォローです。たとえば、叱った後に、「これからも頼りにしてる」「今回の一件であなたにもっと成長してほしい」「1年後のあなたは尊敬する○○先輩みたいになっていそう」と添えて、信頼感や期待感をほのめかすことです。これは、「価値付け叱り」と言えます。さらに、叱る前のフォローと合わせて、最初と最後の褒めで真ん中の叱りを包めば、「サンドイッチ法」と呼ばれます。また、叱った後、少しでも変化が見られたらすぐに褒めることです。叱った後、反応が乏しいようなら、「あれからどう?」「ところで、あの事案はどうなった?」と何事もなかったように話しかけ、こちらから歩み寄ることも必要です。(3)代わりの誰かによるフォロー3つ目は、代わりの誰かによるフォローです。これは、フォロー役をつくることです。古典的なイメージとしては、父親が厳しく叱って、母親が優しく慰めるイメージです。たとえば、あなたがリーダーなら、サブリーダーが本人に「リーダーはあなたのことを嫌いで言ってるわけじゃないよ」「あなたのこと真剣に思ってるからこそ」「一緒にがんばろうよ」と味方になることです。あらかじめ打ち合わせて連携するのも良いでしょう。 令和の金八先生になるには?金八先生をモデルに、叱る学習効果とデメリットを明らかにして、叱るための3つの基本要素、叱る相手の場合分け、叱る行為へのフォローを通して、叱るスキルをご紹介しました。ここから分かることは、叱って変わるかどうかは、単に相手の問題だけでなく、こちら側の叱るスキルの問題でもあることです。そして、どう叱ったら最も相手に響くか見抜く必要や責任は、こちら側にあることです。このことに気付いた時、金八先生の熱血さの本当の意味をよく理解することができるのではないでしょうか? << 前のページへ■関連記事ダンボ【なぜ飛ぶの? 私たちが「飛ぶ」には?(褒めるスキル)】Mother(後編)【家族機能】「ZOOM」「RE-ZOOM」【どうキレキレに冴え渡る?(マインドフルネス)】Part 1逃げるは恥だが役に立つ【アサーション】■参考スライド【叱るスキル】2019年1)「3年B組金八先生」25周年メモリアル:吉沢保、角川書店、20042)子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」:石田勝紀、ディスカヴァー・トゥエンティワン、20173)叱り方のルール:斎藤直美、アスカ、2011

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日本人統合失調症患者に対するブロナンセリン経皮吸収型製剤の52週間長期投与試験

 ブロナンセリン経皮吸収型製剤は、日本において統合失調症治療に使用可能な薬剤であり、錠剤とは異なるいくつかの利点をもたらす可能性がある。藤田医科大学の岩田 仲生氏らは、日本人統合失調症患者におけるブロナンセリン経皮吸収型製剤の長期安全性および有効性の評価を行った。CNS Drugs誌オンライン版2019年12月27日号の報告。 日本の37施設において、成人の統合失調症患者を対象としたオープンラベル試験を実施した。対象患者は、コホート1またはコホート2のいずれかに登録された。コホート1は、ブロナンセリン錠8~16mg/日を6週間投与した後、ブロナンセリン経皮吸収型製剤40~80mg/日を52週間貼付した。経皮吸収型製剤の用量は、錠剤の用量に従って決定した。コホート2は、ブロナンセリン経皮吸収型製剤を40mg/日より開始し、40~80mg/日で52週間貼付した。両コホートともに、1~2週間のフォローアップを行った。 安全性のエンドポイントは、有害事象(AE)、治療関連AE、錐体外路系AE(DIEPSSスコアの変化量として評価)の発生、抗パーキンソン薬の併用、皮膚刺激を含む皮膚関連AEの発生とした。血清プロラクチン濃度、バイタルサイン、体重、心電図(ECG)の変化、補正QT(QTc)間隔などの検査値も評価した。自殺念慮は、コロンビア自殺重症度評価尺度(Columbia-Suicide Severity Rating Scale:C-SSRS)スコアを用いて評価した。有効性は、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)の合計およびサブスケールスコア、臨床全般印象度(CGI-S)スコアを用いて、経皮吸収型製剤での治療期間を通じて評価した。その他のエンドポイントは、薬に対する構えの調査票(Drug Attitude Inventory 10:DAI-10)合計スコア、健康関連QOL評価尺度(EuroQol-5 Dimension:EQ-5D)効用値、剤形に関する患者アンケートを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者数は、同意が得られた223例(コホート1:117例、コホート2:106例)であった。・コホート1の117例中108例がブロナンセリンの錠剤で治療を開始し、その後経皮吸収型製剤へ移行した97例について安全性分析が行われた。・コホート2では106例中、ブロナンセリン経皮吸収型製剤で治療された103例について安全性分析を行った。・全体で、男性は91例(45.5%)であった。・平均年齢は43.8歳であった。・治療中止は、コホート1で40例(41.2%)、コホート2で44例(42.7%)であった。・中止理由は、AEが18.6%(コホート1)および11.7%(コホート2)、同意の撤回が13.4%(コホート1)および20.4%(コホート2)、皮膚関連AEは全体で7例であった。・AEは、174例(87.0%)で報告された。重篤なAEは、13件12例(コホート1:6例、コホート2:6例)で認められた。・重篤なAEは、統合失調症関連が6件、その他が7件(衝動制御障害、骨折、鼻出血、喘息、誤嚥性肺炎、ヘモフィルス性肺炎、肺炎)であった。・主なAEは、鼻咽頭炎62例(31.0%)、適用部位紅斑45例(22.5%)、適用部位そう痒感23例(11.5%)、アカシジア20例(10.0%)であった。・AE発生率は、コホート1で84.5%、コホート2で89.3%であり、類似していた。・錐体外路系AEは51例(25.5%)、皮膚関連AEは83例(41.5%)で認められた。・これらのAEは、いずれも重篤ではなかった。・52週目におけるDIEPSS合計スコアのベースラインからの平均変化量は、-0.1±1.55であり、顕著な影響は認められなかった。・併用薬に関しては、抗パーキンソン薬が、コホート1で33.0%(97例中32例)、コホート2で22.3%(103例中23例)に認められた。・皮膚関連AEの大部分は治療初期に発生し、外用療法で適切に管理できた。・ベースライン時に、すべてのC-SSRSカテゴリで「いいえ」と回答した患者129例中、自殺念慮の出現ありと評価された患者は13例(10.1%)であった。・ベースライン時に、すべてのC-SSRS自殺行動カテゴリで「いいえ」と回答した患者172例中、経皮吸収型製剤での治療中に自殺行動が認められた患者は1例(0.6%)であった。・プロラクチンレベル、バイタルサイン、体重、ECG、代謝関連パラメータ、QTc間隔を含む臨床検査値に有意な変化は認められなかった。・体重の平均変化量は、コホート1で-0.04±4.561kg、コホート2で-0.67±6.841kgであった。・52週目におけるPANSS合計スコアのベースラインからの平均変化量は、コホート1で-0.1±11.6、コホート2で-3.4±15.3であった。・PANSSスコアは、コホート1においてブロナンセリンの錠剤から経皮吸収型製剤へ切り替え後も変化することなく、52週間の治療でスコアの低下が認められた。・52週目におけるCGI-Sスコアのベースラインからの平均変化量は、両コホートを合わせて-0.2±1.03であった。・52週間の経皮吸収型製剤での治療後、DAI-10合計スコアは、データが利用可能な129例中82例(63.6%)において、ベースラインと比較し、増加または変化なしであった。・両コホートを合わせた200例におけるintention-to-treat分析では、最終評価時点でのEQ-5Dのベースラインからの平均変化量は、-0.0365±0.17603であった。・ブロナンセリン経皮吸収型製剤に対する患者の印象は、おおむね肯定的であった。 著者らは「ブロナンセリン経皮吸収型製剤は、統合失調症の長期治療に安全かつ効果的に使用できる薬剤である」としている。

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地政学時代のメンタルヘルス(解説:岡村毅氏)-1171

 現代は地政学の時代などともいわれるが、香港の動乱において住民のメンタルヘルスが悪化しているという報告である。 はじめに私の立場を申し上げると、科学に関していろいろ述べるが、政治に対しては一切述べるつもりはない。なお前提として本論文も政治的には中立で抑制がきいていると思われる。 さて、本論文は住民の長期縦断研究の解析であるが、2014年の反政府デモ(雨傘運動/オキュパイセントラル運動)、2019年の「民主化デモ」と動乱が続き、depressionが5倍に増え、PTSDが戦時にも匹敵するレベルであることが報告されている。また、世界のその他の大都市でも動乱が起きる中で(たとえばパリの黄色いベスト運動)、この研究の科学的価値があるとしている。 この論文を読んでどのように考えるか? これほどまでに住民のメンタルヘルスを破壊する圧政はとんでもないと感じるか、平和が一番なのだからデモはやめようと思うかは、個人の自由である。合理的に考えても理解できない現象が多くなってきており、思考力が試される時代である。いずれにしても考える材料をたくさん与えてくれる論文といえよう。 ここから下は私の意見であるが、本来社会の闇を照らし、見えない人に光を当て、声なき人の声を聴くことも科学の役割であるはずだ。たとえば米国からは、(私の専門である貧困研究との絡みでいうと)アフガニスタンとイラクの退役軍人のホームレスリスクの研究などもなされているし(Metraux S, et al. Am J Public Health. 2013;103 Suppl 2:S255-261.)、欧州に移動したシリアからの難民のメンタルヘルスの研究も多く報告されている。本論文も含めて、こうした現実を厳しく評価する報告を読めば、あなたが自分の頭で考えることができる人であれば、世界の真実をかなり正しく知り、妥当に行動することができるのではないだろうか? 本論文を読んであらためて思ったが、その他大勢のつまらない研究ではなく、現実世界に鋭く迫る研究をしたいものである。

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パニック症患者におけるアルコール依存症発症率に関する性差研究

 パニック症患者におけるアルコール依存症発症率に性差があるかについては、よくわかっていない。台湾・台北市立連合医院のHu-Ming Chang氏らは、この疑問を明らかにするため、調査を行った。Drug and Alcohol Dependence誌オンライン版2019年12月23日号の報告。 対象は、台湾全民健康保険研究データベースより抽出したパニック症患者9,480例。このうち、フォローアップ期間中にアルコール依存症を発症した患者は169例(男性:89例、女性:80例)であった。アルコール依存症発症の相対リスクを一般集団と比較するため、標準化罹患比(SIR:standardized incidence ratio)を用いた。ネステッドケースコントロール研究デザインに基づき、各ケースについてコントロール10例を選択した。アルコール依存症診断前の診療や精神医学的併存疾患を分析するため、条件付きロジスティック回帰を用いた。 主な結果は以下のとおり。・アルコール依存症発症のSIRは、男性で3.36、女性で6.29であった。・アルコール依存症を発症した女性パニック症患者は、対照群よりも、外来受診が多かった。男性では、有意な差は認められなかった。・アルコール依存症を発症した女性では、以下を併発する可能性が高かった。 ●うつ病(調整リスク比[aRR]:2.94) ●人格障害(aRR:5.03) ●睡眠障害(aRR:1.72)・アルコール依存症を発症した男性では、以下を併発する可能性が高かった。 ●睡眠障害(aRR:1.85) ●その他の物質使用障害(aRR:3.08) 著者らは「パニック症患者は、一般集団と比較し、アルコール依存症発症リスクが高く、女性のほうがリスクが高かった。アルコール依存症発症前の精神医学的な併存疾患は、性差が認められたことから、予防的介入を検討する際には、性別を考慮する必要がある」としている。

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仕事のストレスと不眠症との関係

 横断的データによると、仕事のストレスと睡眠不足は密接に関連しているといわれているが、プロスペクティブデータによるエビデンスは限られている。スウェーデン・ストックホルム大学のJohanna Garefelt氏らは、認識されたストレスや仕事のストレッサー(仕事の要求、意思決定、職場の社会的支援)が不眠症に及ぼす経時的な影響について、構造方程式モデリングを用いて分析を行った。Journal of Sleep Research誌オンライン版2019年12月2日号の報告。 スウェーデン労働者の大規模サンプルから得られた2008~14年の2年ごとの測定値より、ストレスから睡眠への影響および睡眠からストレスへの影響の両方向について分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・全体として、不眠症と4回すべてのストレス測定値との間に相互の関連が認められた。・しかし、不眠症の各症状と各ストレス測定値の関連は、影響の方向においていくつかの違いが認められた。・ストレスから睡眠への影響においては、認識されたストレスを含むすべての仕事のストレッサーが、入眠困難と睡眠維持困難を予測した。・また、意思決定を除き、熟眠障害においても同様の影響が認められた。・睡眠からストレスへの影響においては、睡眠維持困難が、仕事の要求および認識されたストレスレベルの増加を予測した。・ストレス測定値を予測しなかった不眠症状としては、入眠困難が最も顕著であった。・一方、すべてのストレス測定値を予測した唯一の症状は、熟眠障害であった。 著者らは「ストレスと睡眠の関係、不眠症と仕事のストレッサーおよび認識されたストレスとの潜在的な悪循環への理解がより深まり、職場における不眠症緩和のための介入の必要性が示唆された」としている。

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認知症の有病率に関するメタ解析

 認知症は、重度の神経変性疾患であり、異なる病原性によりいくつかのサブタイプに分類することができる。中国・南京医科大学のQing Cao氏らは、地理的、年齢的、性別的観点から認知症の有病率を包括的に分析した。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2019年12月26日号の報告。 1985年1月~2019年8月の期間の認知症に関する文献について、PubMedおよびEMBASEより検索を行った。地理、年齢、性別で層別化を行い、分析を行った。群間の有意差検定には、メタ回帰を用いた。 主な結果は以下のとおり。・47件の研究が抽出された。・50歳以上の認知症のプールされた有病率は以下のとおりであった。 ●すべての原因による認知症 697人/万人(95%CI:546~864) ●アルツハイマー型認知症 324人/万人(95%CI:228~460) ●血管性認知症 116人/万人(95%CI:86~157)・100歳以上におけるすべての原因による認知症の有病率は、6,592人/万人であり、50~59歳(27人/万人)の2.415倍であった。・認知症患者数は、5歳ごとに約2倍になる。・全体の分析では、男性(561人/万人)よりも、女性(788人/万人)の認知症有病率が高かった。・60~69歳のアルツハイマー型認知症有病率は、女性(108人/万人)が男性(56人/万人)の1.9倍であった。・一方、60~69歳の血管性認知症有病率は、男性(56人/万人)が女性(32人/万人)の1.8倍であった。・認知症有病率は、アジア、アフリカ、南米よりも欧州、北米において高かった。

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不穏さ増す香港でうつ病、PTSDが急増/Lancet

 香港は2019年6月から、暴力を伴う混乱が続き社会不安が増している。中国・香港大学のMichael Y. Ni氏らは、住民を対象とした10年間の前向きコホート研究を行い、社会不安により重大なメンタルヘルス問題が起きていることを明らかにし、メンタルヘルスサービスを急増させる必要があることを報告した。現在も香港の社会不安は全地区にわたっており、略奪行為はみられないが放火や破壊行為など暴力レベルは高い状態にある。しかし直接的な身体的外傷を除くメンタルヘルスへの影響については報告されていなかった。Lancet誌オンライン版2020年1月9日号掲載の報告。2009年以降現在まで9期に分けうつ病・PTSD疑い例を調査 研究グループは、香港における18歳以上の住民を対象とする身体的、精神的および社会的幸福感に関する前向きコホート研究「FAMILY Cohort」のデータを用いて、2009年3月から9つの期間で、精神障害、リスク因子、医療ニーズについて解析した。 Patient Health Questionnaire(PHQ)-9が10点以上を「うつ病疑い」とし、6項目PTSD Checklist-Civilian Versionが14点以上+現在の社会不安に関連する外傷性イベントに直接曝露の場合を「外傷後ストレス障害(PTSD)疑い」とした。 統計解析は、多変量ロジスティック回帰分析を用い、社会不安発生以前の医師によるうつ病または不安障害の診断に関して補正し、うつ病・PTSD疑いに関連する要因を特定した。また、ルーチンに行われているサービス統計と、専門家のケアを求める回答者の意思を基に、精神科専門外来受診者の予測数を算出した。ベースライン(第1期および第2期)の調査後、各期1,213~1,736例の無作為抽出集団について追跡調査した。2019年時点でうつ病疑い11.2%、PTSD疑い12.8% うつ病疑いは、2019年時点で11.2%(95%信頼区間[CI]:9.8~12.7)報告されたのに対して、2009~14年では1.9%(1.6~2.1)、2014年香港反政府デモ(Occupy Central Movement)後から現在の社会不安状況以前の2017年時点では6.5%(5.3~7.6)と報告された。また、2019年時点でのPTSD疑いの有病率は、12.8%と推定された(95%CI:11.2~14.4)。 年齢、性別、学歴、世帯収入はいずれのアウトカムとも関連がなかったが、ソーシャルメディアの頻繁利用(1日2時間以上)は、両方のアウトカムと関連が認められた。政治的態度や抗議行動参加については、うつ病疑いとの関連は確認されなかったが、逃亡犯条例(extradition bill)に対して中立の立場の場合、PTSD疑いのリスクが半減した。また、家族の支援により、うつ病疑いは軽減した。 また、これらメンタルヘルスの負荷が、公的機関またはそれと同等のサービスの必要性を12%増すと推定された。 結果を踏まえて著者は、「医療および社会的ケアの専門家はメンタルヘルス後遺症の可能性を認識して注意を払う必要がある」と述べるとともに、「世界中で社会不安が増す中で、今回の所見は、人々のメンタルヘルスをより適切に保護するサービス計画に影響を与えるものとなるだろう」と指摘している。

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境界性パーソナリティ障害に対する薬物療法~16年間の変遷

 ドイツ・ゲッティンゲン大学のCharles Timaus氏らは、2008~12年の境界性パーソナリティ障害入院患者に対する薬理学的治療戦略を評価し、1996~2004年の薬物療法との比較を行った。BMC Psychiatry誌2019年12月12日号の報告。 2008~12年にゲッティンゲン大学医療センターで入院治療を受けた境界性パーソナリティ障害患者87例を対象に、レトロスペクティブに評価を行った。入院治療ごとに、入院および退院時の薬剤を含む向精神薬療法について調査した。2008~12年の処方と1996~2004年の処方の比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・2008~12年に入院治療を受けた境界性パーソナリティ障害の全患者のうち、94%は退院時に1剤以上の向精神薬による治療を受けていた。・すべてのクラスの向精神薬が使用されていた。・処方率が高かった薬剤は、naltrexone(35.6%)、クエチアピン(19.5%)、ミルタザピン(18.4%)、セルトラリン(12.6%)、エスシタロプラム(11.5%)であった。・1996~2004年と比較し、低力価抗精神病薬、三環系/四環系抗うつ薬、気分安定薬の使用が減少した一方、naltrexoneの使用は有意に増加していた。 著者らは「境界性パーソナリティ障害入院患者のマネジメントでは、薬物療法が中心となっている。近年の薬物療法では、古典的な抗うつ薬や低力価抗精神病薬の使用は減少し、クエチアピンが好まれる傾向にあった。また、オピオイド拮抗薬の使用が増加しており、さらなる調査で検討する必要がある」としている。

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慢性不眠症患者へのベンゾジアゼピン中止のための心理社会的介入~メタ解析

 ベンゾジアゼピン(BZD)の長期使用は慢性不眠症の治療には推奨されておらず、心理社会的介入、とくに不眠症に対する認知行動療法(CBT-I)がBZD中止への潜在的なオプションとして期待される。杏林大学の高江洲 義和氏らは、慢性不眠症患者に対するBZD使用を中止するために心理社会的介入が有用であるかについて、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Sleep Medicine Reviews誌2019年12月号の報告。 主要なデータベースより、2018年7月までの文献を検索した。関連文献の検索、データ抽出、コクラン基準にのっとった方法論の質の評価は、2人の独立した研究者により行われた。CBT-Iを評価したランダム化比較試験8件について、レビューおよびメタ解析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・3ヵ月以内の短期CBT-IとBZD漸減療法は、CBT-I介入を行わなかった場合と比較し、より有効であった(リスク比:1.68、95%信頼区間[CI]:1.19~2.39、p=0.003)。・また、CBT-I介入は、不眠症状の改善に対しても効果的であった(g:-0.69、95%CI:-1.09~-0.28、p=0.0009)。・ただし、BZD中止に対するCBT-Iの長期(12ヵ月)介入の有効性に有意な差は認められなかった(リスク比:1.67、95%CI:0.91~3.07、p=0.10)。 著者らは「BZD系睡眠薬を中止するためのCBT-I介入は、3ヵ月以内だと効果的であることが示唆された。CBT-Iの長期的な有効性を明らかにするためには、さらなる研究が求められる」としている。

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果物や野菜の摂取とうつ病との関連

 うつ病は、世界的に主要な精神疾患である。韓国における成人のうつ病有病率は、2006年5.6%、2011年6.7%、2013年10.3%と増加が認められる。韓国・建国大学校のSe-Young Ju氏らは、韓国人成人のうつ病の有病率と野菜や果物の摂取との関連を調査するため、韓国の全国データを用いて検討を行った。Journal of Health, Population, and Nutrition誌2019年12月3日号の報告。 2014年の韓国国民健康栄養調査(KNHANES)に参加した19歳以上の成人4,349人のデータを用いて検討を行った。うつ病の評価には、こころとからだの質問票(PHQ-9)を用いた。食物や栄養の摂取量は、24時間思い出し法を用いて評価した。食物摂取量は、18の食物グループに分類した。統計分析は、SPSS Ver.23.0を用いた。PHQ-9の項目の内的整合性を評価するため、クロンバックのα係数を用いた。うつ病のオッズ比は、複数の交絡因子で調整した後、ロジスティック回帰分析を用いて推定した。 主な結果は以下のとおり。・全対象者におけるうつ病有病率は、8.7~4.7%であり、野菜や果物の摂取量が増加するにつれ減少が認められた。・うつ病有病率は、野菜や果物の摂取量が増加するにつれ、男性で6.4%から2.5%へ、女性で11.4%から6.6%へ減少した。・野菜や果物の摂取量とうつ病有病率との間に逆相関が認められ、オッズ比は、交絡因子で調整せずとも逆相関を示した。・年齢、エネルギー摂取、肥満、喫煙、飲酒、ストレス、外食の頻度、朝食、フードセキュリティーで調整した後、野菜や果物の摂取量が増加するほど、うつ病有病率が有意に低いことが示唆された。 著者らは「本研究は、韓国国民における野菜や果物の摂取とうつ病との関連を調査した最初の研究である。この関連についての根拠を明らかにするためには、さらなる疫学研究が必要である」としている。

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幼少期のペットとの生活とその後の統合失調症や双極性障害のリスク

 統合失調症や双極性障害などの重篤な精神疾患には、幼少期の環境が関連しているといわれている。幼少期に猫や犬などの家庭用ペットと生活することが、これらの環境要因に影響を及ぼす可能性がある。米国・ジョンズ・ホプキンズ大学のRobert Yolken氏らは、生まれてから12年間における猫や犬などの家庭用ペットとの生活と、その後の統合失調症または双極性障害の診断との関連について調査を行った。PLOS ONE誌2019年12月2日号の報告。 本研究は、統合失調症患者396例、双極性障害患者381例、対照群594例を対象としたコホート研究。猫や犬などの家庭用ペットとの生活に関連する統合失調症または双極性障害の発症リスクは、社会人口統計学的共変量を用い、Cox比例ハザードモデルおよび多変量ロジスティック回帰モデルを使用し算出した。 主な結果は以下のとおり。・家庭内での犬との生活は、その後の統合失調症診断リスクの有意な低下と関連が認められた(ハザード比:0.75、p<0.002)。・さらに、出生時および出生から最初の数年間での犬との生活において、統合失調症の相対リスクの有意な低下が認められた。・家庭内での犬との生活は、双極性障害リスクとの有意な関連は認められなかった。・家庭内での猫との生活は、その後の統合失調症または双極性障害の診断リスクと有意な関連は認められなかったが、両疾患ともにリスクの増加傾向が認められた。 著者らは「幼少期および小児期の家庭用ペットとの生活は、その後の精神疾患発症に変化を及ぼす可能性があることが示唆された」としている。

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統合失調症患者の代謝機能に対する18種類の抗精神病薬の比較

 抗精神病薬による治療は、代謝異常と関連しているが、各抗精神病薬によりどの程度代謝の変化が起こるのかはよくわかっていない。また、代謝調節不全の予測因子や代謝の変化と精神病理学的変化との関連も不明である。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのToby Pillinger氏らは、抗精神病薬による代謝系副作用の比較に基づきランク付けを行い、代謝調節不全の生理学的および人口統計学的予測因子の特定を試み、抗精神病薬治療による精神症状の変化と代謝パラメータの変化との関連について調査を行った。The Lancet Psychiatry誌2020年1月号の報告。 MEDLINE、EMBASE、PsycINFOより、2019年6月30日までに報告された統合失調症の急性期治療に対する18種類の抗精神病薬とプラセボを比較した盲検ランダム化比較試験を検索した。体重、BMI、総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール、トリグリセライド、グルコースの濃度に関して、治療誘発性の変化を調査するため、ランダム効果ネットワークメタ解析を実施した。代謝の変化と年齢、性別、民族性、ベースライン時の体重、ベースライン時の代謝パラメータレベルとの関連を調査するため、メタ回帰分析を実施した。症状の重症度変化と代謝パラメータの変化との相関を推定することで、代謝の変化と精神病理学的変化との関連を調査した。 主な結果は以下のとおり。・6,532件の引用のうち、ランダム化比較試験100件(2万5,952例)が抽出された。・治療期間の中央値は、6週間であった(四分位範囲:6~8)。・プラセボと比較した各パラメータの平均差は以下の範囲であった。 ●体重増加:ハロペリドール:-0.23kg(95%CI:-0.83~0.36)~クロザピン:3.01kg(95%CI:1.78~4.24) ●BMI:ハロペリドール:-0.25kg/m2(95%CI:-0.68~0.17)~オランザピン:1.07kg/m2(95%CI:0.90~1.25) ●総コレステロール:cariprazine:-0.09mmol/L(95%CI:-0.24~0.07)~クロザピン:0.56mmol/L(95%CI:0.26~0.86) ●LDLコレステロール:cariprazine:-0.13mmol/L(95%CI:-0.21~-0.05)~オランザピン:0.20mmol/L(95%CI:0.14~0.26) ●HDLコレステロール:ブレクスピプラゾール:0.05mmol/L(95%CI:0.00~0.10)~amisulpride:-0.10mmol/L(95%CI:-0.33~0.14) ●トリグリセライド:ブレクスピプラゾール:-0.01mmol/L(95%CI:-0.10~0.08)~クロザピン:0.98mmol/L(95%CI:0.48~1.49) ●グルコース:lurasidone:-0.29mmol/L(95%CI:-0.55~-0.03)~クロザピン:1.05mmol/L(95%CI:0.41~1.70)・グルコース増加の予測因子は、ベースライン時の多い体重(p=0.0015)および男性(p=0.0082)であった。・民族性においては、非白人は、白人と比較し、総コレステロールのより大きな増加と関連していた(p=0.040)。・症状重症度の改善は、以下のパラメータ変化との関連が認められた。 ●体重増加:(r=0.36、p=0.0021) ●BMI増加:(r=0.84、p<0.0001) ●総コレステロール増加:(r=0.31、p=0.047) ●HDLコレステロール減少:(r=-0.35、p=0.035) 著者らは「代謝性副作用に関して抗精神病薬間で顕著な差が認められた。プロファイルが良好であった薬剤は、アリピプラゾール、ブレクスピプラゾール、cariprazine、lurasidone、ziprasidoneであり、不良であった薬剤は、オランザピンとクロザピンであった。抗精神病薬誘発性の代謝変化に関する予測因子は、ベースライン時の多い体重、男性、非白人であり、精神病理学的改善は代謝障害との関連が認められた。本知見を考慮し、治療ガイドラインを更新する必要があるが、抗精神病薬を選択する際には、患者、介護者、主治医の臨床状況を鑑み、個別に治療選択肢を検討すべきである」としている。

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日本人高齢者の認知症発症率に対する感覚障害の影響

 認知症および認知症の周辺症状(BPSD)は、高齢者の介護の必要レベルに影響を及ぼす。高齢者では、加齢に伴い感覚障害の発生率が上昇し、認知症の発症を加速させる。大勝病院の丸田 道雄氏らは、視覚障害(VI)、聴覚障害(HI)などの感覚障害とBPSDおよび認知症の発症率との関連について調査を行った。Psychogeriatrics誌オンライン版2019年12月4日号の報告。 日本のある都市における2010~17年の介護保険データを用いて、レトロスペクティブ研究を実施した。2010年時点で認知症でなかった高齢者2,190人を、感覚障害の4つのカテゴリー、VI群、HI群、VIとHI両方の感覚障害(DSI)群、感覚障害なし(NO)群に分類した。認知症の発症率は、カプランマイヤー生存分析およびlog-rank検定を用いて調査した。NO群と比較した、感覚障害に関連する認知症発症リスクは、Cox比例ハザード分析を用いて調査した。4群間のBPSD有病率は、ピアソンのχ2検定を用いて比較した。 主な結果は以下のとおり。・HI群(log-rank χ2:10.42、p<0.001)とDSI群(log-rank χ2:39.92、p<0.001)は、NO群と比較し、認知症の累積発症率が高かった。・DSI群はHI群と比較し、認知症の累積発症率が高かった(log-rank χ2:11.37、p=0.001)。・Cox比例ハザード分析では、感覚障害の中でDSIが認知症発症に対する最も大きなリスク因子であることが示唆された(ハザード比:1.45、95%CI:1.22~1.71、p<0.001)。・VI群は、そのほかの群と比較し、昼夜逆転の有病率が有意に高かった。 著者らは「感覚障害を有する高齢者では認知症の発症率が高く、DSIは最もリスクが高いことが示唆された。また、VIを有する高齢者では、認知症の発症時に昼夜逆転を呈する可能性が高いことが示唆された」としている。

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3年B組金八先生(前編)【令和の金八先生になるには? 子どもにも大人にも使える!(叱るスキル)】Part 1

今回のキーワード恐怖(ノルアドレナリン)自信自尊心受容私メッセージアンガーマネジメントコーチングアサーション皆さんは、相手をどう叱って良いか分からなくて困ったことはありませんか? その相手は、職場の部下や後輩? それとも子どもでしょうか? そもそもなぜ叱るのでしょうか? 一方で、私たちは、できることなら叱らないで済ませたいと思います。叱るデメリットは何でしょうか? そのデメリットを踏まえて、どう叱るのが良いでしょうか? 相手によっては、同じように叱っても無効になったり逆効果になる時は? そして、叱る行為にどうフォローできるでしょうか?これらの答えを探るために、今回は、学園ドラマの金字塔「3年B組金八先生」を取り上げます。金八先生と言えば、誰もが思い浮かべる「熱血教師」です。彼は、中学校の教員で、国語教師。学級担任をしている3年B組に巻き起こる暴力、いじめ、不登校、リストカット、妊娠、ドラッグ、性同一性障害などのさまざまな問題に、まさに体当たりで解決しようとします。そんな彼の姿に、生徒たちは心を打たれ、人間的に成長していくのです。体当たりで生徒や親に向き合う彼のやり方は、令和の時代には、スクールコンプライアンスの点でそぐわないと思う人もいるでしょう。だとしても、彼は叱る上で私たちが忘れかけていた一番大事なものを教えてくれます。彼が叱る時の心のあり方には、令和の時代にこそ再評価するべき普遍性があります。彼の名セリフを振り返りながら、叱る心理を掘り下げ、子どもにも大人にも使える叱るスキルをご紹介します。そして、私たちが令和の時代にバージョンアップした金八先生になるにはどうしたら良いか一緒に考えてみましょう。金八先生はなぜ叱るの? ―叱ることならではの学習効果叱るとは、人間関係(集団)において、目上の人が目下の人の望ましくない言動を指摘することです。金八先生が生徒を叱るのは、叱ることによって、望ましくない行動を抑え、望ましい行動を促すという意図があります(正の罰因子による行動療法)。なお、叱ることは、恐怖(ノルアドレナリン)の刺激であるため、その学習効果は高く、即効性があります。一方、褒めることは報酬(ドパミン)の刺激であるため、その学習効果は比較的に低くなり、即効性がないために繰り返す必要があります。この違いこそが、叱ることならではの学習効果と言えます。つまり、部下や子どもに二度と同じ過ちをして欲しくないと思った時、褒めているだけでは間に合わず、どうしても限界があるのです。これが、叱る心理です。叱るデメリットは?叱ることによる学習効果が分かりました。しかし、これは叱る側の金八先生の視点です。叱られる側の生徒にとってはどうでしょうか? 叱ることによるデメリットは、大きく3つあります。1つ目は、当たり前ですが、相手が恐怖を感じることです。とくに、大声で怒鳴られたらなおさらです。2つ目は、相手が自分はできないと自信を失うことです。とくに、一方的に言われたらなおさらです。これは、周り(集団)から「できる」仲間として認められなくなる恐怖でもあります(承認の喪失)。3つ目は、相手が自分はだめだと自尊心を損なうことです。とくに、なじられたり皮肉を言われたらなおさらです。これは、自分の味方がいなくなる恐怖でもあります(関係性の喪失)。令和の金八先生ならどう叱る?-3つの基本要素叱ることによる3つのデメリットが分かりました。叱る学習効果を高めるには、これらの叱るデメリットを最小限にする必要があります。これが、叱るスキルです。この点を踏まえて、ここから、叱るために必要な基本要素を3つにまとめてみましょう。(1)受け止める1つ目は、まず受け止めることです(受容)。これが最も大事な叱ることの極意です。これは、金八先生の根底に流れているマインドで、私たちが忘れがちなポイントです。これには、さらに3つの要素があります。a.言い分を聞く-確認金八先生は、クラスで問題が起きるたびに生徒たちの話をよく聞いています。1つ目は、相手の言い分を聞くことです。たとえば、部下がミスをした時、叱る瞬間の第一声は何でしょうか? 「なにやってんだ!?」「だめじゃないか!」という怒鳴り声で一方的になっていませんか? または、幼児の子どもがお友達を押し倒した時、またはうそをついた時に、「押すのだめ!」「うそつくのだめ!」とすぐに命令していませんか?そうではなくて、まずは「どうしたの?」「何が起きたの?」と相手に状況を説明させて、言い分を聞くことです。これは、たとえこちらが事前にその状況を分かっていたとしてもです。それくらいの心の余裕がこちら側にあることが重要です。これは、同時に、相手にも振り返る心の余裕を与えることになります。ちなみに、もし相手が何事もなかったかのように振る舞った場合はどうでしょうか? たとえば、子ども同士のいじめの場面に遭遇した時、「何やってる?」と聞いても、「遊びです」としか答えないなら、どうしましょうか? このままスルーするといじめを黙認したことになります。その時は、一歩突っ込んで、「○○くんを痛くさせようとしてなかった?」とストレートに聞いて揺さぶることです。いじめた子が否定しても、いじめられた子が認めたら、さらに介入ができます。いじめた子もいじめられた子も否定した場合(実際よくあるパターンですが)、「そうなの? 良かった~。だって、痛くさせてるように見えたからね」「でも、誤解を招くから、この『遊び』はやらないでね」と一方的にならずにけん制をすることができます。このような言い分の確認によって、無用な恐怖を相手に抱かせにくくなります。b.相手の気持ちになる-共感金八先生は、「みんな不安を抱えて生きているんですねえ。苦しいことを素直に苦しいと言えば、周りの人間から変だと言われる。…いじめも登校拒否もあって当たり前なんですよ。癒しが必要なんです、子どもたちも、世間も。大丈夫だ、がんばろう、明日はきっといいことがある。そう言ってくれる誰かが必要なんですね」(第4シリーズ第7話)と同僚に語ります。2つ目は、相手の気持ちになることです。これは、「どんな気持ちだったの?」「どんな気持ちになったの?」と聞き出すことです。たとえば、「うっかりしてた」「いらいらしてた」「嫌だった」「悔しかった」「悲しかった」などの気持ちだったら、一旦その気持ちを受け止め、「それほどの気持ちだったのね」「そんな気持ちになったのね」と伝えます。これは、たとえその気持ちを聞くまでもないと思ったとしてもです。そして、たとえその気持ちにこちらがあまり納得できていなかったとしてもです。その時は、「あなたはそう思うのね」「そんな気持ち(考え方)もあるよね」と言うこともできます。相手が答えられなかった場合は、「びっくりしたね」と中立的な言葉で代弁もできます。また、「悪かったなあと思った?」と助け船も出せば、スムーズな謝罪につなげられます。ちなみに、まだ言い分が言えない乳幼児の子どもの場合、とくに「イヤイヤ期」(第一次反抗期)で、すぐに何でも「だめ!」と連呼していませんか? そういう時は、「そのおもちゃが欲しかったんだね」「怒っちゃったんだね」「でもそんなことしちゃだめだよ」と伝えます。これは、その子の心の様子を言葉にして代弁しています。そうすることで、感情には名前があることを理解させ、セルフコントロールを促すことができます。このような共感によって、「あなたは大切」「私はあなたの味方」というメッセージを伝えることができて、自分の味方がいなくなる恐怖を相手に抱かせにくくします。これは、「共感叱り」と言えます。c.相手を認めている-承認金八先生は、「僕の生徒はどの子もみんなすばらしいです。何ていうか、教えられることが多いというか、秘めたる可能性の固まりというか」(第2シリーズ第5話)と言います。3つ目は、相手を認めていることです。これは、相手を承認していることを前提にすることです。たとえば、「体調悪いの?」「最近、疲れてる?」「何かやむを得ない理由があった?」「いつもはできてるのに、今回はどうしたの?」「あなたらしくないによう見えるけど」と不思議がります。さらに、「もともと能力高い人だと思ってたから」「最近すごい成長してると思ってたから」「自分の力を軽く見てる?」と褒めの要素を付け加えることもできます。このような承認によって、「あなたは必要」「私はあなたの理解者」というメッセージを伝えることができて、周り(集団)から「できる」仲間として認められなくなる恐怖を相手に抱かせにくくします。(2)教える2つ目は、教えることです。これは、金八先生の長セリフの説教から分かるように、叱ることそのものです。これには、さらに3つの要素があります。次のページへ >>

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3年B組金八先生(前編)【令和の金八先生になるには? 子どもにも大人にも使える!(叱るスキル)】Part 2

a.自分の気持ちを伝える-私メッセージ金八先生は、「人間、勝手に死んじゃいかん。なあ、さっき誰かの発言で死んだほうがましだとかいう発言があったけれど、君たちはまだ15歳。死ぬなんて言葉をそう簡単に使うなよ!」(第4シリーズ第4話)と生徒たちに説教をする名シーンがあります。ただし、これは、令和ではストレートすぎます。令和の金八先生なら、どう言うか考えてみましょう。1つ目は、自分の気持ちを伝えることです。これは、先ほど説明したように、まず相手の気持ちを受け止めていることが大前提です。また、伝えるのは、相手の問題点ではなく、あくまで自分の気持ちです。たとえば、部下が無断欠勤した時、「そんなんじゃだめだ!」「社会人として失格だ!」とは決して言わないことです。代わりに、「(無断欠勤して)あなたから連絡がなくて困った」「残念」と伝えることです。幼児の子どもなら、「○○くんが叩いた子、痛がってる。かわいそう」「○○くんが叩くのを見るのは悲しい」と伝えます。そして、「~してくれると嬉しい」という提案につなげます。このように、とくにネガティブなことを伝える時は、主語が「あなた」(あなたメッセージ)ではなく、「私」(私メッセージ)であることによって、「相手が悪いと決め付けているわけではない」というメッセージを伝えることができます。よって、先ほどのセリフは、令和の金八先生なら、共感と合わせて、こう言うでしょう。「死にたいほどつらかったんだね」「でも、きみが死ぬなんて言葉を使うと私は悲しい」また、リストカットや援助交際に対して、令和の金八先生なら、どう言うでしょうか?「見ていて私は悲しい」「あなたをとても大事だと私は思っているから」「私は止めたい」つまり、「(あなたが)やめなさい」ではなく、「(私が)止めたい」という私メッセージを使うことです。b.相手の行動にフォーカスする-限定金八先生は、「加藤はミカンじゃないんです。米倉先生が言っていました。『腐ったミカンが1個あると、箱のミカンがみんな腐ってしまう。だから腐ったミカンは早めに放り出す』。これが荒谷二中の論理です。しかし、人間つらい目に遭って、あっちこっちぶつけていたら、そりゃあ風通しが悪くなってどこか腐ってきますよ。でも、人間の精神が腐りきることなんてことは絶対にないんです。」(第2シリーズ第6話)、「我々はミカンや機械をつくっているんじゃないんです!我々は毎日人間をつくっているんです!」(第2シリーズ第24話)と力説します。2つ目は、相手の行動にフォーカスすることです。これは、叱るのは、相手の存在そのもの(人格)ではなく、相手の問題行動に限定することです。よって、先ほどの「無断欠勤は社会人として失格だ!」や「うそついて、なんて悪い子なの!」という言い方は、すでにNGです。そうではなくて、「無断欠勤は問題」「うそはだめ」のように、行動に限定して伝えることです。また、理由を尋ねる時、「なんでやったの?」という問いただしではないほうが良いです。そうではなくて、「何があなたをそうさせたの?」と聞くことです。さらに、「あなたのぐずぐず虫(遅刻癖)をどうやったら飼い馴らせそう?」のように、相手の問題行動を、相手の人格とは別の「○○虫」のようにキャラ付けするのも良いでしょう(外在化)。さらに、相手が納得していない場合、「どの部分が受け入れにくい?」のように、理解を促すために争点を絞ることもできます。「時間だけは守って」のように解決すべき点を絞ることもできます。このように、限定することによって、主観的で抽象的なメッセージではなく、客観的で具体的、そして建設的なメッセージを伝えることができます。これは、「限定叱り」とも言えます。c.怒ったふりをする-インパクト金八先生は、「人間として卑怯じゃないか? よく聞きなさい。いじめはやめなさい。もういっぺん言うぞ。いじめはよせ。先生なんべんでも言うぞ。いじめはよせ。」(第4シリーズ第11話)と生徒たちを叱ります。3つ目は、怒ったふりをすることです。これは、感情的に本気で怒るのではないです。あくまで、理性的に怒ったふりをすることです。「叱るのと怒るのは違う」「叱っては良いけど怒ってはだめだ」とよく聞きます。厳密に言えば、これは、「叱る側にとっては怒ってはだめだが、叱られる側にとっては怒られている感覚が良い」と言えます。なぜなら、叱ることによる最大の学習効果は、恐怖だからです。怒られたという恐怖の刷り込みがなければ、叱ることによる学習効果は期待できなくなるからです。大事なのは、一定の恐怖によるインパクトを与えつつも、相手の自尊心と自信は保つように配慮することです。たとえば、わざと相手をフルネームでゆっくり大きな声で呼ぶことです。人と人との関係として真剣であることが伝わります。そのためには、相手のフルネームを覚えている必要があります。また、「どういうことだね?」「教えてくれまいか?」「よく聞いてくれるかい?」と仰々しく威厳を持たせた言い回しを使うことです。これはただ事ではないという切迫感が伝わります。逆に言えば、感情を殺して「これはルールですから」と理性的に淡々と伝えても、相手の気持ちを揺さぶることはできません。怒りとして伝わらないと、ロボットのように怒らない人だとナメられることもあるでしょう。このように、インパクトを持たせることによって、問題点に対しての真剣さ、切迫感、重みを伝えることができます。これは、金八先生の生徒を思いやる「熱血」につながります。ちなみに、注意点として、怒ったふりから本当に怒りのスイッチが入らないようにすることです。その取り組みとして、以前(2019年9月)にご紹介したマインドフルネスが役立ちます。また、いったんスイッチが入ってしまったら、主に3つの対策が使えます(アンガーマネジメント)。1つ目は、10まで数えることです。これは、怒りのピークは6秒程度だからです。2つ目は、水を飲むことです。これは、飲水が緊張緩和(副交感神経の活性化)を誘発するからです。3つ目は、その場から立ち去ることです(タイムアウト)。これは、怒り刺激の対象が視界から見えなくなるからです。(3)考えさせる金八先生は、クラスのいじめ問題で、いじめ加害者にその自覚がないことに気付き、自分がいじめ役になってロールプレイを行います。そして、いじめがどれだけひどいことか生徒たちに考えさせます(第4シリーズ第4話)。3つ目は、考えさせることです。これは、叱るというよりは、諭すことになります。一方的な説教ではなく、双方向的な対話です。これが、令和の金八先生のスタイルと言えるでしょう。これには、さらに3つの要素があります。<< 前のページへ | 次のページへ >>

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3年B組金八先生(前編)【令和の金八先生になるには? 子どもにも大人にも使える!(叱るスキル)】Part 3

a.決めさせる-納得1つ目は、決めさせることです。これは、正解を相手に命令・指示をすることではないです。命令・指示は、先ほどの「教える」ことです。「決めさせる」とは、あくまで解決案として相手に提案して、相手に採用するかを決定させるプロセスを踏んで、納得してもらうことです。たとえば、「○○するのはどう?」のような提案や、「○○すればうまく行くんじゃない? どうだろう?」のように安心させる言い回しもあります(保証)。幼児の子どもなら、「お友達のもの盗るの、良いこと?悪いこと?」とあえて問うことです。そして、「悪いこと」と答えたら、「なんで?」と尋ね、理由付けさせることです。「○○くんは、お友達を叩いたね。逆に、○○くんが叩かれると、どう思う?」このように、納得させることによって、自分で考えて行動することを促すことができます。逆に言えば、強制された場合は納得していないので、受け身になり、怒られない最低限のことしかやらなくなり、形だけになってしまいがちになります。b.選ばせる-民主主義2つ目は、選ばせることです。これは、先ほどのようにやるかやらないか、良いか悪かという単純な場合ではなく、行動の程度に選択肢がある場合、それぞれのメリットとデメリットを相手に検討させて、譲歩するプロセスを踏んでもらうことです。たとえば、思春期の子どもなら、「勉強か部活か?」、「ゲームする時間はどれくらいか?」などの意見の違いが出てきた場合です。「部活(またはゲーム)には、○○の良さ(メリット)はあるけど、△△(デメリット)の心配がある。どう思う?」「バランスをどうする?」「うまく行かなかった時は?」「時間を守れなかった時のペナルティは?」などの細かい項目の選択肢を提示し、選んでもらいます。このような民主主義によって、自分で考えて行動することを促すことができます。c.説明させる-コーチング3つ目は、説明させることです。これは、問題点の状況から解決策の内容までのすべてを説明してもらうような働きかけです。たとえば、「何が起きたの?」から始まり、「どう思う?」「なぜだと思う?」「じゃあ、どうすればいい?」などの質問しか基本的にしないことです。もし相手の言った解決策がずれていたら、「それは実現可能?」「本当にあなたが望んでいること?」「そうすることで、最終的にどうなりたい?」と掘り下げます。これは、コーチングに通じるやり方です。このようなコーチングによって、自分で考えて行動することを促すことができます。ちなみに、リストカットをする子が「やったらすっきりする」と答えた時、令和の金八先生なら、どう言うでしょうか?「すっきりする他の方法は何だろう?」令和の金八先生なら誰を叱る?叱るために必要な基本要素を3つにまとめました。ただし、相手によっては、同じように叱っても、無効になったり逆効果になることがあります。ここから、相手の年齢と性格によって場合分けをして、叱るための基本要素のバランスや叱り方のバリエーションを見極めてみましょう。<< 前のページへ

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