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非情動性精神疾患に対する持続性注射剤抗精神病薬~ネットワークメタ解析

 非情動性精神疾患の成人患者に対する長時間持続性注射剤(LAI)抗精神病薬による維持療法の再発予防および受容性について、イタリア・ベローナ大学のGiovanni Ostuzzi氏らは、検討を行った。The American Journal of Psychiatry誌オンライン版2021年2月18日号の報告。 MEDLINE、Embase、PsycINFO、CINAHL、CENTRALなどより、2020年6月までに公表されたランダム化比較試験を検索した。相対リスクと標準化平均差は、ランダム効果ペアワイズおよびネットワークメタ解析を用いてプールした。主要アウトカムは、再発率およびすべての原因による中止(受容性)とした。研究の質はCochrane Risk of Bias toolを、プールされた推定値の確実性はGRADE(Grading of Recommendations Assessment, Development, and Evaluation)を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・選択基準を満たした研究86件のうち、78件(1万1,505例)をメタ解析に含めた。・再発予防に関しては、12種類のLAIのほとんどにおいて、プラセボを上回っていた。・プラセボと比較したLAIの最大推定値および最高ランキングであった薬剤は、パリペリドン(3ヵ月製剤)とアリピプラゾールであった。・リスペリドン、pipothiazine、オランザピン、パリペリドン(1ヵ月製剤)についても、プラセボと比較し、順に優れた再発予防を有していた(GRADEの確実性:中~高程度)。・LAI同士の直接比較では、ハロペリドールのみが、アリピプラゾール、フルフェナジン、パリペリドンよりも劣っていた。・受容性に関しては、ほとんどのLAIがプラセボを上回っており、zuclopenthixol、アリピプラゾール、パリペリドン(3ヵ月製剤)、オランザピン、flupenthixol、フルフェナジン、パリペリドン(1ヵ月製剤)は、順に優れた受容性を有していた(GRADEの確実性:中~高程度)。・LAI同士の直接比較では、アリピプラゾールのみが、他のLAI(ブロムペリドール、フルフェナジン、パリペリドン[1ヵ月製剤]、pipothiazine、リスペリドン)よりも優れた受容性を示した。 著者らは「パリペリドン(3ヵ月製剤)、アリピプラゾール、オランザピン、パリペリドン(1ヵ月製剤)のLAI抗精神病薬は、再発予防と受容性において、最高のエフェクトサイズとエビデンスの確実性を有していた。このネットワークメタ解析の結果は、最前線で治療にあたっている臨床医やガイドラインの作成に役立つであろう」としている。

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新たな認知症評価尺度ABC認知症スケールの妥当性

 認知症を評価するための新しいツールとしてABC認知症スケール(ABC-DS)が、日本において開発された。ABC-DSは、日常生活動作(ADL)に関するドメインA、認知症の周辺症状(BPSD)に関するドメインB、認知機能に関するドメインCについて同時に評価できる包括的なツールであり、簡便かつ迅速に実施することが可能であり、認知症の重症度および経時的変化を測定することができる。これまで、ABC認知症スケールは、アルツハイマー型認知症(AD)の評価に有用であることが報告されているが、その他の認知症での研究はまだ行われていなかった。長崎大学の下田 航氏らは、さまざまな認知症のサブタイプや重症度に対するABC認知症スケールの妥当性について再評価を行った。Dementia and Geriatric Cognitive Disorders誌オンライン版2021年2月12日号の報告。ABC認知症スケールは血管性認知症患者でも使用可能 対象は、長崎県の病院1施設における外来患者および施設を利用している患者。ドメインAは認知症機能障害尺度(DAD)、ドメインBはNeuropsychiatric Inventory(NPI)、ドメインCはミニメンタルステート検査(MMSE)、ABC-DS合計スコアは臨床的認知症尺度(CDR)を用いた評価との相関を調査した。 ABC認知症スケールの妥当性について再評価を行った主な結果は以下のとおり。・対象患者は、男性38例、女性64例の合計102例であった(平均年齢:80.7±8.6歳)。・認知症のサブタイプの内訳は、AD 38例、血管性認知症(VaD)23例、混合型認知症23例、レビー小体型認知症6例、嗜銀顆粒性認知症9例、軽度認知障害3例であった。・ABC認知症スケールのドメインスコアと各ドメインと相関する標準的な尺度による評価スコアとの間に強い相関が認められた。・この関連は、認知症のサブタイプや重症度に依存しており、中等度~高度のADおよびVaD患者において、中~高程度の相関が認められた。 著者らは「本調査では、AD患者を対象としているABC-DSは、VaD患者でも使用可能であることが示唆された。その他の認知症サブタイプでは、ABC-DSが標準的な尺度との間に十分な相関が認められない場合がある。これまでの報告と同様に、ABC-DSは、中等度~高度の認知症に対してより有用であると考えられる。中等度~高度の認知症は、すべての患者の半数以上を占めるため、日本での臨床診療において非常に有用であろう」としている。

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事例022 78歳の高齢者に使用したサイレース錠の査定【斬らレセプト シーズン2】

解説事例では、フルニトラゼパム(商品名:サイレース錠)がB事由(医学的に過剰・重複と認められるものをさす)で査定となりました。フルニトラゼパムの添付文書には、「年齢・症状により適宜増減するが、高齢者は1日1回1mgまで」と記載があります。基本的注意には、「漫然とした継続投与による長期使用を避けること」も記載されています。レセプトから、患者は78歳で高齢であることが明らかなため、過剰量処方を理由にB事由として査定になったことがわかります。医師は、このことを知っていて、前月までは1回に1mg30日分処方を繰り返し投与していたところ、治療の必要性があって2mg錠のフルニトラゼパムに増量処方したことをカルテに記載していました。レセプトにも医学的必要性のコメントが表示されていました。しかし、事例の通り査定となってしまいました。添付文書に、「高齢者には適宜増減を適用しない」旨が表現されている場合にはコメントがあっても認められないようです。査定防止として、医師に対しては、高齢者に対する極量が設定されている薬剤の極量を超えた処方は、理由にかかわらず過剰と認められ、保険請求はほぼ認められないことを伝えました。さらに、連月の漫然処方と捉えられる日数投与の再考をお願いしています。そして、レセプトチェックシステムでは、投与後のチェックとなるため、医師の処方画面でアラートを表示するようにマスターを修正しました。

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双極性障害の再発に対する抗精神病薬併用の影響~メタ解析

 藤田医科大学の岸 太郎氏らは、気分安定薬(MS)と第2世代抗精神病薬(SGA)の併用療法で安定した双極I型障害におけるSGA中止による再発リスクへの影響を検討するため、二重盲検ランダム化対照試験のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Bipolar Disorders誌オンライン版2021年2月9日号の報告。 SGA+MS療法で安定した双極I型障害患者を対象に、維持期においてSGAを中止した患者(MS単独療法など)と継続した患者における再発リスクを検討した研究を、Embase、PubMed、CENTRALより、システマティックに検索した(2020年5月22日まで)。主要アウトカムは、6ヵ月間の気分エピソード再発率とした。副次的アウトカムは、6ヵ月間の躁/軽躁/混合エピソードとうつ病エピソードの再発率およびすべての原因による治療中止とした。また、1、2、3、9、12ヵ月での再発率も調査した。 主な結果は以下のとおり。・8件の研究が抽出された(平均研究期間:58.25±33.63週間)。・SGA+MS群は1,456例、プラセボ+MS群は1,476例であった。・併用されたSGAは、アリピプラゾール(3件)、ルラシドン(1件)、オランザピン(1件)、クエチアピン(2件)、ziprasidone(1件)であった。・プールされたSGA+MS群では、すべての観察期間を通じて、気分エピソード、躁/軽躁/混合エピソード、うつ病エピソードの再発率が低く、すべての原因による治療中止が少なかった。・6ヵ月時点での再発率のリスク比(RR)は、各エピソードで以下のとおりであった。 ●気分エピソード:0.51(95%CI:0.39~0.86) ●躁/軽躁/混合エピソード:0.42(95%CI:0.30~0.59) ●うつ病エピソード:0.39(95%CI:0.28~0.54)・すべての原因による中止のRRは、0.67(95%CI:0.50~0.89)であった。・アリピプラゾールまたはクエチアピンとの併用療法は、プラセボ+MS群と比較し、6ヵ月時点での気分、躁/軽躁/混合、うつ病エピソードの再発率が低かった。 著者らは「SGA+MS療法は、双極I型障害の再発を最大12ヵ月間抑制することが示唆された」としている。

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双極性障害のうつ病エピソード再発に対する光曝露の影響

 光線療法は、双極性うつ病に対する効果が示唆されている治療方法であるが、うつ病エピソードに対する予防効果が認められるかは、よくわかっていない。桶狭間病院の江崎 悠一氏らは、実生活環境における光曝露が、双極性障害患者のうつ病エピソードの再発に対する予防効果と関連しているかについて、評価を行った。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2021年2月15日号の報告。 本研究は、2017年8月~2020年6月に日本で行われたプロスペクティブ自然主義的観察研究である。双極性障害外来患者202例を対象に、ベースラインから7日間連続して日中の光曝露を客観的に評価し、その後の気分エピソードの再発について、12ヵ月間フォローアップを行った。光曝露の測定には、周囲の光を測定できるアクチグラフを用いた。 主な結果は以下のとおり。・202例中198例(98%)が12ヵ月間のフォローアップを完了した。・フォローアップ期間中に、うつ病エピソードの再発が認められた患者は、78例(38%)であった。・潜在的な交絡因子で調整したCox比例ハザードモデルでは、日中の光曝露が1,000luxを超える時間の増加と、うつ病エピソードの再発の減少との間に有意な関連が認められた([log min]ハザード比:0.66、95%CI:0.50~0.91)。・朝の平均照度が高く([log lux]ハザード比:0.65、95%CI:0.49~0.86)、1,000luxを超える時間が増加すると([log min]ハザード比:0.61、95%CI:0.47~0.78)、うつ病エピソードの再発に有意な減少が認められた。・日中の光曝露と躁、軽躁、混合エピソードの再発との間に有意な関連は認められなかった。 著者らは「日中の光曝露の増加とうつ病エピソードの再発の減少との間に有意な関連が認められた。これは、主に朝の光曝露と関連していることが示唆された」としている。

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片頭痛予防に対するerenumabの長期有効性・安全性

 抗CGRP受容体モノクローナル抗体erenumabは、3~12ヵ月の研究において片頭痛の頻度やQOLの有意な改善が認められているが、それ以上の長期治療成績については、よくわかっていない。デンマーク・コペンハーゲン大学のMessoud Ashina氏らは、片頭痛予防に対するerenumabの長期有効性および安全性の評価を行った。European Journal of Neurology誌オンライン版2021年1月5日号の報告。 本研究は、反復性片頭痛の成人患者を対象として実施された12週間の二重盲検プラセボ対照試験終了後に行われた5年間の治療期間におけるオープンラベル試験である。オープンラベル試験開始時に、erenumab 70mgを投与した。なお、プロトコール改定後、140mgへ増量した。有効性については、毎月の片頭痛日数、毎月の急性頭痛薬の使用、健康関連QOLのベースラインからの変化を評価した。 主な結果は以下のとおり。・登録された383例中250例はerenumab 140mgに切り替えを行った。・オープンラベル試験を完了した患者は215例(56.1%)であった。・毎月の片頭痛日数については、ベースライン時の8.7±0.2日から5年後には-5.3±0.3日(平均62.3%減少)の変化が認められた。・毎月の急性頭痛薬の使用については、ベースライン時の6.3±2.8日から5年後には-4.4±0.3日の変化が認められた。・患者報告によると、症状、頭痛による影響、片頭痛特有のQOLに関して安定した改善が認められた。・有害事象の曝露調整患者発生率は、123.0/100患者年であり、主な有害事象は鼻咽頭炎、上気道感染症、インフルエンザであった。・49例(3.8/100患者年)から報告された重篤な有害事象の多くは、1回のみの発生であった。・致死的な有害事象は、2件報告された。・有害事象、重篤な有害事象、治療中止に至る有害事象の発生率の増加は5年にわたる曝露では認められなかった。 著者らは「erenumab治療により、片頭痛の頻度が減少し、健康関連QOLの改善が認められ、その効果が5年以上持続することが示唆された。また、新たな安全性上の懸念は見当たらなかった」としている。

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統合失調症に対するω3多価不飽和脂肪酸の影響~メタ解析

 統合失調症の治療では、症状改善のために単剤療法だけでなく増強療法が一般的に行われる。近年、精神疾患患者に対するω3多価不飽和脂肪酸のベネフィットを示唆する報告が増加しているが、その役割については、統合失調症治療のコンセンサスが十分に得られていない。台湾・台北医学大学のKah K. Goh氏らは、統合失調症患者に対するω3多価不飽和脂肪酸の有効性および安全性を評価するため、ランダム化比較試験のメタ解析を実施した。Journal of Psychopharmacology誌オンライン版2021年2月15日号の報告。 MEDLINE、Embase、Cochrane、Scopus、Web of Scienceより、関連文献を検索した。主要アウトカムは、精神病理学的変化とし、副次的アウトカムは、代謝パラメータおよび安全性プロファイルの変化とした。 主な結果は以下のとおり。・メタ解析には、20件の二重盲検ランダム化比較試験(1,494例)を含めた。・ω3多価不飽和脂肪酸による増強療法は、統合失調症患者の精神病理、とくに総合精神病理と陽性症状に対する有意な改善効果との関連が認められたが、陰性症状に対しては認められなかった。・重度の患者においては、イコサペント酸を含むω3多価不飽和脂肪酸1g/日超の投与によって、有意な改善が認められた。・血清トリグリセライドに対するω3多価不飽和脂肪酸の好影響も観察された。・ω3多価不飽和脂肪酸は、統合失調症患者に対する忍容性、安全性の高さが認められた。 著者らは「統合失調症に対する潜在的な増強療法として、ω3多価不飽和脂肪酸の使用は、支持されるものであった。この根底にあるメカニズムを解明し、ω3多価不飽和脂肪酸の最適な投与量と正確な割合を明らかにするためには、大規模サンプルを用いたさらなる研究が必要とされる」としている。

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アミロイド低減治療、認知機能改善は認められず/BMJ

 アミロイド値の低下と認知機能の変化について報告されている入手可能な試験データをプール解析した結果、薬物治療によりアミロイド値低下は、実質的に認知機能を改善しないことが示された。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のSarah F. Ackley氏らが14の無作為化比較試験を対象としたメタ解析の結果、明らかにした。これまで行われたアルツハイマー病におけるアミロイドを標的とした薬物治療の試験の大半で、認知機能についての統計的に優位な有益性は示されていない。一方で、個々の試験では、アミロイド値低下の認知機能低下への潜在的な影響について決定的となるエビデンスも示されておらず、アミロイドを標的とした複数試験のエビデンスは体系的に評価されていなかった。BMJ誌2021年2月25日号掲載の報告。14試験についてメタ解析 研究グループは、アミロイド値の低下が認知機能を改善するかどうかを確認するため、アミロイドを標的とした薬物療法の試験を評価する操作変数メタ解析を行った。 「ClinicalTrials.gov」を基に検索し、アミロイド値のコントロールとアルツハイマー病の予防または治療に関する14の無作為化比較試験を特定し評価した。 被験者の条件は各試験によって異なるが、典型的なものとしては、ベースラインで50歳以上、軽度認知機能障害またはアルツハイマー病の診断を受け、アミロイド陽性だった。 主要アウトカムは、アミロイドPETで測定した脳内アミロイド値の変化と、各治療群について1回以上行われた認知機能テストスコアの変化で、解析は情報が入手できた試験を包含して行われた。アミロイド値の標準取込値率減少とMMSEスコア改善は関連なし 14の無作為化試験のプール解析の結果は、個々の試験の推定値より精度が高かった。 アミロイド値の標準取込値率(SUVR)が0.1標準偏差減少することによるミニメンタルステート検査(MMSE)スコアの改善は、0.03ポイント(95%信頼区間[CI]:-0.06~0.1)だった。 なお同研究グループは、ウェブ上でアプリケーションを公開し、アミロイド値とアルツハイマー病に関する新たな試験結果が出た際には、その結果を入力し新たな推定値の算定を可能にしている。また、プール解析による推定値によって、アミロイド値低下と認知機能改善の関連を示すために必要となる新たなエビデンスについても解説している。

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救急でのてんかん重積状態に対するベンゾジアゼピン投与戦略の評価

 全身痙攣重積状態(GCSE)の治療に特定のベンゾジアゼピンを投与することがガイドラインで推奨されているが、一般的には少用量で投与されている。米国・サウスカロライナ大学のKyle A. Weant氏らは、救急受診したGCSE患者の初期マネジメントにおけるベンゾジアゼピン投与戦略について、評価を行った。The American Journal of Emergency Medicine誌オンライン版2021年2月6日号の報告。 GCSE治療のために救急科でベンゾジアゼピン投与を受けた患者を対象に、レトロスペクティブにレビューした。初回ベンゾジアゼピン治療後に発作の改善を達成した患者の特徴を評価した。救急受診した患者222例に対し、ベンゾジアゼピンは403回投与されていた。そのうち、推奨事項を順守していた割合は1.5%であった。 主な結果は以下のとおり。・1次治療では、ベンゾジアゼピン平均投与量1.6mg(0.02mg/kg)であり、患者の86.8%に良好な反応が認められた。・早期に発作が改善した患者とそうでない患者との間に、投与量の差は認められなかった(p=0.132)。・早期に発作が改善した患者では、以下の割合が有意に低かった(各々、p<0.05)。 ●ベンゾジアゼピン追加投与 ●挿管 ●集中治療室または病院への入院・早期に抗てんかん薬治療を受けた患者では、以下の割合が有意に低かった(各々、p<0.05)。 ●ベンゾジアゼピンの追加投与 ●挿管 ●集中治療室または病院への入院 著者らは「入院前や救急受診環境におけるベンゾジアゼピン投与は、ガイドラインで推奨されているよりも少用量であった。早期の発作改善や早期に抗てんかん薬を投与された患者では、いくつかの重要な臨床アウトカムと関連していることが明らかとなった。今後は、ベンゾジアゼピンの最適な投与戦略や早期の抗てんかん薬投与の影響を調査する必要性がある」としている。

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日本における産後のうつ症状と妊娠中の体重増加との関係

 産後のうつ症状(PPDS)と妊娠中の体重増加との関係については、依然として議論の余地が残っている。福島県立医科大学の山口 明子氏らは、産後1ヵ月のPPDSと妊娠中の体重増加との関係について、妊娠前のBMIに基づいて、調査を行った。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2021年2月2日号の報告。 2011~14年に日本人女性8万927人を対象に、プロスペクティブコホート研究を実施した。妊娠前のBMIに基づき、対象者をG1(18.5kg/m2未満)、G2(18.5~20.0kg/m2)、G3(20.0~23.0kg/m2)、G4(23.0~25.0kg/m2)、G5(25kg/m2以上)の5グループに分類した。PPDSに関連する不十分または過剰な妊娠中の体重増加の潜在的なリスク因子を特定するため、母体年齢、教育、年間世帯収入、喫煙、出産歴、分娩方法、母乳の中止、精神的ストレス、妊娠中のエネルギー摂取量で調整した後、各グループに対して多重ロジスティック回帰分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・G3の女性において、不十分な妊娠中の体重増加がPPDSのリスク因子であることが示唆された(調整オッズ比:1.24、95%CI:1.14~1.36)。・この結果は、内在的要因により変化は認められなかった。 著者らは「妊娠前のBMIが20.0~23.0kg/m2の女性では、妊娠中の不十分な体重増加がPPDSのリスク因子であるため、PPDSを早期に発見するためにも、妊娠中の体重をモニタリングすることが推奨される」としている。

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サルコペニアの高齢者は死亡・要介護リスク増加、予備群は?/東京都健康長寿医療センター

 健康のバロメーターとして「筋肉」が注目される中で、高齢者におけるサルコペニアの予防・改善は、健康長寿を実現するためにも重要である。東京都健康長寿医療センター研究所・北村 明彦氏らの研究グループは、日本人の一般高齢者1,851人におけるサルコペニアの有病率、関連因子、死亡・要介護化リスクについて約6年間の追跡調査を行い、その結果をプレスリリースで発表した。75~79歳では男女ともに約2割、80歳以上では男性の約3割と女性の約半数がサルコペニアに該当し、サルコペニアになると死亡、要介護化のリスクがいずれも約2倍高まることが示された。Journal of Cachexia, Sarcopenia Muscle誌2021年2月号に掲載。サルコペニア予備群に3割が該当したが、死亡リスク・要介護リスクは高くない 研究グループは、群馬県と埼玉県において、健康診査を受けた65歳以上の日本人計1,851人(女性50.5%、平均年齢72.0±5.9歳)を対象に、平均5.8年間(最大9.5年)の追跡研究を行った。サルコペニア診断基準(AWGS 2019)に基づき定義されたサルコペニアは、筋肉量の一定の減少(四肢骨格筋指数:男性7.0kg/m2未満、女性5.7kg/m2未満)に加えて、筋力・身体機能の一定の低下(握力低値:男性28kg未満、女性18kg未満、または歩行速度の低値:男女ともに毎秒1m未満)が認められた場合に「有り」と判定された。 サルコペニアの有病率、関連因子、死亡・要介護化リスクについて調査した主な結果は以下のとおり。・サルコペニアの有病率は、男性で11.5%(105/917例)、女性で16.7%(156/934例)だった。有病率は年齢とともに上昇し、75~79歳では男女ともに約22%、80歳以上では男性の32%、女性の48%がサルコペニアに該当していた。・サルコペニアの人はそうでない人に比べて、男性では「身体活動が少ない」「血液中のアルブミン濃度が低い」「喫煙者が多い」「最近1年以内の入院が多い」(いずれもp<0.05)、女性では「うつ症状が多い」(p<0.001)、「認知機能の低下が多い」(p=0.004)ことがわかった。・サルコペニアの人は、筋肉量、筋力ともに低下していない人に比べて、男女共に総死亡リスクが高かった(男性:ハザード比[HR]=2.0、95%CI:1.2~3.5/女性:HR=2.3、95%CI:1.1~4.9)。また、要介護発生リスクも高くなる可能性が明らかになった(男性:HR=1.6、95%CI:1.0~2.7/女性:HR=1.7、95%CI:1.1~2.7)。・サルコペニア予備群(筋肉量は少なくても筋力・身体機能が一定維持されている人、および筋力・身体機能が弱くても筋肉量が一定維持されている人)には、男性で29.7%(272/917例)、女性で31.6%(295/934例)が該当したが、総死亡リスク、要介護発生リスクは共に高くならなかった。 研究者らは、「サルコペニアの高齢者は、死亡および要介護発生のリスクが高く、いわゆる自立喪失の危険性が高いことが明らかとなった。したがって、サルコペニアを早期発見し、その進行を食い止めることは健康寿命の延伸に貢献すると考えられる」と結論している。

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認知症リスクの人種差~メタ解析

 世界の認知症患者数は、約5,000万人といわれている。高血圧や糖尿病などの認知症のリスク因子は、黒人、アジア人、その他の少数民族においても一般的に認められるが、認知症のケア、診断、治療においては、人種間で不平等なこともある。そこで、英国・London School of Hygiene & Tropical MedicineのSuhail Ismail Shiekh氏らは、認知症の発生率や有病率に関する民族的な差異について、調査を行った。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2021年1月30日号の報告。 2019年9月1日に、人種、認知症、発生率、有病率の検索ワードを用いて、7つのデータベースより検索した。18歳以上の成人を対象とし、2つ以上の人種の年齢を考慮した後、認知症の発生率または有病率を比較した人口ベースの研究を抽出した。適切な人種間の比較を行うため、メタ解析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・コホート研究12件、横断研究7件をメタ解析に含めた。・米国での研究が13件、英国、シンガポール、中国の新疆ウイグル自治区での研究が各2件であった。・黒人と白人を比較した4件の研究では、認知症発生率のプールされたリスク比は、1.33(95%CI:1.07~1.65、I2:58.0%)であった。・アジア人と白人を比較した研究では、認知症発生率のプールされたリスク比は、0.86(95%CI:0.728~1.01、I2:43.9%)であった。・ラテン系と白人では、認知症発生率に差は認められなかった。 著者らは「認知症リスクに、人種的な違いがあることが示唆された。これらの違いの要因を明らかにすることは、認知症の予防や治療に役立つ可能性がある」としている。

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うつ病治療アプリに対する医師や患者の期待

 スマートフォンアプリが増加し続けている現代社会において、アプリによる治療ツールの有効性は十分に実証されておらず、導入率も依然として不十分である。フランス・クレルモン・オーベルニュ大学のMarie-Camille Patoz氏らは、アドヒアランス向上に関連する効率的なアプリ開発を行うため、ユーザー中心のアプローチを通じて設計した架空のうつ病治療アプリに対する患者および医師の期待を特定することを目的とし、本研究を行った。BMC Psychiatry誌2021年1月29日号の報告。 精神科医および一般開業医、過去12ヵ月間でうつ病を経験した患者を対象に、フォーカスグループ法を用いて、半構造化面接を実施した。録音したインタビューの音声を文字起こしし、定性的な内容分析を用いて分析した。 主な結果は以下のとおり。・分析対象は、医師26人および患者24人。・フォーカスグループは、性別と年齢のバランスの取れた分布を示した。・対象者のほとんどはスマートフォンを所有しており(医師:96.1%、患者:83.3%)、アプリも使用していた(医師:96.1%、患者:79.2%)。・定性的な内容分析では、内容、操作特性、アプリ使用に対する障壁といった3つの主なテーマが明らかとなった。それぞれの内容は、以下のとおりであった。【期待される内容】 ●アプリにより収集された患者情報に関するデータ ●心理教育に関する情報提供 ●治療ツールに関する情報提供 ●日常生活のマネジメントを支援する機能 ●このツールに期待される機能【操作特性】 ●アプリの目的 ●潜在的なターゲットユーザー ●使用方法 ●アクセシビリティ ●セキュリティ【アプリ使用に対する障壁】 ●潜在的なアプリユーザーに関する懸念 ●潜在的なユーザーのアクセシビリティ ●安全性、副反応、有用性 ●機能性・テーマやカテゴリに関しては、医師と患者で共通であった。 著者らは「架空のうつ病治療アプリは、医師、患者ともに期待値が高く、うつ病治療において重要な役割を担う可能性がある。このようなツールにユーザーが期待する重要なポイントとして、簡単かつ直感的な使い方とパーソナライズされたコンテンツが挙げられる。うつ病治療においては、うつ病に関する情報提供、自己モニタリング機能、緊急時の支援を可能とするアプリが求められている」としている。

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第47回 精神保健指定医取消処分は「後出しじゃんけん」、東京高裁が国を痛烈批判

精神保健指定医の取消処分を違法として、高橋 恵氏(北里大学医学部准教授)が国を訴えていた裁判で、東京高等裁判所は2021年1月27日、高橋氏側を敗訴とした東京地方裁判所の判決を破棄し、取消処分を違法とした。その後、国は最高裁判所への上告を断念、判決が確定した。判決では、処分基準について「アンフェアな後出しじゃんけん」と批判。2月8日に記者会見した代理人弁護士の井上 清成氏は、「かなりきつい物言いをしていることで、厚労行政に対してくさびを打ち込んだ判決」と評した。また、同席した高橋氏は「処分による被害は甚大。名誉毀損や資格停止などへの損害に対し、何らかの補償を考えていただきたい」と訴えた。この問題は、聖マリアンナ医科大学病院における精神保健指定医の不正申請が明るみになったこときっかけに、厚生労働省が調査を実施。2016年に高橋氏ら89人が精神保健指定医取消の処分を受けたものである。処分の取り消しを求めた医師の裁判を巡っては、田村 龍太郎氏が昨年11月、最高裁で勝訴が確定したが、もう1人は敗訴が確定している。いずれも高橋氏が指導した申請医だった。2人は、チーム医療を行っていた症例を高橋氏の指導の下でケースレポートを作成したが、カルテ記載が少ないことを理由に、自ら診断治療に関わっていない症例を不正申請したと認定され、取消処分を受けた。しかし、今回の判決で、敗訴した申請医に対しても十分な関与が認定されたことから、高橋氏は「厚労省には判決内容を踏まえ、改めて処分を見直していただきたい」と述べた。カルテ記載の量と質のみで判断できない「医師の関与の度合い」井上弁護士によると、高裁判決のポイントは以下の通りだ。【1】指定医事務取扱要領における「同一症例について、同時に複数の医師がケースレポートを作成することは、認められない」という規定は、申請時期が異なる年度であれば、同一症例について複数の医師が申請可能とも読めるとの解釈を示し、チーム医療においては同一症例について、複数の医師が自ら担当として診断または治療に十分な関わりを持つことも通常であると認定した。【2】厚労省が2016年10月26日に発出したプレスリリース「精神保健指定医に対する行政処分等について(概要)」における記述のうち、【行政処分の対象者に関する考え方】を「処分基準」であると認定した。処分基準を予め決めていたのではなく、処分発表の当日のプレスリリースで公表したことを問題視し、判決が「後出しじゃんけん」と批判した理由だ。具体的には、(1)ケースレポートに係る症例の診療録の記載が全くなく、診断または治療に十分な関わりがあったとは言えない申請医、(2)ケースレポートに係る症例の診療録の記載が週1回未満であり、記載内容から診断または治療に十分な関わりがあったとは言えない申請医、(3)申請医の不正なケースレポートにおいて指導等を行ったことを署名により証明した指導医――を処分対象者として、その全員について、期間を定めて指定医の職務を停止するのではなく、指定医の指定を取り消すという処分を定立したと認定。その上で、担当として十分な関わりを持ったかどうかをカルテ記載の量と質によってのみ判断することは、少なくともチーム医療による治療に関しては精神科医一般の認識と大きく異なっていたと指摘した。【3】指導医に対する処分は結果責任を問われたものであると認定した上で、「指定医として著しく不適当と認められたとき」に当たる否かは、好ましくない結果の具体的な内容や社会一般、公益に及ぼす好ましくなさの程度、そのような結果が発生した客観的な過程や客観的な原因、緊急の必要性の程度等を検討して、処分の適法性を判断するとした。【4】本件病院精神科病棟のチーム医療体制において、カルテ記載担当者以外のチーム内の医師によるカルテ記載は少なくなることから、カルテ記載担当者でない申請医が「自ら担当として診断または治療に十分な関わりを持った」かどうかの判断は、カルテ記載の量や質を重視するのではなく、チーム内における申請医の診断や治療への関与の態様を個別具体的に検討するほかないと判断した。【5】仮に「指定医として著しく不適当」であるとしても、指定医の指定取消ではなく、指定医の職務停止処分とすべきだったと判断した。処分者に対して求められる謝罪と補償上記のように、高裁判決はチーム医療の実態を細かく認定し、適正に行われたと判断し、形式的なカルテ記載に基づく国の処分基準の理不尽さを指摘する内容となった。厚労省は、処分を受けた医師らに対し、謝罪による名誉回復と補償を行うだろうか。今後の動きを注視したい。

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片頭痛に対するfremanezumabの効果~第III相試験の事後解析

 カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)を標的とするモノクローナル抗体は、片頭痛の予防に対する有効性および安全性が示されている薬剤である。臨床試験では治療反応群と非反応群が存在しているが、有効性の評価では両群の平均値を用いる。そのため、治療反応群における臨床的ベネフィットについての情報が十分に評価されていない。治療反応がみられる患者における臨床的な改善度を明らかにすることは、臨床医と患者にとって重要なポイントである。米国・トーマス・ジェファソン大学のStephen D. Silberstein氏らは、ヒト化モノクローナル抗体fremanezumabにより治療反応がみられた患者における臨床的ベネフィットを明らかにするため、2つの第III相HALO臨床試験の事後分析を実施した。The Journal of Headache and Pain誌2021年1月7日号の報告。 反復性片頭痛(EM)または慢性片頭痛(CM)を有する患者を対象に、fremanezumabの四半期(fremanezumab 675mg vs.プラセボvs.プラセボ)または月1回(EM患者[fremanezumab 225mg vs.225mg vs.225mg]、CM患者[fremanezumab 675mg vs.225mg vs.225mg])投与を行った12週間のランダム化二重盲検プラセボ対照HALO EM臨床試験およびHALO CM臨床試験の事後分析を実施した。治療反応の定義は、月間の片頭痛日数がEM患者で2日以上減少、CM患者で4日以上減少とした。治療効果として、毎月の片頭痛日数の減少、急性頭痛薬の使用、片頭痛関連障害、健康関連QOLの変化を評価した。 主な結果は以下のとおり。・HALO臨床試験の治療反応患者は、全体で857例であった(EM患者:429例[73.8%]、CM患者:428例[56.7%])。・月間の平均片頭痛日数が50%以上減少した患者の割合は、HALO臨床試験に参加した全患者の場合よりも、治療反応患者のみの場合のほうがより高かった(EM四半期:59.8%、EM月次:63.7%、CM四半期:52.8%、CM月次:59.0%)。・EMおよびCMの治療反応患者では、全患者と比較し、急性頭痛薬の平均使用日数の減少、片頭痛関連障害スコアの大幅な減少、健康関連QOLの大幅な改善が認められた。 著者らは「fremanezumab治療反応患者では、評価したすべての治療効果において、臨床的に有意義な改善が認められており、臨床試験で示されている数値以上に、副次的効果が期待できるであろう」としている。

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重症精神疾患患者における抗精神病薬切り替えと体重変化~メタ解析

 重症精神疾患患者では、肥満や代謝により臨床的な悪影響が懸念されるが、これを予防できる可能性がある。心血管代謝の負担を軽減するうえで、抗精神病薬の切り替えが有用かを、オーストラリア・クイーンズランド大学のDan Siskind氏らが検討を行った。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2021年2月6日号の報告。 2020年3月8日までの文献をPubMED、Embase、PsycINFO、Cochraneより検索した。抗精神病薬切り替え群と継続群における体重および代謝変化を比較するため、群全体と群内でのメタ解析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・抽出された61研究のうち、59研究をメタ解析に含めた(エビデンスの質高評価40%)。・切り替え群と継続群を比較したメタ解析では、アリピプラゾールのみが体重を有意に減少させた(-5.52kg、95%CI:-10.63~-0.42、p=0.03)。一方、オランザピンは、体重を有意に増加させた(2.46kg、95%CI:0.34~4.57、p=0.02)。・アリピプラゾールへの切り替えにより、空腹時血糖(-3.99mg/dL、95%CI:-7.34~-0.64、p=0.02)およびトリグリセライド(-31.03mg/dL、95%CI:-48.73~-13.34、p=0.0001)の有意な改善が認められた。・アリピプラゾールおよびオランザピンによる切り替え群と継続群において、治療中止と精神症状の評価に違いは認められなかった。・切り替え後のメタ解析では、体重減少との関連が認められた薬剤はアリピプラゾール(-1.96kg、95%CI:-3.07~-0.85、p<0.001)、ziprasidone(-2.22kg、95%CI:-3.84~-0.60、p=0.007)であった。一方、体重増加と関連が認められた薬剤は、オランザピン(2.71kg、95%CI:1.87~3.55、p<0.001)、クロザピン(2.80kg、95%CI:0.26~5.34、p=0.03)であった。・amisulpride、パリペリドン、リスペリドン、クエチアピン、ルラシドンに切り替えた場合、体重およびその他の心血管代謝に有意な影響は認められなかった。 著者らは「アリピプラゾールやziprasidoneのような体重増加リスクの低い抗精神病薬に切り替えることにより、体重プロファイルや心血管代謝を改善することが可能である。抗精神病薬の切り替えを行う際には、切り替え前後の体重増加リスクを考慮する必要がある。精神症状の安定している患者に対する抗精神病薬の切り替えは、症状悪化リスクを鑑み検討すべきである」としている。

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老年精神薬理学の最近の進展に関する専門家の意見

 高齢化社会が進むにつれ、老年精神疾患への対応に関する重要性が高まっている。米国・ケース・ウェスタン・リザーブ大学のAwais Aftab氏らは、アルツハイマー病(AD)、重度または難治性のうつ病、がんおよび終末期ケアに焦点を当て、老年精神医学に関連する最近の進展についてレビューを行った。Expert Review of Clinical Pharmacology誌オンライン版2021年2月5日号の報告。 ADの疾患修飾療法、診断用放射線トレーサ、認知症の神経精神症状に対する薬剤、ケタミン、esketamine、サイケデリックス薬、カンナビノイドについて、PubMed、Google Scholar、Medscape、ClinicalTrials.govより過去6年間の文献を非システマティックに検索し、レビューを行った。 主なレビューは以下のとおり。・非常に早期のADを対象とした抗アミロイド薬の試験が注目されており、aducanumabはFDAで審査中、いくつかの薬剤は第III相試験が進行中であった。・AD診断のためのアミロイドおよびタウ蛋白のPETスキャンは、FDAにより承認されている。・認知症の神経精神症状に対する有望な薬剤として、pimavanserin、ブレクスピプラゾール、エスシタロプラム、デキストロメトルファン/キニジン配合剤、リチウムが挙げられる。・esketamineは、一般成人の治療抵抗性うつ病治療に対し承認されているが、高齢患者を対象とした第III相試験において有効性を示すことができなかった。・終末期およびがん関連のうつ病および不安症に対するサイケデリックス支援療法のベネフィットに関する予備的なエビデンスが報告されている。・カンナビノイドに関するエビデンスは、不十分であった。

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薬物依存リハビリセンターにおける日本人男性の薬物依存と性交との関連

 性行為と薬物使用を組み合わせて行うことは、薬物使用と性交の認知された相互依存(perceived interdependence of drug use and sexual intercourse:PIDS)を形成する可能性がある。また、薬物使用の重症度は、PIDSに有意な影響を及ぼす可能性があるが、この関連はよくわかっていない。国立精神・神経医療研究センターの山田 理沙氏らは、日本の薬物依存リハビリテーションセンター(DARC)の成人男性における薬物使用の重症度とPIDSとの関連について、調査を行った。Substance Abuse Treatment, Prevention, and Policy誌2021年1月7日号の報告。 国立精神・神経医療研究センターが2016年に実施した「日本におけるDARCフォローアップ調査」の2次分析として実施した。データの収集には、46施設より自己申告質問票を用いた。薬物依存症男性患者440例を対象に、人口統計学的特徴、性感染症診断歴、薬物使用関連情報(主な薬物使用やPIDSなど)を収集し、分析した。薬物乱用スクリーニングテスト20日本語版(DAST-20)を用いて、薬物使用の重症度を測定した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者の年齢中央値は、42歳であった。・DAST-20スコアの中央値は14.0であり、主な薬物使用はメタンフェタミン(61.4%)、新規精神活性物質(NPS、13.6%)であった。・多変量解析では、PIDSとの関連が認められた因子は以下のとおりであった。 ●無防護性交(主にコンドームの未使用、調整オッズ比[AOR]:4.410) ●メタンフェタミンの使用(AOR:3.220) ●NPSの使用(AOR:2.744) ●DAST-20スコア(AOR:1.093) 著者らは「薬物、メタンフェタミン、NPSの使用下における無防護性交の頻度は、PIDSとの強い関連が示唆された。また、薬物使用の重症度とPIDSとの有意な関連も認められた。重度のPIDSを経験した患者に対する、ニーズに適合した適切な治療プログラムの開発が望まれる」としている。

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カインとアベル(後編)【なんで嫉妬は「ある」の?どうすれば?】Part 1

今回のキーワードジェラシーマネジメント自己受容マインドフルネス自己実現アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)バウンダリー前半では、なぜ嫉妬をするのかという疑問にお答えしました。それでは、そもそもなぜ嫉妬は「ある」のでしょうか? そして、嫉妬にどうすればいいのでしょうか? これらの答えを探るために、今回も、テレビドラマ「カインとアベル」を取り上げます。このドラマを通して、嫉妬の起源を進化心理学的に掘り下げます。そして、アンガーマネジメントのように、ジェラシーマネジメントを一緒に考えてみましょう。なんで志向性嫉妬は「ある」の?まずは、自分の地位が取られることへの不安である志向性嫉妬の起源を3つの段階に分けて、考えてみましょう。(1)同胞関係約2億年前に哺乳類が誕生してから、子どもたちはその母親からの乳やエサが与えられることによって、兄弟(同胞)で一緒に育てられるようになりました。兄弟同士がおっぱいやエサを奪い合う中、自分の取り分が少ない時にストレス(嫉妬)を感じれば、より鳴き声をあげて前に出るなどのアピールを母親にするようになり、取り分を失わないでしょう。1つ目の起源は、同胞関係です。この兄弟間の格差の是正のために、嫉妬は「ある」と言えるでしょう。実際に、マウスの行動実験(拘束ストレス)において、単独でストレスを受ける場合よりも、5匹のマウスの中で自分だけがストレスを受ける場合で、嫌悪記憶がより強化され、ストレスホルモン(コルチコステロン)がより増加したという結果が出ています。ちなみに、発達心理学的には、赤ちゃん(生後5ヵ月)の嫉妬も観察されています。実際に、赤ちゃんが、目の前で母親が人形を大事に抱っこしていると怒り出すことが確認できます。また、幼児が、下の子が生まれたことによる嫉妬で、赤ちゃん返りすること(退行)もよく確認されます。なお、先ほどのマウスの行動実験(拘束ストレス)において、単独でストレスを受ける場合よりも、5匹のマウスが一緒にストレスを受ける場合で、嫌悪記憶が弱まり、ストレスホルモン(コルチコステロン)が減少したという結果も出てきます。これは、嫉妬の対象(ライバルなど)が自分と同じ状況(不幸)になることで嫉妬が解消されると説明できます。これが、いわゆる「メシウマ(他人が不幸で今日も飯がうまい)」の心理の起源です。(2)上下関係約2000万年前には類人猿が誕生し、サルたちがケンカの強さによる序列によって群れをつくるようになりました(社会性)。ボスの地位を争う中、2番手のサルは、ボスザルに対してストレス(嫉妬)を感じれば、ボスザルになるチャンスに、より敏感に反応できるでしょう。このストレスには、「競争ホルモン」(テストステロン)が関係していることが考えられています。2つ目の起源は、上下関係です。この上下間の闘争のために、嫉妬は「ある」と言えるでしょう。実際に、サル(フサオマキザル)の行動実験(報酬分配ゲーム)において、好きなエサとまずいエサを分配する権限が与えられた2番手のサルは、下っ端のサルにはランダムにエサを与えていたのに対して、ボスザルにはまずいエサを与える選択をより多くしたという結果が出てきます。(3)協力関係約700万年前に人類が誕生し、300万年前にアフリカの森からサバンナに出て、血縁の家族同士が助け合いによって部族集団をつくるようになりました(社会脳)。集団で狩りをする中、自分ではなく別のメンバーが手柄を上げれば、自分は集団に認められず、そのメンバーが認められたことになります。この時、ストレス(嫉妬)を感じれば、次の狩りでは自分がもっとがんばって手柄を挙げて集団から認められたいと思うでしょう。この時のストレスは、相手に向けば嫉妬ですが、自分に向けば悔しさ(後悔)になります。3つ目の起源は、協力関係です。この仲間同士の協力のために、嫉妬は「ある」と言えるでしょう。ちなみに、原始の時代の当時から、人類は、嫉妬を恥ずかしく思ったり、隠すようにもなりました。なぜなら、嫉妬を前面に出すと、協力関係が維持できなくなり、集団全体にとってはデメリットだからです。この点で、嫉妬する時に人は能面(無表情)になることも納得が行くでしょう。なんで性的嫉妬は「ある」の?次に、自分のパートナーが取られることへの不安である性的嫉妬の起源を考えてみましょう。約700万年前に人類が誕生して、男性(父親)は狩りをして、その食料を女性(母親)と分け合い、女性(母親)はその男性との間にできた子どもを育てるという性別役割分業をするようになりました。300万年前には、特定の男性と特定の女性のつがい(夫婦)が一緒に子育てをして共同生活をするようになりました(一夫一妻型)。この時、相手の浮気でストレス(嫉妬)を感じれば、より相手から離れないようになるでしょう。このストレスには、「愛着ホルモン」(オキシトシンやバソプレシン)が関係していることが考えられています。つまり、性的嫉妬の起源は、一夫一妻型の夫婦関係です。この夫婦関係の維持のために、嫉妬は「ある」と言えるでしょう。実際に、ハタネズミの研究において、つがいになるプレーリーハタネズミとつがいにならないサンガクハタネズミは、それぞれオキシトシンとバソプレシンの受容体の脳内の分布がまったく違うという結果が出てきます。その分布は、プレーリーハタネズミは快感の中枢(側坐核)であるのに対して、サンガクハタネズミは恐怖の中枢(扁桃体)にあります。この分布の違いによって、プレーリーハタネズミは、つがいであることでドパミンも活性化されて「依存」的になり(愛着形成)、つがいにならない(浮気をする)ことに「禁断症状」(嫉妬)が出るというわけです。一方、サンガクハタネズミは、交尾の時に恐怖が和らぐだけで、つがいにならない(浮気をする)ことに「禁断症状」(嫉妬)が出ることはありません。ちなみに、そもそもなぜプレーリーハタネズミとサンガクハタネズミにはこのような違いがあるかについては、生態環境の違いが考えられます。それは、プレーリー(草原)とサンガク(山岳)の違いです。これは、300万年前に人類が森(山岳)からサバンナ(草原)に出た時に、つがいを作り部族集団を作った状況に重なります。森は資源が豊かで身を守るところが多い一方、サバンナは資源が少なく身を守るところが少ないという違いがあります。この違いによって、プレーリーハタネズミも300万年前以降の人類も、一緒に子育てをすること(アロペアレンティングという広い意味での生殖)のためにつがいになったと言えるでしょう。一方で、それでも浮気をする心理はまた別にあります。その詳細については、関連記事3をご参照ください。 次のページへ >>

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カインとアベル(後編)【なんで嫉妬は「ある」の?どうすれば?】Part 2

嫉妬にどうすればいいの?志向性嫉妬は、集団で生活する種が、生存資源(地位を含む)の取り合いの中、生存の適応度を上げるために「ある」ことが分かりました。また、性的嫉妬は、つがい(夫婦)で生活する種が、生殖資源(子育てのパートナーを含む)の取り合いの中、生殖の適応度を上げるために「ある」ことが分かりました。つまり、嫉妬はそもそも「ある」ものです。それでは、この点を踏まえて、嫉妬にどうすれば良いでしょうか? ここから、嫉妬のマネジメントを大きく3つ挙げてみましょう。(1)嫉妬を受け入れる-自己受容隆一は、盗聴器を仕掛けたことがバレてしまい、副社長職を解任され、一時期ひきこもります。その後、完璧であることにとらわれることがなくなった隆一は、優に「いつも自由でみんなから愛される弟」「俺はずっとおまえに憧れていた」「優、俺はずっと昔からおまえのことを認めている」と打ち明けます。1つ目は、嫉妬を受け入れることです。嫉妬がもともと「ある」ことを踏まえると、嫉妬を含めた自分の生き方をそのまま受け入れることです(自己受容)。そうすれば、嫉妬は相手の問題ではなく、自分の問題であることに気づくことができます。これは、自尊心(自己肯定感)を安定させます。この自己受容は、嫉妬するだけでなく、嫉妬される場合にも通じるマネジメントです。たとえば、嫉妬はされるものとして淡々としていることです。それくらいすごいことだと視点を変えることもできます。そうできれば、逆にへりくだったり、あえて弱みを見せたり失敗談を披露することもできるでしょう。自己受容の具体的な取り組みとして、マインドフルネスが挙げられます。この詳細については、関連記事4をご参照ください。 (2)嫉妬から自分はどうしたいかを考える-自己実現優は、土地買収での贈賄罪の疑いで、一時期、拘置所に入れられます。その後、隆一は、落ち込む優に「(また)一緒に(会社を)やらないか?」「おまえがいなかったら、今の俺はいない」「おまえは俺の大切な弟だ」と語りかけます。2つ目は、嫉妬から自分はどうしたいかを考えることです。嫉妬が生存や生殖の適応度を上げるための心理メカニズムであることを踏まえると、嫉妬は、何かをする原動力です。嫉妬を、仕事をしたりパートナーを大切にするなど、自分の価値観を満たすエネルギーにすることができます(自己実現)。そう考えれば、嫉妬を嫉妬のままにして苦しむのは、時間と労力の無駄になることに気づきます。むしろ、嫉妬する相手であっても、自分の目標達成するために、協力して利用することもできます。これは、自信(自己効力感)を安定させます。この自己実現は、嫉妬するだけでなく、嫉妬される場合にも通じるマネジメントです。たとえば、相手のおかげであるという協力関係を強調することです。自己実現の具体的な取り組みとして、アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)が挙げられます。この詳細については、関連記事5をご参照ください。 (3)嫉妬する相手から離れる-バウンダリー優が不正に手を染めたのは、実は隆一への対抗意識でした。つまり、力をつけていくうちに、優も嫉妬心を燃やすようになっていたのです。そのことに、挫折を経て気づくのです。そして、ラストシーンでは、もとの会社に戻らず、提携の外資企業へ修行に出発するのでした。3つ目は、嫉妬する相手から離れることです。嫉妬は「近さ」によってエスカレートすることを踏まえると、嫉妬する相手に「間合い」を取ることです(バウンダリー)。これは、相手と違うことをする(多様化)、いろんな人間関係を築く(流動化)、SNSのチェック(ましてや盗聴器を仕掛けること)をしないことを含めて相手とは関わらない(開放化)など、個人的、時間的、空間的な「間合い」です。そうすれば、嫉妬を煽る刺激が減ります。これは、仲間意識(同調)を安定させます。このバウンダリーは、嫉妬するだけでなく、嫉妬される場合にも通じるマネジメントです。たとえば、家族などの自分の理解者の支えを大切にすることです。どうしても関わってしまう時は、気にしないふりをすることもできるでしょう。「カインとアベル」とは?「カインとアベル」については、ドラマの中で、教会の神父が説明しています。「旧約聖書(の創世記)に出てくる兄弟です」「彼らは、アダムとイブの息子たちで、神(ヤハウェ)の愛(寵愛)をめぐって仲違いし、ついには悲しい運命をたどるのです」と。その「悲しい運命」とは、兄のカインが、嫉妬のあまり弟のアベルを殺してしまうのです。これは、まさに隆一と優に重なります。しかし、隆一と優は、最終的に「悲しい運命」にはなりませんでした。その違いは、隆一がひきこもった時、変わらず梓の支えがありました。優も同期のひかりの支えがありました。現代版の「カインとアベル」は、嫉妬し挫折した時、特別な誰かの支えによって、人は成長するということがよく描かれています。これは、嫉妬を乗り越えた兄弟の成長物語と言えるでしょう。このように、嫉妬の危うさと同時に嫉妬による成長の可能性に気づいた時、私たちは、より良い嫉妬のあり方、ジェラシーマネジメントを理解することができるのではないでしょうか?3)愛着崩壊:岡田尊司、角川選書、20124)動物は何を考えているの?:日本動物心理学会、技術評論社、20155)マウスが「共感」もすれば「妬み」もすることを解明:慶應義塾大学、2011<< 前のページへ■関連記事昼顔【不倫はなぜ「ある」の?どうすれば?】「ZOOM」「RE-ZOOM」【どうキレキレに冴え渡る?(マインドフルネス)】テネット【なんで時間を考えるのが癒しになるの?(アクセプタンス&コミットメント・セラピー[ACT])】

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