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検索結果 合計:5821件 表示位置:2021 - 2040

2021.

有害量のアルコール摂取、若年男性で多い:GBD2020/Lancet

 アルコール摂取に関する勧告は年齢および地域によって異なることを支持する強いエビデンスがあり、とくに若年者に向けた強力な介入が、アルコールに起因する世界的な健康損失を減少させるために必要であることが、米国・ワシントン大学のDana Bryazka氏らGBD 2020 Alcohol Collaboratorsの解析で明らかとなった。適度なアルコール摂取に関連する健康リスクについては議論が続いており、少量のアルコール摂取はいくつかの健康アウトカムのリスクを低下させるが他のリスクを増加させ、全体のリスクは地域・年齢・性別・年によって異なる疾患自然発生率に、部分的に依存することが示唆されていた。Lancet誌2022年7月16日号掲載の報告。年齢・男女・年別にTMRELとNDEを推定 解析には、204の国・地域における1990~2020年の死亡率と疾病負担を年齢別、性別に推計した世界疾病負担研究(Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors Study:GBD)のデータを用いた。22の健康アウトカム(虚血性心疾患、脳梗塞、がん、2型糖尿病、結核、下気道感染症など)に関する疾患重み付け用量反応相対リスク曲線を構築し、21地域の15~95歳の個人について1990~2020年の期間で、5歳ごとの年齢階級別、男女別および年別に、アルコールの理論的最小リスク曝露量(theoretical minimum risk exposure level:TMREL、アルコールによる健康損失を最小化する摂取量)と非飲酒者等価量(non-drinker equivalence:NDE、飲酒者の健康リスクが非飲酒者の健康リスクと同等時点でのアルコール摂取量)を推定するとともに、NDEに基づき有害な量のアルコールを摂取している人口を定量化した。有害量のアルコール摂取は若年男性で多い アルコールに関する疾患重み付け相対リスク曲線は、地域および年齢で異なっていた。2020年の15~39歳では、TMREL(ドリンク/日:1ドリンクは純粋エタノール10g相当)は0(95%不確実性区間[UI]:0~0)から0.603(0.400~1.00)、NDEは0.002(0~0)から1.75(0.698~4.30)とさまざまであった。 40歳以上の疾患重み付け相対リスク曲線はすべての地域でJ字型であり、2020年のTMRELは0.114(95%UI:0~0.403)から1.87(0.500~3.30)、NDEは0.193(0~0.900)から6.94(3.40~8.30)の範囲であった。 2020年における有害量のアルコール摂取は、59.1%(95%UI:54.3~65.4)が15~39歳、76.9%(73.0~81.3)が男性であり、主にオーストララシア、西ヨーロッパ、中央ヨーロッパに集中していた。

2022.

大豆と認知症の関連を日本人を対象に調査~JPHC研究

 国立がん研究センターがん対策研究所の村井 詩子氏らは、日本人における大豆製品、個々の大豆食品(納豆、みそ、豆腐)、イソフラボンの摂取量とその後の認知症リスクとの関連を調査した。その結果、大豆製品の総摂取量と認知症リスク低下との関連は認められなかったが、女性(とくに60歳未満)では、納豆の摂取量と認知症リスク低下との関連が認められたことを報告した。European Journal of Nutrition誌オンライン版2022年7月5日号の報告。豆製品の総摂取量と認知症リスク低下との関連は認められず 男性1万8,991人、女性2万2,456人を対象に人口ベースのプロスペクティブ研究を実施した。大豆製品およびイソフラボンの摂取量を算出するため、1995年と1998年の調査(対象者の年齢:45~74歳時点)で収集した検証済み食物摂取頻度質問票のデータを参照した。認知症は、2006~16年の要介護認定情報における認知症関連の日常生活障害により定義した。大豆製品、個々の大豆食品、イソフラボンの1日当たりの摂取量を算出して五分位で分類し、対象を5群に分けた。認知症予防に対する多変量ハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を算出するため、Cox比例ハザード回帰モデルを用いた。 大豆と認知症の関連について日本人を対象に調査した主な結果は以下のとおり。・大豆製品の総摂取量と認知症リスク低下との関連は、男女ともに認められなかった。・個々の大豆食品で分析すると、女性では、納豆の摂取量が多いと認知症リスクが低下する傾向が認められた(trend p=0.050)。・この関連を年齢別に分析すると、60歳未満の女性でより顕著であった。 【60歳未満】納豆の摂取量最高五分位と最低五分位の多変量HR:0.78(95%CI:0.59~1.04、trend p=0.020) 【60歳以上】同HR:0.90(95%CI:0.77~1.05、trend p=0.23)・男性では、大豆製品やイソフラボンの摂取量と認知症リスク低下との関連は認められなかった。

2023.

不眠症治療薬、長期に有効・安全なのは?/Lancet

 不眠症治療薬のエスゾピクロンとレンボレキサントはいずれも有効性のプロファイルは良好であるが、エスゾピクロンは副作用発現例数が多く、レンボレキサントの安全性は結論に至っていないこと、またdoxepin、seltorexantおよびzaleplonは忍容性が良好であるが、有効性に関するデータは乏しく確固たる結論は得られていないことなどが、英国・オックスフォード大学のFranco De Crescenzo氏らが行ったシステマティック・レビューとネットワーク・メタ解析により示された。承認されている多くの薬剤は不眠症の急性期治療に有効であるが、忍容性が低いか長期の有効性に関する情報が得られておらず、メラトニン、ラメルテオンおよび未承認薬は全体的なベネフィットは示されなかった。著者は、「これらの結果は、エビデンスに基づく臨床診療に役立つと考えられる」とまとめている。Lancet誌2022年7月16日号掲載の報告。無作為化二重盲検比較試験154試験をネットワーク・メタ解析 研究グループは、Cochrane Central Register of Controlled Trials、MEDLINE、PubMed、Embase、PsycINFO、WHO International Clinical Trials Registry Platform、ClinicalTrials.govおよび規制当局のウェブサイトにて、2021年11月25日までに報告された不眠症治療薬の無作為化比較試験を検索し、特定の診断基準に基づいて不眠障害と診断された成人(18歳以上)患者を対象とした不眠症治療薬に関するプラセボまたは他の経口実薬単剤との比較試験について解析した。クラスター無作為化試験またはクロスオーバー試験、および二次性不眠症(精神疾患または身体的な併存疾患による不眠症、薬物またはアルコールなどの物質による不眠症)患者が含まれる試験は除外した。 個々の試験についてコクランバイアスリスクツールで評価するとともに、信頼性ネットワークメタ解析フレームワーク(CINeMA)を用いて、エビデンスの確実性を評価した。 主要評価項目は、有効性(患者評価による睡眠の質または睡眠指標による満足度)、治療中止(あらゆる理由で治療を中止した患者の割合)、忍容性(何らかの有害事象により中止した患者の割合)、安全性(少なくとも1件の有害事象を発現した患者数)で、いずれも急性期(投与4週間後、4週間後のデータがない場合は1~12週間のデータで4週間に近い時点)および長期(投与3ヵ月後の最長時点)の両方で評価した。ランダム効果モデルによるペアワイズおよびネットワーク・メタ解析を用い、要約オッズ比(OR)と標準化平均差(SMD)を算出した。 システマティック・レビューには170試験(36介入、4万7,950例)、ネットワーク・メタ解析には無作為化二重盲検比較試験154試験(30介入、4万4,089例)が組み込まれた。エスゾピクロンとレンボレキサントは有効性のプロファイルが良好 急性期治療に関しては、ベンゾジアゼピン系、doxylamine、エスゾピクロン、レンボレキサント、seltorexant、ゾルピデム、ゾピクロンがプラセボより有効であった(SMD範囲:0.36~0.83、CINeMAによるエビデンスの確実性は高~中)。ベンゾジアゼピン系、エスゾピクロン、ゾルピデムおよびゾピクロンは、メラトニン、ラメルテオン、およびzaleplonよりも有効であった(SMD:0.27~0.71、中~非常に低)。 中間作用型ベンゾジアゼピン、長時間作用型ベンゾジアゼピン、およびエスゾピクロンは、ラメルテオンよりもあらゆる原因による中止率が低かった(OR:0.72[95%CI:0.52~0.99、中]、OR:0.70[95%CI:0.51~0.95、中]、OR:0.71[95%CI:0.52~0.98、中])。 ゾピクロンとゾルピデムは、プラセボに比べて有害事象による脱落が多かった(ゾピクロンのOR:2.00[95%CI:1.28~3.13、非常に低]、ゾルピデムのOR:1.79[95%CI:1.25~2.50、中])。また、ゾピクロンはエスゾピクロン(OR:1.82[95%CI:1.01~3.33、低])、daridorexant(OR:3.45[95%CI:1.41~8.33、低])、およびスボレキサント(OR:3.13[95%CI:1.47~6.67、低])より脱落が多かった。 試験終了時の副作用発現例数は、ベンゾジアゼピン系、エスゾピクロン、ゾルピデム、ゾピクロンが、プラセボ、doxepin、seltorexant、zaleplonより多かった(OR範囲:1.27~2.78、高~非常に低)。 長期治療に関しては、エスゾピクロンとレンボレキサントはプラセボより有効で(エスゾピクロンのSMD:0.63[95%CI:0.36~0.90、非常に低]、レンボレキサントのSMD:0.41[95%CI:0.04~0.78、非常に低])、エスゾピクロンはラメルテオン(SMD:0.63[95%CI:0.16~1.10、非常に低])およびゾルピデム(SMD:0.60[95%CI:0.00~1.20、非常に低])より有効であった。 エスゾピクロンとゾルピデムは、ラメルテオンと比較してあらゆる原因による中止率が低かった(エスゾピクロンのOR:0.43[95%CI:0.20~0.93、非常に低]、ゾルピデムのOR:0.43[95%CI:0.19~0.95、非常に低])。しかし、ゾルピデムはプラセボに比べて副作用による脱落数が多かった(OR:2.00[95%CI:1.11~3.70、非常に低])。

2024.

うつ病に対するACT介入~メタ解析

 急性期うつ病の治療において、アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)の有効性が報告されている。しかし、ACTを個別、グループ、インターネットで効果的に提供する方法やこれらを組み合わせた提供方法については、よくわかっていない。中国・北京大学のYue Sun氏らは、ACTの最も効果的な提供方法を検討するため、ネットワークメタ解析を実施した。その結果、抑うつ症状に対するACT介入は、個別、グループ、インターネットのいずれにおいても効果的であることが示唆された。著者らは、ACTをさまざまな方法で提供することにより、多様な患者集団に対してACTを実践、普及することが容易になると報告している。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2022年6月25日号の報告。 2021年3月21日までに公表された関連研究を特定するため、2人のレビュアーが各種データベース(PubMed、Cochrane library、Embase、PsycINFO、CINAHL、CNKI、Wangfang)より検索した。ACTの相対的な有効性を評価し、さまざまな提供方法のランク付けを行うため、ペアワイズ法およびネットワークメタ解析を実施した。バイアスリスクやエビデンスの質(GRADE)などの一連の分析および評価を同時に行った。 主な結果は以下のとおり。・厳格なスクリーニングに基づき23研究(うつ病患者690例)を特定し、分析に含めた。・個別、グループ、インターネットおよびそれらの組み合わせによるACTの有効性には、統計学的に有意な差は認められなかった。・対照群と比較し、個別(標準化平均差[SMD]:-1.44、95%信頼区間[CI]:-2.11~-0.76、GRADE:低)、グループ(SMD:-1.34、95%CI:-1.91~-0.78、GRADE:中)、インターネット(SMD:-0.66、95%CI:-1.25~-0.06、GRADE:低)によるACTの提供では、最も大きな抑うつ症状改善効果が認められた。一方、グループと個別の組み合わせは、効果が低かった。・受容性(何らかの理由による脱落)については、すべての提供方法で統計学的に有意な差は認められなかった。・うつ病マネジメントのための電話および複合的なACT介入を検証するためには、さらなる研究が求められる。

2025.

男女間で異なる不安症状と食物依存症との関連

 不安は、さまざまなケースでみられる症状であり、摂食障害や肥満とも関連しているといわれている。ドイツ・ライプチヒ大学のFelix S. Hussenoeder氏らは、不安症状と食物依存症との関係を分析し、これらの関連性の評価および性差について検討を行った。その結果、食物依存症には、性別やその他の社会人口統計学的因子と関係なく、不安症状に対する長期的な影響が確認された。また、女性における不安症状は、その後の食物依存症に影響を及ぼす可能性が示唆された。このことから著者らは、食物依存症に対する介入は、男女ともに不安症状の軽減につながる可能性があるものの、不安症状に対する介入は、女性の場合のみで、食物依存症の軽減につながることを報告した。Frontiers in Psychiatry誌2022年6月14日号の報告。 人口ベースのLIFE-Adult-Study(1,474例)のデータを用いて、ベースライン時および初回フォローアップ時における不安症状と食物依存症との関連を分析した。不安症状の評価には一般化不安障害質問票(GAD-7)、食物依存症の評価にはYale食物依存症尺度(YFAS)を用いた。不安症状と食物依存症との関連を評価するため、男女の参加者を含む複数グループにおける潜在交差遅延パネルモデルを用いた。年齢、婚姻状況、社会経済的地位、ソーシャルサポートを調整した。 主な結果は以下のとおり。・不安症状および食物依存症は、男女ともに経時的な安定が認められた。 【不安症状】女性:β=0.50、p≦0.001、男性:β=0.59、p≦0.001 【食物依存症】女性:β=0.37、p≦0.001、男性:β=0.58、p≦0.001・女性において、ベースライン時の不安症状と初回フォローアップ時の食物依存症との有意な関連が認められたが(β=0.25、p≦0.001)、男性では認められなかった(β=0.04、p=0.10)。・ベースライン時の食物依存症と初回フォローアップ時の不安症状については、女性(β=0.23、p≦0.001)および男性(β=0.21、p≦0.001)において有意な関連が確認された。

2026.

双極II型障害の急性うつ病エピソードに対する第2世代抗うつ薬療法~メタ解析

 双極II型障害(BD-II)に関するエビデンスに基づく治療ガイドラインは、限られている。メイヨークリニック医科大学のJin Hong Park氏らは、急性BD-IIうつ病における第2世代抗うつ薬単剤療法の有効性および安全性を推定するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、急性BD-IIうつ病に対する第2世代抗うつ薬単剤療法は、良好な副作用プロファイルを有し、切り替え率の有意な増加を来すことなく、短期的に有効であることが示唆された。Psychopharmacology Bulletin誌2022年5月31日号の報告。 2021年3月までに公表された研究を、データベースより検索した。対象研究には、ランダム化比較試験(RCT)のみを含めた。アウトカムは、治療反応率、治療期発現感情交代(treatment-emergent affective switch:TEAS)の割合、副作用による治療中止、すべての原因による治療中止とした。リスク比(RR)の算出には、Mantel-Haenszelランダム効果モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・3,301件の研究をスクリーニングし、全文レビューのため15件を特定した。・選択基準を満たした研究は5件であり、その内訳は、二重盲検RCTが4件(533例)、非盲検RCTが1件(83例)であった。・2件の二重盲検RCT(第2世代抗うつ薬単剤療法223例[ベンラファキシン群:65例、セルトラリン群:45例]、リチウム単剤療法113例[対照群])をメタ解析に含めた。・第2世代抗うつ薬単剤療法は、リチウム単剤療法と比較し、治療反応率が類似していた(RR:1.44、95%CI:0.78~2.66)。・第2世代抗うつ薬単剤療法は、リチウム単剤療法と比較し、TEASの割合に有意な差が認められなかった(p=0.76)。・第2世代抗うつ薬単剤療法は、リチウム単剤療法と比較し、副作用による治療中止率が有意に低かったが(RR:0.32、95%CI:0.11~0.96、p=0.04)、すべての原因による中止率に有意な差は認められなかった。・BD-IIうつ病に対する第2世代抗うつ薬単剤療法の短期的および長期的な役割を調査するRCTを、早期に実施する必要がある。

2027.

認知症の初診はなぜ遅れる? 新たな評価ツールを開発【コロナ時代の認知症診療】第17回

なぜ、認知症の受診や初期診断が遅れるか2021年の日本の病院における入院者数は、1984年以来、約40年ぶりに最少を記録した。全国の医療機関における初診患者数についてもおそらく同様と思われる。さてAducanumabを始め、アルツハイマー病の疾患修飾薬の適応は、軽度認知障害やそれ以前の段階だと考えられている。まさに早期発見が早期治療につながる。ところが以前から、家族が認知症かなと感じても、実際に医療機関を受診する迄には、2年もかかるといわれてきた。それがコロナ禍による受診控えでさらに遅れていると思われる。ここは何とか打開する必要がある。そこでまず「なぜ、認知症の受診や初期診断が遅れるか」を調べてみた。この問題に関するレビュー1)によれば、介護者が認知症に気付き難いこと、それに関する教育不足が最初に指摘されている。また患者や介護者と担当医との間のコミュニケーションがまずいことも挙げられている。さらに注意不足や対処戦略が思いつかないこと、そして認知症などは考えたくない否認もある。多くの臨床医は、認知症患者さんが、いわゆる病態否認、つまり「自分の健忘をはじめとする認知機能障害に気づいてない、否定すること」をしばしば経験されているであろう。どうすれば受診してもらえるか?家族の試行錯誤ところで現実的に、このような場合に家族はただ指をくわえているだけであろうか? これまでに多くの方々から、当事者を専門家の元へ誘う方法についてそれぞれのやり方を伺ってきた。よくあるのは、「健康診断へ行こう」とか「血圧が高いから心配なので脳動脈硬化など診てもらおう」といったものである。経験的にはこれらはあまりうまくいかない。印象に残ったのが、あるジェネラリストによるものである。ご主人に認知症が疑われる場合、奥さんが「認知症が心配なので診てもらおうと思う。でも怖いからあなたもついてきて」というのである。これはかなり成功率が高い。なお奥様がそれとおぼしき例では、「行きたければあなたが行けばいい」と言われるケースもあるそうだ。筆者はこれまで、当事者もしくは医療関係者の意見しか知らなかった。けれども最近は、高齢者の悩み事に特化した社会福祉士の事務所もある。意外ながら、お金や家族関係、終活はもとより、こうした医療受診までも、医師や法律家に相談する以前の初期問い合わせが来るようになっていると聞く。幾つか具体的な台詞を教えてもらったが、医療関連法や倫理を基本とする私達とは異なる視点からの説得力がある。いずれにせよ、敷居の高い専門家よりも、まずは「困りごと相談」的で気安いことが普通の人には大切なようだ。目に見える行動からMCI状態を評価する新ツールところで初期診断までに必要とする時間を短くするには、新たにどんな手法があるだろうか? と私の周辺では何年も前から話題になっていた。そこで日本老年精神医学会の有志を中心に新たなチェック法を作成することになった。それが「目に見える行動からMCI状態を評価する」という新たな測定尺度である2)。さて認知症分野では、MMSE や改訂長谷川式に代表される認知機能の簡易スクリーニング検査がある。ところがこれらは、自分の知能を試されているという感じを当事者に与えてしまうことがある。そこで家族など観察者の報告による評価もある。たとえば記憶を評価するのに、「物忘れが多くなった」、注意力をみるのに「何かしていてもすぐに飽きてしまう」など行動から推察できる認知能力の低下をみるのである。同じように日常生活動作(ADL)から、「トイレに間に合わない」とか、「食事の動作が適切でない」等からの評価もある。また道具的ADLでは、「ガスコンロやリモコンがうまく使えない」、「ATM操作ができない」などもある。けれども認知機能やADLなど学問領域からの発想とは異なり、誰の目にも見える行動一般から初期状態を捉えようとする尺度はなかった。また基本的に認知症を把握しようというもので、 MCI を指摘しようとするものもなかった。しかも報告者は基本的に家族介護者である。ところが最近では、一人暮らしや知友のない高齢者は全く珍しくない。そこで「MCI-J」という、行動変化から初期に気づくための尺度を作成した。第1の特徴は、報告者は家族介護者のみならず、当事者でもまた医療機関のスタッフでも良い。けれども当事者は自分に甘く、介護者は厳しい。そこで、500人弱のデータから、当事者との続柄ごとに、同じ人をみても、どれくらい評価に差があるかを算出した。この数値を用いて重み付けしている。だからもし全く同じ回答内容であっても、誰が評価したかにより判定は異なる。対象とする疾患はアルツハイマー病、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症である。明らかな発作歴や麻痺のある脳血管性認知症は含まない。最終的に13の質問項目となった。それらによりこうした認知症疾患の前駆状態や初期認知症をかなり把握できた。ちなみに感受性は90%、特異性は57%だが、スクリーニングテストなので感受性が高ければ、特異性は少し低くても良いと考えている。なおこの尺度は、紙の上ではなく、スマホやタブレットなどのITデバイスに載せ、アルゴリズムを自動計算させるものである。終わりに。本尺度は認知症の見当付けに有用そうである。けれどもこれで認知症が疑われた場合には、早めに専門家を訪れることが不可欠である。参考1)Bradford A, et al. Alzheimer Dis Assoc Disord. 2009;23:306-314.2)Asada T, et al.Int J Griatr Psychiaty.2022 Aug;37.

2028.

統合失調症患者における治療開始前後の色彩感覚と認知機能

 統合失調症患者は発症の初期段階で、視覚機能や眼組織構造に有意な変化がみられることが、多くの研究で報告されている。統合失調症の病因における新たな科学的進歩の探求を可能にするには、眼組織や眼機能の潜在的な分野を調査する目的で、脳の構造・機能の従来の研究を変革することが求められる。しかし、虹彩構造と統合失調症との相関関係を調査した研究はほとんどなく、エビデンスは不十分であった。中国・Chengde Medical UniversityのLi Duan氏らは、虹彩構造、色彩感覚、認知機能が、初発統合失調症患者において抗精神病薬治療前後で変化するかを分析し、統合失調症の早期臨床スクリーニングと診断を簡便に測定可能なバイオマーカーの特定を試みた。その結果、統合失調症患者の色彩感覚は、認知機能と共に改善することが示唆された。著者らは、陰窩や色素点を伴う虹彩構造の特徴は、統合失調症の薬物治療効果に大きな影響を及ぼす可能性があり、統合失調症を鑑別する潜在的なバイオマーカーである可能性があることを報告した。Journal of Psychiatric Research誌オンライン版2022年6月13日号の報告。 対象は、初発統合失調症患者61例(男性:22例)。抗精神病薬治療開始前の認知機能および色彩感覚を評価するため、Montreal Cognitive Assessment(MoCA)およびFarnsworth-Munsell Dichotomous(D-15 Hue Test)をそれぞれ用いた。対象患者に、医師の処方に従い第2世代抗精神病薬(オランザピン換算量)による6週間の治療を実施し、治療前(ベースライン)および治療2週目、4週目、6週目(フォローアップ時点)に、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)を用いて治療効果を評価した。まず、虹彩の特徴に基づき対象患者を分類した。次に、薬物治療効果を群間比較し、虹彩の特徴と治療効果との関連を検討した。最後に、ベースライン時と治療6週目の認知機能および色彩感覚の変化を比較し、それぞれに対する抗精神病薬の治療効果を分析した。 主な結果は以下のとおり。・虹彩構造の特徴に基づき対象患者61例を次のように分類した。 ●陰窩なし:28例、あり:33例 ●色素点なし:35例、あり:26例 ●シワなし:42例、あり19例・ベースライン時、すべての患者のPANSSスコアに有意な差は認められなかったが、各フォローアップ時点において、「陰窩あり」および「色素点あり」の患者では有意な差が認められた。・特定の虹彩構造の特徴がない患者(「陰窩なし」および「色素点なし」)は、他の患者と比較し、PANSSスコアの有意な減少が確認されており(p<0.05)、これは薬物療法が非常に効果的であることを示唆している。・薬物療法の影響を除外すると、未治療の初発統合失調症患者におけるD-15とMoCAの結果に有意な関連が認められた(r=-0.401、p<0.05)。・MoCAスコアは、ベースライン時と比較し、抗精神病薬治療6週目で有意に高かった(平均差=2.36、t=10.05、p<0.01)。

2029.

認知症患者とその介護者に対する遠隔医療介入効果~メタ解析

 遠隔医療機器を用いた医療介入は、COVID-19パンデミックにより必要性が高まっていることや、テクノロジーを通じ、医療提供者、患者、その家族のインフラおよび快適性が向上したことから、世界中で標準的な医療行為になりつつある。しかし、認知症患者の家族に対する遠隔医療介入の有効性はよくわかっていない。そのため、単なる便利なツールというだけでなく、エビデンスベースの遠隔医療介入を開発していくための調査が求められている。台湾・高雄医学大学のIta Daryanti Saragih氏らは、認知症患者およびその介護者に対する遠隔医療の心理教育的および行動的な介入の影響と有効性を調査する目的で、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、遠隔医療介入は、認知症患者のうつ病を軽減するとともに、介護者の知覚能力を向上させることが示唆された。Journal of Nursing Scholarship誌オンライン版2022年6月29日号の報告。 8つの電子データベースより、2021年11月16日までの研究を検索した。認知症患者とその介護者に対する遠隔医療介入の結果について英語で報告された実験的研究をレビューした。エフェクトサイズをプールするため、ランダム効果モデル(Stata 16.0)を用いて標準化平均差(SMD)および95%信頼区間(CI)を算出した。研究の方法論的質の評価には、改訂版コクランバイアスリスクツール(RoB-2)を用いた。 主な結果は以下のとおり。・19件の研究(認知症患者:1,379例、介護者:1,339例)が適格基準を満たした。・全体として、遠隔医療介入は、認知症患者のうつ病(SMD:-0.63、95%CI:-0.88~-0.38、p<0.001)および介護者の知覚能力(SMD:0.27、95%CI:-0.05~0.50、p=0.02)に良い影響をもたらした。・しかし、認知機能またはQOLの複数の側面については、統計学的に有意な影響は認められなかった。

2030.

青年期の抑うつ症状とビタミンDレベルとの関係

 クウェートは、ビタミンD欠乏症の有病率が高い国の1つである。また、ビタミンD不足はうつ病のリスク因子であるといわれている。クウェート大学のReem Al-Sabah氏らは、同国の青年期における25-ヒドロキシビタミンD(25[OH]D)と抑うつ症状との関連を調査した。その結果、ビタミンDの状態は、青年期の抑うつ症状と関連していないことを報告した。しかし著者らは、他の健康へのベネフィットを考慮し、青年期に十分なビタミンDレベルを維持することは重要であるとしている。Child and Adolescent Psychiatry and Mental Health誌2022年6月27日号の報告。ビタミンD不足と抑うつ症状との間に有意な関連は認められず クウェートの中学校でランダムに選択された青年704人を対象に、学校ベースの横断的研究を実施した。抑うつ症状に関するデータは、小児抑うつ尺度(CDI)を用いて収集した。共変量に関するデータは、対象の青年より対面式インタビューで、その両親より自己記入式アンケートを用いて収集した。血液サンプルの分析は、認定された研究所で実施した。25[OH]Dの測定には、液体クロマトグラフィータンデム質量分析を用いた。 ビタミンD不足はうつ病のリスク因子であるかを研究した主な結果は以下のとおり。・抑うつ症状(CDIスコア19以上)が認められた青年は、94人(13.35%、95%CI:10.35~17.06)であった。・ビタミンDの状態の違いによるCDIスコア(中央値)に、有意差は認められなかった(p=0.366)。・血清25[OH]D濃度とCDIスコアとの間に有意な関連は認められなかった(Spearman's rank correlation=0.01、p=0.825)。・さまざまな分析でも、25[OH]Dと抑うつ症状との間に有意な関連は認められなかった。●25[OH]Dを連続変数として適応(粗オッズ比:0.99、95%CI:0.98~1.01、p=0.458)(調整オッズ比:1.01、95%CI:0.99~1.02、p=0.233)●許容可能なカットオフ値によるカテゴリ変数(粗分析:p=0.376、調整済み分析:p=0.736)●四分位数によるカテゴリ変数(粗分析:p=0.760、調整済み分析:p=0.549)

2031.

双極性障害の入院予防、リチウム中止後の気分安定薬と抗精神病薬の有効性比較

 スウェーデン・カロリンスカ研究所のM. Holm氏らは、双極性障害患者におけるリチウム中止後の精神科入院および治療失敗の予防に対する気分安定薬および抗精神病薬の実際の有効性を比較検討するため、双極性コホート研究を実施した。その結果、双極性障害患者のリチウム中止後の精神科入院を予防するためには、長時間作用型注射剤(LAI)抗精神病薬がとくに効果的であることが示唆された。また、著者らは、リチウムの再開は投薬変更のリスクが最も低くなる可能性があることを報告した。European Neuropsychopharmacology誌オンライン版2022年6月25日号の報告。 フィンランドのヘルスケアレジスターを用いて、1987~2018年に双極性障害と診断され、リチウム治療を1年以上行った後に中止した同国内のすべての患者4,052例(中止前のリチウム治療期間:中央値2.7年)を特定した。精神科入院および治療失敗(精神科入院、死亡、投薬変更)リスクの調査には、個人内Cox回帰を用いた。 主な結果は以下のとおり。・気分安定薬単剤療法のうち、バルプロ酸の使用は、気分安定薬未使用の場合と比較し、入院リスクが低かった(HR:0.83、95%CI:0.71~0.97)。・抗精神病薬単剤療法のうち、LAI抗精神病薬(HR:0.48、95%CI:0.26~0.88)およびchlorprothixene(HR:0.62、95%CI:0.44~0.88)の使用は、抗精神病薬未使用の場合と比較し精神科入院リスク低く、クエチアピン(HR:1.26、95%CI:1.07~1.48)および経口オランザピン(HR:1.23、95%CI:1.01~1.49)の使用は、抗精神病薬未使用の場合と比較し精神科入院リスクが高かった。・気分安定薬単剤療法のうち、リチウムの使用は、バルプロ酸の使用と比較し、治療失敗のリスクが低かった(HR:0.82、95%CI:0.76~0.88)。

2032.

片頭痛の有病率や割合を日本人で調査

 片頭痛は、反復性の頭痛発作で特徴付けられる慢性疾患であるにもかかわらず、日本におけるその疫学や治療状況に関して、最近の研究は十分に行われていない。埼玉精神神経センターの坂井 文彦氏らは、日本における片頭痛の有病率および治療状況を明らかにするため、健康保険協会員を対象に、レセプトデータおよび片頭痛・頭痛に関するオンライン調査のデータを用いて実態調査を行った。その結果、日本人片頭痛患者の80%が医療機関での治療を受けておらず、苦痛を感じながら日常生活を続けていることが明らかとなった。著者らは、革新的な治療アプローチが利用可能になることに併せ、片頭痛は単なる頭痛ではなく、診断や治療が必要な疾患であることを啓発していく必要があるとしている。The Journal of Headache and Pain誌2022年6月23日号の報告。片頭痛の有病率は女性が男性の4.4倍 データソース(DeSCヘルスケアのデータベースおよびオンライン調査)の組み合わせによる独自のアプローチを利用した調査を行った。主要アウトカムは、片頭痛患者の総数・割合、片頭痛の全体的な有病率、年齢や性別で層別化された片頭痛の全体的な有病率とした。副次的アウトカムは、医療利用状況、臨床的特徴、頭痛症状とした。 片頭痛患者の患者数や割合、有病率などを調査した主な結果は以下のとおり。・データの母集団は、2万1,480人。・可能性のある症例を含む片頭痛の全体的な有病率は、3.2%であった。・片頭痛の有病率が最も高かった年齢層は、30~39歳であった。・女性の片頭痛の有病率は、男性の4.4倍であった。・医師の診断を受けていない片頭痛患者の割合は、81.0%であった。・片頭痛患者の80%以上は市販薬を使用しており、処方薬を使用していた患者は4.8%であった。・頭痛症状が重症であると考えていた患者は、約52.9%であった。・片頭痛患者の大部分(72.9%)は、日常生活活動の障害程度が中等度~重度であると考えていた。

2033.

インターネット依存に対する各種介入効果~メタ解析

 インターネット依存に対するさまざまな介入効果を評価するため、中国・Anhui Medical UniversityのXueqing Zhang氏らが、メタ解析およびネットワークメタ解析を実施した。その結果、インターネット依存にはほとんどの介入が効果的であるが、単一介入よりも組み合わせた介入のほうが、より顕著な症状改善が期待できることを報告した。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2022年6月26日号の報告。 2021年8月までに公表されたインターネット依存に対する介入効果を評価したランダム化比較試験(RCT)を、各種データベース(PubMed、Cochrane、Embase、Web of Science、PsycINFO、ProQuest、CNKI、WanFang、VIP database、CBM)より検索した。バイアスリスクは、RCTのための改訂版コクランバイアスリスクツール(RoB2)を用いて評価した。従来のメタ解析およびネットワークメタ解析には、Rstudio SoftwareおよびStata 14.0を用いた。 主な結果は以下のとおり。・59件のRCT(3,832例)をメタ解析に含めた。・24件のRCTによる従来のメタ解析では、CBT、グループカウンセリング、スポーツ介入、インターネットベース介入などが、未治療の対照群との比較において、インターネット依存レベルを有意に低下させることが示唆された(SMD:-1.90、95%CI:-2.26~-1.55、p<0.01、I2=85.9%)。・さまざまなスケールに基づくネットワークメタ解析では、介入の組み合わせがインターネット依存に最適な介入である可能性が最も高いことが示唆された(IATに基づくSUCRA=91.0%、CIASに基づくSUCRA=89.0%)。

2034.

認知症有病率の日本のコミュニティにおける20年間の推移

 認知症患者数は世界的に増加しており、とくに世界で最も高齢化が進む日本において、その傾向は顕著である。認知症高齢者の増加は、予防が必要な医学的および社会経済的な問題であるが、実情について十分に把握できているとはいえない。愛媛県・平成病院の清水 秀明氏らは、1997~2016年に4回実施した愛媛県中山町における認知症サブタイプ横断研究の結果を解析し、認知症有病率の経年的傾向について報告した。その結果、認知症の有病率は、人口の高齢化以上に増加しており、高齢化だけでない因子が関与している可能性が示唆された。著者らは、認知症高齢者の増加を食い止めるためには、認知症発症率、死亡率、予後の経年的傾向や認知症の増進・予防に関連する因子の解明および予防戦略の策定が必要であるとしている。Psychogeriatrics誌オンライン版2022年6月26日号の報告。認知症有病率は年齢標準化すると有意に増加 愛媛県中山町に在住する65歳以上のすべての住民を対象とし、1997年、2004年、2012年、2016年の4回にわたり、認知症に関する横断的研究を実施した。すべての原因による認知症、アルツハイマー病、血管性認知症、その他/分類不能の認知症の有病率について、経年的傾向を調査した。 アルツハイマー病など認知症の有病率について経年的傾向を調査した主な結果は以下のとおり。・すべての原因による認知症の年齢標準化有病率は、有意に増加していた。・アルツハイマー病、その他/分類不能の認知症においても同様の傾向が認められたが、血管性認知症では有意な変化が認められなかった。【すべての原因による認知症の有病率】1997年:4.5%、2004年:5.7%、2012年:5.3%、2016年:9.5%(P for trend<0.05)【アルツハイマー病の有病率】1997年:1.7%、2004年:3.0%、2012年:2.5%、2016年:4.9%(P for trend<0.05)【血管性認知症の有病率】1997年:2.1%、2004年:1.8%、2012年:1.8%、2016年:2.4%(P for trend=0.77)【その他/分類不能の認知症の有病率】1997年:0.8%、2004年:1.0%、2012年:1.0%、2016年:2.2%(P for trend<0.05)・すべての原因による認知症とアルツハイマー病の粗有病率は、75~79歳および85歳以上の高齢者において、1997年から2016年に増加が認められた(すべてのP for trend<0.05)。・同様の傾向は、80歳以上の高齢者において、その他/分類不能の認知症で認められたが(すべてのP for trend<0.05)、血管性認知症では認められなかった。

2035.

日本人の職場環境とストレス・うつ病との関連

 日本において、さまざまな労働環境因子がストレスやうつ病に及ぼす影響を調査した研究は、十分ではない。慶應義塾大学の志賀 希子氏らは、日本の労働者における労働環境因子とストレスやうつ病との関連について、調査を行った。その結果、日本人労働者のストレスやうつ病には、仕事の要求、仕事のコントロール、職場でのハラスメント、心理的安全性などが関連していることが示唆された。Work誌オンライン版2022年6月18日号の報告。 日本で主にデスクワークに従事する労働者を対象に、アンケート調査を実施した。ストレス、うつ病、職場環境の評価には、知覚されたストレス尺度(PSS)、こころとからだの質問票(PHQ-9)、身体的および心理的な職場環境アンケートをそれぞれ用いた。対象者をPSSスコア(中央値で、低ストレス群または高ストレス群に分割)およびPHQ-9スコア(5未満:非うつ病群、5以上:うつ病群)に基づいて分類し、労働環境の群間比較を行った。加えて、重回帰分析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・210人より回答が得られた。・重回帰分析では、ストレスには「自分のペースで仕事をこなす能力」「個人的な視点を仕事に活かす能力」などが影響を及ぼすことが明らかとなった。・うつ病には「職場でのハラスメント」「同僚のサポート」などが影響を及ぼすことが示唆された。

2036.

オピオイド使用者へのブプレノルフィン、導入促進に有効なのは?/BMJ

 ブプレノルフィンはオピオイド使用障害(opioid use disorder)の最も効果的な治療法の1つであり、救急診療部で安全に治療を開始できることが知られているが、その臨床導入は遅れているという。米国・イェール大学医学大学院のEdward R. Melnick氏らは、EMBED(EMergency department initiated BuprenorphinE for opioid use Disorder)と呼ばれるオピオイド使用者が主体となる臨床意思決定支援のための介入法の、救急診療部でのブプレノルフィン導入における有効性について検討し、このツールは通常治療と比較して、救急診療部におけるブプレノルフィン治療の導入の患者レベルでの割合を増加させないことを確認した。研究の詳細は、BMJ誌2022年6月27日号に掲載された。米国の救急診療部のクラスター無作為化対照比較試験 本研究は、救急診療部でのブプレノルフィン治療の導入におけるEMBEDの有効性の評価を目的に、米国の北東部、南東部、西部地域の5州の5つの保健システムに参加している18のクラスター(21の救急診療部)で行われた実践的なクラスター無作為化対照比較試験であり、2019年11月~2021年5月の期間に実施された(米国国立衛生研究所[NIH]の助成を受けた)。 クラスターは、EMBEDによる介入を行う群または通常治療を行う群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 オピオイド使用者主体の医師向けの臨床意思決定支援システムであるEMBEDは、電子健康記録(EHR)の診療過程と円滑に統合されており、医師によるオピオイド使用障害の診断、離脱症状の重症度の評価、患者の治療への動機付けを支援することで、救急診療部でのブプレノルフィン治療の開始を促す。また、このシステムでは、受診後の文書作成や受注、処方、紹介が自動化されており、これによりEHRを完成することができる。 主要アウトカムは、オピオイド使用障害者における救急診療部でのブプレノルフィン治療の導入(投与または処方)の割合とされた。医師レベルでの治療開始は増加 141万3,693件(介入群77万5,873件、通常治療群63万7,820件)の救急診療部受診について解析が行われた。 オピオイド使用障害は5,047例(年齢中央値36.0歳[29.0~47.0]、女性1,730例[34.3%])で認められ、救急診療部の医師599人(年齢層中央値35~44歳[206人、39.3%]、女性173人[33.0%])が治療を行った。このうち、介入群が2,787例(医師340人)、通常治療群は2,260例(医師259人)であった。 ブプレノルフィン治療は、患者レベルでは、介入群が347例(12.5%)、通常治療群は271例(12.0%)で導入されたが、両群間に有意な差は認められなかった(一般化推定方程式での補正後オッズ比[OR]:1.22、95%信頼区間[CI]:0.61~2.43、p=0.58)。 一方、少なくとも1回のブプレノルフィン治療を導入した医師は、介入群が151人(44.4%)と、通常治療群の88人(34.0%)に比べ有意に多かった(補正後OR:1.83、95%CI:1.16~2.89、p=0.01)。 著者は、「依存症の治療における他の課題に対処するとともに、オピオイド使用障害者の救急診療部におけるブプレノルフィン治療の導入の割合を高めるためには、EMBEDに加え、他の介入を使用する必要がある」としている。

2037.

抗うつ薬治療抵抗性うつ病に対する増強療法のブレクスピプラゾール最適用量~メタ解析

 ブレクスピプラゾールの増強は、治療抵抗性うつ病の効果的な治療戦略であるといわれているが、その最適な投与量はよくわかっていない。東京武蔵野病院の古川 由己氏らは、他の抗うつ薬の増強療法に用いるブレクスピプラゾールの最適な投与量について、検討を行った。その結果、抗うつ薬治療抵抗性うつ病患者に対する増強療法のブレクスピプラゾールは、1~2mgの用量で有効性、忍容性、受容性の最適なバランスが得られる可能性が示唆された。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2022年6月18日号の報告。 2021年9月16日までに公表された、1つ以上の抗うつ薬治療に反応しない18歳以上のうつ病患者を対象にブレクスピプラゾール増強療法を評価した二重盲検ランダム化プラセボ対照固定用量試験を、複数の電子データベースより検索した。アウトカムは、8週間(範囲:4~12週間)の有効性(治療反応の定義:うつ病重症度50%以上低下)、忍容性(副作用による脱落)、受容性(何らかの理由による脱落)とした。制限3次スプライン解析を用いて、メタ解析(ランダム効果、1段階用量効果)を実施した。 主な結果は以下のとおり。・6研究、1,671例が選択基準を満たした。・用量効果曲線は、約2mg(オッズ比[OR]:1.52、95%信頼区間[CI]:1.12~2.06)まで増加し、その後は3mg(OR:1.40、95%CI:0.95~2.08)まで減少傾向を示した。・用量忍容性曲線の形状は用量効果曲線と同様であり、用量受容性曲線の形状はより単調な増加傾向が認められたが、いずれも信頼帯は広かった。・本研究は該当試験数が少ないため、結果の信頼性が制限される。

2038.

うつ病患者における抗うつ薬の継続と慢性疼痛発症率~日本でのレトロスペクティブコホート

 うつ病と慢性疼痛との関連は、よく知られている。しかし、うつ病患者における抗うつ薬の治療継続およびアドヒアランスと慢性疼痛発症との関連は不明なままであった。これらの関連を明らかにするため、ヴィアトリス製薬のShingo Higa氏らは、日本国内のデータベースを用いたレトロスペクティブコホート研究を実施した。その結果、うつ病患者に対する6ヵ月以上の抗うつ薬の継続処方は、慢性疼痛発症を低減させる可能性があることが示唆された。Journal of clinical psychopharmacology誌2022年5-6月号の報告。慢性疼痛発症リスクは継続群のうつ病患者で有意に低かった 日本の保険請求データベースより、2014年4月~2020年3月に抗うつ薬を処方された成人うつ病患者のデータを抽出した。抗うつ薬の継続処方期間(継続群:6ヵ月以上、非継続群:6ヵ月未満)およびMPR(medication possession ratio、アドヒアランス良好群:80%以上、アドヒアランス不良群:80%未満)に応じて患者を分類した。アウトカムは、慢性疼痛発症とし、その定義は、3ヵ月超の鎮痛薬継続処方および抗うつ薬の継続処方中断後の疼痛関連診断とした。慢性疼痛発症リスクを、ペア群間で比較した。 うつ病患者における抗うつ薬の治療継続と慢性疼痛発症との関連を研究した主な結果は以下のとおり。・対象うつ病患者は、1,859例(継続群:406例、非継続群:1,453例およびアドヒアランス不良群:1,551例、アドヒアランス不良群:308例)であった。・重み付き回帰(standardized mortality ratio weighting)を介して交絡因子を調整した後、慢性疼痛発症リスクは、非継続群よりも、継続群のうつ病患者で有意に低かった(ハザード比:0.38、95%信頼区間:0.18~0.80、p=0.011)。・アドヒアランス良好群と不良群の間に、有意差は認められなかった。

2039.

双極性障害患者における生涯の自殺企図と関連する要因~BiD-CoIN研究

 インド・Post Graduate Institute of Medical Education & ResearchのSandeep Grover氏らは、双極性障害患者の生涯における自殺企図について、関連するリスク因子を評価するため検討を行った。その結果、双極性障害患者の約3分の1は生涯において自殺企図を経験しており、それらの患者は臨床経過がより不良であることを報告した。Nordic Journal of Psychiatry誌オンライン版2022年6月22日号の報告。 10年以上の疾患歴を有し、臨床的寛解状態にある双極性障害患者773例を対象に、生涯の自殺企図を評価した。自殺企図の有無にかかわらず、さまざまな人口統計学的および臨床的なリスク因子について比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・対象の双極性障害患者のうち、自殺企図歴を有する患者は242例(31.3%)であった。・自殺企図歴を有する患者は、そうでない患者と比較し、以下の特徴が認められた。 ●教育歴が短い ●多くの場合、女性である ●エピソード期間が長い ●総エピソード数が有意に多い(生涯、発症後5年間、1年ごと) ●うつ病の総エピソード数が有意に多い(生涯、発症後5年間、1年ごと) ●うつ病エピソード期間が長い ●より重篤なうつ病エピソードがある ●初回エピソードがうつ病である場合が多い ●躁/軽躁/混合エピソード期間が長い ●うつ症状または躁症状の残存が多い ●生涯においてラピッドサイクラーの場合が多い ●依存症として大麻を使用している ●自身の疾患について洞察力が乏しい ●障害レベルの高さ(とくにIndian disability evaluation assessment scaleの4領域中3領域)

2040.

ドパミン過感受性精神病患者に対する長時間作用型注射剤による長期治療の有効性

 ドパミン過感受性精神病(DSP)は、抗精神病薬によるドパミンD2受容体のアップレギュレーションに起因すると考えられ、統合失調症患者の不安定な精神症状と関連している。抗精神病薬の長時間作用型注射剤(LAI)は、ドパミン過感受性のコントロールに有用である可能性が示唆されているが、LAIによる長期治療がドパミン過感受性精神病の発生や悪化にどのような影響を及ぼすかは、よくわかっていない。千葉大学の小暮 正信氏らは、ドパミン過感受性精神病の有無によりLAIによる長期治療の効果に違いがみられるかを検討した。その結果、ドパミン過感受性精神病患者に対する少なくとも3年間のLAI治療の有効性が確認され、LAI治療がドパミン過感受性精神病を悪化させる可能性は低いことが示唆された。著者らは、その要因として、LAI導入による抗精神病薬の総投与量の大幅な減少が挙げられる可能性があるとしている。Journal of Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2022年6月17日号の報告。ドパミン過感受性精神病群と非ドパミン過感受性精神病群でLAIの効果比較 対象は、3年以上のLAI治療が行われた統合失調症患者58例。LAI導入前3年間の医療記録からドパミン過感受性精神病の有無を確認し、ドパミン過感受性精神病群(30例)または非ドパミン過感受性精神病群(28例)に分類した。LAI導入後3年間の臨床経過を評価するため、LAI治療の効果を両群間で比較した。 ドパミン過感受性精神病の有無によりLAIによる長期治療の効果に違いがみられるかを検討した主な結果は以下のとおり。・ドパミン過感受性精神病群と非ドパミン過感受性精神病群ともに、抗精神病薬投与量(LAIと経口剤の併用)の有意な減少、臨床全般印象度の改善度(CGI-I)の測定による有意な改善が認められた。・各指標について両群間で差が認められなかったことから、ドパミン過感受性精神病の有無にかかわらずLAIの長期治療効果が類似していることが示唆された。・平均して、ドパミン過感受性精神病群は非ドパミン過感受性精神病群と比較し、LAI導入前は高用量の抗精神病薬で治療されていたが、LAI導入後にそれらは標準用量の範囲内まで減少した(LAI導入前:1,004.8mg、LAI導入後:662.0mg)。

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