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第24回 COVID-19下水検査の本領発揮?/紫色光の制限で代謝活性が上がる可能性

COVID-19下水検査の本領発揮?糞便と共に排出された新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のRNAを下水から検出することを米国・アリゾナ大学は感染の早期発見の取り組みの一つとしており、先月8月末の同大学の発表によるとその試みは確かに有効なようです1,2)。先月、学生が入居してから数日後の同大学の寮の下水にSARS-CoV-2ウイルスRNAが含まれており、その寮の世話人と入居学生311人がすぐに検査されました。入居学生は入居前の検査で全員が感染していないことを確認済みでしたが、再検査の結果2人がウイルスを有しており、すぐに隔離されました。下水検査がなければ感染が検出される前にだいぶ広まっていたに違いなく、「もしその2人が発症するまで寮で過ごしていたらどれほどの人に感染が広まっていたか」と同大学再開の取り組みを指揮しているRichard Carmona医師は言っています。脳も光を感じる?~紫色光の制限で代謝活性が上がる可能性私達がものを見ることができるのは光を検出する網膜タンパク質・オプシンのおかげです。光を浴びてオプシンは神経細胞膜のイオンの往来を変え、最終的に視神経を活性化します3)。光を受け止めるのは網膜だけではありません。光が生み出す明暗周期は人の行動や生理を決定付けており、睡眠-覚醒周期を形作り、体温やエネルギー代謝の24時間変動を生み出します。去年10月に米国・オハイオ州シンシナティ小児病院(Cincinnati Children's Hospital)の研究者Richard Lang氏等が率いるチームはいくつかあるオプシンタンパク質の1つ・オプシン5(OPN5)が見ることとは程遠い組織・皮膚に存在し、マウス皮膚の周期的活動を明暗周期に同調させる働きを担うことを明らかにしました4,5)。眼以外のオプシンタンパク質が哺乳類の24時間周期を直接制御していることを示したのはその研究が初めてです。Lang氏等のチームによるOPN5の研究はさらに進展し、先週水曜日9月2日にNature誌に掲載された新たな研究の結果、マウス脳の視床下部視索前野(POA)という領域で発現するOPN5が紫色の光に応じて活性化して褐色脂肪組織(BAT)による発熱を減らす働きがあると判明しました6,7)。OPN5発現細胞があるPOAは脳の奥深くに存在しますが、紫色光は頭蓋を貫通してPOAまで到達することができます。脳からBATへと通じる交感神経系が分泌した神経伝達物質・ノルアドレナリンを受容してBATは熱を生み出し、紫色光でOPN5が活性化した神経はそのBAT活性化神経路を阻害するように働いて熱生成を減らします。ゆえにOPN5の遺伝子を欠くマウスはBATが活発で体温が高く、エネルギーをより消費し、体脂肪やコレステロールが少なく、寒さに強いという特徴を示しました。紫色光は頭蓋を貫通してOPN5発現POA神経まで届く事が確認されていますが、OPN5発現神経を直接活性化するかどうかはまだ分かっていません。また、マウスと同様にサルの視床下部にOPN5が存在することは分かっていますが、自然光がその領域まで達するのかどうかは分かっていません。今後の研究でそれが判明すれば人に役立つ応用技術の開発が大きく前進しそうです。これまでの研究によると、食べるのを明るい時間帯(日中)に限る日中限定食で糖尿病前駆患者のインスリンの効き具合い(感受性)が改善することが明らかになっています3)。インスリン感受性が改善すれば完全な糖尿病に至り難くなります。今回マウスで見つかった仕組みが人にも備わるなら、紫色光を制限してBATを活性化することで日中限定食の代謝改善を増強できるかもしれません。日中限定食と同様に、BATを活性化するβアゴニストは人のインスリン感受性を高め、血糖値を下げ、代謝を底上げします。βアゴニストの効果が紫色光を排除すると向上することが今回の研究で確認されており、紫色光の制限でβアゴニストの代謝改善効果の向上も期待できそうです。生き物は紫色光以外の光も代謝調節に利用しています。Lang氏等のチームが今年1月に発表したマウス研究によると糖や脂肪酸を燃やすBATとは対照的にエネルギーを貯蔵する白色脂肪細胞ではオプシン3(OPN3)が発現しており、OPN3は紫色光ではなく青色光に反応して脂肪分解を促し、白色脂肪細胞から血中へ脂肪酸を放出させます8,9)。そしてOPN3はなんとBATでも発現しており、BATのOPN3は青色光ではなく赤色光に反応して糖の取り込みを増やし、POAのOPN5とは逆にBATでの熱生成を促します10)。普段の生活で何気なく浴びている色とりどりの光は脳や脂肪組織などに作用し、糖などのエネルギーの蓄えを調節する熱生成を加減する働きを担うようです。参考1)The University of Arizona says it caught a dorm’s covid-19 outbreak before it started. Its secret weapon: Poop / The Washington Post2)Poop tests stop COVID-19 outbreak at University of Arizona / Science3)Light-activated neurons deep in the brain control body heat / Nature4)Skin Keeps Time Independent of the Brain5)Buhr ED,et al. Curr Biol. 2019 Oct 21;29:3478-3487.6)Cincinnati Children's: This is Your Brain…on Sunlight / PRNewswire7)Zhang KX, et al. Nature. 2020 Sep 2. [Epub ahead of print]8)Nayak G,et al. Cell Rep. 2020 Jan 21;30:672-686.9)Fat Cells Can Sense Sunlight. Not Getting Enough Can Disrupt Metabolism10)Sato M, et al. PLoS Biol. 2020 Feb 10;18:e3000630.

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COVID-19診療の手引きの第3版を公開/厚生労働省

 9月4日、厚生労働省は「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第3版」を公開した。 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引きは診療の手引き検討委員会が中心となって作成され、第1版は3月17日に、第2版は5月18日に、随時最新の内容に更新されている。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き第3版の改訂箇所 今回の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第3版の改訂では、日本小児科学会の協力を得て臨床像の更新を図ったほか、薬物療法では、最近有効性が確立したレムデシビルとデキサメタゾンの使用など中等症患者のマネジメントを修正した。 診療の手引き検討委員会では「依然COVID-19はパンデミックの状況にあるとしつつ、患者の発生にはいまだに地域差が大きい」と指摘。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引きが「これまでと同様に活用され、患者の予後改善と流行制圧の一助となることに期待する」としている。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き目次 第3版1 病原体・疫学 病原体/伝播様式/国内発生状況2 臨床像 臨床像/画像所見/重症化のリスク因子など3 症例定義・診断・届出 症例定義/病原体診断/血清診断/届出4 重症度分類とマネジメント 重症度分類/軽症/中等症/重症5 薬物療法 日本国内で承認されている医薬品/日本国内で入手できる薬剤の適応外使用6 院内感染対策 個人防護具/非常事態におけるN95マスクの例外的取扱い/非常事態におけるサー ジカルマスク、長袖ガウンなどの例外的取扱いなど7 退院基準・解除基準 退院基準/宿泊療養等の解除基準/生活指導

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高リスク喘息児、ビタミンD3補充は有益か/JAMA

 喘息を有するビタミンD値が低い小児において、ビタミンD3補充はプラセボと比較して重度の喘息増悪発生までの期間を有意に改善しないことが、米国・ピッツバーグ小児病院のErick Forno氏らによる無作為化二重盲検プラセボ対照試験「VDKA試験」の結果、示された。重度の喘息増悪は、重大な病的状態を引き起こし大幅なコスト増を招く。これまで、ビタミンD3補充が小児の重度の喘息増悪を低減するかは明らかになっていなかった。今回の結果を踏まえて著者は、「所見は、今回の試験対象患児集団については、重度の喘息増悪の予防療法としてのビタミンD3補充を支持しないものだった」とまとめている。JAMA誌2020年8月25日号掲載の報告。血中ビタミンD値30ng/mLの喘息児を対象にプラセボ対照無作為化試験 VDKA(Vitamin D to Prevent Severe Asthma Exacerbations)試験は、6~16歳で低用量吸入コルチコステロイドを服用し、血漿中25-ヒドロキシビタミンD値が30ng/mL未満の、高リスクの喘息患児を対象とした。 米国7医療センターで参加者を募り、48週間のビタミンD3(4,000 IU/日)またはプラセボを受ける群に無作為に割り付け追跡評価した。なお、フルチカゾンプロピオン酸の服用は、176μg/日(6~11歳)、または220μg/日(12~16歳)にて継続された。 主要アウトカムは、重度の喘息増悪発生までの期間であった。副次アウトカムは、ウイルス誘発性重度増悪発生までの期間、吸入コルチコステロイドの服用量が試験期間中に半減した参加者の割合、試験期間中のフルチカゾン累積服用量などであった。 参加者の登録は2016年2月に開始。参加者数は400例を目標としたが、早期に無益性が明らかになり試験は2019年3月に中止となった。フォローアップの終了は2019年9月であった。重度増悪の頻度、発生までの期間ともにプラセボと有意差なし 合計192例(平均年齢9.8歳、女児77例[40%])がビタミンD3群(96例)またはプラセボ群(96例)に無作為に割り付けられ、そのうち180例(93.8%)が試験を完遂した。 ビタミンD3群は36例(37.5%)、プラセボ群は33例(34.4%)が、1回以上の重度増悪を呈した。プラセボ群と比較してビタミンD3群の、重度増悪までの期間は有意に改善しなかった。増悪までの平均期間は、ビタミンD3群240日、プラセボ群253日であった(平均群間差:-13.1日[95%信頼区間[CI]:-42.6~16.4]、補正後ハザード比[HR]:1.13[95%CI:0.69~1.85]、p=0.63)。 同様に、ビタミンD3群はプラセボ群と比較して、ウイルス誘発性重度増悪発生までの期間、試験期間中に吸入コルチコステロイドの服用量が減じた参加者の割合、またはフルチカゾン累積服用量についても、有意な改善は認められなかった。 重篤な有害事象の発生も両群で類似していた(ビタミンD3群11例、プラセボ群9例)。

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HPVワクチン啓発 産婦人科・小児科・行動科学の力を合わせて

 子宮頸がん等の原因となるヒトパピローマウイルスへの感染を防ぐHPVワクチンの有用性・安全性は医療者の間では既知の事実だ。諸外国では高い割合で接種されているが、日本は積極的接種勧奨が中止されたまま、接種率は1%と危機的な状況にある。この現状を変えるために医師たちが立ち上げたのが「一般社団法人 みんパピ!みんなで知ろうHPVプロジェクト」だ。 8月25日に行われた設立説明会で、産婦人科、小児科、そして行動科学の観点からのこの状況を変えるための課題と団体の取り組みが共有された。 代表の稲葉可奈子氏は産婦人科医。子宮頸がんによって女性たちのライフプランが狭まってしまう現実を数多く見てきた。女性個人の人生、そして少子化の点からもHPVワクチンはなくてはならないという強い想いをもってこの団体を立ち上げた。 大きな課題は、接種年齢層に対するリーチが難しいことだ。HPVワクチンは予防接種法に基づく定期接種のワクチンで、12~16歳の女子を対象としている。 産婦人科では、これらの年齢層に関わる機会は少ない。そのため、小児科と連携し、かかりつけの小児科医からのアプローチが必須と考えている。 小児科医の今西洋介氏によると、HPVワクチンについては必要性を認識しているが、その詳細について説明をする自信がない小児科医は多いという。小児科にかかる児童の親に接するため産婦人科よりも説明機会には恵まれるが、大半の予防接種は10歳以下で実施するため、対象年齢が10歳以上のワクチンの啓発は小児科でも頭を悩ませるところだ。 医療機関に訪れる患者への情報提供だけではワクチンの普及は難しい。そこで、団体には行動科学の専門家も参画している。 たとえ有益な情報であったとしても科学的根拠を伝えるだけでは人の行動は変わらない。 一宮恵氏によると、人の行動を変えるためのポイントは、理解度・関心度に応じた情報提供だ。そこで、団体では、ワクチンを知らない層、接種を検討している層、接種したいと考えている層、そのそれぞれに適した情報提供を行い、HPVワクチンの認知度の向上を目指す。 団体の参画メンバー10人は完全非営利、無償で活動を行っている。そのため30日からクラウドファンディングを実施。達成金額ごとに、小児科での説明用パンフレット作成、ソーシャルメディア配信用の動画作成や電車内広告の実施などを計画している。

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小児1型DM、クローズドループシステムvs.SAP療法/NEJM

 小児1型糖尿病において、クローズドループ型インスリン注入システム(人工膵島)はセンサー付きインスリンポンプ療法(SAP)と比較して、血糖値が目標値に達していた時間の割合が高かった。米国・バージニア大学糖尿病技術センターのMarc D. Breton氏らが、16週間の多施設共同無作為化非盲検比較試験の結果を報告した。クローズドループ型インスリン注入システムは、小児1型糖尿病患者の血糖コントロールを改善する可能性が示唆されていた。NEJM誌2020年8月27日号掲載の報告。小児1型糖尿病患者101例をクローズドループ群とSAP(対照)群に無作為化 研究グループは2019年6月21日~8月30日に、6~13歳の1型糖尿病患者を、クローズドループ型インスリン注入システム群(クローズドループ群)またはSAP群(対照群)に、3対1の割合で無作為に割り付けた。 主要評価項目は、持続血糖モニタリングで測定した血糖値が、目標値70~180mg/dLの範囲にあった時間の割合であった。目標血糖値の時間の割合はクローズドループ群で有意に増加 計101例が無作為化を受けた(クローズドループ群78例、対照群23例)。ベースラインのHbA1c値は5.7~10.1%であった。 血糖値が70~180mg/dLの範囲にあった時間の割合(平均±SD)は、クローズドループ群ではベースラインの53±17%から67±10%(治療を行った16週間の平均)に、対照群では51±16%から55±13%に増加した(平均補正後群間差:11ポイント[1日当たり2.6時間に相当]、95%信頼区間[CI]:7~14、p<0.001)。 血糖値が70mg/dL未満であった時間の割合は、両群とも低値であった(中央値:クローズドループ群1.6%、対照群1.8%)。 クローズドループ群において、システムがクローズドループモードであった時間の割合は中央値93%(四分位範囲:91~95)であった。糖尿病性ケトアシドーシスまたは重篤な低血糖症のエピソードは、いずれの群でも確認されなかった。 なお、著者は、社会経済的状況・HbA1c値・血糖コントロール機器の使用について、今回の試験対象集団が必ずしも一般集団を代表する集団ではなく、また、試験期間が4ヵ月間であり、治療効果が長期にわたり持続するかについては不明であると述べている。

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第23回 免許証サイズ、5ドル15分のCOVID-19検査を米国が許可して早速大量購入~入館許可証の役割を担う?

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の検査の進歩は目覚ましく、免許証ほどの大きさで他に装置不要の持ち運び自由なカード型抗原検査BinaxNOW COVID-19 Ag Card(以下BinaxNOW COVID-19)を米国FDAが先週水曜日26日に認可しました1)。メーカーのAbbott(アボット)社は、15分足らずで結果が判明して費用わずか1コイン(5ドル)程の同検査を9月には数千万個、10月からは毎月5,000万個を出荷する予定です。安かろう悪かろうというわけではなく、COVID-19が疑われる症状が生じてから7日以内の患者を医療従事者がBinaxNOW COVID-19で検査した試験での検出感度は97.1%、特異度は98.5%でした。鼻ぬぐい液のウイルス抗原を検出するBinaxNOW COVID-19は医師や看護師をはじめとして保健室の先生・薬剤師・企業の医療担当の専門家などの医療の心得のある人が必要に応じてそれぞれの持ち場で使うことができます。それら医療従事者による検査を受けた人はAbbott社が提供するNAVICAというアプリを使ってその結果をスマートフォン等のiPhone/Android携帯機器にQRコードと共に以下の写真のように表示し、検査結果の提示を求める施設へ入る時に非感染証明証として提示することができます。感染を示す陽性結果の場合には隔離して受診することを求めるメッセージが表示されます。検査証明は一定期間が過ぎると失効します。米国政府もぞっこん?米国政府はBinaxNOW COVID-19を相当有望視して高く買っているらしく、FDA認可の翌日27日に1億5,000回分を7億6,000万ドルで買う契約をAbbott社と交わしました。調達分は学校に配備したり必要に応じて供給される予定です2)。検査結果を入室許可証とする取り組みを大学が開始NAVICAが表示するような陰性検査結果を入館許可証として使って感染者との接触を未然に防いで流行を食い止めつつ日常を取り戻そうとする取り組みは米国ですでに実行に移されています。6万人が通う米国・イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校では、今学期週に2回の頻度で生徒や職員全員がCOVID-19の唾液検査を受け、構内の建物に入ることができるのは感染していないことを示す陰性結果を提示した人のみとしています3-5)。数時間以内に判明する検査結果は携帯電話にすぐに通知され、感染を示す陽性であれば10日間の隔離が必要となります。感染者と密に接した人の追跡もなされます。陽性の人は無料の食事や十分な支援と手当てを得て隔離期間を罪悪感なく安心して過ごすことができるようになっています。毎日2万人を検査するために同大学は獣医科施設を専用に模様替えしました。検査体制準備の予算は600万ドル、1回10ドルの検査の今学期の総費用は最大で1,000万ドルになる見込みです5)。今のところ検査は非常によく受け入れられていると同大学の化学者Martin Burke氏は科学ニュースThe Scientistに話しています5)。Burke氏は同校で使われている唾液検査の開発に携わりました。検査は果たして有効なのか?イリノイ大学のようにとにかくくまなく検査して感染者を早期発見して感染者にはしばらく待機してもらう取り組みが流行阻止の一翼を担いうることを裏付ける結果が米国メイン州でのキャンプ場で得られています。徹底的な検査に加えて感染食い止め対策も怠らなかった甲斐あり、そのキャンプ場が6月中旬から8月中旬の4回で迎えた宿泊小児やスタッフ合わせて1,022人の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染者数はわずか3人のみでした6-8)。キャンプする小児と世話係は全員が到着前に検査を受け、陽性だった4人は自宅隔離10日間の後にキャンプに参加しました。キャンプ場へ到着してからすぐに検査は再度実施され、参加者は5~44人のグループに分かれて44~62日間のキャンプ生活を送りました。グループは家族のようなもので、別のグループの人と接する場合にはマスクを着用し、距離を保つことが求められました7)。キャンプ場へ到着後の再検査で世話係2人と小児1人の合計3人が陽性となり、陰性となるまで隔離されました。3人の所属グループの30人はしばらく隔離状態でキャンプ活動を続け、隔離中の検査で陽性は1人もおらず、陽性となった3人から他の参加者への感染は結局生じませんでした。参考1)Abbott's Fast, $5, 15-Minute, Easy-to-Use COVID-19 Antigen Test Receives FDA Emergency Use Authorization; Mobile App Displays Test Results to Help Our Return to Daily Life; Ramping Production to 50 Million Tests a Month 2)Trump Administration Will Deploy 150 Million Rapid Tests in 20203)Media advisory: On-campus COVID-19 testing available for faculty members, staff, students.4)COVID-19 briefing: Homegrown models inform university's safety measuresAUG5)U of Illinois Returns to School with 20,000 Saliva Tests Per Day/TheScientist6)Preventing and Mitigating SARS-CoV-2 Transmission - Four Overnight Camps, Maine, June-August 2020. MMWR. August 26, 20207)How four summer camps in Maine prevented COVID-19 outbreaks8)COVID-19 testing helps sleep-away summer camps to avoid outbreaks/Nature

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超低出生体重児輸血戦略、非制限vs.制限/JAMA

 1,000g未満の超低出生体重児において、非制限輸血は制限輸血と比較して、補正年齢24ヵ月時点の死亡または障害発生の確率を抑制しなかった。ドイツ・テュービンゲン大学病院小児科部門のAxel R. Franz氏らが、欧州36施設・1,013例の新生児を対象とした無作為化試験「ETTNO試験」の結果を報告した。超低出生体重児には赤血球輸血治療が行われるが、エビデンスに基づいた輸血閾値は確定されていない。先行研究では、制限輸血を受けた新生児で認知障害の発生率が高いことが示されていた。JAMA誌2020年8月11日号掲載の報告。欧州36のNICUで1,013例を対象に無作為化試験 ETTNO(Effects of Transfusion Thresholds on Neurocognitive Outcomes of Extremely Low-Birth-Weight Infants)試験は、非制限輸血vs.制限輸血戦略の死亡または障害への影響を比較することを目的とし、欧州36ヵ所のレベル3/4の新生児集中治療室(NICU)で行われた。対象は生後72時間未満で出生体重400~999gの新生児。2011年7月14日~2014年11月14日に登録され、2018年1月15日までフォローアップを受けた。 対象新生児は無作為に、非制限輸血群(492例)または生後年齢と現在の健康状態に基づく閾値で輸血する制限輸血群(521例)に割り付けられた。 主要評価項目は、補正年齢24ヵ月時点で評価した死亡または障害(あらゆる認知障害、脳性麻痺、重度の視覚障害もしくは聴覚障害と定義)とした。副次評価項目は、主要評価項目の各項目、早産児合併症、発育などであった。主要評価項目、副次評価項目ともに両群間で有意差みられず 無作為化を受けた1,013例(出生時在胎週数中央値26.3週[四分位範囲[IQR]:24.9~27.6]、女児509例[50.2%])において、928例(91.6%)が試験を完遂した。あらゆる輸血の介入は、非制限輸血群400/492例(81.3%)、制限輸血群315/521例(60.5%)で行われ、それぞれの輸血量中央値は40mL(IQR:16~73)vs.19mL(0~46)、週当たり平均ヘマトクリット値は、非制限輸血群で3%ポイント高かった。 主要評価項目の発生は、非制限輸血群200/450例(44.4%)、制限輸血群205/478例(42.9%)で、両群間で有意な差はなかった(絶対群間差:1.6[95%信頼区間[CI]:-4.8~7.9]、オッズ比[OR]:1.05[95%CI:0.80~1.39]、p=0.72)。 また、副次評価項目の死亡(8.3% vs.9.0%、絶対群間差:-0.7[95%CI:-4.3~2.9]、OR:0.91[95%CI:0.58~1.45]、p=0.70)、認知障害(37.6% vs.34.4%、3.1[-3.3~9.6]、1.12[0.83~1.51]、p=0.47)、脳性麻痺(4.3% vs.5.6%、-1.3[-4.2~1.5]、0.75[0.40~1.40]、p=0.37)のいずれも有意差は示されなかった。 手術を要した壊死性腸炎の発生は、非制限輸血群20/492例(4.1%)vs.制限輸血群28/518例(5.4%)、気管支肺異形成症はそれぞれ130/458例(28.4%)vs.126/485例(26.0%)、早産児網膜症で治療を要したのは41/472例(8.7%)vs.38/492例(7.7%)であった。 フォローアップ時の発育評価についても、両群間で有意差は認められなかった。

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高加入度数コンタクトレンズ、小児の近視進行を抑制/JAMA

 近視の小児では、高加入度数の多焦点コンタクトレンズを用いた3年間の治療により、中加入度数の多焦点コンタクトレンズや単焦点コンタクトレンズと比較して、近視の進行が緩徐化され、眼軸長伸展が抑制されることが、米国・オハイオ州立大学のJeffrey J. Walline氏らが行ったBLINK試験で示された。研究の成果はJAMA誌2020年8月11日号に掲載された。2016年の報告では、世界の近視の有病率は、2000年からの50年間に23%から54%に、高度な近視の有病率は3%から10%にまで増加すると推定されている。また、近視は、視力を脅かす合併症(白内障、網膜剥離、緑内障、脈絡膜萎縮症など)と関連するが、その進行を緩徐化することで、これらの合併症のリスクが低減する可能性があるという。近視の進行を3群で比較する無作為化試験 研究グループは、ソフト系多焦点コンタクトレンズは小児の近視の進行を緩徐化するか、また高加入度数(+2.50D)のコンタクトレンズは中加入度数(+1.50D)のレンズに比べ近視の進行を遅延するかを検証する目的で、無作為化臨床試験を実施した(米国国立衛生研究所[NIH]の助成による)。 オハイオ州コロンバス市とテキサス州ヒューストン市の2つの検眼専門学校が参加し、2014年9月~2016年6月の期間に参加者の登録が行われた。対象は、年齢7~11歳で、-0.75D~-5.00Dの近視および1.00D未満の乱視の小児であった。参加者は、高加入度数(+2.50D)、中加入度数(+1.50D)、単焦点のコンタクトレンズのいずれかを装着する群に、無作為に割り付けられた。 主要アウトカムは、麻痺下等価球面屈折度数の3年間の変化(近視の進行)とした。副次アウトカムは11項目で、今回はこのうち4項目(眼軸長伸展[眼球の前後径の拡張]、視力、有害事象、アドヒアランス)の解析が行われた。有害事象の頻度は3群間に差はない 294例(3群とも98例ずつ)が登録され、292例(99%)が解析に含まれた。ベースラインの平均年齢は10.3(SD 1.2)歳、177例(60.2%)が女児で、等価球面屈折度数の平均値は-2.39(SD 1.00)Dであった。 補正後の3年間の近視進行は、高加入度数群が-0.60D、中加入度数群が-0.89D、単焦点群が-1.05Dであった。近視進行の差は、高加入度数群と単焦点群が0.46D(95%信頼区間[CI]:0.29~0.63、p<0.001)、高加入度数群と中加入度数群が0.30D(0.13~0.47、p=0.004)、中加入度数群と単焦点群は0.16D(-0.01~0.33、p=0.19)であり、高加入度数群が他の2群に比べ良好だった。 4つの副次アウトカムのうち、眼軸長伸展を除く3項目には、3群間に有意な差は認められなかった。補正後の平均眼軸長伸展は、高加入度数群が0.42mm、中加入度数群が0.58mm、単焦点群は0.66mmであった。眼軸長伸展の差は、高加入度数群と単焦点群が-0.23mm(95%CI:-0.30~-0.17、p<0.001)、高加入度数群と中加入度数群が-0.16mm(-0.23~-0.09、p<0.001)、中加入度数群と単焦点群は-0.07mm(-0.14~-0.01、p=0.09)であり、高加入度数群は他の2群よりも伸展が抑制されていた。 目に関する重篤または重度の有害事象や、コンタクトレンズの装着中止の原因となる有害事象の報告はなかった。最も頻度の高い有害事象は、巨大乳頭結膜炎(9例)、浸潤性角膜炎(8例)、眼アレルギー(7例)であった。有害事象の頻度に、3群間で有意な差はなかった(p=0.41)。 著者は、「これらの差の臨床的重要性を理解するには、さらなる研究を要する」としている。

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第21回 アフリカはCOVID-19流行をうまく切り盛りしている~集団免疫が可能か?

アフリカ大陸での新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染者数は8月6日に100万人を超えましたが勢いは衰えており、以降13日までの一週間の増加率はその前の週の11%より低い8%でした1)。アフリカの国々は最初のSARS-CoV-2感染が同大陸で確認されてから8月14日までの6ヵ月間に多くの手を打ちました2)。速やかにロックダウンを実行し、診断や治療体制を整え、いまやすべての国で人口1万人あたり100の検査を提供しています。重篤な新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者に必要となる酸素もより供給できるようになっており、最初は69棟だった酸素プラントは倍近い119棟に増えています。酸素濃縮器も2倍を超える6,000台超を備えます。世界保健機関(WHO)がアフリカのデータを解析したところ2)、最初の感染発見からおよそ2~3週間後の感染急増は生じておらず、ほとんどの国での増加はゆっくりであり、増加の山場ははっきりしていません。どうやらアフリカはCOVID-19流行をいまのところうまく切り盛りしているようです3)。先月7月末のmedRxiv報告4)によると、ケニアの15~64歳の実に20人に1人、数にして160万人がSARS-CoV-2感染指標の抗体を有していると約3,000人の献血検査結果から推定されました。しかしケニアの病院でCOVID-19発症患者は溢れかえってはいません。モザンビークの2都市・ナンプラやペンバでおよそ1万人を調べた調査では、職業によって3~10%がSARS-CoV-2への抗体を有していましたが、診断数はずっと少なく、およそ75万人が住むナンプラでその時点で感染が確定していたのはわずか数百人ほどでした3)。マラウィでの試験でも同様に驚く結果が得られています5)。同国の大都市ブランタイアの無症状の医療従事者500人を調べたところ10人に1人を超える12.3%がSARS-CoV-2への抗体を有していると判断され、その結果や他のデータに基づくと、その時点でのブランタイアでのCOVID-19による死亡数17人は予想の1/8程でしかありませんでした。そのように、アフリカの多くの国の医療は不自由であるにもかかわらずCOVID-19死亡率は他の地域を下回ります。最近の世界のCOVID-19感染者の死亡率は3.7%ですが6)、アフリカでは2.3%(8月16日時点で死亡数は2万5,356人、感染例数は111万53人)7)です。より高齢の人ほどCOVID-19による死亡リスクは高まりますが、アフリカの人々の6割以上は25歳未満と若く、そのことがCOVID-19による死亡が少ないことに寄与しているかもしれないとWHOは言っています1)。それに、COVID-19の重症化と関連する肥満や2型糖尿病等の富裕国に多い持病がアフリカではより稀です。また、風邪を引き起こす他のコロナウイルスにより接していることや、マラリアやその他の感染症に繰り返し曝されていることでSARS-CoV-2を含む新たな病原体と戦える免疫が備わっているのかもしれません3)。ケニア人が重病化し難いことに生来の遺伝的特徴が寄与していると想定している研究者もいます。これからアフリカではギニア、セネガル、ベニン、カメルーン、コンゴ共和国の数千人のSARS-CoV-2抗体を調べる試験が始まります。WHOの指揮の下での国際的な抗体検査にはアフリカの11ヵ国の13の検査拠点が参加しています。抗体は感染しても備わらない場合もありますし、備わっても徐々に失われるとの報告もあるので抗体保有率は真の感染率を恐らく下回るでしょうが、得られたデータはアフリカでの感染の実態の把握を助けるでしょう。もしアフリカで数千万人がすでにSARS-CoV-2に感染しているとするなら、ワクチンに頼らず感染に身を任せて集団免疫を獲得して流行を終わらせることに取り組んでみたらどうかという考えが浮かぶと国境なき医師団の研究/指導部門Epicentre Africaで働く微生物/疫学者Yap Boum氏は言っています3)。経済を停滞させ、長い目で見るとむしろ人々の健康をより害しかねない制約方針よりも集団免疫を目指すほうが良い場合もあるかもしれません。感染数に比して死亡数が明らかに少ないアフリカなら集団免疫の取り組みが許されるかもしれず、真剣に検討してみる必要があるとBoum氏は話しています。参考1)Coronavirus: How fast is it spreading in Africa? /BBC2)Africa marks six months of COVID-19/WHO3)The pandemic appears to have spared Africa so far. Scientists are struggling to explain why/Science 4)Seroprevalence of anti-SARS-CoV-2 IgG antibodies in Kenyan blood donors. medRxiv. July 29, 20205)High SARS-CoV-2 seroprevalence in Health Care Workers but relatively low numbers of deaths in urban Malawi. medRxiv. August 05, 20206)Situation reports, WHO African Region/12 August 20207)Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) / Africa Centres for Disease Control and Prevention

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「COVID-19×高血圧」を徹底討論!日本高血圧学会がwebシンポ開催

 COVID-19は依然、収束の兆しが見えず、第2波、第3波を迎え撃つ備えが求められている。日本高血圧学会は8月29日、「高血圧×COVID-19白熱みらい討論」と題し、ライブ配信でシンポジウムを開催する。COVID-19を念頭に置いた新たな高血圧診療のあり方を巡り、各領域のスペシャリストたちが、文字通り白熱した議論を交わす。今回は同学会の学術総会として初の試みとなるウェブ開催であり、参加視聴者とパネリストの垣根を超えたインタラクティブなやり取りも期待できる。参加には事前の予約申し込みが必要で、ウェブの専用ページで8月20日まで受け付けている。【開催概要】 ライブ配信特別企画「高血圧×COVID-19白熱みらい討論」 開催日時:2020年8月29日(土) 18:30~20:30 開催方法:Zoomウェビナーを使用した生配信(視聴参加は事前登録制) 参加(視聴)対象:会員(正会員、準会員)、非会員(医療従事者) ※参加した高血圧専門医には更新単位2単位(前半、後半各1単位)を付与 参加(視聴)料:無料 申し込み方法:予約専用URL(Googleフォーム)より事前登録<第1部> COVID-19と高血圧診療Hot topicsを掘り下げる!(18:30~19:30) 司会: 甲斐 久史氏(久留米大学医療センター循環器内科) 柴田 茂氏(帝京大学医学部内科学講座腎臓内科) パネリスト・演者: 「高血圧患者とCOVID-19 重篤化の関係(疫学)」 浅山 敬氏(帝京大学医学部衛生学公衆衛生学講座) 田中 正巳氏(慶應義塾大学医学部腎臓内分泌代謝内科) 「SARS-CoV-2と心血管系(ACE2、内皮障害と血栓形成、脳血管障害)」 山本 浩一氏(大阪大学医学部老年・腎臓内科学) 茂木 正樹氏(愛媛大学大学院医学系研究科薬理学) 「COVID-19に伴う心血管障害・腎障害」 星出 聡氏(自治医科大学循環器内科) 柴田 茂氏(帝京大学医学部内科学講座腎臓内科) 「降圧治療薬とCOVID-19(臨床)」 岸 拓弥氏(国際医療福祉大学大学院医学研究科) 山本 英一郎氏(熊本大学医学部附属病院循環器内科)<第2部> これからの高血圧をどうするか? ~ひとこと物申しバトル~ (19:30~20:30) 座長: 野出 孝一氏(佐賀大学医学部循環器内科) 岸 拓弥氏(国際医療福祉大学大学院医学研究科) パネリスト: 伊藤 裕氏(慶應義塾大学医学部内科学腎臓内分泌代謝内科、日本高血圧学会理事長):全体 赤澤 宏氏(東京大学大学院医学系研究科循環器内科学):Digital Hypertension 三浦 克之氏(滋賀医科大学社会医学講座公衆衛生学部門):疫学研究 西山 成氏(香川大学医学部薬理学講座):基礎研究 宮川 政昭氏(宮川内科小児科医院、日本医師会常任理事):実地医療  林 香氏(慶應義塾大学医学部内科・腎臓内分泌代謝内科):若手・女性代表

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事例008 特異的IgE半定量・定量の査定【斬らレセプト シーズン2】

解説今回事例は、「D015 13 特異的IgEの査定」です。39種類の実施は、“View39”とも称され、気管支喘息、鼻アレルギー、蕁麻疹、アトピー性皮膚炎などのI型アレルギー疾患を誘発するアレルギー抗原を特定するために使用されます。これは査定が多い検査の1つです。今回のようにアレルギー性皮膚炎が確定していない状態では、検査の適応がないとして、病名不足もしくは病名不備を理由にA事由(医学的に適応と認められないもの)として査定されたものです。I型アレルギー以外の検査適応病名がレセプトに記載されていたとしても、同月実施などの検査間隔が短い場合や、項目の重複は査定対象となります。医学的な妥当性がレセプト内容から読み取れるように、あらかじめ病名の追加や症状詳記の記載が査定対策として必要です。また、医学的理由を記載した後に2回目の実施の場合、血液採取料が算定されていないと同一検体からの実施と判断され、検査項目の重複部分は査定対象となります。これらの点は常にご留意ください。

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第19回 炎上したLINE健康相談の件、広報からのモヤモヤ回答を一挙公開!

新型コロナウイルス感染症パンデミックの結果、日本国内の医療の中でやや前進を見せていることがあるとするならば、オンライン診療の拡大傾向である。4月7日に閣議決定された「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」では、感染拡大防止の観点から、「非常時対応」と断りながらも電話やオンラインによる診療・服薬指導の活用を促した。これに対応し、厚生労働省(以下、厚労省)の医政局医事課と医薬・生活衛生局総務課は連名で4月10日付の事務連絡を発出し、初診を含むオンライン診療・服薬指導を時限的・特例的に容認している。同事務連絡は感染拡大動向を踏まえて3ヵ月に1度の見直しを行っているが、今のところは継続されている。あくまで時限的・特例的措置だが、今後これをきっかけに診療報酬上のオンライン診療の条件緩和などが進められる可能性は否定できない。このオンライン診療は厚労省が作成した「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に基づいて行われる。そして同指針ではオンライン診療と似て非なる「遠隔(オンライン)健康医療相談」を定義している。これは、医師がパソコンやスマホなどの通信機器を利用して医学的な助言を行うもの、医師以外が一般的な医学情報の提供や受診勧奨を行い、いずれも相談者個人の状況に応じた具体的な判断を行わないものを指す。ちなみに厚労省指針では「遠隔健康医療相談」について詳細な規定はしていない。ただ、今回のコロナ禍を反映し経済産業省の主導下で「遠隔健康相談事業」が開始され、メドピアの連結子会社Mediplat社、コミュニケーションアプリLINEで有名なLINE株式会社の連結子会社LINEヘルスケアが受託し、8月末まで無料の健康相談を提供している。ところが今月2日、LINEヘルスケアの遠隔健康相談を利用した人が相談対応医師から罵倒されたというチャット内容がTwitter上に投稿され炎上。この結果、同社はこの事例が規約違反の不適切事例に当たるとしてホームページ(HP)に謝罪文を公表した。この件、端的に言うならば、ごく1人のアウトサイダー医師がやったことで終わりになるはずだが、このLINEヘルスケアのHPでの規約、医師募集の要綱などを見ると、いくつかの疑問が浮かんできた。まず、このオンライン健康相談は、対応診療科が内科、小児科、産婦人科、整形外科、皮膚科、耳鼻咽喉科の6診療科である。ところがこの募集要項では「これらの科目における専門医資格等は必要ございません」「相談対応可能な診療科は自己申告いただきます」とのこと。たぶん多くの利用者は、対応診療科の専門家から回答が得られると期待しているはずだ。また、利用規約では相談でのやり取りを「コンテンツ」と規定し、再利用の可能性があることを表記している。今回の不適切事例でモニタリングを強化すると同社は謝罪文に記載しているが、それがどのような形で行われるのかが想像しにくい。ということで、4点の質問を送ったところ広報部門であるPR室からは次のような回答が返ってきた。▽今回の遠隔健康相談に関して、医師募集要項では対応診療科の専門医資格などは要らない旨を明記しておりますが、これはどういう理由からそのような規定としたのでしょうか?回答LINEヘルスケア社では、医師免許および本人確認を徹底し、当社所定の基準を満たした医師に参加いただいております。さらに、参加する医師には当社ガイドライン、各種法規制の遵守する事に同意いただいております。LINEヘルスケアの健康相談サービスには医行為は含まれませんが、対応科目については、医師自身が対応可能と判断したものを標榜いただいております。▽相談内容と回答内容を「コンテンツ」として、再頒布を可能としたのはなぜでしょうか?回答利用規約7.4及び7.5については、知的財産その他のプライバシー以外の観点から、弊社が、医師と相談者の間で交わされた健康相談の内容について、本人を識別しうる情報を削除した上で二次利用を行う上で必要な許諾等を得るためのものです。同規定に基づく許諾にかかわらず、医師と相談者間の健康相談の内容については、通信の秘密であり、かつ個人情報にあたることから、個別かつ明示的な同意を相談者から取得した上で利用させていただいており、無制限に弊社が相談内容を利用しうることを予定したものではありません。▽お詫びのページに追記した、「モニタリング」とは具体的にどのように行うのでしょうか?回答厚労省のオンライン診療ガイドラインを基にLINEヘルスケア社独自の医師向けガイドラインを作成しており、24時間365日モニタリングを実施しております。しかしながら、医師と相談者の間のコミュニケーションは、電気通信事業法上の通信の秘密に当たり、また医師法上も医師の守秘義務の対象として、弊社を含む第三者がみだりに内容を閲覧することは制限されております。そのため、弊社では、双方の事前同意の範囲内で、リアルタイムでの監視については自動モニタリングを実施しております。今後は、キーワードの見直しを含むモニタリング体制等の見直しを図り、再発防止策を検討、対応してまいります。▽(健康相談で)「おすすめ医師」として推奨表示される医師は、科目×回答数の多さのようですが、回答が多い医師は専門性が高いとはいえますか?回答おすすめ医師のレコメンドのロジックについては、公表していないため、お応え出来かねます。個人的な感想を言うと、どの回答もすっきりと腹落ちはしない。ちょうどこの件については私も発起メンバーの一人でもある「医薬品産業イノベーション研究会」で8月5日に緊急オンライン講演会を開催した。演者はこれまで複数の医療者向けあるいは患者向けの医療情報サイトに携わった編集者の田中 智貴氏(元QLife編集長)だ。今回の問題の根底について田中氏は「LINEヘルスケアではB to Cのサービスとして考えているのに対し、相談者側はD(Doctor) to P(Patient)と考え、双方の期待値に差異があった」と指摘する。いわゆる診断のような医学的判断を伴うオンライン診療、オンライン受診勧奨をメディカル領域、今回のLINEヘルスケアによる健康相談をヘルスケア領域と分類した場合、田中氏は「へルスケア領域はメディカルと同等の権威付けをしたがる」との見解示す。具体的に言うと、たとえば健康食品の宣伝で「○○学会で効果に関して発表」のようなもの。今回の件で言うと、オンラインの健康相談は医師でなくとも可能だが、それを医師がやることを強調する点だ。実際、LINEヘルスケアのHPでは今回のサービスについて「さまざまな不安に医師が直接お答えします」と銘打っている。ただ、そのHPをスクロールして最後になるとようやく注意事項として「本サービスは医師による健康相談のサービスです。症状の診断や治療といった判断を医師に求めることはできません」と表記してある。結果として、この辺はサービス利用者自身の不注意・誤解も含め、期待値の齟齬を起こしてしまう可能性があるということだ。また、田中氏は前述のような回答診療科医師をあくまで自己申告制で募集している背景には、昨年12月のサービススタート以降、LINEヘルスケア公式アカウントの友だち数や相談件数の急増により、回答医師を急募して今回のような利用者に暴言を吐くような医師まで参加する質の低下を招いているのではないかと分析。さらに今回の健康相談サービス全般を見た印象としてIT系のB to C企業によくみられる、ベーシックな機能を備えた段階でとりあえずサービスをスタートさせ、その後、要所要所でユーザーの反応などを見ながら改修していくアジャイル的手法が見受けられると指摘。「医療に関しては軽微でもトラブルがあってはならない」と述べて、そもそもIT系企業お得意の手法がこの領域では馴染まないとの認識を示した。こうした田中氏の指摘、LINEヘルスケアのアカウントを友だち追加後に中を見て発見した疑問点、第一弾の問い合わせの回答に対する疑問点などを含め、再度LINEのPR室に質問を送付し、回答を受け取った。▽前回の回答で登場する厚労省のオンライン診療ガイドラインを参考にした医師向けの自社のガイドラインは、厚労省ガイドラインとどのような違いがあるのでしょうか?回答医師向けのガイドラインは一般向けに公表しておりませんので、お応えしかねます。▽健康相談の回答医師の「資格」の欄には学会しか明記されておらず、単に学会員としての登録なのか、専門医・指導医なのか、会員資格などが更新されているかどうかのチェックは御社では行われているのでしょうか?回答一部ユーザーの方に誤解を招く可能性も勘案し、ご指摘の箇所についての対応の見直しを検討いたします。▽相談可能な診療科が自己申告であり、かつ一般的な医師の専門診療科数が1~2科である中で、御社サービスのおすすめ医師として表示された32人中20人が6診療科対応となっており、御社がコンテンツと定義する医師側の相談対応内容のクオリティコントロールが適正とは言えないかと思います。回答本サービスにて健康相談を実施するのは医師であり、医師自らの責任で相談がなされるサービスです。他方、クオリティコントロールをプラットフォーム提供事業者としてどのようにしていくのかという点については検討のうえ、対応していければと思います。▽サービス利用者は各診療科の専門医に相談ができるとの期待値を持って相談しているケースは少なくないと思われます。結果として「錯覚商法」のようになっていますが、この点について御社ではどのようにお考えでしょうか?回答遠隔健康相談は、個別具体的な症状に対する診断を下すものでなく、医学的知見を用いて医師が一般的な助言をするにとどまるものであり、LINEヘルスケアとしては特段専門医とつながるサービスを標榜してはおりません。専門分野の標榜の箇所もあるので、診療科の標榜が必ずしもユーザーの誤解を招くものではないと認識しております。▽登録医師の中には医療法上広告が認められていない診療科を標榜したり、自由診療を行っている旨の記載など自院誘導ともとられかねないプロフィール表記も認められます。また、登録を禁止している海外勤務医も存在します。法令や規約に基づくチェック体制が不十分と思われますが、この点についてのご見解をお聞かせください。また、現状このチェック体制がどのようになっているかも合わせてご回答お願い致します。回答LINEヘルスケアにおける医師の表記については、医療広告ガイドラインの適用は受けないと判断しております。しかしながら、ご指摘の「自院誘導ととらえられかねないプロフィール表記」については、場合によっては同ガイドラインの適用を受けることはあるものと存じます。もっとも、このような表記は、利用規約において禁止される行為となっています。現在のプロフィールチェック体制につきましては、回答を控えさせていただきます。ただし、今後は、ユーザーの皆さまに誤解を招く可能性があることを勘案し、ご指摘いただいている内容の見直しは検討してまいります。▽今回の不適切事例は相談内容が対応診療科ではない精神科のものでしたが、これまでのモニタリングではこのようなものの検出は不可能だったのでしょうか? また、キーワードによるモニタリングを行っているようですが、モニタリングキーワードは何件くらい設定しているのでしょうか? 今後の強化でこの件数はどのくらい増加する見込みでしょうか?回答モニタリング体制については、先日ご回答をさせていただきました内容以上の開示をしておりません。今後の見直しにつきましても、詳細が確定しましたらご案内とさせていただきます。▽他の医療相談サービスでは規約に含まれていない「コンテンツ」を定義した目的を教えてください。また、コンテンツの再頒布はどのような事例を念頭に置いてのことかを具体例をお教えください。回答おそらく指摘いただいているものと思われる規定は、いわゆるUGC(ユーザー生成コンテンツ)の取扱いに係るものであり、一般的な規定と考えます。現に、他社の同種サービスの規約にもUGCの取扱に係る規定があることはご指摘を受けて確認しておりますので、貴社にて改めてご確認ください。なお、繰り返しになりますが、コンテンツの利用に係る規定は、ご指摘の規定以外にもプライバシーポリシー等に従う必要があり、弊社がコンテンツを自由に扱うことを目的としたものとはならないため、ご留意ください。*注:LINEのPR室によるとUGCのユーザーに医師は該当していないとのこと▽「令和2年度補正遠隔健康相談体制強化事業」として税金補助を受けており、「オンライン遠隔健康相談サービス」において、主導的な役割を果たす立場でありながら、「回答は一般的なアドバイスであること」や「診断・治療行為ではないこと」を発見性が低い、ページ下部に表記することなど、消費者の有利誤認を誘うようなサービスデザインを行っていることについて、企業姿勢としてどのようにお考えでしょうか?回答本件につきましては、利用いただく際に誤認が生じないよう、利用開始時冒頭に注意事項の情報が必ず表示されるようになっております。残念ながら個人的なもやもや感はこの2回目の回答を受けても解消されてはいない。結局、最終的には遠隔(オンライン)健康相談そのものについても厚労省による指針作成が必要になるということだろうか?

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第19回 医師の質・能力、実はどうでもいい? LINEヘルスケア事件の先にある世界

「ガキンチョ」「死ぬのが正解」などと応じる こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。やっと関東に夏本番がやって来ました。またしても愛知の実家から「しばらく帰ってこんでええ!」と言われたので、この週末、帰省は止めにして懸案の越後駒ヶ岳に山仲間と行ってきました。自粛期間中にもかかわらず、ピーク直下の駒の小屋の狭いテントサイトはほぼ満床で、密を避けるのに苦労しました。さて、今週気になったのは、IT企業、LINE(ライン)傘下のLINEヘルスケアが展開する、医師にLINEで相談できるサービス「LINEヘルスケア」で、相談を担当した医師がユーザーに対して不適切な対応をし、その内容がSNSで拡散、炎上したというニュースです。医師はユーザーからの相談に、「リスカやOD(オーバー・ドーズ)で発散するのは低レベル」「診断なんかいくらでも付けられますよ。よくいる世間知らずの10代の女の子」「言葉にできないやつはガキンチョ」「深く考えすぎると結論としては、死ぬのが正解となりますし、たぶん正解なんでしょう」などと回答。この一連のやりとりのスクリーンショットが流出し、“事件”になってしまいました。8月2日、同社はこの事態を受けて「LINEヘルスケアに登録している医師1名において、お客様に対して、利用規約違反の行為が確認されました」とした上で、この医師を利用停止処分としたことを発表。「お客様のお心を傷つけ、多大なるご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます」と謝罪しました。同社はモニタリング体制を強化することで再発防止策を徹底していく、としています。LINEのトーク画面で医師に直接相談できる「LINEヘルスケア」は、LINEと医療情報専門サイト「m3.com」のエムスリーによる合弁会社であるLINEヘルスケアが運営する、LINE上で利用できるオンラインの健康相談サービスです。内科、小児科、産婦人科、整形外科、皮膚科、耳鼻咽喉科に対応しており、利用者は相談内容や診療科から医師を選んだ上で、「いますぐ相談する」か、「あとから回答をもらう」か相談方法を選択、体の不調などについてLINEのトーク画面で医師に直接相談する、という仕組みです。「いますぐ相談する」の利用料金は2000円、「あとから回答をもらう」の1000円です。昨年12月からサービスをスタートしていますが、経済産業省の「令和2年度補正遠隔健康相談事業体制強化事業」(上限1億円/件)に採択されており、2020年8月31日までは無料となっています。「遠隔健康医療相談」がカテゴライズされたのは2年前このニュース、対応した医師の”暴言”に目が向きがちですが、こうした人間はどんなプロフェッションでも一定数はいるものです。ここでは、もう一つの側面である「医師による医療相談」について少し考えてみたいと思います。そもそも、医師などが健康相談に乗る、というサービスは、カード会社や生命保険会社などの付帯サービスとして従来から行われてきました。ただ、国がこうしたサービスをきちんとカテゴライズしたのはつい最近のことです。2018年度の診療報酬改定でオンライン診療に対する評価が新設されました。これを受け厚生労働省は同年3月、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(以下、ガイドライン)を公表しました。その中で情報通信機器を活用した健康増進や医療に関する行為を「遠隔医療」と定義し、さらに「オンライン診療」「オンライン受診勧奨」「遠隔健康医療相談」の3つに区分したのです。本ガイドラインでは「遠隔健康医療相談」について、医師が行うものと、医師以外が行うものに分けて次のように定義しています。・遠隔健康医療相談(医師)遠隔医療のうち、医師-相談者間において、情報通信機器を活用して得られた情報のやりとりを行い、患者個人の心身の状態に応じた必要な医学的助言を行う行為。相談者の個別的な状態を踏まえた診断など具体的判断は伴わないもの。・遠隔健康医療相談(医師以外)遠隔医療のうち、医師又は医師以外の者-相談者間において、情報通信機器を活用して得られた情報のやりとりを行うが、一般的な医学的な情報の提供や、一般的な受診勧奨に留まり、相談者の個別的な状態を踏まえた疾患のり患可能性の提示・診断等の医学的判断を伴わない行為。つまり、「遠隔健康医療相談」とは、医師など(必ずしも医師限定ではない)が遠隔地(その場にいない)の患者に対して医療・健康に関連する相談を行うもので、医療行為(診察や治療)は伴わず、相談行為だけを行うもの、という位置づけなのです。というわけで、LINEヘルスケアの事業は「遠隔健康医療相談(医師)」にあたります。ちなみに、医師法第20条は「医師は自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付」することを禁止していますが、「遠隔健康医療相談(医師)」の定義(医学的助言にとどめ、相談者の個別的な状態を踏まえた診断など具体的判断は行わない)に則った運用を守れば、医師法には抵触しないことになります。LINEで“自費診療”を受けさせてみる大実験さて、LINEヘルスケアが、従来のカード会社などが提供する限定的な特別サービスと一線を画するのは、LINEという8,400万人(2020年4月現在)のユーザー数を持つソーシャルメディアの世界での事業展開という点です。さらに、前述したように、新型コロナウイルス感染症の流行で患者の医療機関の受診控えが進む中、国民がスマートフォンやパソコンを通じて医師に手軽に相談できるよう経済産業省がスタートさせた事業に採択(同社は3月にこの事業を受託、一度途切れた後、再び5月から8月まで受託しています)された点も注目に値します。国(厚生労働省ではなく経済産業省ですが)のお墨付きをもらった事業という見方もできるからです。そう考えるとこの事業、極端なことを言ってしまえば、コロナ禍で医療機関に行きづらくなった国民のうち、軽症者や自然に治るような病気の人についてLINEで“自費診療”を受けさせてみる大実験…と解釈することもできそうです。もちろん、サービス提供者側は「医学的助言にとどめ、相談者の個別的な状態を踏まえた診断など具体的判断は行わない」ことで、医療行為ではないという厳格な線引きを守っているとは思いますが、ユーザー側から見れば、医療機関の代替機能であることは間違いありません。政府は国民に、軽度の病気や怪我の患者にOTCを用いたセルフメディケーションを勧めています。背景には医療リソースの効率的利用と医療費削減があります。同様のことは「遠隔健康医療相談」にも言えるでしょう。受診前の相談の段階で、患者(や健常者)が無駄な受診を思い留まったとしたら、国や保険者は大喜びでしょう。一部の医療機関は困るかもしれませんが…。「遠隔健康医療相談」はAIに取って代わられる仮に大実験だとしたら、この事件後ネット上でも話題となった、登録医師のクオリティや、医師の取り分が安価過ぎる(いますぐ相談/予約相談で1件あたり30分1,400円、あとから回答で1件あたり700円らしいです)ことなどは、あまり大きな問題ではなくなります。なぜならば、「遠隔健康医療相談」はやがてAIに取って代わられるに違いないからです。私はAIについては詳しくありませんが、軽症疾患やコモンディジーズを患者の訴えなどから推察し、療養のアドバイスや受診勧奨をすることは、学習を積んだAIにとっては容易いことのように思えます。ここからは全くの想像です。ひょっとしたらLINEヘルスケアは、法律と規制が許せば「遠隔健康医療相談」をAIに任せようとしているのではないでしょうか(表向きは絶対に言えないとは思いますが)。AIならば相談業務を無難にこなすのはもちろん、「ガキンチョ」とか「死ぬのが正解」と言ったセリフを吐くこともおそらくありません。顧客対応も万全で、「寄り添い、共に考える医師」のフリもしてくれるでしょう。さらに、運営企業の医師への支払いも必要なくなります。もし、利用者が増えていけば、医療財政的にもそれなりの効果が期待できるでしょう。うまく運営すれば、医療機関以外にはいいことづくしです。もっとも、法律と規制を乗り越えるのはなかなか大変です。オンライン診療の規制緩和に対して、一貫して慎重姿勢をとってきた日本医師会の存在もあります。新型コロナ感染症で「オンライン診療」が進みましたが、ポストコロナの時代の“新しい生活様式”におけるダークホースとして、「遠隔健康医療相談」の行方にも、目を配っておいたほうがいかもしれません。

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COVID-19、小児は軽症でもウイルス量が成人の10~100倍

 子供がCOVID-19に罹患した場合、一般的には成人に比べて比較的軽度の症状を示す。米国・イリノイ州シカゴAnn & Robert H. Lurie Children's HospitalのTaylor Heald-Sargent氏らが、軽~中等症のCOVID-19患者におけるウイルス量を年齢との相関で調べたところ、5歳未満の小児では症状が軽くてもウイルス保有量が多く、とくに上気道から検出されたSARS-CoV-2は成人の10~100倍にも相当することがわかった。JAMA Pediatrics誌オンライン版2020年7月30日号のリサーチレターに掲載。 本研究では、2020年3月23日~4月27日の期間、シカゴの3次医療機関においてCOVID-19の症状発症から1週間以内の入院および外来、救急部門、ドライブスルーで収集された145例の鼻咽頭スワブから検体を採取し、PCR検査を実施。cycle threshold(Ct)値を記録し、SARS-CoV-2 RNAウイルス量を評価した。 主な結果は以下のとおり。・患者はいずれも軽~中等症で、5歳未満が46例、5~17歳が51例、18~65歳が48例。いずれも発症から1週間以内に検体を採取した。・5~17歳のグループのCt値は、18~65歳のグループとほぼ同等であった(中央値[四分位範囲]:11.1[6.3~15.7] vs. 11.1[6.9~17.5])。・一方、5歳未満のグループのCt値は有意に低かった(同:6.5[4.8~12.0])。・5歳未満の小児とその他2つのグループのCt値の差異により、小児においては、とくに上気道のSARS-CoV-2が約10~100倍多いことが示唆される。 著者らは、本研究で明らかになったのはあくまで小児における高いウイルス核酸の検出量であると断っているが、これまでのSARS-CoV-2の研究では、より高い核酸レベルと感染力のあるウイルスの培養能力との相関が報告されている。このため著者らは、公衆衛生対策を進めるうえで小児の感染および拡散リスクを理解することが重要であると述べている。

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合併症のない小児虫垂炎、抗菌薬療法vs.手術/JAMA

 合併症のない小児虫垂炎において、抗菌薬療法のみの非外科的治療戦略の初回治療成功率は67.1%であり、外科的治療戦略と比較して、1年後の障害日数は統計学的に有意に少なかったことが、米国・オハイオ州立大学医学校のPeter C. Minneci氏らによる検討の結果、示された。ただし、フォローアップの完遂率が75%と低く、許容可能な非外科的手術成功率は、事前規定の閾値との比較では統計学的に有意ではなく、仮定した障害日数の群間差には未到達であったという。現在、小児および青少年の虫垂炎の大半は外科的治療で行われているが、研究グループは、抗菌薬療法のみの非外科的治療は、患児および家族への悪影響を少なく治療できる可能性があり、患児と家族に好まれるのではないかとして本検討を行った。JAMA誌オンライン版2020年7月27日号掲載の報告。1年時点で、障害日数と抗菌薬療法群の成功率を評価 合併症のない小児虫垂炎における、非外科的治療の成功率を明らかにし、非外科的治療群と外科的治療群間の治療関連の障害、満足度、健康関連QOLおよび合併症の差を比較する検討は、多施設非無作為化対照介入試験にて行われた。 被験者は2015年5月~2018年10月に、合併症のない虫垂炎を呈し米国7州の3次小児病院10施設で治療を受け、1年間の追跡(最終2019年10月)を受けた7~17歳の小児であった。 対象患児と家族による選択で、抗菌薬療法のみの非外科的治療(抗菌薬療法群)、または入院12時間以内の腹腔鏡下虫垂切除術(手術群)のいずれかを受けてもらい追跡評価した。 主要アウトカムは2つで、1年時点で評価した障害日数(虫垂炎関連の二次的ケアのためにすべての通常の活動に参加できなかった全日数で定義[予想した差異は5日間])と、抗菌薬療法群の成功率(初回抗菌薬療法のみで1年時点まで虫垂切除術を受けなかった患者の割合と定義[最低許容成功率70%以上])であった。逆確率治療重み付け(IPTW)法を用いて、すべてのアウトカム評価の治療群間差を補正した。抗菌薬療法群の障害日数の平均群間差は-4.3日、成功率は67.1% 1,209例が試験適格のスクリーニングを受け、1,068例(年齢中央値12.4歳、女児38%)が試験に登録され、370例(35%)が抗菌薬療法を選択、698例(65%)が手術を選択した。 フォローアップ完遂は全体で806例(75%)、抗菌薬療法群は284例(77%)、手術群は522例(75%)であった。抗菌薬療法群のほうが患児の年齢が低く(年齢中央値12.3歳vs.12.5歳)、黒人(9.6% vs.4.9%)やその他の人種(14.6% vs.8.7%)が多く、学士号を有する保護者の割合が高く(29.8% vs.23.5%)、超音波診断を受けた割合が高かった(79.7% vs.74.5%)。 IPTW後、1年時点の抗菌薬療法群の成功率は67.1%(96%信頼区間[CI]:61.5~72.3、p=0.86)であり、手術群と比較して1年時点の障害日数は統計学的に有意に短縮した(補正後平均日数:6.6日vs.10.9日、平均群間差:-4.3日[99%CI:-6.17~-2.43、p<0.001])。 事前規定のその他16項目の副次エンドポイントのうち、10項目について有意差は示されなかった。

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第20回 風邪コロナウイルスがSARS-CoV-2免疫を授けうる? / キャンプ場で小児にCOVID-19が大流行

風邪コロナウイルス反応T細胞がSARS-CoV-2も認識する?新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染していないのにSARS-CoV-2に反応するCD4+ T細胞が少なくとも5人に1人、多ければ2人に1人に備わっていると示唆されています。SARS-CoV-2が流行する前に25人から採取した血液検体を調べた新たなScience誌報告でもこれまでの幾つかの研究と同様にSARS-CoV-2反応T細胞が見つかり、SARS-CoV-2の142の領域(抗原決定基)がT細胞への反応と関連しました1,2)。そして、これまでにない新たな発見として、SARS-CoV-2に反応するT細胞が風邪を引き起こす馴染みのコロナウイルス(風邪コロナウイルス)4種のSARS-CoV-2に似た抗原決定基にも同様に反応しうることが示されました。この結果は、SARS-CoV-2流行前から馴染みのコロナウイルスに曝露したことでSARS-CoV-2にも反応しうるT細胞が備わったという考えを支持しています3)。また、感染前から備わるSARS-CoV-2への免疫反応はT細胞だけではなさそうです。先月23日にmedRxivに発表された報告によると、英国で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が本格的に流行する前の2018~2020年初めに非感染者262人から採取した血液検体のうち15検体(6%)にはSARS-CoV-2に反応する抗体が認められました4)。さらに特筆すべきことに小児でのその割合はとくに高く、1~16歳の小児48人のうち少なくとも21人(44%)はSARS-CoV-2スパイクタンパク質に反応するIgG抗体を有していました。小児は一般的に他のコロナウイルスとの接触がより多く、それが小児にIgG抗体が多い理由かもしれません。そのようなSARS-CoV-2反応抗体は小児におけるCOVID-19感染者の多くがかなり軽症で済むことの理由の一つかもしれないと著者の1人Rupert Beale氏はツイートしています5)。ただし、SARS-CoV-2への幾ばくかの免疫で感染を絶対に防げるという保証はありませんし、悪くすると正反対の効果、免疫反応を乱して手に負えない炎症やウイルスの蹂躙を招く恐れがあります。たまたま備わったSARS-CoV-2反応T細胞はとくに高齢者にとっては有害になる恐れがあるとシンガポールの免疫学者Nina Le Bert氏は言っています3)。Le Bert氏もCOVID-19へのT細胞反応を調べている研究者の一人です。キャンプ場で小児にCOVID-19が大流行小児はSARS-CoV-2感染しても多くが軽症で済み、それに感染し難いことが示唆されている一方で、米国ジョージア州のキャンプ場で6月に発生した小児のCOVID-19大流行はどの年齢の小児も感染と無縁ではないことを改めて示しました6)。そのキャンプ場では、キャンプする小児(6~19歳、中央値12歳)の受け入れの準備のためにまずは世話係(年齢14~59歳、中央値17歳)が6月17日にキャンプ場に集まり、キャンプはその週末21日から始まりました。キャンプ場のCOVID-19食い止め対策は完全ではなく、世話係は綿製マスク着用が義務でしたがキャンプする小児のマスク着用は必須とせず、ドアや窓を開けて建物内の換気を促すこともしませんでした。6月23日に10代の世話係の1人が前の晩に寒気を覚えてキャンプ場を去り、検査の結果24日にSARS-CoV-2感染が確認されました。キャンプ場は24日から滞在者を帰宅させはじめ、27日に閉鎖しました。キャンプには世話係251人とキャンプ参加小児346人合わせて597人が集い、検査結果が判明した344人(内訳は未報告)のうち260人(76%)が陽性でした。マスクが必須ではない環境で大勢が集まって同じ部屋で寝て、勢いよく歌ったり声援したりを繰り返したことが恐らく感染を広まらせたようであり、集いの場では相手との距離を保ってマスクを絶えず装着する必要があると著者は言っています。参考1)Selective and cross-reactive SARS-CoV-2 T cell epitopes in unexposed humans. Science 04 Aug 20202)Exposure to common cold coronaviruses can teach the immune system to recognize SARS-CoV-2 / Eurekalert 3)Does the Common Cold Protect You from COVID-19? / TheScientist4)Pre-existing and de novo humoral immunity to SARS-CoV-2 in humans. bioRxiv. July 23, 20205)Rupert Beale氏ツイッター 6)SARS-CoV-2 Transmission and Infection Among Attendees of an Overnight Camp - Georgia, June 2020. MMWR. Early Release / July 31, 2020

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米国学校閉鎖でCOVID-19罹患率・死亡率が約6割減/JAMA

 米国で2020年3月9日~5月7日にわたった州レベルの学校閉鎖が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の罹患率と死亡率を一時的に減少したことが明らかにされた。閉鎖が早かった州では、累積罹患率が低い時点で学校閉鎖を行った場合ほど、相対的減少率が大きかったという。米国・シンシナティ小児病院のKatherine A. Auger氏らが、全米50州について行った観察試験の結果で、JAMA誌オンライン版2020年7月29日号で発表した。なお、結果について著者は、「減少には、同時期の他の非薬物的介入が関連している可能性は捨てきれない」と述べている。学校閉鎖・時期で減少に差があるかを検討 研究グループは2020年3月9日~5月7日の期間に米国住民ベースの観察試験を行い、遅延期を組み込んだ分割時系列分析を実施し、学校閉鎖およびその時期がCOVID-19罹患率・死亡率の減少と関連しているかどうかを検証した。検証の対象としたのは初等・中等学校(幼稚園~12学年)。 州レベルの非医薬品による公衆衛生上の対策と属性を、負の二項回帰モデルに組み入れ、学校閉鎖とアウトカムの関連を分離。各州について、学校閉鎖時の10万人ごとのCOVID-19累積罹患率に応じ、4等分に分類したうえで、統計モデルを用いて、閉鎖した学校と閉鎖しなかった学校のCOVID-19罹患率・死亡率の絶対差、また州が学校を閉鎖した時のCOVID-19累積罹患率が最も低い四分位範囲群と最も高い四分位範囲群の、罹患率と死亡率の絶対差を算出し評価した。学校閉鎖時の州累積罹患率が低いほど、罹患率・死亡率は低値 学校閉鎖時の州のCOVID-19累積罹患率は、0~14.75/10万人だった。 学校閉鎖により、COVID-19罹患率は有意に低下し、補正後の週当たりの相対変化率は-62%(95%信頼区間[CI]:-71~-49)だった。死亡率も有意に低下し、補正後同変化率は-58%(-68~-46)だった。 これら罹患率・死亡率の低下は、学校閉鎖時の州のCOVID-19累積罹患率が低いほど顕著だった。同累積罹患率が最も低かった州では、COVID-19罹患率の週当たりの相対変化率は-72%(95%CI:-79~-62)だった一方、最も高かった州の同変化率は-49%(-62~-33)だった。 この解析から作成したモデルにおいて、州のCOVID-19累積罹患率が最低四分位範囲で学校閉鎖を行った場合、最高四分位範囲で行った場合に比べ、COVID-19の罹患者は26日間で128.7/10万人、死亡は16日間で1.5/10万人少なくなると推定された。

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