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第93回 公平さ欠いた恣意的な数字が見え隠れする「医療経済実態調査」

2022年度の診療報酬改定率は、本体がわずかながらプラスとなったものの、医療界はモヤモヤが解消していないようだ。診療報酬改定の基礎資料となる医療経済実態調査(実調)に対し、医療機関の経営実態を反映していないのではと疑問視する声が上がっている。調査対象数の少なさや偏りにより、全体が把握できていないというのだ。とくに個人診療所の多い歯科は、医科と比べて不利な評価を得やすく、なおさら不信感が強い。実調は、中央社会保険医療協議会(中医協)が2年ごとに実施している。抽出された約8,000の医療機関から、自費診療分を含む収入や給与、医材費、設備費など医業経費に関わる経営報告書を提出させるものだ。集計結果は各種医療機関の損益の代表値となり、診療報酬改定率の根拠として使われている。自費率の調査施設数が極端に少ない個人立の診療所では、開設者の報酬に相当する部分は「給与費」ではなく「医業損益差額」に含まれる。これには、借り入れ返済金、建物や設備更新のための引当準備金などのほか、退職金のない自身の引退後の生活費用も含まれる。開業医自身が自由に使える収入ではないが、診療報酬改定率は損益差額に左右される。歯科診療所は、自費収入が損益差額に含まれるため、改定率が抑えられがちだ。東京歯科保険医協会は、1月14日のメディア懇談会でこの問題に言及。歯科は医科に比べて自費診療が多いと言われるが、2020年度の歯科と医科の自費診療の構成比率を比較すると、歯科は13.5%。医科は、内科が7%、精神科が5.9%、外科が2.3%などと歯科より低いが、小児科は23.2%と高くなっている。一般的に自費というと、予防接種や健康診断などが含まれると思われるが、実調の調査項目の中で、予防接種や健康診断などは「その他の医業収益」に含まれており、自費診療などの金額である外来診療収益の「その他の診療収益」には含まれていない。小児科の自費率が高いことに疑問を持った同会が厚生労働省に確認したところ、「予防接種」「健康診断」「文書料」は含まれていないため、その他の自費診療にどのようなものがあるかは不明だとの回答を得たという。7施設の調査では実態はわからない対象施設について言えば、歯科は158施設、内科は111施設だったが、小児科はわずか14施設。精神科や外科にいたっては、いずれも7施設にすぎなかった。「7施設程度で実態調査とはいかがなものか。対象施設数が少なく特殊な医療機関に当たれば、それだけで自費率は大きく変動する。そうなると、どのようにして施設を選んだのか疑問が生じる。こういった数字を基に診療報酬の改定が行われるのはおかしい」と同会は疑問を呈する。次をにらんだ財源ありきの方針と恣意的な調査の布石2年後の診療報酬改定に向け、早くも財源ありきの方針や恣意的な調査の布石が打たれているのではないかと勘繰ってしまう。財務省の財政制度等審議会では、診療報酬を下げても高齢化社会で受診者が増えているので、医療機関の報酬自体は増えているとの論法を展開。また、2024年度改定では医療法人の全調査結果を使うという。前述の通り、歯科の場合は個人立診療所が多く法人調査の対象から外れるため、歯科経営の実態を掴みにくくなるだろう。これに対し、同会は「歯科では1日に診られる患者数は限られている。医療機関の報酬を増やすために、勤務する歯科医師の数を増やしたり診療時間を延ばしたりすればいいという話ではない。治療費である診療報酬が下げられると、経営的にはマイナスになる。財務省の論理は乱暴だ」と反論する。また、医療法人の全調査については、「歯科でも法人が増えており、都内でも二極化している。収入が高い医療法人が調査対象となると、歯科は経営的に問題がないと分析されてしまう。歯科については個人立診療所を主体に調査すべきでは」との見解だ。医療の実態を把握するというのであれば、しっかりしたデータに基づいて説明をしてもらいたい。コロナ・パンデミック以降、さんざんに引っ掻き回された医療機関の多くはシビアな経営を余儀なくされており、大きな不満を抱えている状況だ。公平さを欠く恣意的なデータを示されて、誰が納得できるというのだろう。

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コロナ流行開始以降、小児の感染症による入院・死亡が減少/BMJ

 イングランドの小児では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行の発生以降、重度の侵襲性感染症や呼吸器感染症、ワクチンで予防可能な感染症による入院が大幅かつ持続的に減少し、このうち敗血症や髄膜炎、細気管支炎、肺炎、ウイルス性喘鳴、上気道感染症による入院から60日以内の死亡数も減少したことが、英国・オックスフォード大学のSeilesh Kadambari氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2022年1月12日号で報告された。イングランドの0~14歳の観察研究 本研究は、イングランドにおける小児の呼吸器感染症、重度の侵襲性感染症、ワクチンで予防可能な感染症による、入院および死亡に及ぼしたCOVID-19の世界的大流行の影響の評価を目的とする住民ベースの観察研究である(Office for Health Improvement and Disparitiesなどの助成を受けた)。 研究グループは、イングランドのすべての国民保健サービス(NHS)病院から、2017年3月1日~2021年6月30日の期間における0~14歳の小児の入院データを入手し、全国的な死亡データと関連付けた。19種の感染症(重度の侵襲性感染症6種、呼吸器感染症8種、ワクチンで予防可能な感染症5種)について、COVID-19の世界的大流行の発生前後で、入院率および死亡転帰を比較した。 個々の感染症について、毎月の入院数、2020年3月1日の前後での入院数の変化率、同日前後での60日死亡率の補正後オッズ比(OR)を算出した。インフルエンザ入院が94%、麻疹入院が90%減少 2020年3月1日以降の12ヵ月間に、それ以前の36ヵ月間と比較して、腎盂腎炎を除く18種の感染症で、入院数の顕著な減少が認められた。 呼吸器感染症では、インフルエンザによる入院の減少率が最も高く、平均年間入院数は2017年3月1日~2020年2月29日に5,379件であったのに対し、2020年3月1日~2021年2月28日には304件となり、減少率は94%(95%信頼区間[CI]:89~97)に達した。次いで同期間の入院は、細気管支炎が5万1,655件から9,423件へと82%(79~84)減少し、続いてクループ(減少率78%、95%CI:65~87)、中耳炎(74%、71~77)の順であった。 重度の侵襲性感染症による入院の減少率は、髄膜炎(減少率50%、95%CI:47~52)が最も高く、次いで蜂巣炎(43%、39~48)、感染性関節炎(35%、28~41)、敗血症(33%、30~36)の順であった。また、ワクチンで予防可能な感染症による入院の減少率は、流行性耳下腺炎(ムンプス)の53%(95%CI:32~68)から麻疹の90%(80~95)までの幅がみられた。 このようなCOVID-19以外の感染症による入院の減少は、すべての人口統計学的サブグループと基礎疾患を有する小児で確認された。 6つの感染性疾患(敗血症、髄膜炎、細気管支炎、肺炎、ウイルス性喘鳴、上気道感染症)では、入院数の減少に伴い60日死亡数も減少した。ただし、肺炎については、60日の絶対死亡数は減少したが(2017~20年の3年の年間平均193件、2020年3月1日以降156件)、入院から60日以内の死亡率は2020年3月1日以降に増加していた(年齢・性別で補正したOR:1.73、95%CI:1.42~2.11、p<0.001)。 著者は、「COVID-19の世界的大流行期に、SARS-CoV-2感染を抑制するために多様な行動変容(非薬物的介入)や社会的施策(学校閉鎖、都市封鎖、旅行制限)が採択され、これが小児の一般的な感染症や重篤な感染症をも低下させたと考えられる。社会的制約の進展とともに、これらの感染症の持続的なモニタリングが求められる」としている。

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英語で「鼻詰まり」は?【1分★医療英語】第12回

第12回 英語で「鼻詰まり」は?Hi, how can I help you today?(こんにちは、どうされましたか?)I have a stuffy nose and my eyes are really itchy.(鼻が詰まっていて目がとても痒いです)《例文1》患者Can you prescribe something to unblock my stuffy nose?(鼻詰まりを解消できる薬を処方してくれませんか?)医師Okay, so you are saying you have a runny nose, stuffy nose, and frequent sneezing, correct?(なるほど、鼻水、鼻詰まり、頻繁にくしゃみが出る、ということで合っていますか?)《解説》医療者であれば、「鼻詰まり」を訴える患者を一度は診察したことがあるでしょう。とくに春や秋の季節の変わり目、または小児科外来においては年中かもしれませんね。しかし日常で頻繁に使われる割には、日本であまり習わない英語表現ではないでしょうか。“stuffy”は空気の通りが悪い、詰まった、といった意味の形容詞になり、“I have a stuffy nose.”というフレーズで「鼻詰まりがある」という意味でよく使われます。“stuffy nose”はカジュアルな表現で、患者や一般の方が日常的に使用します。医療者同士で鼻詰まりの症状を伝える際は、もう少し専門的な“nasal congestion”という表現を用います。“He complains of nasal congestion.”は、訳すと「彼は鼻閉を訴えています」といった感じでしょうか。ちなみに、“unblock a nose”“unstuff a nose”“clear a nose”といったさまざまな動詞によって「鼻詰まりを解消する」という表現になります。「鼻詰まり」の1つをとっても、さまざまな表現や単語があることがわかります。講師紹介

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12~18歳、ワクチン2回接種でCOVID-19入院をほぼ回避/NEJM

 年齢12~18歳の入院患者のうち、BNT162b2ワクチン(mRNAワクチン、Pfizer-BioNTech製)の2回接種を受けた患者は非接種例と比較して、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による入院の回避に関する有効率が高く、集中治療室(ICU)入室や生命維持介入の回避割合も優れることが、米国疾病予防管理センター(CDC)のSamantha M. Olson氏らが実施したOvercoming COVID-19試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2022年1月12日号に掲載された。米国31施設のtest-negative designによる症例対照研究 研究グループは、青少年入院患者におけるBNT162b2ワクチンの有効性の評価を目的に、診断陰性デザイン(test-negative design)を用いた症例対照研究を行った(米国CDCの助成による)。 症例群は、年齢12~18歳、2021年7月1日~10月25日の期間に、米国23州の31の病院にCOVID-19で入院した患者であった。症状発現から10日以内または入院後72時間以内に、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)法または抗原検査法で重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)陽性と判定された場合に、COVID-19と診断された。 対照群は、同年齢層で、COVID-19様症状がみられるがSARS-CoV-2陰性の入院患者(陰性群)と、COVID-19様症状のない入院患者(無症状群)であった。 BNT162b2ワクチン接種が1回、または2回目の接種から症状発現までの期間が14日未満の場合は「部分接種」、症状発現の14日以上前に2回の接種を受けた場合は「完全接種」とされた。接種が1回のみで、症状発現までの期間が14日未満の患者は除外された。 主要アウトカムは、COVID-19による入院、ICU入室、生命維持のための介入、死亡とされた。生命維持介入は、非侵襲的または侵襲的な機械換気、昇圧薬投与、体外式膜型人工肺の装着と定義された。COVID-19入院の有効率94%、死亡7例はすべて非接種例 主解析には1,222例が含まれ、症例群が445例(年齢中央値16歳、肥満を含む1つ以上の基礎疾患あり74%、対面授業出席者70%)、対照群は777例(15歳、70%、70%)であった。対照群のうち、SARS-CoV-2陰性例が383例(49%)、無症状例は394例(51%)だった。 症例群のうち、完全接種は17例(4%)、部分接種は1例(<1%)、非接種は427例(96%)であり、対照群はそれぞれ282例(36%)、54例(7%)、441例(57%)であった。 症例群では、180例(40%)がICUに入室し、127例(29%)が入院中に生命維持介入を要するまでに重症化し、このうち13例(3%)が体外式膜型人工肺を装着、7例(2%)が死亡した。ICU入室例のうち完全接種は2例のみで、残りの178例(生命維持介入を受けた127例中126例と、死亡した7例を含む)は非接種例だった。症例群の入院日数中央値は、非接種例が5日(IQR:2~7)、完全接種/部分接種例は4日(1~5)だった。 COVID-19による入院に対するBNT162b2ワクチンの全体の有効率は94%(95%信頼区間[CI]:90~96)で、陰性例では95%(91~97)、無症状例では94%(89~96)であった。また、ICU入室に対する有効率は98%(93~99)、生命維持介入に対する有効率も98%(92~100)と高率だった。 部分接種例の有効率は97%(95%CI:86~100)と高かったが、最終接種からCOVID-19様症状の発現までの期間中央値が、部分接種例は30日であったのに対し、完全接種例では90日(IQR:53~126)と長かった。SARS-CoV-2陽性で、入院の主な原因がCOVID-19ではなかった患者における入院に対する有効率は78%(48~91)だった。 著者は、「デルタ変異株が主流の時期に、重症化のリスク因子を有する患者を含む青少年において、BNT162b2ワクチンはCOVID-19による入院に対し高い有効率を示し、生命を脅かすCOVID-19の多くが回避された」とまとめている。

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開業に浮かれ、契約書をきちんと確認しない医師が陥ったこと【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第34回

第34回 開業に浮かれ、契約書をきちんと確認しない医師が陥ったこと漫画・イラスト:かたぎりもとこ医業承継においては、多数の「契約書」が発生します。そのうち代表的なものが「最終契約書」です。この最終契約書の内容次第では、契約締結前に口頭で約束していたことがゼロリセットされてしまう可能性すらあるので、しっかりと内容を確認する必要があります。今回は、最終契約書で、什器や備品の引き継ぎ状況をしっかりと確認していなかったために、買い手側が引き継げると思っていたものが引き継げなかった、というケースです。実際にこうしたケースは多々発生します。このようなトラブルを避けるために重要なポイントは以下の2点です。(1)契約書は自分の目で細かく確認し、疑問に思ったことは契約締結前に、仲介業者を通じて確認する(2)その上で、弁護士にも契約書の内容を確認してもらう(1)について契約書を詳細に確認せずに締結されている方は驚くほど多いのが実情です。契約締結は自分が大きなリスクを負う可能性のあるものです。必ず自分の目で細かい部分まで確認することが必要です。(2)について仲介業者が契約書のドラフト作成を支援するケースが多くありますが、このドラフトをそのまま契約書にするのでなく、この分野の専門家である顧問弁護士に確認してもらいましょう。気づかないうちに、相手に過度に有利な条項が入っているかもしれません。契約してしまうと致命的に不利な条件を負う可能性もあるので、弁護士の確認は必須です。不動産の売買と同様、医業承継は人生の中でも有数の、多額のお金が動く機会です。契約書をはじめとした各種の確認は慎重過ぎるほどでよいのです。

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小児へのCOVID-19ワクチン接種の考え方/日本小児科学会

 12歳以下の小児への新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種が、わが国でも検討されている中、日本小児科学会(会長:岡明[埼玉県立小児医療センター])の予防接種・感染症対策委員会は、同学会のホームページで「5~11歳小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方」を発表した。 この考え方では、COVID-19の小児流行の現況を説明するとともに、小児へのワクチン接種について重症化予防への期待について記している。感染状況とワクチンに関する知見について 国内の5~11歳のCOVID-19症例の大多数は軽症としながらも、「感染率が同年代人口の1~2%にとどまるなかでも、酸素投与などを必要とする中等症例は散発的に報告されている」と指摘し、「今後、全年齢において感染者数が増加した場合には、ワクチン未接種の小児が占める割合が増加し、小児の中等症や重症例が増える」と注意を喚起している。 また、2歳未満(0~1歳)と基礎疾患のある小児患者では、重症化リスクが増大することを紹介し、「長期化する流行で行動制限が小児に与える直接的および間接的な影響は大きくなる」と懸念を示している。 小児へのCOVID-19ワクチンの現状について、国内で5~11歳を対象とする接種への承認申請は、現時点でファイザー社製のみであり、同ワクチンは従来のワクチンと比べ含有されるmRNAが1/3の製剤で、使用に際し注意が必要であること、海外のデータから、5~11歳の小児に対する同ワクチンの発症予防効果が90%以上と報告されているが、新しい変異ウイルス(オミクロン株など)への有効性を示すデータは十分に得られていないことに注意を喚起している。 そして、米国(2021年11月3日~12月19日)で接種された5~11歳の小児への約870万回のファイザー社製ワクチン接種のデータについて、4万2,504人が自発的な健康状況調査に登録され、その結果2回接種後、局所反応が57.5%、全身反応が40.9%に認められ、発熱は1回目接種後7.9%、2回目接種後13.4%に認められたことを紹介。また、同期間に、米国の予防接種安全性監視システムには、4,249件の副反応疑い報告があり、このうち97.6%(4,149件)が非重篤だったこと、重篤として報告された100件(2.4%) の中で最も多かったのが発熱(29件)、11件が心筋炎と判断されたが、全員が回復したことも合わせて記している。以上から、5~11歳の小児では16~25歳の人と比べて一般的に接種後の副反応症状の出現頻度は低かったと米国でのデータを説明した。小児へのワクチン接種はメリットがあるが、きめ細かい対応も必要 小児のCOVID-19ワクチン接種について、以下の4項目で考えを伝えている。【ワクチン接種の考え方について】1)子どもをCOVID-19から守るためには、周囲の成人(子どもに関わる業務従事者など)へのCOVID-19接種が重要。2)基礎疾患のある子どもへのワクチン接種により、COVID-19の重症化を防ぐことが期待される。基礎疾患を有する子どもへのワクチン接種については、本人の健康状況をよく把握している主治医と養育者との間で、接種後の体調管理などを事前に相談することが望ましいと考える。3)5~11歳の健康な子どもへのワクチン接種は12歳以上の健康な子どもへのワクチン接種と同様に意義があると考えている。健康な子どもへのワクチン接種には、メリット(発症予防など)とデメリット(副反応など)を本人と養育者が十分理解し、接種前・中・後にきめ細やかな対応が必要。4)接種にあたっては、接種対象年齢による製剤(12歳以上用と5~11歳用のワクチンでは、製剤・希釈方法・接種量が異なる)の取り扱いに注意が必要と考える。また、集団接種を実施する場合においても、個別接種に準じて、接種前の問診と診察を丁寧に行い、定期接種ワクチンと同様の方法で実施することが望ましい。

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若年者の再発VTEへの抗凝固療法、6週が3ヵ月に非劣性/JAMA

 21歳未満の若い誘発性静脈血栓塞栓症(VTE)患者において、6週の抗凝固療法は3ヵ月の同療法に対して、再発VTEリスクと出血リスクとのトレードオフに基づく非劣性基準を満たしたことが、米国・Johns Hopkins All Children's HospitalのNeil A. Goldenberg氏らによる無作為化試験「Kids-DOTT試験」で示された。VTEに対する抗凝固療法について、21歳未満の患者における至適な治療期間は不明であった。JAMA誌2022年1月11日号掲載の報告。5ヵ国42施設で417例を対象に無作為化試験 試験は、21歳未満の誘発性VTE患者に対する抗凝固療法について、6週投与は従来法の3ヵ月投与に非劣性であるとの仮説を検証するため、2008~21年に、5ヵ国42医療施設で登録された417例を対象に行われた(主要エンドポイントの最終受診評価は2021年1月)。主な除外条件は重度の抗凝固因子欠乏症またはVTE既往で、持続性の抗リン脂質抗体がなく、診断後6週時の再画像診断で血栓が解消または完全な閉塞は認められない患者を無作為化に2群に割り付け、6週(207例)または3ヵ月(210例)の抗凝固療法を行った。 主要有効性および安全性の評価は、治療割付盲検下の1年以内に、発生が中央で判定された症候性の再発VTEと臨床的に問題となる出血イベントであった。 主要解析はper-protocol集団における非劣性の評価で、非劣性の定義には、症候性再発VTEの絶対増加0%と臨床的に問題となる出血イベントの絶対リスク低下4%など、二変量のトレードオフが組み込まれた(二変量非劣性境界曲線の3つのポイント中の1ポイントとした)。主要有効性アウトカム1年累積発生率、6週群0.66%、3ヵ月群0.70% 無作為化された417例において、297例(年齢中央値8.3歳[範囲:0.04~20.9]、女性49%)が、主要per-protocol解析の基準を満たした。Kaplan-Meier法により、主要有効性アウトカムの1年累積発生率は、6週抗凝固療法群0.66%(95%信頼区間[CI]:0~1.95)、3ヵ月抗凝固療法群0.70%(0~2.07)だった。 両群の再発VTEおよび臨床的に問題となる出血イベントの絶対リスク差に基づき、非劣性が実証された。 有害事象の発生は、6週抗凝固療法群26%、3ヵ月抗凝固療法群32%で、最も頻度の高かった有害事象は発熱(それぞれ1.9%、3.4%)であった。

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ファイザー製コロナワクチン、5~11歳への接種を承認/厚労省

 厚生労働省は1月21日、ファイザー製の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンについて、用法・用量が異なる「コミナティ筋注 5~11歳用」の製造・販売を特例承認した。オミクロン株が急拡大し、新型コロナの収束の兆しが見えない中、欧米諸国でも小児へのワクチン接種に踏み切る動きがある。国内における接種開始は3月以降になる見通しだ。 ※画像は承認された「コミナティ筋注 5~11歳用」と同製品の海外製造バイアル(提供:ファイザー) 今回承認された「コミナティ筋注 5~11歳用」は、12歳以上に使用されている従来製品との相違点がいくつかあるので注意が必要だ。【形状】5~11歳用:バイアルのキャップ上面がオレンジ色従来製品:バイアルのキャップ上面が紫色【用法・用量】5~11歳用:本剤1.3mLを日局生理食塩液1.3mLで希釈。1 回0.2mLを計2回、通常3週間の間隔で筋肉内に接種。従来製品:本剤0.45mLを日局生理食塩液1.8mLで希釈。初回免疫は1回0.3mLを合計2回、通常3週間の間隔で筋肉内に接種。追加免疫では1回0.3mLを筋肉内に接種。【希釈方法】5~11歳用:希釈後の液は10回接種分(1回0.2mL)を有する。デッドボリュームの少ない注射針または注射筒を使用した場合、10回分を採取可能。従来製品:希釈後の液は6回接種分(1回0.3mL)を有する。デッドボリュームの少ない注射針または注射筒を使用した場合、6回分を採取可能。【接種時期・回数】5~11歳用:原則として、同一の効能・効果をもつ他のワクチンと混同することなく2回接種。従来製品:原則として、同一の効能・効果をもつ他のワクチンと混同することなく2回接種。通常、本剤2回目の接種から少なくとも6ヵ月経過後に3回目の接種が可能。 今回はファイザー製コロナワクチンに対する承認であり、現段階では、国内でこのほかに承認されているモデルナ製ワクチン(スパイクバックス筋注)は12歳以上、アストラゼネカ製ワクチン(バキスゼブリア筋注)は原則として40歳以上とされている。

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耳からハエが何度も出てくる女の子【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第202回

耳からハエが何度も出てくる女の子pixabayより使用ゴキブリが耳に入ったらどうしたらいいのか、という話は耳鼻咽喉科の研修医レクチャーで聞いたことがあるかもしれませんが、耳からハエが出てきたらどうすればいいでしょうか?今日紹介するのは、耳から何度も死んだハエが出てくるという奇妙な現象です。Sethi S, et al.An unusual case of Munchausen syndrome by proxy.Indian J Psychiatry. 2012 Oct;54(4):389-90.ある日、12歳の女の子が耳鼻咽喉科から精神科に紹介されてきました。どうやら死んだハエが耳の中に入っていたとのことですが、親子に何か違和感があり、精神科に入院することとなりました。まぁこの時点で、ある程度確信はあったのかもしれませんが、入院中にハエが出てくればあの疾患の可能性が高くなるということです。やはり、入院後再び耳の中に死んだハエが出現しました。はて、これは一体どういうことでしょう。鼓膜の中からハエが出てきているのでしょうか。念のため頭部CTを撮影しましたが、体の中にハエがいそうな気配はありません。肉眼で観察しても、鼓膜にも異常はありません。主治医は「母親が子どもの耳にハエを入れた」と確信しました。この症例の診断名は、「代理によるミュンヒハウゼン症候群」です。よくよく見れば、論文のタイトルに答えが書いているんですけどね……。ズコー!代理によるミュンヒハウゼン症候群は、児童虐待とは異なり、子どもを傷付けることが目的ではなく、その行為によって周囲の関心を自分に引き寄せることで、精神的満足を得ようとする疾患です。つまり、「死んだハエが出てくる病気なんて、お母さんタイへンね」、「なぜ死んだハエが出てくるのだろう?」という関心を引き付けることに目的があるわけです。決して、子どもを傷付けようとしているわけではありません。その後、病院のサポートによって(主には母親への介入)、女の子の耳には死んだハエは出現しなくなったそうです。この世の中にある“奇病”と呼ばれるものの中には、もしかすると代理によるミュンヒハウゼン症候群が隠れているのもしれませんね。

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18歳未満の新型コロナ感染者、糖尿病発症率が増加/CDC

 米国・CDCの研究で、18歳未満のCOVID-19患者において、SARS-CoV-2感染後30日以降における糖尿病発症率が増加することが示唆された。CDCのCOVID-19 Emergency Response TeamのCatherine E. Barrett氏らが、Morbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)2022年1月14日号に報告した。 COVID-19は糖尿病患者において重症となるリスクが高い。また、欧州ではパンデミック中に小児における1型糖尿病診断の増加および糖尿病診断時の糖尿病ケトアシドーシスの頻度増加と重症度悪化が報告されている。さらに成人においては、SARS-CoV-2感染による長期的な影響として糖尿病が発症する可能性が示唆されている。 CDCでは、SARS-CoV-2感染後30日以降に糖尿病(1型、2型、その他)と新規に診断されるリスクを調べるため、2020年3月1日~2021年2月26日のIQVIAのヘルスケアデータを用いて構築した後ろ向きコホートから、18歳未満のCOVID-19患者の糖尿病発症率を推定し、パンデミック中にCOVID-19と診断されなかったかパンデミック前にCOVID-19以外の急性呼吸器感染症と診断された患者で年齢・性別が一致した患者の発症率と比較した。さらに、COVID-19に関連する可能性がある外来診察患者を含むデータソース(HealthVerity、2020年3月1日~2021年6月28日)で分析した。 その結果、糖尿病発症率は、COVID-19患者のほうがCOVID-19患者以外(IQVIAでのハザード比[HR]:2.66、95%信頼区間[CI]:1.98~3.56、HealthVerityでのHR:1.31、95%CI:1.20~1.44)およびパンデミック前にCOVID-19以外の急性呼吸器疾患と診断された患者(IQVIAでのHR:2.16、95%CI:1.64~2.86)より有意に高かった。

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進まない追加接種…日医の見解は?

 オミクロン株の急拡大に伴い、首都圏を含む13都県に「まん延防止等重点措置」が決定した中、日本医師会・中川 俊男会長は、3回目の追加接種やエッセンシャルワーカー(社会機能維持者)への優先的対応、オミクロン株の特徴的な症状などについて、国内の現況や諸外国のデータを踏まえ、記者会見で見解を示した。副反応を懸念か、モデルナ製ワクチンに正しい理解を 中川会長は、伸び悩む3回目接種の実施割合に関して、「ワクチンの供給や配送の問題もあるが、比較的確保できているモデルナ製ワクチンについて、国民の理解が十分でないのも(追加接種が進まない)原因の1つかもしれない」と懸念を表した。 モデルナ製ワクチンは、ファイザー製ワクチンと比較して10~20代男性の心筋炎・心膜炎リスクが高いとの報告がある。しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に比較するとその可能性は軽微であり、副反応の多くは軽症で済むことが知られている。 会長は、(1)他年代の男性や女性においてそのようなリスクは見られないこと、(2)1・2回目と種類の異なるワクチンを接種すること(交互接種)も可能で、むしろ中和抗体が高くなることなどを説明し、モデルナ製ワクチンの安全性と有効性に正しい理解を求めた。参考)10代・20代の男性と保護者へのお知らせ~新型コロナワクチン接種後の心筋炎・心膜炎について~(厚労省)生活を支えるためには教育現場への優先的対応も不可欠 社会機能を維持するためエッセンシャルワーカーへの追加接種や濃厚接触者の待機期間短縮(10日→6日)など、優先的な対応が呼び掛けられている。政府が示す「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」には、継続が求められる主な業種が示されているものの、医療・福祉関係者ほか具体的な対象は地方自治体や各事業者に任されている現状だ。 中川会長は、東京都で直近1週間の10代以下の感染者数が前の週の6倍に上っていることを挙げ、「保育・教育現場に感染が広がると、(エッセンシャルワーカーを含む)保護者が業務に従事できなくなる恐れがある」と懸念。教育現場を支える学校の教職員や保育士などもエッセンシャルワーカーに含まれることを明確化するよう要請した。 また、小児のワクチン接種について、「子供から家庭感染に広がる懸念もあり、これまで対象とならなかった11歳以下、とくに重症化リスクがある基礎疾患がある子供達に対しても新型コロナワクチンの接種を進めていく必要がある」と指摘した。現在、ワクチン接種を希望する5~11歳の子供が速やかに接種できるような体制整備が進められている。オミクロン株の「軽症」を甘く考えるべきではない 中川会長はオミクロン株の症状について、海外や国内の症例報告を参考に以下の特徴を説明した。(1)嗅覚障害や味覚障害を訴える割合が少なく、発熱・倦怠感・上気道症状が多い(2)割合として重症化率は低いものの、日本の重症度分類を知っておく必要がある 中等症Iは呼吸困難や肺炎所見を示し、中等症IIは酸素投与が必要な症例、重症は人工呼吸器管理またはICUへの入室が必要な症例とされる。よって、肺炎所見がなければ医学的には軽症に分類されるが、個々人にとっては高熱や全身症状、上気道症状など、つらい症状が多い。  続いて同氏は、高齢者の感染者数が少ないことから、現時点で高齢者の重症化リスクは判断すべきでないとし、オミクロン株の重症化リスクはデルタ株の2~3分の1との報告もあるが、COVID-19自体の重症化リスクがインフルエンザより二桁高いことを考慮すると、危機感を持つべき感染症であることは変わらないと説明。 その上で、オミクロン株の感染力の強さから、医療従事者への感染などから医療の提供体制を制限せざるを得ない状況も生じているとし、「今後発生する多数の軽症者に対する医療提供体制を整備するなど、これからもCOVID-19の収束を目指して粘り強く邁進していく」とまとめた。

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イチゴ腫根絶に向けたアジスロマイシン集団投与3回の効果/NEJM

 イチゴ腫(yaws、framboesia)の治療において、アジスロマイシンの集団投与を6ヵ月間隔で3回行う方法は、標準治療である集団投与を1回行ってからイチゴ腫様病変がみられる集団に標的治療を2回行う方法に比べ、地域有病率が大幅に低下し、小児の潜在性イチゴ腫の有病率も低くなることが、パプアニューギニア保健省のLucy N. John氏らの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌2022年1月6日号に掲載された。イチゴ腫は梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)の亜種であるpertenueに起因する感染症で、主に熱帯地方の貧しい農村に住む子供の皮膚や長骨が侵される。撲滅キャンペーンを行わなければ、2015~50年の間に160万の障害調整生存年数が失われるとされる。ナマタナイ地区38行政区のクラスター無作為化第III相試験 本研究は、イチゴ腫の治療において、標的治療に切り換える前にアジスロマイシンの集団投与を3回行う方法の有用性を示唆する仮説の検証を目的に、パプアニューギニアのニューアイルランド州ナマタナイ地区で行われた地域住民ベースの非盲検クラスター無作為化第III相試験であり、2018年4月~2019年10月の期間に実施された(“la Caixa”財団などの助成を受けた)。 地区内の38の行政区(クラスター)に居住する生後1ヵ月以上の全住民が対象となった。38行政区は、アジスロマイシンの集団投与を3回行う群(試験群)または同集団投与を1回行った後に標的治療を2回行う群(対照群)に無作為に割り付けられた。 集団投与は、ベースラインで1回目が行われ、6ヵ月後に2回目、12ヵ月後に3回目が実施された。アジスロマイシンは、WHOのガイドラインで推奨されている年齢別の用量が投与された。標的治療は、参加者全員にイチゴ腫の有無を確認するスクリーニングを行い、イチゴ腫様病変を有する参加者とその同居者、学校での接触者に対して実施された。 複合主要エンドポイントは2つで、試験集団全体における活動性イチゴ腫の有病率(ポリメラーゼ連鎖反応[PCR]法で確定)と、1~15歳の無症状の小児サブグループにおける潜在性イチゴ腫の有病率(血清検査で確定)であった。有病率の評価は18ヵ月の時点で行われ、群間差が算出された。試験群の3例でマクロライド耐性 38行政区の住人5万6,676例が対象となった。試験群と対照群に19区ずつが割り付けられ、参加者はそれぞれ2万6,238例および3万438例だった。全体で、4万2,362例(74.7%)が1回目(ベースライン)の投与を受け、6ヵ月後に3万6,810例(64.9%)、12ヵ月後には4万8,488例(85.6%)が投与を受けた。 アジスロマイシンは、試験群で5万9,852回、対照群では2万4,848回(1回目の集団投与は2万2,033回、2回目と3回目の標的治療は2回の合計でイチゴ腫様病変を有する参加者に207回、その接触者に2,608回)投与された。 試験期間中に、PCR検査で297例がイチゴ腫と確定され、1,026個の潰瘍が同定された。活動性イチゴ腫の有病率は、試験群ではベースラインの0.43%(87/2万331例)から18ヵ月時には0.04%(10/2万5,987例)へと低下し、対照群では0.46%(102/2万2,033例)から0.16%(47/2万9,954例)に減少した。クラスターの割り付けを補正した相対リスクは4.08(95%信頼区間[CI]:1.90~8.76、p<0.001)であり、試験群で有病率の減少効果が優れた。 活動性イチゴ腫の有病率は15歳未満の小児で高く、再燃例はとくに対照群の6~10歳の小児で多い傾向がみられた。 18ヵ月の時点で、試験群の小児945例と対照群の小児994例で血清検査による潜在性イチゴ腫の有病率の評価が行われた。潜在性イチゴ腫の有病率は、試験群が3.28%(95%CI:2.14~4.42)と、対照群の6.54%(5.00~8.08)に比べ低かった(クラスター割り付けと年齢を補正した相対リスク:2.03、95%CI:1.12~3.70、p=0.02)。 18ヵ月時に、試験群の3例で、マクロライド耐性と関連するA2058G変異のあるイチゴ腫が認められた。 著者は、「これらのデータは、イチゴ腫根絶の一環として、複数回の薬剤の集団投与を検討する必要があることを示唆する。また、3回の集団投与後に抗菌薬耐性がみられ、イチゴ腫の根絶には至らなかったことから、臨床および分子レベルで抗菌薬耐性の出現と拡大を慎重に監視する必要がある」としている。

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日本のワクチン史を変えた煉獄さん【Dr.倉原の“俺の本棚”】第50回

【第50回】日本のワクチン史を変えた煉獄さん著者の木下 喬弘先生は、”手を洗う救急医Taka”というTwitterアカウントで有名な人です。AbemaTVに出たり、議員と会ったり、いろいろな活動をされているので、目にしたことがある人も多いはずです。彼は、「こびナビ」と「みんパピ!」の副代表をされていますが、ここ最近の目標には、新型コロナワクチンの情報を適切に正しく国民に伝えること、そしてHPVワクチンの積極的勧奨の再開を進めること、がありました。後者については、「みんパピ!」の尽力もあって、本当に勧奨が再開されることになりました。政府を動かすってすごい話ですよ、みなさん。『みんなで知ろう! 新型コロナワクチンとHPVワクチンの大切な話』木下 喬弘/著. ワニブックス. 2021年11月発売Taka先生は、とにかく行動力と発言力の炎上力の塊のような人で、私には持っていないものばかりを持っているカリスマ性があります。昔はよくSNSで炎上していましたが、炎上した炎を体にまとって煉獄 杏寿郎ばりに「俺の責務を全うする!」と言いながら強くなっちゃいますから、結構無敵です。この本は、帯以外には炎は出てきませんので、落ち着いて読めます。さすがTaka先生、国民にわかりやすく丁寧な文章で書いてくれています。また、決してエビデンスを押し付けた感じにならず、ワクチンの歴史を踏まえ、どのように今後みなさんに理解してもらうかまでの戦略が細かく書かれてあります。個人的には、HPVワクチンの積極的勧奨に際し、ワクチン接種後に車いす生活になった女性の手紙を掲載しているのが心に刺さりました。数年、数十年経って、あのときワクチン事情ってこうだったんだよ、という振り返りにも役立ちそうな1冊です。『みんなで知ろう! 新型コロナワクチンとHPVワクチンの大切な話』木下 喬弘 /著.出版社名ワニブックス定価本体1,300円+税サイズ四六判刊行年2021年

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ホルモン薬避妊は子供の中枢神経系腫瘍リスクと関連?/JAMA

 ホルモン薬による避妊を行った母親の子供における中枢神経系の腫瘍のリスクは、ホルモン薬避妊法の経験のない母親の子供と比較して増加せず、ホルモン薬の種類ごとのリスクにも差はないことが、デンマーク・Cancer Society Research CenterのMarie Hargreave氏らの調査で示された。研究の詳細は、JAMA誌2022年1月4日号に掲載された。デンマークの全国的なコホート研究 研究グループは、デンマークにおける母親のホルモン薬避妊法の使用と子供の中枢神経系腫瘍の関連を評価する目的で、全国的なコホート研究を行った(Danish Cancer Research Foundationなどの助成を受けた)。 解析には、デンマークの人口ベースの登録データが用いられた。1996年1月1日~2014年12月31日の期間にデンマークで出生した子供が、中枢神経系腫瘍の診断に関して追跡された(最終追跡日2018年12月31日)。 ホルモン薬避妊は、レジメン(エストロゲン・プロゲスチン混合型、プロゲスチン単独型)と投与経路(経口、非経口)で分けられ、最近の使用(妊娠の過去3ヵ月以内または妊娠中)、以前の使用(妊娠の3ヵ月以上前)、非使用に分類された。注射薬、インプラント、子宮内避妊具は、使用時期に応じて分類が適切に変更された。 主要アウトカムは、20歳までに診断された中枢神経系腫瘍のハザード比(HR)および罹患率差(IRD)とされた。10万人年当たりの罹患率:最近使用5.0人、以前使用4.5人、非使用5.3人 118万5,063人の子供が解析に含まれた。1,533万5,990人年の追跡期間(平均12.9年)に725人が中枢神経系腫瘍と診断された。内訳は、ホルモン薬避妊法を最近使用した母親の子供が84人、以前に使用した母親の子供が421人、非使用の母親の子供は220人であった。診断時の子供の平均年齢は7歳で、342人(47.2%)が女児だった。 中枢神経系腫瘍の10万人年当たりの補正後罹患率は、ホルモン薬避妊法を最近使用した母親(13万6,022人)の子供が5.0人、以前使用した母親(77万8,843人)の子供が4.5人、非使用の母親(27万198人)の子供は5.3人であった。 非使用の母親の子供と比較した中枢神経系腫瘍の発生のHRは、最近使用した母親の子供が0.95(95%信頼区間[CI]:0.74~1.23、IRD:-0.3[95%CI:-1.6~1.0])、以前使用した母親の子供は0.86(0.72~1.02、-0.8[-1.7~0.0])であり、いずれも有意な差は認められなかった。 また、経口混合型、非経口混合型、経口プロゲスチン単独型、非経口薬に分けて解析しても、非使用の母親に比べ最近使用および以前使用の母親で、子供の中枢神経系腫瘍の発生に統計学的に有意な差はなかった。 著者は、「ホルモン薬避妊と子供の中枢神経系腫瘍の関連には相反する報告があるが、経口避妊薬のホルモン含有量は時とともに変動しており(たとえば、高用量から低用量へ)、本研究は以前の研究よりも最近のデータに基づくため、今回の結果も別のものとなる可能性がある」としている。

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ドイツで産んでみた(4) ドイツでの育児【空手家心臓外科医のドイツ見聞録】第9回

今回もドイツでの子育てについて、引き続き書いちゃいます。子供が産まれて早速、“Elternzeit”(育休)を1ヵ月間申請しました。「1ヵ月でいいの? 双子なのに、大丈夫?」院長には心配そうにされましたが、あんまり休みすぎるのもなーと思っての決断でした。34週での早産であったため、子供たちは1週間ほどはNICUでの入院となりました。ちなみにGreifswald大学のNICUでは380gで生まれた子供を救命して、ニュースにまでなったこともある施設です(ちょうど退院前にその子が受診に来ている姿を見かけましたが、5歳くらいで走り回っていました)。子育てに協力的なドイツの空気退院後は夫婦2人で必死に毎日を過ごしました。以前、このブログで紹介させてもらったへバメ(産婆)に加え、家政婦さん(保険を使って無料で来てくれます)にもフルで来てもらいました。Greifswald大学病院から妻と子供たちが退院したときの写真です。双子なので両手に子供を持っています。ドイツは公的支援だけでなく、街全体が子育てに協力的な印象があります。街でベビーカー(「キンダーバーゲン」と言います)を押していて、自分で店の扉を開けたことはありません。誰かしら、どこからか走ってきて、わざわざ開けてくれるのです。ちょっとした段差に出くわして、どうしようかと立ち止まったことがありました。そのときも、近くにいた小さいお婆さんが杖を振りかざして、道端でタバコを吸って談笑していた若いお兄さんの集団に何やら怒鳴りつけました。その結果、お兄さんたちが慌ててタバコの火を消して、ゾロゾロとベビーカーをみんなで持ち上げてくれたりしました。その際もお兄さん達からは「気付かなくて申し訳ない」と言われました。ドイツでは「子供に優しくするのは当たり前」が根付いている印象が残っています。

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診療所の承継時、やってはいけない3つのNG行動【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第33回

33回 診療所の承継時、やってはいけない3つのNG行動漫画・イラスト:かたぎりもとこ医業承継の業界は不動産業界と似た構造となっており、優良な案件情報を誰よりも早くキャッチするためには、私たちのような「仲介業者」との良好な関係性を築くことが不可欠です。今回は、仲介業者を利用する医師が「やってはいけないNG行動」を紹介します。(1)秘密保持契約を守らない承継案件の開示を受ける際には、売り手側が大きなリスクを負うため、秘密保持契約を締結する必要があります。(売り手側のリスクについては「第20回 『うちの診療所引き継ぐ人いない?』、うっかり漏らして大惨事!」参照)この秘密保持契約を守らず、医師仲間や他社の仲介業者に、過去に検討した案件名や詳細を話してしまう方がいます。仲介業者はこのような方とは信頼関係が築けないと考え、案件紹介を中止することがあります。(2)希望条件が定まっていなのに、多数の案件に問い合わせをする前述のように、売り手側の情報開示には大きなリスクが潜んでいるため、仲介業者は売り手から「多数の買い手に案件を開示することなく、条件が合致している場合にだけ開示してほしい」と言われているケースがよくあります。このような前提を知らず、「すべての案件を開示して」と主張する買い手の方がいます。仲介業者は「すべての案件」と言われた時点で、希望条件が整理できておらず、開業準備が整っていない方だと判断し、良質な非公開案件があった場合でも、紹介を避けるケースがあるのです。(3)急に連絡が途絶える自ら問い合わせをして、案件の開示を希望したにもかかわらず、その後連絡が途絶える買い手の方がいます。仲介業者としては、このような方を紹介すると、売り手からの信頼を毀損するリスクがあるため、積極的に案件を紹介しないようになります。以上は一例ですが、こうしたNG行動を避け、仲介業者と良好な関係性が築くことで、良質な承継案件の紹介を受けられるようになるのです。

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アサガオが体内で発芽した子ども【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第201回

アサガオが体内で発芽した子どもphoto-ACより使用最近、日本語の論文ばかり紹介していますが、結構面白くて、いろいろな他科雑誌を読んでいます。アサガオといえば、夏休みの観察日記が定番中の定番です。ウチの子どもも小学1年のとき、ゴツイ植木鉢を持って帰ってきて、毎日アサガオの観察をしていました。アサガオを、なんと体内で育ててしまったという驚愕の医学論文があるので紹介しましょう。小山新一郎ら.アサガオ種子気管支異物の1例喉頭. 2006;18:146-148.この論文の主人公は、生後5ヵ月の男の子でした。口にものを入れたい盛りですよね。ウチの子どもも、よくトミカのミニカーを口に入れていました。アサガオの種が入った容器を誤って倒してしまい、その際、いくつか種が口に入ってしまったそうです。その後、呼吸器症状が出現したため、近くの小児科を受診しました。大きな異常はないだろうと診断され、感冒薬を処方されて帰宅しました。しかし、2日後に40℃の発熱がみられ、別の小児科を受診しました。その際、胸部レントゲン写真で明確な所見が確認され、総合病院へ紹介されたそうです。その後、胸部CT検査を行うと、「左の気管支に何か詰まっていること」がわかりました。タイトルに書いてあるように、気管支にはアサガオの種が入り込んだわけですが、全身麻酔下で左気管支をのぞくと、黒褐色のアサガオの種とは異なるモノがありました。それを取り除いてみると、あれ、アサガオの種じゃなかったのだろうか。主治医は、その取り出した異物をつぶさに観察しました。すると、それは発芽して大きくなったアサガオの種でした。体内ですでにアサガオは発芽していたのです。さすが、成長が早い!おそらく、最初に小児科を受診した時点ではアサガオが発芽していなかったので、気管支の通気性がよく、画像で無気肺を指摘できなかったのでしょう。その後、気管支を閉塞することで含気不良の肺葉が出てきたということだと思います。もし風邪や喘息と診断されたままで、どんどんアサガオが成長していったらどうなっていたのかと考えると恐ろしいですね。

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そして父になる(続編・その3)【どうほどほどに子育てをすればいいの? そして「人育て」とは?(育てるスキル)】Part 1

今回のキーワード「人育て」(人材育成)足場作り(スカフォルディング)仕掛け(ギミック)お手本(モデリング)ルール作り(オペラント条件づけ)理由づけ(合理性)お目付役(客観性)ほどほど度(介入レベル)前回(続編・その2)では、映画「そして父になる」を通して、子育ての正解とは、厳し過ぎず、自由過ぎず、ほどほどに子育てをする、つまり非認知能力をまず育んだ上で、認知能力を自ら高めることを促す、自律的な子育てであることが分かりました。そして、その根拠を、行動遺伝学による研究と進化心理学による解釈から導きました。それでは、実際に、どう「ほどほどに」子育てをすればいいのでしょうか?核家族化、少子化、一人親、ワンオペなど、現代の家庭環境が急激に変化し続ける最中、私たちは、本来の「ほどほどに」という子育てのあり方を見失ってしまいそうです。この答えを探るために、今回(続編・その3)は、引き続き、この映画を取り上げます。前回にご説明した、良い能力を促し悪い「能力」を抑えるという2つの家庭環境の機能を踏まえて、自律的に子どもを育てるスキルをご紹介します。さらに、そこから「人育て」(人材育成)のヒントを一緒に考えてみましょう。なお、この記事の中の家庭環境の機能とは、発達心理学の家族機能のいわゆる父性に当たります。母性と父性による家族機能の詳細については、関連記事1をご覧ください。どう認知能力を自ら高めることを促す?-良い能力を促す取り組み1つ目の家庭環境の機能とは、言語理解を主とする認知能力を促すことでした。その2では、この機能を、現代社会に望ましいながらも癖になりにくい(嗜癖性が弱い)能力を促進する文化的な「アゴニスト」(刺激薬)であるとご説明しました。それでは、この良い能力をどう促しましょうか? ここから、大きく3つの取り組みを挙げてみましょう。(1)足場作り映画のラストシーン。野々宮家の慶多が父親の良多に「スパイダーマンってクモだって知ってた?」と尋ねます。良多は「ううん、初めて知った」と優しく答えます。子どもの取り違え騒動を経て、彼が変わったのが見て取れるシーンです。一般的な知識なので、おそらく彼は知っていたでしょう。でも知らないと敢えて答えたのです。一方で、かつての良多だったら、「もちろん知ってるよ。クモってのはな・・・」と授業が始まったでしょう。1つ目の取り組みは、足場作りです(スカフォルディング)。足場とは、もともと建物を作る時の作業のために簡易的に組まれた足を置ける板などのスペースです。この足場と同じように、子どもが何か新しいことを知ろうとしたり、少し難しいことにチャレンジしようとするときに、その動機を高める親の関わりです。ここで、一方的にどんどん教え込んだり、先回りして教えてしまったら、その2でご説明した厳格な家庭環境になります。逆にまったく教えなかったら、その2でご説明した放任的な家庭環境になります。そうではなくて、「ほどほどに」教えるのです。たとえば、 幼児はよく「なんで?」と質問します。この時に、すぐに答えを言わないことです。そして、必ずしもきちんと答えないことです。分からないふりをして、「なんでだろう」「なんでだと思う?」と質問に質問で返します。ヒントをさりげなく言ったり、わざと間違えてツッコませることもします。また、子どもが学校から帰った時に、「今日は何を勉強した?」と聞かないことです。代わりに、「今日は何を質問した?」と聞くのです。「何が気になった?」「何をもっと知りたいと思った?」でもいいでしょう。これは、答えを見つけるのではなく、疑問を見つける働きかけです。結果よりもプロセスに重きを置く自発性(非認知能力)が育まれるでしょう。なお、良い結果を褒めたり、ご褒美をあげることは、さらに動機を高めると信じている親は多いです。しかし、ここには、ある落とし穴があります。実際の心理実験において、まず、絵を描くのが好きな子どもたちを、上手に描いたら賞状をあげるグループと何もしないグループに分けます、そして、絵を描かせます。すると、賞状をもらったグループの子どもは、何もしなかったグループの子どもよりも、その後にただ絵を描く時に、その時間が短くなったという結果が出ています。ご褒美がなければもうやらないと心変わりしていった訳です。つまり、何かをする楽しさやおもしろさ(内発的動機づけ)が、報酬(外発的動機づけ)によって削がれてしまう訳です(アンダーマイニング現象)。このことから、子どもが楽しんで何かをしている時は、出来栄え(結果)だけを極端に褒めたり、ご褒美を毎回あげたりするのは望ましくないことが分かります。そうされた子どもは、出来栄えを褒められることやご褒美をもらうことばかりにとらわれてしまうからです。出来栄えを褒めたりご褒美をあげるのは時々(ほどほど)にして、まずは「頑張ってるね」とその頑張り(プロセス)を褒めたり、「楽しいね」と共感することが良いでしょう。褒めるスキルの詳細については、関連記事2をご覧ください。似たように、子どもが本好きだからと言って、本をどんどん買い与えたり、読み聞かせをしつこくやると、本のありがたみや読み聞かせを聞く喜びが削がれたり、言いなりになりたくないという反抗の心理を煽るリスクがあります(心理的リアクタンス)。やはり、もったいぶるくらい(ほどほど)が効果的でしょう。また、子どもへの声かけとして「宿題は?」「勉強しなさい」と頻繁にプレッシャーをかけることは、今からやろうとしたり、やりたいと思っていた子どもの気持ちを削いでしまうリスクがあります。反抗期だととくにです。「人育て」(人材育成)においても、まったく同じことが言えます。好きで仕事に入れ込んでいるだけなのに、報酬が上乗せされたり、報酬ばかりをチラつかす職場環境は、逆に報酬がなければやらないという考え方に部下を仕向けてしまうリスクがあります。また、さらに教えてあげようと好意的に迫ってくる上司がいる職場は、部下から煙たく思われてしまいます。報酬や指導は適度に(ほどほどに)して、本人の成長やチームプレイ(人間関係)も評価することが効果的でしょう。ほどほどであることは、育つ側だけでなく、育てる側もストレスを減らし、自分の仕事に専念できるでしょう。次のページへ >>

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