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糖尿病の合併症を「線」の血糖管理で防ぐ/アボットジャパン

 アボットジャパン合同株式会社は、同社が製造・販売する持続血糖測定器(CGM)の「FreeStyle リブレ」(以下「リブレ」と略す)が、2022年4月より「インスリン製剤の自己注射を1日1回以上行っている入院中の患者以外の患者」にも保険適用が拡大されることを受け、オンラインでメディアセミナーを開催した。 セミナーでは、CGMの使用で把握できる血糖スパイクや夜間低血糖への対応のほか、糖尿病の合併症予防への効果、日常の糖尿病管理での活かし方などが説明された。思わしくない糖尿病患者の血糖コントロール セミナーでは、小川 渉氏(神戸大学大学院医学研究科 糖尿病・内分泌内科学部門 教授)を講師に迎え、「糖尿病治療が変わる-技術が可能にする新しい糖尿病管理」をテーマに行われた。 糖尿病の患者数(強く疑われる者、可能性を否定できない者含む)は2016年時点で2,000万人と推定され、合併症予防のための血糖コントロール目標値をHbA1c7.0%未満として診療が行われている。ただ、実際わが国のHbA1cの分布では、1型糖尿病では平均7.77%、2型糖尿病では平均7.1%と達成が難しい現状である(2019年)。 糖尿病の治療は、食事・運動療法などの生活習慣改善から始まり、血糖コントロールがうまくいかない場合、経口薬(メトホルミン、DPP-4阻害薬など)、注射薬(GLP-1受容体作動薬など)、インスリン注射へと進展していく。そして、注射薬になると血糖自己測定(SMBG)が保険適用となり、インスリンを1日3~4回注射している患者ではCGMも保険適用となる。 インスリン治療の課題として「低血糖」が指摘されている。低血糖は、短期的には意識障害などをもたらし、長期的には心血管障害の増加や認知機能への悪影響をもたらす。そして、インスリン治療に伴う「重症低血糖」への影響は60%以上との研究報告もあり、低血糖の発生をいかに抑えるかがインスリン治療での課題とされている。 実際、インスリン使用患者では保険適用としてSMBGで血糖変動を追うことができるが、1日数回のSMBGでは食後高血糖や夜間低血糖などを十分評価することが難しいとされている。また、SMBGは患者にとって大きな手間であり、ハードルの高い手技とされている。 そこでCGMが登場し、センサーが細胞間質液中のグルコース濃度を測定、血糖値に換算することで、血糖の推移を点ではなく、連続した「線」で表すことができるようになった。CGMにより、気付かれていなかった高血糖や低血糖が認識できるようになり、適切な治療法の選択や患者自身のより良い治療行動への進展ができるようになった。CGMの使用で適切な治療ができ、患者QOLも改善 今回保険適用が拡大されるリブレは、2016年5月に薬事承認を取得し、2017年1月より発売されている間歇スキャン式持続グルコース測定器。腕に500円玉大のセンサーを装着し、「かざす」だけで1日何度でも血糖値(グルコ―ス値)を確認し、「かざしていないとき」もセンサーは血糖値を連続して測定・記録する。センサーは14日間装着でき、容易に装着ができる。 発売後、国内外で臨床エビデンスがまとめられている。たとえば2型糖尿病患者の介入試験“REPLACE試験”では、HbA1cに変化はなかったものの、低血糖発現時間の短縮がみられた。また、日本人2型糖尿病患者を対象とした“SHIFT試験”では、ベースラインからの平均HbA1cの減少、血糖が好ましい範囲に入っている時間の割合(Time in range)の増加、患者満足度の向上もみられた。とくに患者のSMBGの回数が減り、リブレのスキャン回数が増加したほか、インスリンの使用量の増加も抑えられていた。 以上からリブレの臨床での使用により、低血糖の減少、血糖コントロールの改善、急性糖尿病関連イベントの改善、患者QOLの改善につながる効果が期待されている。また、2022年4月の保険改定でCGMが「インスリン製剤の自己注射を1日1回以上行っている」と条件が緩和されることで、より使用できる対象が拡大する。 最後に小川氏は、「こうした新しい診療機器の使用により、適切な薬剤、治療法の選択、血糖状況の把握による患者の療養行動の変化により、低血糖など短期イベント、慢性合併症など長期イベントの軽減ができ、患者の健康寿命の延伸と良好なQOLの実現ができる」と糖尿病診療の展望を語り、講演を終えた。

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ADHD治療に対するカフェインの影響

 注意欠陥多動性障害(ADHD)は、不注意および/または多動性・衝動性の持続的なパターンを特徴とする神経発達障害である。ADHDは、主に前頭前野のドパミン(DA)およびノルエピネフリン(NE)回路の異常から発生すると考えられている。ADHD治療薬の副作用に対する懸念やADHDの診断率の向上により、薬理学的アプローチの代替/補完的な介入が求められている。ここ数年、ADHD治療に対するカフェイン摂取の潜在的な影響に関する動物実験レベルの研究は蓄積されているが、最新のエビデンスに基づくシステマティックレビューは十分に行われていなかった。スペイン・カタルーニャオベルタ大学のJavier C. Vazquez氏らは、前臨床レベルでのADHD治療に対するカフェインの影響について、システマティックレビューを実施した。Nutrients誌2022年2月10日号の報告。カフェイン摂取はADHD治療で注意力の向上や学習に対する改善が期待できる 2021年9月1日時点で入手可能な前臨床レベルでのADHD治療に対するカフェインの影響を検討したエビデンスを抽出し、PRISMAガイドラインに基づくシステマティックレビューを実施した。 ADHD治療に対するカフェインの影響についてのシステマティックレビューの主な結果は以下のとおり。・カフェイン摂取はADHD治療で、血圧や体重に影響を及ぼすことなく、注意力の向上、学習、記憶、嗅覚の識別に対する改善が期待できる。・これらの結果は、神経・分子レベルで支持されている。・しかし、多動性・衝動性の調整に対するADHD治療のカフェインの影響に関しては、矛盾した結果が得られており、さらなる解明が必要とされる。 著者らは「これら動物実験レベルで確認されたADHDに対するカフェインの影響は、とくに青年期ADHD治療に流用される可能性が示唆された」としている。

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小児ICUスタッフへの複合的心肺蘇生トレーニング、生存退院に寄与せず/JAMA

 小児集中治療室(ICU)のスタッフに対する、診療現場における心肺蘇生法(CPR)訓練と心停止に関する生理学的デブリーフィングの複合的トレーニングの実施は、通常の心停止マネジメントと比べ、小児ICUにおける心停止患児の良好な神経学的アウトカムでの退院生存を、有意に改善しなかった。米国・ペンシルベニア大学のRobert M. Sutton氏らICU-RESUS and Eunice Kennedy Shriver National Institute of Child Healthなどの研究グループが、無作為化試験の結果を報告した。院内心停止患児の生存退院率は約40%で、CPR中の拡張期血圧の閾値達成と心肺再開後の収縮期血圧の目標達成が、アウトカムを改善する可能性が示唆されていた。JAMA誌2022年3月8日号掲載の報告。18ヵ所の小児ICUでハイブリッド・ステップウェッジ・クラスター試験 研究グループは、米国の医療機関10施設にある18ヵ所の小児ICUを通じて、並行ハイブリッド・ステップウェッジ・クラスター無作為化試験「ICU-RESUS試験」を行った。 同試験では、無作為に2ヵ所の試験期間を継続的介入、2ヵ所を継続的コントロールに割り付け、6ヵ所はコントロールから介入へとステップウェッジに移行した。 介入期間には、ICU蘇生の質向上を目的に、(1)マネキンを使った診療現場におけるCPR訓練(各ユニット48回/月)、(2)心停止イベントに関する生理学的デブリーフィング(各ユニット1回/月)の2つのプログラムを行った(患児数526例)。コントロール期間には、通常の小児ICU心停止マネジメントを行った(患児数548例)。 主要アウトカムは退院時の良好な神経学的アウトカムで、小児脳機能カテゴリーのスコア(範囲:1[正常]~6[脳死または死亡])が1~3、またはベースラインからの変化なしと定義した。副次アウトカムは、生存退院率だった。退院時の良好な神経学的アウトカム、生存退院率ともに両群で同等 2016年10月1日~2021年3月31日にかけて、小児ICUに入室した1,129例(年齢中央値0.6歳、女児44%)を対象に試験を開始し、うち1,074例を対象に主要解析を行った(最終追跡期間2021年4月30日)。 良好な神経学的アウトカムを有しての生存退院率は、介入群53.8%、コントロール群52.4%と両群で有意差はなかった(リスク差:3.2%[95%信頼区間[CI]:-4.6~11.4]、補正後オッズ比[OR]:1.08[95%CI:0.76~1.53])。 生存退院率についても、介入群58.0%、コントロール群56.8%と両群で有意差はなかった(リスク差:1.6%[95%CI:-6.2~9.7]、補正後OR:1.03[95%CI:0.73~1.47])。

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4回目接種は必要か?その時期は?~免疫学の視点から[宮坂昌之氏インタビュー 前編]

感染者数・死者数ともに過去最多となったオミクロン株(BA.1)による第6波のピークは越えたとみられ、ワクチン3回目接種が進みつつある中、4回目接種についても政府が検討をはじめている。免疫学の視点からみた4回目接種の必要性や既感染者へのワクチン接種について、宮坂 昌之氏(大阪大学免疫学フロンティア研究センター招へい教授)に話を伺った。4回目接種は必要か?その時期は?~免疫学の視点から[宮坂昌之氏インタビュー 前編]―4回目接種の必要性やその時期について、現時点ではどのようにお考えですか?まず1つ言えることは、4回目がいつ必要になるかということは現時点でははっきりしていないものの、必要になったときに遅れずに対応できるように、国としては準備をしておかないといけないと思います。そのうえで、ワクチンの有効性は大きく年齢依存的・かつ個人差があり、とくに高齢者では2回接種しても抗体がしっかり作れない人というのが存在します。例えば下記は和歌山県での2回接種6ヵ月後のS抗体値を年齢別にみたものですが(高齢者施設での職員を含む100人の調査)、75歳を超えると2回接種後でも十分に抗体を作れない人の頻度が高くなっていることがわかります。抗体価は時間に応じてさらに減少していくので、3回目の追加接種が必要になってきます。画像を拡大する2回接種しても抗体価が上がらなかった人たちについても、多くは3回目の接種で大きく抗体価を上げることができます。しかし同時になかには2回接種しても3回接種しても反応しない人というのが一定数存在し、高齢者ほど多くなります。S抗体値はウイルスの初期防御に重要な役割を果たすので、これが低くても細胞性免疫やナチュラルキラー細胞などが働き、2回接種していれば重症化予防効果は期待できますが、ブレークスルー感染の大きな原因の1つとなっていると考えられます。またオミクロン株は免疫回避性があり中和抗体ができにくく、下記は査読前のデータですが、2回接種だけでは不十分なことがわかります。3回目の接種によって、BA.1だけでなく今後日本でも置き換わりが進む可能性のあるBA.2に対しても、中和抗体価を上げることができています。一方で、今後は3回目接種によって上がった抗体価も下がっていくと考えられ、いずれかのタイミングで4回目接種が必要となると考えますが、それがいつかに関しては、次に現れる変異株がどのような特徴を持つかによるでしょう。画像を拡大する免疫学の立場から言えることは、1回より2回、2回よりも3回免疫をつけたほうが免疫は長続きします。1回接種では2~3ヵ月、2回接種では4~6ヵ月で抗体価が下がり、3回接種では6~8ヵ月続いているという報告がありますが、それが1年続くかは分かりません。上記左図の追加接種2週間後のオミクロン株に対する中和抗体価のばらつきをみてもわかるように(100~1万ほどの幅)、個人差が大きいことにも注意が必要です。適切な接種時期を考えるうえで重要なもう一つの視点としては、接種間隔が短すぎてもよくない可能性です。下記は1回目と2回目の接種間隔を4週か16週かで比較したデータですが、16週としたほうがオミクロン株を含む種々の変異株に反応する良質な中和抗体が得られています。これは1回目接種後にリンパ球が十分に成熟する機会が与えられると、2回目に抗原が入ってきたときに十分に抗体を作る能力ができるのだと考えられます。画像を拡大する3回目の接種に関しても、2回目接種後2~3ヵ月などあまり早くに接種すると、抗体価は一時的に上がるものの、早く下がってしまうというデータがでてきています。イスラエルはこの状態に該当してしまっているのではないでしょうか。おそらく4回目接種についても同じことがいえる可能性が高く、感染性がより高いなどひどく恐い変異株が入ってきていない限り、半年ないし8ヵ月など、データをみながら十分な間隔を空けて慌てずに4回目接種を行っていけばよいと思います。ワクチン接種は接種者本人が得られる直接効果だけでなく、感染伝播に対しても大きな防御効果を発揮します。ワクチンを接種した人が感染しても、のどの中に抗体が存在するわけなので、そこにウイルスが増えたとしても、抗体にくるまれた形でくしゃみや咳によってウイルスが排出されます。中和抗体にくるまれたウイルスは、感染能力が下がります。PCRでは同じウイルス量が検出されますが、感染性のあるウイルス量はぐんと下がるのです。したがってやはり集団としての感染リスクを下げるには、3回目までの接種ももちろん重要ですし、時期を見極めながら4回目接種も行っていくことが必要となってくると考えています。―既感染者へのワクチン接種や、再感染リスクについてはどのように考えればよいでしょう?ウイルス感染によってできた免疫とワクチン接種によってできた免疫を比較すると、ワクチン接種では約9割の人に免疫を作ることができるのに対し、感染者の場合はウイルスによる感染の度合いや個人の免疫能力に左右されるので、次の感染時に確実に中和できる免疫ができているかというと、やはりワクチン接種のほうが確度が高いと言えます。先ほどの査読前データの右図をみると、BA.1感染者の血清には、中国での元の株(図中WA)・BA.2いずれも中和する抗体が確認されており、BA.1感染者はこの中和抗体がある間、BA.2にすぐには感染しにくいと考えられます。一方、英国からのデータをみると、デルタ以前の株への感染者の抗体はオミクロン株を認識しにくく、再感染する可能性が高いことが示唆されています。下図の通り、オミクロン株が流行するまでは再感染する人はそれほど多くなかったのに対し、オミクロン株流行下では急激に増加しています。今後出てくる変異株の特徴にもよりますが、既感染者もいずれかのタイミングでワクチン接種を受けておくほうが有利だと思います。画像を拡大する(インタビュー:2022年3月11日、聞き手・構成:ケアネット 遊佐 なつみ)

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今後登場する新たなワクチンの可能性は~免疫学の視点から[宮坂昌之氏インタビュー 後編]

感染者数・死者数ともに過去最多となったオミクロン株(BA.1)による第6波のピークは越えたとみられ、ワクチン3回目接種が進みつつある中、4回目接種についても政府が検討をはじめている。宮坂 昌之氏(大阪大学免疫学フロンティア研究センター招へい教授)へのインタビュー後編では、今後登場する新たなワクチンの4回目接種における可能性や小児へのワクチン接種について話を伺った。今後登場する新たなワクチンの可能性は~免疫学の視点から[宮坂昌之氏インタビュー 後編]―交互接種の有効性について、免疫学の観点からはどのように考えますか? 今後登場するかもしれない新たなワクチンについても同じことが期待できるのでしょうか?当初英国で多く使われたアストラゼネカ社のウイルスベクターワクチンの接種後に、mRNAワクチンを接種した場合、同じウイルスベクターワクチンを接種した場合より高い有効性が報告されました。また、mRNAワクチンどうしの交互接種の場合でも、他社のワクチンを接種したほうがおおむね良い結果がでているようです。B型肝炎ワクチンなどですでによくわかっていることですが、100人にワクチンを打つと5人ぐらいノンレスポンダーが発生します。この人たちは肝炎ウイルスワクチンに一切反応できないかというとそうではなくて、A社のワクチンでは反応しなかったが、B社のワクチンでは反応できたという例が報告されています。ファイザー社とモデルナ社のmRNAワクチンで言えば、同じスパイクタンパク質であっても作り方が違うことで、Bに反応できなくてもB‘には反応できるということが免疫の世界では起こり得ます。抗原を変えるということは全然悪いことではなくて、マイナスはむしろ考えにくく、変えてよくなることの方が通常は多いと考えられます。また、1~2回目の接種で基礎免疫ができていれば、新型コロナウイルス反応性のT細胞とB細胞の数が増えていて、スパイクタンパク質(抗原)が入ってきたときの親和性が高まり準備態勢が整った状態(少量の抗原でも認識できる状態)といえます。たとえ1~2回目のワクチンとしてみたときにmRNAワクチンに効果が劣るものだったとしても、4回目のワクチンとしては十分に使えるものがでてくる可能性はあるでしょう。―小児へのワクチン接種が開始されましたが、効果の持続期間が短いという報告もあります。小児へのワクチン接種についてはどのようにお考えですか?基本的には若ければ若いほど自然免疫の力も獲得免疫の力も高く、感染時の新型コロナ反応性T細胞の働きも成人よりも小児で高くなっています。ところがB細胞をみてみると、抗体は作られるものの抗体価が早く低下してしまうという傾向が報告されています。小児がワクチンを打つべきかどうかとなったときに、私はよく下記のスライドを使って説明しています。両親がまずきちんとワクチンを打っていれば、アルファ株感染の場合で約70%、デルタ株感染の場合でも約60%子どもへの家庭内感染リスクを下げることができます。画像を拡大するまた、オミクロン株流行下で小児がどれくらい感染し、入院者がでているかをみてみると、ヨーロッパでは感染者・入院者ともに急激に増加しています。一方成人では感染者の増加に比して入院者はそれほど増加していません。この原因はオミクロン株が重症化しにくいことに加えて、成人のワクチン接種率が例えばイギリスでは70%以上など非常に高かったことが寄与したと考えられます。日本でもオミクロン株流行下で小児感染者が増えたことは間違いないと思いますが、入院者がどれくらい増えたかというデータはまだ出てきていません。そのデータもみながら判断していく必要があるとは思いますが、現段階では、慌てて5~11歳にもワクチンを打つべきかという議論はあるべきだと思います。私は今の段階では、12歳以上は2回の接種を、成人は追加接種も含めてしっかり受けたうえで、5~11歳については家庭の状況次第ではないかと思っています。ワクチンはゼロリスクではないので、例えば家に高齢者がいる場合や、両親の職業上小児が学校で感染してくることによる影響が大きい場合など、ケースバイケースで親御さんが判断して、打つ人がいてもいいし打たない人がいてもいいという位置づけであるべきではないかと考えています。画像を拡大する(インタビュー:2022年3月11日、聞き手・構成:ケアネット 遊佐 なつみ)

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コロナ禍で医療従事者のビタミンD欠乏が顕著/国立成育医療研究センター

 日々の生活でビタミンDが不足すると免疫力を低下させる可能性があり、長期間の屋内生活での運動不足(骨刺激不足)では骨粗鬆症への影響も懸念される。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が蔓延する環境下で、医療従事者の長期間の屋内生活での影響はどのようなものがあるだろうか。 国立成育医療研究センター(理事長:五十嵐 隆氏)の「ナショナルセンター職員における新型コロナウイルス感染症の実態と要因に関する多施設共同観察研究」グループは、感染者の易感染性や重症化要因を評価する目的で、COVID-19患者受け入れ病院である同センターのハイリスク医療従事者361人(男性87人、女性274人)を対象に、2021年3月1日~5日に調査を行い、その結果を発表した。 調査の結果、対象者にはビタミンDの欠乏が顕著にみられた。そのため医療従事者だけでなく、長期間の屋内生活をしている方には、適度な日光浴もしくはビタミンDの補充(食事、サプリメント、薬剤)が重要である可能性が示唆された。屋内生活が長いときに意識したいビタミンDの摂取【背景・目的】 COVID-19の最大の特徴は、ウイルス側の感染性および病原性の変化に加え、感染者(ホスト側)の年齢や基礎疾患などによる病状の多様性にある。この点に着目し、ホスト側の易感染性もしくは重症化要因を評価するために、感染防御能力低下、動脈硬化、耐糖能異常、肝・腎機能障害、栄養低下、骨髄機能低下のスクリーニング調査を行った。【結果概要】 ・本調査で顕著に異常を認めたのはビタミンDであり、性別、年齢を問わず多くの研究参加者で不足していた。・COVID-19の防御対策や、医療従事による長期間の室内生活が紫外線吸収の低下を招いたことが原因の1つとして考えられる。・ビタミンDには多様な生理作用があり、細胞の分化・増殖や免疫機構、骨代謝と深くかかわっている。・ビタミンD不足においては、感染防御能力の低下に加え、骨代謝の低下と運動不足(骨刺激不足)による骨粗鬆症や、それに起因する骨折への注意が必要。【今後の展望・発表者のコメント】 ビタミンDを補充する方法はまちまちだが、日光(紫外線)曝露、経口摂取とそれに加え薬剤(活性型ビタミンD3製剤)の補充により免疫能力の改善、骨粗鬆症の予防が期待される。この調査は医療従事者を対象とした調査結果だが、コロナ禍で長期間の屋内生活をしている方は、適度の日光浴やビタミンDの補充を行い、ビタミンD不足を起因とする感染防御能力の低下、骨代謝の低下と運動不足による骨粗鬆症や、骨折への注意が必要と警鐘を鳴らしている。

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医業承継における「お宝物件」の探し方【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第37回

第37回 医業承継における「お宝物件」の探し方漫画・イラスト:かたぎりもとこ「これから開業したい」という医師の多くが、「こんな診療をしたい」という視点から、開業物件や承継案件を探します。弊社にご相談いただく方の中にも、「二診体制を取りたいので、50坪以上で」といった希望を述べられる方が多くいます。そして、広さや立地の次に重視するのは「現在の患者数」と「直近の売り上げ」です。もちろん、現在の患者数が多く、売り上げが高い診療所が優良案件であることは間違いありませんが、そうしたところは当然ながら売値も高くなります。私たち仲介業者は「伸び代が大きい」「リスクを最小化できる」といった観点から「お宝物件」を探し、買い手の方に提案しています。「伸び代が大きい」とは、近隣に「強い競合相手」が存在せず、「人口に対する競合の数自体も少ない」案件です。現在の患者数が少なく売り上げが低いと、その物件自体に興味を失ってしまう方が多いのですが、よく見るとその背景に「院長が高齢で、午前しか診療していない」「予約制を取っており、初診を積極的に受けていない」などの理由がある場合があります。このような案件で「強い競合が不在」「競合の数自体も少ない」といったことがわかれば、次の経営者のやり方次第で大きく売り上げを伸ばせる可能性がある「伸び代が大きい=お宝物件」となるのです。もうひとつの観点である「リスクを最小化できる」には、「テナントが狭い(坪数が少ない)」物件が当てはまることが多いです。狭い物件は、あまり集患数を増やせないので売り上げもそこそこであるケースが多く、買い手はそれをネガティブに捉えがちですが、私たちの見方は異なります。狭い診療所はテナント代が安く、スタッフも少ないため、固定費を抑えられ、結果としてしっかり利益を出せていることが多いのです。医師は診察のプロであっても経営は初めて、という方が多いでしょう。リスクを最小限にしてスタートすれば、うまくいかなかった場合の軌道修正もしやすくなります。

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第99回 厚労省のワクチン情報と併せて読みたい、お奨め情報源は?

新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の5~11歳の小児に対するワクチン接種が各地でスタートした。ご存じのようにこの年代の小児を対象とした新型コロナワクチン接種に関しては、現時点ではオミクロン株への効果に関するデータが不十分なことなどを理由に、予防接種法に基づく接種の「努力義務」は課せられていない。一方、今回の5~11歳の小児に対する接種開始とともに、SNS上ではワクチンに否定的な人たちの活動が活発化している。そんな最中、Twitterではある動画が話題になっている。一見すると店員と見間違うような服装をした女性が、とあるフードコートで新型コロナワクチンの危険性を訴えるビラを配布していた様子を撮影した動画だ。この件はすでに一部インターネットメディアでも報じられている。街角でビラを配られるのとは違い、店員を装えば店にいるお客さんも警戒心が薄れ、何の気なしに受け取るだろう。当事者たちが否定したとしても「錯覚商法」のような悪質さが漂う。また、一部の医療機関には、やはり小児への接種を行わないよう求めるビラが郵送されているとも聞く。かく言う私は小児接種に関してある週刊誌のコメント取材を受け、小児でも接種を推奨する向きのコメントをしたが、その記事がネット上で公開されると、Twitter上でわざわざ記事を引用しながら、こちらのアカウントに嫌味を飛ばしてくるツイートを数件ほど経験している。ちなみに私のコメントの趣旨は、(1)基礎疾患を有する/同居家族に基礎疾患を有する人がいる小児の接種は待ったなし、(2)この年代は他人との触れ合いが教育の大きな目的の一つであり、この点はリモートでは代用不可能、(3)幼稚園・保育園、小学校でクラスターによる休園・休校が相次いでいるが、成人でオミクロン株の感染・発症予防効果も一定程度認められているワクチンの接種は休園・休校のリスク低減のためには無駄ではない、などである。冒頭に紹介したように一部の行き過ぎた抗議活動がある現状とTwitter上で私をわざわざ探し出してメンションを飛ばしてくるような人の存在を考えれば、編集部のほうに直接抗議があってもおかしくはないだろう(こういう場合、編集者はこちらを気遣って実際に抗議があっても一切知らせないことが多い)。一方で対象の子供を持つ知人たちからは接種を考えるうえで私のコメントが参考になったという声をもらった。その中には子供に接種させるという人もいれば、それでもまだ見合わせたいという人もいる。大人で接種直後の発熱経験者が多く、それこそ副反応報告大会よろしく自身の体温計画像を付けた投稿がSNS上に散見されるような状況に加え、未成年では感染時も無症状・軽症で治癒する確率が成人と比べて高いことなど、子供への接種についてはいろいろ考えるところもあるだろう。そんな中に「厚生労働省のホームページの記述が分かりにくくて」という意見を耳にした。たまたま小児向けに厚生労働省がどのような情報を発信しているかは未確認だったため、覗いてみたが…一瞬にして「これはダメだ」と思ってしまった。まず、厚生労働省の新型コロナワクチンのページに行くと、3回目の追加接種、一般的な有効性・安全性、小児接種の項目に飛ぶ部分がほぼ似たようなデザインで並列となっている。民間ならばこうした時に、それぞれのシーンをイメージさせるような柔らかいイラストのアイコンなどを設置するだろう。この点の違いだけで先のページに進む人の数が変わってくることもしばしばだ。そしてこの厚労省設置の小児接種のタブをクリックして先に進むと、冒頭ページは接種の基本情報や手順を解説している。この点は中央官庁としては当然のことだろう。しかし、問題はここからだ。子供の接種に迷う親が一番気にするのは当然ながらワクチンの有効性と安全性、とりわけ後者である。ところがこれらの情報に飛ぶ部分が無機質に並べられているだけで、分かりにくく、さらに飛んだ先でも情報を無機質に羅列している。たとえば、副反応については発生頻度ごとに表にまとめている。これはこれで良いのだが、ある程度噛み砕いた解釈を文字で付記する必要がある。これまで大人の接種で多くの人が苦しんだ副反応は発熱である。この点で言うと小児の臨床試験で確認された発熱頻度は10%未満で大人と比べればかなり少ない。これは成人向けと比べて接種量が3分に1になっていることが影響していると思われる。にもかかわらず、そうした解説がまるでない。行政的には中立的に表記をしなければならないのかもしれないが、発熱頻度が成人と比べてかなり低いのは事実であり、その点は付記しても問題はないはずだ。そしてこの事実を知るだけでも安心する親は少なくないだろう。また、そもそも使用している用語が硬すぎる。たとえばQ&Aの「小児(5~11歳)の接種では、どのような効果がありますか。」では、「中和抗体価」「抗体応答率」「非劣性」など一般人には馴染みのない用語がポンポン飛び出す。後二者については直後のカッコ内で補足しているが、むしろ一般向けではこのカッコ内の解説文章を主文にし、中和抗体価などのなじみのない用語をカッコの中に入れるか、あるいは使わないという選択肢のほうが無難だ。官僚や医療従事者が思っている以上に一般人は見慣れない文字の並びには拒否反応を示すからだ。こうしたすべての点で優れているのが、最近有名になっている若手医師有志が作成した新型コロナワクチン情報サイト「こびナビ」である。今このサイトに飛べば分かるが、すでに冒頭から小児接種の解説ページに飛べるようにアイコンが設置されている。その中では前述の発熱の副反応頻度についても、わざわざ「大人の半分以下」と解釈がつけられている。実際、このサイトの取り組みは、厚生労働省が医療機関へのかかり方の改善につながる優れた取り組みを奨励し広く普及することを目的に開催している第3回「上手な医療のかかり方アワード」の最優秀賞をこの度受賞している。私自身このサイトは当初から非常に興味深く閲覧してきたし、「こびナビ」のメンバーとなっている医師たちがSNS上で行っている積極的な情報発信にも注目してきた。ただ、その反面こびナビに参加している医師たちは、今回の新型コロナワクチンを快く思わない多数の個人からの支離滅裂な言説やいわれのない誹謗中傷を投げつけられ、それに個人レベルで必死に対応している様子も私は目にしている。だからこそ厚生労働省が彼らのこうした取り組みを表彰したことは非常に望ましいことだと思う。一方で彼らこびナビの医師たちは、誤解に基づくとはいえ本来厚労省に投げつけられるはずの石を代わりに投げつけられ苦闘している。懸賞も結構だが、こびナビのような発信手法をもう少し自身の情報発信にも生かしてはどうだろうかと思わずにいられない。

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口唇(口腔)のけがに対する縫合処置【漫画でわかる創傷治療のコツ】第9回

第9回 口唇(口腔)のけがに対する縫合処置《解説》図1今回は顔面外傷の中でも、口唇と口腔内の創傷についての対応を説明していきます。口唇は特殊な構造であり、外傷の際は適切な処置を施さないと傷跡が非常に目立ってしまう部位です。診察では、まず創部を観察しましょう。創傷の範囲、程度を推測するのに受傷機転は重要なので、処置の前に状況をしっかり聞き取ります。その上で、創がどんな状態か見て縫合が必要なのか判断します。知覚や表情に異常がないか(ある場合は顔面神経の損傷を疑う)を確認し、耳下腺管の損傷についても確認します(図1参照)。疑われる場合は造影が必要になることもあります。また、異物の有無も確認しましょう。場合によって単純X線、CT検査を検討します。口唇部の解剖と傷の程度による縫合処置口唇部の解剖の特徴としては、赤唇と白唇と呼ばれる皮膚と粘膜の境界があることと、遊離縁を形成し、皮膚・口輪筋の筋層・粘膜の3層構造になっていることです。(1)口唇の擦過創、浅いびらん口唇・口腔部に創傷被覆材は使いにくいため、白色ワセリンや口内炎用軟膏などの塗布で保存的に診ていけばよいです。(2)筋層に達する裂創口唇部の外傷の多くが外力と歯による損傷であり、筋層深くまでの損傷または貫通創であることが多いです。とくに口唇は遊離縁になっており組織欠損しやすい部分です。粘膜や舌は感染に強く治癒しやすい部位ではありますが、しっかり洗浄し縫合後も自宅で清潔に保ってもらうよう指示することが大切です。図2欠損がほぼない場合ズレないように縫合開始しましょう(基本は粘膜~筋層~皮膚の3層縫合)。糸は皮膚側6−0、角針の非吸収糸、粘膜側4−0、5−0、丸針の吸収糸などを選びます。エピネフリン入りの麻酔薬を注射すると、赤唇の赤みがなくなって境界がわからなくなるので先にマーキングしておくことが重要です!(図2参照)それでは、縫合を始めましょう!まずは口腔粘膜と赤唇(乾燥唇)の境界部を縫合します。次に、口輪筋の全層縫合を赤唇と白唇の境界部が一致するように行います。そして、赤唇と白唇の境界部に真皮縫合を行います。その後、赤唇と白唇の境界部から表皮縫合を開始します(できればルーペを使用)。最後に、口唇下縁が下垂しないよう粘膜部をラフに縫合します。組織欠損がある場合瘢痕が目立ちにくい縦方向に縫縮していくことが多いです。その際、白唇の長さが変化すると2次修正が困難になってしまいます。縫合に自信がない時は、洗浄・軟膏処置を行い、形成外科(または歯科口腔外科)外来へ依頼しましょう。(3)動物咬傷や高度な汚染創の場合洗浄、デブリードマンのみ、大まかな縫合にとどめて形成外科に紹介しましょう。最後に、後療法についても説明します。口唇周囲は摂食や発語で動きがある部位なので、瘢痕の炎症が遷延しやすく、肥厚性瘢痕やケロイドを起こしやすいです。トラニラスト内服や可能な範囲で傷を安静にするためのテーピングを行います。患者さんにはあらかじめ説明しておきましょう。参考1)波利井 清紀ほか監修. 形成外科治療手技全書III 創傷外科. 克誠堂出版;2015.2)安瀬 正紀監修, 菅又 章編. 外傷形成外科―そのときあなたは対応できるか. 克誠堂出版;2007.3)Frank H. Netter著, 相磯貞和訳. ネッター解剖学アトラス 原著第4版. 南江堂;2007.

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5~17歳へのファイザー製ワクチン、オミクロン株への効果と持続期間は?/CDC

 ファイザー製の新型コロナワクチンについて、12〜17歳におけるデルタ株への2回接種の効果は認められているが、オミクロン株に対する効果や効果持続期間、5〜11歳における効果のデータは少ない。今回、米国・Kaiser Permanente Northern California Division of ResearchのNicola P. Klein氏らの調査から、本ワクチン2回接種により小児および青年のCOVID-19関連の救急部および緊急医療機関への受診を抑制することがわかった。しかしながら、オミクロン株優位の期間ではワクチンの効果は低く、接種後は経時的に低下していた。米国疾病予防管理センター(CDC)のMorbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)2022年3月4日号に掲載。 本研究では、2021年4月9日~2022年1月29日に米国10州において、COVID-19様疾患で救急部や緊急医療機関を受診した5~17歳の3万9,217例および入院した1,699例を調査し、case-control test-negative designを用いてワクチン効果(VE)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・COVID-19関連の救急部や緊急医療機関への受診に対するVEは、5〜11歳では2回目接種後14〜67日で46%、12〜15歳および16〜17歳では2回目接種後14〜149日でそれぞれ83%および76%、150日以降はそれぞれ38%および46%だった。なお、16〜17歳では、3回目(ブースター)接種後7日以降にVEは86%に上昇した。・オミクロン株優位の期間におけるCOVID-19関連の救急部や緊急医療機関への受診に対するVEは、12~17歳においてデルタ株優位の期間よりも大幅に低く、2回目接種後150日以降は有意な効果はみられなかった。しかしながら、16~17歳で3回目(ブースター)接種後7日以降に81%に上昇した。・COVID-19関連入院に対するVEは、デルタ株以前/デルタ株/オミクロン株が優位な期間を含む調査した全期間で、5~11歳では2日目接種後14~67日で74%(95%信頼区間が広く、0をまたいでいる)、12~15歳および16~17歳では2日目接種後14~149日でそれぞれ92%および94%、150日以降はそれぞれ73%および88%であった。 今回の結果から、著者らは「対象となるすべての小児および青年は、推奨されるワクチン接種のアップデート(12~17歳におけるブースター接種を含む)を継続する必要がある」としている。

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若者がADHD治療薬の使用を中止する理由

 注意欠如多動症(ADHD)は、成人期まで継続する可能性のある神経発達障害である。ADHD治療薬は、継続的に使用することが重要であるにもかかわらず、若者の多くは成人期にやめてしまうことが少なくない。そのため、成人期よりADHD治療薬を再開することもあり、中止が時期尚早であった可能性が示唆されている。英国・エクセター大学のDaniel Titheradge氏らは、若者がADHD治療薬を中止してしまう理由について、調査を行った。Child: Care, Health and Development誌オンライン版2022年1月31日号の報告。 CATCh-uS(Children and Adolescents with ADHD in Transition between Children's services and adult Services)プロジェクトの定性データを用いて、ADHD治療薬の使用中止理由を調査した。若者を次の3群に分類した。(1)成人向け治療介入移行前の若者21例(2)成人向け治療介入への移行が成功した若者22例(3)小児向け治療介入離脱後、成人向け治療介入を再度受けた若者21例。対象患者には、半構造化面接を実施し、主題分析およびフレームワーク分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・ADHD治療薬の使用を中止した理由は、以下のとおりであった。 ●薬物治療のベネフィットと副作用のバランス ●小児期のADHDの認識および教育障害 ●若者の生活環境と治療介入へのアクセスの課題 著者らは「ADHDの若者における長期的な予後やQOL改善のためには、ADHD治療薬の中止に対処するための多元的アプローチ、非薬理学的治療へのアクセスや心理教育の改善などが必要とされる。これら、若者のADHD治療薬の中止理由は、ADHD特有のものではないため、小児でみられる他の慢性疾患においても、服薬アドヒアランスと関連していると考えられる」としている。

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ロタウイルスワクチン【今、知っておきたいワクチンの話】各論 第12回

ワクチンで予防できる疾患ロタウイルスは、乳幼児の急性胃腸炎を引き起こす代表的な病原体である。発熱と嘔吐から症状が始まり、水様性下痢を伴うようになる。ほとんどの場合は1週間程度で自然軽快するが、激しい嘔吐や下痢のために脱水症を起こし、点滴治療や入院が必要になる場合もある。5歳未満の急性胃腸炎の入院患者のうち、40〜50%はロタウイルスが原因である。また、脱水症の他にも、けいれん、腎不全、脳症などを起こすことがあり、5歳未満児の急性脳症の起因病原体としては、インフルエンザウイルス、ヒトヘルペスウイルス-6に次いで3番目に多い1)。ロタウイルスは糞口(経口)感染により拡大するが、非常に感染力が強く、衛生状態に関係なく5歳までにほとんどすべての乳幼児が感染すると言われている。重症例は初感染時に起こりやすく、繰り返し感染することで徐々に軽症化するため、年長児以降では不顕性感染になることも多い。わが国でのロタウイルス胃腸炎は冬から春に多く報告されているが、新型コロナウイルス感染症の流行が始まった2020年以降はロタウイルスによる感染性胃腸炎の患者報告数は激減している(図)。図 定点あたり報告数画像を拡大する国立感染症研究所. 感染症発生動向調査2022年第3週より抜粋ロタウイルス感染症には抗ウイルス薬などの特異的な治療方法はなく、対症療法が中心となる。また、感染力が非常に強いため、適切な感染対策を行っても完全に予防することが困難である。そのため、乳児へのワクチン接種によるロタウイルス感染予防および重症化予防が重要となる。ロタウイルスワクチンの概要わが国では、1価ロタウイルスワクチン(商品名:ロタリックス)および5価ロタウイルスワクチン(同:ロタテック)の2種類の経口生ワクチンが認可されている(表)。表 ロタウイルスワクチン接種スケジュール画像を拡大するカバーする血清型は異なるが、1価ワクチンは交差免疫により他の血清型にも効果を発揮するため、同等の有効性が認められている2)。ロタウイルスワクチンは、前述のようにロタウイルス胃腸炎が2回目以降は軽症化するという性質を応用したものであり、その効果は、胃腸炎感染予防74~87%、重症化予防85~98%と非常に高い3)。効果の持続期間も生後2~3年まで確認されている。また、国内においてもワクチン接種による5歳未満児の入院率減少の効果が報告されている4)。ワクチン接種後に易刺激性、下痢、嘔吐などの副反応が国内で報告されているが、いずれも数日以内に回復し、重篤なものはまれである。頻度は非常に低いが(2~10万人に1人3))、初回接種後に腸重積を起こすことがある。第一世代のロタウイルスワクチン(同:RotaShield)が導入された際に、腸重積発症頻度の増加が確認されたため販売中止となった。現在使用されているワクチンは、腸重積発症リスクがRotaShieldの1/5~1/10と低くワクチン接種のメリットがリスクをはるかに上回る4)が、注意深く観察する必要がある。接種のスケジュールロタウイルスワクチンの接種スケジュールを表に示す。1価ロタウイルスワクチンと5価ロタウイルスワクチンでは接種回数が異なるため注意が必要である。原則として同じ種類のワクチンでスケジュールを完遂することが望ましい。しかし、転居後にいずれか一方のワクチンしか実施されていないなどの理由により、原則によることができないやむを得ない事情があると当該市町村長が認めた場合には、他方のワクチンにて接種することが可能である(具体的な接種方法については定期接種実施要領を参照5))。また、月齢3ヵ月以降に腸重積の発症率が増加するため、ワクチンの初回接種はできるだけ早い時期に実施することが必要である。出生15週0日以降の初回接種については安全性が確立されていないため、出生14週6日までに初回接種を完了させることが望ましい。日常診療で役立つ接種ポイントロタウイルスワクチンは経口生ワクチンであり、接種後1週間程度は便中にウイルスが排出されるため、おむつ交換時の手洗いなどの感染対策について説明しておくと良い。また、接種後の吐き出しを避けるために、接種前後は授乳を控えるように説明する。少量でも飲み込んでいれば一定の効果があり、ロタウイルスワクチンは複数回接種することから、万が一吐き出した場合でも1回投与と考え、追加の投与は必要ない5)。ロタリックスについては添付文書上、任意接種としての再投与が可能となっているが推奨はされていない。重篤な副反応として腸重積の可能性についても事前に保護者などに説明しておく必要がある。接種後1週間以内に、激しく泣く、機嫌が良かったり悪かったりを繰り返す、嘔吐を繰り返す、血便が出るなどの症状があった場合には、必ず医療機関を受診するように伝えておく。今後の課題・展望ロタウイルスワクチンは非常に効果の高いワクチンであるが、わが国では長年任意接種のために接種率が上がらなかった。ようやく2020年10月より定期接種化され、今後のロタウイルス胃腸炎および合併症の減少が期待されるところである。参考となるサイトこどもとおとなのワクチンサイト予防接種Q&A1)国立感染症研究所. IASR. 2019;40:209-210.2)Jonesteller CL, et al. Clin Infect Dis. 2017;65:840-850.3)CDC. The Pink Book. Chapter19:Rotavirus. 4)国立感染症研究所. 日本におけるロタウイルスワクチンの効果. 2019;40:212-213.5)厚生労働省. 定期接種実施要領.講師紹介

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円錐角膜〔keratoconus〕

1 疾患概要■ 定義円錐角膜は、進行性の両眼角膜中央部もしくは下方の菲薄化と突出を来す疾患であり、近視化と不正乱視による視力低下を来す。■ 疫学円錐角膜の発症頻度は、450〜2,000人に1人とされてきた。しかし、診断技術の進歩により、軽症の円錐角膜の検出頻度が上がっている。屈折矯正外来を訪れる患者のうち円錐角膜または円錐角膜疑い患者は5%前後にみられる。また、難波らの調査からは、疑い例も含めると日本人の約100人に1人程度の有病率であるという結果が報告されていることから、軽症例も含めると従来考えられているよりも罹患人口が多い可能性が高い。性差については報告により異なるが、わが国では男性に多いという報告が多数ある。■ 病因明らかな病因はいまだに不明である。数多くの遺伝子変異が報告されているが、実際に遺伝的素因が明らかな例はあまり多くない。ダウン症候群やレーバー先天盲、エーラス・ダンロス症候群、マルファン症候群などでは円錐角膜の発症率が高いことが知られている。その他リスクファクターとしては、アトピーなどのアレルギー眼疾患、頻繁に目をこする、などが挙げられる。■ 症状軽度の症例では自覚症状はほとんどない場合もあるが、中等度以上になると近視性乱視と不正乱視が出現する。そのために眼鏡矯正視力が不良になりハードコンタクトレンズによる矯正が必要になる。ほとんどの場合両眼性に生じるが、程度に左右差があることも多い。■ 分類角膜の突出部位別の分類としては、以下のものがある。Nipple角膜中央の狭い範囲(5ミリ以下)に突出がみられるもの。Oval     突出部位が中央やや下方にみられるもの。最も頻度が高い。Globus突出部位が角膜の4分の3の範囲に及ぶもの。また、重症度分類としては、Amsler分類(表)が古くから用いられているが、測定機器の進歩によって、細隙灯顕微鏡で検出できない初期の変化が捉えられるようになってきたために、見直す必要がある。表 Amsler-Krumeich分類画像を拡大する■ 予後円錐角膜の多くは思春期から青年期にかけて発症し、その後加齢とともに進行するが、中年以降になると進行速度が緩やかになってやがて停止する。しかしながら、進行の有無やスピードには個人差が大きく、近年の報告によれば30歳以降でも進行する症例もみられることが明らかになっている。経過中に、デスメ膜破裂を来す場合がある。局所的な実質の浮腫と、それに伴う急速な視力低下と軽度の眼痛を認める(急性水腫:図1)。浮腫は自然に軽快するが、実質瘢痕を残すと視力が回復せずに角膜移植が必要となることもあるので、急性水腫を来さないような治療方針を建てることが重要となる。図1 急性水腫の前眼部所見急激に発症する角膜中央部の浮腫で、スリットランプでしばしば実質の裂隙とデスメ膜の断裂を認める。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)円錐角膜の診断には、正確な視力検査、自覚的屈折検査と角膜形状解析検査を行う必要がある。細隙顕微鏡での異常所見としては、角膜中央〜Vogt’s striae(角膜実質の線状の皺壁:図2)、Fleisher ring(突出部の周辺に認められるリング状のヘモジデリン沈着)、上皮化の瘢痕などが挙げられ、主として中等症以上で初めて認められる。図2 Vogt’s striae突出部に生じる細かい実質の皺壁。初期の円錐角膜の診断には、角膜トポグラフィー(形状解析検査)が有用であり、角膜中央から下方の前方突出が特徴的である(図3)。図3 典型的な円錐角膜の角膜トポグラフィー像下方角膜曲率の急峻化を認める。近年では、多くの機器で円錐角膜のスクリーニングプログラムが搭載されている。より初期の診断には、角膜前面だけではなく後面も評価でき、角膜厚の分布も検出できる角膜トモグラフィー(断層撮影)の感度が高い。さらに、角膜形状でなく生体力学的特性を調べる検査の有用性も報告されている。鑑別疾患としては、円錐角膜よりも周辺部角膜の菲薄化と突出を来たすペルーシド角膜辺縁変性が挙げられる。円錐角膜よりも発症が遅く進行が停止するまでの期間も長い。その他、レーシックなどの角膜屈折矯正手術後の角膜拡張症(エクタジア)も円錐角膜と同様の所見を呈する。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)円錐角膜の治療は、視力矯正と進行予防の2つの目的があり、前者はさらに保存的治療と外科的治療に分かれる。■ 視力矯正1)保存的治療軽度の場合は眼鏡やソフトコンタクトレンズも用いられるが、一般的には酸素透過性ハードコンタクトレンズによる矯正が中心となる。角膜突出の程度が強くなると、多段階のベースカーブを有する円錐角膜用のハードコンタクトレンズが必要となる場合もある。ハードコンタクトレンズに伴う異物感が強い場合は、ソフトコンタクトレンズの上にハードコンタクトレンズを乗せる“piggy-back”とよばれる装用法や、中心部がハードレンズで周辺部がソフトレンズのハイブリッドレンズ、あるいは強膜レンズが用いられることもある。2)外科的治療軽度の非進行例については、有水晶体眼内レンズによる近視・乱視の矯正も試みられている。近年、角膜実質の混濁をともなわない例については、角膜実質にPMMA製のリングを入れる「角膜内リング」も一部で行われるようになった(国内未承認)。これによって角膜形状の改善とハードコンタクトレンズ装用感の向上が得られる場合がある。保存的治療で充分な視力矯正が得られない場合、角膜移植が1つの選択となりうる。かつては角膜全層を移植する「全層角膜移植」が広く行われたが、術後合併症への対策が欠かせないという欠点があり、それを補うために角膜実質をデスメ膜の直上まで切除して移植する「深層層状角膜移植」が行われているが、手術手技が難しいという欠点を持つ。■ 進行抑制約20年前から、「角膜クロスリンキング」という円錐角膜の進行抑制を目的とした治療が、諸外国で広く行われるようになった(国内未承認)。角膜実質内にリボフラビン(ビタミンB12)を浸透させた後に、紫外線を照射することで角膜実質のコラーゲン線維の架橋を促して強度を向上させる。これまでの研究で、円錐角膜の進行抑制が大半の例で得られ、若干の形状改善効果もあることが報告されている。進行抑制が得られれば、角膜移植などの外科的治療を受けずに済む可能性が高く、患者の生活の質の向上に役立つ。4 今後の展望上に挙げた治療法のいくつかは保険未収載であったり、機器の承認が取れていないため、治療は多くの場合が自費診療として行われる。特に角膜クロスリンキングは、疾患の進行抑制を効率で得られるために患者のQOLを長期にわたって改善できることが海外で報告されており、わが国でも早急に実施体制が整うことが求められる。また、多くの円錐角膜患者にとってハードコンタクトレンズは生活に欠かせないが、市町村によってはその購入に対する補助がなされないなど、患者負担が大きいことが問題となっている。5 主たる診療科眼科。しかし多くの例では、眼鏡店やコンタクトレンズ販売店、あるいは屈折矯正手術施行施設を訪れることも多く、これらの施設で適切に円錐角膜の診断をつけることが重要である。※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報円錐角膜研究会(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)National Keratoconus Foundation(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)1)Amsler M. Ophtalmologica. 1946;111:96–101.公開履歴初回2023年3月8日

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英語で「吐き戻す」は?【1分★医療英語】第18回

第18回 英語で「吐き戻す」は?I am worried about my daughter because she spit up milk a lot yesterday.(娘が昨日何度もミルクを吐き戻したので心配です)Okay, what is her baseline?(なるほど、通常はどの程度[吐き戻すの]ですか?)《例文》医師Helping her burp during and after feeding will prevent from spitting up.(授乳中や授乳後にげっぷをさせてあげると、吐き戻しを防げますよ)患者Oh, that is good to know!(そうなのですね、良いことを伺いました!)《解説》今回は小児医療でよく使われる「吐き戻す」という表現をお伝えします。AAP(米国小児科学会)のサイトでは、“vomiting”は胃の内容物が口から体外に強制的に吐き戻されること、“spitting up”は強制的な筋収縮は関与せず、しばしばげっぷに伴い胃の内容物が口から出てくること、と説明されています。母乳や人工乳を飲んだ赤ちゃんが、食後にミルクを口から吐き出してしまうことがあるのですが、これがまさに“spitting up”(吐き戻す)に当たります。大人が悪心を伴って嘔吐するときのニュアンスとは大きく異なります。“spit”を単体で使う際には、「唾を吐く」もしくは「口に入れたものを飲み込まずに出す」という意味合いとなり、こちらもまた上記とはニュアンスが異なります。小児領域で言えば、子供が食べようとしたものが口に合わず、すぐに「ぺっ」と外に出すような状況です。米国で小児医療に携わっていると、赤ちゃんの“spit up”を心配して救急やクリニックを訪れる家族が非常に多く、たびたび耳にする言葉です。英語圏の方は“spit up”“vomit”“spit”といった表現を自然に使い分けていますので、ニュアンスの違いを理解して、患者の年齢や症状に応じて使い分けてみてください。講師紹介

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第102回 ファイザーCOVID-19ワクチンの5~11歳での感染予防効果、相次ぐ報告

小学生(5~11歳)ごろを含む小児の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンの感染予防効果はかなり低いようで、オミクロン株優勢の昨今においては追加接種の出番が必要なようです。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)オミクロン株出現後の米国ニューヨーク州のデータを調べた査読前のmedrxiv掲載報告によると、5~11歳小児へのPfizer/BioNTechワクチンBNT162b2接種の感染(COVID-19)予防効果は接種が済んでから僅か1ヵ月ばかりで激減していました1,2)。先週末4日にMorbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)に発表された米国疾病管理センター(CDC)主催VISION Network試験の査読済み(reviewed)結果報告3)でもニューヨーク州データほどではないもののその年齢層の小児へのBNT162b2の効果の衰えは比較的早いらしいことが示唆されています。試験では救急や急診(emergency department and urgent care)を要した小児のCOVID-19とワクチン接種歴が検討され、5~11歳小児の2回目接種から2週後(14日後)~およそ2ヵ月後(67日後)のCOVID-19予防効果は46%でした。ニューヨーク州の試験では去年12月13日から今年1月2日までにBNT162b2接種済みの5~11歳小児の検討が含まれ、それら小児のSARS-CoV-2感染予防効果は接種が済んでから2週間(13日間)以内では65%だったのが約1ヵ月(28~34日)後には12%に低下していました(medrxiv報告1)のFigure 2)。より年長の12~17歳小児のBNT162b2接種の同期間の感染予防効果は76%と56%であり、5~11歳小児ほどは低下しませんでした。5~11歳小児への投与量はそれより年長の小児に比べて少ないことが効果の大方の消滅の原因かもしれないと著者は考えています。12~17歳小児への投与量は30μgで、5~11歳小児への投与量はその3分の1の10μgです。5~11歳小児のCOVID-19入院予防効果は感染予防の大方の消失とは対照的に比較的保たれました。オミクロン株検出が感染の19%であった去年12月13~19日の入院予防効果は100%、オミクロン株検出が感染のほぼ100%(99%超)を占めるようになった今年1月24~30日では48%でした。効果はおよそ半減したとはいえワクチンは重病を防いだ(was protective)と著者は判断しており、5~11歳小児への接種普及の取り組みを続けるべきと言っています。報告時点での米国のそれら幼い小児のワクチン接種率は4人に1人に満たない25%未満でした。同様にVISION Network試験でも5~11歳小児のBNT162b2接種の入院予防効果は感染予防効果よりどうやら高いと示唆されています。2回目接種から14~67日間のCOVID-19関連入院予防効果は74%でした。ただし、統計解析にデータは不十分でその95%信頼区間は0をまたぐ-35%~+95%であり、BNT162b2が5~11歳小児のCOVID-19関連入院をどれほど防ぐのかを更にデータを集めて検討する必要があります。加えて、5~11歳小児にワクチンをどう投与するかの検討も必要でしょう。感染予防効果は現状ではどうやら早く低下するようであり、工夫した投与方針を考えてその試験を実施すべきとニューヨーク州試験の著者は言っています1)。Pfizer/BioNTechはすでにその方向で事を進めています。去年12月の両社の発表4)によると、2歳以上5歳未満小児への両社のワクチン2回接種後1ヵ月間の免疫反応はワクチンの確かな効果が判明している青少年(16~25歳)の人のそれに残念ながら及ぶものではありませんでした。この結果を受けて両社は生後6ヵ月から5歳未満の小児を対象にした進行中の試験に3回目投与を含めることを決めています。3回目の用量は1回目と2回目と同量の3μgで、2回目から2ヵ月過ぎてから投与されます。3回目接種の検討が成功したら生後6ヵ月以上5歳未満小児への同ワクチン使用の米国FDAの取り急ぎの認可を今年前半に手にするのに必要なデータが揃うと両社は見込んでいます。その発表の際に両社は5~11歳の小児への3回目接種も検討することを明らかにしています。それら小児への3回目接種の用量もより幼い小児への投与がそうであるように1回目と2回目と同じ10μgです。参考1)Effectiveness of the BNT162b2 vaccine among children 5-11 and 12-17 years in New York after the Emergence of the Omicron Variant. medRxiv. February 28, 20222)Vaccine’s protection for kids dives / Science3)Klein NP, et al. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2022 Mar 4; 71;352-358.4)Pfizer and BioNTech Provide Update on Ongoing Studies of COVID-19 Vaccine / Pfizer

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5~11歳の新型コロナ重症度、インフルやRSウイルスと比較すると?

 新型コロナワクチン接種の対象が5~11歳に拡大されたが、この年代の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症度は、同年代のインフルエンザやRSウイルス感染症と比較すると高いのか、低いのか。米国医療研究品質局(AHRQ)のWilliam Encinosa氏らは、米国の11州での入院患者データを用いて分析した横断研究の結果を、JAMA Pediatrics誌オンライン版2022年2月21日号リサーチレターに報告した。 米国で5~11歳に対するファイザー社の新型コロナワクチンの緊急使用許可が出された2021年10月までに、この年齢層の小児でSARS-CoV-2感染と診断されたのは180万人、死亡者は143人で、入院は8,000人以上だった。本研究では米国内の11州1,333病院における、2021年第1四半期(1~3月)のCOVID-19、COVID-19による小児多系統炎症性症候群(MIS-C)、インフルエンザ、RSウイルス感染症による入院患者データを調査。COVID-19流行期には感染者が少なかったため、インフルエンザとRSウイルスについては10年間の平均的な感染者数であった2017年第1四半期のデータも用いられた。 心臓血管系、呼吸器系、神経系、血液系、腎臓系、胃腸系、筋骨格系の46の合併症のほか、入院日数や治療に要した費用についても調査された。両側検定におけるp値は、Stata/MP version 17(StataCorp)を使用して線形回帰分析から求められ、p値<0.05で有意と設定された。 主な結果は以下の通り。・計2,269例(平均[SD]年齢:7.6[2.0]歳、男児:56.0%)のデータが分析された。・343例のCOVID-19(MIS-Cなし)、379例のMIS-C、1,134例のインフルエンザ、413例のRSウイルス感染症による入院があり、10万人当たりの入院はそれぞれ5.1例、5.7例、17.0例、6.2例であった。・すべての感染症で入院中の死亡は稀であった。・COVID-19(MIS-Cなし)では神経系合併症が多く(9.6%[95%CI:6.5~12.8%]、p=0.03)、MIS-Cでは血液系(55.4%[50.4~60.4%]、p=0.001)、胃腸系(47.2%[42.2~52.3%]、p=0.001)、心血管系(29.8%[25.2~34.4%]、p=0.001)、および腎臓系(21.9%[17.7~26.1%]、p=0.001)の合併症が多くみられた。・RSウイルス感染症では呼吸器系合併症が多くみられた(75.8%[71.6~79.9%]、p=0.001)。・インフルエンザでは筋骨格系合併症が多くみられた(9.5%[7.8~11.2%]、p=0.001)。・MIS-Cでは、入院期間中央値(IQR)が最も長く(5[3~7]日)、費用の中央値は23,585ドルで、インフルエンザの場合(入院期間中央値:2[1~4]日、費用中央値:5,200ドル)と比べて長期かつ高額だった。・COVID-19感染とMIS-Cを合わせた総入院日数は,入院率が低い(10万人当たり10.8人 vs.17.0人)にもかかわらず,インフルエンザとほぼ同じ(4,384日vs.4,202日、p=0.65)であった。 著者らは、5~11歳の小児において、COVID-19入院1件に対してMIS-C入院1件であり、この知見は、MIS-Cがこれまで考えられていたほどCOVID-19の後遺症として稀ではない可能性を示唆すると考察。COVID-19の他の長期合併症も懸念され、MIS-Cの重症度はインフルエンザより低いものの、COVID-19感染とMIS-Cの複合による経済的・健康的負担は、過去のインフルエンザ流行時と同程度に高いとまとめている。

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抗ウイルス薬+ブースターで重症化を防ぐ経口COVID-19治療薬「パキロビッドパック」【下平博士のDIノート】第93回

抗ウイルス薬+ブースターで重症化を防ぐ経口COVID-19治療薬「パキロビッドパック」今回は、抗ウイルス薬「ニルマトレルビル/リトナビル(商品名:パキロビッドパック、製造販売元:ファイザー)」を紹介します。本剤は、SARS-CoV-2陽性で重症化リスクを有する軽症~中等症Iの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者において、臨床的回復までの期間を短縮し、重症化や入院・死亡を予防することが期待されています。<効能・効果>本剤は、SARS-CoV-2による感染症の適応で、2022年2月10日に特例承認されました。なお、重症度の高いSARS-CoV-2による感染症患者に対する有効性は確立していません。<用法・用量>通常、成人および12歳以上かつ体重40kg以上の小児には、ニルマトレルビルとして1回300mgおよびリトナビルとして1回100mgを同時に1日2回、5日間経口投与します。中等度の腎機能障害患者(30mL/min≦eGFR<60mL/min)の場合には、ニルマトレルビルとして1回150mgおよびリトナビルとして1回100mgを同時に1日2回、5日間経口投与します。重度の腎機能障害患者(eGFR<30mL/min)への投与は推奨されていません。なお、SARS-CoV-2による感染症の症状が発現してから速やかに本剤の投与を開始することが望ましく、臨床試験において症状発現から6日目以降に投与を開始した患者における有効性を裏付けるデータは得られていません。<安全性>国際共同第II/III相試験の中間解析時点で認められた副作用は672例中49例(7.3%)で、主なものは味覚不全25例(3.7%)、下痢13例(1.9%)、高血圧(頻度不明)などでした。なお、重大な副作用として中毒性表皮壊死融解症(TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、肝機能障害(いずれも頻度不明)が設定されています。 <患者さんへの指導例>1.この薬は、新型コロナウイルスの増殖に必要な酵素を阻害する抗ウイルス薬と、この抗ウイルス薬の分解を抑えて血中濃度を維持する薬の2種類がセットになっています。2.食事の有無にかかわらず、朝と夕の1日2回、12時間ごとに服用してください。症状が改善しても指示どおりに5日分を飲み切ってください。3.飲み合わせに注意が必要な薬剤が多数ありますので、服用している薬剤や健康食品、サプリメント、嗜好品をすべて報告してください。4.服薬開始後、疲れやすい、体がだるい、力が入らない、吐き気、食欲不振などの症状のほか、異常が現れた場合はすぐに相談してください。<Shimo's eyes>本剤は、COVID-19に対する抗ウイルス薬として特例承認されました。経口薬としては、2021年12月に特例承認されたモルヌピラビル(商品名:ラゲブリオカプセル)に続く2剤目の薬剤となります。セットとなっている2剤のうち、ニルマトレルビルは新型コロナウイルスの増殖に関わるメインプロテアーゼの作用を阻害して抗ウイルス効果を発揮し、リトナビルは抗HIV薬としても用いられている強力なCYP3A阻害薬であり、ニルマトレルビルの濃度を上げるブースター薬として働きます。主な治療対象は、モルヌピラビルと同様に、重症化リスクの高い軽症~中等症Iの患者ですが、本剤は12歳以上(体重40kg以上の場合)から服用できます。ほかに軽症患者を対象とした薬剤としては、中和抗体製剤カシリビマブ/イムデビマブ(同:ロナプリーブ注射液セット)と、ソトロビマブ(同:ゼビュディ点滴静注液)の2剤が承認されています。また、適応外ではありますが、2022年1月よりレムデシビル(同:ベクルリー点滴静注用)も限定された条件下で使用可能です。わが国も参加している国際共同第II/III相EPIC-HR試験の結果において、症状発現から3日以内に本剤の投与を受けた患者では入院・死亡リスクが89%減少し、5日以内に投与を受けた患者では88%減少しました。なお、各変異株に対する臨床試験の有効性データは現時点では得られていませんが、in vitroにおいてはオミクロン株ほか懸念すべき変異株に対する抗ウイルス効果が認められています。用法は、1日2回5日間の経口投与です。シート1枚が1日分となっており、1回にニルマトレルビル錠を2錠およびリトナビル錠を1錠服用します。なお、重度の腎機能障害患者には禁忌となっており、中等度の腎機能障害患者はニルマトレルビル錠を1回1錠に減量して服用します。この場合は薬剤の交付前に朝および夕の服用分それぞれからニルマトレルビル錠1錠を取り除き、取り除いた箇所に専用のシールを貼り付けてから交付します。不要な錠剤を取り除いたことを必ず患者さんに伝えてください。リトナビルはCYP3Aを強く阻害し、またニルマトレルビルおよびリトナビルはCYP3Aの基質となっています。そのため、併用に注意すべき薬剤が多数あり、併用禁忌薬としてはフレカイニド、アミオダロン、ピモジド、ピロキシカム、アゼルニジピン、リバーロキサバン、ジアゼパム、エスタゾラム、フルラゼパム、トリアゾラム、ボリコナゾールなど38成分とセイヨウオトギリソウが挙げられています。ほかにも注意すべき薬剤はあると考えられていて、国立国際医療研究センター病院が国内外の資料を基に作成した「パキロビッドパックとの併用に慎重になるべき薬剤リスト」を公開しています。本剤を使用する医療機関は、ファイザーが開設する「パキロビッドパック登録センター」に登録して配分依頼を行います。処方に際しては患者の同意書が必要であり、院外処方に際しては、対応薬局に処方箋とともに記入済みの「投与前チェックシート」を提出する必要があります。処方箋を応需した薬局薬剤師は、とくに併用薬に注意すべきであり、服薬中のすべての薬剤を確認しなければなりません。また、腎機能に応じて適切な投与量になっているかどうかのチェックも行いましょう。参考1)PMDA 添付文書 パキロビッドパック2)ファイザー 新型コロナウイルス『治療薬』医療従事者専用サイト パキロビッドパック

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第91回 5~11歳への接種開始を踏まえたワクチン手引き第7版を公表/厚労省

<先週の動き>1.5~11歳への接種開始を踏まえたワクチン手引き第7版を公表/厚労省2.初の国産コロナ治療薬となるか?塩野義製薬が経口薬を承認申請3.2021年の死亡数6.7万人増で戦後最多、デルタ株の影響か/厚労省4.内科や外科を目指す若手医師が減少?新制度で問題は解消されるのか5.旧優生保護法による強制不妊手術、国に初の賠償命令/大阪高裁6.乳房インプラントによるリンパ腫の国内報告が新たに2例、計4例に1.5~11歳への接種開始を踏まえたワクチン手引き第7版を公表/厚労省厚労省は、5~11歳の小児への新型コロナウイルスワクチン接種について、副反応に対応できる医療提供体制の確保を確認の上、専門的な医療機関の見直しを検討するよう事務連絡を発出した。副反応に関する相談窓口の設置などにかかる経費は補助の対象となる。早いところでは2月末からワクチン接種が開始されるが、12歳以上への接種と異なり、有効成分量を成人の3分の1にするほか、ワクチン接種は努力義務ではなく、保護者の同意の上実施することになっている。乳幼児・小児に対して接種を行う場合は、保護者の同伴を求めることも含め、21日に「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き」の第7版を公表した。(参考)5~11歳へのワクチン接種 自治体の必要経費 全額助成へ 厚労省(NHK)小児接種、副反応に対応可能な医療体制確保を 厚労省(CB newsマネジメント)新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の幼児児童生徒に対する実施についての学校等における考え方及び留意点等について(厚労省)2.初の国産コロナ治療薬となるか?塩野義製薬が経口薬を承認申請塩野義製薬は25日、新型コロナウイルスに対する経口薬の製造販売承認を厚労省に申請したことを発表した。本剤は新型コロナウイルスの増殖を抑制するプロテアーゼ阻害薬。12歳以上の軽症・中等症患者を対象とした臨床試験において、1日1回、5日間投与したところ、3回目の投与後に感染性ウイルスが検出された割合が10%未満となり、プラセボを服用した群よりも低かった。また、副作用も軽度だったとしている。承認されれば、軽症者向けの飲み薬としては3剤目、国内の製薬会社では初めてとなる。すでに製造を始めており、3月末までに1100万人分を生産し、4月以降は年間1,000万人分の供給体制の構築を目指す。現時点では臨床試験がすべて終了しておらず、この前に実用化できる「条件付き早期承認制度」の適用を求めている。(参考)塩野義、コロナ飲み薬を年間1000万人分供給へ…厚労省に製造販売の承認申請(読売新聞)塩野義製薬 新型コロナの飲み薬 厚労省に承認申請(NHK)塩野義がコロナ経口薬を承認申請、条件付き早期承認制度の適用を希望(日経バイオテク)新型コロナウイルス感染症治療薬S-217622の国内における製造販売承認申請について(塩野義製薬)3.2021年の死亡数6.7万人増で戦後最多、デルタ株の影響か/厚労省厚生労働省は25日、2021年12月の人口動態統計の速報を公表した。昨年亡くなった人は前年より6万7,745人(4.9%)増加し、戦後最多の145万2,289人だった。死者数の増加は2年ぶりで、新型コロナウイルスのデルタ株による影響が考えられる。死因が公表されている21年1~9月分のデータをみると、新型コロナによる死者は前年の同じ期間より1万4,563人多かった。東日本大震災の犠牲者も1万5,000人余りだったが、21年はコロナ禍の余波とみられる心臓など循環器系疾患の死亡が前年同期より1万人余り増加し、戦後最多の死亡数となった。なお、脳卒中など救急医療が必要な死因の死亡数は横ばいだったため、第5波の医療逼迫では死亡数の増加を防げたとみられる。ほかにも老衰1万5,035人、誤嚥性肺炎5,429人など増えており、いずれも高齢化が背景とみられる一方で、出生数は84万2,897人と過去最少であり、人口減少は加速している。(参考)21年の死者、戦後最多145万人 デルタ株流行が影響 厚労省速報(朝日新聞)死亡増加数は戦後最大 6万7000人増、震災時上回る 心不全などコロナ余波(日経新聞)人口動態統計速報(令和3年12月分)(厚労省)4.内科や外科を目指す若手医師が減少?新制度で問題は解消されるのか日本専門医機構は21日にオンラインで行った定例記者会見で、2022年度に専門医研修を開始する専攻医の領域ごとの採用者数を発表した。総数は9,519人と前年度より300人余り増加しているが、内科や外科が前年度に比べ減少している。地域医療の現場からは「内科医師が圧倒的に不足している」との声が強い。各学会からは「専攻医に占める内科のシェアが減少しており、将来の我が国の医療を考えたとき大きな問題である(内科)」「外科医不足は深刻で、まだまだ増やす必要がある(外科)」「ICTが発達する中で放射線科医の働き方は大きく変わっており、従前と同じ考え方で地域偏在などを議論することは難しくなってきている(放射線科)」などの意見が出ており、寺本 民生理事長は、「今後、『診療科、領域間の偏在』の是正を検討していく必要がある。ただしシーリング(採用数の上限設定)には負の面があることにも留意しなければならない」との考えを述べた。(参考)専門医を目指す医師 内科、外科が減少 診療科の偏在解消へ課題も(読売新聞)新専門医目指す「専攻医」の2022年度採用は9519名、「内科医不足の解消」などが今後の重要課題―日本専門医機構(Gem Med)5.旧優生保護法による強制不妊手術、国に初の賠償命令/大阪高裁旧優生保護法による「不良な子孫の出生防止」を目的に、知的障害などを理由に本人の同意なく不妊手術を強制された原告らの訴えに対して、憲法13条・14条に違反とし、国側に初の賠償命令がでた。これまでの地裁判決では、旧優生保護法による不妊手術を違憲としつつも、20年の除斥期間を理由に請求を退けてきた。今回の高裁判決は、被害者の救済を求めた原告らが、法改正直後であっても、社会的な差別や偏見などで原告の訴訟が難しかったことを考慮し、請求を退けた一審判決と異なり、国側に計2,750万円の賠償を命じた。(参考)除斥期間の例外を認定 被害者救済の道広がる 強制不妊訴訟の大阪高裁判決(産経新聞)旧優生保護法「違憲」、国に初の賠償命令 大阪高裁(日経新聞)6.乳房インプラントによるリンパ腫の国内報告が新たに2例、計4例に厚労省は、2019年から豊胸術や乳がん再建術に用いられるインプラント(ゲル充填人工乳房)のまれな合併症「乳房インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫(BIA-ALCL)」について継続した情報提供を行っているが、このほど新たに2例の発症報告があったと発表した。国内ではこれまでに4例が報告されているが、現時点で死亡症例は認められていない。本製品は2019年7月、米国FDAの決定によりアラガン社が全世界を対象として自主回収(リコール)しており現在は流通していないが、該当する製品が挿入された患者のうち、2,200〜3,300人に1例(0.030~0.045%)でBIA-ALCLが発症している。発症までの期間は術後平均7~9年とされ、引き続き継続的な検診を呼び掛けている。(参考)人工乳房による悪性リンパ腫が国内でも散発、生涯にわたり「定期検診と自己検診」継続を―厚労省・関係学会(Gem Med)ゲル人工乳房でリンパ腫発症、国内3・4例目 継続的な検診を呼び掛け、厚労省(CB newsマネジメント)乳房インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫(BIA-ALCL)についてよくあるご質問(日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会)ゲル充填人工乳房及び皮膚拡張器植込み患者等における乳房インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫(BIA-ALCL)の発生及び植込み患者等に対する情報提供について(厚労省)

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転職では「選ぶ側」だったのに…【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第36回

第36回 転職では「選ぶ側」だったのに…漫画・イラスト:かたぎりもとこ人材紹介会社を通じて転職やアルバイト斡旋を受けた経験のある医師ならば、「完全なる売り手市場」という実態を理解しやすいでしょう。実際、医師が人材紹介会社に登録すれば即時に多くの求人紹介を受けることができます。これは全国10万超ある医療機関の多くで医師が不足しており、常時「求職中の医師」より「医師を採用したい医療機関」のほうが多いために発生する事象です。一方、医業承継の場合、状況は転職とはまったく異なります。医業承継の場合、診療所を売りたい「売り手」と、買いたい「買い手」の二者が存在しますが、その数は売り手が圧倒的に少ないのが実情です。弊社で毎月お問い合わせを頂く売り手と買い手を見ると、その比率は「売り手:1」に対して「買い手:10」。つまり、承継物件を探す買い手が売り手の10倍存在する、ということです。転職では圧倒的な売り手市場なので、医師側は希望条件をコンサルタントに伝えれば多くの求人があったり条件を希望に近づけてもらったりできますが、医業承継の買い手となった場合はそうはいきません。私たちはメールマガジンを通じて会員に承継物件を案内していますが、「自分の理想(希望条件)に当てはまらない」となかなか検討していただけないケースがあります。でも、時間をかけても希望に近い案件がない場合は、その希望が実態とかけ離れている可能性もあります。そうした場合は希望条件の中で妥協できるところを探し、現実と折り合いをつけることが承継成功の近道です。転職時には「選ぶ側」だった医師も、医業承継で「買い手」になれば今度は売り手に「選ばれる側」。そうした意識の転換が必要なのです。

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