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アジア人の小児期自閉スペクトラム症に伴う易刺激性に対するアリピプラゾールの長期的な有用性

 韓国・Severance HospitalのByoung-Uk Kim氏らは、6~17歳のアジア人小児期自閉スペクトラム症に伴う易刺激性に対するアリピプラゾールの長期的な改善効果と安全性を評価するため、本研究を実施した。その結果、アリピプラゾールは、小児期自閉スペクトラム症患者の問題行動や適応機能を改善し、その効果は治療開始から1年近くまで持続しており、忍容性も良好であることを報告した。Journal of Child and Adolescent Psychopharmacology誌2022年9月号の報告。 自閉スペクトラム症患者に対する12週間のアリピプラゾール治療の有効性および安全性を評価した先行研究の後に、52週間の非盲検フレキシブルドーズ(2~15mg/日)による延長試験を実施した。有効性の評価には、異常行動チェックリスト(ABC)、臨床全般印象度(CGI)、子供のYale-Brown強迫尺度(CY-BOCS)、Vineland適応行動尺度(VABS)、PSI育児ストレスインデックスショートフォーム(PSI-SF)を用いた。安全性および忍容性の評価には、有害事象、バイタルサイン、心電図検査、臨床検査、体重、錐体外路症状(EPS)を含めた。 主な結果は以下のとおり。・52週間の治療期間中に、ABC、CGI、CY-BOCS、VABS、PSI-SFのスコアを含むすべての有効性の改善が認められた。・安全性では、治療による有害事象(TEAE)を経験した患者の割合は、58.62%(58例中34例、75件)であった。・最も一般的なTEAEは、鼻咽頭炎20.69%(58例中15例)であり、発生率10%以上のTEAEは体重増加(18.97%、58例中11例)であった。・薬剤性副作用は27.59%(58例中16例、28件)で認められ、体重増加(15.52%、58例中9例)が最も多かった。・重篤な有害事象の発生率は5.17%(58例中3例、3件)で認められた。発現した骨端線離開、発作、自殺企図は、薬剤性の副作用ではなかった。・EPSの評価においては、臨床的に有意な変化は観察されなかった。

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ファイザーのBA.4/5対応2価ワクチン、6ヵ月~4歳用1価ワクチン承認/厚生労働省

 厚生労働省は10月5日、ファイザーのオミクロン株BA.4/5に対応した追加接種用の新型コロナウイルス2価ワクチンについて承認事項の一部変更の特例承認をしたこと、および同社の生後6ヵ月~4歳用の新型コロナウイルス1価ワクチンを特例承認したことを発表した。コミナティRTU筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.4-5) 接種対象者が12歳以上であるオミクロン株BA.4/5対応の2価ワクチンの販売名は「コミナティRTU筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.4-5)」となる。一部変更承認の概要として、起源株およびオミクロン株BA.4/5のスパイクタンパク質をコードするmRNAを含む2価ワクチンが追加され、有効成分のトジナメランはSARS-CoV-2の起源株を、リルトジナメランはオミクロン株BA.1を、ファムトジナメランはオミクロン株BA.4/5のスパイクタンパク質をコードするmRNAだとしている。9月12日に承認された「コミナティRTU筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.1)」の有効成分はトジナメランおよびリルトジナメラン、今回承認された「コミナティRTU筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.4-5)」の有効成分はトジナメランおよびファムトジナメランとなっている。 本剤の用法・用量は、追加免疫として、1回0.3mLを筋肉内に接種する。なお、接種間隔については、通常、前回の接種から少なくとも5ヵ月経過した後に接種を行うことができるとしているが、接種間隔の短縮について現在検討が成されており、10月下旬までに結論を得るという。 本剤の添付文書によると、変異株に対する中和抗体生産能として、マウスに1価(起源株)製剤を21日間隔で2回投与し、その1ヵ月後に1価(起源株)製剤、2価(起源株・オミクロン株BA.1)製剤または2価(起源株・オミクロン株BA.4/5)製剤を1回投与したところ、3回目投与から1ヵ月後、いずれの群でも起源株、デルタ株およびオミクロン株(BA.1、BA.2、BA.2.12.1およびBA.4/5)に対する中和抗体産生が認められ、オミクロン株BA.4/5に対する中和抗体価は、1価(起源株)製剤群および2価(起源株・オミクロン株BA.1)製剤群よりも2価(起源株・オミクロン株BA.4/5)製剤群で高値を示したとしている。コミナティ筋注6ヵ月~4歳用 生後6ヵ月~4歳用1価ワクチンの一般名は「コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2)(有効成分名:トジナメラン)」、販売名は「コミナティ筋注6ヵ月~4歳用」となる。用法・用量は、本剤を日局生理食塩液2.2mLにて希釈し、1回0.2mLを合計3回、筋肉内に接種する。2回目は通常、3週間の間隔で、3回目は2回目の接種から少なくとも8週間経過した後に接種するとしている。 本剤の添付文書によると、6ヵ月~4歳の小児(6~23ヵ月群:82例、2~4歳群:143例)を対象としたC4591007試験第II/III相パートにおいて、本剤3μgを3回目接種後1ヵ月のSARS-CoV-2血清中和抗体価を評価した結果、6~23ヵ月群の幾何平均抗体価(GMT):1,406.5(両側95%信頼区間[CI]:1,211.3~1,633.1)、2~4歳群のGMT:1,535.2(95%CI:1,388.2~1,697.8)となり、本剤30μgを2回接種した16~25歳群に対して免疫ブリッジングの成功基準を満たしたとしている。また、6~23ヵ月群1,776例、2~4歳群2,750例が参加した安全性の評価では、治験薬接種後7日間の主な副反応の発現状況として、6~23ヵ月群では注射部位圧痛、食欲減退、傾眠、易刺激性、発熱(38.0℃以上)、2~4歳群では注射部位疼痛、疲労、頭痛、筋肉痛、悪寒、関節痛、発熱(38.0℃以上)が報告されている。 なお、オミクロン株BA.4/5対応の2価ワクチンについては、10月5日に、モデルナ・ジャパンも同社の「mRNA-1273.222」を、18歳以上を対象とした追加接種用ワクチンとして、厚生労働省に承認事項一部変更申請を行ったことをプレスリリースにて発表した。

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第14回 インフルエンザが流行すると、結局発熱外来が逼迫する構図

インフルエンザシーズンにおける混乱さて、インフルエンザシーズンとCOVID-19の第8波がやって来るのかどうかが、喧々囂々と議論が交わされています。もちろん、波がやって来ないに越したことはないのですが、どの専門家も「来るだろう」と言っています。次に到来するウイルスが、BA.5程度の変異株であれば、広くワクチン追加接種を行うことで、死亡者数を少なくすることができると思われます。諸外国のように、さらに感染者が増えてくると、ハイブリッド免疫を有する人が多くなるので、そこまでインパクトのない波になるかもしれません。現在多くの自治体では、新型コロナの自己検査を行い、その結果が陽性なら陽性者登録センターに連絡する形になっていますが、インフルエンザシーズンにおいて新型コロナが陰性であれば、皆さんどうするでしょうか?引き続き高熱が出ていたら、インフルエンザの検査をしたいと思う人が多いかもしれません(個人的には、このあたりをどうガイダンスするかだと思っていますが…)。COVID-19の自己検査が陰性であった場合、熱がある人はおそらく発熱外来に通されることになるでしょう。インフルエンザとCOVID-19の交差が起こってしまいますが、この動線を分離できる医療機関はほとんどないと思います。インフルエンザの抗原検査キットのOTC化を現場として1つ問題提起したいのは、インフルエンザの自己検査ができるようにしてほしいという点です。抗原定性キットをドラッグストアなどで購入できるよう、是非とも解禁していただきたい。COVID-19の抗原定性検査キット市販は特例的に承認されたものですが、インフルエンザ抗原検査キットを承認しないというのは、いささか不自然です。2つとも同じ検査法ですから、患者さんにとってテクニカルに検査がしにくいということもありません。自己検査は十分可能でしょう。また、現在は抗原定性検査に、COVID-19とインフルエンザの両方が測定可能な同時検査キットが登場しており、すでに薬事承認を受けています(表)1)。これが一般的に広く普及すれば、1回のぬぐい液で2つのウイルスを調べることが可能です。画像を拡大する表. COVID-19とインフルエンザの両方が検査可能な薬事承認抗原定性検査(参考文献1より筆者作成)規制改革推進会議 第8回 医療・介護・感染症対策ワーキング・グループでは、厚生労働省とこのようなやり取りが行われています(一部日本語表現を変更)2)。「冬を念頭に置く中で、今度はインフルエンザのほうも出てくる可能性があるのではないかと思っております。インフルエンザについても抗原検査キットと一緒に検査できるようなキットも考えうるところだと思います。コロナに比べると、現時点では感染症法上の位置付けとしても、エビデンス上もインフルエンザのほうがまだリスクが低いということだと思います。そうであるとすると、インフルエンザに関してもOTC化をすることも考えられるのではないかと思いますが。」という専門委員の質問に対して、厚労省(厚生労働省大臣官房審議官)は、以下のような回答をしています。「今回のコロナの検査キットOTC化というのは現下のパンデミックの状況に鑑み、特例的に対応を進めております。インフルエンザのキットのOTC化というのは、現時点で予定はしておりません。」参考文献・参考サイト1)厚生労働省 新型コロナウイルス感染症の体外診断用医薬品(検査キット)の承認情報2)内閣府 規制改革推進会議 第8回 医療・介護・感染症対策ワーキング・グループ 議事概要

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血管腫・血管奇形ガイドラインが5年ぶりに改訂

 第18回日本血管腫血管奇形学会学術集会(2022年9月16~17日)において、「血管腫・血管奇形・リンパ管奇形診療ガイドライン改訂について」(科研製薬共催)と題したセミナーが開催され、秋田班ガイドライン改訂統括委員長を務める新潟大学大学院小児外科学分野の木下 義晶氏が解説した。 今回のガイドラインは、第1版である「血管腫・血管奇形診療ガイドライン2013」、第2版である「血管腫・血管奇形・リンパ管奇形診療ガイドライン2017」に次いだ第3版となり、名称は「血管腫・脈管奇形・血管奇形・リンパ管奇形・リンパ管腫症診療ガイドライン2022」となる見込みという。本ガイドラインの作成は2020年から開始され、Minds診療ガイドライン作成マニュアル2017に則して作成されている。 第2版では33個のクリニカルクエスチョン(CQ)が採用されていたが、本ガイドラインでは内容が拡充され38個のCQが採用される。そのうち、第2版から継続されたCQが20個、改訂されたCQが6個、第2版以前にはなく新たに設定されたCQが12個となる。約3分の1が新しいCQであり、とくに形成外科医により設定されたCQが多く増える見込みとなる。新しいCQの中には、リンパ管奇形に対する漢方薬の有効性に関する内容や乳児血管腫に対するプロプラノロールの使用時期に関する内容などが含まれる予定となる。また、前版からの大きな違いとして、一般向けのサマリーが各CQの解説文に追加され、患者にとってもわかりやすい言葉で記載され理解を促すことができるという。 現在はパブリックコメントの募集、ガイドラインの英文化を進めており、2022年中に公開が予定されている。

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英語で「母乳と粉ミルク」は?【1分★医療英語】第48回

第48回 英語で「母乳と粉ミルク」は?How much do you breastfeed and formula feed?(母乳と人工乳の量はどのような感じですか?)Recently, I give my baby formula only.(最近は粉ミルクしか飲ませていません)《例文》医師Do you have any trouble breastfeeding?(何か母乳のトラブルなどの心配はありますか?)患者I feel like I do not produce enough breastmilk.(母乳の量が少ないような気がします)《解説》今回は小児患者さんにおける特有の表現をお伝えします。「母乳」と「人工乳(粉ミルク)」をそれぞれ“breastmilk”、“formula”というのですが、母乳、粉ミルクを与える行為のこと(母乳栄養/人工乳栄養)のことはそれぞれ“breastfeeding”、“formula feeding”と表現します。“breastfeeding”は一語ですが、“formula feeding”はなぜか2語です。“formula feeding”はほかにも“bottle-feeding”という言い方もあり、これは文字の通り「哺乳瓶」での“feeding”であり、「粉ミルクを与える行為一般」を指します。こちらに関してはなぜか“bottle”と“feeding”の間にハイフンを入れるのが一般的です(表記がそれぞれ違って混乱しますが、あまり気にしなくて大丈夫です)。“formula”という言葉はあまり日本人には馴染みがないので、とっさに言葉が出てこない際は“bottle-feeding”を使えば、問題なく患者さんに理解してもらえるかと思います。関連する用語として「授乳」は“lactation”で表現でき、《例文》 の「授乳に関して心配事はありますか?」であれば、“Do you have any concerns about breastfeeding / lactating?”と、両方の言い方が可能です。ちなみに米国では、一般に飲み物の量は“oz”(ounce)で表現します。日本で一般的な“ml”(milliliter)はあまり使われません。患者さんも“My baby drinks 3oz of formula every 2-3 hours.”「私の娘/息子は2~3時間ごとに粉ミルクを3オンス飲みます」といった言い方をしますので、“ml”に慣れている私は変換に困ることがよくあります。1ozはほぼ30mlですので、私はいつも頭の中で変換しながら会話しています。医療者の間では、輸液量の単位などでmlを使うので問題ありません。赤ちゃんのミルクに関する表現だけでも、さまざまなバリエーションがあって奥深いですね。講師紹介

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オープンソースの自動インスリン伝達システム、1型DM血糖コントロールを改善/NEJM

 7~70歳の1型糖尿病患者において、オープンソースの自動インスリン伝達(AID)システムはセンサー付きインスリンポンプと比較して、24週時に血糖値が目標範囲にある時間の割合が有意に高く、1日のうち血糖値が目標範囲内である時間は3時間21分延長したとの研究結果が、ニュージーランド・オタゴ大学のMercedes J. Burnside氏らが実施した「CREATE試験」で示された。研究結果は、NEJM誌2022年9月8日号で報告された。ニュージーランドの無作為化対照比較試験 CREATE試験は、1型糖尿病患者におけるオープンソースAIDシステムの有効性と安全性のデータの収集を目的とする非盲検無作為化対照比較試験であり、2020年9月~2021年5月の期間に、ニュージーランドの4施設で参加者の登録が行われた(ニュージーランド保健研究会議[HRC]の支援を受けた)。 対象は、年齢7~70歳、1型糖尿病の診断を受けてから1年以上が経過し、インスリンポンプ療法を6ヵ月以上受け、糖化ヘモグロビンの平均値<10.5%(91mmol/mol)の患者であった。 被験者は、オープンソースAIDシステムまたはセンサー付きインスリンポンプ(対照)を使用する群に無作為に割り付けられた。また、年齢7~15歳が小児、16~70歳は成人と定義された。 AIDシステムは、AndroidAPS 2.8(標準的なOpenAPS 0.7.0アルゴリズムを使用)の修正版で、試作段階のDANA-iインスリンポンプとDexcom G6持続血糖モニター(CGM)を組み合わせて用いた。ユーザーインターフェースは、Androidスマートフォンアプリケーション(AnyDANA-Loop)だった。 主要アウトカムは、155~168日目(試験の最後の2週間[23~24週])に、血糖値が目標範囲(70~180mg/dL[3.9~10.0mmol/L])にある時間の割合とされた。年齢による治療効果に差はない 97例が登録され、AID群に44例(小児21例[年齢中央値14.0歳、女児11例]、成人23例[40.0歳、15例])、対照群に53例(27例[11.0歳、13例]、26例[38.0歳、15例])が割り付けられた。ベースラインの平均糖化ヘモグロビン値は小児が7.5%、成人は7.7%だった。 血糖値が目標範囲にある時間の割合の平均値(±SD)は、AID群がベースラインの61.2±12.3%から24週時には71.2±12.1%へ上昇し、これに対し対照群は57.7±14.3%から54.5±16.0%へと低下しており、有意な差が認められた(補正後平均群間差:14.0ポイント、95%信頼区間[CI]:9.2~18.8、p<0.001)。また、AID群は、1日のうち血糖値が目標範囲内である時間が、対照群よりも3時間21分長かった。 血糖値が目標範囲にある時間の割合が70%以上で、かつ範囲外(<70mg/dL)にある時間の割合が4%未満の患者は、AID群が52.0%であったのに対し、対照群は11.0%であった(補正後平均群間差:36.9ポイント、95%CI:25.9~48.5)。また、年齢による治療効果の差はみられなかった(p=0.56)。 小児では、AID開始から2週間以内には介入効果が認められ、24週の試験期間中も維持された。また、AID群は、夜間(午前0時~午前6時)の血糖値が目標範囲にある時間の割合が76.8±15.8%と、日中(午前6時~午後12時)の64.3±11.7%に比べて高かった。対照群は、それぞれ57.2±21.4%および50.9±17.4%であった。成人のAID群も小児と同様に、夜間が85.2±12.7%と高かったのに対し日中は70.9±12.7%であった。対照群は、それぞれ53.5±20.1%および57.5±14.4%であり、夜間と日中で同程度だった。 重度の低血糖および糖尿病性ケトアシドーシスは両群とも発現せず、インスリン投与のアルゴリズムおよび自動制御に関連した有害事象もみられなかった。また、重篤な有害事象は、AID群で2件(輸液セットの不具合に起因する高血糖による入院と、糖尿病とは無関係の入院)、対照群で5件(インスリンポンプの不具合による高血糖が1件、糖尿病とは無関係のイベントが4件)認められた(いずれも小児)。 著者は、「この試験の参加者は、多くの実臨床研究に比べ、より典型的な1型糖尿病であり、オープンソースAIDの使用経験がなかったことから、さまざまな1型糖尿病患者が、このシステムから利益を得る可能性があることが示唆される」としている。

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ドラマ「ドラゴン桜」(後編)【そんなんで結婚相手も決めちゃうの? 教育政策としてどうする?(学歴への選り好み)】Part 2

学歴社会を推し進めるのは?厳密に言えば、先ほどの動物の選り好みは、その遺伝子が集団に広がっていくために長い年月がかかります。一方で、人間の学歴への選り好みは、比較的短期間で広がっています。一体何が推し進めているのでしょうか?それは、文化です。人間がほかの動物と決定的に違うのは、環境を変えられることです。そして、変えられたその環境からまた影響を受けるという相互作用を起こすことです。その環境の代表が文化なのです。このようにある行動をする遺伝子がその集団に広がっていく遺伝子進化と同じように、ある行動をする文化がその集団に広がっていくことを、文化進化と呼んでいます6)。この文化の起源は、私たち人類が部族をつくった約300万年前です。当時から、人類は狩りや育児の仕方を次世代に伝えるようになりました。これは、部族(集団)としては文化であり教育です。部族メンバー(個人)としては経験であり学習です。そして、これが、行動遺伝学における「環境」の起源と言えるでしょう。つまり、約300万年前以降の人類のほとんどの行動は、本能(遺伝)+文化(環境)から成り立っていると言えます。逆に言えば、約300万年以前の人類やほかのすべての動物の行動は、ほぼ本能(遺伝)だけとも言えます。なお、定住して家を作るようになった約1万数千年前から、人類は、部族だけでなく、家族単位でも生活圏(縄張り)を区切るようになりました。こうして、コミュニケーションの癖、生活習慣、好みなどの嗜癖の多様化がさらに進んだのでした。これは、家族文化とも言えます。これが、行動遺伝学における「家庭環境」の起源と言えるでしょう。この点でも、飲酒習慣や素行などは、本能(遺伝)+家族文化(家庭環境)+文化(家庭外環境)と言えるでしょう。なお、中編でも触れましたが、家族文化(家庭環境)は知能と収入に当初は影響を与えます。しかし、その影響力は、成人して最終的になくなるか、あったとしてもとても限られたものになります。学歴社会の行き着く先は?人間は、環境を変え、そして変えられた環境(文化)から影響を受けると、今度は長い時間の中で、人間(遺伝子)が淘汰されていくという相互作用も起こります。つまり、遺伝子進化と文化進化は共進化しています。ここから、共進化の例を3つ挙げます。そして、学歴社会が私たち人間に与える影響、つまり学歴社会の行き着く先を予測してみましょう。(1)調理する文化数十万年前に、人類が火を使うようになってから、食べ物を調理することで、消化しやすくなりました。このような環境では、消化能力が強くない人も生き残れます。すると、消化能力が弱い人類が増えていき、ますます調理をする文化が広がっていきます。こうして、現在のほとんどの人間は、生肉や腐ったものを食べるとお腹を壊すようになったのです。言い換えれば、調理の文化(環境)から影響を受けて、消化能力が強い遺伝子が淘汰され、なくなっていったのでした。(2)牛乳を飲む文化実は、世界中の成人の70%近くは、牛乳を飲んでも吸収できないです。もちろん、母親のおっぱいを飲む乳児は、牛乳も吸収できます(ただし推奨年齢は1歳を過ぎてから)。しかし、5歳を過ぎると、母親のおっぱいに含まれる乳糖(牛乳の成分と同じ)を分解する酵素がつくられなくなるため、牛乳を飲んでも吸収できなくなるのです。場合によっては、腹痛や下痢を起こします(乳糖不耐症)。一方で、残りの30%強の人は、大人になっても牛乳を吸収できて栄養にすることができます。そのわけは、約1万数千年前に農耕牧畜が広がってから、その人たちの祖先が、その家畜の搾乳を栄養として利用する地域にいたからです。先ほどの調理をする文化と同じように、牛乳を飲んで栄養にして生きていく文化の淘汰圧がかかったために、大人になっても牛乳を飲んで吸収できる遺伝子を持つ人が増えていったのでした。なお、チーズやヨーグルトなどの乳製品は、加工の過程で乳糖の割合が減っていくため、食べて吸収できる人が増えます。これは、牛乳が飲めない人たちが生きて行くための新たな文化的な適応であったと言えます。(3)お酒を飲む文化哺乳類の多くは、腐った果実(=果実酒)を食べると、分解する能力が低いためすぐに酔っ払います。ところが、ゴリラとチンパンジーはなかなか酔っ払わないことが分かっています。このことから、もともとの約1千万年前のゴリラとチンパンジーと人類との共通の祖先は、当時から「アルコール」を分解して栄養にすることができたと考えられています。そのわけは、彼らは、木から下りて地上で長い間を過ごすようになっていたため、地上に落ちて腐った果実(アルコール)も貴重な食料源として分解して消化するような遺伝的な適応をしたからでしょう。その後、約数万年前に、人類はアルコールを作るようになりました。同時に、当時からアルコール依存症が問題になっていたことが考えられます。すると、アルコールを飲まない(あまり飲めない)人が仕事仲間として、そして結婚相手としてより選ばれていくことが推測されます。このような当時の文化の淘汰圧によって、飲んだアルコールを分解できない遺伝子を持つ人が再び増えていったのでしょう。実際に、お酒があまり飲めない人は、とくに東アジアで多いのです。お酒を飲んで出てくる赤ら顔は「オリエンタルフラッシュ(東洋人の赤ら顔)」とも呼ばれます。そのわけは、もともと東アジアで稲作が盛んで、早くから米酒が醸造されていたことで、アルコール依存症が当時から社会問題になっていたからであると考えることができます。この詳細については、関連記事をご参照ください。以上を踏まえて、学歴社会の行き着く先が見えてきます。それは、学歴を重んじる文化の淘汰圧がかかると、知能が高くなる遺伝子を持つ人が増えていくことです。そして、牛乳(またはお酒)が飲める人と飲めない人がそれぞれいるのと同じように、知能の高い人と高くない人の集団が二極化していくことです。これは、知能における「遺伝格差」が広がることを意味します。一見、知能が高い人が増えるのはそれ自体むしろ良いことのように思われます。しかし、その知能とは、試験問題を解くことに特化した「知能」(情報処理能力)です。何か新しいものを生み出す創造性ではありません。AI化が進む私たちの日常生活にも共感的なコミュニケーションが求められる社会生活にも役に立つとは限らない、時代遅れの「知能」です。さらに問題なのは、その知能の高い人が高くない人を搾取する社会の仕組み(学歴社会)は変わらないどころか、強化される危うさもあるということです。この状態を前編では学歴階級社会とご説明しました。これは、牛乳が飲める人が飲めない人を搾取するのと大差ないくらい、実は不公平なものに思えてきます。この点で、中編でも触れた教育格差の名の下に、これまでの大学への助成金に加えて今後の学生への大学無償化を進めてしまえば、国は教育をする側だけでなく受ける側も含めた両方に資金援助をして、ますます教育ビジネス(前編を参照)に加担することになります。そればかりか、このように収入格差を縮めようと良かれと思って教育格差を是正しようとする取り組みは、皮肉にも、逆に学歴インフレ(前編を参照)を引き起こし、学歴を重んじる文化の淘汰圧を高めることになります。こうして、知能における「遺伝格差」をますます広げ、結果的に収入格差が広がった学歴階級社会をさらに「発展」させてしまうことになります。<< 前のページへ | 次のページへ >>

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ドラマ「ドラゴン桜」(後編)【そんなんで結婚相手も決めちゃうの? 教育政策としてどうする?(学歴への選り好み)】Part 3

学歴社会にどうすればいいの?桜木先生は、全校生徒の前で「そういう世の中が気に入らねえんだったら、自分でルールを作る側に回れ」と言い放ちます。彼が言う「ルール」とは、まさに学歴社会という文化そのものでもあります。「ルールを作る側に回れ」とは、高い学歴を手に入れることであり、さらには学歴(知能)が高い人が高くない人から搾取しない新しい仕組みを作り直すことをほのめかしていると読み取ることもできます。それでは、そのためには、どうすればいいでしょうか? 文化的に促進したものは文化的に抑制できるという文化進化の特性を踏まえて、学歴社会への国家的な真の対策を大きく3つ挙げてみましょう。(1)収入格差そのものを縮める1つ目の取り組みは、収入格差そのものを縮めることです。なぜなら、問題なのは、中編でもご説明しましたが、教育格差ではなく、収入格差そのものだからです。そのための税制などの社会政策を進め、収入格差をコントロールすることです。実際に、高卒に対しての大卒の収入は、アメリカは1.7倍で、日本は1.4倍強でしたが、実はフィンランドは1.25倍です。フィンランドをはじめとする北欧諸国は、もともと福祉国家であり、収入格差が小さいことで有名です。このように、社会政策として、シープスキン効果を働きにくくすれば、学生が高い学歴に選り好みをすることは減るでしょう。(2)一般職の公務員は高卒者とする2つ目の取り組みは、一般職(専門職を除く)の公務員は高卒者とすることです。すでに、大学における教育効果はとても限定的であるとご説明してきました。一般職の公務員が大卒者である必要がないのです。能力(知能)や適正(性格)を知りたいのであれば、能力テストや適正テストを適宜すれば良いです。もちろん、大学教育がない分、職場教育を充実させることができます。大学教授による目的が曖昧な授業よりも、職場教育に特化した講師による目的がはっきりした研修講義のほうが、より実践的で教育効果が期待できるでしょう。このように、まず公的機関において、高卒者の採用の促進とその後の職場教育のモデルを示せば、一般企業においても高い学歴に選り好みをすることは減るでしょう。(3)大学教育への資金援助を減らす3つ目の取り組みは、大学教育(研究を除く)への資金援助を減らすことです。これは、教育政策として教育政策をしないという仰天の逆説です。たとえば、大学への助成金を段階的に減らしていくことです。また、学生への大学無償化などの政策はしないことです。結果的に、少子化のなか、大学はダウンサイジングを迫られるでしょう。しかし、これは、一般企業としてはごく当たり前のことです。効果が期待できないことに、投資することはできないからです。ただし、奨学金制度はむしろ充実させる必要があります。なぜなら、奨学金の対象は、もともと学力が高くて真面目な学生であるため、専門職や研究職においての教育の効果が期待できるからです。一方で、大学無償化の対象は、学力が高くて真面目な学生であるとは限らなくなるため、経営難の大学の延命に利用されるだけになってしまうからです。このように、大学は、「淘汰」されることで、専門職と研究職のための教育に特化した本来のあるべき姿に戻ることができます。大学は、国立研究所として位置付けられ、浮いた大学助成金は研究予算に回すことができます。そして、大卒者が減り、世の中の大半の人が高卒者になれば、社会において高い学歴に選り好みをすることは減るでしょう。すでに中編で、一般教養を学ぶ場が大学である必要がないことをご説明しました。そもそも大学の教育関係者は、実は研究職が専門で、教職を専門とはしておらず、教えることには実は長けているわけではないという現実もあります7)。もちろん、高校教育までは、職業訓練をしたり、社会性(社会適応能力)を高める場所として必要です。人生の正解とは?第1シリーズのラストシーン。桜木先生は、最後に東大特進クラスの生徒たちに言い残します。「入学試験の問題にはな、正解は常に1つしかない。その1つに辿り着けなかったら、不合格。こりゃ厳しいもんだ。だがな、人生は違う。人生には、正解はいくつもある。大学に進学するのも正解。行かないのも正解だ。スポーツに夢中になるのも、音楽に夢中になるのも、友達ととことん遊び尽くすのも、そして誰かのためにあえて遠回りするのも、これすべて正解だ。だからよ、おまえら生きることに臆病になるな」「おまえら、自分の可能性を否定するなよ。受かったやつも、落ちたやつもだ。おまえら、胸を張って堂々と生きろ」と。あれだけ最初に「東大に行け」と言っておきながら、最後は「(東大に)行かないのも正解だ」と言い切っています。また、彼自身が弁護士であり受験コンサルタントとして知能が高い側にいるはずなのに、「自分でルール(学歴社会にならない仕組み)を作る側に回れ」と言っていました。この点で、彼はトリックスターとも言えます。それを物語るのは、元暴走族上がりで東大に合格しながら進学しなかったという異色の経歴であり、弁護士として王道を歩まない彼自身の不器用な生き様であり、彼らしい世の中への反逆精神でしょう。しかし、現実的には、官僚や教育関係者など学歴(知能)が高い人たちは、その恩恵を受ける側なので、学歴社会の不公平さをうすうす分かっていたとしても、桜木先生のようにあえてその立場が危うくなることは言わないですし、あまり知りたいとも思わないでしょう。政治家も、今まで通り教育政策を充実させると言っておいたほうが聞こえが良くて支持が集まるので、その反対のことは言えないでしょう。では、このままの学歴社会でいいんでしょうか? 知能における「遺伝格差」によって、本人の努力ではどうしようもなく搾取される側になってしまっていいんでしょうか? その「遺伝格差」によって、親の「努力」(教育費をかけること)でもどうしようもなく自分の子どもが搾取される側になってしまっていいんでしょうか?もちろん、どんな社会にするかは政治が決めることです。しかし、政治をする政治家を決めるのは、やはり私たちです。となると、私たち一人一人がまず暴走(ランナウェイ)しつつある学歴社会という文化進化の危うさを理解することです。そして、逆にその文化(環境)を変えていくことで、知能における「遺伝格差」を広げないようにする必要があることを理解することです。すると、遺伝自体は変えられなくても、その遺伝と相互作用して顕在化させるかを左右する環境を変えることができます。これは、逆転の発想です。実際に福祉国家であるスウェーデンは、収入への遺伝の影響が小さいことが分かっています。つまり、収入格差の抑制が知能における「遺伝格差」の抑制につながっているというわけです。このような社会を実現するために、私たちは、遺伝と真摯に向き合う時期に来ています。貧富の差(収入格差)があるのは、「努力が足りなかったからだ」という自己責任論ばかりを唱えるのをそろそろやめる時期に来ています。遺伝の影響力はないとする考えほうが逆に遺伝の影響力を強める結果を招いているという逆説にそろそろ気付く時期に来ています。そして、遺伝の価値は、私たちの文化(環境)が決めているという側面に気付くことです。なぜなら、進化心理学の視点で考えれば、私たちの心は、学歴などによる不平等で不公平な社会ではなく、助け合いによるある程度平等で公平な社会をもともと望むからです。それは、私たちの心の原型が形づくられた原始の時代の部族社会をイメージすれば、分かるでしょう。もちろん、まったくの平等社会にはしないことです。なぜなら、旧ソ連がそうだったように、そんな社会は、こんどは努力をしなくなるという負の側面が出てくるからです。以上を踏まえて、桜木先生が最後に言い残したように、正解を求める生き方ではなく、どんな生き方でも正解と思えることが望ましいでしょう。そのために、私たち一人一人が、学歴という体裁ではなく、相性という中身によって、仕事もパートナー(結婚相手)も選んでいける時代にしていくことではないでしょうか? そんな心のあり方を育むことこそがこれからの教育であり、そんな生き方を促すことこそがこれからの社会と言えるのではないでしょうか?5)「進化と人間行動」P235:長谷川寿一ほか、東京大学出版会、20226)「文化がヒトを進化させた」P22:ジョセフ・ヘンリック、20197)「大学の常識は、世間の非常識」P119、P181:塚崎公義、祥伝社新書、2022<< 前のページへ■関連記事酔いがさめたら、うちに帰ろう。(前編)【アルコール依存症】

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第117回 電子カルテの規格統一で、医療のデジタル化推進へ/厚労省

<先週の動き>1.電子カルテの規格統一で、医療のデジタル化推進へ/厚労省2.医療データ活用、本人同意なしでの利活用について討議へ/規制改革推進会議3.高額レセプトが過去最多に、高額な薬剤費が影響/健保連4.2021年度の介護費が11兆円突破、過去最高に/厚労省5.地域医療構想で、病院・診療所別の医師の偏在も可視化へ/厚労省6.マイナンバー普及が低い自治体への交付金給付をゼロに/政府1.電子カルテの規格統一で、医療のデジタル化推進へ/厚労省厚生労働省は、2030年までに「医療DX令和ビジョン2030」を推進のために、9月22日に「医療DX令和ビジョン2030」厚生労働省推進チームの初会合を開いた。この専門会議は、2つのタスクフォースからなり、「電子カルテ・医療情報基盤」では、全国の医療機関での電子カルテの導入を目指すため、電子カルテの規格統一など基盤整備を行い、患者さんが最適な治療を受けられることを目指す。「診療報酬改定DX」タスクフォースでは、診療報酬の改定に関する作業を大幅に効率化し、人材の有効活用や費用の低減化を目指す。(参考)全国で電子カルテの規格統一へ「質の高い医療提供が可能に」 厚労省(テレビ朝日)医療デジタル化へ初会合 厚労省の推進チーム(産経新聞)医療デジタル化 厚労省 作業チーム新設へ 情報共有仕組み検討(NHK)第1回「医療DX令和ビジョン2030」厚生労働省推進チーム資料診療報酬改定DXが開始!医療機関にもたらすメリットとは(PHC)2.医療データ活用、本人同意なしでの利活用について討議へ/規制改革推進会議政府は9月22日に規制改革推進会議の作業部会を開き、医療データ活用について検討に入った。新薬の開発や、地域医療のために医療データ活用を行う上で、現行の個人情報の規制では、データ活用が進まないため、欧米の事例などを参考に、制度の見直しに着手した。一方、9月20日に内閣府が、次世代医療基盤法に基づく事業者であるNTTデータと一般社団法人ライフデータイニシアティブが、患者の同意を得ずにデータ収集を行なっていたことを明らかにした。すでに両者は医療機関からの情報収集や第三者への匿名加工医療情報の提供は取りやめているが、内閣府は両者に対して来月4日までに、原因を調べ、再発防止策を報告するよう命じた。(参考)医療データ活用、本人同意を議論 規制改革推進会議(日経新聞)認定事業者が患者通知なしの医療情報収集  施行後初、原因など調査へ(MEDIFAX)患者通知なく医療情報収集 NTTデータ、9万人分(日経新聞)3.高額レセプトが過去最多に、高額な薬剤費が影響/健保連9月21日に健康保険組合連合会(健保連)は、2021年度の月額1,000万円以上に達した高額レセプトの発生状況について報告した。2021年度は、前年度より152件増加(対前年度比11%増)の1,517件と過去最高を記録した。これは脊髄性筋萎縮症の新薬「ゾルゲンスマ」(1患者当たり約1億6,708万円)など高額な医薬品の承認が影響したためとしている。医療費の上位100位のうち半数以上の56件が高額医薬品によるレセプトであり、がん治療薬の「キムリア」(1患者当たり約 3,265万円)が多かった。また、疾患別では100件のうち49件ががん、循環器系疾患が22件、血液疾患3件など上位を占めていた。(参考)令和3年度 高額レセプト上位の概要を発表(健保連)高額レセプト過去最多1,517件、21年度健保連、高額医薬品が過半数(CB news)4.2021年度の介護費が11兆円突破、過去最高に/厚労省厚生労働省は9月21日に2021年度の介護費用を発表した。これによると、介護保険で2021年度にかかった介護費用全体(介護給付費と自己負担)で総額11兆291億円となり、過去最多を更新した。2000年から始まった介護保険制度は発足当初と比べ、約2.5倍と大幅に増加している。今後も高齢化の進行に伴い、介護費の増加が見込まれている。(参考)令和3年度 介護給付費等実態統計の概況(令和3年5月審査分~令和4年4月審査分)(厚労省)介護費用総額11兆円を突破 2021年度 過去最多(朝日新聞)介護費用11兆291億円 21年度最多更新、高齢化で利用増(日経新聞)5.地域医療構想で、病院・診療所別の医師の偏在も可視化へ/厚労省厚生労働省は、9月21日に第8次医療計画等に関する検討会の下部組織の開「地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ」を開催し、各都道府県が2次医療圏ごとに医師の偏在対策に利用できるように、医師確保計画の見直しに着手することを明らかにした。これまで各都道府県は、地域医療構想に向けて医療機関の機能分化を進めてきたが、医師の偏在を見直すために、2次医療圏を医師偏在指標によりそれぞれ上位3分の1の医師多数区域や下位3分の1の医師少数区域、その他の中間区域に分け、医師多数区域は、圏域外からの医師確保は行わず、逆に医師少数区域に医師を派遣するなどを求めるほか、診療科別医師数のデータを活用し、医療機関ごとに医師の偏在も可視化することで、各都道府県みずからに実効性のある医師確保策に取り組むように働きかける。(参考)第7回地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ資料(厚労省)診療科別の医師偏在指標、次期確保計画で見送りへ 厚労省方針、「現時点で困難」(CB news)2次医療圏毎に病院・診療所別の「医師が多い、少ない」を可視化、地域の医師確保対策に極めて有益―地域医療構想・医師確保計画WG(GemMed)6.マイナンバー普及が低い自治体への交付金給付をゼロに/政府政府は、来年度から新たに設ける「デジタル田園都市国家構想交付金」について、各自治体のマイナンバーカードの普及率をもとに、給付をすることを決めた。これまでの補助金と異なり、各自治体が給付の申請には、全国の自治体の中で、全国平均以上の普及率を要求することとしている。国の来年度の予算の概算要求で総額1,200億円を求めており、各自治体は来年度からの補助金の給付を受けるため、マイナンバーの普及に努力を促す仕組みとなる。この方針について、群馬県の山本知事は会見で「上から恫喝するみたいなアプローチは間違っている」との意見も出されるなど、政府の方針も見直される可能性もある。(参考)政府 マイナンバーカードの普及状況 交付金配分に反映方針(NHK)マイナカード低迷なら交付金ゼロ 自治体に「全国平均以上」要求(中日新聞)マイナンバーカード取得率で交付金制限 群馬・山本知事「上から恫喝みたいなアプローチは間違い」(群馬テレビ)

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1型DMのC-ペプチド分泌能、クローズドループ療法vs.標準療法/NEJM

 新規発症の若年1型糖尿病患者において、診断後24ヵ月間、ハイブリッドクローズドループ(HCL)療法により持続的に血糖コントロールを行っても、標準的なインスリン療法と比較して、残存C-ペプチド分泌能の低下を抑制することはできなかった。英国・ケンブリッジ大学のCharlotte K. Boughton氏らが、多施設共同無作為化非盲検並行群間比較試験「Closed Loop from Onset in Type 1 Diabetes trial:CLOuD試験」の結果を報告した。新規発症の1型糖尿病患者において、HCL療法による血糖コントロールの改善が標準的なインスリン療法と比較しC-ペプチド分泌能を維持できるかどうかは不明であった。NEJM誌2022年9月8日号掲載の報告。10歳以上17歳未満の新規発症1型糖尿病患者97例を対象に無作為化 研究グループは、2017年2月6日~2019年7月18日の間に、10歳以上17歳未満で1型糖尿病と診断されてから21日以内の若年者を、HCL療法群(HCL群)または標準的なインスリン療法群(対照群)に、1対1の割合で無作為に割り付け(10~13歳、14~16歳で層別化)、24ヵ月間治療した。 主要評価項目は、診断後12ヵ月時点での血漿C-ペプチド濃度(混合食負荷試験後)の曲線下面積(AUC)で、intention-to-treat解析を行った。 計97例(平均年齢[±SD]12±2歳)が、HCL群51例、対照群46例に割り付けられた。12ヵ月、24ヵ月時点でのC-ペプチド分泌能に両群で有意差なし 診断後12ヵ月時点の血漿C-ペプチド濃度のAUC(幾何平均値)は、HCL群で0.35pmoL/mL(四分位範囲[IQR]:0.16~0.49)、対照群で0.46pmoL/mL(0.22~0.69)であり、両群間に有意差は確認されなかった(平均補正後群間差:-0.06pmoL/mL、95%信頼区間[CI]:-0.14~0.03)。 24ヵ月時点の血漿C-ペプチド濃度のAUCも両群で有意差はなかった(HCL群0.18pmoL/mL[IQR:0.06~0.22]、対照群0.24pmoL/mL[0.05~0.30]、平均補正後群間差:-0.04pmoL/mL[95%CI:-0.14~0.06])。糖化ヘモグロビン値(算術平均値)は、HCL群のほうが対照群と比較して12ヵ月時点で4mmoL/mole(0.4ポイント、95%CI:0~8mmoL/mole[0.0~0.7ポイント])、24ヵ月時点で11mmoL/mole(1.0ポイント、95%CI:7~15mmoL/mole[0.5~1.5ポイント])低値であった。 重症低血糖はHCL群で5件(患者3例)、対照群で1例発現し、糖尿病性ケトアシドーシスがHCL群で1例認められた。

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伝統的な子供向けゲームがインターネット依存や社交性スキルに及ぼす影響

 伝統的な子供向けゲームは、小児の身体的、感情的、精神的な健康状態を保護する可能性がある。トルコ・Civril Sehit Hilmi Oz State HospitalのDilek Kacar氏らは、伝統的な子供向けゲームがインターネット依存、社交性スキル、ストレスレベルに及ぼす影響を評価するため、検討を行った。その結果、伝統的な子供向けゲームは、インターネットの使用を減少させ、社交性スキルの向上に寄与する可能性が示唆された。著者らは、小児期は身体的、認知的、心理社会学的な発達にとって重要な時期であり、子供たちの健康状態を保護し促進するため、学校での伝統的な子供向けゲームの実施は利用可能な介入であることを報告した。Archives of Psychiatric Nursing誌2022年10月号の報告。 対照群を用いた試験前後の準実験的研究を実施した。調査の母集団は、トルコの都市部にある2つの中学校の5年生および6年生(日本の小学5年生、6年生に当たる)で構成した。対象は、介入群20人および対照群22人の合計42人の生徒。評価尺度には、家族と子供のインターネット依存症尺度(Family-Child Internet Addiction Scale)、ソーシャルスキル尺度(Social Skills Assessment Scale、Social Skills Scale)、小学生用ストレス反応尺度(Perceived Stress Scale in Children [8-11 years])を用いた。介入群には、伝統的な子供向けゲームを8週間実施した。 主な結果は以下のとおり。・事前の調査では、インターネットの使用、社交性スキル、ストレスレベルは、介入群と対照群で有意な差は認められていなかった(p>0.05)。・介入後に調査した毎日および毎週のインターネット使用は、介入群と対照群で有意な差が認められた(p<0.05)。・介入群の社交性スキルに関する平均スコアは、対照群と比較し、介入後に上昇が認められた(p<0.05)。・ストレスレベルの平均スコアは、両群間で有意な差が認められなかった(p>0.05)。

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第12回 「今年こそインフルエンザ流行」はオオカミ少年?

毎年「インフルエンザと新型コロナの同時流行が…」という懸念が出つつ、流行しないということが続いています。今度こそインフルエンザが流行するかもしれないと報道されていますが、オオカミ少年のようにあまり信用されていないのが現状です。「インフルエンザと新型コロナはウイルス干渉して共存しないため、コロナ禍ではインフルエンザは流行しない」という見解があり、実際に2シーズン連続でそのような動きとなっています。オーストラリアの流行オーストラリアは南半球にあるため、インフルエンザは夏に流行します。そのため、日本のインフルエンザの流行を予測するうえで、オーストラリアの流行状況を参考にすることが多いです。ほかの国のデータも参考になりますが、オーストラリアが圧倒的に開示されている情報が多く、こちらを基に予測されています。残念ながら、2022年に関しては、オーストラリアでインフルエンザと新型コロナの同時流行が起こっており、ウイルス干渉というロジックがあやふやであることが示されました。オーストラリアでは例年よりも2~3ヵ月早くインフルエンザの流行が起こっており(図)1)、日本でもしこのような事態になるとすれば、年末くらいから流行が始まるかもしれません。図. オーストラリアのインフルエンザ流行状況(参考資料1より)ワクチン同時接種は筋注+皮下注?新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンの同時接種が認められました。新型コロナワクチンは筋注で行いますが、インフルエンザワクチンは実はまだ添付文書的には皮下注が基本です。病院職員・看護学生へのインフルエンザワクチン接種を筋肉注射か皮下注射の希望選択としている施設での研究によると、申告を要する副反応は、筋肉注射8.2%、皮下注射11.3%と、筋肉注射のほうが少なかったという結果でした2)。別の研究においても、筋肉注射のほうが皮下注射よりも副反応が少なかったと報告されています3)。インフルエンザワクチンによる抗体価上昇は、皮下注射と筋肉注射で差がないこともわかっています4)。一方が筋注、もう一方が皮下注だと、インシデントのもとになりますので、可能であれば両腕に筋肉注射できるようにすべきと考えます。まぁ、そう簡単に同時接種が実現するとは思っていません。ウチの子供の3回目接種が近づいてきたのですが、新型コロナワクチンは自治体から予約、インフルエンザワクチンはかかりつけの小児科で予約、という状況です。参考文献・参考サイト1)Australian Influenza Surveillance Report No. 12 - 29 August to 11 September 20222)馬嶋健一郎ほか. 発症率・接種時疼痛・副反応の前向きコホート観察研究. 日本環境感染学会誌. 2021;36(1):44-52.3)Ikeno D, et al. Immunogenicity of an inactivated adjuvanted whole-virion influenza A (H5N1, NIBRG-14) vaccine administered by intramuscular or subcutaneous injection. Microbiol Immunol. 2010 Feb;54(2):81-8.4)Sanchez L, et al. Immunogenicity and safety of high-dose quadrivalent influenza vaccine in Japanese adults ≥65 years of age: a randomized controlled clinical trial. Hum Vaccin Immunother. 2020 Apr 2;16(4):858-866.

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シーリングファン頭部外傷の臨床的検討【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第218回

シーリングファン頭部外傷の臨床的検討pixabayより使用シーリングファンってご存じでしょうか。シャレオツな店などにある、天井に取り付ける扇風機のことです。空気を撹拌することで室内の温度を一定にすることができ、吹き抜けの天井が高い部屋で有効とされています。ゆっくり回っているところが多いと思いますが、海外だと結構ビュンビュン回っていることもあり、これが頭部外傷のリスクになる懸念があります。Alias A, et al.Head injury from fan blades among children.Asian J Surg . 2005 Jul;28(3):168-70.2000年1月~2002年12月に、マレーシアでファンブレードによる頭部外傷を負った小児14例を後ろ向きに登録したものです。平均年齢は7.9歳でした。ブレードによる頭部外傷の原因は、表1のようになります。表1.14例の外傷の原因(文献より引用)二段ベッド絡みの外傷が多いようです。確かに、マレーシアの裕福な邸宅には天井にファンが取り付けられており、二段ベッドと距離が近いと頭をけがしてしまう可能性がありますね。子供を持ち上げたらそこにシーリングファンがあった、というのは親としては避けたいところですね。ブレードが鋭いと、とんでもない外傷になる可能性があります。外傷の程度は表2のような結果となりました。結構骨折が多いですね。表2.14例の外傷の内訳(文献より引用)このうち、頭蓋内出血を合併した1例が死亡に至っています。最近も、マレーシアで重症の穿通性頭部外傷を起こした症例が報告されています1)。オーストラリアではシーリングファンの使用に関して指針があり、二段ベッドや家具はシーリングファンから2m以上離す必要があるとされています2)。マレーシアではこれが徹底されていないという批判もあります。日本でも、シーリングファンをつけている富裕層のお宅ではご注意を!1)Ong Y, et al. A Case of a Penetrating Traumatic Head Injury Due to a Ceiling Fan. Cureus. 2022 Jun 26;14(6):e26350.2)Australian Competition and Consumer Commission: ceiling fan injury hazard

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ドラマ「ドラゴン桜」(中編)【実は幻だったの!? じゃあ何が問題?(教育格差)】Part 1

今回のキーワード教育格差収入格差行動遺伝学ゼロサムゲーム教育効果「遺伝格差」前編では、ドラマ「ドラゴン桜」を通して、学歴ブランド化の問題点を明らかにして、教育のビジネス化という不都合な真実に迫りました。今回は、引き続きこのドラマを通して、昨今問題視されている教育格差が、実は問題にならないという衝撃の根拠をご説明します。そして、問題になる別のある「格差」を解き明かします。教育格差が問題にならない根拠とは?第1シリーズに登場する矢島は、父親が抱えた借金のせいで、高校を中退して、日雇いの建設作業員になろうとしていました。しかし、桜木先生に借金を肩代わりしてもらうことで、一念発起して東大特進クラスに入り、最後は東大に合格するのです。当初の矢島のように、生まれ育った環境によって、受けることのできる教育に格差があることは、教育格差と呼ばれています。この一番の問題は、「教育格差という機会の不平等よってその後に収入格差が生まれてしまう」こととされています。簡単に言えば、親にお金がある人がより良い教育を受け、より良い学歴を手に入れ、より良い収入を得ているというロジックです。しかし、果たしてそうでしょうか?実は、この主張には、3つの見落しがあります。ここから、その3つの見落としを通して、実は教育格差によって収入格差が生まれる訳ではないことを明らかにします。(1)収入への遺伝の影響度の大きさ1つ目の見落としは、収入への遺伝の影響度の大きさです。教育格差を問題視する学者のなかには、遺伝について触れる人もいます。しかし、それはもっぱら知能に限ったもので、収入への直接的な影響や、その影響度の経時的な変化にまで踏み込んでいません。そのために、遺伝の影響は限定的であるとされてしまい、教育格差はやはり問題であると結論づけています。ここで、行動遺伝学の研究の結果をご紹介します。なお、行動遺伝学の詳細については、この記事の3ページ目に【参照】として詳しく解説しました。男性の収入への遺伝、家庭環境、家庭外環境のそれぞれの影響度の経時的な変化をグラフ化すると、グラフ1のようになります2)。このグラフから、20歳を境に、年齢が上がっていくにつれて遺伝と家庭外環境の影響がどんどん増えていく一方、家庭環境の影響がどんどん減っていき、ほとんどなくなっていることがわかります。つまり、親が教育にかけるお金や親のコネの程度(家庭環境)の違いによって生まれる収入格差は、最初はあるのですが、最後はなくなっていくということです。そして、結局、本人の実力(遺伝)といろいろな人との出会い(家庭外環境)による相互作用が大きくなっていくということです。ちょうど矢島が分かりやすい例です。彼は東大に合格しましたが、結局、入学しませんでした。しかし、第2シリーズでは、独学で司法試験に合格して、弁護士になっているのです。そして、桜木先生の窮地を救う立て役者の1人として活躍するのです。彼の収入への影響は、最終的に彼の実力(遺伝)が大きいことを描いています。もちろん、桜木先生をはじめとする人生でのいろいろな出会い(家庭外環境)も大きいでしょう。逆に、矢島に元々実力(遺伝的な資質)がなかったとしたら、いくら桜木先生の受験勉強のテクニックを教わっても、東大には合格していなかったでしょう。実際に、知能(認知能力)への遺伝、家庭環境、家庭外環境のそれぞれの影響度の経時的な変化をグラフ化すると、グラフ2のようになります3)。やはり、遺伝の影響は元々かなりあり、それがさらにどんどん大きくなっていくことが分かります。この点で、前編でご紹介した学歴による収入の割り増し(シープスキン効果)は、あくまで全体として見た場合の話であり、個人として見た場合は、家庭環境の違いによってのばらつきや経時的な変化が出てくることが推定できます。現実的には、大部分で順当に、知能の高い人が大学に進学して、知能の高くない人が高卒で就職していることが考えられます。そして、一部分で不当にも、知能の高い人が高卒で就職したとしてもその後に挽回し、その一方で知能の高くない人が何とか大学に進学したとしてもその後に伸び悩んでいることが考えられます。なお、グラフ1のような逆転現象は、欧米と比べてとくに日本で際立って見られることが分かっています。その訳は、欧米では、家庭環境の影響が元々小さいからです。このことからも、日本では子どもの人生に学歴をはじめとする親の影響力が、大人になるまでかなりあることが伺えます。また、女性の収入についての結果は、遺伝の影響がほぼ0のままであることがわかっています。この結果の違いの原因は、男性と比べて女性の就労状況は正社員が少なく、パートや無職が多いからであるといわれています。もしも女性が男性と同じくらい就労していれば、男性と同じように遺伝の影響が出てくると考えられています。以上より、結局、遺伝の影響力が大きいため、生まれ育った環境によって受けることのできる教育に格差があったとしても、それだけで最終的な収入に格差が生まれる訳ではないと結論付けることができます。教育格差を問題視する関係者は、当初の矢島のような不遇な人が多いと思い込んでいます。しかし、もしそうだとしたら、先ほどのグラフで家庭環境の影響が残り続けるはずです。家庭環境の影響が最終的に残らないということは、教育格差はあったとしても最終的な結果には影響を与えておらず、問題にならないということです。次のページへ >>

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ドラマ「ドラゴン桜」(中編)【実は幻だったの!? じゃあ何が問題?(教育格差)】Part 2

(2)高収入の就職先の数の限度2つ目の見落としは、高収入の就職先の数の限度です。教育格差を問題視する学者は、教育格差が縮まれば、大卒者が増えるので、その分、高収入の人が増えると主張しています。確かに、前編でご紹介したシープスキン効果により、大卒であることによる収入の割り増しはあります。しかし、これは、大学進学率が50%強の現時点での話です。もしも少子化なのに大学を増やし続けて大学進学率が100%に近づいていったら、どうなるでしょうか?前編でも触れた学歴インフレが激化するだけです。大卒であるだけでなく、東大をはじめとする有名大卒かどうかが新たに価値付けされるようになります。なぜなら、東大の合格者の定員と同じように、高収入の就職先の数は最初から決まっているゼロサムゲームだからです。つまり、大学全入になってしまったら、大卒であるだけではシープスキン効果が働かなくなることが予測できます。これを象徴するのが、最近の「Fランク大学」「学歴フィルター」という言葉でしょう。以上より、教育(正確には学歴)の格差を是正しようとしたとしても、限られた就職先(階級)を取り合う仕組み自体は変わらないため、結局、収入の格差は変わらないと結論付けることができます。むしろ、受験生たちは、より偏差値の高い大学に入ろうと、「受験戦争」が激化します。これは、「学歴の軍拡競争」とも例えることができます。もはや教育は、それ自体が目的ではなくなり、ますます学歴を手に入れるための手段になってしまうでしょう。(3)教育効果の妥当性3つ目の見落としは、教育効果の妥当性です。教育格差を問題視する学者は、教育自体がそのまま職業的に役に立つと主張しています。確かに、専門職や研究職は当てはまるでしょう。しかし、これらは世の中の仕事のごく一部であり、その就職先の数に限りがあります。よくよく考えると、それ以外のほとんどの一般職は、実は中学校までの教育の効果で十分ではないでしょうか? 高校教育は、学力とは別に、社会性(社会適応能力)を高める場所として必要があるとしても、少なくとも大学教育の効果そのものが一般職にあえて必要な理由を証明することは逆に難しいのではないでしょうか?もちろん、それぞれの職場において個別に求められるスキルを学ぶ必要はあります。しかし、それは職場教育で十分です。語学力や論理的思考能力が必要ならば、働きながら語学学校やビジネススクールに通うこともできます。大学教育である必要がないのです。むしろ、大学教育で実践的なスキルを教えるほうが難しいです。以上より、教育(学歴)の格差を是正しようとしたとしても、その教育(大学教育)の効果がそもそも一般職に必要とされていないため、是正する意味がないと結論付けることができます。もっと言えば、多くの人がその教育を積極的に受けたいとも思っていないため、言い換えれば大卒という学歴を手に入れるためにしょうがなく学んでいるため、ますます意味がないことが分かります。もちろん、教育は単なる効果だけでなく、人生を豊かにするという教育哲学も別にあるでしょう。しかし、繰り返しになりますが、教育の中身そのものを考えれば、この情報化が進んだ現代社会において、それがあえて大学である必要がなくなっているということです。この点で、もはや教育格差(学歴差)が、そのまま教育における機会の不平等を生んでいるとも言えないでしょう。じゃあ何が収入格差を引き起こしているの?これまでをまとめると、収入への遺伝の影響度の大きさ、高収入の就職先の数の限度、教育効果の妥当性を直視することによって、教育格差が収入格差を引き起こすというロジックが成り立たないことが分かりました。つまり、実は教育格差は幻だったと言えます。それでは、何が収入格差を引き起こしているのでしょうか? 教育格差ではないとしたら、多くの人は、努力と運だと答えるでしょう。しかし、行動遺伝学の視点に立てば、それだけでは不十分です。収入に影響を与えているのは、努力や運だけでなく、元々の素質、つまり遺伝も挙げられます。これは、先ほどのグラフ1と2が証明しています。運は、いろいろな人との偶発的な出会い(家庭外環境)が当てはまります。努力については、努力を好むと言う点で、性格として捉えることができます。そして、この性格に影響を与えるのは、グラフ3のように、遺伝と家庭外環境です4)。なお、この詳細については、関連記事1をご覧ください。以上より、収入格差を引き起こしている本質として目を背けてはならないのは、遺伝の違い、つまり「遺伝格差」であるということです。なお、この遺伝をはじめとする行動遺伝学の詳細に興味のある方は、次の3ページ目をご覧ください。2)日本人の9割が知らない遺伝の真実」P106-P107:安藤寿康、SB新書、20163)「遺伝マインド」P58-59:安藤寿康、有斐閣、20114)「『心は遺伝する』とどうして言えるのか」P182:安藤寿康、創元社、2017<< 前のページへ | 次のページへ >>■関連記事ちびまる子ちゃん(続編)【その教室は社会の縮図? エリート教育の危うさとは?(社会適応能力)】Part 2ドラマ「ドラゴン桜」(前編)【なんでそんなに東大に入りたいの? 学歴ブランド化の不都合な真実とは?(教育ビジネス)】

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5~11歳への3回目接種を追加、新型コロナ予防接種の手引き9版/厚労省

 厚生労働省は、9月6日に全国の市町村に「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き(9版)」を発出するとともに、同省のホームページでも公開した。本手引きは2020年12月17日の初版以来、十数回の更新を行い、その時どきの臨床知見、行政施策を反映した内容に改訂されている。今回の主な改訂点【第4章 3(13)(接種を受ける努力義務等の取扱い)】 接種を受ける努力義務などの取扱いについて更新(本文抜粋) 新型コロナウイルス感染症に係る予防接種については、予防接種法附則第7条第2項の規定により同法第6条第1項の臨時接種とみなして実施するものであり、市町村長は対象者に対して接種勧奨をすることとされていること。 また、対象者については原則として接種を受ける努力義務の規定が適用されるが、第2期追加接種(4回目接種)に関しては60歳未満の者について、努力義務の規定の適用が除外されていること。【第5章 1(3)対象者、(4)、接種間隔、(5)ワクチンの種類】5歳以上11歳以下の者への3回目接種について追記(本文抜粋)(3)対象者ア 第1期追加接種(3回目接種) 第1期追加接種(3回目接種)については、初回接種(1、2回目接種)の完了から一定期間経過した者を対象に、1回行うこととする。現時点で3回目接種において使用するワクチンとしているものは、ファイザー社ワクチン(5~11歳用のものを含む)、モデルナ社ワクチンおよび武田社ワクチン(商品名:ノババックス)であり、各ワクチンの対象年齢は、5~11歳用ファイザー社ワクチンについては5~11歳、12歳以上用ファイザー社ワクチンについては12歳以上、モデルナ社ワクチンおよび武田社ワクチン(ノババックス)については18歳以上となっていることに留意すること。(4)接種間隔 3回目接種は、1、2回目接種の完了から、ファイザー社ワクチン(5~11歳用のものを含む)またはモデルナ社ワクチンについては5ヵ月以上、武田社ワクチン(ノババックス)については6ヵ月以上の接種間隔をおいて行うこと。 また、4回目接種は、3回目接種の完了から5ヵ月以上の接種間隔をおいて行うこと。(5)ワクチンの種類 3回目接種に用いる新型コロナワクチンは、1、2回目接種で使用したワクチンの種類にかかわらず、現時点ではファイザー社、モデルナ社および武田社(ノババックス)のものである。なお、5~11歳用ファイザー社ワクチンについては5~11歳、12歳以上用ファイザー社ワクチンについては12歳以上、モデルナ社ワクチンおよび武田社ワクチン(ノババックス)については18歳以上の者に対する3回目接種に使用することに留意すること。【第5章 3(4)イ(ウ)(接種券の発行申請の方法)】 接種券発行申請書(4回目接種用)の様式(図参照)について更新【第7章 2(2)(5歳以上11歳以下の者への接種)】 5~11歳用ファイザー社ワクチンの3回目接種について追記(本文抜粋)ア 5~11歳用ファイザー社コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2)(ア)対象者 市町村長は、5~11歳用ファイザー社コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2)を用いて、接種を受ける日に当該市町村に居住する5歳以上11歳以下の者に対して新型コロナウイルス感染症にかかわる第1期追加接種(3回目接種)を実施する。 なお、戸籍および住民票に記載のない5歳以上11歳以下の者のうち、当該市町村に居住していることが明らかなものおよびこれに準ずるものについても対象者に含まれる。(イ)接種方法 1.3ミリリットルの生理食塩液で希釈した5~11歳用ファイザー社コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2)を1回筋肉内に注射するものとし、接種量は、0.2ミリリットルとすること。(ウ)接種間隔 初回接種の完了から5ヵ月以上の接種間隔をおいて行うこと。 前後に他の予防接種(インフルエンザの予防接種を除く)を行う場合においては、原則として13日以上の間隔をおくこととし、他の予防接種(インフルエンザの予防接種を除く)を同時に同一の接種対象者に対して行わないこと。(エ)その他 対象者、接種方法および接種間隔以外の事項については、1(1)ア(イ)[予防接種要注意者]および(キ)[接種後の経過観察]ならびに1(2)ア(エ)[接種の用法]~(カ)[配送資材]の記載事項に従うこと。

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20歳未満のコロナ死亡例、基礎疾患やワクチン接種状況は?/国立感染症研究所

 国立感染症研究所は9月14日、新型コロナウイルス感染後の20歳未満の死亡例に関する積極的疫学調査(第一報)の結果を発表した。オミクロン株の感染拡大に伴い、小児の感染者数が増加し、重症例や死亡例発生も報告されている。厚生労働省および同研究所は、日本小児科学会、日本集中治療医学会、日本救急医学会とともに、急性期以降の死亡例も含めて、積極的疫学調査を実施した。その結果、基礎疾患の有無がほぼ同数であり、ワクチン接種対象年齢でも87%が未接種で、発症から死亡まで1週間未満が73%(中央値4日)を占めていることなどが明らかになった。 本結果は、2022年1月1日~8月31日に報告された小児等の死亡例に関する暫定的な報告となる。調査対象となったのは、急性期の死亡例、加えて、死因を新型コロナとは別原因とした症例で、発症からの日数は問わないとする急性期以降に死亡した症例の計41例。そのうち32例について8月31日までに実地調査を行うことができ、明らかな内因性死亡と考えられたのは29例であった。調査項目は、年齢、性別、基礎疾患、新型コロナワクチン接種歴、発症日、死亡日、症状/所見、死亡に至る経緯等となっている。小児の死亡例は、2022年1月から継続的に発生し、疫学週28週目(7月11~17日)から増加していた。 実地調査で内因性死亡と考えられた29例の主な調査結果は以下のとおり。・年齢・年代の内訳は、0歳8例(28%)、1~4歳6例(21%)、5~11歳12例(41%)、12~19歳3例(10%)であった。・性別は、男性16例(55%)、女性13例(45%)であった。・基礎疾患は、あり14例(48%)、なし15例(52%)であった。基礎疾患の内訳は、中枢神経疾患7例(50%)、先天性心疾患2例(14%)、染色体異常2例(14%)などであった(重複あり)。・新型コロナワクチンは、29例のうち接種対象外年齢の者が14例(48%)、接種対象年齢の者が15例(52%)であった。接種対象年齢となる5歳以上の15例では、未接種が13例(87%)、2回接種が2例(13%)であった。接種を受けた2例はともに12歳以上であり、発症日は、最終接種日から最低3ヵ月を経過していた。・医療機関到着時の症状/所見は、発熱23例(79%)、悪心嘔吐15例(52%)、意識障害13例(45%)、咳嗽9例(31%)、経口摂取不良9例(31%)、痙攣8例(28%)、呼吸困難7例(24%)の順に多かった。・死亡に至る主な経緯は、循環器系の異常7例(24%:心筋炎、不整脈等)、中枢神経系の異常7例(24%:急性脳症等)、呼吸器系の異常3例(10%:肺炎、細菌性肺炎等)、その他6例(21%:多臓器不全等)、原因不明6例(21%)であった。・発症日は26例について得られ、発症から死亡までの日数が、中央値4日(範囲:0~74日)、内訳は0~2日が8例(31%)、3~6日が11例(42%)、7日以上が7例(27%)であった。・上記のほか、基礎疾患の有無別に詳細が報告されている。 著者は本結果について、小児の死亡例のうち基礎疾患の有無がほぼ同数であったことから、基礎疾患のない者においても症状の経過を注意深く観察することが必要であるとしている。発症から死亡まで1週間未満が73%を占めており、とくに発症後1週間の症状の経過観察が重要だとし、小児の場合、呼吸器症状以外では、痙攣、意識障害などの神経症状や、嘔吐、経口摂取不良等の呼吸器症状以外の全身症状の出現にも注意を払う必要があると指摘している。本調査は今後も継続される予定。

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小児のコロナ後遺症は成人と異なる特徴~約66万人の解析

 小児における新型コロナウイルス感染症の罹患後症状には、成人とは異なる特徴があることを、米国・コロラド大学医学部/コロラド小児病院のSuchitra Rao氏らが明らかにした。同氏らは、新型コロナウイルスの感染から1~6ヵ月時点の症状・全身病態・投与された薬剤を調べ、罹患後症状の発生率を明らかにするとともに、リスク因子の特定を目的に、抗原検査またはPCR検査を受けた約66万人の小児を抽出して後ろ向きコホート研究を行った。これまでに成人における罹患後症状のデータは蓄積されつつあるが、小児では多系統炎症性症候群(MIS-C)を除くとデータは限られていた。JAMA pediatrics誌オンライン版2022年8月22日号掲載の報告。 解析対象となったのは、米国の小児病院9施設の電子カルテに登録があり、2020年3月1日~2021年10月31日の間に新型コロナウイルスの抗原検査またはPCR検査を受けた21歳未満の小児で、かつ過去3年間に1回以上受診(電話、遠隔診療を含む)したことのある65万9,286例。男性が52.8%で、平均年齢は8.1歳(±5.7歳)であった。 初回の抗原検査またはPCR検査の日から28~179日時点の、罹患後症状に関連する121項目の症状や全身病態、30項目の投与薬の計151項目を調べた。症状には発熱、咳、疲労、息切れ、胸痛、動悸、胸の圧迫感、頭痛、味覚・嗅覚の変化などが含まれており、全身病態には多系統炎症性症候群、心筋炎、糖尿病、その他の自己免疫疾患などが含まれていた。施設、年齢、性別、検査場所、人種・民族、調査への参加時期を調整したCox比例ハザードモデルを用いて、検査陰性群に対する陽性群の調整ハザード比(aHR)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・新型コロナウイルスの陽性者は5万9,893例(9.1%)で、陰性者は59万9,393例(90.9%)であった。 ・1つ以上の症状や全身病態、投薬があったのは、陽性群で41.9%(95%信頼区間[CI]:41.4~42.4)、陰性群で38.2%(95%CI:38.1~38.4)で、差は3.7%(3.2~4.2)、調整後の標準化罹患率比は1.15(1.14~1.17)であった。・陰性群と比べて陽性群で多かった症状は、味覚・嗅覚の変化(aHR:1.96、95%CI:1.16~3.32)、味覚消失(1.85、1.20~2.86)、脱毛(1.58、1.24~2.01)、胸痛 (1.52、1.38~1.68)、肝酵素値異常(1.50、1.27~1.77)、発疹(1.29、1.17~1.43)、疲労・倦怠感(1.24、1.13~1.35)、発熱・悪寒(1.22、1.16~1.28)、心肺疾患の徴候・症状(1.20、1.15~1.26)、下痢(1.18、1.09~1.29)、筋炎(2.59、1.37~4.89)であった。・全身の病態は、心筋炎(aHR:3.10、95%CI:1.94~4.96)、急性呼吸促迫症候群(2.96、1.54~5.67)、歯・歯肉障害(1.48、1.36~1.60)、原因不明の心臓病(1.47、1.17~1.84)、電解質異常(1.45、1.32~1.58)であった。精神的な関連としては、精神疾患の治療(aHR:1.62、aHR:1.46~1.80) 、不安症状(1.29、1.08~1.55)があった。・多く用いられていた治療薬は、鎮咳薬・感冒薬のほか、全身投与の鼻粘膜充血除去薬、ステロイドと消毒薬の併用、オピオイド、充血除去薬であった。・多系統炎症性症候群以外で罹患後症状と強く関連していたのは、5歳未満、急性期のICU利用、複数または進行性の慢性疾患の罹患であった。 著者らは、「小児の新型コロナウイルス感染症の罹患後症状の発症率は少なかったが、急性期の重症、低年齢、慢性疾患の合併は罹患後症状リスクを高める」とともに「小児の罹患後症状では、成人でよく報告されている味覚・嗅覚の変化、胸痛、疲労・倦怠感、心肺の徴候や症状、発熱・悪寒など以外にも、肝酵素値異常、脱毛、発疹、下痢などが多いことに注意が必要である。とくに心筋炎は新型コロナウイルス感染症と最も強く関連する症状であり、小児では重要な合併症である」とまとめている。

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青年期の学力向上と抑うつ症状との関連

 シンガポール国立大学のRyan Y. Hong氏らは、青年期の学力向上と抑うつ症状との長期的な関連性を調査した。その結果、学力構築の維持を目的とした介入が、抑うつ症状の悪化を予防する可能性が示唆された。Development and Psychopathology誌オンライン版2022年8月12日号の報告。 対象は、シンガポールの青年741人。学業成績と抑うつ症状に関する過去の研究を拡張し、1学年度にわたる3-wave縦断的研究を行い、学力低下仮説(学力構築における過去の問題がその後の抑うつ症状に影響を及ぼす)および適応浸食仮説(過去の抑うつ症状がその後の能力構築に悪影響を及ぼす)の2つの競合する仮説を検証した。高次能力構築因子(複数の構成要素の動機付け変数を用いて操作可能)と抑うつ症状との関連性を評価するため、ランダムインターセプトとクロス遅延パネルモデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・個人の能力構築の減少が、その後の個人の抑うつ症状を予測することが示唆されたが、逆の関係は認められなかった。・個人の能力構築の変動は、学年度末の成績と教師が報告した適応の問題を予測した。・全体として、学力低下仮説が支持された。

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鼻腔拭い液のコロナ検査、自己採取と医療者で結果は異なるか/JAMA

 4~14歳の小児が簡単な説明資材を視聴した後に自己採取した鼻腔拭い液からの新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の検出率は、医療従事者が採取した鼻腔拭い液での検出率とほぼ一致したことが、米国・エモリー大学のJesse J. Waggoner氏らが実施した横断研究の結果、示された。SARS-CoV-2の検査が拡大しているが、小児の自己採取が検査の精度に及ぼす影響が不明であるため、14歳未満の自己採取による鼻腔拭い液を用いた検査は緊急使用許可(EUA)が得られていなかった。JAMA誌オンライン版2022年8月26日号掲載の報告。小児に自己採取についてビデオと印刷物で説明 研究グループは、2021年7月~8月の期間に、Children’s Healthcare of Atlantaの各施設において過去24時間以内に鼻咽頭スワブ検査でSARS-CoV-2陽性または陰性が記録された小児を募集し、参加の同意が得られた症状を有する4~14歳の197例を登録した(130例は救急外来で登録され、67例は電話連絡により検査会場に戻るよう依頼)。 鼻腔拭い液の自己採取についての短い説明ビデオをタブレットまたはスマートフォンで見てもらうとともに、文章と画像で示した説明資料(印刷物)を配布した。 その後、まず参加者に被験者は鼻腔拭い液を自己採取してもらい、次に医療従事者(小児科の看護師)が2回目の検体を採取した。 主要評価項目は、EUAを取得しているリアルタイムRT-PCR検査によるSARS-CoV-2検出と、サイクル閾値(Ct値)による相対定量の、自己採取と医療従事者採取の比較とした。自己採取と看護師採取での一致率は、SARS-CoV-2陽性も陰性も約98% 197例中1例は、医療従事者が採取した検体が無効であったため解析から除外された。196例のうち108例(55.1%)が男性で、年齢中央値は9歳(四分位範囲[IQR]:6~11)であった。 自己採取および医療従事者採取の両方でSARS-CoV-2陽性は44.4%(87/196例)、陰性は53.6%(105/196例)で、いずれか片方のみが陽性はそれぞれ2例であった。 自己採取と医療従事者採取の陽性一致率は97.8%(95%信頼区間[CI]:94.7~100.0)、陰性一致率は98.1%(95.6~100.0)であり、SARS-CoV-2のCt値に両群間で有意差は確認されなかった(Ct値の平均値±SD:自己採取26.7±5.4 vs.医療従事者採取26.3±6.0、p=0.65)。 なお、著者は、参加者が有症者に限定されていたこと、デルタ株の流行期であったこと、参加は自主的であり選択バイアスにつながる可能性があること、などを研究の限界として挙げている。

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