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英語で「理論的には同意、現実には反対」は?【1分★医療英語】第103回

第103回 英語で「理論的には同意、現実には反対」は?《例文1》It is not practical to do both surgeries at the same time.(両方の手術を同時にやることは現実的ではありません)《例文2》Logistically, it is impossible to use both drugs at the same time.(現実的には、両方の薬を併用することは不可能です)《解説》インターネット、SNSで情報が氾濫する昨今では、患者さんの側からさまざまな治療を提案されることも多く、その中には現実的でない案もあります。そんなときには、このフレーズが便利です。「理論的には=“in theory”」と「現実的には=“in reality”」を対比させることで、相手の意見を認めつつ、自分の意見を述べるための導入になります。類似表現として、“practical/practically”、“logistic/logistically”も、「現実的には」という意味合いで頻用します。“logistic”という単語は、英和辞書では「物流的な」という訳語が出てきますが、私の経験上では「(主に時間的・物理的な制限において)現実的な」という意味合いで頻用される単語です。講師紹介

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モデルナのコロナワクチン、生後6ヵ月以上で初回免疫の一変承認取得

 新型コロナウイルスに対するmRNAワクチンを提供するモデルナは、2023年10月25日付のプレスリリースで、「スパイクバックス筋注」の生後6ヵ月以上を対象とした初回免疫に関する承認事項の一部変更承認を取得したと発表した。厚生科学審議会への諮問・答申を経て、予防接種実施規則改正をもってはじめて特例臨時接種での使用が可能となる。 今回の一部変更承認は、生後6ヵ月以上を対象とした「スパイクバックス筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.1)」「スパイクバックス筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.4-5)」および「スパイクバックス筋注(1価:オミクロン株XBB.1.5)」における初回免疫である。 これについてモデルナは、「生後6ヵ月以上の乳幼児を含めたすべての方に接種機会を提供できることで、発症および重症化リスクの軽減に貢献できると考えている」としている。 なお、日本小児科学会(会長:岡 明氏[埼玉県立小児医療センター])の予防接種・感染症対策委員会は、同学会のホームページで「小児への新型コロナワクチン令和5年度秋冬接種に対する考え方」を発表しており、コロナによる感染および重症化を予防する手段としてのワクチン接種は有効であると考え、生後6ヵ月~17歳のすべての小児へのワクチン接種を推奨している。

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1型DMへのteplizumab、β細胞機能を有意に維持/NEJM

 新規診断の1型糖尿病の小児・青少年患者において、抗CD3モノクローナル抗体のteplizumab(12日間投与の2コース)は、β細胞機能の維持(主要エンドポイント)に関してベネフィットがあることが示された。ただし、インスリン用量、糖化ヘモグロビン値などの副次エンドポイントに関しては、ベネフィットが観察されなかった。英国・カーディフ大学のEleanor L. Ramos氏らが、第III相の無作為化プラセボ対照試験の結果を報告した。teplizumabは、8歳以上のステージ2の1型糖尿病患者に対し、ステージ3への進行を遅らせるための投与が米国FDAに承認されている。新規診断の1型糖尿病患者におけるteplizumabの静脈内投与が疾患進行を抑制するかについては不明であった。NEJM誌オンライン版2023年10月18日号掲載の報告。78週後の負荷C-ペプチド値でβ細胞機能を評価 研究グループは、2019年3月~2023年5月にかけて、米国、カナダ、欧州の医療機関61ヵ所で、6週間以内に診断を受けた8~17歳のステージ3の1型糖尿病患者を対象に試験を行い、teplizumabまたはプラセボの12日間投与・2コースを比較した。 主要エンドポイントは、78週時点の負荷C-ペプチドの測定値でみたβ細胞機能のベースラインからの変化だった。重要な副次エンドポイントは、血糖値目標達成に要したインスリン用量、糖化ヘモグロビン値、血糖値目標範囲内の時間、臨床的に重要な低血糖イベントだった。C-ペプチドのピーク値維持はteplizumab群95%、プラセボ群80% 78週時点で、teplizumab群(217例)は、プラセボ群(111例)に比べ、負荷C-ペプチド値が有意に高かった(最小二乗平均群間差:0.13pmol/mL、95%信頼区間[CI]:0.09~0.17、p<0.001)。0.2pmol/mL以上の臨床的に有意なC-ペプチドのピーク値を維持した患者の割合は、teplizumab群が94.9%(95%CI:89.5~97.6)であったのに対し、プラセボ群では79.2%(67.7~87.4)だった。 重要な副次エンドポイントについて、両群で有意差はなかった。 有害事象は、主にteplizumabまたはプラセボの投与に関するもので、頭痛、消化器症状、発疹、リンパ球減少、軽度のサイトカイン放出症候群などだった。

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抗インフル薬、国内で最も処方頻度が高いのは?/NCGM国府台病院

 国立国際医療研究センター(NCGM)国府台病院総合内科の酒匂 赤人氏らの研究グループと国立国際医療研究センター病院は共同でわが国の全国規模のインフルエンザ診療の実態を調べ、その結果を報告した。 研究報告によると2017年度の抗インフルエンザ薬処方人数は1,339万例で、薬剤費は480億円。2018年度では処方患者数の約38%を20歳未満が占め、5~9歳では4例に1例が処方された計算だった。PLoS One誌2023年10月4日号の報告。世界的には特有な日本の抗インフルエンザ薬の処方実態 わが国には抗インフルエンザ薬としてザナミビル、オセルタミビル、ラニナミビル、ペラミビル、バロキサビルなどが承認・使用されている。世界的にはインフルエンザ迅速検査で陽性となった場合、若年で持病などがなければ治療薬の処方はされないが、わが国では抗インフルエンザ薬がこうした若く持病のない患者にも処方されている。これはわが国特有の状況とされるが、全国的な抗インフルエンザ薬の処方実態に関するデータは不足している。そこでリアルワールドデータを解析することで、わが国の抗インフルエンザ薬の使用状況を明らかにすることを目的に研究が行われた(アマンタジン、ファビピラビルは本研究では対象外)。 方法としてわが国の個々の患者の性別、年齢、受けた検査、処方、手術などのデータが含まれるレセプト情報・特定健診等情報データベース(National Database:NDB)を解析し、2014~20年度のNDBオープンデータを用いて記述疫学研究を実施した。その際、抗インフルエンザ薬を処方された年間患者数、処方された薬剤、患者の年齢・性別分布、薬剤費、地域格差を推定した。 主な結果は以下のとおり。・2014~19年に抗インフルエンザ薬が処方された患者数は年間670~1,340万例。・薬剤費は年間223~480億円と推定される。・インフルエンザ迅速抗原検査は2,110〜3,200万件実施され、その費用は301〜471億円だった。・2017年に最も処方頻度の多かった抗インフルエンザ薬はラニナミビル(48%)、オセルタミビル(36%)の順だった。・2018年は新たに登場したバロキサビルが40.8%を占めた。・新型コロナウイルス感染症の流行後、2020年に抗インフルエンザ薬を処方された推定患者数はわずか1万4,000例にまで減少した。・2018年、抗インフルエンザ薬が処方された37.6%が20歳未満の患者であったのに対し、65歳以上の患者は12.2%であった。・入院患者への抗インフルエンザ薬の処方は1.1%で、年齢が高くなるにつれて割合が増加し、入院中に抗インフルエンザ薬が処方されるのは女性よりも男性のほうが多かった。 今回の研究結果を踏まえ、酒匂氏らのグループは「わが国におけるインフルエンザの臨床管理の実態を明らかにしたうえで、今後は抗インフルエンザ薬を積極的に処方することについて臨床的・経済的側面を評価する必要がある」と展望を述べている。

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年齢別、コロナ後遺症の発生頻度

“コロナ後遺症(罹患後症状)”どのくらいの頻度で報告されている?[年齢別]6.0%およそ新型コロナウイルス感染後、3ヵ月以上続く何らかの症状があった人の割合20人に1人5.0%4.7%およそ30人に1人3.8%4.0%およそ40人に1人およそ45人に1人3.0%2.7%2.3%2.0%およそ125人に1人およそ1.0%500人に1人およそ330人に1人0.2%0.3%0~5歳6~11歳0.8%0.0%12~17歳18~34歳35~49歳50~64歳65歳以上出典:CDC「Update: Epidemiologic Characteristics of Long COVID」2023 Sep 12.米国の「2022 National Health Interview Survey」データよりCopyright © 2023 CareNet,Inc. All rights reserved.

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不足を痛感している医薬品は?医師に緊急アンケートを実施/日本医師会

 医薬品不足が止まらない。厚生労働省は9月29日に『鎮咳薬(咳止め)・去痰薬の在庫逼迫に伴う協力依頼』の事務連絡を出し、各医療機関、薬局および医薬品卸売販売業者に対して現況の周知を依頼する事態が起きている。医療ジャーナリストの村上 和巳氏もこの医薬品不足が処方医においても他人事ではないことを訴え、CareNet.comの連載『第182回:鎮咳薬・去痰薬不足、医師が知っておきたい“患者対応Q&A”』で取り上げて、昨今の医薬品不足の背景や今後の見込みなど、患者が処方医に尋ねそうな質問と模範回答を10項目列挙している。そのくらい、今の医薬品不足が薬剤師や医薬品卸売販売業者による努力だけでは立ち行かず、処方医の協力が必要な問題にまで発展しているのである。医薬品不足で入手困難な去痰薬や鎮咳薬 そこで、日本医師会もこの異例の状況に動き出し、現状不足している医薬品や流通偏在などを把握し、国や対象業界団体に対して改善要望などを働き掛けるため、8月9日~9月30日の期間に『医薬品供給不足 緊急アンケート』を実施。その結果報告を10月6日の記者会見で説明した。本アンケートの対象者は日本医師会員および地域医師会員で、医療機関6,773施設(9月30日時点)から回答が得られた。入手困難な医薬品の有無については、院内処方を行っている医療機関の90.2%が「入手困難である」と回答し、全国で医薬品が困窮していることが明らかになった。 医薬品不足で入手困難と挙がった上位10品の一覧は以下の通り。―――1.メジコン錠15mg2.トルリシティ皮下注0.75mgアテオス3.オーグメンチン配合錠250RS4.PL配合顆粒5.フスコデ配合錠6.アストミン錠10mg7.アスベリン錠208.ムコダイン錠250mg9.トランサミン錠250mg10.カロナール錠200――― この医薬品不足についての緊急アンケートの結果を受け日本医師会は、「上位を去痰薬や鎮咳薬が占め、入手困難な理由は需要増による限定出荷が原因、この傾向は先発品のみならず後発品・長期収載品においても同様の傾向」と分析した。また、本アンケートで院内処方において「入手困難」として回答のあった2,096品目のうち、日本製薬団体連合会の調査で各医薬品製造企業が「通常出荷」として回答していたのは670品目であった点について、“通常出荷”の定義が非常にあいまいであることを批判している。宮川 政昭氏(日本医師会 常任理事)は「新型コロナウイルス感染症や新型インフルエンザなどの感染症が同時流行した場合、医薬品の需要が非常に高まる。一方で、在庫の余剰生産は難しくなることは明らかであり、医薬品業界は世情や医薬品の在庫状況などを踏まえたうえで対策を立てるべき」とコメントした。 このほか、医薬品卸売販売業者に発注した医薬品の納入状況については、「発注しても納品されない」状況にあると49.7%が回答し、院外薬局からの医薬品在庫不足に関する連絡の有無に関しては、「疑義照会なども含めた医薬品不足の連絡があった」と回答した割合は74.0%であった。 今後も不足する医薬品の流通改善の目途は立たず、さらに限定出荷の品目が増加する可能性もあるため、宮川氏は「企業の出荷情報だけではなく、医療現場の供給情報についても定期的に調査する必要がある」としている。

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第167回 インフルエンザの早期流行、全国の患者数が急増、早期対応を/厚労省

<先週の動き>1.インフルエンザの早期流行、全国の患者数が急増、早期対応を/厚労省2.利用が低迷する「マイナ保険証」救急医療と生活保護での活用拡大を/政府3.がん治療と仕事の両立、半数以上が困難感/内閣府4.医療・介護連携、主治医もサービス担当者会議に参加を/中医協5.乳幼児健診の公費支援拡大、5歳児と新生児スクリーニングが焦点に/政府6.県立総合病院、患者検体の取り違えで前立腺摘出の医療ミス/静岡県1.インフルエンザの早期流行、全国の患者数が急増、早期対応を/厚労省厚生労働省および国立感染症研究所によると、第41週のインフルエンザ患者報告数が全国平均で1医療機関当たり11.07人となり、注意報基準の10人を超えた。この数字は過去10年で最も早い時期に注意報基準を超えたもので、とくに沖縄、千葉、埼玉などの都道府県で患者数が急増している。感染症専門家は、例年12月以降にこの水準に達することが多いため、今年の流行が異例であると指摘。とりわけ若い世代での感染が多いことから、高齢者での患者数も増加する可能性が高いとの見解を示している。一方、都内のクリニックではインフルエンザの患者が急増し、予防接種の予約が殺到している。特定のクリニックでは、3人に1人以上の患者がインフルエンザに感染しているとの報告もある。この急増を受けて、ワクチンの予防接種が例年よりも早く開始され、多くの市民が接種を受けている。高齢者施設では、新型コロナウイルスの感染拡大を背景に、インフルエンザの流行に対する警戒を強めている。施設内での感染対策は徹底されており、家族の面会制限や職員の定期的な抗原検査などが実施されている。施設関係者は、ワクチン接種を前倒しで行い、予防策を徹底するとともに、感染が確認された場合の迅速な対応を強調している。参考1)インフルエンザの発生状況について(厚労省)2)インフルエンザ患者報告数、全国で注意報レベルに 厚労省が第41週の発生状況を公表(CB news)3)インフルエンザ患者 1医療機関当たり11.07人 注意報基準超える(NHK)2.利用が低迷する「マイナ保険証」救急医療と生活保護での活用拡大を/政府政府はマイナンバーカードに健康保険証の機能を持たせた「マイナ保険証」の活用を拡大する方針を固めている。2024年10月には、救急患者が意識不明の際、その医療情報を同意なしで閲覧・活用することができるようになる。また、2024年3月からは、生活保護受給者の「医療扶助」にもマイナカードが活用される予定で、従来の医療券から切り替えられる。マイナ保険証の利用はまだ低迷しており、誤登録トラブルも相次いで発覚している。とくに他人情報の誤登録やマイナトラブルが影響して、実際の利用率は4.7%に止まっている。政府はこれらの問題を解決し、マイナ保険証を全国民に浸透させるための取り組みを続けているが、多くの課題が残されている。参考1)救急時、同意なく情報閲覧の方針 マイナ保険証で政府、24年にも(共同通信)2)来春からマイナカードで受診把握 生活保護受給者に(同)3.がん治療と仕事の両立、半数以上が困難感/内閣府がん治療と社会生活の両立が困難であると感じる人は、国内で半数以上に上ることが、内閣府の最新の世論調査で明らかになった。とくに治療を受けながら働くのは難しいと考える人が53.5%、また、仮にがんになった場合、治療や検査のために2週間に1度は病院に通う必要がある状況で、働き続けられる環境だと感じていない人は54%に達していた。両立が困難と感じる主な理由として、体力的な問題が28.4%と最も高く、次いで代わりの人材の不足や職場の理解の不足が挙げられた。また、がんの緩和ケアについての意識も調査され、治療開始時からの緩和ケアの必要性を感じる人は49.7%に止まり、2007年の調査開始以降初めて半数を切った。緩和ケアは、がん患者の心身の痛みをやわらげるためのもので、診断時からの提供や周知が国のがん対策の指針とされている。これらの結果を受け、厚労省は引き続き治療と仕事の両立や緩和ケアの提供体制の整備、およびその周知を進めるとの意向を示している。参考1)「がん対策に関する世論調査」の概要(内閣府)2)がん治療と両立困難53%、検診率も低下 内閣府調査(日経新聞)3)「がん治療と仕事の両立は困難」と感じている人は半数以上に(NHK)4.医療・介護連携、主治医もサービス担当者会議に参加を/中医協厚生労働省は、10月20日に開かれた中央社会保険医療協議会の総会で、医師と介護支援専門員(ケアマネジャー)の連携を強化するために、「介護保険のサービス担当者会議へ医師の出席」の義務化を提案した。ケアマネジャーや介護保険の利用者は、サービス担当者会議へ主治医の参加を強く希望しているが、実際の主治医の会議参加率は、地域包括診療料の取得施設で54.0%、取得していない施設では33.9%に止まっている。厚労省は、より的確で質の高い診療機能を評価するために設けられた「機能強化加算」の加算要件に、サービス担当者会議への参加を条件とする提案をしていたが、これに対しては、多様な「意味のある連携」の形があるため、特定の形式に固執することは適切でないとの意見も出されていた。今後、来春の改定に向けて、真の医療・介護連携を実現するために、具体的な施策や取り組みが今後議論される見込み。参考1)個別事項(その3)医療・介護・障害福祉サービスの連携(中医協)2)サービス担当者会議「医師の参加」を必須要件に 「かかりつけ医機能」の報酬、支払側委員(CB news)3)「意味のある医療・介護連携」が重要、「サービス担当者会議への出席」などを機能強化加算等の要件に据えるべきか-中医協総会(1)(Gem Med)5.乳幼児健診の公費支援拡大、5歳児と新生児スクリーニングが焦点に/政府政府は、乳幼児健診における5歳児の健診を公費支援の対象とする方向で検討を進めている。これまで1歳半と3歳児の健診は公費で実施されており、5歳児健診の公費支援導入は、3歳までにみつからなかった発達障害の早期発見を目的としている。また、患者家族の会からは、新生児スクリーニングにSMA(脊髄性筋萎縮症)を対象疾患に追加する要望が提出された。この検査は生後4日頃の新生児の血液を調べるもので、自治体ごとに実施状況に差があるため、全国一律に公費で実施するよう求められている。政府はこれらの健診・スクリーニングの公費支援拡大を通じて、乳幼児期の健康管理の強化を目指している。参考1)「全国一律、全額公費を」 新生児スクリーニング検査の拡大を要望(朝日新聞)2)乳幼児健診、5歳児も公費支援対象に 経済対策に明記へ(日経新聞)6.県立総合病院、患者検体の取り違えで前立腺摘出の医療ミス/静岡県静岡市葵区の静岡県立総合病院で7月に発生した医療ミスが明らかにされた。同病院は、前立腺がんの疑いで行われた検査の際、2人の患者の検体を取り違えてしまい、悪性腫瘍がなかった60代の男性の前立腺を誤って全摘出。一方、悪性腫瘍を持つ80代の男性の治療開始が5ヵ月遅れる結果となった。このミスは、4月に2人の患者が同じ手術室で連続して行われた生体検査(生検)の際に発生。60代の男性は、誤ったデータに基づいて手術を受け、後の病理検査で摘出組織が良性であることが判明。DNA鑑定により、80代の男性との検体取り違えが確認された。60代の男性は手術後に尿漏れなどの症状が出現し、現在も病院での健康管理が続いている。一方、80代の男性は、ホルモン療法を受けている状態。同院は、2人の患者および家族に対して謝罪。再発防止策として、連続での生検を行う場合は患者ごとに部屋を分ける措置や患者のリストバンドと検体容器のバーコード照合などの新しいマニュアルを導入することを明らかにした。参考1)静岡県立総合病院において発生した医療事故について(静岡県)2)県立病院で患者取り違え 前立腺摘出する医療ミス(NHK)3)患者検体取り違え 良性の前立腺摘出 静岡県立総合病院で医療ミス(静岡新聞)

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牛乳に飲むほど骨折が増える逆効果?ヨーグルトやチーズは?

 乳製品摂取量と大腿骨近位部骨折の発生リスクとの関連を調べた用量反応メタ解析の結果、牛乳摂取量の増加は骨折リスクの増大と関連するものの、ヨーグルトとチーズは摂取量が多いほど骨折リスクが低減したことを、米国・メリーランド大学のSuruchi Mishra氏らが報告した。Journal of Nutritional Science誌2023年9月11日号の報告。大腿骨近位部骨折のリスクは牛乳1日400g摂取まで段階的に増大 これまで、牛乳摂取は骨折の頻度を減少させて死亡リスクも低下させるという報告1)がある一方で、牛乳摂取量が多い人ほど骨折率や死亡率が高いという報告2)もあり、一貫性はない。そこで研究グループは、乳製品の摂取と大腿骨近位部骨折の発生リスクを評価するために用量反応メタ解析を実施した。 PubMed(MEDLINE)とGoogle Scholarを用いて、1946~2021年12月に英語で発表された、乳製品摂取量と骨折リスクに関する前向きコホート研究を検索し、メタ回帰により用量反応相対リスクを導き出した。解析には13件の研究から成人48万6,950人、骨折1万5,320件を含めた。 牛乳やチーズなど乳製品摂取と大腿骨近位部骨折の発生リスクを評価した主な結果は以下のとおり。・牛乳の摂取は、400g/日まで段階的に大腿骨近位部骨折のリスクを増大させ、用量効果として200g/日当たり7%のリスク増大と関連していた(相対リスク[RR]:1.07、95%信頼区間[CI]:1.05~1.10、p<0.0001)。牛乳摂取量が0g/日群と比較して、400g/日群では大腿骨近位部骨折のリスクが最も高かった(RR:1.15、95%CI:1.09~1.21、p<0.0001)。・牛乳摂取量400g/日を超えると用量リスクは低減したが、それでも0g/日群と比較して750g/日まで骨折リスクは上昇した。・観察された牛乳摂取量のどの範囲においても、0g/日群と比較して大腿骨近位部骨折のリスクが有意に低いという解析結果は得られなかった。・ヨーグルト摂取に関する5研究の分析では、ヨーグルト250g/日当たり大腿骨近位部骨折リスクが15%低下するという逆相関が得られた(RR:0.85、95%CI:0.82~0.89)。・同様に、チーズ摂取に関する5研究の分析では、チーズ43g/日(参考:6Pチーズ約2.5個分)当たり大腿骨近位部骨折リスクは19%低下した(RR:0.81、95%CI:0.72~0.92)。・すべての乳製品の総摂取量と大腿骨近位部骨折の間に明らかな関連性は認められなかった(乳製品の総摂取量250g/日当たりのRR:0.97、95%CI:0.93~1.004、p=0.079)。 研究グループは、本研究の限界として「われわれの研究には小児のデータが不足していた。乳製品が小児集団に有益な影響を及ぼす可能性はあるが、小児における大腿骨近位部骨折を評価項目とした研究が不足していることから、乳製品と骨密度に関する文献を今後慎重に評価する必要がある」ことなどを挙げた。

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1等、3本!【Dr. 中島の 新・徒然草】(499)

四百九十九の段 1等、3本!日本晴れの秋、休日の昼。開けっ放しの窓から入ってくる金木犀の香りとともに拡声器の音が……「1等、3本!」今日は住んでいるマンションの親睦会だったのです。私自身は朝から病院での救急対応で疲労困憊。家で昼寝していたので、豪華景品の当たるくじ引き大会には参加できませんでした。それにしても4年振りに開催された親睦会は大盛り上がりです。親睦会が終わっても有志による“パート2”は夜まで続いていました。さて、先日のこと。総診の外来を受診したのは、修学旅行で大阪に来ていた支援学校の男の子。38度台の熱が出たとかで、関東から迎えに来ていたお母さんと一緒でした。医療機関を受診して診断書をもらい家に連れて帰るように、という学校の指示があったそうです。母親「この子、すごくUSJを楽しみにいていたのですけど、結局、行けなかったんですよ」男の子のTシャツの胸には“SHARK”とプリントされています。わかりやすい!中島「そうか、ジョーズを見に行くつもりやったんか?」男の子「うん!」中島「ちょうど先生が高校生の時にな、リアルタイムでジョーズの映画をやっとったんや」母親「そうなんですか」調べてみると、日本での映画「ジョーズ」の公開は1975年12月なので、私が高校2年の時です。ちょうどその頃にあった修学旅行の行先がハチ北スキー場でした。クラス対抗の雪像作りでジョーズを作った記憶があるので、モロに映画の影響があったわけですね。中島「仕方ないからジョーズは諦めて、東京ディズニーランドで我慢しとけ」母親「この子、ディズニーランドが好き過ぎて、これまで何回行ったかわからないくらいです」男の子「うん!」中島「先生もディズニーランドが大好きや。と言ってもYouTubeで見てるだけやけどな」最近になって、なぜかディズニーの「ジャンボリミッキー! レッツ・ダンス!」の動画が頻繁にスマホに表示されるようになりました。3分ほどのダンスですが、中毒性が強いのか、つい最後まで見てしまいます。そうすると、ますます表示されるのでさらに見てしまうという悪の堂々巡り。ただ、1つ言い訳をさせていただくなら……あのダンスのお姉さん、お兄さんがプロ! われわれも見習うべきではないかと思います。まず、あれだけ激しく飛んだり跳ねたりしてもまったく息を切らさずに「こんにちはー!」と声を出していること。一体どんな心肺機能をしているのでしょうか。さらに、突然ヘッドセットが不調になっても動じません。「お姉さん、マイク取りに行ったほうがいいかも」とお兄さんが呼びかける。すると舞台裏に駆け込んだお姉さんが「お待たせ―」と言いながらハンドマイクを持って再登場。そしてお姉さんは右に左にハンドマイクを持ち替えながら、しかも笑顔で観客に呼びかけながらダンスを続けます。「まさかこうなることを見越して練習してたんかい」と突っ込みたくなるほどスムーズな進行でした。まさしくプロ。YouTubeでも称賛のコメントが並んでいました。とはいえ、私みたいなオッサンが診察室で「ジャンボリミッキー!」を熱く語っても似合わないので本来業務に戻ります。中島「幸い熱も下がっているようなので、診断書には『3日間の安静加療を要する』くらいで書いておきましょうか」母親「そうしてもらうと助かります」中島「気を付けてお帰りください」支援学校の修学旅行中に発熱して途中で帰るって「どんな不幸やねん」と思わなくもないですが、お母さんも男の子も終始ニコニコしているのが救いでした。あらためてジョーズに会いに、大阪に来てもらいたいものですね。最後に1句秋晴れの 修学旅行は 途中下車

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第67回 死の嵐が吹くガザ

人道的危機に陥るガザPixabayより使用イスラエル軍による空爆で、ガザ地区に多くの死傷者がいることはご存じかと思います。ガザは過去16年間、イスラエル政府による封鎖で人や物の出入りが制限され、「天井のない監獄」と言われてきました。日常生活でも逃げ場はなく、住民の多くは人道支援を頼りに生活しています。ガザ地区を実効支配する武装組織ハマスは、市民の生活を、資財を用いて今度こそ助けようとしていたわけですが、結果的にそのお金は大量のミサイルや武器に投じられ、ガザ市民は裏切られた形となりました。水や食料の供給がストップし、人道的危機に瀕しています。どちらの立場が正しいとかそういう政治的な見解はともかくとして、ハマスによる市民の虐殺も、イスラエルによるパレスチナ・ガザ地区への大規模攻撃も、どちらも痛みを伴うものであり、われわれ医療従事者としては許容できるものではありません。イスラエル軍がガザ北部に対して出した避難命令は、言語道断で無責任です。イスラエル軍はまた、国境なき医師団が支援するアル・アウダ病院から全員退去するように求めています。しかし患者の搬送は困難で、医療施設への攻撃は国際人道法に反します。これらの要求を、最も強い言葉で非難します。 pic.twitter.com/ABFhoiyQuo— 国境なき医師団日本 (@MSFJapan) October 14, 2023 人間の盾となる市民物理的に退避できない市民たちがいます。種子島くらいの大きさの地域に約200万人が生活するガザから、出ていくのは並大抵のことではありません。しかも、人口の約半分は14歳以下の子供というのがガザの現状です。ミサイルを放って誰かが亡くなれば、その約半分は子供なのです。ハマスの活動拠点は、市民が滞在している病院の地下などにあります。武器も学校やモスクの中に隠しています。こんな場所で、そもそもガザ市民を傷付けずに戦うことは不可能です。ガザでは現在、国境なき医師団のスタッフ約300人、赤十字国際委員会の職員70人余りが活動しています。国境なき医師団にも日本人が何人かおられるそうです。イスラエルの空爆が始まってからというもの、医療現場では麻酔薬や鎮痛剤などが極端に不足しています。日本にいるわれわれにできることは、寄付くらいです。国境なき医師団 寄付

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医師の英語学習、どのくらいお金と時間をかけている?/1,000人アンケート

 英語で学会発表を行ったり、外国人患者を診療したりするために、英語は医師にとって欠かせないスキルとなっている。英語を学ぶ主な目的や学習方法といった医師の英語学習状況を把握するため、会員医師1,021人を対象に『医師の英語学習に関するアンケート』を9月21日に実施した。年代別の傾向をみるため、20~60代以上の各年代を約200人ずつ調査した。その結果、英語学習に最も費用と時間をかけているのは30代であることなどが明らかとなった。海外学会への参加頻度から、おすすめの英語系YouTubeチャンネルや語学学習アプリなど、学習に役立つツールまで、英語学習に関するさまざまな意見が寄せられた。医師全体の18%が海外学会に参加 「Q1. 2022~23年、どれくらい海外学会に参加しましたか?(参加形式は発表・聴講を問わない、オンラインでの参加も含む)」という設問では、年代別に海外学会への参加の実態を聞いた。全体で18%が1回以上参加していた。 年代別で1回以上の参加率が高い順に、30代(24%)、40代(23%)、20代(17%)、50代(14%)、60代以上(12%)であった。一方、20~50代では、期間中1回の参加の割合が最も多くを占めていたが、60代以上は、3回以上参加した割合が最も多かった(7%)。診療科別の海外学会参加率(1回以上)では、参加率が高い順に、皮膚科(39%)、血液内科(36%)、放射線科(30%)、腎臓内科(29%)、リハビリテーション科(27%)であった。医師が英語を学ぶ目的、年代が低いほど研究、高いほど臨床を重視 「Q2. 医療業務やキャリアアップに関わるもので、英語を学ぶ目的は?(当てはまるものを3つ選択)」の設問では9つの選択肢を設け、多い順に「医学論文を投稿するため」(39%)、僅差で「外国人患者を診療するため」(39%)、続いて「英語の学会発表を聴くため」(31%)、「外国人医療者とコミュニケーションを取るため」(26%)、「英語で学会発表を行うため」(26%)であった。 医師が英語を学ぶ目的については、年代別で傾向が分かれた。目的別で最も多い年代は、「医学論文を投稿するため」は20代、「英語で学会発表を行うため」は30代、「外国人患者を診療するため」は60代、「外国人医療者とコミュニケーションを取るため」は50代となり、年代が低いほど研究に関わる目的の割合が高く、年齢が高いほど臨床に関わる目的が高くなった。英語学習に最も時間とコストをかけている医師は30代 「Q3. 現在行っている英語学習法は?(当てはまるものすべて選択)」では、選択肢を12個設け、多い順に「英語論文を読む」(47%)、「YouTube、Podcast」(21%)、「勤務先の抄読会」(14%)、「市販のテキストやラジオ」(13%)、「英語のドラマや映画、小説」(12%)、「英語学習アプリ」(10%)となった。30代と40代では、「YouTube、Podcast」、「英語学習アプリ」の割合が多く、60代以上では、「市販のテキストやラジオ」、「英語の映画やドラマ、小説」が多かった。 「Q4. 英語学習に月間かける費用は?」の設問では、費用をかけていない医師の割合が71%と大半を占め、次いで「1円以上、5,000円未満」が20%であった。「Q5. 英語を学習する頻度は?」の設問では、英語を学習する習慣のある医師が60%であった。学習の頻度は、多い順に「週に1日」(26%)、「週に2、3日」(15%)、「毎日」(10%)、「週に4~6日」(9%)であった。30代が英語学習に費用をかけている割合が最も多く(33%)、学習する習慣のある医師も最も多かった(67%)。医師がおすすめする英語学習法 Q6では、自由回答として、おすすめの英語学習法やサービス名、そのほか英語学習に関する意見を聞いた。回答者から寄せられた意見、おすすめの学習法、英語系YouTubeチャンネル、語学学習アプリなどは以下のとおり。【YouTube】・あいうえおフォニックスは発音や英語表現を簡単にテンポよく解説してくれる。(総合診療科・30代)・英語学習系YouTuberのタロサック。(総合診療科・30代)・もりてつという塾講師のYouTubeが参考になる。(総合診療科・40代)・フレンズ英会話はおすすめです。(腫瘍科・50代)・Kevin's Englishは楽しいです。(産婦人科・60代)【アプリ・オンラインツール】・ChatGPTは活用している。(小児科・40代)・スピーク、ELSA、mikanというアプリがおすすめ。(放射線科・20代)・スタディサプリ。(消化器内科・30代)・NHKの語学講座アプリ。無料で複数回復習ができる。(小児科・40代)・Duolingo。(皮膚科・40代)・HiNative(ネイティブにチャットで質問できるアプリ)。(呼吸器内科・40代)・DMM英会話で毎日外国の人と話し、振り返りをしている。あとはアプリで単語を覚えたり、発音の練習などしている。(循環器内科・30代)【ニュース】・ワシントンポストやニューヨークタイムズの動画ニュースを聞く。(小児科・40代)・CNN English Express。(消化器外科・50代)・BBCのPodcast。(腎臓内科・30代)【論文・学会】・ひたすら論文を書いています。(総合診療科・30代)・英文抄録を読む。(内科・60代)・好きなジャンルの講演を聴く。(血液内科・40代)・NEJMやJAMAのPodcast。(循環器内科・60代)【その他、独自の工夫】・IELTSを受けている。(臨床研修医・20代)・駅で電車を待っている間や、外を歩いているときに英語で独り言を呟いてみる。(消化器内科・40代)・歌詞を覚えて歌う。(消化器外科・50代)・子供用アニメは英語がそれほど難しくなくとっつきやすい。(泌尿器科・50代)・医療系の英語ドラマで、英語の字幕を見ながら英語で聞いて、言葉を復唱する。海外留学の経験からも、これが一番の勉強法だと思います。(内科・50代)【英語が使えてよかったこと】・突然海外からの患者が来た時に、対応できるので信頼度が上がる。(小児科・20代)・英語論文を書く時間がかからない。(整形外科・30代)・外資系の産業医活動ができた。海外出張に参加できた。(精神科・50代)・日々の絶え間ない学習が有効とわかったのが良かった。(その他・60代)アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。医師の英語学習、おすすめの学習ツールは?/医師1,000人アンケート

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NHKラジオ「小学生の基礎英語」【和製英語教育」から抜け出せる?日本人がバイリンガルになった未来とは?(言語政策)】Part 1

今回のキーワード学習開始年齢学習時間数学習の動機付け工場型一斉授業異年齢レベル分けバイカルチュラル文化の淘汰圧NHKラジオ「小学生の基礎英語」は、小学生向けの英語の教育番組です。1回のレッスンは10分で週3回(再放送を含めると週7回)、さらにNHKのホームページで過去のレッスンをいつでも聴くこともできます。英語を「チャンク」(意味のかたまり)として捉えることが勧められており、これは前回にも説明した生活言語能力を高めることにつながります。小学校の英語教育も、会話重視でより効果的になってきており、内容的には望ましくなりつつあります。しかし、構造的にはまだ問題が残っています。どういうことでしょうか?前回に、日本人がなかなかバイリンガルになれない根本的な原因はモノカルチュラル(日本文化)、モノリンガル(日本語の話し言葉)、そしてモノリテラル(日本語の書き言葉)にとらわれているからであると説明しました。そして、この状態を「語学障害」(文化結合症候群)と名付けました。この詳細については、関連記事1をご覧ください。この日本人ならではの「語学障害」を踏まえると、現在の日本の英語教育は「和製英語教育」と名付けることができます。和製英語が外国人に通じないのと同じように、「和製英語教育」は外国に通用しないからです。今回は、「小学生の基礎英語」をヒントに、この日本の英語教育の構造的な問題点を整理して、より良い英語教育、さらには言語政策を考えてみましょう。そして、文化進化の視点から、日本人の多くがバイリンガルになった時、どんな日本になっているかを一緒に想像してみましょう。日本の英語教育の構造的な問題点は?前々回に、言葉の学習の敏感期(グラフ1)の観点から、英語教育は、中学校からでは遅すぎて、幼児期では早すぎることがわかりました。この詳細については、関連記事2をご覧ください。それでは、小学校から始めれば良いでしょうか? ただ始めればいいというわけではないです。ここから、日本の英語教育の構造的な問題点を主に3つ挙げてみましょう。(1)学習時間数が少なすぎる「小学生の基礎英語」はほぼ毎日放送されており、しかもオンラインで何回も復習できます。一方、小学校の英語の授業時間数は、小学3、4年生で週1時間(年間35時間)、5、6年生で週2時間(年間70時間)、トータル4年間で210時間になります。実際の研究1)において、小学校の低中学年を対象に児童英検でのリスニングで英単語と絵がマッチしているかの判定を脳活動(N400)で測定する検査を行ったところ、英語の学習時間数が800時間を超えると、正答率が大きく伸びていくことが判明しました。その他の多くの研究1)でも、外国語の習得には相当数の学習時間数の確保が必要とされています。1つ目の問題点は、学習時間数が少なすぎることです。文法の敏感期が終わる12歳までの小学校4年間で210時間という授業数は、先ほどの研究結果の800時間を大きく下回っています。もちろん、これは現時点での話で、段階的に授業数を増やしている過渡期であると考えれば、今後に注目する必要があります。(2)学習開始年齢と進度が同じである「小学校の基礎英語」のテキストは、漢字にすべてふりがなが打ってあり、小学1年生からでも聴くことができます。実際に、小学1年生の生徒さんからの投稿アンケートもレッスン中に紹介されています。もちろん、出演者の人たちのやり取りがおもしろくて、小学6年生でも大人でも楽しめる内容です。一方で、小学校の英語教育が始まる学年は一律3年生(8歳)で、一律同じ進度で学習します。言葉の学習の敏感期の観点から、確かに8歳は、母語の基礎的な語彙(生活言語)がある程度固まる時期なので、前々回で説明したダブルリミテッドバイリンガルのような母語である日本語の言語能力への弊害のリスクがなくなりそうです。また、読み書きを通した抽象的な語彙(学習言語)へと脳の機能が移行する時期でもあると考えれば、音声だけでなく文字を併用することで、英語の学習がよりスムーズになるでしょう。ネイティブレベルの発音や語彙力は期待できないにしても、文法の敏感期が終わる12歳まであと4年間あります。よって、たとえば、日本語にない文法の“a”(不定冠詞)か“the”(定冠詞)か、“-s”(複数形)を付けるかどうか、どの前置詞とどの単語がセットかなどの言い回しや、さまざまな基本構文をより感覚的に理解することができるので、英会話でより自然に聞き取って話すことが期待できます。ただし、すべての生徒に期待できるわけではありません。2つ目の問題点は、学習開始年齢と進度が同じであることです。先ほど触れた日本語の言語能力への弊害のリスクがなくなるのは、あくまでもともとの言語理解IQ(VCI)が85以上の子供(約85%)についてです。前々回でも触れましたが、言語理解IQ(VCI)が85以下の子供(約15%)が日本語だけの学習でも問題を抱えている状況は、年齢が上がっても変わりはありません。これは、端的に言うと、国語の成績が低い子供です。つまり、教師が話している日本語でさえちゃんと理解できず、余力がまったくないのに、さらに英語の学習を推し進めるのは意味がないどころか、日本語ももっとおぼつかなくなるということです。なお、現時点では、英語の授業時間数が少ないことで、結果的にこの問題が起きないわけですが、やはり授業時間数を増やしていく場合には避けては通れない問題です。そして、この問題のために結局、授業時間数を増やせなくなってしまうことが最も懸念されます。(3)学習の動機付けに限界がある「小学生の基礎英語」は、レッスンの3回のうち1回は、英語についての質問コーナーがあり、単なる言葉を覚えるだけでなく、文化的な面にも興味を持てる仕組みがつくられています。一方で、小学校3、4年生の英語の授業内容も、「外国語活動」として、英語の文化的な要素も学習指導要領に盛り込まれているようです。ただし、家族も学校の友達も近所の人もほぼ全員日本語を話します。前回でも触れたように、世界的に見て、日本人のように母語しか話さない国民は実は珍しいのですが、日本はそれが成り立ってしまう国です。よって、子供にとっての現実の日常生活において、英語を理解していなければ困るという状況に遭遇することがまずなく、単純に必要性を感じません。今ちゃんと英語の勉強をした方が将来的に役に立つと思うのは、あくまで大人の発想であり、小学3年生にはぴんと来ません。3つ目の問題点は、学習の動機付けに限界があることです。動機があまりないなか、英語教育をただ推し進めても、やはり効果は限定的でしょう。実はこの状況は、英語に限らず、すべての教科にも言えることです。それは、自分の行動は自分で決めるという個人主義化が進むなか、ただ教室に座って言われたとおりに周りと同じことをしさえすれば学習が進んだことにするという日本の従来の横並び(集団主義)的な教育のあり方です。これが時代遅れになってきているのです。ちなみに、この日本独特の授業スタイルは、「工場型一斉授業」として海外の教育学者から指摘されています2)。まさに、商品がベルトコンベヤーに並べられて自動的に作り込まれていくのと同じように、生徒たちが教室に並べられて有無を言わさずに一方的に知識を詰め込まれるイメージです。昭和の時代まではそれが可能だったようですが、令和の時代にはそぐわなくなってきています。次のページへ >>

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NHKラジオ「小学生の基礎英語」【和製英語教育」から抜け出せる?日本人がバイリンガルになった未来とは?(言語政策)】Part 2

日本の英語教育の改善点は?日本の英語教育の問題点は、小学校において、学習時間数が少なすぎる、学習開始年齢と進度が同じである、学習の動機付けに限界があることであるとわかりました。それでは、これらを踏まえて、どうすればいいでしょうか? ここから、英語教育をより効果的にする改善点を3つ挙げてみましょう。(1)学習時間数を増やす1つ目は、小学校での英語の学習時間数を単純に増やすことです。たとえば、授業時間数を小学3、4年生で週3時間(年間105時間)、5、6年生で週5時間(年間175時間)とすると、トータル4年間で560時間を確保できます。あとは、「小学生の基礎英語」をはじめとする語学教材や宿題などの家庭での学習時間数(週3~5で15分~30分を4年間)を組み合わせれば、トータルで800時間に達します。なお、当然ながら、これだけ英語の授業時間数を増やすということは、他の科目の授業数を減らす必要があります。国語と算数は主要科目であるためなかなか減らせませんが、理科や社会など他の科目なら減らすことができます。なぜなら、これらの科目は、知識の要素が大きく、英語、国語、算数と違って敏感期を気にする必要がないからです。中学校以降で本格的に学ぶことが十分に可能です。逆に、中学校以降の英語教育は、すでに小学校で先取りして上達しているわけなので、その分を減らすことができます。また、上達していないとしたら、もともとの言語能力(言語理解IQ)に限界があったことが判明したわけですから、効率性の観点からも英語に多くの時間を割かない方が合理的です。そもそも敏感期を過ぎて「手遅れ」である点からも授業時間数を減らす方が合理的です。(2)授業開始学年と進度をその生徒に合わせる2つ目は、英語の授業開始学年と進度をその生徒の言語能力に合わせることです。逆に言えば、開始学年を一律3年生で一律同じ進度にしないことです。たとえば、基準は3年生としつつも、国語の成績が下位15%(言語理解IQが85以下)は、4年生以降に英語の開始を遅らせて、その分を国語(日本語)の授業時間にして専念できるようにします。逆に、国語の成績が上位15%(言語理解IQが115以上)は、8歳になるまでにすでに余力があるので、2年生から開始を早めて、その分国語の授業時間を減らすようにすることもできます。前々回でも触れましたが、発音の敏感期が遅れて終わる子供はその分、その後の語彙の学習が遅れるのと同じように、逆に語彙の学習が早い子供はその分、語彙の敏感期も早くに終わる可能性も考えられます。この点で、このような子供は、英語の学習を開始する時期をむしろ早める必要があります。また、開始学年を一律にしないことで年齢に縛られなくなるので、英語のクラスをレベル分けすることができます。よくよく考えると、授業時間数が増えるということはそれだけ、レベルアップに個人差が出てきます。また、幼児期からすでに英語教育を受けてきた子供や帰国子女とはレベルの差が最初からあります。年齢はあくまで基準としてその生徒のレベルに見合った授業を受けることができるようにするのは合理的ですし、そもそもそれが世界標準です。なお、言語理解IQは、医療機関で知能検査(WPPSI-IIIやWISC-V)によって測ることができます。また、今後は(すでに?)、AIによってオンラインで手軽に測ることができるようになるでしょう。(3)授業開始年齢と授業時間数を生徒と親に選ばせる3つ目は、英語の授業開始年齢と授業時間数を生徒と親に選ばせることです。これは、国語の成績(言語理解IQ)によって英語の開始学年を早めるか遅らせるか、授業時間数をどれくらいにするかは、あくまで学校側の推奨にとどめて、最終的にはその生徒と親に選ばせることです。なぜなら、国語の成績がどうであっても、あえて英語を開始するか国語に専念するかの選択肢をあえて提示されることで、責任が発生するからです。これは、自分の行動に責任感を持たせ、英語の学習に対する動機付けを高めます。もともと決められたこととしてやらなければならないという心理(外発的動機付け)から、自分で決めてやりたいという心理(内発的動機付け)に変わるからです。<< 前のページへ | 次のページへ >>

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NHKラジオ「小学生の基礎英語」【和製英語教育」から抜け出せる?日本人がバイリンガルになった未来とは?(言語政策)】Part 3

日本人が本当にバイリンガルになるためには?小学校の英語教育の改善点は、授業時間数を増やす、授業開始学年と進度をその生徒に合わせる、これらの選択肢を生徒と親に選ばせることであることがわかりました。これは、まさに海外で行われている当たり前の外国語教育です。逆に言えば、授業時間数、授業開始学年、進度を学校側(文部科学省)が一方的に決めて選択権を与えないのは、日本ならではのモノカルチュラルなやり方であることに気付かされます。これを冒頭で「和製英語教育」と名付けました。前回にも触れましたが、日本人がなかなかバイリンガルになれない根本的な原因は、モノカルチュラルにとらわれているからです。つまり、日本人が本当にバイリンガルになるためには、まずモノカルチュラルから抜け出すことであると言えます。たとえばそれは、同じことが前提で周りと同じことをすることに居心地の良さを感じるだけでなく、違うことが前提として周りと違うことをすることに好奇心を持つことです。この第1歩が、異年齢で集まる、レベル分けされたクラスを自ら選ぶことです。英語が周りよりも上達すればそれだけクラスがレベルアップ(飛び級)し、逆に上達しないならレベルキープ(留年)することです。もちろん、習いごとではそれが当たり前です。それを主要科目として学校の英語の授業でやることに意味があるのです。これが、週3~5あれば、同じ年齢で同じクラスメートとは違った心理的な相互作用が起きるでしょう。たとえばそれは、必ずしも周りと一緒に同じことをやる必要はないという発想です。そんなクラスは、少なくとも「工場型一斉授業」とは呼ばれないでしょう。日本人がバイリンガルになった時の恩恵は?バイリンガルになるためにはまずモノカルチュラルから抜け出すことであることがわかりました。それでは、もしも日本人の多くがバイリンガルになったとしたら、どうなるでしょうか? その時はじめて、日本人はバイカルチュラルになっているでしょう。バイカルチュラルとは、単に英語と日本語を翻訳することではなく、日本語とは違う英語のバックボーンとなる文化や価値観も身に付けることです。それは、不安を感じにくく受け身にならないという新しい日本人のメンタリティです。そんな日本人たちは、世界に飛び出すことをためらわず、移民の受け入れにオープンでしょう。これは、人口減少、少子高齢化、経済の停滞などの数々の行き詰まりの突破口になるように思われます。これまで、これらの社会問題に散々政策を打ち出してきてどれもうまくいっていないことを考えると、やはり世界の人たちからかけ離れた日本人の独特のメンタリティの問題に行き着きます。なお、この日本人の独特のメンタリティの詳細については、関連記事3をご覧ください。日本人がバイリンガルになった時の代償は?一方で、日本人がバイリンガル(バイカルチュラル)になった時の代償があります。それは、これまでモノカルチュラルにとらわれて必死に守ってきた日本語や日本文化に淘汰圧がかかることです。つまり、言語の淘汰圧であり、文化の淘汰圧です。これは、残念ながら宿命です。私たちの脳の許容限度から、日本語の豊かさを保ちつつ英語も流暢に話すことはなかなか両立しないです。そして、日本的な価値観を守りつつ欧米圏の価値観も身に付けることもなかなか両立しないです。両立して器用に切り替えることができるのは、脳の許容限度が大きい一部の人に限られるでしょう。日本人にバイリンガルが増えれば、自然に難しかったり紛らわしかったりする日本語は使われなくなり、通じなくなっていくでしょう。相手との関係によって語彙表現を複雑に変えていくこともしなくなるでしょう。そして、毎年次々と流行語が生まれることもなくなるでしょう。ただし、それも長い文化進化の歴史から見れば、日本語そして日本文化の進化のプロセスの1つと見ることもできます。この詳細については、関連記事4をご覧ください。もはや今の日本は、何をやっても衰退の一途を辿っています。何かを得るということは何かを失うということ、この一得一失(トレードオフ)の現実に向き合うタイミングに来ています。それは韓国のように漢字を廃止したり、中国のように漢字を簡略化したりすることかもしれません。または、「和製英語教育」から脱却することかもしれません。日本人がバイリンガルになった未来は?日本語そして日本文化の豊かさが減っていくという代償を覚悟しつつ、日本人がバイリンガルそしてバイカルチュラルになることで日本が世界標準となり、結果的に日本社会の活力を新しい形で取り戻すことができる、そんな未来に一筋の希望を見いだすことができます。それがこれからの言語政策のビジョンにかかっているように思えます。それは、もはやモノカルチュラルにとらわれることではありません。また、バイカルチュラルやバイリンガルになるのをすっ飛ばして、いきなりバイリテラル(2言語の読み書きができる人)にさせようとする「和製英語教育」ではありません。これらを脱却して、まずはバイカルチュラルになろうとすることです。そうして初めてバイリンガルになり、そうして初めて真のバイリテラルになっていくと言えるのではないでしょうか?1)英語学習は早いほど良いのかP147、P141:バトラー後藤裕子、岩波新書、20152)日本の教育制度の閉鎖性に衝撃を受けた…「失われた30年」を経ても日本人が内向き志向を続ける根本原因:肥田美佐子、プレジデントオンライン、2023<< 前のページへ■関連記事NHK「やさしい日本語」【英語が話せないのは日本語が難しいから???実は「語学障害」だったの!?(文化結合症候群)】Part 1海外番組「セサミストリート」【子供をバイリンガルにさせようとして落ちる「落とし穴」とは?(言語障害)】Part 1苦情殺到!桃太郎(後編)【なんでバッシングするの?どうすれば?(正義中毒)】Part 1ドラマ「ドラゴン桜」(後編)【そんなんで結婚相手も決めちゃうの? 教育政策としてどうする?(学歴への選り好み)】Part 1

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初めての喘鳴症状で受診、行うべき治療は?【乗り切れ!アレルギー症状の初診対応】第11回

初めての喘鳴症状で受診、行うべき治療は?講師国立病院機構三重病院 アレルギーセンター 山田 慎吾 氏【今回の症例】2歳の生来健康な男児。これまでに感冒時にも喘鳴の経験はない。受診前日の夜間から38.2度の発熱を認め、咳嗽が増加し、ゼーゼーと呼吸をしたため、翌朝に受診した。兄弟が通う幼稚園ではRSウイルス感染症が流行している。受診時に鼻汁が多く、断続する咳嗽、呼気性喘鳴を認めるが、活気はあり、陥没呼吸はなく、SpO2は98%であった。

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有病率の高い欧州で小児1型糖尿病発症とコロナ感染の関連を調査(解説:栗原宏氏)

特徴・新規に出現したウイルスと自己抗体の関連を示した・追跡期間が長く、感染と自己抗体の発現の前後関係を区分できている・SARS-CoV-2抗体以外に、その他の呼吸器感染代表としてインフルエンザ抗体も調査・インフルエンザは著減しており、SARS-CoV-2の影響がメインと考えられる限界・対象は遺伝的ハイリスク群。かなり特殊で結果が一般化しづらい・日本国内での発症率は調査地域である欧州よりも格段に低い・因果関係が逆である可能性:自己抗体が発現する子供がコロナに感染しやすい? 本研究で対象となっている小児1型糖尿病は、発症率に人種差があり白人に非常に多い。欧州全般に発症者は多く、とくに多い北欧諸国、カナダ、イタリアのサルディニアでは年間約30/10万人と日本(1.4~2.2/10万人)に比して10倍以上の違いがある。1歳ごろに膵島細胞への自己抗体が発生するピークがあり、10年以内に臨床的な糖尿病を発症する。自己抗体の発生原因は不明ながら、呼吸器系ウイルス感染が関与している可能性があるとされている。 本研究はPrimary Oral Insulin Trial(POINT)のデータが使用されている。2018年2月~2021年3月のCOVID-19拡大前からパンデミック期にかけて、欧州5ヵ国の複数施設で、遺伝的に1型糖尿病リスクが高い乳児(4~7ヵ月)1,050人を対象として、SARS-CoV-2感染と膵島自己抗体の発現の時間的関係を明らかにするために実施されたコホート研究である。このうち、実際に対象となったのは885人である。 本研究は、SARS-CoV-2という新規に出現した疾患と自己抗体の出現との関連を自己抗体発現の可能性が高い乳児を対象として調査した点が特徴である。性別、年齢、国に調整後のSARS-CoV-2抗体陽性例における膵島自己抗体陽性のハザード比は3.5(95%信頼区間[CI]:1.6~7.7、P=0.002)となっており、遺伝子的ハイリスク群ではSARS-CoV-2感染はリスク因子であることが示されたことは意義が大きいと思われる。 SARS-CoV-2抗体出現後に自己抗体が発現する割合が有意に高いことが示された。一方、他のウイルス感染評価目的に実施されたインフルエンザA(H1N1)抗体では自己抗体発現はなかった。少なくともこの対象群においては、呼吸器系ウイルス全般で自己抗体が出現するわけではないことが示唆された。 自己抗体の出現がすぐさま臨床的1型糖尿病発症を意味するわけではない点には留意が必要である。SARS-CoV-2感染と膵島自己抗体出現には関連があるが、感染後の短期間での急激な糖尿病発症率の増加には影響しない可能性が高い。将来的な1型糖尿病発症率については当該地域でフォローが必要である。 前述のとおり、小児1型糖尿病は遺伝子的な問題で人種差が大きい。本研究はその中でもさらに遺伝子的なハイリスク群を対象としており、その結果は広く一般化できるものではない。日本国内では比較的まれな疾患であり、SARS-CoV-2感染の影響は非常に小さいと推測されるが、否定しうるものでもない。今後の本邦での小児1型糖尿病の発症率の推移をみていく必要がある。

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第66回 10ヵ月流行し続けるインフルエンザ

新型コロナは収まりつつあるが…Unsplashより使用インフルエンザの陽性が増えてきましたよね。「新型コロナかなと思って測定したらインフル陽性」というパターンがまたまたやってきました。新型コロナの定点医療機関当たりの感染者数は全国平均で8人台になっていますので、ひとまず足元の波は越えたかなと思われます1)。さて、現在、昨シーズンから一度も途切れることなくインフルエンザの流行期が続いています(図)2)。「10ヵ月連続流行期」というのは、1999年以降、初めてのことなので、現場としてはもう戸惑うしかありません。一体何が起こっているのか。図. インフルエンザの定点医療機関当たりの報告数(全国)推移(参考2を基に筆者作成)インフルエンザが流行する理由昨シーズンのインフルエンザが春まで継続して流行していたことから、現在発熱者に対しては両方の検査を行っている医療機関が多いかと思います。当院は、同じ検体を使って新型コロナは抗原定量検査、インフルエンザは抗原定性で検査していますが、病院によってはマルチプレックスPCR検査や、同時抗原検査キットなどを適用しているところもあるかもしれません。そのため、検査自体が行われやすいため、見かけの陽性者数が多い可能性があります。とはいえ、例年と比べると流行曲線の立ち上がりが早く、間違いなくインフルエンザの陽性者が増えてきているのは現場でも実感されるところです。多い年では、定点医療機関当たり50~60人というのがインフルエンザの恒例でしたから、定点医療機関当たり10人台だった昨シーズンの波は、ウイルス側としては不完全燃焼だったでしょう。ずっと私たちは感染対策を続けてきたため、「5類感染症」に移行してから、どのウイルス感染症もこれまでの常識が歪められつつあります。いつか落ち着くでしょうが、しばらく流行曲線が乱高下する時代と向き合うのかもしれません。参考文献・参考サイト1)内閣官房:新型コロナウイルス感染症 感染動向などについて2)厚生労働省:インフルエンザの発生状況

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アトピー性皮膚炎の成人・小児は炎症性腸疾患のリスク高

 アトピー性皮膚炎(AD)の小児および成人は、炎症性腸疾患(IBD)のリスクが高く、そのリスクは年齢、AD重症度、IBDの種類によって異なることが、米国・ペンシルベニア大学医学大学院のZelma C. Chiesa Fuxench氏らによる住民ベースのコホート研究で明らかにされた。これまで、ADとIBDの関連に関するデータは一貫性がなく、ADまたはAD重症度と潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)リスクとの関連を個別に検討した研究はほとんどなかった。著者は、「今回示された所見は、ADとIBDの関連について新たな知見を提供するものである。臨床医は、とくにADと消化器症状が合併する可能性がある患者に対してADの全身治療を行う際に、これらのリスクに留意する必要がある」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2023年8月30日号掲載の報告。小児アトピー性皮膚炎患者に潰瘍性大腸炎のリスク増大はみられなかった 研究グループは、住民ベースのコホート研究を実施し、小児および成人のアトピー性皮膚炎患者における炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病の新規発症リスクを調べた。AD患者1例に対し、背景因子をマッチングさせた対照を最大5例組み込んだ。AD重症度は治療の内容に基づき判断した。 AD患者および対照の情報は、英国の電子医療記録データベースHealth Improvement Networkの1994年1月1日~2015年2月28日のデータより取得し、2020年1月8日~2023年6月30日にデータ解析を行った。注目したアウトカムは、IBD、UC、CDの発症であった。ロジスティック回帰法を用いて、ADの小児および成人と対照を比較して、それぞれの発症リスクを調べた。 アトピー性皮膚炎患者における炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病の新規発症リスクを調べた主な結果は以下のとおり。・小児コホートは、小児AD患者40万9,431例(軽症93.2%、中等症5.5%、重症1.3%)と、背景因子をマッチングさせた小児対照180万9,029例から構成された。年齢中央値は4~5歳(範囲:1~10歳)であり、男児が多く(対照93万6,750例[51.8%]、軽症ADが19万6,996例[51.6%]、中等症ADが1万1,379例[50.7%]、重症ADが2,985例[56.1%])、社会経済的状況は同様であった。・成人コホートは、成人AD患者62万5,083例(軽症65.7%、中等症31.4%、重症2.9%)と、背景因子をマッチングさせた成人対照267万8,888例から構成された。年齢中央値は45~50歳(範囲:30~68歳)であり、女性が多かった(対照144万5,589例[54.0%]、軽症ADが25万6,071例[62.3%]、中等症ADが10万9,404例[55.8%]、重症ADが1万736例[59.3%])。・完全補正後モデルにおいて、小児AD患者はIBDリスクが44%高く(ハザード比[HR]:1.44、95%信頼区間[CI]:1.31~1.58)、CDのリスクは74%高かった(同:1.74、1.54~1.97)。それらのリスクはADの重症度が高いほど増大した。・一方で、小児AD患者において、UCのリスク増大はみられなかった(HR:1.09、95%CI:0.94~1.27)。ただし、重症AD例ではリスクが高かった(同:1.65、1.02~2.67)。・成人AD患者は、IBDリスクが34%高く(HR:1.34、95%CI:1.27~1.40)、CDリスクは36%高く(同:1.36、1.26~1.47)、UCリスクは32%高かった(同:1.32、1.24~1.41)。それらのリスクはADの重症度が高いほど増大した。

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連載100回記念!執筆陣が選んだ「とっておきのフレーズ」【1分★医療英語】特別回

2021年から連載をスタートした「1分★医療英語」。原則毎週火曜日に公開しており、今月に連載100回を迎えました。100回記念として、執筆陣が選んだ100回の中の「とっておき回」を紹介。ぜひ復習にお役立てください。執筆陣が選んだ「とっておきのフレーズ」 ( )氏

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