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高校生のがん患者に必要な教育支援とは? 1月13日セミナー開催

 神奈川県立こども医療センターが、同センターの小児がん相談支援室主催にて、高校生のがん患者の教育支援に関するセミナーを開催する。 「長期治療が必要な高校生の教育保障を考える2023~好事例から考える、それぞれの支援者ができること~」と題した本セミナーでは、高校生の教育保障をテーマに、医師、神奈川県教育委員会、高等学校教諭、高等学校学校長がそれぞれの立場から、事例や具体的な取り組みなどについて説明する。 現場医師の立場として、同センター血液・腫瘍科の慶野 大氏から「治療と高校生の学習支援」について語られるほか、教育現場からは入院時等学習サポート制度について、「医療・学校・保護者・本人の合意形成の中から動き出した支援」の具体例が紹介される。 セミナーの概要と参加申し込み方法は下記のとおり。■日時:2024年1月13日(土)14:00~16:00■場所:神奈川県立こども医療センター 本館2階講堂およびWeb開催■参加申し込み方法:下記URLより受付フォームにアクセスし、必要事項を入力し送信(2024年1月10日まで)https://onl.tw/JAGEAwF

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テレワークでの育児ストレス、出社より高い

 新型コロナウイルス感染症の影響で定着した在宅勤務(テレワーク)。子供を持つ親がテレワークをした場合、健康状態や精神的健康状態はどう変化するのか。米国・シカゴのアン&ロバート H. ルリー小児病院のJohn James Parker氏らは、パンデミック中の2022年5~7月にイリノイ州シカゴの全77地区でパネル調査を行った。参加資格は、18歳以上で1人以上の子供を持つ親であることだった。本研究の結果はJAMA Network Open誌2023年11月3日号にResearch Letterとして掲載された。 主な結果は以下のとおり。・1,060例の回答者のうち、825例がその時点で雇用されていた。599例が女性、548例がテレワークを実施していた。・テレワークをしている親を人種で見ると、白人(244例)が黒人(99例)またはヒスパニック系(145例)よりも多かった。・テレワークをしている親は、現場で働く親と比較して、育児ストレスのオッズが増加した(調整オッズ比[aOR]:1.88、95%信頼区間[CI]:1.20~2.93)が、健康状態(aOR:1.23、95%CI:0.78~1.93)や精神的健康の改善(aOR:1.14、95%CI:0.64~2.04)には差がなかった。・テレワークをする父親は、現場で働く父親よりも育児ストレスが高いと報告した(aOR:2.33、95%CI:1.03~5.35)が、母親には関連はなかった(aOR:1.53、95%CI:0.93~2.49)。 研究者らは、COVID-19パンデミック時にテレワークを行った親は、現場で働いた親と比較して育児ストレスが高いと報告しており、親、とくに父親にその傾向が顕著だった。これは育児ストレスにテレワークによるストレスが加わったり、よりストレスの多い育児状況にある親がテレワークを優先的に選択したりした可能性を示唆している。テレワークを行う親を支援する戦略、たとえば勤務スケジュールの自律性を促進することや従業員支援プログラムなどは、親と子供にとって重要な健康上の意味を持つ可能性がある、とした。

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映画「かがみの孤城」(その1)【けっきょくなんで学校に行けないの?(不登校の心理)】Part 1

今回のキーワードいじめ無気力・不安PTSD(心的外傷後ストレス障害)ストレス反応(適応障害)反抗期(思春期)同調自我同一性(アイデンティティ)自立(自我同一性の確立)2024年の現在、不登校の子供は過去最多の約30万人となりました。これは、中学校なら30数人のクラスに1人から2人はいる計算になります。彼らはなぜ学校に行けないのでしょうか? 逆になんで学校に行くのでしょうか?今回は、不登校をテーマに、アニメ映画「かがみの孤城」を取り上げます。この映画を通して、発達心理学の視点から不登校の根っこの心理を掘り下げます。そして、文化心理学の視点からとくに日本で不登校が増えている一番の原因を解き明かしてみましょう。なんで学校に行けないの?主人公は中学1年生のこころ。彼女は、入学してまもなくある女子グループからいじめを受けます。その子たちは、こころと仲良くなりそうな友達をこころから遠ざけたり、男子に「おれおまえみたいなブス、大嫌いだから」とこころに伝えるよう仕向けたり、こころがこもっている家の庭先まで入り込んでこころを大声で呼んだりするなど、とても悪質でした。そして、こころはその後に学校に行けなくなってしまいます。代わりにフリースクール(適応指導教室)に行こうにも、朝になると腹痛(ストレス反応)が起こります。母親から「行くの? 行かないの?」と急かされるなか、「行かないんじゃない。行けないのに」と心の中で叫びます。その心情は、子供の目線でリアルに描かれていました。両親とも仕事をしているため、こころは仕方なくひとり家で過ごします。そんなある日、自分の部屋に置いてある鏡に吸い込まれてしまい、その先の絶海の孤城に運ばれてしまいます。そこで、同じように運ばれた中学生6人に出会うのです。彼らが不登校になった原因は、いじり(からかい)や陰口レベルの友人関係(いじめレベルではない)であったり、複雑な家庭環境であったり、「天然」という本人の個性(発達特性)であるなど、さまざまで複合的でした。文科省の不登校の最新の調査によると1)、その原因として「無気力・不安」(52%)、「生活リズムの乱れ、あそび、非行」(11%)、「友人関係(いじめを除く)」(9%)、「親子関係」(7%)などが挙げられています。厳密には、半数を占める「無気力・不安」は、こころの体調不良と同じように表面的な原因にすぎず、その根本的な原因は不明のままです。そして、「いじめ」(0.3%)は意外にも上位ではありません。もちろん、学校側の調査が行き届いていなかったり、本人が恥ずかしさから言い出せなかった可能性があることから、「無気力・不安」の中に「いじめ」が潜在的に含まれているのではないかという指摘もあります。確かに、あとでいじめを打ち明けたこころの場合はそうなります。実はいじめはきっかけにすぎないしかし、よくよく考えると、こころの不登校の原因が単純にいじめであるならば、そのいじめ女子グループがいないフリースクールには通えるはずです。フリースクールにも行けないということは、転校したとしても、その学校にも行けないことが予測できます。それでは、いじめによるPTSD(心的外傷後ストレス障害)になったことで、同年代の子たちが集まる場所全般に行けなくなる症状(回避症状)が出てきたと考えることはできるしょうか? そう考えるには、無理があります。こころの視点では「殺されそうな体験」として描かれてはいるのですが、客観的には庭先で大声で呼ばれただけです。実際に暴行されたりけがさせられるなどの死の恐怖を感じるレベル(トラウマ)とまでは言えず、やはりストレス反応(適応障害)のレベルです。また、とくにフラッシュバックや悪夢などの特徴的な症状も出ていません。ちなみに、他の6人もPTSDを発症するほどのトラウマ体験はありません。なお、6人のうちのアキは義父から性被害を受けそうになりました。この体験はトラウマレベルではありますが、それは不登校になったあとのエピソードでした。つまり、いじめがあったとしても、それは不登校のきっかけ(誘因)にすぎず、彼らが不登校になる根本的な原因が別にあったことが考えられます。それはいったい何でしょうか?逆に、子供が学校に行く理由から、その謎を解き明かしてみましょう。次のページへ >>

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映画「かがみの孤城」(その1)【けっきょくなんで学校に行けないの?(不登校の心理)】Part 2

逆になんで学校に行くの?こころが不登校になったあと、いじめ女子グループのターゲットは、クラスメートの萌ちゃんに変わっていました。彼女は、こころと同じように悪質ないじめを受けますが、不登校にはなりませんでした。なぜ彼女は学校に行けるのでしょうか?大きく3つの可能性を挙げて、その中から萌ちゃんが学校に行く一番の理由(目的)を考えてみましょう。(1)親から行けと言われるから1つ目は、親(社会)から行けと言われるからです。これは、先ほどのこころの母親の「行くの? 行かないの?」と言うセリフに重なります。そしてこれは、こころをはじめ、多くの子供に当てはまります。もちろん、親としては「学校に行くのは勉強して立派な大人になるため」という思いがあります。教師としても、そう伝えるのが職務です。ただし、「立派な大人になる」のは子供が自分で望んでいるわけではないです。勉強好きの子供もごく一部です。すると、これは子供にとって「学校に行くために学校に行く」という状態になってしまいます。「学校に行け」「勉強しろ」と言われて、とりあえずそれに従っている状態です。発達心理学的には、小学生まではそれが可能です。しかし、中学生にもなると、反抗期(思春期)です。もはや親や教師の言うことを聞かなくなります。勉強が難しくなったり、大人になった将来のことを考えていなければ、なおさらです。しかも、親や教師が反抗させまいとすれば、子供はもっと反抗して逆効果です。そうなると、学校に行く目的がなくなってしまいます。以上より、親や教師(社会)から行けと言われること、つまり勉強することを学校に行く一番の理由(目的)にしてしまうと、不登校のリスクを高めてしまうことがわかります。これは、萌ちゃんには当てはまりません。なお、反抗の心理の詳細については、関連記事1をご覧ください。(2)友達に会えるから2つ目は、友達に会えるからです。友達とは自分の味方であり、その友達が集まっている教室(学校)が居場所になります。学校に行く理由を、このようにぼんやりと考えている子供は、かなりいるでしょう。学校の代わりにフリースクールが居場所になると唱える教育関係者もいるでしょう。発達心理学的には、小学生までならそれで良いです。なぜなら、いろんな友達とかかわりたいと思う気持ち(同調)を高める時期だからです。しかし、中学生にもなると、思春期真っ盛りです。思春期は、同調の心理がさらに発達して、不特定多数から特定少数の友達(グループ)と一緒にいたいと思うようになる時期です。そのため、グループに入れないなど友達関係がうまくいかないと、学校に行く目的がなくなってしまいます。そして、こころのように「ぼっち」(ひとりぼっち)である状況をクラスメートから指摘されることは、味方がいない「だめな自分」が晒されていることを意味します。こうして、居場所がない感覚に陥り、学校に行くのがますますつらくなります。この点で、友達関係の葛藤を自覚できなかったり、恥ずかしくて認めたくないために言い出せなかった場合も、「無気力・不安」の方にカウントされている可能性が考えられます。以上より、友達に会えること、つまり学校が居場所であることを学校に行く一番の理由(目的)としてしまうと、不登校のリスクを高めてしまうことがわかります。これも、萌ちゃんには当てはまりません。そして、こころがフリースクールにも行けなかったのは、まさにこれが原因です。つまり、フリースクールにしても学校にしてもただ居場所であるだけでは限界があるということです。なお、同調の心理の詳細については、関連記事2のページの最後をご覧ください。(3)大人になるために必要だから3つ目は、大人になるために必要だからです。ここで、こころが久々に萌ちゃんに再会した時に、萌ちゃんが言ったセリフがヒントになります。それは、「ばかみたいだよね。たかが学校のことなのにね」「だってあの子たち(いじめ女子グループ)、恋愛とか目の前のことしか見えてないんだもん。成績も悪いし、ガキっぽいし。10年後も20年後もあのままだよ。きっとろくな人生送らないよ」「ああいう子たちってどこにでもいるし」というセリフでした。萌ちゃんは、親の仕事の都合で転校を繰り返していたこともあり、彼女ならではの冷静な判断力を持っています。そして、「目の前」ではなく「10年後、20年後の人生」という大人になった未来の視点を持っています。つまり、「今、相手にどう思われるか」ではなく、「これから自分はどうしたいか(どうなりたいか)」という発想です。たとえば、どんな仕事をしたいのか、どんな所に行きたいのか、どんな人に会いたいのか、どんな人と一緒にいたいのかなど、なりたいと思う大人の自分を具体的にイメージしていくことです。発達心理学的には、これは思春期の発達課題である自我同一性(アイデンティティ)です。この自我を育むために、学校に行って、勉強して、友達に会っているのです。この先に、大人になる、つまり自立(自我同一性の確立)があります。この自我があることによって、萌ちゃんはいじめられて周りから友達がいなくなっても、こころほど気にせず、不登校にならなかったのでした。以上より、萌ちゃんのように大人になりたいと思うこと、つまり自我を育むことを学校に行く一番の目的とすることで、不登校のリスクを低くできることがわかります。なお、自我をはじめとする発達課題の詳細については、関連記事3をご覧ください。不登校の根っこの心理とは?学校に行く一番の目的は、大人になる(自我を育む)ためであるということがわかりました。この自我が芽生えているかどうかが、同じいじめを受けながら、こころが不登校になって萌ちゃんが不登校にならなかった決定的な違いです。また、先ほどの文科省の調査の「無気力・不安」の正体とは、この自我がまだ芽生えていないために、ただ勉強する気が起こらない無気力感であったり、友達がいないこと(いないことを見られること)を気にしすぎる不安感であったりするのなどの心と体の反応(症状)であることがわかります。そして、不登校が長引けば、この自我を育むチャンスをますます逃してしまうことがわかります。つまり、不登校の根っこの心理とは、自我の弱さであると言えます。<< 前のページへ | 次のページへ >>

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映画「かがみの孤城」(その1)【けっきょくなんで学校に行けないの?(不登校の心理)】Part 3

じゃあなんで不登校は増えているの?冒頭のシーンで、こころは夢想します。「たとえば夢見る時がある。転入生がやってくる。その子は何でもできるすてきな子。たくさんいるクラスメートのなかに私がいることに気付いて、お日様みたいなまぶしい微笑みを浮かべ、『こころちゃん、久しぶりって』ってまっすぐ近寄ってくる。みんな息を飲む。そんな奇跡が起きたらいいと」「(でも)そんな奇跡が起きないことは知っている」と。不登校になったこころの心情がリアルに描かれていました。と同時に、客観的に見れば、友達をつくろうと自分から踏み出せず、「奇跡」を当てにしようとしています。きっと、今まで自わから友達をつくる練習をしてこなかったことも想像できます。自分でどうしたいかを言い出せず、いじめに対してもノーと言えないという自我の弱さがあることがわかります。萌ちゃんとは対照的です。昨今、不登校が増えているということは、こころのような自我の弱い子供が増えているのでしょうか? 確かに、昔よりも今どきの子供は大人しくなったという印象はあるでしょう。ただ、それ以上に、今だけでなく昔も、子供だけでなく大人も、実は日本人で自我が弱い人はもともと多いです。文化心理学的に言えば、日本人は周りに気を遣って和を重んじる集団主義の国民性です。これは、もともと日本が島国で他国からの侵略が歴史的にほとんどなかったことや、江戸時代からの鎖国によって封建社会の価値観が強化されていったことと関係しているでしょう。封建社会では上下関係を重んじて親や目上の人に逆らわない、つまり自我が弱い方が適応的です。むしろ、自我が強いと、和を乱し、村八分に遭い、子孫を残せないリスクが出てきます。なお、この日本人の国民性の詳細については、関連記事4をご覧ください。ただし、この国民性は、裏を返せば「自己主張しない」「ノーと言えない」、つまり自分はどうしたいのかをなるべく抑えるわけで、実は世界的には奇妙なメンタリティになります。実際に、海外の学校では、人種差別レベルのあからさまないじめがはびこっているのに、日本のように不登校は目立っていないことからもわかります。この自我を抑える(自我の弱い)メンタリティが、社会構造の変化によって炙り出され、不登校をどんどん招いてしまっているのです。それでは、この社会構造の変化とはいったい何でしょうか? 不登校が増え始めた1980年代をヒントに、大きく3つ挙げてみましょう。(1)個人主義化1980年代に日本が経済大国になってから、生活に余裕ができて、個人に選択の自由が生まれ、個人の権利(人権)に目が向くようになりました。そして、必ずしも集団の中で周りに合わせたり、親や目上の人の言うことを聞く必要がなくなりました。1つ目は、個人主義化です。それまでは、学校に行かなければ、親や教師が暴力(体罰)、暴言(モラハラ)、嫌がらせを行うなどの虐待が懲戒権として当たり前のようにありました。そんななか、ほとんどの子供は逆らえません。そもそも学校に行かないなどと、自分だけ周りと違うことをすること自体が恐怖でした。よって、しょうがなく学校に行っていました。まさに、「学校に行くために学校に行く状態」が成り立っていた時代です。しかし、今やこのような親や教師による懲戒権は違法と認識されるようになりました。そして、周りと違うことは個性と受け止められるようになりました。つまり、もともと日本人は、自我ではなく身体的・精神的な恐怖によって学校に行っていたと言えます。その恐怖がなくなるという社会構造の変化によって不登校は増えていると言えるでしょう。ちなみに、個人主義化は、不登校だけでなく、非婚(結婚しないこと)が増えていることにも通じます。この詳細については、関連記事5をご覧ください。(2)経済安定化1980年代に日本が経済大国になってから、世の中は物質的には豊かになっていきました。2つ目は、経済安定化です。それまでは、学校に行っていなければ、就職できずに、最悪ホームレスになってしまう恐怖がありました。もちろん、成人した子供を養う余裕がある親も少なかったです。だからこそ、子供は文字どおり「死んでも」(たとえいじめがあっても)学校に行きました。しかし、今や子供が学校に行かずに成人して働かなくても、親はその子を養う余裕があります。そして、社会の枠組み(法律)としては個人主義化しましたが、家庭内ではまだ集団主義(家族主義)が残っており、子供は成人しても親に責任があるという考え方が根強いです。子供はその状況を見越しています(モラルハザード)。つまり、大人になっても子供は「子供」のままでいられる時代になったのです。たとえ、親に経済力がなくても、生活困窮に対しては、生活保護という社会保障制度を利用することができます。実際に、生活保護受給者は年々増え続けています。つまり、もともと日本人は、自我ではなく経済的な不安によって学校に行っていたと言えます。その不安がなくなるという社会構造の変化によって不登校は増えていると言えるでしょう。ちなみに、経済安定化は、不登校だけでなく、ひきこもりが増えていることにも通じます。この詳細については、関連記事6をご覧ください。(3)情報化1980年代に日本が経済大国になってまもなくの1990年代、インターネットが世界中に普及して情報革命が起きました。世の中は便利になり娯楽が増えました。3つ目は、情報化です。それまでは、学校に行かなければ、先生に会えず、知識や情報を得ることができませんでした。友達にも会えず、家にいてもやることがなくて寂しくて退屈でした。だからこそ、とりあえず学校に行っていました。しかし、今や苦労して学校に行かなくても、家にいてインターネットから世界中の最新情報をいくらでも手に入れることができます。教育動画で勉強することもできます。対話型の生成AIに教えてもらうこともできます。オンラインゲームで友達とつながることもできます。登校して物理的に教師や友達に会うという行動が必ずしも必要なくなってしまいました。つまり、もともと日本人は、自我ではなくつながりを求めて学校に行っていたと言えます。その不便さがなくなり受け身になれるという社会構造の変化によって不登校は増えていると言えるでしょう。ちなみに、情報化は、不登校だけでなく、ゲーム依存症が増えていることにも通じます。この詳細については、関連記事7をご覧ください。1)「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」P4:文部科学省、2023<< 前のページへ■関連記事ドラえもん【子どものメンタルヘルスに使えるひみつ道具は?】ちびまる子ちゃん(続編)【その教室は社会の縮図? エリート教育の危うさとは?(社会適応能力)】Part 2東京タラレバ娘【ブリーフセラピーとは?】苦情殺到!桃太郎(後編)【なんでバッシングするの?どうすれば?(正義中毒)】Part 1私 結婚できないんじゃなくて、しないんです【コミュニケーション能力】サイレント・プア【ひきこもり】レディ・プレーヤー1【なぜゲームをやめられないの?どうなるの?(ゲーム依存症)】

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手袋の上からアルコール擦式消毒、手指衛生の効果は?

 世界保健機関(WHO)が推奨する5つのタイミング(患者に触れる前、清潔/無菌操作の前、体液に曝露された可能性のある場合、患者に触れた後、患者周辺の環境や物品に触れた後)で手袋の上からアルコール擦式消毒を行うことは、ゴールドスタンダードである手袋の交換と比較すると効果は劣ったが、試験参加者が通常行っている対応と比較すると大幅に汚染を減少させた。米国・メリーランド大学のKerri A. Thom氏らによるInfection Control & Hospital Epidemiology誌オンライン版2023年11月23日号の報告。手袋の上から手指消毒する群とゴールドスタンダード群と通常対応群を比較 著者らは、成人および小児の外科、中間治療、救急治療ユニットを有する4つの病院の医療従事者を対象に、混合研究法を用いた多施設共同無作為化比較試験を実施した。参加者は介入群(WHO推奨の5つの手指衛生タイミングで、手袋の上からアルコール消毒し、手をこする)、ゴールドスタンダード(GS)群(WHO推奨の5つの手指衛生タイミングで、手袋を外し、手指衛生を実施し、新しい手袋を着用する)、通常対応群(参加者が通常行っているとおりに手指衛生・手袋の交換を行う)の3群に無作為に割り付けられ、総コロニー数および病原性細菌の有無を評価。GS群と介入群および通常対応群と介入群が比較された。 手袋の上からアルコール消毒する手指衛生の効果を検証した主な結果は以下のとおり。・GS群と介入群を比較した結果、手袋をはめた状態の手に細菌が確認されたのはGS群では641回中432回(67.4%)、手袋の上から手指消毒する介入群では662回中548回(82.8%)であった(p<0.001)。・総コロニー数中央値はGS群では2CFU(四分位範囲[IQR]:0~5)、介入群では4CFU(IQR:1~15)であった(p<0.001)。・病原性細菌はGS群3.9%、介入群7.3%で同定された(p<0.01)。・患者のケア再開までに要する時間は、GS群では平均28.7秒、介入群では平均14秒であった(p<0.001)。・通常対応群と手袋の上から手指消毒する介入群を比較した結果、手袋をはめた状態の手に細菌が確認されたのは通常対応群では135回中133回(98.5%)、介入群では226回中173回(76.6%)であった(p<0.001)。・総コロニー数中央値は通常対応群では29CFU(IQR:10.5~105.5)、介入群では2CFU(IQR:1~14.75)であった(p<0.001)。・病原性細菌は通常対応群28.1%、介入群7.1%で同定された(p<0.001)。・通常対応群において、WHO推奨の5つの手指衛生タイミングは537回記録されたが、そのうち手指衛生あるいは手袋の交換の実施が確認されたのは26回(4.8%)だった。そのうち遵守率が高かったのは「体液に曝露された可能性のある場合」で、低かったのは「患者周辺の環境や物品に触れた後」および「患者に触れる前」であった。・テストされた331個の手袋のうち、6個(1.8%)に微細な穴があることが判明し、これらはすべて介入群で特定された。 著者らは、ゴールドスタンダード遵守の実現可能性の低さを考慮すると、WHOや疾病予防管理センター(CDC)は、1人の患者のケア中においては手袋の上からのアルコール擦式消毒を推奨することも検討すべきではないかとしている。

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外傷の処置(8)水いぼの治療【一目でわかる診療ビフォーアフター】Q98

外傷の処置(8)水いぼの治療Q98初夏の徐々に暑さが厳しくなるころ、4歳女児を連れた両親が山奥の診療所に皮疹を主訴に来院した。女児の腹部から背部にかけて、光沢のある丘疹が散見され、そう痒感が強いと言う。かいていたら、どんどん広がってきたとのことだった。皮疹の形状、病歴からは水いぼ(伝染性軟属腫)のようだ。治療はどうしようか。

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非専門医も知っておきたいアトピー性皮膚炎の治療

アトピー性皮膚炎の治療では、他の疾患と同様に出口戦略が重要です。治療の目標は、症状がないか、あっても軽微で、日常生活に支障がなく、薬物療法もあまり必要としない状態に到達し、それを維持することです。そこまで到達できないときでも、できる限り軽い状態を維持することを目指していきます。「塗っているときはいいけれど、塗らないとすぐに出てくる」のは良いとはいえません。治療方法の3本柱は「薬物療法」「スキンケア」「悪化因子の検索と対策」です。本稿では、最近の薬物療法を中心に解説いたします。なお、本文中の薬価は2023年12月現在の薬価です。インデックス

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アトピー性皮膚炎の治療総論

アトピー性皮膚炎の治療戦略アトピー性皮膚炎の治療では「寛解」という目標が重要です。それは「症状がない、もしくは症状があっても軽微で、かつ日常生活に支障がない状態」つまり「寛解」を目指すことが大切です。寛解が達成できると、患者さんのQOL(生活の質)などは大きく改善されますので、その目標をしっかり医師と患者さんの二人三脚で達成していきたいものです。寛解維持に向けて多くの患者さんは、外用薬を塗ったら良くなるけど、やめたらすぐ再燃する、ということを外来で話されます。「寛解、再燃」のスパイラルに陥ってしまうと、「やはり良くならない」「治療しても意味がない」と思われてしまい、治療を中断してしまう患者さんがいます。よく知られているように「よくなった」と感じた時点でも、皮膚の奥ではまだ炎症がくすぶっていることが多いのです。患者さんが自己判断で外用薬塗布の頻度を減らしてしまうと、皮膚症状が再燃してしまいがちです。そうならないためにも、私は、アトピー性皮膚炎の中等症~重症の患者さんに対しては、プロアクティブ療法と同時にかゆみの物質を血液で検査する「TARC検査」(保険適応あり)を希望される方に施行しています。これはアトピー性皮膚炎の症状に応じて増減することが知られていますので、TARCが正常範囲内にあることが寛解に向けた1つの数字での「見える化」となるかもしれません。治療方法の3本柱は「薬物療法」「スキンケア」「悪化因子の検索と対策」です。1)外用薬ステロイド、タクロリムス、デルゴシチニブ、ジファミラストの外用薬を用います。外用薬はFTU(finger tip unit)を考えて使用します。やさしく、すりこまないように塗るのが大切です。私はステロイド外用薬を使わなくても良い状態まで改善させることを治療目標の1つにしています。2)経口薬抗ヒスタミン薬をかゆみ止めとして使うことが多いです。経口JAK阻害薬であるバリシチニブ、ウパダシチニブ、アブロシチニブがアトピー性皮膚炎の治療薬として使用できるようになりました。多くの治療薬が登場して、重症な方にも治療が届きやすくなりました。時にシクロスポリンを用いることもありますが、長期間の使用で血圧上昇や腎臓への負担がかかりますので短期間の使用が望ましいです。3)注射薬(生物学的製剤)デュピルマブやネモリズマブ、トラロキヌマブなどが使用できます。これらの治療薬でかゆみや皮膚症状はかなりコントロールしやすくなりました。デュピルマブは、2021年のガイドラインで維持療法(寛解を維持するための治療)としても推奨されるようになりました。4)光線療法私はナローバンドUVB照射装置やエキシマランプを用いて光線療法を行っています。かゆみの強い部分にとくに効果を発揮してくれます。ステロイドなど外用薬の使用量を減らすことにも役立ちます。5)スキンケア皮膚のバリア機能および保湿因子を回復させることがスキンケアの大切な目的です。私は、スキンケアを重視しています。とくに出生直後から保湿外用剤によるスキンケアを行うことは、アトピー性皮膚炎の発症リスクを下げることも知られています1)。アトピー性皮膚炎の治療を実践していく上で、スキンケアはどの状態のアトピー性皮膚炎であっても大切です。1)Horimukai K. et al. J Allergy Clin Immunol. 2014;134:824-830.プロアクティブ療法とはアトピー性皮膚炎の治療では、炎症を抑える治療で寛解となった後、外観上ほとんど異常がないように見えても潜在的な炎症が皮膚の奥で残っている状態がしばらく続いています。ここで治療をいったん止めてしまう患者さんが多いのですが、この状態で治療を中止してしまうと、すぐに炎症が再燃してしまいます。プロアクティブ療法とは、皮膚炎が軽快した後もステロイド外用薬などの使用を中止せず、しばらくの間お薬を継続する方法です。それにより、皮膚炎やかゆみの改善状態を長期間維持することができ、再発・再燃の頻度や重症化が減ることが期待できます。プロアクティブとは「先を見越した」「予防的な」という意味で捉えられています。反対に、「かゆいときに塗る、かゆくなくなったら薬を止める」というのが「リアクティブ療法」です。軽症のアトピー性皮膚炎では、リアクティブ療法でも十分なこともあります。『アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021』においても、プロアクティブ療法は「湿疹病変の寛解維持に有用かつ比較的安全性の高い治療法である」と記載され、推奨度1、エビデンスレベルAと高く推奨されています。プロアクティブ療法のやり方第1段階として、一番大切なことは「寛解導入」すなわち皮膚をツルツルの状態にしてしまうことです。そこではステロイド外用薬を1日2回、きっちりFTUを守って塗っていくことが大切です。光線療法をやる、デュピルマブの注射やJAK阻害薬の内服も重要です。ゴールはかゆみが止まることではなく、寛解することですから、しっかりツルツルの状態を作るまで頑張っていきます。寛解導入のためにはバックグラウンドとして保湿外用薬やスキンケアの継続を行ってくことも大切です。1)プロアクティブ療法を行う上で大切なことプロアクティブ療法はかゆみのあったところ、皮膚が荒れていたところにもステロイド外用薬をはじめとしたお薬を塗ることが大切です。長い期間ステロイドを塗ることへの不安もあると思いますが、20週間実施しても目立った副作用はなかったことも示されています。今はステロイド以外の治療薬もたくさんありますから、副作用が気になった場合は治りにくいところに光線療法を足す、デルゴシチニブやジファミラストなどの薬剤にスイッチするなどの対応が可能になります。2)プロアクティブ療法は患者さんには面倒くさい皮膚症状が寛解していると、お薬を塗るのは面倒くさいと患者さんは思います。ただ、プロアクティブ療法の目的は寛解を維持することですから、皮膚が荒れていたところにも塗っていくことは、再発防止のためには大切です。なお、アトピー性皮膚炎ガイドラインにはこのようにも記載されています。「外来での外用療法が主体となるアトピー性皮膚炎では、患者やその家族は治療の主体である」たしかに、プロアクティブ療法は面倒くさいですし、早く「塗らなくてもいい状態」になりたいはずの患者さんが頑張って毎日塗ることには、とても根気がいるはずですので医療従事者が、その頑張りを少しでも後押しできたらと思います。〔プロアクティブ療法FAQ〕プロアクティブ療法のメリットは?ステロイドの使用量をなるべく少なくして寛解を維持すること。プロアクティブ療法をやっていても痒い場合の対処は?まだ寛解に至っていない状況です。まず寛解導入をやり直しましょう。プロアクティブ療法を行っているとき、保湿も行ったほうが良いか?毎日行ってください!プロアクティブ療法では、いつまでステロイドを使う必要があるか?実は明確な答えがないのです。寛解導入が成功したあと、ステロイドを徐々にタクロリムスやデルゴシチニブなどの抗炎症外用薬にシフトしていき、結果としてステロイドを卒業していく、つまり「卒ステ」というのが目標になると思います。ずっと落ち着いていたのに、急にかゆくなってきた場合の対処は?再び寛解導入を目指してステロイド外用薬をしっかり塗る、光線療法を行う、などの治療を行います。かゆくなくなっても乾燥している部位への対処は?皮膚炎が治りきっていないところも多い可能性があります。しっかり治ると皮膚がツルツルとした柔らかい質感になってきます。ステロイドを終わらせることができましたが、治療薬はいつまで塗ったら良いか?しっかり治った状態をどう維持するか、明確な答えはありません。タクロリムス、デルゴシチニブ、ジファミラストは長期に外用することに伴う副作用は知られていません。寛解がしっかり維持されていれば、少しずつお薬を塗る間隔をあけながら保湿のみに移行していくのをお勧めします。佐伯秀久ほか. 日皮会誌. 2021:131;2691-2777.

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アトピー性皮膚炎の診療で役立つTIPS

口唇の乾燥アトピー性皮膚炎の患者さんで「唇が乾燥する」という訴えは多いです。それは口唇炎の症状なのですが、リップなどを長い期間使っても治らない患者さんも多数います。なぜなら「唇が乾燥する」状態の患者さんは、唇をなめるクセがあることが多いからです。子供の患者さんに多いのですが、唇やその周りをずっとなめ回すことを繰り返していると、周囲が輪を描くように赤くなります。これを「舌なめずり皮膚炎」と言います。これが長期間続くと口の周囲に色素沈着を来すこともあります。口唇のシミ唇が長い期間荒れている方は、点々とシミができてきます。“labial melanotic macules”や「口唇メラノーシス」と言われたりします。アジア人に多いとされています1)。アトピー性皮膚炎の発症時期が早い患者さんに多い傾向があり、アトピー性皮膚炎があっても、IgEが高い患者さんに唇の色素沈着が多い傾向があります2)。口唇トラブルへの治療の仕方〔口唇炎の治療〕口唇炎に関してはステロイド外用剤を中心に治療していきます。ワセリンを中心とした保湿も有効です。乾燥した感覚がある間は改善するまでステロイド外用剤を使ってみてください。しっかり治った良い状態をワセリンや患者さんに合ったリップでキープすることも大切です。〔口唇のシミの治し方〕口唇の色素沈着にはQスイッチルビーレーザーを使用します。痛み止めのクリームを塗り、レーザーを患部に照射します。治療の所要時間は数分で、1回の治療で終了することが多いです。1)Aljasser MI, et al. J Dermatol. 2019;23:86-89.2)Kang IH, et al. Int J Dermatol. 2018;57:817-821.

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外用薬【アトピー性皮膚炎の治療】

外用薬ではステロイド、タクロリムス、デルゴシチニブ、ジファミラストを用います。外用薬はFTU(finger tip unit)を考えて使用します。やさしく、すりこまないように塗ることが大切です。私はステロイド外用薬を使わなくても良い状態まで改善させることを、治療目標の1つにしていますが、ステロイドを完全に止めてしまうのではなく、継続して治療することで再燃を防ぐことに心がけています。デルゴシチニブ(商品名:コレクチム)デルゴシチニブは、2020年6月24日から使用できる外用薬であり、プロトピック(タクロリムス)以来約20年ぶりの新発売です。ヤヌスキナーゼ阻害薬という、新しいメカニズムの外用薬で、発売から1年が経過し、小児用の0.25%製剤が発売されました。デルゴシチニブは、さまざまな種類のJAKを抑える働きがあります。その効果として、IL-4/13を代表とするサイトカインを抑えることや皮膚バリア機能を回復させることに役立つという基礎研究データがあります1)。デルゴシチニブの安全性について、副作用は比較的少なく、長期投与による皮膚萎縮、多毛などといったステロイドの弱点はまだありません。適用部位の刺激感はまれにありますが、使えなくなるほどのヒリヒリ感は経験しません。また、第III相臨床試験でも副作用発現頻度は、19.6%(69/352例)であり、主な副作用として適用部位毛包炎3.1%(11/352例)、適用部位ざ瘡2.8%(10/352例)、適用部位刺激感2.6%(9/352例)などが報告されています。デルゴシチニブの用法・用量通常、成人には、1日2回、適量を患部に塗布する。なお、1回当たりの塗布量は5gまで、体表面積の30%までとする。そのほか、生後6ヵ月以上のアトピー性皮膚炎の小児にも適応がとれ、小児には2021年6月21日に発売された0.25%製剤の使用が望ましいとされています。ただし、妊婦、授乳婦への使用は「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用すること」と注意も記載されています。デルゴシチニブの薬価0.25%:1g 139.70円0.5%:1g 144.9円〔ワンポイント〕効果の強さに関してはストロングクラス、すなわちベタメタゾンやタクロリムスと同等程度と位置付けられ、症状がかなり強く、急速に寛解導入したい場合には向いていないことがあります。一方、デルゴシチニブの副作用は比較的少なく、長期投与によるものがないため、プロアクティブ療法などでの使用に向いています。また、光線療法、シクロスポリン、デュピルマブとの併用が可能で、ステロイド外用薬の副作用があるときには、光線療法と併用することでステロイド外用薬の減薬に期待できます。1)Wataru Amano W, et al. J Allergy Clin Immunol. 2015;136:667-677.2)コレクチム軟膏 電子添文(2023年1月改訂(第6版))ジファミラスト(商品名:モイゼルト軟膏)ジファミラストは、2022年6月1日に発売されたホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害剤の新しい外用薬です。PDE4阻害薬は、細胞の中の細胞内のサイクリックAMP(cAMP)濃度を回復させる薬で、cAMP濃度が回復することで免疫細胞の活性化が抑えられます。また、ジファミラストの第III相臨床試験結果について、投与開始後4週間でInvestigator’s Global Assessment(IGA)が0または1かつベースラインから2点以上減少を達成した患者さんの割合は、38.46%とプラセボ(12.64%)に比べて有意に高く1)、小児では0.3%製剤で44.6%、1%製剤で47.1%といずれもプラセボ(18.1%)に比べて有意に高い効果を得ていました2)。病勢の指標であるeczema area andseverity index(EASI)が50%減少した指標であるEASI50は、4週間の投与で58.24%とプラセボ(25.82%)に比べ、有意に高くなりました。同様にEASI75は42.86%(プラセボ13.19%)、EASI90は24.73%(プラセボ5.49%)でした。4週後の平均EASI改善率は−49.1%(プラセボ−10.5%)でした1)。ジファミラストの安全性としては、色素沈着障害(1.1%)、毛包炎、そう痒症、膿痂疹、ざ瘡、接触皮膚炎が記載されています3)が、明らかに多い副作用は認められませんでした1,2)。ジファミラストの用法・用量15歳以降は1%製剤を使用します。14歳以下は0.3%か1%製剤を使用します。通常、成人には1%製剤を1日2回、適量を患部に塗布します。小児は0.3%製剤を1日2回、適量を患部に塗布します。また、症状に応じて、1%製剤を1日2回、適量を患部に塗布することができます3)。ジファミラストの薬価0.3%:1g 142.00円1%:1g 152.10円〔ワンポイント〕使用感について患者さんからの評価は良く、塗った際の刺激感を訴えられることはありませんでした。効果に関しても総じて好印象でした。1)Saeki H, et al. J Am Acad Dermatol. 2022;86:607-614.2)Saeki H, et al. Br J Dermatol. 2022;186:40-49.3)モイゼルト軟膏 電子添文(2023年6月改訂(第3版))

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経口薬【アトピー性皮膚炎の治療】

経口JAK阻害薬では、ウパダシチニブ、バリシチニブ、アブロシチニブがアトピー性皮膚炎の治療薬として使用できるようになり、重症の患者さんにも治療が届きやすくなりました。時にシクロスポリンを用いることもありますが、長期間の使用で血圧上昇や腎臓への負担がかかりますので短期間の使用が望ましいです。ウパダシチニブ(商品名:リンヴォック)ウパダシチニブはJAK1を阻害する薬剤です。通常は15mg錠を1日1回1錠、毎日服用しますが、患者さんの状態によっては7.5mgへの減量が可能です。アトピー性皮膚炎に限って倍量の30mgを処方することができます。ウパダシチニブの薬価7.5mg:2594.6円/錠15mg:5089.2円/錠30mg:7351.8円/錠バリシチニブ(商品名:オルミエント)バリシチニブはJAK1/JAK2を阻害する薬剤で、皮膚科領域ではアトピー性皮膚炎と円形脱毛症(ただし、脱毛部位が広範囲に及ぶ難治の場合限定)に適応があります。用量は4mgを1日1回経口投与する。状態に応じ適宜減量となっています。相互作用がありますので、プロベネシドを内服している患者さんは減量が望ましいとされています。バリシチニブの薬価2mg:2705.9円/錠4mg:5274.9円/錠アブロシチニブ(商品名:サイバインコ)アブロシチニブはウパダシチニブと同じくJAK1を阻害する薬剤です。50mg、100mg、200mgの3剤形があり、通常用量の100mgから増やしたり減らしたりできます。状況に応じて柔軟な処方ができるのは利点です。適応はアトピー性皮膚炎のみになります。アブロシチニブの薬価50mg:2587.4円/錠100mg:5044円/錠200mg:7566.1円/錠〔アトピー性皮膚炎でのJAK阻害薬処方の注意点〕診療ガイドラインでは、次のように定められています。JAK阻害薬の内服は、「事前に十分な外用薬などの治療を行っていても難治であった方」が対象となります。今まで何もやっていない方であれば6ヵ月程度はガイドラインに沿った外用薬による治療を行い、それでも改善しない場合に使用します。投与の要否にあたっては、以下に該当する患者であることを確認する必要があります。(1)アトピー性皮膚炎診療ガイドラインを参考に、アトピー性皮膚炎の確定診断がなされている。(2)抗炎症外用薬による治療では十分な効果が得られず、一定以上の疾患活動性を有する、または、ステロイド外用薬やカルシニューリン阻害外用薬に対する過敏症、顕著な局所性副作用もしくは全身性副作用により、これらの抗炎症外用薬のみによる治療の継続が困難で、一定以上の疾患活動性を有する成人アトピー性皮膚炎患者である。a)アトピー性皮膚炎診療ガイドラインで、重症度に応じて推奨されるステロイド外用薬(ストロングクラス以上)やカルシニューリン阻害外用薬による適切な治療を直近の6ヵ月以上行っている。b)以下のいずれにも該当する状態。IGAスコア3以上EASIスコア16以上、または顔面の広範囲に強い炎症を伴う皮疹を有する(目安として頭頸部のEASIスコアが2.4以上)体表面積に占めるアトピー性皮膚炎病変の割合が10%以上同時に、投与できる施設も決められております。次に掲げる医師要件のうち、本製剤に関する治療の責任者として配置されている者が該当する施設です。ア)医師免許取得後2年の初期研修を終了した後に、5年以上の皮膚科診療の臨床研修を行っていること。イ)医師免許取得後2年の初期研修を終了した後に6年以上の臨床経験を有していること。うち、3年以上は、アトピー性皮膚炎を含むアレルギー診療の臨床研修を行っていること。また、日本皮膚科学会でも届出制度を作っています。乾癬の生物学的製剤のように承認制度は設けていませんが、薬剤の特性上、下記の要件を満たした上で届出した上で、使用することになっています。1)皮膚科専門医が常勤していること2)乾癬生物学的製剤安全対策講習会の受講履歴があること3)薬剤の導入および維持において近隣の施設に必要な検査をお願いできること

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注射薬【アトピー性皮膚炎の治療】

デュピルマブ(商品名:デュピクセント)デュピルマブは、ヒト型抗ヒトIL-4/13受容体モノクローナル抗体の治療薬で、2018年から使用できるようになったアトピー性皮膚炎の治療薬です。2週間に1回注射をします。生物学的製剤であり、生体が作る抗体タンパクを人工的に作成しアトピーを悪化させる活性物質にピンポイントで作用させることを目的としています。デュピルマブの対象患者ステロイド外用剤やタクロリムス外用剤などの抗炎症外用剤による適切な治療を一定期間施行しても、十分な効果が得られず、強い炎症を伴う皮疹が広範囲に及ぶ患者。デュピルマブの注射の種類注射器型のシリンジと自己注射に向いているペンの2種類。デュピルマブの特徴アトピー性皮膚炎の炎症やかゆみに大きく関わる蛋白であるインターロイキン4(IL-4)、IL-13の働きを抑えます。具体的には、IL-4受容体α(IL-4Rα)をブロックする薬です。ブロックすることでアトピー性皮膚炎のかゆみ、皮膚炎症状が改善します。また、IL-4、13はフィラグリンという皮膚のバリア機能を保つための重要な蛋白を作りにくくさせることが知られており、これを抑制することで皮膚バリア機能の回復も期待できます。デュピルマブの用法・用量15歳以上の成人の初回投与は600mg(2本)です。以後、2週間おきに300mg(1本)ずつ注射します。初診時は問診と診察で適応があるかどうかの確認を行います。なお、初診時にデュピルマブの投与はできません。2023年9月25日より生後6ヵ月以上の小児に適応が追加されました。また、2023年12月18日より200mgシリンジが発売されました。小児では体重ごとに用法が変わります。具体的には5kg以上15kg 未満:1回 200mgを4週間隔、15kg以上30kg未満:1回 300mgを4週間隔、30kg以上60kg未満:初回に400mg、その後は1回 200mgを2週間隔、60kg以上:初回に600mg、その後は1回 300mgを2週間隔(成人と同様の用法、用量)で投与します。デュピルマブの薬価300mgシリンジ:5万8,593円300mgペン:5万8,775円200mg シリンジ:4万3,320円〔ワンポイント〕高額療養費制度の勧め:薬剤費が高額なため、高額療養費制度を利用されることを強くお勧めします。収入や年齢により適応となる場合やそうでない場合があります。自己注射をする場合、最大6本の注射薬を処方することができ、一部の方には高額療養費制度を用いて医療費の負担軽減が可能です。デュピクセント皮下注 電子添文(2023年9月改訂(第6版))ネモリズマブ(商品名:ミチーガ)ネモリズマブは、ヒト化抗ヒトIL-31受容体A(IL-31RA)モノクローナル抗体です。IL-31は、かゆみに重要な役割を果たすサイトカインで、主にTh2細胞から作られます。ネモリズマブは、アトピー性皮膚炎に伴うかゆみを改善する新しい発想の治療薬です。IL-31とアトピー性皮膚炎、そしてかゆみIL-31は、Th2細胞から産生され、アトピー性皮膚炎の皮膚病変部では、過剰に産生されていることが知られています1)。また、血清中のIL-31の濃度はアトピー性皮膚炎患者では上昇しており、病勢と相関していることが知られています2)。IL-31は神経線維が成長することを促進し、かゆみを増強する働きもあります3)。IL-31の受容体は神経線維や表皮角化細胞に分布しています。また、IL-31はバリア低下にも働くことが知られています4)。そして、この受容体は、感覚情報の中継点として機能する脊髄後根神経節に多く発現しており、かゆみを脳に伝えることにも深く関わっています5)。つまり、IL-31はかゆみに関係する神経を刺激して脳にそのかゆみを伝え、そして神経の成長を助けてかゆみを起こしやすくする働きがあります。この受容体は、IL-31RAとオンコスタチンM受容体(OSMR)が合わさってできており、ネモリズマブはそのうちIL-31RAに結合して働きを抑えます。ネモリズマブの効果第III相臨床試験の結果6)より、かゆみに関しては、1週目より有意な差がみられています。速やかなかゆみの改善という点を期待したいところです。ネモリズマブの副作用電子添文7)によると、アトピー性皮膚炎(18.5%)、皮膚感染症(ヘルペス感染、蜂巣炎、膿痂疹、二次感染など)(18.8%)が頻度の多い副作用です。ウイルス、細菌、真菌などによる重篤な感染症が3.4%に認められ、アナフィラキシー(血圧低下、呼吸困難、蕁麻疹など)などの重篤な過敏症が0.3%報告されています。使用上の注意ネモリズマブはかゆみを治療する薬剤であり、かゆみが改善した場合も含め、投与中はアトピー性皮膚炎に対して外用薬をはじめとした必要な治療を継続することが必要です。ネモリズマブはIgGという種類の抗体製剤ですので、胎盤や乳汁に移行することがあります。そのため、妊娠中や授乳中の投与は禁忌ではありませんが、治療上の有益性が投与の危険性を上回ると判断された場合にのみ使用することになっています。ネモリズマブの適応13歳以上のアトピー性皮膚炎に伴うそう痒(既存治療で効果不十分な場合に限る)となっています。ステロイド外用剤やタクロリムス外用剤などの抗炎症外用剤および抗ヒスタミン剤などの抗アレルギー剤による適切な治療を一定期間施行しても、そう痒を十分にコントロールできない患者さんが対象です。ネモリズマブの用法・用量ネモリズマブとして60mgを4週に1回皮下注射で投与します。在宅自己注射も可能です。ネモリズマブの薬価60mgシリンジ:11万7,181円1)Guttman-Yassky E, et al: J. Allergy Clin. 2019;143:155-172.2)Ezzat M H M, et al. J Eur Acad Dermatol Venereol. 2011;25:334-339.3)Feld M, et al. J Allergy Clin Immunol. 2016;138:500-508.4)Cornelissen C, et al. J Allergy Clin Immunol. 2012;129:426-433.5)Furue M, et.al. Allergy. 2018;73:29-36.6)Kabashima K, et al. N Engl J Med. 2020;383:141-150.7)ミチーガ皮下注 電子添文(2023年11月改訂(第3版))トラロキヌマブ(商品名:アドトラーザ)トラロキヌマブは、IL-13を選択的に阻害するヒト免疫グロブリンIgG4モノクローナル抗体であり、IL-13がその受容体に結合するのをブロックします。IL-13はアトピー性皮膚炎の病変ができ、慢性化していくのに重要な働きをしますので、IL-13をブロックするのは合理的と考えられます。2022年12月に製造販売承認を取得、2023年3月に薬価基準に収載されました。2023年9月26日、アドトラーザ皮下注150mgシリンジが発売されました。IL-13の働きアトピー性皮膚炎の病変が持続するために重要な働きをするのが、Th2細胞というリンパ球です。Th2細胞は、IL-13やIL-4を産生することで皮膚のバリア機能低下、抗菌ペプチドの産生低下、IL-31というかゆみに関連するサイトカインの産生などを起こしてアトピー性皮膚炎の特徴的な病変を作ります。IL-13はIL-4と似た働きをしていますが、アトピー性皮膚炎の病態が作られる上で、IL-4よりIL-13のほうがより中心的な働きをしていることが知られています。また、線維化に関しても重要な役割を果たすことが解明され、アトピー性皮膚炎の慢性病変では苔癬化という皮膚がゴワついた感じになる病変ができますが、それにもIL-13の働きが重要であることが判明しています。トラロキヌマブの効果ステロイド外用剤併用下で、16週間トラロキヌマブを投与することで皮膚炎の重症度指標であるEASIが75%減少した患者割合であるEASI75は56.0%でした。これに対し外用薬だけの患者は35.7%でした。トラロキヌマブの適応従来の治療(ステロイド外用剤など)で十分な効果が得られない15歳以上のアトピー性皮膚炎患者トラロキヌマブの用法・用量トラロキヌマブはシリンジ製剤で、初回4本、その後2週間隔で2本を皮下注射します。現段階では在宅自己注射はできません。トラロキヌマブの薬価150mgシリンジ:2万9,295円アドトラーザ皮下注 電子添文(2023年9月改訂(第2版))

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食物アレルギーの小児患者へ安全・有効な経口免疫療法/国立成育医療研究センター

 小児の食物アレルギーの2大原因である卵と牛乳。この2つの食物が摂取できるようにさまざまな治療が行われている。国立成育医療研究センター アレルギーセンターの宮地 裕美子氏らの研究グループは、鶏卵もしくは牛乳の食物アレルギーがある子供(4~18歳)に対し、食物経口負荷試験の閾値をもとに5つの方法(A~E群)で経口免疫療法を行い、それぞれの方法の安全性と有効性について電子カルテデータを用いて分析した。 その結果、閾値の1/100量から開始、1/10量で維持する方法が従来の方法よりも2回目の食物経口負荷試験の閾値上昇人数の割合が高く、重篤なアレルギー症状であるアナフィラキシー症状が出現することなく、症状が出現しても軽微なものに限られているということがわかった。Clinical & Experimental Allergy誌2023年12月号からの報告。微量開始維持群ではアナフィラキシーがなかった 宮地氏らは、鶏卵もしくは牛乳の食物アレルギーがある小児患者(4~18歳未満)217例を対象に、同センターの外来を受診し、1回目の食物経口負荷試験を受けた後、食物経口負荷試験の閾値をもとに5つの方法(A群:超極微量開始維持法[開始量は閾値の1/10,000]、B群:極微量開始維持法[開始量は閾値の1/100]、C群:微量開始維持法[開始量は閾値の1/10]、D群:従来法[開始量は閾値に近い量]、E群:完全除去)で経口免疫療法を行い、経口免疫療法中のそれぞれの方法の安全性と有効性について電子カルテデータを用いて分析した。  主な結果は以下のとおり。・A~C群の微量開始維持群は、D群の従来法よりも有害事象を経験した人数の割合が有意に少なかった(A群24.2%、B群13.7%、C群29.4% vs.D群70.5%)。・微量開始維持群のほとんどの有害事象が口やのどのかゆみなど軽微な症状であり、アナフィラキシーは認められなかった。・D群の従来法では、アナフィラキシーを含むアレルギー症状が認められた。・B群の極微量開始維持法はD群の従来法よりも2回目の食物経口負荷試験の閾値上昇人数の割合が高かった(B群88.2% vs.D群56.8%)。・食物特異的IgE値が上昇した人数の割合は、B群の極微量開始維持法(93.8%)がE群の完全除去(61.1%)より多かった。 また、宮地氏は、本治療法の実施について「本研究の微量開始維持群でも軽微とはいえ経口免疫療法中に症状が出現している。この研究で行われた治療法をそのまま実臨床で行うのではなく、患者の症状や重症度、その他の合併症の症状などに合わせ、アレルギー診療を熟知した専門医が症状出現時の救急対応に万全を期したうえで、慎重に行われることが求められる」と注意喚起も述べている。

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18歳未満の家族性高コレステロール血症への診断アプローチは?/Lancet

 世界では毎年約45万例の子供が家族性高コレステロール血症を患って誕生しているが、家族性高コレステロール血症の成人患者のうち、現行の診断アプローチ(成人で観察される臨床的特徴に基づく)により18歳未満で診断されるのは2.1%にすぎないという。英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのKanika Inamdar Dharmayat氏らの研究グループ「European Atherosclerosis Society Familial Hypercholesterolaemia Studies Collaboration」らは、家族性高コレステロール血症ヘテロ接合体(HeFH)の小児・思春期患者の臨床的特性を明らかにする検討を行い、成人で観察される臨床的特徴が小児・思春期患者ではまれで、検出には低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)値測定と遺伝子検査に依存せざるを得ないことを明らかにした。しかし、世界の医療水準は画一ではないことを踏まえて、「遺伝子検査が利用できない場合は、生後数年間のLDL-C値測定の機会とその数値の使用率を高められれば、現在の有病率と検出率のギャップを縮めることができ、脂質低下薬の併用使用を増やして推奨されるLDL-C目標値を早期に達成できるようになるだろう」と述べている。Lancet誌オンライン版2023年12月12日号掲載の報告。48ヵ国の55レジストリを基に、小児・思春期患者の特性を明らかに 研究グループは2015年10月1日~2021年1月31日に、Familial Hypercholesterolaemia Studies Collaboration(FHSC)レジストリに登録された、HeFHの臨床的または遺伝学的診断を受けた18歳未満の小児・思春期患者を対象に試験を行った。 データは、48ヵ国の55レジストリから収集され、自己申告による家族性高コレステロール血症歴、二次性高コレステロール血症疑いの診断症例は、レジストリから除外した。LDL-C値が13.0mmol/L以上で未治療の症例も除外した。 データは総合的に、またWHO地域、世界銀行による国の所得水準別分類、年齢、診断基準、インデックス・ケース(家族の中で最初に診断された患者)で層別化して評価した。 主要アウトカムは、家族性高コレステロール血症の小児・思春期患者について、現行の患者特性や管理の状況を評価することだった。高所得国と非高所得国で診断格差、脂質低下薬の非服用は72% FHSCレジストリの登録患者数6万3,093例で、そのうち18歳未満のHeFH患者1万1,848例(18.8%)を対象に試験を行った。 性別データが不明だった372例を除く1万1,476例中、女子が5,756例(50.2%)、男子が5,720例(49.8%)だった。登録時の年齢中央値は9.6歳(四分位範囲[IQR]:5.8~13.2)だった。また、遺伝子診断データまたは臨床診断データが得られなかった613例を除く1万1,235例中1万99例(89.9%)が家族性高コレステロール血症と最終的に遺伝子診断で確定診断を受けており、臨床診断による患者は1,136例(10.1%)だった。 遺伝子診断は、高所得国の小児・思春期患者が1万202例中9,427例(92.4%)と、非高所得国の415例中199例(48.0%)に比べ大幅に高率だった。インデックス・ケースは、1万804例のうち3,414例(31.6%)だった。 家族性高コレステロール血症関連の身体的徴候や心血管リスク因子、心血管疾患は全体としてはまれであり、非高所得国でより多く認められた。1万428例の患者のうち7,557例(72.4%)が脂質低下薬を服用しておらず、LDL-C中央値は5.00mmol/L(IQR:4.05~6.08)だった。 遺伝子診断に比べ、家族性高コレステロール血症の臨床基準に基づく診断は、成人向けに設定された基準を用いた場合には、より極端な表現型に依存するため、家族性高コレステロール血症の小児・思春期患者の50~75%が診断されない可能性があった。

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携帯電話依存症と先延ばし癖の関係~メタ解析

 携帯電話依存症は、学生の先延ばし癖に影響を及ぼす重要な因子として、広く研究されている。しかし、携帯電話依存症と先延ばし癖との相関関係とその影響力は、依然として明らかになっていない。中国・上海大学のXiang Zhou氏らは、学生の携帯電話依存症と先延ばし癖との関係、参加者の個人的特性(教育レベル、性別)、測定ツール、社会的状況要因(出版年、文化)の緩和効果を調査するため、メタ解析を実施した。Journal of Affective Disorders誌2024年2月号の報告。 PubMed、Web of Science、Embase、PsycINFO、China National Knowledge Infrastructure(CNKI)、Wanfang、Weipuよりシステマティックに検索し、適格基準を満たす研究を収集した。メタ解析には、CMA3.0ソフトウェアを用い、緩和効果のテストには、分散メタ解析(ANOVA)を用いた。 主な結果は以下のとおり。・75件の研究、4万8,031例をメタ解析に含めた。・変量効果モデルの総合エフェクトサイズでは、学生における携帯電話依存症と先延ばし癖との有意な正の相関が認められた(r=0.376、95%信頼区間:0.345~0.406)。・教育レベル、性別、文化、携帯電話依存症の測定ツールは、携帯電話依存症と先延ばし癖との関係を有意に緩和した。・この関係は、出版年や先延ばし癖の測定ツールでは緩和されなかった。 著者らは「携帯電話依存症は、学生の先延ばし癖と正の相関がある」とし、「学生では携帯電話依存症の発生率が高く、先延ばし癖の潜在的なリスク因子であることを考慮すると、学生の先延ばし癖を予防するために、携帯電話依存症の特定および介入に注意を払う必要がある」としている。

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重症好酸球性喘息、ベンラリズマブでコントロール良好ならICSは削減可/Lancet

 ベンラリズマブでコントロール良好な重症好酸球性喘息患者では、毎日投与の吸入コルチコステロイド(ICS)を大幅に削減可能であることが、英国・キングス・カレッジ・ロンドンのDavid J. Jackson氏らによる、第IV相の多施設共同無作為化非盲検実薬対照試験「SHAMAL試験」の結果で示された。重症好酸球性喘息では、高用量のICSへの反応が不十分にもかかわらず、ICSの段階的強化がルーティンに行われている。生物学的製剤への反応が良好な患者では、ICSの用量低減が推奨されているが、これまで安全性を裏付けるエビデンスがほとんどなかった。Lancet誌オンライン版2023年12月7日号掲載の報告。ICS/ホルモテロールの漸減vs.維持を評価 SHAMAL試験は4ヵ国22施設で行われ、適格患者は、重症好酸球性喘息で5項目喘息コントロール質問票(ACQ-5)のスコアが1.5未満、スクリーニング前にベンラリズマブの投与を3回以上受けていた18歳以上の患者であった。 研究グループは患者を、低減群と参照群に3対1の割合で無作為化した。低減群は、ベンラリズマブ30mgを8週に1回+ICS/ホルモテロールのMART療法について、中用量の維持投与([ICS 200μg+ホルモテロール6μgの2噴霧を1日2回]+頓用[ICS 200μg+ホルモテロール6μg])で開始したものを、低用量の維持投与(ICS/ホルモテロールの1噴霧を1日2回+頓用)、さらに発作時のみICS/ホルモテロール投与の頓用へと漸減した。参照群は、ベンラリズマブ30mgを8週に1回+高用量ICS/ホルモテロール(1噴霧でブデソニド400μg+ホルモテロール12μg)2噴霧1日2回+サルブタモールの発作時頓用が維持投与された。漸減期間は32週間で、その後16週間を維持期間とした。 主要エンドポイントは、32週時点までにICS/ホルモテロール用量が低減した患者の割合であった。主要アウトカムは、低減群で評価し、安全性解析は、試験治療群に無作為化された全患者を対象に評価した。32週時点で漸減群の92%が低減を達成、61%が頓用のみに 2019年11月12日~2023年2月16日に、208例がスクリーニングを受けrun-in periodに登録。このうち168例(81%)が、低減群(125例[74%])と参照群(43例[26%])に無作為化された。 全体で、110例(92%)が、ICS/ホルモテロール用量を低減した。そのうち中用量への低減までが18例(15%)、低用量への低減が20例(17%)で、72例(61%)が頓用のみへ低減した。 患者113例(96%)において、48週まで低減は継続した。低減群の114例(91%)は、漸減期間中に増悪の報告はされなかった。 有害事象の発生頻度は両群で同程度であり、低減群91例(73%)、参照群35例(83%)であった。重篤な有害事象は17例報告され、低減群12例(10%)、参照群5例(12%)であった。死亡は報告されなかった。

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小児の消化管アレルギー患者の約半数は新生児期に発症/国立成育医療研究センター

 新生児、小児では消化管は発達途上であり、アレルギーを発症しやすいことが知られている。一方でわが国には、新生児、乳児の消化管アレルギーについて全国を対象にした疫学研究は行われていなかった。そこで、国立成育医療研究センター研究所 好酸球性消化管疾患研究室の鈴木 啓子氏らの研究グループは、日本で初めて2歳未満の新生児、乳児の消化管アレルギー(食物蛋白誘発胃腸症)に関する全国疫学調査を実施。その結果、新生児、乳児の消化管アレルギーの約半数は生後1ヵ月までの新生児期に発症していることが判明した。Allergology International誌オンライン版2023年10月30日号からの報告。消化管アレルギーの原因食物の1位は牛乳由来ミルク 鈴木氏らは、2015年4月~2016年3月に消化管アレルギーを発症した2歳未満の新生児、乳児の患者について、日本全国の病院および診療所に質問票を送付(アンケート回答率は病院67.6%、診療所47.4%)。医師が診断した2歳未満の消化管アレルギーの患者数、パウエルの診断基準への該当状況、初期症状に基づき4つのグループへの分類、発症日齢、合併症、原因食物について集計、解析した。 分析対象はパウエルの基準のステップ3までを満たした「本症の可能性が高い」患者群402例と、そのうち「経口食物負荷試験などで診断が確定した」患者群80例。 主な結果は以下のとおり。・新生児、乳児の消化管アレルギー患者の約半数は新生児期に発症している(発症の中央値が生後30日)ことが確認された。・グループ1(嘔吐あり、血便あり)の発症は出生後7日目(中央値)と、4つのグループの中で最も早いことが確認された。・グループ1(嘔吐あり、血便あり)とグループ3(嘔吐なし、血便なし、一方で慢性下痢や体重増加不良を起こす)は重症が多く(それぞれ約25%と約23%)、腸閉塞(それぞれ約16%と約11%)、深刻な体重減少(それぞれ約14%と約23%)などもみられ、とくに注意が必要と考えられた。・原因食物は牛乳由来ミルクが最も多くみられたが、母乳、治療用ミルク、大豆、鶏卵、米により発症した患者もいた。 本結果から、胎児期および新生児期における早期診断のシステム構築、病態の研究が重要と考えられる。

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第175回 研修医がGLP-1受容体作動薬を不正処方/東大病院

<先週の動き>1.研修医がGLP-1受容体作動薬を不正処方/東大病院2.5シーズンぶりのインフルエンザ警報、早期対策を/厚労省3.オンライン診療、メリットあるも要件の厳格化へ/厚労省4.処方箋なしで医薬品を販売する「零売薬局」、規制強化へ/厚労省5.レカネマブが保険適用、1年間で298万円/厚労省6.来年度診療報酬改定、医療従事者の賃上げに本体は0.88%引き上げ/政府1.研修医がGLP-1受容体作動薬を不正処方/東大病院東京大学医学部付属病院の臨床研修医2人が、病気ではないにも関わらず、互いに処方箋を発行し、GLP-1受容体作動薬を入手していたことが明らかになった。この報道に対して、病院側は「自己使用目的であって転売目的ではなく、常習性もなかった」と判断し、病院長から厳正な指導を行ったことを明らかにした。GLP-1受容体作動薬は、インターネット上で「やせ薬」として紹介されており、自由診療目的で処方を行う医療機関が急増している。一方、日本糖尿病学会は、11月28日に「2型糖尿病治療薬であるGLP-1受容体作動薬及びGIP/GLP-1受容体作動薬の適応外使用に関する見解」を発表しており、本来は糖尿病治療薬であるのに、美容、痩身、ダイエット目的での自由診療による処方が一部のクリニックで行われており、需要増加による供給不足が生じている。糖尿病治療薬の適切使用は重要であり、医療専門家による不適切な薬剤使用は、専門医の信頼を損なう行為であり、日本糖尿病学会はこれを厳しく警告している。参考1)GLP-1受容体作動薬およびGIP/GLP-1受容体作動薬の適応外使用に関する日本糖尿病学会の見解(日糖会)2)研修医、病気装い糖尿病薬入手=供給不足の「やせ薬」-東大病院(時事通信)3)東大病院の研修医2人、病気装って糖尿病薬を入手 「やせ薬」と話題(朝日新聞)2.5シーズンぶりのインフルエンザ警報、早期対策を/厚労省厚生労働省は、2023年12月15日に全国約5,000の定点医療機関から報告されたインフルエンザの感染者数が1医療機関当たり33.72人となり、警報レベル(30人超)に達したことを発表した。警報は2019年1月以来、5シーズンぶりの事態で、とくに北海道では60.97人と最多。全国で33道県が警報レベルを超え、1週間で6,382ヵ所の保育所や学校が休校や学級閉鎖に追い込まれた。慶應義塾大学の菅谷 憲夫客員教授は、「新型コロナウイルス感染症の流行中にインフルエンザの流行が抑えられたことで、とくに子どもを中心に免疫が落ちている」と指摘。基本的な感染対策の継続と、症状があれば早期受診を呼びかけている。また、菅谷教授は、2つのタイプのA型インフルエンザウイルスが同時に流行していることや、約3年間に大規模な流行がなかったことを、早期警報の要因として挙げている。高齢者や妊婦、基礎疾患を持つ人は、とくに注意が必要であり、発熱などの異常を感じたら早期受診が推奨されている。冬休みに小児のピークが過ぎる可能性があるが、年末年始の休暇シーズンで全国的な感染拡大の恐れもあるため、手洗い、うがい、マスク着用などの基本的な感染対策の徹底が求められている。参考1)インフルエンザ、全国で「警報レベル」…コロナ禍の感染対策で識者「免疫落ちている」(読売新聞)2)インフルエンザ、今季初の警報レベル 1医療機関33.72人 厚労省(毎日新聞)3.オンライン診療、メリットあるも要件の厳格化へ/厚労省厚生労働省は、12月15日に中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開き、オンラインで患者を診療した際に医療機関が算定する初・再診料の要件を2024年度の診療報酬改定で厳格化する案を了承した。新たな要件には、「初診では向精神薬を処方しないこと」を医療機関のホームページに掲示することが含まれている。さらに、遠方の患者を多く診療する医療機関に対しては、対面診療の連携先を報告させることも検討されている。厚労省は、新型コロナウイルス禍を経て、オンライン診療は重要であるとして、保険診療だけでなく自由診療も対象にガイドラインを策定し、規制緩和を行なってきたが、初診時に向精神薬の処方を行ったり、メールやチャットだけで診察や薬の処方を行うなど、ガイドラインで認めていない方法で診療を行っている医療機関が問題視されてきた。今後、厚労省では、オンライン診療を行っている医療機関がガイドラインを遵守しているか実態調査を行うため、スケジュールや調査方法などを検討するほか、患者がオンライン診療を適切に行っている医療機関を選択できるよう、情報発信の強化に乗り出すことにした。一方、慶應義塾大学などの研究グループは、うつ病や不安症などの精神科診療において、オンライン診療が対面診療と同等の治療効果があることを発表した。この研究結果は、オンライン診療の普及に向けた政策的議論に貢献するもので、さらに、オンライン診療は、通院に要する時間の短縮や費用の削減といった副次的効果もあり、今後もデジタルトランスフォームを通して医療現場に浸透していくとみられる。参考1)オンラインの初・再診料要件、厳格化案を了承「向精神薬初診で処方せず」の掲示必須に(CB news)2)オンライン診療 不適切な医療機関の実態調査へ 厚労省(NHK)3)オンライン診療、対面と遜色なし 普及に弾み(日経新聞)4.処方箋なしで医薬品を販売する「零売薬局」、規制強化へ/厚労省厚生労働省は、処方箋なしで医療用医薬品を販売する「零売薬局」に対する規制を強化する方針を固めた。不適切な販売方法や広告が増加していることに対応するために打ち出されたもの。2022年時点で60店舗以上の零売薬局が存在し、例外的に処方箋なしで医療用医薬品を販売できるが、これまで大規模災害時など「正当な理由」がある場合に限られていた。しかし、一部の薬局が通知を逸脱し、やむを得ない状況ではないにも関わらず日常的に医療用医薬品を販売する薬局が増加していることや、不適切な広告などが確認されており、重大な疾患や副作用が見過ごされるリスクが高まっていた。厚労省は、処方箋に基づく販売を原則とし、やむを得ない場合に限って認めることを法令で明記する方針。また、医療用医薬品の販売を強調する広告も禁止する方向で調整している。厚労省は12月18日に開かれる医薬品の販売制度に関する検討会で取りまとめを行い、医薬品医療機器制度部会に報告した後、厚生労働省から正式に通知が発出される見込み。参考1)医薬品の販売制度に関する検討会(厚労省)2)「零売薬局」の販売規制へ 処方箋なしで医療用医薬品-認める条件明確化・厚労省(時事通信)3)特例のはずが…処方箋なし薬「零売」横行 副作用や疾患見逃す恐れ(毎日新聞)5.レカネマブが保険適用、1年間で298万円/厚労省厚生労働省は、アルツハイマー病の新薬「レカネマブ(商品名:レケンビ)」を公的医療保険の適用対象とし、体重50kgの患者の1回当たりの価格を約11万4千円、年間約298万円と設定した。この薬は、アルツハイマー病の原因物質「アミロイドβ(Aβ)」を取り除くことを目的とした初の治療薬で、軽度認知障害や軽度の認知症の人が対象。投与は2週に1度の点滴で行われる。レカネマブの投与は、副作用のリスクを考慮し、限られた医療機関でのみ行われる予定で、副作用には脳内の微小出血やむくみが含まれ、安全性を重視するため、認知症専門医が複数いる施設でMRIやPETを備えていることなどの条件に合致する限られた医療機関で処方される。臨床治験では、レカネマブを1年半投与したグループは、偽薬を投与したグループより病気の悪化を27%抑える結果が得られた。レカネマブの市場規模は、ピーク時に年間986億円に上ると予測されており、医療保険財政への影響が懸念されている。また、薬価の決定に際しては、社会的価値の反映が議論されたが、最終的には製造費や薬の新規性を考慮した通常の算定方法で算出された。専門家や関係者からは、新薬の保険適用により治療が前進することへの期待とともに、検査費用や治療に関する不安の意見も上がっている。また、効果が見込める患者の適切な選別や、新しい治療薬に対応できる認知症医療システムの構築が今後の課題とされている。参考1)新医薬品の薬価収載について(厚労省)2)認知症薬エーザイ「レカネマブ」 年298万円 中医協、保険適用を承認(日経新聞)3)見えぬ全体像、処方可能な医療機関は限定的 アルツハイマー病新薬(毎日新聞)4)アルツハイマー病新薬 年間約298万円で保険適用対象に 中医協(NHK)6.来年度診療報酬改定、医療従事者の賃上げに本体は0.88%引き上げ/政府政府は来年度の診療報酬改定において、医療従事者の人件費に相当する「本体」部分を0.88%引き上げる方針を固めた。今回の診療報酬の改定をめぐっては、各医療団体から物価高騰や医療従事者の賃上げに対応する意見が上がっていた。一方、薬の公定価格である「薬価」は約1%引き下げとなり、全体としてはマイナス改定となる見通し。岸田 文雄首相は、財務省と厚生労働省の間での議論を経て、賃上げ方針を医療従事者にも波及させるために、最終的に引き上げを決定した。診療報酬改定は原則2年に1度行われ、今回の改定は前回2022年度の0.43%引き上げを上回る水準となる。今回の改定により、医療従事者の処遇改善が期待される一方で、国民の保険料負担の増加が懸念される。また、診療所の利益剰余金の増加や医療費の抑制が課題となっており、国民負担の抑制が今後の大きな課題になっている。参考1)「本体」0.88%引き上げ=賃上げ対応、全体ではマイナス-24年度診療報酬改定(時事通信)2)診療報酬「本体」0.88%上げ、政府方針…「薬価」は1%引き下げで調整し全体ではマイナス改定(読売新聞)3)診療報酬改定 人件費など「本体」0.88%引き上げで調整 政府(NHK)

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