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第227回 東京女子医大 第三者委員会報告書を読む(後編)「“マイクロマネジメント”」と評された岩本氏が招いた「どん底のどん底」より深い“底”

「医科大学と大学病院を擁する本法人の理事長としての適格性が備わっていたのかという点について、疑問」こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。先日、大学時代の山仲間と北アルプスの常念岳と蝶ヶ岳をテントを背負って縦走してきました。初日、三股から登り始めて約30分、樹林帯の中で先頭を歩いていた仲間が突然「何かいる!」と叫びました。と次の瞬間、正面の藪の中からツキノワグマが飛び出して来ました。クマもびっくりしたのかその目はとても焦った表情で、猛スピードで我々4人の間を駆け抜け、沢筋に消えました。私は2番目を歩いていたのですが、3番目だった仲間のウォーキングポールにぶつかるほどの近さでした。これまで幾度か山でクマに遭遇していますが、1メートル以内は最短記録です。最近、登山用品店では「クマ避けスプレー」なるものが売られていますが、「あれじゃ、スプレーを取り出している暇はないね」「今回は大人のクマでなくてよかった(子グマより少し大きい青年グマでした)」などと皆で今後のクマ対策を話しました。それにしてもクマが引き返してこなくて良かったです。さて、今回も引き続き、ワンマン理事長、岩本 絹子氏が招いた東京女子医大の数々の問題について、8月2日に第三者委員会が公表した調査報告書の内容を紹介したいと思います。前回(「東京女子医大 第三者委員会報告書を読む(前編)「金銭に対する強い執着心」のあるワンマン理事長、「いずれ辞任するが、今ではない」と最後に抗うも解任」)は、同窓会組織・至誠会と学校法人の不適切な資金支出や、寄付金を重視する推薦入試や人事のあり方などに対して調査報告書が下した結論について書きました。今回は、岩本氏について「そもそも医科大学と大学病院を擁する本法人の理事長としての適格性が備わっていたのかという点について、疑問と言わざるを得ない」と書いた調査報告書が、その経営手法を具体的にどう評価したのかを見てみます。「高度医療施設を備えて患者や地域医療に貢献しようとすることに対する理解も関心も薄かった」247ページにも及ぶ第三者委員会の「調査報告書(公表版)」1)の最終章、「第10章 原因分析」の「第3 岩本理事長の経営手法にみられる問題点」では、具体的に「1. 教育・研究と病院・臨床に対する理解・関心の薄さ」、「2. 金銭や儲けに対する強い執着心」、「3. 異論を敵視し排除する姿勢と行動」、「4. 人的資本を破壊し組織の持続可能性を危機に晒す財務施策」の4つの観点から、岩本氏の経営の問題点を分析しています。「1. 教育・研究と病院・臨床に対する理解・関心の薄さ」の項では、岩本氏は東京女子医大卒業後、長年にわたり産婦人科医院を経営してきた開業医であり、医科大学で教育・研究に携わった経験も、大学病院という高度医療機関において臨床に携わった経験も乏しいと指摘、「本大学における教育・研究に対する理解も関心も薄かった。(中略)本病院がPICU(小児集中治療室)など高度医療施設を備えて患者や地域医療に貢献しようとすることに対する理解も関心も薄かった」としています。そうした姿勢が顕著に現れたケースとして、報告書は東京女子医大再生を目的に開設したPICUを運用停止した事案を挙げ、「岩本氏の重大な経営判断の誤り」と結論付けています。さらに、運用停止後に小児集中治療医の大量退職を招いたにもかかわらず、何ら有効な手段を取らなかったことについて「二重の判断の誤り」であったとしています。「岩本氏にとっては、 目先において儲かるか否かが最優先事項」「2. 金銭や儲けに対する強い執着心」の項では、前回紹介した、岩本氏の金銭にまつわるさまざまな所業について、「副理事長となって経営統括理事となったその瞬間から、資金の不正支出・利益相反行為の疑義を生ぜしめる行為に手を染めていたことになる。岩本氏は、これを皮切りに、資金の不正支出・利益相反行為の疑義を生ぜしめる一連の行為を繰り返した。そこには、金銭に対する強い執着心と、本法人に対する忠実性の欠如を見て取ることができる」としています。また、PICU閉鎖については、「岩本氏にとっては、目先において儲かるか否かが最優先事項であり、PICU設置を確実に実現することや、医療安全確立による本病院の評価向上、中長期的な業績向上、医療現場の士気向上を図ることなどは劣位に置かれた」とし、「教職員の人件費を低く据え置いたまま自身の報酬を増額させるということも、通常の感覚を持った経営者であれば決してできない行動」と批判しています。「自身の考えとは異なる意見を述べる者に対しては、自身の権力基盤を骨かす存在として敵視し、組織から排除」岩本氏の異常さは、経営姿勢や金銭感覚だけに留まりません。「3. 異論を敵視し排除する姿勢と行動」の項では、その経営手法について、「足元の経営統括部に権限を一極集中させ、全てのことを自身の経験と実績に引き寄せて判断しようとする“マイクロマネジメント”に陥っていた」と指摘、「自身の考えとは異なる意見を述べる者に対しては、自身の権力基盤を骨かす存在として敵視し、組織から排除することを繰り返し行った。それまでどんなに気心が知れている間柄であっても、一度異論を述べた者を突如として敵視し、報復と疑われる不適切な人事措置を講じてまで、組織から排除した」と書いています。その結果、「理事・監事らは、本来なら岩本氏の業務執行を監督・監査する職責を負っていることは自覚しつつも、岩本氏に異論を唱えれば自身が敵視され排除されるという現実に直面し、声を上げることを差し控えてきた。かくして理事会の構成員は『岩本一強』体制に取り込まれ、理事会と監事のガバナンス機能は封殺された」として、「本法人が現在の窮状に陥っていることの大きな要因が、岩本氏の異論を敵視し排除する姿勢と行動にあることは明らかである」と断じています。「岩本氏が進めた財務施策とは、立場の弱い現場の教職員を犠牲にするものであった」「4. 人的資本を破壊し組織の持続可能性を危機に晒す財務施策」の項では、経営指標の面から岩本氏の経営を評しています。岩本氏は、2019年の大学再生計画外部評価委員会総括書において「これまで47%程度であった人件費率を、2017年度には42%台まで低下させている。さらに、諸施策の実行に伴って、2014年度からの赤字を3年で解消し、2017年度は黒字に転換させるなど、明確な実績を上げた」と評価されていた、としつつも「2020年度以降、収支はコロナ関連補助金を除けば一貫して赤字であり、赤字幅が年々拡大している。病床利用率、入院患者数・外来患者数と医療収入は下落の一途を辿っている。もはや岩本氏を財務改善の功労者と持ち上げることはできない」としています。そして、「岩本氏が進めた財務施策とは、要は現場の人員や人件費を削減するものであり、見方によっては、立場の弱い現場の教職員を犠牲にするものであった」と批判、「岩本氏の財務施策は、短期的な財務改善と引き換えに、人的資本を破壊するもの、中長期的な組織の持続可能性を危機に晒すものであったと断ぜざるを得ない」と厳しい評価を下しています。2014年に起きたプロポフォール事件がターニングポイント読むだけでも恐ろしくなって来る話です。よくそんな組織の下で高度医療が提供できていたなと感じます。実際のところ、東京女子医大の経営状況や岩本氏の横暴が東洋経済オンラインや文春オンラインなどで報道されはじめた2020年以降、岩本体制を批判する勢力との対立も激しくなり、「本法人のレピュテーションは著しく毀損され、教職員の満足度の更なる低下と大量退職を招き、また教職員の募集採用活動にも当然ながら悪影響を及ぼしている」とのことです。患者数が激減するのもむべなるかなです。それにしても、最大の謎は「医科大学で教育・研究に携わったが経験も、大学病院という高度医療機関において臨床に携わった経験も乏しく」、「目先において儲かるか否かが最優先事項」で「“マイクロマネジメント”」しかできず、「自身の考えとは異なる意見を述べる者を敵視して組織から排除する」ような人物が、なぜ医科大学の理事長になれたのか、という点です。岩本氏は1973年に東京女子医大を卒業した産婦人科医で、同大の創業者の一族でもあります。同大勤務や葛西中央病院産婦人科部長を経て、1981年に葛西産婦人科院長に就任。2013年6月~23年4月には至誠会の会長を務め、この間、2014年に同大の副理事長、2019年に理事長に就任しています。同大の副理事長に就任した2014年がターニングポイントと言えそうです。その2014年の2月、東京女子医大病院で鎮静剤プロポフォールの投与を受けた男児(当時2歳)が死亡するという事故、いわゆるプロポフォール事件が起こっています(「第30回 東京女子医大麻酔科医6人書類送検、特定機能病院の再承認にも影響か」参照)。このプロポフォール事件と関連して起きた学内のドタバタが、岩本氏の理事長就任の大きなきっかけとなったようです。岩本氏が招いた「どん底のどん底」より深い“底”調査報告書の「第3章 2014年プロポフォール事件以降の本法人の経営状況」では、同事件が起こる前から経営陣と一部の役員・教員の間で対立があったことや、文部科学省から管理運営の適正化のための施策の提出を求められたこと、同事件によって特定機能病院の承認取り消しとなり、経営に大きなダメージを与えたことなどについて詳述しています。文科省は、プロポフォール事件で表沙汰となった東京女子医大の医療安全体制やガバナンス不全について問題視し、学校法人としての管理運営の適正化に資する諸施策を策定して報告するよう求めました。最終的に同大は2014年11月に「大学再生計画」を文科省に提出するのですが、そこに至るまでの間、「事故の原因分析まで踏み込む必要がある」と文科省から指摘を受け、一度受領を拒絶されています。調査報告書は、拒絶された時「文科省からは本法人が『どん底のどん底』にあることをよく認識するようにと厳しい指摘を受けた」と書いています。この大学再生計画提出後、同計画の遂行に大きな貢献があったことなどを理由に、岩本氏は2019年3月、副理事長から理事長になっています。この時、「どん底のどん底」より深い“底”がその先に待っていようとは、誰も想像しなかったに違いありません。今回の調査報告書や、警視庁の家宅捜索などによって東京女子医大の特定機能病院再承認はまたまた遠のいたと考えられます。加えて、年間20億円近くあった私学助成金(私立大学等経常費補助金)も大幅に減額されるに違いありません。一つの医療事故、一つの理事長人事をきっかけに、大学といえどもその組織は簡単に崩壊に向かうのだということを、今回の東京女子医大のケースは教えてくれます。参考1)第三者委員会による調査報告書の公表について/東京女子医科大学

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英語で「オブラートに包む」は?【1分★医療英語】第145回

第145回 英語で「オブラートに包む」は?《例文1》I did not sugarcoat anything when I obtained informed consent.(インフォームドコンセントを得た際には、まったくオブラートに包まず話しました)《例文2》I will be always honest with you.(私は、常にあなたに対して正直に接します)《解説》医療現場では、患者に対してがん診断などの重大な告知をすることがあります。その状況でよく使われる日本語の表現に「オブラートに包んで話す」があります。この表現を英語に訳すのは難しいと思われるかもしれませんが、実は適切な類似語があり、感覚的にはほぼ直訳することが可能です。“sugarcoat”という英語表現は、「砂糖で物質の表面をコーティングする」ことを意味し、苦い薬を飲みやすくするために使用される動詞です。そのため、“sugarcoat”は「受け入れ難い内容を、直接的でない言い方で伝える」という意味もあります。一方、オブラートはゼラチン質の薄い膜で、苦い薬を包んで飲みやすくするために使われることから、日本語の「オブラートに包む」という表現の由来となっています。単語自体は異なりますが、その由来は驚くほど類似しています。ほかの類似表現としては、“be honest with someone”があります。直訳すると、「相手に対して正直である」という意味です。講師紹介

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早老症の寿命延長に寄与する治療薬ロナファルニブ発売/アンジェス

 アンジェスは、小児早老症であるハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群(HGPS)とプロセシング不全性プロジェロイド・ラミノパチー(PDPL)の治療薬であるロナファルニブ(商品名:ゾキンヴィ)の発売に伴い、都内でプレスセミナーを開催した。 HGPSとPDPLは、致死性の遺伝的早老症の希少疾病であり、若い時点から死亡率が加速度的に上昇する疾患。これらの疾患では、深刻な成長障害、強皮症に似た皮膚症状などを来す。 ロナファルニブは、2023年3月に厚生労働省により希少疾病医薬品に指定され、2024年1月に国内製造販売承認を取得、同年4月に薬価基準に収載され、同年5月27日に発売された。 プレスセミナーでは、これら疾患と治療薬の概要が講演されたほか、ムコ多糖症や脊髄性筋萎縮症などを対象に衛生検査事業を同社が開始することが発表された。全世界で200例程度の患者・患児が存在 はじめに井原 健二氏(大分大学医学部医学科長 小児科学講座 教授)が、「HGPS/PDPL:病態・疫学・歴史と未来」をテーマに、主に疾患の概要について説明を行った。 ヒトは、小児期の発育(成長・発達・成熟)と成人期の老化(衰退・退行・退縮)の各要素により一生を終える。HGPS/PDPLなどの早老症は、老化の3要素が小児期から起こる疾患であり、発症年齢から先天性、乳児型、若年/成人型に分類される。 主な徴候としては、白髪・脱毛、難聴、白内障、強皮症様の皮膚症状、脂肪異栄養症、2型糖尿病、骨粗鬆症、動脈硬化および脳血管疾患などがある。また、100以上の症候群が報告され、乳児で発症すれば乳児早老症(コケイン症候群)、成人で発症すれば成人早老症(ウェルナー症候群)と発症年代の違いにより病名も変わってくる。 中でもHGPSは、出生児400万人に1人の発症とされ、患児は全世界に140例程度と推定されている。発症要因はLMNA遺伝子の病的変異が9割で、生後1年以内に発育不全、生後1~3年で特徴的な顔貌(下顎形成不全など)と早老徴候がみられ、平均余命は14.5歳。HGPSの老化には、Lamin A遺伝子の異常スプライシングによる翻訳時の欠失が知られ、異常ラミンが細胞核の物理的損傷や染色体クロマチン構造の異常を引き起こし、これらが病的変化の原因になることが判明している。また、核ラミナの変異が原因の遺伝性疾患であるラミノパチーはイコールで早老症ではなく、筋ジストロフィーや拡張型心筋症などもあり、これらの1つに早老症があるとされる。その代表疾患がHGPSであり、PDPLであるという。PDPL患者は、全世界で50例程度と推定され、生命予後は少し長く成人期まで生きることができる。 HGPSとPDPLの診断では、診察・問診後に遺伝子検査が必須となり、その結果遺伝子変異などの態様により分類される。 臨床症状としては、HGPSを例にとると「低身長(<3パーセンタイルなど)」、「不均衡な大頭などの顔の特徴」、「乳歯の萌出・脱落遅延などの歯科所見」、「さまざまな色素沈着などの皮膚所見」、「全禿頭や眉毛の喪失などの毛髪所見」、「末節の骨溶解などの骨格筋所見」、「細く甲高い声」などの症状がみられる。これらを大症状、小症状、遺伝学的検査の3つの組み合わせで確定または推定と診断される。医療者でも小児早老症の認知度は75%程度 HGPSとPDPLの疾患啓発については、「GeneReviews日本語版」や「プロジェリアハンドブック(日本語版)」などで医療者へ行っており、今後も医療者向けに2025年の診断基準の改訂情報や検査の高度化(血漿プロジェリン測定)を発信していくという。 また、啓発活動の一環として、「小児遺伝子疾患の診療経験・学習機会について」を医師51人に調査したアンケート結果を報告した。・「医学生時代に小児遺伝子疾患について学んだか」について聞いたところ、「はい」が53%、「いいえ/覚えていない」が47%だった。・「小児遺伝子疾患である早老症を知っているか」について聞いたところ、「はい」が75%、「いいえ」が25%だった。・「早老症のうちHGPS/PDPLなどの疾患群を知っているか」を聞いたところ、「はい」が27%、「いいえ」が73%だった。・「小児遺伝子疾患の診療で困ったこと」(複数回答)では、「治療に困った」が19人、「診断に困った」が18人と回答した医師が多かった。 まだ、医療者の中でも広く知られていないHGPSとPDPLの疾患啓発は、今後も続けられる。寿命の延伸に期待されるロナフェルニブ 「HGPSの治療の実際、および治療薬の登場により何が変わるのか?」をテーマに松尾 宗明氏(佐賀大学医学部小児科学 教授)が、HGPSの治療の概要やロナファルニブ登場の意義などを説明した。 はじめに自験例としてHGPSの患児について、生後3ヵ月で皮膚の硬化を主訴に診療を受けた症例を紹介した。その後、患児はHGPSが疑われ、生後5ヵ月でアメリカでの遺伝子検査により確定診断された。以降は、対症療法が行なわれ、10歳にときに無償提供プログラムでロナファルニブ単剤が投与され、現在も存命という。 ロナファルニブの作用機序は、核膜の構造・機能を損なうファルネシル化された変異タンパク質(核の不安定化と早期老化を惹起)の蓄積を阻害することで死亡率を低下させ、生存期間を延長する。 臨床試験では、HGPSおよびPDPLを対象としたロナファルニブの観察コホート生存試験が行われ、ロナファルニブ投与被験者は未治療対照と比較して、平均生存期間が4.327年延長した(平均9.647年vs.5.320年、名目上のp<0.0001、層別log-rank検定)。また、死亡率はロナファルニブ投与群で38.7%(24/62例)、未治療対照群で59.7%(37/62例)で、ハザード比は0.28(95%信頼区間:0.154~0.521)だった。HGPSおよびPDPLでの死亡原因は、動脈硬化の進行が一番多く、治療薬の効果として血管の硬化を抑えている可能性が示唆された。 用法・用量は、通常、ロナファルニブとして開始用量115mg/m2(体表面積)を1日2回、朝夕の食事中または食直後に経口投与し、4ヵ月後に維持用量150mg/m2(体表面積)を1日2回、朝夕の食事中または食直後に経口投与する(なお、患者の状態に応じて適宜減量する)。 主な副作用では、嘔気・嘔吐、下痢などの消化器症状が多く、とくに最初の4ヵ月に多いが、次第に慣れていくという。また、肝機能障害も初期に出現しやすく、QT延長もみられる場合もある。そのほか、潜在的なリスクとして、骨髄抑制、腎機能障害、眼障害、電解質異常も散見されるので注意しつつ処方する必要がある。 松尾氏はロナファルニブの登場により、「心血管系の合併症(脳血管障害を含む)の発症抑制」、「患者QOLの向上」、「延命効果」、「国内の患者さんへの適切な診断・治療の提供」などが変化すると期待をみせた。その一方で、「外観、体格など骨格系の問題、関節拘縮などに対する効果は乏しいこと」、「心血管系に対する効果もまだ限定的であること」、「心血管系の合併症(脳血管障害を含む)の管理」、「延命に伴う新たな問題(老化進行による予期せぬ合併症)」などが今後解決すべき課題と語り、講演を終えた。

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第207回 マイコプラズマ肺炎が全国で急増、8年ぶりの大流行/感染研

<先週の動き>1.マイコプラズマ肺炎が全国で急増、8年ぶりの大流行/感染研2.「かかりつけ医機能」報告を義務付け、医療情報システム「ナビイ」/厚労省3.美容・歯科で違反広告が急増、適正化へ行政指導強化/厚労省4.ゲノム情報による就職差別を防止へ、ゲノム収集禁止を周知/厚労省5.炎症を肺がんと誤診し不要な肺摘出術、大学病院を提訴/鹿児島大6.システム不具合のため大学病院で抗がん剤を過剰投与/阪大1.マイコプラズマ肺炎が全国で急増、8年ぶりの大流行/感染研今夏、マイコプラズマ肺炎が全国的に急増しており、過去8年間で最も大きな流行が確認されている。この感染症は、発熱や長引く咳といった風邪に似た症状が特徴で、とくに子供に多くみられるが、大人の感染例も報告されている。マイコプラズマ肺炎は、潜伏期間が2~3週間と長く、症状が現れても風邪と誤認されがちであるため「歩く肺炎」とも呼ばれている。国立感染症研究所によると、8月11日までの1週間で全国の医療機関での報告数は1医療機関当たり1.14人に達し、昨年同期比で57倍の増加をみせている。専門家は、この感染急拡大の背景として、新型コロナウイルス感染症対策の緩和とともに、人々の行動が活発化し、他人との接触機会が増加したことが一因であると指摘する。また、徹底したコロナ対策により地域全体の免疫が低下し、マイコプラズマ肺炎が流行しやすくなったとも考えられている。診療現場では、抗菌薬による治療が行われているが、最近では耐性菌の増加が問題となっており、従来の抗菌薬が効かないケースも増えている。さらに、抗菌薬の供給不足が続いており、薬局間での融通が必要な状況も報告されている。帝京大学大学院教授で小児科医の高橋 謙造氏は、抗菌薬の不適切な使用を避け、本当に必要な患者に処方が行き渡るよう、医療関係者に対して注意を呼びかけている。今後、学校や職場などの集団生活の場での感染拡大が懸念されるため、基本的な感染対策であるマスク着用や手洗いの徹底が重要とされる。とくに、熱や咳の症状が続く場合は、早めに医療機関を受診し、適切な処置を受けることが推奨される。参考1)IDWR速報データ 2024年(国立感染症研究所)2)マイコプラズマ肺炎 8年ぶり大流行 感染気付かず広がるリスク(NHK)3)マイコプラズマ肺炎が過去10年で最多ペース、昨年同期の57倍 コロナ明けで感染拡大か(産経新聞)4)マイコプラズマ肺炎が猛威 長引くせき、高齢者もリスク(日経新聞)2.「かかりつけ医機能」報告を義務付け、医療情報システム「ナビイ」/厚労省8月22日に厚生労働省は、医療機能情報提供制度・医療広告等に関する分科会を開催し、「医療機能情報提供制度」をもとに、2024年4月にスタートした全国統一の医療情報ネット「ナビイ」のリニューアルするため、新たな報告項目の追加や既存項目の修正を承認した。今回の修正案を基に障害者向けサービス情報やかかりつけ医機能の情報をさらに充実させる予定。患者が受診先を適切に選択できるように支援する医療情報ネット「ナビイ」の現行のシステムについて、障害者向けサービスの情報提供が不十分であるとして、医療機関の駐車場の台数、電話・メールによる診療予約の可否、家族や介助者の入院中の対応状況など、障害者が医療機関を選ぶ際に重要となる情報が報告を求めるほか、既存の項目について、たとえば「車椅子利用者へのサービス内容」が「車椅子・杖等利用者に対するサービス内容」に、「多機能トイレの設置」が「バリアフリートイレの設置」に見直される。また、障害者団体との意見交換を通じて、医療機関がより使いやすい形で情報を提供できるように報告システムの改修が行われる予定。さらに、「かかりつけ医機能」についても報告が義務付けられ、一般国民や患者が必要な医療機関を適切に選択できるよう支援が強化される。この報告制度の見直しは、2025年4月に施行され、2026年1月から報告が始まる予定で、同年4月からは「ナビイ」での公表が行われる。ただ、医療機能情報提供制度への報告率には、地域ごとに大きなばらつきがあり、全国平均では73.5%に止まっている。秋田県や徳島県などでは報告率が100%に達しているが、沖縄県や京都府では30%未満と著しく低い。このため、厚労省では各都道府県に報告の徹底を促すとともに、医療機関自身の適切な報告を求めている。今後、「ナビイ」は障害者やその家族、そしてすべての国民が必要な医療情報を簡単に取得できるプラットフォームとして進化を遂げる見通し。参考1)医療機能情報提供制度の報告項目の見直しについて(厚労省)2)医療機能情報提供制度について(同)3)「ナビイ」サイト(同)4)全国の医療機関等情報を掲載する「ナビイ」、かかりつけ医機能情報や障害患者サービス情報なども搭載-医療機能情報提供制度等分科会(Gem Med)5)医療機能情報提供、障害者関連の項目追加・修正へ「駐車場の台数」など26年1月報告から(CB news)3.美容・歯科で違反広告が急増、適正化へ行政指導強化/厚労省8月22日に厚生労働省は、医療機能情報提供制度・医療広告等に関する分科会を開催し、2023年度に1,098の医療広告サイトが医療広告規制に違反していることを確認し、これらのサイトに対して運営する医療機関に自主的な見直しを促す通知を行ったことを明らかにした。違反件数は6,328件に達し、1サイト当たり平均で約5.8件の違反が確認された。とくに、歯科と美容分野が違反の中心であり、全体の76.6%を占めるという結果だった。違反の内訳を詳細にみると、歯科関連では「審美」が最も多く、次いで「インプラント」が続き、美容関連では「美容注射」が最も多かった。違反の内容としては、広告が可能とされていない事項の広告が大半を占め、とくに美容分野では、リスクや副作用の記載が不十分な自由診療の広告が目立っていた。厚労省は、こうした長期にわたって改善がみられない違反に対する対応を強化するため、行政処分の標準的な期限を定めた手順書のひな型を関連の分科会に提示し、了承を得た。この手順書によると、違反の覚知から2~3ヵ月以内に行政指導を行い、改善がみられない場合は6ヵ月以内に広告の中止や是正命令を行う。さらに、1年以内に管理者変更や開設許可取り消しなどの行政処分を完了させることが望ましいとされている。このひな型は、医療広告の違反が長期にわたり改善されない事例を抑制し、早期の適正化を図ることを目的としている。また、各自治体がこのひな型を参考にしながら、標準的な対応を進めることが期待される。しかし、自治体からは他県との対応差に対する懸念も出されており、対応には慎重な姿勢も求められている。厚労省は、これらの取り組みを通じて、違反広告の早期是正と適正な医療情報の提供を目指すとともに、医療機関に対して適切な広告活動を行うよう指導を続けていく方針。参考1)医療広告違反、行政処分は覚知から1年以内に 自治体に目安提示へ 厚労省(CB news)2)医療広告違反、1,098サイトで計6,328件 23年度に、厚労省が報告(同)4.ゲノム情報による就職差別を防止へ、ゲノム収集禁止を周知/厚労厚生労働省は、個人のゲノム情報を基にした就職差別を防止するため、「労働分野でのゲノム情報の取り扱いに関するQ&A」を公表した。このQ&Aは、企業や労働者がゲノム情報をどのように扱うべきかを明確にし、不当な差別が生じないようにすることを目的としている。具体的には、職業安定法や労働安全衛生法に基づき、ゲノム情報は「社会的差別の原因となるおそれのある事項」に該当し、その収集は禁じられているとされている。これは、業務遂行に必要であっても例外ではなく、ゲノム情報の収集が禁止されていることを明確にしている。また、労働者が採用後にゲノム情報の提出を求められても、個人情報保護法に基づき応じる必要はなく、そのために不当な評価や処遇を受けることは「不適切」と指摘されている。さらに、労働者がゲノム情報を提出し、それによって解雇や不利益な人事評価を受けた場合、それは職権濫用に該当し、無効とされる。こうした対応は、2023年に施行されたゲノム医療推進法に基づき、ゲノム情報の活用拡大とともに不当な差別が懸念されることから行われたものである。厚労省は、ゲノム情報が労働者に不利益をもたらすことがないよう、既存の法令に基づいて、その収集を禁止していることを強調しており、労働者が不当な扱いを受けた場合には、労働基準監督署などで相談を受け付けている。参考1)「良質かつ適切なゲノム医療を国民が安心して受けられるようにするための施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律」(ゲノム医療推進法)2)ゲノム情報による不当な差別等への対応の確保(労働分野における対応)(厚労省)3)ゲノム情報による就職差別防止へ、Q&Aを公表 収集の禁止を周知 厚労省(CB news)4)遺伝情報に基づく雇用差別禁止、厚労省が法令Q&A解説(日経新聞)5)遺伝情報に基づく雇用差別禁止 厚労省が労働法令をQ&Aで解説、労働者は提出の必要なし(産経新聞)5.炎症を肺がんと誤診し不要な肺摘出術、大学病院を提訴/鹿児島大鹿児島市の72歳の女性が、鹿児島大学病院を相手取り、約1,000万円の損害賠償を求めて鹿児島地方裁判所に提訴した。女性は2017年2月に同病院で定期検診を受けた際、肺がんと誤診され、「早期に手術しなければ危険」と外科手術を促され、右肺の上部を全摘出する手術を受けた。しかし、約4ヵ月後、実際には肺がんではなく、単なる炎症であり、手術は不要であったことが病院から告げられた。女性は手術後、息苦しさや体調不良に悩まされており、日常生活に支障を来していると訴えている。また、病院が手術前後に十分な説明を行わず、診断上の注意義務に違反したと主張している。同院は、訴状の内容を詳細に検討し、適正に対応するとしている。女性は「二度と同じような被害を生むことがないようにしたい」と述べ、病院の対応に改善を求めている。参考1)肺がんと診断され右肺上部を全摘…実は「単なる炎症。手術も不要だった」 誤診を訴え鹿児島大学病院を提訴 鹿児島市の女性(南日本新聞)2)「炎症を肺がんと誤診、右肺の大部分摘出」患者女性が鹿児島大を提訴…1,000万円賠償求める(読売新聞)6.システム不具合のため大学病院で抗がん剤を過剰投与/阪大大阪大学医学部附属病院は8月21日、がん治療中の60代男性患者2人に対し、「抗がん剤を過剰投与するミスが発生した」と発表した。原因は、投与量を計算するシステムの不具合によるもので、今年の1~2月にかけて通常の1.2~2倍の抗がん剤が誤って投与されたもの。このうち、男性の1人には通常の約2倍の抗がん剤が3日間連続で投与され、その後、高度な神経障害を発症した。この患者は6月に元々の血液がんの進行により死亡したが、過量投与による神経障害が死亡に影響を与えた可能性が指摘されている。一方、もう1人の患者には1.2倍の量が投与されたが、明らかな影響は確認されていない。この過剰投与の原因は、薬の投与量を計算するシステムにおいてmgからmLへの単位変換時に、小数点以下の四捨五入が正しく行われなかったことに起因する。このシステムは、大阪のメーカー・ユヤマが開発したもので、同社は同様のシステムを使用している他の35の病院についても確認を行ったが、同様の問題は確認されていない。同院では、今回の医療ミスについて、患者や家族に謝罪するとともに、再発防止に努めると表明。また、システムの開発企業も再発防止策として、新たなチェックプログラムの開発や品質管理体制の強化に取り組んでいる。なお、病院側は、このケースが医療事故調査制度の対象には該当しないとして、医療事故には認定されないと説明しているが、今回の事態は病院に対する信頼を揺るがす重大な問題として受け止められている。参考1)薬剤部門システムのプログラム不具合による注射抗がん薬の過量投与の発生について(大阪大学)2)阪大病院 抗がん剤を入院患者2人に過剰投与 システムに不具合(NHK)3)大阪大病院でがん患者2人に抗がん剤を過量投与、プログラムの不具合(朝日新聞)

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成人のうつ病や不安症と関連する幼少期の要因とは

 うつ病および不安症の発症率について、子宮内・周産期・幼児期の発達段階における5つの人生早期の因子(母乳育児、出産前後の母親の喫煙、出生体重、多児出産、養子縁組)との長期的な関連性を明らかにするため、中国・Medical College of Soochow UniversityのRuirui Wang氏らが40~69歳の成人を対象に調査を行った。Translational Psychiatry誌2024年7月20日号の報告。 UK Biobankのデータを用いて、2006~10年に40~69歳の50万2,394例を募集した。ベースライン時にタッチスクリーンアンケートまたは口頭でのインタビューを通じて、参加者より幼少期の情報を収集した。主要アウトカムは、うつ病および不安症の発症とした(ICD-10に従って定義)。各因子のハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・フォローアップ期間中央値13.6年の間に、うつ病の発症は1万6,502例(3.55%)、不安症の発症は1万5,507例(3.33%)であった。・潜在的な交絡因子で調整後、5つの人生早期の因子はうつ病リスクの有意な増加と関連していることが示唆された。【非母乳育児】HR:1.08、95%CI:1.04~1.13【出産前後の母親の喫煙】HR:1.19、95%CI:1.14~1.23【多胎児】HR:1.16、95%CI:1.05~1.27【低出生体重】HR:1.14、95%CI:1.07~1.22【養子】HR:1.42、95%CI:1.28~1.58・不安症リスクの増加も5つの人生早期の因子と関連が認められた。【非母乳育児】HR:1.09、95%CI:1.04~1.13【出産前後の母親の喫煙】HR:1.11、95%CI:1.07~1.16【多胎児】HR:1.05、95%CI:0.95~1.17【低出生体重】HR:1.12、95%CI:1.05~1.20【養子】HR:1.25、95%CI:1.10~1.41・用量反応関係も観察され、人生早期のリスク因子の数が増えると、うつ病および不安症のリスクが高まる可能性が示唆された。 著者らは、「5つの人生早期の因子は、それぞれが成人期のうつ病および不安症発症に対する独立したリスク因子であると考えられる」とし、「これら人生早期の因子を考慮することは、その後の人生のメンタルヘルスに対する感受性を理解するうえで不可欠である」とまとめている。

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ADHDや境界性パーソナリティ障害に対するシンバイオティクスの有効性〜basket試験

 注意欠如多動症(ADHD)およびまたは境界性パーソナリティ障害(BPD)の患者では、易怒性により予後が悪化し、死亡率上昇を来す可能性がある。しかし、その治療選択肢は、不十分である。近年、プロバイオティクスとプレバイオティクスを組み合わせたシンバイオティクスは、医療のさまざまな領域で注目されている。スペイン・Hospital Universitari Vall dHebronのGara Arteaga-Henriquez氏らは、ADHDまたはBPD患者の易怒性レベルに対するシンバイオティスクの有効性を評価するため、ランダム化二重盲検プラセボ対照試験を実施した。Brain, Behavior, and Immunity誌2024年8月号の報告。 本試験は、2019年2月〜2020年10月、ハンガリー、スペイン、ドイツの臨床センター3施設で実施した。対象は、ADHDおよびまたはBPDと診断され、易怒性レベルの高い18〜65歳の患者。易怒性レベルが高い患者の定義は、Affectivity Reactivity Index(ARI-S)5以上かつ臨床全般印象度-重症度(CGI-S)スコア4以上とした。対象患者は、シンバイオティクス群とプラセボ群にランダムに割り付けられ、10週間連続で毎日投与を行った。主要アウトカムは、治療終了時の治療反応とした。治療反応の定義は、ベースライン時と比較し10週目のARI-Sスコア30%以上減少かつ臨床全般印象度-改善度(CGI-I)総スコアが3未満(very muchまたはmuch)とした。両群間の副次的アウトカムの治療差および安全性も評価した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者231例中180例がランダム化され(シンバイオティクス群:90例、プラセボ群:90例)、ITT分析に含めた。・分析対象患者のうち、女性は117例(65%)、平均年齢は38歳、ADHD診断患者は113例(63%)、BPD診断患者は44例(24%)、ADHDとBPDの両方の診断患者は23例(13%)であった。・シンバイオティクスの忍容性は良好であった。・シンバイオティクス群における10週目の治療反応率は、プラセボ群と比較し、有意に高かった(OR:0.2、95%信頼区間[CI]:0.1〜0.7、p=0.01)。・シンバイオティクス(併用)療法は、ADHDおよびまたはBPDの成人患者において、臨床的に意味のある易怒性の改善と関連している可能性が示唆された。・シンバイオティクスは、プラセボと比較し、さまざまな副次的アウトカムのマネジメントにおいて優れていた。【感情調節障害】−3.6、95%CI:−6.8〜−0.3、p=0.03【感情症状】−0.6、95%CI:−1.2〜−0.05、p=0.03【不注意】−1.8、95%CI:−3.2〜−0.4、p=0.01【機能】−2.7、95%CI:−5.2〜−0.2、p=0.03【知覚ストレスレベル】−0.6、95%CI:−1.2〜−0.05、p=0.03・シンバイオティクス群では、ベースライン時のRANKLタンパク質レベルが高い場合、治療反応率の低下が認められた(OR:0.1、95%CI:−4.3〜−0.3、p=0.02)。・プラセボ群では、ベースライン時のIL-17Aレベルが高い場合、とくに感情調節障害の改善度が有意に上昇しており(p=0.04)、新規標的の薬物療法介入の可能性が示唆された。 著者らは「シンバイオティクスによる治療は、成人のADHDやBPD患者の易怒性改善に有効である可能性が示唆された。これらの結果を確認するためにも、より大規模なプロスペクティブ研究が求められる」としている。

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第110回 MSDが「HPVワクチン訴訟」にコメント

HPVワクチンのキャッチアップは9月末まで子宮頸がんの原因となっているヒトパピローマウイルス(HPV)に対するワクチンについては、一時、積極的な接種勧奨が控えられていましたが、2022年より勧奨が再開されました。勧奨が一時控えられ、「空白期間」ができてしまった理由として、ワクチンの副反応に対する声がマスコミに取り上げられたことが挙げられます。産婦人科の漫画として有名な『コウノドリ』においても、マスコミの科学的根拠のないHPVワクチンに反対するキャンペーンに屈したのは日本だけである、と書かかれています。日本では毎年約1万人の女性が子宮頸がんと診断され、約3,000人が亡くなっています。HPVワクチンの接種率は激減し、後進国になってしまい、欧米の接種率と大きく差が付きました。子宮頸がんに罹患する割合も、先進国の中では高いほうで、今後ワクチン未接種の子宮頸がんの女性がさらに増えていくと予想されています。現在、HPVワクチンの定期接種の機会を逃した高校2年生から27歳の女性を対象にした無料キャッチアップ接種を実施しています。しかしながら、この施策は2025年3月末で終了します。HPVワクチンは3回接種が必要なので、無料で完遂するためには、2024年9月末までに初回接種を開始しなければいけません。MSDがコメントを発表2016年に複数の女性がHPVワクチンの接種後に体調不良を訴え、製薬会社と国を相手取って訴訟を起こしています。これに関して、HPVワクチンを販売しているMSDが、2024年8月14日にHPVワクチン訴訟に関してステートメントを出しました1)。名古屋市における調査で、HPVワクチンと接種後の体調不良については、非接種集団と有意差が付いていないことが示されています。MSDも、この部分について触れています。「HPVワクチンが世界で初めて発売された2006年よりも遥か前から、特に思春期の若い方に見られる症状として知られており、(中略)[国内の]大規模な疫学調査では、HPVワクチンの接種歴のない方においても、HPVワクチン接種後に報告されている症状と同様の『多様な症状』を有する方が一定数存在した」。これは、おおむね機能性神経症状症(変換症)や機能性身体症状のことを指していると思われます。たとえば機能性身体症状は、決して思い込みやウソなどではなく、実際に起こる症状なのですが、「症状の訴えや苦痛が、確認できる組織障害の程度より大きい」というものです。身体的要因だけでなく、心理的要因も大きく影響しています。ナラティブな医療従事者が、傾聴的になりすぎることでワクチン反対の声を増幅してしまう可能性があります。もちろん、ワクチンによる症状のすべてが機能性症状とは限りません。こういったデリケートな事情も踏まえたうえで、厚労省やMSDは「接種することのメリットが接種することのデメリットを上回る」という主張を展開し続けています。コロナ禍でも問題になった「医療のリスクコミュニケーション」。うまく行政が、舵取りしてほしいところです。参考文献・参考サイト1)HPVワクチン訴訟に関するMSD株式会社のステートメント(2024年8月14日)

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寄り道編(7)苦味のマスキング【臨床力に差がつく 医薬トリビア】第56回

※当コーナーは、宮川泰宏先生の著書「臨床力に差がつく 薬学トリビア」の内容を株式会社じほうより許諾をいただき、一部抜粋・改変して掲載しております。今回は、月刊薬事62巻6号「臨床ですぐに使える薬学トリビア」の内容と併せて一部抜粋・改変し、紹介します。寄り道編(7)苦味のマスキングQuestion苦い薬の味を最もマスクできるのは、甘味、酸味、塩味、旨味のどれ?

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小児科「小児の発熱」【臨床実習を味わうケアネット動画Café】第7回

動画解説臨床研修サポートプログラムの研修医のための小児科ベーシックより、遠藤周先生と 西﨑直人先生の「小児の発熱」を鑑賞します。成人とは異なる鑑別方法で診なければならない小児。実習に入る前に注意点を把握しておきましょう!

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境界性パーソナリティ障害、思春期〜成人期の経過

 境界性パーソナリティ障害(BPD)の治療において、思春期以降の中長期にわたる臨床的および機能的経過に関する研究は、不十分である。デンマーク・Mental Health ServicesのMie Sedoc Jorgensen氏らは、思春期BPD患者における診断から5年後の精神病理学的および機能的状態についての検討を行った。Comprehensive Psychiatry誌2024年7月号の報告。 対象は、思春期BPDに対するメンタライゼーション・ベースド・セラピーによるグループ介入と通常治療を比較したランダム化臨床試験(RCT)に登録された患者。5年後のフォローアップ調査時に、Schedules for Clinical Assessment in Neuropsychiatry(Scan)およびStructured Clinical Interview for DSM-5 Personality Disorders(SCID-5-PD)を含む半構造化面接評価を行った。自己報告ツールを用いて、注意欠如多動症(ADHD)、アルコール、薬物、タバコの使用、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、複雑性PTSD、一般機能の評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・最初のRCT対象患者111例中97例(87%)が本研究に参加した。・年齢範囲は、19〜23歳であった。・最も多くみられた疾患は、ADHD(59%)、さまざまな人格障害(47%)であり、そのうち半数はBPD(24%)、不安症(37%)、うつ病(32%)、PTSDまたは複雑性PTSD(20%)、統合失調症(16%)、摂食障害(13%)の基準を満たしていた。・精神疾患の基準を満たさなかった患者は、わずかに16%であった。・フォローアップ調査時点で、心理療法およびまたは精神薬理学的治療を行っていた患者は、約半数であった。・一般的な機能は、依然損なわれたままであり、ニート状態は36%でみられた。これは、一般集団の同年齢層のニート率の約4倍であった。 著者らは「BPD診断の安定性は中程度ではあるが、思春期にBPD診断基準を満たしていた患者は、5年間のフォローアップ調査において、広範なアウトカム不良を示していた。BPDは、思春期の一般的な不適応の指標となるが、成人期への移行よる重篤な問題発生の前兆であるとも考えられる。思春期BPD患者に対する早期介入プログラムは、現在のBPDだけでなく、幅広い機能的および精神病理学的アウトカム、とくに将来の社会的および職業的サポートに焦点を当てる必要がある」としている。

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5~17歳の10人に1人がADHD/米国調査結果

 米国疾病予防管理センター(CDC)下の組織である国立衛生統計センター(NCHS)は、2024年3月に米国における注意欠如・多動症(ADHD)に関する調査結果を発表した。この報告書によると、2020~22年にADHDと診断された5~17歳の子供の割合(有病率)は11.3%だったという。 その他の主な結果は以下のとおり。・5~17歳では、男児(14.5%)のほうが女児(8.0%)より有病率が高く、この傾向は5~11歳と12~17歳の年齢別においても一貫していた。・5~11歳の有病率(8.6%)よりも、12~17歳の有病率(14.3%)のほうが高かった。・有病率は、すべての人種において、5~11歳よりも12~17歳のほうが高かった。・5~17歳の子供のうち、黒人の子供(10.8%)やヒスパニック系の子供(8.9%)よりも白人の子供(13.4%)のほうが有病率が高かった。・世帯収入が上がるにつれてADHDの有病率は減少する傾向があり、5~17歳の有病率は世帯収入が米国貧困水準の100%未満の場合は14.8%だったが、200%以上では10.1%となった。世帯収入の増加とともにADHDの有病率が減少するパターンは、いずれの年齢層の子供にもみられた。・5~17歳の子供では、ADHDの有病率が最も高かったのは公的保険に加入している子供(14.4%)で、最も低かったのは無保険の子供(6.3%)だった。

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若年者の砂糖入り飲料摂取、世界的な動向は?/BMJ

 世界185ヵ国の小児・思春期児(3~19歳)における砂糖入り飲料(sugar sweetened beverage、SSB)の摂取量は、1990~2018年の間に23%増加しており、このことと同年齢層における世界的な肥満症有病率の上昇が対応していることを、米国・タフツ大学のLaura Lara-Castor氏らがGlobal Dietary Databaseを用いた検討で明らかにした。また、世界の小児・思春期児のSSB摂取量は、年齢や親の教育レベル、都市居住か否かによりばらつきがみられたという。BMJ誌2024年8月7日号掲載の報告。1990~2018年の185ヵ国の小児と思春期児について分析 研究グループはGlobal Dietary Databaseを用いた連続横断分析で、世界の小児・思春期児におけるSSB摂取量と経時的な傾向を定量化した。1990~2018年の185ヵ国の3~19歳を、年齢、性別、親の教育レベル、および地方または都市居住によって地域レベルで層別化し分析した。世界の若者人口の10.4%が7サービング/週以上を摂取 2018年において、世界の平均SSB摂取量は3.6(95%不確定区間:3.3~4.0)サービング/週であり(標準化サービング=248g[8オンス])、地域別にみると、南アジアの1.3(1.0~1.9)サービング/週から中南米・カリブ海地域の9.1(8.3~10.1)まで大きくばらついていた。 SSB摂取量は、年少児よりは年長児で、地方居住者よりは都市居住者で、両親の教育レベルは低レベル群よりは高レベル群で高かった。 1990~2018年に、世界の平均SSB摂取量は0.68サービング/週(22.9%)増加していた。最も増加していたのはサハラ以南のアフリカ諸国で2.17サービング/週(106%)であった。 解析に含んだ185ヵ国のうち、56ヵ国(30.3%)の平均SSB摂取量は≧7サービング/週であった。これら摂取群には小児・思春期児2億3,800万人、世界の若者人口の10.4%が含まれる。 結果を踏まえて著者は、「本研究は、とくに中南米とカリブ海地域の都市および地方居住で、教育レベルを問わずSSB摂取量が多い若者へのSSB摂取量を減らすための政策や、サハラ以南のアフリカ諸国において拡大しているSSBの問題に役立つだろう」とまとめている。

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国内での小児の新型コロナ感染後の死亡、経過や主な死因は?

 2024年8月9日時点での新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の国内での流行状況によると、とくに10歳未満の小児患者が多い傾向にある1)。日本でCOVID-19発症後に死亡した0~19歳の小児・青年患者の特徴を明らかにするために、国立感染症研究所のShingo Mitsushima氏らの多施設共同研究チームは、医療記録および死亡診断書から詳細な情報を収集し、聞き取り調査を行った。その結果、53例の情報が得られ、ワクチン接種対象者の88%が未接種であったことや、発症から死亡までの期間は77%が7日未満であったことなどが判明した。CDCのEmerging Infectious Diseases誌2024年8月号に掲載。 日本では、2022年にオミクロン株が初めて検出された後、小児COVID-19患者数が急増した。2021年12月までに0~19歳のSARS-CoV-2陽性患者数は24万例(0~9歳:8万4千例、10~19歳:15万6千例)だったが、2022年1~9月(オミクロン株流行期)には480万例(0~9歳:240万例、10~19歳:240万例)に増加し、死亡者数も増加した。 本研究では、厚生労働省、地方自治体、保健所、HER-SYS、学会、メディアから小児・青年死亡症例の情報を収集した。症例は、発症または死亡日が2022年1月1日~9月30日である0~19歳におけるSARS-CoV-2感染後に発生した死亡症例と定義した。死因について、中枢神経系異常、心臓異常、呼吸器異常、その他、不明に分類した。患者の発症から死亡までの日数の中央値と四分位範囲(IQR)を算出し、選択された変数の適合度を検定するために、x2検定またはFisherの正確確率検定を用いた。発症から初回診察、心肺停止、または死亡までの間隔を異なる死因間で比較するためにlog-rank検定を用いた。 主な結果は以下のとおり。・COVID-19発症後に死亡した0~19歳の小児・青年患者62例が確認され、うち53例について詳細な調査を実施できた。46例(87%)は内的死因、7例(13%)は外的死因(新型コロナ感染後の溺水や窒息などの予期せぬ事故)であった。・内的死因患者46例のうち、1歳未満が7例、1~4歳が15例、5~11歳が18例、12~19歳が6例であった。19例に基礎疾患が認められた。・ コロナワクチン接種対象者(5歳以上)は24例で、そのうち21例(88%)がワクチンを接種していなかった。2回のワクチン接種済みの3例(12歳以上)のCOVID-19発症日は、最後のワクチン接種日から3ヵ月以上経過していた。・入院前は呼吸器症状よりも非呼吸器症状のほうが多く、疑われた死因は、多い順に、中枢神経系異常(急性脳症など)が16例(35%)、心臓異常(急性心筋炎など)が9例(20%)、呼吸器異常(急性肺炎など)が4例(9%)だった。小児の多系統炎症性症候群(MIS-C)は認められなかった。・基礎疾患のない患者(27例)では、最も多く疑われた死因は中枢神経系異常(11例)、次いで心臓異常(5例)だった。呼吸器異常は認められなかった。・入院前に救急外来で確認された死亡者数は19例、入院後の死亡者数は27例であった。患者の46%は院外心停止で死亡した。・中枢神経系異常を認めた16例では、発症から心肺停止までの中央値は2日(IQR:1.0~12.0)、発症から死亡までの中央値は3.5日(2.0~14.5)だった。5~11歳が最も多く(9例/56%)、1歳未満はいなかった。急性脳症の12例のうち、出血性ショック脳症症候群(HSES)が疑われたのは5例、急性劇症脳浮腫を伴う脳症が1例、分類不能脳症が 6例であった。・心臓異常を認めた9例では、発症から心肺停止までの中央値は4日(IQR:2.0~4.0)、発症から死亡までの中央値は4日(2.0~5.0)だった。 8例に臨床的急性心筋炎が検出された。 本研究の結果、小児・青年のCOVID-19発症後の死因として、中枢神経系異常、次いで心臓異常が多かったことが示された。徴候・症状への対処に加えて、臨床医は基礎疾患にかかわらず、COVID-19発症から少なくとも最初の7日間は小児・青年患者を注意深く観察すべきだ、と著者らはまとめている。

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クリーフストラ症候群〔KS:Kleefstra Syndrome〕

1 疾患概要■ 概念・定義2009年にクリーフストラらが9番染色体長腕サブテロメア欠失を持つ複数の症例について、重度から中等度の知的障害、筋緊張低下、てんかんに加え、特徴的な顔貌など、共通する臨床症状があることを報告した。その論文の中で、共通欠失領域に位置していたEHMT1遺伝子が責任遺伝子である可能性を疑い、同様の症状を示しながら9番染色体長腕サブテロメア欠失がない患者を調べたところ、EHMT1遺伝子の病的なバリアントが認められたため、EHMT1の機能喪失が原因であることを明らかにした。これにより、EHMT1遺伝子を含む9番染色体長腕サブテロメア欠失と、EHMT1遺伝子の病的バリアントによって引き起こされる病態をクリーフストラ症候群と称するようになった。■ 疫学正確な疾患頻度は明らかでないが、厚生労働省・山本研究班による複数施設での定点観測では、1万人~1万5,000人に1人と推測され、わが国には推定数千人の患者が存在すると考えられている。■ 病因9番染色体長腕末端から約1-Mbに位置するEHMT1を含む9番染色体長腕の部分欠失による場合と、EHMT1の機能喪失変異による場合がある。染色体欠失による場合の多くはサブテロメア欠失であるが、その切断端は多様であり、欠失サイズもさまざまである。基本的に染色体欠失も遺伝子の機能喪失変異も突然変異によって生じるが、サブテロメア欠失の場合は、他の染色体サブテロメア領域との不均衡転座によっても生じる可能性があり、その場合は両親のどちらかが均衡転座保因者の可能性があるため、次の妊娠時に同じ染色体異常が繰り返されたり、反復流産の原因となることがある。■ 症状知的障害、筋緊張低下、小頭症、先天性心疾患(とくに円錐幹の欠陥)、てんかん(約30%)、および特徴的顔貌(癒合したアーチ型の眉、眼間解離、短鼻、開いた口、および突出した舌など)を示す。その他、先天性心疾患(全患者の50%)、腎泌尿器奇形(全患者の10~30%)、睡眠障害や常同行為などの行動異常、外性器異常、難聴などが認められることがある。■ 予後合併症によるが、一般的に生命予後が不良であるという報告はない。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)染色体異常の場合、マイクロアレイ染色体検査などで9番染色体長腕サブテロメア領域のEHMT1遺伝子を含んだ欠失を確認することにより診断される(図)。遺伝子変異の場合、ターゲット解析、網羅的解析に関わらず、EHMT1の機能喪失変異を確認することにより診断される。図 9番染色体長腕サブテロメア欠失の確認画像を拡大するUCSC genome browserにより、3例のクリーフストラ症候群自験例の欠失範囲を表示した。全例欠失範囲内にEHMT1遺伝子(赤丸)を含む。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)根本的な治療法はない。てんかんに対しては、発作型に合わせた治療が必要である。神経発達症に由来する多動や行動障害に対しては、環境調整や必要に応じた薬物療法を要することがある。 4 今後の展望疾患概念が明らかになってきたばかりであり、疾患特性の理解や治療法の開発はこれからである。5 主たる診療科小児の場合は小児科遺伝学的検査の場合は遺伝診療科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報「マイクロアレイ染色体検査で明らかになる染色体微細構造異常症候群を示す小児から成人の診断・診療体制の構築」研究班ホームページ(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報クリーフストラ症候群日本家族会(患者とその家族および支援者の会)1)Kleefstra T, et al. J Med Genet. 2009;46:598-606.2)Kleefstra T, et al. Am J Hum Genet. 2012;91:73-82.3)Yang Q, et al. Front Neurol. 2024;15:1340458.4)今泉太一、山本俊至. 脳と発達.2024;56:270-272.公開履歴初回2024年08月15日

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マイコプラズマ肺炎が8年ぶりの高水準、上位は大阪・埼玉・佐賀/感染研

 国立感染症研究所が8月13日付で報告した2024年第31週(7月29日~8月4日)のIDWR速報データによると、マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数が過去5年間の同時期の平均よりかなり多い。第27週(7月1~7日)以降5週連続で増加、2016年以来8年ぶりの高い水準となっている。 全国の定点当たり報告数は0.95人で、都道府県別にみると上位10都府県は以下のとおり。 大阪府 3.89人 埼玉県 2.67人 佐賀県 2.50人 愛知県 2.20人 沖縄県 2.00人 香川県 2.00人 兵庫県 1.86人 福井県 1.83人 東京都 1.48人 京都府 1.43人

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HPVワクチンの定期接種とキャッチアップ接種

HPVワクチン(子宮頸がん予防)の定期接種とキャッチアップ接種• 日本では2013年4⽉から、⼩学校6年⽣〜⾼校1年⽣を対象に、公費によるHPVワクチンの無料接種(定期接種)が実施されています• 上記のほか2025年3⽉まで、1997年4⽉2⽇〜2008年4⽉1⽇⽣まれの⽅を対象に、無料で接種できる「キャッチアップ接種」が実施されています• 現在定期接種の対象となっているHPVワクチンは3種類とも3回の接種完了までに6ヵ⽉かかるため、「キャッチアップ接種」の期限内にすべて終了させるためには、2024年9⽉末までに初回接種を行う必要があります<3種類のワクチンと接種タイミング(2025年3⽉までに終了させる場合)>2024年9⽉10⽉11⽉ ・・・・ 2025年3⽉3回目子宮頸がんの原因の50~70%を占めるHPV16/18型の感染を防ぐ3回目HPV16/18型に加え、尖圭コンジローマなどの原因となる6/11型の感染を防ぐ3回目さらに5つの型の感染を防ぎ、子宮頸がんの原因の80~90%を防ぐ2価ワクチン(サーバリックス)4価ワクチン(ガーダシル)1回目1回目2回目2回目9価ワクチン(シルガード9)1回目2回目出典:日本対がん協会「子宮頸がんの予防のために HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン」厚生労働省「HPVワクチンに関するQ&A」Copyright © 2024 CareNet,Inc. All rights reserved.

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第225回 徳田虎雄氏死去、地域医療にもたらしたインパクトとその功績を考える(後編)

徳田虎雄氏が作り上げた徳洲会、僻地医療、救急医療を半世紀にわたって展開こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。この週末は、愛知県の実家にお施餓鬼のために帰省しました。92歳になった父親が一人暮らしをしているのですが、1週間ほど前に「運転免許の返上を決めた」と電話で話していたにもかかわらず、会ってみると「来年の車検までは乗る」というのでまた親子喧嘩に。挙句の果てに、「車を乗るのを止めたら、電動自転車を買おうと思っている」と言い出す始末。「90歳は自転車で転んで大腿骨を骨折すると、死期がぐっと早まるぞ」と脅したのですが、田舎の超高齢者の交通手段問題が解決する日は遠そうです。さて、今回も徳田 虎雄氏が作り上げた徳洲会が半世紀にわたって展開してきた離島をはじめとする僻地医療や、救急をはじめとする地域医療における功績について、私自身の取材経験(少々偏りはありますが)も踏まえ、考えてみたいと思います。早くから北米型ERを導入、日本の救急医療に与えたインパクト「生命だけは平等だ」をスローガンに、40年近くにわたって「年中無休・24時間オープン」の医療を全国展開してきた徳洲会。その特徴の1つは早くから北米型ER(救急外来)を導入したことでしょう。1970〜80年代、まだ日本の救急医療は増加する交通事故の外傷に対応することが第一の目的とされ、外傷三次救急以外の、内科系や小児の二次救急は整備途上でした。そんな中、徳田氏は、全国に北米型ERのある病院を展開しました。そのあたりの事情を薬師寺 泰匡氏(薬師寺慈恵病院院長、元岸和田徳洲会病院救急科医長)が日経メディカルの連載「だから救急はおもしろいんよ」の2018年1月18日付の記事で書いています。氏は「徳洲会が立ち上がった頃は、夜間休日の救急医療体制が整っておらず、患者はどこに行っていいのか、救急車も呼んでいいのかどうかという状況だったことがうかがえます」と振り返り、「徳田虎雄は、実際に米国留学などでかの地の救急医療に触れた医師を独自に集め、救急医療を担保するとともに、各地で米国式の研修医教育を広めていきました。現在のスーパーローテート方式が始まるずっと前から、独自に各科ローテート研修を行っており、僕自身もそうした歴史の恩恵にあずかりました」と記しています。同記事などによれば、日本において一次・二次・三次救急の整備が始まったのが1977年、消防法の改正によって救急隊の搬送業務の対象が小児科・内科系疾患を含む救急患者一般にまで拡大したのは1987年のことです。徳洲会の最初の病院、徳田病院(現在の松原徳洲会病院)の開設が1973年ですから、徳洲会の全国各地の病院は、日本の救急医療の先駆けとして機能し、その基礎を形作ったと言えるかもしれません。都市部の大病院で研修医を集めて、へき地・離島に期限付きで送る救急医療に加え、へき地医療と地域医療でもその貢献は小さくありません。徳田氏の故郷である鹿児島県の離島に赤字覚悟で複数の病院を開設、初期研修医や後期研修医を「へき地・離島研修」という独自のプログラムのもと一定期間派遣し、その地域の医療を支えたのです。医療機器が充実した都市部の大病院で研修しようというシステムは、人口減少や医師の働き方改革などを背景に、地方での医師不足が急速に進む今の日本でも参考になりそうです。地域医療展開の拠点と言われた野崎徳洲会病院徳洲会の病院は都市部の巨大病院ばかりではなく、地域の中小病院も数多くあります。1980年代後半~1990年代前半、そうした病院を取材すると、徳洲会の地域医療展開の拠点と言われた野崎徳洲会病院(大阪府大東市)でプライマリケア・地域医療を学んだ医師が少なからずいたことを覚えています。たとえば1990年代前半、北海道静内町(現在の新ひだか町)の静仁会・静内病院(現在の医療法人徳洲会 日高徳洲会病院)には、野崎徳洲会病院OBの院長がいました。彼は、野崎徳洲会病院で学んだプライマリケアを実践しながら、徳洲会が買収した老人病院を、救急から在宅まで、包括医療を提供する病院に作り変えようと奮闘していました。今で言う地域包括ケアです。介護保険ができる10年も前に、医療と介護を一体化した診療を行っていたわけです。東日本大震災で際立った徳洲会の活躍救急医療だけではなく、地域医療、家庭医療に力を入れる方針は徳洲会の中で脈々と受け継がれていったようです。2011年の東日本大震災の時、被災した気仙沼市立本吉病院(現在は本吉医院)に、不在となった院長の代わりに赴任したのは、徳洲会系(現在は医療法人徳洲会)の庄内余目病院の家庭医養成プログラムを修了した医師でした。この医師も「町民全体の家庭医を目指したい」と、通常の外来診療を済ませた後に積極的に訪問診療を行っていた姿を覚えています。東日本大震災の被災地ではまた、災害直後から徳洲会の災害派遣チーム・TMATの姿をあちらこちらで見かけました。その支援の規模は、民間病院チェーンの中では最大だったと聞いています。日本赤十字社や済生会の病院では起こり得なかったこと徳洲会は、その規模を生かすかたちで親族が経営するMS法人に莫大な利益を還流し、同時にまた、徳田氏や長男の選挙に大量の人員投入を行っていました。それは批判すべきことではありますが、徳洲会の救急医療や地域医療のノウハウが全国各地に広がっていったこと自体は評価されるべきことでしょう。強烈な個性とリーダーシップのあるオーナー理事長が率いる全国チェーンゆえに、いわゆる医療の”均てん化”が起こっていたわけです。同じ全国チェーンでも、地元大学医学部のジッツとしての役割が大きい日本赤十字社や済生会の病院では起こり得なかったことです。「社会福祉法人恩賜財団済生会などの公的病院を規模でも質でも凌駕したい」と現理事長徳洲会事件を契機として徳田家の支配から脱却した医療法人徳洲会は、「生命だけは平等だ」の理念はそのままに規模拡大を続けており、その経営は順調のようです。日経ヘルスケア2023年2月号掲載の記事、「創業50年を迎えた徳洲会の今(上)」で現理事長の東上 震一氏は「規模は一つの断面に過ぎないが、目標は100病院。1兆円の収益を上げて、社会福祉法人恩賜財団済生会などの公的病院を規模でも質でも凌駕したい」と今後の抱負を語っています。しかし一方で、カテーテル治療後に複数の患者が死亡するなど医療過誤が相次いだ神戸徳洲会病院に神戸市が医療法に基づく改善命令を出すなど、その医療の“質”に疑問が投げかけられる事態も生じています。オーナー経営ではなくなった巨大チェーンを、勤務医出身のサラリーマン経営者が統治していくのは並大抵のことではないはずです(内規で医療法人徳洲会の理事長は3期までと決まっているそうです)。神戸徳洲会病院で起こっていることが、統治・経営の綻びから来ているものでなければいいのですが…。徳田家の支配から離れて、徳田氏の理念や経営方針はいつまで引き継がれていくのか、これからの50年間に救急医療におけるパイオニアワークのような徳洲会らしい新たな功績は生まれるのか――。今後の動きにも注目したいと思います。

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JN.1系統対応コロナワクチン、一変承認を取得/ファイザー・ビオンテック

 ファイザーおよびビオンテックは2024年8月8日付のプレスリリースにて、生後6ヵ月以上を対象とした新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のオミクロン株JN.1系統対応の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンについて、日本での製造販売承認事項一部変更承認を取得したことを発表した。 両社は2024年6月10日、オミクロン株JN.1系統のスパイクタンパク質をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)を含む1価ワクチンについて厚生労働省に承認事項一部変更を申請しており、今回、以下の製剤が承認された。・コミナティ筋注シリンジ 12歳以上用(プレフィルドシリンジ製剤で希釈不要)・コミナティRTU筋注5~11歳用 1人用(バイアル製剤で希釈不要)・コミナティ筋注6ヵ月~4歳用 3人用(バイアル製剤で要希釈) 上記申請は、品質に係るデータに加え、本ワクチンが両社のオミクロン株XBB.1.5系統対応COVID-19ワクチンに比べ、JN.1およびKP.2、KP.3を含むその亜系統に対しても優れた免疫反応を示した非臨床データに基づいている。 2024年5月29日に開催された「第2回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会季節性インフルエンザワクチン及び新型コロナワクチンの製造株について検討する小委員会」では、2024/2025シーズン向けの新型コロナウイルス感染症ワクチンの抗原組成について、JN.1系統が選択されている1)。 また、諸外国の動向として、英国医薬品・医療製品規制庁(MHRA)は7月24日に、ファイザー・ビオンテックのJN.1対応ワクチンを承認している2)。一方米国では、2024年秋から使用する新型コロナワクチンについて、6月13日の米国食品医薬品局(FDA)の発表によると、可能であればJN.1系統のKP.2株を使用することをワクチン製造業者へ提案しているという3)。

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HPVワクチンのキャッチアップ接種推進に向けて/日医

 日本医師会(会長:松本 吉郎氏[松本皮膚科形成外科医院 理事長・院長])は、定例会見を開催した。会見では、「2025(令和7)年度の予算要求要望」について、「医療DXの適切な推進、地域医療への予算確保、新興感染症などへの予算確保」ならびに事項要求として「物価高騰・賃金上昇への対応」を厚生労働省に要望したことが報告された。また、医師会が日本医学会との協力で発行している英文ジャーナル「JMA Journal」が「1.5」(クラリベイト社発表)のインパクトファクターを取得したことも報告された。そのほか、2024年9月末に期限が迫っている「HPVワクチンキャッチアップ接種推進に向けて」について医師会の取り組みが説明された。キャッチアップ接種について看護学生の9割は「知っている」と回答 HPVワクチンは、定期接種が小学校6年生~高校1年生相当の女子を対象に行われている。現在、接種勧奨が行われているが、平成9年度生まれ~平成19年度生まれ(誕生日が1997年4月2日~2008年4月1日)の女子の中に、 通常の定期接種の対象年齢のときに接種機会を逃した人もおり、HPVワクチンの接種の機会(キャッチアップ接種)が設けられている。 このキャッチアップ接種は、2025(令和7)年3月31日までとなっているが、3回の接種を完了するためには半年程度の期間が必要で、2024(令和6)年9月末までに初回接種をする必要があり、その期限が目前となっている。 こうした事態を受けて、釜萢 敏副会長(小泉小児科医院 院長)が、「HPVワクチンのキャッチアップ接種について」をテーマに、これまでの医師会の取り組みや接種対象の看護学生へのアンケート結果などを説明した。 医師会では、HPVワクチンの接種について、さまざまな啓発動画を制作・公開するとともに啓発資料を作成し、医師会員の医療機関などで活用してもらっている。そこで、最近公開された資料として福岡県立大学看護学部のワクチン対象年齢の学生25人に行ったアンケート調査結果について内容を説明した。 アンケート調査の概要は以下のとおり。・「HPVワクチンの接種の有無」を聞いたところ、「接種した」が48%、「予定している」が28%、「ない」が24%だった。・「キャッチアップ接種について知っているか」を聞いたところ、「よく知っている」が40%、「多少は知っている」が52%、「知らない」が8%だった。・「20代のがんの過半数が子宮頸がんであることを知っているか」を聞いたところ、「よく知っている」が56%、「多少は知っている」が40%、「知らない」が4%だった。  また、自由回答でワクチン接種のきっかけを聞いたところ、「無料接種だから」「母親の勧め」「がん予防のため」「医師の勧め」などの回答だった。一方、接種していない・悩んでいる対象者の未接種理由では、「親が不要と言っている」「副反応が怖い」「注射が苦手」などの回答だった。 「医師会では、ひとりでも多く子宮頸がんなどで亡くなる人をなくしたいという目的でこうした活動を行っているが、接種については本人が決めることであり、接種を考える際の判断材料にしてもらいたい。そして、期限までに多くの対象者に接種してもらいたい」と釜萢氏は思いを語った。 医師会では、今後も9月末の期限までにさまざまなメディアで啓発活動を行うとしている。

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