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パッチ式インフルエンザワクチンは有用か/Lancet

 溶解型マイクロニードルパッチを活用したインフルエンザワクチン接種は、忍容性に優れ確固たる免疫獲得をもたらすことが報告された。米国・エモリー大学のNadine G. Rouphael氏らによる検討で、Lancet誌オンライン版2017年6月27日号で発表された。報告は、従来の注射器に代わる予防接種法の検討として初となる、第I相の無作為化プラセボ対照試験「TIV-MNP 2015」の結果である。パッチ vs.筋注 vs.プラセボ vs.被験者自身がパッチ貼付の4群で検討 TIV-MNP 2015試験は、エモリー大学で2015年6月23日~9月25日に、2014-15インフルエンザワクチン未接種で、あらゆる重大皮膚病を有していない、妊婦を除く18~49歳の免疫適格成人を登録して行われた。 被験者を4群(1対1対1対1の割合)に無作為に割り付け、1群には不活化インフルエンザワクチン(fluvirin:HA含量はH1N1型18μg、H3N2型17μg、B型15μg)の単回投与をマイクロニードルパッチで貼付接種、2群には同ワクチンを筋肉注射で接種、3群にはプラセボをマイクロニードルパッチで貼付接種(1~3群は非盲検の医療従事者により投与)、そして4群は、被験者自身がマイクロニードルパッチを貼付して接種する方法で不活化インフルエンザワクチンを単回投与した。 主要安全性評価項目は、パッチ貼付接種に関連した180日以内の重大有害事象の発生、28日以内のGrade3または自発的に報告された(unsolicited)有害事象の発生、接種当日~7日までに発生した副反応(報告が定められていた注射部位および全身性の反応)であった。また、副次的安全性評価項目として、180日以内の慢性疾患の新規発症、28日以内の自発的報告の有害事象などを評価した。すべての解析は、intention to treat法にて行った。 探索的に免疫原性アウトカムも評価した。評価項目は、28日時点の抗体価、セロコンバージョンおよびセロプロテクションの割合で、赤血球凝集抑制抗体分析にて確認した。被験者自身によるパッチ貼付接種も安全かつ有効 計100例が登録・無作為化を受けた(4群いずれも25例)。処置に関連した重大有害事象、自発的報告によるGrade3以上の有害事象、慢性疾患の新規発症は、いずれもみられなかった。 ワクチン投与群(非盲検の医療従事者によるパッチ貼付または筋注による接種群、被験者自身によるパッチ貼付接種群)において、報告が定められていた有害事象の全発生(各群89例、73例、73例)と、自発的報告の有害事象の発生(18例、12例、14例)は、いずれも同程度であった。 副反応は軽度で一過性のものであり、最も頻度の高い報告は、筋注後の圧痛(15/25例[60%]、95%信頼区間[CI]:39~79)および疼痛(11/25例[44%]、95%CI:24~65)、また、パッチ貼付後の圧痛(33/50例[66%]、95%CI:51~79)、紅斑(20/50例[40%]、95%CI:26~55)、そう痒(41/50例[82%]、95%CI:69~91)であった。 28日時点の幾何平均抗体価(GMT)は、医療従事者によるパッチ接種群と筋注接種群の間で差はみられなかった。H1N1型は1,197(95%CI:855~1,675) vs.997(703~1,415)(p=0.5)、H3N2型は287(192~430) vs.223(160~312)(p=0.4)、B型は126(86~184) vs.94(73~122)(p=0.06)であり、同程度のGMTは被験者自身によるパッチ貼付投与群でもみられた(すべてのp>0.05)。 28日時点のセロコンバージョンの割合は、プラセボ群と比較してすべてのパッチ接種群で有意に高率であり(すべてのp<0.0001)、筋注接種群と同程度であった(すべてのp>0.01)。

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小児ADHDの合併症有病率と治療成績

 ADHDの合併症は広く研究されているが、いくつもの問題点が解決していない。イタリア・IRCCS-Istituto di Ricerche Farmacologiche Mario NegriのLaura Reale氏らは、新規に診断された未治療の小児の臨床サンプル(ADHDの有無にかかわらず)における併存精神疾患を調査し、合併症のタイプに基づいて治療有効性を比較するため、多施設共同研究を行った。European child & adolescent psychiatry誌オンライン版2017年5月19日号の報告。 2011~16年にADHDセンター18施設より登録されたADHDレジストリデータベースを用い、特定した患者の医療記録を分析した。 主な結果は以下のとおり。・ADHDの診断基準を満たした患者は2,861例中1,919例(67%)であった。そのうちADHD単独の患者は650例(34%)、併存精神疾患を有する患者は1,269例(66%)であった(学習障害:56%、睡眠障害:23%、反抗挑発症[ODD]:20%、不安障害:12%)。・複合型で重度の障害(CGI-S:5以上)を有するADHD患者は、併存疾患を呈しやすかった。・724例中382例(53%)は、治療1年後改善が認められた。・合併症を伴うADHDは、併用療法またはメチルフェニデート単独で治療することにより、より大きな改善を示した。・具体的には、併用療法は、学習障害を伴うADHD(ES:0.66)およびODDを伴うADHD(ES:0.98)に対し有意な優位性を示し、睡眠障害または不安障害を伴うADHDでは優位性が低かった。・トレーニング介入のみでは、ADHDおよび学習障害に対し中程度の有効性しか得られなかった(ES:0.50)。 著者らは「本研究は、イタリアにおけるADHDと併存精神疾患との関連を検討した最初の研究であり、複数の臨床現場において、ADHDが複雑な疾患であることが確認された。適正かつ均一なADHDの管理を幅広く行うためには、診断や治療、サービス制度が非常に重要である」としている。■関連記事自閉症とADHD症状併発患者に対する非定型抗精神病薬の比較ADHDに対するメチルフェニデートは有益なのかADHDに対する集中治療プログラムの効果:久留米大

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妊婦へのリチウム使用、幼児への影響は

 妊娠初期のリチウム曝露は、幼児のEbstein奇形や全体的な先天性心疾患のリスク増加と関連している可能性があるが、そのデータは相反し、限定的である。米国・ハーバード大学医学大学院のElisabetta Patorno氏らは、メディケイドのデータより、2000~10年に出産した女性における132万5,563件の妊娠に関するコホート研究を行った。NEJM誌2017年6月8日号の報告。 妊娠第1三半期においてリチウムに曝露された幼児の心臓奇形リスクを、曝露されていない幼児と比較した。2次分析では、他の一般的に使用される気分安定薬であるラモトリギン曝露との比較を行った。リスク比(RR)および95%信頼区間(CI)は、精神医学的状態、薬物療法、他の潜在的な交絡因子に関してコントロールし、推定した。 主な結果は以下のとおり。・心臓奇形が認められた幼児は、リチウムに曝露された663例中16例(2.41%)、曝露されていない132万2,955例中1万5,251例(1.15%)、ラモトリギンに曝露された1,945例中27例(1.39%)であった。・リチウムに曝露された幼児における曝露されていない幼児と比較した心臓奇形に関する調整RRは、1.65(95%CI:1.02~2.68)であった。・リチウムの用量別にみると、600mg/日以下のRRは1.11(95%CI:0.46~2.64)、601~900mg/日のRRは1.60(95%CI:0.67~3.80)、900mg/日超のRRは3.22(95%CI:1.47~7.02)であった。・右室流出路障害の有病率は、リチウムに曝露された幼児では0.60%であったのに対し、曝露されていない幼児では0.18%であった(調整RR:2.66、95%CI:1.00~7.06)。・ラモトリギンに曝露された幼児を対照として用いた場合、その結果は類似していた。 著者らは「妊娠初期における母親のリチウム使用は、幼児のEbstein奇形を含む心臓奇形リスクの増加と関連していた。この効果値は、以前に考えられていたよりも小さかった」としている。■関連記事妊娠中の抗うつ薬使用、自閉スペクトラム症への影響は妊娠中のSSRI使用、妊婦や胎児への影響は双極性障害、リチウムは最良の選択か

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遺伝性血管性浮腫〔HAE:Hereditary angioedema〕

1 疾患概要■ 概念・定義遺伝性血管性浮腫(HAE)は、顔面や四肢、腸管や喉頭など全身のさまざまな部位に突発性、一過性の浮腫を生じる遺伝性疾患である。気道閉塞や激烈な腹痛を生じて重篤になりうるため希少疾患ではあるが見逃してはならない。従来、C1インヒビター(C1-INH)遺伝子異常によるHAE I型、II型が知られていたが、2000年にC1-INH遺伝子に異常を認めないHAE with normal C1-INH(HAEnC1-INHあるいはHAE III型)が報告された。HAEは常染色体優性遺伝形式をとるが、HAE III型では浸透率が低く、しかも発症するのはほとんど女性である。またHAE I/II型では家族歴のない孤発例も25%で認められる。孤発例はde novoの遺伝子異常症である1)。HAEにみられる突発性浮腫の本態は、これらの遺伝子異常の結果、産生が亢進したブラジキニンなどの炎症メディエーターによって血管透過性が亢進することがある。古くから知られた疾患であるがまれな疾患であり、気付かれにくく診断に難渋することが多い。2010年に「遺伝性血管性浮腫ガイドライン2010」が補体研究会(現 一般社団法人 日本補体学会)から発表され2)、2014年に改訂された3)。HAEの診断、鑑別、症状別の治療方針について系統的に記載されたわが国で初めてのガイドラインである。■ 疫学HAE I/II型は人種を問わず5万人に1人とする報告が多い。HAE III型は10万人に1人程度と考えられている。いずれもすべての人種で報告されている。■ 病因HAEはその病因から3つの型に分類される。I型常染色体優性の遺伝形式をとり、C1-INHの活性、タンパク量ともに低下している。HAE全体の約85%を占める。II型常染色体優性の遺伝形式をとり、C1-INHの活性中心のアミノ酸変異による機能異常である。C1-INH活性は低下するが、タンパク量は低下しない。HAEの約15%を占める。III型遺伝性であるがほとんど女性に発症する。病態の詳細は不明であるが、一部の症例に凝固XII因子の変異を認める。C1-INHの活性、タンパク量ともに正常である。HAEのほとんどを占めるI型、II型の原因は、遺伝子変異によるC1-INHの機能低下である。I型、II型ならびにIII型の中で凝固XII因子の変異がある場合は、最終的にブラジキニンの産生が亢進する。その結果、血管透過性が亢進し、血管外に水分が漏出、貯留して浮腫が生じるが、この浮腫は数日で消失する。III型で凝固XII因子の異常を認めない場合の病因は不明である。■ 症状24時間で最大となり数日で自然に消褪する発作を繰り返す。10~20歳代に初発することが多い。I~III型まで報告されているHAEの特徴を、表に示す4)。いずれの病型も発現する症状はほぼ同じである。風邪、外傷、歯科治療、精神的ストレス、疲労などが誘因になりやすいが、何の誘因もない症例も多い。浮腫発作がないときには、健康人と何ら変わりはない。画像を拡大する1)皮膚症状眼瞼、口唇、四肢に発作性に浮腫を生じやすいが、ほかにもあらゆる場所に生じうる。浮腫を起こした皮膚表面は、赤みをごく軽度に帯びることはあっても蕁麻疹などのように明瞭な皮疹は伴わない。発作初期に罹患部がピリピリすることはあるが痛みやかゆみはない。2)消化器症状嘔気、嘔吐、下痢、腹痛などがあるが、なかでも腹痛は激烈である。炎症性疾患とは異なり、筋性防御はなく腹部エコーやCT所見で浮腫を認める。3)喉頭浮腫嚥下困難、喉の詰まり感、嗄声や声が出ないなどの声の変化、息苦しさを呈するが、進行すると呼吸困難、窒息になる。■ 予後喉頭浮腫を生じているにもかかわらず、適切に治療されなかった場合の致死率は30%とされる。その他の症候は予後良好である。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ 診断基準1)突発性の浮腫2)補体C4の低下、C1-INH活性の低下3)家族歴以上の3つがあればHAE I型あるいはII型(HAE I/II型)と診断できる。C1-INHタンパク質量が低下していればHAE I型、正常または増加していればHAE II型である。1)と3)のみの場合、HAE III型と診断しうる。1)と2)のみの場合HAE I/II型の孤発例か後天性血管性浮腫である。血清C1qタンパク質定量(保険適用外)が低値であれば後天性とされているが、HAEの場合でも低値を示すことがある。4)確定診断のためには遺伝子解析が有用である。確定診断のためにはC1-INH遺伝子(SERPING1)異常の同定が望ましい。HAE III型の一部では凝固XII因子遺伝子異常が報告されているが、わが国での報告はない。HAE III型は今後の研究の進展に伴って疾患概念が変化する可能性がある。5)診断の参考となるアルゴリズムを提示する(図)1)。画像を拡大する■ 検査1)HAEを疑った際にはまず補体C4濃度を測定する。発作時には100%、発作がないときでも98%の検体で基準値を下回る。2)C1-INH活性は発作時であるか否かにかかわらず50%未満となるため診断に最も有用である。保険適用である。3)C1-INHタンパク質定量はHAE I型、II型を区別する場合に施行するが、保険適用ではない。4)HAE I/II型ではSERPING1遺伝子のヘテロ変異を認める。5)HAE III型の一部には凝固XII因子の遺伝子異常を認めるが、それ以外には診断に役立つ検査はない。■ 鑑別診断突発性浮腫を呈するほかの疾患との鑑別が重要である。1)アレルギー性血管性浮腫蕁麻疹を伴い、原因はペニシリンなどの薬剤や卵、小麦などの食物、化学物質に対するIgEを介したアレルギー機序である。2)後天性血管性浮腫思春期発症が多いHAEと異なり40歳以降に初発することが多い。悪性腫瘍、自己免疫によるC1-INHの消費が原因である。3)非アレルギー性薬剤性血管性浮腫アスピリンや非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)では、COX阻害により浮腫を生じる。ACE阻害薬内服患者の0.1~0.5%に生じるとされる。4)物理的刺激による血管性浮腫温熱、寒冷、振動、日光曝露などの物理的刺激で生じる。5)好酸球増多を伴う好酸球性血管性浮腫末梢血の好酸球増多、繰り返す浮腫と発熱、蕁麻疹、体重増加とIgM増加を伴う。まれ。6)特発性浮腫原因不明である。血管性浮腫の半数近くを占め、最も頻度が高い。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)発作出現時の治療と発作の予防の2つに分けられる。1)発作時の治療世界的にはC1-INH製剤、ブラジキニンB2受容体拮抗薬、カリクレイン阻害薬の3系統が存在するが、わが国では2017年6月現在ヒト血漿由来C1-INH製剤である乾燥濃縮人C1インアクチベーター製剤(商品名:ベリナートP静注)のみ保険適用である。顔面、頸部、喉頭、腹部の発作には積極的に投与する。2)短期予防あらかじめ処置や手術がわかっているときの発作予防である。ベリナートPが1990年にわが国で承認されて以来、効能・効果は「遺伝性血管性浮腫の急性発作」のみであった。しかしながら、侵襲を伴う処置に対する発作予防の必要性が認められ、2017年3月ベリナートPの効能・効果に「侵襲を伴う処置による遺伝性血管性浮腫の急性発作の発症抑制」が追加された。(1)歯科治療(侵襲が小さい場合)C1-INH製剤の準備のうえならば予防投与は必要ない。(2)歯科治療(侵襲が大きい場合)、外科手術などの大ストレス時手術の1時間前にC1-INH製剤の補充を行う。3)長期予防1ヵ月に1回以上あるいは1ヵ月に5日以上の発作がある場合、または喉頭浮腫の既往がある場合には、次の治療を検討する。(1)トラネキサム酸(同:トランサミン)30~50mg/kg/日を1日2~3回に分けて服用する。そのほか、長期の発作予防には抗プラスミン作用を期待してトラネキサム酸が用いられるが、効果は限定的である。(2)ダナゾール(同:ボンゾール)蛋白同化ホルモンであるダナゾールも用いられる。2.5mg/kg/日(最大200mg/日)を1ヵ月、もし無効ならば300mgを1ヵ月、さらに無効ならば400mg/日を1ヵ月投与する。有効であれば、その後1ヵ月ごとに半量に軽減し50mg/日連日か100mg/日隔日まで減量する。副作用として肝障害、高血糖、多毛、男性化には注意が必要である。ただし保険適用はない。(3)C1-INH製剤(C1エステラーゼ阻害剤)欧米ではヒト血漿由来のCinryzeの予防投与(週2回、静注)が認められているが、わが国では未承認である。4 今後の展望HAEの早期発見、早期治療のためには、関連診療科医師へのさらなる啓発活動が重要である。また、HAEのような希少疾患では、1人でも多くの患者情報を正確に収集し、病態の把握や診断基準の作成に役立てる必要がある。欧米では、すでにいくつかの登録システムが稼働しているように、わが国においても患者レジストリーの構築が不可欠である。現在、NPO法人 血管性浮腫情報センターと、一般社団法人 日本補体学会の協力をもとにレジストリーの構築が進められている。薬剤治療法については、従来から存在するヒト血漿由来C1-INH製剤に加えて、最近の10年間で遺伝子組換えヒトC1-INH製剤、ブラジキニンB2受容体拮抗薬、カリクレイン阻害薬が次々と登場してきた。わが国ではヒト血漿由来C1-INH製剤ベリナートPのみがHAEへの保険適用を認められているに過ぎないが、これらの薬剤のHAEへの承認へ向けた臨床試験が進められている。とくに新しい経口のHAE治療薬開発の進展が期待されている。5 主たる診療科内科、皮膚科、耳鼻咽喉科、小児科、救命救急科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報NPO法人 血管性浮腫情報センター(CREATE)(医療従事者向けのまとまった情報)一般社団法人 日本補体学会HAEサイト(医療従事者向けのまとまった情報)患者会情報HAE患者会「くみーむ」(HAE患者と家族への情報)その他の情報腫れ・腹痛ナビ(医療従事者向け)腫れ・腹痛ナビ(患者さん向け)1)堀内孝彦. 遺伝性血管性浮腫(HAE). In:日本免疫不全症研究会編. 原発性免疫不全症候群 診療の手引き. 診断と治療社; 2017.p.130-135.2)Horiuchi T, et al. Allergol Int. 2012;61:559-562.3)堀内孝彦ほか. 補体. 2014;52:24-30.4)堀内孝彦. 医学のあゆみ. 2016;258:861-866.公開履歴初回2017年6月27日

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湿疹性紅皮症

【皮膚疾患】湿疹性紅皮症◆病状全身の皮膚が赤くなり、激しい痒み、リンパ節の腫れ、皮膚がフケのように落ちるなどの症状がみられ、時に発熱、脱水、体温調節ができなくなることもあります。◆原因アトピー性皮膚炎など湿疹が悪化して生じることが多い疾患ですが、ウイルス感染、膠原病、血液の腫瘍などからも起きます。免疫力の低下、肝・腎臓などの機能低下、あやまった治療や放置により紅皮症へ進みます。◆治療と予防・ステロイド外用薬が治療の基本ですが、重症の場合はステロイドや免疫抑制剤の内服、点滴などを行います。入院が必要となる場合もあります。・紅皮症に至る前に、きちんと皮膚疾患の治療をする必要があります。監修:浅井皮膚科クリニック 院長Copyright © 2017 CareNet,Inc. All rights reserved.浅井 俊弥氏

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妊娠中の抗うつ薬使用、自閉スペクトラム症への影響は

 これまで研究において、妊娠中の母親の抗うつ薬使用が、子供の自閉スペクトラム症(ASD:autism spectrum disorder)のリスクを高めるかを調査したが、その結果は矛盾していた。米国・マウントサイナイ医科大学のA. Viktorin氏らは、妊娠中の抗うつ薬治療による子供のASDリスクについて検討を行った。Psychological medicine誌オンライン版2017年5月22日号の報告。 2006、07年に誕生した子供179例の集団ベースコホートを対象に、子供たちが7、8歳となる2014年までフォローを行った。Cox回帰を用いて、妊娠中に抗うつ薬に曝露された子供におけるASDの相対リスク(RR)および95%信頼区間(CI)を推定し、また特定の9種の抗うつ薬についての分析も行った。解析では、潜在的な交絡因子の調整を行い、全サンプルとうつ病または不安症の診断を有する母親の臨床的に適切なサブサンプルにおいて実施した。 主な結果は以下のとおり。・妊娠中に抗うつ薬を使用した母親の子供におけるASDの調整RRは1.23(95%CI:0.96~1.57)、うつ病または不安症の診断歴のある女性で1.07(95%CI:0.80~1.43)であった。・特定の抗うつ薬の分析では、citalopramおよびエスシタロプラム(RR:1.47、95%CI:0.92~2.35)と、クロミプラミン(RR:2.86、95%CI:1.04~7.82)においては、子供のASDのRRが増加した。 著者らは「妊娠中の抗うつ薬使用は、子供のASDリスク増加と関連があるとは考えられない。代わりにこの結果は、精神障害への感受性に関連する要因によって説明されることを示唆している。これらの知見に基づき、子供のASDリスクのために一般的に使用されている妊婦に対する抗うつ薬治療を控える必要はない」としている。■関連記事妊娠中のSSRI使用、妊婦や胎児への影響は妊娠中のコーヒー摂取、子供のADHDへの影響は妊娠初期のSSRI曝露、胎児への影響は

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鶏卵アレルギー予防、生後6ヵ月から微量鶏卵摂取を推奨 日本小児アレルギー学会提言

 6月16日、日本小児アレルギー学会から「鶏卵アレルギー発症予防に関する提言」が公表された。提言では、鶏卵アレルギー発症予防の方策として、アトピー性皮膚炎の乳児において、医師の管理のもと生後6ヵ月から微量の鶏卵摂取を推奨。鶏卵摂取はアトピー性皮膚炎が寛解した上で進めることが望ましいとしている。この提言は2016年に発刊された「食物アレルギー診療ガイドライン2016」および国立成育医療センターが報告したPETITスタディに基づく。 なお、すでに鶏卵アレルギーの発症が疑われる乳児に鶏卵摂取を促すことは極めて危険として、これに関しては「食物アレルギー診療ガイドライン2016」に準拠した対応を求めている。また、アトピー性皮膚炎に罹患していない乳児の鶏卵摂取については「授乳・離乳の支援ガイド2007」を参照するよう勧めている。

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伝染性膿痂疹(とびひ)

【皮膚疾患】伝染性膿痂疹(とびひ)◆病状体のあちこちに紅斑、痂皮(かさぶた)、水ぶくれなどが出て、周囲や遠くの部位に次々と拡大する皮膚疾患です。◆原因皮膚表面への細菌感染が原因で、水ぶくれをつくる黄色ブドウ球菌、かさぶたをつくる溶血性レンサ球菌とに分かれます。ほとんどが前者の方です。小児に多く発症します。湿疹や虫刺され、けがなどから始まることがあります。◆治療と予防・抗菌薬の内服と外用薬で治療します。搔きこわして広がっていくことが多いので、ステロイド外用薬を併用することもあります。・抗菌薬の効果をみるため、2~3日後にあらためて診察をします。・多くの薬剤に耐性をもつMRSAなどの菌がついていると治りにくいです。・皮膚を清潔にする、湿疹をきちんと治す、爪を短く切っておく、手をよく洗うなどして予防しましょう。監修:浅井皮膚科クリニック 院長Copyright © 2017 CareNet,Inc. All rights reserved.浅井 俊弥氏

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成人ADHDに対する中枢神経刺激薬、不眠を悪化させるのか

 注意欠如・多動症(ADHD)の成人における、不眠症の有病率と臨床サブタイプ、現在のADHD症状、中枢神経刺激薬治療との関連について、ノルウェー・Haukeland University HospitalのE.J.Brevik氏らが調査を行った。Acta psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2017年5月26日号の報告。 DSM-IV基準に従って診断された成人ADHD患者268例(平均年齢:38.1歳)および、ランダムに選択されたコントロール群202例(平均年齢:36.5歳)を対象とし、診断情報、症状評価尺度、治療歴を収集した。不眠症は、Bergen Insomnia Scale(BIS)で測定した。ADHD症状の自己評価には、成人ADHD自己評価尺度を用いた。 主な結果は以下のとおり。・不眠症は、成人ADHD(66.8%)においてコントロール群(28.8%)よりも頻繁に認められた(p<0.001)。・不眠症は、ADHD不注意優勢型(55.6%)よりも混合型(79.7%)において、より好発していた(p=0.003)。・自己評価による現在のADHD症状では、不注意と不眠症は強く相関していた。・現在ADHDに対して中枢神経刺激薬を使用している患者では、使用していない患者と比較し、不眠症の総スコアが低かった(p<0.05)。 著者らは「不眠症は、ADHD成人において非常に一般的である。中枢神経刺激薬を現在使用している患者の不眠症スコアが低いことから、中枢神経刺激薬は、成人ADHDの不眠症の悪化と関連していないことが示唆された」としている。■関連記事 成人ADHD、世界の調査結果発表 中枢神経刺激薬の睡眠に対する影響を検証 ADHDに対するメチルフェニデートは有益なのか

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夏の行事の前に今から夜尿症を治す

 フェリング・ファーマ株式会社は、5月30日の「世界夜尿症(おねしょ)デー」を前に、夏のお泊まり行事の不安に関する親子アンケートを実施。その結果を発表した。意外と多い夜尿症の悩み 夜尿症(5歳までは「おねしょ」)は、わが国の小中学生の罹病率が6.4%と推察され、アレルギー疾患に次いで頻度の高い慢性小児疾患である。その治療は保険診療の対象となっている。 夜尿症の原因として、第一に、夜間の抗利尿ホルモンの分泌が不十分なため、就寝中に尿の生成が増加し夜間多尿となり、尿量が夜間の機能的膀胱容量を超えてしまうこと、第二に、就寝中の膀胱容量低下によるものが挙げられ、これらのいずれか、または両方、さらに尿意による覚醒ができないことなども原因として指摘されている。 治療では、生活改善、薬物療法、アラーム療法(行動療法)などが行われている。生活改善指導として、規則正しい生活、水分/塩分摂取への配慮、就寝前の排尿といった取り組みを行うことで、1~2割程度の子供の夜尿が消失する。薬物治療は、抗利尿ホルモン製剤であるデスモプレシン(商品名同)などがあり、「夜尿症診療ガイドライン2016」では第1選択薬とされている。アラーム療法は、夜尿をセンサーが察知し、アラームや振動により覚醒を促す機器を用いるものである。前述のガイドラインでは、これらを組み合わせて治療することを記している。子供の3人に1人はおねしょが心配 「おねしょに関する調査」は、2017年4月に全国の小学校1~3年生の子供とその保護者500組1,000名にインターネットアンケートで実施された。 これによると子供(n=500)の27%が「おねしょ」について「とても心配/心配」と回答し、上位となった項目「ひとりで眠れるか」(同29.4%)、「ホームシックにならないか」(同28.4%)と比較しても割合に差がなく、心配の度合いが高いことが示された。そして、「おねしょが心配」と回答した子供の保護者(n=217)に対策の実施状況を聞いたところ、34.1%しか対策を実施していないことがわかった。具体的な対策(n=96)としては、(複数回答で)寝る前の水分の摂取制限(61.5%)が一番多く、おむつの使用(38.5%)、夜間起こしての排尿(25.0%)が挙げられ、病院へ連れていくという回答はわずか7.3%であった。 保護者(n=500)に「小児科で相談・治療できることを知っているか」の質問では、44.6%が「知っている」と答え、「保険診療できることを知っているか」の質問では、32.0%しか「知っている」と回答しなかったことで、医療機関で受診できることが知られていない状況が明らかとなった。「夜尿症」の相談はどこで? 同社では、夜尿症という疾患啓発のためのプロジェクト「おねしょ卒業!プロジェクト」を企画運営し、情報提供WEBサイト「おねしょドットコム」上で正しい知識や対応方法について発信を行っている。 通常、夜尿症は、治療を始めてから効果が表れるまで少なくとも3ヵ月~半年程度かかることから、夏の帰省旅行やキャンプなど子供たちの宿泊を伴う行事が始まる前に、早めに小児科医などに相談を行い、治療が必要なケースかどうかを確認してほしいと期待を寄せている。■参考 おねしょドットコム■関連記事 夜尿症推計78万人のうち受診は4万人

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X染色体遺伝性低リン血症〔XLH:X-linked hypophosphatemic rickets〕

1 疾患概要■ 定義X染色体遺伝性低リン血症(X連鎖性低リン血症性くる病)は、X連鎖性優性遺伝形式を示し、腎尿細管でのリン酸再吸収障害に基づく過リン酸尿、低リン血症、ビタミンD活性化障害、骨石灰化障害を呈する遺伝性疾患である。骨石灰化障害は、成長軟骨帯閉鎖以前に発症するものを「くる病」、成人期のものを「骨軟化症」と呼ぶ。本症はビタミンD欠乏性くる病・骨軟化症とは異なり、天然型ビタミンD投与により完治しないことから、しばしばビタミンD抵抗性くる病・骨軟化症とも呼ばれる。■ 疫学詳細は不明であるが、厚生労働省難治性疾患克服研究事業「ホルモン受容機構異常に関する調査研究班」の全国調査から、わが国における年間発症症例数は117例(95%信頼区間 75-160)と推定されている。■ 病因・病態本症はX染色体に存在するPHEX(phosphate-regulating gene with homologies to endopeptidases on the X chromosome)遺伝子の機能喪失に基づく。PHEX遺伝子は主として骨芽細胞や骨細胞に発現している。本症の原因であるPHEXの機能喪失は骨におけるFGF23の過剰産生をもたらし、このFGF23作用の過剰が尿中リン酸排泄増加による低リン血症やビタミンDの活性化障害を引き起こす(図1)。PHEXの機能喪失がFGF23の過剰産生をもたらす機序は明確になっていない。画像を拡大するFGF23は主として骨芽細胞や骨細胞で産生され、近位尿細管におけるIIa型およびIIc型のナトリウム/リン酸共輸送担体の発現を減少させることによりリン酸再吸収を抑制し、血清リン値を低下させる。また、FGF23は、ビタミンDの活性化酵素である1α水酸化酵素の発現を抑制して不活性化酵素である24水酸化酵素の発現を誘導することにより、活性型のビタミンDである1,25(OH)2Dの血中濃度を低下させる。1,25(OH)2Dの低下に伴う腸管でのリン吸収の抑制は血清リン値をさらに低下させる。リンはカルシウム(Ca)とともにハイドロキシアパタイトの主要構成成分であるため、本症における慢性的な低リン血症は、骨石灰化障害であるくる病や骨軟化症をもたらす。低リン血症性くる病・骨軟化症の中には、本症以外にもFGF23作用の過剰による疾患群が存在し、FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症と総称される(表)。画像を拡大する■ 症状尿中リン酸排泄増加、低リン血症、骨変形やO脚、関節腫脹、低身長、骨単純X線像としての杯様変化や毛羽立ちなどのくる病所見を認め、くる病はビタミンD抵抗性である。ビタミンDの活性化障害が存在するため、低リン血症が存在するにもかかわらず血中1,25(OH)2D値は上昇しない。ほかのくる病・骨軟化症と同様に、血清ALP値は上昇する。多くの場合、副甲状腺ホルモン(PTH)値は正常である。見逃されがちな症状として歯の異常が挙げられ、本症の患者はエナメル質欠損や象牙質石灰化障害、歯根膿瘍などを示す。成人では筋力低下や骨痛が主徴となる。また、後縦靱帯骨化症や腱付着部症(enthesopathy)をしばしば認める。■ 予後従来行われてきたリン酸製剤と活性型ビタミンDを用いた治療により本症患者の成長障害はある程度改善するが、成人身長は平均を下回る場合が多い。また、骨変形の完全な防止は困難であり、筋力低下や骨痛のため服薬が中止できないことが少なくない。前述したように、後縦靱帯骨化症や石灰化を伴うenthesopathyを合併しやすい。また、長期にわたる活性型ビタミンDの投与により尿中Ca排泄が増加し、腎機能に影響を及ぼす場合がある。2019年より、新規治療薬としてヒト型抗FGF23モノクローナル抗体(商品名:クリースビータ)が使用可能となったことから、今後、本疾患の予後が変化する可能性がある。2 診断骨石灰化障害であるくる病や骨軟化症には、本症のようなFGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症のほか、ビタミンD欠乏性くる病やビタミンD依存症I型・II型、薬剤性くる病・骨軟化症、ファンコーニ症候群など、さまざまな疾患が含まれる。そこで、厚生労働省難治性疾患克服研究事業「ホルモン受容機構異常に関する調査研究班」では、日本内分泌学会・日本骨代謝学会との合同で、「くる病・骨軟化症の診断マニュアル」を作成し1)、学会ホームページ上で公開している。このマニュアルでは、くる病・骨軟化症の症例に遭遇したときには、まず血清リン値を評価し、低リン血症が存在すれば血中FGF23値の測定を行う。血清リン値の基準値は年齢で異なるので、注意が必要である。くる病・骨軟化症患者で低リン血症が存在し、血中intact FGF23値が30pg/mL以上であれば、FGF23関連くる病・骨軟化症と診断する(図2)。FGF23関連くる病・骨軟化症の診断または治療効果判定を目的としたFGF23の測定は、2019年より保険適用となっている。表に示した通り、FGF23関連くる病・骨軟化症には本症以外にもさまざまな疾患が含まれるので、腫瘍性骨軟化症などとの鑑別のために詳細な家族歴の調査が必要となるが、しばしば孤発例も報告されており、診断に苦慮する場合がある。こうした症例ではPHEX遺伝子検査が有用である。画像を拡大する3 治療 (治験中・研究中のものも含む)本症をはじめとするFGF23関連低リン血症性くる病においては、尿中リン酸排泄増加に加えビタミンD活性化障害を伴うため、従来、中性リン酸塩と活性型ビタミンDの併用投与が行われてきた。経口リン酸製剤(例:ホスリボン配合顆粒など)は20~60mg/kg/日を数回に分割して投与する。リン投与が過剰になると消化器症状や副甲状腺機能亢進症のリスクが高まる。活性型ビタミンDとしては通常、アルファカルシドール(1αOHD3)0.03~0.05μg/kg/日で開始し、血清Ca値や尿中Ca排泄を指標に投与量を調節する。成人における治療法は確立していない。活性型ビタミンD投与が長期にわたるため、腎エコー上、腎石灰化が高頻度に認められるが、腎機能の低下を来すことはまれである。近年、FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症に対する新規治療薬として、ヒト型FGF23モノクローナル抗体ブロスマブが使用可能となった。XLHに対しては、成人患者では4週毎に1 mg/kg(ただし90 mg以下)を、小児患者では2週毎に0.8 mg/kgを皮下投与する。在宅自己注射も可能となっている。リン製剤や活性型ビタミンD投与による治療からブロスマブ投与に切り替える際には、それまでの治療を中止して血清リン値が低値になっていることを確認しなくてはならない。ブロスマブは血清リン値や症状に応じて増減するが、最高用量は2mg/kg/回(ただし90 mg以下)である。4 今後の展望2019年以降、血中FGF23測定が保険適用となり、ブロスマブが使用可能となったことから、XLHの診療は大きく変化しつつある。ブロスマブの導入により、XLHにおける身長予後や合併症が改善するかどうか、今後の検討が待たれる。5 主たる診療科小児科、内分泌内科、整形外科6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療研究情報難病情報センター ビタミンD抵抗性くる病/骨軟化症(一般向けと医療従事者向けのまとまった情報)小児慢性特定疾病情報センター 原発性低リン血症性くる病(一般向けと医療従事者向けのまとまった情報)患者会XLH Network(米国にある本疾患の患者会サイト。英文だが日本語選択も可能)1)Fukumoto S, et al. Endocr J. 2015;62:665–671.2)Carpenter TO, et al. J Bone Miner Res. 2011;26:1381–1388.3)Haffner D, et al. Nat Rev Nephrol. 2019;15:436–455.4)Carpenter TO, et al. New Engl J Med. 2018;378:1987–1998.5)Imel EA, et al. Lancet. 2019;393:2416–2427.公開履歴初回2017年06月13日更新2022年02月03日

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妊娠中の抗うつ薬服用と児のADHDの関連/BMJ

 母親の抗うつ薬服用と子供の注意欠如・多動症(ADHD)との関連について、住民ベースのコホート研究による知見が示された。中国・香港大学のKenneth K C Man氏らによる報告で、子供のADHDリスクは、母親が抗うつ薬を妊娠中服用していた群と妊娠前まで服用していた群で同程度であった。一方で、抗うつ薬服用の有無にかかわらず、精神障害を有する母親の子供はADHDリスクが高かったという。著者は、既報では家族のリスク因子を補正しておらず過大評価されている可能性を指摘し、「抗うつ薬服用とADHDの因果関係を決して否定はしないが、あるとしても関連の強さは既報よりも小さいものと思われる」とまとめている。BMJ誌2017年5月31日号掲載の報告。香港の住民ベースコホート研究で関連を評価 検討は、香港住民をベースとした電子医療カルテClinical Data Analysis and Reporting Systemのデータを用いて行われた。2001年1月~2009年12月に香港の公立病院で生まれた子供19万618例を2015年12月まで追跡し、母親の妊娠中の抗うつ薬服用と6~14歳児のADHDの関連についてハザード比(HR)を求めて評価した。 平均追跡期間は9.3年(範囲:7.4~11.0年)であった。母親の出産時平均年齢は31.2歳(SD 5.1)。母親が精神障害など交絡因子で補正後は関連性が低下 対象19万618例のうち、妊娠中に母親が抗うつ薬を服用していたのは1,252例であり、ADHDの診断または治療を受けた子供は5,659例(3.0%)であった。 妊娠中の抗うつ薬服用群の粗HRは、非服用群との比較で2.26(p<0.01)であった。しかし、潜在的交絡因子(母親が精神障害、または他の抗精神病薬を服用など)で補正後は、1.39(95%信頼区間[CI]:1.07~1.82、p=0.01)に低下した。 同様の関連結果は、母親が抗うつ薬を妊娠前まで服用していた群と服用歴がない群で比較した場合にもみられた(1.76、1.36~2.30、p<0.01)。 一方、母親の抗うつ薬服用歴がない場合でも、ADHDリスクは、母親が精神障害を有する子供のほうが、精神障害を有さない母親の子供との比較において有意に高かった(1.84、1.54~2.18、p<0.01)。 感度解析の結果もすべて同様の結果が示された。 また、兄弟姉妹を適合した分析において、抗うつ薬の妊娠中の曝露群と非曝露群にADHDリスクの有意な差はみられなかった(0.54、0.17~1.74、p=0.30)。 結果について著者は、「抗うつ薬の出生前使用と出生後ADHDリスクとの関連について、少なくとも一部は、交絡因子として含まれる抗うつ薬の適応によって説明可能であることを示唆するものであった」と述べている。

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先天異常の原因、5人中4人は「未知」/BMJ

 米国・ユタ大学のMarcia L. Feldkamp氏らが実施したコホート研究の結果、主要な先天異常の5人に4人はその原因が不明であることが明らかとなった。著者は、「一次予防や治療の根拠となる基礎研究ならびにトランスレーショナル研究を早急に行う必要がある」と述べている。これまでは、病院ベースで既知の原因の有無別に先天異常の割合を評価した研究が2件あるだけだった。BMJ誌2017年5月30日号掲載の報告。先天異常児約5,500例について解析 研究グループは、主要な先天異常の原因と臨床像を評価する目的で、集団ベースの症例コホート研究を行った。 地域住民のサーベイランスシステムで確認されたユタ州在住女性が2005~09年に出産した児のすべての記録を臨床的に再調査し、生児出生および死産を合わせた計27万878例のうち、軽度の単独所見(筋性部心室中隔欠損症、遠位尿道下裂など)を除く主要な先天異常児5,504例(有病率2.03%)について分析した。 主要評価項目は、形態学(単独、多発、小奇形のみ)および病理発生(シーケンス、発生域欠損、パターン)別の、原因が既知(染色体、遺伝子、ヒト催奇形因子、双胎形成)または未知の先天異常の割合である。5人に4人は未知の原因 確実な原因は20.2%(1,114例)で確認された。このうち染色体または遺伝子異常が94.4%(1,052例)を占め、催奇形因子が4.1%(46例、ほとんどが糖尿病合併妊娠のコントロール不良)、双胎形成が1.4%(16例、結合双胎児または無心症)であった。 残りの79.8%(4,390例)は、原因が未知の先天異常として分類された。このうち88.2%(3,874例)は単独の先天異常であった。家族歴(同様に罹患した一等親血縁者)は4.8%で確認された。5,504例中5,067例(92.1%)は生児出生(単独および非単独先天異常)、4,147例(75.3%)は単独先天異常(原因が既知または未知)と分類された。 著者は、「喫煙や糖尿病のように既知の原因に関しては、個々の症例で原因を決定することが課題として残っている。一方、未知の原因に関しては、それを突き止めるために包括的な研究戦略が必要である」と述べている。

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10代の自傷・薬物・飲酒による緊急入院、自殺リスクが大幅増/Lancet

 自傷行為や薬物乱用、アルコール摂取関連といった理由で緊急入院した10~19歳の青少年は、事故で緊急入院した青少年に比べ、退院後10年間の自殺リスクが3.2~4.5倍高いことが示された。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのAnnie Herbert氏らが、緊急入院をした青少年約100万人について後ろ向きコホート研究を行い明らかにした。Lancet誌オンライン版2017年5月25日号掲載の報告。15年間の病院データを基にした後ろ向きコホート研究 研究グループは、1997年4月~2012年3月の英国内の病院データHospital Episode Statistics(HES)を基に、緊急入院した10~19歳の青少年を対象に、後ろ向きコホート研究を行った。 被験者について、救急外来受診の原因が自傷行為、薬物乱用やアルコール関連、暴力による外傷といった逆境関連の場合と、それ以外の事故関連の場合に分け、退院後10年間の死亡リスクを比較した。死亡の原因は、自殺、薬物またはアルコール関連死、他殺、事故死、その他の5つに分類した。自傷者の自殺リスク、事故受傷者に比べ5~6倍 対象期間中に確認された、緊急入院をした青少年は108万368例で、そのうち女子は38万8,937例(36.0%)、男子は69万546例(63.9%)、性別の記載不明が885例(0.1%)だった。このうち、性別の記載不明885例と、慢性疾患などによる入院(男子5万6,107例[8.1%]、女子4万549例[10.4%])を除外して分析した。 逆境関連の外傷で入院したのは33万3,009例(30.8%)で、うち女子は54.6%、男子は45.4%だった。また、事故関連の受傷で入院したのは64万9,818例(60.2%)で、うち女子は25.6%、男子は74.4%だった。 対象となった青少年のうち、退院後10年間の死亡は4,782例(0.5%)だった(女子1,312例[27.4%]、男子3,470例[72.6%])。 逆境関連入院群は事故関連入院群に比べ、退院後10年間の自殺リスクが約3.2~4.5倍だった(補正後サブハザード比:女子4.54、男子3.15)。薬物またはアルコール関連死のリスクも、約3.5~4.7倍に上った(同:女子4.71、男子3.53)。なお、逆境関連入院群の10年死亡リスク推計には殺人リスクも含んだが、発生件数が少なく統計的に明らかなリスクは提示できなかった。 退院後10年間の補正後事故死リスクは、男子では逆境関連入院群が事故関連入院群と比べて有意な増加を示したが(補正後サブハザード比:1.26、95%信頼区間[CI]:1.09~1.47)、女子では有意な増加は認められなかった(1.21、0.90~1.63)。また、その他の要因についても、死亡リスクの低下が女子では認められたが(0.64、同0.53~0.77)、男子では認められなかった(0.99、0.84~1.17)。 自傷行為での入院群は事故関連入院群と比べ、退院後の自殺リスクが大幅に増大し、女子では補正後サブハザード比は5.11(95%CI:3.61~7.23)、男子では6.20(同:5.27~7.30)だった。そのほか、薬物乱用やアルコール摂取関連の入院群では、同リスクが女子で4.55倍、男子で4.51倍だった。暴力による入院群は、同リスクが男子でのみ有意に増大し1.43倍だった。しかしながら暴力による入院をした女子では、事故関連入院群と比較して、自殺リスクが増大したが、統計的な有意差は認められなかった(補正後サブハザード比:1.48、95%CI:0.73~2.98)。 なお、各外傷タイプについて、自殺リスクと薬物またはアルコール関連死のリスクは、同程度に増大が認められた。 これらの結果を踏まえて著者は、自傷に限らず、薬物乱用とアルコール関連で入院した青少年に対しても、退院後の自殺予防のための介入が必要だと述べている。

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未就学児への不適切な抗菌薬処方、小児科以外で多い

 未就学児の上気道感染症(URI)への抗菌薬処方に関する、全国の診療報酬請求データベースを用いた京都大学の吉田 都美氏らの後ろ向き研究から、非細菌性URIへの不適切な抗菌薬処方が、年齢の上昇、男児、施設の特性、小児科以外の診療科、時間外診療に関連することがわかった。Journal of public health誌オンライン版2017年4月27日号に掲載。 著者らは、わが国における2005年1月~2014年9月の診療報酬請求データベースから、外来での抗菌薬処方を特定し、各被験者の出生時から6歳までの処方パターンを調べた。また、ロジスティック回帰分析により、不適切な抗菌薬処方に関連する因子のオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・データベースにおいて小児が15万5,556人、うち男児が51.6%、女児が48.4%であった。・コホートの66.4%に抗菌薬が処方されており、第3世代セファロスポリンが最も多く(38.3%)、次いでマクロライド系(25.8%)、ペニシリン系(16.0%)であった。・非細菌性URIへの抗菌薬処方は、男児(OR:1.06、95%CI:1.05~1.07)、施設規模、小児科以外の診療科(OR:2.11、95%CI:2.08~2.14)、時間外診療(OR:1.64、95%CI:1.61~1.68)と関連していた。

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受動喫煙はうつぶせ寝より危険!?

受動喫煙はうつぶせ寝より危険!? 乳幼児突然死症候群(SIDS)は、1歳未満の健康な乳幼児が何の前触れもなく突然死に至る原因不明の疾患です。日本では 6,000~7,000人に1人の割合で発症しています。 その危険因子として指摘されているのが、乳幼児の「うつぶせ寝」です。 厚生労働省の調査※では、保護者の喫煙でSIDSが非喫煙者より4.67倍多く発症することがわかっています。一方「うつぶせ寝」によるSIDSリスクは3倍といわれており、保護者の喫煙のほうがリスクが高いということがわかります。※ http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/pdf/sids_kenkyu.pdfタバコでSIDSのリスクが上がります。子供のためにも喫煙はやめましょう!社会医療法人敬愛会 ちばなクリニックCopyright © 2017 CareNet, Inc. All rights reserved.清水 隆裕氏

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小児期に身体活動時間が長いと乳がんリスク低い

 成人期における身体活動は乳がんリスクの低下と関連するが、成人前の身体活動との関連を検討した研究は少ない。米国ノースカロライナ大学のNicole M. Niehoff氏らが5万人超の大規模女性コホートで5~19歳時の身体活動を調査したところ、乳がん発症リスクとの間に逆相関が示された。Breast cancer research and treatment誌オンライン版2017年5月12日号に掲載。 本研究は、35~74歳の5万884人の女性のコホートにおいて、小児期(5~12歳)と10代(13~19歳)におけるスポーツ/エクササイズの身体活動および10歳時・16歳時における非構造化身体活動(自由時間の身体活動)を調査した。乳がんとの関連を、乳がん全体で、またエストロゲン受容体(ER)および閉経状況別に、活動時間およびMET-時で検討した。また、ハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)をCox比例ハザードモデルで計算した。 主な結果は以下のとおり。・経過観察中に2,416例が乳がんと診断された(平均6.4年)。・5~19歳の間にスポーツ/エクササイズに週7時間以上参加していた群では、週1時間未満の群に比べて乳がんリスクが低かった(HR:0.75、95%CI:0.57~0.99)。・16歳時に非構造化身体活動を週7時間以上行っていた群では、週1時間未満の群に比べて乳がんリスクが低かった(HR:0.81、95%CI:0.70~0.95)。・この関連はER陽性乳がん、とくに小児期(5~12歳)の身体活動で、より顕著であった。・本研究では、小児/10代と成人での身体活動の相関が低いため(r=0.1)、最近の身体活動でこの結果を説明できる可能性は低い。

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亜鉛欠乏症のあなどれない影響

 2017年4月26日、都内においてノーベルファーマ株式会社は、「見落とされがちな『亜鉛不足』の最新治療~日本初となる低亜鉛血症治療薬の登場~」と題してプレスセミナーを開催した。セミナーでは、2008年に承認された同社の酢酸亜鉛水和物(商品名:ノベルジン)が2017年3月に低亜鉛血症にも追加承認されたことから、小児に多い亜鉛欠乏症の概要を小児科専門医の視点から、そして、亜鉛が肝疾患に与える影響について消化器専門医の視点から講演が行われた。亜鉛欠乏症はサプリメントでは補えない はじめに「けっして稀ではない亜鉛欠乏」と題し児玉浩子氏(帝京平成大学健康メディカル学部健康栄養学科 学科長・教授/帝京大学医学部小児科)が、亜鉛欠乏症の概要を説明した。 亜鉛は、人にとり必須微量ミネラルであり、成人男性なら約2gが体内に存在、各種酵素の形成や造血機能、皮膚代謝、味覚維持などの働きを担っている。亜鉛が欠乏すると、皮膚炎や脱毛、貧血、味覚障害、下痢、食欲低下、骨粗鬆症などの症状がみられ、性腺機能低下やとくに小児であれば発育障害を引き起こす。 「こうした身近にあるはずの亜鉛欠乏について、一般臨床ではあまり知られておらず、主な教科書や論文でも本症の症状が鑑別診断の対象とされていない。そのため、多くの場合、医療現場で見逃されている可能性がある」と児玉氏は指摘する。 「亜鉛欠乏症の診断指針」では、一定の症状(たとえば皮膚炎、口内炎、食欲低下、発育障害、易感染性、味覚障害など)があり、血清アルカリホスファターゼ(ALP)が低値で、症状の原因となる他の疾患が否定され、血清亜鉛値が60μg/dL未満で、亜鉛補充により症状が改善する場合を本症と確定診断する。 そして、亜鉛欠乏症と診断された場合、食事療法やサプリメントの摂取では改善しないことが多く、亜鉛製剤による治療が必要となる。亜鉛欠乏症の治療薬であるノベルジンを使用する際は、患者の病状や血清亜鉛値を参考としながら、成人および体重30kg以上の小児ならば1回25~50mgを開始用量としつつ、1日2回食後に経口投与する(最大150mg/日)。体重30kg未満の小児(なお、新生児は、現在臨床試験中)であれば1回25mgを開始用量とし、1日1回食後に経口投与する(最大75mg/日)。また、投与時に気を付けたい有害事象としては、嘔気、腹痛などの消化器症状、銅欠乏による貧血、白血球減少がある。いずれも重篤なものではないが、投与中は定期的血清亜鉛値の測定とこれによる減量と中止、必要な銅や鉄の補充を行う必要がある。 最後に児玉氏は「小児で食欲不振、低身長があれば亜鉛不足が推定される。また、成人であれば味覚異常、脱毛、貧血、長期の薬剤使用などがあれば亜鉛欠乏症を疑うサインとなる。日常診療でも本症を思い浮かべてもらい、疑ったら血清亜鉛値を検査するなど診療に生かしてもらいたい」と思いを語った。亜鉛欠乏が肝疾患に与える影響 次に片山和宏氏(大阪国際がんセンター 副院長/臨床研究センター長 肝胆膵内科)が、「亜鉛と肝疾患」をテーマに亜鉛欠乏が肝疾患に与える影響について解説した。 亜鉛には、タンパク合成を行う重要な働きがあり、欠乏すると肝臓の代謝不良から慢性肝疾患へ至るとされている。実際、亜鉛が不足し、肝臓でタンパク質の代謝が鈍るとアンモニアの処理ができず、肝性脳症になることが知られている。 そこで、片山氏が肝硬変患者の亜鉛欠乏の度合いを調べた研究では、血中アルブミン濃度が3.5g/dLまで下がると亜鉛欠乏(<70μg/dL)率は約90%になったという。また、肝硬変のタンパク代謝(アルブミン)と生命予後の関係の調査では、タンパク質合成がうまく働かず血中アルブミン濃度が下がると3.5g/dLを境に5年生存率にも大きく影響する。 そのほか、C型肝炎患者に亜鉛製剤投与の長期間経過観察(2,500日超)では、亜鉛濃度が80μg/dL以上維持できた場合、有意に発がん率が少なかったこと、動物モデルではあるが亜鉛投与で肝臓の線維化が抑制されたことなどが報告された。 臨床現場で使用されている「肝硬変診療ガイドライン2015(栄養編)」の中では、亜鉛補充は「中等度のエビデンス」とされ、亜鉛の必要性は認識されているもののエビデンスレベルが低く、今後エビデンスの集積が待たれるという。 最後に片山氏は「次回の改訂では、ガイドラインの栄養療法の項目で、エネルギー低栄養を認めたら低亜鉛血症への診療へと移る項目ができることを期待したい」と抱負を述べ、レクチャーを終えた。

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歯科治療で突然のむくみ!? 「遺伝性血管性浮腫」の危険性と予防

 2017年5月10日、都内にて「遺伝性血管性浮腫」をテーマにプレスセミナーが開催された(主催:CSLベーリング株式会社)。本セミナーは、今年3月に同社のベリナートP静注用500(一般名:乾燥濃縮人C1-インアクチベーター、以下ベリナート)が、「侵襲を伴う処置による遺伝性血管性浮腫の急性発作の発症抑制」に対する、適応追加承認を取得したことを受けて行われたものである。むくみが引き起こす、致死的な症状…HAEの危険性とは 遺伝性血管性浮腫(Hereditary angioedema、以下HAE)は、指定難病「原発性免疫不全症候群」の1つに認定されている疾患である。HAEは遺伝子の変異が原因で血液中のC1インヒビターの減少により、皮膚や消化管など、全身のあらゆる箇所に繰り返し腫れが起こる。 とくに、咽頭浮腫は、気道を塞いで呼吸困難を招き、致死的な状況に陥る場合もある、HAEの最も危険な症状である。セミナーの演者の1人、堀内 孝彦氏(九州大学病院 別府病院)は、咽頭浮腫が発症してから気道閉塞に至るまでの平均時間は8.3時間であったというデータを紹介し1)、症状を経過観察とすることで、窒息死に陥るケースがあることを紹介した。さらに、咽頭浮腫を呈していながら適切に治療しなかった場合の致死率は30%程度2)であることから、見逃してはいけない深刻な難病であることを強調した。意外と簡単? HAE早期鑑別のコツは、「あの問診と、この検査」 むくみが起こる原因として、とくに、抜歯などの歯科治療や、挿管が必要な全身麻酔は急性発作の強力な誘因として知られている。このように、血管性浮腫の原因は多彩であるが、堀内氏は「“家族歴の聴取”に加え、消化管浮腫による“激しい腹痛”の有無を聴取することで、HAEを疑うことができる」とコメントした。確定診断には補体C4値とC1-INHタンパク定量の2つの保険適応になる検査があるため、HAEを疑うことができれば、早期鑑別は比較的容易であるという。ベリナートの予防的短期投与がもたらすメリットとは もう1人の演者、田中 彰氏(日本歯科大学 新潟生命歯学部 口腔外科学講座)は自身の患者の歯科治療でHAE発作を初めて起こした症例を経験した。この経験をきっかけに、問診に加えて、高侵襲な歯科治療や抜歯において、術前の短期的予防投与が浮腫発作の抑制に有用であると強く感じたという。 ベリナートは、国内唯一のC1インアクチベーター製剤だが、身体への侵襲を伴う処置前の予防的な投与に対しても適応追加されたことで、患者さんが外科的治療や歯科治療を受ける際の急性発作のリスクを大きく低減することが期待される。

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確定診断までの平均期間は13.8年

 2017年5月9日、シャイアー・ジャパン株式会社は都内において、5月16日の「遺伝性血管性浮腫 啓発の日」を前に、「腫れやむくみ、腹痛を繰り返す難病の実態」と題したプレスセミナーを開催した。 セミナーでは、本症の概要解説のほか、同社が開設した情報サイト(医療従事者向け、患者・家族・一般向け)の紹介などが行われた。なお、遺伝性血管性浮腫は指定難病(原発性免疫不全症候群に含まれる)に指定されており、患者は公的補助を受けることができる。遺伝性血管性浮腫の概要 セミナーでは秀 道広氏(広島大学 医歯薬保健学研究科 皮膚科学 教授)が、「遺伝性血管性浮腫(HAE)の具体的症例と治療の現状」と題して概要を解説した。 HAEは、第11染色体長腕のヘテロ欠損または変異によりC1エステラーゼ阻害因子(C1-INH)が低下し、ブラジキニンが亢進することで起きる血管浮腫とされている。患者は、欧米の統計では約5万人に1人とされ(人種差はない)、わが国では約450例が確認されている希少疾病である。 症状として、浮腫が発作的に皮膚、気道、腸管などに生じる(歯科診療や手術が原因のことも多い)。これらに痒みはなく、数日で自然に消退する。顔面、とくに口唇、眼瞼に好発し、咽頭や声帯に生じた場合、呼吸困難を呈することがあり、挿管などの処置が必要となる。また、腸管などに生じた場合は、重度の腹痛や下痢を伴い、急性腹症との鑑別が必要となる。 診断では、「遺伝性血管性浮腫(HAE)ガイドライン 2010(改訂2014年版)」(日本補体学会作成)があり、HAEを疑う症候やC4補体のスクリーニング検査、家族歴の問診などで診断する。実際、アレルギー発作の治療で使用するアドレナリンやステロイドなどが無効のため、鑑別は重要だという。 治療では、急性の発作時や予防治療に乾燥濃縮人C1インアクチベーター製剤(商品名:ベリナートP静注)が使用される。また、このほかにも現在icatibant(国内申請中)やC1エステラーゼ阻害薬などの臨床治験が進められている。発作から気道閉塞まで平均8.3時間 診断もでき、治療法もある本症の問題は、医療従事者の間でもなかなか覚知されていない点にあるという。 疾患についての医師の認知度アンケートによれば、皮膚科(約9割)、血液内科(約6割)、小児科(約5割)、歯科口腔外科、呼吸器内科、救命救急科(いずれも約4割)と、皮膚科を除いてあまり知られていない。そのため、初発症状出現から確定診断までの平均期間は13.8年という報告もある1)。また、患者が咽頭浮腫を起こした場合、浮腫が最大に達するまでの平均時間は8.3時間(最短では20分)という報告もある2)ことから、万が一の気道閉塞も考えて、臨床現場では見逃してはいけない疾患であると秀氏は訴える。 最後に秀氏は、「本症は希少疾病ではあるが、医学的に確立しつつある疾患であり、今後、新しい治療薬の開発・臨床試験が行われようとしている。問題は、いかに広く本症が認知され、使うことができる治療法が患者へとつながるかにある」と述べ、レクチャーを終えた。(ケアネット 稲川 進)関連サイト「腫れ・腹痛ナビPRO」(医療従事者向け)「腫れ・腹痛ナビ」(患者、家族、一般向け)参考サイトNPO法人 血管性浮腫情報センター(CREATE)一般社団法人 日本補体学会HAEサイト

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