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2型糖尿病の発症予測、遺伝学的リスクモデルは有用でない:Whitehall II試験

2型糖尿病の発症予測では、表現型に基づく非遺伝学的なリスクモデルの方が、2型糖尿病関連一塩基多型(SNP)に基づく遺伝子型モデルよりも有用なことが、イギリスUniversity College London心血管遺伝学センターのPhilippa J Talmud氏らが行ったコホート研究(Whitehall II試験)で示された。イギリスでは最近、発症予測に関する2つの非遺伝学的モデル(ケンブリッジ2型糖尿病リスクスコア、フラミンガム子孫試験2型糖尿病リスクスコア)が確立され、ルーチンに用いられている。その一方で、2型糖尿病の発症に関連する20のSNPが同定されているが、発症予測にどの程度役立つかは明らかにされていなかった。BMJ誌2010年1月23日号(オンライン版2010年1月14日号)掲載の報告。1980年代に開始された前向きコホート研究の7回目のスクリーニングの解析Whitehall II試験の研究グループは、将来の2型糖尿病の発症予測において、2型糖尿病関連SNPの有用性を評価し、すでに確立されている表現型に基づく非遺伝学的モデルにこれらの遺伝情報を付加することで予測能を向上させられるか否かを評価するために、プロスペクティブなコホート研究を実施した。Whitehall II試験には、1985~1988年までに35~55歳のロンドン市の公務員10,308人が登録された。7回目の調査(2003~2004年)において、6,156人からDNAが採取された。登録時に健康であった5,535人(平均年齢49歳、女性33%)のうち、第7回調査の時点で302人が10年以上持続する新規の2型糖尿病に罹患していた。表現型に基づく非遺伝学的リスクモデルのうち、ケンブリッジ2型糖尿病リスクスコアは年齢、性別、薬物療法、2型糖尿病の家族歴、BMI、喫煙歴に基づいて算出され、フラミンガム子孫試験2型糖尿病リスクスコアは年齢、性別、親の2型糖尿病既往歴、BMI、HDLコレステロール、トリグリセライド、空腹時血糖から計算された。遺伝学的リスクモデルには、2型糖尿病との関連が確認されている20のSNPが使用され、リスク対立遺伝子(allele)の保有数(0~40個)と遺伝学的リスク機能(個々のリスク対立遺伝子を遺伝子研究のメタ解析で得られたオッズ比に従って重み付け)に基づいてスコアが算出された。2型糖尿病の発症は、標準的な経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)、主治医による診断、あるいは糖尿病治療薬の使用によって確定された。表現型リスクモデルと遺伝学的リスクモデルを合わせても識別能は改善されず遺伝学的リスクスコアは将来の糖尿病患者を識別できなかった。ケンブリッジ2型糖尿病リスクスコアとフラミンガム子孫試験2型糖尿病リスクスコアは、遺伝学的リスクスコアよりも識別能が優れていた。表現型によるリスクモデルに遺伝学的情報を加味しても識別能は改善されず、モデルの精度を調整(キャリブレーション)してもわずかな改善効果しか得られなかった。ケンブリッジリスクスコアに遺伝学的情報を加えた場合は約5%の改善効果が得られたが、フラミンガム子孫リスクスコアに付加しても識別能は改善されなかった。著者は、「表現型に基づくリスクモデルの方が遺伝学的リスクモデルよりも将来の2型糖尿病患者の識別能が優れており、両者を合わせた場合、最良でもわずかな改善効果しか得られなかった」と結論し、「2型糖尿病関連遺伝子に関するトランスレーショナル研究の成果を臨床に適用する場合は、病因や治療標的の面からアプローチする方がよいかもしれない」と考察している。(医学ライター:菅野守)

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0.5Gy以上の被曝で心疾患、脳卒中のリスクが増大、広島・長崎の被爆者調査から判明

放射線被曝線量が0.5Gyを超えると、心疾患や脳卒中のリスクが増大することが、放射線影響研究所(広島市)疫学部のYukiko Shimizu氏らが広島・長崎の被爆者を対象に行ったコホート研究で明らかとなった。ホジキン病や乳がんに対する放射線治療の際に心臓や頭頸部に高線量が照射されると、心疾患や脳卒中による死亡が増加することが知られているが、中~低線量でもこれらの疾患のリスクが増大するか否かは不明であったという。頭部や胸部のCT検査および放射線照射によるインターベンション治療が急速に増加している現在、1Gy未満の線量が循環器疾患に及ぼす影響を明らかにすることは重要な課題とされている。BMJ誌2010年1月23日号(オンライン版2010年1月14日号)掲載の報告。被爆者の53年の長期フォローアップデータを用いた前向きコホート研究研究グループは、電離放射線への曝露量がどの程度になると心疾患や脳卒中による死亡リスクが増大するかを検討するために、広島および長崎の原爆被害者の53年(1950~2003年)にわたるフォローアップデータを用いたプロスペクティブなコホート研究を行った。寿命調査(Life Span Study;LSS)の登録者のうち、原爆投下により0~3Gy以上の放射線に被曝したと推測される86,611人(86%が0.2Gy未満)が解析の対象となった。心疾患および脳卒中による死亡率を調査し、原爆放射線による被曝線量反応関係を評価した。0.5Gy以上で脳卒中、心疾患のリスクが上昇、0.5Gy未満では不明1950~2003年までに、約9,600人が脳卒中で死亡し、約8,400人が心疾患で死亡した。脳卒中については、線形線量反応モデルによる1Gy当たりの過剰相対リスク推定値(estimated excess relative risk)は9%(95%信頼区間:1~17%、p=0.02)と有意差が認められたが、上向き曲率(upward curvature)を指標としても低線量での相対リスクはほとんど示されなかった。心疾患に関する1Gy当たりの過剰相対リスク推定値は14%(95%信頼区間:6~23%、p<0.001)と有意差を認めた。線形モデルでは最適フィット(best fit)が得られ、低線量における過剰リスクが示唆された。しかし、0~0.5Gy以上の線量での線量反応効果は有意ではなかった。喫煙、アルコール摂取、教育、職業、肥満、糖尿病は、放射線被曝による脳卒中および心疾患のリスクにほとんど影響を及ぼさなかった。がんを誤診して循環器疾患とされた場合にも、リスクには影響しなかった。これらの知見を踏まえ、著者は「被曝線量が0.5Gy以上になると脳卒中および心疾患のリスクがともに上昇したが、0.5Gy未満の場合のリスクは不明であった」と結論し、「被爆者においては、脳卒中と心疾患を合わせた放射線関連死は、がんによる死亡の約3分の1と考えられる」と指摘している。(医学ライター:菅野守)

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肺気腫と気道閉塞は、心機能と負の相関

肺気腫および気道閉塞がより重症であるほど、左室充満の障害が大きく、1回拍出量、心拍出量が減少するという負の相関が、一般住民ベースの研究によって確認された。その関連は、喫煙者ほど大きいことも判明したという。報告は米国コロンビア大学医学部のR. Graham Barr氏らによる。Barr氏らは、きわめて重症の慢性閉塞性肺疾患(COPD)では、肺血管抵抗が高まり肺性心を生じ、2次的に左室充満、1回拍出量、心拍出量が減少するが、重度の肺疾患を有していなくとも、肺気腫や気道閉塞と心機能とには負の相関があるのではないかと仮定し検討を行った。NEJM誌2010年1月21日号掲載より。45~84歳の2,816例を対象に評価Barr氏らは、45~84歳の2,816例を対象に評価を行った。左室構造と左室機能の評価はMRIを用いて行い、肺気腫の重症度(肺気腫率:%)は心臓CTによって定義(-910ハウンスフィールド単位未満のボクセルのパーセンテージの肺野条件)され、スパイロメトリー検査は、米国胸部疾患学会(ATS)ガイドラインに基づき行われた。そのうえで、一般化加法モデルを用いて、閾値効果の検討を行った。現喫煙者のほうが負の相関関係は強い被験者のうち、現喫煙者は13%、元喫煙者は38%、非喫煙者は49%だった。肺気腫の重症度の10ポイント上昇と、左心室拡張末期容積の減少(-4.1ml、95%信頼区間:-3.3~-4.9、P<0.001)、1回拍出量の減少(-2.7mL、同:-2.2~-3.3、P<0.001)、心拍出量の減少(-0.19L/分、同:-0.14~-0.23、P<0.001)とには直線的な関連がみられた。この関連は、現喫煙者が、元・非喫煙者に比べて強かった。気道閉塞の重症度は、左室構造と左室機能にも関連しており、喫煙状況による影響も同様にみられた。なお、肺気腫の重症度および気道閉塞の重症度と、左室駆出率との関連は認められなかった。(医療ライター:朝田哲明)

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CRP濃度は、種々の血管疾患、非血管疾患の指標である

循環血中のC反応性蛋白(CRP)濃度は、確立された従来のリスク因子や炎症マーカーと関連するとともに、様々な血管疾患、非血管疾患とも相関を示すことが、イギリス・ケンブリッジ大学のStephen Kaptoge氏らEmerging Risk Factors Collaboration(ERFC)が実施したメタ解析で明らかとなった。肝臓で合成される血漿蛋白であるCRPは、高い感受性を示す全身性の炎症マーカーであり、重篤な感染に対する急性反応や組織損傷時に血中濃度が1万倍にまで上昇するという。また、LDLと結合して動脈硬化性プラーク中に発現するため冠動脈心疾患の原因とも考えられており、22のプロスペクティブ試験のメタ解析ではCRP高値の場合は冠動脈心疾患の相対リスクが高いことが示されている。Lancet誌2010年1月9日号(オンライン版2009年12月22日号)掲載の報告。54試験16万例の個々の患者記録のメタ解析ERFCの研究グループは、さまざまな状況におけるCRPと血管疾患もしくは非血管疾患のリスクの関連を評価するメタ解析を行った。54の長期的なプロスペクティブ試験に登録された血管疾患の既往歴のない16万309例(131万人・年に相当)の個々の患者記録に基づいてメタ解析を行った。リスク因子の程度による個人内の変動は試験ごとの回帰分析で補正した。CRP濃度と虚血性脳卒中の関連には従来リスク因子の関与が大きいLog(e) CRP濃度はいくつかの従来のリスク因子(収縮期血圧、BMI、非HDLコレステロールなど)や炎症マーカー(フィブリノーゲン、インターロイキン-6)と直線的に関連し、虚血性血管疾患や非血管疾患とほぼ対数線形的な相関を示した。Log(e) CRP濃度の1SD上昇(3倍の高値に相当)ごとの冠動脈心疾患のリスク比は、年齢と性別のみによる初回補正時が1.63、さらに従来のリスク因子で補正した場合は1.37であった。同様に補正した場合のリスク比は、虚血性脳卒中がそれぞれ1.44、1.27と従来リスク因子の影響が最も大きく、血管死はそれぞれ1.71、1.55、非血管死の場合は1.55、1.54であった。喫煙者や初回フォローアップ患者を除外すると、補正によるリスク比の変化はほとんど見られなくなった。フィブリノーゲンで補正後のリスク比は、冠動脈心疾患が1.23、虚血性脳卒中が1.32、血管死が1.34、非血管死も1.34であった。著者は、「CRP濃度は、冠動脈心疾患、虚血性脳卒中、血管死、非血管死(数種のがん腫および肺疾患による死亡)のリスクと持続的な関連性が認められた。虚血性脳卒中とCRP濃度の関連は、従来のリスク因子や炎症マーカーへの依存度が大きかった」と結論している。また、「インターロイキン-6、CRP、フィブリノーゲンなどの炎症マーカーや、リポ蛋白関連ホスホリパーゼA2などの易破綻性プラークのマーカーとともに、その遺伝学的因子やライフスタイル要因を同時に評価する大規模な試験を行う必要があり、また軽度の炎症が外的なトリガー(社会経済的地位や感染など)、インスリン抵抗性、遺伝的素因、これらの因子の組み合わせを反映するものなのかを検討することも重要」と考察する。(菅野守:医学ライター)

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20代喫煙者の7割がニコチン依存症 うち半数は10代から喫煙

ファイザー株式会社が1月11日の成人の日を前に行った調査によると、20代の喫煙者の69.7%がニコチン依存症であることがわかった。2008年に、20代以上の全世代の喫煙者9,400人を対象に行った「日本全国のニコチン依存度チェック」で“70.7%がニコチン依存症”と判明したことと比較すると、喫煙年数が比較的短い20代のみを対象にした調査にも関わらず、非常に高い割合であった。調査は、20代の喫煙者1,000人(全国・男女/各500人、計1,000人)を対象にインターネットを通じて行われた。ニコチン依存症の診断基準となる10項目(TDS:Tobacco Dependence Screener)について質問したところ、ニコチン依存症と診断される20代喫煙者は69.7%(697人/1,000人)にのぼることがわかった。そのうち、ニコチン依存症を自覚していた人の割合は、45.3%(316人/697人)であった。また、ニコチン依存症に該当した20代の喫煙者(697人)が禁煙治療の保険適用対象となるかを明らかにするため、ブリンクマン指数も調べた。その結果、ブリンクマン指数が保険適用の対象となる200以上である喫煙者は、わずか11.9%(83人/697人)にとどまった。20代の喫煙者は喫煙年数が短い場合が多く、ニコチン依存症でも9割近くが禁煙治療の保険適用を受けられないという現状が明らかになった。「最初にタバコを吸ったのはいつですか?」という質問には、小学校の時4.0%(40人/1,000人)、中学校の時16.1%(161人/1,000人)、高校生の時25.8%(258人/1,000人)と、高校卒業までにタバコを吸い始めたと回答した喫煙者が45.9%(459人/1,000人)にのぼった。吸い始めたきっかけの1位は「友達に勧められた」(50.9%)次いで、「ストレス解消になると思った」(30.2%)、「かっこいいと思った」(23.5%)の順で回答が多かった。 「タバコを吸い始めるきっかけは何でしたか?」と質問したところ、50.9%が「友達がタバコを吸っていて、勧められたから」(509人/1,000人)、30.2%が「ストレス解消になると思ったから」(302人/1,000人)という回答した。また、若年層特有の傾向として、「タバコを吸うことがかっこいいと思ったから」23.5%(235人/1,000人)という回答も目立った。詳細はプレスリリースへhttp://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2010/2010_01_07.html

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企業の『喫煙対策』を始めるなら年始が一番!?

ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社 メディカルカンパニーは、企業における禁煙啓発活動の一環として、全国の20歳代以上の企業の社長・役員(以下、経営陣)の男女500名を対象に、「禁煙と企業経営」に関する意識調査を2009年12月上旬に実施し、その結果を24日に報告した。調査結果では、企業の『喫煙対策』を開始する時期についての問いに、「年明けの始業日」(48.8%)が最も多く、次いで、「世界禁煙デー」(22.2%)、「営業期首」(17.8%)、4月1日(15.0%)となった。企業の『喫煙対策』に対して「賛成」(54.6%)の経営陣と、「どちらかといえば賛成」(23.4%)の経営陣を併せると、経営陣の大半が賛成(78.0%)という結果となった。また、多くの企業が『喫煙対策』を実施しており(77.0%)、実施している企業の半数以上が「分煙」(50.6%)だった。喫煙が企業にもたらすリスク要因で、経営陣が最も知っていた項目は、「従業員の健康への被害」(84.4%)で、最も知らなかった項目は、「約6坪の喫煙場所に、分煙のためにかかる維持管理費は、年間で数百万円」(15.8%)と最下位だった。詳細はプレスリリースへhttp://www.jnj.co.jp/group/press/2009/1224/index.html

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禁煙補助薬バレニクリンと自殺リスク増大に関するコホート研究

バレニクリン(商品名:チャンピックス)は効果的な経口禁煙補助薬であるが、自殺行動、自殺リスクを増加させる可能性があるとの懸念が広がっている。バレニクリンが普及しだして以降、喫煙者における自殺リスクが高まっているとの報告が相次いでいるためだ。そこでイギリス・ブリストル大学社会医療部門のD Gunnell氏らの研究グループは、バレニクリンが、bupropionやニコチン置換療法など他の療法と比較して、自殺行動、自殺リスクの増加と関連があるのかを目的とした大規模な無作為化コホート研究を行った。BMJ誌2009年11月7日号(オンライン版10月1日号)掲載より。ニコチン置換療法および禁煙補助薬治療を受けた8万例を対象研究対象となったのは、General Practice Research Databaseに登録された、イギリス国内で2006年9月1日から2008年5月31日の間に、新しい禁煙治療のセッションを開始した18~95歳の男女80,660例。追跡期間中の初期治療で処方されたのは、ニコチン置換製品(n=63,265)、バレニクリン(n=10,973)、bupropion(n=6,422)だった。主要評価項目は、致死的または非致死的の自傷とし、副次評価項目は自殺念慮とうつで、すべてCox比例ハザード・モデルを使って検討された。自傷リスクは2倍、ただしエビデンスは見つからずバレニクリンが、自傷リスク(致死的自傷2例、非致死的自傷166例)の増加と関連するという明白なエビデンスは認められなかったものの、95%信頼区間値から2倍増のリスクを除外することはできなかった。ニコチン置換製品と比較して、バレニクリンを処方された者の自傷に関するハザード比は1.12(95%信頼区間:0.67~1.88)であり、bupropionを処方された者は1.17(同:0.59~2.32)だった。バレニクリンとうつ(2,244例)リスク増加との関連(ハザード比:0.88、95%信頼区間:0.77~1.00)、また自殺念慮(37例)リスク増加との関連(同:1.43、0.53~3.85)についても、エビデンスは認められなかった。これらから研究グループは、バレニクリンの投与に伴う自傷の2倍リスク増加は除外できないとしつつも、自殺行動との関連をうかがわせる懸念についてはいくらかの安堵感を提供するものだったと述べている。

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乳幼児突然死症候群発生状況の最近の傾向

最近の乳幼児突然死症候群(SIDS)の発生状況について、英国ブリストル大学地域医療学部門のPeter S Blair氏らが調査を行った。SIDSは、1990年代初期の「仰向けで寝かせよう」とのキャンペーン以降、徐々にだが着実に減少し90年代末期には半減したが、一方で最近の報告では、誰かと一緒に就寝していた状況下での発生が目立つようになっていた。Blair氏らは、睡眠時の状況に着目し、SIDS群と、無作為に選んだ対照群、およびハイリスク群(母親が喫煙者・若い・貧しい・多重産)の3群で比較を行った。BMJ誌2009年10月17日号(オンライン版2009年10月13日号)より。南西部イングランド直近4年間のSIDS発生を住民ベースで検証調査は、2003年1月~2006年12月の4年間、南西部イングランドで起きた0~2歳児の突然死に関して、住民ベース(490万人、出産184,800件)の症例対照研究にて行われた。SIDS群、対照群、ハイリスク群の各両親に、24時間以内の就寝状況を面談で聞き取り(SIDS群には死亡後に死亡24時間以内の状況を)、SIDS発生との関連因子や、初期のキャンペーン以降に追加的に行われた様々なアドバイス(横向きに寝かせない、喫煙者とは一緒に寝かせない、独りで寝かせない、羽毛布団や枕は使わないなど)は遵守されていたか、新たなリスク因子が出現していないか、ベッドやソファで大人や子どもと寝ていた状況で起きたSIDS発生の特異的な状況に関して検証した。被験者数は、SIDS群80例、対照群87例、ハイリスク群82例だった。「飲酒やドラッグ使用の両親とソファで一緒に就寝」が特にリスクに影響死亡年齢中央値は66週で、この値は10年前に同一地域で行った調査よりも3週間以上短くなっていた。就寝状況については、誰かと一緒に就寝していたケースがSIDS群では54%だった一方、対照群では20%だった。この差が生じた要因としてBlair氏は、SIDS群では一緒に寝ていた両親が直前に飲酒やドラッグを使用していたこと(SIDS群 vs. 対照群:31% vs. 3%)、ソファで寝ていたこと(同:17% vs. 1%)が顕著だったことが考えられると分析している。また、SIDS群の約5分の1が発生時に枕を使用しており(同:21% vs. 3%)、約4分の1が上掛けでくるまれていた(同:24% vs. 6%)。さらに、母親が妊娠中に喫煙していたケースがSIDS群では対照群に比べ、より多かった(同:60% vs. 14%)。早産だったケースは約4分の1(同:26% vs. 5%)、発生時に健康がまずまずか不良の状態だった(同:28% vs. 6%)ことも確認された。一方、頭部がくるまれていたり、出生後にタバコに曝露されていたり、おしゃぶりを使用していたり、横向きで寝ているケースは減っていたが、SIDS群の一部ではなお、うつぶせで寝ていたケースが見られた(同:29% vs. 10%)。Blair氏は、「SIDSの多くは、危険な環境下で誰かと一緒に就寝している状況が見られた。リスクに対する影響が大きかったのは、社会経済的な格差状況を問わず、変更の呼びかけや特異的なアドバイスであり、特に、直前に飲酒やドラッグを使用していた両親とのソファでの就寝だった」とまとめている。

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喫煙/高血圧/高コレステロール血症で、寿命が10年短縮:1万9,000人、38年の追跡結果

3つの主要な心血管リスク因子(喫煙、高血圧、高コレステロール血症)が見られる中年男性は、リスク因子がまったくない場合に比べ、50歳以降の平均余命が約10年も短くなることが、イギリスOxford大学臨床試験・疫学研究部のRobert Clarke氏らが実施したコホート研究(Whitehall試験)で明らかとなった。あわせて、他の因子も加味したリスクスコアの最高層と最低層では、平均余命に15年もの差があることも示された。イギリスでは、1970年初頭をピークに心血管疾患死が急速に低減し、その結果として平均寿命は延長している。その主な理由は、これら3つのリスク因子の改善と既存の血管疾患の治療法の進歩だという。BMJ誌2009年10月10号(オンライン版9月17日号)掲載の報告。約1万9,000人の公務員男性を38年間追跡した前向きコホート研究Whitehall試験の研究グループは、ロンドンで働く公務員男性を対象に中年期に記録された心血管リスク因子と寿命の関係について評価するプロスペクティブなコホート研究を実施した。1967~70年当時に40~69歳であった1万8,863人が登録され、38年間にわたってフォローアップが行われた。1997年の時点で1万3,501人が死亡しており、4,811人が再調査を受けた。3つの主要な心血管リスク因子[喫煙の有無、高血圧症(収縮期血圧:≧140mmHg)、高コレステロール血症(血中コレステロール濃度:≧5mmol/L)]および他のリスク因子をも加味したリスクスコアと寿命との関連について解析を行った。ベースライン時のリスク因子の差が、平均寿命の大きな格差につながる登録時の調査では、42%の男性が喫煙者であり、高血圧症は39%、高コレステロール血症は51%であった。フォローアップ後の再調査では、喫煙者の約3分の2が登録後まもなく喫煙を止めており、高血圧症と非高血圧症の血圧の差、高コレステロール血症と非高コレステロール血症の血中コレステロール濃度の差の平均値が、登録時の約3分の2にまで縮小していた。50歳以降の平均余命は、ベースライン時にリスク因子がまったく見られなかった男性が33.3年(平均寿命83.3歳)であったのに対し、3つのリスク因子をすべて持っていた男性では23.7年(同73.7歳)であり、約10年の差が認められた。リスクスコア(喫煙、糖尿病、職能等級、血圧、血中コレステロール濃度、BMIから算出)が最も低い5%の層における50歳以降の平均余命が35.4年(平均寿命85.4歳)であったのに比べ、リスクスコア最高層5%に属する男性では20.2年(同70.2歳)であり、その差は15年に達した。著者は、「これらのリスク因子は最近40年ほどで実質的に改善しているにもかかわらず、ベースライン時のリスク因子の差によって50歳以降の平均余命に10~15年もの開きが認められた」と結論し、「リスク因子の低減を図る保健施策を継続することで、平均寿命はさらに延長する可能性がある」としている。(菅野守:医学ライター)

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吸入ブデソニドはCOPD患者の肺炎リスクを増大させない

吸入ブデソニド(商品名:パルミコート)は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の肺炎リスクを増大させないことが、カナダBritish Columbia大学St Paul’s病院のDon D Sin氏らが実施したメタ解析で明らかとなった。ブデソニドはCOPDの増悪を抑制しQOLを改善するが、肺炎のリスクを増大させる可能性が指摘されている。また、吸入ステロイド薬は肺炎リスクを約50%も増大させることを示す大規模臨床試験の結果もあるという。Lancet誌2009年8月29日号掲載の報告。7つの大規模臨床試験のプール解析研究グループは、COPD患者の肺炎リスクに及ぼすブデソニド吸入薬の影響について評価した。安定期COPD患者を対象に、吸入ブデソニド 320~1,280μg/日を投与する群(β刺激薬formoterolを併用あるいは非併用)と対照群(プラセボあるいはformoterol単独)を比較し、少なくとも6ヵ月以上のフォローアップを行った7つの大規模臨床試験の患者データをプールした。試験期間中あるいは終了後15日間における「有害事象」および「重篤な有害事象」としての肺炎のリスクついて両群間の比較を行った。intention-to-treatデータの解析にはCox比例ハザード回帰分析を用いた。有害事象としての肺炎:ブデソニド群3% vs. 対照群3%、重篤な有害事象としての肺炎:1% vs. 2%解析の対象となったのは7,042例で、ブデソニド群が3,801例、対照群は3,241例であった。有害事象としての肺炎の発症率は、ブデソニド群が3%(122例)、対照群も3%(103例)と両群で同等であった(補正ハザード比:1.05)。重篤な有害事象としての肺炎の頻度は、ブデソニド群が1%(53例)、対照群は2%(50例)であり、両群で同等であった(補正オッズ比:0.92)。有害事象あるいは重篤な有害事象としての肺炎発症までの期間は、いずれも両群間に差を認めなかった。著者は、「COPD患者に対する吸入ブデソニドの12ヵ月投与は、投与期間中の肺炎リスクを増大させないため、安全に使用できる」と結論したうえで、「加齢および肺機能低下は重篤な有害事象としての肺炎を有意に増加させることに留意すべき。性別、喫煙、BMIは有意なリスク因子ではない」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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2009年「全国たばこ喫煙者率調査」男女計で24.9%

JT(日本たばこ産業株式会社)は14日、1965年以降毎年実施してきた「全国たばこ喫煙者率調査」について、2009年5月実施の調査結果を発表した。5月現在の全国の喫煙者率は、男性が38.9%(前年比:-0.6%)、女性は11.9%(同:-1.0%)、男女計で24.9%(同:-0.8%)だった。この喫煙者率から推計した全国の喫煙人口は、男性が1,957万人(同:-27万人)、女性は644万人(同:-52万人)、男女計で2,601万人(同:-79万人)だった。喫煙者率について、同社はこれまでの傾向と同様に微減傾向で推移しているものと考えているという。またこの要因は、高齢化の進展、喫煙と健康に関する意識の高まり、喫煙をめぐる規制の強化や成人識別自販機導入などが考えられるとのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.jti.co.jp/investors/press_releases/2009/0814_01/index.html

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健康的な6つの生活習慣が心不全生涯リスク低下と関連:男性

米国ハーバード医科大学/ブリガム&ウィメンズ病院エイジング部門のLuc Djousse氏らは、男性において、改善可能な生活習慣によって心不全生涯リスクを低下できるかどうか調査を行った。心不全生涯リスクについては、40歳時点で男女を問わず約5人に1人に起き得ると報告されているが、改善可能な生活習慣と40歳以後の心不全リスクとの関連は明らかになっていない。JAMA誌2009年7月22・29日合併号より。男性20,900例の、6つの生活習慣と心不全生涯リスクとの関連を前向きに評価Djousse氏らは、「Physicians’Health Study I」(1982~2008)の参加者で、基線で健康だった男性20,900例を対象とする前向きコホート研究を行った。6つの改善可能な生活習慣(体重、喫煙、運動、飲酒、朝食時のシリアル摂取、果物と野菜の摂取)と、心不全の生涯リスクとの関連を評価した。対象コホート40歳時リスク13.8%、4つ以上の習慣を守った人は10.1%に低下平均追跡期間22.4年の間に、1,200例が心不全を呈した。40歳時の全体の心不全生涯リスクは、13.8%だった。70歳までに心不全を呈さなかった人の心不全生涯リスクは安定的で、80歳時では10.6%だった。高血圧の有無で見ると、高血圧の人のほうが40・50・60・70・80歳時いずれの時点でも心不全生涯リスクが高かった。健康的な生活様式習慣(正常体重、非喫煙、定期的な運動、適度な飲酒、朝食時のシリアル摂取、果物と野菜の摂取)は、残りの心不全生涯リスク低下と関連していた。これら習慣を1つも堅守できなかった人のリスクは最も高まり、21.2%だった。4つ以上堅守できた人は、リスクが10.1%に低下していた。Djousse氏は「健康的な生活習慣を固持することは、心不全生涯リスクの低下と関連する」と結論している。(朝田哲明:医療ライター)

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高血圧予防には、リスクを低下する6つの生活習慣を:女性

米国ハーバード医科大学/ブリガム&ウィメンズ病院腎臓病部門のJohn P. Forman氏らは、女性における、高血圧症発症と食事・生活習慣との関連を評価した。高血圧は、女性において重要な、死が予防可能なリスク因子である。しかし高血圧症発症のための改善可能なリスク因子が特定される一方で、それらリスク因子の組み合わせや配分に関しては評価が行われていなかった。JAMA誌2009年7月22・29日合併号より。27~44歳女性83,882例の6つの生活習慣と高血圧発症との関連を評価Forman氏らは、第2次「Nurses’Health Study」の参加者で、1991年時点で高血圧、心血管疾患、糖尿病、がんの病歴がなく、正常血圧(収縮期血圧120mmHg、拡張期血圧80mmHgと定義)だった27~44歳83,882例を対象に前向きコホート研究を行った。追跡期間は2005年までの14年間。高血圧に関する6つの改善可能な(高血圧リスクを低下する)生活習慣を定め、それら生活習慣の組み合わせと高血圧発症との関連を調べた。リスクを低下する生活習慣とは、(1)BMI:25未満、(2)毎日平均30分の運動、(3)ダイエット食(DASH:Dietary Approaches to Stop Hypertension)の高摂取、(4)適度(10g/日)な飲酒、(5)週1回未満の非麻薬性鎮痛薬の服用、(6)葉酸サプリ(400μg/日以上)の服用で、3つ〔(1)~(3)〕、4つ〔(1)~(4)〕、5つ〔(1)~(5)〕、6つ〔(1)~(6)〕の各組み合わせと高血圧発症との関連が検討された。主要評価項目は、自己申告に基づく高血圧発症の補正ハザード比、および母集団寄与率(PARs)。高血圧症の報告は、合計12,319例だった。追跡期間における、全6つの改善可能なリスク低下因子(生活習慣)は、高血圧症発症のリスクと独立して相関していた。年齢、人種、高血圧症の既往歴、喫煙状態、経口避妊薬服用で補正後も変わらなかった。最も強力な予測因子はBMI全6つのリスク低下因子を有していた女性(母集団の0.3%)の、高血圧症発症のハザード比は、0.22(95%信頼区間:0.10~0.51)だった。推定PARは、78%(同:49%~90%)。これは、もし全女性が6つのリスク低下因子を実行していていた場合、高血圧症の新規発症が回避される人は、推定78%に上ることを示す。発症率の絶対差(ARD)は、1,000人・年当たり8.37例であった。5つのリスク低下因子を有している女性(母集団の0.8%)のPARは、72%(95%信頼区間:57%~82%)、ARDは1,000人・年当たり7.76例だった。4つのリスク低下因子を有している女性(母集団の1.6%)のPARは、58%(同:46%~67%)、ARDは1,000人・年当たり6.28例だった。3つのリスク低下因子を有している女性(母集団の3.1%)のPARは、53%(同:45%~60%)、ARDは1,000人・年当たり6.02例だった。高血圧症の最も強力な予測因子はBMIで、BMIが25以上だった人の補正後PARは25未満の人との比較で40%(同:38%~41%)だった。Forman氏は「リスクを低下する生活習慣は、高血圧症の低下と有意に関連していた。これら習慣を取り入れることは、若い女性の高血圧の新規発症を、相当数予防できることにつながるだろう」と結論している。(朝田哲明:医療ライター)

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50代の69%、60歳以上の97%が“COPD”の疑い

40歳以上で10年以上の喫煙者のCOPDの疑いが、40代で20%、50代で69%、60代では97%と、年代とともにと急増するという。ファイザー株式会社が行った調査からわかった。この調査は、8月1日の「肺の日」を前に、10年以上喫煙歴がある40歳以上(40~90歳)の男女600人を対象に、喫煙が身体に及ぼす影響を把握するため、同社がインターネット上で行ったもの。喫煙が主な原因となり引き起こされるCOPD(慢性閉塞性肺疾患)、ニコチン依存症、また、何らかの依存症に陥る人は精神的な問題を抱えている場合もあることから、うつ病・うつ状態の可能性についても調査された。調査の結果、COPDの疑いがある人は、40代で20.0%(40/200人)、50代で68.5%(137/200人)、60歳以上で96.5%(193/200人)を占めていた。50代になると、40代の約3.5倍と急増し、60歳以上ではほぼ全員と、とても高い割合でCOPDの疑いがあるという衝撃的な実態が明らかなったという。また、COPDの疑いがある人のうち68.4%(253/370人)は、ニコチン依存症であることもわかったという。一方、COPDの疑いがない人では60.4%(139/230人)で、COPDの疑いがある人の方が、ニコチン依存症にかかっている人が多いとのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2009/2009_07_27.html

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心血管・冠動脈イベントの予測、CRPなど新バイオマーカーでわずかに改善

心血管・冠動脈イベントの発症リスク予測が、従来の喫煙や糖尿病といったリスク因子の他に、C反応性蛋白(CRP)などの新バイオマーカーという因子を加えることで、わずかだが改善することが、JAMA誌2009年7月1日号で発表された。スウェーデンLund大学のOlle Melander氏らが、約5,000人について追跡し、明らかにしたもの。心血管イベント、CRPとN-BNPを加えることでC統計量が0.007増Melander氏らは、1991~1994年にかけて、心血管疾患のない5,067人について、CRP、シスタチンC、リポ蛋白関連ホスホリパーゼ2などのバイオマーカー検査を行った。被験者の平均年齢は58歳、60%が女性だった。研究グループは被験者を2006年まで、平均12.8年間追跡調査した。追跡期間中、418件の心血管イベントと230件の冠動脈イベントが発生した。従来のリスク因子によるモデルでは、C統計量は心血管イベントが0.758、冠動脈イベントは0.760だった。これに、多変量Cox比例ハザードモデルを用い、心血管イベントにはCRPとN末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド(N-BNP)を加えることで、C統計量は0.007(p=0.04)わずかだが増加した。また冠動脈イベントについては、中間領域プロアドレノメデュリン(MR-proADM)とN-BNPを加えることで、C統計量は0.009(p=0.08)増加した。従来法では「中等度」と分類されていた「低度」の人の予測は改善新バイオマーカーを使うことで、発症リスクに関する階層分類の純再分類改善(net reclassification improvement;NRI)は、心血管・冠動脈イベント共に、有意ではなかった(心血管疾患イベント:0.0%、冠動脈イベント4.7%)。ただしリスクが「中程度」と予測された分類については、純再分類改善が図られていた(心血管疾患イベント:7.4%、冠動脈イベント14.6%)。この改善は、リスクが実際には中等度よりも低い人が、本来の低リスク階層に分類することができたことによるものだった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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禁煙は妊娠15週までに

妊娠中の喫煙と、自然未熟児出産および在胎期間に比べて小さい不当軽量児出産との関連は、すでに立証されており、妊娠した女性には禁煙が勧められる。しかしこれまで、妊娠初期に禁煙すれば、胎児への有害な影響が回避できるかどうかは検証されていなかった。オークランド大学(ニュージーランド)産科婦人科のLesley M E McCowan氏らは、妊娠15週までに禁煙した妊婦と非喫煙妊婦を対象とした前向きコホート試験を行った結果、有害転帰は両者で変わらなかったと報告した。BMJ誌2009年6月27日号(オンライン版2009年3月26日号)より。禁煙群、非喫煙群、喫煙群とで転帰を比較Screening for Pregnancy Endpoints(SCOPE)と命名された試験には、オークランド(ニュージーランド)とアデレード(オーストラリア)に住む2,504例の妊婦が参加した。内訳は、15週までに禁煙した妊婦群(禁煙群:10%、261例)と、非喫煙の妊婦群(非喫煙群:80%、1,992例)、15週時点でも喫煙中の妊婦群(喫煙群:10%、251例)。自然未熟児出産および不当軽量児出産(10ヵ月標準より小さい)の転帰に関して、禁煙群と非喫煙群とのオッズ比、および禁煙群と喫煙群とのオッズ比をそれぞれ比較した。禁煙群 vs. 非喫煙群、自然未熟児1.03、不当軽量児1.06自然未熟児については、禁煙群10例(4%)、非喫煙群88例(4%)、現在喫煙群25例(10%)で、禁煙群は、非喫煙群とで発生率に差異は見られなかった(オッズ比:1.03、95%信頼区間:0.49~2.18、P=0.66)。一方、現在喫煙群との比較では、現在喫煙群のほうがはるかに高い(3.21、1.42~7.23、P=0.006)。不当軽量児については、禁煙群27例(10%)、非喫煙群195例(10%)、現在喫煙群42例(17%)で、こちらも禁煙群は、非喫煙群とでは差異は見られなかったが(1.06、0.67~1.68、P=0.8)、現在喫煙群とでは約2倍近い差が見られた(1.76、1.03~3.02、P=0.03)。(朝田哲明:医療ライター)

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メトクロプラミドの妊娠第1期服用は安全

メトクロプラミド(商品名:プリンペランほか)は妊婦の制吐薬の第一選択薬として用いられているが、安全性についは十分に検証されていなかった。イスラエルのベングリオン大学疫学/ヘルスサービス・サイエンス部門のIlan Matok氏らは、イスラエル南部で10年間に出生した約11万強の乳児のデータを調査。母親が妊娠初期に同剤を服用(1日30mg、平均7.2±5.4日)していた約3,500児(4.2%)について奇形発生などを調べたが、メトクロプラミド曝露による関連は見られず、「安全に対する保証が与えられた」と報告した。NEJM誌2009年6月11日号より。妊娠13週までに母親が服用していた胎児の転帰を調査メトクロプラミドの安全性調査は、イスラエル南部に居住し、Clalit Health Servicesに加入する全女性を対象とした。同サービスのコンピュータ記録から、母親と乳児に関する入院記録、妊娠第1期にメトクロプラミドを服用した記録を取り出し、妊娠中の同剤服用と胎児の有害転帰との関連について調べられた。期間は、1998年1月1日~2007年3月31日の間。関連評価は、出産経験・年齢、民族、糖尿病有無、喫煙有無、周産期発熱(38℃以上)の因子で補正し行われた。調査期間中の単胎出産児は11万3,612児、Clalit Health Services加入女性の出産児は8万1,703児(71.9%)だった。そのうち3,458児(4.2%)の母親が、妊娠第1期(13週まで)にメトクロプラミドを服用していた。曝露群の胎児に、奇形、低出生、早期産、周産期死亡の有意なリスク増加見られず胎児のメトクロプラミド曝露群 vs. 非曝露群は、主要な先天性奇形は5.3% vs. 4.9%でオッズ比は1.04、低出生体重(2,500g未満)は8.5% vs.8.3%、1.01、早期産(37週未満)は6.3% vs. 5.9%、1.15、周産期死亡は1.5% vs. 2.2%、0.87で、有意なリスク増加は見られなかった。治療的流産が行われた例を加えても、これら解析結果はほぼ変化しなかった。(武藤まき:医療ライター)

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禁煙成功の達成感は、フルマラソン完走に似ている!?

禁煙に成功した達成感のイメージは、「トレーニングの末、フルマラソン完走」「初めての富士山登頂達成」など、努力が実るイメージを重ねる人が多いという。また、成功の喜びをあらわす漢字二文字の熟語(自由回答)では「達成」「開放・解放」「爽快」など、禁煙達成の喜びだけでなく、常に喫煙場所を探さなければいけない等の喫煙習慣からの解放を感じていることが結果からわかった。この結果は、ノバルティス ファーマ株式会社が4月に実施したアンケート調査によるもの。全国のOTC医薬品の禁煙補助薬を使用して禁煙に成功した207名を対象に行われた。禁煙成功者が禁煙に挑戦した理由は主に「自身の健康のため」(87.4%)「経済的な理由(タバコ代の節約など)」(45.9%)の2つが多かった。成功してよかったと思うことでも「食事が美味しくなった」(50.7%)、「タバコ代が浮き、他に使えるようになった」(46.4%)など、昨今の健康ブームに加え、不況が喫煙者の懐事情に影響している様子がうかがえる。また、成功の秘訣(複数回答)では、「絶対やるという意志・根性」(65.2%)に続き、「禁煙補助薬 ニコチンパッチ製剤の使用」(47.8%)があがっており、「やめる」という強靭な意志に加え、禁煙補助薬を用いた禁煙治療が成功の要因として高く評価されました。さらに、禁煙補助薬を使用した感想については、88.9%の方が禁煙成功における禁煙補助薬の効果を感じており、「使い方が簡単で自分にあっていた」(90.4%)と、使用方法も含めて禁煙成功のための有効な手段として認められているようであった。同社は、昨年からOTC医薬品でパッチタイプの禁煙補助薬が発売され禁煙の選択肢が増えたことに加え、taspo導入や社会的な健康志向の高まりにより、禁煙に取り組まれる方が増える傾向にあると述べている。詳細はプレスリリースへhttp://www.novartis.co.jp/news/2009/pr20090526_01.html

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ホクナリンテープにスピリーバへの追加効果が実証される

マルホ株式会社とアボット ジャパン株式会社は20日、ホクナリンテープ(一般名:ツロブテロール)が慢性閉塞性肺疾患の臨床診断基準を満たす安定期の慢性気管支炎や肺気腫に伴う閉塞性気道障害(以下COPD と略)を対象とした臨床研究で「スピリーバ吸入用カプセル18μg」(一般名:チオトロピウム)への追加効果を持つことが示されたと発表した。ホクナリンテープは、気管支喘息、急性気管支炎、慢性気管支炎および肺気腫にともなう気道閉塞性障害治療のための貼付型の長時間作用性β2刺激薬。アボット ジャパンと日東電工株式会社によって開発され、マルホを含めた3社で共同で販売されている。この臨床研究は、チオトロピウム単独またはホクナリンテープとチオトロピウム併用で、COPD患者に8週間にわたり投与した場合の有効性および安全性を比較したもの。試験は、合計103例の40歳以上のCOPD患者を対象に、無作為にチオトロピウム単独群(チオトロピウム18μg/日)またはチオトロピウムとホクナリンテープの併用群(チオトロピウム18μg/日+ツロブテロール2mg/日)に割り付けて行われた。患者の背景(平均年齢、喫煙比率、他の気管支拡張剤の併用率)は2群間に有意差はなかったという。BAREC(Beta-2 Agonist Research and Evaluation committee in COPD)研究会の和歌山県立医科大学内科学第三講座 教授 一ノ瀬正和氏らによる本試験の結果は、現地時間5月19日、サンディエゴで開催された米国胸部学会議(ATS)において発表された。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.maruho.co.jp/pdf/200905/0905hokunarintape_pr_jpn.pdf

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喫煙と眼の病気の関係性、知っているのはわずか2割未満

ノバルティス ファーマ株式会社が4月に行った「喫煙と疾患に関するインターネット意識調査」によると、肺がんなどの疾患については喫煙が危険因子とわかっているが、眼の疾患についてはあまり感じていないことがわかった。この調査は、5月31日の世界禁煙デーを前に、2009年4月に国内の40才以上の喫煙者の男女600名に対し行われたもの。調査結果では、喫煙が危険因子とされている疾患への認知率は、肺がんが97.2%、心臓病(心筋梗塞)、肺気腫・COPD、妊婦の早産や胎児の発育障害はそれぞれ90.8%、脳卒中が87.0%であるのに対し、眼疾患については、加齢黄斑変性症が19.6%、糖尿病網膜症が18.2%、白内障が13.5%と、それぞれ2割未満であった。一方で、喫煙との因果関係が確認されている疾患や症状への「恐怖度」については、肺がんやCOPD(慢性閉塞性肺疾患)をはじめとする呼吸器疾患の症状とされる「呼吸困難感・息切れ」(74.1%)よりも、「視力の急激な低下・失明」に恐怖を感じると回答した喫煙者が約8割(78.7%)と多く、脳卒中(89.5%)や心筋梗塞(89.2%)と同程度に恐怖を感じていることもわかったという。詳細はプレスリリースへhttp://www.novartis.co.jp/news/2009/pr20090518_02.html

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