サイト内検索|page:54

検索結果 合計:1589件 表示位置:1061 - 1080

1061.

高血圧治療中こそ禁煙が大事!

高血圧とタバコの関係 高血圧治療の目的は 動脈硬化を進めないこと、動脈硬化によって生じる脳卒中や、狭心症・心筋梗塞を予防することにあります。 喫煙は動脈硬化を促進します。高血圧治療禁 煙 高血圧治療と禁煙は、動脈硬化を予防するという点で共通しています。動脈硬化の予防高血圧治療中の方こそ、禁煙が大事です!社会医療法人敬愛会 ちばなクリニックCopyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.清水 隆裕氏

1062.

どのような精神疾患患者でメタボリスクが高いのか

 統合失調症および関連精神障害、双極性障害や大うつ病性障害を有する患者のメタボリックシンドローム(MetS)およびその構成症状(肥満、高血圧、HDLコレステロール低値など)のリスクについて、ベルギー・ルーヴェン・カトリック大学のDavy Vancampfort氏らはシステマティックレビューとメタ解析を行った。その結果、重症の精神疾患を診断されたサブグループでは、MetSのリスクが同程度に上昇がみられることを明らかにした。著者らは、「これらの人には、ルーチンのスクリーニングと多職種専門家による内科的・行動マネジメントが必要である。また、治療選択の際には、個々人の抗精神病薬リスクを考慮しなければならない」と述べている。World Psychiatry誌2015年10月号の掲載報告。 研究グループは、MetSおよびその構成症状が心血管疾患を高度に予測するとして本検討を行った。主要目的は、統合失調症および関連精神障害、双極性障害、大うつ病性障害を有する人のMetSとその構成症状の有病率を調べ、人口統計学的変数および精神科薬物療法を考慮したうえで、異なる精神障害間で比較することであった。副次目的は、選択した精神障害を有する患者のMetS有病率を適合した一般集団(対照)と比較することであった。レビューは2人の著者が、2015年1月1日時点でMEDLINE、PsycARTICLESなどで論文を検索し、包含基準を満たした論文のデータをプールし分析した。 主な結果は以下のとおり。・429件の論文が検索され、198件が包含基準を満たした。最終サンプル比較対象の重症の精神疾患(SMI)患者は5万2,678例であった。平均年齢41.3歳、平均罹病期間は12.4年。喫煙頻度が報告されていたのは1万2,560例で、喫煙率は50.4%であった。平均BMIは27.3であった。・これらSMIのMetS有病率は、32.6%(95%信頼区間[CI]:30.8~34.4%)であった。・異なる精神障害間の有病率を比較した相対リスクのメタ解析では、統合失調症 vs.双極性障害(39.2% vs.35.5%、10試験、相対リスク[RR]:0.92、p=0.24)、また双極性障害 vs.大うつ病性障害(29.2% vs.34.0%、4試験、RR:0.87、p=0.64)における有意差は示されなかった。統合失調症 vs.大うつ病性障害の比較試験は2件のみで、メタ解析ができなかった。・最終の人口統計学的回帰モデルにおいて、高年齢、BMI高値が、有意なモデレーターであることが示された(z=-3.6、p=0.0003、r2=0.19)。・抗精神病薬治療を受けていた人は、未治療群と比較して、MetSリスクが有意に高かった(p<0.001)。・MetSリスクは、クロザピン、次いでオランザピン服用群で他の抗精神病薬服用群よりも有意に高かった。一方、アリピプラゾール服用群のリスクは、他の抗精神病薬(amisulprideを除く)よりも有意に低かった。・適合一般集団対照との比較において、SMI患者は、MetSリスクが有意に高かった(RR:1.58、95%CI:1.35~1.86、p<0.001)。また、MetS構成症状リスクは、高血圧(p=0.07)以外は有意に高かった。関連医療ニュース 抗精神病薬誘発性の体重増加に関連するオレキシン受容体 抗精神病薬による体重増加や代謝異常への有用な対処法は:慶應義塾大学 非定型うつ病ではメタボ合併頻度が高い:帝京大学  担当者へのご意見箱はこちら

1063.

糖尿病治療中こそ禁煙が大事!

糖尿病とタバコの関係 喫煙により、インスリンの効きが悪くなること(インスリン抵抗性)が知られています。 現在は糖尿病でない方も、糖尿病になる可能性も上がります。 血管に負担がかかるため、腎機能障害が進みやすく透析になってしまう確率も上がります。2 糖尿病患者が喫煙をすると、喫煙をしない場合に対して死亡率が1.55倍に上昇するという結果が報告されました。1-糖尿病患者の死亡リスク1.55非喫煙喫煙者Pan A, et al. Circulation. 2015 Aug 26. [Epub ahead of print]糖尿病治療中の方こそ、禁煙が大事です!社会医療法人敬愛会 ちばなクリニックCopyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.清水 隆裕氏

1064.

降圧目標120mmHg vs.140mmHgの結果:SPRINT/NEJM

 50歳以上で非糖尿病・心血管イベント高リスクの患者について、収縮期血圧目標120mmHg未満の厳格降圧療法が同140mmHg未満の標準降圧療法よりも、致死的・非致死的重大心血管イベントおよび全死因死亡の発生を有意に抑制したことが、米国ケース・ウェスタン・リザーブ大学のJackson T. Wright氏らによるSPRINT試験(米国立衛生研究所[NIH]助成)の結果、示された。一方、厳格降圧療法群では、低血圧症、失神、電解質異常、急性腎障害/腎不全といった重度有害事象の有意な増大がみられた。NEJM誌オンライン版2015年11月9日号掲載の報告。9,361例を対象に無作為化試験 本検討は、非糖尿病患者の心血管疾患の罹患および死亡を抑制するための至適降圧目標値を明らかにすることを目的に行われた。 被験者は、50歳以上、収縮期血圧130~180mmHg、心血管イベント高リスク(脳卒中以外の臨床的/不顕性心血管疾患、CKD、フラミンガム10年冠動脈疾患リスク15%以上、75歳以上のいずれか1つ以上に該当)を適格とした。糖尿病または脳卒中既往の患者は除外した。 2010年11月~2013年3月に9,361例を登録し、厳格降圧療法群(4,678例)、標準降圧療法群(4,683例)に無作為に割り付けて、当初3ヵ月間は月に1回、その後は3ヵ月ごとにフォローアップを行った。 主要アウトカムは、心筋梗塞、その他の急性冠症候群、脳卒中、心不全、またはあらゆる心血管死の複合とした。 両群のベースライン特性は類似していた。厳格降圧療法群について、平均年齢67.9歳、女性比36.0%、心血管疾患20.1%、CKD 28.4%、フラミンガム10年冠動脈疾患リスク15%以上61.4%、75歳以上28.2%、またベースライン血圧値139.7/78.2mmHg、非喫煙43.8%/元喫煙42.3%、BMI値29.9、降圧薬数1.8などであった。120mmHg群で主要複合アウトカム、全死因死亡の発生が有意に低値 試験は当初、平均追跡期間5年を予定していたが、中央値3.26年で厳格降圧療法群の主要複合アウトカム発生が有意に低いことが確認され、早期に中断となった。 両治療戦略による収縮期血圧値の差は、急速かつ持続的に認められた。追跡1年時点の評価における平均収縮期血圧値は、厳格降圧群121.4mmHg、標準群136.2mmHg、追跡期間中の平均値は121.5mmHg、134.6mmHgであった。平均降圧薬数は2.8、1.8であった。 主要複合アウトカム発生は、厳格降圧群1.65%/年、標準群2.19%/年で、厳格降圧療法による有意な抑制が確認された(ハザード比[HR]:0.75、95%信頼区間[CI]:0.64~0.89、p<0.001)。 全死因死亡の発生も、厳格降圧群(1.03%/年)が標準群(1.40%/年)よりも有意に低かった(HR:0.73、95%CI:0.60~0.90、p=0.003)。 重度有害事象の発生は、厳格降圧群1,793例(38.3%)、標準群1,736例(37.1%)で有意差はなかった(HR:1.04、p=0.25)。しかし、個別にみた場合に厳格降圧群で、低血圧症(2.4%、HR:1.67、p=0.001)、失神(2.3%、1.33、p=0.05)、電解質異常(3.1%、1.35、p=0.02)、急性腎障害/腎不全(4.1%、1.66、p<0.001)の発生頻度の有意な増大が認められた。転倒外傷(2.2%、0.95、p=0.71)、徐脈(1.9%、1.19、p=0.28)の有意差はみられなかった。また、これら重度有害事象の発生パターンの差は、75歳以上被験者についてみた場合も同様であった。

1065.

日本COPDサミット~健康寿命延長に向けて変わるCOPD予防・治療の最前線~

 11月5日都内(文京区)にて、2015年度日本COPDサミットが開催された(主催:一般社団法人GOLD日本委員会/一般社団法人日本呼吸器学会/公益財団法人日本呼吸器財団)。 本年の世界COPDデーは11月18日であり、この日に向け、世界各国でさまざまな啓発イベントが実施されている。本サミットもその一環として企画された。 冒頭、三嶋 理晃氏(日本呼吸器学会 理事長)は、「各団体がタッグを組むことにより、インパクトある啓発活動につなげ、各メディア・自治体・医療関係者・一般市民への情報発信を高める後押しをする」と本サミットの目的を述べた。 以下、当日の講演内容を記載する。COPDはもはや肺だけの疾患ではない COPDはタバコの煙を主因とする閉塞性の肺疾患であるが、近年COPDは全身性の炎症疾患と考えられるようになってきた。実際、COPDは肺がん・肺炎・肺線維症などの肺疾患だけでなく、糖尿病、動脈硬化、骨粗鬆症、消化器病、うつ・記銘力低下などへの影響が報告されている。 この点について、長瀬 隆英氏(GOLD日本委員会 理事)は、なかでも糖尿病には注意が必要だと述べた。糖尿病患者がCOPDを併存すると生命予後が悪くなること1)、反対に、血糖コントロールが不良であると肺機能が有意に低下することが報告されているからである2)。しかしながら、COPDがさまざまな疾患に影響を及ぼす理由については、いまだ不明な点もあるため、今後さらなる研究が必要といえそうだ。受動喫煙は他人をむしばむ深刻な問題 受動喫煙のリスクについては、これまでも問題となってきた。加藤 徹氏(日本循環器学会禁煙推進委員会 幹事)は、「さらなる受動喫煙の問題は、分煙では防ぐことができない点である」と強調した。その理由は、「受動喫煙」の10%はPM2.5粒子成分(径<2.5μm)と同じくらいの非常に小さな粒子であるため、分煙してもドアなどの隙間から漏れ出るからである。さらに、この小さな粒子は、一度肺内に侵入すると肺胞の奥深くにまで到達し、一部は呼出されるが、大部分が湿った空気で膨張して居座り、悪さをする。仮に煙を直接吸わなかったとしても、喫煙後3~5分間は喫煙者からこれらの粒子が呼出されることがわかっているため、注意が必要である。 加藤氏は「喫煙をしなくても受動喫煙に曝露することで、心筋梗塞や脳卒中、喘息、COPDになりやすくなる」と述べ、屋内全面禁煙の重要性を強調した。すでに禁煙推進学術ネットワーク(2015年10月現在、27学会が参加)から2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて「受動喫煙防止条例」制定の要望書が東京都に提出されている。今後、受動喫煙を防止するための積極的な対策が望まれる。COPDで注意すべき3つの合併症 COPDではさまざまな合併症が存在するが、石井 芳樹氏(日本呼吸器財団 理事)は「肺がん、気腫合併肺線維症、喘息にはとくに注意が必要」と述べた。【肺がん】 COPDは喫煙とは独立した肺がん発症のリスク因子であり、10年間の肺がん発生率は約5倍にもなるという3)。さらに、COPD患者では、喫煙量が同等であっても肺がんによる死亡率が7倍も増加すると報告されている4)。これに対し加藤氏は、「早期にCOPDを発見し、禁煙をすることが死亡率を低下させるうえで何より重要」と述べた。【気腫合併肺線維症】 気腫合併肺線維症の特徴は、肺気腫による閉塞性障害と肺線維症による拘束性障害が合併すると、呼吸機能の異常が相殺されマスクされる点にあるという。2つの病態が重複することで一酸化炭素拡散能の低下がさらに増強され、低酸素血症や肺高血圧が悪化する。COPDは肺がんとの合併率が高いが、肺線維症が合併すると肺がん発症率がさらに高くなるため5)、慎重な経過観察が重要である。【喘息】 近年、COPDと喘息を合併する、オーバーラップ症候群が問題となっている。COPDと喘息は異なる病態の疾患であるが、咳、痰、息切れ、喘鳴など症状の鑑別が、とくに喫煙者と高齢者においては難しい。このオーバーラップ症候群は、年齢とともに合併率が増加するといわれている6)。喘息を合併することで、COPD単独の場合よりも増悪頻度は高くなり、重症な増悪も多くなるという7)。加藤氏は、それにもかかわらず喘息患者が喫煙をしているケースが散見される、として「とくに喘息患者では禁煙指導を徹底して、オーバーラップ症候群への進展を防ぐことが重要である」と述べた。COPDにおける地域医療連携のあり方 COPDの診断には呼吸機能検査が必須であるが、一般の開業医では難しいのが現状である。このことに関して、中野 恭幸氏(滋賀医科大学内科学講座 呼吸器内科 病院教授)は、「手間がかかる」、「検査時に大きな声を出さないといけない」、「数値が多すぎて理解が難しい」などを理由として挙げた。こうしたことも相まって、COPD患者の多くが未診断・未治療であることが問題となっているが、呼吸器専門医だけでは、多くのCOPD患者を管理することは難しい。 このような事態を受けて、滋賀県では数年前から地域医療連携への取り組みを始めた。専門医が病院で呼吸機能検査やCTを行い、その結果を基に標準的治療方針を決定し、その後は、一般開業医が担当する。さらに、急性増悪で入院が必要な際には専門医が引き受ける、などの体制を整えている。 しかしながら、専門医に紹介するときには、COPDがかなり進行している場合も多く、いかに早い段階で専門医に紹介するかが焦点となりそうだ。中野氏は「この取り組みは現在、大津市医師会で実施しているが、今後は滋賀県全体のパスになることが望まれる」と述べ、そのためには医師会主導で進めることも重要だとした。 その他、滋賀県では、医薬連携にも力を入れている。近年、COPDには、さまざまな吸入デバイスが登場し、デバイス指導がより一層重要な意味を持つようになった。そのため滋賀県では、地域の関係者が連携し、吸入療法の普及と質的向上を図ることを目的として、滋賀吸入療法連携フォーラム(SKR)が結成された。本フォーラムは年7~8回開催され、会場ではさまざまなデバイスに触れることができる。その他の医療従事者に対しても講習会を開くなどして、多職種でチームとなってCOPDに向き合う体制づくりを行っている。COPDにおける運動療法の役割 「重度のCOPD患者では、呼吸機能だけでなく、精神的な悪循環にも焦点を当て、QOLを重視することが大切」と黒澤 一氏(日本呼吸器学会 閉塞性肺疾患学術部会 部会長)は述べた。そのうえで、日本での普及が十分とはいえない呼吸リハビリテーション(運動療法)の有用性について触れた。 黒澤氏は「強化リハビリテーションにより筋肉がついたり、関節が柔らかくなることにより、体を動かすときの負荷が減り、呼吸機能的にも精神的にも余裕ができる」と述べた。しかしながら、問題は、強化リハビリテーションにより一時的に改善がみられても、飽きてしまい続かないケースが多いことだという。これらのことから、「負荷の大きいリハビリテーションではなく、活動的な生活習慣を送ることを意識すべき」と黒澤氏は述べた。そのうえで、自分のペースで動作をすることができるスポーツが有効として、例として「フライングディスク」を挙げた。フライングディスクを行うことによって、身体活動性が向上し身体機能の強化にもつながるという。さらに生きがいや仲間ができることによって前向きになり、呼吸機能にも良い影響が及ぶようだ。だが、この競技へのサポート体制はまだ十分ではなく、今後の課題と言えそうだ。 最後に、福地 義之助氏(GOLD日本委員会 代表理事)は、「今後COPDの一般国民への認知率向上を推し進めていくとともに、臨床医師の疾患に対する理解や診断・治療力の向上が必要である。さらに、COPDは全身に及ぶ疾患であることから、他の診療科との連携強化にも力を入れていく」と締めくくった。(ケアネット 鎌滝 真次)参考文献1)Gudmundsson, et al. Respir Res. 2006;7:109.2)Yeh HC, et al. Diabetes Care. 2008;31:741-746. 3)Skillrud DM, et al. Ann Intern Med. 1986;105:503-507. 4)Kuller LH, et al. Am J Epidemiol. 1990;132:265-274.5)Kitaguchi Y, et al. Respirology. 2010;15:265-271.6)Soriano JB, et al. Chest. 2003;124:474-481.7)Hardin M, et al. Respir Res. 2011;12:127.

1066.

喫煙者の口腔は「水を入れた灰皿」

口の中は「水を入れた灰皿」≒ 水を張った灰皿にタバコをつけておくとどうなりますか?口の中はまるで… タバコで茶色に染まった水を飲んだことがありますか? 口の中には唾液がありますが、タバコを吸った後、その唾液はどこにいくのでしょうか? タバコで食道がんや胃がんが増えることが知られています。社会医療法人敬愛会 ちばなクリニックCopyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.清水 隆裕氏

1067.

11月12日は患者さんと肺炎を話題に

 10月29日、ファイザー株式会社は、岩田 敏氏(慶應義塾大学医学部 感染症学教室 教授)を講師に迎え、「長寿社会ニッポンにおける感染症の潜在リスクと最新対策」をテーマにプレスセミナーを開催した。ワクチンで防ぐ感染症 男女ともに平均寿命が80歳を超えるなかで、今後いかに健康寿命を延伸させ、健康な期間を延ばしていくかが重要となる。その際、わが国の主な死亡原因が、悪性新生物、心疾患、肺炎、脳血管疾患と続くなかで、65歳以上の高齢者では、96.8%が肺炎で亡くなっていることから、肺炎をいかにワクチンなどで予防するかがカギとなる、と岩田氏は説明した。高齢者の半数以上がワクチン接種歴なし 実際、ワクチン接種がどのくらい浸透しているのかを調査した資料がある。同社が全国の60歳以上の男女、7,050人に実施した「全国47都道府県“大人の予防接種”意識調査」によれば、「成人になってワクチンを接種したことがあるか」との問いに、「ある」と回答した人が42.5%(n=2,998)、「ない」と回答した人が50.9%(n=3,585)と、高齢者の半数以上がワクチン接種を受けていない現実が明らかとなった。また、「ある」と回答した人が受けたワクチンの種類では、インフルエンザ(76.8%)が最も多く、次いで肺炎球菌感染症(50.1%)、次に風疹・麻疹(13.8%)となっていた。肺炎に一度かかると… 肺炎球菌の血清型は現在90種類以上が報告され、侵襲性肺炎球菌感染症では5歳未満の小児と65歳以上の高齢者に患者が多く分布している。そして、重要なことは、2013年4月~2014年8月まで肺炎での死亡例154例のうち112例が65歳以上の高齢者ということである(IASR資料より)。高齢者が肺炎にかかるとADLの低下を招き、心身機能の低下が起こる。その結果、廃用症候群が進み、嚥下機能が弱くなることで、さらに肺炎にかかるという負のスパイラルに入ると指摘する。高齢者にとっては、肺炎にかかること自体がリスクであり、これをいかに防ぐかが、長く健康に過ごすための課題となる。今できる対策はワクチンの早期接種 肺炎球菌に対し、わが国で接種できるワクチンは2種類ある。1つは、PCV13(商品名:プレベナー13)であり、もう1つはPPV23(同:ニューモバックスNP)である。 PCV13は、結合型ワクチンであり、適応年齢は2ヵ月以上6歳未満と65歳以上で、小児にも適応があるのが特徴。また、接種経路は小児であれば皮下に、成人であれば筋肉内となる。本ワクチンとプラセボを比較した市中肺炎の累積発症数の研究によれば、その効果は4年以上持続する1)。 PPV23は、多糖体ワクチンであり、適応年齢は2歳以上である。接種経路は筋肉内または皮下であり、昨年より施行されたわが国の65歳以上の高齢者への肺炎球菌ワクチンの定期接種の対象ワクチンである。インフルエンザワクチンとの両剤接種で軽症化の効果が報告されている2)。 前述の「“大人の予防接種”意識調査」によれば、「医師から肺炎球菌ワクチンの接種について詳しい説明を受けたいと思うか?」という問いに対し、「説明を受けたいと思う」と回答した人が66.6%(n=4,694)に上る一方、「受けたいと思わない」(18.1%/n=1,274)、「わからない」と回答した人も15.3%(n=1,082)おり、浸透度の足踏みが懸念されている。 肺炎のリスクは、5歳未満(とくに2歳未満)の小児と65歳以上の高齢者、そして、糖尿病、心疾患などの基礎疾患のある人、療養中で免疫力が低下している人、脾臓を摘出した人、喫煙をしている人などに高い。とくに高齢者は、前述の負のスパイラルにならないためにも、場合によっては定期接種を待たずに接種を受けさせることも大切だという。 最後に、「11月12日は『世界肺炎デー』である。こうした機会に、医療者と患者の間で肺炎やワクチンが話題になることで、さらに感染症予防が進むことが重要」とレクチャーを終えた。ファイザー株式会社の「“大人の予防接種”意識調査」はこちら。(ケアネット 稲川 進)関連コンテンツケアネット・ドットコム 特集「肺炎」はこちら。参考文献1)Bonten MJ, et al. N Engl J Med. 2015;372:1114-11252) Kawakami K, et al. Vaccine. 2010;28:7063-7069.

1068.

受動喫煙で3歳時の虫歯リスクが倍増/BMJ

 出生後4ヵ月時にタバコの煙に曝露していた子供は、3歳時の虫歯のリスクが約2倍に上昇したが、母親が妊娠中に喫煙した場合の虫歯への影響は有意ではないことが、京都大学大学院薬剤疫学分野の田中 司朗氏らの調査で示された。先進国では乳歯の虫歯の有病率が高いが、子供の虫歯予防は砂糖の摂取制限やフッ素塗布などに限られている。横断的研究では、受動喫煙が乳歯および永久歯の虫歯に影響を及ぼすことが示唆されているが、コホート研究のデータはスウェーデンの試験が1件あるだけだという。BMJ誌オンライン版2015年10月21日号掲載の報告。受動喫煙の虫歯への影響を後ろ向きコホート研究で評価 研究グループは、日本の小児において、受動喫煙が乳歯の虫歯のリスクに及ぼす影響を検討するために、地域住民ベースのレトロスペクティブなコホート研究を行った。 2004~10年に神戸市で生まれた子供7万6,920例のデータを用いた。これらの小児は、出生時、4、9、18ヵ月、3歳時に市の健康診査を受けた。4ヵ月時に家族の喫煙状況の調査が、18ヵ月および3歳時には子供の歯の検診が行われた。 標準化質問票を用いて、母親の妊娠中の喫煙の有無および出生後4ヵ月時の子供のタバコの煙への曝露状況を調査し、「家族に喫煙者がいない」「家族に喫煙者はいるが子供のいない場所で喫煙する」「子供が2次喫煙に曝露されている」の3つのパターンに分けた。 主要評価項目は、乳歯の虫歯の発生とした。虫歯は、う歯、喪失歯、補綴歯と定義し、正規の歯科医がX線検査を用いずに判定した。 傾向スコアを臨床的および生活様式の背景因子で補正後に、Cox回帰モデルを用いて非喫煙家庭の子供と比較した喫煙者のいる家庭の子供の虫歯発生のハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を算出した。因果関係は不明だが、受動喫煙回避のための介入を支持する知見 7万6,920例の子供のうち、出生後4ヵ月時に家族に喫煙者がいた子供の割合は55.3%(4万2,525例)であり、受動喫煙が確認された子供の割合は6.8%(5,268例)であった。 7万711例(91.9%)が3年間のフォローアップを完遂した。この間に1万2,729本の虫歯が確認され、そのほとんどがう歯であった。 3歳時の虫歯の発生率は、出生後4ヵ月時に非喫煙家庭の子供が14.0%、家族に喫煙者はいるが受動喫煙は確認されていない子供が20.0%、受動喫煙の子供は27.6%であった。 非喫煙家庭との比較における傾向スコアで補正したHRは、喫煙者はいるが受動喫煙は確認されていない子供が1.46(95%CI:1.40~1.52、p<0.01)であり、受動喫煙の子供は2.14(95%CI:1.99~2.29、p<0.01)であった。 妊娠中に喫煙していた母親の子供の、非喫煙家庭の子供に対する虫歯の傾向スコア補正HRは1.10(95%CI:0.97~1.25、p=0.14)であった。 著者は、「子供の虫歯のリスクは、非喫煙家庭に比べ受動喫煙の場合は約2倍、喫煙者のいる家庭の場合は約1.5倍に上昇していたが、母親が妊娠中に喫煙しても有意な影響は認めなかった」とまとめ、「これらの知見は、子供の虫歯と家族の喫煙の因果関係を示すものではないが、受動喫煙の減少に向けた公衆衛生学的、臨床的な介入の拡大を支持するものである」と指摘している。

1069.

わかる統計教室 第2回 リスク比(相対危険度)とオッズ比 セクション4

インデックスページへ戻る第2回 リスク比(相対危険度)とオッズ比セクション4 “後ろ向き研究”で使える手法はオッズ比のみ!セクション1 セクション2 セクション3■コホート研究とケースコントロール研究を知る!前回までの説明で、オッズ比について何となくわかっていただけたと思います。しかし、リスク比のほうが使い勝手が良いように思われた方も多いのではないでしょうか?では、なぜオッズ比が臨床研究で使われるのかというと、それなりにオッズ比の活用法があるからです。代表的な臨床研究として、「コホート研究」と「ケースコントロール(症例対照)研究」がありますが、後者の研究で集めたデータを解析する場合、リスク比は不可、オッズ比は可だといわれています。このことを説明する前に、「コホート研究」と「ケースコントロール研究」とは何かを簡単に説明しておきましょう。臨床研究は「前向き」か「後ろ向き」か、で分けることができ、コホート研究は前向きの研究、ケースコントロール研究は後ろ向きの研究とされています。具体例で説明していきましょう。喫煙の有無と不整脈の有無の関連性を調べたいとします。1)コホート研究不整脈がない人をランダムに400人抽出し、今までに喫煙をしたことがあるかどうかを調査し、その後の2年間において、喫煙の有無別に不整脈が発生したかを追跡調査します。調査開始時点では不整脈は発生しておらず、それから2年後(未来)に不整脈の発生を調べます。このような研究をコホート研究といいます。この研究は2年後の未来へ向かって調べる研究であり、「前向き」の研究といいます。2)ケースコントロール研究不整脈があると診断された200人とランダムに選んだ健常者200人について、過去の喫煙の有無を調査します。すでに不整脈があると診断された人と健常者がいて、その時点から過去にさかのぼって喫煙をしていたかどうかを調べます。このような研究をケースコントロール研究といいます。この研究は過去へ向かって調べる研究であり、「後ろ向き」の研究といいます。この2つの研究の違いを、原因と結果という因果関係からみてみましょう。上記の例では、喫煙の有無が原因変数で不整脈が結果変数です。コホート研究は、未来の結果変数(不整脈の有無)を調べる研究であり、ケースコントロール研究は過去の原因変数(喫煙の有無)を調べる研究となります。それでは、ケースコントロール研究で集めたデータを解析する場合、リスク比は不可、オッズ比は可だということについて説明します。■ケースコントロール研究ではオッズ比が使われる!次の表11のデータを、ケースコントロール研究(後ろ向き研究)で集めたデータということにします。この分割表から、喫煙者が不整脈になるリスクは56%です。この数値から、一般的に喫煙する人が不整脈となるリスクが5割を超えているといってもよいでしょうか?この事例は、ケースコントロール研究で集めたデータという設定です。不整脈があると診断された200人とランダムに選んだ健常人200人について、過去の喫煙の有無を調査したものです。したがって、全対象者における不整脈のリスクは200÷400の50%で、調査対象者のサンプリング(抽出)に依存します。サンプリングに依存しているリスクを用いてリスク比を計算するのは、大きな間違いとなります。ただし、リスク比の値を順位で検討するだけであれば、リスク比を使用しても構いません。しかしながら、この制限の下にリスク比を使うのなら、最初からオッズ比を使えばよいということになります。このような理由から、ケースコントロール研究の場合は、オッズ比を用います。■ロジスティック回帰分析とはケースコントロール研究ではオッズ比を用いることを学習しました。さらにもう1つ、知っておいてもらいたい「ロジスティック回帰分析」について、説明していきます。下の表12をご覧ください。結果に対していくつかの原因が考えられる場合、それぞれの原因が、結果にどの程度影響を及ぼしていると思いますか?一目みただけでは、なかなかわからないですね。このデータでは、結果は「不整脈の有無」、原因は「喫煙」「飲酒」「ギャンブル嗜好」の3つを想定しています。今までの学習を思い出して、少し面倒ですが表13でこのデータの分割表、オッズ比、リスク比を求めてみましょう。では、結果を解釈していきましょう。結果をみるかぎり、不整脈に影響度の最も強いのは喫煙の有無、次にギャンブル嗜好です。飲酒の有無は3番目でした。ギャンブル嗜好のほうが飲酒の有無より影響度が高いのは、何かおかしな気がしませんか?この結果が事実かどうかは、喫煙の有無、ギャンブル嗜好、飲酒の有無のそれぞれの原因の関係をみればわかります。つまり、不整脈という結果に対する原因がいくつか考えられる、ということです。これは「不整脈を説明する変数がいくつかある」ということと同じです。では、原因同士の関係性を調べてみましょう。まず、表14の「原因要因(影響要因)相互の分割表」というものを作成し、リスク比を求めていきます。飲酒の有無と喫煙の有無、ギャンブル嗜好と喫煙の有無、ギャンブル嗜好と飲酒の有無で、原因要因相互の分割表を作ってみます。このように飲酒と喫煙、ギャンブルと喫煙、ギャンブルと飲酒のそれぞれの関係性や影響度合いをみていきます。上の表14 の結果をみて、どのようなことがいえるでしょうか?ギャンブル好きは7人中6人が喫煙者、ギャンブル嫌いは13人中11人が非喫煙者です。リスク比も5.57と高く、両者に強い関係性を感じます。飲酒の有無と喫煙の有無のリスク比は1.40、ギャンブル嗜好と飲酒の有無のリスク比は1.86とそれほど大きな値でなく、関係性は弱いようです。感覚的には、リスク比5.57というと強い関係性があるように思えますが、結論からいえば評価する際の統計学的な基準はありません。言い換えれば、「リスク比が●以上の値だから、強い相関がある」ということはありませんが、リスク比同士を比較して、“強い”“弱い”と評価することはできるということです。では表13と表14を基に、リスク比で、原因2つと結果(不整脈の有無)の関係をみてみましょう。喫煙の有無とギャンブル嗜好を原因にして、表15のように図式化してみます。喫煙するからギャンブルが好きなのか、ギャンブルが好きだから喫煙するのか、因果関係の方向はわかりませんが、両者の関係は強いことはわかります。そして、ギャンブル嗜好と不整脈の関係が強いのは、ギャンブル嗜好が喫煙の有無の影響を受けているからだと考えられます。このため、喫煙の有無の影響を除外したうえで、ギャンブル嗜好と不整脈との関係を調べる必要が出てきます。これを「真の相関関係」といいます。そして、これを解決してくれる解析手法が「ロジスティック回帰」なのです。■原因要因相互の関係で「強い相関はない」⇒ロジスティック回帰分析の必要なし!ロジスティック回帰の計算は複雑なので、残念ながらExcelなどではできません。計算方法は、別の機会にするとして、アイスタットソフトウエア「マルチ多変量」で解いてみましょう。(※ソフトウエアはアイスタット社から1ヵ月間、無料で貸し出します。詳細はこちら)では、「マルチ多変量」で解析した結果を表16に示します。このようにロジスティック回帰を行うと、オッズ比が出力されます。オッズ比から順位が把握できるので、不整脈の原因要因の1位は喫煙の有無で、次に飲酒の有無となります。ギャンブル嗜好は、不整脈にそれほど影響がないことがわかります。つまり、表16の結果と表13の結果が異なるということは、原因要因が多数あるときは、ロジスティック回帰を使わなければいけないということです。原因要因が相互に無関係と解釈できれば、分割表のオッズ比とロジスティック回帰のオッズ比の順位は同じになります。したがって、表14で示した原因要因相互の分析をして強い相関がないことがわかれば、ロジスティック回帰分析をする必要はありません。ここで、表16のp値について説明しておきます。p値が0.05以下であれば、今回のサンプル20人から、何十万人という母集団においても、その原因は不整脈に影響を及ぼすと判断されます。表16は、3要因ともp値は0.05以上なので、母集団においてこれら3要因が原因であるかどうかはわからないということです。オッズ比が14.053とかなり大きいのに、p値は0.05を下回らないのは不思議な感じがしますね。それはサンプルが25人と少ないからでしょう。統計学の解析手法では、少ないサンプルからは有意差判定ができないと判断したのです。ロジスティック回帰について、ここでは「原因要因相互の関係を考慮してオッズ比を算出する解析手法」くらいに理解いただければ、よしとしてください。ところで、分割表から求められたリスク比から、母集団についても「影響がある/ない」といえると思いますか?次回はこの内容について解説していきます。■今回のポイント1)“後ろ向き研究” で使える手法は、オッズ比のみ! リスク比は不可!!2)ケースコントロール研究では、オッズ比が使われる!3)原因要因相互の関係で「強い相関はない」⇒ロジスティック回帰分析の必要なし!インデックスページへ戻る

1070.

タバコを吸いやすくさせる添加物

タバコを吸いやすくする添加物 メンソール粘膜への局所麻酔作用で熱感を軽減し、煙を吸いやすくする。 砂糖燃焼で生じる「アセトアルデヒド」がニコチン急性毒性による自覚症状を緩和し、ニコチン吸入をしやすくする。砂糖メンソール成分のミントココア末アンモニア ココア末燃焼で生じる「テオブロミン」による気管支拡張作用で煙を吸いやすくする。カフェインにも同様の作用があることが知られている。 アンモニアニコチンはアルカリ性環境で吸収されやすく、酸性環境では吸収されにくい。アンモニアは粘膜をアルカリ性にし、ニコチンの吸収を早くする。「タバコは、単に葉っぱを紙で巻いたものではない。死ぬまでやめられないように巧妙に開発された製品なのだ」(2000年 WHO世界禁煙デー)社会医療法人敬愛会 ちばなクリニックCopyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.清水 隆裕氏

1071.

タバコ関連疾患のピークはこれから

タバコ関連疾患のピークはこれからやって来る!?~紙巻きタバコ販売本数から検証~ 日本の紙巻きタバコ発売本数は1996(平成8)年の3,483億本がピーク。 タバコによる疾患は、約30年ほどの時間差を経て発症します。 日本における各種タバコ病のピークはまだ来ていないと思われます。4,000億本タバコ病のピークはまだ来ていない!?紙巻きタバコ販売本数3,5003,000↑1996(平成8)年3,483億本2,500脳卒中2,0001,5001,00001920肺がんCOPD500304050年607080902000http://www.health-net.or.jp/tobacco/product/pd070000.html胃潰瘍社会医療法人敬愛会 ちばなクリニックCopyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.清水 隆裕氏

1072.

原発労働者のがんリスク、被爆者と同等/BMJ

 原子力発電所の労働者について、電離放射線の低線量被曝でも累積線量の増加に比例して固形がんリスクは増加することが明らかになった。また、同リスク増加量は、日本の原爆被害者を対象にした試験結果と比較して高線量被曝の場合と同等であることも示された。米国・ノースカロライナ大学のDavid B Richardson氏らが、フランス、英国、米国の原子力産業労働者を対象にした後ろ向きコホート試験「INWORKS」のデータを基に検証し明らかにした。BMJ誌オンライン版2015年10月20日号掲載の報告。原発労働者など約31万人を延べ820万人年追跡 研究グループは、フランス、英国、米国の原子力発電所の労働者など、合わせて30万8,297人について、電離放射線の累積体外被曝量と、固形がん死亡率について調査を行った。フォローアップ中央値は26年、雇用期間中央値は12年、最終フォローアップ時の年齢中央値は58歳だった。 フォローアップ総計は820万人年だった。そのうち死亡は6万6,632人、うち固形がんによるものは1万7,957人だった。白血病以外のがんリスク、累積被曝量1Gy増で48%増 結果、放射線被曝量増加に従い、がん死亡率の線形増加が認められた。 被曝労働者における大腸の累計線量の平均値は、20.9mGy(中央値:4.1mGy)だった。 白血病を除く全がん死亡率は、累積被曝量が1Gy増すごとに10年後には48%(90%信頼区間:20~79)増大すると推算された。また、すべての固形がんについて、各国において同様の関連が認められた。 累積被曝量と固形がん死亡率との関連は、被曝量が0~100mGyの場合にも、それ以外の被曝量の場合ほど正確ではないものの、同様の関連が認められた。また、喫煙やアスベストへの職業上被曝は交絡因子である可能性があるものの、肺がんと胸膜がんを除外しても、被曝量とがん発生率との関連性に影響はなかった。 なお、検討について著者は、線量計の性能についてかなり留意したが、計測誤差が生じる可能性は排除できなかったとしている。 そのうえで、「本検討では、長期間の低線量電離放射線曝露と固形がん死亡との直接的な関連を検討した。低線量被曝よりも高線量被曝のほうが危険だと考えられているが、原発労働者のリスクは、日本の被爆者研究からの推算値と同程度だった」と述べ、「長期被曝のがんリスクの定量化は、放射線防護基準を作成するのに役立つだろう」とまとめている。

1073.

目まぐるしく進歩する、肺がん治療

 2015年10月30日都内にて、「肺癌分子標的治療の変遷と最新治療」と題するセミナーが開かれた(主催:アストラゼネカ株式会社)。演者である中西 洋一氏(九州大学大学院医学研究院臨床医学部門内科学講座呼吸器内科学分野 教授)は、肺がん治療の変遷を中心に講演。免疫チェックポイント阻害薬の登場により、免疫療法が薬物療法の表舞台に立とうとしている現状に触れ、「将来的には判定方法や副作用への対応など、学会、国の方針自体を整備していく必要がある」と述べた。 以下、セミナーの内容を記載する。「分子標的治療」そして、「免疫療法」へ 肺がんによる死亡は、2012年時点で年間7万1,518人と急増している。その背景にある要因の1つとして、若年女性の喫煙率上昇が挙げられていたことからも明らかであるように、これまで肺がんといえば、タバコに代表される多段階発がん説が基本であった。 しかし、近年たった1つの遺伝子異常が原因で起こる「driver gene mutation」が判明した。これを機にALKやEGFRといった遺伝子の異常を調べて、薬剤を選択する時代が到来。driver oncogene変異陽性患者の予後やQOLが改善したのは記憶に新しい。 さらに、がん免疫を蘇らせるPD-1阻害薬やPD-L1阻害薬といった「免疫チェックポイント阻害薬」の登場で、「免疫療法」が新しいアプローチとして脚光を浴びつつある。「免疫療法」が薬物療法の表舞台に 従来の抗がん剤治療は、がん細胞をターゲットにして攻撃力を高めてきた。これに対し、「免疫チェックポイント阻害薬」のアプローチは異なる。その作用は免疫力の向上だ。 通常、がん組織において免疫細胞は、がん細胞が伝達する「私は味方だ」という偽のシグナルにより攻撃命令を止めていた。つまり、「がんにより免疫が眠らされた」状態にあった。免疫チェックポイント阻害薬であるPD-1阻害薬やPD-L1阻害薬は、このシグナルを解除し、がん細胞を「敵」と正しく判断させて、がん細胞を攻撃する。つまり免疫力の賦活化が作用のポイントとなる。 免疫チェックポイント阻害薬は、複数の試験で有効中止に至るなど、大きな治療効果が期待されている。免疫療法が薬物療法の表舞台に立とうとしているのだ。今後の治療は? 学会、国の方針策定が必要 講演後のディスカッションでは、この免疫療法に関する質問が多数寄せられた。免疫チェックポイント阻害薬は全例調査の対象であり、がん拠点病院など、未知の副作用が起こった場合に他診療科と連携可能な病院が主な拠点となりそうだ。中西氏は「現時点で皮膚科を中心に投与されているが、今後の適応拡大に備え、副作用を積極的に拾うことや、院内に専門チームを設置するといった他診療科にわたる活動が必要だ」と述べた。実際に九州大学では、専門チームの導入にむけた活動が進んでいるようだ。 また、「PD-1阻害薬とPD-L1阻害薬との有効性、安全性の差は?」との質問には、中西氏、および2剤の開発を手掛けるアストラゼネカ株式会社 専務の益尾氏の両名が回答した。 益尾氏は「2剤とも検討段階にあり、優劣は現時点では判断しづらい。PD-1阻害薬とPD-L1阻害薬同士の併用やPD-L1阻害薬+他抗がん剤での併用など、さまざまな検討を行っている」とコメントした。中西氏は、「理屈で言うとPD-1抑制のほうが、がん細胞側のPD-L1抑制よりは危ないようにも思うが、各薬剤の用量設定、反応の強さで異なるため一概には判断できない」と述べた。また、PD-1やPD-L1の発現基準や判定方法がメーカー間でも異なっているため、フラットな状況下で比較できないのが現状課題、としたうえで「共通の判定基準を学会、国としても整えていかなければいけない」とコメントした。編集後記 分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬の登場など、肺がん治療は目まぐるしい発展と進歩を遂げている。しかし、新しい治療に合わせて社会インフラを整備することも必要とされそうだ。 本講演を行った中西氏が委員長を務める「肺がん医療向上委員会 」では、チーム医療の推進や肺がん患者の知識向上を目指した活動を継続している。われわれも患者さんに早期にベストな医療がもたらされるよう、メディアとして活動を応援していきたい。肺がん医療向上委員会はこちら

1074.

坐骨神経痛のリスク、喫煙で増大:メタ解析結果

 坐骨神経痛における喫煙の役割は明確ではない。フィンランド・Finnish Institute of Occupational HealthのRahman Shiri氏らは、腰部神経根痛および坐骨神経痛に対する喫煙の影響を評価する目的でメタ解析を行った。その結果、喫煙は腰部神経根痛および臨床的な坐骨神経痛のリスクを高めることが明らかとなった。また、禁煙によりそのリスクが低下することが示唆されたが、「禁煙してもリスクがゼロになることはない」と著者は指摘している。American Journal of Medicine誌オンライン版2015年9月21日号の掲載報告。 研究グループは、PubMed、Embase、Web of Science、Scopus、Google ScholarおよびResearchGateで1964年~2015年3月までの論文を検索し、ランダム効果メタ解析を行った。不均一性と出版バイアスを評価するとともに、研究デザイン、方法論的質および出版バイアスに関して感度分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・計28件(断面的研究7件・2万111例、症例対照研究8件・1万815例、コホート研究13件・44万3,199例)の研究が、メタ解析に組み込まれた。・現在喫煙者では、腰部神経根痛または臨床的な坐骨神経痛のリスクが増加した(統合調整オッズ比[OR]:1.46、95%信頼区間[CI]:1.30~1.64、n=45万9,023例)。・元喫煙者では、非喫煙者と比較してわずかにリスクが増加した(統合調整OR:1.15、95%CI:1.02~1.30、n=38万7,196例)。・現在喫煙者に関して、腰部神経根痛の統合調整オッズ比は1.64(95%CI:1.24~2.16、n=1万853例)、臨床的な坐骨神経痛1.35(95%CI:1.09~1.68、n=11万374例)、腰椎椎間板ヘルニアまたは坐骨神経痛による入院または手術1.45(95%CI:1.16~1.80、n=33万7,796例)であった。・同様に元喫煙者では、それぞれ1.57(95%CI:0.98~2.52)、1.09(95%CI:1.00~1.19)および1.10(95%CI:0.96~1.26)であった。・これらの関連は、男女間で差はなく、研究デザインから独立していた。・出版バイアスのエビデンスはなく、観察された関連は選択バイアス、検出バイアスまたは交絡因子に起因しなかった。

1075.

青年期の運動能力と筋力は血管疾患や不整脈イベントと関連するか(解説:三浦 伸一郎 氏)-439

 Dr. Anderson氏らは、青年期の運動能力と筋力が高い群では、共に低い群に比較して、将来の血管疾患イベントが有意に減少していたという興味深い結果を報告した。従来、中高年者の中で運動能力が高い人では、心血管疾患の罹患率や死亡率がそうでない人と比べて有意に低下していることはよく知られていた。しかし、今回の報告のように、青年期の運動能力と筋力が予後に関与するかについての報告はなかったため、このことがBMJ誌に掲載された1つの理由であろう。しかし、今回の結果は、いくつかの点を熟慮しなければならない。 第一に、今回の結果は、青年期の運動能力や筋力とその後の26.3年の追跡における、血管疾患や不整脈イベントの関連性をみた研究であることに注意すべきである。青年期の運動能力などが高ければ、一般的にその後も運動習慣を心掛ける傾向にあると思われる。しかし、追跡期間にそれらの能力が保持されていたか、または、減弱したのかは検討されていないし、検討することも容易ではないであろう。もし、追跡中も能力が保たれていれば直接的な効果ということができ、そうでなければ、青年期のレガシー効果というべきであろうか。 第二に、運動習慣は、生活歴の中で重要な位置を占めているが、対象者の食習慣、喫煙・飲酒習慣、さらには、家族歴などの因子も本研究では考慮されていない。食習慣や喫煙などは、各々の臨床研究により明らかに血管疾患イベントと関連性のある因子である。したがって、青年期の運動能力や筋力よりも、さらにイベントと関連する有用な因子であるかは明らかでない。また、対象者が男性のみであったため、性別による違いも不明である。 最後に、血管疾患と不整脈イベントの結果が若干異なる点である。血管疾患の中でも心血管疾患死が運動能力の高い者では、減少していることが重要である。次に、心不全も同様に減少している。しかし、不整脈の中でも、運動能力が高いと心房粗細動や徐脈性不整脈は増加するという異なった結果となっており、その原因として迷走神経緊張、容量負荷、圧負荷、心房過伸展などとの関わり合いが指摘されている。 いずれにしても、青年期の運動能力と筋力が高い群では、血管疾患イベントが減少していたという事実には変わりがなく、どの年齢層においても適度の運動習慣は必要であろう。

1076.

統合失調症患者にはもっと有酸素運動をさせるべき

 初回エピソードの統合失調症患者のメタボリックシンドロームおよび代謝異常の有病率は、健常対照と比較して有意に高く、また1年間の治療フォローアップ中にいずれも有意な増大が認められたことが、デンマーク・オーフス大学病院のL. Nyboe氏らによる検討の結果、示された。さらに、メタボの有意なリスク因子として、有酸素運動の不足を示唆する所見もみられたという。結果を踏まえて著者らは、「健康的なライフスタイルを、精神科治療およびリハビリテーションの一部として推進していかなくてはならない」と提言している。Schizophrenia Research誌2015年10月号の掲載報告。 研究グループは、メタボリックシンドローム(MetS)と代謝異常の有病率について、初回エピソード統合失調症患者と年齢・性別で適合した健康対照と比較すること、また、治療1年間のMetSの変化、さらにMetSの予測因子について調べた。MetSは、国際糖尿病連合(IDF)の基準に基づく腹囲、血圧(BP)、トリグリセライド(TG)、高密度リポタンパク質(HDL)、空腹時血糖値で特定した。また、被験者の、身体的活動度、有酸素運動、喫煙、食習慣、睡眠障害、抗精神病薬および向精神薬の情報についても入手。ベースライン、フォローアップ1年時点で評価した。 主な結果は以下のとおり。・被験者は、初回エピソード統合失調症(FES)患者99例、健常対照50例であった。・FES患者は健常対照と比較して、MetSのベースライン有病率が高かった(p=0.07)。・また、各代謝異常のベースライン有病率も高く、腹囲(p<0.01)、TG(p<0.01)、HDL(p=0.017)、空腹時血糖値(p=0.04)は有意に高値であった。・FES患者は試験期間中、MetS(p=0.03)の有病率、および腹囲(p=0.04)、TG(p=0.01)が有意に増大した。・抗精神病薬および身体活動度の低さが、MetS増大と有意に相関していた。・多変量解析では、有酸素運動の少なさが、代謝異常やMetSの最も強固で有意な予測因子であった。関連医療ニュース 統合失調症患者の運動増進、どうしたら上手くいくか うつ病へのボルダリング介入、8週間プログラムの成果は 子供はよく遊ばせておいたほうがよい  担当者へのご意見箱はこちら

1077.

収縮期血圧20mmHg上昇でPADリスク63%増大/BMJ

 収縮期血圧値が標準よりも20mmHg高いと末梢動脈疾患(PAD)リスクは63%上昇することが、英国・オックスフォード大学のConnor A Emdin氏らによる大規模コホート研究の結果、示された。これまで、血圧上昇とPADリスク増大の関連に関するエビデンスは限定的なものであった。今回、研究グループは、23年間約420万人分の英国プライマリケアの電子カルテ記録を基に分析した。結果を踏まえて著者は、「血圧上昇は幅広い患者群の強いリスク因子である」と結論し、「臨床医は、PADは慢性腎臓病、虚血性心疾患、心不全、心房細動、脳卒中などその他の血管イベントのリスクを増大することを認識しなければならない」と述べている。BMJ誌オンライン版2015年9月29日号掲載の報告。英国プライマリケアデータ420万人分を分析 研究グループは、英国の1990~2013年の電子カルテ記録を基に、標準血圧値とPADリスクの特異的サブグループの関連性、またPADとその他血管疾患の関連性を調べた。 被験者は、30~90歳で、過去1年以内にプライマリケア診療所の受診記録があり、血圧測定を行っていた422万2,459例であった。 主要評価項目は、PAD新規発症を初回診断されたまでの期間、12の異なる血管イベントの初回診断までの期間であった。PAD患者ではCKDが多い 結果、収縮期血圧値が標準よりも20mmHgと、PADリスクは63%上昇することが確認された(ハザード比[HR]:1.63、95%信頼区間[CI]:1.59~1.66)。 この関連の強さは、年齢、BMIの上昇とともに低減する(相互作用のp<0.001)が、性別や喫煙状態による影響はみられなかった。 PADは、虚血性心疾患(HR:1.68、95%CI:1.58~1.79)、心不全(1.63、1.52~1.75)、大動脈瘤(2.10、1.79~2.45)、慢性腎臓病(1.31、1.25~1.38)など11の血管イベントのリスク増大と関連していた。出血性脳卒中については関連していなかった。 PAD患者で最も頻度の高い初発の血管イベントは、慢性腎臓病(初発血管イベントの24.4%)であった。次いで、虚血性心疾患(同18.5%)、心不全(14.7%)、心房細動(13.2%)であった。 今回の検討コホートにおける全推算値は、2件のメタ解析所見をプールした、従来研究の所見と一致していた。

1078.

糖尿病患者 喫煙で総死亡リスクが1.55倍に

 能動喫煙は、糖尿病患者の総死亡および心血管イベント発症リスクの上昇と有意に関連することが、中国・華中科技大学のAn Pan氏らの研究により明らかになった。また、禁煙した群では、現在喫煙している群と比べて、これらリスクの低下が認められた。この研究結果は、糖尿病患者に禁煙を勧めるための強力なエビデンスとなると考えられる。Circulation誌オンライン版2015年8月26日号の報告。 糖尿病患者の喫煙率は依然として高く、糖尿病の管理においては、喫煙関連の超過死亡および罹患リスクを定量化することが重要である。そのため著者らは、糖尿病患者の能動喫煙による総死亡リスクおよび心血管イベントリスクを評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を行った。 2015年5月にMEDLINEとEMBASEを検索し、ランダム効果モデルを用いて、多変量調整後の相対リスクをプール解析した。合計 89件のコホート研究を解析対象とした。 主な結果は以下のとおり。・喫煙と関連するプール解析の結果、調整後の相対リスク(RR)は、総死亡率で1.55(95%CI:1.46~1.64、48件、被験者1,132,700例、死亡109,966例)、心血管死亡率で1.49(95%CI:1.29~1.71、13件、37,550例、死亡3,163例)であった。・また、すべての心血管疾患(16件)の相対リスクは1.44(95%CI:1.34~1.54)であり、冠動脈疾患(21件)で1.51 (95%CI:1.41~1.62)、脳卒中(15件)で1.54 (95%CI:1.41~1.69)、末梢動脈疾患(3件)で2.15 (95%CI:1.62~2.85)、心不全(4件)で1.43(95%CI:1.19~1.72)であった。・一度も喫煙したことのない生涯非喫煙群と比べた、過去に喫煙していた群の相対リスクは、総死亡率で1.19(95%CI:1.11~1.28)、心血管死亡率で1.15(95%CI:1.00~1.32)、心血管疾患で1.09(95%CI:1.05~1.13)、冠動脈疾患で1.14(95%CI:1.00~1.30)とやや上昇したが、脳卒中リスクは上昇しなかった(RR 1.04、95%CI:0.87~1.23)。

1079.

非扁平上皮NSCLCの2次治療、ニボルマブがOS延長/NEJM

 プラチナ製剤ベースの化学療法を行っても病勢が進行した非扁平上皮非小細胞肺がん(NSQ-NSCLC)の治療において、ニボルマブはドセタキセルに比べ、全生存期間(OS)を有意に延長することが、米国・フォックスチェイスがんセンターのHossein Borghaei氏らが行ったCheckMate 057試験で示された。NSCLCの2次治療では、新規薬剤であるペメトレキセドやエルロチニブは、標準治療薬であるドセタキセルよりも副作用プロファイルが良好だがOSの優越性は確認されていない。一方、完全ヒト型IgG4 PD-1免疫チェックポイント阻害抗体であるニボルマブは、第I相試験でNSCLCの全サブタイプで持続的な抗腫瘍効果と有望なOSが確認され、多くの前治療歴のある進行NSQ-NSCLCでは奏効率17.6%、1年OS 42%、3年OS 16%、1年無増悪生存率(PFS)18%と良好な成績が報告されている。NEJM誌オンライン版2015年9月27日号掲載の報告。2次治療での有用性を582例の無作為化試験で評価 CheckMate 057試験は、NSQ-NSCLCの2次治療におけるニボルマブの有用性を評価する国際的な非盲検無作為化第III相試験(Bristol-Myers Squibb社の助成による)。 対象は、年齢18歳以上、全身状態が良好(ECOG PS 0~1)で、プラチナ製剤ベースの2剤併用レジメンによる1次治療中または治療終了後に再発または病勢が進行したStage IIIB/IVのNSQ-NSCLC患者とした。 被験者は、ニボルマブ3mg/kgを2週ごとに静脈内投与する群またはドセタキセル75mg/m2を3週ごとに静脈内投与する群に無作為に割り付けられた。治療は、病勢進行または毒性による治療中止となるまで継続された。 主要評価項目はOSとし、副次的評価項目には担当医評価で確定された客観的奏効率、PFS、PD-1発現レベルによる有効性などが含まれた。 2012年11月~13年12月までに582例が登録され、ニボルマブ群に292例、ドセタキセル群には290例が割り付けられ、それぞれ287例、268例が治療を受けた。 全体の年齢中央値は62歳、男性が55%で、PS 1が69%、Stage IVが92%、喫煙者/元喫煙者が79%であり、前治療の最良の効果は完全奏効(CR)/部分奏効(PR)が24%、安定(SD)が34%、進行(PD)が39%であった。死亡リスクが27%低下、奏効期間が約1年延長 最短のフォローアップ期間が13.2ヵ月の時点におけるOS中央値は、ニボルマブ群が12.2ヵ月(95%信頼区間[CI]:9.7~15.0)と、ドセタキセル群の9.4ヵ月(95%CI:8.1~10.7)に比べ有意に延長した(死亡のハザード比[HR]:0.73、96%CI:0.59~0.89、p=0.002)。 1年OSはニボルマブ群が51%(95%CI:45~56)、ドセタキセル群は39%(同:33~45)だった。ほとんどの事前に規定されたサブグループで、ニボルマブ群のOS中央値が良好であった。 客観的奏効率は、ニボルマブ群が19%(CR 4例、PR 52例)であり、ドセタキセル群の12%(1例、35例)よりも有意に優れた(オッズ比[OR]:1.7、95%CI:1.1~2.6、p=0.02)。奏効までの期間中央値はそれぞれ2.1ヵ月、2.6ヵ月、奏効期間中央値は17.2ヵ月、5.6ヵ月であった。 PFS中央値(2.3 vs. 4.2ヵ月、p=0.39)はニボルマブ群のほうが短かったが、1年PFS(19 vs. 8%)はニボルマブ群が良好だった。 ニボルマブ群は、事前に規定された腫瘍細胞膜上のPD-1リガンド(PD-L1)の発現レベル(≧1%、≧5%、≧10%)のいずれにおいても、すべてのエンドポイントがドセタキセル群よりも優れていた。 治療関連有害事象の発現率は、ニボルマブ群が69%、ドセタキセル群は88%、重篤な有害事象の発現率はそれぞれ10%、54%であり、ニボルマブ群で頻度が低かった。ニボルマブ群で頻度の高い有害事象として、疲労(16%)、悪心(12%)、食欲減退(10%)、無力症(10%)がみられ、ドセタキセル群では好中球減少(31%)、疲労(29%)、悪心(26%)、脱毛(25%)の頻度が高かった。 著者は、「PD-L1の発現していない患者では両群間にOSの差を認めなかったが、安全性プロファイルや奏効の持続期間がニボルマブ群で良好であったことから、PD-L1発現の有無にかかわらず、ニボルマブは治療選択肢となる可能性がある」と指摘している。

1080.

中高年高血圧症例では足関節上腕血圧比測定を考慮する必要はあるか?(解説:冨山 博史 氏)-429

概要とコメント 本研究は、英国において1990年から2013年までプライマリケアで電子媒体に登録された、30~90歳の成人422万例の医療記録データを、前向き研究(平均観察期間7年)として解析した。前向き研究開始時に、末梢動脈疾患(PAD)非合併例は420万4,190例であり、PAD合併例は1万8,296例であった。前者では、経過中に4万4,239例(1.1%)でPADを発症し、収縮期血圧20mmHg上昇に伴い、PAD発症リスクは63%高まることが示された。 これまで血圧とPADの関係は、断面研究で検討した報告が多く1)、大規模な前向き研究が少ないため、PAD発症に対する血圧上昇のリスクとしての重要性は十分明らかでなかった。422万例を対象とした本前向き研究にて、血圧上昇がPAD発症の独立したリスクであることが示された。高血圧のPAD発症リスクとしての重要性を示す結果である。 一方、PAD合併例(1万8,296例)では、7年の経過観察中に7,760例(42.5%)で心血管イベント発症を認めた。その内訳では、従来の冠動脈疾患、脳卒中に加え、慢性腎臓病(24.4%)、心不全(14.7%)、心房細動(13.2%)の発症が多いことが新たに示された。PADでは、わが国の検討も含め20~40%の症例に腎動脈狭窄を合併することが報告されている2)。今後、こうした腎動脈狭窄のCKD発症への影響を検証する必要がある。また、PADでは血管床全体が硬化しており、中心血行動態異常が生じていると推察される。中心血行動態異常は心不全発症のリスクであり3)、今後、PADで心不全が発症する機序を明確にする必要がある。研究成果の臨床応用と限界 2007年に発表されたTASC IIでは、PAD発症リスクとしての高血圧の相対危険度(オッズ比:1.5~2)は、DM/喫煙(オッズ比:3前後)より弱いと述べている4)。本研究における重要な知見は、血圧上昇に伴うPAD発症のハザード比は70歳以上では1.4であるのに対し、40~69歳では1.8前後と上昇することである。さらに、本研究ではオッズ比は算出していないが、考察においてサブグループ解析の結果より、収縮期血圧20mmHg上昇によるPAD発症のリスクは、喫煙と同等と推察している。 一般に、PAD合併を考慮する(足関節上腕血圧比測定を考慮する)症例として、70歳以上、50~69歳でかつ喫煙または糖尿病を合併する症例が挙げられる4)。2013年、日本循環器学会「血管機能の非侵襲的評価法に関するガイドライン」では、高血圧症例において足関節上腕血圧比測定を考慮する症例として、65歳以上、またはJSH2009脳心血管リスク層別化で高リスクの症例を推奨している5)。しかし、最近のガイドラインを踏まえても6)、どのような病態の高血圧症例で足関節上腕血圧比測定を考慮すべきか、十分に明確ではなかった。本研究の結果は、50~69歳で未治療高血圧例および血圧コントロール不良の症例においてもPAD合併を考慮し、適切な問診、下肢動脈触診を実施し、可能であれば足関節上腕血圧比を測定することの有用性を示唆する。 TASC IIでは、PAD症例は40~50%に冠動脈疾患、20~40%に脳卒中を合併すると報告している4)。本研究では7年の経過観察中に1万8,296例中3,415例(19%)で冠動脈疾患、脳卒中または心不全の発症を認めた。本結果は、PAD診断時にほかの心血管疾患合併のない症例でも、慎重な経過観察が重要であることを支持する。 本研究の限界として以下が挙げられる。 (1)PADの診断は間欠跛行で実施されているが、無症候性PAD(足関節上腕血圧比0.90未満だが無症状)の頻度は間欠跛行を有する症例の3~4倍とされる。近年、わが国を中心に、オシロメトリック法を用いて足関節上腕血圧比が簡便に測定されるようになり、無症候性PADを診断する機会が多くなってきた7)。本研究の結果をこうした無症候性PADに応用できるかは不明であり、また、疾患診断が電子記録媒体での評価であることも研究の限界である。 (2)本研究では、収縮期血圧・拡張期血圧上昇とPAD発症の関連は、正常血圧域から認められた。本研究の著者らは、血圧低下がPAD発症を予防すると推論を述べている。しかし、研究対象症例で降圧薬服用は観察開始時9.9%、終了時28.7%であり、積極的な血圧治療がPAD発症予防に有用であるかは検証できない。参考文献はこちら1)Meijer WT, et al. Arch Intern Med. 2000;160:2934-2938.2)Endo M, et al. Hypertens Res. 2010;33:911-915.3)Chirinos JA, et al. J Am Coll Cardiol. 2012;60:2170-2177.4)Norgren L, et al. Eur J Vasc Endovasc Surg. 2007;33 Suppl 1:S1-75.5)日本循環器学会ほか.循環器病の診断と治療に関するガイドライン2013(2011-2012年度合同研究班報告)血管機能の非侵襲的評価法に関するガイドライン(JCS 2013).6)Vlachopoulos C, et al. Atherosclerosis. 2015;241:507-532.7)Koji Y, et al. Am J Cardiol. 2004;94:868-872.

検索結果 合計:1589件 表示位置:1061 - 1080