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半数は目標値に達していなかったACS患者のLDL-C:EXPLORE-J試験

 2017年4月4日、サノフィ株式会社主催のメディアラウンドテーブルにて東邦大学 医療センター大橋病院 中村正人氏が、急性冠症候群(ACS)患者における脂質リスクとコントロールに関する前向き観察研究「EXPLORE-J試験」のベースラインデータについて紹介した。ACS患者の3割がスタチンを使用 EXPLORE-J試験は、2015年4月~2016年8月まで59施設から2,016例の登録が終了した。患者の平均年齢は66.0歳、男性が80.4%、BMIは24.2であった。ACSの病型はST上昇型心筋梗塞(STEMI)が61.8%、非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)が16.1%、不安定狭心症が22.0%であった。危険因子は脂質異常症77.6%、高血圧72.9%、糖尿病34.7%、虚血性心疾患18.0%、現喫煙者37.8%、過去喫煙27.8%であった。26.9%がスタチンを服用(高力価スタチン服用は2.3%)していた。2次予防例の半数がLDL-C目標値100未満を達成できず ACS患者の入院時のLDL-C値(n=1,859)の分布をみると、対象者の平均値は121.7mg/dLであった。そのうち100未満は29.6%、FH診断の基準である180以上は7.9%であった。一方、虚血性心疾患の既往患者(n=333)のLDL-Cは103mg/dLであった。動脈硬化予防疾患ガイドラインの2次予防の管理目標値100未満の患者は52.0%であり、半数は目標値に達していなかった。 アキレス腱肥厚の測定結果(n=1,787)をみると、中央検定の中央値は6.7mm、基準値の9mm以上は6.4%であった。 家族歴を収集できた患者(n=1,412)から早発性冠動脈疾患の家族歴を調べた結果、家族歴はありは10%という結果だった。家族性高コレステロール血症(FH)の基準を満たす患者は3%、実臨床ではそれ以上か 本邦では、ヘテロ型FH が200~500人に1人、ホモ型FHは100万人に1人といわれているが、ASCを対象としたEXPLORE-Jでの結果はどうか、アキレス腱肥厚を利用した1,391例からの中間解析を行った。結果、成人FHの診断基準(1.未治療のLDL-C180以上、2.腱黄色腫、アキレス腱肥厚あるいは皮膚結節性黄色腫、3.FHまたは若年性冠動脈疾患の二親等以内の家族歴、のうち2項目以上該当)を満たす患者は全体で3.0%、55歳未満では5.9%であった。実際には、スタチンの服用で調査時すでにLDL-Cが低下している患者もあり、実臨床ではこれ以上のFH患者がいると推定される。ASC患者のLDL-C管理状況、病態は10年前と変わらず EXPLORE-Jでは、2008~09年に本邦で行ったPACIFIC試験と比較し、ASC患者のLDL-C管理状況、病態の変化を評価した。結果、LDL-C平均値120、6割というSTEMIの割合は、共にPACIFIC試験とほぼ同等で、10年前からほぼ変化していなかった。今後は絶対リスクの高い患者を明確にし、個別のLDL-C管理に LDL-C70でもイベントを起こす人がいる一方、110でもイベントを起こさない人がいる。年齢、喫煙、糖尿病など複合的な要因が関連してリスクは変わる。一律のLDL-C基準値を決めるにとどまらず、今後は絶対リスクが高い患者を明確にしていき、患者に個別化されていくべきだと、中村氏は述べた。

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アジア人の加齢黄斑変性、視機能低下に民族性が関与

 加齢黄斑変性(AMD)と視機能(vision-specific functioning:VSF)に、民族性が関与していることが示唆された。シンガポール・国立眼科センターのEva K Fenwick氏らによる中国人、マレー人およびインド人を対象とした住民ベースの横断研究において、中国人ではAMDがVSFに負の影響を及ぼしたが、マレー人およびインド人では影響がみられなかったという。今回の結果は多民族的なアジア人において、民族性が疾患とVSFとの関連に影響する独立した因子であることを示唆するものであり、著者は、「AMDの発症や進行を遅らせるためには、民族性に基づいた戦略が必要である」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2017年3月30日号掲載の報告。 本研究には、中国人、マレー人およびインド人の成人計1万33例が参加し、このうちグレード分類が可能な眼底像およびVisual Function Index(VF-11)のデータがあった9,962例(99.3%)が解析対象となった(平均[±SD]年齢:58.8±10.4歳、男性4,909例[49.3%])。 単眼の遠見視力はlogMAR視力表を用いて測定し、3つの民族群におけるAMDとVSFとの関連を、年齢、性別、良いほうの眼の視力、教育水準、収入、喫煙状況、高血圧、糖尿病、心血管疾患、総コレステロール値およびその他の眼の状態で調整した、重回帰モデルで分析した。 データは2004年1月20日~2011年12月19日に収集され、2015年11月12日~2016年12月28日に解析が行われた。 主な結果は以下のとおり。・解析対象9,962例中、初期AMDが590例(5.9%)(中国人241例、マレー人161例、インド人188例)、後期AMDが60例(0.6%)(それぞれ25例、21例、14例)であった。・調整モデルにおいて、中国人では非AMD例と比較し初期AMD例でVSFの低下が認められたが(2.9%、β=-0.12、95%CI:-0.23~-0.00、p=0.046)、マレー人とインド人では関連は認められなかった。・中国人において、後期AMD例は非AMD例と比較しVSFの低下が19.1%と臨床的に著しかった(β=-0.78、95%CI:-1.13~-0.43、p

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PCSK9阻害薬bococizumab、抗薬物抗体発現で効果減/NEJM

 抗PCSK9(前駆蛋白変換酵素サブチリシン/ケキシン9型)モノクローナル抗体製剤bococizumabは、多くの患者で抗薬物抗体(ADA)の発現がみられ、そのためLDLコレステロール(LDL-C)の低下効果が経時的に減弱することが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のPaul M Ridker氏らが行ったSPIREプログラムと呼ばれる6件の国際的な臨床試験の統合解析で明らかとなった。ADA陰性例にも、相対的なLDL-C低下効果に大きなばらつきを認めたという。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2017年3月17日号に掲載された。完全ヒト型抗体であるアリロクマブやエボロクマブとは異なり、bococizumabはヒト型抗体であり、抗原と結合する相補性決定領域に約3%のネズミ由来のアミノ酸配列が残存するため、ADAの発現を誘導する可能性が指摘されている。bococizumabとプラセボを比較する6件の無作為化試験に登録された4,300例を対象 本研究は、bococizumab(150mgを2週ごとに皮下投与)とプラセボを比較する6件の無作為化試験に登録された脂質異常症患者4,300例を対象とした(Pfizer社の助成による)。6試験には、プラセボの代わりにアトルバスタチンを用いた試験が1件、bococizumabの用量が75mgの患者を含む試験が1件含まれた。 ベースラインの全体の平均年齢は61歳で、42%が女性であった。糖尿病が53%、喫煙者が18%、家族性高コレステロール血症が12%含まれた。99%がスタチン治療を受けていた。治療期間中に検出されたADAの有無別に、12週および52週時に脂質値の経時的な変化の評価を行った。1年時のbococizumab群はADA陽性率48%、16%を占めた高力価の患者は平均変化率が低かった 12週時に、bococizumab群のLDL-C値はベースラインに比べ54.2%低下、プラセボ群は1.0%増加し、群間の絶対差は-55.2%(95%信頼区間[CI]:-57.9~-52.6)と、bococizumab群が有意に優れた(p<0.001)。 12週時の総コレステロール(TC)値のベースラインからの変化の群間絶対差は-36.0%、非HDL-C値は-50.2%、トリグリセライド(TG)値は-14.2%、アポリポ蛋白B値は-49.5%、リポ蛋白(a)値は-28.9%と有意に低下し、HDL-C値は6.2%と有意に増加しており、いずれもbococizumab群が良好だった(すべてp<0.001)。 52週時のLDL-C値のベースラインからの変化の群間絶対差は-42.5%(95%CI:-47.3~-37.8)であり、bococizumab群が有意に優れた(p<0.001)が、12週時に比べるとLDL-C低下効果が減弱した。また、TC値(群間絶対差:-27.1%)、非HDL-C値(-37.7%)、TG値(-10.9%)、アポリポ蛋白B値(-37.3%)、リポ蛋白(a)値(-20.6%)、HDL-C値(4.6%)も、bococizumab群が有意に良好だった(すべてp<0.001)が、いずれも12週時に比し効果は減弱した。 一方、1年時にbococizumab群の48%にADAが検出され、そのほとんどが12週以降に発現していた。52週時のADAが低~中力価の患者のLDL-C値の平均変化率(-43.1%)は、ADA陰性例(-42.5%)とほぼ同じであった。これに対し、ADA陽性例の16%を占めた高力価の患者のLDL-C値の平均変化率(-30.7%)は低く、力価最高位10%の患者(-12.3%)では著明に低かった。また、ADA陽性例は力価が高い患者ほど、PCSK9値およびbococizumab濃度が経時的に減衰した。 12週時のbococizumab群のLDL-C値の低下効果は全体として大きかったが、まったく低下しなかった患者が4%、低下率50%未満が28%、50%以上は68%とばらつきが認められた。52週時には、ADA陽性例はそれぞれ10%、38%、ADA陽性例はそれぞれ10%、38%、52%であったが、ADA陰性例にも9%、31%、60%と同様のばらつきがみられた。 重大な心血管イベント(非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、心血管死、血行再建術)の発生率は、bococizumab群が2.5%(57例)、プラセボ群は2.7%(55例)であった(ハザード比[HR]:0.96、95%CI:0.66~1.39、p=0.83)。bococizumab群の最も頻度の高い有害事象は、注射部位反応(12.7/100人年)であり、次いで関節痛(4.4/100人年)、頭痛(3.0/100人年)であった。 著者は、「bococizumabの有害事象には免疫原性の影響があり、有効性に関する生物学的な反応は一定ではなく個々の患者での予測は困難である」としている。これらの知見に基づき、2016年11月1日、bococizumabの開発は中止となった。

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わかる統計教室 第4回 ギモンを解決!一問一答 質問9(その1)

インデックスページへ戻る第4回 ギモンを解決!一問一答質問9 多変量解析を学ぶ前に知っておくべき統計の基礎を教えてください(その1)医学統計では、重回帰分析やロジスティック回帰分析など多変量解析の手法を使うことも少なくありません。しかし、数多くある多変量解析手法のうち、どのようなデータやケースにどの手法を使って解析すればよいのか迷われる先生も多いと思います。また、先生方からのご質問にも「まず統計の基礎知識をきちんと身に付けたい」とのお声も多くありましたので、今回は、多変量解析を学ぶ前に今一度基礎統計をおさらいします。■統計学の役割先生方のいる臨床現場の周りには、さまざまな情報があふれています。好むと好まざるとにかかわらず、先生方は無意識のうちに情報を選別・選択し、それを基に物事を把握しながら日常臨床を行っていると思います。どんな些細な事柄であっても、情報なくして意思決定がなされるということは考えられません。このように、先生方は知らず知らずのうちに情報を収集し、それを活用することによって日常臨床を成り立たせているといえるでしょう。「情報なしでは生きていくのすら困難」といっても過言ではない現代では、逆に、情報を巧みに活用できる人にとっては面白く、刺激的な時代といえるかもしれません。とはいっても、形も種類もさまざまな情報をやみくもに集めただけでは、有効に活用することはできません。情報の活用にも一定のルール、つまり「情報の読み方・伝え方の決まり」があります。ルールを無視して情報を取り扱うことは何のメリットもないばかりか、事と次第によっては自分や他人に大変な危険を及ぼすかもしれません。■統計学の活用方法統計学は、この情報を「正確に読み、間違いなく伝え、有効に活用するための理論」であり、統計解析の手法はそのための手段といえます。ここで日常臨床や研究に統計学を使われている先生方のために、まず一般的な統計解析の活用手順を示しておきましょう。解決したいこと(目的)を明確にする調査、実験、インターネットなどでデータ(情報)を集める数多くある統計解析手法の中から、どれを適用するかを決めるExcelや統計解析ソフトウェアを用いて計算する出力された結果を解釈する■集団の特徴や傾向を調べる基本統計量ここにAさんという人がいます。Aさんについてさまざまなデータを収集した結果、身長が165㎝、体重は60kg、性別は男性、血液型はA型、収縮期血圧が120mmHg、拡張期血圧が80mmHgであるなど、その他いろいろなことがわかりました。Aさんのデータを統計的に処理できるでしょうか。統計学は、一定の条件に基づいて集められた「データのまとまり」を扱うものです。ですから、あらゆるデータを扱うことができるといっても、このような「特定の個人(1人だけ)のデータ」は、統計学の関知するところではありません。たとえば「A、 B、…」という100人の集団について、「身長」と「性別」のデータを得たとします。身長は背の高い人も低い人も、また、性別は男性も女性もいるでしょう。このような個々のデータの差異を「変動」といいます。データが変動しているがために、その集団は「背の高いほうなのか、低いほうなのか」あるいは「男性は多いか、少ないか」を把握する必要性が生じてくるのです。そこで、統計学を用い、身長の平均や性別における男性の割合(比率)などを求めることになります。もし、全員の身長が165㎝、全員が男性であったとします。これでは身長の平均や男性の割合を求めること自体意味がないことでしょう。今述べたように、集団に属するデータから平均値や割合を求め、集団の特徴や傾向を明らかにするための考え方(理論)が統計学です。統計学によって求められた値(平均値、割合)を「基本統計量(要約統計量)」といいます。なお、情報の主体である「A、 B、 …」といった複数の人(あるいは物)の集まりを「集団」といいます。また、集団を構成する個々の主体(人あるいは物)を「個体」といいます(表1)。表1 情報の主体■因果関係を調べる相関分析・多変量解析ある集団について、血圧や食生活の実態を調べたデータがあります。「塩分を多く摂取する人の血圧平均値や変動は?」、「塩分を多く摂る人々とそうでない人々で血圧の平均値に違いがあるか?」は、先に述べた基本統計量で把握できます。では、血圧が「高い」「低い」の変動は何によって生じるのでしょうか。少し考えただけでも、塩分摂取量、喫煙の有無、飲酒量、年齢、測定時の心理・健康状態など、さまざまな要因を挙げることができます。「血圧測定値の高低に影響を及ぼす要因は?」、「飲酒量と血圧測定値とは関係があるか?」などは、「相関分析」という解析手法で把握できます。血圧測定値は、いろいろな要因が絡み合って決まります。ある人が塩分摂取量、喫煙の有無、飲酒量、年齢などをパソコンに入力すると「近い将来、あなたの血圧値は150になるので注意せよ」といったことを予測してくれるアプリがあります。このアプリは、多数の要因を同時に処理する「多変量解析」という手法によって作られています。統計学では目的とする要因(この例では血圧)を「目的変数(結果変数)」といいます。原因となる要因(この例では塩分摂取量、喫煙の有無など)を「説明変数(原因変数)」といいます。相関分析、多変量解析は、目的変数と説明変数の関係、すなわち両者の因果関係を明らかにする解析方法です(表2)。表2 把握したい内容と解析手法の役割次回は、基本統計量についてご説明いたします。今回のポイント1)統計学は、情報を「正確に読み、間違いなく伝え、有効に活用するための理論」であり、統計解析の手法はそのための手段である!2)集団に属するデータから平均値や割合を求め、集団の特徴や傾向を明らかにするための考え方(理論)が統計学である!3)統計学によって求められた値(平均値、割合)を「基本統計量(要約統計量)」という!4)統計学では目的とする要因(この例では血圧)を目的変数(結果変数)といい、原因となる要因(この例では塩分摂取量、喫煙の有無など)を説明変数(原因変数)という!インデックスページへ戻る

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タバコをやめると太る!?

タバコをやめると太る!? 禁煙後2~3年の間に、3~5kgの体重の増加がみられるものの、その後は元に戻るという報告が多数あります。 たとえ増えた体重が戻らなくても、喫煙を続けた場合に比べて、寿命に与える影響は少ないことが知られています。 健康のために体重を増やさないことは重要ですが、そのために喫煙を続けていては、本末転倒になってしまいます。たとえ体重が増えたとしても、禁煙で身体は健康に近づきます。タバコはやめましょう!社会医療法人敬愛会 ちばなクリニックCopyright © 2017 CareNet, Inc. All rights reserved.清水 隆裕氏

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キノコ摂取頻度が高いほど認知症リスク低い~大崎コホート研究

 in vivoやin vitroの研究においてキノコの神経保護作用や認知症を予防する可能性が示されているが、キノコと認知機能低下の関連について調べたコホート研究は少なく、関連が明らかになっていなかった。今回、一般住民を対象とした大規模前向きコホートである大崎コホート研究2006において、キノコの摂取頻度が高い高齢者では認知症発症のリスクが低いことが、世界で初めて明らかになった。Journal of the American Geriatrics Society誌オンライン版2017年3月13日号に掲載。 本研究の対象は、調査開始時点で65歳以上であった宮城県大崎市の住民1万3,230 人。ベースライン時のアンケート調査により、キノコの摂取頻度で「1回未満/週」「1~2回/週」「3回以上/週」の3群に分け、「1回未満/週」群を基準として、認知症発症との関連を検討した。ハザード比は、性別、年齢、BMI、既往歴(脳卒中、高血圧、心筋梗塞、糖尿病、高脂血症)、教育、喫煙、飲酒、歩行時間、心理的ストレス、食物摂取量などの因子を調整し算出した。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間は5.7年間で、認知症発症率は8.7%であった。・キノコの摂取頻度が1回未満/週の群と比べた認知症発症の調整ハザード比(95%信頼区間)は、1~2回/週では0.95(0.81~1.10)、3回以上/週は 0.81(0.69~0.95)であった(傾向のp<0.01)。・この逆相関は、最初の2年間で認知症を発症した参加者と、ベースライン時に認知機能が低下していた参加者を除外した場合も同様であった。 なお、本研究の限界として、認知症の臨床診断データがなくアウトカムに誤分類が含まれていた可能性がある点、キノコ摂取頻度をベースライン調査のみで評価しているため頻度の変化が考慮されていない点、キノコの種類が不明である点などがある。

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やはりthe lower the betterだった(解説:興梠 貴英 氏)-659

 これまでコレステロール低下療法のエビデンスにおいて、スタチンが数の上で圧倒的に多かった。しかもezetimibeは試験デザイン上の問題から、なかなかthe lower the betterを示すことができなかった。そのため、PCSK9の機能喪失変異に伴う心血管リスク低減という疫学的な知見や、PCSK9阻害薬の第II相試験の予備的な結果で心血管リスクが低減することが示唆されたということはあったものの、PCSK9阻害薬による実際の介入で心血管系エビデンスを減らすのかについては、きちんと実施された臨床試験の結果を待たなくてはならなかった。 さて、本FOURIER試験では動脈硬化性心血管疾患を有しており、LDL-Cが70mg/dL以上ですでにスタチン治療を受けている2万7,564例の患者をエボロクマブ群、プラセボ群の2群にランダム割り付けして中央値2.2年間追跡した。患者背景で興味深いのは、8割以上が陳旧性心筋梗塞の患者であり、またそれにもかかわらず、喫煙者の割合が3割弱もいることである。つまり、心血管疾患の再発のリスクが高い集団であるが、結果は血清LDL-C濃度においてはエボロクマブ群でLDL-C 30mg/dL、プラセボ群で86mg/dLという差がつき、心血管死、心筋梗塞、脳卒中の複合エンドポイント発生をエボロクマブ群で有意に低下させたというものであった(NNT=67例)。また、開発段階で可能性が示唆された認知機能への影響を含む副作用には、両群間で差が認められなかった(注射部位の副反応を除く)。 本試験の結果は、2年余りという比較的短い期間ではあるが、LDL-Cを30mg/dLまで低下させても安全上の問題がないこと、またその範囲でPCSK9阻害薬でLDL-Cを下げても、心血管系イベントについてthe lower the betterであることを示すものであった。本試験には日本人も参加していたので、今後サブ解析で日本人に関する結果が出てくることにも期待したい。

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2型糖尿病患者、食事が頸動脈内膜中膜厚に関連

 カナダ・トロント大学のLaura Chiavaroli氏らが、2型糖尿病患者の食事と頸動脈超音波検査(CUS)による頸動脈内膜中膜厚(CIMT)との関連を調査したところ、CIMTの低値が、豆類・炭水化物の高い摂取量、総脂肪・飽和脂肪の低い摂取量と有意に関連していた。この結果は、2型糖尿病の心血管疾患リスク管理における食事の潜在的役割を示唆している。BMJ open誌2017年3月22日号に掲載。 本研究では、同様の方法で収集された3件の無作為化比較試験から、325例の2 型糖尿病患者(最近の心血管イベントなし、スクリーニング時にHbA1cが6.5~8.0%、経口糖尿病治療薬を服用中)について、CUSによるCIMT、7日間の食物記録による食物摂取量の登録時のデータを横断的に分析した。 主な結果は以下のとおり。・CIMTは、豆類の摂取(β=-0.019、p=0.009)、糖質の摂取(β=-0.004、p=0.008)、グリセミック負荷(β=-0.001、p=0.007)、デンプンの摂取(β=-0.126、p=0.010)と有意に逆相関していた。・年齢・喫煙・心血管イベントの既往・降圧薬・糖尿病治療薬・超音波検査技師で調整した多変量回帰モデルにおいて、CIMTは総脂肪(β=0.004、p=0.028)と飽和脂肪(β=0.012、p=0.006)摂取量と直接関連していた。

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喫煙者は末期腎不全リスクが約2倍

 喫煙は、糖尿病患者における慢性腎臓病(CKD)発症の主要な危険因子として確立されているが、CKDの独立した危険因子かどうかはエビデンスが一致していない。中国・上海中医薬大学のJia Xia氏らが、成人一般集団における前向きコホート研究をメタ解析したところ、喫煙がCKD発症の独立した危険因子であることが示唆された。Nephrology, dialysis, transplantation誌オンライン版2017年2月27日号に掲載。 著者らはMEDLINEとEmbaseにおいて2016年5月31日までの論文の中から、一般集団での喫煙状態とCKDの相対リスクを報告している前向きコホート研究を検索した。ランダム効果モデルを用いて、統合相対リスク(SRR)と95%信頼区間(CI)を計算した。 主な結果は以下のとおり。・CKD発症例6万5,064例を含む、15件の前向きコホート研究を解析した。・生涯非喫煙者と比較して、CKD発症のSRRは、喫煙経験者で1.27(95%CI:1.19~1.35)、現在喫煙者で1.34(同:1.23~1.47)、過去喫煙者で1.15(同:1.08~1.23)であった。・末期腎不全のSRRは、喫煙経験者で1.51(95%CI:1.24~1.84)、過去喫煙者で1.44(同:1.00~2.09)、現在喫煙者で1.91(同:1.39~2.64)であった。・これらの研究にはかなりの異質性が認められた。・蛋白尿の5,747例を含む3件の前向きコホート研究を追加すると、一般集団における喫煙と蛋白尿の関連は認められなかった。

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多枝病変STEMI、非責任病変へのPCI追加は有用か?/NEJM

 多枝病変を有する急性期ST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者の治療において、梗塞責任動脈へのプライマリPCI施行時に、非責任動脈へ冠血流予備量比(FFR)ガイド下に完全血行再建術を行うと、責任病変のみの治療に比べ心血管リスクが低減することが、オランダ・マーススタト病院のPieter C Smits氏らが行ったCompare-Acute試験で示された。研究の成果は、NEJM誌2017年3月30日号(オンライン版2017年3月18日号)に掲載された。STEMI患者の責任病変へのPCIは血流を回復して転帰を改善するが、非責任病変へのPCIの追加の意義については議論が続いている。非責任動脈への介入の有無別のMACCEを評価 本研究は、欧州とアジアの24施設が参加した医師主導の前向き無作為化試験であり、2011年7月~2015年10月に患者登録が行われた(Maasstad Cardiovascular Researchなどの助成による)。 梗塞責任動脈へのプライマリPCIが施行された多枝病変を有するSTEMI患者885例が、非責任動脈へFFRガイド下血行再建術を追加する完全血行再建群(295例)またはこれを追加しない梗塞動脈単独治療群(590例)に無作為に割り付けられた。 PCIはエベロリムス溶出ステントが望ましいとされた。完全血行再建群では、非責任動脈への介入は全般に責任動脈への介入時に行われたが、担当医の裁量で遅延も可とされた(72時間以内が望ましい)。梗塞動脈単独治療群にも、完全血行再建群と同様のFFR測定が行われたが、その後の処置は行われず、測定結果は患者および担当医には知らされなかった。 主要評価項目は、12ヵ月時の全死因死亡、非致死的MI、血行再建術(PCI、CABG)、脳血管イベントの複合エンドポイント(MACCE)とした。梗塞動脈単独治療群では、プライマリPCI施行後45日以内に臨床所見に基づいて行われた待機的血行再建術はイベントに含めなかった。MACCEが65%低下、血行再建術は約3分の1に ベースラインの平均年齢は、完全血行再建群が62±10歳、梗塞動脈単独治療群は61±10歳、男性がそれぞれ79.0%、76.3%を占めた。喫煙者が梗塞動脈単独治療群で多かった(40.8 vs.48.7%、p=0.03)が、これ以外の背景因子には両群に差はなかった。 1年時のMACCEは、完全血行再建群が23例、梗塞動脈単独治療群は121例に発現し、100例当たりのイベント発生はそれぞれ8例、21例と、完全血行再建群が有意に良好であった(ハザード比[HR]:0.35、95%信頼区間[CI]:0.22~0.55、p<0.001)。 死亡率は完全血行再建群が1.4%(4例)、梗塞動脈単独治療群は1.7%(10例)(HR:0.80、95%CI:0.25~2.56)、MIの発生率はそれぞれ2.4%(7例)、4.7%(28例)(0.50、0.22~1.13)であり有意な差を認めなかったが、血行再建術は6.1%(18例)、17.5%(103例)(0.32、0.20~0.54、p<0.001)と、完全血行再建群が有意に優れた。脳血管イベントの発生率は、それぞれ0%(0例)、0.7%(4例)だった。 副次評価項目のうち、心臓死、MI、血行再建術、脳卒中、大出血の複合エンドポイント(NACE:8.5 vs.29.5%、HR:0.25、95%CI:0.16~0.38、p<0.001)、心不全、不安定狭心症、胸痛による入院(4.4 vs.8.0%、0.54、0.29~0.99、p=0.04)、1年以内に行われた待機的または緊急の初回血行再建術(6.4 vs.27.3%、0.47、0.29~0.76、p=0.002)が、完全血行再建群で有意に良好だった。 FFR関連の重篤な有害事象が梗塞動脈単独治療群の2例(0.2%)に発現した。1例は、FFRワイヤーにより非梗塞右冠動脈に解離が生じ、結果として閉塞を来し、梗塞が引き起こされて院内で死亡した。もう1例は、FFR抜去後に非梗塞左冠動脈前下行枝が閉塞したため、ST上昇を来し、胸痛が再発した(PCIは成功)。 著者は、「この完全血行再建群のリスク低減は、主に血行再建術の必要性が低下したことによる」と指摘している。

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冠動脈疾患と脳卒中における危険因子の違い

 冠動脈疾患(CHD)と脳卒中には共通のリスク因子があるが、CHDと脳卒中との関連の大きさや向きが異なる因子がある。藤田保健衛生大学の松永 眞章氏らは、アジア人におけるCHDと脳卒中による死亡において、各リスク因子による影響が異なるかどうかを、日本人の大規模コホート研究であるJACC(Japan Collaborative Cohort)Studyで検討した。その結果、高血圧との関連は一致したが、喫煙や糖尿病など他のリスク因子については一致しなかった。Atherosclerosis誌オンライン版2017年3月6日号に掲載。 本研究は、ベースライン時にがん、CHD、脳卒中の既往がない40~79歳の10万4,910人について、1988~2009年に追跡調査した。競合リスク分析を用いて、各リスク因子と2つのエンドポイント(CHDと脳卒中)との関連の違いを調べた。また、各リスク因子の集団での影響を推定するために、これらのエンドポイントにおける人口寄与割合も計算した。 主な結果は以下のとおり。・中央値19.1年間の追跡期間中、CHDにより1,554人が死亡し、脳卒中により3,163人が死亡した。・高血圧とCHDとの関連性は、大きさ・向きとも脳卒中と類似していた(多変量調整ハザード比におけるCHD vs.脳卒中:男性 1.63 vs.1.73、女性 1.70 vs.1.66)。・これらの関連の大きさは、喫煙(同:男性 1.95 vs.1.23、女性2.45 vs.1.35)および糖尿病(同:男性 1.49 vs.1.09、女性 2.08 vs.1.39)では異なっていた。・人口寄与割合は、CHDにおいては男性では喫煙、女性では高血圧が最も高く、脳卒中においては男女とも高血圧が最も高かった。

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わかる統計教室 第4回 ギモンを解決!一問一答 質問8(続き)

インデックスページへ戻る第4回 ギモンを解決!一問一答質問8(続き) Cox比例ハザードモデルとは?(その2)質問8(その1)日頃、文献や論文を読んでいると、よくこのような記載があると思います。「…Cox比例ハザードモデルを用いた解析の結果、プラセボに対する製品Aのハザード比は0.8(95%信頼区間:0.7~0.9、p<0.01)であった…」今回は、この「ハザード比の信頼区間」についてご説明いたします。■ハザード比の信頼区間信頼区間は“confidence interval”といい、頭文字をとって“CI”といいます。信頼度95%のハザード比の信頼区間を“95%CI”といいます。信頼区間は、とあるデータが何万人(母集団)もの人に当てはまるかどうかを分析するものです。100%に当てはまるのではなく、母集団の95%について当てはまるかどうかをみるものです。ハザード比が0.8で、95%CIが0.7~0.9という結果について解釈してみましょう。ハザード比の0.8ですが、別の患者さんを調べたら異なる値かもしれません。仮に別の患者さんを調べる臨床検査を100回とすれば、95回は0.7~0.9に収まり、5回は外れるということです。前回のその1でハザード比が「1」を下回れば、製品Aはプラセボに比べ死亡率を低下させる(延命効果がある)といえることを述べました。ハザード比の95%CIは、100回中95回とほとんどが1を下回っているので、製品Aは延命効果があったと判断します。ハザード比の95%CIが0.9~1.1と1を挟んでいたとします。別の患者を調べたら、ハザード比が1を下回ることもあれば上回ることもあるということです。1を下回れば効果あり、上回れば効果なしですので、延命効果があったかどうか、わからないということになります。前回の事例でもう一度みてみましょう。下図は事例としてカプランマイヤーの生存曲線の観察データを示しています。図 カプランマイヤーの生存曲線の観察データ表1 事例の基礎データ表2に、この事例におけるハザード比の95%CIを示します。表2 ハザード比と信頼区間処方薬剤の95%CIは0.071~2.116で1を挟むので、製品Aはプラセボに比べ延命効果があったといえません。喫煙の有無の95%CIは0.087~2.654で同じく1を挟んでいます。これにより、非喫煙喫煙に比べ死亡率を低下させるとはいえません。どちらも、この例題では症例数が少なく、両群の有意差はわからなかったといったほうがよいでしょう。今回のポイント1)信頼区間とは100%に当てはまるのではなく、母集団の95%について当てはまるかどうかをみるもの!2)95%CIが「1」を挟むと、母集団において「差があった」とはいえない!3)95%CIが「1」を挟まなければ、母集団においても「差がある」といえる!インデックスページへ戻る

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狭い店なら吸ってもいい!?

狭い飲食店なら吸ってもいい!? 広い店はたくさんのお客さんが利用します。→受動喫煙の被害を防ぐために、全面禁煙が多くなっています。 狭い店ならばお客さんが少ないので、被害もなくなるのでしょうか?→そんなことはありません!空間が狭いと、煙が高濃度に立ち込めます。つまり…1人当たりの受動喫煙の被害は、狭い飲食店のほうが大きいかもしれません。狭い店こそ禁煙を!社会医療法人敬愛会 ちばなクリニック 清水 隆裕氏Copyright © 2017 CareNet, Inc. All rights reserved.

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妊婦の肥満、子の脳性麻痺と関連?/JAMA

 母親の過体重や肥満は、早産、新生児仮死関連合併症、先天奇形のリスクを増加させ、これらの病態が新生児の脳性麻痺と関連することが知られているが、母親の過体重、肥満の重症度と子の脳性麻痺の直接的な関連やそのメカニズムは不明とされる。この問題を解明するために、米国・ミシガン大学/スウェーデン・カロリンスカ研究所のEduardo Villamor氏ら研究グループは、地域住民をベースとするレトロスペクティブなコホート研究を実施した。研究の成果は、JAMA誌2017年3月7日号に掲載された。142万例以上の子で、脳性麻痺と母親のBMIの関連を評価 本研究では、妊娠早期のBMI値と、妊娠期間別の脳性麻痺発生率の関連が検討され、媒介因子の評価が行われた。1997~2011年にスウェーデンで単胎児として出生した子と母親の全国的な登録データが用いられた。子の脳性麻痺の追跡調査は2012年まで行われた。 妊娠早期のBMIは、妊娠中の初回受診時に妊婦によって報告された身長と体重から算出した。妊婦の90%は、妊娠14週以内に初回の受診をしていた。WHO基準に従い、低体重(BMI<18.5)、標準体重(同18.5~24.9)、過体重(同25.0~29.9)、肥満1度(同30.0~34.9)、肥満2度(同35.0~39.9)、肥満3度(同≧40.0)に分類した。妊娠期間は、正期産(≧37週)、中等度早産(32~36週)、超早産(28~31週)、極早産(22~27週)に分けて解析した。 主要評価項目は脳性麻痺の発生とした。妊婦の出産時年齢、出身国、学歴、パートナーとの同居、身長、妊娠中の喫煙、出産年で補正したハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を算出した。 142万3,929人の子が解析の対象となった。平均妊娠期間は39.8(SD 1.8)週、51.4%が男児であった。母親の肥満度が上がるほど増加、早産児では関連なし フォローアップ期間中央値7.8年(IQR:4.3~11.7)の間に、3,029人の子が脳性麻痺と診断された(発生リスク:生児出生1,000人当たり2.13人、発生率:1万人年当たり2.63人)。 母親の脳性麻痺リスク因子として、低学歴、北欧以外の国の出身、パートナーと同居していない、初産および経産回数が4回以上、低身長、妊娠中の喫煙、糖尿病性疾患、高血圧性疾患が挙げられた。 また、子の脳性麻痺リスク因子は、男児、短い在胎週数、器械分娩、分娩時外傷、出生時体重が<10および>97パーセンタイル、新生児感染症、新生児仮死関連合併症(胎便吸引、低酸素性虚血性脳症と関連疾患、新生児発作)、Apgarスコアが<7点、先天奇形(染色体異常、心血管奇形、神経系奇形など)であった。 母親の妊娠早期の平均BMIは24.5(SD 4.4)であった。低体重が2.4%、標準体重が61.8%、過体重が24.8%、肥満1度が7.8%、肥満2度が2.4%、肥満3度は0.8%であった。母親のBMIカテゴリー別の脳性麻痺児の数は、低体重64人、標準体重1,487人、過体重728人、肥満1度239人、2度88人、3度38人であり、1万人年当たりの発生率は、それぞれ2.58、2.35、2.92、3.15、4.00、5.19人だった。 標準体重の母親の子との比較における脳性麻痺の補正HRは、低体重が1.09(95%CI:0.84~1.41)、過体重が1.22(同:1.11~1.33)、肥満1度が1.28(同:1.11~1.47)、2度が1.54(同:1.24~1.93)、3度は2.02(同:1.46~2.79)と、肥満度が上がるほど上昇し、有意な関連が認められた(傾向検定:p<0.001)。 脳性麻痺児のうち、正期産は71%、中等度早産は13%、超早産は10%、極早産は6%であった。脳性麻痺発生率が、母親の過体重、肥満の重症度が上がるにしたがって上昇したのは、正期産の子のみであり(傾向検定:p<0.001)、早産児では有意な関連を認めなかった。 媒介分析では、母親の肥満が正期産児の脳性麻痺を引き起こす可能性と最も関連の強い媒介因子は新生児仮死関連合併症(45%)であり、次いで低Apgarスコア(30%)、器械分娩(17%)、神経系奇形(13%)の順であった。 著者は、「母親の過体重、肥満は子の脳性麻痺の発生率と有意に関連するが、これは正期産児に限られ、新生児仮死関連合併症の寄与が大きいと考えられる」とまとめ、「高い肥満有病率と、最も重症度の高い肥満の持続的な増加を考慮すると、母親の肥満と子の脳性麻痺の用量-反応的な関連は、公衆衛生学上の深刻な問題となる可能性がある」と指摘している。

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大腿骨頚部骨折の再手術率は固定法で異なるか? /Lancet

 大腿骨頚部骨折の手術後に再手術となることが多いが、これは骨折部の固定法に関連しているのか。カナダ・マックマスター大学のMohit Bhandari氏らFAITH研究チームが、国際多施設共同無作為化試験にて、再手術のリスクとしてsliding hip screw法 vs.cancellous screws法の比較検討と、その他キーとなるアウトカムについて調べた。その結果、固定法の違いに有意差はなかったが、喫煙・転位または基部骨折の患者群ではsliding hip screw法を用いるほうがよい可能性が示されたという。Lancet誌オンライン版2017年3月2日号掲載の報告。初回手術後24ヵ月以内の再手術を評価 試験は8ヵ国81の医療センターから、50歳以上の加齢性の大腿骨頚部骨折で骨折固定法の施術を必要とした患者を集めて行われた。 被験者は、コンピュータによる最小化無作為法にて、sliding hip screw法(サイドプレート付きの1本の長尺スクリューを用いて固定)を受ける群と、現行標準法とされるcancellous screws法(複数の短尺の海綿骨ねじを用いて固定)を受ける群に割り付けられた。手術担当医と患者は盲検化を受けなかったが、データ解析者は、治療割り付けを知らされなかった。 主要アウトカムは、初回手術後24ヵ月以内の再手術(骨折治癒促進のため)、疼痛減、感染症の治療、機能改善とし、intention-to-treat法にて解析した。主要解析では有意差なし 2008年3月3日~2014年3月31日の間に、1,108例が無作為化を受けた(sliding hip screw群557例、cancellous screws群551例)。被験者は70~80歳代の女性が多く、骨折は転倒によるもの、孤立性、非転位性の患者が大半を占めた。 24ヵ月以内の再手術は、主要解析においては両群に差は認められなかった。sliding hip screw群は107/542例(20%)、cancellous screws群は117/537例(22%)であった(ハザード比[HR]:0.83、95%CI:0.63~1.09、p=0.18)。 大腿骨頭壊死症(AVN)は、sliding hip screw群がcancellous screws群よりも発生頻度が高かった(50例[9%] vs.28例[5%]、HR:1.91、1.06~3.44、p=0.0319)。しかしながら、医学的な有害事象の発生件数は、両群で有意差はみられなかった(p=0.82)。たとえば、肺塞栓症(2例[<1%] vs.4例[1%]、p=0.41)、敗血症(7例[1%] vs.6例[1%]、p=0.79)などで有意差がなかったことが報告されている。 また、サブグループ解析で、現在喫煙者(HR:0.39、p=0.02)、転位骨折群(0.57、p=0.04)、基部骨折群(0.24、p=0.04)でsliding hip screw群の優位性が示された。

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あの有名な汚染物質の発生源は…

あの有名な汚染物質の発生源は…ベンゼン鉛シアン化合物カドミウムヒ素ポロニウム……見つかれば大騒ぎになるこれらの物質。意外と近なところにありますが、どこにあるでしょう?豊洲(築地市場移転先)の地下水タバコに含まれる成分この事実を知っても、まだあなたはタバコを吸いたいですか?社会医療法人敬愛会 ちばなクリニック 清水 隆裕氏Copyright © 2017 CareNet, Inc. All rights reserved.

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わかる統計教室 第4回 ギモンを解決!一問一答 質問8(その1)

インデックスページへ戻る第4回 ギモンを解決!一問一答質問8 Cox比例ハザードモデルとは?(その1)生存率の分析の手法に、カプランマイヤー法、Cox比例ハザードモデルがあります。これらの手法は、ある事象が起こった群と起こらない群の2群に対して、時間的な要素を考慮して解析する方法です。目的変数は「アウトカム」とも呼ばれ、死亡/生存(時には、再発する/再発しない、寛解する/寛解しないなど)の2群のカテゴリーデータになります。カプランマイヤー法について、「わかる統計教室 第1回」で詳しく説明していますので、そちらを参照ください。■Cox比例ハザードモデル(Cox回帰モデル)Cox比例ハザードモデルは、死亡/打ち切りのデータから生存率を求め、生存率の時間的な要素を考慮し、生存率に影響を及ぼす変数との関係式を作成する方法です。つまり、治療法や背景因子などが生存期間に与える影響を評価する際に用います。関係式の目的変数(アウトカム)は1、0の2値データです。1、0データは死亡/打ち切りにとどまらず、死亡/生存、再発する/再発しない、寛解する/寛解しないなど、いろいろな場面が想定されます。説明変数は、生存率に影響を及ぼす治療方法や性別、年齢、BMIなどの背景因子が用いられます。Cox比例ハザードモデルは、説明変数のハザード比を算出します。ハザードは危険を意味するので、生存でなく死亡に対するリスクを示す尺度です。ハザードは、ある時点の瞬間における死亡率であり、時間とともに変化します。単位は「人/単位時間」ということになります。下図は事例としてカプランマイヤーの生存曲線の観察データを示しています。図 カプランマイヤーの生存曲線の観察データそれでは、表1から目的変数(アウトカム)を「1:死亡、0:打ち切り」、説明変数を処方薬剤、喫煙の有無としてCox比例ハザードモデルを適用し、処方薬剤、喫煙の有無のハザード比を求めてみましょう。目的変数(アウトカム)は、死亡(再発)など危険要素を1、ほかを0とします。説明変数が2分類のカテゴリーデータの場合、死亡率が低いと仮定するほうを1、ほかを0とします。製品A、非喫煙を1としました。表1 事例の基礎データ■ハザード比の結果表2に関係式の回帰係数とハザード比を示します。表2 関係式の回帰係数とハザード比ハザード比は次式によって求められる値です。ハザード比=e回帰係数 ただし、eは自然対数の底で、2.7183…です。【計算例】薬剤のハザード比=e-0.950=0.387 Excelの関数=EXP(-0.950)Cox比例ハザードモデルを使って目的を解明する場合、危険度の高さを示す回帰係数でなく、ハザード比を用います。ハザード比から、説明変数がアウトカムに対して、どれくらい寄与しているかを調べることができます。たとえば説明変数が、「治療方法P、治療方法Q」の場合、ハザード比からアウトカム発生確率(死亡率)は、PはQに比べ何倍高いかを示せます。また、3年間の観察期間において、アウトカムが「1:死亡、0:打ち切り」のハザード比が「1.5」だったとします。この場合の解釈は、「治療方法Pは、Qに比べ、3年の間に死亡する度合いは1.5倍高い」となります。つまり治療方法Pは、Qに比べ、良くないということです。この例題のハザード比は「0.387」で「1」を下回りました。この場合の解釈は、アウトカム発生確率(死亡率)は、製品Aはプラセボに比べ0.387倍高いとなります。つまり製品Aはプラセボに比べ、死亡率を61.3%(=1-0.387)減少させ、製品Aの延命効果はあったと解釈されます。喫煙の有無のハザード比は0.480なので、非喫煙喫煙に比べ死亡率を52.0%減少させたとなります。次回は、ハザード比の信頼区間についてご説明いたします。今回のポイント1)ハザード比は「1」が基準となり、「1」の場合は説明変数の値が変化しても、アウトカム発生までの時間に変化はないことを意味し、「1」より大きい場合はリスクが高くなり、「1」より小さい場合はリスクが小さくなることを表している!2)ハザード比が「1」を超えている場合は、「死亡や病状進行のリスクが対照群に比べて○○%高くなる」ということになる!3)逆に、ハザード比が「1」を超えていない場合は、「死亡や病状進行のリスクが対照群に比べて○○%低くなる」ということになる!インデックスページへ戻る

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2型糖尿病、併存疾患ごとの超過死亡リスク

 2型糖尿病の患者は、大血管疾患・慢性腎臓病・慢性呼吸器疾患・がん・喫煙習慣を伴うことが多い。山梨大学の横道 洋司氏らは、これらを伴う2型糖尿病患者の超過死亡リスクについて、バイオバンク・ジャパン・プロジェクトのデータを用いて定量化した。その結果、慢性腎臓病・大血管疾患・慢性呼吸器疾患の既往、もしくは現在喫煙している糖尿病患者において高い死亡リスクが示された。著者らは、糖尿病の予後改善のために併存疾患の改善および禁煙の必要性を提言している。Journal of epidemiology誌オンライン版2017年2月10日号に掲載。 著者らは、2003~07年のバイオバンク・ジャパン・プロジェクトのデータから、利用可能な2型糖尿病患者 3万834例のデータを分析した。追跡期間中央値は男性が8.03年、女性が8.30年であった。糖尿病患者の死亡率は、大血管疾患・慢性呼吸器疾患・慢性腎臓病・がん・喫煙習慣の有無別にCox比例ハザードモデルおよびカプランマイヤー推定を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・糖尿病患者の死亡における調整ハザード比(HR)は、男性 1.39(95%CI:1.09~1.78)、年齢10歳増あたり 2.01(同:1.78~2.26)であった。・各併存疾患および喫煙習慣の調整HRは、大きい順に慢性腎臓病 2.03(同:1.67~2.47)、大血管疾患 1.77(95%CI:1.42~2.22)、現在喫煙 1.74(同:1.30~2.31)、慢性呼吸器疾患 1.58(同:1.08~2.31)、がん 1.16(同:0.86~1.56)、であった。

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第34回 真実を曇らせる後知恵バイアスとは?

■今回のテーマのポイント1.耳鼻科疾患でもっとも訴訟が多い疾患は、急性喉頭蓋炎である2.急性喉頭蓋炎に関する訴訟においては、診断の遅れと気道確保が争点となる3.司法および鑑定意見書を書く医師は、後知恵バイアスの存在を知り、適切な判断をすることが難しいということを理解すべきである■事件のサマリ原告患者X被告Y病院争点診療上の見逃しによる四肢麻痺障害に対する責任結果原告勝訴、2億832万円の損害賠償事件の概要喫煙者である50歳男性(X)は、平成9年8月4日、喉の痛みを感じたため、A医院を受診し、内服薬を処方されました。しかし、帰宅後ものどの痛みが持続し、夜中には38.2℃まで発熱。翌朝には、朝食のパンを飲み込むのも困難な上、呼吸もしづらく息苦しさを感じるようになりました。そのため、同日、XはY病院を受診。耳鼻科のB医師は、問診および簡単な検査の結果、Xに対して「のどが少し炎症を起こしているがたいしたことはない」として、のどにルゴール液のような薬剤を塗り、内服薬を処方しただけで、それ以上の注意を与えることもなく帰宅させました。しかし、Xは、Y病院から帰宅した後,のどの痛みがますます強くなり、粘調の痰がのどに絡む、声が出にくくなるなど病状が悪化していきました。Xの妻(C)は、Y病院への再度の受診を勧めましたが、Xは、たった今受診し、薬も出されたからこの薬が効いてくれば良くなるはずであるとして、Cの勧めに応じませんでした。ところが、Xは、同日午後5時20分ころ、痰を吐き出そうとして呼吸ができなくなったことから、救急車でD大学救急救命センターへ搬送されました。Xは、D大学救急救命センターでの気管内挿管などの救命措置により、生命を取り留めたものの、喉頭の浮腫、蜂窩織炎(急性喉頭蓋炎)により、気道閉塞、窒息状態になり、低酸素脳症から脳に不可逆的な障害が残り、四肢体躯麻痺の状態となりました。これに対し、Xは、Y病院の耳鼻科で所見の重大性が看過されたことなどにつき、Y病院の設置者である国に対して、2億1,932万円の損害賠償請求を行いました。事件の判決前記認定にかかる発症・受診から入院に至るまでの経過をみると、X(当時50歳、喫煙者)は、平成9年8月4日、咽頭痛を訴え、A医院で診断を受けたが、同日夜には熱が38度2分に上がり、咽頭痛及び嚥下痛を訴えており、翌5日午前に被告病院で受診した後、同日午後には症状が急速に悪化し、午後5時ころには呼吸困難に至ったというのであるから、アの〔1〕ないし〔4〕*の特徴に全て合致し、これに、XがA医院における診断に納得せず、自己の症状に尋常でないものを感じ、さらに精密な診断を受けようと考えて翌日妻Cを付き添わせて国立総合病院であるY病院に赴いたことを考慮すると、Xは、遅くとも被告病院において受診を受けた時点では、既に急性喉頭蓋炎に罹患しており、その後、次第にその症状が進み、呼吸困難に至ったものとみるのが自然であるというべきであって、Y病院で診断を受けたときは、Xは急性咽喉頭炎(喉頭粘膜に発赤、腫脹をきたす急性炎症であり、かぜ症候群の部分症状のことが多い)に罹患していたにすぎず、その直後に、急性喉頭蓋炎に発症し、急激に悪化していったとみるのは極めて不自然である。以上の検討結果によれば、B医師が、Y病院において、Xの診断をした際、喉頭蓋の発赤及び腫脹を確認することが可能であったものと推認されるから、B医師はXに対し急性喉頭蓋炎であるとの診断を下すことができ、この診断に基づく適切な処置をとることができたものというべきである。・・・(中略)・・・以上によれば、B医師には、Y病院において、Xの診断をした際、喉頭蓋の発赤及び腫脹を確認することが可能であったにもかかわらず、患部についての慎重な観察や各症状についての十分な検討を欠いたために、Xが罹患していた急性喉頭蓋炎に対する適切な処置をとることをしなかったという過失が認められる。なお、付言するに、発赤、腫脹というのは、要するに炎症所見であり、喉頭全体に発赤があるのであれば、炎症が始まったことを示しているのであって、仮にB医師が診断した時点では、発赤のみであったとしても、以後腫脹を伴ってくる可能性を有するというべきであるから、急性喉頭蓋炎が窒息など生命に重大な危険を及ぼす病気であることを考慮すれば、医師としては、急性喉頭蓋炎の可能性を排除するのではなく、むしろその可能性を考えて、Xをそのまま帰宅させることなく、引き続き経過観察をするなどの適切な処置をとるべきであったといえるから、いずれにしろ過失は否定できないところである。以上により、原告一部勝訴(約2億832万円の賠償)。*〔1〕日本では成人男子(特に中年男性、喫煙者)に発症例が多い、〔2〕発症から入院までの期間は、平均的には2、3日程度であるが、急速に進行し、気道閉塞を来すこともあり、症例によっては急激に増悪し、発症後数時間から24時間で窒息に至ることがある、〔3〕37℃5分以上の発熱を伴うことが多い、〔4〕ほとんどの症例に、咽頭痛、嚥下痛(嚥下障害)が認められる(※判決文中、下線は筆者による加筆)東京地判平成14年3月13日 判時1812号116頁ポイント解説●耳鼻科疾患の訴訟の現状今回は耳鼻科疾患です。耳鼻科疾患で最も訴訟が多いのは急性喉頭蓋炎(約15%)であり、以下、中耳炎、耳下腺腫瘍と続いています。急性喉頭蓋炎に関する訴訟の原告勝訴率は、85.7%と非常に高く、また、平均認容額も約7,851万円と高額になっています(表1、2)。これは、急性喉頭蓋炎による気道閉塞により、死亡や四肢麻痺などの重い障害が生ずること、そして、急性喉頭蓋炎は働き盛りの中年男性や小児に多い疾患であること(表2から50代男性の事例が(2)(5)(6)、小児の事例が(3)(4))によると考えられます。画像を拡大する画像を拡大する急性喉頭蓋炎に関する訴訟の争点で最も多いのは診断の遅れ(5件71.4%)であり、次いで気道確保(3件42.9%)となっています。診断の遅れが争われた訴訟では、5件中3件(60%)で過失が認定されています。気道確保について争われた訴訟では、気管内挿管や外科的な処置(輪状甲状靱帯切開など)が適切になされたかどうかが争点となり、3件中2件で過失が認定されています(表3、4)。画像を拡大する画像を拡大する●いわゆる「地雷疾患」に対する司法の理解今回取り扱った急性喉頭蓋炎のような診断が困難であり、かつ、急速な転帰をたどる疾患の診断につき、結果の重大性を過大視して医師に過失を認めることは、およそ不可能を強いるものであり、問題があるといえます。さらに今回の事例は、第24回「劇症Ⅰ型糖尿病の事例」とは異なり、過失相殺すらなく約2億円もの額が認容されています。急性喉頭蓋炎以外にも、急性冠症候群、心筋炎・心膜炎、解離性大動脈瘤、くも膜下出血、髄膜炎・脳炎など、とくに非典型的な症例であった場合には、診断が困難であり、かつ、急速な転帰をたどる疾患においては、しばしば同様の訴訟が起きています。もちろん、医師もできる限り見逃しのないよう努力をしていますが、100%の診断をすることは不可能です(最近話題のIBM Watsonですら100%ではありません)。このような医療の現実を無視した判決が出されてしまうと、萎縮医療が加速することとなり、結果として患者、国民が困ることとなります。このような判断がなされる背景には、後知恵バイアスが大きく寄与しています。医療と司法の相互理解の中で、しばしば問題になるのが、「医師は結果がわからない状況で、今ある情報だけを基に判断をしていくのに対し、司法は悪い結果が起きてから、振り返って、すべての情報を知ったうえで判断をしていく点が大きく異なる」ということです。振り返って過去の判断を評価する場合、人間には必ず強力な後知恵バイアスがかかります。故意事案であれば、後知恵バイアスは大きな問題とはなりがたいのですが、過失事案では後知恵バイアスが強力であるが故に、しばしば現実を無視した不当な評価がなされます。まずは、司法関係者および鑑定書を書く医師が、後知恵バイアスの存在を知り、メタ認知できるよう学習することが求められるのです。裁判例のリンク次のサイトでさらに詳しい裁判の内容がご覧いただけます。(出現順)東京地判平成14年3月13日 判時1812号116頁本事件の判決については、最高裁のサイトでまだ公開されておりません。

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