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乳がんリスクが高い職業

 職業別の乳がんリスクについて、スウェーデン・カロリンスカ研究所のCecilia Kullberg氏らが調査したところ、ホワイトカラーのほうがブルーカラーより高リスクで、専門職や管理職の女性でリスクが高いことがわかった。さらに、このリスク増加の要因として、生殖および生活習慣以外の因子の影響が大きいことが推測された。Occupational and environmental medicine誌オンライン版2017年4月29日号に掲載。 本研究は1991~96年に実施されたコホート研究で、スウェーデンのマルメ州の住民で1923~50年に生まれた女性1万4,119人が参加した。リスク因子に関する情報(年齢、出産歴、第1子出産年齢、授乳月数、ホルモン補充療法、身体活動、飲酒、喫煙、身長、BMIなど)および職歴についてアンケート調査した。侵襲性乳がんの診断は、スウェーデンがんレジストリで2013年12月31日まで確認した。 主な結果は以下のとおり。・計897人の女性が乳がんと診断された。・年齢調整後の解析で、ホワイトカラーはブルーカラーに比べて乳がんリスクが高く、専門職、管理職、簿記業務に従事する女性では、販売、運輸、生産、サービス業務に従事する女性よりも乳がんリスクが高かった。・乳がんリスクの差は、生殖および生活習慣に関連するリスク因子の調整後も、わずかに減少したのみであった。

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脳卒中リスク因子の年齢別パターン

 脳卒中の血管リスク因子について、ユトレヒト大学のAllard J. Hauer氏らが脳卒中サブタイプ別・年齢別に調査した結果、主な心血管リスク因子を有する割合の年齢別パターンがサブタイプにより異なることが示された。Journal of the American Heart Association誌2017年5月8日号に掲載。 本研究は、多施設共同の大学病院ベースでのコホート4,033例における研究である。大動脈アテローム性動脈硬化症または小血管疾患または心原性による虚血性脳卒中患者、自然発症脳出血患者、動脈瘤性くも膜下出血患者(計5サブタイプ)が有していた血管リスク因子(男性、非白人、肥満、高血圧症、高脂血症、糖尿病、喫煙、家族歴)を調査し、55歳未満、55~65歳、65~75歳、75歳以上の4群で各リスク因子を有する患者の割合を計算した。また基準年齢群(虚血性脳卒中および脳出血では65~75歳、動脈瘤性くも膜下出血では55~65歳)と比較した平均差と95%CIを計算した。 主な結果は以下のとおり。・55歳未満の患者は、非白人が有意に多く(とくに自然発症脳出血および動脈瘤性くも膜下出血患者)、喫煙頻度が最も高かった(動脈瘤性くも膜下出血患者で最も顕著)。・55歳未満の大動脈アテローム性動脈硬化症または小血管疾患による虚血性脳卒中患者は、心原性の虚血性脳卒中患者よりも、高血圧症、高脂血症、糖尿病の頻度が高かった。・全体として、高血圧症、高脂血症、糖尿病の頻度は、すべての脳卒中サブタイプで年齢とともに増加したが、喫煙は年齢とともに減少した。・年齢にかかわらず、大動脈アテローム性動脈硬化症/小血管疾患による虚血性脳卒中患者で、修正可能なリスク因子の累積が最も顕著であった。

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うつ病は認知症のリスクファクター or 初期マーカー

 うつ病は、認知症のリスクファクターとして知られているが、この関係が原因であるかはわかっていない。オーストラリア・西オーストラリア大学のO. P. Almeida氏らは、うつ病に関連する認知症が抗うつ薬使用により減少するか、うつ病への曝露と認知症が発症した時間との関係性を調査した。Translational psychiatry誌2017年5月2日号の報告。 71~89歳の健常男性4,922例を対象に14年間の縦断的研究を行い、うつ病歴、現在のうつ病、うつ症状の重症度に関連する情報を収集した。抗うつ薬の使用、年齢、教育、喫煙、病歴(糖尿病、高血圧、冠状動脈性心疾患、脳卒中)についても収集した。フォローアップ期間中の認知症発症および死亡は、西オーストラリア州データ連携システムによって確認した。 主な結果は以下のとおり。・うつ病であった男性は682例であった(過去:388例、現在:294例)。・8.9年間のフォローアップ期間中、認知症を発症したのは903例(18.3%)、認知症でなく死亡したのは1,884例(38.3%)であった。・過去および現在うつ病を有している男性の、認知症のサブハザード比(SHR)は、それぞれ1.3(95%CI:1.0~1.6)、1.5(95%CI:1.2~2.0)であった。・抗うつ薬の使用は、このリスクを減少させなかった。・認知症のSHRは、うつ症状のない男性と比較して、うつ症状の疑い例1.2(95%CI:1.0~1.4)、軽度~中等度うつ症状例1.7(95%CI:1.4~2.2)、重度うつ症状例2.1(95%CI:1.4~3.2)であった。・うつ病と認知症は、フォローアップ期間の最初の5年間のみで関連が認められた。 著者らは「うつ病歴のある高齢者は、認知症発症リスクが高い。しかし、うつ病は認知症の修正可能なリスクファクターというよりも、初期認知症のマーカーである可能性が高い」としている。関連医療ニュース 65歳未満での抗うつ薬使用、認知症増加と関連 抑うつ症状は認知症の予測因子となりうるのか たった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能

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受動喫煙はうつぶせ寝より危険!?

受動喫煙はうつぶせ寝より危険!? 乳幼児突然死症候群(SIDS)は、1歳未満の健康な乳幼児が何の前触れもなく突然死に至る原因不明の疾患です。日本では 6,000~7,000人に1人の割合で発症しています。 その危険因子として指摘されているのが、乳幼児の「うつぶせ寝」です。 厚生労働省の調査※では、保護者の喫煙でSIDSが非喫煙者より4.67倍多く発症することがわかっています。一方「うつぶせ寝」によるSIDSリスクは3倍といわれており、保護者の喫煙のほうがリスクが高いということがわかります。※ http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/pdf/sids_kenkyu.pdfタバコでSIDSのリスクが上がります。子供のためにも喫煙はやめましょう!社会医療法人敬愛会 ちばなクリニックCopyright © 2017 CareNet, Inc. All rights reserved.清水 隆裕氏

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「たばこ煙害死なくそう」 受動喫煙防止法案の行方に一石

 2017年5月24日、受動喫煙対策を強化する健康増進法改正に関して、「建物内禁煙」を目指す厚労省案を支持する医師や研究者、アスリートからなる有志が声明を発表し、厚生労働省で記者会見を行った。受動喫煙、最も効果的な対策は「建物内禁煙」 「飲食店の建物内禁煙」を掲げる厚労省案に対して、与党内から「飲食店の店頭に喫煙環境を提示すればよい」という緩和案が出されている。これを受けて、代表発起人の渋谷健司氏(東京大学大学院教授)は、受動喫煙による健康被害を確実になくす方法として厚生労働省案を支持するとの声明を発表した。受動喫煙による死亡者数は、毎年1万5,000人程度と言われており、交通事故死亡者4,000人をはるかに上回る。受動喫煙によって心筋梗塞や肺がん、脳卒中などのリスクが上昇することは国立がん研究センターの報告などからも明らかだ。 山口育子氏(ささえあい医療人権センターCOML理事長)は、「厚労省案に盛り込まれている喫煙専用室の設置は、『建物内禁煙』の実現に向けた移行措置としてとしてやむを得ない。しかし移行期間は極力短縮し、建物内禁煙の実現に向けて前進してほしい」と述べている。 また、中室牧子氏(慶應義塾大学准教授)は、世界では科学的な根拠に基づいた政策立案が標準になっており、受動喫煙は科学的なデータから建物内禁煙が最も有効な手段だと考えられていることを説明した。また、飲食店に与える影響についても、「受動喫煙に関する社会科学的な研究において、飲食店を全面禁煙にしても売上は落ちないという報告が数多く出されている。仮に、例外を設けて喫煙が可能な店ができれば、間接的に喫煙できる店を補助することになりかねない」と指摘し、飲食店への影響を考慮しても、建物内禁煙が最も有効な手段だと強調した。声なき声を拾った国民的議論を SNSで拡散求める 今回の声明の賛同者は5月24日現在、220名。医療関係者だけでなく、NPO、患者団体、企業など幅広い分野から集まっている。これは会見前の3~4日間に主にインターネット上での呼びかけに反応した数字だ。短期間にこれだけの人数が集まった背景には、受動喫煙に関する国民的意識が高まっていること、また飲食店等での禁煙を望むものの声をあげられなかったサイレントマジョリティが数多くおり、潜在的な賛同者が多くいると感じていると渋谷氏は述べた。最後に法案可決まで時間がない中、「建物内禁煙」の実現に向けて、以下のアクションを呼びかけた。 (1)SNSやブログでの、ハッシュタグを付けた「建物内禁煙」実施を求める投稿   (#たばこ煙害死なくそう など) (2)科学的根拠や最新の動向についての情報に耳を傾け、周囲と話し合う ■参考 声明文 たばこ煙害死なくそう。受動喫煙のない国に。

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キレイな吸い殻にだまされるな!

キレイな吸い殻にだまされるな!使用前・後でほとんど変わらない新型タバコのカートリッジ使用前使用後 火を点ける従来のタバコと違って、もみ消す必要がないため、使用後のタバコ(吸い殻)はそのままゴミ箱などに捨てられます。 見た目に汚らしさが少なく、子供が抵抗なく口に入れてしまう例が報告されています。 添加物など未知な成分が多く、誤飲時の治療法が確立していません。社会医療法人敬愛会 ちばなクリニックCopyright © 2017 CareNet, Inc. All rights reserved.清水 隆裕氏

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世界および日本において喫煙対策は急務である(解説:有馬 久富 氏)-678

 Global Burden of Disease Study 2015から喫煙に関する成績がLancet誌に報告された。その結果は、世界において男性の25%、女性の5%が喫煙しており、年間640万人が喫煙のために死亡しているというショッキングなものであった。死因別にみると、心血管病死亡の41%、悪性新生物による死亡の28%、呼吸器疾患による死亡の21%が、喫煙によるものであった。つまり、喫煙者がいなくなることにより、心血管病死亡が約4割、悪性新生物による死亡が約3割、呼吸器疾患による死亡が約2割減少し、年間640万人の死亡が回避できると期待される。 生まれた年代ごとの検討では、喫煙を始める人が徐々に減り、早い段階から禁煙する人が増えてきていることがうかがえる。しかし、いまだに男性の約30%、女性の約5%が20歳までに喫煙を開始している。喫煙による健康被害を減らしていくためには、禁煙を推進するだけでなく、学校などにおける防煙教育を充実させて、たばこを吸い始めさせないようにする必要がある。 論文中には国別の成績もあり、日本人男性1,530万人・女性490万人が喫煙者であると報告されている。この数は、世界で7番目に多く、高所得国の中では米国に次いで2番目である。さらに、日本では年間16万人以上が喫煙のために死亡していると報告されている。防煙教育および禁煙を推進することにより、喫煙による健康被害および死亡を減らすことは急務である。また、非喫煙者の健康を守るために、国際水準を満たし、実効性のある受動喫煙対策法案の成立が望まれる。

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染色体不安定性、NSCLC再発・死亡リスクを増大/NEJM

 染色体不安定性(chromosome instability)を介して誘導される腫瘍内不均一性(intratumor heterogeneity)は、非小細胞肺がん(NSCLC)の再発や死亡のリスクを高めることが、英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのMariam Jamal-Hanjani氏らTRACERxコンソーシアムの検討で示された。この知見は、肺がんの予後予測因子としての染色体不安定性の可能性を支持するものだという。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2017年4月26日号に掲載された。NSCLCの腫瘍内不均一性やゲノム進化(genome evolution)の詳細な探索については、小規模な後ろ向きコホート研究しか行われておらず、治療戦略の指針となる腫瘍内不均一性の臨床的重要性や、ドライバー・イベントのクローン性は不明とされている。100例の327の腫瘍領域をシーケンシング 本研究は、早期NSCLCにおける腫瘍内不均一性と臨床転帰の関連を調査し、ドライバー・イベントのクローン性およびゲノム進化の過程の解明を目的とする前向きコホート試験である(Cancer Research UKなどの助成による)。患者登録は2014年4月に開始され、最終的に842例の登録を目標としており、今回は100例の解析結果が報告された。 全身療法を受けていない早期NSCLC患者100例(Stage IA~IIIA)から切除された検体を用いて、多領域全エクソームシーケンシングを行った。腫瘍の進化の過程を明らかにし、クローン(すべてのがん細胞に発現)およびサブクローン(一部のがん細胞に発現)のイベントを調査し、腫瘍内不均一性と無再発生存の関連を評価するために、327の腫瘍領域のシーケンシングを行い解析した。 腫瘍内不均一性については、変異(mutation、一塩基置換/ジヌクレオチド塩基置換、小挿入・欠失)または体細胞性コピー数変化(somatic copy-number alteration、染色体セグメントの獲得または喪失を反映)の評価を行った。コピー数不均一性の増加で再発・死亡リスクが上昇 対象の内訳は、男性が62例、女性が38例で、喫煙者が40例、元喫煙者が48例、非喫煙者が12例であり、組織型は腺がんが61例、扁平上皮がんが32例、その他が7例であった。 変異、体細胞性コピー数変化の双方で、広範な腫瘍内不均一性が観察され、サブクローンとして同定された体細胞変異の中央値は30%(範囲:0.5~93)、サブクローンとして同定された体細胞性コピー数変化の中央値は48%(範囲:0.3~88)であった。これは、腫瘍の発育過程で、変異および染色体レベルでのゲノム不安定性が進行していることを示唆する。 EGFR、MET、BRAF、TP53遺伝子のドライバー変異は、ゲノム重複(genome duplication)の発現前も、ほぼ常にクローン性であり、発がんへの関与が示唆された。一方、進化の後期に発現する不均一性ドライバー変化が腫瘍の75%以上に認められ、この変化はPIK3CA遺伝子やNF1遺伝子のほか、クロマチン修飾やDNA損傷応答・修復に関与する遺伝子に一般的にみられた。 ゲノム倍化(genome doubling)および進行する動的染色体不安定性は、腫瘍内不均一性と関連し、結果としてCDK4、FOXA1、BCL11A遺伝子の増幅を含む体細胞性コピー数のドライバー変化の平行進化(parallel evolution)が認められた。 また、変異の割合の増加は再発および死亡のリスク上昇と関連しなかったが、コピー数不均一性が増加すると再発および死亡のリスクが有意に上昇し(ハザード比[HR]:4.9、p=4.4×10-4)、多変量解析を行っても有意な差が保持されていた(HR:3.70、p=0.01)。 著者は、「現在進められている単一の遺伝子変異を標的とする取り組みに加え、同時に多数の遺伝子のコピー数を変化させる可能性のある染色体不安定性をよりよく理解する必要があり、このプロセスを抑制する治療は、無再発生存の低下を促進する不均一性や、腫瘍の進化を防止する可能性がある」としている。

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新型タバコの先に卒煙はない!? 

禁煙への第一歩にはならない!?新型タバコの泥沼 流行の新型タバコ。使用するには4,000円~10,000円の初期投資(本体購入)が必要です。 中身のカートリッジの値段は、普通のタバコと同程度~やや高めです(420~460円程度)。つまり…タバコを吸い続ける限り、本体価格を回収することはできません!新型タバコは「やめるきっかけ」の第一歩にはならないのです!社会医療法人敬愛会 ちばなクリニックCopyright © 2017 CareNet, Inc. All rights reserved.清水 隆裕氏

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1日30本以上の喫煙で急性骨髄性白血病リスクが2倍超

 喫煙が白血病発症に関連したリスクとなることは従来の研究で報告されているが、その多くは欧米におけるものであり、日本人を対象とした大規模な研究はほとんど行われておらず、その関連性は不明であった。今回、愛知県がんセンター研究所遺伝子医療研究部の松尾 恵太郎氏らの研究により、男性で1日30本以上の喫煙者は、非喫煙者に比べ急性骨髄性白血病(AML)リスクが2.2倍となることが明らかになった。Journal of Epidemiology誌4月8日号に掲載。 本研究は、9万6,992例の日本人被験者(男性4万6,493例と女性5万499例、ベースライン時40~69歳)の大規模コホート。平均18.3年間のフォローアップ期間中、90例のAMLと19例の急性リンパ性白血病(ALL)、28例の慢性骨髄性白血病(CML)が確認された。潜在的交絡因子に対するハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)の調整のため、Cox回帰モデルを使用した。 主な結果は以下のとおり。・年齢、居住地域、性別、職業、肥満指数を調整のうえ検討した結果、喫煙とAML発症リスクとの間に有意な関連性や用量反応関係はみられなかった。・しかし、体格指数と職業による調整後の検討により1日30本以上のタバコを現在も吸っている男性では、非喫煙者に比べてAMLリスクが有意に高かった(HR:2.21、95%CI:1.01~4.83)。・1日30本未満の男性では、AMLのリスク上昇はみられなかった。・女性におけるAMLやCML、ALLについては、喫煙者および罹患者が少なく、関連は不明であった。

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新型タバコは有害物質9割減!?

新型タバコは有害物質9割減!?有害物質を減らしたことをアピールする新型タバコ。だからといって、病気のリスクが下がったり、寿命に与える影響が軽減されたりするとは限りません従来のタバコの有害物質量が「10」だとしたら…新型タバコは「1」程度?でも、有害物質が含まれる事実は変わらない有害物質「9割減」でも、生じる結果は変わらないのです!社会医療法人敬愛会 ちばなクリニックCopyright © 2017 CareNet, Inc. All rights reserved.清水 隆裕氏

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ダイエット飲料で脳卒中・認知症リスクが増加?

 ボストン大学のMatthew P Pase氏らが、Framingham Heart Study Offspringコホートにおいて、甘味飲料の摂取と脳卒中や認知症の発症リスクを調査したところ、ダイエットコーラなどの人工甘味料入り清涼飲料の摂取と脳卒中・認知症リスクとの関連が認められた。なお、砂糖入り飲料の摂取とは関連がみられなかった。Stroke誌オンライン版2017年4月20日号に掲載。 脳卒中の発症については45歳を超える2,888人(平均62歳[SD:9歳]、男性45%)と、認知症の発症については60歳を超える1,484人(平均69歳[SD:6歳]、男性46%)を調査した。コホート調査5(1991~95年)、6(1995~98年)、7(1998~2001年)において食事摂取頻度調査票を用いて飲料摂取量を数値化した。また、調査全体の平均化により、調査7での最近の摂取量と累積摂取量を数値化した。イベント発症のサーベイランスを調査7から10年間継続し、脳卒中97例(82例は虚血性脳卒中)、認知症81例(63例はアルツハイマー病)を認めた。 主な結果は以下のとおり。・年齢、性別、教育、摂取カロリー、食事の質、身体活動、喫煙について調整後、人工甘味料入り清涼飲料の最近の摂取量や累積摂取量がより多いほど、虚血性脳卒中、アルツハイマー病および認知症全体のリスクが高かった。・人口甘味料入り飲料の累積摂取量について、0単位/週を対照とした場合、1単位/日以上におけるハザード比は、虚血性脳卒中で2.96(95%信頼区間:1.26~6.97)、アルツハイマー病で2.89(同:1.18~7.07)であった。 ※1単位は、1グラスまたは1瓶または1缶・砂糖入り飲料(加糖清涼飲料、フルーツジュース、コーラなど)は脳卒中、認知症と関連していなかった。

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増加するPM2.5とオゾンの疾病負荷への影響/Lancet

 世界の疾病負荷は、過去25年間で、とくに低~中所得国における人口の高齢化、非感染性疾患割合の変化、大気汚染の進行により、増加し続けている。今回、米国・健康影響研究所のAaron J Cohen氏らが行った最新の調査(Global Burden of Diseases,Injuries,and Risk Factors Study 2015[GBD 2015])では、PM2.5とオゾンによる環境大気汚染が世界的に進行しており、それに伴う疾病負荷の増大の実態が明らかとなった。Lancet誌オンライン版2017年4月10日号掲載の報告。PM2.5、オゾンと5つの死因の死亡リスクとの関連を解析 研究グループは、1990~2015年の世界、地域別・国別の環境大気汚染による死亡および疾病負荷の空間的、時間的な動向を調査した(Bill & Melinda Gates Foundationなどの助成による)。 衛星で測定した推定値と化学輸送モデル、地表レベルでの測定値、地理的データを統合し、世界の空気動力学的粒径<2.5μmの微小粒子状物質(PM2.5)と対流圏オゾンの人口加重平均濃度を推算した。 統合曝露反応関数(integrated exposure-response function:IER)を用いて、PM2.5濃度と5つの死因(虚血性心疾患、脳血管疾患、慢性閉塞性肺疾患[COPD]、肺がん、下気道感染症)による死亡の相対リスクの関連を推計した。PM2.5が11.2%、オゾンは7.2%増加、COPD死の8%がオゾンに起因 IERによる解析では、5つの死因の相対リスクはいずれも、PM2.5濃度が高くなるに従って増加したが、低濃度のほうが高濃度に比べ変化が大きかった。虚血性心疾患と脳血管疾患は、年齢(25、50、80歳)が高いほど、高PM2.5濃度での相対リスクが低くなった。 世界全体のPM2.5の人口加重平均濃度は、1990年の39.7μg/m3から2015年には44.2μg/m3へと11.2%増加したが、2010~15年に急速に増加していた。人口の多い10ヵ国の解析では、日本はバングラデシュ、インド、パキスタン、中国に比べると、全般に低い値で安定的に推移していた。2015年に最もPM2.5濃度が高かったのはカタールで、次いでサウジアラビア、エジプトの順だった。 世界全体のオゾンの人口加重平均濃度は、1990年の56.8ppbから2015年には60.9ppbへと7.2%増加した。人口の多い10ヵ国では、中国、インド、パキスタン、バングラデシュ、ブラジルが14~25%増加し、これに比べると日本の増加は小さく、米国とインドネシアは低下した。 環境中のPM2.5は、2015年の死亡リスク因子の第5位(1~4位は、収縮期血圧、喫煙、空腹時血糖、総コレステロール)であり、障害調整生存年数(DALY)のリスク因子の第6位(1~5位は、収縮期血圧、喫煙、空腹時血糖、BMI、幼年期の栄養不良)であった。PM2.5への曝露は、2015年に420万人(95%不確実性区間[UI]:370万~480万)の死亡および1億310万年(9,080万~1億1,510万)のDALYの原因であった。環境中のPM2.5による死亡は、1990年の350万人(95%UI:300万~400万)から2015年の420万人(370万~480万)へと増加していた。 環境中のオゾンは、GBD 2015で評価の対象となった79のリスク因子のうち、死亡リスク因子の第34位、DALYの第42位であった。オゾンへの曝露は、25万4,000人(95%UI:9万7,000~42万2,000)の死亡およびCOPDに起因する410万年(160万~680万)のDALYをもたらした。また、2015年の世界のCOPDによる死亡の8.0%(95%UI:3.0~13.3)に、オゾンへの曝露が寄与しており、中国、インド、米国の死亡率が高かった。1990~2015年に、オゾンによるCOPD死亡率は多くの国で増加した。オゾン濃度とオゾンによるCOPD死の増加の結果として、オゾンによる死亡およびDALYも増加した。 著者は、「PM2.5濃度が大幅に減少しない限り、多くの汚染国の疾病負荷はわずかしか軽減しないが、曝露量を抑制することで大きな健康ベネフィットが得られる可能性がある」と指摘している。

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わかる統計教室 第4回 ギモンを解決!一問一答 質問9(続き)

インデックスページへ戻る第4回 ギモンを解決!一問一答質問9(続き) 多変量解析を学ぶ前に知っておくべき統計の基礎を教えてください(その2)質問9(その1)前回は、統計学の役割と活用方法について学びました。今回は統計の一番基礎となる基本統計量についてご説明します。■統計学で用いるデータの種類下の表1は健康診断の結果より得たデータの一部を示したものです。データを見ると、身長、血液型どちらも数値で表されています。表1 健康診断のデータ身長のデータでは、たとえば「井山さんは161cmで、大竹さんの178cmより低い」といったことがいえます。また、全員の身長を合計し、総人数で割り、身長の平均値を求めることもできます。血液型についても同じようなことができるでしょうか。血液型のデータはA型を1、O型を2、B型を3、AB型を4とコード化し、コード番号に置き換えて表されているだけです。「井山さんの血液型2(O型)は小林さんの1(A型)より大きい」ということや血液型の平均値を算出するなどは意味がないことがおわかりいただけるでしょう。データを大別すると、1つは身長のような「数量データ」で、もう1つは血液型のような「カテゴリーデータ」です。数量データは、データ間の大小関係を比較したり、演算を行ったときに意味のある数値となるデータです。カテゴリーデータは、データ間の大小比較や演算をしても無意味で、ここでの数値は単なる分類の意味しか持ちません。カテゴリーデータは分類データですから平均値は出せませんが、各分類が全体の中で何%あるかという割合(比率)を計算することはできます。血液型であればA型は10人中4人で、割合は40%ということです。以上のことから、統計学で用いるデータは「数量データ」と「カテゴリーデータ」で、両データの基本的な統計処理は、前者が平均値、後者が割合(比率)となります。*数量データのことを「量的データ、距離尺度」ともいいます。*カテゴリーデータのことを「質的データ、名義尺度」ともいいます。■集団の代表値とバラツキを示す基本統計量基本統計量は、集団の特徴や傾向を1つの数値で表現する方法です。集団の代表値を示す指標が平均であり、集団のバラツキを示す指標に偏差平方和、分散、標準偏差があります。これらの値を次の例題で計算してみましょう。下の表2は6人の成人男性について、γ-GTP、飲酒量、喫煙の有無を調べたものです。表2 例題見本データまず、個人についてデータから平均値を引き、その2乗(平方)を求めます。求められた値の合計を算出します。この値を「偏差平方和」といいます(表3)。表3 算出された偏差平方和調べた人数をnとします。偏差平方和を(n-1)で割った値が「分散」、その平方根(ルート)が「標準偏差」です(表4)。表4 算出された分散と標準偏差■偏差値(基準値)それでは、次に高校・大学受験で大いに受験生を悩ませる「偏差値」について解説します。偏差値(基準値)は、集団の中での個体(個人)の位置を明らかにする解析手法です。下の表5は、英語と数学のテスト成績と偏差値を示したものです。表5 偏差値算出の基礎データ偏差値からは次のことがわかります。No.1の英語は90点、No.2の数学は90点とどちらも素晴らしい成績ですが、偏差値でみると、英語のほうが数学より評価が高いといえます。平均と同じNo.5の英語の偏差値は50です。偏差値計で成績の順位をつけるとNo.1が1番です。偏差値は次の考え方で算出されています。英語と数学はどちらが難しいテストか平均が低いほうが難しいテスト→得点と平均との差が大きいほど評価が高い英語と数学の得点のバラツキはどちらが小さいかバラツキが小さいほうが高い点を出しにくいテストと考える得点をバラツキ(標準偏差)で割った値が大きいほど評価が高い今回のポイント1)統計学で用いるデータは「数量データ」と「カテゴリーデータ」であり、両データの基本的な統計処理は、前者が平均値、後者が割合(比率)である!2)集団のバラツキを示す指標に、偏差平方和、分散、標準偏差がある!3)偏差値(基準値)は集団の中での個体(個人)の位置を明らかにする解析手法である!インデックスページへ戻る

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認知症予防、毎日の野菜・果物摂取が大切

 食生活の是正は、潜在的に認知症リスクを軽減する可能性があるが、果物の重要性や認知機能維持に必要な野菜や果物の量については不明である。中国・香港中文大学のAllen T C Lee氏らは、WHOにより推奨されている野菜や果物の1日の最低必要量が、認知症リスクを低下させる独立因子であるかを検討した。Age and ageing誌オンライン版2017年2月10日号の報告。 本住民ベースの観察研究では、香港の高齢者保健センターに通院している中国人高齢者1万7,700例のベースラインの食生活を調査し、6年間、認知機能状態をフォローした。WHOのレコメンデーションに従い、最低摂取カットオフ値を野菜3サービング/日、果物2サービング/日と定義した。6年後の認知症発症をアウトカムとした。認知症の診断は、ICD-10または臨床認知症評価法1~3に基づき評価した。 主な結果は以下のとおり。・多変量ロジスティック回帰分析では、年齢、性別、教育、主要慢性疾患、身体活動、喫煙で調整した後、ベースライン時の摂取における認知症推定オッズ比は以下のとおりであった。・野菜を3サービング/日以上摂取した場合:0.88(95%CI:0.73~1.06、p=0.17)・果物を2サービング/日以上摂取した場合:0.86(95%CI:0.74~0.99、p<0.05)・野菜を3サービング/日以上かつ果物を2サービング/日以上摂取した場合:0.75(95%CI:0.60~0.95、p=0.02) 著者らは「高齢者は、毎日3サービング以上の野菜と2サービング以上の果物を摂取することで、認知症を予防できるかもしれない」としている。関連医療ニュース 魚を食べると認知症は予防できるのか 毎日5杯の緑茶で認知症予防:東北大 認知症になりやすい職業は

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世界の全死因、喫煙が占める割合は?/Lancet

 たばこ規制は、とくに「たばこの規制に関する枠組条約(FCTC)」の採択後に急速に拡大した。これは公衆衛生上の重要な成功談ではあるが、喫煙は現在も世界的に早期死亡や機能障害の主要なリスクであり続けており、それゆえ継続的な政治的取り組みが求められるという。Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors Study(GBD)の研究グループは、今回、GBD 2015の一環として、喫煙関連目標の達成に向けた世界および地域別・国別の進歩の評価を通じて、頑健な基盤を提示するために、喫煙率と喫煙の疾病負荷に関する系統的な解析の結果を報告した。研究の成果はLancet誌オンライン版2017年4月5日号に掲載された。25年間の195地域の毎日喫煙率、寄与疾病負荷を解析 研究グループは、2,818件のデータソースを時空間ガウス過程回帰分析で統合し、195の国と地域の1990~2015年の性別、年齢別の毎日喫煙率を年ごとに推算し、寄与疾病負荷の評価を行った(Bill & Melinda Gates Foundationなどの助成による)。 喫煙と38の健康転帰の因果関係を解析し、障害調整生存年数(DALY)を用いて喫煙寄与死亡率と疾病負荷の推算値を算出した。次いで、喫煙の実際の年齢パターンをよりよく理解するために、出生年別の喫煙状況のコホート解析を行った。 また、人口の増加や高齢化、喫煙率、リスク除外DALY率(risk-deleted DALY rate、リスク因子としての喫煙を除外したDALY率)の変化に起因する全原因喫煙寄与DALYの変化を明確にするために、分解分析を実施した。最終的に、社会人口統計指標(SDI:1人当たりの所得、学歴、合計特殊出生率に基づくサマリー指標)を用いて国・地域の発展の程度別の解析を行った。日本の毎日喫煙率は男女とも世界全体より高い 2015年の世界の年齢標準化毎日喫煙率は、男性が25.0%(95%不確定性区間[UI]:24.2~25.7)、女性は5.4%(5.1~5.7)であり、1990年以降それぞれ28.4%(25.8~31.1)、34.4%(29.4~38.6)低下した。 2015年の日本の喫煙者数は、男性が1,530万人、女性は490万人で世界第7位、15~19歳の喫煙者数は16位であった。年齢標準化毎日喫煙率は世界全体よりも高く、男性が26.6%(95%UI:26.1~27.1)、女性は9.3%(8.9~9.6)であり、1990~2015年の年間変化率はそれぞれ-2.4%(-2.5~-2.3)、-0.7%(-0.9~-0.5)とわずかに低下していた。 年間喫煙率の統計学的に有意な減少を達成した国・地域の割合は、2005~15年よりも1990~2005年のほうが高かったが、2005~15年に年間喫煙率が統計学的に有意に増加したのは4つの国・地域のみであった(男性:コンゴ共和国ブラザヴィル市、アゼルバイジャン、女性:クウェート、東ティモール)。 2015年の全死亡のうち喫煙の寄与による死亡は11.5%(640万人、95%UI:570~700万)であり、4つの国(中国、インド、米国、ロシア)でその52.2%を占めた。喫煙がDALYのリスク因子の上位5番目までに含まれる国・地域の数は、1990年の88から2015年には109に増加した。 出生年別コホート解析では、男性の喫煙率はSDIに基づく国・地域の発展の程度にかかわらず類似の年齢パターンを示したのに対し、女性喫煙者の年齢パターンは発展の程度によってかなりの異質性が認められた。 2005~15年の間に、喫煙率とリスク除外DALY率は、性別、SDIの五分位数、人口増加、人口高齢化あるいはこれらの組み合わせにかかわらず低下したが、SDIが低~中の地域の喫煙率とリスク除外DALY率は、喫煙寄与DALYの上昇を促進していた。 著者は、「喫煙率低下の進展速度は、地域やその発展の状況、性別によって異なり、最近の傾向として、とくに女性や低~中SDI国では、過去の低下率の維持は当然のこととは言えない状況が浮き彫りとなっている」と指摘し、「たばこ産業や社会規範のほかに、たばこ規制の取り組みが直面する重大な課題は、喫煙開始の防止と禁煙の促進が大幅に加速されない限り、人口動態の影響力によって喫煙の犠牲者が増加する可能性があることである。また、たばこ規制の成功の可能性は高まっているが、有効かつ包括的で適切に実施され、強化された施策が必要であり、過去25年間の成果を超える世界的、全国的な政治的取り組みを要する可能性がある」と考察している。

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半数は目標値に達していなかったACS患者のLDL-C:EXPLORE-J試験

 2017年4月4日、サノフィ株式会社主催のメディアラウンドテーブルにて東邦大学 医療センター大橋病院 中村正人氏が、急性冠症候群(ACS)患者における脂質リスクとコントロールに関する前向き観察研究「EXPLORE-J試験」のベースラインデータについて紹介した。ACS患者の3割がスタチンを使用 EXPLORE-J試験は、2015年4月~2016年8月まで59施設から2,016例の登録が終了した。患者の平均年齢は66.0歳、男性が80.4%、BMIは24.2であった。ACSの病型はST上昇型心筋梗塞(STEMI)が61.8%、非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)が16.1%、不安定狭心症が22.0%であった。危険因子は脂質異常症77.6%、高血圧72.9%、糖尿病34.7%、虚血性心疾患18.0%、現喫煙者37.8%、過去喫煙27.8%であった。26.9%がスタチンを服用(高力価スタチン服用は2.3%)していた。2次予防例の半数がLDL-C目標値100未満を達成できず ACS患者の入院時のLDL-C値(n=1,859)の分布をみると、対象者の平均値は121.7mg/dLであった。そのうち100未満は29.6%、FH診断の基準である180以上は7.9%であった。一方、虚血性心疾患の既往患者(n=333)のLDL-Cは103mg/dLであった。動脈硬化予防疾患ガイドラインの2次予防の管理目標値100未満の患者は52.0%であり、半数は目標値に達していなかった。 アキレス腱肥厚の測定結果(n=1,787)をみると、中央検定の中央値は6.7mm、基準値の9mm以上は6.4%であった。 家族歴を収集できた患者(n=1,412)から早発性冠動脈疾患の家族歴を調べた結果、家族歴はありは10%という結果だった。家族性高コレステロール血症(FH)の基準を満たす患者は3%、実臨床ではそれ以上か 本邦では、ヘテロ型FH が200~500人に1人、ホモ型FHは100万人に1人といわれているが、ASCを対象としたEXPLORE-Jでの結果はどうか、アキレス腱肥厚を利用した1,391例からの中間解析を行った。結果、成人FHの診断基準(1.未治療のLDL-C180以上、2.腱黄色腫、アキレス腱肥厚あるいは皮膚結節性黄色腫、3.FHまたは若年性冠動脈疾患の二親等以内の家族歴、のうち2項目以上該当)を満たす患者は全体で3.0%、55歳未満では5.9%であった。実際には、スタチンの服用で調査時すでにLDL-Cが低下している患者もあり、実臨床ではこれ以上のFH患者がいると推定される。ASC患者のLDL-C管理状況、病態は10年前と変わらず EXPLORE-Jでは、2008~09年に本邦で行ったPACIFIC試験と比較し、ASC患者のLDL-C管理状況、病態の変化を評価した。結果、LDL-C平均値120、6割というSTEMIの割合は、共にPACIFIC試験とほぼ同等で、10年前からほぼ変化していなかった。今後は絶対リスクの高い患者を明確にし、個別のLDL-C管理に LDL-C70でもイベントを起こす人がいる一方、110でもイベントを起こさない人がいる。年齢、喫煙、糖尿病など複合的な要因が関連してリスクは変わる。一律のLDL-C基準値を決めるにとどまらず、今後は絶対リスクが高い患者を明確にしていき、患者に個別化されていくべきだと、中村氏は述べた。

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アジア人の加齢黄斑変性、視機能低下に民族性が関与

 加齢黄斑変性(AMD)と視機能(vision-specific functioning:VSF)に、民族性が関与していることが示唆された。シンガポール・国立眼科センターのEva K Fenwick氏らによる中国人、マレー人およびインド人を対象とした住民ベースの横断研究において、中国人ではAMDがVSFに負の影響を及ぼしたが、マレー人およびインド人では影響がみられなかったという。今回の結果は多民族的なアジア人において、民族性が疾患とVSFとの関連に影響する独立した因子であることを示唆するものであり、著者は、「AMDの発症や進行を遅らせるためには、民族性に基づいた戦略が必要である」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2017年3月30日号掲載の報告。 本研究には、中国人、マレー人およびインド人の成人計1万33例が参加し、このうちグレード分類が可能な眼底像およびVisual Function Index(VF-11)のデータがあった9,962例(99.3%)が解析対象となった(平均[±SD]年齢:58.8±10.4歳、男性4,909例[49.3%])。 単眼の遠見視力はlogMAR視力表を用いて測定し、3つの民族群におけるAMDとVSFとの関連を、年齢、性別、良いほうの眼の視力、教育水準、収入、喫煙状況、高血圧、糖尿病、心血管疾患、総コレステロール値およびその他の眼の状態で調整した、重回帰モデルで分析した。 データは2004年1月20日~2011年12月19日に収集され、2015年11月12日~2016年12月28日に解析が行われた。 主な結果は以下のとおり。・解析対象9,962例中、初期AMDが590例(5.9%)(中国人241例、マレー人161例、インド人188例)、後期AMDが60例(0.6%)(それぞれ25例、21例、14例)であった。・調整モデルにおいて、中国人では非AMD例と比較し初期AMD例でVSFの低下が認められたが(2.9%、β=-0.12、95%CI:-0.23~-0.00、p=0.046)、マレー人とインド人では関連は認められなかった。・中国人において、後期AMD例は非AMD例と比較しVSFの低下が19.1%と臨床的に著しかった(β=-0.78、95%CI:-1.13~-0.43、p

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PCSK9阻害薬bococizumab、抗薬物抗体発現で効果減/NEJM

 抗PCSK9(前駆蛋白変換酵素サブチリシン/ケキシン9型)モノクローナル抗体製剤bococizumabは、多くの患者で抗薬物抗体(ADA)の発現がみられ、そのためLDLコレステロール(LDL-C)の低下効果が経時的に減弱することが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のPaul M Ridker氏らが行ったSPIREプログラムと呼ばれる6件の国際的な臨床試験の統合解析で明らかとなった。ADA陰性例にも、相対的なLDL-C低下効果に大きなばらつきを認めたという。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2017年3月17日号に掲載された。完全ヒト型抗体であるアリロクマブやエボロクマブとは異なり、bococizumabはヒト型抗体であり、抗原と結合する相補性決定領域に約3%のネズミ由来のアミノ酸配列が残存するため、ADAの発現を誘導する可能性が指摘されている。bococizumabとプラセボを比較する6件の無作為化試験に登録された4,300例を対象 本研究は、bococizumab(150mgを2週ごとに皮下投与)とプラセボを比較する6件の無作為化試験に登録された脂質異常症患者4,300例を対象とした(Pfizer社の助成による)。6試験には、プラセボの代わりにアトルバスタチンを用いた試験が1件、bococizumabの用量が75mgの患者を含む試験が1件含まれた。 ベースラインの全体の平均年齢は61歳で、42%が女性であった。糖尿病が53%、喫煙者が18%、家族性高コレステロール血症が12%含まれた。99%がスタチン治療を受けていた。治療期間中に検出されたADAの有無別に、12週および52週時に脂質値の経時的な変化の評価を行った。1年時のbococizumab群はADA陽性率48%、16%を占めた高力価の患者は平均変化率が低かった 12週時に、bococizumab群のLDL-C値はベースラインに比べ54.2%低下、プラセボ群は1.0%増加し、群間の絶対差は-55.2%(95%信頼区間[CI]:-57.9~-52.6)と、bococizumab群が有意に優れた(p<0.001)。 12週時の総コレステロール(TC)値のベースラインからの変化の群間絶対差は-36.0%、非HDL-C値は-50.2%、トリグリセライド(TG)値は-14.2%、アポリポ蛋白B値は-49.5%、リポ蛋白(a)値は-28.9%と有意に低下し、HDL-C値は6.2%と有意に増加しており、いずれもbococizumab群が良好だった(すべてp<0.001)。 52週時のLDL-C値のベースラインからの変化の群間絶対差は-42.5%(95%CI:-47.3~-37.8)であり、bococizumab群が有意に優れた(p<0.001)が、12週時に比べるとLDL-C低下効果が減弱した。また、TC値(群間絶対差:-27.1%)、非HDL-C値(-37.7%)、TG値(-10.9%)、アポリポ蛋白B値(-37.3%)、リポ蛋白(a)値(-20.6%)、HDL-C値(4.6%)も、bococizumab群が有意に良好だった(すべてp<0.001)が、いずれも12週時に比し効果は減弱した。 一方、1年時にbococizumab群の48%にADAが検出され、そのほとんどが12週以降に発現していた。52週時のADAが低~中力価の患者のLDL-C値の平均変化率(-43.1%)は、ADA陰性例(-42.5%)とほぼ同じであった。これに対し、ADA陽性例の16%を占めた高力価の患者のLDL-C値の平均変化率(-30.7%)は低く、力価最高位10%の患者(-12.3%)では著明に低かった。また、ADA陽性例は力価が高い患者ほど、PCSK9値およびbococizumab濃度が経時的に減衰した。 12週時のbococizumab群のLDL-C値の低下効果は全体として大きかったが、まったく低下しなかった患者が4%、低下率50%未満が28%、50%以上は68%とばらつきが認められた。52週時には、ADA陽性例はそれぞれ10%、38%、ADA陽性例はそれぞれ10%、38%、52%であったが、ADA陰性例にも9%、31%、60%と同様のばらつきがみられた。 重大な心血管イベント(非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、心血管死、血行再建術)の発生率は、bococizumab群が2.5%(57例)、プラセボ群は2.7%(55例)であった(ハザード比[HR]:0.96、95%CI:0.66~1.39、p=0.83)。bococizumab群の最も頻度の高い有害事象は、注射部位反応(12.7/100人年)であり、次いで関節痛(4.4/100人年)、頭痛(3.0/100人年)であった。 著者は、「bococizumabの有害事象には免疫原性の影響があり、有効性に関する生物学的な反応は一定ではなく個々の患者での予測は困難である」としている。これらの知見に基づき、2016年11月1日、bococizumabの開発は中止となった。

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わかる統計教室 第4回 ギモンを解決!一問一答 質問9(その1)

インデックスページへ戻る第4回 ギモンを解決!一問一答質問9 多変量解析を学ぶ前に知っておくべき統計の基礎を教えてください(その1)医学統計では、重回帰分析やロジスティック回帰分析など多変量解析の手法を使うことも少なくありません。しかし、数多くある多変量解析手法のうち、どのようなデータやケースにどの手法を使って解析すればよいのか迷われる先生も多いと思います。また、先生方からのご質問にも「まず統計の基礎知識をきちんと身に付けたい」とのお声も多くありましたので、今回は、多変量解析を学ぶ前に今一度基礎統計をおさらいします。■統計学の役割先生方のいる臨床現場の周りには、さまざまな情報があふれています。好むと好まざるとにかかわらず、先生方は無意識のうちに情報を選別・選択し、それを基に物事を把握しながら日常臨床を行っていると思います。どんな些細な事柄であっても、情報なくして意思決定がなされるということは考えられません。このように、先生方は知らず知らずのうちに情報を収集し、それを活用することによって日常臨床を成り立たせているといえるでしょう。「情報なしでは生きていくのすら困難」といっても過言ではない現代では、逆に、情報を巧みに活用できる人にとっては面白く、刺激的な時代といえるかもしれません。とはいっても、形も種類もさまざまな情報をやみくもに集めただけでは、有効に活用することはできません。情報の活用にも一定のルール、つまり「情報の読み方・伝え方の決まり」があります。ルールを無視して情報を取り扱うことは何のメリットもないばかりか、事と次第によっては自分や他人に大変な危険を及ぼすかもしれません。■統計学の活用方法統計学は、この情報を「正確に読み、間違いなく伝え、有効に活用するための理論」であり、統計解析の手法はそのための手段といえます。ここで日常臨床や研究に統計学を使われている先生方のために、まず一般的な統計解析の活用手順を示しておきましょう。解決したいこと(目的)を明確にする調査、実験、インターネットなどでデータ(情報)を集める数多くある統計解析手法の中から、どれを適用するかを決めるExcelや統計解析ソフトウェアを用いて計算する出力された結果を解釈する■集団の特徴や傾向を調べる基本統計量ここにAさんという人がいます。Aさんについてさまざまなデータを収集した結果、身長が165㎝、体重は60kg、性別は男性、血液型はA型、収縮期血圧が120mmHg、拡張期血圧が80mmHgであるなど、その他いろいろなことがわかりました。Aさんのデータを統計的に処理できるでしょうか。統計学は、一定の条件に基づいて集められた「データのまとまり」を扱うものです。ですから、あらゆるデータを扱うことができるといっても、このような「特定の個人(1人だけ)のデータ」は、統計学の関知するところではありません。たとえば「A、 B、…」という100人の集団について、「身長」と「性別」のデータを得たとします。身長は背の高い人も低い人も、また、性別は男性も女性もいるでしょう。このような個々のデータの差異を「変動」といいます。データが変動しているがために、その集団は「背の高いほうなのか、低いほうなのか」あるいは「男性は多いか、少ないか」を把握する必要性が生じてくるのです。そこで、統計学を用い、身長の平均や性別における男性の割合(比率)などを求めることになります。もし、全員の身長が165㎝、全員が男性であったとします。これでは身長の平均や男性の割合を求めること自体意味がないことでしょう。今述べたように、集団に属するデータから平均値や割合を求め、集団の特徴や傾向を明らかにするための考え方(理論)が統計学です。統計学によって求められた値(平均値、割合)を「基本統計量(要約統計量)」といいます。なお、情報の主体である「A、 B、 …」といった複数の人(あるいは物)の集まりを「集団」といいます。また、集団を構成する個々の主体(人あるいは物)を「個体」といいます(表1)。表1 情報の主体■因果関係を調べる相関分析・多変量解析ある集団について、血圧や食生活の実態を調べたデータがあります。「塩分を多く摂取する人の血圧平均値や変動は?」、「塩分を多く摂る人々とそうでない人々で血圧の平均値に違いがあるか?」は、先に述べた基本統計量で把握できます。では、血圧が「高い」「低い」の変動は何によって生じるのでしょうか。少し考えただけでも、塩分摂取量、喫煙の有無、飲酒量、年齢、測定時の心理・健康状態など、さまざまな要因を挙げることができます。「血圧測定値の高低に影響を及ぼす要因は?」、「飲酒量と血圧測定値とは関係があるか?」などは、「相関分析」という解析手法で把握できます。血圧測定値は、いろいろな要因が絡み合って決まります。ある人が塩分摂取量、喫煙の有無、飲酒量、年齢などをパソコンに入力すると「近い将来、あなたの血圧値は150になるので注意せよ」といったことを予測してくれるアプリがあります。このアプリは、多数の要因を同時に処理する「多変量解析」という手法によって作られています。統計学では目的とする要因(この例では血圧)を「目的変数(結果変数)」といいます。原因となる要因(この例では塩分摂取量、喫煙の有無など)を「説明変数(原因変数)」といいます。相関分析、多変量解析は、目的変数と説明変数の関係、すなわち両者の因果関係を明らかにする解析方法です(表2)。表2 把握したい内容と解析手法の役割次回は、基本統計量についてご説明いたします。今回のポイント1)統計学は、情報を「正確に読み、間違いなく伝え、有効に活用するための理論」であり、統計解析の手法はそのための手段である!2)集団に属するデータから平均値や割合を求め、集団の特徴や傾向を明らかにするための考え方(理論)が統計学である!3)統計学によって求められた値(平均値、割合)を「基本統計量(要約統計量)」という!4)統計学では目的とする要因(この例では血圧)を目的変数(結果変数)といい、原因となる要因(この例では塩分摂取量、喫煙の有無など)を説明変数(原因変数)という!インデックスページへ戻る

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