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わかる統計教室 第4回 ギモンを解決!一問一答 質問20

インデックスページへ戻る第4回 ギモンを解決!一問一答質問20 ロジスティック回帰分析のオッズ比とは?前回は、ロジスティック回帰分析の判別スコアと判別精度について、ご説明しました。今回は、ロジスティック回帰分析のオッズ比について、ご説明いたします。■ロジスティック回帰分析のオッズ比ロジスティック回帰分析のオッズ比は、関係式の回帰係数から算出されます(表1)。、を「オッズ比」といいます。表1 事例のオッズ比【計算例】e0.3079 Excel関数 =EXP (0.3079)  Enterキー → 1.36オッズ比は値が大きいほど、息切れ症状あり群になるリスクが高いといえます。ただし、オッズ比から倍率の解釈はできません。喫煙本数が1日に1本増えると、息切れ症状あり群になる確率が1.36倍になるという解釈はできません。オッズ比からは値が大きいとか、小さいといったことがわかるだけなのです。また、オッズ比が1を下回ることがあります。たとえば、説明変数にウオーキング習慣の有無があり、オッズ比が0.8だとします。「息切れ症状あり群」になるオッズ比は0.8ですので、逆数(1÷0.8=1.25)を計算し、ウオーキングの「息切れ症状なし群」になるオッズ比は1.25という解釈もできます。※オッズ比については、「質問5 リスク比(相対危険度)とオッズ比の違いは?(その1)」を参照してください。例題の喫煙本数を0、1にデータ変換し、喫煙分類のデータを表2に作成します。0;14本以下1;15本以上表2 事例のデータ変換表3で息切れ症状の有無を目的変数、喫煙分類を説明変数とするロジスティック回帰を行います。オッズ比は12でした。表3 事例のロジスティック回帰の結果表4のデータで、リスク比とオッズ比を計算します。表4 事例のリスク比とオッズ比説明変数が1つの場合、ロジスティック回帰のオッズ比とクロス集計から算出されるオッズ比は一致します。ロジスティック回帰の説明変数が2つ以上のオッズ比を「調整したオッズ比」、1つだけの場合を単に「オッズ比」といいます。次回は、ロジスティック回帰分析の説明変数の選び方について、ご説明いたします。今回のポイント1)ロジスティック回帰分析のオッズ比は、値が大きいほど息切れ症状あり群になるリスクが高いといえるが、オッズ比からはその倍率は解釈できない!2)説明変数が1つの場合、ロジスティック回帰のオッズ比とクロス集計から算出されるオッズ比は一致する!3)ロジスティック回帰の説明変数が2つ以上のオッズ比を「調整したオッズ比」、1つの場合を単に「オッズ比」という!インデックスページへ戻る

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喫煙女性の肺がんに飲酒が関連か

 生涯非喫煙者における肺がんの病因はほとんどわかっていない。スペイン・コルーニャ大学病院のJose A. Garcia Lavandeira氏らが、ケースコントロール研究のプール解析で、生涯非喫煙者における肺がんリスクにおける飲酒の影響を検討したところ、ワインと蒸留酒の摂取が、とくに女性で、肺がんリスクを増加させる可能性が示唆された。ただし、本研究の限界を考慮すると本結果を慎重にとらえるべき、と著者らは述べている。European journal of public health誌オンライン版2017年11月13日号に掲載。 本研究は、スペイン北西部で行われた6件の多施設ケースコントロール研究を統合した。ケース群、コントロール群とも、生涯非喫煙者であった。解剖病理学的に肺がんを確認した症例を選択し、参加者すべてに個別にインタビューした。2つの統計モデルグループについて、一般化加法モデルを用いた無条件ロジスティック回帰を適用した。1つはアルコール飲料の種類の影響を検討し、もう1つは各アルコール飲料の摂取量を検討した。 主な結果は以下のとおり。・ケース群が438人、コントロール群が863人であり、年齢中央値はそれぞれ71歳と66歳であった。組織型は腺がんが多く、全症例の66%を占めていた。・アルコール飲料の種類別のオッズ比(OR)は、ワインが2.20(95%CI:1.12~4.35)、蒸留酒が1.90(同:1.13~3.23)、ビールが1.33(95%CI 0.82~2.14)であった。・女性では上記の結果と同様であったが、男性ではどのアルコール飲料でも明らかなリスクは認められなかった。・アルコール飲料別の用量反応分析では、明確なパターンが示されなかった。

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クリゾチニブ抵抗性ALK肺がんにおけるbrigatinibの成績:ALTA/WCLC2017

 ALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)では、ほとんどの患者が耐性を獲得し進行する。クリゾチニブ治療後における第2世代ALK-TKI治療のPFSも1年に満たない。brigatinibはALK耐性変異に幅広い活性を示すべくデザインされた次世代のALK-TKIである。第18回世界肺癌学会(WCLC)では、クリゾチニブ耐性進行ALK肺がんにおけるbrigatinibの第II相ALTA試験の1.5年の追跡結果について、韓国・Samsung Medical CenterのMyung-Ju Ahn氏が発表した。 ALTA試験は無作為オープンラベル用量漸増試験。クリゾチニブで進行した局所進行または転移ALK陽性NSCLCをbrigatinib 90mg/日群(n=112)とbrigatinib180㎎/日群(n=110)に無作為に割り付け、進行するか許容できない毒性が現れるまで治療継続された。主要評価項目は治験担当医の評価による奏効率(ORR)。副次評価項目は独立放射線審査委員会(IRC)によるORR、IRCによるCNS奏効、奏効期間(DOR)、全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)安全性、忍容性など。 患者背景は両群で同様であった。患者の平均年齢は54歳、女性57%、白人67%(アジア人31%)、喫煙歴は非喫煙・不明が61%、ベースライン時の脳転移は69%に認められた。データカットオフ時、90mg群の32%、180mg群の41%が治療継続中であり、追跡期間中央値は、90mg群16.8ヵ月、180mg群18.6ヵ月であった。 brigatinibの治験担当医評価のORRは、90㎎群で46%、180㎎群で55%であった。IRC評価のORRは90㎎群で51%、180㎎群で55%であった。DORは90㎎群で12ヵ月、180㎎群で13.8ヵ月、IRCによるDORは90㎎群13.8ヵ月、180㎎群14.8ヵ月であった。治験担当医評価のPFSは90㎎群で9.2ヵ月、180㎎群15.6ヵ月であった(HR:0.64)。OSは90㎎群で未到達、180㎎群では27.6ヵ月という結果だが、生存曲線は早期から180mg群が上回っていた(HR:0.67)。 頭蓋内ORRは90㎎群(n=26)で50%、180㎎群(n=18)で67%であった。また、頭蓋内PFSは90mg群で16.6ヵ月、180㎎群では未到達であった。 治療関連有害事象(TRAE)は180mgで発現が多い傾向にあった。頻度の高いAEは、下痢、悪心・嘔吐、疲労感、高血圧であったが、ほとんどはGrade1~2であった。投与中止は90mgで4例、180mg群で11例であった。 brigatinibは、クリゾチニブ耐性例に対し、継続して良好な効果と忍容性の高さを示した。180mg群では55%のORRと1年を超える(15ヵ月)PFSを示し、さらに頭蓋内病変に対して67%のORRを示した。■参考ALTA試験(Clinical Trials.gov)

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nab-パクリタキセル+durvalumab、肺がん2次治療以降の効果/WCLC2017

 化学療法の免疫チェックポイント阻害薬(ICI)への追加は、奏効率の改善など効果を強化するとの報告がある。nab-パクリタキセル(nab-P)+カルボプラチンとICIの組み合わせは毒性を増すことなく非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する有効性を早期臨床試験において示した。第18回世界肺癌学会(WCLC)では、米国・Washington University School of MedicineのRamaswamy Govindan氏がnab-P+durvalumabの2~3次治療としての有効性と安全性を報告した。 abound.2L+試験はnab-Pの第II相オープンラベル多施設試験である。今回の発表はnab-Pとdurvalumabを併用した単アームの解析。患者はタキサン治療歴なし、プラチナベース化学療法歴1回(ICI使用は許容)のNSCLC79例。対象はnab-P(100mg/m2、1日目8日目、21日サイクル)とdurvalumab(1,125mg/日、15日目、21日サイクル)の投与を受けた。 患者の平均年齢は63歳、男性68.4%、白人97.5%、扁平上皮がん29.1%、非扁平上皮がん69.6%、現・前喫煙者89.9%、前ICI治療は11.4%であった。 nab-P+durvalumab群のPFSは4.5ヵ月(3.4~5.8)、OSは未到達であった。ICI治療歴のサブグループ解析をみると、ICI前治療なし患者のPFSは4.4ヵ月(3.0~5.7)、ICI前治療ありの患者では6.9ヵ月(1.4~NE)と、ICI前治療あり群で良好であった。組織型別にみると、非扁平上皮がんのPFSは4.2ヵ月(2.7~5.7)、扁平上皮がんのPFSは5.9ヵ月(3.0~7.8)であった。奏効率(ORR)は全体では26.6%、非扁平上皮がんでは23.6%、非扁平上皮がん34.8%であった。 nab-P+durvalumabでよくみられる治療関連有害事象は、末梢神経障害24.4%、呼吸困難20.5%、好中球減少16.7%(発熱性好中球減少症は発症なし)、貧血28.2%であった。

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白内障の高齢女性、手術施行で死亡リスク低下

 白内障の高齢女性において、白内障手術は全死因死亡および原因別死亡のリスク低下と関連があることが、米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のVictoria L. Tseng氏らによるWomen's Health Initiative(WHI)の参加者を対象とした検討で明らかにされた。ただし著者は、「この関連が白内障手術によって説明されるかどうかは不明確である」としたうえで、「白内障手術、全身疾患および疾患関連死の相互作用についてのさらなる研究が、患者ケアの改善に役立つだろう」とまとめている。白内障手術はこれまでの研究で、健康状態および機能的な自立の改善を通し、全死因死亡リスクの減少に関与することが示唆されている。しかし、白内障手術と原因別死亡率との関連は十分に解明されていなかった。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2017年10月26日号掲載の報告。 研究グループは、白内障の高齢女性における白内障手術と原因別死亡率との関連を調べる目的で、メディケア請求データベースと結び付けられたWHIの臨床試験および観察研究(1993年1月1日~2015年12月31日)から得た、65歳以上の白内障女性患者7万4,044例のデータを、2014年7月1日~2017年9月1日に解析した。 白内障手術の有無はメディケア請求コードにより判定した。評価項目は、全死因死亡および、血管疾患、がん、神経疾患、肺疾患、感染症および不測の原因による死亡とした。log-rank検定、ならびに患者背景、全身と眼の合併症、喫煙、飲酒、BMIおよび身体活動で調整したCox比例ハザードモデルを用い、白内障手術あり群となし群で死亡率を比較した。 主な結果は以下のとおり。・解析対象7万4,044例中、白内障手術を受けたのは4万1,735例であった。・7万4,044例の背景は、平均(±SD)年齢70.5±4.6歳で、白人が最も多く(6万4,430例、87.0%)、次いで黒人(5,293例、7.1%)、ヒスパニック(1,723例、2.3%)の順であった。・死亡率は、両群で100人年当たり2.56であった。・共変量補正後のCox比例ハザードモデルにおいて、白内障手術は全死因死亡リスクの低下と関連していた(補正後ハザード比[AHR]:0.40、95%信頼区間[CI]:0.39~0.42)。・同様に、原因別死亡リスクの低下とも関連していた。血管疾患死(AHR:0.42、95%CI:0.39~0.46)、がん死(0.31、0.29~0.34)、不慮の死(0.44、0.33~0.58)、神経疾患死(0.43、0.36~0.53)、肺疾患死(0.63、0.52~0.78)、感染症による死亡(0.44、0.36~0.54)。

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喘息のモノクローナル抗体治療に新星あらわる(解説:倉原優 氏)-764

 tezepelumabという名前を聞いてもピンとこない読者も多いだろうが、これは上皮細胞由来のサイトカインである胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)に特異的なモノクローナル抗体である。TSLPなんてほとんど耳にしたこともなかったので、何を隠そう私もピンとこなかった。 TSLPはアレルギー疾患患者の組織で高頻度に発現することがわかっている1)。もともとインターロイキン-2ファミリーに属するサイトカインで、インターロイキン-7に相同性が高いとされている。その名のとおり胸腺が産生するが、気管の上皮細胞からも産生されている。TSLPはアレルギーに限らず、外的因子、たとえば喫煙やディーゼルエンジンなどの刺激によっても誘導されることがわかっており、好酸球性炎症以外の喘息の治療ターゲットになる可能性が示されてきた2,3)。 喘息に対して保険適用があるモノクローナル抗体には、現在オマリズマブ(商品名:ゾレア)とメポリズマブ(商品名:ヌーカラ)の2つがある。それぞれ、IgE、インターロイキン-5をターゲットにしている。いずれも好酸球性炎症のカスケードを抑制するため、喘息に有効とされている。 臨床試験上の規定がそのまま製品化時に反映されたため、オマリズマブとメポリズマブは、それぞれIgE値、好酸球数に応じて使用される。たいがいの喘息患者はIgEも好酸球数もそれなりに上昇しているので、両剤とも適応になることが多いのだが、やはりバイオマーカーが上昇していないと効果が期待しにくいというイメージがあると、処方の閾値が上がるのも事実である。 tezepelumabはこれまでのモノクローナル抗体と同様に、難治性の喘息に対して使用されることを想定しているが、今回の試験において患者の登録時の血中好酸球数を問わず同様の結果が得られたという点は特筆すべきであろう。 さて、実臨床でtezepelumabを使うようになるだろうか。2つの懸念がある。1つは、妥当なhead to head試験がないため、各モノクローナル抗体の比較が難しい点である。各製剤とも有効性の証明にしのぎを削っているものの、ステップ4の難治性喘息に対してプラセボより有効だったという知見の蓄積だけでは力不足かもしれない。そしてもう1つの懸念は、ご存じのとおり、薬価である。これは抗体医薬品の宿命であろう。高額療養費制度を使ってまで喘息治療をよりよくしたいと思う人が、国内にどれほど眠っているだろうか。また、公衆衛生的に費用対効果がどれほどあるだろうか。医療のアンメットニーズがマーケットニーズとマッチするかどうかはまだわからない。

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20歳からの体重減少、認知症リスク高い?~日本人コホート

 わが国で認知症発症に影響を及ぼしうる因子を特定するための研究は、これまでほとんど行われていない。そこで、新潟大学の北村香織氏らが、日本人の中高年期の体格や生活習慣が認知機能障害と関連するかどうかを検討した。PLoS One誌2017年10月12日号に掲載。 本研究では、2011年から新潟県の県北地区で実施されている村上コホート研究の参加者のうち、2013年までに実施されたベースライン調査に参加した44~79歳の地域住民1,814例を対象に、認知機能を評価した。評価には、Mini-Mental State Examination(MMSE)を使用し、アウトカムの尺度は認知機能障害で、MMSEスコア24未満と定義した。予測変数は、BMI、20歳からの長期的な体重変化および調査時のアンケートで得られた喫煙、飲酒、身体活動レベルなどの生活習慣因子で、共変量は、性別、年齢、教育レベル、脳卒中歴、糖尿病歴とした。多重ロジスティック回帰分析により、調整オッズ比(OR)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・全体における認知症有病率は6.2%であった。・参加者を体重増減の度合いにより五分位で分けて検討したところ、最も減少した第1五分位(4kgを超える減少、OR:2.70、95%信頼区間[CI]:1.18~6.20)と第2五分位(-4~0kg、OR:2.37、95%CI:1.04~5.37)は、基準とした第4五分位(+4~+7kg)と比べ、認知機能障害の調整オッズ比が有意に高かった。・第5五分位(8kg以上の増加)の調整オッズ比は、2.24であった(95%CI:0.99~5.04)。・現在のBMIは、認知機能障害と関連していなかった。 本研究で、長期的な体重減少が中高年期の認知機能障害と関連していることがわかった。ただし、本研究は後ろ向きであるため、関連をさらに調べるために前向き研究も実施されるべきと筆者らは述べている。

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日本の喫煙者のがんリスク、禁煙何年で喫煙歴ゼロと同じに?

 日本人のがん罹患リスクは、男性で21年以上、女性で11年以上禁煙すれば、喫煙歴のない人と同レベルまで低下することが、東京大学の齋藤 英子氏らによる研究で明らかになった。男性では、20 pack-year※以上のヘビースモーカーにおいても同様の結果であるという。早いうちに禁煙することが、がん予防への近道であると考えられる。Cancer epidemiology誌オンライン版2017年11月2日号の報告。20 pack-year以上の男性でも21年間以上禁煙すると全がん罹患リスクが低下 東アジアは世界有数のタバコ普及地域であるが、喫煙や禁煙ががんに及ぼす影響についての前向き研究はほとんどない。そこで著者らは、日本における8つの前向きコホート研究(参加者32,000人以上)のデータを用いて、全がんおよび喫煙関連がん罹患リスクに対する禁煙の影響を評価した。 がん罹患リスクに対する禁煙の影響を評価した主な結果は以下のとおり。・潜在的な交絡因子の調整後、ベースライン以前に21年間以上禁煙していた男性の全がん罹患リスクは、喫煙歴のない人と同じレベルまで低下することが示された(ハザード比:1.01、95%CI:0.91~1.11)。・20 pack-year以上のヘビースモーカーであった男性でも、21年間以上禁煙した場合、全がん罹患リスクが低下することが示された(ハザード比:1.06、95%CI: 0.92~1.23)。・ベースライン以前に11年間以上禁煙していた女性の全がん罹患リスクは、喫煙歴のない人と変わらなかった(ハザード比:0.96、95%CI:0.74~1.23)※pack-year:生涯喫煙量の単位。1日に何箱のタバコを何年間吸い続けたかをかけ合わせて計算する。1 pack-yearは、1日1箱を1年、または2箱を半年吸った量に相当。

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わかる統計教室 第4回 ギモンを解決!一問一答 質問19

インデックスページへ戻る第4回 ギモンを解決!一問一答質問19 ロジスティック回帰分析の判別スコアと判別精度とは?前回は、ロジスティック回帰分析について、その概要をご説明しました。今回は、ロジスティック回帰分析の判別スコアと判別精度についてご説明いたします。■ロジスティック回帰分析の判別スコア関係式に説明変数のデータをインプットして求めた値を「判別スコア」といいます。判別スコアの求め方を表1のNo.1の例で示します。表1 事例における目的変数と説明変数(再掲)まず、関係式にNo.1の例の喫煙本数、飲酒日数を代入します。自然対数eの計算をExcelの関数で行います。e-5.846の求め方任意のセルに「=EXP(-5.846)」を入力し、Enterキーを押す。→ 0.00289が出力される。表2ですべての例の判別スコアを求めます。表2 事例の判別スコアこの例題に判別分析を行い、判別得点を算出しました。判別分析は、こちらを参照してください。次に両者の違いを調べてみます。判別スコアは、0~1の間の値で息切れ症状となる確率を表します。判別得点は、およそ-5~+5の間に収まる得点で、プラスは息切れ症状あり群、マイナスは息切れ症状なし群であることを示しています。息切れ症状なし群のNo.9の例について解釈してみます。判別スコアは0.702で、息切れ症状なし群なのに、息切れ症状あり群となる確率は70.2%でした。判別得点は1.0で、息切れ症状なし群なのに、息切れ症状あり群だと判定されます。■ロジスティック回帰分析の判別精度ロジスティック回帰分析を判断する指標には、判別的中率と相関比があります。〔判別的中率〕各個体について判別スコアが0.5より大きいか小さいかで、どちらの群に属するかを調べます。この結果を「推定群」、息切れ症状あり群と息切れ症状なし群を「実績群」と呼ぶことにします。例題の各個体の実績群と推定群を表3に示します。表3 事例の実績群と推定群表4で実績群と推定群とのクロス集計表(判別クロス集計表という)を作成し、 実績群と推定群が一致している度数、すなわち、「実績群1かつ推定群1」の度数と「実績群2かつ推定群2」の度数の和を調べます。「判別的中率」は、この和の度数の全度数に占める割合で求められます。表4 実績群と推定群とのクロス集計表判別的中率は、となります。判別的中率は、いくつ以上あればよいという統計学的基準はありませんが、筆者は75%以上あれば、関係式は予測に適用できると判断しています。〔相関比〕カテゴリーデータと数量的データの関連性を調べる解析手法として「相関比」があります。群はカテゴリーデータ、サンプルスコアは数量的データなので、この例題に相関比を適用すると、相関比は0.657でした。表5に相関比の求め方を示します。表5 カテゴリーデータと数量的データの相関比群内変動=(6)の計+(9)の計=0.133+0.384=0.517相関比は0~1の値となります。相関比は判別的中率と同様に、いくつ以上あればよいという基準はありませんが、筆者は0.5を基準値としています。 この例題の相関比は0.657で0.5を上回ったので、関係は予測に適用できると判断します。■ロジスティック回帰分析での予測表6に「息切れ症状の有無」のデータを再度示します。表6 事例における目的変数と説明変数(再掲)この例題の判別的中率は89%>75%、相関比は0.657>0.5より、関係式は予測に適用できると判断し、Wさんについて予測します。予測するWさんの 喫煙本数は25本、飲酒日数は15日です。Wさんの予測値は、よって、Wさんの息切れ症状あり群の確率は94%です。次回は、ロジスティック回帰分析のオッズ比について、ご説明いたします。今回のポイント1)ロジスティック回帰分析の関係式に、説明変数のデータをインプットして求めた値を「判別スコア」という!2)ロジスティック回帰分析における判別精度を判断する指標は、判別的中率と相関比の2つがある!3)統計学的基準はないが、筆者は経験的に、判別的中率は75%以上、相関比は0.5以上あれば、この関係式は予測に適用できると判断している!インデックスページへ戻る

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クローン病のタイトコントロールは有益/Lancet

 中等症~重症の早期クローン病患者において、臨床症状とバイオマーカーの組み合わせに基づく抗腫瘍壊死因子療法の適時escalation戦略は、症状のみで治療方針を決定するよりも、臨床的および内視鏡的アウトカムを改善することが示された。米国・マウントサイナイ医科大学のJean-Frederic Colombel氏らが、22ヵ国74施設で実施した無作為化第III相試験「CALM試験」の結果を報告した。便中カルプロテクチン(FC)やC反応性蛋白(CRP)など腸炎症のバイオマーカーは、クローン病患者のモニタリングに推奨されてきたが、これらを用いた治療方針の決定がクローン病患者の予後を改善するかどうかは不明であった。Lancet誌オンライン版2017年10月31日号掲載の報告。臨床症状+バイオマーカーに基づくクローン病の治療決定の有効性を評価 CALM試験の対象は、内視鏡的活動期(クローン病内視鏡的活動指数[CDEIS]>6、1つ以上の区域でのCDEISサブスコア合計>6、ベースラインのprednisone投与量に応じたクローン病活動指数[CDAI]150~450、免疫調整薬や生物学的製剤の治療歴がない)にある18~75歳の中等症~重症クローン病患者で、タイトコントロール群または標準コントロール群に1対1の割合で無作為に割り付けられた(喫煙状況、体重および罹患期間で層別化)。割り付け時期は、prednisone導入療法8週後、または疾患活動期の場合は早期に導入とした。 両群とも治療は、未治療→アダリムマブ導入→アダリムマブ隔週→アダリムマブ毎週→アダリムマブ毎週+アザチオプリン2.5mg/kg/日の連日投与へ、段階的に増量さらに免疫調整剤との併用療法を行った。このescalation戦略は、治療失敗基準(treatment failure criteria)に基づき両群で異なった。タイトコントロール群は、便中カルプロテクチン≧250μg/g、CRP≧5mg/L、CDAI≧150、または前週のprednisone使用に基づき、標準コントロール群は、ベースライン時と比較したCDAI減少<100点/CDAI≧200、または前週のprednisone使用に基づいた。また、アダリムマブ毎週+アザチオプリン投与、もしくはアダリムマブ単独を毎週投与の患者で、治療失敗基準を満たさない場合はde-escalation(いずれもアダリムマブ投与を毎週→隔週に)が可とした。 主要エンドポイントは、無作為化後48週間の深部潰瘍を伴わない粘膜治癒(CDEIS<4)とし、intention-to-treat解析にて評価した。クローン病のタイトコントロール群で粘膜治癒率は改善、有害事象は有意差なし 2011年2月11日~2016年11月3日の期間に、244例(平均[±SD]罹患期間:標準コントロール群0.9±1.7年、タイトコントロール群1.0±2.3年)が登録され、両群に122例ずつ無作為に割り付けられた。標準コントロール群29例(24%)およびタイトコントロール群32例(26%)が、有害事象等により試験を中断した。 48週時に深部潰瘍を伴わない粘膜治癒(CDEIS<4)に達した患者の割合は、タイトコントロール群が標準コントロール群よりも有意に高かった(56例[46%]vs.37例[30%])。Cochran-Mantel-Haenszel検定法を用いた補正後リスク差は16.1%(95%信頼区間[CI]:3.9~28.3、p=0.010)であった。 治療関連有害事象は、タイトコントロール群で105例(86%)、標準コントロール群で100例(82%)に認められた。治療関連死は発生しなかった。主な有害事象は、タイトコントロール群では悪心21例(17%)、鼻咽頭炎18例(15%)、頭痛18例(15%)、標準コントロール群ではクローン病の悪化35例(29%)、関節痛19例(16%)、鼻咽頭炎18例(15%)であった。 著者は、「CALM試験は、早期クローン病患者において、臨床症状とバイオマーカーの組み合わせに基づく抗腫瘍壊死因子療法の適時escalationが、症状のみの治療方針の決定よりも、良好な臨床的および内視鏡的アウトカムに結び付くことを示した初の試験である。さらなる試験を行い、腸損傷、手術、入院、障害などの長期アウトカムへの適時escalation治療戦略の効果を評価する必要がある」とまとめている。

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中国成人の約半数が高血圧、うち7割は服薬なし/Lancet

 35~75歳の中国成人において、ほぼ半数が高血圧症を有し、治療を受けているのは3分の1未満で、血圧コントロールが良好なのは12分の1未満であることが明らかになった。中国医学科学院・北京協和医学院のJiapeng Lu氏らが、約170万例の代表サンプル成人を対象に行った、住民ベースのスクリーニング試験の結果を報告した。Lancet誌オンライン版2017年10月25日号掲載の報告。サンプル対象170万例を26万4,475のサブグループに分け分析 研究グループは2014年9月15日~2017年6月20日の間に、中国本土31地域に住む35~75歳の成人約170万例を登録した、大規模な住民ベースの心イベントスクリーニングプロジェクト「China Patient-Centered Evaluative Assessment of Cardiac Events (PEACE) Million Persons Project」を行い、有病率や病識、治療やコントロール状況について調査した。 高血圧症の定義は、収縮期血圧140mmHg以上もしくは拡張期血圧90mmHg以上、または自己報告による直近2週間の降圧薬の服用とした。高血圧症に関する病識、治療、コントロールの定義は、それぞれ、高血圧症と診断されたことを自己申告、降圧薬を現在服用中、収縮期・拡張期血圧値が140/90mmHg未満とした。 年齢グループ(35~44、45~54、55~64、65~75歳)、男性/女性、中国西/中央/東部、都市部/地方、漢族/非漢族、農民/非農民、年収(<1万元、1~<5万元、≧5万元)、教育レベル(初等教育以下、中学、高校、大学以上)、心血管イベントの有無、喫煙の有無、糖尿病の有無など11の人口動態的および臨床的因子と、個人およびプライマリヘルスケア地域を可能な限り組み合わせた26万4,475のサブグループについて、高血圧症の病識、治療、コントロール率を分析した。コントロール不良の治療中患者、8割以上が降圧薬の服用は1種のみ サンプル調査対象として包含されたのは173万8,886例で、平均年齢は55.6歳(SD 9.7)、女性は59.5%で、高血圧症患者の割合は44.7%(95%信頼区間[CI]:44.6~44.8、77万7,637例)だった。 高血圧症患者のうち、高血圧症であることを自覚していたのは44.7%(同:44.6~44.8、34万7,755例)だった。また、高血圧症患者のうち、処方された降圧薬を服用していたのは30.1%(同:30.0~30.2)、血圧コントロールを達成していたのは7.2%(同:7.1~7.2)だった。 年齢・性別標準化後の高血圧症の有病率は37.2%(同:37.1~37.3)、病識率36.0%(同:35.8~36.2)、治療率22.9%(同:22.7~23.0)、コントロール率は5.7%(同:5.6~5.7)だった。 最も使用頻度の高かった降圧薬は、クラス分類でカルシウム拮抗薬だった(55.2%、95%CI:55.0~55.4)。また、降圧薬を服用しているがコントロール不良であった高血圧症患者のうち、81.5%が1種類の降圧薬しか服用していなかった。 高血圧症を自覚している患者の割合と、治療を受けていた患者の割合は、サブグループ間で顕著にばらつきが認められた。病識率および治療率が低い傾向との関連がみられたのは、男性、年齢が低い、低収入、心血管イベント既往、糖尿病、肥満、アルコール摂取だった(すべてp<0.01)。一方、血圧コントロール率はすべてのサブグループで30%未満と低かった。 これらの結果を踏まえて著者は、「中国人のすべてのサブグループで、血圧コントロール率が低い集団が認められた。幅広くグローバルな戦略、たとえば予防へのさらなる取り組みや、優れたスクリーニング、より効果的で手頃な治療が必要であることを支持する結果であった」とまとめている。

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慢性期統合失調症、陰性症状の予測因子は:県立広島大

 県立広島大学の藤巻 康一郎氏らは、統合失調症患者の長期入院に対する、陰性症状と主要な指標との関連を調査した。また、陰性症状の臨床的決定要因の解明についても検討を行った。Psychiatry research誌オンライン版2017年9月24日号の報告。 指標因子には、年齢、罹病期間、入院期間、発症年齢、教育年数、喫煙状態、BMI、血清トリグリセリド濃度、総コレステロール、尿酸、心電図によるQTc間隔持続時間、抗精神病薬および抗コリン作用薬の等価換算量、神経認知機能、薬物誘発性錐体外路症状、不随意運動、精神症状を用いた。これらの因子と陰性症状との関連を調査するため、スピアマンの順位相関係数を算出し、回帰分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・陽性症状は、BPRSで評価した陰性症状と正の相関が認められた。・発症年齢は、陰性症状と負の相関が認められた。・重回帰分析では、非定型抗精神病薬の等価換算量と陽性症状が、陰性症状を予測することが示された。 著者らは「陰性症状の重症度の主要な指標であるこれらの予測因子に対して理解を深めることは、慢性期統合失調症の治療プログラム再考に役立つであろう」としている。■関連記事陰性症状に対する最新レビュー、有効性が確認されている治療は慢性期統合失調症、陰性症状に有効な補助療法統合失調症患者の再入院、ベンゾジアゼピンの影響を検証:東医大

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日本人男性、ストレスでがんリスクが増加~JPHC研究

 がん発症リスク因子としてのストレスについての報告は一貫していない。今回、1990~94年に40~69歳の10万1,708人を登録したJPHC研究(Japan Public Health Center-based Prospective Study)のデータから、知覚されたストレスレベルが高いと男性のがん罹患率が増加する可能性が示唆された。Scientific Reports誌2017年10月11日号に掲載。 ベースライン時に知覚されたストレスのレベルについて自己申告したものを収集し、5年間の追跡期間を通じてアップデートした。知覚されたストレスとがんリスクの間の関連について、既知の交絡因子すべてで調整したCox比例ハザード回帰モデルを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間(平均17.8年)中に、1万7,161例のがん症例を同定した。・ベースライン時での知覚されたストレスのレベルとがん発症率との間に関連は認められなかった。しかし、知覚されたストレスの動的変化を考慮すると、ストレスレベルが低かった群と比較して、ストレスレベルが上昇した被験者ではがん全体の発症リスクがわずかに(4~6%)増加することが、時変分析で認められた。・知覚されたストレスレベルの長期分析により、常にストレスレベルが低かった被験者と比較して、常にストレスレベルが高かった被験者の過剰リスクは11%(95%信頼区間:1~22%)であった。この関連は男性(20%の過剰リスク)に限定され、とくに、喫煙者、飲酒者、肥満者、がんの家族歴のない被験者で強かった。

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総コレステロールは晩年に低下する~10万人のコホート研究

 疫学研究では、総コレステロール(TC)が低いほど死亡率が高いことが示唆されている。今回、英国・ロンドン大学のJudith Charlton氏らが、80歳超のTCと死亡率との関連について死亡前のTCの低下で説明できるかを約10万人のコホート研究で検討したところ、TCは晩年に終末期の衰退を示すことがわかった。著者らは「逆の因果関係が、非無作為化研究での低TCと高死亡率の関連をもたらしているかもしれない」と考察している。The Journals of Gerontology誌オンライン版2017年9月27日号に掲載。 本研究は、UK Clinical Practice Research Datalink(CPRD)における80~105歳の9万9,758人について、プライマリケア電子健康記録を用いたコホート研究。全死亡のハザード比(HR)は、年齢、性別、フレイル、合併症、血圧、喫煙で調整した。fractional polynomialモデルを用いて、死亡前または研究終了前のTCの縦断的傾向を評価した。調整オッズ比は一般化推定方程式を用いて推定した。 主な結果は以下のとおり。・参加者は女性6万3,630人、男性3万6,128人で、平均年齢86歳、死亡人数は2万9,200人であった。エントリー時に4万1,164人がスタチンで治療されていた。・TCが3.0mmol/L未満の人は4,5~5.4mmol/Lの人と比較して、死亡率が高かった。  スタチン治療者-HR:1.53、95%信頼区間:1.43~1.64、p<0.001  無治療者-HR:1.41、95%信頼区間:1.29~1.54、p<0.001・TCの経年的低下は、死亡前の2年間で速まった。・フォローアップ終了前3ヵ月間での、生存者と比較した、死亡者におけるTC 3.0mmol/L未満の調整オッズ比は、無治療者では3.33(2.84~3.91、p<0.001)、スタチン治療者では1.88(1.68~2.11、p<0.001)であった。

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わかる統計教室 第4回 ギモンを解決!一問一答 質問18

インデックスページへ戻る第4回 ギモンを解決!一問一答質問18 ロジスティック回帰分析とは?質問12~17までは、医学統計でよく用いられる「重回帰分析」について、説明してきました。今回より重回帰分析と同じく、医学統計で用いられることの多い多変量解析の中の「ロジスティック回帰分析」について、ご説明いたします。■ロジスティック回帰分析とは事例のようにすでに確認されている「息切れ症状あり」のグループと、「息切れ症状なし」のグループそれぞれで、1日の喫煙本数と1ヵ月間の飲酒日数を調べました。表に、10例の調査結果を示します。表のデータについて息切れ症状の有無と調査項目との関係を調べ、息切れ症状があるグループかどうかを判別するモデル式を作ります。このモデル式を用い、1日の喫煙本数が25本、1ヵ月間の飲酒日数が15日であるWさんの息切れ症状の有無を判別します。表 事例における目的変数と説明変数この問題を解いてくれるのが「ロジスティック回帰分析」です。予測したい変数、この例では息切れ症状の有無を「目的変数」といいます。目的変数に影響を及ぼす変数、事例では喫煙本数と飲酒日数を「説明変数」といいます。ロジスティック回帰分析で適用できるデータは、目的変数は2群の「カテゴリーデータ」、説明変数は「数量データ」です。そして、ロジスティック回帰分析は、目的変数と説明変数の関係を関係式で表します。この例題の関係式は、次のようになります。関係式におけるa1、a2を「回帰係数」、a0を「定数項」といいます。eは自然対数の底で、値は2.718…です。ロジスティック回帰分析は、この関係式を用いて、次の事柄を明らかにする解析手法です。(1)予測値の算出(2)関係式に用いた説明変数の目的変数に対する寄与度次回は、ロジスティック回帰分析の判別スコアと判別精度について、ご説明いたします。今回のポイント1)ロジスティック回帰分析は、目的変数と説明変数の関係を関係式で表す!2)ロジスティック回帰分析で適用できるデータは、目的変数が2群の「カテゴリーデータ」、説明変数が「数量データ」!3)ロジスティック回帰分析は関係式を用いて、(1)予測値の算出、(2)関係式に用いた説明変数の目的変数に対する寄与度を明らかにする解析手法!インデックスページへ戻る

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卵巣予備能バイオマーカーと不妊、関連性は?/JAMA

 生殖年齢後期の女性において、血中の抗ミュラー管ホルモン(AMH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、インヒビンBあるいは尿中FSHといった卵巣予備能を示すバイオマーカーの低下は、妊孕性の低下とは関連していないことが明らかとなった。米国・ノースカロライナ大学のAnne Z. Steiner氏らが、不妊歴のない妊活3ヵ月未満の30~44歳の女性を対象とした前向きコホート試験の結果を報告した。卵巣予備能のバイオマーカーは、その有益性に関するエビデンスがないにもかかわらず、生殖能の目安として用いられている。著者は「尿または血中FSHや血中AMHを用いて、女性の現在の受胎能を評価することは支持されない」と注意を促している。JAMA誌2017年10月10日号掲載の報告。卵巣予備能バイオマーカーを測定し、1年間にわたり受胎率を評価 研究グループは2008年4月~2016年3月の期間で、ノースカロライナ州にあるローリー-ダーラムの地域コミュニティで募集した、不妊歴のない妊活3ヵ月未満の30~44歳の女性981例を対象に、卵胞期前期の血清AMH、血清FSH、血清インヒビンB、尿中FSHを測定した。 主要評価項目は、6周期と12周期までの累積受胎率および相対的な受胎確率(特定の月経周期における受胎率)とし、妊娠テスト陽性を受胎と定義した。 計750例(平均年齢33.3歳[SD 3.2]、白人77%、過体重または肥満36%)から血液と尿の検体が提供され、解析に組み込んだ。バイオマーカー低値と正常値の女性で受胎率に有意差なし 年齢、BMI、人種、現在の喫煙状況、ホルモン避妊薬使用の有無で補正後、妊活6周期までの推定受胎率は、AMH低値(<0.7ng/mL)群(84例)で65%(95%信頼区間[CI]:50~75%)、AMH正常値群(579例)で62%(同:57~66%)と両群で有意差はなかった。妊活12周期までの推定受胎率比較においても、有意差は示されなかった(AMH低値群84%[同:70~91%] vs. 正常値群75%[同:70~79%])。 血清FSHについても同様に、妊活6周期までの推定受胎率は高値(>10mIU/ml)群(83例、63%[95%CI:50~73%])と正常値群(654例、62%[同:57~66%])で有意差はなく、12周期までの推定受胎率も有意差はなかった(82%[同:70~89%] vs.75%[同:70~78%])。 尿中FSH値についても、高値(>11.5mIU/mg creatinine)群の妊活6周期までの推定受胎率(69例、61%[95%CI:46~74%])は、正常値群(660例、62%[同:58~66%])と有意差はなく、妊活12周期までの推定受胎率も有意差はなかった(70%[同:54~80%] vs.76%[同:72~80%])。 インヒビンB値に関しては、測定しえた737例において特定の月経周期での受胎率との関連性が確認されなかった(1-pg/mL増加当たりのハザード比:0.999、95%CI:0.997~1.001)。 なお著者は、出生ではなく受胎を主要評価項目としていること、排卵は評価されていないこと、男性の精液検体は提供されていないことなどを研究の限界として挙げている。

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複合血管スクリーニングで死亡リスク7%低下:VIVA試験(解説:中澤達氏)-747

 デンマークの中央ユラン地域に在住する65~74歳のすべての男性約5万例を対象とした無作為化比較試験「VIVA試験(Vibrog Vascular trial)」で腹部大動脈瘤、末梢動脈疾患および高血圧に関する複合血管スクリーニングは、5年全死因死亡率を7%有意に低下させることが明らかになった(ハザード比:0.93[95%信頼区間:0.88~0.98、p=0.01])。これまで地域住民を対象とした集団スクリーニングに関する文献で死亡リスクの低下が確認されたことはない。特筆すべきことは、糖尿病、脳内出血、腎不全、がんの発症、または心血管外科手術後30日死亡が両群で有意差は確認されず、喫煙者を除外した事後解析でも結果はほぼ同じで薬物療法開始の効果と推測されることである。 日本の大動脈瘤や末梢閉塞性動脈疾患ガイドラインではスクリーニングするべき患者群は明記されていない。末梢閉塞性動脈疾患ガイドラインはTASC IIを参照しており、TASC IIでリスクファクターに関係なくすべての患者を末梢閉塞性動脈疾患スクリーニングの対象とするのは70歳以上となっている。この複合血管スクリーニングにより全死亡率を低下させたのは65~74歳男性の集団であったことに納得性は高い。多くの臨床家が実践している診療の裏付けとなったが、日本人にも当てはまるかは検討を要する。

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LDL-Cが低い人でもスタチンは有用か

 LDLコレステロール(LDL-C)の管理とスタチン治療戦略に関する推奨は、ガイドラインによって異なる。国立国際医療研究センターの辻本 哲郎氏らの前向きコホート研究の結果、スタチン治療はLDL-C値が低い場合も高リスク患者の全死亡率を下げるために有効であることが示唆された。The American Journal of Cardiology誌オンライン版2017年8月30日号に掲載。 著者らは、1999~2010年の米国における国民健康・栄養調査のデータを使用して前向きコホート研究を実施した。全死亡・心血管死亡・非心血管死亡について、Cox比例ハザードモデルを用いて無調整および多変量調整後のハザード比(HR)を調べた。年齢、性別、人種と民族、学歴、喫煙状況、BMI、心血管疾患とがんの既往歴、糖尿病、高血圧、LDL-C値、HDL-C値、トリグリセライド値(対数変換)、eGFR値、微量アルブミン尿の有無で調整した。本研究は、心血管疾患リスクが高い患者で、LDL-C値が120mg/dL未満(平均88.7mg/dL)の1,500例を対象とし、99%の患者がフォローアップを完了した。 主な結果は以下のとおり。・多変量Cox比例ハザードモデルによると、全死亡率はスタチン投与群が非投与群より有意に低かった(HR:0.62、95%CI:0.45~0.85、p=0.004)。・傾向スコアでマッチさせた患者およびLDL-C値100mg/dl未満(平均78.6mg/dL)の患者に限定した解析でも、同様の結果であった。・スタチン投与患者における全死亡率について、LDL-C値70mg/dL未満の患者が70~120mg/dLの患者より低いということはなかった(HR:1.27、95%CI:0.76~2.10、p=0.35)。(2017年10月10日10:37 タイトルおよび本文を一部訂正いたしました)

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わかる統計教室 第4回 ギモンを解決!一問一答 質問17

インデックスページへ戻る第4回 ギモンを解決!一問一答質問17 符号の逆転現象とは?前回は、重回帰分析は変数相互の影響を除去した真の関係について見いだすことができる、とても便利なツールであるとご説明しました。今回は、重回帰分析を行うときにしばしば発生する、符号の逆転現象についてご説明いたします。■回帰係数の符号の逆転現象表1に前回の事例で用いた健康診断の結果データを再掲します。表1 成人男性20例の生活嗜好に関する諸データ(再掲)表2のデータは、表1のデータのギャンブル嗜好を別のデータに置き換えたものです。表2 成人男性20例のギャンブル嗜好に関する諸データを改訂)このデータから図のように変数相互の相関関係を調べました。図 変数相互の相関関係ギャンブル嗜好の回帰係数、標準回帰係数の符号がマイナスになりました。つまり、ギャンブル嗜好とγ-GTPの相関はプラスなので、「符号逆転現象」が起こりました。ギャンブル嗜好を別のデータに置き換える前のもともとのデータでは、標準回帰係数は0.243、このデータの場合は-0.026です。ギャンブル嗜好について喫煙の有無との相関を見ると、もともとのデータでは0.68、このデータの場合は0.90です。喫煙の有無との相関が高くなるほど、標準回帰係数は小さくなって0に近づき、さらにはマイナスの値になります。ギャンブル嗜好から喫煙の有無の影響を除去する度合いが増して、標準回帰係数の値が小さくなったということです。標準回帰係数が「小さく、0に近い場合はギャンブル嗜好とγ-GTPとは無関係」、「マイナスの場合はギャンブルが好きな人は嫌いな人に比べγ-GTPが低くなる」と解釈できます。ギャンブル嗜好とγ-GTPとの関係を相関係数(0.62)で見ると、「ギャンブル好きであるほどγ-GTPが高くなる」となります。標準回帰係数(-0.026)で見ると、傾向は弱いが「ギャンブル好きであるほどγ-GTPが低くなる」となります。このように導く結論が逆転しています。標準回帰係数は、統計解析の手法が算出した結果なので正しいことなのかもしれませんが、さすがに逆転現象の結論の採用には勇気がいります。相関係数の符号と標準回帰係数の符号が一致しない場合、導く結論が逆転しています。逆転した現象が説明できれば、この結論を受け入れられますが、説明できない場合は説明変数を減らして重回帰分析をやり直します。次に符号逆転現象を解消する2つの方法を説明します。方法1 総当たり法を適用する方法方法2 相関マトリックスを適用する方法■方法1 総当たり法を適用する方法説明変数の個数がq個のとき、q個の変数を用いて作られる重回帰式の個数は(2q-1)個です。たとえば説明変数が3個の場合、23-1=7 です。説明変数がx1、x2、x3であるときの重回帰式を示します。符号逆転の起こらない関係式をピックアップします。複数個ある場合、モデル選択基準(AIC※など)で最良の関係式を見いだします。表3で例題のデータの総当たり法を行いました。符号逆転のない組み合わせはモデルNo.1~6です。この中でモデル選択基準AICが最小なのはモデルNo.4です。表3 例題データの総当たり法のまとめγ-GTPを予測する最良のモデルは次式となります。γ-GTP=2.135×飲酒量+26.604×喫煙の有無+26.5※総当たり法(AIC)は、こちらを参照ください。■方法2 相関マトリックスを適用する方法説明変数相互の単相関係数(相関マトリックスという)を算出します。表4 説明変数相互の単相関係数説明変数間で相関の高いセルをピックアップします。いくつ以上という基準はありませんが、0.65ぐらいが目安です。説明変数相互の相関が基準以上のときは、どちらかを落とすのが一般的です。落とし方は、落とす候補になった変数と目的変数との相関をそれぞれ調べて、相関の低いほうを落とします。下記の例では、x1とx2の相関が高いので、どちらかを落とすことになります。「yとx1」、「yとx2」の相関を見ると、「yとx2」のほうが低いのでx2を落とします。例題のデータは、ギャンブル嗜好の相関が0.90と高いのでどちらかを落とします。両者のγ-GTPとの相関は、ギャンブル嗜好が0.62、喫煙の有無が0.67なので、ギャンブル嗜好を落とします。総当たり法は、通常、統計専門のアプリケーションで行いますが、パソコンのスペックが低かった時代は処理時間が遅く、実践的ではありませんでした。そのため、方法2を適用していましたが、パソコンのスペックが向上した今日では、方法1で行うのがよいといえます。次回は、重回帰分析と同様に医学統計で用いられることの多い、ロジスティック回帰分析についてご説明いたします。今回のポイント1)目的変数と説明変数との相関係数の符号がプラスであるにもかかわらず、重回帰分析での回帰係数、標準回帰係数の符号がマイナスになってしまう場合を「符号の逆転現象」という!2)符号の逆転現象を解消する手段の1つは、総当たり法を適用すること!3)符号の逆転現象を解消するもう1つの手段は、相関マトリックスを適用すること!インデックスページへ戻る

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