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大腸ポリープも身体活動や座位時間に関連

 定期的なレクリエーションでの中~高強度の身体活動(rMVPA)は大腸がん(CRC)リスク低下と関連しているが、前がん状態の前駆病変である大腸ポリープとの関連を検討した研究はほとんどない。今回、カナダ・アルバータヘルスサービスのDarren R. Brenner氏らが、大規模なCRCスクリーニング集団でスクリーニング時の身体活動および座位時間とポリープとの関連を調べたところ、とくに女性で、rMVPAの増加とポリープ有病率の減少の関連が示唆された。また、とくに男性で、習慣的な座位時間が短くてもポリープの存在に関連していた。Cancer epidemiology誌オンライン版2018年1月17日号に掲載。 本研究は、カナダ・アルバータ州カルガリーで、スクリーニングで大腸内視鏡検査を受けた2,496人における横断研究である。身体活動と座位時間は、身体活動の勧告に沿ったrMVPAの時間と、国際標準化身体活動質問票での自己申告データによる座位時間を用いて特徴付けた。rMVPAおよび座位時間に関連するポリープの存在について、ロジスティック回帰モデルを用いて、粗および調整オッズ比(OR)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・150分/週以上の身体活動指針の達成は、1つ以上のポリープ存在のオッズにおいてわずかに減少したが有意ではなかった(調整OR:0.95、95%CI:0.80~1.14)。・男性では、座位時間に関する閾値効果は20時間/週まで観察された(座位時間当たりの調整OR:1.07、95%CI:1.01~1.13)。・層別解析では、統合された結果と比較し、女性・肥満者・過去喫煙者におけるポリープの存在と身体活動の間に、より強い逆相関が認められた。 著者らは、「前がん状態の大腸病変の頻度を減らすための戦略をより明確にするためには、rMVPAおよび座位時間に関するさらなる研究が必要である」としている。

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病的肥満、肥満外科手術で死亡率減少/JAMA

 肥満症患者において、肥満外科手術(腹腔鏡下での胃バンディング術、ルーワイ胃バイパス術、またはスリーブ状胃切除術)は、手術治療を行わない通常ケアと比較して、全死因死亡率の低下と関連することが示された。イスラエル・Clalit Health ServicesのOrna Reges氏らが、イスラエルの半数超の国民が加入する健康保険データを用いて行った後ろ向きコホート研究の結果で、追跡期間中央値は約4.5年間であった。著者は「通常ケアの肥満症マネジメントのみと比較した、3タイプの肥満外科手術の有益性アウトカムの文献記述は限られているが、それらに今回のエビデンスを加えたい」とまとめている。JAMA誌2018年1月16日号掲載の報告。3タイプの肥満外科手術群vs.非手術群で検討 研究グループは、肥満症患者における3タイプの肥満外科手術と非手術治療の死亡率および臨床的アウトカムの関連を比較する目的で、イスラエルの大規模総合健康保険(国民の54%が加入し、特色として約1%の年間ターンオーバー率)のデータを用いて、後ろ向きコホート研究を行った。 2005年1月1日~2014年12月31日に肥満外科手術(腹腔鏡下での胃バンディング術、ルーワイ胃バイパス術、またはスリーブ状胃切除術)を受けた肥満症患者を特定し、年齢、性別、BMI値、糖尿病で適合した非手術肥満症患者(食事指導と行動変容などを含むと思われる、プライマリケア医による肥満症マネジメントの通常ケアのみ)と比較した。最終フォローアップは2015年12月31日。検討には、3万3,540例の患者が包含された。 主要アウトカムは全死因死亡で、手術前のBMI値、年齢、性別、社会経済的地位、糖尿病、脂質異常症、高血圧症、心血管疾患、喫煙について適合および補正を行い評価した。非手術群の手術群に対する死亡ハザード比は2.02倍、タイプ別では1.60~2.65倍 肥満外科手術を受けたのは8,385例(年齢中央値46歳[IQR:37~54]、女性65.5%、ベースラインBMI中央値40.6[IQR:38.5~43.7])、適合した非手術患者は2万5,155例(46歳[37~54]、65.5%、40.5[37.0~43.5])であった。手術タイプの内訳は、バンディング術3,635例、バイパス術1,388例、スリーブ状胃切除術3,362例。全死因死亡に関するフォローアップデータは、100%を入手できた。 追跡期間中央値4.3年(IQR:2.8~6.6)において、肥満外科手術群の死亡は105例(1.3%)で、内訳はバンディング術群61例(1.7%)、バイパス術群18例(1.3%)、スリーブ状胃切除術群26例(0.8%)であった。一方、追跡期間中央値4.0年(IQR:2.6~6.2)において、非手術群の死亡は583例(2.3%)であった。 手術群の死亡は非手術群と比べて、絶対差で2.51(95%信頼区間[CI]:1.86~3.15)/1,000人年少なかった。非手術群の手術群に対する死亡率の補正後ハザード比は、全登録患者集団ベースでは2.02(95%CI:1.63~2.52)であり、手術タイプ別にみると、バンディング術群2.01(1.50~2.69)、バイパス術群2.65(1.55~4.52)、スリーブ状胃切除術群1.60(1.02~2.51)であった。

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ペットは老化の進行を抑制する?/BMJ

 動物との交遊は、老化の修正可能な特性である可能性があるが、高齢者がペットを飼うことと老化のバイオマーカーとの関連はほとんど知られていない。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのG. David Batty氏らは、約8,800例の高齢者を調査し、ペットの飼育は老化のバイオマーカーに影響を及ぼさないことを示した。研究の成果は、BMJ誌2017年12月13日号に掲載された。英国では高齢者の半数がペットを飼っており、オーストラリアの調査では高齢者の12%が「動物は交遊の主要形態」と答えているという。ペットの有無で11のバイオマーカーを比較 研究グループは高齢者を対象に、動物を飼うことと老化のバイオマーカーの関連を前向きに評価するコホート研究を行った(米国国立老化研究所と、英国経済社会研究会議が組織した政府機関の助成による)。 英国で進行中の全国的なコホート研究であるEnglish Longitudinal Study of Ageing(ELSA試験)へ2010~11年に登録された8,785例(平均年齢67歳[SD 9]、女性55%)を、約2年間フォローアップした(平均年齢69歳[SD 8])。 ペット(イヌ、ネコ、その他)の有無別に、老化との関連が確立されている11項目のバイオマーカー(身体機能、免疫学的機能、心理学的機能)との関連を評価した。すべてのバイオマーカーが、ペットの飼育と強い関連なし ベースライン時に対象者の約3分の1がペットを飼っており(イヌ1,619例[18%]、ネコ1,077例[12%]、その他274例[3%])、5,815例は飼っていなかった。ペットを飼っている高齢者は飼っていない高齢者に比べ、年齢が4~5歳若く、あまり運動しない者の割合がわずかに低く、喫煙者は多い傾向がみられた。イヌの飼い主は、孤独感が強く、健康状態が劣る傾向があった。 多変量で補正した解析では、ペットを飼っていることと、歩行速度、肺機能(1秒量)、椅子からの立ち上がり時間、握力、レッグレイズ(足上げ)、身体バランス、3つの全身性炎症のマーカー(C反応性蛋白、白血球数、フィブリノゲン)、記憶、うつ症状には関連がなかった。 イヌの飼い主はペットを飼っていない高齢者に比べ、歩行速度がわずかに遅く、椅子から立ち上がる時間が長かったが、肺機能はわずかに高かった。ネコの飼い主はその他のペットの飼い主に比べ、レッグレイズ検査に失敗する傾向がみられた。 著者は、「大小を問わず、動物と交遊することは、標準的な身体的、心理学的な老化のバイオマーカーとは基本的に関連しないことが示された」と結論している。

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貧血と認知症の関係:韓国国民健康スクリーニング研究

 貧血が高齢者における認知症発症と関連しているか、韓国・ソウル大学のSu-Min Jeong氏らが調査を行った。Alzheimer's research & therapy誌2017年12月6日号の報告。 認知症および脳卒中でない66歳の高齢者3万7,900例を、NHIS-HEALS(韓国国民健康保険サービス-国民健康スクリーニングコホート)のデータベースを用いて抽出した。貧血(ヘモグロビン濃度:女性12g/dL未満、男性13g/dL未満)および貧血の重症度(軽度、中等度、重度)は、WHO(世界保健機構)の基準で定義した。認知症の発症は、ICD-10(国際疾病分類 第10版)の認知症診断コード(F00、F01、F02、F03、G30)で確認され、抗認知症薬を処方された患者とした。貧血による認知症発症のハザード比(HR)は、Cox比例ハザード回帰モデルを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・性別、ベースラインの認知機能状態、BMI、喫煙、世帯収入、障害、うつ病、高血圧、糖尿病、脂質異常症で調整した後、貧血と認知症との間に有意な関連が認められた(調整HR:1.24、95%CI:1.02~1.51)。・貧血の重症度に応じた認知症発症率の調整HRは、軽度の場合1.19(95%CI:0.98~1.45)、中等度の場合1.47(95%CI:0.97~2.21)、重度の場合5.72(95%CI:1.84~17.81)であり、有意なp for trendが認められた(p=0.003)。 著者らは「貧血は、認知症発症の独立したリスク因子であり、重度においては顕著なリスク増加を伴うと考えられる」としている。■関連記事婚姻と認知症リスクに関するシステマティックレビューアルツハイマー病に対する新規ベンゾジアゼピン使用に関連する死亡リスクのコホート研究認知症発症への血圧の影響、ポイントは血圧変動:九州大

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糖尿病リスクに人種間格差はあるか?/JAMA

 米国において中年期男女の糖尿病リスクは、黒人のほうが白人に比べ有意に高いが、青年期の体格指数や本人・親の教育レベルといった修正可能なリスク因子で補正後は、人種間のリスク格差は認められなくなることが示された。米国・ノースウェスタン大学のMichael P. Bancks氏らが、1985~86年の期間から米国で行われている冠動脈疾患リスクに関する観察研究「CARDIA」(Coronary Artery Risk Development in Young Adults Study)の参加者4,251例のデータを解析し明らかにしたもので、JAMA誌2017年12月26日号で発表した。ベースライン時に糖尿病を有さない18~30歳を対象に追跡 研究グループは、CARDIA試験データを2015~16年の期間まで追跡し、2型糖尿病リスクの人種間格差と、青年期の修正可能リスク因子の関連について検証した。被験者はベースライン時(1985~86年)に糖尿病を有していない18~30歳の4,251例だった。 性別層別化・多変量補正Cox比例ハザードモデルを用いて、糖尿病リスクを解析した。 自己申告に基づく人種、空腹時血糖やBMIなどの生物学的要因、人種差別や貧困といった地域的要因、うつ症状などの心理学的要因、本人や親の教育レベル、現在の職業といった社会経済学的要因、習慣的アルコール摂取や喫煙といった行動学的要因について、糖尿病リスクへの影響を検証した。黒人被験者と白人被験者を比較するため、β係数(対数でハザード比[HR]を算出)の%低下を算出し評価した。生物学的要因など補正前の糖尿病リスク、黒人女性は白人女性の約2.9倍 被験者のベースライン時の平均年齢は25歳(標準偏差:3.6)、黒人は49%(2,066例)、女性は54%(2,304例)だった。平均追跡期間である24.5年の間に、糖尿病を発症したのは504例だった。 性別層別化・多変量補正Cox比例ハザードモデルで解析の結果、年齢および試験センターを補正後、黒人の女性・男性は、それぞれ白人の女性・男性に比べ、糖尿病発症リスクが高かった(黒人女性の白人女性に対するハザード比[HR]:2.86[95%信頼区間[CI]:2.19~3.72]、リスク差:89件/1,000例[95%CI:61~117]/黒人男性の白人男性に対するHR:1.67[95%CI:1.28~2.17]、リスク差:47件/1,000例[95%CI:15~78])。なかでも生物学的要因が、同リスクの人種格差の大きな要因だった。女性における黒人と白人のβ係数の%低下値は112%、男性は同86%だった。 生物学的要因、地域的要因、心理学的要因、社会経済学的要因、行動学的要因で補正後、中年期の糖尿病リスクには黒人・白人による差は認められなかった(黒人女性の白人女性に対するHR:0.79[95%CI:0.55~1.14]/同男性のHR:0.92[95%CI:0.62~1.38])。

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チェックポイント阻害薬でOSを得られる2次治療の肺がん患者

 進行非小細胞肺がん(NSCLC)2次治療における、チェックポイント阻害薬の生存ベネフィットに関する臨床的・分子的な予測因子はどのようなものか。この研究は、チェックポイント阻害薬とドセタキセルの効果の関係を、全体的な観点および臨床病理的特徴によって定義されたサブグループにおいて予測するため、システマティックレビューが行われた。JAMA Oncology誌オンライン版2017年12月21日号掲載のオーストラリア・シドニー大学による研究。・データソースはMEDLINE、Embase、PubMed、Cochrane Central Register of Controlled Trialsから検索した1996年1月1日~2017年1月30日に英語で発表された無作為化臨床試験。・その中からチェックポイント阻害薬(ニボルマブ、ペムブロリズマブ、atezolizumab)とドセタキセルを比較した試験が選択された。・2名の査読者によって研究選択、データ抽象化、バイアスリスク評価が実施された。・全体集団およびサブグループについて、ハザード比(HR)および95%信頼区間を抽出。・治療の統合推定値は逆分散加重法を用いて算出した。 主な結果・進行NSCLC患者3,025例を対象とした合計5件の試験がレビュー対象となった。・これらの試験で、患者はチェックポイント阻害薬であるニボルマブ427 例(14.1%)、ペムブロリズマブ691例(22.8%)、atezolizumab569例(18.8%)とドセタキセル1,338例 (44.2%)に無作為に割り付けされていた。・チェックポイント阻害薬は、ドセタキセルと比べOSを延長した(HR:0.69、95%CI:0.63~0.75、p<0.001)。・EGFR野生型サブグループではチェックポイント阻害薬によるOSの延長が確認されたが(HR:0.67、95%CI:0.60~0.75、p<0.001)、EGFR変異サブグループでは認められなかった(HR:1.11、95%CI:0.80~1.53、p=0.54、interaction p=0.005)。・チェックポイント阻害薬によるOSの延長は、KRAS変異サブグループでもみられたが(HR:0.65、95%CI:0.44~0.97、p=0.03)、KRAS野生型サブグループでは認められなかった(HR:0.86、95%CI:0.67~1.11、p=0.24、interaction p=0.24)。・喫煙、PS、年齢、組織形、性別による治療ベネフィットの相関はみられなかった。

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わかる統計教室 第4回 ギモンを解決!一問一答 質問23

インデックスページへ戻る第4回 ギモンを解決!一問一答質問23 ロジスティック回帰の各種統計量の求め方前回は、ロジスティック回帰分析の具体的な事例についてご説明しました。今回は、ロジスティック回帰分析の各種統計量の計算方法について、ご説明いたします。■AIC(赤池情報量基準)ロジスティック回帰の関係式の算出方法は、判別スコアから尤度(尤もらしい度合い)を求めます。求めた尤度の対数(対数尤度)を求め、対数尤度の合計が最大となるように回帰係数を求めます(これを「最尤法」といいます)。"対数尤度の合計"を最大化した値をLLと表現します。LL=-2.168-2LLを「逸脱度」といいます。-2LL=4.336モデル選択基準「AIC」は次式によって求められます。AIC=-2LL+2×(説明変数個数+1)AIC=-2×(-2.168)+2×(2+1)=4.336+6=10.336AICの第1項はモデルの当てはまりの良さ、第2項は変数の増加に伴うペナルティーを表し、AICは小さいほど望ましいといえます。■寄与率表1をご覧ください。表1 寄与率算出の元データLL0=(a)+(b)-(c)=-6.1827「寄与率」=(-2LL0-(-2LL))/(-2LL0)-2LL0=12.365 -2LL=4.336=(12.365-4.336)÷12.365=8.029÷12.365=0.649寄与率が高いほど判別精度は良いといえます。■モデル適合情報「検定統計量」=-逸脱度-2kk=n1×log(n1)+n2×log(n2)-n×log(n)ただし、n1、n2、n は群1、群2、全体の個体数k=4×log(4)+5×log(5)-9×log(9) =4×1.386+5×1.609-9×2.197=5.544+8.045-19.773=-6.184検定統計量=-4.336-2×(-6.184)=-4.336+12.368=8.032自由度=説明変数個数=2検定統計量は自由度2のカイ2乗分布に従います。カイ2乗分布における、検定統計量の上側確率p値を求めます。Excel関数 =CHIDIST(8.032,2)→ Enterキー → 0.0180p=0.0180<0.05 より、モデルは観察データの判別に適合していると判断できます。■ピアソン残差表2について、目的変数1,0データと判別スコアの残差を算出します。表2 ピアソン残差のための事例データ計3.561を「ピアソン残差」といいます。自由度=n-説明変数個数-1=9-2-1=6検定統計量は自由度6のカイ2乗分布に従います。カイ2乗分布における、検定統計量の上側確率p値を求めます。Excel関数 = CHIDIST(3.561,6)→ Enterキー → 0.736p=0.736>0.05 より、モデルは観測データの判別に適合していると判断できます。※ピアソン残差の検定は「p>0.05」が有意なので注意してください。※逸脱度は、自由度(n-説明変数の個数-1)のカイ2乗分布に従います。この検定の判定は「p<0.05」が有意です。■Wald検定回帰係数の有意性を確認するために用いられる検定です。回帰係数を標準誤差で割ったものを2乗した値を「Wald-square」といいます。表3の事例で具体的に説明します。帰無仮説:回帰係数は0である。対立仮説:回帰係数は0でない。検定統計量:Wald-square=(回帰係数÷標準誤差 )2表3 Wald検定のためのデータ表検定統計量は、自由度1のカイ2乗分布に従います。p値 Excelの関数で求められます。= CHIDIST(検定統計量,1)喫煙本数、飲酒日数は、いずれも「p>0.05」より、帰無仮説を棄却できず、対立仮説を採択できません。喫煙本数、飲酒日数の回帰係数は、いずれも有意でなく、不整脈の有無の判別に寄与しているといえません。■オッズ比からの寄与順位の把握説明変数のデータ単位がすべて同じ場合は、オッズ比は寄与順位に適用できます。しかし、データ単位が異なる場合、オッズ比の単純比較はできません。Wald統計量は、先述の通り(回帰係数÷標準誤差)の2乗で検定統計量です。標準誤差で割ることによって基準化され、寄与順位に適用できます。■信頼区間:Confidence Interval(CI)CIについて上掲の表3の事例を利用して説明していきます。●回帰係数CI:95%下限値:b1=回帰係数-1.96×標準誤差上限値:b2=回帰係数+1.96×標準誤差●オッズ比:95%下限値=eb1上限値=eb299%CIは、定数1.96を2.58として計算します。同じく表3を例に喫煙本数のオッズ比95%CIを求めます。●回帰係数CI:95%下限値:b1=0.3079-1.96×0,3099=-0.2994上限値:b2=0.3079+1.96×0.3099=0.9152●オッズ比:95%下限値=e-0.2994=0.7413上限値=e0.9152=2.4973同様の計算で飲酒日数のオッズ比の95%CIを求めます。●オッズ比:95%下限値=0.7038上限値=2.4231次回は、カイ2乗分布による検定、カイ2乗検定についてご説明いたします。インデックスページへ戻る

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日本人と胃がん―ピロリ菌と気を付けるべき3つの習慣

 世界的に見れば、罹患率・死亡率共に減少傾向にあるとはいえ、依然、最も診断されているがんであり、死因としては第3位の胃がん。今月、都内で開かれたプレスセミナー(ブリストル・マイヤーズスクイブ株式会社主催)では、津金 昌一郎氏(国立がん研究センター 社会と健康研究センター長)が、ピロリ菌をはじめとする胃がんのリスク因子と予防について講演した。環境要因?日本で胃がんが多い地域、少ない地域 講演で津金氏が示した日本の統計データによると、全がん種で死亡した人は、2015年に37万人(男性22万人、女性15万人)で、このうち胃がんで死亡した人は4万6,000人(男性3万人、女性1.5万人)となっており、肺、大腸について第3位だった。また罹患率については、新たに診断されたのは、2013年時点のデータで、全がん種で推定86万例(男性50万例、女性36万例)。このうち胃がんと診断されたのは推定13万例(男性9万例、女性4万例)となっており、最も多かった。ただ、年次推移を見ると、罹患率の減少と生存率の向上により、死亡率は確実に減少傾向にある。 また、患者の分布を見ると、東北地方の日本海側地域に多く、九州・沖縄地域で少ない傾向があるという。津金氏は、「食生活を含めた生活習慣などの環境要因が、遺伝要因よりも影響が大きいのでは」と述べた。3つの習慣の見直しで胃がん予防を では、胃がんリスクとして挙げられるのは何か。日本人のエビデンスに基づいた研究によると、「確実」とみられているリスク要因は、ピロリ菌感染と喫煙であり、「ほぼ確実」なのは塩分、確実とまではいかないが可能性が示唆されているのは、野菜や果物の低摂取である。 このうちピロリ菌については、幼児期にピロリ菌を保有する大人から食べ物の口移しなどによる感染経路が知られており、本人以外の第三者の注意や心掛けがなければ防ぎようがない側面がある。一方で、喫煙や塩分や塩蔵食品(漬物や塩辛、干物など)の高摂取、野菜や果物の低摂取については、患者の自助努力において大いに改善の余地がある生活や食事の習慣である。とりわけ喫煙は、非喫煙者に比べ胃がんリスクが約1.6倍増加することも明らかになっており、禁煙を勧めることが何よりのがん防止になると津金氏は強調する。リスクは知るべきだが、ピロリ菌除菌は「成人以降で」 胃がんの確実なリスク因子であるピロリ菌感染の有無は、尿素呼気試験のほか、便や尿、血液の検査などで簡便にわかるようになった。日本では、2000年に「胃潰瘍、十二指腸潰瘍」に対し、ピロリ菌の感染診断および治療が保険適用となり、13年には「ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎」に対するピロリ菌除菌も保険適用となった。 胃がんのリスク分類は4つの分類(ABC分類)が知られている。これは、ピロリ菌感染の有無と、萎縮性胃炎の有無(血中のペプシノーゲン値で判別)の組み合わせによる分類で、ピロリ菌感染(-)/胃粘膜の萎縮なしは「A」、ピロリ菌感染(+)/胃粘膜の萎縮なしは「B」、ピロリ菌感染(+)/胃粘膜の萎縮進行は「C」、ピロリ菌感染(+)/胃粘膜の萎縮が高度に進行は「D」と評価される。 また、国立がん研究センターが作成した、今後10年の胃がん罹患リスクを予測する診断ツールも有用である。年齢、性別、喫煙習慣、食習慣、胃がんの家族歴、それにピロリ菌感染の有無を入力すれば、上記のABC分類のいずれに該当するかを即座に知ることができる。津金氏は、こうした手軽なツールも活用して、患者自身に胃がん予防に対する意識付けを促すことの必要性を述べる一方、リスクを低減させるピロリ菌除菌については、その有効性を認めつつ、「小児期に抗生剤を使うことが正しいのか不明な点も多い。検査や除菌、自治体や親に強制されるべきものではなく、成人になって自らの判断で行うべきと考える」と私見を述べた。

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わかる統計教室 第4回 ギモンを解決!一問一答 質問22

インデックスページへ戻る第4回 ギモンを解決!一問一答質問22 ロジスティック回帰分析の事例前回は、ロジスティック回帰分析の説明変数の選び方についてご説明しました。今回は、ロジスティック回帰分析の具体的な事例についてご説明いたします。■ロジスティック回帰分析の事例すでに確認されている「不整脈症状がある患者」のグループと、「ない患者」のグループでパソコン診断を行います。診断は、喫煙の有無、飲酒の有無、ギャンブル嗜好についてアンケートに回答してもらうものです。表1に20例の診断結果を示しました。表1のデータについて不整脈症状の有無と診断項目との関係を調べ、不整脈症状であるかどうかを判別するモデル式を作ります。このモデル式をパソコンにセットします。あとは来院した人がパソコンの質問に回答すると、その回答はモデル式にインプットされ、不整脈症状の有無が判定されます。この事例はモデル式の作り方、モデル式を使っての予測方法を示したものです。表1 事例のモデル式目的変数である不整脈症状の有無をカテゴリーデータ、説明変数である喫煙の有無、飲酒の有無、ギャンブル嗜好を1点、0点の数量データとして、ロジスティック回帰分析を適用します。■ロジスティック回帰分析の回帰係数はモデル式の係数ロジスティック回帰の回帰係数、調整済みオッズ比を表2に示します。表2 事例の回帰係数、調整済みオッズ比、Wald-square、p値回帰係数はモデル式の係数です。調整済みオッズ比は、説明変数の目的変数への影響度を調べる尺度です。値が大きいほど影響度が高い項目といえます。調整済みオッズ比から、不整脈症状の原因となる要因の1位は「喫煙の有無」で、次に「飲酒の有無」となります。「ギャンブル嗜好」は、不整脈症状にそれほど影響がないことがわかります。Wald-squareは検定統計量です。この値からp値が算出されます。p値は母集団において説明変数が有意であるかどうかを調べる値です。p<0.05である項目は、不整脈症状の有無の判別に有意であるといえます。喫煙の有無の調整済みオッズ比が14.1と大きいにもかかわらず、p>0.05です。これはサンプルサイズが20例と小さく、有意であるかどうか判断できないと解釈します。●留意点説明変数のデータ単位がすべて同じ場合、調整済みオッズ比は寄与順位に適用できます。データ単位が異なる場合、調整済みオッズ比の単純比較はできません。検定統計量Wald-squareの大小で比較できます。※検定統計量Wald-squareはこちら不整脈症状の有無の事例について、表3の分割表でリスク比、オッズ比を計算してみます。表3 分割表によるリスク比、オッズ比表4で調整済みオッズ比とオッズ比を比較します。両者の順位の違いがみられました。表4 事例のオッズ比の比較■変数相互の影響を除去した真の関係ギャンブル嗜好の順位をみると、ロジスティック回帰では3位、分割表では2位です。どちらの結果も事実ですが、統計学の世界では前者の順位を「真」、後者の順位を「偽」と考えます。後者が「偽」となる理由を考えてみます。表5は、項目間の相関係数を示したものです。表5 項目間の相関係数喫煙するからギャンブルが好きなのか、ギャンブルが好きだから喫煙するのか因果関係の方向はわかりませんが、両者には強い関係が見られます。また、ギャンブル嗜好と不整脈症状の相関が0.47と高いのは、ギャンブル嗜好が喫煙の有無の影響(相関0.68)を受けているからだと考えられます。このことから、ギャンブル嗜好と不整脈症状は見かけの相関(偽)と考えます。そのため、ギャンブル嗜好と不整脈症状との真の相関関係を調べることになります。真の相関関係とは喫煙の有無の影響を除去した関係のことです。そして、真の相関関係かどうかを解決してくれる解析手法が「ロジスティック回帰」です。ロジスティック回帰のギャンブル嗜好の調整済みオッズ比は、他要因(喫煙の有無)の影響を除去して算出され、順位は3位となりました。医学統計でよく用いられる多変量解析には、上記の2つに加えて、Cox比例ハザードモデルがあります。どのようなときにどの解析手法を用いるのかを誤ると、当然間違った解析結果がアウトプットされることになります。いずれの解析手法も、目的変数と説明変数のデータタイプ(数量データかカテゴリーデータ)の組み合わせです。表6のように、そこに時間的要素が入るかどうかで用いる解析手法は決まります。表6 解析方法の選択の考え方※Cox比例ハザードモデルについては、質問8 Cox比例ハザードモデルとは?をご参照ください。次回は、ロジスティック回帰の各種統計量の計算方法について、ご説明いたします。今回のポイント1)ロジスティック回帰分析の調整済みオッズ比は、説明変数の目的変数への影響度を調べる尺度、値が大きいほど影響度が高い項目といえる!2)ロジスティック回帰分析の調整済みオッズ比は、変数相互の影響を除去した真の関係を見いだすツール!インデックスページへ戻る

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「アメトーーク!」で“火がついた”IQOS人気、310万人が使用?/本邦疫学研究

 マスメディアは人々の行動に大きな影響を与える。非燃焼加熱式(Heat–Not-Burn、以下HNB)タバコ「IQOS」が人気娯楽番組「アメトーーク!」で取り上げられ、その人気に火がついたようである。大阪国際がんセンターの田淵 貴大氏らは、2つのデータソースを使用して、日本におけるIQOSを含むHNBタバコへの関心度、使用率、HNBタバコの2次的曝露による症状などについて研究した。Tobacco Control誌オンライン版2017年12月6日号に掲載。研究概要・Google Trendによる検索量(Ralative Serarch Volume)を使用して、HNBタバコ(IQOS、PloomTech、glo)に対する母集団の関心度を調査した。調査期間は2013年4月1日~2017年4月1日。・楽天リサーチパネル(15~69歳)8,240人のインターネット調査で、HNBタバコ使用率、HNBタバコ開始の予測因子、HNBタバコのエアロゾル暴露による症状を追跡調査した。ベースライン調査は2015年1~2月、追跡調査は1年後の2016年1~2月に、2年後の2017年1~2月に実施。「アメトーーク!」放映がきっかけとなりIQOSが急速に普及 2016年4月28日、人気の娯楽テレビ番組「アメトーーク!」でIQOSを取り上げた回が放映された。・IQOSのインターネット検索は、同番組放映週(2016年4月1~30日)において、急峻な上昇(スパイク状)を示し、最大値が記録された。その後は若干低下するものの、依然として高値を続けている。・「アメトーーク!」視聴者は、非視聴者に比べIQOSの使用率が高かった。2017年における使用率は、番組視聴者の10.3%に対し非視聴者は2.7%であった。・母集団におけるIQOSの使用率は、2015年1月~2月の0.3%、2016年1月~2月0.6%、番組放映後の2017年1月~2月には3.6%と、約10倍となった。IQOS国内使用者は310万人、禁煙意志のある喫煙者が使用する傾向・母集団の上記使用率から推計すると、17~71歳の本邦の人口8,600万人のうち、IQOS使用者は310万人となる。・ベースライン時に禁煙意志がある喫煙者は、禁煙意志のない喫煙者に比べ、IQOS使用率が高かった。2017年におけるIQOS使用率は、禁煙意志あり喫煙者18.8%に対し、禁煙意志なし喫煙者6.7%であった。 なお、HNBタバコと電子タバコを合わせた使用率は4.7%、HNBと電子タバコの併用者は3.4%であった。また、ほかのHNBタバコ(PloomTechとglo)の検索量は、IQOSに比べ低値であり、番組放映による変化もみられなかった。使用率については、いずれも増加しているものの、2017年のPloom Tech使用率は1.2%、gloは0.8%と、IQOSに比べかなり低い。HNBタバコのエアロゾル曝露による症状訴え37% 他者のHNBタバコのエアロゾルに2次的に曝露された経験については、以下のような結果であった。・曝露経験者は母集団の12%を占めた。・そのうち何らかの症状(のどの痛み、目の痛み、気分不快など)の体験者は37%であった。ただし、症状は重篤ではなかった。 HNBタバコ使用者への影響や、公衆衛生へのインパクトは十分にわかっていない。筆者らは、HNBタバコの急速な全国普及の可能性を示唆し、HNBタバコの監視を継続するとともに、規制方法を検討する必要がある、と述べている。

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“電子タバコで禁煙”にネガティブな結果?

 電子タバコ(e-cigarettes)は禁煙を促進するという研究結果がある一方、喫煙開始のきっかけになるリスクを懸念する意見もある。その評価を確認すべく米国では、若年の非喫煙者の電子タバコ使用と、それに続くタバコの喫煙開始との関連性評価を目的としたコホート研究が行われた。The American journal of medicine誌オンライン版2017年12月10日号に掲載。 試験概要・前向きコホート試験。ベースライン時(2013年3月)と追跡時(2014年10月)を比較。・対象:米国人の97%を代表する18~30歳の若年成人の非喫煙者のサンプリングフレームを使用・主要評価項目:電子タバコ使用者(ベースライン時)と非使用者の18ヵ月後の従来タバコ喫煙の開始頻度 主な結果・ベースラインの非喫煙者1,506人のうち915人(60.8%)で追跡を完了。・ベースライン時に電子タバコを使用した非喫煙者は2.5%(3,204万393人中8万10人)であった。・従来タバコの喫煙開始頻度は、電子タバコ使用者の47.7%に対し、非利用者では10.2%(p=0.001)であった。・ベースライン時の電子タバコ使用は、18ヵ月時の喫煙開始の独立した関連因子であった(調整オッズ比: 6.8、95%CI:1.7~28.3)。 本邦では、ニコチン含有の製品は認可されていないため状況は異なるが、筆者らは、この結果は、非喫煙者において電子タバコの使用を減少させる政策および教育的介入を支持するものだとしている。■参考全米たばこ調査による分析結果非燃焼・加熱式タバコや電子タバコに対する日本呼吸器学会の見解■関連記事“新型タバコ”でタバコの害なくせますか?新型タバコでニコチン依存解消せず

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日本人2型糖尿病のCHD発症、肉摂取量に関連

 健康成人における心血管疾患の主な原因として食肉の過剰摂取が研究されているが、アジア人の糖尿病患者における研究はわずかである。今回、The Japan Diabetes Complications Study(JDCS)グループが日本人2型糖尿病患者で調査したところ、食肉の高摂取が冠動脈疾患(CHD)発症率上昇に関連することがわかった。European journal of nutrition誌オンライン版2017年12月8日号に掲載。 本研究は、全国コホート研究の一環として、HbA1c 6.5%以上の40~70歳の日本人2型糖尿病患者における食肉摂取量と心血管疾患発症の関連を調査した。ベースラインでの食事調査の回答者は1,353人で、食品群に基づく食事摂取頻度調査票で評価した。主要アウトカムは、CHDおよび脳卒中を含む心血管疾患イベントの8年間のリスクであった。食肉摂取量について、年齢、性別、BMI、HbA1c、喫煙、エネルギー摂取量、その他の交絡因子で調整されたハザード比(HR)を、Cox回帰分析を用いて推定した。 主な結果は以下のとおり。・平均食肉摂取量の四分位範囲は、9.9~97.7g/日であった。・交絡因子の調整後、第2、第3、第4四分位のCHDのHRは、第1四分位と比較して、それぞれ2.84(95%信頼区間:1.29~6.24、p=0.01)、3.02(同:1.36~6.70、p<0.01)、2.99(同:1.35~6.65、p=0.01)であった。・食肉摂取量に応じた2群において、20g/日以上の食肉を摂取する患者は、20g/日未満の患者よりもCHDリスクが2.94倍高かった(p<0.01)。・脳卒中と食肉摂取との関連は認められなかった。

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学歴はアルツハイマー病リスクと関連/BMJ

 従来の観察研究では、教育歴はアルツハイマー病のリスクと関連することが示されている。スウェーデン・カロリンスカ研究所のSusanna C Larsson氏らは、今回、修正可能なリスク因子の代替指標として遺伝学的変量を用いたメンデル無作為化試験を行い、学歴が高いとアルツハイマー病のリスクが低いことを明らかにした。研究の成果はBMJ誌2017年12月6日号に掲載された。アルツハイマー病との関連が示唆される修正可能なリスク因子のデータは、主に観察研究によるものであるため、交絡への脆弱性や逆因果バイアスの可能性があり、より頑健なエビデンスが求められている。アルツハイマー病とリスク因子の関連を検証する無作為化試験 研究グループは、社会経済的、生活習慣/食事、循環代謝、炎症に関する修正可能なリスク因子と、アルツハイマー病の関連を検証するメンデル無作為化試験を行った(欧州連合のホライズン2020などの助成による)。 解析には、4つのゲノムワイド関連研究のデータセット(ADGC、CHARGE、EADI、GERAD)から収集した欧州人家系のアルツハイマー病患者1万7,008例と対照3万7,154例からなるデータと24の修正可能なリスク因子が含まれた。Bonferroni法による閾値p=0.002を「有意差あり」とし、p<0.05の場合は「関連の可能性を示唆するエビデンス」と判定した。学歴が高いとアルツハイマー病のリスクが低減 学歴(終了した教育の期間、大学卒業)はアルツハイマー病と有意に関連することが、遺伝学的に予測された。教育年数のオッズ比(OR)は0.89(95%信頼区間[CI]:0.84~0.93、p=2.4×10-6)、大学卒業(college/university)のORは0.74(95%CI:0.63~0.86、p=8.0×10-5)であり、それぞれアルツハイマー病のリスクが11%、26%低減した。 知性(intelligence)が1標準偏差(SD)高い場合のORは0.73(95%CI:0.57~0.93、p=0.01)であり、知性が高いとアルツハイマー病のリスクが低い可能性を示唆するエビデンスが得られた。 また、喫煙量(1日喫煙本数10本増のOR:0.69、95%CI:0.49~0.99、p=0.04)および25-ヒドロキシビタミンD濃度(血中濃度20%高のOR:0.92、95%CI:0.85~0.98、p=0.01)はアルツハイマー病のリスクが低い可能性が示唆され、コーヒー飲用(1日1杯増のOR:1.26、95%CI:1.05~1.51、p=0.01)はアルツハイマー病のリスクが高い可能性が示唆されるエビデンスが得られた。 アルコール摂取、血清葉酸、血清ビタミンB12、ホモシステイン、循環代謝因子(血糖、インスリン、血圧、脂質など)、C反応性蛋白には、アルツハイマー病との関連は認められなかった。 著者は、「これらのメンデル無作為化による解析結果は、高い学歴はアルツハイマー病のリスクが低いことと関連するとの従来のエビデンスを支持するものである。喫煙とコーヒーは従来の解析とは逆の結果であった」とし、「これらの関連の基盤となる経路を理解するために、さらなる検討を要する」と指摘している。

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下腿潰瘍に低用量アスピリンは無益/BMJ

 静脈性下腿潰瘍に対し、補助療法として経口低用量(150mg/日以下)のアスピリン投与は支持されないとの報告が、ニュージーランド・オークランド大学のAndrew Jull氏らによる、プラグマティックに実施された無作為化二重盲検プラセボ試験「Aspirin4VLU」の結果で示された。これまで、小規模だが2つの試験(計71例が参加)で、圧迫療法の補助療法として300mg/日の経口アスピリン投与が治癒率を増大したことが認められていた。BMJ誌2017年11月24日号掲載の報告。251例を対象に無作為化二重盲検プラセボ対照試験 試験は、ニュージーランドの5ヵ所の地域看護センターで、アスピリンまたはプラセボを安全に投与できるとされた静脈性下腿潰瘍の患者251例を登録して行われた。 125例をアスピリン(150mg/日の経口アスピリン投与)群に、126例を適合プラセボ群に無作為に割り付け、24週間治療を行った。全例、標準治療として圧迫療法が行われた。 主要アウトカムは、下腿潰瘍の完全治癒までの期間であった(潰瘍が複数の場合は最大の潰瘍を参照)。副次アウトカムは、治癒した患者の割合、潰瘍面積の変化、治癒に関連したQOLの変化、および有害事象などであった。解析は、intention to treatにて行った。 両群のベースラインの特性は、平均年齢(アスピリン群60.1歳、プラセボ群56.2歳)、初発患者の割合(43%、36%)以外については釣り合いが取れていた。女性は48%、46%、現在喫煙者は13%、15%、病歴は関節炎13%、15%、糖尿病はともに10%であった。治癒までの期間短縮せず、完全治癒患者の割合も少なく、有害事象が多い結果に 参照した潰瘍の治癒までの期間中央値は、アスピリン群77日、プラセボ群69日で、治癒はプラセボ群のほうが良好であった(ハザード比:0.85、95%信頼区間[CI]:0.64~1.13、p=0.25)。完全治癒した患者数も、アスピリン群88例(70%)、プラセボ群101例(80%)で、プラセボ群で有意に多かった(リスク差:-9.8%、95%CI:-20.4~0.9、p=0.07)。 潰瘍面積の推定変化値は、アスピリン群4.1cm2、プラセボ群4.8cm2であった(平均差:-0.7cm2、95%CI:-1.9~0.5、p=0.25)。 有害事象は、アスピリン群29例で40件発生し、プラセボ群27例で37件の発生であった(発生率比:1.1、95%CI:0.7~1.7、p=0.71)。

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わかる統計教室 第4回 ギモンを解決!一問一答 質問21

インデックスページへ戻る第4回 ギモンを解決!一問一答質問21 ロジスティック回帰分析の説明変数の選び方は?前回は、ロジスティック回帰分析のオッズ比についてご説明しました。今回は、ロジスティック回帰分析の説明変数の選び方についてご説明いたします。ロジスティック回帰分析の説明変数は、何でもよいということでありません。説明変数の選び方にはルールがあります。そのルールについて説明します。■選択肢が3つ以上のカテゴリーデータの項目は適用できない説明変数に適用できるデータは数量データです。表1に示します喫煙本数、飲酒日数、性別、血液型から息切れ症状の有無を予測したいと思います。表1のデータが、ロジスティック回帰分析に適用できるかどうかを考えてみてくだい。表1 特定の症状予測に生活習慣をデータ化する性別、血液型はカテゴリーデータなので、ロジスティック回帰分析には適用できません。ただし、カテゴリー数が2つの項目ならば適用できます。たとえば、性別を「男性→1、女性→0」(または「女性→1、男性→0」)として、数量データに変換すれば扱えます。血液型は4カテゴリーなので適用できません。●留意点血液型にはA型、O型、B型、AB型がありますが、これらを説明変数にどうしても適用したい場合、1つを除けば適用できるというルールがあります。たとえばB型を除いた場合、下表のように設定します。A型:Yes→1 No→0 O型:Yes→1 No→0 AB型:Yes→1 No→0血液型を説明変数に変える裏技■データがすべて同じ値の説明変数は、ロジスティック回帰分析に適用できないアンケート調査で、段階評価(1.良い 2.どちらともいえない 3.悪い)を用いた場合などで、回答者全員が「2.どちらともいえない」に回答する、といったことがあります。この場合、この変数のデータはすべて「2」となり、この変数はロジスティック回帰分析には使えません。データがすべて同じだと、標準偏差が0になってしまうからです。ロジスティック回帰分析を行う前に標準偏差を計算してチェックしてください。■説明変数の個数は「個体数-1」より少なくなければならない説明変数の数をq、個体数をnとしたとき、ロジスティック回帰分析では、次の式を満足させなくてはなりません。q<n-1息切れ症状の有無のデータの場合、n-1は9-1=8です。q=2なので、q<n-1が成立し、ロジスティック回帰分析が適用できました。この例においてはnが3以下だとロジスティック回帰分析は行えません。■数値以外のデータがある個体は分析から除外されるブランク、記号、文字などの数値以外のデータがある個体は、分析からは除外されます。表2のデータの個体数は9例ですが、数値以外のデータがある個体は4例存在するので、解析に適用できる個体は右側の表の5例となります。表2 解析に適用できるデータを抽出次回は、ロジスティック回帰分析の具体的な事例についてご説明いたします。今回のポイント1)ロジスティック回帰分析の説明変数には、選択肢が3つ以上のカテゴリーデータの項目は適用できない!2)データがすべて同じ値の説明変数は、ロジスティック回帰分析に適用できない!3)説明変数の個数は「個体数-1」より少なくなければならない!4)数値以外のデータがある個体は分析から除外される!インデックスページへ戻る

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“新型タバコ”でタバコの害なくせますか?

 世界保健機構(WHO)によれば、世界では年間700万人がタバコ類の使用により命を落としている。また、禁煙の早期実施により肺がんの発生が少なくなることも明らかになり、タバコを巡る規制は世界的に強まっている。そのような中、電子タバコや非燃焼加熱式タバコ(Heat–Not-Burn、以下HNB)といった“新型タバコ”の市場が拡大している。世界における新型タバコの状況 横浜で行われた世界肺癌学会(WCLC)では、米国・Human Rights and Tobacco Control NetworkのCarolyn M Dresler氏が「Current Status of Smoking Cessation」と題し、新型タバコを取り巻く世界の状況を紹介した。 電子タバコは、ニコチンを含むENDS(Electronic Nicotine Delivery Systems)とニコチンを含まないENNDS(Electronic Non-Nicotine Delivery Systems)に分かれる。電子タバコの規制については、国際的にもいまだに統一されていない。オーストラリア、シンガポール、カナダでは禁止されている一方、英国では従来型タバコからの切り替えを目的として使用を推奨している。日本では、ニコチンを含まないものに限り認められている。 HNBはその名の通り、タバコ葉を燃焼温度以下に加熱し(あるいは加熱発生させたエアロゾルをニコチン粉末に通過させて)、ニコチンを含むエアロゾルを肺内に送達するもの。フィリップ モリス インターナショナル(PMI)、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)、JT(日本たばこ)インターナショナル(JTI)など世界の大手タバコ企業が競って、製品の開発と普及に力を注ぐ。PMIのアイコス、BATのiFuse(本邦ではグロー)、JTIのプルーム・テックがあり、いずれの製品も非常に好調な販売状況である。本邦においてもその好調ぶりは同様で、アイコスは2015年11月のオンライン上での発売開始から、2017年5月現在、市場シェアの8.8%を占めるまでに拡大しているという。PMIのCEO:Andre Calantzopoulos氏はNikkei Asian Reviewで「販売数から推定すると、論理的には5年間で転換点に達する。そこが、現状の燃焼系タバコの段階的廃止を政府と話し合う時期になるだろう」と述べている。 新型タバコの健康への影響はどうか。これについては、「議論の余地が残るところであり、さまざまなシステマティックレビューが発表されている」とDresler氏は述べた。同氏が紹介した米国国立がん研究所(NCI)による電子タバコ使用者の尿中の分析では、PHA、NNK、アクロレインといった有害物質は従来のタバコに比べ著明に減少している。しかし、ニコチンについては従来型タバコと差異がなかった。HNBについては、製造企業であるPMIによるアイコス使用5日および90日の有害物質の曝露結果が紹介された。その研究では、カーボンモノオキサイド、アクロレイン、ベンゼンなどの有害物質は禁煙者と同等の減少を示すという結果を公表している。 また、ニコチンを含む新型タバコが、喫煙者の喫煙行動に影響を与えるのか。この問題も議論の余地が残るところであるが、Dresler氏が紹介した2014~15年の全米タバコ調査(Current Population Survey-Tobacco Use Supplement:CPS-TUS)における、電子タバコ使用者と禁煙者の比較分析では、電子タバコ使用者と非使用者の3ヵ月時点での禁煙成功率は、電子タバコ使用者では8.2%、非使用者では4.8%と、電子タバコ使用者のほうが高い結果を示した。新型タバコの普及を憂慮する意見も多数 このような新型タバコの役割に期待する考えと共に、憂慮する意見も数多くある。日本呼吸器学会は新型タバコの国民の健康に対する影響や社会的影響について、「非燃焼・加熱式タバコや電子タバコに関する日本呼吸器学会の見解」を公式ホームページに掲載した。その内容は以下のとおり。 従来のタバコの代替品として新型タバコを推奨する考え方があるが、新型タバコの使用と病気や死亡リスクとの関連性については現時点では明らかでなく、科学的証拠が得られるまでには、かなりの時間を要し、「現時点では推測にすぎない」。新型タバコは、煙が出ない、あるいは煙が見えにくいとされているが、特殊なレーザー光を照射すると大量の“見えにくいエアロゾル”を呼出している。この呼出煙中には燃焼タバコと同レベルのニコチンや数倍の有害物質が含まれているとの報告があり、「新型タバコの使用は健康に悪影響がもたらされる可能性がある」としている。また、新型タバコの受動喫煙については、健康リスクの科学的証拠を得るには時間がかかるが、「使用者の呼出したエアロゾルが周囲に拡散するため受動喫煙による健康被害が生じる可能性がある」。「従来の燃焼式タバコと同様に、公共の場所、公共交通機関での使用は認められない」との見解を示した。 日本対がん協会の望月友美子氏も、新型タバコの広がりに懸念を示す。同じく世界肺癌学会(WCLC)のプレスセミナーにて以下のように述べた。 日本では近年、HNB製品が急速に広がりを示している。日本には多くの禁煙クリニックがあるが、アクセスが限定されており費用も高い。新型タバコ使用者は、禁煙クリニックに行く代わりに、コンビニエンスストアで簡単に手に入るHNB製品を購入することができる。これが禁煙活動の拡大を妨げてしまう可能性が懸念されるという。望月氏はまた、新型タバコの公共喫煙規制に対する問題点にも触れた。本邦で検討している受動喫煙防止法の議論の中に、新型タバコは含まれていない。東京都で定めた18歳未満の子どもの受動喫煙防止を求める「子どもを受動喫煙から守る条例」では、HNBも規制対象にしているが、全国で一定の基準はなく、地域により対応はさまざまである。この点についても、「後戻りができなくなる前に、新型タバコの取り扱いに対する厳格な規定を作る必要がある」と望月氏は述べた。■参考米国国立がん研究所(NCI)による電子たばこの研究フィリップ モリス インターナショナル社の研究全米たばこ調査による分析結果PMI CEO Andre Calantzopoulos氏インタビュー(Nikkei Asian Preview)非燃焼・加熱式タバコや電子タバコに対する日本呼吸器学会の見解日本呼吸器学会の見解中に引用されているWHOの報告書東京都子どもを受動喫煙から守る条例

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加齢黄斑変性の5年発症リスク、出生世代ごとに減少

 米国・ウィスコンシン大学マディソン校のKaren J. Cruickshanks氏らは、ビーバーダム眼研究およびビーバーダム子孫研究のデータを解析し、加齢黄斑変性(AMD)の5年発症リスクは20世紀の出生世代ごとに減少してきていることを明らかにした。著者は、「このリスク低下を説明する因子は不明である」としたうえで、「しかしながらこのパターンは、心血管疾患および認知症のリスク低下の報告と一致しており、高齢となったベビーブーム世代(1946~64年生まれ)は前の世代に比べ、高齢でも網膜が健康である可能性を示唆している」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2017年11月16日号掲載の報告。 研究グループは、AMDの5年発症リスクが世代により低下しているかを明らかにし、リスク改善に寄与する因子を特定する目的で、ビーバーダム眼研究(1988年3月1日~1990年9月15日、1993年3月1日~1995年6月15日)およびビーバーダム子孫研究(2005年6月8日~2008年8月4日、2010年7月12日~2013年3月21日)のデータを解析した。これらは地域住民を対象とした研究で、ウィスコンシン州ビーバーダム市の43~84歳(1987~88年当時)の住民、およびその子孫で2005~08年時に21~84歳の住民が登録された。 解析対象は、登録時の眼底写真でAMDを発症するリスクが認められた4,819例(ベースライン時の平均年齢[±SD]54[±11]歳、男性2,117例[43.9%]、女性2,702例[56.1%])。2016年2月18日~2017年6月22日にデータを解析し、2017年9月22日に追加の解析を終えた。 Wisconsin Age-related Maculopathy Grading Systemを用い、眼底写真からAMDを分類。主要評価項目は5年追跡時におけるAMDの発症で、発症は萎縮型または滲出型黄斑変性、色素上皮異常を伴うドルーゼン、または色素上皮異常を伴わない軟性ドルーゼンの存在と定義した。 主な結果は以下のとおり。・年齢および性別で調整したAMDの5年発症率は、「最も偉大な世代」(1901~24年生まれ)が8.8%、「沈黙の世代」(1925~45年生まれ)が3.0%、「ベビーブーム世代」(1946~64年生まれ)1.0%、「ジェネレーションX」(1965~84年生まれ)0.3%であり、各世代は前の世代よりAMD発症が60%超減少した(相対リスク:0.34、95%信頼区間[CI]:0.24~0.46)。・AMD発症リスク低下と世代との関連は、年齢、性別、喫煙、教育、運動、non-HDL コレステロール濃度および高感度CRP値、ならびに非ステロイド性抗炎症薬・スタチン・マルチビタミンの使用について調整後も有意なままであった(相対リスク:0.40、95%CI:0.28~0.57)。

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