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NSCLC2次治療のS-1、ドセタキセルに非劣性:肺癌学会

 第57回日本肺癌学会のプレナリーセッションにて、プラチナ既治療非小細胞肺がん(以下、NSCLC)に対するS-1とドセタキセルの第III相無作為化比較試験EAST-LC(East Asia S1 Trial Lung Cancer)の主要な結果について、日本人のサブ解析を交え仙台厚生病院の菅原俊一氏が発表した。 ドセタキセルは、進行NSCLCの2次治療以降の標準化学療法の1つと位置付けられている。一方、S-1は既治療のNSCLCに対する有効性・安全性が報告されている。当試験は、進行NSCLCの既治療患者における、S-1 のドセタキセルに対する非劣性を検討する試験であり、日本の7施設および中国、台湾、香港、シンガポールの東アジア5ヵ国で行われた。 主要評価項目は全生存期間(OS)、副次的評価項目は無増悪生存期間(PFS )など。ドセタキセルは60mg/m2(海外では承認用量75mg/m2)を3週ごと、S-1は80~120mg/日を6週ごとに(4週投与、2週休薬)投与された。 両群で期待される生存期間中央値を12ヵ月、非劣性マージンのハザード比を1.2とした。対象は、ステージIIIBおよびIVの成人NSCLC。前治療歴が2レジメン以内で、少なくとも1つのプラチナベースの治療が行われている症例(EDFR- TKIを用いた場合は3レジメンまで許容)。1,154例が登録され、無作為にドセタキセル、S-1に1対1(ともに577例)に割り付けられた。 結果、OS中央値はドセタキセル群12.52ヵ月、S-1群12.75ヵ月であり、S-1の非劣性基準1.2を満たした(HR:0.945、95%CI:8.33~1.073)。日本人集団では、ドセタキセル群12.63ヵ月、S-1群13.37ヵ月(HR:0.922、95%CI:0.789~1.079)と同様の結果であった。また、QOLについては、全体集団および日本人集団ともにS-1 群で有意に良好であった。 有害事象は、血液毒性についてはドセタキセル群で白血球減少、好中球減少、発熱性好中球減少症など、S-1群で血小板減少が多く認められた。非血液毒性については、ドセタキセル群で四肢浮腫、末梢性ニューロパチー、脱毛が高頻度に認められ、S-1群では口腔粘膜炎、嘔吐、食欲不振、下痢などの消化器症状が多く認められた。これらは全体集団、日本人集団とも同様の傾向であった。

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新たな時代を迎えた「がん免疫療法」

 「免疫チェックポイント阻害薬」の登場以降、がん治療における免疫療法には大きな関心が集まっている。 長年、がん免疫療法分野の研究に携わってきた慶應義塾大学医学部 先端医療科学研究所 教授の河上 裕氏は、医療課題から複合免疫療法まで免疫療法を取り巻く概況について講演した。 当月開催のプレスセミナー「免疫チェックポイント阻害薬の基礎と今後の展望」(主催:アストラゼネカ株式会社 2016年12月13日都内開催)より内容を抜粋して紹介する。求められる、使い方の工夫 免疫チェックポイント阻害薬(以下、免疫CP阻害薬)の登場以降、「がん免疫療法」には注目が集まっている。 ヒトの体には免疫機構が備わっているが、遺伝子異常を持つがん細胞には免疫防御をくぐり抜ける「がん免疫逃避機構」がある。この抗腫瘍免疫にブレーキをかける経路が、免疫チェックポイントと呼ばれるCTLA4経路や PD-1/PD-L1経路である。そして、このブレーキを解除するのが、免疫CP阻害薬である。 治療奏効率の高さで注目を集める免疫CP阻害薬だが、医療経済的課題から議論は続いている。河上氏は「使い方の工夫が必要」と述べる。使用時期、使用症例の選択は? 使い方で問題となるのが「使用時期」だ。河上氏は、「悪性黒色腫や肺がんは未治療例への奏効率が高く、最初に使うことで治療成績が上がる可能性がある」という。しかし、無駄な治療は前述の医療経済的課題につながる。 そこで「使用症例」の選択が重要となる。臨床で唯一使用されているバイオマーカーは「PD-L1」のみだが、今後臨床応用が期待されているバイオマーカーには以下がある。・CD8+T細胞の腫瘍湿潤度・DNA突然変異数、DNA修復関連遺伝子の不良(MMR、POLE、BRCA1/2など)・腫瘍組織の遺伝子発現解析(IFN signature,CTL signature)・治療後のTCRレパートリー解析 これらマーカーのさらなる開発、精度向上が期待されている。 このほか、効きが悪いがん種も明らかになりつつある。「膵がん」「大腸がん」「多発性骨髄腫」「前立腺がん」などは効きが悪い可能性が高い。そこで「効きが悪い症例をどこまで効く状態に変えられるか?」というアプローチにも注目が集まっている。それが「複合免疫療法」である。複合免疫療法で、効きが悪い症例を効く状態に 現在、「複合免疫療法」を検討した臨床試験は複数進行中だ。同じ免疫制御系の組み合わせとして注目されるのが、「抗PD-1 抗体+抗CTLA4抗体」の併用。2剤の併用は単剤治療に比べ奏効率を増加させたと報告されており、補完的作用が期待される。 そのほか、化学療法剤や分子標的治療薬と免疫CP阻害薬とを組み合わせた複合免疫療法の検討も進行中だ。抗腫瘍免疫ネットワークを総合的に制御する「複合免疫療法」の開発に期待がかかる。新しい時代を迎えたがん免疫療法 がん免疫療法はすでに標準がん治療の仲間入りをした。今後、新技術の開発によりがん免疫病態の解明も進むだろう。しかし、米国で1,000以上の臨床試験が進行している一方、日本での臨床試験実施数はまだまだ不足している。 河上氏は「今後は日本でも産学官連携がいっそう重要となる。日本で実施する臨床試験により、免疫病態の解析が進むことを期待したい。」と述べ、講演を締めくくった。

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ニボルマブ、小細胞肺がんに単独およびイピリムマブ併用で有望な効果:CheckMate-032

 ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は12月7日、治療歴を有する小細胞肺がん(SCLC)患者を対象に、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)単剤療法およびニボルマブとイピリムマブ(商品名:ヤーボイ)の併用療法を評価した第I/II相非盲検 CheckMate-032試験におけるコホートの最新結果を発表した。 追加の追跡調査において、確定奏効率(主要評価項目)は、ニボルマブ・イピリムマブ併用群で25%(95%CI:15~37)、ニボルマブ単剤群で11%(95%CI:6~19)であった。奏効は、プラチナ製剤感受性および治療歴にかかわらず認められた。併用群では、患者3例が完全奏効を達成した。推定2年生存率は、ニボルマブ・イピリムマブ併用群で30%、ニボルマブ単剤群では17%であった。この解析において、新たな安全性シグナルは認められなかった。Grade3/4の治療に関連する投与中止率は、ニボルマブ・イピリムマブ併用群で10%、ニボルマブ単剤群で4%であった。これらの結果は、ウィーンで開催された第17回世界肺癌学会議で発表された。  CheckMate-032試験は、進行期または転移性固形がんを対象に、ニボルマブ単剤療法またはニボルマブとイピリムマブの併用療法の安全性と有効性を異なる用量および投与スケジュールで評価した進行中の第I/II相非盲検臨床試験。本試験では、PD-L1発現および非発現患者の両方を組み入れた。主要評価項目は、RECIST 1.1基準に基づく治験担当医師の判定による確定奏効率(ORR)。副次的評価項目は、安全性、全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)および奏効期間(DOR)であった。 CheckMate-032試験の小細胞肺がん(SCLC)コホートには、プラチナ製剤による化学療法の1次治療を含め、1種類以上の治療歴を有する進行性の患者217例が組み入れられた。この解析において、患者はニボルマブ3mg/kgを2週間ごとに、またはニボルマブ1mg/kg+イピリムマブ3mg/kgを3週間ごとに4サイクル静脈内投与され、その後ニボルマブ3mg/kgが2週間ごとに投与された。すべての患者は、病勢進行または忍容できない毒性が認められるまで投与を継続した。ニボルマブ・イピリムマブ併用群では中央値21ヵ月、ニボルマブ単剤群で15.7ヵ月追跡調査された。ベースライン時に患者の73%がPD-L1 発現について評価可能であり、そのうち17%において、PD-L1発現レベルが1%以上であった。生存率および奏効率に関して報告されたデータに加え、ニボルマブ・イピリムマブ併用群21例、 ニボルマブ単剤群11例において、確定部分奏効で有効性が認められた。確定された病勢安定は、両群で同様であった(併用療法群25例、単剤療法群24例)。DORの中央値は、併用療法群で11.7ヵ月(95%信頼区間:4.0、NR)、単剤療法群では未達であった。併用療法群と単剤療法群では、それぞれ33%(15 例中5例)と27%(11例中3例)で、投与開始から18 ヵ月以上奏効が継続していた。 単剤療法群および併用療法群において、患者の10%以上で報告されたGrade3/4 の治療関連有害事象(AE)は、それぞれ疲労(1% vs.0%)、そう痒症(0% vs.2%)、下痢 (0% vs.5%)、悪心(0% vs.2%)、発疹(0% vs.5%)、甲状腺機能低下症(0% vs.2%)、斑状丘疹状皮疹(0% vs.3%)およびリパーゼ上昇(0% vs.8%)であった。Grade3/4の治療関連AEによる投与中止は、ニボルマブ単剤療法群の4%、併用療法群の10%で発生した。治療関連の新たな死亡は認められなかった。ブリストル・マイヤーズ(米国)プレスリリースはこちら

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抗PD-L1抗体atezolizumab、非小細胞肺がんのOSを延長/Lancet

 扁平上皮・非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)に対し、免疫チェックポイント阻害薬の抗PD-L1抗体atezolizumabは、PD-L1蛋白質の発現状況にかかわらず、ドセタキセルに比べ全生存期間を有意に延長することが示された。安全性プロファイルも良好だった。ドイツLungenfachklinik Immenhausen病院のAchim Rittmeyer氏らが行った、第III相国際多施設共同無作為化非盲検試験「OAK」の結果で、Lancet誌オンライン版2016年12月12日号で発表した。OAKは、PD-L1をターゲットとした治療の初となる第III相無作為化試験だという。プラチナ製剤ベース化学療法実施後のStageIIIB・IVのNSCLCを対象に試験  研究グループは2014年3月11日~2015年4月29日にかけて、31ヵ国、194の大学または地域のがん治療センターを通じ、扁平上皮・非扁平上皮NSCLCの18歳以上の患者で、固形がんの治療効果判定のためのガイドラインにより測定可能で、米国東海岸がん臨床試験グループ(ECOG)による全身状態の評価尺度が0~1の1,225例を対象に試験を行った。被験者は、プラチナ製剤ベースの化学療法を1~2回受けており、StageIIIBまたはIVのNSCLCだった。自己免疫性疾患やドセタキセル、CD137作動薬、抗CTLA4、PD-L1・PD-1パスウェイを標的とした治療をすでに受けていた人については、被験者から除外した。 同グループは被験者を無作為に2群に分け、atezolizumab 1,200mgまたはドセタキセル75mg/m2を3週ごとに静脈投与した。 主要評価項目は2つで、intent-to-treat解析による全生存期間と、PD-L1発現で分類したサブグループ(TC1/2/3またはIC1/2/3)の全生存期間だった。主要有効性解析は、1,225例中、最初の850例(atezolizumab群、ドセタキセル群ともに425例)を対象に行った。生存期間中央値、atezolizumab群で約4ヵ月延長 その結果、ITTおよびサブグループによる解析ともに、全生存期間(OS)はatezolizumab群でドセタキセル群に比べ有意に延長した。ITT解析では、atezolizumab群のOS中央値は13.8ヵ月(95%信頼区間[CI]:11.8~15.7)に対し、ドセタキセル群は9.6ヵ月(8.6~11.2)だった(ハザード比[HR]:0.73、95%CI:0.62~0.87、p=0.0003)。 PD-L1発現が1%以上の腫瘍細胞または腫瘍浸潤免疫細胞に認められたサブグループ(TC1/2/3またはIC1/2/3)でもOS中央値は、atezolizumab群(241例)15.7ヵ月(95%CI:12.6~18.0)、ドセタキセル群(222例)10.3ヵ月(8.8~12.0)と有意差が認められた(HR:0.74、95%CI:0.58~0.93、p=0.0102)。また、PD-L1発現が1%未満のサブグループ(TC0またはIC0)でも、OS中央値はそれぞれ12.6ヵ月、8.9ヵ月と、atezolizumab群で有意に延長した(HR:0.75、95%CI:0.59~0.96)。 生存期間の延長効果については、扁平上皮または非扁平上皮のNSCLCで同等だった。 なお、Grade3または4の治療に関連した有害事象の発生率は、ドセタキセル群43%に対してatezolizumab群は15%と少なかった。

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トラスツズマブとバイオシミラー、ERBB2陽性乳がん奏効率は同等/JAMA

 トラスツズマブのバイオシミラー(バイオ後続品)は、タキサン系薬剤の投与を受けているERBB2(HER2)陽性の転移性乳がん女性において、トラスツズマブと同等の奏効率をもたらすことが、米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のHope S Rugo氏らが行ったHeritage Studyで示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2016年12月1日号に掲載された。モノクローナル抗体などのバイオ医薬品は、多くのがんの治療選択肢であり、アウトカムを大きく改善するが、これらの薬剤への近接性が十分でない国も多いという。いくつかのバイオ医薬品の特許期間の満期がさし迫り、世界中の製薬企業や保健機関にとって、バイオシミラーの開発は高品質の代替薬へのアクセスを高めるものとして、優先度が高くなっている。バイオ後続品の同等性を検証する無作為化試験 Heritage Studyは、ERBB2陽性の転移性乳がん患者におけるトラスツズマブのバイオシミラー(MYL-1401O)の安全性と有効性を評価する国際的な二重盲検無作為化並行群間比較試験(Mylan社の助成による)。 対象は、化学療法薬およびトラスツズマブによる前治療歴のないERBB2陽性の測定可能病変を有する女性または男性の転移性乳がん患者であった。全身状態(ECOG PS)は0~2、左室駆出率(LVEF)は各施設の正常範囲とし、術後トラスツズマブ施行例は1年以上が経過していれば可、脳転移例は放射線照射などで病態が安定した場合は可とし、ホルモン薬は試験開始前に中止することとした。 被験者は、バイオシミラー+タキサン系薬剤またはトラスツズマブ+タキサン系薬剤を投与する群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。バイオシミラーとトラスツズマブは3週ごとに静脈内投与し、初回は8mg/kgを90分で、2回目以降は6mg/kgを30分で投与した。タキサン系薬剤(ドセタキセル、パクリタキセル)の選択は、担当医の裁量とした。治療は、許容できない毒性の発現や病勢が進行するまで、8サイクル(24週)以上施行することとした。 主要評価項目は、24週時の客観的奏効率(ORR:完全奏効[CR]+部分奏効[PR])であり、バイオシミラーのトラスツズマブに対するORR比の90%信頼区間(CI)が0.81~1.24の範囲内、またはORR差の95%CIが-15~15%以内の場合に、両群の腫瘍縮小効果は同等と判定した。 2012年12月~2015年8月に、ブルガリア、チリ、チェコ、ジョージア、ハンガリー、インド、ラトビア、フィリピン、ポーランド、ルーマニア、ロシア、セルビア、スロバキア、南アフリカ、タイ、ウクライナの95施設に500例が登録され、458例(バイオシミラー群:230例、トラスツズマブ群:228例)が有効性解析の対象となった(ITT集団)。安全性は493例(247例、246例)で検討された。TTP、PFS、OSに有意差なし、有害事象プロファイルも類似 全体の平均年齢は53.6歳(SD 11.11)、白人(バイオシミラー群:69.1%、トラスツズマブ群:67.5%)が多くを占め、次いでアジア人(30.4%、31.6%)が多かった。登録例はすべて女性だった。 ORRは、バイオシミラー群が69.6%(95%CI:63.62~75.51)、トラスツズマブ群は64.0%(95%CI:57.81~70.26)であった。CRがバイオシミラー群の3例(1.3%)で得られた。ORR比は1.09(90%CI:0.974~1.211)、ORR差は5.53(95%CI:-3.08~14.04)であり、いずれも事前に規定された同等性限界内であった。 48週時の無増悪率(TTP、バイオシミラー群:41.3% vs.トラスツズマブ群:43.0%、群間差:-1.7%、95%CI:-11.1~6.9、p=0.68)、無増悪生存率(PFS、44.3 vs.44.7%、-0.4%、-9.4~8.7、p=0.84)、全生存率(OS、89.1 vs.85.1%、4.0%、-2.1~10.3、p=0.31)は、いずれも両群間に有意な差を認めなかった。 24週時の1つ以上の治療関連有害事象の発現率は、バイオシミラー群が96.8%(239/247例)、トラスツズマブ群は94.7%(233/246例)であった。頻度の高い有害事象は、脱毛(バイオシミラー群:57.5 vs.トラスツズマブ群:54.9%)、好中球減少(57.5 vs.53.3%)、末梢神経障害(23.1 vs.24.8%)、下痢(20.6 vs.20.7%)の順であった。 重篤な有害事象の発現率は、バイオシミラー群が38.1%(94/247例)、トラスツズマブ群は36.2%(89/246例)であった。全体で、好中球減少(26.4%)の頻度が最も高く、次いで発熱性好中球減少(4.3%)、白血球減少(3.2%)の順だった。重篤な有害事象の発現例のうち8例(両群4例ずつ)が死亡し、このうち呼吸器不全死の1例ずつで、試験薬関連の可能性が示唆された。 ベースラインのLVEF中央値は、バイオシミラー群が64.0%(範囲:51~82)、トラスツズマブ群は63.0%(範囲:51~84)であり、24週時の変化率はそれぞれ-1.0%(範囲:-13~21)、-1.0%(範囲:-19~13)であり、大きな変化はみられなかった。 著者は、「安全性や長期的な臨床アウトカムを評価するために、さらに検討を進める必要がある」とし、「トラスツズマブは世界中で広く使用可能な状況ではないが、このバイオシミラーは価格が低くなり、非高所得国の女性がアクセスできるようになる可能性がある」としている。

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ペムブロリズマブ、肺がん1次治療でQOLを改善

 Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.は2016 年12 月7 日、PD-L1 高発現(PDL1発現陽性細胞の割合が50%以上:TPS≧50%)の転移性非小細胞肺がん(NSCLC)患者に抗PD-1 抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)と、現在の標準療法であるプラチナ製剤による化学療法を比較した第III相試験KEYNOTE-024の探索的解析で示された健康関連QOL(health-related quality of life: HR QOL)のデータを発表。 本データは、ウィーンで開催された第17回世界肺癌会議(WCLC)のプレナリーセッションで 、Johns Hopkins Kimmel Cancer Center のJulie Brahmer 氏により発表された。(アブストラクト#PL04a.01)  KEYNOTE-024試験は、転移性非小細胞肺がん患者の1次治療としての、ペムブロリズマブの単独療法と標準治療のプラチナ併用化学療法を比較する無作為化第 III相検証試験。進行性病変に対する全身化学療法歴がなく、EGFR遺伝子変異またはALK転座が認められず、PD-L1高発現(TPS≧50%)の患者305例を対象として行われた。主要評価項目は無増悪生存期間で、主な副次評価項目は全生存期間、全奏効率および安全性であった。探索的アウトカムは奏効期間および患者報告アウトカムであった。 WCLCで発表された健康関連QOLデータは、全般的健康状態(身体、感情、知覚、社会機能のほか倦怠感、痛みなど)(QLQ-C30)および悪化時間(咳、胸痛、脱毛、呼吸困難などの症状)(QLQ-LC13)を評価する、欧州がん治療研究機構(EORTC)の2つの主なQOLに関するアンケート調査によるベースライン時から15週時の変化に基づくものであった。 すべての治療群で、患者報告アウトカムのコンプライアンスはベースライン時で90%以上、15週時において約80%であった。このデータでは、化学療法群と比較してペムブロリズマブ群で顕著なQOLおよび症状の改善または維持が認められた(少なくとも1つのアンケートに回答した299例の患者に基づく)。とくに、ベースライン時から15週時の全般的健康状態の変化(最小二乗の差、数値が高いほうで改善が大きい)は、化学療法群で-0.9(95%CI:-4.8~-3.0)であったのに対し、ペムブロリズマブ群では6.9(95%CI:3.3~10.6)であった。特定の機能や症状に基づく解析では、化学療法群よりペムブロリズマブ群でより多くの患者から、全般的健康状態やQOL、倦怠感、痛みの改善が報告された。ペムブロリズマブ群では化学療法群より悪化が認められた患者の割合が低く(それぞれ30.5%、39.2%)、悪化までの時間もペムブロリズマブ群の方が遅い結果となった(ハザード比:0.66、95%CI:0.44~0.97、p=0.029)。MERCK(米国)のニュースリリースはこちら

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トリプルネガティブ乳がんにエリブリンとペムブロリズマブの併用:サン・アントニオ乳癌シンポジウム

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、エリブリンメシル酸塩(製品名:ハラヴェン)と抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A. 米国とカナダ以外ではMSD)との併用療法による、転移性トリプルネガティブ乳がんを対象としたグローバル臨床第Ib/II相試験(218試験)の中間解析結果の成績を報告した。この報告は第39回サン・アントニオ乳癌シンポジウムにて発表されたもの。 218試験は、2レジメン以下のがん化学療法治療歴のある転移性トリプルネガティブ乳がんの患者95例を対象として、エリブリンとペムブロリズマブ併用における有効性と安全性を評価する、多施設共同、単群、非盲検の臨床第Ib/II相試験。主要評価項目として第Ib相パートにおいては安全性と忍容性を、第II相パートにおいては奏効率(ORR)を評価するもの。 本発表では、2016年7月時点において臨床試験に登録された89例中39例の患者に対する中間解析に関して報告した。21日を1サイクルとした、エリブリン(1日目と8日目に1.4mg/m2を静脈内投与)およびペムブロリズマブ(1日目に200mgを静脈内投与)の併用療法において、ORRは33.3%(完全奏効1例および部分奏効12例)であった。また、PD-L1陽性と陰性との間で、ORRの違いは認められなかった。併用投与群において高頻度で確認された有害事象(頻度35%以上)は、疲労、悪心、末梢神経障害、好中球減少、脱毛であった。Grade3以上の有害事象は66.7%で観察され、高頻度(7%以上)に確認されたものは、好中球減少(30.8%)、疲労(7.7%)であった。 エリブリンは、新規の作用機序を有するハリコンドリン系の微小管ダイナミクス阻害剤。従来の作用機序に加えて、最近の非臨床研究において、腫瘍の血流循環を改善すること、乳がん細胞の上皮細胞化を誘導すること、乳がん細胞の転移・浸潤能を減少させることなどの作用を有することが知られている。本剤は、乳がんに係る適応について、60ヵ国以上で承認を取得している。

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第57回日本肺癌学会、福岡で開催

 第57回日本肺癌学会学術集会が、2016年12月19日~21日まで福岡市の福岡国際会議場、福岡サンパレス、福岡国際センターを会場として開催される。 学術集会の会長である九州大学大学院付属胸部疾患研究施設 教授 中西洋一氏は、第13回肺がん医療向上委員会にて当学術集会のハイライトを紹介。今回のテーマは「Innovation for the Next Stage- 肺癌にかかわるすべての人のために-」とし、学術の振興と国際化、チーム医療プログラムの充実、患者・家族向けプログラムの3点をポイントとした。演題数も1,500以上と過去最多で、シンポジウム18セッション、ワークショップ3セッション、教育演題18講演が予定され、Patient Advocate Programも用意されている。 12月20日のプレナリーセッションでは、プラチナ既治療非小細胞肺がんへのS-1とドセタキセルの比較第III相試験(EAST-LC)、T790M陽性の非小細胞肺がんでのオシメルチニブと化学療法の比較試験(AURA3)が発表され、同日のアンコールセッションでは、IB-IIIA期非小細胞肺がんの術後補助化学療法比較第III相試験(SLCG0401)、ALK陽性肺がんに対するアレクチニブとクリゾチニブの比較第III相試験(J-ALEX)、PD-L1高発現未治療非小細胞肺がんにおけるペムブロリズマブの第III相試験(KEYNOTE-024)の結果がレビューされる。 国際化の流れを受け、世界の肺癌診療をリードする海外演者26名を招聘。12月19日のシンポジウム2 「ALK戦線異常あり」ではAlice T. Shaw氏が、12月21日のシンポジウム17「トランスレーショナルリサーチ」では、Chung-Ming Tsai氏と現世界肺癌学会会長のDavid Carbone氏が、同日の招請講演では前世界肺癌学会会長のTony S. K. Mok氏が登壇する。 また、ニボルマブの薬価問題を受け、12月20日の特別企画「医療費とガイドライン」、同日の学術委員会シンポジウム「医療経済から観た適切な肺がん治療」が開催される。第57回日本肺癌学会学術集会のホームページはこちら

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第3回 東京医科歯科大学「がんを考える」市民公開講座【ご案内】

 東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍センター、同院腫瘍化学療法外科、同大学院がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン、同大学院応用腫瘍学講座は、2017年1月15日(日)に、第3回「がんを考える」市民公開講座を開催する。本講座は、地域がん診療連携拠点病院である同院が活動の一環として行っている、がんに関するさまざまなテーマで開催する公開講座の3回目となる。今回は「一緒に考え、選び、支えるがん治療」をテーマに、さまざまな職種ががん患者と家族を支える窓口について、広く知ってもらうための内容になっており、各種ブース展示や体験コーナーなど、楽しく学べる企画が多数予定されている。 開催概要は以下のとおり。【日時】2017年1月15日(日)《セミナー》13:00~16:30《ブース展示》12:00~17:00【場所】東京医科歯科大学 M&D タワー2F 鈴木章夫記念講堂〒113-8510 東京都文京区湯島1-5-45現地キャンパスマップはこちら【参加費】無料(※参加申し込み不要)【テーマ】一緒に考え、選び、支えるがん治療【予定内容】《セミナー》13:00~16:30 鈴木章夫記念講堂司会:石川 敏昭氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍化学療法外科)13:00~13:10 開会挨拶 三宅 智氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍センター センター長)13:10~13:30 講演1 がん治療を「選ぶ」ためのヒント 石黒 めぐみ氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍化学療法外科)13:30~14:10 情報提供 あなたのがん治療に必要な「支える」は? 《座長》  本松 裕子氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍センター 緩和ケア認定看護師) 《パネリスト》  橋爪 顕子氏(同院 がん化学療法看護認定看護師)  安藤 禎子氏(同院 皮膚・排泄ケア認定看護師)  侭田 悦子氏(同院 皮膚・排泄ケア認定看護師)  高橋 美香氏(同院 医療連携支援センター医療福祉支援室 退院調整看護師)  山田 麻記子氏(同院 がん相談支援センター 医療ソーシャルワーカー)  坂下 千瑞子氏(同院 血液内科)14:10~14:30 医科歯科大のがん治療 update(1) 整形外科「骨転移専門外来」をご活用ください! 佐藤 信吾氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 整形外科)14:30~14:50 医科歯科大のがん治療 update(2) 咽頭・食道がんの低侵襲治療~大酒家のためのトータルケア 川田 研郎氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 食道外科)14:50~15:10 休憩15:10~15:50 講演2 がんを病んでも地域で暮らす~かかりつけ医と在宅医療のすすめ 川越 正平氏(あおぞら診療所 院長)15:50~16:25 講演3 正しく知ろう!「緩和ケア」 三宅 智氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍センター センター長)16:25~16:30 閉会挨拶 植竹 宏之氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍化学療法外科 科長[教授])《ブース展示》 12:00~17:00 講堂前ホワイエ■がんと栄養・食事 (東京医科歯科大学医学部附属病院 臨床栄養部)■お口の楽しみ、支えます (東京医科歯科大学歯学部 口腔保健学科)■ウィッグ・メイクを楽しもう! (アプラン東京義髪整形/マーシュ・フィールド)■在宅治療の味方 皮下埋め込みポートって何? (株式会社メディコン)■がん患者さんの家計・お仕事に関するご相談 (特定非営利活動法人 がんと暮らしを考える会)■がん患者と家族へのピアサポートの紹介 (特定非営利活動法人 がん患者団体支援機構)■がん相談支援センター活用のすすめ (東京医科歯科大学医学部附属病院 がん相談支援センター)■「もっと知ってほしい」シリーズ冊子 (認定NPO法人 キャンサーネットジャパン)■「看護師」にご相談ください~一緒に解決の糸口を探しましょう~ (東京医科歯科大学医学部附属病院 専門・認定看護師チーム)【お問い合わせ先】東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍センター〒113-8510 東京都文京区湯島1-5-45TEL:03-5803-4886(平日 9:00~16:30)【共催】東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍センター東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍化学療法外科東京医科歯科大学大学院 がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン東京医科歯科大学大学院 応用腫瘍学講座【協力】認定NPO 法人キャンサーネットジャパン【後援】東京医科歯科大学医師会東京都医師会/文京区/東京都第3回 東京医科歯科大学「がんを考える」市民公開講座 詳細はこちら(PDF)

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オシメルチニブ、T790M変異陽性NSCLCのPFSを6ヵ月延長:AURA3 試験

 AstraZeneca(米国)は2016年12月6日、オシメルチニブ(商品名:タグリッソ)が、EGFR T790M変異陽性転移性非小細胞肺がん(NSCLC)の新たな標準的2次治療としての可能性を支持するAURA3試験のデータを発表した。このオシメルチニブ初の無作為化第III相試験では、オシメルチニブがプラチナ・ダブレット化学療法と比較して無増悪生存期間(PFS)を5.7ヵ月改善したことを示した。この結果は、ウィーンで開催された第17回世界肺癌学会議(WCLC)で発表され、New England Journal of Medicine誌オンライン版に掲載された。 AURA3試験のデータでは、オシメルチニブが標準的なプラチナ・ダブレット化学療法に対し、統計学的に有意なPFSの改善を示した(10.1ヵ月 vs.4.4ヵ月、HR:0.30、95%CI:0.23~0.41、p<0.001)。 また、被験者の34%を占める中枢神経系(CNS)転移患者に対する探索的サブグループ解析では、オシメルチニブのPFS8.5ヵ月に対して、ペメトレキセドとプラチナ併用化学療法では4.2ヵ月であった(HR:0.32、95%CI:0.21~0.49)。 AURA3試験におけるオシメルチニブの安全性データは、以前の経験と一致していた。Grade3以上の薬剤関連有害事象(AE)は、オシメルチニブの6%(n=16)、プラチナ・ダブレット化学療法の34%(n=46)で報告された。オシメルチニブ群でよくみられた薬剤関連AEは、下痢(全体29%、Grade3以上1%)、皮疹(全体28%、Grade3以上1%未満)で、化学療法群では悪心(全体47%、Grade3以上3%)、食欲減退(全体32%、Grade3以上3%)であった。(ケアネット 細田 雅之)参考AstraZeneca(米国):プレスリリースAURA3試験(ClinicalTrials.gov)関連ニュースT790M変異陽性NSCLCに対するオシメルチニブの有効性:AURA2試験

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高リスク早期乳がんへのテーラードdose-denseの効果/JAMA

 高リスク早期乳がん患者において、テーラードdose-dense化学療法は標準化学療法と比較して、乳がん無再発生存率を有意に改善するという結果には至らず、むしろ非血液学的毒性の頻度が高まることが示された。スウェーデン・カロリンスカ大学病院のTheodoros Foukakis氏らが、Pan-European Tailored Chemotherapy(PANTHER)試験の結果を報告した。体表面積を基に投与量を決定する標準化学療法は、患者の薬物動態・毒性・有効性の個人差が大きい。患者の状態に合わせて投与量を調整するテーラード化学療法と、投与間隔を短縮するdose-dense化学療法の組み合わせが、予後を改善できるかどうかについてはこれまで明らかになっていなかった。JAMA誌2016年11月8日号掲載の報告。約2,000例でテーラードdose-dense化学療法と標準化学療法を比較 PANTHER試験は、2007年2月20日~2011年9月14日に、スウェーデン・ドイツ・オーストリアの86施設で実施された多施設共同無作為化非盲検第III相臨床試験である。対象は、65歳以下のリンパ節非転移陽性あるいは高リスクリンパ節転移陰性乳がん術後患者2,017例で、テーラードdose-dense(dose-dense)群と標準化学療法(対照)群に1対1の割合で無作為割り付けした。 dose-dense群では、白血球最下点を基にエピルピジン(90mg/m2から開始、38~120mg/m2)+シクロホスファミド(600mg/m2から開始、450~1,200mg/m2)を2週ごと4サイクル、その後ドセタキセル(75mg/m2から開始、60~100mg/m2)を2週ごと4サイクル投与した。対照群では、フルオロウラシル(500mg/m2)+エピルビシン(100mg/m2)+シクロホスファミド(500mg/m2)を3週ごと3サイクル、その後ドセタキセル(100mg/m2)を3週ごと3サイクル投与した。 主要評価項目は、乳がん無再発生存率(BCRFS)、副次評価項目は5年無イベント生存率(EFS)、遠隔無病生存率(DDFS)、全生存率(OS)、Grade3/4の有害事象発現率であった。乳がん無再発生存率はそれぞれ88.7%と85.0%で有意差なし 2,017例(dose-dense群1,006例、対照群1,011例、年齢中央値51歳、四分位範囲:45~58歳、ホルモン受容体陽性80%、リンパ節転移陽性97%)中、2,000例が1サイクル以上の治療を受けた(dose-dense群1,001例、対照群999例)。 追跡期間中央値5.3年(四分位範囲4.5~6.1年)において、乳がん再発が269件(dose-dense群118件、対照群151件)発生し、5年BCFRSはdose-dense群88.7%、対照群85.0%であった(ハザード比[HR]:0.79、95%信頼区間[CI]:0.61~1.01、log-rank検定のp=0.06)。dose-dense群では対照群と比較しEFSが有意に改善した(5年EFS:86.7% vs.82.1%、HR:0.79、95%CI:0.63~0.99、p=0.04)。OS(5年OS:92.1% vs.90.2%、HR:0.77、95%CI:0.57~1.05、p=0.09)、およびDDFS(5年DDFS:89.4% vs.86.7%、HR:0.83、95%CI:0.64~1.08、p=0.17)は、両群で差はなかった。 Grade3/4の非血液学的有害事象の発現率は、dose-dense群52.6%、対照群36.6%であった。 著者は結果について、「追跡期間が短く、テーラード療法とdose-dense化学療法を組み合わせているため、どちらの方法による影響かを結論付けることはできない」と述べている。

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セリチニブALK陽性肺がんのPFS延長:ESMO 2016

 クリゾチニブ(商品名:ザーコリ)治療歴のあるALK変異陽性非小細胞肺がん(非小細胞肺がん以下、NSCLC)患者において、ALK阻害薬セリチニブ(商品名:ジカディア)が化学療法に比べ無増悪生存期間(PFS)を延長した。ASCEND-5試験の結果として欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2016)で発表された。 ASCEND-5試験は非盲検無作為化試験。クリゾチニブ治療歴のある患者231例が、セリチニブ群または化学療法群(ペメトレキセドあるいはドセタキセル)に1:1に割り付けられた。病勢進行(PD)により化学療法が中止となった患者は、セリチニブへのクロスオーバーが許可された。 結果、PFS中央値はセリチニブ群で化学療法群に比べ有意に改善された(5.4ヵ月 vs.1.6ヵ月、p<0.001)。客観的奏効率(ORR)も、セリチニブ群で化学療法群に比べ高かった(39.1% vs.6.9%)。また、PDとなり化学療法が中止となった患者のうち、75例がセリチニブにクロスオーバーした。 セリチニブ投与患者の有害事象は第I、II相試験と同様であった。頻度が高かったGrade3/4の有害事象は悪心(7.8%)、嘔吐 (7.8%)、下痢(4.3%)であった。化学療法では好中球減少(15.0%)、疲労感(4.4%)、悪心(1.8%)であった。また、セリチニブ群では肺がん特異的症状および全般的健康状態などの患者報告アウトカムを有意に改善した(p<0.05)。※患者背景:年齢中央値 54歳、治療期間(セリチニブ群 30.3週、化学療法群 6.3週)、追跡期間中央値 16.5ヵ月(ケアネット 細田 雅之)参考ESMO:プレスリリースASCEND-5試験(ClinicalTrials.gov)

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ペムブロリズマブ、非小細胞肺がん(PD-L1高発現)1次治療に承認:FDA

 Merck & Co., Inc.は2016年10月24日、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)が、PD-L1高発現(50%以上)と判定され、EGFRまたはALK遺伝子変異のない転移性非小細胞肺がん(以下、NSCLC)患者の1次治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得したことを発表した。 抗PD-1抗体が転移性NSCLC患者において1次治療の適応を取得したのは、今回が初めてとなる。今回の承認は、全身療法未実施の転移性NSCLC患者(扁平上皮18%、非扁平上皮82%)において、プラチナ製剤を含む化学療法とペムブロリズマブ単独療法を比較した第III相試験KEYNOTE-024の結果に基づくもの。また、FDAはKEYNOTE-010の結果から、PD-L1発現(1%以上)でプラチナ製剤を含む化学療法にもかかわらず増悪した転移性NSCLC患者の2次治療以降についてのラベリング更新も承認した。(ケアネット 細田 雅之)参考MERCK(米国本社):ニュースリリースMSD株式会社:ニュースリリースFDA:ドラッグ・インフォメーション(Drugs@FDA)関連ニュースKEYNOTE-024試験「ペムブロリズマブ単剤で肺がん1次治療に有効/NEJM」KEYNOTE-010試験「既治療PD-L1陽性NSCLCへのpembrolizumabの有効性を確認/Lancet」

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抗PD-L1抗体atezolizumab、肺がんに承認:FDA

 米国食品医薬品(FDA)は2016年10月18日、プラチナを含む化学療法中または後に進行した転移性非小細胞肺がん(NSCLC)に対し、atezolizumab(商品名:TECENTRIQ、Genetec Oncolog)を承認した。  atezolizumabは、抗PD-L1抗体であり、プラチナを含む化学療法後に進行した局所進行または転移性尿路上皮がんに対しFDAの迅速承認を得ている。 今回の承認は、2つの無作為化オープンラベル臨床試験(OAK試験、POPLAR試験)の合計1,137例のNSCLC患者において、一貫した有効性と安全性を示した結果に基づくもの。 OAK試験での全生存期間(OS)中央値はatezolizumab群13.8ヵ月(95%CI:11.8~15.7)、ドセタキセル群9.6ヵ月(95%CI:8.6~11.2)(HR:0.74、95%CI :0.63~0.87、p=0.0004)。 POPLAR試験でのOS中央値は、atezolizumab群12.6ヵ月(95%CI:9.7~16.0)、ドセタキセ群9.7ヵ月(95%CI:8.6~12.0)(HR:0.69、95%CI:0.52~0.92)。2つの試験において、ドセタキセルと比較したOSをそれぞれ4.2ヵ月、2.9ヵ月改善した。 POPLAR試験の主要安全性評価集団においてatezolizumab群で多く見られた(20%以上の)有害事象は、疲労、食欲不振、呼吸困難、咳、悪心、筋骨格系疼痛、便秘であった。Grade3~4の有害事象で多く見られた(2%以上)ものは、呼吸困難、肺炎、低酸素血症、低ナトリウム血症、疲労、貧血、筋骨格痛、AST増加、ALT増加、嚥下障害、および関節痛であった。 atezolizumabの免疫関連有害事象は肺炎、肝炎、大腸炎、および甲状腺疾患であった。FDAのリリースはこちら

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非小細胞肺がん1次治療、ニボルマブ単剤と化学療法の比較:CheckMate-026

 ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(NYSE:BMY)は2016年10月9日、PD-L1発現レベルが1%以上の進行期非小細胞肺がん(NSCLC)患者の1次治療として、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)単剤療法を評価したCheckMate-026試験の主要解析の最終結果を発表した。本試験は、PD-L1発現レベルが5%以上の患者における無増悪生存期間(PFS)を評価することを目的に実施された。すでに公表された本試験のトップライン結果では、化学療法と比較し、主要評価項目であるPFSの優越性が示されなかったと公表されている。 PD-L1発現レベルが5%以上の患者におけるPFS中央値はニボルマブ群で4.2ヵ月、プラチナ・ダブレット群(以下、化学療法群)では5.9ヵ月であった(層別化HR:1.15、95%CI:0.91~1.45、p=0.25])。全生存期間(OS)は、ニボルマブ群で14.4ヵ月、化学療法群では13.2ヵ月であった(HR:1.02、95%CI:0.80~1.30)。化学療法群の60%が、PD後にニボルマブによる治療へ切り替えられた。ニボルマブの安全性プロファイルは、従来の報告と一貫していた。投与患者における全GradeおよびGrade3~4の有害事象(AE)発現率は、ニボルマブ群でそれぞれ71%と18%、化学療法群では92%と51%であった。これらの結果は、欧州臨床腫瘍学会総会(ESMO2016)にて発表された。 CheckMate026試験は、進行期非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象に、ニボルマブの単剤療法と治験担当医師が選択した化学療法薬とを比較した第III相の無作為化オープンラベル試験。進行期の病状に対する全身治療を受けておらず、PD-L1発現陽性(1%以上)患者541例が登録され、ニボルマブ3mg/kgを2週間ごとに投与か、治験担当医師が選択したプラチナ・ダブレット化学療法(扁平上皮がん患者ではゲムシタビン+シスプラチン、ゲムシタビン+カルボプラチン、パクリタキセル+カルボプラチンのいずれか、非扁平上皮がん患者ではペメトレキセド+シスプラチン、ペメトレキセド+カルボプラチンのいずれかの後に任意でペメトレキセド維持療法)に無作為に割り付けられ、病勢進行や忍容できない毒性が認められるまで、あるいは6サイクルが完了するまで投与された。主要評価項目はPD-L1発現レベル5%以上の患者におけるPFSで、独立放射線評価委員会により評価された。 ブリストル・マイヤーズ スクイブ社のプレスリリースはこちら

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ニボルマブ、既治療・再発頭頸部扁平上皮がんのOS延長/NEJM

 プラチナ製剤ベースの化学療法施行後に再発した頭頸部扁平上皮がんの治療において、免疫チェックポイント阻害薬ニボルマブは標準治療に比べ、全生存(OS)期間を有意に延長することが、米国・ピッツバーグ大学医療センターのRobert L Ferris氏らが行ったCheckMate 141試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2016年10月9日号に掲載された。頭頸部扁平上皮がんの原発または再発病変に対し、プラチナ製剤ベースの化学療法施行後6ヵ月以内に病勢が進行した症例の、OS期間中央値は6ヵ月に満たないが、これらの患者のOS期間を延長する治療選択肢はない。頭頸部扁平上皮がんの転移・再発病変は、T細胞抑制性の免疫チェックポイント受容体であるプログラム死1(PD-1)のリガンド(PD-L1、PD-L2)の発現によって部分的に誘導される免疫回避により、促進されることが知られている。標準的な単剤療法と比較する無作為化第III相試験 CheckMate 141は、プラチナ製剤不応の頭頸部扁平上皮がんにおいて、ニボルマブと標準治療を比較する非盲検無作為化第III相試験(Bristol-Myers Squibb社の助成による)。 対象は、年齢18歳以上、組織学的に口腔、咽頭、喉頭の扁平上皮がんが確証され、プラチナ製剤ベースの化学療法施行後6ヵ月以内に病勢進行または再発した患者であった。 被験者は、ニボルマブ(3mg/kg、2週ごと)を投与する群または標準的な単剤療法(メトトレキサート、ドセタキセル、セツキシマブのいずれか1剤)を行う群に無作為に割り付けられた。 主要評価項目はOSであり、副次評価項目には無増悪生存(PFS)、客観的奏効率、安全性、患者報告QOLが含まれた。 2014年6月~2015年8月に、日本人を含む361例が登録され、ニボルマブ群に240例、標準治療群には121例が割り付けられた。OSが30%改善、1年OS率は2倍以上、有害事象、QOLも良好 全体の年齢中央値は60歳(範囲:28~83)、男性が83.1%を占め、腫瘍部位は口腔が48.5%、咽頭が35.5%、喉頭が13.6%、その他が2.5%であった。喫煙者(79.6 vs.70.2%、p=0.047)がニボルマブで有意に多かったが、これ以外の背景因子に有意な差はなかった。 全体の91.4%が放射線療法を受けていた。前治療レジメン数は、1が45.4%、2が34.6%、3以上が19.9%であった。約4分の1が、p16(ヒトパピローマウイルスの代替マーカー)陽性だった。 フォローアップ期間中央値5.1ヵ月におけるOS期間中央値は、ニボルマブ群が7.5ヵ月(95%信頼区間[CI]:5.5~9.1)と、標準治療群の5.1ヵ月(95%CI:4.0~6.0)に比べ有意に長く、死亡リスクが30%低減した(ハザード比[HR]:0.70、97.73%CI:0.51~0.96、p=0.01)。推定1年OS率は、ニボルマブ群が標準治療群の2倍以上に達した(36.0 vs.16.6%)。 PFS期間中央値は、ニボルマブ群が2.0ヵ月、標準治療群は2.3ヵ月であり、両群に差を認めなかった(HR:0.89、95%CI:0.70~1.13、p=0.32)。一方、推定6ヵ月PFS率はニボルマブ群が高い傾向がみられた(19.7 vs.9.9%)。 腫瘍縮小効果はニボルマブ群が完全奏効(CR)6例、部分奏効(PR)26例で、客観的奏効率は13.3%であった。標準治療群はCR 1例、PR 6例で、客観的奏効率は5.8%だった。 Grade 3/4の治療関連有害事象は、ニボルマブ群が13.1%、標準治療群は35.1%に発現した。ニボルマブ群で頻度の高い全Gradeの有害事象は、疲労(14.0%)、悪心(8.5%)、皮疹(7.6%)、食欲減退(7.2%)、そう痒(7.2%)の順であった。 皮膚関連(15.7 vs.12.6%、主に皮疹)および内分泌系(7.6 vs.0.9%、主に甲状腺機能低下症)の有害事象は、ニボルマブ群のほうが頻度が高かった。ニボルマブ群では、肺臓炎が2.1%に発現し、治療関連死は2例(肺臓炎、高カルシウム血症)認められた。 15週時のEORTC QLQ-C30の身体機能、役割機能、社会的機能、QLQ-H&N35の疼痛、感覚異常、社会的接触障害は、ニボルマブ群がいずれも安定していたのに対し、標準治療は増悪しており、すべての項目で有意な差が認められた。 著者は、「探索的バイオマーカー解析では、PD-L1の発現状況、p16陽性/陰性にかかわらず、OS期間中央値はニボルマブ群が明らかに長かった」としている。

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ペムブロリズマブ単剤で肺がん1次治療に有効/NEJM

 進行非小細胞肺がん(NSCLC)で50%以上の腫瘍細胞がPD-L1陽性の患者に対し、PD-1受容体阻害薬ペムブロリズマブは、プラチナベース化学療法に比べ、無増悪生存期間を有意に延長することが示された。ドイツ肺疾患研究センターのMartin Reck氏らが、305例の患者を対象に行った第III相無作為化非盲検比較試験の結果、明らかにした。全生存期間も有意に延長し、有害事象は有意に少なかった。NEJM誌オンライン版2016年10月8日号で発表した。 3週間ごとに200mg投与、プラチナベース化学療法と比較 研究グループは、50%以上の腫瘍細胞がPD-L1陽性で、上皮成長因子受容体の感受性変異や未分化リンパ腫リン酸化酵素(ALK)遺伝子の転座が認められない、未治療進行NSCLCの患者305例を対象に、試験を行った。被験者を無作為に2群に分け、一方の群にはペムブロリズマブ(3週間ごとに200mg)を、もう一方の群にはプラチナベース化学療法を行った。 疾患の進行が認められた際には、化学療法群からペムブロリズマブ群へのクロスオーバーを可能とした。 主要評価項目は、無増悪生存期間だった。副次的評価項目は、全生存期間、客観的奏効率および安全性だった。無増悪生存期間中央値、化学療法群6.0ヵ月、ペムブロリズマブ群10.3ヵ月 結果、無増悪生存期間の中央値は、化学療法群6.0ヵ月(95%信頼区間[CI]:4.2~6.2)に対し、ペムブロリズマブ群は10.3ヵ月(同:6.7~未到達)と、有意に延長した(病勢進行または死亡に関するハザード比:0.50、同:0.37~0.68、p<0.001)。 また、6ヵ月全生存率の予測値も、化学療法群が72.4%、ペムブロリズマブ群が80.2%だった(死亡に関するハザード比:0.60、同:0.41~0.89、p=0.005)。 奏効率についても、化学療法群27.8%に対し、ペムブロリズマブ群は44.8%と高く、さらに奏効期間の中央値も、6.3ヵ月(範囲:2.1+~12.6+)、未到達(1.9+~14.5+)と、ペムブロリズマブ群のほうが延長した。 治療関連の有害事象発生率も、全グレードについてはペムブロリズマブ群が73.4%、化学療法群が90.0%、grade3~5については26.6%、53.3%と、いずれもペムブロリズマブ群で低率だった。

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ペムブロリズマブの追加が非小細胞肺がん1次治療の結果を改善:ESMO

 未治療進行非小細胞肺がんの標準的な1次化学療法への抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)の追加が、奏効率(ORR)および無増悪生存期間(PFS)を有意に改善したことが、コペンハーゲンで開催されたESMO 2016会議で報告された。 第II相試験 KEYNOTE-021は、ステージIIIB / IVの未治療の非扁平上皮非小細胞肺がん患者123例をカルボプラチン(AUC5)・ペメトレキセド(500mg/m2)3週ごと4サイクル併用群とカルボプラチン・ペメトレキセド併用+ペムブロリズマブ(200mg)3週ごと24ヵ月追加群に無作為に割り付け行われた。 10.6ヵ月(中央値)後のORRは、ペムブロリズマブ追加群で有意に高かった(ペムブロリズマブ追加群:55%、化学療法群:29%、p=0.0016)。腫瘍PD-L1発現量による結果は示されなかったものの、研究者らはペムブロリズマブ追加群ではPD-L1発現量50%以上の腫瘍で奏効率が高かった(80%程度)ことを明らかにした。 PFSはペムブロリズマブ追加群で優れていたが(ペムブロリズマブ追加群:13.0ヵ月、化学療法群:8.9ヵ月)、生存率(OS)は両群で同等(6ヵ月生存率 92%)であった。Grade3以上の有害事象の発生率はペムブロリズマブ追加群で高かった(ペムブロリズマブ追加群:39%、化学療法群:26%)。しかし、それらの有害事象は治療中止率(ペムブロリズマブ追加群10%、化学療法群13%)および治療関連死には影響を及ぼさなかった。ペムブロリズマブ追加群でよく見られた有害事象は、疲労感や吐気、化学療法群では貧血であった。ESMO2016のプレスリリースはこちら

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多発性骨髄腫〔MM : multiple myeloma〕

1 疾患概要■ 概念・定義多発性骨髄腫(MM)は、Bリンパ球系列の最終分化段階にある形質細胞が、腫瘍性、単クローン性に増殖する疾患である。骨髄腫細胞から産生される単クローン性免疫グロブリン(M蛋白)を特徴とし、貧血を主とする造血障害、易感染性、腎障害、溶骨性変化など多彩な臨床症状を呈する疾患である。■ 疫学わが国では人口10万人あたり男性5.5人、女性5.2人の推定罹患率であり、全悪性腫瘍の約1%、全造血器腫瘍の約10%を占める。発症年齢のピークは60代であり、年々増加傾向にある。40歳未満の発症はきわめてまれである。■ 病因慢性炎症や自己免疫疾患の存在、放射線被曝やベンゼン、ダイオキシンへの曝露により発症頻度が増加するが成因は明らかではない。MMに先行するMGUS(monoclonal gammopathy of undetermined significance)や無症候性(くすぶり型)骨髄腫においても免疫グロブリン重鎖(IgH)遺伝子や13染色体の異常が認められることから、多くの遺伝子異常が関与し、多段階発がん過程を経て発症すると考えられる。■ 症状症候性骨髄腫ではCRABと呼ばれる臓器病変、すなわち高カルシウム血症(Ca level increased)、腎障害(Renal insufficiency)、貧血(Anemia)、骨病変(Bone lesion)がみられる(図1)。骨病変では溶骨性変化による腰痛、背部痛、脊椎圧迫骨折などを認める。貧血の症状として全身倦怠感・労作時動悸・息切れなどがみられる。腎障害はBence Jones蛋白(BJP)型に多く、腎不全やネフローゼ症候群を呈する(骨髄腫腎)。骨吸収の亢進による高カルシウム血症では、多飲、多尿、口渇、便秘、嘔吐、意識障害を認める。正常免疫グロブリンの低下や好中球減少により易感染性となり、肺炎などの感染症を起こしやすい。また、脊椎圧迫骨折や髄外腫瘤による脊髄圧迫症状、アミロイドーシス、過粘稠度症候群による出血や神経症状(頭痛、めまい、意識障害)、眼症状(視力障害、眼底出血)がみられる。画像を拡大する■ 分類骨髄にクローナルな形質細胞が10%以上、または生検で骨もしくは髄外の形質細胞腫が確認され、かつ骨髄腫診断事象(Myeloma defining events)を1つ以上認めるものを多発性骨髄腫と診断する。骨髄腫診断事象には従来のCRAB症状に加え、3つの進行するリスクの高いバイオマーカーが加わった。これらはSLiM基準と呼ばれ、骨髄のクローナルな形質細胞60%以上、血清遊離軽鎖(Free light chain: FLC)比(M蛋白成分FLCとM蛋白成分以外のFLCの比)100以上、MRIで局所性の骨病変(径5mm以上)2個以上というのがある。したがって、CRAB症状がなくてもSLiM基準の1つを満たしていれば多発性骨髄腫と診断されるため、症候性骨髄腫という呼称は削除された1)。くすぶり型骨髄腫は、骨髄診断事象およびアミロイドーシスを認めず、血清M蛋白量3g/dL以上もしくは尿中M蛋白500mg/24時間以上、または骨髄のクローナルな形質細胞10~60%と定義された。MGUSは3つの病型に区別され、その他、孤立性形質細胞腫の定義が改訂された1)(表1)。表1 多発性骨髄腫の改訂診断基準(国際骨髄腫ワーキンググループ: IMWG)■多発性骨髄腫の定義以下の2項目を満たす(1)骨髄のクローナルな形質細胞割合≧10%、または生検で確認された骨もしくは髄外形質細胞腫を認める。(2)以下に示す骨髄腫診断事象(Myeloma defining events)の1項目以上を満たす。骨髄腫診断事象●形質細胞腫瘍に関連した臓器障害高カルシウム血症: 血清カルシウム>11mg/dLもしくは基準値より>1mg/dL高い腎障害: クレアチニンクリアランス<40mL/分もしくは血清クレアチニン>2mg/dL貧血: ヘモグロビン<10g/dLもしくは正常下限より>2g/dL低い骨病変: 全身骨単純X線写真、CTもしくはPET-CTで溶骨性骨病変を1ヵ所以上認める●進行するリスクが高いバイオマーカー骨髄のクローナルな形質細胞割合≧60%血清遊離軽鎖(FLC)比(M蛋白成分のFLCとM蛋白成分以外のFLCの比)≧100MRIで局所性の骨病変(径5mm以上)>1個■くすぶり型骨髄腫の定義以下の2項目を満たす(1)血清M蛋白(IgGもしくはIgA)量≧3g/dLもしくは尿中M蛋白量≧500mg/24時間、または骨髄のクローナルな形質細胞割合が10~60%(2)骨髄診断事象およびアミロイドーシスの合併がない(Rajkumar SV, et al. Lancet Oncol.2014;15:e538-548.)■ 予後治癒困難な疾患であるが、近年、新規薬剤の導入により予後の改善がみられる。生存期間は移植適応例では6~7年、移植非適応例では4~5年である。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ 検査血清および尿の蛋白電気泳動でβ-γ域にM蛋白を認める場合は、免疫電気泳動あるいは免疫固定法でクラス(IgG、IgA、IgM、IgD、IgE)とタイプ(κ、λ)を決定する。BJP型では血清蛋白電気泳動でMピークを認めないので注意する。血清FLCはBJP型骨髄腫や非分泌型骨髄腫の診断に有用である。血液検査では、正球性貧血、白血球・血小板減少と塗抹標本で赤血球連銭形成がみられる。骨髄ではクローナルな形質細胞が増加する。生化学検査では、血清総蛋白増加、アルブミン(Alb)低下、CRP上昇、ZTT高値、クレアチニン、β2-ミクログロブリン(β2-MG)の上昇、赤沈の亢進がみられる。染色体異常としてt(4;14)、t(14;16)、t(11;14)や13染色体欠失などがみられる。全身骨X線所見では、打ち抜き像(punched out lesion)や骨粗鬆症、椎体圧迫骨折を認める。CTは骨病変の検出に、全脊椎MRIは骨髄病変の検出に有用である。PET-CTは骨病変や形質細胞腫の検出に有用である。■ 診断診断には、前述の国際骨髄腫ワーキンググループ(IMWG)による基準が用いられる1)(表1、2)。また、血清Alb値とβ2-MG値の2つの予後因子に基づく国際病期分類(International Staging System:ISS)は予後の推定に有用である。最近、ISSに遺伝子異常とLDHを加味した改訂国際病期分類(R-ISS)が提唱されている2)(表3)。ISS病期1、2、3の生存期間はそれぞれ62ヵ月、44ヵ月、29ヵ月である。ただし、これは新規薬剤の登場以前のデータに基づいている。表2 意義不明の単クローン性γグロブリン血症(MGUS)と類縁疾患の改訂診断基準■非IgG型MGUSの定義血清M蛋白量<3g/dL骨髄のクローナルな形質細胞割合<10%形質細胞腫瘍に関連する臓器障害(CRAB)およびアミロイドーシスがない■IgM型MGUSの定義血清M蛋白量<3g/dL骨髄のクローナルな形質細胞割合<10%リンパ増殖性疾患に伴う貧血、全身症状、過粘稠症状、リンパ節腫脹、肝脾腫や臓器障害がない■軽鎖型MGUSの定義血清遊離軽鎖(FLC)比<0.26(λ型の場合)もしくは>1.65(κ型の場合)免疫固定法でモノクローナルな重鎖を認めない形質細胞腫瘍に関連する臓器障害(CRAB)およびアミロイドーシスがない骨髄のクローナルな形質細胞割合<10%尿中のM蛋白量<500mg/24時間■孤立性形質細胞腫の定義骨もしくは軟部組織に生検で確認されたクローナルな形質細胞からなる孤立性病変を認める骨髄にクローナルな形質細胞を認めない孤立性形質細胞腫以外に全身骨単純X線写真やMRI、CTで骨病変を認めないリンパ形質細胞性腫瘍に関連する臓器障害(CRAB)がない■微小な骨髄浸潤を伴う孤立性形質細胞腫の定義骨もしくは軟部組織に生検で確認されたクローナルな形質細胞からなる孤立性病変を認める骨髄のクローナルな形質細胞割合<10%孤立性形質細胞腫以外に全身骨単純X線写真やMRI、CTで骨病変を認めないリンパ形質細胞性腫瘍に関連する臓器障害(CRAB)がない(Rajkumar SV, et al. Lancet Oncol.2014;15:e538-548.)画像を拡大する3 治療 (治験中・研究中のものも含む)■ 治療方針IMWGではCRAB症状を有するMMのほか、CRAB症状がなくてもSLiM基準を1つでも有する症例も治療の対象としている。この点について、わが国の診療指針では慎重に経過観察を行い、進行が認められる場合に治療を開始することでもよいとしている3)。MGUSやくすぶり型MMは治療対象としない。初期治療は、自家造血幹細胞移植併用大量化学療法(HDT/AHSCT)が実施可能かどうかで異なる治療が行われる3、4)。効果判定はIMWGの診断基準が用いられ、CR(完全奏効:免疫固定法でM蛋白陰性)達成例は予後良好であることから、深い奏効を得ることが、長期生存のサロゲートマーカーとなる5)。■ 大量化学療法併用移植適応患者年齢65歳以下で、重篤な感染症や肝・腎障害がなく、心肺機能に問題がなければHDT/AHSCTが行われる。初期治療としてボルテゾミブ(BOR、商品名:ベルケイド)やレナリドミド(LEN、同: レブラミド)などの新規薬剤を含む2剤あるいは3剤併用が推奨される3、4)(図2)。わが国では初期治療に保険適用を有する新規薬剤は現在BORとLENであり、BD(BOR、デキサメタゾン[DEX])、BCD(BOR、シクロホスファミド[CPA]、DEX)、BAD(BOR、ドキソルビシン[DXR]、DEX)、BLd(BOR、LEN、 DEX)、Ld(LEN、DEX)が行われる。画像を拡大する寛解導入後はCPA大量にG-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)を併用して末梢血幹細胞が採取され、メルファラン(MEL)大量(200mg/m2)後にAHSCTが行われる。BORを含む3剤併用による寛解導入後にAHSCTを行うことにより、60%以上の症例でVGPR(very good partial response)が得られる。自家移植後にも残存する腫瘍細胞を減少させる目的で、地固め・維持療法が検討されている。新規薬剤による維持療法は無増悪生存を延長させるが、サリドマイド(THAL)による末梢神経障害や薬剤耐性、レナリドミドによる二次発がんの問題が指摘されており、リスクとベネフィットを考慮して判断することが求められる3、4)。■ 大量化学療法併用移植非適応患者65歳以上の患者や65歳以下でもHDT/AHSCTの適応条件を満たさない患者が対象となる。これまでMELとプレドニゾロン(PSL)の併用(MP)が標準治療であったが、現在は新規薬剤を加えたMPT(MP、THAL)、MPB(MP、BOR)、LDが推奨されている3、4)(図3)。わが国でもLd、MPBが実施可能であり、BORの皮下投与は静脈投与と比較し、神経障害が減少するので推奨されている。画像を拡大する■ サルベージ療法初回治療終了6ヵ月以後の再発では、初回導入療法を再度試みてもよい。移植後2年以上の再発では、AHSCTも治療選択肢に上がる。6ヵ月以内の早期再発や治療中の進行や増悪、高リスク染色体異常を有する症例では、新規薬剤を含む2剤、3剤併用が推奨される3、4)。新規薬剤として、2015年にポマリドミド(同: ポマリスト)、パノビノスタット(同: ファリーダック)、2016年にカルフィルゾミブ(同: カイプロリス)が導入され、再発・難治性骨髄腫の治療戦略の幅が広まった。■ 放射線治療孤立性形質細胞腫や、溶骨性病変による骨痛に対しては、放射線照射が有効である。■ 支持療法骨痛の強い症例や骨病変の抑制にゾレドロン酸(同: ゾメタ)やデノスマブ(同: ランマーク)が推奨される。長期の使用にあたっては、顎骨壊死の発症に注意する。腎機能障害の予防には、十分量の水分を摂取させる。高カルシウム血症には生理食塩水とステロイドに加え、カルシトニン、ビスホスホネートを使用する。過粘稠度症候群に対しては、速やかに血漿交換を行う。4 今後の展望有望な新規薬剤として、第2世代のプロテアソーム阻害剤(イキサゾミブなど)のほか、抗体薬(elotuzumab、daratumumab、pembrolizumabなど)が開発中である。これらの薬剤の導入により、多くの症例で微少残存腫瘍(MRD)の陰性化が可能となり、生存期間の延長、ひいては治癒が得られることが期待される。5 主たる診療科血液内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報日本骨髄腫学会(医療従事者向けの診療、研究情報)患者会情報日本骨髄腫患者の会(患者と患者家族の会の情報)1)Rajkumar SV, et al. Lancet Oncol.2014;15:e538-548.2)Palumbo A, et al. J Clin Oncol.2015;33:2863-2869.3)日本骨髄腫学会編. 多発性骨髄腫の診療指針 第4版.文光堂;2016.4)日本血液学会編. 造血器腫瘍診療ガイドライン.金原出版;2013.p.268-307.5)Durie BGM, et al. Leukemia.2006.20:1467-1473.公開履歴初回2013年12月17日更新2016年10月04日

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ラムシルマブ非小細胞肺がん2次治療の日本人データ

 ラムシルマブ(商品名:サイラムザ)とドセタキセル(商品名:タキソテール)の併用がプラチナベース化学療法後に増悪した非小細胞肺がん患者の生存期間を延長した。この第II相無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験は、日本人の非小細胞肺がんの2次治療におけるラムシルマブの有効性と安全性を評価したもの。Lung Cancer誌2016年9月号の掲載記事。 患者は2012年12月~2015年5月に本邦の28施設で登録された非小細胞肺がんで、プラチナベース化学療法施行にもかかわらず増悪した患者。患者はラムシルマブ10mg/kg+ドセタキセル60mg/m2群とプラセボ+ドセタキセル60mg/m2群(ともに21日サイクル)に無作為に割り付けられた。主要評価項目は、無増悪生存期間(PFS)、副次的評価項目は全生存期間(OS)、奏効率、安全性であった。 主な結果は以下のとおり。・治療を受けた被験者は157例。・PFS中央値はラムシルマブ+ドセタキセル群で5.22ヵ月、プラセボ+ドセタキセル群で4.21ヵ月(HR:0.83、95%CI:0.59~1.16)とラムシルマブ併用群で優れていた。・OS中央値はラムシルマブ+ドセタキセル群で15.15ヵ月、プラセボ+ドセタキセル群で14.65ヵ月(HR:0.86、95%CI:0.56~1.32)とラムシルマブ併用群で優れていた。・奏効率はラムシルマブ+ドセタキセル群で28.9%、プラセボ+ドセタキセル群で18.5%とラムシルマブ併用群で優れていた。・病勢コントロール率はラムシルマブ+ドセタキセル群で78.9%、プラセボ+ドセタキセル群で70.4%とラムシルマブ併用群で優れていた。・有害事象の頻度および重症度は同程度であったが、発熱性好中球減少についてはラムシルマブ+ドセタキセル群で34.2%、プラセボ+ドセタキセル群で19.8%とラムシルマブ併用群で多く認められた。

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