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高齢NSCLCに、有効かつFNのない化学療法を 第20回【肺がんインタビュー】

第20回 高齢NSCLCに、有効かつFNのない化学療法を高齢者の非小細胞肺がん(NSCLC)では、化学療法による発熱性好中球減少症(FN)が大きな問題となる。そのような中、高齢者肺がん患者を対象にドセタキセル・ラムシルマブ併用レジメン(以下、ドセタキセル・ラムシルマブ)にPEG-G-CSFを併用した、西日本がん研究機構(WJOG)による第II相試験DRAGON study(WJOG9416L)1)が実施される。同試験の研究事務局である神戸低侵襲がん医療センターの秦 明登氏に、同研究の狙いを聞いた。試験を行った背景はどのようなものですか。わが国では、ドライバー遺伝子変異のない高齢者肺がんに対する1次治療のスタンダードは、ドセタキセル単剤です。このドセタキセル単独に対し、ドセタキセル・ラムシルマブは、2次治療以降で、奏効率、無増悪生存期間、そして全生存期間を有意に延ばしています2)。この試験は年齢を問わず行われましたが、高齢者においても有力な治療選択肢となる可能性があります。しかし、このレジメンの課題はFNの頻度が高いことで、日本人の第II相試験では、34%、つまりおよそ3例に1例がFNを発症するという報告があります3)。一方、わが国の後ろ向きの報告では、ドセタキセル・ラムシルマブにPEG-G-CSF製剤であるペグフィルグラスチムを併用することで、FN発症をゼロに抑えたという報告があります4)。そのほかにも、ペグフィルグラスチムの化学療法との併用によるFN発症抑制については、しっかりしたエビデンスが示されています。このようなことから、ドセタキセル・ラムシルマブにペグフィルグラスチムの1次予防を併用することで、FNを防ぎつつ、有効性を確保した治療を高齢NSCLC患者に提供できるのではないかという仮説を立て、この試験を実施しています。プライマリ・エンドポイントは全奏効率(ORR)ですが、FN発症抑制についても評価されるのですか。有効性を評価するために第II相試験の一般的な評価項目として、ORRをプライマリ・エンドポイントに設定しています。FNの発症率についても、副次評価項目の安全性で評価する予定です。FNの1次予防としてG-CSFを用いることについては?改訂されたG-CSF使用に関するASCOのガイドラインでは、FN発症リスク20%以上の患者ではG-CSFの1次予防が推奨されています5)。ドセタキセル・ラムシルマブのFN発症率はおよそ3分の1ですので、十分その対象となります。さらに、PEG製剤を用いることによる、実臨床でのメリットもあります。現在の化学療法はほとんど外来で実施します。従来のG-CSFは連日投与が必要ですが、PEG-G-CSFは半減期が長く、3週に1回の投与で効果を発揮し、また化学療法の翌日から予防的に投与できます。実際の治療として、3週間サイクルの1日目にドセタキセル・ラムシルマブを、翌日にペグフィルグラスチムを投与するだけで済みますので、患者さんの受診負担も減らすことが可能になるのです。今後の研究の方向性はどのようなものですか。高齢者NSCLCの化学療法の効果は十分とはいえませんし、進化もプラトーに達しているといえます。しかし、分子標的薬は高齢者にも有効性が期待できます。その中の1つが、ベバシズマブやラムシルマブなどのVEGF阻害薬です。ただ、わが国の高齢者肺がんにおけるラムシルマブの使用については十分なデータがあるとはいえません。その意味でも、前向きに65例を検証する、この試験は意義があると思います。この第II相試験で、FNの発症抑制など安全性を確保しつつ、有効性を示すことができたら、次は、ドセタキセル・ラムシルマブ+ペグフィルグラスチムと現在の標準治療ドセタキセル単剤とを比較する第III相試験に進む計画です。DRAGON(WJOG9416L)studyデザイン多施設前向きシングルアーム第II相試験対象:75歳以上のNSCLC患者(化学療法未治療、ドライバー遺伝子変異陽性例はTKI治療で進行した患者)介入:ドセタキセル60mg/m2、ラムシルマブ10mg/kg day1、ペグフィルグラスチム3.6mg day2、3週ごと主要評価項目:全奏効率(ORR)副次評価項目:無増悪生存期間、全生存期間、奏効期間、安全性ORR:閾値20%、期待値35%サンプルサイズ:65例※DRAGON Study:Docetaxel plus Ramucirumab with primary prophylactic pegylated granulocyte-colony stimulating factor support for elderly patients with advanced non-small-cell lung cancer: A multicenter prospective single arm phase II trial1)Hata A, et al. Clin Lung Cancer. 2018 Aug 7.[Epub ahead of print]2)Garon EB, et al. Lancet. 2014;384:665-673.3)Yoh K, et al. Lung Cancer. 2016;99:186-193.4)Hata A, et al. Oncotarget. 2018;12:27789-27796.5)Smith TJ, et al. J Clin Oncol. 2006;24:3187-3205.

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PI3K阻害薬alpelisib、HR+/HER2-進行乳がんでPFS約2倍(SOLAR-1)/ESMO2018

 ホルモン受容体陽性/HER2陰性(HR+/HER2-)進行乳がんにおいて、α特異的PI3K阻害薬alpelisibとフルベストラントの併用療法が、無増悪生存期間(PFS)を有意に改善した。HR+/HER2-乳がん患者の約40%がPIK3CA遺伝子変異を有する。日本も参加している第III相SOLAR-1試験の結果に基づき、フランス・パリ第11大学のFabrice André氏がドイツ・ミュンヘンにおける欧州臨床腫瘍学会(ESMO2018)で報告した。 SOLAR-1試験では、閉経後女性および男性の、HR+/HER2-進行乳がん患者(ECOG PS≦1、1ライン以上のホルモン療法歴あり、進行後の化学療法歴はなし)を対象に、PIK3CA遺伝子変異陽性もしくは陰性コホートでそれぞれ、alpelisib併用群(alpelisib 300mg/日+28日を1サイクルとして、フルベストラント500mgを1サイクル目の1日目と15日目、以降1日目に投与)とプラセボ群(プラセボ+28日を1サイクルとして、フルベストラント500mgを1サイクル目の1日目と15日目、以降1日目に投与)に1:1の割合で無作為に割り付けた。層別化因子は、肝/肺転移の有無およびCDK4/6阻害薬による治療の有無。主要評価項目は、PIK3CA陽性コホートにおける無増悪生存期間(PFS)。副次評価項目は、PIK3CA陰性コホートのPFS、両コホートの全生存期間(OS)、客観的奏効率(ORR)、安全性などである。 主な結果は以下のとおり。・全体で572例が組み入れられ、うち341例がPIK3CA陽性(併用群:169例、プラセボ群:172例)、231例が陰性(併用群:115例、プラセボ群:116例)であった。・PIK3CA陽性コホートにおけるPFS中央値は、alpelisib併用群11.0ヵ月に対しプラセボ群5.7ヵ月と併用群で有意に改善した(ハザード比[HR]:0.65、95%信頼区間[CI]:0.50~0.85; p=0.00065、追跡期間中央値:20.0ヵ月)。・PIK3CA陰性コホートにおけるPFS中央値は、alpelisib併用群7.4ヵ月に対しプラセボ群5.6ヵ月で、あらかじめ定められたPoC(Proof of Concept)基準を満たさなかった(HR:0.85、95%CI:0.58~1.25)。・測定可能なPIK3CA遺伝子変異陽性患者(262例)におけるORRは、併用群36% vs.プラセボ群16%であった(p=0.0002)。・全患者の安全性プロファイルについて、Grade 3 以上の有害事象で多くみられたのは、高血糖(併用群37% vs.プラセボ群<1%)、皮疹(10% vs.<1%)であった。 André氏は、「現段階でのフォローアップ期間は短く、長期的な生存利益があるかどうか確定的なことは言えない。しかし、PFSをプラセボ群と比較して約2倍に延長しており、新たな治療選択肢としての可能性があると言えるだろう。また、これまでのPI3K阻害薬がPI3K の4つのアイソフォーム全て(α、β、γ、δ)を標的としていたために毒性が高かったことと比較して、alpelisibはα特異的であることが特徴。本結果から、alpelisib併用群での有害事象の多くはGrade 1/2であり、Grade 3 以上がみられた高血糖と皮疹については、研究プロトコルに示された容量変更ならびにそれに伴う医学的介入によって管理された」と話している。■参考ESMO2018プレスリリースSOLAR-1試験(Clinical Trials.gov)■関連記事NovartisのPI3K阻害剤、PIK3CA変異乳がんの主要評価項目を達成(SOLAR-1)

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オシメルチニブ2次治療における耐性獲得機序(AURA3)/ESMO2018

 オシメルチニブは、EGFR T790M陽性進行非小細胞肺がん(NSCLC)における第III相AURA3試験において、化学療法と比較して、優れた有効性を示したが、このAURA3試験中にオシメルチニブで病勢進行した症例のctDNAを用いた獲得耐性についての結果が、初めて報告された。 主な結果は以下のとおり。・AURA3試験でオシメルチニブ治療群に無作為化された279例のうち、ベースラインおよび進行・治療中止時の血漿サンプル入手可能症例は83例(30%)であった。・83例中、ベースライン時にEGFR変異が検出できたのは73例であった。・73例中、血漿サンプルでT790Mが検出できたのは88%であった(組織サンプルでは100%)。・T790Mの消失は49%と、半数にみられた。・EGFR獲得変異は21%に認められ、主なものはC797Sの14%であった。・MET増幅は19%にみられた。・HER2増幅は5%にみられた。・1つ以上の耐性関連変異が認められたのは19%であった。・T790M消失例のPFSは5.54ヵ月、T790M保有例では7.06ヵ月であり、T790M消失例で短い傾向にあった。 AURA3試験におけるオシメルチニブ2次治療の耐性メカニズムとしては、MET増幅およびEGFR C797Sが多く確認されたが、予想外のものは観察されなかった。同時に、さまざまな耐性メカニズムの共起が確認された。

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nab-パクリタキセル+アテゾリズマブ、トリプルネガティブ乳がんでPFS延長(IMpassion130)/ESMO 2018

 進行トリプルネガティブ乳がん(TNBC)への1次治療として、nab-パクリタキセルと抗PD-L1抗体アテゾリズマブの併用療法が、無増悪生存期間(PFS)を有意に改善した。日本も参加している第III相ランダム化比較試験IMpassion130の結果に基づき、英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のPeter Schmid氏がドイツ・ミュンヘンにおける欧州臨床腫瘍学会(ESMO2018)で報告した。同患者対象の1次治療の第III相試験で、免疫療法についてポジティブな結果が出たのは初となる。nab-パクリタキセルとアテゾリズマブ併用を評価 IMpassion130では、ECOG PS 0~1、転移性または切除不能な局所進行TNBC患者を対象に、アテゾリズマブ併用群(28日を1サイクルとして、アテゾリズマブ840mgを1日目と15日目に、nab-パクリタキセル100mg/m2を1日目、8日目、15日目に投与)とプラセボ群(プラセボ+nab-パクリタキセル100mg/m2を1日目、8日目、15日目に投与)に1:1の割合で無作為に割り付けた。層別化因子は、タキサン系薬剤による治療、肝転移の有無、PD-L1ステータス。主要評価項目は、ITT解析集団およびPD-L1陽性患者におけるPFSと全生存期間(OS)、副次評価項目は、客観的奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、安全性などであった。 主な結果は以下のとおり。・2018年4月17日のデータカットオフ時点で、追跡期間中央値は12.9ヵ月。・全体で902例が組み入れられ、ITT解析対象はnab-パクリタキセル+アテゾリズマブ併用群/nab-パクリタキセル+プラセボ群ともに451例、うち41%(185例/184例)がPD-L1陽性であった。・年齢中央値はアテゾリズマブ併用群が55歳、プラセボ群が56歳。(ネオ)アジュバント療法歴有は63%(284例/286例)、タキサン系薬剤は51%(231例/230例)、アントラサイクリン系薬剤は54%(243例/242例)であった。・PFS中央値はITT解析対象でnab-パクリタキセル+アテゾリズマブ併用群7.2ヵ月に対しnab-パクリタキセル+プラセボ群5.5ヵ月(ハザード比[HR]:0.80、95%信頼区間[CI]:0.69~0.92、p=0.0025)。PD-L1陽性患者でアテゾリズマブ併用群7.5ヵ月に対し5.0ヵ月(HR:0.62、95%CI:0.49~0.78、p<0.0001)といずれも併用群で有意に改善した。・中間解析時点でのOS中央値はITT解析対象で21.3ヵ月 vs.17.6ヵ月(HR:0.84、95%CI:0.69~1.02、p=0.0840)。PD-L1陽性患者で25.0ヵ月 vs. 15.5ヵ月(HR:0.62、95%CI:0.45~0.86)であった。・ORRはITT解析対象で56% vs.46%、PD-L1陽性患者で59% vs.43%。完全奏効率はアテゾリズマブ併用群で高く、ITT解析対象で7% vs.2%、PD-L1陽性患者で10% vs.1%であった。・DOR中央値はITT解析対象で7.4ヵ月 vs. 5.6ヵ月、PD-L1陽性患者で8.5ヵ月 vs. 5.5ヵ月であった。・安全性プロファイル(452例/438例が解析対象)について、Grade 3 以上の有害事象で多くみられたのは好中球減少症(両群とも8%)、好中球数減少(5%/3%)、末梢神経障害(6%/3%)、倦怠感(4%/3%)、貧血(両群とも3%)であった。 オランダ・Netherlands Cancer InstituteのMarleen Kok氏は本結果について、「PFSのベネフィットは比較的小さく約2~3ヵ月であったが、PD-L1陽性患者におけるOSを約10ヵ月延長している点が印象的である。抗PD-(L)1抗体とどの化学療法の組み合わせが最適かについて多くの臨床試験が進行中であり、本結果はその疑問に答えを出すのに役立つだろう」と話している。

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扁平上皮NSCLCの1次治療、ペムブロリズマブ併用でOS、PFS延長/NEJM

 未治療の転移を有する扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)患者の治療において、ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)を化学療法と併用すると、化学療法単独に比べ全生存(OS)期間および無増悪生存(PFS)期間がいずれも有意に延長することが、スペイン・Hospital Universitario 12 de OctubreのLuis Paz-Ares氏らが行った「KEYNOTE-407試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2018年9月25日号に掲載された。転移を有する扁平上皮NSCLCの現在の標準的1次治療は、プラチナ製剤ベースの化学療法またはペムブロリズマブ(腫瘍細胞の≧50%がPD-L1を発現している患者)とされる。一方、非扁平上皮NSCLCでは、最近、プラチナ製剤ベース化学療法とペムブロリズマブの併用により、OS期間の有意な延長が報告されていた。化学療法との併用の効果をプラセボと比較 本研究は、日本を含む17ヵ国137施設が参加した二重盲検無作為化第III相試験(Merck Sharp & Dohmeの助成による)。今回は、2回目の中間解析の結果が報告された。 対象は、年齢18歳以上、病理学的にStageIVの扁平上皮NSCLCと確認され、転移病変に対する全身療法が行われておらず、全身状態(ECOG PS)が0または1の患者であった。 被験者は、ペムブロリズマブ(200mg)またはプラセボを、3週を1サイクルとしてDay 1に投与する群に1対1の割合で無作為に割り付けられた。全例が、1~4サイクルまで、カルボプラチンと、パクリタキセルまたはナブパクリタキセルの投与を受けた。5サイクル以降は、ペムブロリズマブまたはプラセボのみが投与され、最大で合計35サイクルまで治療が行われた。 主要エンドポイントはOSおよびPFSの2つとし、盲検化された独立の中央判定委員会により画像の評価が行われた。2016年8月~2017年12月の期間に559例が登録され、ペムブロリズマブ群に278例、プラセボ群には281例が割り付けられた。OS期間が4.6ヵ月、PFS期間は1.6ヵ月延長し、リスクが36%、44%低減 ベースラインの年齢中央値は、ペムブロリズマブ群が65歳(範囲:29~87歳)、プラセボ群も65歳(36~88歳)、男性がそれぞれ79.1%、83.6%であった。全体の63.1%がPD-L1発現率(tumor proportion score: TPS)≧1%であり、60.1%でパクリタキセルが選択され、19.0%が東アジア人であった。フォローアップ期間中央値は7.8ヵ月だった。 OS期間中央値は、ペムブロリズマブ群が15.9ヵ月(95%信頼区間[CI]:13.2~未到達)と、プラセボ群の11.3ヵ月(9.5~14.8)に比べ有意に延長した(ハザード比[HR]:0.64、95%CI:0.49~0.85、p<0.001)。1年OS率はペムブロリズマブ群が65.2%、プラセボ群は48.3%であった。PD-L1の発現状況(TPS<1%、≧1%、1~49%、≧50%)を含む、事前に規定された主なサブグループのすべてにおいて、ペムブロリズマブ群のほうがOSが良好であった。東アジア人のHRは0.44(95%CI:0.22~0.89)、その他の地域は0.69(0.51~0.93)だった。 PFS期間中央値は、ペムブロリズマブ群が6.4ヵ月(95%CI:6.2~8.3)であり、プラセボ群の4.8ヵ月(4.3~5.7)に比し有意に良好であった(HR:0.56、95%CI:0.45~0.70、p<0.001)。事前に規定された主なサブグループのすべてにおいて、ペムブロリズマブ群のほうがPFSが良好であり、PD-L1の発現が増加するにしたがってPFSの改善度が大きくなった(TPS<1%:6.3 vs.5.3ヵ月[HR:0.68、95%CI:0.47~0.98]、1~49%:7.2 vs.5.2ヵ月[0.56、0.39~0.80]、≧50%:8.0 vs.4.2ヵ月[0.37、0.24~0.58])。東アジア人のHRは0.49(95%CI:0.30~0.82)、その他の地域は0.58(0.46~0.73)だった。 奏効率は、ペムブロリズマブ群が57.9%(95%CI:51.9~63.8)、プラセボ群は38.4%(32.7~44.4)、奏効期間中央値は、それぞれ7.7ヵ月、4.8ヵ月であり、いずれもペムブロリズマブ群で良好だった。 両群とも、貧血(53.2 vs.51.8%)、脱毛(46.0 vs.36.4%)、好中球減少(37.8 vs.32.9%)の頻度が高かった。Grade3~5の有害事象の発症率は、ペムブロリズマブ群が69.8%、プラセボ群は68.2%であった。有害事象による治療中止の頻度は、ペムブロリズマブ群のほうが高かった(13.3 vs.6.4%)。免疫関連有害事象とinfusion reactionの発症率は、それぞれ28.8%(そのうちGrade3~5は10.8%)、8.6%(3.2%)であった。治療関連死はそれぞれ3.6%、2.1%にみられ、免疫関連有害事象による死亡は両群に1例ずつ認められた(いずれもGrade5の肺臓炎)。 著者は、「2回目の中間解析の結果であるため、フォローアップ期間が短いが、他の長期フォローアップ試験の結果から、ペムブロリズマブ群のベネフィットは、今後も維持または増大すると期待される」としている。

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デュルバルマブ、切除不能StageIII NSCLCのOS改善(PACIFIC)/NEJM

 切除不能StageIII 非小細胞肺がん(NSCLC)の標準治療はプラチナ併用化学療法と放射線療法の同時治療である(化学放射線同時療法、以下CCRT)。多くの研究が行われてきたものの、生存アウトカムは改善せず、5年生存率はわずか15~30%である。一方、前臨床試験において、化学放射線療法が腫瘍細胞のPD-L1の発現を増加することが示され、化学放射線療法後のPD-L1阻害薬の可能性が期待されていた。 そのようななか、切除不能StageIII NSCLCを対象にした、抗PD-L1抗体デュルバルマブ(商品名:イミフィンジ)によるCCRT維持療法を評価する無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験PACIFICが行われた。すでに1つ目の主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)が、昨年(2017年)発表され、デュルバルマブがPFSを有意に改善することが示された。今回2つ目の主要評価項目である全生存期間(OS)の有意な改善が、NEJM誌2018年9月25日号で発表された。・対象:化学放射線同時併用療法(CRT)後に進行していない切除不能StageIII NSCLC患者・試験薬:デュルバルマブ10mg/kg、2週ごと12ヵ月・対照薬:プラセボ、2週ごと12ヵ月・評価項目:[主要評価項目]盲検独立中央評価委員会判定によるPFS、OS[副次評価項目]死亡または遠隔転移までの時間、2回目の進行までに時間、安全性など 主な結果は以下のとおり。・713例が登録され、709例が介入試験の対象となった。そのうち、デュルバルマブ群に473例、プラセボ群に236例が割り付けられた。・追跡期間の中央値は25.2ヵ月(0.2~43.1)であった。・OS中央値は、デュルバルマブ群は未達、プラセボ群は28.7ヵ月と、デュルバルマブ群で有意に改善した(HR:0.68、99.73%CI:0.47~0.997、p=0.0025)。・24ヵ月OS率はデュルバルマブ群66.3%、プラセボ群55.6%であった。・PFSはデュルバルマブ群17.2ヵ月、プラセボ群5.6ヵ月と、初回報告同様デュルバルマブ群で改善(HR:0.51、95%CI:0.41~0.63)していた。(初回報告のPFS:デュルバルマブ群16.8ヵ月、プラセボ群5.6ヵ月)・副次評価項目である死亡または遠隔転移までの時間(TTDM)はデュルバルマブ群28.3ヵ月、プラセボ群16.2ヵ月とデュルバルマブ群で長かった(HR:0.53、95%CI:0.41~0.68)。・Grade3~4の有害事象はデュルバルマブ群の30.5%、プラセボ群の26.1%で発現した。治療中止に至った有害事象で最も頻度が高かったのは肺臓炎で、デュルバルマブ群では4.8%、プラセボ群では2.6%であった。 デュルバルマブはプラセボと比較し、有意に切除不能StageIII NSCLC 患者のOSを延長した。 なお、この試験結果は、同時に第19回世界肺癌学会(WCLC2018)で発表された。■参考PACIFIC試験(N Engl J Med. 2017)PACIFIC試験(Clinical Trials.gov)■関連記事デュルバルマブ、StageIII 肺がんCCRT患者のOSを改善/WCLC2018durvalumab維持療法、Stage III肺がんのPFSを有意に改善(PACIFIC)/ESMO2017

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アテゾリズマブ、小細胞肺がんのOS、PFS改善(IMpower133)/NEJM

 進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)患者の1次治療はプラチナ化学療法とエトポシドの併用だが、20年以上大きな進歩はみられておらず、全生存期間(OS)中央値は10ヵ月程度である。一方で、小細胞肺がんは腫瘍変異負荷が高いことから、免疫チェックポイント阻害薬の効果が期待されている。そこで、小細胞肺がんに対する、カルボプラチン・エトポシドへの免疫チェックポイント薬アテゾリズマブ(商品名:テセントリク)の追加効果を評価する第III相試験IMpower133が行われている。同試験の中間解析の結果がNEJM誌2018年9月25日号で発表された。アテゾリズマブ群のOSが有意に改善 IMpower133は、未治療のES-SCLC患者403例を対象とした無作為化プラセボ対照二重盲検第I/III相試験。・対象:全身治療未実施のES-SCLC患者(症状がない既治療のCNS病変を有する患者を含む)・試験薬:アテゾリズマブ+カルボプラチン+エトポシド、21日ごと4サイクル・対照薬:プラセボ+カルボプラチン+エトポシド、21日ごと4サイクル・評価項目:治験医師評価による無増悪生存期間(PFS)およびOS 主な結果は以下のとおり。・201例がアテゾリズマブ群に、202例がプラセボ群に無作為に割り付けられた。・追跡期間中央値は13.9ヵ月であった。・OSはアテゾリズマブ群12.3ヵ月、プラセボ群10.3ヵ月と、有意にアテゾリズマブ群で良好であった(HR:0.70、95%CI:0.54~0.91、p=0.007)。・1年OS率はアテゾリズマブ群52.7%、プラセボ群38.2%であった。・PFSはアテゾリズマブ群5.2ヵ月、プラセボ群4.3ヵ月と、有意にアテゾリズマブ群で良好であった(HR:0.77、95%CI:0.62~0.96、p=0.02)。・サググループをみてもこのアテゾリズマブ群で良好な結果であった。・安全性プロファイルは、すでに個々の薬剤で報告されているものと同様であった。 ES-SCLC患者の1次治療において、カルボプラチン・エトポシドへのアテゾリズマブの追加はOSおよびPFSを有意に改善した。 なお、この試験結果は、同時に第19回世界肺癌学会(WCLC2018)で発表された。

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brigatinib、ALK陽性肺がん1次治療の新たなオプションに?(ALTA-1L)/WCLC2018

 ALK阻害薬未治療の局所進行または転移のあるALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象に、brigatinibの有効性をクリゾチニブと比較した第III相ALTA-1L試験の最初の中間解析結果が、カナダ・トロントで開催された第19回世界肺癌会議(WCLC2018)で、コロラド大学がんセンターのRoss Camidge氏により発表された。 ALTA-1L試験は、上記患者を対象としたbrigatinibのオープンラベル多施設共同無作為化第III相試験。患者は、brigatinib 180mg/日(7日間の導入期間においては90mg/日)投与群、もしくはクリゾチニブ250mg×2/日投与群に1:1の割合で無作為に割り付けられた。 主要評価項目は独立評価委員会が評価した無増悪生存期間(PFS)で、副次評価項目には、客観的奏効率(ORR)、頭蓋内病変におけるORR、頭蓋内病変におけるPFS、全生存期間、安全性および忍容性が含まれている。PFSイベントの約50%および約75%が発生した時点の2回にわたり、主要評価項目に対する中間解析を行うことが事前に設定されていた。brigatinibが少なくとも6ヵ月クリゾチニブを上回るPFSの改善を示すために、合計約198件のPFSイベントが発生した時点で、主要評価項目の最終解析が行われる予定。 主な結果は以下のとおり。・brigatinib群に137例、クリゾチニブ群に138例の患者が組み入れられた。・年齢中央値はbrigatinib群58歳/クリゾチニブ群60歳。26%/27%に化学療法歴があり、29%/30%がベースライン時に脳転移を有していた。・データカットオフ(2018年2月19日)の追跡期間中央値は11.0ヵ月/9.25ヵ月。・99件のPFSイベント発生時点で独立評価委員会が盲検下で評価したPFS中央値は、brigatinib群NR(95%信頼区間[CI]:NR~NR)、クリゾチニブ群9.8ヵ月(95%CI:9.0~12.9)、ハザード比0.49(95%CI:0.33~0.74、log-rank検定:p=0.0007)で、brigatinib群で統計学的に有意に延長した。・confirmed ORRはそれぞれ71%(95%CI:62~78)、60%(95%CI:51~68)で、ベースライン時に測定可能な頭蓋内病変のあった患者のconfirmed ORRはそれぞれ78% (95%CI:52~94)、29%(95%CI:11~52)であった。・Grade3以上の治療下で発現した有害事象(TEAE)は、多くみられたものからbrigatinib群でCPK上昇(16.2%)、リパーゼ上昇(13.2%)、高血圧(9.6%)。 クリゾチニブ群でALT(9.5%)、AST(5.8%)、リパーゼ(5.1%)の上昇であった・間質性肺疾患(ILD)/肺炎の発現率は、3.7%/2.2%。AEによる治療中止は11.8%/ 8.8%で、brigatinib群の安全性プロファイルは、従来報告されているものと同様であった。 Camidge氏は、「9~11ヵ月という短期間のフォローアップの時点で、クリゾチニブと比較したbrigatinibの明らかな有効性が示されている。この差異は、脳転移に対する影響が大きいと考えられる。脳外の疾患制御に対する両剤の差異が今後現れなければ、PFSがさらに改善される可能性もある」と述べている。 この結果は、同時にNew England Journal of Medicine誌に掲載された。■参考NCT 02737501(Clinical Trials.gov)Camidge DR., et al.N Engl J Med. 2018 Sep 25.[Epub ahead of print]■関連記事brigatinib、ALK肺がん1次治療でPFSを有意に改善(ALTA-1L)/武田薬品工業クリゾチニブ抵抗性ALK肺がんにおけるbrigatinibの成績:ALTA/WCLC2017新ALK阻害薬brigatinib、ALK陽性肺がんに承認:FDA

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プラチナ+ペメトレキセドへのアテゾリズマブ併用、進行肺がん1次治療でPFS延長(IMpower132)/WCLC2018

 Stage IV非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療におけるペメトレキセドとプラチナ製剤の併用療法、およびペメトレキセドによる維持療法へのPD-L1阻害薬アテゾリズマブの上乗せ効果を検討した第III相IMpower132試験の結果が、カナダ・トロントで開催された第19回世界肺癌会議(WCLC2018)で、MDアンダーソンがんセンターのVassiliki A. Papadimitrakopoulou氏により発表された。 IMpower132試験は、化学療法未治療の進行非扁平上皮NSCLC患者(EGFR/ALK陰性)を対象とし、カルボプラチンまたはシスプラチンとペメトレキセド併用→ペメトレキセド維持療法群(PP群)と、カルボプラチンまたはシスプラチンとペメトレキセド併用+アテゾリズマブ→ペメトレキセド+アテゾリズマブ維持療法群(APP群)を比較したオープンラベル多施設共同無作為化第III相試験である。主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)。探索的評価項目はPD-L1発現状態による有効性であった。今回は、RECIST v1.1評価に基づくPFSとOS(中間解析)ならびに安全性データが発表された。 主な結果は以下のとおり。・APP群に292例、PP群に286例の患者が組み入れられた。・全身状態は、APP群の43%、PP群の40%で良好(ECOG PS 0)であった。・データカットオフ(2018年5月22日)の追跡期間中央値は14.8ヵ月であった。・PFS中央値は、PP群5.2ヵ月に対し、APP群7.6ヵ月とAPP群で統計学的に有意に延長した(ハザード比[HR]:0.60、95%信頼区間[CI]:0.49~0.72、p

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ロシュ、世界肺癌会議(WCLC2018)で新データを発表

 Roche社は、2018年9月6日、カナダのトロントで9月23~26日に開催される2018年第世界肺癌会議(WCLC/IASLC 2018)において、さまざまな肺がんを対象とした臨床開発プログラムの新データが発表される旨を公表した。同会議では、3つのLate Breakerと5つの口頭発表を含む10個のアブストラクトが受理されたとしている。 主要な発表は以下のとおり。・進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)初回治療の第III相IMpower133試験から、アテゾリズマブと化学療法(カルボプラチン+エトポシド)の併用の無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS))がPredsidentialシンポジウムで発表される。・進行非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)の初回治療における第III相IMpower132試験から、アテゾリズマブと化学療法(ペメトレキセド+プラチナ)の併用のPFSおよびOSの結果が発表される。・TKIナイーブのEGFR変異陽性NSCLCの患者における第Ib相試験から、エルロチニブ・アテゾリズマブ併用の長期の安全性と有効性の結果が発表される。・進行ROS1融合陽性NSCLCにおける新たな国際第II相STARTRK-2バスケット研究を含むプール解析から、entrectinibの安全性と有効性の結果が提示される。■参考Roche社メディアリリース

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NLRにより異なる大腸がんセツキシマブ・化学療法レジメンの生存期間/Clin Colorectal Cancer

 好中球・リンパ球比(NLR)は炎症マーカーであると共に、その上昇は腫瘍浸潤リンパ球の減少など抗腫瘍免疫の低下と関連している。4万例以上のさまざまな固形がんのシステマティックレビューとメタ解析において、NLRはすべてのがん種や、病期で予後不良と関連していることが報告されている。大腸がん(CRC)においても、NRL高値はCRCの予後不良の予測因子であることが、メタ解析で示されている。 転移を有するCRC(mCRC)に対するベバシズマブ・化学療法併用レジメンについては、NLRと臨床結果との関係が後ろ向き研究で報告されている。しかし、mCRCにおけるNLRとセツキシマブ・化学療法併用レジメンとの関連を調べた臨床研究はほとんどない。聖マリアンナ医科大学の砂川優氏らは、セツキシマブ・化学療法併用レジメンの1次治療における、NLRと同レジメンの臨床結果の関連と共に、NLRに影響する免疫関連遺伝子を評価するバイオマーカー研究を実施した。NLRは大腸がん患者の生存期間と有意に関連 セツキシマブ・化学療法併用レジメンによる1次化学療法の前向き臨床試験におけるKRAS野生型mCRC患者77例の組織サンプルからHTG EdgeSeq Oncologyバイオマーカーパネルで、354種の免疫関連遺伝子の発現レベルを測定した。NLRと臨床転帰との関連性は、スピアマンの順位相関係数を用いて評価した。さらに、生存と相関する上位100の遺伝子のなかで、低NLRと高NLR群間で、発現レベルが異なるものを調べるために、2サンプルt検定を行った。 NLRとセツキシマブ・化学療法併用レジメンとの関連を調べた主な結果は以下のとおり。・NLRデータは71例の患者から入手できた。・NLRは、無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)に関連していた(それぞれr=-0.24、p=0.040およびr=-0.29、p=0.010)。・NLRの中央値は2.68(0.78~9.95)であった。・PFS中央値は低NLR(2.68未満)で11.8ヵ月、高NLR(2.68以上)で9.1ヵ月と、低NRL群で有意に良好であった(p=0.036)・OS中央値は低NLR で42.8ヵ月、高NLR 26.7ヵ月と、低NRL群で有意に良好であった(p=0.029)。・低NLRと高NLR群間で発現レベルが有意に異なっていた遺伝子はLYZ、TYMP、CD68であった(t-test p<0.005、FDR p<0.15)。 セツキシマブ・化学療法レジメンによる1次治療において、NLRはmCRC患者の生存期間と有意に関連しており、マクロファージの活性に関連した遺伝子がNLRの高値とが関係することが明らかになった。※医師限定消化器がん最新情報ピックアップDoctors’ Picksはこちら

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EGFR変異肺がん、アファチニブ→オシメルチニブの治療シークエンスを評価/ベーリンガーインゲルハイム

 ベーリンガーインゲルハイムは、2018年8月9日、電子カルテなどの診療情報に基づき、EGFR変異陽性の進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者のシークエンシャル治療の影響を評価する、リアルワールド、レトロスペクティブ研究GioTagの登録を完了したと発表。1次治療アファチニブ2次治療オシメルチニブと、シークエンシャルにEGFR-TKIを投与された患者を登録する。当研究のデータは日本を含む10ヵ国204例で構成されている。 リアルワールドの設定において、EGFR変異陽性NSCLCの1次治療としてのアファチニブの治療に続いて、抵抗性のT790M変異陽性患者を対象にオシメルチニブを投与した治療期間を主要アウトカムとするこの研究は2017年12月に開始された。 同研究の目的は、これらのEGFR-TKIのシークエンシャル治療の方針と、それによる化学療法の使用開始時期を遅らせることへの影響に関する見識を示し、EGFR変異陽性NSCLCの治療方法に役立つ情報を提供すること。結果は今年後半に発表される予定。

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第3回 耳鼻科からのアモキシシリン・アセトアミノフェン 5日間の処方 (前編)【適正使用に貢献したい  抗菌薬の処方解析】

Q1 処方箋を見て、思いつく症状・疾患名は?細菌性中耳炎・・・12名全員 佐々木康弘耳鼻科医の処方であり、小児へのペニシリン系抗菌薬投与に加え、アセトアミノフェンの発熱および痛いときの指示から、細菌性中耳炎であると判断しました。急性副鼻腔炎,急性咽頭炎・扁桃炎 ふな3耳鼻科の処方であり、高用量アモキシシリンの処方やカルボシステインの併用があることから中耳炎を第1候補として考えます。ただし、併用薬がある場合や症状の聞き取り、医師の処方の傾向によっては、推測した疾患と異なる場合があるため、急性副鼻腔炎、急性咽頭炎・扁桃炎などの可能性も含めて柔軟に対応できるようにします。副鼻腔炎、中耳炎 中西剛明処方元が小児科であれば肺炎も念頭に入れるなど判断に迷うところですが、耳鼻科なので、副鼻腔炎か中耳炎を疑います。Q2 患者さんに確認することは? (通常の確認事項は除く)副鼻腔炎、中耳炎の症状 柏木紀久急性副鼻腔炎の場合: 鼻汁の色と、口呼吸やいびきがあるかどうか(鼻閉は2歳児ではわからないので)。急性中耳炎の場合: 痛みで眠れていないかどうか、最近、慢性副鼻腔炎や滲出性中耳炎になっていないか。医師からの指示内容 ふな3アモキシシリンの分割処方の可能性も考慮して、5日後の再受診を指示されているかどうか。カルボシステインだけが1日2回になっているため、そのような指示があったか、症状が合致しているか。アレルギーの有無 児玉暁人ペニシリンアレルギーと牛乳アレルギーの有無。痛みのある部位と昼の服用 中西剛明副鼻腔炎の可能性を考慮して眉間の痛みや頭痛、中耳炎であれば耳の痛みについて。昼の薬を保育園で飲ませるのか、家で飲ませるのか。症状や抗菌薬の服薬状況、通園 JITHURYOU中耳炎と推測して対応します。症状がいつ頃からあるのか鼓膜を切開しているかどうか。切開を何回も繰り返している場合、ペネム系内服やセフトリアキソンなどの点滴を検討した方がいいかもしれません。中耳炎を反復していないかどうか。抗菌薬を直近1カ月で使用していないか。集団保育、兄弟の有無。園児間や兄弟間では水平感染が起こりやすく、さらに集団保育ではアモキシシリンの耐性菌の分離頻度が高いため、薬剤変更を提案するのが良いと考えます。なお、保育所への通園は医師の確認が取れないうちは避けるようにしなければならないと思います。Q3 患者さんに何を伝える?抗菌薬を飲みきること 柏木紀久アモキシシリンとカルボシステインは飲みきるように伝えます。再受診を勧める 奥村雪男抗菌薬の治療期間についてDynamedTMで検索すると、2~5歳で中等度の症状がある場合、7日間の継続が推奨されているようなので、再受診して鼓膜所見を診断後、抗生物質の継続必要の有無を判断していただくことを勧めます。副作用と服薬の工夫 清水直明「お薬(アモキシシリン)の影響でお腹がゆるくなるかもしれません。そのために整腸剤も一緒に飲んでいただきますが、お腹が痛くなったり下痢がひどいようであればいつでも遠慮なく連絡してくださいね」「 1回に飲む量が多くなるので、そのまま飲むのが難しかったら、アイスやジャム、プリンなど好きなものに混ぜて飲ませてあげてくださいね」3日後の改善具合 荒川隆之3日間お薬を飲んでも良くならない場合は電話してもらうよう伝えます。「JAID/JSC感染症治療ガイド2014」(日本感染症学会・日本化学療法学会発行)などでも1次治療の効果判定は3日後が望ましいとされています。服薬時間 ふな3「アモキシシリンとエンテロノン®-Rは毎食後で処方されていますが、通園などでどうしても毎食後に服用できない場合は、朝・帰宅後・就寝前で構いませんので、必ず1日3回の服用を心がけてください」処方医はアモキシシリンの時間依存性やコンプライアンス向上を考慮して、アモキシシリンとエンテロノン®-Rを毎食後で処方したと思われます。ただし、添付文書上の用法は両薬剤とも食後に限定されていません。通園などで「お昼は飲めないから朝と夕だけ飲めばいい」と保護者が判断しないように、「食事にかかわらず、1日3回飲み続けることが重要」だと伝えたいです。日常生活での注意点 JITHURYOUアセトアミノフェンの使用方法(使用頻度)。できるだけ鼻汁をとること。菌量が多いと抗菌薬の活性が低下することが知られているので、ドレナージはするべきです。また、鼓室に鼻汁が流れ込むため鼻をすすることは避けるべきで、鼻のかみかたの指導も一緒に行いたいです。耳漏がある場合、ガーゼなどの交換すること。分泌液をそのままにしておくと、かぶれて炎症を起こす可能性があります。下痢をする可能性があるので、できるだけ消化の良いものを摂らせること。後編では、本症例の疑義照会をする/しない 理由を聞きます。

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BRCA変異乳がんに対するtalazoparibの第III相試験/NEJM

 ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害薬talazoparibは、標準化学療法と比較して、BRCA1/2遺伝子変異陽性進行乳がん患者の無増悪生存期間(PFS)を有意に延長した。患者報告アウトカムでも、talazoparibの優越性が示唆された。米国・テキサス州立大学MDアンダーソンがんセンターのJennifer K. Litton氏らが、第III相の無作為化非盲検試験(EMBRACA試験)の結果を報告した。talazoparibは第I相および第II相臨床試験において、BRCA1/2遺伝子変異陽性進行乳がんに対する抗腫瘍活性を示していた。NEJM誌オンライン版2018年8月15日号掲載の報告。talazoparibと医師選択による標準単剤化学療法を比較 EMBRACA試験は、2013年10月~2017年4月に、16ヵ国145施設で実施された。対象は、BRCA1/2遺伝子変異陽性の進行乳がん(切除不能局所進行乳がん、または転移のある乳がん)患者で、talazoparib(1mg/日)群もしくは医師選択による化学療法単剤(カペシタビン、エリブリン、ゲムシタビン、ビノレルビンのいずれか連続21日間投与)の標準治療群に2対1で割り付けられた。 主要評価項目はPFSとし、盲検下の独立した中央判定によって評価された。有効性の解析はintention-to-treat集団で実施した。talazoparibで無増悪生存期間が8.6ヵ月に延長 計431例が無作為化され、287例がtalazoparib群に、144例が標準治療群に割り付けられた。PFS中央値は、talazoparib群で標準治療群より有意に延長した(8.6ヵ月vs.5.6ヵ月、疾患増悪または死亡のハザード比[HR]:0.54、95%信頼区間[CI]:0.41~0.71、層別log-rank検定のp<0.001)。全生存期間の中間解析では、死亡HR中央値は0.76(95%CI:0.55~1.06、p=0.11)であった。奏効率は、talazoparib群が標準治療群より高値であった(62.6% vs.27.2%、オッズ比:5.0、95%CI:2.9~8.8、p<0.001)。 Grade3~4の血液学的有害事象(主に貧血)は、talazoparib群で55%、標準治療群で38%に発現し、Grade3の非血液学的有害事象の発現率は、それぞれ32%および38%であった。 患者報告アウトカムではtalazoparibが良好であり、全般的なQOLと乳がん症状スケールのいずれもtalazoparib群で改善し、臨床的に意義のある悪化までの期間が有意に遅延することが認められた。

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FDA、小細胞肺がんにニボルマブ承認。20年ぶり新薬/BMS

 Bristol-Myers Squibb社は、2018年8月17日、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)が、プラチナベース化学療法と1つ以上の他の治療ライン後に進行した、転移を有する小細胞肺がん(SCLC)の治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)から承認を受けたと発表した。この承認は、ニボルマブの第I/II相CheckMate-032試験の結果に基づくもの。 CheckMate-032試験は、プラチナベースの化学療法後に疾患進行したSCLC患者245例をニボルマブで治療した、進行中の多施設共同複数コホート非盲検試験。これらの患者は、PD-L1発現状態にかかわらず、ニボルマブ3mg/kgを2週間ごと、疾患進行または忍容できない毒性が発現するまで投与された。主要有効性評価項目は盲検化された独立中央評価委員会(BICR)評価による包括的奏効率(ORR)であった。ニボルマブ治療患者の治療期間中央値は1ヵ月(範囲:0〜44.2+ ヵ月)で、17%の患者が6ヵ月以上、9%の患者が1年以上ニボルマブの投与を受けた。 有効性は、プラチナベース化学療法と1つ以上の他の治療ラインの後に疾患進行した109例で評価された。この109例のBICR評価によるORRは12%(109例中13例)、部分奏効12例(11%)、完全奏効1例(0.9%)であった。奏効期間中央値は17.9ヵ月であった。安全性は245例全例で評価され、頻度の高い(20%以上)一般的な有害事象は、疲労(45%)、食欲減退(27%)、筋骨格痛(25%)、呼吸困難(22%)、悪心(22%)、下痢(21%)、便秘(20%)、咳嗽(20%)であった。頻度の高い(2%以上)重篤な有害事象は、肺炎、呼吸困難、胸水貯留および脱水であった。■参考Bristol-Myers Squibb社ニュースリリース■関連記事ニボルマブ、小細胞肺がんに単独およびイピリムマブ併用で有望な効果:CheckMate-032

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第2回 小児へのアモキシシリン 分2 10日間の処方 (後編)【適正使用に貢献したい  抗菌薬の処方解析】

前編 Q1処方箋を見て、思いつく症状・疾患名は?Q2患者さんに確認することは?Q3患者さんに何を伝える?Q4 疑義照会をする?しない?(状況によっては)疑義照会するアモキシシリンを分3にできないか疑義照会 荒川隆之アモキシシリンの1日3回投与をお勧めします。カルボシステインは通常体重1kgあたり0.02g製剤量を3回投与なので、処方から計算上は16.5kgとなります。2歳女児の平均体重10~13kgより少し大きいでしょうか?「JAID/JSC感染症治療ガイド2014」(日本感染症学会・日本化学療法学会発行)では、小児の咽頭・扁桃炎に対してアモキシシリンは10~20mg/kgを1日3回投与とありますので、16.5kgならば1回165~330mgを1日3回投与となります。本症例の場合、1回量は280mgとなり適正と考えられるのですが1日2回投与です。Wessels MR. Streptococcal pharyngitis. N Engl J Med. 2011; 364: 648-655. などにおいてもアモキシシリンは1日1~2回投与とありますが、アモキシシリンは時間依存性であり半減期が1.2時間と短いこと、また飲み忘れなども考え合わせると、JAID/JSCのガイドラインどおり1日3回10日間の投与が良いのではないかと考えます。母親の観点からの意見 わらび餅患児は保育園に通っているのでしょうか。保育園に与薬を依頼することができないのかもしれないですが、あのカサ高いアモキシシリン10%散を2歳児に飲ませることは大変で、分2だと1回飲ませるのに失敗したときのロスは大きいです。もう少し年齢が高ければ分2でも良いですが、1~2歳は必要性が理解できないので与薬が大変です。子供の普段の薬に対する忍容性がどうか、または保育園へ与薬依頼できるか母親へ確認し、分3にできるか医師に相談します。昼服用が可能なら疑義照会 柏木紀久保護者への確認で服薬支援が得られるならばRp.1~2を分3にするように疑義照会します。今回は昼服用を意図的に避けているようなので、お昼に服用できないとのことであれば「小児呼吸器感染症診療ガイドライン2011」(日本小児感染症学会)の「A群溶血性レンサ球菌による咽頭・扁桃炎の抗菌薬療法」の項、「推奨される抗菌薬療法」にある「アモキシシリン 30~50mg/kg/日 分2~3 10日間」から疑義照会しません。下痢対策 キャンプ人下痢を起こしやすいので、牛乳アレルギーなどがない場合は整腸剤の処方の検討も依頼します。アモキシシリン以外の処方について疑義照会 中西剛明アモキシシリン服用後にすぐに解熱する場合が多いので、他の薬は使わなくても済む可能性を患者さんに説明して、アモキシシリン以外の薬が不要という申し出があれば、処方取り消しのための疑義照会を行います。薬剤特有の臭いに配慮 中堅薬剤師1日3回、または4回投与を提案し、1日3回にするならばRp.2と合わせて朝・夕・寝る前で処方してもらいます。なお、アモキシシリンは開封後、時間経過すると次第に独特の臭いが強まりますので、開封後時間が経過していない商品で調剤します。あまり動きのない店舗であれば、分包品を採用します。小児の場合、矯味の問題でアドヒアランスが低下することはよくあるので、アモキシシリンの服薬アドヒアランスが低い子供にはセフェム系のセフジトレンピボキシルやセフジニルなどの提案も良いと思います。低カルニチン血症※を考慮して、ピボキシル基を含まないセフジニルを推奨することもあります。※ピボキシル基を有する抗菌薬によりカルニチン排泄が亢進し、低カルニチン血症に至ることがあり、小児(特に乳幼児)では血中カルニチンが少ないため、血中カルニチンの低下に伴う低血糖症状(意識レベル低下、痙攣など)に注意する3)。処方日数について 清水直明初回で10日分の処方は、抗菌薬の効果判定をせずに漫然と投与していると捉えられ、保険で査定される可能性があります。実際、私の勤務先では、初回投与で7日を超える抗菌薬の処方は査定されました。日数を短縮し(3~4日程度)、再度来院して1次効果を確認してから、継続投与の処方を行うほうが良いと考えます。疑義照会をしない分2投与は迷うが... 児玉暁人アモキシシリンの分2投与を疑義照会するかどうか迷うところです。「小児呼吸器感染症診療ガイドライン2011」の「A群溶血性レンサ球菌による咽頭・扁桃炎の抗菌薬療法」では分2~3となっているのと、Wessels MR. Streptococcal pharyngitis. N Engl J Med. 2011; 364: 648-655. にStreptococcal Pharyngitisの総説があり、アモキシシリン分2あるいは分1の記載もあることから、A群溶血性レンサ球菌であれば服用完遂を優先して分2のままでも良いかもしれません。協力メンバーの意見をまとめました今回の抗菌薬処方で患者さんに確認することは・・・(通常の確認事項は除く)ペニシリンアレルギーがあるか・・・5名溶連菌の検査を受けたかどうか・・・3名咽頭痛、苺舌など症状の有無・・・2名患者さんに伝えることは・・・アモキシシリンは症状が改善しても10日間しっかり飲みきること・・・12名全員小分けにして飲んだりアイスや乳製品などに混ぜてもよいこと・・・4名腹痛や下痢などの副作用について説明する・・・3名発熱時の水分補給の重要性を説明する・・・2名アモキシシリン以外は、症状によっては無理に服用する必要はないことを伝える・・・2名疑義照会については・・・(状況によっては)疑義照会する アモキシシリン分2処方について、患者背景を確認し、できれば分3~4になるよう疑義照会する・・・6名アモキシシリン以外の薬が不要との申し出があれば、処方取り消しの提案をする・・・1名下痢対策として、整腸剤の処方依頼をする・・・1名 疑義照会をしない アモキシシリンは分2でも分3と同様の効果が得られることが報告されているので、疑義照会しない・・・2名1)国立感染症研究所感染症情報センター. A群溶血性レンサ球菌咽頭炎とは. NIID国立感染症研究所.2)西本幸弘ら. 感染症により誘発される免疫疾患. 新領域別症候群25 感染症症候群(第2版)下. 2013: 742-748.3)(独)医薬品医療機器総合機構". ピボキシル基を有する抗菌薬投与による小児等の重篤な低カルニチン血症と低血糖について. "独立行政法人 医薬品医療機器総合機構.

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添付文書改訂:ゼルヤンツ錠/トレリーフ錠/リムパーザ錠【下平博士のDIノート】第7回

ゼルヤンツ錠5mg画像を拡大する<使用上の注意>過去の治療において、ほかの薬物療法(ステロイド、免疫抑制薬または生物製剤)による適切な治療を行っても、疾患に起因する明らかな臨床症状が残る場合に投与します。<用法・用量>導入療法では、通常、成人に、トファシチニブとして1回10mgを1日2回、8週間(効果不十分な場合はさらに8週間)投与し、維持療法では1回5mgを1日2回経口投与します。なお、維持療法中に効果が減弱した患者、過去の薬物治療において難治性の患者(TNF阻害薬無効例など)では、1回10mgを1日2回投与することができます。感染症リスクの増加が予想されるので、本剤とTNF阻害薬などの生物製剤や、タクロリムス、アザチオプリンなどの強力な免疫抑制薬(局所製剤以外)との併用はできません。<Shimo's eyes>関節リウマチ治療薬として用いられてきたJAK阻害薬のトファシチニブに、国の指定難病である潰瘍性大腸炎の適応が追加されました。潰瘍性大腸炎の国内患者数は、2016年までの10年間で約1.9倍に増えました。2016年11月にメサラジン錠(商品名:リアルダ錠1200mg)、2017年12月にブデソニド(同:レクタブル2mg注腸フォーム)が相次いで発売され、海外で広く使用されているベドリズマブ(同:エンタイビオ点滴静注)も2018年7月に承認取得しています。治療選択肢が増えることにより、治療の目標となる寛解導入や寛解維持が以前より容易になることが期待されます。また、個々の患者さんの症状・生活習慣・経済状況などに合わせた治療で、より患者さんのQOL向上が見込めるでしょう。トレリーフ錠/OD錠25mg画像を拡大する<用法・用量>通常、成人にゾニサミドとして、1日1回25mgを経口投与します。<Shimo's eyes>ゾニサミドはもともと抗てんかん薬として開発され、のちにパーキンソン病治療薬として開発された薬剤です。抗てんかん薬としてはエクセグランの商品名で、パーキンソン病治療薬としてはトレリーフの商品名で、効能・効果と用法・用量を区別して発売されています。レビー小体型認知症のパーキンソニズムは、パーキンソン病のパーキンソニズムと原因や症状が同じであることから開発が進められ、追加承認となりました。ゾニサミドは、ドパミンレベルを上昇させることで、レボドパの抗パーキンソン作用を増強・延長し、レビー小体型認知症に伴うパーキンソニズムを改善します。通常、レボドパ含有製剤との併用療法で使用されると予想できます。レビー小体型認知症に伴うパーキンソニズムを適応症とする初めての薬なので、患者さんの新たな選択肢として治療への貢献が期待されます。リムパーザ錠100mg/150mg画像を拡大する<使用上の注意>(1)本剤の術前・術後薬物療法としての有効性および安全性は確立していません。(2)アントラサイクリン系抗悪性腫瘍薬およびタキサン系抗悪性腫瘍薬を含む化学療法歴のある患者を対象とします。(3)承認された体外診断薬などを用いた検査により、生殖細胞系列のBRCA遺伝子変異(病的変異または病的変異疑い)を有することが確認された患者に投与します。<用法・用量>通常、成人にはオラパリブとして300mgを1日2回、経口投与します。なお、患者の状態により適宜減量します。100mg錠と150mg錠の生物学的同等性は示されていないため、300mgを投与する際に100mg錠を使用することはできず、100mg錠は減量時のみ使用します。<Shimo's eyes>オラパリブは、DNA損傷応答(DDR)機能を標的とした新規の作用機序を持つ、世界初のPARP阻害薬です。DNAの相同組換え修復機構が機能していないがん細胞に対して特異的に細胞死を誘導します。もともとは白金系抗悪性腫瘍薬感受性の再発卵巣がん治療薬として発売されましたが、今回の適応追加により、国内で初めて、BRCA遺伝子陽性の遺伝性乳がん治療薬として使用されることになりました。BRCA遺伝子は、アンジェリーナ・ジョリーさんが陽性であったことでも知られています。本剤は、悪心・嘔吐が高頻度で認められているため、服薬指導の際に、脱水が起こらないように水分補給や食事の工夫などのアドバイスができるとよいでしょう。

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オシメルチニブ、NSCLCのCNS病変への効果(AURA3)/JCO

 EGFR-TKI治療で疾患進行を来したEGFR T790M変異陽性の進行非小細胞肺がん(NSCLC)における第III相試験(AURA3)から、事前に設定されたCNS病変に対するオシメルチニブの有効性を化学療法(プラチナ+ペメトレキセド)と比較したサブ解析の結果を中国・Guangdong General HospitalのYi-Long Wu氏らがJournal of Clinical Oncology誌オンライン版2018年7月30日号で発表した。・対象:EGFR-TKIの1次治療で疾患進行したCNS転移のあるEGFR T790M変異NSCLC患者・試験群:オシメルチニブ80mg/日・対照群:化学療法(プラチナ+ペメトレキセド)3週ごと6サイクル・評価項目:[主要評価項目]盲検下中央独立判定によるCNS客観的奏効率(CNS ORR)[副次評価項目]CNS病勢コントロール率(CNS DCR)、CNS奏効期間(CNS DOR)、CNS無増悪期間(CNS PFS)、CNS腫瘍縮小 解析は、ベースライン時に測定可能および/または測定不可能なCNS病変のある患者を「全分析セット(CNS full analysis set)」、1つ以上の測定可能なCNS病変のある患者のみの「評価可能セット(CNS evaluable for response set)」の2グループで行われた。 主な結果は以下のとおり。・AURA3試験の全対象患者のうち、CNS病変を有する「全分析セット」は116例(オシメルチニブ群75例、プラチナ+ペメトレキセド群41例)、「評価可能セット」は46例(オシメルチニブ群30例、プラチナ+ペメトレキセド群16例)であった。・「評価可能セット」のCNS ORRはオシメルチニブ群70%、プラチナ+ペメトレキセド群31%であった(OR:5.13、95%CI:1.44~20.64、p=0.015)。・「全分析セット」のCNS ORRはオシメルチニブ群40%、プラチナ+ペメトレキセド群17%であった(OR:3.24、95%CI:1.33~8.81、p=0.014)。・「全分析セット」のCNS DORはオシメルチニブ群8.9ヵ月、プラチナ+ペメトレキセド群5.7ヵ月であった。・「全分析セットの」CNS PFSはオシメルチニブ群11.7 ヵ月、プラチナ+ペメトレキセド群5.6ヵ月であった(HR:0.32、95%CI:0.15~0.69、p=0.004)。

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パンクレリパーゼは膵がん患者の生存期間を延長する可能性

 パンクレリパーゼの投与により膵がん患者の生存期間が延長したことが、東京大学の斎藤 友隆氏らの研究によって明らかになった。Pancreas誌2018年8月号に掲載。 膵外分泌不全は膵がん患者の栄養状態を悪化させる疾患であるが、それに対する膵酵素補充療法の役割については評価が十分にされていない。そこで、膵がん患者への膵酵素補充療法の役割を評価するために、著者らは多施設非盲検ランダム化比較試験を実施した。 本研究では、化学療法を受けている切除不能な膵がん患者を、パンクレリパーゼ群と非パンクレリパーゼ群にランダムに割り当てた。パンクレリパーゼ群には、酵素活性が4万8,000ユニットのパンクレリパーゼを毎回の食事で投与した。ベースラインでは、NBT-PABA試験が行われた。主要評価項目は8週時点でのBMI変化、副次評価項目は全生存期間と8週時点での栄養状態変化とした。 主な結果は以下のとおり。・2014年5月~2016年5月の間で、88人の膵がん患者に対してNBT-PABA試験が行われ、患者の膵機能は通常の90%に低下していた。・8週時点でのBMI変化は、パンクレリパーゼ群で0.975、非パンクレリパーゼ群で0.980であり、両者に有意差は認められなかった。・栄養状態に関しても、両者で有意差は認められなかった。・全生存期間中央値は、パンクレリパーゼ群で19.0ヵ月、非パンクレリパーゼ群で12.0ヵ月であった。(p=0.070)

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