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侍オンコロジスト奮闘記~Dr.白井 in USA~ 第54回

第54回:ペムブロ・化学療法併用の第III相試験KEYNOTE-189キーワード肺がんメラノーマペムブロリズマブ動画書き起こしはこちら<このビデオレターは侍オンコロジスト#52の続編です>FDAの認可というと面白いところはですね。カルボプラチン、ペメトレキセド、ペムブロリズマブ(という)、従来の抗がん剤と免疫チェックポイント阻害薬の併用がアメリカで認可になったという話をしたと思うんですけど、これ実はFull Approvalではなくて、Conditional Approvalという形になっています。それはなぜかというと、臨床試験の結果はポジティブに出たけど、これはRandomized PhaseIIの結果であったからですね。(そのよう中)今回、メルクからのプレスリリースで、PhaseIIIでも同じようにポジティブなったという報告がありました。実際の数字はまだ見ていないので、PhaseIIと同じくらいポジティブな…StageIVの肺がん患者さんに対してカルボプラチン、ペメトレキセド、ペムブロリズマブを使った群のProgression Freee Survivalは13ヵ月を超えるという結果が出たんですけれども…これに準ずるぐらい凄い結果が出るのか、ちょっと覗いてみたいですね。Merck社プレスリリースMerck’s KEYTRUDA(pembrolizumab) Significantly Improved Overall Survival and Progression-Free Survival as First-Line Treatment in Combination with Pemetrexed and Platinum Chemotherapy for Patients with Metastatic Nonsquamous Non-Small Cell Lung Cancer (KEYNOTE-189)ペムブロリズマブ、化学療法併用でNSCLC1次治療のOS延長(第III相KEYNOTE-189)Langer CJ, et al. Carboplatin and pemetrexed with or without pembrolizumab for advanced, non-squamous non-small-cell lung cancer: a randomised, phase 2 cohort of the open-label KEYNOTE-021 study. Lancet Oncol. 2016;17:1497-1508.

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「1日でも長く生きたい…」ある乳がん患者の想い

第6回日本HBOCコンソーシアム学術総会 市民公開講座のシンポジウムにパネリストとして参加した塩崎 良子氏に乳がん治療に対する想いと今後について話を伺った。 まず家族歴などの背景と乳がん診断までのプロセスについて教えてください。親族の中で乳がんになったのは祖母だけですが、それ以外の親族も40代でがんを発症するケースが多く、いわゆる「がん家系」であると漠然と思っていました。ただ、遺伝子についてとくに意識したことはなく、食生活など生活習慣に原因があるのかなと思っていました。私自身が乳がんの診断を受けたのは4年前、33歳の時です。リンパ節にも転移が認められ、サブタイプ分類はトリプルネガティブでした。その後どのような診療プロセスを経ましたか?2種類の抗がん剤治療を行いましたが、2つ目の抗がん剤の効果が不十分だったため、化学療法を中止し、右胸の全摘手術を行いました。そこで、いったん治療は終了し、経過観察となりましたが、無治療の状態に不安を感じ、1日でも長く生きるために何かできることはないかと自分で治験情報を探していました。その中でPARP阻害薬の情報を見つけ、主治医に依頼して治験を実施している聖路加国際病院への紹介状を書いてもらいました。治験に参加するために遺伝子検査を行ったところ、検査結果はBRCA遺伝子変異陰性だったので、治験には参加できず、放射線治療を行った後、再び経過観察となりました。遺伝子検査の結果を聞いてどのように思いましたか?その時は何か治療をしたいという気持ちだったので、治験に参加できないことにがっかりしました。乳がん診断当時は、乱れた生活習慣のせいではないかと自分を責めたこともあり、がんの原因が遺伝子にあるのなら自分を責める気持ちも軽くなったのにと考えたこともあります。もしかすると、BRCA遺伝子以外の変異があるのかもしれません。ただ、改めて考えてみるとBRCA遺伝子変異陽性でも陰性でも良いことも悪いこともあり、どちらの場合もできることをやるだけだと思い直しました。現在はどのような生活を送られていますか?今は経過観察中ですが、骨が痛むと骨転移を、記憶力の低下を感じると脳転移を疑うなど、転移に対する不安は常にあります。ただ、時間が経つにつれて徐々に不安との付き合い方がわかってきました。また、治験への参加を希望していたPARP阻害薬オラパリブが卵巣がんに対して承認を取得したことはとても前向きなニュースで、未来への希望を与えてくれました。現在は、自ら立ち上げたケア・介護用品事業を軌道に乗せるために忙しい日々を送っています。どのような経緯で事業を立ち上げられたのでしょうか?もともとおしゃれが大好きで、がんになる前はアパレル業を営んでいました。がん発症後は、自分を取り巻く環境や外見の変化に戸惑い、ときには将来への不安や死への恐怖に襲われ、自分自身についても見つめなおす日々が続きました。そんな中、主治医から、乳がん患者が登壇するファッションショー開催の勧めがありました。ショー開催にあたっては色々な不安がありましたが、ランウェイで堂々と歩くがん患者の女性たちの姿に、表面的ではない真の美しさを見た気がしました。そこから「自分が本当にやりたいことは何か?」を模索する中で、既存のケア・介護用品は、ワンパターンでいかにも病人といったデザインが多いことに気付きました。闘病中でも自分らしく輝いて生きていくためのお手伝いをしたいと考え、おしゃれなケア・介護用品ファッションブランド「KISS MY LIFE」を立ち上げました。また病院内でも買い物を楽しむ事ができ、コミュニティーの場所にもなる、院内店舗やワゴンショップの運営事業もあわせて行っています。最後にHBOCを診療する先生へメッセージをお願いします。治療中の患者にとって、主治医はとても大きな存在のため、治験のために転院したいと申し出ることはとても勇気が必要でした。お世話になっている先生の元から自ら離れることは寂しく、葛藤もありました。やりとりを重ね、最終的には転院をすることになりましたが、そのハードルが下がるといいなという気持ちがあります。また、病院の外来はいつもとても混んでいて、多くの患者さんが順番を待っている中で聞きたいことをなかなか聞けなかった経験があるので、気軽に質問したり、不安なことを相談できるような窓口があるといいなと思います。【インタビューを終えて】朗らかで柔らかい雰囲気を持つ塩崎さんだが、言葉の端々に「1日でも長く生きるためにできることは何でもする」という命への強い思いを感じた。機能性が重視されがちな闘病生活に、輝きや美しさといった新しい概念を持ち込んだのは、アパレル業と闘病生活の両方を経験した塩崎さんならではの視点によるものである。今回のインタビューを通じて、自分の強みを生かしてほかの人の役に立ちたいと行動する塩崎さんの前向きな姿勢に勇気づけられた。■参考リンクTOKIMEKU JAPAN

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レンバチニブ vs.ソラフェニブ、切除不能肝細胞がん初回治療/Lancet

 切除不能肝細胞がんの初回治療において、レンバチニブはソラフェニブに対し全生存期間(OS)の非劣性が認められた。また、レンバチニブの安全性および忍容性プロファイルは、これまでの研究と一致していた。近畿大学の工藤 正俊氏らが、国際多施設共同無作為化非盲検第III相非劣性試験(REFLECT試験)の結果を報告した。切除不能肝細胞がん患者の初回全身療法として承認されているのはソラフェニブのみであり、新しい治療薬の開発が望まれていた。レンバチニブは、VEGF受容体(VEGFR)であるVEGFR1~3、FGF受容体(FGFR)であるFGFR1~4、PDGF受容体α、RET、KITを標的とするキナーゼ阻害薬で、第II相試験において肝細胞がんに対する有効性が示唆されていた。Lancetオンライン版2018年2月9日号掲載の報告。レンバチニブとソラフェニブで全生存期間を比較 REFLECT試験は、アジア太平洋、ヨーロッパおよび北米の20ヵ国、計154施設で実施された。対象は、全身化学療法歴のない切除不能肝細胞がん患者である。音声自動応答システム/Web登録システムを用い、地域、肉眼的門脈侵襲(MVI)、肝外転移(EHS)、MVI・EHS、ECOG-PS、体重を層別化因子として、レンバチニブ群およびソラフェニブ群に1対1の割合で無作為に割り付けた。 レンバチニブ群では、体重60kg以上には12mg/日、60kg未満は8mg/日、ソラフェニブ群は1回400mgを1日2回、28日ごとに経口投与した。 主要評価項目は、無作為割り付け日から全死因死亡日までのOSであった。有効性はintention-to-treat集団、安全性は治療を受けた患者のみを解析対象集団とした。また、非劣性マージンは1.08とした。レンバチニブ群13.6ヵ月、ソラフェニブ群12.3ヵ月、OS中央値は非劣性 2013年3月1日~2015年7月30日に1,492例が登録され、適格患者954例が割り付けられた(レンバチニブ群478例、ソラフェニブ群476例)。OS中央値は、レンバチニブ群13.6ヵ月(95%信頼区間[CI]:12.1~14.9)、ソラフェニブ群12.3ヵ月(95%CI:10.4~13.9)、ハザード比0.92(95%CI:0.79~1.06)で、非劣性基準を満たした。 頻度が高かった有害事象(全グレード)は、レンバチニブ群では高血圧201例(42%)、下痢184例(39%)、食欲低下162例(34%)、体重減少147例(31%)、ソラフェニブ群では手足症候群249例(52%)、下痢220例(46%)、高血圧144例(30%)、食欲低下127例(27%)であった。

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ニボルマブ・イピリムマブ併用、TMB高レベルNSCLCの1次治療でPFS優越性示す(CheckMate-227)

 ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(米国ニューヨーク/CEO:ジョバンニ・カフォリオ)は2018年2月5日、進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者の1次治療でニボルマブ(商品名:オプジーボ)とイピリムマブ(商品名:ヤーボイ)の併用療法と化学療法を比較したIII相CheckMate-227試験で、腫瘍遺伝子変異量(TMB)高レベル(10変異/メガベース以上、以下mut/mb)の患者において、PD-L1発現の有無にかかわらず、同併用療法が無増悪生存期間(PFS)の評価項目を達成したと発表。 CheckMate-227試験は、1次治療の進行NSCLC患者2,500例以上を対象に、非扁平上皮および扁平上皮がんにわたり無作為に割り付け、ニボルマブを含むレジメンとプラチ・ダブレットレジメンを比較評価したオープンラベル第III相試験。このプログラムは、Part 1a、Part 1b、Part 2の3つのPartで構成されており(Part 1aはPD-L1陽性患者を対象に、ニボルマブ・イピリムマブ併用療法およびニボルマブ単独療法を化学療法と比較、Part 1bはPD-L1陰性患者を対象に、ニボルマブ・イピリムマブ併用療法およびニボルマブ・化学療法の併用療法を化学療法と比較)、今回の発表は、Part 1全体の解析結果に基づいたもの。 Part 1の主要評価項目は、PD-L1陽性患者におけるOSと、PD-L1発現の有無にかかわらない高TMB患者におけるPFS。当試験では、TMB評価可能な患者のうち、約45%が高レベル(10mut/mb以上)のTMBを有していた。ニボルマブとイピリムマブの併用療法の安全性プロファイルは、NSCLCの1次治療でこれまでに報告されているものと一貫していた。■参考CheckMate-227試験(Clinical Trials.gov)

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再発性B細胞性ALL、CAR-T療法での長期転帰/NEJM

 新たな細胞免疫治療であるCD19特異的キメラ抗原受容体(CAR)発現T細胞療法は、再発性B細胞性急性リンパ芽球性白血病(ALL)の小児および成人患者で、70~90%という良好な完全寛解率が示されている。しかし、これらの試験の多くはフォローアップ期間が相対的に短く、長期的な寛解の予測因子と考えられる背景因子の解析は行われていない。そこで、米国・メモリアル・スローン・ケタリングがんセンター(MSKCC)のJae H. Park氏らは、CD19 CAR T療法を受けたALL成人患者の第I相試験の長期フォローアップを行い、その結果をNEJM誌2018年2月1日号で報告した。単施設での再発性B細胞性ALLの第I相試験 研究グループは、MSKCCにおいて、再発性B細胞性ALLの成人患者を対象に、19-28z CAR発現自己T細胞注入の第I相試験を行った(Commonwealth Foundation for Cancer Researchなどの助成による)。 安全性および長期転帰の評価を行い、これらと人口統計学的特性、臨床的特性、疾患特性との関連を評価した。2010年2月~2016年6月に再発・難治性B細胞性ALLの成人登録患者53例が、MSKCCで作製された19-28z CAR T細胞の注入を受けた。 ベースラインの年齢中央値は44歳(範囲:23~74)で、18~30歳が14例(26%)、31~60歳が31例(58%)、60歳超は8例(15%)であった。前治療数は2が21例(40%)、3が13例(25%)、4以上は19例(36%)であった。同種造血幹細胞移植歴のある患者は19例(36%)、フィラデルフィア染色体陽性は16例(30%)だった。疾患負荷が小さい患者は、安全性と有効性が良好 完全寛解は44例(83%、95%信頼区間[CI]:70~92)で得られた。微小残存病変(MRD)の評価が可能であった48例のうち、MRD陰性の完全寛解例は32例(67%、95%CI:52~80)であった。移植の有無、前治療数、移植前化学療法のレジメン、年齢、CAR T細胞の用量の違いによる、完全寛解率の有意な差はなかった。 サイトカイン放出症候群は45例(85%)で発現し、そのうち重度(Grade≧3)は14例(26%)で、多臓器不全を併発した1例が死亡した。神経毒性は、Grade2が1例(2%)、Grade3が19例(36%)、Grade4が3例(6%)に認められたが、Grade5や脳浮腫はみられなかった。 疾患負荷が大きい(骨髄芽球≧5%または髄外病変を有する)患者は、小さい(骨髄芽球<5%)患者に比べ、重度のサイトカイン放出症候群(p=0.004)および神経毒性イベント(p=0.002)のリスクが高かった。 フォローアップ期間中央値29ヵ月(範囲:1~65)の時点で、無イベント生存期間中央値は6.1ヵ月(95%CI:5.0~11.5)、全生存期間中央値は12.9ヵ月(95%CI:8.7~23.4)であった。MRD陰性完全寛解例はMRD陽性完全寛解例/非奏効例に比べ、無イベント生存期間中央値(p<0.001)および全生存期間中央値(p<0.001)が有意に優れた。 治療前の疾患負荷が小さい患者では、大きい患者に比べ、無イベント生存期間中央値(10.6ヵ月[95%CI:5.9~未到達]vs.5.3ヵ月[95%CI:3.0~9.0]、p=0.01)および全生存期間中央値(20.1ヵ月[95%CI:8.7~未到達]vs.12.4ヵ月[95%CI:5.9~20.7]、p=0.02)が有意に延長した。 著者は、「コホート全体の全生存期間中央値は12.9ヵ月で、疾患負荷が小さい患者では20.1ヵ月であった。また、疾患負荷が小さい患者では、サイトカイン放出症候群と神経毒性イベントの発現率が著明に低かった」とまとめている。

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「正しいからではなく自分がどう生きたいか」あるHBOC患者の選択

第6回日本HBOCコンソーシアム学術総会 市民公開講座で、患者の立場から講演を行った冨田 多香音氏に、HBOCとの向き合い方について話を伺った。 まず家族歴などの背景と乳がん診断までのプロセスについて教えてください。父方の祖母と妹が40代で乳がんを発症しており、また乳がん発症後に家族歴を調べる過程でわかったことですが、父の従妹2人が30代と40代で乳がんを、父方の叔母が50代で卵管がんを発症していました。乳がん検診は毎年受けていましたが、2011年、47歳の時に右胸のハリと右脇の違和感を覚えて、クリニックを受診したところ、5cmの腫瘍が見つかり、リンパ節にも転移していました。サブタイプ分類はトリプルネガティブでした。妹が乳がんを発症した際に家族性腫瘍を疑われていたので、漠然と自分も乳がんになるかもしれないと思っていましたが、妹の発症から1年も経たないうちに、しかも毎年検診を受けていたのにもかかわらず、発見された時にはすでに5cmもの大きさになっていたことにショックを受けました。その後、どのようなプロセスで遺伝性乳がん卵巣がん症候群(以下HBOC)と向き合っていかれたのでしょうか?まず、聖路加国際病院で半年間の術前化学療法を受けました。治療当初は抗がん剤の有効性や副作用、そして治療と仕事の両立などで頭がいっぱいで、HBOCや遺伝カウンセリングについて説明はありましたが、そこまで考える余裕はありませんでした。化学療法終了後、術式決定の参考になるかもしれないからと主治医から再度勧められたため、遺伝カウンセリングを受けることにしました。カウンセリング前に自分でもHBOCについて勉強しようとたくさんの本を読みあさりましたが、どの本にも情報が少なく、リスク低減手術に関しては、判で押したように「日本では一般的ではない」と書かれているのみでした。ここで、私は「本はダメだ。インターネットなら何か出ているかもしれない」と思い、インターネットで調べました。すると、ようやく2つの有用な情報が見つかりました。1つ目はNCCN ガイドラインでした。医療者ではない私には、どこを読めば良いかわからなかったため、ガイドラインをすべて読みました。そして、その中に「BRCA遺伝子変異陽性の場合にはリスク低減手術を検討すべき」という記述を見つけました。そして2つ目はHBOC患者であるアメリカ人女性の手記です。そこには遺伝子検査から治療、リスク低減手術までの過程が詳しく書かれていました。アメリカでは10年も前からリスク低減手術が行われているのに、なぜ日本ではほとんど行われていないのか、不思議に思った覚えがあります。遺伝カウンセリングを受けてよかったことは何でしょうか?正しい情報を得られたことはもちろんですが、最もよかったことは将来への希望を得られたことです。遺伝カウンセリングを受けるまでは、費用が高いことやそのメリットがわからなかったので、遺伝子検査を受けようとは思っていませんでした。しかし、カウンセリングの中で、BRCA遺伝子変異陽性の場合には重点的にフォローを受けられること、現在治験中の薬剤があること、リスク低減手術は乳がんの手術と同時に受けられることがわかり、カウンセリング室から出るときには、すでに遺伝子検査を受けることを決めていました。遺伝子検査の結果から、すぐにリスク低減手術を受けることを決断できましたか?検査結果が出る前から、陽性の場合には卵巣・卵管のリスク低減手術は受けようと決めていました。なぜなら36歳で卵巣のう腫の手術を受けたとき、がんのマーカーの値が非常に高く卵巣がんが疑われたことがあり、卵巣がんの怖さを知っていたからです。一方、対側の乳房切除については、とても迷いました。ただ、時間的猶予はそれほどなく、手術日がすでに決まっていたため、遺伝子検査から結果が出るまでの約1週間で決断する必要がありました。これまでの人生の決断と同様に、メリットとデメリットを紙に書き出して整理してみたものの、頭の中でぐるぐる回って自力では決断することができなかったため、友人にたくさん話を聞いてもらいました。また、形成外科の先生に乳房再建について相談した際に「片方だけ再建するよりも両方再建するほうが仕上がりがきれいになる」と言われ、それまで見た目のことまで意識が向いていなかったため、目から鱗が落ちました。最後まで自分の中でひっかかっていたのは、まだ病気になっていない部分を切除することが倫理的にどうなのかという点でしたが、自分の好きなように決めていいのだなと、先生の言葉で肩の力が抜けた気がしました。最終的には、元気に過ごせる時間をできるだけ長く維持したいという気持ちが大きく、右側の乳がん切除手術の際に、対側の乳房と卵巣・卵管も予防的に切除することにしました。遺伝子検査の結果は、予想どおり陽性でしたが、「やっぱり」という気持ちが大きく、悲しいという気持ちは湧いてきませんでした。むしろがんの原因がわかってすっきりしたことを覚えています。乳がん告知を受けてから現在までを振り返っていかがですか?HBOCの情報に触れ、遺伝カウンセリングを受ける機会に恵まれ、すべての偶然が重なって今の自分があります。適切な病院選びを始め、それぞれのポイントで1つでも違う選択をしていたらここにいることはないと思います。適切なタイミングで適切なアドバイスをしてくださった医師および医療関係者、そして私の話を根気強く聞いてくれた家族、友人に感謝しています。私がHBOCと診断された頃と比較すると、日本でもHBOCを診療する施設が増え、入手できる情報も増えてきました。ただ、実際にリスク低減手術を受けた当事者の経験が聞ける機会はほとんどないようです。そのため、BRCA遺伝子変異陽性の方から「リスク低減手術を受けてどうだったのか?」と相談や質問を多く受けます。そのような方々のために自分の経験をお話しすることで、少しでも不安を軽減できたらと思っています。最後にHBOCを診療する先生へメッセージをお願いします。私自身、正しい情報から自分の状況を客観的に把握でき、将来への希望を持つことができたので、遺伝カウンセリングを受けて本当によかったと感じています。ただ、患者さんは目先の治療のことで頭がいっぱいで、遺伝について考える余裕がないことも多いと思います。ですので、患者さんの気持ちの余裕があるタイミングで、複数回にわたってカウンセリングを勧めていただければ幸いです。また、カウンセリングを受けやすい態勢も重要だと思います。HBOCは一生付き合っていかなければならない疾患なので、患者さんが望むときに客観的な情報が得られる窓口があると、多くの患者さんに安心感を与えられるのではないでしょうか。【インタビューを終えて】HBOCという疾患を抱えつつも、現実を受け止め、力強く前向きに生きる姿に勇気付けられた。今後、医療技術の発展に伴い遺伝医療を受ける患者さんが増えていくことが予想されるが、日本ではまだ遺伝医療に対する理解が十分であるとは言えない。科学的な知識を踏まえつつ、患者さん一人ひとりの価値観を最大限尊重し、その価値観に沿った意思決定が行えるよう手助けをすることが重要であると、今回のインタビューを通じて感じた。

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Dr.大山のがんレク!すべての医療者に捧ぐがん種別薬物療法講義(下巻)

第7回 頭頸部がん 第8回 食道がん 第9回 肝胆膵がん 第10回 婦人科がん 第11回 泌尿器がん 第12回 造血器腫瘍 第13回 脳腫瘍 第14回 緊急症 第15回 緩和ケア がん化学療法が一般的な治療となり、一般内科でもがん患者を診る機会が多くなりました。この番組では、がん種ごとに、基本的知識、ステージ、主な治療法、化学療法とその副作用をコンパクトに解説。下巻では7つのがんとオンコロジックエマージェンシー、緩和ケアを収録。すべての医療者が自信を持ってがん患者と向き合えるための知識を、腫瘍内科 大山優先生がレクチャーします!第7回 頭頸部がん 咽頭、口腔、鼻腔など発現部位によって予後や治療法が異なる頭頸部がん。技術的・機能的に可能な場合は外科的切除、不可能な場合はケモラジ、すなわち放射線治療と化学療法の合わせ技で対応します。発見前には舌の違和感や出血などで来院することもあり、治療後には口腔内の合併症など、一般医のフォローも必要ですので、ぜひポイントを押さえてください。 第8回 食道がん 食道がんの手術後には、吻合部が狭窄し、嚥下障害を起こすことがあります。唾液が飲み込めないなど、生活に支障を来す患者のQOL改善には一般内科医のフォローが必須!食道がんは気管、大動脈、心膜、椎体に接するため、浸潤しやすいのが恐ろしい点です。症状のある患者は進行している場合が多く、治癒率も高くないなど、基礎知識も押さえておきましょう。第9回 肝胆膵がん 肝胆膵がんは病態が多様で、患者ごとの治療選択がとても重要です。肝がんは慢性肝炎や肝硬変の進行具合によって治療が異なり、殺細胞薬はほとんど効果がないこと、膵がんは早期発見が難しく約4%の患者しか完治できないことなど、一般内科医でもこれだけは知っておきたい肝胆膵がんの基本的知識、治療方法、副作用をコンパクトに解説します。第10回 婦人科がん 今回は子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんをぎゅっとまとめてレクチャー。この3つは共通してカルボプラチンとパクリタキセルを使用した化学療法を行います。これだけでも覚えておきたいポイントです。そのほかHPV(ヒト乳頭腫ウイルス)など、一般内科医にも最低限知っておいてほしい婦人科がん知識をお伝えします!第11回 泌尿器がん 今回は腎がん、尿路上皮がん、前立腺がん、精巣がんをまとめてレクチャーします。泌尿器がんは患者によって進行のスピードや薬剤反応性などに大きな個人差があるのが特徴です。とくに前立腺がんは緩徐進行性のため治療不要となる場合があり、PSA検診の可否が問題となっています。新薬開発の目覚しい化学療法や、QOL確保のための膀胱温存療法、ホルモン療法など、一般内科医でも知っておきたいがん知識が満載です!第12回 造血器腫瘍 造血器腫瘍は遺伝子レベルで病型が細分化され、新薬の登場とともに、治療も複雑化しています。急性白血病や悪性リンパ腫でも、化学療法は比較的有効で、的確な治療と全身管理によって完治できるタイプもあります。初診時に見逃してはならない、メディカルエマージェンシーのポイントを解説します!第13回 脳腫瘍 脳腫瘍は原発性と転移性に分けられます。原発性の悪性腫瘍は境界が不明瞭なため完全摘出が難しく、手術後に化学放射線療法を行います。転移性脳腫瘍は、原発腫瘍の部位や状態によって治療方法が異なります。なかでも、EGFR遺伝子変異性肺がんのように化学療法高度感受性の原発腫瘍の場合は、転移巣も化学療法が有効となるケースがあります。このように最近は脳腫瘍でも長期予後が期待できる場合もあるので、脳腫瘍治療のエッセンスを一通り覚えておきましょう!第14回 緊急症 がん患者の容態悪化、Oncologic Emergencyに対応できますか?一般内科でも外来でがん治療中の患者に遭遇する機会が多くなりました。専門医でなくとも、抗がん剤の副作用や合併症に対応しなければなりません。今回は一般内科医でも是非知っておいてほしい、経過観察してはいけないがんの緊急症について解説します!第15回 緩和ケア 最終回はがん診療においては必須となる緩和ケア。とくに疼痛治療の要となるオピオイドについて、開始方法や副作用を説明します。一般内科でも疼痛ケアや術後のフォローなどを行う機会が増えています。これだけは知っておきたい緩和ケア知識をぜひチェックしてください。

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ブルーリボンキャラバン~もっと知ってほしい大腸がんのこと2018 in東京~【ご案内】

 東京医科歯科大学医学部附属病院 消化器化学療法外科、同院 大腸・肛門外科、同院 腫瘍センター、同大学院 応用腫瘍学講座、同大学院 未来がん医療プロフェッショナル養成プランは、認定NPO法人キャンサーネットジャパンと共催で、2018年3月3日(土)に大腸がん疾患啓発イベント「ブルーリボンキャラバン」を開催する。同イベントは、大腸がんの診断・検査から外科的治療・薬物療法について広く知ってもらうことを目的に、国際的な大腸がん啓発月間でもある3月に毎年開催されている。会場は、東京医科歯科大学M&Dタワー 2階 鈴木章夫記念講堂。当日は来場者全員にオリジナル冊子「もっと知ってほしい大腸がんのこと」のプレゼントがあり、ブルーを身に着けて来場した方には粗品も用意されている。 開催概要は以下のとおり。【日時】 2018年3月3日(土)《セミナー》 13:00~16:50《ブース展示》12:00~17:00【場所】 東京医科歯科大学 M&Dタワー 2階 鈴木章夫記念講堂 〒113-8510 東京都文京区湯島1-5-45【参加費】 無料【予定内容】《セミナー》 総合司会 石黒 めぐみ氏(東京医科歯科大学大学院 応用腫瘍学講座) 13:00~13:05 開会挨拶   三宅 智氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍センター センター長) 13:05~13:20 講演(1) 「15分で学ぶ!大腸がんの基礎知識」  植竹 宏之氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 消化器化学療法外科 科長) 13:20~13:45 講演(2) 「大腸がんの手術療法~開腹手術からロボット手術まで~」  絹笠 祐介氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 大腸・肛門外科 科長) 13:45~14:10 講演(3) 「大腸がんの内視鏡診断・治療、最前線!」  福田 将義氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 光学医療診療部) 14:10~14:30 休憩(20分) 14:30~14:45 講演(4) 「転移・再発のある大腸がんの治療方針~治療の目的を考える~」  石川 敏昭氏(東京医科歯科大学医学部附属病院 消化器化学療法外科) 14:45~15:05 体験談 「肝臓切除への選択~希望と不安~」  野城 郁郎氏(大腸がん経験者) 15:05~15:30 講演(5) 「大腸がん肝転移に対する手術治療」  齋浦 明夫氏(がん研有明病院 消化器外科 肝胆膵外科部長) 15:30~15:55 講演(6) 「大腸がん薬物療法のいま」  室 圭氏(愛知県がんセンター中央病院 薬物療法部 部長) 15:55~16:10 休憩(15分) 16:10~16:45 Q&A  Q&Aトークセッション 質問票にお答えします!  パネリスト:杉原 健一/福田 将義/石川 敏昭/齋浦 明夫/室 圭/野城 郁郎 16:45~16:50 閉会挨拶  杉原 健一氏(東京医科歯科大学 名誉教授)《ブース展示》 会場では大腸がんの検査・治療に使用する機器などのブース展示を開催します。 展示スペースはどなたでもご自由にご観覧いただけますのでお気軽にお越しください。[出展協力] ・東京医科歯科大学医学部附属病院 がん相談支援センター ・東京医科歯科大学医学部附属病院 臨床栄養部 ・東京医科歯科大学 歯学部口腔保健学科 ・公益社団法人日本オストミー協会 東京支部 ・ブーケ(若い女性オストメイトの会) ・NPO法人がんと暮らしを考える会 ・株式会社メディコン ・アルフレッサファーマ株式会社 ・ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社 ・アミン株式会社 ・オリンパスメディカルサイエンス販売株式会社【問い合わせ先】 ブルーリボンキャンペーン事務局 認定NPO法人キャンサーネットジャパン 〒113-0034 東京都文京区湯島1-10-2 御茶ノ水K&Kビル 2階 TEL:03-5840-6072(平日10時~17時) FAX:03-5840-6073 MAIL:info@cancernet.jp【共催】 東京医科歯科大学医学部附属病院 消化器化学療法外科 東京医科歯科大学医学部附属病院 大腸・肛門外科 東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍センター 東京医科歯科大学大学院 応用腫瘍学講座 東京医科歯科大学大学院 未来がん医療プロフェッショナル養成プラン 認定NPO法人キャンサーネットジャパン【協力】 メルクセローノ株式会社(冊子提供)【後援】 東京都/東京医科歯科大学医師会/東京都医師会/ 日本癌治療学会/日本臨床腫瘍学会/大腸癌研究会/ 公益社団法人日本オストミー協会/NPO法人ブレイブサークル運営委員会/ 認定NPO法人西日本がん研究機構詳細はこちら

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1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第43回

第43回:二次性高血圧症の考え方と検索法監修:表題翻訳プロジェクト監訳チーム 高血圧患者の多くに明確な病因はなく、本態性高血圧に分類されます。しかし、このうち5~10%の患者については二次性高血圧症の可能性があり、潜在的かつ治療可能な原因を含みます。この二次性高血圧症の有病率および潜在的な原因は、年齢によって異なりますので今回の記事で確認してみましょう。 また、国内では「高血圧治療ガイドライン2014」2)が出ているので、この機会に併せてご覧ください。 以下、American family physician 2017年10月1日号1)より【疫学】二次性高血圧症は潜在的に治療可能な原因を伴う高血圧症で、高血圧の症例の5~10%とわずかな割合しか占めていない。二次性高血圧の罹患率は年齢によって異なり、18~40歳の高血圧患者では30%に近い有病率で、若年者ではより一般的である。すべての高血圧症患者において、二次性高血圧の網羅的な検査が勧められるわけではないか、30歳未満の患者では、詳細な検査が推奨される。【二次性高血圧を疑い評価を考慮する場合】*これまで安定していた血圧が急に高値になった場合思春期前に高血圧を発症した場合高血圧の家族歴がなく、非肥満性で非黒人の30歳未満の場合(末梢臓器障害の徴候を伴う)悪性高血圧もしくは急速進行の高血圧の場合重症高血圧(収縮期血圧>180mmHgおよび/または拡張期血圧>120mmHg)または、ガイドラインに準じて1つの利尿薬を含む3つの適切な降圧薬使用にもかかわらず持続する治療抵抗性の高血圧【アプローチ】(1)まずは正確な血圧測定の方法を確認し、食生活や肥満による高血圧を除外する(2)既往歴、身体診察、検査(心電図、尿検査、空腹時血糖、ヘマトクリット、電解質、クレアチニン/推定糸球体濾過率、カルシウム、脂質)を確認する(3)二次性高血圧を疑う症状/徴候があれば、以下の表のように検索をすすめる画像を拡大する(4)二次性高血圧を疑う症状/徴候がなくても、上記の二次性高血圧を疑い評価を考慮する場合(*の項目を参照)は下記を考え、検索をすすめる【二次性高血圧の年齢別の一般的な原因】11歳までの子ども(70~85%):腎実質疾患、大動脈縮窄症12~18歳の青年(10~15%):腎実質疾患、大動脈縮窄症19~39歳の若年成人(5%):甲状腺機能不全、線維筋性異形成、腎実質疾患40~64歳の中高年(8~12%):高アルドステロン症、甲状腺機能不全、閉塞性睡眠時無呼吸、クッシング症候群、褐色細胞腫65歳以上の高齢者(17%):アテローム硬化性腎動脈狭窄、腎不全、甲状腺機能低下症【二次性高血圧の稀な原因】強皮症、クッシング症候群、大動脈縮窄症、甲状腺・副甲状腺疾患、化学療法薬、経口避妊薬※本内容は、プライマリケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、詳細に関しては原著を参照されることを推奨いたします。 1) Am Fam Physician. 2017 Oct 1; 96:453-461. 2) 高血圧治療ガイドライン2014

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ASCO-GI2018レポート

レポーター紹介2018年1月18日から1月20日まで米国サンフランシスコにて米国臨床腫瘍学会消化器がん会議(ASCO-GI)が開かれた。初日こそ雨であったものの、2日目、3日目は快晴であり過ごしやすい日程であった。学会ではOral Presentation、Poster Presentation、Rapid-Fire Abstract Session、Trials in Progress Sessionなどに分けられ、大規模臨床試験の結果だけでなく、小規模なデータや現在試行中の臨床試験の紹介も行われた。本稿では、そのなかのいくつかを紹介する。RAINFALL試験 抗VEGFR-2抗体であるラムシルマブ(RAM)は、RAINBOW試験、REGARD試験により胃がんに対する有効性が証明され、現在では本邦、NCCN、ESMOの胃がん治療ガイドラインにおいて、標準的な2次化学療法として位置付けられている。RAINFALL試験はRAMを1次治療として使用したときの効果、安全性を検証する第III相無作為化比較試験である。対象は、前治療歴のないHER2陰性胃がん・胃食道接合部がん症例であり、RAM+カペシタビン+CDDP(RAM群)、Placebo+カペシタビン+CDDP(Placebo群)に1:1に無作為割り付けされた。主要評価項目はPFSであり、副次評価項目はOS、RR、Safety、QOL、PK profileであった。全体で645例が登録され、326例がRAM群、319例がPlacebo群に割り付けられた。主要評価項目であるPFSは、RAM群5.72ヵ月、Placebo群5.39ヵ月(HR:0.75、95%CI:0.61~0.94、p=0.011)であり、統計学的に有意な結果であった。副次評価項目であるOSは、RAM群11.17ヵ月、Placebo群10.74ヵ月(HR 0.98、95%CI:0.80~1.16、p=0.68)であり両群に有意差を認めなかった。有害事象の解析では、高血圧、血小板減少、食思不振、消化管穿孔、出血、蛋白尿の比率がRAM群で高く認められた。後治療の導入率はRAM群46%、Placebo群51%であり、いずれの群でも2次治療以後にRAMを使用した症例が認められた。PFSはpositiveであったものの、その差はMedianでわずか0.3ヵ月であり、また、OSの延長効果は認められず、全体としてnegativeという趣旨の発表であった。興味深かったのが2次治療導入からのOSの解析であり、2次治療以後でRAMを使用した場合のOSは、RAM群7.7ヵ月、Placebo群8.8ヵ月、また2次治療以後でRAMを使用しなかった場合のOSは、RAM群6.5ヵ月、Placebo群6.7ヵ月であり、2次治療以後でRAMを使用したほうがOSは良好な傾向であった。Discussantはコストについても言及し、今回得られたPFSの延長0.3ヵ月(=9日)のためにかかるコストは、体重70kgの場合、1サイクルで7,457ドル、9サイクルで6万7,112ドルであり、その意義について疑問を呈していた。胃がんに対する1次治療としてのRAMはnegativeであったわけだが、今後の胃がん1次治療の新たな展開としては現在、免疫チェックポイント阻害剤の臨床試験が進められており、本学会においても、ニボルマブ+イピリムマブ、ニボルマブ+化学療法(XELOX or FOLFOX)、化学療法の3群の比較試験 (CheckMate-649, TPS 192)や 、FOLFOX、XELOXでInduction治療を行った後に維持療法として同じ治療を継続するか、抗PD-L1抗体であるアベルマブに変更するかを比較するJAVELIN試験(TPS 195)などが、Trials in Progress Sessionにおいて紹介されていた。RAINFALL: A randomized, double-blind, placebo-controlled phase III study of cisplatin (Cis) plus capecitabine (Cape) or 5FU with or without ramucirumab (RAM) as first-line therapy in patients with metastatic gastric or gastroesophageal junction (G-GEJ) adenocarcinoma. (Abstract No.:5)Charles SREVERCE試験 本邦で行われたREVERCE試験がRapid-Fire Sessionで報告された。現在、進行再発大腸がんにおけるガイドラインにおいては、セツキシマブ(C)などの抗EGFR抗体の後にレゴラフェニブ(R)を使用することが勧められている。一方、治療早期にRを使用することにより良好な効果が得られることも報告されており、CとRのより適正な投与順序を探索する本試験が行われた。対象は、フルオロピリミジン、オキサリプラチン、イリノテカンなどの標準治療に不耐、不応となった、KRASもしくはRAS野生型の進行再発大腸がんであり、R→Cの順番で治療を行うR-C群と、C→Rの順番で治療を行うC-R群に無作為化割り付けされた。主要評価項目はOS、副次評価項目はTTF、PFS、RR、DCR、AE、QOLであった。当初180例の登録と132のイベントが必要とされたが、101例で登録終了となり、今回その結果が報告された。主要評価項目のOSは、R-C群17.4ヵ月、C-R群11.6ヵ月であり、R-C群において有意に良好であった(HR:0.61、95%CI:0.39~0.96、p=0.029)。先に行う治療のPFS(PFS1)は、R-C群(R)2.4ヵ月、C-R群(C)4.2ヵ月であり、後に行う治療のPFS(PFS2)はR-C群(C)5.2ヵ月、C-R(R)群1.8ヵ月であった。奏効率はRでは4.0%(R-C群)、0.0%(C-R群)、Cは20.4%(R-C群)、27.9%(C-R群)と、それぞれほぼ既報の通りであった。RをCの前に投与することでOSの延長がみられた、ということが今回の結果である。その機序であるが、PFSの比較をみるとR後のCのPFSが良好な印象である。Rの投与により、AKT系などさまざまな分子生物学的な変化が腫瘍細胞に起こることが基礎研究で明らかになっており、これらの変化がCの効果を増強した可能性は考えられるかもしれない。試験としては予定された症例数に満たず、Under Powerであることは念頭に置く必要があるが、これまで広く行われてきた治療方針と違う結果が示されたということは、その機序も含め、非常に興味深いところである。Reverce: Randomized phase II study of regorafenib followed by cetuximab versus the reverse sequence for metastatic colorectal cancer patients previously treated with fluoropyrimidine, oxaliplatin, and irinotecan.)(Abstract No.:557)Kohei ShitaraSAPPHIRE試験 RAS野生型進行再発大腸がんにおいてパニツムマブ(pani)+mFOLFOX6は標準治療の1つであるが、オキサリプラチン継続に伴う末梢神経障害は、患者のQOLを低下させるだけでなく、治療意欲の減退、治療継続性にも影響しうる重要な有害事象である。本試験は6コースのpani+mFOLFOX6を行った後に、そのまま同じ治療を継続するA群と、7コース目からはオキサリプラチンを休薬し、pani+5-FU+LVとして治療を継続するB群との2つの群を設定した無作為化第II相試験である。主要評価項目は無作為化後9ヵ月時点での無増悪生存率(PFS rate)であり、副次評価項目はPFS、OS、TTF、Safetyが設定された。本試験は2つの治療群のそれぞれの成績を検証するParallel-group studyという形がとられ、閾値30%、期待値50%、片側 α 値 0.10として各群50例、全体で100例の無作為化が必要な統計学的計算であった。164例が登録され、6コースのpani+FOLFOX後に腫瘍進行や手術移行などによる脱落を除いた113例がA群(56例)とB群(57例)に無作為化割り付けされた。主要評価項目である無作為化後9ヵ月(治療開始から約12ヵ月)時点でのPFS rateは、A群46.4%(95%CI:38.1~54.9、p=0.0037)、B群47.4%(95%CI: 39.1~55.8、p=0.0021)であり、両群ともに主要評価項目を満たした。副次評価項目であるPFSはA群9.1ヵ月、B群9.3ヵ月、RRはA群80.4%、B群87.7%であり、両群で近似した治療成績であった。Grade2末梢神経障害は、A群10.7%に対してB群1.9%であり、オキサリプラチンを早期で終了したB群において少なかった。昨年publishされたPan-Asian adapted ESMO consensus guidelinesにおいて、RAS野生型進行再発大腸がんにおいて原発巣が左側であれば1次治療からの抗EGFR抗体+doubletの使用が推奨され、本邦の各施設において同治療を行う機会は増えてくると予想される。そのときに、効果、有害事象をみながらであるが、早期にオキサリプラチンを中止し、pani+5-FU+LVという形で治療を継続しても、効果は大きくは落ちないことを示唆した結果であり、臨床での応用性は高いと考えられる。SAPPHIRE: A randomized phase II study of mFOLFOX6 + panitumumab versus 5-FU/LV + panitumumab after 6 cycles of frontline mFOLFOX6 + panitumumab in patients with colorectal cancer.(Abstract No.:729)Masato Nakamuraまとめ本稿では殺細胞薬、分子標的治療薬の演題につき報告したが、免疫チェックポイント阻害剤の話題も多くあり消化管、肝胆膵領域の化学療法も新たな時代に移ろうとしているのを実感した学会であった。

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NSCLC2次治療以降のS-1、ドセタキセルに非劣性(East Asia S-1Trial in Lung Cancer)/Ann Oncol

 最近の分子標的療法や免疫療法の進歩にもかかわらず、化学療法は依然として進行非小細胞肺がん(NSCLC)治療における実質的な選択肢である。進行NSCLC患者の2次または3次治療において、S-1の有効性をドセタキセルと比較した、軒原 浩氏らによるEast Asia S-1Trial in Lung Cancer試験の結果が、Annals of Oncology誌2017年11月1日号に掲載された。 East Asia S-1 Trial in Lung Cancer試験は無作為化オープンラベル第III相非劣性試験。日本、中国、香港、シンガポール、台湾などの84施設で行われた。・対象患者:1回以上のプラチナベース化学療法を受けた進行NSCLC患者。・試験薬:S-1(80~120mg /日)6週間サイクル1〜28日目投与。・対象薬:ドセタキセル(75mg/m2、日本のみ60mg/m2)3週間サイクル1日目投与。・評価項目:全生存期間(OS)。非劣性マージンはハザード比(HR)1.2。 主な結果は以下のとおり。・1154例の患者が登録され、S-1群とドセタキセル群に1対1に無作為に割り付けられた。・患者背景は両群で同等であった(日本人が6割以上を占め、前治療例は1回が6割超、2回が3割超)。・OS中央値は、S-1群12.75ヵ月、ドセタキセル群12.52ヵ月であった(HR:0.945、95%CI:0.833~1.073、p=0.3818)。・HRの95%CIの上限1.2を下回り、ドセタキセルに対するS-1の非劣性を確認した。・無増悪生存期間は、S-1群2.86ヵ月、ドセタキセル群2.89ヵ月で、両群間で差はなかった(HR:1.033、95%CI:0.913~1.168、p=0.6080)。・奏効率はS-1群8.3%、ドセタキセル群9.9%であった(p=0.3761)。・EORTC QLQ-C30によるQOLは、全観察時点でS-1群が上回っていた。・頻度の高い有害事象はS-1群では食欲不振(50.4%)、悪心(36.4%)、下痢(35.9%)、ドセタキセル群では好中球減少症(54.8%)、白血球減少症(43.9%)、脱毛(46.6%)であった。

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大腸がんの高齢者、心血管疾患発症率が約3倍

 大腸がんの高齢者は、心血管疾患(CVD、脳卒中および心筋梗塞)およびうっ血性心不全(CHF)を発症する危険性が高いことを、米国アラバマ大学のKelly M. Kenzik氏らが報告した。また、糖尿病や高血圧が化学療法と相互に影響し、心血管疾患の罹患リスクを高めることが示唆された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2018年1月16日号に掲載。 著者らは、SEER-Medicareデータベースから、2000年1月1日~2011年12月31日にStage I~IIIの大腸がんを発症した65 歳以上の7万2,408例を評価し、またメディケアのがん以外の患者コホートからマッチさせた7万2,408例と比較した。 主な結果は以下のとおり。・大腸がん診断時の年齢中央値は78歳(範囲:66~106歳)で、診断後の追跡期間中央値は8年であった。・新規のCVDおよびCHFの10年累積発症率は、対照群の22%および18%に対し、大腸がん患者群では57.4%および54.5%であった(p<0.001)。・CVDでは高血圧と化学療法との交互作用が有意であり(p<0.001)、CHFでは糖尿病と化学療法との交互作用が有意であった(p<0.001)。・CHFのハザードは、診断から2年以内で、カペシタビン単独治療がフルオロウラシル単独治療と比べて高かった(ハザード比[HR]:3.65、95%CI:2.76~4.38)。・一方、CVDのハザードは、診断から2年以内および2年超とも、フルオロウラシル単独治療がカペシタビン単独治療と比べて高かった(2年以下のHR:0.63、95%CI:0.53~0.75、2年超のHR:0.72、95%CI:0.62~0.84)。

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NSCLCのニボルマブ、2年後もドセタキセルに対しOS改善(CheckMate-017、057プール解析)/JCO

 既治療の進行非小細胞肺がん(NSCLC)においてニボルマブとドセタキセルを比較した2つの第III相試験(扁平上皮がんでのCheckMate-017非扁平上皮がんでのCheckMate-057)のプール解析の更新結果が報告され、ニボルマブはドセタキセルと比較し全生存期間(OS)を延長していることが示された。 患者はプラチナベース化学療法で進行したStageIIIB / IVのNSCLC。ニボルマブ(3mg/kg 2週間ごと)とドセタキセル(75mg / m2 3週間ごと)に1対1に割り付けられ、扁平上皮がん272例、非扁平上皮がんは582例、追跡期間は24.2ヵ月以上であった。 主な結果は結果のとおり。・扁平上皮がんの2年OS率は、ニボルマブ23%(16~30%)に対し、ドセタキセル8%(4~13%)であった。・非扁平上皮がんの2年OS率は、ニボルマブ29%(24~34%)に対しドセタキセルは16%(12~20%)であった。・ニボルマブでは扁平上皮がんの27例中10例(37%)、非扁平上皮がんの56例中19例(34%)で2年後も奏効が持続したが、ドセタキセル群ではいずれの組織型でも奏効持続はみられなかった。・ニボルマブのドセタキセルに対する相対的死亡リスク減少は、28%(HR:0.72、95%CI:0.62~0.84)であった。・治療関連有害事象発現は、全Gradeでニボルマブ68%、ドセタキセル88%。Grade3/4でニボルマブ10%、ドセタキセル55%と、ニボルマブで少なかった。

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卵巣がんアジュバント、腹腔内温熱化療で生存延長/NEJM

 StageIII上皮性卵巣がんの患者において、術前補助化学療法後の中間期腫瘍減量手術に、シスプラチンによる腹腔内温熱化学療法(HIPEC)を追加することで、無再発生存期間、全生存期間ともに延長することが示された。副作用の発現率も有意に高率とはならなかった。オランダ・Netherlands Cancer InstituteのWillemien J.van Driel氏らが、245例を対象に行った第III相多施設共同非盲検無作為化試験の結果で、NEJM誌2018年1月18日号で発表した。新規診断の進行卵巣がんでは、通常、腫瘍減量手術と全身化学療法が行われる。中間期腫瘍減量手術+シスプラチンによるHIPEC 研究グループは、2007年4月~2016年4月に、オランダとベルギーの8施設で、StageIII上皮性卵巣がんで術前補助化学療法としてカルボプラチン(曲線下面積5~6mg/mL/分)とパクリタキセル(175mg/m2)の投与を3サイクル実施後、病勢が安定以上だった245例を登録して試験を行った。 被験者を無作為に2群に分け、中間期腫瘍減量手術に追加して、一方にはシスプラチン(100mg/m2)によるHIPECを行い、もう一方には行わなかった。 無作為化は、手術で肉眼的病変が消失すると判断された症例(完全腫瘍減量手術)や、術後に径10mm以下の腫瘍が1つ以上残存すると判断された症例(最善の腫瘍減量手術)を対象に、手術が実施可能とみなされた時点で行った。術後に、カルボプラチンとパクリタキセルの投与をさらに3サイクル行った。 主要評価項目は無再発生存期間。キー副次評価項目として、全生存期間と副作用プロファイルを評価した。再発・死亡リスクはHIPEC追加群で約0.66倍に intention-to-treat解析の結果、再発または死亡の発生は、非HIPEC(手術単独)群89%(123例中110例)に対し、HIPEC(手術+HIPEC)群は81%(122例中99例)だった(ハザード比[HR]:0.66、95%信頼区間[CI]:0.50~0.87、p=0.003)。 無再発生存期間の中央値は、手術単独群10.7ヵ月、手術+HIPEC群は14.2ヵ月だった。 中央値4.7年の追跡期間中、死亡の発生は手術単独群76例(62%)、手術+HIPEC群は61例(50%)だった(HR:0.67、95%CI:0.48~0.94、p=0.02)。全生存期間中央値は、手術単独群33.9ヵ月、手術+HIPEC群は45.7ヵ月だった。 なお、Grade3または4の有害事象の発現頻度は、手術単独群25%、手術+HIPEC群27%で同程度だった(p=0.76)。

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ペムブロリズマブ、化学療法併用でNSCLC1次治療のOS延長(KEYNOTE-189)

 Merck社は2018年1月16日、転移性非扁平上皮性非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療の第III相KEYNOTE-189試験において、ペムブロリズマブとペメトレキセド+シスプラチンまたはカルボプラチンの併用が、主要評価項目である全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)を達成したと発表。独立データモニタリング委員会による中間解析では、ペムブロリズマブとペメトレキセド+プラチナ化学療法との併用は、ペメトレキセド+プラチナ化学療法単独よりもOSおよびPFSを延長した。この併用におけるペムブロリズマブの安全性プロファイルは以前の報告と一致していた。KEYNOTE-189の結果は、今後の医学会議で発表され、規制当局に提出される。 KEYNOTE-189試験は、PD-L1発現を問わない上記患者614例をペムブロリズマブ+ペメトレキセド+シスプラチンまたはカルボプラチン群とペメトレキセド+シスプラチンまたはカルボプラチン群に2対1に無作為に割り付け、病勢進行あるいは忍容できない毒性を示すまで投与継続された(ペムブロリズマブ200mg、ペメトレキセド500mg/m2、シスプラチン75mg/m2またはカルボプラチンAUC5を3週ごと4サイクル、その後はペムブロリズマブ200mg+ペメトレキセド500mg/m2を3週ごと)。主要評価項目はOSとPFS、副次評価項目は、全奏効率(ORR)および奏効時間(DOR)であった。病勢進行したコントロール群患者は、クロスオーバが許可された。■参考KEYNOTE-189試験(Clinical Trials.gov)Merck社ニュースリリース

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PARP阻害剤オラパリブ卵巣がんに国内承認~BRCA変異問わず~

 アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:ステファン・ヴォックスストラム)は2018年1月19日、「白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣癌における維持療法」を効能・効果とした本邦初のPARP阻害剤オラパリブ(商品名:リムパーザ錠)の国内における製造販売承認を取得したと発表。オラパリブは世界初のPARP阻害剤 オラパリブは、DNA損傷応答(DDR)機能を活用した新規の作用機序を持つ世界初のPARP阻害薬。DNAの相同組換え修復機構が機能していないがん細胞に特異的に細胞死を誘導する画期的な作用機序を有する。 再発卵巣がんは根治が困難なことから、延命やQOLの改善を目的とした治療が行われるが、オラパリブはがん細胞に特異的にはたらく分子標的薬であるため、良好な安全性プロファイルを保ちながら、病勢進行や死亡のリスクを下げることが期待される。 同剤は、米国食品医薬品局(FDA)から、プラチナ製剤感受性再発卵巣がんの維持療法、3回以上の化学療法の治療歴がある病的変異または病的変異疑いに分類される生殖細胞系列BRCA(gBRCA)遺伝子変異陽性進行卵巣がん、さらにgBRCA遺伝子変異陽性転移乳がんの承認を取得。欧州連合(EC)からは、BRCA遺伝子変異陽性のプラチナ製剤感受性再発卵巣がんの維持療法の承認を受けている。また日本では、BRCA遺伝子変異陽性の手術不能または再発乳がんに承認申請中である。PARP阻害剤オラパリブの無償提供 アストラゼネカは、再発卵巣がん患者の緊急の要望に応えるために、厚生労働省の定める「保険外併用療養費制度」のもとで、PARP阻害剤オラパリブの無償提供を実施する。 本剤の提供は、適正使用の観点より、本剤開発治験実施施設等の限定された施設において、承認された適応、用法・用量に従ってのみ使用すること、無償提供期間中に弊社が実施する市販直後調査に準じた活動を含む適正使用推進等の各種安全対策にご協力することを理解・合意し、無償提供を希望する施設でのみ実施する。また、本剤提供は製造販売承認取得日以降、各施設での準備が整った時点から開始し薬価収載前日に終了する。

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FDA、変異転移性乳がんにオラパリブ承認

 米国食品医薬品局(FDA)は2018年1月12日、過去に術後補助療法あるいは転移がんへの治療として化学療法を受けた病的変異または病的変異が疑われる生殖細胞系列BRCA(gBRCA)遺伝子変異陽性/HER2陰性(HER2-)の転移を有する乳がん治療に対するPARP阻害薬オラパリブを本承認した。 今回の承認は、オープンラベル多施設試験OlympiADの結果に基づくもの。この試験では、上記患者302例をオラパリブ群と医師選択の化学療法(カペシタビン、ビノレルビンまたはエリブリン)群に2対1で無作為割り付けし、比較した。主要有効性評価項目は、盲検独立中央評価(BICR)評価による無増悪生存(PFS)。結果、推定PFS中央値はオラパリブ群7.0ヵ月、化学療法群4.2ヵ月と、有意にオラパリブ群で延長した(HR:0.58、95%CI:0.43~0.80、p=0.0009)。オラパリブ群でよくみられた(20%以上)有害事象は、貧血、悪心、疲労(無力症含む)、嘔吐、好中球減少症、白血球減少症、気道感染、下痢、敗血症、関節痛/筋肉痛、頭痛などであった。 FDAはまた、オラパリブの適応となgBRCA変異乳がん患者を特定するため、BRACAnalysis CDx検査(Myriad Genetic Laboratories、Inc.)に販売許可を付与した。■参考FDAアナウンスメントOlympiAD試験(Cinical Trials.gov)Robson M, et al. N Engl J Med. 2017. June 4. [Epub ahead of print]■関連記事PARP阻害薬olaparib、BRCA変異乳がんの生存を42%改善/ASCO2017OlympiAD試験(解説:矢形 寛氏)

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米国で乳がん死減少、寄与した因子は?/JAMA

 米国女性の乳がん死亡率は2000年から2012年にかけて減少しており、乳がんの分子サブタイプで異なるものの、その減少にはマンモグラフィ検診および術後補助療法の進歩が寄与していることが示された。米国・スタンフォード大学のSylvia K. Plevritis氏らが、シミュレーションモデル研究により明らかにした。JAMA誌2018年1月9日号掲載の報告。6つのCISNETモデルで乳がん死亡率を推定、検診と治療の関連を評価 研究グループは、マンモグラフィ検診や補助療法の最近の進歩を考慮すると、分子サブタイプ別の米国乳がん死亡率に対するそれらの影響の定量化が、疾病負荷の減少につながる今後の指標になりうるとして、6つのCancer Intervention and Surveillance Network(CISNET)モデルにより、2000年から2012年の米国乳がん死亡率をシミュレーションした。シミュレーションでは、単純フィルムとデジタルマンモグラフィの様式と性能、ER/ERBB2特異的治療の普及と有効性、および非乳がん死亡率に関する全国データを用い、複数の米国出生コホートについて行った。 主要評価項目は、2000~12年における30~79歳女性の乳がん死亡率(年齢調整、全体およびER/ERBB2特異的死亡率)で、検診および治療がない場合の推定死亡率(ベースライン死亡率)と比較するとともに、検診および治療の死亡率低下に対する寄与を算出した。死亡率低下の3分の1に検診が寄与 2000年において、乳がんの全死亡率はベースライン死亡率(64例/10万人、モデル範囲:56~73例/10万人)と比較して、37%(モデル範囲:27~42%)低かった。その差のうち、検診の寄与率は44%(同35~60%)を占め、治療の寄与率は56%(40~65%)であった。 2012年では、ベースライン死亡率(63例/10万人、54~73例/10万人)と比較して、49%(39~58%)低かった。その差のうち、検診の寄与率は37%(26~51%)、治療の寄与率は63%(49~74%)であった。さらに治療の寄与率63%の内訳をみると、化学療法が31%(22~37%)、ホルモン療法が27%(18~36%)、トラスツズマブは4%(1~6%)であった。 検診と治療の推定相対寄与率を比較すると、乳がんの分子サブタイプごとに異なっており、ER陽性/ERBB2陰性例では検診36%(24~50%)vs.治療64%(50~76%)、ER陽性/ERBB2陽性例では31%(23~41%)vs.69%(59~77%)、ER陰性/ERBB2陽性では40%(34~47%)vs.60%(53~66%)、ER陰性/ERBB2陰性では48%(38~57%)vs.52%(44~62%)であった。 なお著者は、検診および治療の全死因死亡率等への影響は評価されていないことや、モデルが2012年までの推定に基づいていることなどを研究の限界として挙げている。

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抗PD-L1抗体アテゾリズマブ、肺がんに国内承認

 中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役会長 CEO:永山 治)は、抗PD-L1モノクローナル抗体アテゾリズマブ(商品名:テセントリク点滴静注1200mg)に関し2018年1月19日、「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」を効能・効果として厚生労働省より製造販売承認を取得したと発表。 アテゾリズマブは米国を含む50ヵ国以上で、化学療法治療歴がある転移性非小細胞肺がん(NSCLC)ならびに白金製剤ベースの化学療法の治療歴のある、もしくはcisplatinベースの化学療法が不適格な局所進行または転移性尿路上皮がんに対する承認を取得している。国内では、NSCLCを対象とした7つの臨床試験を実施し、テセントリク単剤または他の薬剤との併用による評価を行っている。また、非小細胞肺がんに加え、小細胞肺がん、尿路上皮がん、乳がん、腎細胞がん、卵巣がん、前立腺がんを対象とした第III相臨床試験を実施している。■「アテゾリズマブ」関連記事アテゾリズマブ、小細胞肺がんのOS、PFS改善(IMpower133)/NEJM

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BiTE抗体ブリナツモマブ、B細胞性ALLに国内申請

 アステラス・アムジェン・バイオファーマ株式会社(本社:東京、代表取締役社長:スティーブ スギノ)とアステラス製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長:畑中 好彦)は、アステラス・アムジェン・バイオファーマがCD19とCD3に二重特異性を有するT細胞誘導抗体製剤ブリナツモマブについて、日本で、再発又は難治性のB細胞性急性リンパ性白血病(ALL)の治療薬として製造販売承認申請を行ったと発表した。 同社のプレスリリースによれば、日本での製造販売承認申請は、海外第III相ランダム化試験(TOWER試験)を含む複数の海外試験および国内第Ib/II相試験結果に基づき行われた。ブリナツモマブはPh- B前駆細胞性成人ALL患者を対象にブリナツモマブと標準化学療法の有効性を検討した第III相無作為化試験TOWER試験で、成人の再発又は難治性のALL患者において、標準化学療法に対する全生存期間の延長が検証されている。 なお、ブリナツモマブは、2017年9月29日付で厚生労働省より希少疾病用医薬品の指定を受けている。

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