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adagrasib:KRAS G12C変異陽性NSCLCに対する2次治療の新たな選択肢(解説:田中希宇人氏/山口佳寿博氏)

 「KRYSTAL-12試験」の結果は、KRASG12C変異陽性NSCLCに対する2次治療の新たな標準選択肢が確立した点が重要と捉えられる。従来、1次治療であるプラチナ併用化学療法+免疫チェックポイント阻害薬による治療後に病勢進行したNSCLCに対しては、ドセタキセル±ラムシルマブなどが標準的であった。しかし、本試験ではKRASG12C変異を有する集団では従来の殺細胞性抗がん剤よりも標的治療adagrasibのほうが無増悪生存期間を延長し、腫瘍縮小効果も高いことが明確に示された。安全性プロファイルの観点でも、adagrasibは経口薬である利便性や重篤な骨髄抑制などが少ない点で有利と考えられる。消化器症状や肝機能上昇といった副作用はあるものの、治療継続困難となる症例割合は少ない。実際、治療関連有害事象による中止はadagrasib群で8%にとどまり、ドセタキセル群(14%)より少ない結果であった。 脳転移への有効性という点も注目される。本試験では安定した脳転移症例を含めて登録され、adagrasib群で頭蓋内病変の縮小効果(頭蓋内奏効)が確認された。ドセタキセル群では脳転移に対する奏効率が11%に対し、adagrasib群では24%と倍以上の奏効が認められた点も評価したい。この差は、基礎データで示されていたadagrasibの中枢神経系への移行性の高さを裏付けるものと考えられる。 2025年時点で実臨床で活用されているKRAS阻害薬ソトラシブは、第III相試験である「CodeBreaK 200試験」でドセタキセルとの直接比較が行われている。この試験ではPFS中央値5.6ヵ月vs.4.5ヵ月で、ハザード比0.66(p=0.0017)と、ソトラシブの有意なPFS延長が報告されている。しかしOSに関しては有意差が出ず、ソトラシブは「生存期間の延長」を明確に証明されなかった経緯がある。 今回の「KRYSTAL-12試験」でもPFSや奏効率の改善はソトラシブと同等に良好な結果であったが、OSが未成熟である点は共通しており今後の結果が待たれる。 現時点でソトラシブとadagrasibを直接比較した試験はないが、PFSのハザード比(ソトラシブ0.66 vs.adagrasib 0.58)やORR(28%vs.32%)はおおむね近い水準であり、臨床効果は同程度であると推測する。adagrasibは1日2回投与で作用が持続的であることが考えられ、安定した効果発現や脳内移行に利点がある可能性がある。 本論文でも指摘されているが、対照群レジメンの選択としてドセタキセル単剤が選ばれた点には議論の余地がある。現在2次治療の選択肢としては、ドセタキセル+ラムシルマブの併用レジメンが広く使われている。ドセタキセル単剤に比べ生存期間の延長(中央値+1.4ヵ月)を示した実績がある。本論文では、国際汎用性の観点からドセタキセル単独を対照群としたと説明されている。また、本試験ではOSの有意差は確認できておらず、ソトラシブが使用できる現在、adagrasibが生存に寄与するかは結論が出ていない。ドライバー遺伝子全般的に言えることであるが、クロスオーバーが倫理的にも妥当な措置と考えられ、最終的なOS解析で群間差が出にくいことが予想される。患者側から考えると生存期間の延長が最も重要な指標ではあるが、PFS延長や奏効率の高さも症状緩和やQOL維持につながると考え評価すべきと私は考えている。 本論文で示された中央追跡期間は約7~9ヵ月と短いため、まだ長期生存や毒性の評価が不十分であるが、中枢神経系転移への効果や耐性獲得の問題など、今後の解析結果が期待され注目すべき薬剤であることは間違いない。

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抗菌薬の学び方【Dr.伊東のストーリーで語る抗菌薬】第1回

抗菌薬の学び方最近は感染症の入門書が増えてきました。新しい医学書が出るとつい買ってしまう。そんな先生方も多いのではないでしょうか。問題は、その新しく買った医学書で、抗菌薬を満足に勉強できるかどうかです。勉強はしているのに、抗菌薬を覚えるのに苦労されている先生方は結構いらっしゃるのではないかと思うわけです。では、どうしてそんなに苦労するかというと、これまでの感染症の書籍はきわめて各論的に書かれているからなのですね。言い換えるとストーリー形式になっていない。あるいは、網羅的だけれども有機的ではない。そういった問題があるわけです。では、どうすれば抗菌薬を理解できるのでしょうか。抗菌薬を理解するコツは、よく使う抗菌薬の歴史的背景などの周辺知識を知っておくことです。本連載では、いろいろと雑学を挟んで楽しみながら抗菌薬の知識を身に付けていただくことを目的としていますので、楽しみにしていてください。βラクタム系抗菌薬を優先的に学ぶ理由先ほど「よく使う抗菌薬」の歴史的背景と述べました。「よく使う抗菌薬」というのは、βラクタム系抗菌薬のことです。つまりは、ペニシリン系、セフェム系、カルバペネム系などのことです。βラクタム系さえあれば、日常診療は大抵間に合ってしまう。だからこそ、βラクタム系を優先的に勉強してしまうわけです。では、βラクタム系以外の抗菌薬を覚える時はどうすればよいか? という疑問がもしかしたら生じるかもしれません。これは、βラクタム系を先にしっかりとインプットしたうえで、それと関連付けるようにして非βラクタム系を覚えるのがオススメです。つまり、βラクタム系が骨の知識に、非βラクタム系が肉の知識になるというわけです。このようにして覚えておくと、実臨床でも応用が利きやすいのでオススメです。具体例をお示ししましょう。化学療法を行っているなかで、発熱性好中球減少症を発症した60歳女性を例にとって考えてみます。起因菌や熱源ははっきりしませんが、緑膿菌をカバーするためにセフェピムを使っていたとします。ところが、そこに薬疹が出現します。口腔粘膜疹も出現してしまい、重症薬疹を否定できなくなってしまいます。このような時にどうしたらよいのでしょうか。ここで、レボフロキサシンをセフェピムと関連付けながらインプットしていると、レボフロキサシンと即答することができます(図1)。もちろん、別解としてアズトレオナムやアミノグリコシド系を使ったレジメンも考えられますが、今回は深入りしないでおきます。図1 βラクタム系と関連付けて覚える画像を拡大する細菌の分類ここで、抗菌薬の勉強に入る前に、少しだけ細菌の話をさせてください。医学部の授業などでは、細菌をグラム陽性球菌、グラム陽性桿菌、グラム陰性球菌、グラム陰性桿菌、細胞内寄生菌などに分類していたかと思います。ただ、これだと覚えないといけない細菌の種類が多すぎて少々辛いところです(図2)。図2 従来の細菌の分類画像を拡大するそこで、このレクチャーでは細菌を3つの分類で整理していただければと思います。グラム陽性球菌、グラム陰性桿菌、そして嫌気性菌の3つです(図3)。図3 覚えやすい細菌の分類画像を拡大するここで、嫌気性菌は偏性嫌気性菌、つまり酸素があると上手く生きられない細菌のことを指していると考えてください。どうしても分類がMECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)になっていなくて気持ち悪いという方もいらっしゃるとは思いますが、その点はご容赦ください。さて、グラム陽性球菌はブドウ球菌とレンサ球菌、グラム陰性桿菌は腸内細菌目と非発酵菌、嫌気性菌は横隔膜から上のものと下のものとに大雑把に分けることができます。腸内細菌目や非発酵菌など、ややこしい言葉が出てきましたが、腸内細菌目は大腸菌やクレブシエラのこと、非発酵菌は緑膿菌のことと思っていただければ差し当たっては十分です(図4)。図4 グラム陽性球菌、グラム陰性桿菌、嫌気性菌画像を拡大するグラム陽性球菌のうち、ブドウ球菌はグラム染色で丸く見える細菌で、クラスター状に集まることで知られています。基本的には皮膚にいる細菌で、皮膚軟部組織感染症やカテーテル関連血流感染症などで問題になります(図5)。図5 ブドウ球菌画像を拡大するレンサ球菌はA群β溶血性レンサ球菌が代表的で、広い意味では肺炎球菌などもこのグループに入ります。基本的には咽頭や皮膚にいる細菌で、皮膚軟部組織感染症や肺炎・中耳炎などの上下気道感染症などで問題になります(図6)。図6 レンサ球菌画像を拡大するグラム陰性桿菌でよく見かけるのは大腸菌ですが、これは腸内細菌目に分類されます。名前のとおり、腸管内にいる細菌ですが、腹腔内感染症や尿路感染症で問題になります。腸内細菌目は形態学的には腸詰め、ウインナーのように見えることが多いです(図7)。図7 腸内細菌目画像を拡大する一方の非発酵菌は、嫌気性の環境でブドウ糖を発酵できない細菌のことで、緑膿菌が代表的です。基本的には水回りやデバイスと親和性があります。酸素があった方が生きやすい細菌なので、血液培養の時に好気ボトルだけで発育するということもよく経験します。形態学的にはチョリソーっぽく見えます(図8)。図8 非発酵菌画像を拡大する嫌気性菌は、グラム染色で見る機会が少なく、培養でも発育しにくい細菌なので、形態学的な話は割愛させていただこうと思います。横隔膜から上の嫌気性菌は口腔内にいる細菌で、フソバクテリウム属やパルビモナス属などが該当しますが、これらは細かいのでまったく覚えていただかなくて構いません。横隔膜から下の嫌気性菌は腸管内の細菌です。こちらもあまり覚えなくてよいのですが、ひとつだけ、余裕があればバクテロイデス・フラジリス(Bacteroides fragilis)という名前だけ覚えていただければと思います。基本的にこのレクチャーで横隔膜から下の嫌気性菌というときは、バクテロイデス・フラジリスを指しているものとお考えください。腸内細菌目? 腸内細菌科?ここまで、基本的な内容を解説してきました。余力がある人向けに、ちょっとだけマニアックなお話もさせてください。先ほど、腸内細菌目と述べましたが「腸内細菌科の間違いでは?」と思った先生方も多いのではないかと思います。じつは遺伝子レベルでの分析が進むことで、それまで腸内細菌科だった細菌の一部が、腸内細菌科から外れてしまうという出来事がありました。具体的にはプロテウス属などの細菌などが該当するのですが、今後の議論を進めていくうえでは不都合ということで、腸内細菌科ではなく腸内細菌目という言葉を使いました。感染症の勉強の厄介なところは、こういった細かい知識のアップデートが頻繁に行われるところにあるのですが、この連載では全体像を見失わないようにやっていきたいと思います。まとめ第1回をまとめていきます。抗菌薬を覚えるにはβラクタム系から攻めるのが鉄則です。非βラクタム系はその後に肉付けする形で覚えましょう。また、細菌については、グラム陽性球菌、グラム陰性桿菌、嫌気性菌の3つに分類して、それ以外については各論的に補足していくスタンスで臨むと分かりやすいです。次回は、タイムマシンに乗ってペニシリンG誕生の瞬間を見に行こうと思います。歴史を見ていると、ペニシリン系のスペクトラムの成り立ちがよくわかりますので、楽しみにしていてください。

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デュルバルマブの非小細胞肺がんおよび膀胱がん周術期療法、国内承認/AZ

 アストラゼネカは、2025年9月19日、デュルバルマブ(商品名:イミフィンジ)について、「非小細胞肺癌における術前・術後補助療法」および「膀胱癌における術前・術後補助療法」を効能又は効果として厚生労働省より承認を取得したと発表。非小細胞肺がんの承認 非小細胞肺がん(NSCLC)の承認は第III相AEGEAN試験の結果に基づくもの。AEGEAN試験は、切除可能なStage IIAからIIIB(AJCC第8版)NSCLCに対する周術期治療としてのデュルバルマブをPD-L1発現の有無を問わずに評価する第III相無作為化二重盲検プラセボ対照国際多施設共同試験。中間解析において、デュルバルマブベースの周術期レジメン群は術前補助化学療法単独群と比較して、再発・進行または死亡イベント発現リスクを32%低下させ、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある結果が認められた(無イベント生存期間[EFS] ハザード比[HR]:0.68、95%信頼区間[CI]:0.53~0.88、p=0.003902)。 日本ではNSCLCのうち20%〜25%は根治目的の手術が可能という報告もある。しかし、これら患者の多くは再発し、診断後 5 年生存率は、Stage IIで56〜65%、IIIで24〜41%とされ、新たな治療選択肢が求められてきた。膀胱がんの承認 膀胱がんの承認は第III相NIAGARA試験の結果に基づくもの。NIAGARA試験は筋層浸潤性膀胱がん(MIBC)に対する周術期治療薬としてのデュルバルマブを評価する第III相国際多施設共同無作為化非盲検試験。中間解析において、デュルバルマブベースの周術期レジメン群は術前補助化学療法単独群に対して、病勢進行、再発、手術未施行、または死亡のリスクを32%統計学的に有意に低下させた(EFS HR:0.68、95%CI:0.558~0.817、p<0.0001)。 2020年に日本で膀胱がんと診断された患者は2万3,185例で、9,168例が死亡している。MIBCは新たに診断された膀胱がんの25~30%を占める。MIBCでは根治手術が行われているにもかかわらず、現在の標準治療である術前補助化学療法を受けた患者のうち約50%が術後に再発を経験している。非小細胞肺がんにおける術前・術後補助療法の用法及び用量 術前補助療法では、他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人にはデュルバルマブ(遺伝子組換え)として、1回1,500mgを3週間間隔で4回まで、60分間以上かけて点滴静注する。その後、術後補助療法では、デュルバルマブ(遺伝子組換え)として、1回1,500mgを4週間間隔で12回まで、60分間以上かけて点滴静注する。ただし、体重30kg以下の場合の1回投与量は20mg/kg(体重)とする。膀胱がんにおける術前・術後補助療法の用法及び用量 術前補助療法では、ゲムシタビン塩酸塩及びシスプラチンとの併用において、通常、成人にはデュルバルマブ(遺伝子組換え)として、1回1,500mgを3週間間隔で4回まで、60分間以上かけて点滴静注する。その後、術後補助療法では、デュルバルマブ(遺伝子組換え)として、1回1,500mgを4週間間隔で8回まで、60分間以上かけて点滴静注する。ただし、体重30kg以下の場合の1回投与量は20mg/kg(体重)とする。

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タルラタマブ、サイトカイン放出症候群の警告追記/厚労省

 タルラタマブについて、サイトカイン放出症候群が生じて死亡に至った症例が3例(うち、医薬品と事象による死亡との因果関係が否定できない症例は1例)報告されていることを受け、厚生労働省は2025年9月17日に添付文書の改訂指示を発出し、「警告」の項に追記がなされた1)。 改訂後の警告の記載は以下のとおり(下線部が変更箇所)。1. 警告1.1 本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の使用が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。1.2 重度のサイトカイン放出症候群及び神経学的事象(免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群を含む)があらわれることがあり、サイトカイン放出症候群では死亡に至った例も報告されているので、本剤の投与にあたっては、以下の事項に注意すること。1.2.1 特に治療初期は入院管理等の適切な体制下で本剤の投与を行うこと。1.2.2 重度のサイトカイン放出症候群があらわれることがあるので、サイトカイン放出症候群に対する前投与薬の投与等の予防的措置を行うとともに、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、製造販売業者が提供するサイトカイン放出症候群管理ガイダンス等に従い、適切な処置を行うこと。1.2.3 重度の神経学的事象(免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群を含む)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、製造販売業者が提供する免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群管理ガイダンス等に従い、適切な処置を行うこと。 なお、サイトカイン放出症候群として報告された国内副作用症例が2025年8月15日時点で268例集積し(推定使用患者数848例)、うちGrade3が8例、Grade4が1例、転帰死亡が3例報告されていることを受け、アムジェンは「適正使用のお願い『サイトカイン放出症候群』について(第2版)」を発出した2)。投与中のモニタリング、サイトカイン放出症候群に対する対処に関して、サイトカイン放出症候群管理ガイダンスに従ってサイトカイン放出症候群の症状(体温、血圧、パルスオキシメトリー等)を定期的に確認すること、症状発現後は副腎皮質ホルモン(デキサメタゾン)、トシリズマブ(遺伝子組換え)の投与を検討すべきことが注意喚起されている。

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EGFR陽性NSCLCへの術前オシメルチニブ、ctDNAによるMRD解析(NeoADAURA)/WCLC2025

 切除可能非小細胞肺がん(NSCLC)における治療選択肢として術前補助療法があるが、EGFR遺伝子変異陽性例では病理学的奏効(MPR)がみられる割合が低い。そこで、術前補助療法としてのオシメルチニブ±化学療法の有用性を検討する国際共同第III相試験「NeoADAURA試験」が実施されており、オシメルチニブ+化学療法、オシメルチニブ単剤は化学療法と比べてMPRを改善したことが、2025年6月に報告された1)。新たに、事前に規定された探索的解析として循環腫瘍DNA(ctDNA)を用いた分子的残存病変(Molecular Residual Disease:MRD)の解析が実施され、世界肺がん学会(WCLC2025)において、米国・カリフォルニア大学のCollin M. Blakely氏が解析結果を報告した。超高感度ctDNA検出アッセイ(NeXT Personal)は、従来のEGFR遺伝子変異検査に基づくMRD解析よりも感度が高く、オシメルチニブ±化学療法はMRDクリアランス(ctDNAがベースラインから10倍以上低下または非検出と定義)やMRD陰性を達成する患者の割合を改善した。・試験デザイン:国際共同第III相無作為化比較試験・対象:EGFR遺伝子変異(exon19欠失変異またはL858R変異)陽性の切除可能なStageII~IIIB(AJCC第8版)のNSCLC患者・試験群1(オシメルチニブ+化学療法群):オシメルチニブ(80mg、1日1回、9週以上)+カルボプラチン(AUC5、3週ごと3サイクル)またはシスプラチン(75mg/m2、3週ごと3サイクル)+ペメトレキセド(500mg/m2、3週ごと3サイクル)→手術→医師選択治療 121例・試験群2(オシメルチニブ単剤群):オシメルチニブ(同上)→手術→医師選択治療 117例・対照群(化学療法群):カルボプラチンまたはシスプラチン+ペメトレキセド(いずれの薬剤も同上)→手術→医師選択治療 120例・評価項目:[主要評価項目]MPR[副次評価項目]無イベント生存期間(EFS)など[探索的評価項目]ベースライン時のMRDとEFSの関係、術前のMRDとMPRの関係、術前のMRDクリアランスとMPRの関係など 今回は、MRD解析が行われた集団(189例)の結果が報告された。主な結果は以下のとおり。・ベースライン時の血漿サンプルでMRD陽性の割合は、cobas EGFR Mutation Test v2が30%であったのに対し、NeXT Personalが71%であった(以降はNeXT Personalに基づくデータを示す)。・ベースライン時にMRD陽性の集団は、StageIIIの割合が多く、腫瘍径が大きく、リンパ節転移が多かった。・対照群も含めた全群の併合解析において、ベースライン時のMRDの有無別にEFSをみると、MRD陰性の集団はMRD陽性の集団と比べてEFSが良好であった(ハザード比:0.24、95%信頼区間:0.07~0.80)。・ベースライン時にMRD陽性であり、術前のMRD解析でMRDクリアランスを達成した患者の割合は、オシメルチニブ+化学療法群83%、オシメルチニブ単剤群84%、化学療法群58%であった。・MRDクリアランスの有無別にみたMPRは、クリアランス達成の集団が24%、クリアランス未達成の集団が6%であり、クリアランス達成の集団が良好であった(p=0.0378)。・術前のMRD解析でMRD陰性の割合は、オシメルチニブ+化学療法群77%、オシメルチニブ単剤群77%、化学療法群53%であった。・MRDの有無別にみたMPRは、MRD陰性の集団が20%、MRD陽性の集団が9%であった(p=0.0546)。 本試験結果について、Blakely氏は「MPRを補完する指標としてMRDが有用である可能性を示すとともに、EGFR遺伝子変異陽性の切除可能NSCLC患者に対して、オシメルチニブを含むレジメンで術前療法を行うことを支持するものであった」とまとめた。

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既治療の進展型小細胞肺がん、I-DXdの奏効率48.2%(IDeate-Lung01)/WCLC2025

 既治療の進展型小細胞肺がん(ED-SCLC)患者を対象に、抗B7-H3(CD276)抗体薬物複合体ifinatamab deruxtecan(I-DXd;DS-7300)の有用性を検討する国際共同第II相試験「IDeate-Lung01試験」。本試験において、I-DXdは有望な治療効果と忍容性が示された。世界肺がん学会(WCLC2025)において、韓国・Samsung Medical CenterのMyung-Ju Ahn氏が本試験の主解析の結果を報告した。試験デザイン:国際共同第II相試験(パート1:用量最適化パート、パート2:用量拡張パート)対象:プラチナ製剤を含む化学療法による治療歴を有し、治療歴が3ライン以下のED-SCLC患者183例<用量最適化パート>試験群1:I-DXd 8mg/kgを3週ごと(46例)試験群2:I-DXd 12mg/kgを3週ごと(42例)<用量拡大パート>試験群:I-DXd 12mg/kgを3週ごと(95例)評価項目:[主要評価項目]RECIST v1.1に基づく盲検下独立中央判定(BICR)による奏効率(ORR)[副次評価項目]奏効までの期間(TTR)、奏効期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、病勢コントロール率(DCR)、安全性など 今回は、I-DXd 12mg/kgを投与された137例の結果が報告された。主な結果は以下のとおり。・対象患者の年齢中央値は63歳、男性の割合は90%、PS1の割合は77.4%であった。ベースライン時に脳転移、肝転移を有していた割合はそれぞれ38.0%、40.1%であった。治療ライン数が1/2/3の割合は23.4%/54.7%/21.9%であり、抗PD-L1/PD-1抗体による治療歴を有する割合は81.0%であった。・データカットオフ時点(2025年3月3日)のBICRによるORRは48.2%(CR 3例、PR 63例)、DCRは87.6%であった。治療ライン数1、2以上の集団のORRはそれぞれ56.3%、45.7%であり、DCRはそれぞれ96.9%、84.8%であった。・ORRに関するサブグループ解析では、化学療法無治療期間(CTFI)、治療ライン数、脳転移の有無、肝転移の有無などのほとんどのサブグループで一貫した効果がみられた。ただし、CTFIが30日以下(化学療法抵抗性)の集団では、ORRが11.1%と低かった。・BICRによるTTR中央値は1.4ヵ月、DOR中央値は5.3ヵ月であった。・BICRによるPFS中央値は4.9ヵ月であった。3ヵ月、6ヵ月、9ヵ月時点のPFS率は68.0%、35.3%、19.3%であった。・OS中央値は10.3ヵ月であった。3ヵ月、6ヵ月、9ヵ月時点のOS率は89.1%、77.4%、59.1%であった。・治療期間中央値は4.8ヵ月であった。・Grade3以上の治療関連有害事象(TRAE)は36.5%に発現し、治療中止に至ったTRAEの発現割合は9.5%であった。TRAEとしてのILD/肺臓炎は12.4%に発現した(Grade1/2が11例、Grade3が4例、Grade5が2例)。 本試験結果について、Ahn氏は「I-DXd 12mg/kgは既治療のED-SCLC患者において高い有効性を示した。CTFIが30日以下、脳転移ありなどの臨床試験では通常除外されることの多い患者集団も含まれていた点を考えると、特筆すべき結果といえる」とまとめた。なお、既治療のED-SCLC患者を対象として、I-DXdと化学療法(トポテカン、アムルビシン、lurbinectedinのいずれか)を比較する国際共同第III相試験「IDeate-Lung02試験」が進行中である。

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EGFR陽性NSCLCの1次治療、オシメルチニブ+化学療法がOS改善(FLAURA2)/WCLC2025

 EGFR遺伝子変異陽性の進行・転移非小細胞肺がん(NSCLC)に対する1次治療として、オシメルチニブ+化学療法とオシメルチニブ単剤を比較する国際共同第III相無作為化比較試験「FLAURA2試験」が実施されている。世界肺がん学会(WCLC2025)において、本試験の全生存期間(OS)の最終解析結果がDavid Planchard氏(フランス・Institut Gustave Roussy/パリ・サクレー大学)によって報告され、併用群でOSの有意な改善が認められた。すでに主解析の結果、併用群で無増悪生存期間(PFS)が有意に改善したことが報告されており(ハザード比[HR]:0.62、95%信頼区間[CI]:0.49~0.79)1)、OSも第2回中間解析の結果から併用群が良好な傾向が示されていた。試験デザイン:国際共同第III相非盲検無作為化比較試験対象:EGFR遺伝子変異陽性(exon19欠失/L858R)でStageIIIB、IIIC、IVの未治療の非扁平上皮NSCLC成人患者557例試験群:オシメルチニブ(80mg/日)+化学療法(ペメトレキセド[500mg/m2]+シスプラチン[75mg/m2]またはカルボプラチン[AUC 5]を3週ごと4サイクル)→オシメルチニブ(80mg/日)+ペメトレキセド(500mg/m2)を3週ごと(併用群、279例)対照群:オシメルチニブ(80mg/日)(単独群、278例)評価項目:[主要評価項目]RECIST 1.1を用いた治験担当医師評価に基づくPFS[副次評価項目]OSなど 主な結果は以下のとおり。・本試験の対象患者は、ベースライン時に約4割が脳転移を有していた(併用群42%、単独群40%)。EGFR遺伝子変異の内訳は、exon19欠失変異/L858R変異が、併用群61%/38%、単独群60%/38%であった。・データカットオフ時点(2025年6月12日)のOS中央値は、併用群47.5ヵ月、単独群37.6ヵ月であり、併用群が有意に改善した(HR:0.77、95%CI:0.61〜0.96、p=0.02)。・2年、3年、4年時のOS率は、併用群がそれぞれ80%、63%、49%であり、単独群がそれぞれ72%、51%、41%であった。・OSに関するサブグループ解析では、ほとんどのサブグループで併用群が良好な傾向にあったが、中国人を除くアジア人のサブグループのHRは1.00(95%CI:0.71~1.40)であった。・治療期間中央値は、併用群がプラチナ製剤2.8ヵ月、ペメトレキセド8.3ヵ月、オシメルチニブ30.5ヵ月であった。単独群のオシメルチニブによる治療期間中央値は21.2ヵ月であった。・進行後に後治療を受けた割合は、併用群69%、単独群77%であった。後治療を受けた患者のうち、化学療法を用いた割合は、併用群74%、単独群75%であった。・Grade3以上の有害事象は併用群70%、単独群34%に発現したが、主解析時から2年超の追跡期間を経ても、安全性に関する新たなシグナルはみられなかった。・オシメルチニブの中止に至った有害事象は、併用群12%、単独群7%に発現した。 本試験結果について、Planchard氏は「オシメルチニブ+化学療法はOSを有意に改善したことから、EGFR遺伝子変異陽性の進行NSCLCに対する1次治療の標準治療であることが確認された」とまとめた。

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副作用編:手足症候群(抗がん剤治療中の皮膚障害対応)【かかりつけ医のためのがん患者フォローアップ】第4回

今回は化学療法中の「手足症候群」についてです。手足症候群はとくにマルチキナーゼ阻害薬などで発症する副作用の1つです。患者さん自身には病状の深刻さがわかりづらく、気付いたときには重症化しているケースもたびたび見受けられます。足底部の手足症候群が増悪すると歩行困難となり、治療機関が遠方の場合は自宅近くのクリニックへ来院するケースもあります。今回は、手足症候群で受診された際に有用な鑑別ポイントや、患者さんへの対応にフォーカスしてお話しします。【症例1】72歳、男性主訴歩行困難病歴局所進行大腸がん(StageIV)に対する緩和的化学療法を実施中。数日前から歩行時に足裏の痛みを感じていた。今朝から足底部に発赤と水疱を自覚。疼痛で歩行困難となり、かかりつけ医(クリニック)を受診。診察所見発熱なし、呼吸器症状、腹部症状なし。食事摂取問題なし。両足足底部に発赤および水疱を認める。手掌も発赤あり。内服抗がん剤フルキンチニブ5mg/日(Day18)画像を拡大するステップ1 鑑別と重症度評価は?抗がん剤治療中の手足症候群のほとんどが使用中の抗がん剤によるものですが、感染症なども念頭におく必要があります。他の要因も含めて押さえておきたいポイントを挙げます。(1)手足症候群の原因が本当に抗がん剤かどうか確認服用中または直近に投与された抗がん剤の種類と投与日を確認。他の原因(主に感染:蜂窩織炎や真菌感染など)との鑑別。手足症候群以外の症状やバイタルの変動を確認。鑑別疾患とポイント画像を拡大する手足症候群の原因となる医薬品と頻度画像を拡大する(2)CTCAEを用いた重症度評価外来受診時のGrade判定の目安としては、初期症状である手足がチクチクするといった軽度の疼痛のような感覚異常はGrade1、明確な痛みを伴う場合はGrade2、歩行困難などの日常生活に支障を来す場合はGrade3となります。機能障害の程度の判定は、ボタンがかけられない、痛くて水仕事ができない、歩行ができないなどを指標とします。CTCAE v5.0 手掌・足底発赤知覚不全症候群画像を拡大するステップ2 対応は?では、冒頭の患者さんの対応を考えてみましょう。来院時はすでに歩行困難であり、CTCAEで評価すると重症度はGrade3に相当しました。両手・両足に症状が出現しており、フルキンチニブによる手足症候群の診断となりました。発熱の有無や他の副作用の有無も聴取したうえで、抗がん剤の内服中止と自宅での安静としました。このケースではストロンゲストのステロイド軟膏を処方し、疼痛に対してはアセトアミノフェンを処方したうえで、治療機関への連絡(抗がん剤の再開時期や副作用報告)を説明して帰宅としました。症状と対応画像を拡大する内服抗がん剤を中止してよいか?診察時に患者さんより「抗がん剤を継続したほうがよいか?」と相談を受けた場合、基本的に内服を中止しても問題ありません。手足症候群を生じるような内服抗がん剤の場合、自己判断で抗がん剤を減量すると副作用の過小評価につながる可能性があるため、判断に迷う場合は治療機関へ問い合わせるよう、患者さんへ説明いただけますと助かります。1)厚生労働省:重篤副作用疾患別対応マニュアル 手足症候群2)中外製薬:手足症候群 Hand-foot Syndrome Atlas3)有害事象共通用語基準 v5.0 日本語訳JCOG版講師紹介

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HR+/HER2+転移乳がんへのパルボシクリブ+トラスツズマブのOS(PATRICIA)/ESMO Open

 HR+/HER2+転移乳がんに内分泌療法を併用または非併用でパルボシクリブ+トラスツズマブの有効性を検討した第II相PATRICIA試験の結果、最終的な全生存期間(OS)中央値は29.8ヵ月であったことを、スペイン・SOLTI Cancer Research GroupのTomas Pascual氏らが報告した。また、バイオマーカー分析の結果についても報告した。ESMO Open誌2025年9月1日号に掲載。 本試験は、2015年7月~2018年11月に患者を登録し、スペインの17施設で実施された研究者主導の多施設共同非盲検第II相試験である。対象は、トラスツズマブ治療歴があり、2~4レジメンの治療後に病勢進行が認められた閉経後HER2+転移乳がん患者で、ER-症例はコホートA(パルボシクリブ+トラスツズマブ)、ER+症例はコホートB1(追加治療なし)またはコホートB2(レトロゾール)に1:1に無作為に割り付けた。主要評価項目は治験責任医師による6ヵ月時点の無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目はOSと長期PFSであった。 主な結果は以下のとおり。・本試験には71例が登録され、コホートAに15例、B1に28例、B2に28例が登録された。・OS中央値は29.8ヵ月(95%信頼区間[CI]:20.9~38.0)、4年OS率はコホートAが13.3%、B1が35.7%、B2が32.3%であった。・OSは、PAM50のLuminalタイプが38.0ヵ月で、非Luminalタイプ(26.6ヵ月)より良好であった。・探索的バイオマーカー分析では、Luminal関連遺伝子が長期の生存と関連した一方、Basal -likeおよび増殖関連遺伝子は耐性と関連していた。・Luminal A、Luminal B、化学内分泌(CES)スコア高値では予後は良好であった。 著者らは、「本結果は、HER2+乳がんにおける遺伝子発現プロファイリングの関連を強調し、バイオマーカー主導の患者選択を支持している。また、本試験の長期成績は、HR+/HER2+転移乳がんにおける化学療法以外の可能性を実証するものだ」と結論している。

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早期浸潤性乳がん、2次がんのリスクは?/BMJ

 英国・オックスフォード大学のPaul McGale氏らは、National Cancer Registration and Analysis Service(NCRAS)のデータを用いた観察コホート研究の結果、早期浸潤性乳がん治療を受けた女性の2次原発がんリスクは一般集団の女性よりわずかに高いものの、リスク増加全体の約6割は対側乳がんであり、術後補助療法に伴うリスクは低いことを報告した。乳がんサバイバーは2次原発がんを発症するリスクが高いが、そのリスクの推定方法は一貫しておらず、2次原発がんのリスクと患者・腫瘍特性、および治療との関係は明確にはなっていない。BMJ誌2025年8月27日号掲載の報告。早期浸潤性乳がん女性約47万6,000例について解析 研究グループは、英国・NCRASのデータを用い1993年1月~2016年12月に登録された、最初の浸潤がんとして早期乳がん(乳房のみ、または腋窩リンパ節陽性であるが遠隔転移なし)の診断を受け乳房温存術または乳房切除術を受けた女性を特定し、2021年10月まで追跡調査を行った。 診断時年齢が20歳未満または75歳超、追跡期間3ヵ月未満、初回乳がん診断後3ヵ月以内に他の種類の浸潤がん発症、術前補助療法を受けた患者等は除外し、47万6,373例を評価対象とした。 主要評価項目は、2次原発がんの発生率および累積リスクで、一般集団と比較するとともに、患者特性、初発腫瘍の特徴、術後補助療法との関連性を評価した。2次がんリスクは20年で一般集団よりわずかに増加 評価対象47万6,373例のうち、22%が1993~99年に、21%が2000~04年に、24%が2005~09年に、33%が2010~16年に診断を受けた。初回乳がん診断時の年齢は、20~39歳が7%、40~49歳が20%、50~59歳が31%、60~69歳が30%、70~75歳が12%であった。 2次浸潤性原発がんは6万7,064例に確認され、このうち同側新規乳がんは新規原発がんか初回がんの再発かを区別することが困難であるため解析から除外し、6万4,747例を解析対象集団とした。 これら2次原発がんを発症した計6万4,747例の女性は、一般集団と比較した過剰絶対リスクは小さかった。 初回乳がん診断後20年間で、乳がん以外のがんを発症した女性は13.6%(95%信頼区間[CI]:13.5~13.7)で、英国一般集団の予測値より2.1%(95%CI:2.0~2.3)高かった。 対側乳がんの発症率は5.6%(95%CI:5.5~5.6)で、予測値より3.1%(95%CI:3.0~3.2)高く、過剰絶対リスクは若年女性のほうが高齢女性より高かった。 乳がん以外のがんで20年間の過剰絶対リスクが最も高かったのは、子宮体がんと肺がんであった。子宮体がん、軟部組織がん、骨・関節がん、唾液腺がん、および急性白血病については、標準化罹患比が一般集団の1.5倍以上であったものの、20年間の過剰絶対リスクはいずれも1%未満であった。 術後補助療法別の解析では、放射線療法は対側乳がんおよび肺がんの増加、内分泌療法は子宮体がんの増加(ただし対側乳がんは減少)、化学療法は急性白血病の増加と関連していた。これらは無作為化試験の報告と一致していたが、今回の検討で新たに軟部組織、頭頸部、卵巣および胃がんとの正の関連性が認められた。 これらの結果から、2次がんコホート6万4,747例のうち約2%が、また過剰2次がんコホート1万5,813例のうち7%が、術後補助療法に起因する可能性があることが示唆された。

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上咽頭がん、シスプラチンを用いないtoripalimab併用療法は実現可能か/JAMA

 局所進行上咽頭がん患者において、放射線治療時にシスプラチンを用いないtoripalimab併用療法(toripalimab+導入化学療法および放射線治療)は、治療成功生存期間(failure-free survival:FFS)に関する非劣性が示され、毒性の低い、実現可能な治療法であることが、中国・Guangdong Provincial Clinical Research Center for CancerのCheng Xu氏らDIAMOND Study Groupが行った第III相無作為化試験「DIAMOND試験」の結果で示された。先行研究により、上咽頭がん治療においてPD-1阻害薬のtoripalimabを用いることで、放射線治療時に毒性の高いシスプラチンの併用を省略でき、生存に影響を及ぼさない可能性が示唆されていた。JAMA誌オンライン版2025年8月21日号掲載の報告。放射線療法におけるシスプラチン省略の有効性と安全性を評価 研究グループは局所進行上咽頭がん患者において、同時放射線療法でシスプラチンを用いないtoripalimab併用療法の有効性と安全性を評価する第III相の多施設共同非盲検無作為化試験を行った。試験は中国の13病院で、2021年8月~2022年7月に、T4N1M0またはT1-4N2-3M0の患者を登録して行われた。最終追跡日は2025年3月21日。 被験者を無作為に標準治療群またはシスプラチン省略群に割り付けた。標準治療群は、toripalimabとゲムシタビン+シスプラチンの導入化学療法およびシスプラチン併用放射線療法(シスプラチンは100mg/m2を3週ごと2サイクル投与)を受けた。シスプラチン省略群は、同時シスプラチンのない同様のレジメンを受けた。toripalimab(240mg、3週ごと)は、導入療法期に3サイクル、放射線療法期に3サイクル、維持療法期に11サイクルが投与された。 主要評価項目は2つで、FFS(非劣性マージン8%)、全Gradeの嘔吐の発生率(優越性の評価)であった。副次評価項目は、全生存期間、局所無再発生存期間、無遠隔転移生存期間、安全性、奏効率、QOL、忍容性などであった。3年FFS、シスプラチン省略群88.3%、標準治療群87.6% 試験には532例が登録された(ITT集団)。per protocol集団は400例(75.2%)。ITT集団は年齢中央値47歳(四分位範囲:39~54)、女性が25.2%であった。 追跡期間中央値37.0ヵ月(範囲:4.0~50.0)時点において、3年FFS率はシスプラチン省略群88.3%、標準治療群87.6%で群間差は0.7%であった(95%信頼区間[CI]の片側下限値:-3.9%、非劣性のp=0.002、層別化ハザード比:0.92[95%CI:0.66~1.79]、log-rank検定のp=0.73)。 安全性解析では、全Gradeの嘔吐の発生率は、シスプラチン省略群が標準治療群と比べて有意に低率であった(26.2%[68/260例]vs.59.8%[156/261例]、群間差:-33.6%[片側95%CI:-∞~-26.9%]、p<0.001)。 患者報告に基づくQOL(参加率87.5%)、忍容性(参加率94.7%)は、シスプラチン省略群において、主に胃腸、機能、全体的な健康状態で良好であった。

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新インプラントデバイスがBCG不応性膀胱がんに有効

 TAR-200と呼ばれる、薬剤を封入した小さなプレッツェル型のインプラントデバイスにより、BCG(カルメット・ゲラン桿菌)治療に反応しない高リスク膀胱がん患者の5人中4人でがんが消失したとする第2相臨床試験の結果が報告された。米南カリフォルニア大学ケック医学校泌尿器腫瘍科長のSiamak Daneshmand氏らによるこの研究の詳細は、「Journal of Clinical Oncology」に7月30日掲載された。 Daneshmand氏は、「これまで、治療抵抗性を示す膀胱がんに対する治療選択肢は非常に限られていた。この新しい治療法は、一般的な膀胱がんに対する治療法としてこれまでに報告されたものの中では最も効果が高い」と述べている。 従来の治療では膀胱内に液体のゲムシタビンを注入するが、薬剤は数時間で排泄されてしまうため、がんに対する効果は限定的であった。一方、ジョンソン・エンド・ジョンソン社が開発したTAR-200は、プレッツェル型の小型デバイスにゲムシタビンを封入したもので、カテーテルを通して膀胱内に挿入される。TAR-200は膀胱内で、1回の治療サイクルである3週間にわたりゲムシタビンをゆっくりと持続的に放出する。「この研究の背景にある理屈は、薬剤が膀胱内にとどまる時間が長いほど深く浸透し、より多くのがんを破壊できるというものだ」とDaneshmand氏は説明している。 今回の臨床試験は、BCG不応性の筋層非浸潤性膀胱がん(NMIBC)患者85人を対象に実施された。NMIBCは膀胱がんの中で最も多いタイプのがんである。対象患者はいずれも再発や他の部位への転移の可能性が高いため、高リスクと診断されていた。患者のうち、BCG不応性の上皮内がん(CIS)を有する群(乳頭状腫瘍の有無は問わない)は、C1群(TAR-200+セトレリマブ〔抗PD-1モノクローナル抗体〕、53人)、C2群(TAR-200単独、85人)、C3群(セトレリマブ単独、28人)に、CISを伴わず乳頭状腫瘍のみを有する患者はC4群(TAR-200単独、52人)に割り付けられ、それぞれの治療を受けた。治療期間は、TAR-200が24カ月、セトレリマブが18カ月であった。主要評価項目は、C1~C3群では完全奏効率、C4群では無病生存率とされた。 その結果、C2群では、完全奏効率は82.4%(70/85人)、治療反応期間の中央値は25.8カ月であることが明らかになった。C1群とC3群の完全奏効率は67.9%と46.4%であった。また、C4群での6・9・12カ月時点での無病生存率はそれぞれ、85.3%、81.1%。70.2%であった。 これらの結果を踏まえてDaneshmand氏は、「化学療法薬を数時間ではなく数週間かけてゆっくりと放出する方が、はるかに効果的なアプローチのようだ」と述べている。 米食品医薬品局(FDA)はTAR-200に新医薬品申請の優先審査を認可した。これはFDAが、この機器の審査を迅速化することを意味すると研究グループは述べている。なお、本臨床試験は、ジョンソン・エンド・ジョンソン社傘下のヤンセン・リサーチ&ディベロップメント社の資金提供を受けた。

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福井大学医学部 病態制御医学内科学第一講座(附属病院血液・腫瘍内科)【大学医局紹介~がん診療編】

山内 高弘 氏(教授)今村 善宣 氏(助教)山内 英暉 氏(医員)講座の基本情報教室の取り組みと特徴当科は、昭和55年福井医科大学内科学第一講座として開講以来40年以上にわたり抗腫瘍薬の基礎研究・臨床研究を専門とする全国でもまれな内科です。基礎的には、抗腫瘍薬の臨床薬理と薬剤耐性を研究テーマとしています。臨床的には、たくさんの臨床試験や治験を行っていますが、患者さんの診療を第一として地域医療を守ります。学内・学外の先生方との連携を重視し、がん薬物療法のメッカとして「がんを薬でなおそう」を目標に、基礎理論とエビデンスに基づいた合理的で最先端の診療を実践しています。教室の目標は、「楽しく、仲良く、全力で!」 をモットーに、教室の発展と教室員一人ひとりの夢の実現を両立させることであります。自由な雰囲気の中で若い先生方が実力を伸ばしていくことができる教室です。力を入れている治療/研究テーマ当科では、早期治験からJCOG大規模第III相試験まで多段階の臨床試験を広く展開しています。また、抗がん薬耐性機序の解明やTLS発症リスク因子の同定を目指す基礎・トランスレーショナル研究も並行して推進中です。加えて、高齢がん患者を対象としたリアルワールドデータ解析や、造血器腫瘍パネル検査に向けた骨髄クロットのプレアナリティカル解析など、研究テーマは多岐にわたり、医局員一人ひとりの関心・適性に応じた自主的な研究活動を支援しています。医学生/初期研修医へのメッセージ福井という地方の特性を活かし、患者さんとの距離が近い環境で診療と研究に主体的に参加できます。多職種カンファレンスや研究企画会議では、若手のアイディアが尊重され、教授や先輩医師からの直接指導を受けながら実務経験を積める機会が豊富です。地域連携プロジェクトにも早期から関わることで、がん診療の専門性と総合的な医療力を同時に磨けます。地方だからこそ得られる深い学びと手応えを、ぜひ一緒に味わいましょう。Uターン・Iターンも大歓迎です!これまでの経歴2016年3月に福井大学を卒業後、4月から福井大学医学部附属病院で初期研修を行いました。血液・腫瘍内科をローテートした際に、化学療法や移植によって一貫して内科で悪性腫瘍を治療できる点に惹かれ、2018年4月に血液・腫瘍内科に入局しました。2019年4月からは関連病院で専門研修を行いました。いずれの施設でも血液疾患、一般内科の診療について指導医の先生方から手厚い御指導をいただき2021年に内科専門医、2023年に血液専門医を取得しました。2023年4月から福井大学医学部附属病院に戻り、大学院に入学し抗がん薬について基礎研究を行っています。同医局を選んだ理由当院は県内唯一の移植認定施設であり、化学療法から同種造血幹細胞移植まで一貫して経験できます。治験も多数行っており、最新の治療に触れることができます。また、時間外や休日はオンコール制であり、福井県でメリハリをつけて働きながら血液・腫瘍内科として経験を積むのによい環境と考えました。また、医局の雰囲気や診療スタイルも自分の性質に合っていると感じ入局を決めました。実際、内科医・血液内科医として非常に充実した専門研修をさせていただいたと感じています。まずは、ぜひお気軽に見学にお越しください!福井大学医学部 病態制御医学内科学第一講座(附属病院血液・腫瘍内科)住所〒910-1193 福井県吉田郡永平寺松岡下合月23-3問い合わせ先tyamauch@u-fukui.ac.jp医局ホームページ福井大学医学部附属病院 血液・腫瘍内科福井大学医学部 病態制御医学内科学第一講座専門医取得実績のある学会日本内科学会、日本血液学会、日本臨床腫瘍学会、日本造血・免疫細胞療法学会、日本輸血・細胞治療学会、日本老年医学会、日本プライマリ・ケア学会、日本痛風・尿酸核酸学会研修プログラムの特徴(1)当科は基礎的には長年にわたり抗腫瘍薬の基礎的検討を行い、臨床的には多くの臨床試験・治験を行ってきました。当科での研修でがん薬物療法の基礎を固めることができます。さらに発展的に、薬剤耐性克服を基礎的に検討したり、最先端の新規治療薬による治療を経験することができます。(2)北陸三県の中でも当科の造血細胞移植件数は多く、移植治療をしっかりと身に付けることができます。(3)日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医・指導医が4名おります。福井県での専門医11名のうち9名が当科出身者で、うち5名が当教室内にいます。固形がんも含め高いレベルのがん薬物療法を学ぶことができます。(4)腫瘍崩壊症候群、制吐療法、がん関連静脈血栓塞栓症といったがん関連有害事象についても掘り下げた研究を行っています。がん患者さんの包括的診療を学ぶことができます。

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脱毛に関する誤解と恐怖は化学療法の忌避につながる

 抗がん薬による治療(化学療法)で皮膚や髪、爪に生じ得る副作用について多くの人が誤解しており、そのような副作用に対する恐怖が治療の忌避や遅延につながり得ることが、新たな研究で示された。米ジョージ・ワシントン大学皮膚科分野のAdam Friedman氏らによるこの研究結果は、「Journal of Drugs in Dermatology(JDD)」8月号に掲載された。 この研究では、ワシントンD.C.の中で最も医療サービスが不足している南東部において開催された2つの健康フェアへの参加者を対象に調査が行われ、回答が得られた77人のデータが分析された。これらの参加者の大半(88.3%)は女性で、年齢は45〜54歳、黒人が71.5%を占めていた。 その結果、化学療法を受けると半分以上のケースで脱毛が起きると考えている人は、対象者全体では52%、がん治療歴のある人では31%に上ることが明らかになった。同様に、皮膚の乾燥/発疹については全体の47%とがん治療歴のある人の50%、爪の変化については41%と31%が、半分以上のケースで生じると考えていた。また、参加者が「治療をおそらく/絶対に受けない」理由とした副作用は、永続的な脱毛(全体:33%、がんの治療歴あり:13%)、一時的な眉毛/まつ毛の脱毛(27%、13%)、および永続的な爪の変色(24%、13%)であった。さらに、がんの治療歴を有していた参加者の半数は、治療中に皮膚科医の診察を受けていなかった。 Friedman氏は、「これらの研究結果は、恐怖と誤解がいかに大きな影響力を持つかを示している。患者が十分な情報に基づいた選択を行えるよう、より良い教育と支援が必要だ」と述べている。  研究グループによると、これまでの研究に基づくと、化学療法中に脱毛を経験するがん患者は、分子標的療法で14.7%、標準的な化学療法で52.1%であるという。しかし本研究から、脱毛に対する恐怖から、がんに罹患したことのない多くの人が治療に消極的であることが示された。 Friedman氏らは、「がんの治療歴を有する人も含めて最大3分の1の人が、さまざまな皮膚の副作用を理由に、仮に化学療法が必要になったとしてもそれを拒否すると回答していたことを考えると、この知識ギャップに対処することは極めて重要だ」と結論付けている。

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日本における手術部位感染の分離菌の薬剤感受性~全国サーベイランス

 手術部位感染(SSI)から分離された原因菌に対する各種抗菌薬の感受性について、日本化学療法学会・日本感染症学会・日本臨床微生物学会(2023年には日本環境感染学会も参画)による抗菌薬感受性サーベイランス委員会が、2021~23年に実施した第4回全国サーベイランス調査の結果を報告した。第1回(2010年)、第2回(2014~15年)、第3回(2018~19年)のデータと比較し、主に腸内細菌目細菌において抗菌薬感受性が低下した一方、MRSA発生率は減少したことが示された。Journal of Infection and Chemotherapy誌2025年9月号に掲載。 本調査の対象手術は、一般外科、消化器外科、心臓血管外科、呼吸器外科、乳腺内分泌外科の手術で、収集菌種は、バクテロイデス属、黄色ブドウ球菌(MRSA、MSSA)、Enterococcus faecalis、大腸菌、肺炎桿菌、Enterobacter cloacae、緑膿菌の7菌種である。 主な結果は以下のとおり。・腸内細菌目細菌のESBL(extended-spectrum β-lactamase)産生株の検出率は、2010年は4.4%、2014~15年は13.5%、2018~19年は6.6%であったが、2021~23年は11.2%に上昇した。2018~19年はタゾバクタム・ピペラシリンに対する感受性が高かったが、2021~23年は71.8%に低下した。タゾバクタム・セフトロザンの幾何平均MICは、2018~19年は0.397、2021~23年は0.778と上昇傾向を示した。・MRSA発生率は、2010年は72%であったが、2014~15年および2018~19年は53%、2021~23年は39%と低下した。・大腸菌および肺炎桿菌において、スルバクタム・アンピシリンおよびセファゾリンに対する感受性が低下した。・バクテロイデス属は、モキシフロキサシン(57%)、セフメタゾール(54%)、クリンダマイシン(44%)に対する感受性が低かった。

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cN0乳がんのセンチネルリンパ節生検省略、リアルワールドで見逃されるpN+の割合は?

 INSEMA試験やSOUND試験の結果から、乳房温存術を受けるHR+/HER2-の臨床的腋窩リンパ節転移陰性(cN0)早期乳がんの一部の患者では、センチネルリンパ節生検(SNB)は安全に省略可能であるとされつつある。しかし、リンパ節転移の有無は術後治療の選択に極めて大きな影響を及ぼすため、SNB省略のde-escalation戦略の妥当性については依然として議論の余地がある。そこで、Nikolas Tauber氏(ドイツ・University Hospital Schleswig-Holstein)らは、INSEMA試験の基準を満たす患者にSNBを行い、その病理学的結果や術後治療への影響を解析することで、SNB省略時の影響をリアルワールドで推計した。その結果がEuropean Journal of Surgical Oncology誌2025年8月14日号に掲載された。 本研究は、ドイツの大学の乳がんセンター3施設を対象とした後ろ向き多施設コホート研究であり、2020~24年にHR+/HER2-乳がんと診断され、INSEMA試験の基準(cT1、グレード1~2、50歳以上、cN0、乳房温存術を施行)を満たす867例を解析した。病理学的リンパ節転移陽性(pN+)の割合、術後に上方修正された病期やグレードの割合、術後治療への影響を評価した。 主な結果は以下のとおり。・患者の内訳は、50~60歳が305例、61~70歳が275例、71~80歳が236例、80歳超が51例であった。・SNBによってpN+と診断されたのは124例(14.3%)であった。・微小転移と孤立性腫瘍細胞を除外した場合、SNBを省略すると見逃される転移の割合は10.5%であった。この割合は、INSEMA試験やSOUND試験とほぼ同等であった。・pN+は、若年、腫瘍径が大きい、Ki67値が高い患者で多かった。・pN+となった124例のうち101例で化学療法やCDK4/6阻害薬、放射線照射などの術後治療が新たに考慮された。・SNBで病期やグレードが術後に上方修正された割合は18.8%であり、もしSNBを省略していた場合には2次的にSNBが必要になった可能性があった。・CDK4/6阻害薬の適応症例における再発予防に必要な手術数は、年齢と腫瘍径によって大きく異なり、111~333例に1例であった。 これらの結果より、研究グループは「一部の患者ではSNBの省略は安全であると考えられる。しかし、今回のリアルワールドデータの解析では、遺伝子発現プロファイルなど他の予後予測ツールを併用しない限り、腋窩リンパ節の評価は依然として個別の治療方針の決定に重要であることを示唆している」とまとめた。

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アカラブルチニブ、マントル細胞リンパ腫に承認取得/AZ

 アストラゼネカは、アカラブルチニブマレイン酸塩水和物(商品名:カルケンス錠100mg)について、「マントル細胞リンパ腫」を効能又は効果として、2025年8月25日付で厚生労働省より承認を取得したことを発表した。本承認は国際共同第III相ECHO試験の結果などに基づくもので、米国、EU、ほか数ヵ国でマントル細胞リンパ腫(MCL)に承認されている。 第III相ECHO試験は、65歳以上の未治療MCL患者を対象とし、アカラブルチニブとベンダムスチンおよびリツキシマブとの併用療法群と標準治療である免疫化学療法群を比較した試験で、アカラブルチニブ併用療法群が病勢進行または死亡のリスクを27%低減したことが示唆された(ハザード比:0.73、95%信頼区間[CI]:0.57~0.94、p=0.016)。また、無増悪生存期間(PFS)の中央値は、免疫化学療法単独群の49.6ヵ月に対し、アカラブルチニブ併用療法群で66.4ヵ月であった。 再発/難治性のMCLに対しては、海外第II相非盲検単群試験であるACE-LY-004試験、および国内第I相試験(D8220C00001試験)の結果に基づいている。ACE-LY-004試験では、標準的な免疫化学療法後に再発または難治性を示したMCL患者において、アカラブルチニブ単剤療法による全奏効率(ORR)が81.5%(95%CI:73.5~87.9)、完全奏効率が47.6%(同:38.5~56.7)であった。また、D8220C00001試験では、日本人の進行期B細胞性腫瘍の成人患者に対して、アカラブルチニブ単剤療法によりMCLコホートでORRが61.5%(同:31.6~86.1)であった。<本承認により追加された「効能又は効果」と「用法及び用量」>●効能又は効果:マントル細胞リンパ腫●用法及び用量:〈マントル細胞リンパ腫〉・未治療の場合ベンダムスチン塩酸塩及びリツキシマブ(遺伝子組換え)との併用において、通常、成人にはアカラブルチニブとして1回100mgを1日2回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。・再発又は難治性の場合通常、成人にはアカラブルチニブとして1回100mgを1日2回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

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T-DXd、化学療法未治療のHER2低発現/超低発現の乳がんに承認取得/第一三共

 第一三共は2025年8月25日、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd、商品名:エンハーツ)について、日本において「ホルモン受容体陽性かつHER2低発現又は超低発現の手術不能又は再発乳癌」の効能又は効果に係る製造販売承認事項一部変更承認を取得したことを発表した。 本適応は、2024年6月開催の米国臨床腫瘍学会(ASCO2024)で発表された、化学療法未治療のホルモン受容体陽性かつ、HER2低発現またはHER2超低発現の転移再発乳がん患者を対象としたグローバル第III相臨床試験(DESTINY-Breast06)の結果に基づくもので、化学療法未治療のHER2低発現またはHER2超低発現の乳がんを対象に承認された日本で初めての抗HER2療法となる。

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転移乳がんへのT-DXd後治療、アウトカムを比較

 転移乳がん(MBC)に対し、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)投与後の治療選択について十分なデータはない。米国・ダナ・ファーバーがん研究所のPaolo Tarantino氏らによる、電子カルテ由来のデータベースを用いた後ろ向き解析の結果、T-DXd投与後の追加治療(後治療)によるアウトカムは、MBCのサブタイプおよび投与された治療レジメンによって有意に異なることが明らかになった。また、T-DXd直後にサシツズマブ ゴビテカン(SG)を使用した場合、すべてのサブタイプで実臨床での無増悪生存期間(rwPFS)が比較的短く、T-DXdとの一定程度の交差耐性の可能性が示唆された。Journal of the National Cancer Institute誌オンライン版8月14日号掲載の報告。 本研究では、米国における全国規模の電子カルテ由来の匿名化データベースを用いて、2019年12月~2023年9月にT-DXd治療を開始し、T-DXd投与後に追加治療を受けた転移乳がん(MBC)患者のデータをレビューした。T-DXd投与前に一度でもHER2陽性であればHER2陽性、T-DXd投与前に一度もHER2陽性でなければHER2陰性として分類した。T-DXd後の治療におけるrwPFSおよび全生存期間(OS)を、カプランマイヤー法およびログランク検定を用いて比較した。 主な結果は以下のとおり。・T-DXd投与後に追加治療を受けた患者793例を特定した。・T-DXd投与後の追加治療のアウトカムはサブタイプにより有意に異なっていた(p<0.001)。各サブタイプのrwPFS中央値は以下のとおり:【HER2陽性MBC】4.6ヵ月【ホルモン受容体(HR)陽性/HER2陰性MBC】3.4ヵ月【トリプルネガティブMBC】2.8ヵ月・また、T-DXd投与後の追加治療のアウトカムは治療レジメンによっても有意に異なっていた(p<0.001)。各サブタイプおよび各レジメンごとのrwPFS中央値は以下のとおり。【HER2陽性MBC】内分泌治療レジメン:6.7ヵ月、SG:2.3ヵ月【HR陽性/HER2陰性MBC】エリブリン:5.9ヵ月、SG:2.5ヵ月【トリプルネガティブMBC患者】ほとんどの治療レジメンでrwPFSが3ヵ月以下と予後不良。SG:3ヵ月、エリブリン:2ヵ月、多剤併用化学療法:2.5ヵ月

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第257回 新型コロナ感染9週連続増加 変異株「ニンバス」拡大、百日咳も同時流行/厚労省

<先週の動き> 1.新型コロナ感染9週連続増加 変異株「ニンバス」拡大、百日咳も同時流行/厚労省 2.消化器外科医、2040年に約5,000人不足 がん手術継続に黄信号/厚労省 3.医療ネグレクト対応、緊急時の同意なし医療に法的責任問わず/こども家庭庁 4.往診5年で4割増 高齢者中心に需要拡大も過剰提供を懸念/厚労省 5.末期がん患者に未承認治療3千件超 都内クリニックに措置命令/厚労省 6.がん治療後の肝炎再活性化で患者死亡、情報共有不足が背景に/神戸市 1.新型コロナ感染9週連続増加 変異株「ニンバス」拡大、百日咳も同時流行/厚労省新型コロナウイルスの感染者が全国的に増加している。厚生労働省によると、8月11~17日に約3,000の定点医療機関から報告された感染者数は2万2,288人で、1医療機関当たり6.3人となり、9週連続で前週を上回り、入院患者も1,904人と増加した。例年、夏と冬に流行のピークがあり、今年もお盆や夏休みの人の移動を背景に感染拡大が続いている。流行の中心はオミクロン株の派生型「NB.1.8.1」で、俗称「ニンバス」と呼ばれる株。国立健康危機管理研究機構によれば20日時点で国内検出の28%を占め、同系統を含めると全体の8割以上になる。感染力は従来株よりやや強いが、重症化リスクは大きく変わらないとされている。症状は、発熱や咳に加え「カミソリを飲み込んだような強い喉の痛み」が特徴で、筋肉痛や関節痛を伴う例も報告されている。ワクチンは重症化予防に有効と考えられており、WHOも監視下の変異株に指定している。都道府県別では、宮崎が最多の14.7人、鹿児島12.6人、埼玉11.5人と続き、東京や大阪など大都市圏では比較的低水準に止まっている。厚労省は「手洗いや咳エチケット、エアコン使用時の換気など基本的な感染対策を徹底してほしい」と呼びかけている。新学期開始で人の動きが再び活発化する9月中旬ごろまで増加が続く可能性が指摘される。一方、百日咳も同時流行しており、8月10日までの週に3,211人が報告され、年初からの累計は6万4千人超となった。子供を中心に長引く咳を呈し、乳児では重症化するリスクが高い。国内外で増加傾向にあり、厚労省は原因を分析中。コロナと百日咳が並行して拡大する中、専門家は体調不良時には早めに医療機関を受診し、感染拡大防止に努めるよう求めている。 参考 1) 変異ウイルス「NB.1.8.1」“感染力やや強い”(NHK) 2) 新型コロナ感染者、全国平均で9週続けて増加 例年夏に流行 厚労省(朝日新聞) 3) “カミソリをのみ込んだような強烈な喉の痛み” 新型コロナ「ニンバス」感染拡大 百日せきも流行続く(読売テレビ) 2.消化器外科医、2040年に約5,000人不足 がん手術継続に黄信号/厚労省厚生労働省の「がん診療提供体制のあり方に関する検討会」は、2040年にがん手術を担う消化器外科医が約5,000人不足するとの推計をまとめた。需要側では初回手術を受ける患者数が2025年の約46万5千人から40年には約44万人へ微減する一方、供給側の減少が急速に進む。外科医の約7割を占める消化器外科では、日本消化器外科学会の所属医師(65歳以下)が25年の約1万5,200人から40年に約9,200人へ39%減少し、需給ギャップは5,200人規模に拡大すると見込まれている。背景には若手医師の敬遠がある。消化器外科は10時間を超える食道がん手術や夜間・休日の救急対応など負担が大きい一方、給与水準は他科と大差がない。修練期間も長く、労働と報酬のバランスが「割に合わない」とされ、2002年から20年間で医師数は2割減少した。他方、麻酔科や内科は増加しており、診療科間での偏在が深刻化している。こうした現状に、学会や大学病院は人材確保策を模索する。北里大学は複数医師で患者を担当し、緊急時の呼び出しを減らし、富山大学は長時間手術の交代制を導入、広島大学は若手の年俸を1.3倍に引き上げた。学会は拠点病院への人材集約により休暇確保や経験蓄積を両立させたい考えを示している。報告書はまた、放射線治療では、装置の維持が難しくなる可能性や、薬物療法では地域格差が生じやすい点にも言及。今後は都道府県単位で医療機関の集約化やアクセス確保を検討し、効率的な医療提供体制を整える必要があるとしている。高齢化が進み85歳以上のがん患者は、25年比で45%増えると見込まれる中、医師不足は治療継続に直接影響し得る。厚労省は、就労環境や待遇改善に報酬面での配慮を進め、がん医療の持続可能性確保に向けた施策を急いでいる。 参考 1) 2040年を見据えたがん医療提供体制の均てん化・集約化に関するとりまとめ(厚労省) 2) がん手術担う消化器外科医、2040年に5000人不足 厚労省まとめ(毎日新聞) 3) 消化器外科医の不足深刻…厳しい勤務で若手敬遠、「胃や腸のがん患者の命に関わる」学会に危機感(読売新聞) 4) 消化器外科医「5,000人不足」 がん診療「病院集約を」厚労省検討会、40年推計(日経新聞) 3.医療ネグレクト対応、緊急時の同意なし医療に法的責任問わず/こども家庭庁こども家庭庁は8月、保護者の思想や信条を理由に子供に必要な医療を拒否される「医療ネグレクト」について、緊急時に医療機関が保護者の同意なく治療を実施した場合でも、刑法や民法上の責任は基本的に問われないと定め、7日付の事務連絡で明示するとともに、法務省とも協議済みとしている。救命手術などで同意が得られなくても「社会的に正当と認められる医療行為」であれば刑事責任は生じず、急迫の危害を避ける行為であれば悪意や重大な過失がない限り、民事責任も免れると解説している。背景には医療現場からの実態報告がある。こども家庭庁が救命救急センターを有する88医療機関を対象に行った調査では、2022年4月~24年9月までに24機関から計40件の医療ネグレクト事例が報告された(回答施設の3割弱に相当)。多くの事例では保護者への説明を尽くし同意を得る努力が行われたが、同意取得が不可能または時間的猶予がない場合、医療機関の判断で治療が行われていた。調査では対応の工夫として「児童相談所と事例を共有」が75%、「日頃から顔の見える関係作り」が59%と挙げられた。一方で、児相との「切迫度認識の差」や「帰宅可否を巡る判断の齟齬」など課題も指摘された。児相のノウハウ不足を補うため、具体的事例や対応方法を管内で共有することの重要性も強調されている。こども家庭庁は、平時からの地域ネットワーク構築や事例共有を通じ、迅速かつ適切な対応体制の整備を自治体に要請。現場の医師にとっても、緊急時に同意がなくとも治療に踏み切れる法的整理は大きな後押しとなるが、児相との連携強化や判断基準の共有が今後の課題となる。 参考 1) 令和6年度子ども・子育て支援等推進調査研究事業の報告書の内容及びそれを踏まえた取組(こども家庭庁) 2) 緊急時の保護者同意ない医療「法的責任負わず」こども家庭庁(MEDIFAX) 3) 救命救急センターの3割弱で医療ネグレクトの報告 思想などに起因する事例、22年4月-24年9月に40件(CB news) 4) 令和6年度 保護者の思想信条等に起因する医療ネグレクトに関する調査研究報告書(三菱UFJ) 4.往診5年で4割増 高齢者中心に需要拡大も過剰提供を懸念/厚労省厚生労働省の統計によると、医師が自宅を訪ねる往診が過去5年で1.4倍に増加した。2024年は月27万5,001回と前年比11.2%増で、とくに75歳以上の高齢者が利用の8割を占め、前年比19.6%増の23万件超となった。在宅高齢者の急変時対応や有料老人ホームなどでの需要が増え、夜間・休日対応を外部委託する医療機関の広がりが背景とみられる。一方、コロナ禍では15歳未満の往診が急増。外来受診制限や往診報酬の特例引き上げにより、2023年には月1万7,000件を超えた。深夜の乳幼児往診では1回5万円弱の報酬が得られるケースもあり、自治体の小児医療無償化と相まって都市部で利用が拡大した。しかし、2024年度の報酬改定で特例は縮小され、15歳未満の往診は63.8%減少した。往診の拡大は救急搬送の抑制につながる利点がある一方、診療報酬目的で必要性の低い往診を増やす事業者がいるとの指摘もある。厚労省もこの問題を把握しており、必要に応じて中央社会保険医療協議会(中医協)で、在宅医療報酬の見直しを議論する考えを示している。訪問診療は計画的に実施される在宅医療の柱で、2024年は月208万回、患者数110万人。これに対し往診を受けた患者は約20万人に止まる。往診の増加が高齢社会に不可欠な在宅医療の充実につながるのか、それとも過剰提供の温床となるのか、制度の在り方が問われている。 参考 1) 令和6年社会医療診療行為別統計の概況(厚労省) 2) 医師の往診5年で4割増 高齢者の利用拡大、過剰提供の懸念も(日経新聞) 5.末期がん患者に未承認治療3千件超 都内クリニックに措置命令/厚労省厚生労働省と環境省は8月22日、東京都渋谷区の「北青山D.CLINIC」(阿保 義久院長)に対し、カルタヘナ法に基づく措置命令を出した。自由診療に対する同法の命令は初めて。同院は2009年以降、末期がん患者らに「CDC6shRNA治療」と称する遺伝子治療を提供してきたが、必要な承認を得ていなかった。治療には遺伝子を組み込んだレンチウイルスが用いられ、製剤は院長が中国から個人輸入していた。これまでに3千件以上行われたが、有効性や安全性は科学的に確認されていない。患者への同意文書では「がん細胞に特異的に発生するCDC6というたんぱくを消去する遺伝子を投与する」と説明されていた。両省は製剤の不活化・廃棄と再発防止策の報告を命じた。現時点で健康被害や外部漏洩は確認されていないという。クリニックは6月以降治療を中止しており、今後は法に基づき申請するとしている。厚労省によると、自由診療での遺伝子治療は、科学的根拠が不十分なまま患者が全額自費で受けるケースが国内で広がっている。昨年の法改正で「再生医療等安全性確保法」の対象にも加わったが、今回の事例は十数年にわたり違法状態が続いていたことを示している。厚労省は今後、医療機関に法令順守の徹底を求めている。 参考 1) 「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」に基づく措置命令について(厚労省) 2) 未承認「がん遺伝子治療」に措置命令 カルタヘナ法、自由診療で初(毎日新聞) 3) がん自由診療に措置命令 都内クリニック手続き怠り(東京新聞) 4) がんに対する自由診療の遺伝子治療めぐり、厚労省などが措置命令(朝日新聞) 6.がん治療後の肝炎再活性化で患者死亡、情報共有不足が背景に/神戸市8月21日、神戸市立西神戸医療センターは、70代男性患者が医療事故で死亡したと発表した。男性は2023年10月に悪性リンパ腫と診断され、B型肝炎ウイルスを保有していることを自ら申告していた。化学療法にはB型肝炎ウイルスを再活性化させる作用を持つ薬が含まれるため、予防目的で核酸アナログ製剤が併用処方されていた。しかし、2024年に悪性リンパ腫が完全寛解した後、担当医が患者のB型肝炎感染を失念し、薬の処方を中止。継続されていたウイルス量の検査でも増加傾向を見落とし、2025年1月に男性は急性肝炎を発症し、入院から18日後に死亡した。男性の担当医は免疫血液内科の医師で、B型肝炎治療を専門とする消化器内科ではなかった。事故後、病院は消化器内科以外の医師が核酸アナログ製剤を処方できない仕組みを導入するなど再発防止策を取っている。北垣 一院長は会見で「重大な結果を招いたことは大変残念で、深く反省している」と謝罪、遺族にも経緯を説明し、理解を得たとしている。B型肝炎の再活性化をめぐっては、化学療法や免疫抑制療法の患者における発症リスクが広く知られており、定期的な検査と予防的投薬の継続が学会ガイドラインでも推奨されている。今回の事故は、がん治療後も必要な薬の中止と検査結果の見落としが重なり、致死的転帰を招いた典型例となった。同様の事故は他施設でも発生しており、今年5月には名古屋大学医学部附属病院で、リウマチ治療を受けていた70代女性が検査不備によりB型肝炎再活性化で死亡していたことが公表されている。専門家は、複数診療科にまたがる患者管理における情報共有とチェック体制の徹底が再発防止に不可欠だと指摘している。 参考 1) B型肝炎ウイルス感染を失念、投薬を誤って中止し患者死亡…西神戸医療センターが遺族に謝罪(読売新聞) 2) 薬剤処方を誤って中止、患者死亡 神戸の市立病院が謝罪(共同通信) 3) 「担当医が患者の申告を失念」 70代男性が急性肝炎で死亡 神戸(朝日新聞)

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