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アテゾリズマブ単剤、NSCLC1次治療でOS延長(IMpower110)/NEJM

 非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療において、アテゾリズマブ単剤はプラチナ製剤ベースの化学療法と比較して、組織型を問わず、プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)の発現量が多い患者の全生存(OS)期間を延長させることが、米国・イェール大学医学大学院のRoy S. Herbst氏らが行った「IMpower110試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2020年10月1日号に掲載された。PD-L1発現NSCLCで転移のある患者の1次治療において、抗PD-L1モノクローナル抗体アテゾリズマブはプラチナベースの化学療法と比較して、有効性と安全性が優れるか否かは明らかにされていなかった。PD-L1発現量が多い集団のOS中間解析 研究グループは、EGFRとALKが野生型で転移のあるPD-L1陽性NSCLCにおけるアテゾリズマブの有用性を評価する国際非盲検無作為化第III相試験を実施した(F. Hoffmann-La RocheとGenentechの助成による)。今回は、PD-L1発現量が多い患者におけるOSの中間解析の結果が報告された。 対象は、年齢18歳以上、化学療法歴がなく、SP142による免疫組織化学法でPD-L1の発現が腫瘍細胞の1%以上または腫瘍浸潤免疫細胞の1%以上に認められ、転移のある非扁平上皮または扁平上皮NSCLCで、全身状態(ECOG PS)が0または1の患者であった。 被験者は、アテゾリズマブ(1,200mg、静脈内投与)またはプラチナ製剤ベースの化学療法(4または6サイクル)を3週ごとに投与する群に1対1の割合で割り付けられた。 主要評価項目はOS期間とした。OSの評価は、EGFR変異やALK転座がない野生型の腫瘍を有する患者のintention-to-treat集団において、PD-L1の発現量別に階層的に行った。また、EGFRとALKが野生型の腫瘍を持つ集団の血液中の腫瘍遺伝子変異量に基づくサブグループで、OS期間と無増悪生存(PFS)期間を前向きに評価した。OS期間が7.1ヵ月、PFS期間が3.1ヵ月延長 2015年7月~2018年2月の期間に、日本を含む19ヵ国144施設で、無作為割り付けが行われた。572例が登録され、アテゾリズマブ群に285例、化学療法群には287例が割り付けられた。 EGFRとALKが野生型の腫瘍で、PD-L1発現量が最も多かったサブグループ(205例)では、フォローアップ期間中央値15.7ヵ月の時点におけるOS期間中央値は、アテゾリズマブ群が化学療法群よりも7.1ヵ月長かった(20.2ヵ月vs.13.1ヵ月、ハザード比[HR]:0.59、95%信頼区間[CI]:0.40~0.89、p=0.01)。1年OS率は、アテゾリズマブ群が64.9%、化学療法群は50.6%だった。 EGFRとALKが野生型の腫瘍で、PD-L1発現量が最も多かったサブグループでは、PFS期間もアテゾリズマブ群で良好であった(8.1ヵ月vs.5.0ヵ月、層別HR:0.63、95%CI:0.45~0.88)。この集団における担当医判定による奏効率は、アテゾリズマブ群が38.3%、化学療法群は28.6%であり、このうちデータカットオフ日に、それぞれ68.3%および35.7%で奏効が持続していた。 血液中の腫瘍遺伝子変異量が多いサブグループ(PD-L1発現量は問わない)では、OS期間中央値はアテゾリズマブ群で良好な傾向が認められ(13.9ヵ月 vs.8.5ヵ月、非層別HR:0.75、95%CI:0.41~1.35)、PFS期間中央値はアテゾリズマブ群で優れた(6.8ヵ月vs.4.4ヵ月、0.55、0.33~0.92)。 有害事象は、アテゾリズマブ群が90.2%、化学療法群は94.7%で発現し、Grade3/4の有害事象はそれぞれ30.1%および52.5%で認められた。重篤な有害事象の発現率は、それぞれ28.3%および28.5%で、Grade5の有害事象が11例(3.8%)および11例(4.2%)にみられた。免疫関連有害事象は、それぞれ40.2%および16.7%で発現し、Grade3/4は6.6%および1.5%であった。 著者は、「アテゾリズマブ単剤の安全性プロファイルは、以前の研究で観察されたものと一致していた。転移のあるNSCLC患者におけるがん免疫療法への治療応答性を検出するバイオマーカーとしての腫瘍遺伝子変異量(血液、組織)の役割は不明である」としている。

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進行乳がんにおける内分泌療法+BVへの切り替え、患者報告アウトカムの結果(JBCRG-M04)/ESMO2020

 進行・再発乳がんに対する標準的化学療法は、病勢進行まで同レジメンを継続することだが、化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)や倦怠感などの用量依存的な影響が問題になる場合がある。今回、エストロゲン受容体(ER)陽性HER2陰性進行・再発乳がん患者に対して、1次化学療法のパクリタキセル(wPTX)+ベバシズマブ(BV)療法から、内分泌療法(ET)+BVの維持療法に切り替えた場合の患者報告アウトカム(PRO)について、化学療法継続と比較したところ、身体的健康状態(PWB)と倦怠感を有意に改善し、重度のCIPNを防いだことが示された。欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)で、福島県立医科大学の佐治 重衡氏が報告した。 本試験は、わが国における多施設共同非盲検無作為化比較第II相試験のJBCRG-M04(BOOSTER)試験。主要評価項目である無作為化から治療戦略遂行不能までの期間(time to failure of strategy:TFS)については、wPTX+BV群8.87ヵ月、ET+BV群16.82ヵ月で有意に延長した(ハザード比:0.51、95%信頼区間:0.34~0.75、p<0.001)ことを、2019年のサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2019)で同氏が報告している。・対象:ER陽性HER2陰性進行・再発乳がん患者に対して、1次化学療法としてwPTX+BV療法を4~6サイクル施行後、SD以上の効果が認められた患者・介入群:wPTXを休薬しET+BVに置き換え、規定イベント後にwPTX+BVを再導入する群(ET+BV群)・対照群:wPTX+BV継続治療群(wPTX+BV群)・評価項目[主要評価項目]TFS[副次評価項目]全生存期間、無増悪生存期間、安全性、PROなど※PROの評価は、無作為化時および無作為化後2ヵ月、4ヵ月、1年、2年に、FACT-B、EQ-5D、患者用末梢神経障害質問票(PNQ)、HADS、cancer fatigue scale(CFS)を使用 主な結果は以下のとおり。・1次化学療法が奏効した125例について、wPTX+BV群63例、ET+BV群62例に割り付けた。 ・mixed-effect models for repeated measures(MMRM)を用いた解析では、FACT-Bのtrial outcome indexに有意差が認められ(p=0.004)、PWBの平均変化は2ヵ月後(p=0.015)および4ヵ月後(p=0.028)に、ET+BV群がPTX+BV群より有意に優れていた。・CIPNについては、1年後における重度の運動神経障害の割合がET+BV群でwPTX+BV群よりも低かった(5.1% vs. 26.1%、p=0.017)。・CFSでも有意差が認められ(p=0.048)、そのうち精神的倦怠感のスコアの平均変化は、2ヵ月後(p=0.006)および4ヵ月後(p=0.010)でET+BV群がwPTX+BV群より有意に優れていた。 佐治氏は、「化学療法継続で蓄積毒性が懸念される症例において、ET+BVの維持療法は健康関連QOLの点で1つの選択肢となるだろう」と結論した。

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膵がん1次治療に対するデュルバルマブ+tremelimumab+化学療法の評価(PA.7)/ESMO2020

 カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のDaniel Renouf氏は、転移を有する膵管腺がんに対する標準治療であるゲムシタビン+nab-パクリタキセル併用療法と、これに抗PD-L1抗体デュルバルマブと抗CTLA-4抗体tremelimumabの2剤を追加した併用療法を比較した無作為化非盲検第II相PA.7試験の結果を欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)で発表。4剤併用療法は、2剤併用療法との比較で全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効率(ORR)のいずれも改善が認められなかったと報告した。・対象:未治療の転移を有する膵管腺がん(PS0~1)180例・試験薬群:ゲムシタビン1,000mg/m2+nab-パクリタキセル125mg/m2+デュルバルマブ1,500mg+tremelimumab75mg 4週ごと(4剤併用療法群、119例)・対照群:ゲムシタビン1,000mg/m2+nab-パクリタキセル125mg/m2 4週ごと(2剤併用療法群、61例)・評価項目:[主要評価項目]OS[副次評価項目]PFS、ORR、安全性・毒性[3次評価項目]QOL 主な結果は以下のとおり。・OS中央値は4剤併用療法群9.8ヵ月、2剤併用療法群8.8ヵ月、で、統計学的に有意な差は認められなかった(HR:0.94、90%CI:0.71~1.25、p=0.72)。・PFS中央値は4剤併用療法群5.5ヵ月、2剤併用療法群5.4ヵ月で統計学的に有意な差は認められなかった(HR:0.98、90%CI:0.75~1.29、p=0.91)。・ORRは4剤併用療法群30.3%、2剤併用療法群23.0%であった(OR:1.49、90%CI:0.81~2.72、p=0.28)。・病勢コントロール率(DCR)は4剤併用療法群70.6%、2剤併用療法群57.4%で、4剤併用療法群で改善傾向が認められた(OR:1.69、90%CI:0.99~2.89、p=0.10)。・Grade3以上の治療関連有害事象の発現率は、4剤併用療法群84%、2剤併用療法群76%であった。 Renouf氏は、今回の結果ではOS、PFS、ORRは有意差はなく、DCRでは改善傾向が認められたと報告したうえで、今回のような患者集団での免疫感受性を予測できるバイオマーカーに関する研究が現在進行中であることを明らかにした。

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ESMO2020レポート 消化器がん(上部下部消化管)

レポーター紹介本年度の欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)は、昨今の新型コロナウイルス感染症の社会情勢を鑑み、完全バーチャル化して2020年9月19日~21日まで開催された。消化管がん領域における注目演題についてレポートする。CheckMate-649試験本邦の実臨床が大きく変わるであろう臨床試験結果の演題として、未治療のHER2陰性進行胃・食道胃接合部がん・食道腺がんにおける化学療法+ニボルマブ併用療法の化学療法に対する優越性が検証されたCheckMate-649試験を報告する。HER2陰性進行胃・食道胃接合部がん・食道腺がんでは、フッ化ピリミジン系薬剤とプラチナ系薬剤の併用療法を行うことが標準治療として位置付けられている。また、本邦では後方ラインの治療としてすでにニボルマブが実地臨床でも使用されている。そこで、HER2陰性進行胃・食道胃接合部がん・食道腺がんを対象に化学療法群(カペシタビン+オキサリプラチン併用療法または、FOLFOX療法)に対して、化学療法+ニボルマブ併用療法群、またはイピリムマブ+ニボルマブ併用療法群のそれぞれの優越性を検証したCheckMate-649試験が行われた。今回のESMOでの報告では、化学療法+ニボルマブ併用療法群および、化学療法群を比較した結果が公表された。主要評価項目は化学療法+ニボルマブ併用療法群の化学療法群に対する、CPS5以上のPD-L1陽性例でのOSとPFSだった。副次評価項目は、CPS1以上のPD-L1陽性例でのOS、ランダム化された症例でのOSなどであった。ランダム化1,581例のうちCPS5以上のPD-L1陽性例は955例(60%)であった。両群の患者背景に差はなかった。アジア人は化学療法+ニボルマブ併用療法群が25%、化学療法群が24%、MSSは化学療法+ニボルマブ併用療法群が89%、化学療法群が88%であった。後治療移行割合は、全体で39%、化学療法+ニボルマブ併用療法群で38%、化学療法群で41%であった。後治療として免疫療法を受けたのは、化学療法+ニボルマブ併用療法群が2%、化学療法群が8%であった。主要評価項目であるCPS5以上のPD-L1陽性例におけるOS中央値は、化学療法+ニボルマブ併用療法群で14.4ヵ月(95%CI:13.1~16.2)、化学療法群で11.1ヵ月(95%CI:10.0~12.1)、HR 0.71(98.4%CI:0.59~0.86)、p<0.0001と化学療法+ニボルマブ併用療法群が有意に良好であった。CPS1以上のPD-L1陽性例においても同様に、化学療法+ニボルマブ併用療法群で化学療法群よりもOSが良好であった。さらに、全ランダム化症例におけるOS中央値も、化学療法+ニボルマブ併用療法群が化学療法群よりも有意に良好であった(OS中央値:13.8ヵ月vs.11.6ヵ月、HR:0.80、p=0.0002)。CPS5以上のPD-L1陽性例の奏効割合は、化学療法+ニボルマブ併用療法群で60%、化学療法群で45%と、化学療法群+ニボルマブ併用療法群で有意に高かった(p<0.0001)。完全奏効は化学療法+ニボルマブ併用療法群で12%、化学療法群で7%に認められた。化学療法+ニボルマブ併用療法群で安全性に関する新たな情報はなかった。以上の結果から、演者らは、HER2陰性進行胃・食道胃接合部がん・食道腺がんにおける化学療法+ニボルマブ併用療法は標準治療の1つと考えられると結論付けた。ATTRACTION-4試験現在、本邦では胃がん領域において免疫チェックポイント阻害薬であるニボルマブが実地臨床で用いられている。本試験は、HER2陰性の切除不能進行再発胃がん/食道胃接合部がんにおける1次化学療法として、化学療法+ニボルマブ併用療法と化学療法をHead-to-Headで比較した第III相試験として日本・韓国・台湾で実施された。主要評価項目は、PFSとOSに設定され、副次評価項目は奏効割合、安全性などであった。統計学的に、最終解析においてPFS、OSでそれぞれ両側α=0.01、0.04として設定された。化学療法(SOXまたはCapOX)+ニボルマブ併用療法、化学療法にそれぞれ1:1に割り付けられた。2017年3月から2018年5月までに724例が登録され、化学療法+ニボルマブ併用療法群に362例、化学療法群に362例が割り付けられた。患者背景に両群で差は認めなかった。後治療移行割合は、化学療法+ニボルマブ併用療法群で64%、化学療法群で68%であった。後治療としてニボルマブあるいはペムブロリズマブを受けたのは、化学療法+ニボルマブ併用療法群が10%、1%、化学療法群が25%、2%であった。主要評価項目であるPFS中央値は、化学療法+ニボルマブ併用療法群で10.45ヵ月(95%CI:8.44~14.75)、化学療法群で8.34ヵ月(95%CI:6.97~9.40)、HR 0.68(98.51%CI:0.51~0.90)、p=0.0007と有意に化学療法+ニボルマブ併用療法群で良好な成績であった。OSについては、OS中央値が化学療法+ニボルマブ併用療法群で17.45ヵ月(95%CI:15.67~20.83)、化学療法群で17.15ヵ月(95%CI:15.18~19.65)、HR 0.90(95%CI:0.75~1.08)、p=0.257と統計学的有意差は示せない結果となった。カプランマイヤー曲線をみると、全体としてわずかに化学療法+ニボルマブ併用療法群が上回っていた。奏効割合は、化学療法+ニボルマブ併用療法群で57.5%、化学療法群で47.8%と化学療法+ニボルマブ併用療法群で有意に高かった(p=0.0088)。完全奏効は、化学療法+ニボルマブ併用療法群で19.3%、化学療法群で13.3%であった。安全性に関しては、化学療法+ニボルマブ併用療法群で新たな情報はなかった。CheckMate-649試験の結果を受けて、日本の実地臨床でも近い将来、初回化学療法から免疫チェックポイント阻害薬を併用する治療が標準治療となっていくものと考えられる。しかしながら、これまで進行胃がんの1次治療における化学療法+免疫チェックポイント阻害薬併用療法の有用性を検証した臨床試験として、KEYNOTE-062試験、CheckMate-649試験、ATTRACTION-04試験の3つの大規模試験が示されているが、全体集団のOSにおいて、化学療法+免疫チェックポイント阻害薬の有効性を示したのはCheckMate-649試験のみとなっている。なぜこのような結果となったのか。異なる臨床試験間の比較をすることは御法度だが、ATTRACTION-04試験はアジアで行われた試験であること(標準治療群のOSが17ヵ月というのは驚異的な成績である)、後治療の移行割合(免疫チェックポイント阻害薬を含む)の違い、併用backboneレジメンの違い、CPSの評価方法の違い、あるいは胃がん特有のheterogeneityなのか、検討すべき点は多々あると思われる。昨今は胃がんにおいても次々と新規薬剤が承認される時代に突入したが、予後不良の胃がん患者において実際に「薬の使い切り」を行える症例は少ないのが現状である。より効果の高い治療をより効果の高い患者へ最適に届けることが今後の課題といえよう。KEYNOTE-590試験進行食道がんの初回化学療法は、フルオロピリミジン+プラチナ系薬剤併用(FP)療法が標準治療として用いられている。ペムブロリズマブ単独療法は、KEYNOTE-181試験において、CPS10以上のPD-L1陽性の既治療食道扁平上皮がん症例で化学療法との比較が行われ、奏効割合22% vs.7%、OS中央値10.3ヵ月 vs.6.7ヵ月と報告されている。本試験は、腺がんを含む進行食道がんの初回化学療法における化学療法+ペムブロリズマブ併用療法の化学療法に対する優越性を検証した、無作為化二重盲検第III相試験である。治療は、化学療法+ペムブロリズマブ併用療法群は5-FU+CDDP+ペムブロリズマブを3週ごと、化学療法+プラセボ群は5-FU+CDDP+プラセボを3週ごとに投与された。主要評価項目は、OS(扁平上皮がん患者、扁平上皮がんかつCPS10以上のPD-L1陽性、CPS10以上のPD-L1陽性、全登録患者)とPFS(扁平上皮がん患者、CPS10以上のPD-L1陽性、全登録患者)であった。副次評価項目は、奏効割合、安全性などであった。2017年7月から2019年6月までに749例が登録され、化学療法+ペムブロリズマブ併用療法群に373例、化学療法+プラセボ群に376例が無作為に割り付けられた。患者背景に両群で差はなかった。アジア人は化学療法+ペムブロリズマブ併用療法群が53%、化学療法+プラセボ群が52%、扁平上皮がんは化学療法+ペムブロリズマブ併用療法群が74%、化学療法+プラセボ群が73%、CPS10以上のPD-L1陽性例は化学療法+ペムブロリズマブ併用療法群が50%、化学療法+プラセボ群が52%であった。 扁平上皮がん患者におけるOS中央値は、化学療法+ペムブロリズマブ併用療法群が12.8ヵ月(95%CI:10.2~14.3)、化学療法+プラセボ群が9.8ヵ月(95%CI:8.6~11.1)、HR 0.72(95%CI:0.60~0.88)、p<0.0001と化学療法+ペムブロリズマブ併用療法群で有意に良好だった。CPS10以上のPD-L1陽性患者におけるOS中央値は、化学療法+ペムブロリズマブ併用療法群が13.5ヵ月(95%CI:11.1~15.6)、化学療法+プラセボ群が9.4ヵ月(95%CI:8.0~10.7)、HR 0.62(95%CI:0.49~0.78)、p<0.0001と化学療法+ペムブロリズマブ併用療法群で有意に良好だった。全登録患者におけるOS中央値は、化学療法+ペムブロリズマブ併用療法群が12.4ヵ月(95%CI:10.5~14.0)、プラセボ群が9.8ヵ月(95%CI:8.8~10.8)で、HR 0.73(95%CI:0.62~0.86)、p<0.0001と化学療法+ペムブロリズマブ併用療法群で有意に良好だった。PFS中央値も、扁平上皮がん患者、CPS10以上のPD-L1陽性患者、全登録患者において、それぞれで化学療法+ペムブロリズマブ併用療法群が化学療法+プラセボ群と比較して有意に良好であった。奏効割合は、全登録患者において、化学療法+ペムブロリズマブ併用療法群が45.0%、化学療法+プラセボ群が29.3%と化学療法+ペムブロリズマブ併用療法群で有意に高かった(p<0.0001)。安全性に関しては新たな問題は認められなかった。以上の結果から、演者らは食道胃接合部腺がんを含む進行食道がんに対する初回化学療法として、化学療法とペムブロリズマブ併用療法を第1選択に考慮すべきと結論付けている。今回の試験の結果をもって、本邦でも進行食道がんの初回化学療法として免疫チェックポイント阻害薬を併用する治療が標準治療となるだろう。本邦で最も頻度の高い組織型である食道扁平上皮がんに対する初回化学療法として、FP療法、FP+ニボルマブ併用療法、イピリムマブ+ニボルマブ併用療法を比較するCheckMate648試験の結果も今後報告されてくる。また、最近では、FOLFOX療法が食道がんに対して実施が認められており、オキサリプラチンと免疫チェックポイント阻害薬の併用療法なども開発が進んでいくものと思われる。現在はまさに食道がん化学療法の転換期に当たるといわれ、今後の展開に期待したい。

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化学療法+アテゾリズマブの1次治療で長期生存した小細胞肺がんの特徴(IMpower133)/ESMO2020

 IMpower133では、進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)の1次治療において、カルボプラチン+エトポシドへのアテゾリズマブの追加は、長期追跡でも持続した全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)の改善を示している。欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)では、IMpower133の長期生存者(LTS、無作為化後18ヵ月以上生存)の探索的分析を米国・Lombardi包括的がんセンターのS. V. Liu氏が報告した。・対象:全身治療未実施のES-SCLC患者(無症状の既治療CNS病変を有する患者は許容)・試験群:アテゾリズマブ+カルボプラチン+エトポシド、21日ごと4サイクル(atezo+CE群、201例)・対照群:プラセボ+カルボプラチン+エトポシド、21日ごと4サイクル(CE群、202例)・評価項目:治験医師評価による無増悪生存期間(PFS)およびOS 主な結果は以下のとおり。・データカットオフ時(2019年1月24日)の追跡期間中央値は22.9ヵ月であった。・OS中央値は、atezo+CE群51.9ヵ月に対しCE群10.3ヵ月と、atezo+CE群の有意な改善は持続していた(HR:0.76、95%CI:0.60~0.95、p=0.00154)。・373例(182例、191例)が今回の探索的研究の対象となった。・LTS患者の割合は、atezo+CE群33.5%(61/182例)、 CE群20.4%(39/191例)と、atezo+CE群で多かった。・年齢、性別、PS、転移巣の数、腫瘍最長径和などのベースライン状況を問わず、atezo+CE群でLTS患者が多かった。・血漿腫瘍遺伝子変異量、PD-L1発現量とLTSとの関連は見られなかった。

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ニボルマブ+化学療法の非小細胞肺がん術前補助療法がpCRを向上(CheckMate-816)/BMS

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、2020年10月7日、切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)を対象とした第III相CheckMate-816試験において、ニボルマブと化学療法の併用療法が主要評価項目である病理学的完全奏効(pCR)を達成したと発表。 同試験において、術前にニボルマブと化学療法の併用療法を受けた患者群では、化学療法を受けた患者群と比較して、切除組織にがん細胞を認めない患者数が有意に多かった。 CheckMate-816試験は、非進行NSCLCの術前補助療法で、免疫チェックポイント阻害薬と化学療法の併用療法がベネフィットを示した初めてかつ唯一の第III相試験となる。 CheckMate-816試験では、現在、もう一つの主要評価項目である無イベント生存期間(EFS)の評価のため盲検下で維持し、主要な副次評価項目も評価するため進行中である。

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ESMO2020レポート 肺がん

レポーター紹介今年はCOVID-19の影響で、ASCOをはじめ多くの学会がvirtual meeting開催となり、ESMO2020も例にもれずvirtual meetingとして、2020年9月16日~21日に開催された。肺がん領域においては注目の演題が多数存在し、Presidential SymposiumにおいてはADAURA試験およびCROWN試験の報告がされた。日本人演者においては、先ほどのADAURA試験において坪井先生、@Be試験の瀬戸先生、WJOG8715L試験の戸井先生がOral Presentationに選出されている。重要な試験のフォローアップの報告を含め、いくつか注目の演題を紹介したい。ADAURA試験ASCO2020で大幅な無病生存期間(DFS)の改善を示したADAURA試験であるが、ESMO2020においては中枢神経系(CNS)を含む再発パターンについて国立がん研究センター東病院の坪井 正博先生によって報告された。ADAURA試験は、StageIB~IIIA期の切除可能な上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異(Del-19/L858R)を有する非小細胞肺がん(NSCLC)を対象に、術後補助療法として第三世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)オシメルチニブとプラセボを比較した第III相試験である。Stage(IB/II/IIIA)、EGFR遺伝子変異(Del-19/L858R)および人種(アジア人/非アジア人)によって層別化され、オシメルチニブ群およびプラセボ群には1:1で割付された。オシメルチニブの投与は3年間または再発まで行われた。今回の報告では、CNSを含む再発パターンについての内容であった。CNS転移再発はEGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者において比較的高頻度に認められる遠隔転移の再発形式の1つであり、予後不良因子である。オシメルチニブは既存のEGFR-TKIに比べ血液脳関門通過性が高いことが報告されており、脳転移への効果が期待された。全体の再発割合はオシメルチニブ群において11%、プラセボ群において46%であり、そのうち遠隔転移再発はオシメルチニブ群で38%、プラセボ群で61%であった。主な再発部位は、オシメルチニブ群では肺が6%、リンパ節が3%、CNSが1%、プラセボ群では肺が18%、リンパ節が14%、続いてCNSが10%となっており、期待されていたとおりオシメルチニブ群におけるCNS再発は低かった。CNS DFS中央値は、プラセボ群の48.2ヵ月(95%CI:NC~NC)に対し、オシメルチニブ群では未到達(NR)(95%CI:39~NC)、ハザード比(HR)0.18(95%CI:0.10~0.33)、p<0.0001と有意な延長が示された。1年/2年/3年CNS DFS率はプラセボ群ではそれぞれ97%/85%/82%と低下傾向を示したのに対し、オシメルチニブ群では100%/98%/98%とほぼ低下は認めなかった。また、試験開始後18ヵ月時のCNS再発率はオシメルチニブ群で1%未満(95%CI:0.2~2.5%)、プラセボ群で9%(95%CI:5.9~12.5%)と、CNS再発率もオシメルチニブ群において低かった。今回の報告より、術後補助療法としてのオシメルチニブを投与することにより、局所および遠隔転移の再発リスクが減少することが示された。術後補助療法の再発予防としてオシメルチニブを使うべきか、術後再発としてオシメルチニブを使用すべきか、今後の全生存期間のさらなるフォローアップの報告が期待される。WJOG8715L試験現在初回治療でオシメルチニブを選択する機会も増えており、2次治療で使用する機会が少なくなってきたが、そもそものオシメルチニブの適応であるEGFR-TKI不応となったT790M陽性NSCLCに対して、オシメルチニブ・ベバシズマブ併用療法とオシメルチニブを比較した第II相試験がWJOG8715L試験である。未治療のEGFR遺伝子変異陽性NSCLCにおいてはエルロチニブ+VEGF阻害薬によりPFSの延長効果が示されており、今回の結果も期待された。主要評価項目はPFS、副次評価項目はORR、治療成功期間(TTF)、OS、安全性であり、当院の戸井 之裕先生によって発表された。PFSは、ベバシズマブ併用群が9.4ヵ月、単剤群が13.5ヵ月、HR 1.44(95%CI:1.00~2.08)、p=0.20でベバシズマブ併用群のほうがむしろ短い結果となった。前治療でVEGF阻害薬の治療歴有無別でのPFSの解析も行われており、VEGF(-)-オシメルチニブ(37例)13.7ヵ月、VEGF(+)-オシメルチニブ(4例)15.1ヵ月、VEGF(-)-ベバシズマブ併用(32例)11.1ヵ月、VEGF(+)-ベバシズマブ併用(8例)4.6ヵ月、とVEGF阻害薬の治療歴のある併用群の成績がとくに短かった。併用群で多く認められたGrade3以上の副作用は蛋白尿および高血圧であり、間質性肺炎は両群で10%程度に認められた。今回の報告では、残念ながらベバシズマブを併用することの意義は示せなかった。PFSが延びなかった理由として、VEGF阻害薬の治療歴のある症例に対する併用群の成績が良くなかったのが影響している可能性があるが、VEGF阻害薬の治療歴のない症例の比較においてもベバシズマブを上乗せする効果はみられていない。オシメルチニブとベバシズマブとの相性の問題か、EGFR-TKI既治療という腫瘍周囲環境がある程度整った状況によるものなのか、議論に尽きない結果となった。未治療EGFR遺伝子変異陽性肺がんを対象にオシメルチニブ・ベバシズマブ併用療法の有効性を検討するWJOG9717L試験、またオシメルチニブ・ラムシルマブ併用療法の有効性を検討するTORG1833試験がそれぞれ登録終了しており、それらの結果と合わせ、オシメルチニブにVEGF阻害薬を併用することの意義が結論付けられることとなるだろう。CROWN試験CROWN試験は未治療のALK転座陽性進行NSCLCを対象に、初回治療としてロルラチニブとクリゾチニブを比較した第III相試験である。EGFR遺伝子変異陽性NSCLCに対しオシメルチニブが初回治療として承認されたように、ALK転座陽性NSCLCに対しての初回治療になるかが期待される。本試験は多くの試験において脳転移症例が除外される中、治療済または症状のない未治療の脳転移を有する患者の登録が認められていた。しかしながら、クロスオーバーは認められていなかった。今回は中間解析の結果が報告された。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)はロルラチニブ群でNE(95%CI:NE~NE)、クリゾチニブ群で9.3ヵ月(95%CI:7.6~11.1)、HR 0.28(95%CI:0.19~0.41)、p<0.001と有意な延長が示された。1年PFS率はロルラチニブ群が78%(95%CI:70~84)、クリゾチニブ群が39%(95%CI:30~48)と大きな開きをみせている。PFSは、脳転移の有無も含めてすべてのサブグループで有意にロルラチニブ群が良かった。奏効率はロルラチニブ群で76%、クリゾチニブ群で58%であった。ロルラチニブは頭蓋内移行性が高く、今回の報告では脳転移に対する効果も検討されている。頭蓋内奏効率は、ベースラインで測定可能または測定不能な脳転移があった患者で、ロルラチニブ群(38例)が66%(95%CI:49~80)、クリゾチニブ群(40例)が20%(95%CI:9~36)とロルラチニブ群での高い奏効が示された。脳転移の増悪までの期間は、ロルラチニブ群(149例)がNE(95%CI:NE~NE)、クリゾチニブ群(147例)が16.6ヵ月(95%CI:11.1~NE)、HR 0.07(95%CI:0.03~0.17)、p<0.001で有意にロルラチニブ群が良かった。OSはインマチュアであり、両群ともに中央値はNEであった。副作用はロルラチニブ群において高脂血症、高TG血症、浮腫、体重減少、末梢神経障害を高頻度に認めている。中間解析の結果ではあるが、PFSは有意な改善が期待できる。ALK肺がんは現時点でも長期のOSが示されているが、ロルラチニブを初回に使うことによってさらなるOSの改善が期待できるのか、今後の報告が気になるところである。WJOG10718L/@Be試験@Be studyはEGFR/ALK/ROS1陰性、PD-L1強陽性(Daco 22C3)の未治療非扁平上皮非小細胞肺がんに対して、アテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法の有効性を検証する単群第II相試験である。免疫チェックポイント阻害薬に血管新生阻害薬を上乗せする試験は近年いくつか報告されており、本試験は肺がんにおいてベバシズマブを上乗せする初めての試験である。主要評価項目は奏効率(ORR)、副次的評価項目はPFS、DoR、OS、安全性であり、試験事務局である九州がんセンターの瀬戸 貴司先生により結果が報告された。登録された40例中、39例が適格であり、TPS 50~75%が13例(33.3%)、75~100%が26例(66.7%)であった。主要評価項目であるORRは64.1%(90%CI:49.69~76.83)と統計学的にメットしており、9割以上の症例において腫瘍縮小が認められた。PFSは15.9ヵ月(95%CI:5.65~15.93)、1年PFS率は54.9%(95%CI:35.65~70.60)であり、これまでのPD-L1強陽性に対する報告を上回る結果となり、今後が期待される。副作用は、23件/12例においてGrade3の副作用を認め、Grade4以上は認めなかった。副作用中止は2例に認め、硬化性胆管炎と脳症によるものだった。今後、PD-L1強陽性に対して免疫チェックポイント単剤(IMpower110 or KEYNOTE-024)か免疫チェックポイントに血管新生阻害薬を上乗せする(@Be)か、さらには殺細胞性抗がん剤も併用する(IMpower150)か、第III相試験が興味深いところである。KEYNOTE-024試験KEYNOTE-024試験は、PD-L1強陽性(TPS≧50%)の未治療進行NSCLCに対する初回治療におけるペムブロリズマブ単剤治療と化学療法(プラチナ併用療法)を比較した第III相試験である。化学療法群ではPDを認めた場合にペムブロリズマブ群へのクロスオーバーが認められていた。これまでPFS、OSにおいて有意な延長効果が示されてきたが、今回は5年フォローアップのデータの報告となった。2020年6月1日にデータカットオフされ、追跡期間中央値は59.9ヵ月であった。化学療法群のペムブロリズマブへのクロスオーバーは66.0%であった。OSはペムブロリズマブ群で26.3ヵ月(95%CI:18.3~40.4)、化学療法群で13.4ヵ月(95%CI:9.4~18.3ヵ月)、HR 0.62(95%CI:0.48~0.81)と既報と大きな変わりは認めなかった。3年OS率はペムブロリズマブ群で43.7%、化学療法群で19.8%、5年OS率はペムブロリズマブ群で31.9%、化学療法群で16.3%と、3年以上の症例ではtail-plateauの傾向もみられ、5年たった時点でも生存率は約2倍維持されている。化学療法群において高いクロスオーバーがあったにもかかわらず、ペムブロリズマブ群は5年OS率においても有意な延長効果が示され、初回治療で投与することは重要と考える。さらには、35サイクル(2年間)ペムブロリズマブを投与できた症例(39例)の奏効率は82%と高率であった。多くは治療早期に奏効が得られており、免疫チェックポイント阻害薬においても、縮小効果がある症例においては長期の治療効果が期待できることが示された。現在、PD-L1強陽性に対しては単剤で十分ではないかという議論がされるが、今回の長期フォローアップのデータはそれを裏付ける結果の1つであるといえる。PD-L1強陽性に対する単剤とコンビネーションの比較試験も進行中であり、その結果にも注目したい。CheckMate-9LA試験EGFR/ALK陰性の未治療進行NSCLCを対象に初回治療としてニボルマブ(Nivo)+イピリムマブ(Ipi)に化学療法2サイクルを併用するNivo+Ipi+化学療法群と化学療法群を比較する第III相試験である。ASCO2020において有効性が公表され、すでに米国・オーストラリア・シンガポール・カナダでは承認されており、日本でも承認間近と伺っている。今回は、アジア人サブグループの結果が報告された。9LA登録例のうち、アジア人は日本人患者(50例)と中国人患者(8例)であった。Nivo+Ipi+化学療法群が28例、化学療法群が30例であった。OSは、アジア人サブグループでも全集団と同様の傾向がみられ、Nivo+Ipi+化学療法群でNR(15.4ヵ月~NR)、化学療法群で13.3ヵ月(8.2ヵ月~NR)、HR 0.33(95%CI:0.14~0.80)と併用群で良好な結果が示された。組織型(Sq/non-Sq)、PD-L1発現(≧1%/<1%)でみた解析においても、少数ながらNivo+Ipi+化学療法群において改善傾向が認められた。気になる副作用であるが、アジア人における全体およびGrade3/4の頻度、そして副作用中止の頻度が高い傾向があるが、とくにアジア人集団で新たに認められたものはなかった。今回の報告でもあるように9LAレジメンは副作用が懸念点であり、今後実臨床においてどのように評価されていくのかが気になるところである。さいごに今回のESMO2020もvirtualではあったものの、肺がん領域においてはいくつもの重要な報告があった。日本においてはいくらかCOVID-19の蔓延が落ち着きつつあり、現地とwebのハイブリッド開催が行われるようにもなってきたが、世界的には落ち着いておらず国際学会に行くのはまだまだ先になるだろう。国際学会の刺激は現地でないと味わえないところもあり、一刻も早い現状の改善を期待している。

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ニボルマブとイピリムマブの併用療法、MSI-High大腸がんへの国内適応拡大/小野・BMS

 小野薬品工業とブリストル マイヤーズ スクイブは、2020年9月25日、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)とイピリムマブ(商品名:ヤーボイ)との併用療法について、「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High:microsatellite instability-High)を有する結腸・直腸がん」への適応拡大に係る国内製造販売承認事項一部変更の承認を取得したと発表。 今回の承認は、フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法による治療中または治療後に病勢進行した、もしくは同治療法に忍容性がなかった進行・再発のMSI-Highまたはミスマッチ修復欠損(dMMR)を有する大腸がん患者を対象に、ブリストル マイヤーズ スクイブが実施した多施設共同非盲検第II相臨床試験(CheckMate-142試験)のニボルマブとイピリムマブの併用療法コホートによる結果に基づいている。同試験では、ニボルマブとイピリムマブの併用療法は、主要評価項目である治験担当医師の評価による奏効率(ORR)において有効性を示した。本試験におけるニボルマブとイピリムマブの併用療法の安全性プロファイルは、これまでに報告された臨床試験のものと一貫しており、新たな安全性シグナルは認められなかった。ニボルマブは、単剤療法でがん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発のMSI-Highを有する結腸・直腸がんの効能又は効果で承認されているが、今回の承認によって、同効能又は効果に対して、ニボルマブとイピリムマブの併用療法でも使用が可能となった。

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AKT阻害薬ipatasertibが、PTEN欠損CRPCのPFS改善(IPATential150)/ESMO2020

 転移を有するPTEN欠損去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)に対する1次治療としての、AKT阻害薬ipatasertibとアビラテロン/プレドニゾロンの併用療法は、アビラテロン/プレドニゾロンに比べて、画像評価による無増悪生存期間(rPFS)を有意に延長することが示された。日本も参加した、この国際共同のプラセボコントロール第III相試験、IPATential150の結果は、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)で英国・The Royal Marsden HospitalのJohann De Bono氏より発表された。・対象:未治療のmCRPC患者・試験群:ipatasertib(400mg/日)+アビラテロン(1,000mg/日)++プレドニゾロン(5mg×2/日)を投与(IPAT群、547例・対照群:プラセボ+アビラテロン+プレドニゾロン(Pla群、554例)・評価項目:[主要評価項目]全症例(ITT)およびPTEN欠損症例における、主治医判定によるrPFS[副次評価項目]全生存期間(OS)、疼痛増悪までの期間、化学療法開始までの期間、奏効率、遺伝子検索(NGS)によるPTEN欠損症例におけるrPFSなど[統計学的設計]PTEN欠損症例におけるrPFS(α=0.05)、ITTでのrPFS(α=0.01)、PTEN欠損のOS、ITTのOSが順に解析される。 主な結果は以下のとおり。・1,101例が登録され、PTEN欠損(免疫組織化学染色[IHC]での腫瘍細胞のPTEN染色<50%)は521例であった。・PTEN欠損患者のrPFS中央値はIPAT群18.5ヵ月、Pla群16.5ヵ月、ハザード比(HR)は0.77(95%CI:0.61~0.98)、p=0.0335と有意にIPAT群で良好であった。・ITTにおけるrPFS中央値は、IPAT群19.2ヵ月、Pla群16.6ヵ月、HR0.84(95%CI:0.71~0.99)、p=0.0431であった。これは予め設定されていたp値の閾値(α=0.01)を下回らなかった。・PTEN欠損症例における奏効率は、Pla群39%に対し、IPAT群で61%と高かった(CR19%、PR41%)。・NGSによるPTEN欠損症例(208例)におけるrPFS中央値は、IPAT群19.1ヵ月、Pla群14.2ヵ月、HR0.65(95%CI:0.45~0.95)であった。・有害事象は、IPAT群でGrade3以上の皮疹、下痢、高血糖、肝機能異常などが多かった。重篤な有害事象はIPAT群で39.6%、Pla群で22.7%に認められた。有害事象中止は、IPAT群21.1%、Pla群5.1%、減量はそれぞれ39.9%、6.2%であった。

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Stage3A N2非小細胞肺がんへの術後放射線療法を評価(LungART)/ESMO2020

 Stage IIIA N2の非小細胞肺がん(NSCLC)の完全切除例に対する術後放射線治療(PORT)は議論の残る問題である。Stage IIIA N2のNSCLC完全切除例に対するPORTを評価する初の多施設無作為化第III相比較試験Lung ART試験の結果を、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)にて、フランス・Gustave RoussyのLe Pechoux氏が発表した。・対象:完全切除のN2 Stage3A NSCLC(PS 0-2、術前・後後化学療法許容)・試験群:縦隔PORT(54Gy/27〜30分割)・対照群:PORTなし・評価項目:[主要評価項目]無病生存期間(DFS)[副次評価項目]毒性、局所制御、再発パターン、全生存期間(OS)、二次がん、治療関連毒性など 主な結果は以下のとおり。・2007年8月〜2018年7月、501例が登録され、PORT群252例、非PORT群249例に無作為に割り付けられた。・年齢の中央値は61歳、男性66%、腺がん73%であり、追跡期間中央値は4.8年であった。・DFS中央値は、PORT群30.5ヵ月、非PORT群28.0ヵ月と、PORT群で良好な傾向にあるが、その差は有意ではなかった(HR:0.85、95%CI:0.67〜1.07、p=0.16)。・イベントの内容を見ると、PORT群では死亡(14.6%)、非PORT群では縦隔再発(46.1%)が最も多かった。 ・3年OSはPORT群68.5%、非PORT群66.5%と差はなかった。・死亡はPORT群で39.4%、最も多い原因は心肺毒性(16.2%)、非PORT群では41.5%、最も多い原因は疾患進行または再発(86.1%)であった。・全Gradeの有害事象(AE)はPORT群92.1%、非PORT群では11.3%に発現。Grade3/4のAEはPORT群23.7%、非PORT群15.0%で発現した。 今回の試験の結果から、Pechoux氏は、完全切除Stage3A N2 NCSLCに対するPORTは、すべての症例に一貫したスタンダードとして推奨すべきではないとしている。

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CAR-T細胞製剤liso-cel、再発・難治性大細胞型B細胞性リンパ腫でCR53%/Lancet

 CD19を標的とする自家キメラ抗原受容体発現T細胞(CAR-T細胞)製剤lisocabtagene maraleucel(liso-cel)は、さまざまな組織学的サブタイプや高リスクの病型を含む再発・難治性の大細胞型B細胞性リンパ腫患者の治療において、高い客観的奏効率をもたらし、重度のサイトカイン放出症候群や神経学的イベントの発生率は低いことが、米国・マサチューセッツ総合病院のJeremy S. Abramson氏らが行った「TRANSCEND NHL 001試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2020年9月19日号に掲載された。liso-celは、さまざまなサブタイプの再発・難治性大細胞型B細胞性リンパ腫で高い奏効率と持続的な寛解が報告されているが、高齢者や併存疾患を持つ患者、中枢神経リンパ腫などの高リスク集団のデータは十分でないという。シームレス・デザインの多コホート試験で安全性と有効性を評価 本研究は、米国の14のがんセンターが参加したシームレス・デザイン(seamless design)の多コホート試験であり、2016年1月11日~2019年7月5日の期間に、個々の患者のCAR+T細胞を作製するための白血球アフェレーシスが実施された(Juno TherapeuticsとBristol-Myers Squibbの助成による)。 対象は、年齢18歳以上の再発・難治性大細胞型B細胞性リンパ腫で、組織学的サブタイプとして、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、MYCおよびBCL2とBCL6の両方か一方の再構成を伴う高悪性度B細胞性リンパ腫(double-hitまたはtriple-hitリンパ腫)、インドレントリンパ腫から形質転換したびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、原発性縦隔B細胞性リンパ腫、Grade3Bの濾胞性リンパ腫が含まれた。 liso-celは、2つの組成(CD8+CAR+T細胞、CD4+CAR+T細胞)として連続的に投与され、被験者は4つの用量(50×106 CAR+T細胞[レベル1]、50×106 CAR+T細胞を2回[レベル1D]、100×106 CAR+T細胞[レベル2]、150×106 CAR+T細胞[レベル3])のうち1つを投与する群に割り付けられた。 主要エンドポイントは、有害事象、用量制限毒性、客観的奏効率(Lugano基準で評価)とした。有効性の評価は、PETで確定され1回以上のliso-celの投与を受けたすべての患者を対象に、独立判定委員会によって行われた。客観的奏効率73%、完全奏効率53% 344例がCAR+T細胞(liso-cel)を作製するための白血球アフェレーシスを受け、このうち269例が少なくとも1回のliso-celの投与を受けた。レベル1に45例、レベル1Dに6例、レベル2に177例、レベル3に41例が割り付けられた。 全体の年齢中央値は63歳(IQR:54~70、範囲:18~86)、112例(42%)が65歳以上で、男性が65%であった。全身療法の前治療レジメン数中央値は3(IQR:2~4、範囲:1~8)で、260例(97%)が2ライン以上を受けていた。また、181例(67%)が化学療法抵抗性で、2次性中枢神経リンパ腫が7例(3%)含まれた。119例(44%)は、前治療で一度も完全奏効を達成していなかった。 白血球アフェレーシスを受けた344例のフォローアップ期間中央値は18.8ヵ月(95%信頼区間[CI]:15.0~19.3)であった。全体として、liso-celの安全性と抗腫瘍活性には用量による差はなく、推奨至適用量は100×106 CAR+T細胞(50×106 CD8+CAR+T細胞、50×106 CD4+CAR+T細胞)であった。 有効性の評価は256例で行われた。このうち、客観的奏効は186例(73%、95%CI:66.8~78.0)で得られ、136例(53%、46.8~59.4)で完全奏効が達成された。 頻度の高いGrade3以上の有害事象として、好中球減少が161例(60%)、貧血が101例(37%)、血小板減少が72例(27%)に認められた。また、サイトカイン放出症候群は113例(42%)、神経学的イベントは80例(30%)で発現し、このうちGrade3以上はそれぞれ6例(2%)および27例(10%)であった。用量制限毒性は9例(6%)でみられ、このうち1例(50×106 CAR+T細胞)がびまん性肺胞傷害によって死亡した。最大耐用量は特定されなかった。 著者は、「これらのデータは、65歳以上の高齢者や中等度の併存疾患を有するさまざまなサブタイプの高リスク大細胞型B細胞性リンパ腫患者の治療におけるCAR-T細胞療法の使用を支持するものである。現在、初回再発時の大細胞型B細胞性リンパ腫や他の再発・難治性のB細胞性腫瘍における評価が進められている」としている。

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胃がんのニボルマブ+化学療法1次治療、PFS改善(ATTRACTION-4)/ESMO2020

 国立がん研究センター中央病院消化管内科の朴 成和氏は、HER2陰性(HER2-)で未治療の切除不能な進行・再発の胃・胃食道接合部がん患者を対象としたニボルマブ+化学療法併用群(ニボルマブ併用療法群)とプラセボ+化学療法群(化学療法群)を比較した第II/III相臨床試験であるATTRACTION-4試験の結果を欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)で発表。ニボルマブ併用により無増悪生存期間(PFS)は統計学的に有意な延長を認めたものの、全生存期間(OS)では統計学的に有意な延長は認めなかったと報告した。ATTRACTION-4試験から、ニボルマブ併用が胃がん1次治療の新たな選択肢に・対象:未治療のHER2-進行・再発胃・食道胃接合部がん(PS 0~1)724例・試験群:ニボルマブ360mg/日3週ごと+化学療法はSOX(S-1+オキサリプラチン3週ごと)あるいはCapeOX(カペシタビン+オキサリプラチン3週ごと)(ニボルマブ併用群、362例)・対照群:プラセボ+SOXあるいはCapeOX(化学療法群、362例)・評価項目:[主要評価項目]独立画像判定委員会の判定に基づく無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)[副次評価項目]研究者の判定に基づくPFS、客観的奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、病勢コントロール率(DCR)、奏効までの期間(TTR)、最良奏効率(BOR)、安全性 ATTRACTION-4試験の主な結果は以下のとおり。・中間解析での独立画像判定委員会の判定に基づくPFS中央値は、ニボルマブ併用群が10.45ヵ月、化学療法群が8.34ヵ月で、ニボルマブ併用群において統計学的に有意な延長を示した(HR:0.68、98.51%CI:0.51~0.90、p=0.0007)。・1年PFS率はニボルマブ併用療法群が45.4%、化学療法群が30.6%であった。・OS中央値は、ニボルマブ併用療法群が17.45ヵ月、化学療法群が17.15ヵ月で両群間で統計学的に有意な差は認められなかった(HR:0.90、95%CI:0.7~1.08、p=0.257)。・ORRはニボルマブ併用療法群が57.5%、化学療法群が47.8%であった(p=0.0088)。・DoR中央値はニボルマブ併用療法群が12.91ヵ月、化学療法群が8.67ヵ月であった。・DCRはニボルマブ併用療法群が71.8%、化学療法群が68.5%であった。・TTRは両群とも1.4ヵ月であった。・Grade3~4の治療関連有害事象の発現率はニボルマブ併用療法群が57.1%、化学療法群が48.6%であった。 朴氏はATTRACTION-4試験ではOSの有意差は示せなかったものの、ORRはニボルマブ併用療法群で高率であり、持続性のある奏効状態が認められ、かつ安全性は管理可能なレベルだったと指摘。化学療法でのニボルマブ併用は「未治療の切除不能な進行・再発胃がん・食道胃接合部がんの一次治療での新たな選択肢となりうる」との見解を示した。

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尿路上皮がんに対するペムブロリズマブ+化学療法の結果(KEYNOTE-361)/ESMO2020

 進行尿路上皮がんの1次治療として、ペムブロリズマブとプラチナ系化学療法薬の併用投与は、化学療法のみに比べ、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)の統計学的に有意な延長を示さなかったことが、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)で、米国・ミシガン大学のAjjai Alva氏から発表された。 このKEYNOTE-361試験は、オープンラベル第III相のグローバル試験であり、症例はペムブロリズマブ+化学療法群(Pem+CT群)、ペムブロリズマブ単独群(Pem群)、化学療法群(CT群)の3群に割り付けられた。・対象:局所進行または転移のある尿路上皮がん患者で、PS0~2、進行病変に対する全身療法が行われていない1,010例・試験群:[Pem+CT群]ペムブロリズマブ200mgを3週ごと化学療法薬を最長6サイクルまで投与し、その後、維持治療としてペムブロリズマブ200mgを3週ごと最長29サイクル[Pem群]ペムブロリズマブ200mgを3週ごと最長35サイクル・対照群:CT群はゲムシタビン(1,000mg/m2)と、シスプラチン(70mg/m2)またはカルボプラチン(AUC5)を主治医が選択して投与した。化学療法薬は最長6サイクル・評価項目:[主要評価項目]盲検下中央判定によるPFSおよびOS[副次評価項目]盲検下中央判定による奏効率、病勢制御率、奏効期間、および安全性・統計学的設計:全集団(ITT)におけるPem+CT群対CT群のPFSとOSの優越性を検証。優越性が示された場合、PD-L1陽性(CPS≧10)集団でのPem群対CT群のOSの非劣性、次にOS優越性を検証 主な結果は以下のとおり。・観察期間中央値は31.7ヵ月であった。・ITTにおける盲検下中央判定のPFS中央値は、Pem+CT群で8.3ヵ月、CT群で7.1ヵ月、HR0.78(95%CI:0.65~0.93)、p=0.0033であった。これは予め設定されたp値の閾値0.0019を達成できず、統計学的な有意差は示されなかった。・ITTでのOS中央値は、Pem+CT群17.0ヵ月、CT群14.3ヵ月で、HR0.86(95%CI:0.72~1.02)、p=0.0407であった。これも予め設定されたp値の閾値0.0142を達成できず、統計学的な有意差は示されなかった。12ヵ月OS率は61.8%と56.0%だった。・CPS≧10の集団を対象とした探索的解析でのOS中央値は、Pem群16.1ヵ月、CT群15.2ヵ月で、HR1.01(95%CI:0.77~1.32)であった。・抗PD-1/PD-L1抗体による後治療を受けた患者はそれぞれPem+CT群6.6%、Pem群4.6%、CT群48.0%であった。・奏効率はPem+CT群54.7%、Pem群30.3%、CT群44.9%であった。・奏効期間中央値はそれぞれ8.5ヵ月、28.2ヵ月、6.2ヵ月だった。・Grade3~5の有害事象は、Pem+CT群87.4%、Pem群62.9%、CT群81.9%であった。有害事象による死亡はそれぞれ9.2%、8.6%、2.6%だった。有害事象による投薬中止は30.9%、15.9%、18.1%であった。

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9日から開催の日本乳癌学会学術総会、注目トピック

 COVID-19感染拡大の影響により延期されていた第28回日本乳癌学会学術総会が、10月9日(金)~31日(土)にWEB開催される。9月17日にプレスセミナーが開催され、総会会長を務める岩田 広治氏(愛知県がんセンター 副院長・乳腺科部長)、事務局長を務める澤木 正孝氏(同乳腺科医長)らが見どころについて紹介した。第28回日本乳癌学会学術総会開催スケジュール10月9日(金)~31日(土) 完全WEB開催(共催セミナーのほか、パネルディスカッションや教育講演のオンデマンド配信などが期間を通じて閲覧可能)10月9日(金)~18日(日) LIVE配信10月13日(火)~15日(木) 厳選口演(LIVE)日本乳癌学会学術総会厳選口演の注目トピック 第28回日本乳癌学会学術総会の厳選口演では、応募総数1,938演題の中から採用された51題(2.6%)が発表される。それぞれLIVE配信後に、後日オンデマンド配信が行われる予定。澤木氏は、全13セッションの注目トピックについて解説した。ここでは、外科/薬物/放射線療法の各トピックを抜粋して紹介する。・厳選口演1:外科療法[10月13日(火)9:30~10:30] 全乳房切除から部分切除、腋窩郭清からセンチネルリンパ節生検へとさらなる手術縮小を目指した研究成果が発表予定。・厳選口演2:オンコプラスティックサージェリー・乳房再建[10月13日(火)11:00~11:45] 両側同時再建、部分再建、内視鏡手術での再建の工夫やNSMの新たな適応基準など。・厳選口演6:薬物療法1[10月14日(水)9:30~10:45] 進行乳がんに対するwPTX+BV導入療法後のホルモン維持療法の有用性(JBCRG BOOSTER試験) 転移再発乳癌におけるパクリタキセル+ベバシズマブ導入化学療法後のホルモン療法+カペシタビン併用維持療法 乳癌周術期化学療法時の脱毛軽減目的での頭皮冷却後の毛髪回復状況を調べた前向き研究結果・厳選口演7:薬物療法2[10月14日(水)11:00~12:00] HER2陽性転移性乳癌におけるT-DM1治療直後の薬物療法の有効性:KBCSG-TR1917観察研究 転移性HER2陽性乳癌に対するT-DM1後の治療の臨床効果に関する多施設共同コホート研究(WJOG12519B) HER2陽性進行乳癌患者を対象としたDS-8201のfirst-in-human第1相試験及び第2相試験(DESTINY-Breast01)における併合解析及び日本人サブセット解析・厳選口演8:薬物療法3[10月14日(水)13:00~13:45] ホルモン受容体陽性乳癌の術後内分泌療法におけるS-1の併用効果(POTENT試験) Pembrolizumab+Chemotherapy vs Chemotherapy in Metastatic TNBC:KEYNOTE-355 Japanese Subgroup Data NTRK fusion陽性乳がんにおけるエヌトレクチニブ:3つの国際共同第1/2相試験の統合解析・厳選口演13:放射線療法[10月15日(木)14:15~15:30] 本邦乳癌患者に対する小線源を用いた乳房部分照射における観察期間中央値5年の治療成績と再発形式の特徴 早期乳癌に対する乳房温存手術+術中放射線部分照射:10年の結果 早期乳癌に対する炭素イオン線治療の臨床試験の経過乳癌学会で今年のESMOでの発表を徹底議論 第28回日本乳癌学会学術総会では10月12日(月)16:00~18:00に、9月に開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)での乳がん領域の注目トピックについて議論する緊急特別企画がLIVE配信される(後日オンデマンド配信予定)。・セッション1 1)Impassion 131:TN 1st line, PD-L1+でAtezo+Nab paclitaxelのfinal OS 2)Impassion 130:TN 1st lineでAtezo+weekly Pがnegative data 3)ASCENT study:TN late lineで、Satizumab govitecan(SG)のP3 dataの発表・セッション2 4)Impassion 031:TN neoadjuvantで、Atezoを加えて、pCRが有意にアップ 5)PALLAS study:Palboのadjuvant study negative data 6)MONARCH E study:Abemaのadjuvant positive data乳癌学会学術総会はWEB上で“直接議論できる場”複数 本来、乳癌学会学術総会はAichi Sky Expoにおいて7月に開催予定であった。医師だけでなく、患者さんも含め全員で最新情報を共有・議論したいという意図から、通常のようにいくつもの会場を設けず、「2つのメイン会場を中心に、できるだけ仕切りを設けず、広い場所のいたるところで人が集まり議論をするというイメージで計画していた」と岩田氏。完全WEB開催となったが、その利点を生かして、演者や海外の先生方と直接議論・交流ができるような場がいくつか設けられている。・Meet the Expert[10月14日(水)、15日(木)8:00~9:00、16:00~17:00] 7名の先生と学会参加者が少人数で直接交流できる。※9月23日より若干名の追加登録開始。締切の可能性あり。・ポスターツアー[10月14日(水)、15日(木)9:00~11:00] 68名の先生が“ツアーコンダクター”となり、各6演題を厳選し、参加者とともにポスターの閲覧・演者との議論を行う初の企画。※9月23日より若干名の追加登録開始。締切の可能性あり。・オフ会(ZOOMで飲み会)[10月12日(月)~15日(木)20:30~22:00] 岩田会長は毎日参加予定。MC数名は毎日交代で行われる。第28回日本乳癌学会学術総会

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乳がんアジュバント、アベマシクリブ+内分泌療法が予後改善(monarchE)/ESMO2020

 再発高リスクのホルモン受容体陽性HER2陰性(HR+/HER2−)乳がんに対する術後療法としての、アベマシクリブと内分泌療法薬の併用は、内分泌療法薬単独よりも、有意に無浸潤疾患生存期間(iDFS)を延長することが示された。日本も参加した、この国際共同のオープンラベル第III相monarchE試験の結果は、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)で、英国・The Royal Marsden NHS Foundation TrustのStephen R. D. Johnson氏より発表され、Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2020年9月20日号に同時掲載された。追跡期間中央値15.5ヵ月でのアベマシクリブの2年間投与が終了している症例が12.5%で、70%以上が投与中という状況での中間解析。monarchE試験でアベマシクリブ群の優位性を確認・対象:HR+/HER2−の初発乳がん、遠隔転移なし腋窩リンパ節転移陽性の症例(閉経状況問わず)、術前/術後の化学療法は許容・試験群:標準的内分泌療法+アベマシクリブ150mg×2/日投与。アベマシクリブは最長2年間投与(アベマシクリブ群:2,808例)・対照群:標準的な術後内分泌療法(タモキシフェン、アロマターゼ阻害薬、LH-RHアゴニストなど。薬剤は主治医選択)を5年間以上施行(ET群:2,829例)・評価項目:[主要評価項目]iDFS[副次評価項目]遠隔無転移生存期間(DRFS)、全生存期間(OS)、安全性、患者報告アウトカム、薬物動態 アベマシクリブと内分泌療法薬の併用を内分泌療法薬単独と比較したmonarchE試験の主な結果は以下のとおり。・選択された内分泌療法薬は、タモキシフェンが30%程度(うちLH-RHアゴニスト併用が7~8%)、アロマターゼ阻害薬が68%程度(うちLH-RHアゴニスト併用が14~15%)であった。・iDFSのハザード比(HR)は0.747(95%信頼区間[CI]:0.598~0.932)、p=0.0096でアベマシクリブ群が有意に予後を延長していた。2年iDFSは、アベマシクリブ群92.2%、ET群88.7%であった。事前に規定されたすべてのサブグループ解析でも、アベマシクリブ群で優位性が確認された。・DRFSのHRは0.717(95%CI:0.559~0.920)、p=0.0085でアベマシクリブ群が有意に予後を改善していた。2年DRFSは、アベマシクリブ群93.6%、ET群90.3%であった。・アベマシクリブ群では有害事象のため16.6%がアベマシクリブの投与を中止し、ET群での薬剤投与中止は0.8%だった(アベマシクリブ群での下痢による投与中止は4.8%)。・アベマシクリブ群で倦怠感、下痢、好中球減少、悪心などが多く発現し、関節痛やほてりはアベマシクリブ群で少なかったが、その安全性プロファイルは既報のものと齟齬はなかった。・間質性肺炎はアベマシクリブ群で2.7%、ET群で1.2%、発熱性好中球減少症はそれぞれ0.3%と0.1%未満に発現した。

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進行尿路上皮がんの維持療法にアベルマブが有効(JAVELIN Bladder 100)/NEJM

 局所進行または転移のある尿路上皮がんへの1次化学療法の維持療法において、アベルマブ+支持療法(BSC)はBSCのみの場合と比較し、全生存(OS)を有意に延長することが明らかにされた。英国・Queen Mary University of LondonのThomas Powles氏らが、進行尿路上皮がん患者を対象とした国際共同無作為化非盲検第III相試験「JAVELIN Bladder 100試験」の結果を報告した。プラチナ併用化学療法は進行尿路上皮がんに対する標準的な1次治療であるが、多くの場合、化学療法耐性のため無増悪生存(PFS)やOSは限られていた。NEJM誌2020年9月24日号掲載の報告。1次化学療法後の進行尿路上皮がん患者700例でアベルマブ+BSC vs.BSC 研究グループは、2016年5月11日~2019年6月4日の期間に、29ヵ国197施設で被験者を募り試験を行った。 対象は、1次化学療法(ゲムシタビン+シスプラチンまたはカルボプラチンの4~6サイクル)後に病勢進行が認められなかった、切除不能の局所進行または転移がある尿路上皮がん患者700例。維持療法としてアベルマブ10mg/kgを2週間ごと+BSCを行うアベルマブ群とBSCのみの対照群のいずれかに無作為に割り付けた。 主要評価項目はOSで、無作為化された全患者集団およびPD-L1陽性集団にてそれぞれ評価した。副次評価項目はPFSと安全性であった。アベルマブ+BSCでOS期間が有意に延長 データカットオフ2019年10月21日時点で、全患者集団においてOSは、対照群と比較してアベルマブ群で有意に延長した(OS中央値:14.3ヵ月vs.21.4ヵ月、ハザード比[HR]:0.69、95%信頼区間[CI]:0.56~0.86、p=0.001)。1年OS率は、アベルマブ群71.3%、対照群58.4%であった。 PD-L1陽性患者においても、アベルマブ群でOSの有意な延長が認められ(HR:0.56、95%CI:0.40~0.79、p<0.001)、1年OS率はアベルマブ群79.1%、対照群60.4%であった。 PFS期間中央値は、全患者集団においてアベルマブ群3.7ヵ月、対照群2.0ヵ月(HR:0.62、95%CI:0.52~0.75)、PD-L1陽性患者においてそれぞれ5.7ヵ月、2.1ヵ月であった(0.56、0.43~0.73)。 有害事象の発現率はアベルマブ群98.0%、対照群77.7%、Grade3以上の有害事象の発現率はそれぞれ47.4%、25.2%であった。

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非扁平上皮NSCLC1次治療、化学療法+ベバシズマブ+ニボルマブの4併用がPFS延長(ONO-4538-52/TASUKI-52)/ESMO2020

 ONO-4538-52/TASUKI-52試験は、非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療治療において、プラチナ化学療法とベバシズマブの併用にニボルマブを上乗せした初の無作為化二重盲検第III相試験である。欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)では、その初回解析の結果を韓国・ソウル国立大学ブンダン病院のJong Seok Lee氏が発表した。・対象:未治療のStage IIIB/IVの非扁平上皮NSCLC患者(PD-L1発現問わず)・試験群:ニボルマブ(360mg)+カルボプラチン+パクリタキセル+ベバシズマブ(3週間ごと6サイクル)→ニボルマブ+ベバシズマブ(ニボルマブ群)・対象群:プラセボ+カルボプラチン+パクリタキセル+ベバシズマブ→プラセボ+ベバシズマブ(プラセボ群) ニボルマブ/プラセボ+ベバシズマブは、疾患進行または許容できない毒性発現まで継続・評価項目:[主要評価項目]独立放射線審査委員会(IRRC)評価の無増悪生存期間(PFS)[副次評価項目 ]全生存期間(OS)、全奏効率(ORR)、安全性 主な結果は以下のとおり。・日本、韓国、台湾の患者550例が1:1で無作為にニボルマブとプラセボに割り付けられた。 ・データカットオフ(2020年2月10日)での最低追跡期間は7.4ヵ月であった。・PFS中央値は二ボルマブ群12.1ヵ月に対しプラセボ群8.1ヵ月と、ニボルマブ群で有意に長かった(HR:0.56、96.37%CI:0.43〜0.71、p<0.0001)。12ヵ月PFS率は二ボルマブ群50.1%、プラセボ群30.2%であった。・PD-L1発現別のPFS HRは、PD-L1<1%で0.55、PD-L1 1〜49%で0.63、PD-L1≧50%で0.55であった。・ OSは評価に達していないが、ニボルマブ群の中央値は25.4ヵ月、プラセボ群24.7ヵ月であった(HR:0.85、95%CI:0.63〜1.14)。・ ORRは、ニボルマブ群61.5%、プラセボ群50.5%であった。・Grade3/4の治療関連有害事象(TRAE)はニボルマブ群で73.6%、プラセボ群で72.0%、治療中止につながるTRAEは二ボルマブ群16.5%、プラセボ群4.4%と、二ボルマブ群で多く観察されたが、治療関連死は二ボルマブ群1.8%、プラセボ群1.5%と同程度であった。 カルボプラチン・パクリタキセルとベバシズマブへのニボルマブの併用はPFSを有意に延長し、その効果はPD-L1発現に関係なく認められた。非扁平上皮NSCLCの1次治療となる可能性が示唆されると、Lee氏は述べた。

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肺がん1次治療におけるペムブロリズマブ単独治療の5年生存率、30%超(KEYNOTE-024)/ESMO2020

 PD-L1 発現(TPS≧50%)の転移を有する非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療におけるペンブロリズマブ単剤治療は第III相KEYNOTE-024試験の追跡期間11.2ヵ月の解析で、化学療法と比較して有意な無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)の改善が示した。欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)では、同試験の5年追跡結果を、米国・Sidney Kimmel包括的がんセンターのJ.R. Brahmer氏が発表した。・対象:転移を有する未治療のPD-L1高発現(TPS≧50%)NSCLC患者(305例)・試験群:ペムブロリズマブ200mg 3週ごと(154例)・対照群:治験担当医が選択したプラチナベース化学療法 4~6サイクル(151例)・評価項目:[主要評価項目]無増悪生存期間(PFS)[副次評価項目]OSなど 主な結果は以下のとおり。・データカットオフ時(2020年6月1日)の追跡期間中央値は59.9ヵ月であった。・化学療法群のペムブロリズマブへのクロスオーバーは66.0%(99/150例)であった。 ・OS中央値はペムブロリズマブ群26.3ヵ月、化学療法群13.4ヵ月であった(HR:0.62、95%CI:0.48〜0.81)・5年OS率はぺムブロリズマブ群31.9% 、化学療法群16.3%であった。・全奏効率(ORR)はペムブロリズマブ群46.1%(CR4.5%、PR41.6%)に対し、化学療法群31.1%(CR0%、PR31.1%)であった・DORは、ペムブロリズマブ群29.2ヵ月に対し、化学療法群6.3ヵ月であった。・全Grade治療関連有害事象(TRAE)発現は、ペムブロリズマブ群76.6%に対し化学療法群90.0%、Grade3〜5のTRAEの発現は、ペムブロリズマブ群で31.2%に対し化学療法群53.3%であった。 ペムブロリズマブ単剤治療は、高いクロスオーバー率にもかかわらず、引き続きOSの改善を示している。5年OS率は、30%を超え、化学療法の約2倍であり、かつ持続的な効果を示している。ペムブロリズマブ単剤治療は、PD-L1高発現(TPS≧50%)NSCLCの1次治療において有効な治療方法であることを、この試験結果は示していると、Brahmer氏は述べた。

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早期TN乳がんの術前療法、アテゾリズマブ+化療でpCR改善(IMpassion031)/Lancet

 早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対する術前補助療法として、アテゾリズマブ+化学療法(nab-パクリタキセル/ドキソルビシン/シクロホスファミド)の併用は、プラセボ+化学療法と比較して病理学的完全奏効(pCR)率を有意に改善し、忍容性は良好であることが明らかとなった。米国・ダナ・ファーバー/ブリガム&ウィメンズがんセンターのElizabeth A. Mittendorf氏らが、13ヵ国75施設で実施された国際共同無作為化二重盲検第III相試験「IMpassion031試験」の結果を報告した。早期TNBCに対する術前補助療法では、アントラサイクリン/シクロホスファミドやタキサンベースの化学療法が推奨されている。一方、PD-L1陽性の転移があるTNBC患者では、アテゾリズマブ+nab-パクリタキセル併用が無増悪生存期間や全生存期間の改善に有効であることが、IMpassion130試験で示されていた。Lancet誌オンライン版2020年9月20日号掲載の報告。化学療法へのアテゾリズマブ追加の有効性をプラセボと比較 IMpassion031試験の対象は、未治療で組織学的に確認されたStageII~IIIのTNBC患者(18歳以上)で、化学療法+アテゾリズマブ(840mg、2週間隔、静注)群または化学療法+プラセボ群に、ステージ(IIまたはIII)とPD-L1発現(<1%または≧1%)で層別化して1対1の割合で無作為に割り付けた。いずれも、nab-パクリタキセル(125mg/m2、毎週、静注)と併用投与を12週間行った後、ドキソルビシン(60mg/m2、2週間隔、静注)およびシクロホスファミド(600mg/m2、2週間隔、静注)との併用投与を8週間行い、手術を実施した。手術後は、アテゾリズマブ群ではアテゾリズマブ1,200mgを3週間隔(静注)で11回投与し、プラセボ群は経過観察を継続した。 主要評価項目は、無作為化された全患者(ITT集団)およびPD-L1陽性患者(PD-L1発現≧1%)におけるpCRとした。 2017年7月7日~2019年9月24日の期間に、333例が無作為に割り付けられた(アテゾリズマブ群165例、プラセボ群168例)。カットオフ日(2020年4月3日)時点で、追跡期間中央値はアテゾリズマブ群が20.6ヵ月(IQR:8.7~24.9)、プラセボ群が19.8ヵ月(IQR:8.1~24.5)であった。アテゾリズマブ+化学療法で、PD-L1発現状態にかかわらずpCR率が17%有意に増加 ITT集団におけるpCR率は、アテゾリズマブ群が58%(95/165例)(95%信頼区間[CI]:50~65%)、プラセボ群が41%(69/168例)(95%CI:34~49%)で、アテゾリズマブ群が有意に高かった(群間差:17%、95%CI:6~27、片側p=0.0044[有意水準p<0.0184])。 PD-L1陽性患者におけるpCR率は、アテゾリズマブ群が69%(53/77例)(95%CI:57~79%)、プラセボ群が49%(37/75例)(95%CI:38~61%)であった(群間差:20%、95%CI:4~35%、片側p=0.021[有意水準p<0.0184])。 術前補助療法期において、Grade3/4の有害事象は両群で差はなく、治療関連の重篤有害事象はアテゾリズマブ群37例(23%)、プラセボ群26例(16%)で認められた。両群で各1例、Grade5の有害事象である死亡(アテゾリズマブ群:交通事故、プラセボ群:肺炎、ともに治療とは関連しない)が報告された。

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早期乳がん術後補助療法でのパルボシクリブ追加、iDFS改善せず(PALLAS)/ESMO2020

 ホルモン受容体(HR)陽性/HER2陰性の早期乳がんの術後補助療法として、標準的な内分泌療法にCDK4/6阻害薬パルボシクリブを追加しても、無浸潤疾患生存期間(iDFS)を有意に改善できなかったことが、第III相オープンラベルPALLAS試験で示された。欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)で、米国・Dana-Farber Cancer InstituteのErica L. Mayer氏が発表した。 転移を有するHR陽性/HER2陰性乳がんにおいては、内分泌療法にパルボシクリブを追加することにより無増悪生存期間(PFS)が改善する。このPALLAS試験では、早期乳がんの術後補助療法においても、パルボシクリブの追加でアウトカムが改善するかどうかを検討した。3年iDFSはパルボシクリブ併用群88.2%、内分泌療法群88.5% ・対象:Stage II/IIIのHR陽性/HER2陰性乳がん患者(診断後12ヵ月以内、内分泌療法による術後補助療法開始後3ヵ月以内)・試験群:パルボシクリブ(125mg1日1回、3週投与1週休薬、2年間)+標準的内分泌療法(少なくとも5年)・対照群:標準的内分泌療法(少なくとも5年)単独・評価項目[主要評価項目]iDFS[副次評価項目]非乳房由来の2次がんを除くiDFS、遠隔無再発生存期間(DRFS)、局所無再発生存期間、全生存期間(OS)、安全性 パルボシクリブを早期乳がんの術後補助療法に追加することによりiDFSが改善するかを検討した主な結果は以下のとおり。・2015年9月~2018年11月に5,760例(年齢中央値52歳)が登録され、パルボシクリブ併用群と内分泌療法群に1対1で無作為に割り付けられた。・Stage IIB/IIIの症例が4,729例(82.1%)と多くを占め、化学療法歴のある患者も4,754例(82.5%)と多かった。・観察期間中央値23.7ヵ月において、3年iDFSはパルボシクリブ併用群88.2%、内分泌療法群88.5%(ハザード比[HR]:0.93、95%信頼区間[CI]:0.76~1.15、p=0.51)と有意差は認められなかった。また、臨床的高リスクグループ(リンパ節転移4個以上[N2以上]、もしくはリンパ節転移1~3個でT3/T4かつ/またはG3)を含め、臨床病理学的なサブグループのいずれにおいても差が認められなかった。・3年DRFSについても、パルボシクリブ併用群89.3%、内分泌療法群90.7%(HR:1.00、95%CI:0.79~1.27、p=0.9997)と、差が認められなかった。・有害事象は、パルボシクリブ併用群99.4%、内分泌療法群88.6%に発現した。Grade3/4の有害事象は、パルボシクリブ併用群で最も多かったのは好中球減少症(61.3%)であった。全Gradeの有害事象は、血液毒性、疲労、上気道感染症、貧血、悪心、脱毛、下痢でパルボシクリブ併用群のほうが多かった。・パルボシクリブ併用群では、早期中止例が42.2%と多く、データカットオフ時点でパルボシクリブを継続していた患者は25.5%、予定された治療期間を完了した患者は32.3%であった。・パルボシクリブ併用群における早期中止例の64.2%が有害事象関連によるものだった。24ヵ月時点の早期中止率は、パルボシクリブ併用群6.9%、内分泌療法群6.3%で差がなかった。

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