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ハミガキ頻度が糖尿病・脂質異常症の有病率と関連

 生活習慣を考慮して、歯磨きの頻度の低さは、糖尿病や脂質異常症の高い有病率と関連することが、虎の門病院の桑原 政成氏らの研究で明らかになった。歯磨き習慣は、口腔衛生の改善だけでなく、全身性疾患の予防のために有益であると考えられる。BMJ Open誌2016年1月14日号の報告。 本研究は、心血管疾患のリスク因子である高血圧症、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症、慢性腎臓病と歯磨きとの関連を明確にすることを目的に、聖路加国際病院予防医学センターで2004年1月から10年6月まで実施された大規模、単一施設、横断研究である。 対象は、健康診断を受けた8万5,866人(男性:49.0%、平均47.0±11.5歳)。「毎食後」、「少なくとも1日1回」、「1日1回未満」の3群の基準に従って歯磨き習慣を調べた。歯磨き頻度ごとのオッズ比は、二項ロジスティック回帰を用い、年齢、性別、BMI、生活習慣、喫煙、飲酒、歩行時間、睡眠時間で調整後、高血圧症、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症、慢性腎臓病の有病率から算出した。 主な結果は以下のとおり。・各心血管疾患リスク因子の有病率は以下であった(毎食後群、少なくとも1日1回群、1日1回未満群)。高血圧症  (13.3%、17.9%、31.0%)糖尿病   (3.1%、5.3%、17.4%)脂質異常症 (29.0%、42.1%、60.3%)高尿酸血症 (8.6%、17.5%、27.2%)慢性腎臓病 (3.8%、3.1%、8.3%)・「1日1回未満群」は、「毎食後群」よりも糖尿病(オッズ比:2.03、95%CI:1.29~3.21)および脂質異常症(オッズ比:1.50、95%CI:1.06~2.14)の有病率が有意に高かった。高血圧症、高尿酸血症、慢性腎臓病の有病率は、歯磨き頻度によって有意な差を認めなかった。

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ナベちゃん先生のだれでも読める心エコー

第1回 心筋梗塞 第2回 大動脈弁狭窄症第3回 大動脈弁逆流症 第4回 僧帽弁逆流症 第5回 閉塞性肥大型心筋症 第6回 拡張型心筋症 循環器の専門医以外でも、心エコー図の診断・評価を求められる場面は多いはず。このDVDでは、心筋梗塞、大動脈弁の狭窄・逆流、僧帽弁逆流、心筋症という、一般医にも的確に診断が求められる代表的な心疾患に絞り、エコー図を数多く表示。重要疾患を見逃さないコツや、疾患ごとの画像評価のポイントを学ぶことができます。エコーを動画で見ることができるのも映像教材だからこそ。ナベちゃん先生こと東京ベイ・浦安市川医療センターの渡辺弘之先生のレクチャーで、心エコーの読影に自信が持てるようになること間違いなしです!第1回 心筋梗塞心筋梗塞は、心エコー検査で局所壁運動異常を評価することができます。ナベちゃん先生曰く、「虚血診断の基本は、壁運動で診断する」。どの領域の壁運動に異常が起きているのかがわかると、どの冠動脈に狭窄が起きているかがわかります。提示するエコー動画は傍胸骨短軸像、心尖部長軸像・四腔像・二腔像。像の動きから心筋の異常を見極め、心筋梗塞を正確に診断する方法を学びましょう。第2回 大動脈弁狭窄症今回のテーマは大動脈弁狭窄症。高齢化に伴い、大動脈弁狭窄の患者が増えてきました。大動脈弁狭窄になると、加齢性または動脈硬化性の変化で大動脈弁の動きが低下します。基本的な画像をさまざま提示する中で、とくに注目すべき傍胸骨短軸像。確実に診断できるポイントとは?さらに、連続波ドプラ法による大動脈弁狭窄ジェットの血流速度波形、圧較差の計測法など、大動脈弁狭窄症の診断を確定するための評価から重症度診断まで、詳しく解説します。第3回 大動脈弁逆流症大動脈弁逆流は、重症度がそれほど高くないのに心機能が落ちていく場合があります。心エコーを使ってしっかり評価しましょう。評価の際に一番重要な画像は傍胸骨短軸像。逆流が起こっている大動脈弁の弁葉、弁尖の周辺の「穴」をどう見つけるか?重症度は、カラードプラに切り替えて逆流ジェットで評価します。計測する方法や場所、注意するべき弁口の形など、評価のポイントを徹底的に解説します。第4回 僧帽弁逆流症 聴診で全収縮期雑音を聴いたときに、必ず鑑別診断の中に入る僧帽弁逆流症。その評価に心エコーはとても有用です。僧帽弁逆流を見るときは僧帽弁だけに注目するのではなく、僧帽弁複合体として、左心室や弁輪なども含めて全体を僧帽弁として捉えることが大切です。循環器領域で常識的に行われている僧帽弁の考え方を、解剖図やシェーマを用いて詳しく解説します。第5回 閉塞性肥大型心筋症 息切れや失神、胸痛などの症状が現れる閉塞性肥大型心筋症(HOCM)。傍胸骨長軸像で見ると、収縮期に僧帽弁が左室流出路へ倒れこむように動いていることがわかります。これが、閉塞性肥大型心筋症の最大の特徴です。心尖部長軸像や二腔像など様々な像で、僧帽弁が左室流出路を狭窄している様子や壁の肥厚を見ていきます。そのほか、肥大型心筋症(HCM)共通の特徴である局所性肥厚の分布を見るときの像についてなど、ナベちゃん先生がじっくりと解説していきます。第6回 拡張型心筋症 ちょっとした息切れ、または健康診断での心房細動などから拡張型心筋症の発見につながることが多々あります。心臓の中で起こっている心室と心房の拡大、壁運動の低下などがどの断面でどう見えるかを基本5断面でしっかりと確認していきます。さらにこの疾患の場合は、収縮期だけでなく拡張期の心機能もみていくことが大切。呼吸困難のステージを見極め、的確な治療につなげましょう。

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海外旅行で肺炎、請求は数千万円!

 MSD株式会社は、「シニアの海外旅行と肺炎~日頃の肺炎予防の重要性」をテーマに、11月19日、都内でプレスセミナーを開催した。シニア世代の海外旅行が増える中で、現地で肺炎を発症し、医療機関にかかるケースを紹介。どのようなリスクと対策があるのかを保険と医療のエキスパートが語った。治療費だけではない、海外旅行先での不慮の事態 はじめに加藤 修氏(ジェイアイ傷害火災保険株式会社)が、「シニアの海外旅行における事故と予防策」と題し、海外旅行先でシニアが遭遇する事故の傾向と特徴、そして、予防への取り組みについて説明を行った。 2014年度の海外旅行保険事故概況(ジェイアイ傷害火災保険調べ)によれば、事故発生率は3.53%(約28人に1人)に上り、その半数が治療・救援費用であること。また、最近、海外旅行先でシニアの事故が増加していると報告した(65歳以上と65歳未満では重症事故発生は65歳以上が約6倍)。そして、シニア旅行者が、旅先で入院など加療をした場合、治療費だけでなく、医療通訳や搬送費など費用がかさむことを指摘。たとえばシニア旅行者が、北米で肺炎に罹患し、約50日間入院・手術した場合、支払保険金額が約9,330万円に上った高額事例を紹介した。旅行前にリスク予防を啓発 シニア旅行者の事故原因は、転倒による外傷のほか、脳疾患、心疾患、肺炎が多く、高額保険金支払い上位5つのうち、4つまでがシニア旅行者であり、原因疾患も肺炎だったと報告した。そのため、同社では、予防に力を入れており、海外旅行保険への加入はもちろんのこと、渡航前のリスク情報の収集、肺炎球菌などのワクチンの積極接種、転倒防止などの事故予防グッズの購入、英文診断書作成などの渡航前健康準備をシニア旅行者に啓発している。とくに70歳以上の利用者には『健康・安全・保険情報BOOK』を配布し、実践してもらうことで、安全で楽しい旅をしてもらいたいとしている。インフルエンザ後の肺炎は要注意 続いて内藤 俊夫氏(順天堂大学医学部総合診療科 教授)が、「海外旅行者と高齢者肺炎」と題し、肺炎予防に焦点を当て、レクチャーを行った。 はじめに概要として、肺炎はわが国における死亡原因第3位であり、肺炎で亡くなった方の96.5%は65歳以上の高齢者である。肺炎の原因菌では、肺炎球菌が一番多く、ついでインフルエンザ菌であること、また、インフルエンザに罹患後、肺炎となる細菌性肺炎は予後が悪く、いわゆる「スペイン風邪」はこのタイプであり、臨床現場ではとくに注意が必要と語った。 こうしたインフルエンザや肺炎の発症予防・軽快のためにワクチンが存在するが、わが国ではワクチンの接種は、医療経済上の問題で進んでいない。 ワクチンの予防効果として、高齢者施設の入所者に対する23価肺炎球菌ワクチン(商品名:ニューモバックスNP)の予防効果に関する研究1)によれば、プラセボと比較し、肺炎発症減少率で63.8%、死亡減少率で100%だった。23価肺炎球菌ワクチンとインフルエンザワクチンの併用接種者と未接種者の肺炎による入院率を比較した研究2)では、未接種者が約9%に対し、併用接種者では約5%と減少効果が認められたと語った。迷ったらワクチン接種を わが国の肺炎球菌ワクチン接種状況をみると、長らく公的補助がなかったなどの要因により、接種率は全国平均で20.9%であり3)、欧米諸国の接種率50%超と比較すると、依然として低い。今後、定期接種の普及により欧米並みに接種率が上がることが期待される。 外来の現場でとくに高齢者にワクチン接種を勧めるタイミングとしては、初診時、健康診断時、退院時、インフルエンザ接種時、海外旅行時など5つの場面が想定される。その際、過去の接種歴が定かでない場合でも、接種は積極的に行ったほうが良いとされ、インフルエンザワクチンと同時に接種すると、より高い予防効果が得られる2)。 また、高齢者の海外旅行では、肺炎球菌ワクチンのほかにも肝炎ワクチン、トキソイドワクチンも考慮し、接種を勧めるようにお願いしたい。その際、少なくとも出発の2週間前には接種を受けておく必要がある。 最後に「日本の高齢者は元気な方も多く、医療機関に頻繁に通うわけではない。診療の場で的確に機会を捉え、ワクチン接種へ医療者から誘導してほしい」と述べ、レクチャーを終えた。肺炎球菌ワクチンに関しては、「肺炎予防.jp」まで(ケアネット 稲川 進)関連コンテンツケアネット・ドットコム 特集「肺炎」はこちら。参考文献1) Maruyama T, et al. BMJ.2010;340:c1004.2) Hung IF, et al. Clin Infect Dis.2010;51:1007-1016.3) Naito T, et al. J Infect Chemother.2014;20:450-453.

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事例76 PSA F/T比の査定【斬らレセプト】

解説事例では、他院の健康診断にてPSA要再検査を指摘され、本院を受診した患者に施行した「遊離型PSA比(PSA F/T比)」が、D事由(告示・通知の算定要件に合致していないと認められるもの)にて査定となった。同検査の算定留意事項には、「診療及び他の検査(前立腺特異抗原(PSA)等)の結果から前立腺癌の患者であることが強く疑われる者に対して行った場合に限り算定する」とある。カルテには、同検査の指示に併せて「他院測定PSA○○、前立腺がんを強く疑う」と記載があった。算定要件からは外れていない。レセプトの記載をみると、同検査のみの算定だけがあって、同検査の必要性が読み取れない内容であった。このような必要性が読み取れないレセプトの査定を防ぐためには、医学的に必要としたことが読み取れる表現を加える必要がある。「他院検査結果から要再検として来院、検査名:○○、値:○○、○○疾患が強く疑われた」など算定要件を満たしていることを、あらかじめコメントしておくことが必須なのである。

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Dr.香坂のすぐ行動できる心電図 ECG for the Action!

第1回  左室肥大の真実 第2回  縁の下の力持ち 心房の心電図変化 第3回  脚ブロックを使いこなすには 第4回  外科医と内科医の心電図 第5回  心電図の本丸 STの上昇 第6回  ST低下はどこまで信用できる? 第7回  上室性頻拍(1) 心房粗動から紐解く不整脈へのアプローチ 第8回  上室性頻拍(2) 本当に必要か?AVRTとAVNRTの鑑別 第9回  なぜ心室から来る不整脈は怖いのか?VTとVFへの対応 第10回 5分で語る心房細動のエッセンス 第11回 心電図最後の山場 QT部分 第12回 声に出して読みたい心電図 心電図の目的は、波形から所見を読み取ることだけではありません。いま心臓に何が起こっているかを把握し、次の行動へとつなげ、患者にその情報を還元することができてはじめて心電図を十全に活用できたと言えるでしょう。本DVDでは、Dr.香坂のこだわりである、「読める」だけでなく「次のアクションにつなげる」ことに徹底フォーカス。心電図から読み取る所見をどう診療に役立てていくか?大切なのは、読影の先にあります。第1回 左室肥大の真実 心電図をどう次のアクションにつなげるか?まずは、心電図からわかる左室肥大の算出方法をDr.香坂が詳しくレクチャーします。心臓の大きさを見るときに、どことどこに注目するべきか?そういった基準は実ははっきりしてきています。でもそこで満足してはいけません。左室肥大の所見をどう役に立てていくか。大切なのはその先にあります。第2回 縁の下の力持ち 心房の心電図変化 今回は、心房拡大のメカニズムをP波の第2誘導を通してレクチャーしていきます。P波が120sec(3マス)以上伸びていると左房の拡大所見です。なぜそうなるのか、Dr.香坂の解説を聞くと、左房の拡大所見は、「実は伝導異常と言った方が正確だ」ということがわかります。左房の大きさを見ることで、心臓にかかっている負荷の経年的な評価をすることができます。左室異常よりも左房異常の患者の方が将来心不全になっていく可能性が高いので、きめ細かくみていく必要があるでしょう。第3回 脚ブロックを使いこなすには 心電図上で脚ブロックを見破るためには、V1誘導に注目します。深い谷のように切れ込んだパターンが出たら左脚ブロック、大きな「M」のような形で現れたら右脚ブロックの心電図パターンです。今回はさらに突っ込んで、不完全ブロックのパターンである「左脚前枝・後枝ブロック」についても細かく解説していきます。予後の指標になりにくい脚ブロックですが、限られた状況ではかなりの力を発揮します。そういった状況を的確にピックアップしていく力を身に着けましょう。第4回 外科医と内科医の心電図 今回は箸休めの話題です。日本は年に1回健康診断を行わなければならないと労働安全衛生法で定められており、その検査の中に心電図が必須項目として含まれています。ただしそれは世界的には例外なことで、アメリカやカナダなどのガイドラインではルーチーンの心電図を推奨していません。それはなぜなのでしょうか?また、横の変化に強いが縦の変化には弱い機械読みの話、内科医と外科医心電図の読み方の違いなど、ちょっと知っておきたい話題について解説します。第5回 心電図の本丸 STの上昇今回のテーマは心電図の中でもっとも注目を集める“ST”部分についてです。STは心筋の虚血や心筋梗塞に鋭敏に反映する指標となり、心電図の本丸と言っても過言ではありません。STが上昇している心電図は、ほぼ間違いなく急性心筋梗塞ということができます。ではなぜSTが上がるのか?そのメカニズムはもちろん、さらにもっと詳細に心電図を読み解き、波形と梗塞している箇所についてのつながりなど、徹底的に解説します。第6回 ST低下はどこまで信用できる?今回は、臨床的な状況判断が求められる“ST低下”“T波変化”“異常Q波”について取り上げます。Dr.香坂曰く 「ST低下は嘘ばかり」、「T波変化はもっと嘘ばかり」、「時代遅れの異常Q波」。さてその真意とは?そして臨床的な状況判断と言っても具体的にどう行動すればよいか。現在の支流について語ります。第7回 上室性頻拍(1) 心房粗動から紐解く不整脈へのアプローチ不整脈のパターンにはいくつかありますが、分類するとMacro-ReentryとMicro-Reentryに分けられます。Macro-Reentryの大きな特徴は「肉眼的に目で見える」「カテーテルで灼ける」。今回はMacro-Reentryの理解を深めるための題材として、心房粗動を取り上げます。これらは心電図のパターン認識だけでなく、患者の治療にも結びつくので、ぜひ押さえておいてください。第8回 上室性頻拍(2) 本当に必要か?AVRTとAVNRTの鑑別今回は、AVNRTとAVRTのエッセンスをお教えします。AVNRTの特徴はP波が見えにくい、AVRTはQ波とP波が離れているということが挙げられますが、それぞれがなぜそのような波形を示すのか、その原理をわかりやすい図解を用いて解説。Dr.香坂いわく、「心電図を深読みすることが重要ではなく、“治療にどうつなげるべきか”が大切」です。Macro-Reentry型不整脈の治療についての理解が深まります。第9回 なぜ心室から来る不整脈は怖いのか?VTとVFへの対応今回は心室頻拍(VT)と心室細動(VF)について解説します。これらはポンプである“心室”に直接影響します。そのため、不安定徴候を来しやすく、すぐに、直接的に、対応することが必要となります。ゆっくり考えながら、心電図を読んでいる時間はありません。短時間で見るポイントと、その対応について学んでください。第10回 5分で語る心房細動のエッセンス今回は心房細動(AF)の解説です。心房細動は診療の中で一番多く見かける不整脈ではないでしょうか。心房細動は一言で言えば、「絶対的に不整」。QRSのリズムにパターンがないことが特徴です。この心電図を見たら、次のアクションは?!他の不整脈とは異なる対応が必要となる心房細動のエッセンスを5分でお教えします。第11回 心電図最後の山場 QT部分今回はQTについての解説です。QT間隔は実は測定が難しく、循環器の専門医であっても正確に測れるのは半分ほどと言われています。「QT間隔の基準値」というのもありますが、人種差や個人差があって非常に難しいところです。Dr.香坂が勧めるのは、「過去の心電図と見比べる」こと。QTが過去と比べて延長していたら、非常に重篤な不整脈を起こす恐れがあります。機械読みも必ずしも正確ではないので、重篤な不整脈を避けるためにも、QTの計測は正確に確実に行う必要があります。第12回 声に出して読みたい心電図最終回は「心電図一発診断!」。心電図から“カッコよく”診断を導き出していきましょう。でもちょっと待って!それは本当に臨床現場で役立つ読み方なのでしょうか?現実的な心電図の読み方はまず、「その心電図を読んで何の役に立つのか」を考えることです。パッとみて決めない。自分なりの見る順番を作ってきちんと守ること。過去の心電図があったら必ず見比べる。臨床の現場で心電図を読むときの心がけとポイントを、Dr.香坂が熱く語ります。

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【第52回】朝食を抜きがちで運動不足の一人暮らしの男子大学生は太る

【第52回】朝食を抜きがちで運動不足の一人暮らしの男子大学生は太る FREEIMAGESより使用 この後ろ向きコホート研究は、男子大学生が肥満にならないようにするためにはどうしたらいいか、ヒントを与えてくれます。 これは京都大学で2000~07年に行われた研究です。被験者は、健康診断を毎年受けている法学部3回生です。私は関西出身なので、大学生のことを「年生」ではなく「回生」と呼んでいました。京都大学もおそらく「回生」と呼んでいる学生が多いのでは? Goto M, et al. Lifestyle risk factors for overweight in Japanese male college students. Public Health Nutr. 2010 Oct;13(10):1575-80. 余談はさておき、この研究に登録されたのはBMIが22.0以上の4,634人の男性学生でした。平均年齢は21.5歳。「あっ! この研究にオレも入ってるかも!」と思った読者がいるかな、とふと思ったのですが、法学部出身の人はこの連載を読んでないですよね。1年間のフォローアップで、BMIが5%以上増加したのは598人(12.9%)の生徒でした。BMI増加の独立リスク因子とされたのは、運動不足(オッズ比[OR]1.33、95%信頼区間:1.11~1.60)、アルコール摂取量が少ないこと(OR 1.30、95%信頼区間:1.08~1.57)、朝食をよく抜くこと(OR 1.34、95%信頼区間:1.12~1.61)、高脂肪食を好むこと(OR 1.36、95%信頼区間:1.04~1.78)、一人暮らし(OR 1.23、95%信頼区間:0.99~1.52)でした。該当するリスク因子数に応じて層別化を行うと、健康的な生徒と比較した場合、リスク因子最多の生徒ではBMI増加のオッズ比が6.22(95%信頼区間:2.58~15.0)でした。アルコールを飲まないほうが太るというのが「ハテナ?」と思いましたが、アルコール摂取で肥満のリスクが上昇するというコンセンサスはないのですね。知りませんでした。むしろ、アルコール摂取をしない大学生は、他のカロリー摂取源として食事を多く取るという可能性があるとかないとか。他の研究だと、早食いする大学生は体重が増えやすいという報告もあります1)。私も大学の頃はかなり早食いでしたが、子どもができてからゆっくり食べるようになりました。ところで、京都の大学に通っていると、ラーメン屋に行く頻度が多いと思います(それが統計学的に有意かどうかは神のみぞ知る)。私は研修医時代を京都で過ごしたのですが、週1回くらいの頻度でラーメン屋に通っていました。「いいちょ」という店が大好きで、ラーメンとチャーハンを毎回セットで頼んでいました。そのせいもあってか、当時は現在より体重が5kgも多かったのです。ちなみに、昼食に頻繁にラーメンを食べると日本人はトランスアミナーゼが増えるという報告があります2)。参考文献1)Yamane M, et al. Obesity (Silver Spring). 2014;22:2262-2266.2) Iwata T, et al. Tohoku J Exp Med. 2013;231:257-263.インデックスページへ戻る

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習慣飲酒が血糖状態を改善-日本の中年女性

 日本の中年女性において、アルコール摂取量と血糖状態は肥満症とは無関係に逆相関を示すことが、兵庫医科大学の下村 智子氏らによる研究で明らかになった。日本の中年女性は、飲酒することで心血管疾患の既知のリスク低下につながる可能性がある。Canadian journal of diabetes care誌オンライン版2015年8月12日号の報告。 最近の研究で、習慣飲酒は糖尿病のリスクを軽減することが示されている。しかし、アルコールと糖尿病の関係が肥満症の影響を受けるかどうかについては、いまだ明らかにされていない。本研究では、女性のアルコール摂取が血糖状態に影響を及ぼすのかについて検討した。 対象は、健康診断を受けた35~60歳の日本人女性1万8,352人。対象を、飲酒しない群、ときどき飲む群、毎日軽く飲む群(エタノール 22g以下/日)、毎日大量に飲む群(エタノール22g以上/日)の4群に分けて検討した。アルコール消費量とHbA1c値の関連は、年齢、喫煙歴、運動習慣で調整後、共分散およびロジスティック回帰分析を用いて検討した。 主な結果は以下のとおり。・HbA1c値は、飲酒しない群と比べて、ときどき飲む群、毎日軽く飲む群、毎日大量に飲む群で有意に低かった。・これらの逆相関は、肥満状態(BMI、ウエスト身長比)によって変化しなかった。・飲酒しない群に対する高血糖のオッズ比は、ときどき飲む群で0.82 [95%CI:0.73~0.92]と1.00の基準値よりも有意に低かった(p<0.01)。毎日軽く飲む群のオッズ比は0.61 [95%CI:0.44~0.85]、毎日大量に飲む群は0.66 [95%CI:0.50~0.88]であった。・以上のことから、35~60歳の日本人女性において、アルコール摂取は肥満状態と独立しており、アルコール摂取量と血糖状態は逆相関を示すことが示唆された。

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1回の健診で26年後の心疾患やがんを予測可能?

 1回の健康診断の結果から、26年後の心血管疾患やがん、糖尿病を予測することは可能だろうか。スウェーデン・Habo健康管理センターのLars-Goran Persson氏らは、ベースライン時33~42歳の若年男性のコホートにおいて、1回の健康診断で得られた生活習慣および生物学的リスクマーカーの結果と26年後の心血管疾患やがんの罹患率・死亡率、糖尿病の罹患率との関連を検討した。その結果、1回の検査で確認されたリスク因子(とくに喫煙、BMI、血清コレステロール)により、26年後における心血管疾患、がん、糖尿病を予測できる可能性が報告された。BMJ Open誌2015年5月6日号に掲載。 対象は、1985年にHaboに住んでいた男性(757人)のうち、1985~1987年に健康診断を受けた男性652人。健康プロファイルを調査・測定し、健康に関する看護師との対話を実施、さらに高リスク群には医師との対話と検査を実施した。介入プログラムは、プライマリケア医療機関および地元関連機関の協力の下、実施した。心血管疾患およびがんの罹患はスウェーデン保健福祉庁のデータから、糖尿病については薬局での医薬品販売データから評価した。健康プロファイルより、生活習慣(喫煙、身体活動、飲酒)と生物学的リスクマーカー(BMI、血圧、血清コレステロール)に関する項目を選び、そのリスクポイントの合計で参加者を3群に分け比較した。 主な結果は以下のとおり。・リスクポイントの合計が最も低い群は、最も高い群と比較して、心血管疾患およびがんのリスクが有意に低かった。・生活習慣に関するリスクポイントが最も低い群は、最も高い群に比べて、心血管疾患リスクが有意に低く、生物学的リスクマーカーに関するリスクが最も低い群は、心血管疾患およびがんの両方のリスクが有意に低かった。喫煙と血清コレステロールは、最も重要なリスク因子であった。・糖尿病においては、BMIと喫煙が最も重要なリスク因子であった。

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【第43回】ゴミを扱う仕事で起こった珍しい病気

【第43回】ゴミを扱う仕事で起こった珍しい病気 >足成より使用 ゴミを扱う仕事に従事する人がどういった呼吸器疾患にかかるのかを検証した大規模な研究はありませんが、呼吸器症状や呼吸機能検査には影響を与えないと結論付けた報告があります(Tschopp A. et al. Occup Environ Med. 2011;68:856-859.)。 しかしその一方で、ゴミと関連した感染症やアレルギーを呈する報告もあります。 Allmers H, et al. Two year follow-up of a garbage collector with allergic bronchopulmonary aspergillosis (ABPA). Am J Ind Med. 2000;37:438-442. この論文は、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)に罹患した29歳のゴミ回収業社員の症例報告です。彼は、ゴミ回収業に従事した夏に、呼吸困難感、発熱、インフルエンザ様症状を呈するようになりました。病院を受診したところ、胸部レントゲン写真では粘液栓(mucoid impaction)を示唆する索状影が観察され、IgE高値、アスペルギルス沈降抗体が陽性であることからABPAを疑われました。Aspergillus fumigatus抽出物を吸入すると、即時型喘息反応がみられました。この症例報告は日本の夏型過敏性肺炎と同様の機序と考えてよいと思いますが、過去にゴミを扱うことで真菌のアレルギー症状を起こすことが報告されています(Hagemeyer O, et al. Adv Exp Med Biol. 2013;788:313-320.)。また、ゴミ捨て場で働く子供において酸化ストレスマーカーが高いことも報告されています(Lahiry G, et al. J Trop Pediatr. 2011;57:472-475.)。日本のように医療制度が充実している国はともかくとして、健康へのリスクを有する職業に就いている人に対する健康診断は、世界的にもまだまだ課題が残されているようです。インデックスページへ戻る

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味噌汁・漬物を減らせば減塩できるか

 日本人一般集団において、味噌汁・漬物の摂取を控えることは、減塩のアプローチとして効果的だが、これは80~90代には当てはまらないことが、新潟大学の若杉 三奈子氏らによる研究で明らかになった。Internal medicine誌オンライン版2015年4月15日号の報告。 食事の食塩摂取量を減少させるために、味噌汁と漬物の摂取を減らすことが推奨されている。しかし現在、日本人の食生活は欧米化しており、味噌汁や漬物をかつてほど頻繁に消費していない。よって、味噌汁・漬物のナトリウム摂取による影響を、あらためて検証した。 本研究では、新潟県佐渡市で2013年に健康診断を実施した8,821人(男性3,956人、女性4,865人;19~97歳)の結果データを用いて、味噌汁・漬物の摂取頻度と、推定24時間尿中ナトリウム排泄量との関連を検討する断面研究を行った。毎日の食塩摂取量のレベルは、スポット尿中のナトリウムおよびクレアチニン測定値に基づいて推定した。味噌汁と漬物の摂取頻度は自己申告のアンケートを用いて決定した。関連性は、多重線形回帰モデルを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・1日あたりの平均塩分摂取量は9.4gであった。・味噌汁と漬物の摂取頻度は年齢とともに増加し、1日の食塩摂取量のレベルと関連する傾向が認められた(傾向のp<0.0001)。・年齢、性別、BMI、高血圧、糖尿病、高コレステロール血症、慢性腎臓病で調整した線形回帰モデル分析の結果、80歳以上を除く全年齢層における1日の食塩摂取量は、味噌汁(p<0.0001)および漬物(p<0.0001)の摂取頻度と関連が認められた。・以上のことから、味噌汁・漬物の摂取頻度の減少は、一般的な日本人集団における食塩摂取量を減少させるためのアプローチとして効果的であるが、80歳以上の人には効果的ではないことが示唆された。

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アリスミアのツボ Q18

Q18健康診断で見つかった脚ブロックに対する対応は?紹介されることはあるものの、これだけで心疾患診断の契機になったことは少ないのが実情。自分の経験では・・・最近ではあまり多くはないのですが、かつて健康診断で新たに発見された脚ブロック症例の紹介を受け、その方たちのチェックを行っていたことがありました。右脚ブロックでは心房中隔欠損症が、左脚ブロックでは冠動脈疾患や拡張型心筋症の初期に出会うことがありましたが、これはかなりレアケースだったと言えるでしょう。また、そのような場合の多くは、問診すると何らかの症状があったり、胸部レントゲン写真で軽度の心拡大が認められるなど、pureな脚ブロックだけという症例ではなかった気がします。公衆衛生学的見地ではどうなのでしょう公衆衛生学的な研究もなされており、(1)apparently healthy peopleでの右脚ブロックは、その後の生命予後に影響を与えないこと(2)新しく発見された左脚ブロックは、急性期には死亡率増加に寄与するが(これはおそらく虚血性心疾患や心不全の発症を見ています)、長期的には死亡率増加への寄与は小さいことが報告されています(Cuddy TE,et al. Can J Cardiol. 2006;22:205-211)。調べることは悪いことではない公衆衛生学的な情報はそうであれ、それを知ったうえで個別に基礎心疾患のチェックを行うことは有意義なことだと思います。そのほうが、患者さん(健常者?)にとっても安心できるからです。ただし、右脚ブロックではそもそも何かが見つかるということは滅多にない、左脚ブロックでも、最近初めて見つかったもの、何らかの症状や胸部レントゲンでの心拡大がないものでは、何かが見つかるという可能性はきわめて低いと考えておくべきでしょう。

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正常体重者も非アルコール性脂肪肝に注意!

 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)を含む生活習慣病における介入は、過体重および肥満者にフォーカスしていたため、正常体重者のNAFLD発症における成人期の体重増加の影響は明らかになっていない。 聖路加国際病院附属クリニック・予防医療センターの木村 武志氏らによる横断的研究の結果、NAFLDが20歳以降の体重変化と強く関連し、この影響は正常体重の人でとくに大きかったことが報告された。この結果から、正常体重の健康な人でも早期および長期的な体重モニタリングが重要であることが示唆された。Journal of gastroenterology and hepatology誌オンライン版2014年12月3日号に掲載。 著者らは、健康診断を受けた参加者からデータを収集し、超音波診断によるNAFLD有病率を、20歳以降の体重変化1kg刻みで調査した。相対リスク(RR)は、現在の体重(正常、過体重、肥満)によって層別化し、男女別に算出した。ロジスティック回帰を用いて、潜在的な交絡因子を調整したオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・2万1,496人の参加者のうち、NAFLDが3,498例(16.3%)にみられた。・20歳以降の体重増加に伴いNAFLDの有病率が増加した。10.1~11.0kg増加した群では、男性で41.6%、女性で24.8%がNAFLDであった。・四分位による多変量解析により、体重増加が男性および女性のNAFLDリスクと有意に関連していることが示された。・体重変化(10kg増ごと)に伴うNAFLDのリスクは、過体重および肥満の参加者に比べて、正常体重の参加者で有意に高かった。正常体重 男性:OR 7.53(95%CI 4.99~11.36)     女性:OR 12.20(95%CI 7.45~19.98)過体重  男性:OR 1.61(95%CI 0.91~2.85)     女性:OR 2.90(95%CI 0.99~8.54)肥満   男性:OR 4.0(95%CI 2.97~5.39)     女性:OR 2.68(95%CI 2.00~3.60)

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女性は男性より有害な心血管代謝プロファイルを示す―日本の糖尿病患者

 日本人の糖尿病患者は、男性よりも女性のほうが有害な心血管代謝プロファイルを示すことが、兵庫医科大学の若林 一郎氏による研究で明らかになった。日本の糖尿病女性は、男性よりも腹部肥満、高脈圧、高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症、メタボリックシンドロームの有病率が高いという。Journal of women's health誌オンライン版2014年11月14日号の報告。 糖尿病患者の心血管疾患リスクの性差に関する研究は、主に欧米で行われており、日本人を含むアジア人を対象とした報告は限られている。 そのため、本研究では、日本の地域住民の健康診断データベースから糖尿病患者1,707例を抽出して横断研究を行い、心血管代謝リスク因子を男女で比較した。男性1,138例、女性569例で男女比を2:1とし、年齢を一致させて検討を行った(男女とも53.8±7.4歳)。 主な結果は以下のとおり。・女性のウエスト・身長比は男性と比較し、有意に高かった。・BMIは男女で有意な差を認めなかった。・女性の拡張期血圧は、男性と比較し、有意に低かった。・女性の脈圧は、男性と比較し、有意に高かった。・収縮期血圧は、男女で有意な差を認めなかった。・女性のLDLコレステロールは、男性と比較し、有意に高かった。・女性のトリグリセリド(対数変換)は、男性と比較し、有意に低かった。・女性の脂肪蓄積量(対数変換)は、男性と比較し、有意に高かった。・女性の腹部肥満のオッズ比は2.00 であった(vs 男性、95%CI: 1.48~2.69)。・女性の高脈圧のオッズ比は1.48であった(vs 男性、95%CI: 1.15~1.91)。・女性の高LDLコレステロール血症のオッズ比は、1.48であった(vs 男性、95%CI: 1.13~1.92)。・女性の低HDLコレステロール血症のオッズ比は、1.77であった(vs 男性、95% CI: 1.32~2.37)。・女性のメタボリックシンドローム(IDF基準)のオッズ比は、1.68であった(vs 男性、95%CI: 1.28~2.21)。

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アリスミアのツボ Q13

Q13たまたま見つかった無症候性の発作性心房細動はどう対処するべきでしょうか?脳梗塞予防のみを行い、心房細動はまずその行方を観察するに留めておきます。最近よく見かけるたまたま健診で捕まった発作性心房細動社会の高齢化のためでしょうか、最近よく出会うのが・・・、健康診断の心電図で偶然見つかった心房細動で受診を促されたものの、受診時には洞調律だったという例です。自然に洞調律に復しているので、発作性心房細動です。しかし、本人につぶさに問診しても、まったく症状らしきものがなく(健康診断を受けたぐらいですから、そうでしょう)、定義上「無症候性発作性心房細動」で、私の前にいるときは洞調律という患者です。まずは脳梗塞リスクを考える発作性心房細動でも、持続性・永続性と同じように脳梗塞が生じることが知られています。だから、まず、脳梗塞予防を脳梗塞リスクに応じて行うことが基本となります。なんとなく、一度健康診断だけで偶然見つかった無症候性発作なのに、脳梗塞予防まで必要?と感じてしまうのですが・・・。心臓血管研究所では、無症候性発作性心房細動の行方を追ってみたことがあります。このような無症候性発作性心房細動は、症状のある発作性心房細動よりもむしろ速いスピードで持続性心房細動に移行していたのです。「たまたま見つかった」無症候の発作性心房細動だからといって、症状のある発作性心房細動となんら大きな違いはありません。実際、脳梗塞の発症リスクは、無症候性と有症候性で違いはありませんでした。見つかったときが脳梗塞リスクを患者に伝えるチャンスなのです。その心房細動の行方は・・・無症候ですから、発作の頻度や持続時間はとうてい知ることができません。状況がわからないのに、心房細動の治療を行ったとしても、その治療効果の判定ができません。判定できないからこそ、心房細動自身に対する治療は行わず、経過観察することにしています。やがて、いつの日か持続性心房細動に移行するでしょう。そのときが治療のチャンスです。少し遅れ気味になってしまいますが、治療の効果も判定することが初めてできるようになります。私は、持続性心房細動に移行して1年以内が、カテーテルアブレーションという治療を行う価値のある最初のそして最後の猶予期間だと患者に伝えています。 

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アリスミアのツボ 第3回

Q7症状のない上室・心室期外収縮は、どの程度まで経過観察すべきでしょうか。心機能が正常ならば経過観察しない、という考え方ではどうでしょうか。私は基本的に心機能が正常である限り、期外収縮の経過観察をしていません。これには異論や反論があるかもしれません。心房期外収縮の場合「心房期外収縮の頻発は、放置するとやがて無症状の心房細動に発展してしまうのではないか?」という不安。これはそのとおりだと思います。しかし、問題はその発生確率だと思うのです。一見健康者で、心房期外収縮頻発が見られた例での心房細動の発生確率は、年間約1.5%とされています。これをどう見るか……人によって異なるかもしれません。心房期外収縮例をすべて経過観察しようとするのは、間違いではないのですが効率性に劣る気がします。これを行うための外来診療の時間があれば、もっと有意義な(もっと重篤な疾患をもつ患者のケアに)使えばよいのではないでしょうか。もちろん例外があります。心原性脳梗塞のようだけれども心房細動が見つかっていない患者、心房細動がひとたびもし生じてしまえば脳梗塞のリスクがきわめて高いという患者では、心房期外収縮の頻発を経過観察する価値が高まるでしょう。ただし、これらの患者の経過観察としての適切な方法はまだ誰も知りません。心室期外収縮の場合「心室期外収縮の頻発は、やがて心機能低下を引き起こしてしまうのではないか?」という不安。これもその可能性はあると思います。ただし、どのような発生確率が見込めるのかという確かな数字がない以上、そして基本的に予後はよいという情報がある以上、効率性という意味で経過観察の価値が低いと感じてしまうのです。脳梗塞とは異なり、心機能低下はirreversibleではありません。健康診断をきちんと受けることを指導する、というような経過観察でもよいのではないでしょうか。Q8発作性心房細動に対する抗不整脈薬の用い方について教えてください。安全性重視という考え方で、患者の意向次第で減量や中止も随時可能専門家の現場での用い方「抗不整脈薬の使い方がわからない。ガイドラインや教科書と、循環器内科医の実臨床での使い方がかなり違う気がする」というご意見もありました。抗不整脈薬は諸刃の剣と言われることから、どうしても経験則が幅を利かせているのが実情です。ESCの心房細動ガイドラインで書かれていることESCの心房細動ガイドラインにはこの抗不整脈薬の使い方の原則が書かれているので、それを引用しておきましょう。1)抗不整脈薬治療は症状を軽減する目的で行うものである2)抗不整脈薬で洞調律を維持する効果は“modest”である3)抗不整脈薬治療は心房細動の再発をなくすものでなく、減らすことで臨床的には成功と考えるべきだろう4)1つの抗不整脈薬が効果のない場合、他の抗不整脈薬が効果を示すことがあるかもしれない5)抗不整脈薬による新たな不整脈の出現、心外性副作用はしばしば生じる6)抗不整脈薬の選別は効果よりもまず安全性を指針とすべきである私の使い方私の臨床現場での用い方はこれを基本にしています。たとえば、抗不整脈薬をいつ始めて、いつ中止するのかについての一定の見解はないのですが、患者が心房細動の症状で困っている時に開始し(1参照)、その際あらかじめ発作が完全に消失するものではないことを伝え(2、3参照)、症状が軽くなればいつでも薬物の減量をトライし、症状に困らなくなればいつでも中止をトライする(6参照)、ということを基本にしています。もちろん、減量や中止によって患者が困るようになれば、また再開することはたびたびです(むしろ、そのほうが多いかもしれません)。ただ、これを行うことで患者が薬物の効果を実感してくれることもアドヒアランスを高めると思っています。Q9NOACをどのように開始すべきでしょうか?ワルファリン時代とまったく異なる抗凝固療法のやり方を会得する必要がありますワルファリン時代に染みついた慣習心房細動の脳卒中予防には抗凝固療法が必要です。抗凝固療法の仕方…これについては、あまりにもワルファリンを使用してきた歴史が長く、ワルファリン時代のやり方が身に染みついてしまっていることを私自身が痛感しました。そこで、ワルファリン時代とは異なるNOACによる抗凝固療法の私のやり方をまとめておきます。1)心房細動初診患者では(脳卒中の一次予防ならば)その日のうちに抗凝固療法を始めない。ワルファリン時代は初診患者で脳卒中予防の説明をして、ワルファリン1.5~2mg/dayをその日から開始していました。しかし、NOACでは危なっかしくてできないですね。初診日は、脳卒中に関する啓蒙、年齢、体重の把握、血清Cr、Hbの採血をするだけにしています。クリアチニンクリアランスを把握してから抗凝固療法はするものと考え、次の外来から(つまりクレアチニンクリアランスが手に入ってから)NOACを処方します。次回の外来までに脳卒中になってしまうのでは……と不安に思う方がおられるかもしれませんが、所詮ワルファリン時代も初診時に処方する少量のワルファリン量ではそもそも効いていませんでした。NOACを初診日に処方すると禁忌症例に処方してしまう可能性があり、こちらのほうが危険でしょう。また、貧血のある患者にNOACを処方するのも危険です。今まさに、じわじわとどこからか出血しているのかもしれないからです。2)2週間以内の出血に関する問診とHbのチェックを忘れないワルファリン時代はゆっくりと抗凝固がなされ、しかもPT-INRによる処方量決定のためたびたび外来受診が行われるので、出血のケアは自然になされやすい環境にありました。しかし、長期処方が可能なNOACは大出血直前の気付きの機会を減らしています。そこで、私は、NOAC処方時には必ず2週間以内に受診してもらい、皮下出血、タール便の有無を聞き、必ずHbをチェックすることにしています。2週間でHbが明らかに減少していれば、どこからか出血していることになるからです。逆にHb値に変化がなければ安心できます。3)バイオマーカーはどうする?ワルファリン時代のPT-INRというモニタリングはなくなりました。では何もチェックしていないかというと、私は、ダビガトランではaPTT、リバーロキサバンとアピキサバンではPTをチェックしています。固定用量の薬物では必ず効きすぎの患者が、わずかといえども存在しているからです。ただし、これはモニタリングではありません。処方後2週間以内の外来で、Hbと一緒にバイオマーカーを一度採血するのです。バイオマーカーについては「あまり見かけないほど高い値である」ことがなければ、それで良しとしています。その後の採血ですが、クレアチニンクリアランスを高齢者では年に4回程度、若年者では年に1、2回チェックしますが、それと同時にこれらのバイオマーカーもチェックしています。NOACのバイオマーカーはモニタリングではなく、あくまでもチェックにすぎないのです。

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座り仕事の15%が腰痛持ち、その発症要因とは

 腰痛は重要な公衆衛生問題であり、労災補償や医療費の点で大きな経済的負担となっている。北里大学の井上 玄氏らの調査によれば、腰痛発症のリスク因子として知られる座位を、長時間強いられる座作業労働者における最近の腰痛有病率は15%で、その発症には、腰痛既往歴や体重などが関与していたことを報告した。結果を踏まえて著者は、「本報告は、職場における腰痛発症の潜在的なリスク因子についての情報を提供するものである」とまとめている。Journal of Orthopaedic Science誌オンライン版2014年9月8日号の掲載報告。 研究グループは、電子機器製造会社の座作業労働者を対象に、腰痛の有病率を調査し、腰痛発症のリスク因子を分析する目的で前向き横断研究を行った。 直近1週間で48時間以上持続する腰痛の有病率を調査するとともに、毎年の健康診断から人口統計学的特性およびリスク因子に関するデータを収集し、腰痛を有する労働者についてはローランド・モリス障害質問票(RDQ)を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・全座作業労働者1,329例中、201例(15.1%)が腰痛を有していた。・女性では、体重およびBMIがRDQスコアと有意な相関を認めた。・単変量解析の結果、男性、腰痛既往歴、身長170cm以上、体重70kg以上が腰痛の有意なリスク因子として同定された。・多変量ロジスティック回帰分析では、腰痛既往歴、腰椎の手術歴が腰痛の有意なリスク因子であった。

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残業時間と高血圧は逆相関~日本の横断研究

 長時間労働は、心血管疾患リスクの増加と関連しているが高血圧との関係は不明である。J-ECOH(Japan Epidemiology Collaboration on Occupational Health)スタディグループの今井 鉄平氏らは、日本の大規模企業研究データを使用して、残業と高血圧の関係を横断研究により検討した。その結果、残業時間と高血圧は逆相関することが示唆された。Chronobiology International誌オンライン版2014年9月17日号に掲載。 参加者は、健康診断データと自己報告の残業データがある4社の労働者5万2,365人。収縮期血圧140mmHg以上、拡張期血圧90mmHg以上、または降圧薬服用者(もしくはその両方)を高血圧と定義した。ロジスティック回帰分析を用いて、残業時間によるカテゴリ(月間45時間未満、45~79時間、80~99時間、100時間以上)別に高血圧のオッズ比(年齢・性別・会社・喫煙状態・BMIを調整)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・高血圧の有病率は残業時間の増加に伴って減少する傾向があった(残業時間の少ないカテゴリから順に17.5%、12.0%、11.1%、9.1%)。・年齢、性別、会社の調整オッズ比(95%信頼区間)は、それぞれ1.00(基準)、0.81(0.75~0.86)、0.73(0.62~0.86)、0.58(0.44~0.76)であった(線形傾向のp<0.001)。・サブコホートにおいて、この逆相関は、他の潜在的な交絡因子を追加調整後も統計的に有意であった。

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食べる速さはメタボと関連~日本の横断的研究

 国立国際医療研究センターの長濱 さつ絵氏らは、日本人における食べる速度とメタボリックシンドロームとの関連性を横断的研究で調査した。その結果、食べる速度がメタボリックシンドロームと関連し、この関連は主に、食べる速度による体重の違いで説明されることが示唆された。著者らは「食べる速度を遅くすることで肥満やメタボリックシンドロームを予防できるかどうか、さらなる研究が必要」としている。BMJ Open誌2014年9月5日号に掲載。 著者らは、2011年に国内の健康管理センターの健康診断を受け、冠動脈心疾患や脳卒中の既往がない5万6,865人(男性4万1,820人、女性1万5,045人)について、食べる速度(自己申告による)とメタボリックシンドロームおよびその要素について調査した。なお、メタボリックシンドロームは、国際糖尿病連合および米国心臓協会/米国国立心肺血液研究所の共同暫定声明に基づいて定義した。 主な結果は以下のとおり。・多重ロジスティック回帰モデルでは、食べる速度はメタボリックシンドロームと有意な正相関を示した。・男性における多変量調整オッズ比(95%信頼区間)は、食べる速度が「遅い」「普通」「速い」の順に、0.70(0.62~0.79)、1.00(基準)、1.61(1.53~1.70)であった(傾向のp<0.001)。女性では、0.74(0.60~0.91)、1.00(基準)、1.27(1.13~1.43)であった(傾向のp<0.001)。・メタボリックシンドロームの要素のうち、腹部肥満が食べる速度と最も強い関連を示した。・食べる速度とメタボリックシンドロームおよびその要素との関連性は、BMIによる調整後に大きく減衰した。しかし、「遅い」と高血圧(男女とも)および高血糖(男性)での低オッズ、「速い」と脂質異常(男性)での高オッズとの関連については、統計的に有意なままであった。

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13種類のがんを1回の採血で診断―次世代のがん診断システム開発プロジェクト始動

 8月18日(月)、独立行政法人国立がん研究センター(東京都中央区)は、血液から乳がんや大腸がんなど13種類のがんを診断するシステムの開発を始めると発表した。 これは、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が、国立がん研究センター(以下、NCC)、東レ株式会社(以下、東レ)およびアカデミア、企業など他の7機関とともに、健康診断などで簡便にがんや認知症を検査できる世界最先端の診断機器・検査システムの開発を行うプロジェクトの一環である。計画では、患者への負担が小さく、より早期に一度にさまざまながんを診断できる技術の開発を支援することを目的としている。 血液検査によるがんの早期発見では、胃がん、食道がん、肺がん、肝臓がん、胆道がん、膵臓がん、大腸がん、卵巣がん、前立腺がん、膀胱がん、乳がん、肉腫、神経膠腫の13種をターゲットにしている。 具体的には、NCCに蓄積された膨大な臨床情報とバイオバンクの検体、マイクロRNA腫瘍マーカーについての研究成果を基盤とし、東レが開発した高感度DNAチップと、東レとNCCが共同開発した血液中に存在するマイクロRNAバイオマーカーの革新的な探索方法を活用して、体液中のマイクロRNAの発現状態についてのデータベースを構築、網羅的に解析するというもの。 この測定技術により、がんや認知症の早期発見マーカーを見出し、これらのマーカーを検出するバイオツールを世界に先駆け実用化することを目指すとしている。詳細はプレスリリースへ

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胸のしこりに対し触診や精密検査を行わず肝臓がんを見逃したケース

消化器最終判決判例時報 1610号101-105頁概要狭心症の診断で近医内科に約5年間通院していた74歳の女性。血液検査では大きな異常はみられなかったが、胸のしこりに気付き担当医師に相談したところ、劔状突起であると説明され腹部は触診されなかった。最終診察日に血液検査で肝臓疾患の疑いがもたれたが、その後別の病院を受診して多発性肝腫瘍と診断され、約4ヵ月後に肝腎症候群で死亡した。詳細な経過患者情報1981年4月20日~1994年3月14日まで、狭心症の診断で内科医院に月2回通院していた74歳女性。通院期間中の血液検査データは以下の通り(赤字が正常範囲外)■通院期間中の血液検査データ経過1994年2月24日担当医師に対し、胸にしこりがあることを訴えたが、劔状突起と説明され腹部の診察はなかった。3月10日市町村の補助による健康診断を実施。高血圧境界領域、高脂血症、肝疾患(疑いを含む)および貧血(疑いを含む)として、「要指導」と判断した。1994年3月14日健康診断の結果説明。この時腹部の診察なし(精密検査が必要であると説明したが、検査日は指定せず、それ以降の通院もなし)。3月22日別の病院で検査を受けた結果、肝機能異常および悪性腫瘍を示す数値が出た(詳細不明)。1994年4月1日さらに別医院で診察を受けた結果、触診によって肝臓が腫大していることや上腹部に腫瘤があることがわかり、肝腫瘍の疑いと診断され、総合病院を紹介された。4月4日A総合病院消化器内科で多発性肝腫瘍と診断された。4月7日A総合病院へ入院。高齢であることから積極的治療は不可能とされた。5月6日B病院で診察を受け、それ以後同病院に通院した。5月22日発熱、食欲低下のためB病院に入院した。次第に黄疸が増強し、心窩部痛などの苦痛除去を行ったものの状態が悪化した。7月27日肝内胆管がんを原因とする肝腎症候群で死亡した。当事者の主張患者側(原告)の主張診察の際に実施された血液検査において異常な結果が出たり、肝臓疾患ないしは、肝臓がんの症状の訴え(本件では胸のしこり)があったときには、それを疑い、腹部エコー検査や腫瘍マーカー(AFP検査)などの精密検査を実施すべき注意義務があり、また、エコー検査の設備がない場合には、同設備を有するほかの医療機関を紹介すべき義務がある。担当医師がこれらの義務を怠ったために死亡し、延命利益を侵害され、肝臓がんの適切な治療を受けて治癒する機会と可能性を失った。病院側(被告)の主張当時、肝臓疾患や肝臓がんを疑わせるような症状も主訴もなく、血液検査でも異常が認められなかったから、AFP検査をしたり、エコー検査の設備のあるほかの医療機関を紹介しなかった。患者が気にしていた胸のしこりは、劔状突起のことであった。また、最後の血液検査の結果に基づき、「要指導」と判断してAFP検査を含む精密検査を予定したが、患者が来院しなかった。仮に原告主張の各注意義務違反であったとしても、救命は不可能で、本件と同じ経過を辿ったはずであるから、注意義務違反と死亡という結果との間には因果関係はない。裁判所の判断通院開始から1994年3月10日までの間に、血液検査で一部基準値の範囲外のものもあるが、肝臓疾患ないし肝臓がんを疑わせるような兆候および訴えがあったとは認められない。しかし、1994年3月14日の時点では、肝臓疾患ないし肝臓がんを疑い、ただちに触診などを行い、精密検査を行うか転医させるなどの措置を採るべきであった。精密検査の約束をしたとのことだが、検査の日付を指定しなかったこと自体不自然であるし、次回検査をするといえば次の日に来院するはずであるのに、それ以降の受診はなかった。ただし、これらの措置を怠った注意義務違反はあるものの、死亡および延命利益の侵害との間には因果関係は認められない。患者は1981年以来5年間にわたって、担当医師を主治医として信頼し、通院を続けていたにもかかわらず、適時適切な診療を受ける機会を奪われたことによって精神的苦痛を受けた。1,500万円の請求に対し、150万円の支払命令考察外来診療において、長期通院加療を必要とする疾患は数多くあります。たとえば高血圧症の患者さんには、血圧測定、脈の性状のチェック、聴診などが行われ、その他、血液検査、胸部X線撮影、心電図、心エコーなどの検査を適宜施行し、その患者さんに適した内服薬が処方されることになります。しかし、患者さんの方から腹部症状の訴えがない限り、あえて定期的に腹部を触診したり、胃カメラなど消化器系の検査を実施したりすることはないように思います。本件では、狭心症にて外来通院中の患者さんが、血液検査において軽度の肝機能異常を呈した場合、どの時点で肝臓の精査を行うべきであったかという点が問題となりました。裁判所はこの点について、健康診断による「要指導」の際にはただちに精査を促す必要があったものの、検査を実施しなかったことに対しては死亡との因果関係はないと判断しました。多忙な外来診療では、とかく観察中の主な疾患にのみ意識が集中しがちであり、それ以外のことは患者任せであることが多いと思います。一方、患者の側は定期的な通院により、全身すべてを診察され、異常をチェックされているから心配ないという思いが常にあるのではないでしょうか。本件でも裁判所はこの点に着目し、長年通院していたにもかかわらず、命に関わる病気を適切に診断してもらえなかった精神的苦痛に対して、期待権侵害(慰藉料)を認めました。しかし実際のところ、外来通院の患者さんにそこまで要求されるとしたら、満足のいく外来診療をこなすことは相当難しくなるのではないでしょうか。本件以降の判例でも、同じく期待権侵害に対する慰藉料の支払いを命じた判決が散見されますが、一方で過失はあっても死亡との因果関係がない例において慰謝料を認めないという判決も出ており、司法の判断もケースバイケースといえます。別の見方をすると、本件では患者さんから「胸のしこり」という肝臓病を疑う申告があったにもかかわらず、内科診察の基本である「腹部の触診」を行わなかったことが問題視されたように思います。もしその時に丁寧に患者さんを診察し(おそらく腹部の腫瘤が確認されたはずです)、すぐさま検査を行って総合病院に紹介状を作成するところまでたどり着いていたのなら、「がんをみつけてくれた良い先生」となっていたかもしれません。今更ながら、患者さんの訴えに耳を傾けるという姿勢が、大切であることを実感しました。消化器

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