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中等症~重症の乾癬、女性の出生率低い

 英国で行われた住民ベースのコホート研究で、中等症~重症の乾癬女性患者は背景因子をマッチングさせた非乾癬女性と比べて、出生率が低く、流産のリスクが高いことが示された。英国・マンチェスター大学のTeng-Chou Chen氏らが報告した。乾癬女性患者の出生率および出生アウトカムに関する研究は、サンプルサイズが小規模、比較対象が設定されていない、正確な妊娠記録が欠如しているなどの限界が存在していた。今回の結果を踏まえて著者は、「さらなる研究により、流産リスクの上昇との因果関係を明らかにする必要がある」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2023年6月7日号掲載の報告。 女性の乾癬患者と年齢・生活水準(剥奪指標)をマッチングさせた非乾癬患者を比較した。1998~2019年の期間にUK Clinical Practice Research Datalink GOLDデータベースに登録された887施設の電子健康記録(EHR)を用い、pregnancy register、Hospital Episode Statisticsのデータを結び付けた。一般的に妊娠可能な年齢(15~44歳)の住民は622万3,298例で、乾癬の診断前1年以上のフォローアップデータがあった乾癬患者6万3,681例が対象となった。臨床医により記録された診断コードで乾癬患者を特定し、乾癬患者1例につき5例をマッチングさせた。 出生率は100患者年当たりの妊娠件数として算出。出生アウトカムを特定するために、pregnancy registerあるいはHospital Episode Statisticsに記録されたそれぞれの妊娠アウトカムをスクリーニングした。負の二項モデルを用いて乾癬と出生率の関連を検討し、ロジスティック回帰分析を用いて乾癬と出生アウトカムの関連を検討した。データ解析は2021年に行われた。 主な結果は以下のとおり。・乾癬患者6万3,681例と背景因子をマッチングさせた非乾癬患者31万8,405例が、解析に組み入れられた(年齢中央値30歳[四分位範囲[IQR]:22~37])。・追跡期間中央値は4.1年(IQR:1.7~7.9)。同期間における中等症~重症乾癬患者は3,252例(5.1%)で、うち561例が指標日(最新の診断日、15歳時点、1998年1月1日のいずれか)に中等症~重症乾癬であった。・全試験期間において、乾癬患者の出生率は、非乾癬患者と比較して有意に高率だった(レート比[RR]:1.30、95%信頼区間[CI]:1.27~1.33、p<0.001)。しかし、中等症~重症乾癬患者の出生率は、有意に低率であった(RR:0.75、95%CI:0.69~0.83、p<0.001)。・乾癬患者の流産のオッズは、非乾癬患者と比較して有意に高かった(オッズ比[OR]:1.06、95%CI:1.03~1.10、p<0.001)。流産の95%超が妊娠第1期(91日未満)に発生した。・一方、分娩前異常出血、妊娠高血圧腎症、妊娠糖尿病のリスク上昇はみられなかった。・流産のオッズは25~34歳群と比較して、20歳未満群(OR:2.04、95%CI:1.94~2.15、p<0.001)、20~24歳群(1.35、1.31~1.40、p<0.001)で有意に高かった。死産や早産の統計学的有意差はみられなかったが、これらの結果は、人口統計学的特性、生活様式、社会経済学的状況、併存疾患で補正後も一貫していた。

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変形性関節症には運動の継続を

 関節に痛みが生じた場合、ゆっくり休む必要があるように感じるかもしれないが、専門家の意見によると、それは正しい方法ではないようだ。椅子から立ち上がる時や階段を上る時に膝が痛む場合は、変形性膝関節症の可能性が考えられ、もしそうであるなら、適切な運動を続けた方が良いという。 「変形性関節症(OA)による痛みは、活動すると悪化して休息すると改善する。しかし、そうであっても費用対効果の最も高い治療法は運動だ」と語るのは、米テキサス大学サウスウェスタン医療センターのKathryn Dao氏だ。リウマチ専門医の同氏は、同医療センター発行のリリースの中で、「運動をすることで軟骨が形成されて、筋肉は強化され、関節機能と骨量が改善されることが研究で示されている。また、運動をしているOAの患者はバランスが良くなり、転倒のリスクが低下する」と解説する。 OAは、関節部分の骨の末端にあって、クッションの役割を果たしている軟骨の変性によって引き起こされる病気。主な症状は、痛み、こわばり、可動域の制限などで、関節を曲げたり伸ばしたりする時に音が聞こえることもある。米国成人の約7人に1人がこの疾患に罹患しており、症状は膝や腕、腰の関節に現れることが多い。原因は主に加齢だが、「過去のけがや手術が関係して発症することもある」とDao氏は話す。また、スポーツや職業のために特定の関節に繰り返しストレスがかかるような場合にも発症しやすくなり、そのほかに肥満も一つのリスク因子だ。さらに、痛風、関節リウマチ、乾癬性関節炎などの炎症性関節炎の患者も、OAのリスクが高い。 同医療センターや米疾病対策センター(CDC)は、関節の症状の予防やコントロールのために、定期的な運動と体重管理を推奨している。中程度の運動強度の有酸素運動を毎週150分行うことが良いとされている。ただし、運動を習慣的に行っていない人の場合、最初は弱めの運動強度、短めの時間を目標に設定して開始し、徐々にレベルを上げていくことをDao氏は提案している。毎日30分の運動を行うとしたら、それを15分ずつの2回に分けて行っても良いとのことだ。 運動のタイプとしては、ジャンプ、長距離走、階段の上り下り、重いものを持ち上げるなど、強い衝撃がかかる運動では、新たな痛みが発生してしまう恐れがある。Dao氏は、「水泳、自転車、ピラティス、ヨガ、平地でのウォーキングなどの衝撃の少ない運動であれば、中等度から重度のOAの患者にとっても忍容性が高く効果的だ。また、トレーニングの前後に適切な方法でストレッチを行うとけがを防ぐことができる」と話す。なお、痛みがひどい場合やけがのリスクを抑えるための適切な運動療法は、理学療法士やトレーナーから指導を受けてから行った方がよいため、そのためにまず医師の診察を受けることを同氏は勧めている。

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重症度や地域、剤形によって患者の治療選好性が異なる?中等症~重症乾癬

 2023年6月5日、ブリストル マイヤーズ スクイブは、日本における「乾癬」の治療選好に関する、離散選択実験(Discrete choice experiment:以下、DCE)手法を用いた観察研究の結果を発表した。本研究の結果から、乾癬患者が治療を選択するうえで、有効性と同じく治療費や投与方法も重要な要素であることが、自治医科大学医学部 皮膚科学講座 小宮根 真弓氏らによって示された。結果は、2月20日付でJournal of Dermatology誌に掲載された。広がる乾癬の治療選択 皮膚の炎症性疾患である乾癬の治療は、ここ十数年で大きな進展を遂げてきた。その転機は、2010年に生物学的製剤の使用が初めて承認されたことにあり、最も患者数の多い尋常性乾癬では現在11製剤が臨床で使用されている。加えて最近は、経口剤の選択肢も増えている。乾癬治療の基本となる外用剤だけでなく、経口剤や生物学的製剤などのさまざまな選択肢の中から、患者に最適な治療法を選ぶことが重要だ。 しかし、治療効果、費用、投与方法が異なるこれらの治療選択肢に対する中等症~重症乾癬患者の嗜好性は十分に理解されていない。中等症~重症乾癬患者の選好性は? DCE手法は、複数の選択肢の中から最も好ましい選択を繰り返すアンケート調査によって、その選択における回答者の選好度を統計学的に算出する方法である。商品やサービスに対して人々が持つ多様な価値を相対的に評価でき、さまざまな業界で応用される。本研究では、20歳以上の生物学的製剤または経口剤による乾癬の全身療法を受けている中等症から重症の日本人乾癬患者222例(滴状乾癬、逆乾癬、膿胞性乾癬乾癬性紅皮症、薬剤性乾癬を除く)を対象に、治療薬の有効性、安全性、投与方法、投与頻度、利便性、治療費などの治療因子に対する治療選択時の選好度についてオンラインによる定量調査が行われた。結果は以下のとおり。・乾癬治療を受ける際の重要な要素として、「長期有効性」に対する相対的重要度(RI)が最も高く(42%)、2番目が「費用」(24%)、3番目が「投与方法」(13%)だった。・患者選好度の感度分析において、「投与方法」では皮下注射剤よりも経口剤を好む傾向がみられた。・サブグループ解析により、乾癬患者の重症度や居住地域によって異なる傾向がみられた。すなわち、中等症の乾癬患者(191例)と重症の乾癬患者(31例)では、重症度に関係なくいずれも「長期有効性」のRIが最も高値だった(中等症:48%、重症:42%)が、2番目は、中等症患者では「費用」(21%)、重症患者では「短期有効性」(21%)だった。また、政令指定都市の乾癬患者(106例)と非政令指定都市の乾癬患者(116例)を比較したところ、居住地域に関係なく「長期有効性」のRIが最も高値だった(政令指定都市:56%、非政令指定都市:42%)。一方、2番目に高い値を示した特性は、政令指定都市の患者では「副作用(消化器系関連)」(14%)、非政令指定都市の患者では「費用」(28%)だった。 小宮根氏は結果を振り返り、「乾癬治療の好みは患者特性や臨床的特性によって異なり、実臨床で治療を決定する際には、患者さんの声を考慮した共有意思決定が必要であることが示唆されたことは、乾癬治療を行う医療従事者や患者さんにとって意義があるもの」と述べている。 今回得られた知見が、乾癬の全身療法における治療決定の一助になることが期待される。

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難治性クローン病の寛解導入と寛解維持に対するウパダシチニブの有用性(解説:上村直実氏)

 慢性かつ再発性の炎症性腸疾患であるクローン病(CD)の治療に関しては、病気の活動性をコントロールして患者の寛解状態をできるだけ長く保持し、日常生活のQOLに影響する狭窄や瘻孔形成などの合併症の治療や予防が非常に重要である。すなわち、十分な症状緩和と内視鏡的コントロールを提供する新しい作用機序の治療法が求められる中、最近、活動性とくに中等症から重症のCDに対しては、生物学的製剤により寛解導入した後、引き続いて同じ薬剤で寛解維持に対する有用性を検証する臨床試験が多く施行されている。今回は、CDの寛解導入および寛解維持療法における経口選択的低分子のJAK阻害薬であるウパダシチニブ(商品名:リンヴォック)の有効性を示すRCTの結果が、2023年5月のNEJM誌に報告された。ウパダシチニブの導入療法および維持療法の主要評価項目である臨床的寛解および内視鏡的効果に関して、プラセボより有意に優れた結果を示すと同時に安全性に関しても許容範囲であった。この報告と同時に米国FDAは難治性CDの寛解導入と寛解維持を目的としたウパダシチニブを承認している。 リンヴォック錠は1日1回投与の経口薬で、わが国でも2020年に難治性の関節リウマチ(RA)に対して保険収載され、その後も2021年には関節症性乾癬およびアトピー性皮膚炎、2022年には強直性脊椎炎に対する治療薬として適応追加が承認されている。CDについては2023年6月26日、既存治療で効果不十分な中等症から重症の活動期CDの寛解導入および維持療法の治療薬として適応追加が承認された。 このように難治性CDに対しては潰瘍性大腸炎(UC)と同様にさまざまな生物学的製剤が開発されているが、一般臨床現場で注意すべきは重篤な感染症である。今回のJAK阻害薬であるウパダシチニブ、トファシチニブおよびフィルゴチニブは、わが国でもRAなどに対して比較的長い間使用されているが、自己免疫性疾患に対する新規薬剤のリスクとして結核やB型肝炎ウイルスの再活性化はよく知られており、感染症および悪性疾患の発生には留意する必要がある。とくに、本研究でも述べられているように、JAK阻害薬には血管血栓症や帯状疱疹の発生リスク上昇の可能性も報告されており、薬理作用に精通した長期的な患者管理が重要であろう。

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円形脱毛症の母親の出生児が抱えるリスクとは?

 韓国・延世大学校のJu Yeong Lee氏らが実施した後ろ向き出生コホート研究において、円形脱毛症(AA)を有する母親から出生した児は、AAに関連する併存疾患リスクが高いことが示された。母親のAAと児の自己免疫疾患や炎症性疾患、アトピー性疾患、甲状腺機能低下症、精神疾患の発症に関連がみられ、著者は「臨床医や保護者は、これらの疾患が発生する可能性を認識しておく必要がある」と述べている。AAは自己免疫疾患や精神疾患と関連することが知られているが、AAを有する母親の児に関する長期アウトカムの調査は不足していた。JAMA Dermatology誌オンライン版2023年5月24日号掲載の報告。 研究グループは、韓国の全国健康保険サービス(Nationwide Health Insurance Service)のデータベースと、出生登録データベースを用いて後ろ向き出生コホート研究を実施した。 対象は、2003~15年にAA(ICD-10コードL63に基づく)を診断名として3回以上受診した母親から出生したすべての児6万7,364例(AA群)と、AAと診断されていない母親から出生した児(対照群)67万3,640例であった(1対10の割合で、出生年、性別、保険の種類、所得レベル、居住地をマッチング)。 対象児について出生から2020年12月31日まで追跡し、自己免疫疾患、炎症性疾患、アレルギー性疾患、甲状腺疾患、精神疾患の発症※と母親のAAとの関連について、多変量Cox比例ハザードモデルを用いて評価した(共変量:出生年、年齢、保険の種類、所得レベル、居住地、母親の年齢、分娩形態、母親のアトピー性皮膚炎の既往歴、自己免疫疾患の既往歴)。解析は、2022年7月~2023年1月に行った。※:AA、全頭型脱毛症/汎発型脱毛症(AT/AU)、白斑、乾癬、炎症性腸疾患(IBD)、関節リウマチ(RA)、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、喘息、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、バセドウ病、橋本病、注意欠如・多動症(ADHD)、気分障害、不安症の発症。 主な結果は以下のとおり。・AA群は対照群と比較して、以下の発症リスクが有意に高かった。 -AA(調整ハザード比[aHR]:2.08、95%信頼区間[CI]:1.88~2.30) -AT/AU(同:1.57、1.18~2.08) -白斑(同:1.47、1.32~1.63) -アトピー性疾患(同:1.07、1.06~1.09) -甲状腺機能低下症(同:1.14、1.03~1.25) -精神疾患(同:1.15、1.11~1.20)・AA群のうち、AT/AUを有する母親から生まれた児5,088例は、AT/AU(aHR:2.98、95%CI:1.48~6.00)および精神疾患(同:1.27、1.12~1.44)の発症リスクが高かった。

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ウパダシチニブ、中等~重症クローン病に有効/NEJM

 中等症~重症のクローン病患者において、ウパダシチニブによる寛解導入療法および維持療法はプラセボと比較し優れることが、43ヵ国277施設で実施された第III相臨床開発プログラム(2件の寛解導入療法試験「U-EXCEL試験」「U-EXCEED試験」と1件の維持療法試験「U-ENDURE試験」)の結果で示された。米国・Mayo Clinic College of Medicine and ScienceのEdward V. Loftus氏らが報告した。ウパダシチニブは経口JAK阻害薬で、潰瘍性大腸炎、関節リウマチ、関節症性乾癬、アトピー性皮膚炎および強直性脊椎炎に対して承認されており、クローン病治療薬としても開発中であった。NEJM誌2023年5月25日号掲載の報告。ウパダシチニブvs.プラセボ、寛解導入療法と維持療法の有効性および安全性を比較 研究グループは、中等症~重症のクローン病で18~75歳の患者を対象とし、「U-EXCEL試験」では1剤以上の既存治療または生物学的製剤で効果不十分または不耐容の患者を、「U-EXCEED試験」では1剤以上の生物学的製剤で効果不十分または不耐容の患者を、ウパダシチニブ45mg群またはプラセボ群に2対1の割合で無作為に割り付け、1日1回12週間投与する寛解導入療法試験を行った(二重盲検期)。さらに、両試験において臨床的奏効が認められた患者は、維持療法試験「U-ENDURE試験」に移行し、ウパダシチニブ15mg、同30mgまたはプラセボ群に1対1対1の割合で無作為に割り付けられ、1日1回52週間の投与を受けた。 主要エンドポイントは、寛解導入療法(12週)、維持療法(52週)のいずれにおいても、臨床的寛解および内視鏡的改善とした。臨床的寛解は、クローン病活動指数(CDAI、スコア範囲:0~600、高スコアほど疾患活動性が重症であることを示す)のスコアが150点未満と定義した。内視鏡的改善は、中央判定による簡易版クローン病内視鏡スコア(SES-CD、スコア範囲:0~56、高スコアほど重症度が高いことを示す)が、ベースラインから50%超減少(ベースラインのSES-CDが4点の患者ではベースラインから2点以上の減少)と定義した。 U-EXCEL試験では526例、U-EXCEED試験では495例、U-ENDURE試験では502例が各群に無作為に割り付けられた。臨床的寛解、内視鏡的改善ともにウパダシチニブが有意に優れる 臨床的寛解を達成した患者の割合(ウパダシチニブ45mg群vs.プラセボ群)は、U-EXCEL試験で49.5% vs.29.1%、U-EXCEED試験で38.9% vs.21.1%、同じく内視鏡的改善は、U-EXCEL試験で45.5% vs.13.1%、U-EXCEED試験で34.6% vs.3.5%であり、プラセボ群と比較してウパダシチニブ45mg群で有意に高かった(すべての比較でp<0.001)。 また、U-ENDURE試験の52週時において、臨床的寛解を達成した患者の割合はウパダシチニブ15mg群37.3%、同30mg群47.6%、プラセボ群15.1%、同じく内視鏡的改善はそれぞれ27.6%、40.1%、7.3%であり、いずれもウパダシチニブの両用量群がプラセボ群より有意に高かった(すべての比較でp<0.001)。 安全性については、帯状疱疹の発現率は、ウパダシチニブ45mg群および30mg群がプラセボ群より高く、肝障害ならびに好中球減少症の発現率は、ウパダシチニブ30mg群が他の維持療法群より高かった。消化管穿孔が、ウパダシチニブ45mg群で4例、ウパダシチニブ30mg群ならびに15mg群で各1例に発現した。

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脂漏性皮膚炎に1日1回のroflumilast外用薬が有望

 脂漏性皮膚炎による紅斑、鱗屑、そう痒の治療において、1日1回塗布のroflumilastフォーム0.3%(泡[フォーム]を形成する製剤)は、良好な有効性、安全性、および局所忍容性を示した。米国・オハイオ大学のMatthew J. Zirwas氏らが第IIa相二重盲検溶媒対照並行群無作為化試験の結果を報告した。脂漏性皮膚炎に対する局所治療の選択肢は、有効性や安全性の観点から限られている。脂漏性皮膚炎はあらゆる年代にみられ、全世界の有病率は5%以上とされる。roflumilastは選択的ホスホジエステラーゼ(PDE)4阻害薬であり、抗炎症作用を有する。経口薬は慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療薬として承認されており(本邦未承認)、外用薬は2022年7月に慢性尋常性乾癬への適応で米国食品医薬品局(FDA)により承認されている。著者は、「今回の結果は、本剤の非ステロイド系外用薬としてのさらなる研究を支持するものである」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2023年5月3日号掲載の報告。 研究グループは、頭皮や顔、体幹に脂漏性皮膚炎症状を有する成人患者において、roflumilastフォーム0.3%の安全性と有効性の評価を目的として本試験を実施した。 本試験は、2019年11月12日~2020年8月21日に、米国とカナダの24施設にて行われた。対象は、脂漏性皮膚炎と診断されて3ヵ月以上、Investigator Global Assessment(IGA)スコア3以上(中等度以上)、症状が頭皮や顔、体幹、間擦部を含む体表面積の20%以下である18歳以上の患者であった。対象患者をroflumilast群(roflumilastフォーム0.3%)または溶媒群(vehicleフォーム)に無作為に割り付け、1日1回8週間塗布した。 主要アウトカムは、8週時のIGAに基づく奏効(IGAスコアが0[消失]または1[ほとんど消失]+ベースラインから2点以上減少で定義)とした。副次アウトカムは、2週・4週時のIGAに基づく奏効、Worst Itch Numeric Rating Scale(WI-NRS)のベースラインからの変化量などであった。安全性と忍容性も評価した。データ解析は、2020年9月~10月に行われた。 主な結果は以下のとおり。・合計226例(平均年齢±標準偏差[SD]:44.9±16.8歳、男性116例、女性110例)が、roflumilast群(154例)、溶媒群(72例)へ無作為に割り付けられた。・8週時において、roflumilast群は104例(73.8%)がIGAに基づく奏効を達成したが、溶媒群は27例(40.9%)であった(p<0.001)。・初回評価の2週時におけるIGAに基づく奏効率は、roflumilast群(33.8%)が溶媒群(14.7%)と比べて統計学的有意に高率であった(p=0.003)。・8週時において、WI-NRSのベースラインからの平均減少率(SD)は、roflumilast群59.3%(52.5%)、溶媒群36.6%(42.2%)であった(p<0.001)。・roflumilastの忍容性は良好で、有害事象の発現頻度は両群で同程度であった。

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078)乾癬で大きい病院に行くのはどんなとき?【Dr.デルぽんの診察室観察日記】(ブログより転載)

第78回 乾癬で大きい病院に行くのはどんなとき?(『デルマな日常』より転載)アロ~ハ☆今日も元気なデルぽんで~す☆本日はリクエスト漫画☆彡乾癬について漫画にしてください!というコメントをいただいたので漫画にしたよー!!どうぞー!!!乾癬(尋常性乾癬)かんせん、と読みます。名の通り乾いたカサカサのついた赤い厚みのある湿疹ができる皮膚疾患です!一般の病院ではそんなに数は多くないけれどもちろん通院している人はいる。塗り薬で定期通院しているひとがおおいよ☆彡大きい病院に紹介するのは、塗り薬や飲み薬ではうまくコントロールできないとき、患者さんの希望があったとき、爪や関節痛の治療に困ったときなど。大学など専門施設では外用・内服・光線治療のほかに注射(生物学的製剤)の治療などをやってます。乾癬の人わりと大らかな人が多い印象。出てるけど気にしてないよ☆薬ちょうだい☆、みたいな人が多くて実は乾癬だけど通院してないって人が意外ともっといるのではと個人的に思う…そんなかんじです!!でわね!バーイ☆彡※この記事は、Dr.デルぽんのご厚意により『デルマな日常』から転載させていただきました。(転載元:『デルマな日常』2022年05月17日 乾癬で大きい病院に行くのはどんなとき?)

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乾癬の発症にPCSK9が関与か

 脂質異常症の治療薬として用いられているPCSK9(proprotein convertase subtilisin/kexin type 9)阻害薬について、乾癬予防に使用できる可能性が指摘された。英国・マンチェスター大学のSizheng Steven Zhao氏らによる1万2,116例の乾癬患者を対象としたメンデルランダム化解析において、乾癬の発症へのPCSK9の関与が示唆された。脂質経路は乾癬の発症に関与しており、スタチンなどの一部の脂質低下薬は疾患修飾の特性を有すると考えられている。しかし大規模集団での研究はほとんど実施されておらず、従来の観察研究の結果に基づく因果関係の解釈は、交絡因子の存在により限界があった。JAMA Dermatology誌オンライン版2023年1月25日号掲載の報告。 研究グループは、脂質低下薬と乾癬発症リスクとの因果関係を調べるため、2022年8月~10月に、2標本のメンデルランダム化解析を行った。検討には、2つのバイオバンク(UKバイオバンク[英国]およびFinnGen[フィンランド])を用いた乾癬に関するゲノムワイド関連研究(GWAS)、およびGlobal Lipids Genetics ConsortiumからのLDL値が含まれた。 LDL値をバイオマーカーとして用い、HMG-CoA還元酵素(スタチンの標的)、Niemann-Pick C1-like 1(NPC1L1、エゼチミブの標的)、PCSK9(アリロクマブなどの標的)の遺伝的阻害(HMG-CoA還元酵素、NPC1L1、PCSK9の阻害を代替する遺伝子変異を抽出)を行い、乾癬発症リスクを評価した。 主な結果は以下のとおり。・1万2,116例の乾癬患者のデータと、LDL測定値が得られた約130万人のデータを基に解析した。・PCSK9の遺伝的阻害は、乾癬発症リスク低下と関連した(LDL値の1標準偏差減少ごとのオッズ比[OR]:0.69、95%信頼区間[CI]:0.55~0.88、p=0.003)。・上記の関連は、FinnGenでも同様であった(OR:0.71、95%CI:0.57~0.88、p=0.002)。・感度分析において、遺伝子変異の多面作用(pleiotropy)または遺伝的交絡によるバイアスは認められなかった。・HMG-CoA還元酵素、NPC1L1の遺伝的阻害は、乾癬発症リスクとの関連が認められなかった。

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TYK2を選択的に阻害する乾癬治療薬「ソーティクツ錠6mg」【下平博士のDIノート】第113回

TYK2を選択的に阻害する乾癬治療薬「ソーティクツ錠6mg」今回は、チロシンキナーゼ2(TYK2)阻害薬「デュークラバシチニブ錠(商品名:ソーティクツ錠6mg、製造販売元:ブリストル・マイヤーズ スクイブ)」を紹介します。本剤は、TYK2を選択的に阻害する世界初の経口薬で、既存治療で効果が不十分であった患者や、副作用などにより治療継続が困難であった患者の新たな選択肢として期待されています。<効能・効果>本剤は、既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、膿疱性乾癬乾癬性紅皮症の適応で、2022年9月26日に製造販売承認を取得し、同年11月16日に発売されました。光線療法を含む既存の全身療法(生物学的製剤を除く)などで十分な効果が得られず皮疹が体表面積の10%以上に及ぶ場合や、難治性の皮疹や膿疱を有する場合に使用します。<用法・用量>通常、成人にはデュークラバシチニブとして1回6mgを1日1回経口投与します。なお、本剤使用前には結核・B型肝炎のスクリーニングを行い、24週以内に本剤による治療反応が得られない場合は、治療計画の継続を慎重に判断します。<安全性>国際共同第III相臨床試験(IM011-046試験)において、本剤投与群の22.0%(117/531例)に臨床検査値異常を含む副作用が発現しました。主なものは、下痢2.6%(14例)、上咽頭炎2.4%(13例)、上気道感染2.3%(12例)、頭痛1.9%(10例)などでした。なお、重大な副作用として、重篤な感染症(0.2%)が報告されています。<患者さんへの指導例>1.この薬は、乾癬の原因となる酵素の働きを抑えることで、皮膚の炎症などの症状を改善します。2.免疫を抑える作用があるため、発熱、寒気、体がだるい、咳が続くなどの一般的な感染症症状のほか、帯状疱疹や単純ヘルペスなどの症状に注意し、気になる症状が現れた場合は速やかにご相談ください。3.本剤を使用している間は、生ワクチン(BCG、麻疹・風疹混合/単独、水痘、おたふく風邪など)の接種ができないので、接種の必要がある場合は医師にご相談ください。4.感染症を防ぐため、日頃からうがいや手洗いを行い、規則正しい生活を心掛けてください。また、衣服は肌がこすれにくくゆったりとしたものを選び、高温や長時間の入浴はできるだけ避けましょう。<Shimo's eyes>本剤は、TYK2阻害作用を有する世界初の経口乾癬治療薬です。TYK2はヤヌスキナーゼ(JAK)ファミリーの分子ですが、本剤のようなTYK2だけを選択的に阻害する薬剤は比較的安全に使用できるのではでないかと期待されています。乾癬の治療としては、副腎皮質ステロイドやビタミンD3誘導体による外用療法、光線療法、シクロスポリンやエトレチナート(商品名:チガソン)などによる内服療法が行われています。近年では、多くの生物学的製剤が開発され、既存治療で効果不十分な場合や難治性の場合、痛みが激しくQOLが低下している場合などで広く使用されるようになりました。現在、乾癬に適応を持つ生物学的製剤は下表のとおりです。また、同じ経口薬としてPDE4阻害薬のアプレミラスト(同:オテズラ)が「局所療法で効果不十分な尋常性乾癬、関節症性乾癬」の適応で承認されています。臨床試験において、本剤投与群ではアプレミラストを上回る有効性を示しており、この点が評価されて薬価算定では40%の加算(有用性加算I)が付きました。安全性では、結核の既往歴を有する患者では結核を活動化させる可能性があるため注意が必要です。また、感染症の発症、帯状疱疹やB型肝炎ウイルスの再活性化の懸念もあるため、症状の発現が認められた場合にはすぐに受診するよう患者さんに説明しましょう。TYK2阻害薬は自己免疫疾患に対する新規作用機序の薬剤であり、今後の期待として潰瘍性大腸炎や全身性エリテマトーデスなどの幅広い疾患に適応が広がる可能性があり、注目されています。

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071)医者の不養生…【Dr.デルぽんの診察室観察日記】(ブログより転載)

第71回 医者の不養生…(『デルマな日常』より転載)おっはよ~☆ オフの爽やかなデルぽんだよ〜☆当ブログは皮膚科医デルぽんのさりげない日常を日夜漫画にしてお送りする徒然絵日記です☆以後、お見知りおきを!さて本日のデル日は。『医師だけど自分の病気はないがしろになりがち』あるある(たぶん)でーす!どうぞ〜☆デルぽんお肌は弱い方じゃないんだけど、じつは耳の後ろと両膝・肘にあやしい湿疹が長年つづいているよ☆あやしいってどう怪しいかっていうとね。見た目が乾癬(かんせん)そのものだよ…☆ウフフ。※乾癬っていうのは、ガサガサした赤い局面ができる病気だよ☆痒みもあるので、イライラしたときにかいてしまったりしてるんだけど。(※痒みはストレスで悪化しやすいよ☆)これがなかなか、治りません。時々薬は塗ってるんだけど、、、時々だから、治らない…塗り薬っていうのは、治りかけがかんじんで、あっ良くなった〜でやめるとすぐぶり返す。そしてまた塗って良くなって止めてぶり返す。と、そのうち同じランクの薬が効きにくくなる(※長年続けた場合)。という具合に怠け半分にやると全然治らない訳ですが。(デルぽん身を持って知る!)きれいになった頃合いが特に大事で、きっちり塗りきって治しきるのが治療のコツだよ☆っと人には言うくせに自分が出来てないっ!けしからん!とお怒りのアナタ、ごもっともです。だからデルぽん、患者さんの『塗り薬めんど』って気持ち、すごくわかるよ、、、そんなデルぽんから。つい塗るのを忘れがちなアナタに送るオススメな方法はというと。洗面所の超目立つ場所に置いておいて、風呂上がり可及的速やかに塗る。朝は顔洗ったらすぐに塗る。これです。めっちゃ見えるとこにこれみよがしに置いとくのがポイント。忙しかったり余裕がないとなかなか塗れないのが塗り薬のむずかしいところ。出来れば5分でも、軟膏タイムをつくってね。デルぽんも今日からがんばるから!いっしょに塗り薬がんばろっ!!っと何故かいい話風に持って行ったところで今日のデル日はこれにておしまい!でわねー☆ばいちゃー!!※この記事は、Dr.デルぽんのご厚意により『デルマな日常』から転載させていただきました。(転載元:『デルマな日常』2016年07月10日 医者の不養生…)

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事例015 オキサロールローション25μg/gの査定【斬らレセプト シーズン3】

解説事例では尋常性乾癬の患者に対してマキサカルシトール液(商品名:オキサロールローション)(以下「同剤」)を処方したところ、 C事由(医学的理由による不適当)として査定となりました。査定理由を調べるため添付文書をみてみました。傷病名欄の病名に適用があり、病名に対しての部位も記入されています。1日当たりの限度量も添付文書記載内に収まっています。用法・用量に関連する注意に、「本剤は、通常、使用後6週目までに効果が認められているので、治療にあたっては経過を十分に観察し、症状の改善がみられない場合には、(副作用発現軽減のため)漫然と使用を継続しない」とあり、基本的注意には「血中カルシウム値および腎機能(血中クレアチニン、BUNなど)の検査を定期的(開始2~4週後に1回、その後は適宜)」と記載されています。カルテをみてみると、診療開始日から同剤が投与されており、6週間を経過していました。レセプトには、症状の改善がみられることへのコメントがありません。前月も当月も検査が実施されていませんでした。したがって、漫然投与とみなされて査定になったものと推測されます。コンピュータ審査が充実するにしたがい、このような数ヵ月間を遡って比較する査定が増えています。医師には同剤処方時には添付文書通りに使用開始から6週間での適用判断と適宜の検査をお願いしました。薬剤処方システムならびにレセプトチェックシステムにも6週間を超えて処方が続いている場合に注意が表示されるよう設定を行い査定対策としました。

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膿疱性乾癬の現状と、新しい治療薬スぺビゴへの期待

 2022年12月8日、日本ベーリンガーインゲルハイムは「膿疱性乾癬(汎発型)(GPP)のアンメットメディカルニーズと新しい治療への期待」をテーマにメディアセミナーを開催した。同セミナーで帝京大学医学部皮膚科学講座の多田 弥生氏は、GPPの現状と同年9月に承認された抗IL-36Rモノクローナル抗体「スペビゴ点滴静注450mg」(一般名:スペソリマブ[遺伝子組換え])の国際共同第II相二重盲検比較試験(Effisayil 1試験)について講演を行った。膿疱性乾癬(汎発型)(GPP)とは GPPは発熱や倦怠感と共に無菌性の膿疱が現れる皮膚病である。GPPは乾癬の一種で、最も一般的な乾癬である尋常性乾癬とは症状や発症までのプロセスが異なる。全身に膿疱が現れるGPPは厚生労働省が定める指定難病の1つに指定されている1)。 GPPは乾癬全体の約1%といわれており2)、難病医療費の助成を受けている患者は全国で2,058例である(2020年現在)3)。発症年齢は男性で30~39歳と50~69歳、女性では25~34歳と50~64歳にピークがあり、女性にやや多くみられる4)。 GPPの主な治療方法には全身療法、外用療法、光線療法などがあるが、急性症状の改善を目的とした治療薬はなかった。GPPの急性症状に対する日本初の治療薬スぺビゴ そのような中、スぺビゴは急性症状の改善を目的とした、日本初の治療薬として登場した。 スぺビゴはIL-36Rに結合することにより5)、内因性リガンドによるIL-36Rの活性化と下流の炎症シグナル伝達経路を阻害し6、7)、治療効果を発揮すると考えられている。 スペビゴは点滴投与の薬剤で、過去の治療歴にかかわらずGPPの急性症状に対して使用できる。ただし、感染症や結核の既往歴、妊娠・授乳中などの場合は治療上の注意が必要となる。スぺビゴの治療は日本皮膚科学会が定める乾癬分子標的薬使用承認施設(全国で778施設[2022年10月時点])で受けることができる。中等度から重度のGPP急性症状が認められる患者を対象としたEffisayil 1試験 スペビゴの国際共同第II相二重盲検比較試験(Effisayil 1試験)の対象はERASPEN※1診断基準によりGPPと診断された18~75歳の患者53例。スぺビゴ群およびプラセボ群に2:1で無作為に割り付け、それぞれ単回投与を行った。主な結果は以下のとおり。・主要評価項目である1週時におけるGPPGA※2膿疱サブスコア0達成率について、スぺビゴ群(35例)では54.3%が達成し、プラセボ群(18例)の5.6%に対する優越性が認められた(リスク差:48.7%、95%信頼区間[CI]:21.5~67.2)。・重要な副次評価項目である1週時におけるGPPGA※2合計スコア0/1達成率は、スぺビゴ群では42.9%が達成し、プラセボ群の11.1%に対する優越性が認められた(リスク差:31.7%、95%CI:2.2~52.7)。・1週時の重篤な有害事象発現率は、スぺビゴ群で5例14.3%、プラセボ群で3例16.7%、投与中止に至った有害事象および死亡に至った有害事象は両群共に報告はなかった。※1:European Rare and Severe Psoriasis Expert Network※2:膿疱性乾癬に対する医師による全般的評価GPP治療薬スぺビゴへの期待 スぺビゴはGPPにおける急性症状の改善の効能・効果で国内初の製造販売承認を取得した。GPPは症状による身体的ストレスや不安、周囲から理解を得にくいことによる孤独感などから、精神的ストレスを抱える患者も少なくなく、アンメットメディカルニーズ解消への貢献、ひいてはQOLの向上が期待されている。多田氏は「5割以上の方が投与後1週間で膿疱が見えなくなったことは、非常に早いし効果も高い」と述べ、講演を終えた。<参考文献・参考サイトはこちら>1)難病情報センター.膿疱性乾癬(汎発型)(指定難病37).2)山本俊幸編. 乾癬・掌蹠膿疱症病態の理解と治療最前線. 中山書店;2020.3)厚生労働省. 令和2年度衛生行政報告例(令和2年度末現在).4)日本皮膚科学会膿疱性乾癬(汎発型)診療ガイドライン作成委員会. 日皮会誌. 2015;125:2211-57.5)社内資料:非臨床薬効薬理試験(in vitro、結合親和性)(CTD 2.6.2.2)[承認時評価資料]6)社内資料:非臨床薬効薬理試験(in vitro、ヒト初代培養細胞に対する作用)(CTD 2.6.2.2)[承認時評価資料]7)社内資料:非臨床薬効薬理試験(in vitro、ヒト末梢血単核球に対する作用)(CTD 2.6.2.2)[承認時評価資料]

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乾癬とうつ病併存、脳構造と脳内コネクティビティの特徴は?

 先行研究で乾癬患者の最大25%にうつ病の併存が認められるとの報告がある中、英国・マンチェスター大学のGeorgia Lada氏らは、うつ病併存に関連する乾癬の脳構造と脳内コネクティビティ(connectivity)を調べる脳画像研究を行い、乾癬による局所脳容積や構造的なコネクティビティへの影響はみられないこと、乾癬とうつ病併存で右楔前部の肥厚が認められ、自殺傾向に関連している可能性があることなどを明らかにした。 患者に共通する神経生物学的およびうつ病脳画像のパターンなど、併存疾患のドライバについてはほとんど解明されていない。一方で、慢性の全身性炎症皮膚疾患である乾癬について、脳と皮膚間における免疫が介在したクロストークが仮説として示唆されていた。Brain, Behavior, & Immunity - Health誌2022年12月号掲載の報告。 調査は、測定した脳容積値等におけるうつ病と全身性炎症の意味を調べる初となる検討で、研究グループが知りうる限り最大の乾癬患者サンプルデータとしてUK Biobank登録者1,048例の脳MRIデータを用いて行われた。調査では、乾癬における関節の関与と、炎症状態がより高いことを示す乾癬性関節炎(PsA)併存の影響についても探索的評価が行われた。 調査対象の1,048例の内訳は、乾癬とうつ病併存患者が131例、年齢・性別で適合した非うつ病の乾癬患者131例、うつ病対照393例、非うつ病対照393例である。アプリオリに定義された関心領域(ROI)の容積・厚さ・表層、白質トラクトおよび安静時コネクティビティ評価に適切な55×55偏相関マトリックスにおける乾癬とうつ病の相互作用の影響を、一般線形モデルを用いて調べた。また、線形回帰法を用いて、C反応性蛋白質(CRP)値および好中球数と脳測定値の関連性を試験した。 主な結果は以下のとおり。・局所または全体の脳容積や白質統合度における差異は、乾癬患者と非乾癬/非PsA対照との比較において認められなかった。・対照と比較してうつ病が併存している乾癬患者のみにおいて、右楔前部の肥厚が認められた(β=0.26、95%信頼区間[CI]:0.08~0.44、p=0.02)。・さらなる解析で、PsAを有する乾癬患者では、安静時コネクティビティにおける前頭後頭部の非連動(decoupling)が、非PsA対照(β=0.39、95%CI:0.13~0.64、p=0.005)および対照(0.49、0.25~0.74、p<0.001)と比較してそれぞれ有意であることが示された。このことはうつ病併存とは無関係であった。・楔前部の肥厚と前頭後頭部のコネクティビティは、CRP値や好中球数では予測できなかった。・うつ病乾癬患者における楔前部の肥厚は、繰り返される自殺傾向と、わずかだが相関性が示された。 研究グループは、UK Biobankデータを使用した検討では重症疾患を有する集団の結果の一般化を限定する可能性があり、重症疾患およびより大規模なPsA集団で今回の所見が再現されるか、さらなる検討が必要だ、とまとめている。

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ビメキズマブ、乾癬性関節炎の症状を改善/Lancet

 腫瘍壊死因子α(TNFα)阻害薬の効果が不十分または不耐の乾癬性関節炎患者の治療において、ビメキズマブはプラセボと比較して、16週の時点での関節および皮膚の症状の改善効果が有意に優れ、安全性も良好であることが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のJoseph F. Merola氏らが実施した「BE COMPLETE試験」で示された。ビメキズマブは、インターロイキン(IL)-17FとIL-17Aの双方を選択的に阻害するヒト化モノクローナルIgG1抗体。IL-17FまたはIL-17Aのいずれかの単独阻害と比較して、in vitroでの炎症性サイトカインの反応をより効果的に抑制することが知られている。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2022年12月5日号で報告された。11ヵ国のプラセボ対照第III相試験 BE COMPLETE試験は、日本を含む11ヵ国92施設が参加した二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2019年3月~2022年2月の期間に、患者の登録が行われた(UCB Pharmaの助成を受けた)。 対象は、年齢18歳以上、スクリーニングの6ヵ月以上前にClassification Criteria for Psoriatic Arthritisの基準を満たした成人期発症の乾癬性関節炎で、乾癬性関節炎または乾癬の治療として1または2剤のTNFα阻害薬の投与を受けたが、効果不十分か不耐の患者であった。 被験者は、ビメキズマブ(160mg、4週ごと)またはプラセボの皮下投与を受ける群に、2対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは、16週の時点における米国リウマチ学会(ACR)基準の50%以上の改善(ACR50)を達成した患者の割合とされた。エンドポイントがすべて改善 400例(平均年齢50.5[SD 12.5]歳、女性53%、平均罹患期間9.5[SD 9.3]年)が登録され、ビメキズマブ群に267例、プラセボ群に133例が割り付けられた。体表面積の3%以上が乾癬病変の患者が66%(264例)であった。77%(306例)が1剤のTNFα阻害薬で効果不十分、11%(45例)が2剤で効果不十分、12%(49例)はTNFα阻害薬に不耐だった。 16週時の階層法に基づく統計解析では、主要エンドポイントと副次エンドポイント(4項目)がすべて達成された。 ACR50を達成した患者の割合は、ビメキズマブ群が43%(116/267例)と、プラセボ群の7%(9/133例)に比べ有意に高かった(補正後オッズ比[aOR]:11.1、95%信頼区間[CI]:5.4~23.0、p<0.0001)。 ベースラインで体表面積の3%以上が乾癬病変であった患者における、Psoriasis Area and Severity Index(PASI)の90%以上の改善(PASI 90)は、ビメキズマブ群が69%(121/176例)の患者で得られ、プラセボ群の7%(6/88例)に比べ有意に良好であった(aOR:30.2、95%CI:12.4~73.9、p<0.0001)。 また、ビメキズマブ群では患者報告による身体機能にも改善が認められ、健康評価質問票機能障害指数(HAQ-DI)とSF-36の身体的側面のQOLサマリースコア(PCS)がプラセボ群に比べ有意に優れた(HAQ-DIのベースラインからの変化量:ビメキズマブ群-0.38 vs.プラセボ群-0.07、SF-36 PCSのベースラインからの変化量:7.3 vs.1.4、いずれもp<0.0001)。 16週までに発現した治療関連有害事象の頻度は、ビメキズマブ群が40%(108/267例)、プラセボ群は33%(44/132例)であった。重篤な有害事象は、ビメキズマブ群の5例(2%)で認められた。重篤または重度の治療関連有害事象による投与中止はみられなかった。ビメキズマブ群で頻度の高い治療関連有害事象は、鼻咽頭炎(10例[4%])、口腔カンジダ症(7例[3%])、上気道感染症(6例[2%])であった。新たな安全性シグナルはみられず、死亡例もなかった。 著者は、「これらの結果は、臨床的に関心が高いサブグループであるTNFα阻害薬で効果不十分または不耐の集団において、ビメキズマブの高い有効性と忍容性を示すものである」とまとめ、「ビメキズマブの治療効果の発現は迅速で、1回投与後の4週目には有効性に関してプラセボとの間に大きな差が認められた。これは、日常生活への影響を軽減するために症状の緩和を優先する患者にとって価値があると考えられる」と指摘している。現在、非盲検下に延長試験が進行中で、これによりビメキズマブの長期的な有効性と安全性の評価が可能になるという。

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bDMARD未治療の乾癬性関節炎、ビメキズマブの有効性は?/Lancet

 生物学的疾患修飾性抗リウマチ薬(bDMARD)による治療歴がない乾癬性関節炎患者において、ビメキズマブはプラセボと比較して、16週時の関節、皮膚、画像的な有効性アウトカムについて有意な改善が認められた。真菌感染の発現を含むビメキズマブの安全性プロファイルは、尋常性乾癬患者を対象にしたIL-17A阻害薬のこれまでの第III相試験結果と一致していた。英国・グラスゴー大学のIain B. Mclnnes氏らが、14ヵ国135施設で実施された52週間の第III相無作為化二重盲検プラセボ対照実薬(アダリムマブ)参照試験「BE OPTIMAL試験」の結果を報告した。ビメキズマブは、IL-17AおよびIL-17Fを選択的に阻害するモノクローナルIgG1抗体で、ビメキズマブの有効性と安全性は並行して実施されたBE OPTIMAL試験とBE COMPLETE試験の2つの第III相試験で検証された。Lancet誌オンライン版2022年12月6日号掲載の報告。ビメキズマブの有効性と安全性を対プラセボで検証 BE OPTIMAL試験は、52週間の無作為化二重盲検プラセボ対照実薬(アダリムマブ)参照試験で、16週間のプラセボ対照二重盲検期と、36週間の治療盲検期で構成される。本論では、事前に計画された24週時の主要解析結果が報告された。 適格基準は、18歳以上でスクリーニングの6ヵ月以上前から国際的な乾癬性関節炎の分類基準(CASPAR)を満たし、圧痛関節数(TJC)が3関節以上(68関節中)、腫脹関節数(SJC)が3関節以上(66関節中)、1ヵ所以上の活動性の乾癬病変または乾癬の既往患者で、乾癬性関節炎または乾癬に対して生物学的製剤の投与歴がある患者は除外した。 患者を、ビメキズマブ(1回160mgを4週ごとに皮下投与)群、プラセボ(2週ごとに皮下投与)群、アダリムマブ(1回40mgを2週ごとに皮下投与)群に3:2:1の割合で無作為に割り付けた(地域[北米、西ヨーロッパ、東ヨーロッパ、アジア]および骨びらん数[0または1以上]で層別化)。プラセボ群は、16週時にビメキズマブ(1回160mgを4週ごとに皮下投与)に切り替え、52週まで投与した。なお、本試験では、ビメキズマブ群またはプラセボ群と、アダリムマブ群を比較するための検出力はなかった。 主要エンドポイントは、米国リウマチ学会分類基準の50%以上改善(ACR50)を達成した患者の割合とし、解析にはnon-responder imputation法(評価が得られなかった症例はノンレスポンダーとして補完)を用いた。有効性解析対象集団は無作為化された全患者(intention-to-treat集団)、安全性解析集団は治験薬の投与を1回以上受けた患者とした。ACR50達成率はビメキズマブ群44%、プラセボ群10% 2019年4月3日~2021年10月25日の期間に、1,163例がスクリーニングを受け、852例がビメキズマブ群(431例)、プラセボ群(281例)、アダリムマブ群(140例)に無作為に割り付けられた。 16週時のACR50達成率は、ビメキズマブ群44%(189/431例)、プラセボ群10%(28/281例)、アダリムマブ群46%(64/140例)であり、プラセボ群と比較してビメキズマブ群で有意に高かった(オッズ比:7.1、95%信頼区間:4.6~10.9、p<0.0001)。 16週時までに治療下で発現した有害事象は、ビメキズマブ群で431例中258例(60%)、プラセボ群で281例中139例(49%)、アダリムマブ群で140例中83例(59%)報告された。死亡例はなかった。

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国内初の経口TYK2阻害剤デュークラバシチニブが乾癬治療にもたらす可能性

 2022年11月10日、ブリストル マイヤーズ スクイブ主催により、「乾癬治療の課題と新たな治療選択肢~国内初のTYK2阻害剤登場の意義~」についてプレスセミナーが開催された。同セミナーで帝京大学医学部皮膚科学講座の多田 弥生氏は、乾癬を取り巻く社会課題として患者の生活の質(Quality of Life:QOL)に及ぼす影響について講演を行った。また、名古屋市立大学大学院医学研究科の森田 明理氏は、国内初の経口TYK2阻害剤として同年9月に承認されたデュークラバシチニブ(商品名:ソーティクツ錠)の開発経緯、作用機序や臨床試験の紹介に加え、同剤への期待を述べた。乾癬に伴うQOL低下には早期治療が重要 乾癬は慢性の炎症性皮膚疾患であるだけでなく、関節炎、肥満、糖尿病など、患者の健康に影響する複数の併存疾患を伴う。「中でも患者が最も辛く思うのはQOL障害である」と多田氏は言う。 乾癬患者は皮膚症状による身体的影響だけでなく、自己肯定感の低下や再発の不安などの精神的影響や人間関係や社会的活動に消極的になるなどの社会生活への影響も受ける1)。すなわち、「感染するのではないか」「鱗屑により不潔なのではないか」という誤解や、皮疹や爪の変形、鱗屑を隠そうとして日常生活に制限を抱えるようになる。乾癬は、このようなスティグマ(特定の属性を持つ人に対するネガティブなレッテルを貼ること)を受けやすい疾患であり、罹病期間が長くなるとその可能性が高まると言う。「早期治療により、スティグマの原因をできる限り減らすことが重要」だ。 乾癬患者の多くは治療に対して、できるだけ早く、よりきれいにすることを望んでいる2)。しかし、乾癬治療の基本である外用薬は、塗布時間が長くなるとストレスを感じる患者が増加するという研究結果もある3)。多田氏は終わりに、「患者と相談し、症状やライフスタイルに合った治療法の選択が重要」と結んだ。国内初の経口TYK2阻害剤、デュークラバシチニブの作用機序 乾癬ではTNF-α、IL-17、IL-23といったサイトカインが関与し、ケラチノサイトの過剰な増殖が生じる。デュークラバシチニブは、これらのサイトカインのシグナル伝達を制御するJAKファミリーの1つであるTYK2の機能制御部位に結合し、分子内相互作用により触媒部位の構造を変化させ、ATPの結合を妨げることでTYK2の活性化を阻害する。デュークラバシチニブは選択性が高く、同じくJAKファミリーに属するJAK-1、JAK-2およびJAK-3には影響しない。良好な安全性プロファイルと有効性維持の可能性について言及 中等症~重症の局面型皮疹を有する乾癬患者を対象として、デュークラバシチニブ(1日1回投与)とプラセボおよび経口PDE4阻害薬アプレミラスト(1日2回投与)を比較した国際共同第III相試験 POETYK PSO-1試験(日本人含む)4)および海外第III相試験 POETYK PSO-2試験5)の結果は以下のとおり。・POETYK PSO-1試験の主要評価項目である投与16週のPASI 75※1およびsPGA 0/1※2達成率について、デュークラバシチニブ群(332例)では58.4%および53.6%が達成し、プラセボ群(166例)の12.7%および7.2%に対する優越性が認められた。また、副次評価項目としたアプレミラスト群(168例)との比較においても有意な有効性の改善が示された。・デュークラバシチニブ群のPASI達成率の改善は、投与52週目まで認められ、本剤の有効性は長期に持続する可能性が示された。・POETYK PSO-2試験において、投与24週目にPASI 75およびsPGA 0/1を達成した患者をデュークラバシチニブ群(118例)またはプラセボ群(119例)に再ランダム化したところ、52週目時点においてプラセボ群の31.3%がPASI 75改善率を維持し、23.5%がsPGA 0/1を維持していることが示された。・両試験の統合解析において、16週までの重篤な有害事象の発現割合は、デュークラバシチニブ群で842例中15例、1.8%であり、プラセボ群の419例中12例、2.9%やアプレミラスト群422例中5例、1.2%と比較して重篤な有害事象や死亡の増加は見られなかった6)。乾癬治療を改善する選択肢として期待 デュークラバシチニブは、「既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、膿疱性乾癬および乾癬性紅皮症」を効能又は効果として、11月16日に上市された。森田氏は「本剤は1日1回投与の経口薬で、注射剤よりも患者の負担が低い。他の治療法と併用することで、実臨床での乾癬治療が改善されることも期待される」と述べて講演を締めくくった。※1:皮疹の重症度がベースラインから75%改善した状態※2:医師による静的総合評価<参考>1)De Korte J, et al. J Investig Dermatol Symp Proc. 2004;9:140-147.2)根本治ほか. 日皮会誌. 2003;113:2059-2069.3)大久保ゆかりほか. 日皮会誌. 2007;117:2495-2505.4)社内資料:国際共同第III相臨床試験(IM011046試験)[POETYK PSO-1](承認時評価資料)5)社内資料:海外第III相臨床試験(IM011047試験)[POETYK PSO-2](承認時評価資料)6)第36回 日本乾癬学会学術大会 一般演題【治療2】99

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067)アトピー性皮膚炎と尋常性乾癬。こんな人が多い、気がする?【Dr.デルぽんの診察室観察日記】

第67回 アトピー性皮膚炎と尋常性乾癬。こんな人が多い、気がする?ゆるい皮膚科勤務医デルぽんです☆普段の診療でもよくみかけるアトピー性皮膚炎の患者さん。それより数は少ないものの、ちらほらと受診される尋常性乾癬の患者さん。それぞれに、こんな雰囲気の人が多いかも? と思う、私の中での個人的な「患者像」を漫画にしてみました。毎月まじめに通ってきてくれるアトピー性皮膚炎の患者さんに多いのが、まじめできっちりしたタイプ。残りの薬の本数を細かく教えてくれたり、皮膚症状についての質問が細かかったりします。血液型占いでいうとA型っぽいイメージ。反対に、尋常性乾癬の患者さんに多いのは、ざっくりとしていておおらか? なタイプ。2~3ヵ月に1度、決まった薬をもらいに来て、腰など塗りにくい場所に皮疹が残っていても、本人はあまり気にしていなかったりします。血液型占いでいうとO型のイメージ。あくまで私が個人的に感じている傾向ですので、もちろん当てはまらない方もいます。ですが、なんとなく、こんな傾向があるように思っています。日々、皮膚科診療に携わる先生方、いかがでしょうか?「好発年齢やそれまでの経過、皮膚症状の特徴などが、こうした傾向に影響しているのかな~」などと、想像してみたりするのでした。それでは、また〜!

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