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効率的フロンティア(efficiency frontier:EF)と呼ばれる費用対効果の評価方法を用いることで、尋常性乾癬の生物学的製剤の価格の大幅な引き下げと、臨床的な費用対効果の最適化が実現可能であることを、米国・ブリガム・アンド・ウィメンズ病院のAlexander C. Egilman氏らが示した。検討の結果を踏まえて著者は、「EFは政策立案者にとって従来の費用対効果分析手法に代わるアプローチとなるものである」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2024年2月21日号掲載の報告。 研究グループは、EFにより尋常性乾癬の生物学的製剤の薬価と臨床ベネフィットの適正化をどれほど図れるのかを評価した。また、米国における薬価の引き下げ幅について4ヵ国(オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ)と比較することにより推定した。 EFを用いた医療経済評価では、上記5ヵ国における尋常性乾癬の生物学的製剤11剤とバイオシミラー2剤の薬価と臨床ベネフィットを比較。EFは各生物学的製剤の有効性(Psoriasis Area and Severity Index[PASI]90達成率で評価)と2023年1月時点の年間治療コストをベースに構築し、EFに基づく薬価と従来の費用対効果分析に基づく価格を比較した。従来の費用対効果分析に基づく薬価は、1質調整生存年(QALY)当たり15万ドルを基準とした。 主な結果は以下のとおり。・13剤の生物学的製剤におけるPASI 90達成率は、17.9%(エタネルセプト)~71.6%(リサンキズマブ)の範囲にわたっていた。・米国の年間治療コストは、1,664ドル(infliximab-dyyb[インフリキシマブのバイオシミラー])~7万9,277ドル(リサンキズマブ)の範囲にわたっていた。・年間治療コストの中央値(四分位範囲[IQR])は、米国が3万4,965ドル(2万493~4万8,942)であり、オーストラリア(9,179ドル[6,691~1万2,688])、カナダ(1万5,556ドル[1万3,017~1万6,112])、フランス(9,478ドル[6,637~1万1,678])、ドイツ(1万3,829ドル[1万3,231~1万5,837])よりも高かった。・米国のEFで臨床的な費用対効果が良好であったのは、infliximab-dyyb(PASI 90達成率:57.4%、年間コスト:1,664ドル)、イキセキズマブ(同:70.8%、3万3,004ドル)、リサンキズマブ(同:71.6%、7万9,277ドル)であった。・米国の乾癬の生物学的製剤の価格について、EFを用いて推算した価格(最適価格)と一致させるためには中央値71%(IQR:31~95)引き下げる必要があった。同様のアプローチを用いた場合の他の4ヵ国の引き下げ幅はより小さく、カナダ41%(同:6~57)、オーストラリア36%(同:0~65)、フランス19%(同:0~67)、ドイツ11%(同:8~26)であった。・リサンキズマブを除き、EFに基づく薬価は従来の費用対効果分析に基づく薬価よりも低かった。