中等症~重症の尋常性乾癬患者において、icotrokinraはプラセボおよびデュークラバシチニブと比較し優れた臨床効果を示し、有害事象の発現割合はプラセボと同等であった。米国・Henry Ford Health SystemのLinda Stein Gold氏らが、第III相無作為化二重盲検プラセボ・実薬対照試験ICONIC-ADVANCE 1試験(13ヵ国149施設)、およびICONIC-ADVANCE 2試験(11ヵ国114施設)の結果を報告した。インターロイキン(IL)-23やIL-12を標的とするモノクローナル抗体は尋常性乾癬の治療に有効であるが、静脈内または皮下投与が必要である。icotrokinraは、IL-23受容体に選択的に結合する初の経口ペプチド薬で、中等症~重症の尋常性乾癬患者を対象とした第II相試験においてプラセボより皮膚症状の改善率が有意に高いことが示されていた。著者は、「結果は、1日1回経口投与のicotrokinraが高い有効性と良好な安全性プロファイルを有する治療薬であることを示すものである」とまとめている。Lancet誌2025年9月27日号掲載の報告。
icotrokinraとプラセボまたはデュークラバシチニブを比較する第III相試験2試験
ICONIC-ADVANCE 1&2試験の対象は、26週以上前(スクリーニング時)に中等症~重症の尋常性乾癬と診断され、乾癬病変が体表面積(BSA)の10%以上、Psoriasis Area and Severity Index(PASI)スコアが12以上、Investigator's Global Assessment(IGA)スコアが3以上で18歳以上の患者であった。
研究グループは適格患者を、icotrokinra群、プラセボ群またはデュークラバシチニブ群にICONIC-ADVANCE 1試験ではそれぞれ2対1対2の割合で、ICONIC-ADVANCE 2試験では4対1対4の割合で無作為に割り付けた。icotrokinra 1日1回200mg、デュークラバシチニブ1日1回6mg、プラセボのいずれかを二重盲検下で経口投与した。プラセボ群の患者は16週時に、デュークラバシチニブ群の患者は24週時にicotrokinra 200mg投与へ移行し、最長156週まで継続した。
主要エンドポイントは2つで、プラセボ群との比較における16週時のIGAスコア0または1(皮疹が消失またはほぼ消失)を達成し、かつ2段階以上改善した患者の割合、ならびにPASIスコアがベースラインから90%以上改善した(PASI 90)患者の割合であった。
icotrokinraの優越性が2試験ともに示される
ICONIC-ADVANCE 1試験は2024年1月17日~5月24日に、ICONIC-ADVANCE 2試験は2024年3月9日~6月13日に、それぞれスクリーニングした988例中774例および917例中731例を登録し無作為化した。icotrokinra群がそれぞれ311例および322例、プラセボ群が156例および82例、デュークラバシチニブ群が307例および327例であった。
両試験において、主要エンドポイントはすべて達成された。IGA 0/1達成率は、icotrokinra群およびプラセボ群でそれぞれ、ADVANCE 1試験が68%(213/311例)と11%(17/156例)(群間差:58%、95%信頼区間[CI]:50~64、p<0.0001)、ADVANCE 2試験が70%(227/322例)と9%(7/82例)(62%、53~69、p<0.0001)であった。
PASI 90達成率はicotrokinra群およびプラセボ群でそれぞれ、ADVANCE 1試験が55%(171/311例)と4%(6/156例)(群間差:51%、95%CI:44~57、p<0.0001)、ADVANCE 2試験が57%(184/322例)と1%(1/82例)(56%、48~62、p<0.0001)であった。
またicotrokinra群とデュークラバシチニブ群との比較については、両試験とも多重性を調整した16週時および24週時の主な副次エンドポイントに関してすべて、icotrokinra群の優越性が示された。
16週時までに有害事象は、両試験併合でicotrokinra群48%(303/632例)、プラセボ群57%(136/237例)に認められた。主な有害事象は鼻咽頭炎(6%[37/632例]、5%[13/237例])および上気道感染症(4%[23/632例]、3%[8/237例])であった。
24週時の有害事象発現割合について、icotrokinra群(57%[359/632例])はデュークラバシチニブ群(65%[411/634例])より低かった。
(ケアネット)